以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する形状には、言及している形状に厳密に一致する形状のみでなく、寸法誤差、製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も含まれる。本明細書での「接続」とは、特に明示がない限り、言及する条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の部材を介して満たす場合も含む。
以下、各構成要素の位置関係に関して、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。この方向とは、前後方向X、左右方向Yおよび上下方向Zである。便器装置10をトイレ室に設置した状態にあるとき、理想的には、前後方向Xおよび左右方向Yは水平方向となり、上下方向Zは鉛直方向となる。この状態にあるとき、前後方向Xおよび左右方向Yは、水洗式便器12に取り付けられる便座(不図示)に通常の姿勢で座るユーザの前後左右と対応する。
図1〜図3を参照する。図3は、便器装置10の構成図と併せて図2のA−A断面を示す。便器装置10は、主に、水洗式便器12(以下、単に便器12という)と、便器12に洗浄水を供給する給水装置14と、を備える。給水装置14は、例えば、フラッシュバルブ、タンク等を用いて構成される。給水装置14は、便器12に接続される給水管16を通して便器12に洗浄水を供給する。
本実施形態の便器12は、洋風大便器である。本実施形態の便器12は、トイレ室の床から間隔を空けて配置される壁掛け式である。この便器12は、トイレ室の壁体Wの裏側に配置されるフレーム等の支持部材(不図示)に掛けた状態で固定される。壁体Wは、トイレ室の床から立ち上がるように設けられる。本実施形態の便器12の素材は陶器である。便器12の素材は特に限定されず、例えば、樹脂等でもよい。
便器12は、汚物を受けるための鉢状の便鉢部18と、便鉢部18の上端開口部が開口する上面部20と、便鉢部18の底部に接続される排水管路26と、左右方向Yの外側を向く一対の外側壁部22と、便鉢部18に洗浄水を吐き出すための第1吐水部28Aおよび第2吐水部28Bと、給水装置14から供給される洗浄水を第1吐水部28Aおよび第2吐水部28Bに供給する共通水路38と、を備える。上面部20は、便鉢部18の上端開口部から前後左右に延びるように設けられる。
外側壁部22は外部に露出する外部露出面を形成する。外側壁部22は、上面部20の前端部から後端部までの範囲で上面部20の外周縁部20aに連続しており、その外周縁部20aから下向きに延びるように設けられる。本実施形態の外側壁部22は、左右方向に凹む凹部24を備える。
排水管路26は、建物に設置される排水管(不図示)に接続される。排水管路26は、便鉢部18内から下水側水路に排出される汚物等の通り道となる。
第1吐水部28Aは、洗浄水を吐き出すための第1吐水口30Aと、第1吐水口30Aに洗浄水を供給する第1通水路34Aと、を備える。第2吐水部28Bは、洗浄水を吐き出すための第2吐水口30Bと、第2吐水口30Bに洗浄水を供給する第2通水路34Bと、を備える。
共通水路38には、給水装置14から給水管16を通して洗浄水が供給される。第1通水路34Aおよび第2通水路34Bは、共通水路38の下流側端部から分岐している。第1通水路34Aおよび第2通水路34Bの分岐箇所40は便鉢部18の後方に設けられる。この分岐箇所40は、本実施形態において、便器12の左右方向Yの中央部に設けられる。第1通水路34Aは、共通水路38から左側に分岐する。第2通水路34Bは、共通水路38から右側に分岐する。
第1通水路34Aは、便鉢部18の左後ろ側を通るように設けられる。第1通水路34Aは、第1吐水口30Aに連続しており、共通水路38から供給される洗浄水を第1吐水口30Aに供給する。
本実施形態の第1吐水口30Aは、左右中心線Laの左側かつ前後中心線Lbの後ろ側の便鉢部18の部分である左後ろ側部分18aの上部に形成される。本実施形態の第1吐水口30Aは、溜水部62よりも後ろ側に形成される。左右中心線Laは、平面視において、便鉢部18の内面部分の左右方向Yに沿った寸法を二等分し、前後方向Xに沿って延びる直線をいう。前後中心線Lbは、平面視において、便鉢部18の内面部分の前後方向Xに沿った寸法を二等分し、左右方向Yに沿って延びる直線をいう。第1吐水口30Aは、右斜め後方に向けて開放しており、周方向の一方側に向けて、すなわち平面視で反時計回りに洗浄水を吐き出す。
第2通水路34Bは、便鉢部18の右後ろ側を通るように設けられる。第2通水路34Bは、第2吐水口30Bに連続しており、共通水路38から供給される洗浄水を第2吐水口30Bに供給する。
本実施形態の第2吐水口30Bは、左右中心線Laの右側の便鉢部18の部分である右側部分18bに形成される。本実施形態の第2吐水口30Bは、平面視において、溜水部62と左右方向Yに重なる位置に形成される。第2吐水口30Bは、前方に向けて開放しており、第1吐水口30Aと同じく周方向の一方側に向けて、すなわち平面視で反時計回りに洗浄水を吐き出す。
便鉢部18は、汚物を受けるための鉢状の汚物受け面60と、汚物受け面60の下端縁から下方に窪む溜水部62と、を備える。
溜水部62は、底壁面62aと、底壁面62aの左側から立ち上がる左立壁面62bと、底壁面62aの右側から立ち上がる右立壁面62cと、底壁面62aの後ろ側から立ち上がる後ろ立壁面62dと、を有し、凹状に形成される。各前後方向位置での溜水部62の最深部を連ねた線Lcは、左右中心線Laから僅かにずれている。底壁面62aの後部には排水管路26の入口26aが開口する。溜水部62には、洗浄水が溜められる。
左立壁面62bと右立壁面62cとは、前側ほど互いに近づくように設けられる。したがって、溜水部62は、平面視で前側ほど先細りとなる形状を有する。この構成は、後述する誘導流Fwg(図5参照)の形成に寄与する。左立壁面62bと右立壁面62cとは、それらの前端部同士が第1凹曲面62eを介して滑らかに連なっている。左立壁面62bは、その後端部が第2凹曲面62fを介して後ろ立壁面62dに滑らかに連なっている。右立壁面62cは、その後端部が第3凹曲面62gを介して溜水部62に滑らかに連なっている。本明細書での「滑らかに」とは、言及している面にでこぼこや段差がなく、すべすべしているさまをいう。
汚物受け面60の外周端部60bから内側(便鉢部18の中央側)に向かう範囲の一部は、棚面66を構成する。棚面66は、内側に向かうほど低位置となるようにわずかに傾斜している。本実施の棚面66は、前方の一部を除いた汚物受け面60の周縁に設けられている。棚面66は、第1吐水口30Aの内下面および第2吐水口30Bの内下面に連続する。棚面66は、第1吐水口30便器装置10の動作を説明する。給水装置14は、所定の洗浄開始条件を満たすと、所定の水量の洗浄水を、便器12の内部に給水管16を通して供給する。Aおよび第2吐水口30Bから吐き出された洗浄水を旋回させるように導く。
以上が便器装置10の基本構成である。続いて便器装置10の動作を説明する。給水装置14は、所定の洗浄開始条件を満たすと、所定の水量の洗浄水を、便器12の内部に給水管16を通して供給する。洗浄開始条件は、例えば、リモートコントローラ等の外部操作機器によって洗浄開始指令を受けることである。水洗式便器12に供給される洗浄水は、共通水路38、通水路34A、34Bを経由して、吐水口30A、30Bから便鉢部18に吐き出される。洗浄水によって便鉢部18が洗浄され、便鉢部18内の汚物が排水管路26を通って排出される。
続いて便鉢部18に供給された洗浄水の流れ方について説明する。図4を参照する。図4において、後ろ側領域70、左側領域72、右側領域74および前側領域76は、二点鎖線で区分けされた汚物受け面60の4つの領域を示す。後ろ側領域70は、溜水部62の後ろ側の汚物受け面60の領域である。左側領域72は、溜水部62および後ろ側領域70の左側の汚物受け面60の領域である。右側領域74は、溜水部62および後ろ側領域70の右側の汚物受け面60の領域である。溜水部62、左側領域72および右側領域74の前側の汚物受け面60の領域である。
第1吐水部28Aは、第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水によって、第1水流Fwaと、第2水流Fwbと、を形成する。第1水流Fwaは、主に後ろ立壁面62dを下って、溜水部62に後方から流入する水流である。「後方から流入する」とは、前向きの速度成分をもった洗浄水(水流)が溜水部62に溜まった洗浄水に流入することをいう。第2水流Fwbは、第1水流Fwaより後方にて棚面66を反時計回りに旋回して右側領域74に進む水流である。第2水流Fwbは、右側領域74を洗浄する。
第2吐水部28Bは、第2吐水口30Bから吐き出される洗浄水によって、第3水流Fwcと、第4水流Fwdと、を形成する。第3水流Fwcは、主に前側領域76の右側を洗浄して溜水部62に前方から流入する水流である。第4水流Fwdは、右側領域74を前方に進み、前側領域76ひいては汚物受け面60の前端部を経由し、左側領域72を後方に進み、第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水と合流する水流である。
第4水流Fwdの一部は、第1水流Fwaに跳ね返されて溜水部62に後方から流入する第5水流Fweを形成する。第4水流Fwdの残りは、第2水流Fwbと合流する第6水流Fweを形成する。
図5を参照する。第1水流Fwaは、溜水部62の底壁面62aや左立壁面62bに衝突することで上方かつ後方に向きを変えた後、溜水部62内で上昇したうえで自重により下降する誘導流(縦旋回流)Fwgを形成する。誘導流Fwgは、溜水部62内で後方に向けて上昇してから下降することで、排水管路26の入口26aに汚物を押し込むような流れとなる。このように溜水部62は、後ろ立壁面62dあるいは右立壁面62cを伝って後方から流入する流れによって、排水管路26に汚物を押し込む誘導流Fwgを形成するように構成されている。
続いて、便器装置10について、以下の(1)〜(11)の11個の特徴的な構成を説明する。
(1)図4〜6を参照する。図6は、第1吐水口30Aを正面から見た図である。第1吐水口30Aは、縦長に形成される。「縦長」とは、縦方向(すなわち上下方向Z)の寸法D1が、横方向(すなわち水平方向である幅方向)の寸法D2よりも大きいことをいう。
右側領域74の洗浄性を確保するには、適度な速度の適度な量の第2水流を右側領域74に到達させる必要があり、そのためには所定の流速以上で第1吐水口30Aから洗浄水を吐き出させる必要がある。この場合、第1吐水口30Aが縦長でなく、したがって第1水流Fwaが比較的薄い膜状に形成されると、第1水流Fwaは便鉢部18の内面(すなわち汚物受け面60や後ろ立壁面62dや右立壁面62c)に沿って流れる。言い換えると便鉢部18の内面に支持されながら流れる。この場合、第1水流Fwaは比較的時間を掛けて落下するため、第1水流Fwaの大半は右立壁面62cまで回り込んでから溜水部62に溜まった洗浄水に流入する。つまり、第1水流Fwaは、溜水部62の比較的前方に流入する。
本開示者は、誘導流Fwgについて検討した結果、水流を溜水部62のより後方に流入させれば、誘導流Fwgの水勢が増幅され、汚物排出能力の向上を図れるとの知見を得た。これに対し本実施形態では、第1吐水口30Aは縦長に形成され、したがって第1吐水口30Aからは、ホースから吐き出させたような、吐き出し方向に垂直な断面形状が縦長である束状の洗浄水が吐き出される。第1水流Fwaは、少なくとも第1吐水口30Aから吐き出された直後では、縦長の束状の水流となる。第1水流Fwaの便鉢部18の内面に接触している部分(すなわち第1水流Fwaの下側部分)は便鉢部18の内面に沿って便鉢部18の内面に支持されながら流れる。第1水流Fwaの便鉢部18の内面に接触していない部分(すなわち第1水流Fwaの上側部分)は便鉢部18の内面に支持されずに落下する。第1水流Fwaの上側部分は、比較的短時間で落下するため、右立壁面62cまで回り込まずに後ろ立壁面62dから溜水部62に溜まった洗浄水に流入する。つまり、第1水流Fwaは溜水部62の比較的後方に流入し、その結果、誘導流Fwgの水勢が増幅され、汚物排出能力の向上が図られる。
この他に、膜状の第4水流Fwdは、縦長すなわち分厚い第1水流Fwaに合流する。この場合、第4水流Fwdは第1水流Fwaに跳ね返されやすくなる。したがって、第4水流Fwdのより多くが、第5水流Fweとなって溜水部62に後方から流入する。その結果、誘導流Fwgの水勢が増幅され、汚物排出能力の向上が図られる。
(2)図3〜4を参照する。仮に、第1吐水口30Aが横方向すなわち右方向に開放し、第1吐水口30Aから右に向けて洗浄水が吐き出される場合、当該洗浄水の大半は必然的に後ろ立壁面62dを通ることになり、後ろ立壁面62dを伝って溜水部62に溜まった洗浄水に流入するか、後ろ立壁面62dから右立壁面62cに回り込んで右立壁面62cを伝って溜水部62に溜まった洗浄水に流入する。この場合、汚物受け面60の右側領域74に到達する洗浄水の水量が不十分となり、右側領域74の洗浄性が低下する。
これに対し本実施形態の便器12では、第1吐水口30Aは右斜め後方に開放しており、第1吐水口30Aから右斜め後方に向けて、具体的には溜水部62の後方に位置する棚面66の領域に向けて洗浄水が吐き出される。言い換えると、本実施形態の第1吐水部28Aは、第1吐水口30Aから右斜め後方に向けて洗浄水を吐き出すことによって、溜水部62の後方に位置する棚面66の領域を周方向の一方側(すなわち反時計回り方向)に向けて伝う第2水流Fwbを形成するように構成される。この場合、第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水のうちの適度な量の洗浄水を右側領域74に到達させることができ、右側領域74の洗浄性の向上を図れる。
(3)図3〜4を参照する。便器12は、第2吐水口30Bの内下面の高さ位置(上下方向Zでの位置)が、第1吐水口30Aの内下面の高さ位置よりも低くなるよう形成される。「吐水口の内下面の高さ位置」は、当該内下面のうちの最も低い部分の高さ位置をいう。この場合、第1水流Fwaに合流する第4水流Fwdは、最終的には、第2吐水口30Bの内下面の高さ位置からそれよりも高い高さ位置まで登ることになる。これにより、後方に向かう第4水流Fwdの速度成分は減速され、第1水流Fwaに跳ね返されやすくなる。したがって、第4水流Fwdの洗浄水のより多くが、第5水流Fweとなって溜水部62に後方から流入する。その結果、誘導流Fwgの水勢が増幅され、汚物排出能力の向上が図られる。
(4)図3〜4を参照する。溜水部62よりも後方に位置する棚面66の部分は、左右方向における中央部Cが第1吐水口30Aの内下面よりも高位置となるように形成される。この場合、第2水流Fwbは、第1吐水口30Aの内下面の高さ位置からそれよりも高い中央部Cの高さ位置まで登ることなるため、減速される。減速された第2水流Fwbの一部は、後ろ立壁面62dを下って溜水部62に溜まった洗浄水に流入する。つまり、後ろ立壁面62dから流入する洗浄水の水量を多くでき、誘導流Fwgの水勢がさらに増幅され、汚物排出能力の向上を図ることができる。
棚面66の形状は特に限定されず、第1吐水口30Aの内下面から中央部Cに向かうにつれて高さ位置が高くなるよう形成されてもよいし、階段状に高くなってもよい。棚面66は、中央部Cが第1吐水口30Aの内下面よりも高位置であれば、それらの間に第1吐水口30A側から中央部C側に向かうにつれて高さ位置が低くなる部分を含んでいてもよい。
(5)図3、7を参照する。便器12は、溜水部62よりも後方に位置する棚面66の左右方向における中央の幅W1が、第1吐水口30Aの幅W2よりも小さくなるように形成される。第1吐水口30Aの幅W2は、第1吐水口30Aの最下面の幅であってもよく、第1吐水口30Aの最大幅であってもよい。上記の関係を満たす場合、溜水部62の後方の棚面66を旋回して右側領域74に向かう第2水流Fwbの洗浄水のうち、後ろ立壁面62dから溜水部62に落ちる洗浄水の量を増やすことができ、誘導流Fwgの水勢をさらに増幅できる。つまり、第2水流Fwbの洗浄水を右側領域74に到達させて右側領域74の洗浄性を確保しつつも、誘導流Fwgの水勢をさらに増幅して汚物排出能力を向上できる。
(6)図8〜10を参照する。便鉢部18は、棚面66と溜水部62の各立壁面とを連結する連結面80を有する。連結面80は、棚面66は、前後方向Xに垂直な切断面において、単数の曲率半径を持つ凸曲面形状を有する。連結面80は、汚物受け面60の左側領域72および右側領域74のそれぞれの後方部分に少なくとも設けられる。本実施形態の連結面80は、汚物受け面60の後ろ側領域70から左側領域72および右側領域74に連続するように設けられる。
図10の位置A〜F、B’〜F’は、図8の位置A〜F、B’〜F’に対応する。便器12は、同じ前後方向位置において、左側領域72での連結面80(図9では右側の連結面80)の曲率半径が、右側領域74での連結面80(図9では左側の連結面80)の曲率半径よりも大きくなるように形成される。言い換えると、便器12は、同じ前後方向において、左右中心からの左右方向における距離が等しい位置では、左側領域72での連結面80が右側領域74での連結面80よりも低位置になるすなわち上面部20の上面20bからの距離が長くなる(図9参照)。本実施形態では、これらの関係は、第1吐水口30Aと左右方向Yで重なる前後方向Xの位置に加え、第1吐水口30Aと左右方向Yで重ならない前後方向Xの位置でも成立する。当該位置は、第1吐水口30Aよりも前方側の前後方向Xの位置と言い換えてもよい。
これにより、同じ前後方向位置において、左側領域72における連結面80が形成されている左右方向の範囲は、右側領域74における連結面80が形成されている左右方向の範囲よりも広くなる。つまり、左側領域72における連結面80は左右方向に比較的広く形成され、右側領域74における連結面80は左右方向に比較的狭く形成される。これは、左側領域72における棚面66が形成されている左右方向の範囲は、右側領域74における棚面66が形成されている左右方向の範囲よりも狭くなるとも言い換えられる。つまり、左側領域72における棚面66は左右方向に比較的狭く形成され、右側領域74における連結面80は左右方向に比較的広く形成される、とも言い換えられる。
この場合、左側領域72における連結面80が左右方向に比較的狭く形成される場合と比べ、第5水流が溜水部62に流入し易くなる。この結果、より強い誘導流Fwgを形成でき、汚物排出能力の向上を図れる。
さらにこの場合、右側領域74における連結面80が左右方向に比較的狭く形成される場合と比べ、右側領域74に到達した第2水流Fwbのより多くを、第3水流Fwcに合流させることができる。この結果、前方から溜水部62に流入する洗浄水の水量が増え、誘導流Fwgの水勢がさらに増幅され、汚物排出能力の向上を図ることができる。
(7)図7を参照する。便器12は、便鉢部18の中央側の第1吐水口30Aの外縁36から吐水方向に延び出す飛散抑制壁90を備える。飛散抑制壁90の上端は、上面部20に連続している。本実施形態の飛散抑制壁90は、外縁36の上側からのみ延び出している。本実施形態の飛散抑制壁90は上側ほど遠くまで延び出している。したがって、飛散抑制壁90の下面90aは、湾曲形状を有している。飛散抑制壁90は、第1吐水口30Aを出た直後に生じうる洗浄水の巻き上がりを抑制する。これにより、上面部20の上面bや使用者の臀部に洗浄水が飛散するのが抑制される。
(8)図3、図11〜図12を参照する。第1通水路34Aは、断面積が最も小さい部分である最小面積部32を有する。最小面積部32の面積は、第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水の流量が所望の流量となる面積に設計、製造される。例えば(1)の構成のように第1吐水口30Aを縦長にする場合など、最小面積部32の縦寸法よりも第1吐水口30Aの縦寸法が大きい場合、最小面積部32から第1吐水口30Aに向かう間に第1通水路34Aの縦寸法を拡げる必要がある。
比較例では、第1通水路34Aは、最小面積部32と同じ縦寸法を有する小寸法部50と、第1吐水口30Aと同じ縦寸法を有する大寸法部52と、を含む(図12参照)。比較例では、小寸法部50と大寸法部52とは連続している。したがって、第1通水路34Aの縦寸法は、最小面積部32の縦寸法から第1吐水口30Aの縦寸法に急激に変化している。この場合、大寸法部52の上流側端上部52aには、洗浄水が流れ込みにくく、洗浄水に含まれる空気が溜まる。溜まった空気は、或るタイミングで洗浄水に大きな気泡として含まれ、第1吐水口30Aから吐き出される。吐き出された気泡が破裂したときの破裂音は、使用者に不快感を与えかねない。
これに対し本実施形態の第1通水路34Aは、小寸法部50と大寸法部52との間に徐変拡大部54を含む(図11参照)。徐変拡大部54の内上面54aは、下流側ほど高位置となる傾斜面である。すなわち、徐変拡大部54の縦寸法は、下流側に向かって徐々に大きくなっている。この場合、比較例の大寸法部52の上流側端上部52aのような洗浄水が流れ込みにくい部分が存在しないため、第1通水路34Aに空気が溜まるのが抑止される。したがって大きな気泡が洗浄水に含まれて第1吐水口30Aから吐き出されるのが抑止される。
(9)図13を参照する。図13では、第1通水路34Aにおける洗浄水の流れを矢印によって示す。第1通水路34Aは、共通水路38から概ね左前方に延びる第1部分84と、第1部分84から前方に延びる第2部分86と、第2部分86から概ね右後方に延びる第3部分88と、を含む。第3部分88は、第2部分86の前端部には接続されず、前端部から僅かに後方に寄った位置に接続されている。第2部分86の前方側の左右方向における流路幅W3は、前端部から後方に向かうにつれて、言い換えると前端部から前後方向において第3部分88に近づくにつれて、徐々に広くなっている。第2部分86の前方側は、少なくとも最も広いところでの流路幅W3(流路幅W3maxで示す)では、第2部分86の後方側の左右方向における流路幅W4や、第3部分88の流路幅W5よりも広くなっている。この場合、第1部分84から第2部分86の後端部に流れ込んだ洗浄水は、第2部分86をその前端部に向かって流れ、第2部分86内で折り返してから第3部分88に流れ込む。したがって、第3部分88が第2部分86の前端部に接続される場合に比べて、第1通水路34Aの実質的な水路長は長くなる。第1通水路34Aの水路長が長くなれば、その分、第1通水路34Aの流路抵抗は大きくなり、第1通水路34Aを流れる洗浄水は減速される。さらに、第2部分86をその前端部に向かって流れる洗浄水と、第2部分86内で折り返してくる洗浄水とが干渉し合うことでも第1通水路34Aを流れる洗浄水は減速される。つまり、第2部分86および第3部分88は、洗浄水を所望の流速に減速させる減速部として機能している。
(10)図14〜図16を参照する。第1通水路34Aの内下面は、第1吐水口30Aの内下面に連続する第1水平領域42Aと、第1通水路34Aにおいて第1水平領域42Aよりも上流側に設けられる第1低位領域44Aと、を含む。第2通水路34Bの内下面は、第2吐水部28Bの内下面に連続する第2水平領域42Bと、第2通水路34Bにおいて第2水平領域42Bよりも上流側に設けられる第2低位領域44Bと、を含む。図14では、低位領域44A、44Bの軸線方向を破線で示す。ここでの軸線方向とは、言及している第1通水路34A、第2通水路34Bの中心軸線に沿った方向をいう。
第1水平領域42Aおよび第2水平領域42Bは、水平面に対して平行に設けられる。ここでの平行とは、水平面に対して幾何学的に完全に平行な場合の他、水平面に対して0°〜1°の範囲で傾斜している場合も含まれる。
第1低位領域44Aは、第1水平領域42Aよりも低位置に設けられる。本実施形態の第1低位領域44Aは、第1水平領域42Aとの間で段差部を形成することなく、第1水平領域42Aの上流側端部に連続する。第2低位領域44Bは、第2水平領域42Bよりも低位置に設けられる。本実施形態の第2低位領域44Bは、第2水平領域42Bとの間で段差部を形成することなく、第2水平領域42Bの上流側端部に連続する。
本実施形態の第1低位領域44Aおよび第2低位領域44Bは、下流側ほど高位置となる傾斜面である。第1低位領域44Aおよび第2低位領域44Bは、平坦面および湾曲面のいずれであってもよい。本実施形態の第1低位領域44Aおよび第2低位領域44Bは、水平面に対する傾斜角度が互いに同じになるように形成される。傾斜角度は、例えば、2°以上5°以下の範囲内である。
共通水路38の内下面には、第1通水路34A、第2通水路34Bの分岐箇所40において、下向きに窪む窪み部48が形成される。
第1低位領域44Aの上流側端部と第2低位領域44Bの上流側端部は同じ高さ位置に設けられる(図15参照)。第1低位領域44Aの下流側端部と第2低位領域44Bの下流側端部は同じ高さ位置に設けられる。第1水平領域42Aと第2水平領域42Bは同じ高さ位置に設けられる(図16参照)。第1吐水口30Aの内下面と第2吐水口30Bの内下面は同じ高さ位置に設けられる。ここでの高さ位置とは、上下方向Zでの位置をいう。
第1通水路34Aおよび第2通水路34Bは、平面視において、第1低位領域44Aの軸線方向での長さ(以下、第1長さという)と第2低位領域44Bの軸線方向での長さ(以下、第2長さという)とが同等となるように形成される。本明細書での「同等」とは、比較対象となる両者が同一の場合の他に、ほぼ同一の場合とが含まれる。ここでの「ほぼ同一の場合」とは、比較対象となる両者の差分値が、一方の大きさ(ここでは第1長さL1)の±5%以内となる場合が含まれる。
通水路34A、34Bに対する洗浄水の供給が完了し、通水路34A、34B内に洗浄水の一部が残水として残留する状況を考える。本実施形態の通水路34A、34Bは、吐水口30A、30Bの内下面に連続する水平領域42A、42Bを含む。吐水口30A、30Bの近傍において通水路34A、34Bの水平領域42A、42Bに残留する残水は、自重によって、吐水口側に向けて流れ難くなる。よって、通水路34A、34Bの内下面に下り傾斜面を設ける場合と比べ、通水路34A、34B内の残水が吐水口30A、30Bから流出する量を減らすことができる。この下り傾斜面は、吐水口30A、30Bの内下面に連続するとともに吐水部28A、28B側に向かって下り勾配となる。
通水路34A、34B内の残水は膜状をなす。この残水は、その厚さが薄くなるほど、表面張力の影響を受けてランダムな方向に動き易くなる。仮に、通水路34A、34Bの内下面の全域に水平領域42A、42Bを設ける場合を考える。この場合、水平領域42A、42B上の残水は、その厚さが全体として一定に近い大きさになり易くなる。よって、通水路34A、34Bの内下面の全域にある残水が、表面張力の影響を受けて動き易くなり、通水路34A、34Bから吐水口30A、30Bを通して流出する可能性がある。
これに対して、実施形態の通水路34A、34Bの一部は低位領域44A、44Bを含む。低位領域44A、44B上の残水の厚さは、水平領域42A、42B上の残水の厚さと比べて厚くなる。よって、低位領域44A、44B上の残水は、水平領域42A、42B上の残水と比べて、表面張力の影響を受けて動き難くなる。このため、通水路34A、34Bの全域に水平領域42A、42Bを設ける場合と比べ、表面張力の影響を受けて動く可能性のある残水の量を減らすことができる。これに伴い、通水路34A、34B内の残水が吐水口30A、30Bから流出する量を減らすことができる。
以上が相まって、通水路34A、34B内の残水に起因してすじ状水が流れ続ける期間を短くできる。これに伴い、便器洗浄に起因する見栄えの低下を抑えることができる。
吐水口30A、30Bの外側から通水路34A、34Bの奥側に布巾等の清掃器具を押し込む場合を考える。この場合に、吐水口30A、30Bに連続する下り傾斜面を通水路34A、34Bを設けるケースでは、清掃器具が下り傾斜面に引っ掛かり易くなる。これに対して、本実施形態によれば、吐水口30A、30Bに連続する水平領域42A、42Bが通水路34A、34Bに設けられるため、前述の下り傾斜面を通水路34A、34Bに設ける場合と比べ、清掃器具を奥側まで押し込み易くなり、良好な清掃性を得られる。
吐水口30A、30Bから吐き出されようとする洗浄水の流れを整えるうえでは、吐水口30A、30Bの上下方向Zでの寸法を軸線方向に向かって一定にすることが望まれる。仮に、吐水口30A、30Bに連続する下り傾斜面を通水路34A、34Bの内下面に設ける場合を考える。この場合、吐水口30A、30Bの上下方向Zでの寸法を一定にしようとすると、吐水口30A、30Bの内下面及び内上面の形状が複雑化する。これに伴い、吐水口30A、30B内で洗浄水の当たる箇所が多くなり易く、吐水口30A、30Bから吐き出される洗浄水の流れの不安定化を招く。これに対して、本実施形態の通水路34A、34Bの内下面には、吐水口30A、30Bに連続する箇所に水平領域42A、42Bが設けられる。よって、通水路34A、34Bの内下面に下り傾斜面を設ける場合と比べ、シンプルな構造によって、吐水口30A、30Bの上下方向Zでの寸法を一定にできる。これに伴い、吐水口30A、30B内で洗浄水の当たる箇所を減らすことができ、吐水口30A、30Bから吐き出される洗浄水の流れを安定化し易くなる。
以上の水平領域42A、42B及び低位領域44A、44Bは、第1通水路34A及び第2通水路34Bのそれぞれに設けられる。よって、複数の通水路34A、34Bがある場合でも、前述のように、通水路34A、34B内の残水が吐水口30A、30Bから流出する量を減らすことができる。
第1長さL1は第2長さL2と同等である。よって、各低位領域44A、44Bが構成する上り傾斜面46の傾斜角度を同じにしつつ、各吐水口30A、30Bの内下面を同じ高さ位置に配置できる。各低位領域44A、44Bの上り傾斜面46の傾斜角度を同じにすることで、3DのCAD(Computer−Aided Design)モデルにおいて、各低位領域44A、44Bに対応する面データを、左右方向Yに反転させることによって容易に得ることができる。これに伴い、製図作業の負担を軽減することができる。
この他に、各吐水口30A、30Bの内下面を同じ高さ位置に配置できるため、便器12の便鉢部18に周方向に向かって勾配を持つ箇所を多く設けずに済む。これに伴い、便鉢部18の形状を簡素化でき、良好な製造性を得られる。
通水路34A、34Bの低位領域44A、44Bは水平領域42A、42Bに連続する上り傾斜面46である。よって、低位領域44A、44Bと水平領域42A、42Bの境界部に段差部がない構造となる。このため、通水路34A、34B内に異物が入り込んだ場合に、その異物をスムーズに流し易くなり、異物の残存を防ぐことができる。
(11)図4を参照する。便器12は、洗浄水の流速や水量について、以下の(a)〜(f)が成立するように構成される。
(a)第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水の流速は、第2吐水口30Bから吐き出される洗浄水の流速よりも遅い。この場合、第1水流Fwaは流速が比較的遅く、第3水流Fwcは流速が比較的速くなる。流速が比較的遅い第1水流Fwaは、右立壁面62cまでは回り込みにくく、したがって第1水流Fwaの多くは後ろ立壁面62dを伝って溜水部62に流入する。その結果、誘導流Fwgの水勢が増幅される。流速が比較的速い第3水流Fwcは、汚物が付着しやすい汚物受け面60の前方側の広い領域である前側領域76をしっかり洗浄する。流速が比較的速い第3水流Fwcの一部は、その速い流速と遠心力とによって、前側領域76を洗浄した後に左側領域72を後方に進み、溜水部62に後方から流入する。これにより、誘導流Fwgの水勢がさらに増幅される。つまり、吐水口30A、30Bから吐き出される洗浄水の流速について上記の関係を満たす場合、汚物受け面60の洗浄性が高く、かつ、汚物排出能力が高い便器12が得られる。よって、誘導流Fwgの水勢が増幅され、汚物排出能力の向上が図られる。
(b)第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水の水量は、それに合流する第2吐水口30Bからの洗浄水の水量よりも多い。つまり、Fwa+Fwb>Fwdが成立する。この場合、第4水流Fwdは、自身よりも水量の多い水流に衝突するため、跳ね返されやすい。したがって、より多くの第4水流Fwdが、溜水部62に後方から流入する第5水流Fweを形成する。
(c)第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水と、それに合流する第2吐水口30Bからの洗浄水とを合わせた水量は、第2吐水口30Bから吐き出される洗浄水の水量よりも多い。つまり、Fwa+Fwb+Fwe+Fwf>Fwc+Fwdが成立する。後ろ側領域70を流れる洗浄水を多くすることで、溜水部62に後方から流入する水量を多くできる。
(d)第2吐水口30Bから吐き出される洗浄水の水量は、第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水の水量よりも多い。この場合、第2吐水口30Bからの比較的水量が多い洗浄水により、汚物受け面60の前方側の広い領域である前側領域76をしっかり洗浄できる。さらに、当該洗浄水の流速が速ければ、その一部は、速い流速と遠心力とによって、前側領域76を洗浄した後に左側領域72を後方に進み、溜水部62に後方から流入する。これにより、誘導流Fwgの水勢がさらに増幅される。つまり、吐水口30A、30Bから吐き出される洗浄水の水量について上記の関係を満たす場合、汚物受け面60の洗浄性が高く、かつ、汚物排出能力が高い便器12が得られる。よって、誘導流Fwgの水勢が増幅され、汚物排出能力の向上が図られる。
(e)第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水に合流する第2吐水口30Bからの洗浄水について、溜水部62に後方から流入する洗浄水の水量は、溜水部62の後方の棚面66を旋回する洗浄水の水量よりも多い。つまり、Fwe>Fwfが成立する。この場合、第1吐水口30Aからの洗浄水に合流する第2吐水口30Bからの洗浄水の半分以上を、誘導流Fwgの形成に寄与させることができる。
(f)第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水の水量に対する溜水部62に後方から流入する洗浄水の水量の比は、2/3以上である。つまり、Fwa/(Fwa+Fwb)≧2/3が成立する。言い換えると、溜水部62には、主流である第1水流Fwaが後方から流入する。本明細書での「主流」とは、1つの吐水口から吐き出される洗浄水の50%以上によって形成される水流をいう。この場合、多くの洗浄水を後方から溜水部62に流入させることができ、汚物排出能力の向上を図れる。
以上、本開示について、実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(変形例1)
実施形態と異なり、便器12は床置き式でもよい。
(変形例2)
実施形態と異なり、便器12は第1吐水部28Aのみを有し、第2吐水部28Bを有していなくともよい。図17を参照する。本変形例の第1吐水口30Aは、左右中心線Laの左側かつ前後中心線Lbの前側の便鉢部18の部分である左前側部分18cの上部に形成される。第1吐水口30Aは、実施形態と同様に、左後ろ側部分18aの上部に形成されてもよい。便器12は、第1吐水口30Aから吐き出される洗浄水によって、第1水流Fwa、第2水流Fwb、第3水流Fwcおよび第4水流Fwdを形成するよう構成される。
(1)〜(2)、(4)〜(10)と、(11)の一部とは、本変形例でも採用できる。例えば(1)の構成を採用して縦長の第1吐水口30Aから縦長の束状に洗浄水を吐き出して縦長の束状の水流を形成する場合、汚物受け面60に接触していない水流の上側部分は、汚物受け面60の影響を受けにくく、したがって汚物受け面60の所望の位置まで到達させやすい。これにより、所望の水流が形成可能になる。
(変形例3)
第1吐水部28Aおよび第2吐水部28Bは、実施形態での位置に対して左右で逆の位置に設けられてもよい。この場合、第1吐水部28Aおよび第2吐水部28Bは、便鉢部18内に平面視で時計回り方向に向けて洗浄水を吐き出すことによって、第1水流Fwa〜第6水流Fwfを左右反転させた水流を形成する。
(変形例4)
低位領域44A、44Bは、通水路34A、34Bにおいて水平領域42A、42Bよりも低位置に設けられていればよい。これを実現するため、低位領域44A、44Bは、上り傾斜面46の代わりに水平面であってもよい。低位領域44A、44Bは、水平領域42A、42Bとの間で段差部を形成してもよい。
第1水路長と第2水路長は異なる長さに設定されてもよい。
以上、実施形態及び変形例について詳細に説明した。実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は、実施形態及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎない。実施形態及び変形例の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。たとえば、実施形態に対して変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることは当業者には理解されるところである。例えば請求項に記載の吐水部は、実施の形態に記載の第1吐水部28Aにより実現されてもよい。