JP2017020212A - 水洗大便器 - Google Patents
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この態様によれば、四つの分割領域のうち、三つの分割領域のそれぞれに個別の吐水口が形成される。よって、四つの分割領域のうちの二つの分割領域に個別の吐水口を形成するよりも、各吐水口それぞれから周方向の一方側に隣り合う他の吐水口までのリム部の内周長を短くできる。このため、リム部の内周面全体に洗浄水を届かせ易くなり、良好なリム洗浄能力を得られるようになる。
この態様によれば、第1吐水口から吐き出される洗浄水により便鉢部内に主流を形成し易くなる。このため、三つの吐水口の位置、洗浄水の吐出方向等を調整することで、便鉢部内での主流の流れ方を様々に設定でき、洗浄水による洗浄態様の自由度を高められる。
第1吐水口に洗浄水を供給する通水路は、他の吐水口より第1吐水口の洗浄水吐出量を多くするため、大きい通路断面積を確保する必要がある。この態様によれば、洗浄水吐出量の多い第1吐水口を後側の分割領域に設けるため、第1吐水口を前側の分割領域に設けるよりも、通路断面積が大きい通水路の前後寸法を抑えられ、吐水部を小型化し易くなる。よって、良好なリム洗浄能力を得つつ、吐水部全体を小型化し易くできる。
この態様によれば、内周長が長いリム導水路には多くの洗浄水量を流すことができ、そのリム導水路全体に十分量の洗浄水を行き届かせ易くできる。また、内周長が短いリム導水路では少ない洗浄水量を流すことで、そのリム導水路での洗浄水使用量を抑えることができる。このため、リム部の内周面全体に十分量の洗浄水を行き届かせて良好なリム洗浄能力を得つつ、リム部の内周面全体の洗浄に用いられる洗浄水の使用量を抑えやすくできる。
この態様によれば、リム部の前側の左右中心位置を含む内周面領域に小水が当たったとき、この内周面領域に沿って伝わる小水が吐水口から奥側に進入し難くなる。よって、吐水口の奥側に尿成分が残存する可能性を抑えられ、それだけ汚れや臭いの発生を防止できる。
この態様によれば、リム部の前側の左右中心位置の裏側を経由しないようなレイアウトで通水路を配置できる。よって、リム部の前側の左右中心位置の裏側を経由するように通水路を配置するより、一つの吐水口に洗浄水を供給するための通水経路を短くすることができ、一つの吐水口から水勢の強い洗浄水を吐き出せるようになる。この結果、更に良好なリム洗浄能力を得られるようになる。
この態様によれば、一つの吐水口より奥側にて折り返し部分の上流端と下流端とのそれぞれに連なる別々の水路部分が、便鉢部の径方向に並んで形成され難くなる。これにより、吐水口に洗浄水を供給する通水経路の中で最も通路断面積が小さい部位が、一つの吐水口となるような設計をし易くなる。
水洗大便器10は、陶器を素材とする便器本体12を備える。便器本体12は、トイレ室の側壁面100に掛けた状態で取り付けられる壁掛け型便器である。便器本体12の上方には、図示しないが、局部洗浄装置等の温水洗浄用装置を収めたボックスや、ボックスに上下に回動可能に支持される便蓋及び便座が配置される。
便鉢部14は、図1、図3に示すように、平面視にて左右寸法より前後寸法が大きくなるような楕円状に形成される。便鉢部14は、汚物を受けるための受け面部26と、受け面部26の上縁部に接続されるとともに便鉢部14の上縁部を形成するリム部28と、受け面部26の下縁部から下方に窪んで形成される凹部30とを備える。
便器本体12の左右中心線Laとは、平面視において、便器本体12の外面部分の左右寸法Lxを二等分して前後方向に沿って延びる直線をいう。詳しくは、便器本体12の外面部分の左端位置12Lから右端位置12Rまでの左右寸法Lxを二等分する直線が左右中心線Laとなる。また、便鉢部14の前後中心線Lbとは、便鉢部14の各吐水口32A〜32Cを通る水平断面の平面視において、便鉢部14の内面部分の前後寸法Lyを二等分して左右方向に沿って延びる直線をいう。詳しくは、便鉢部14の内面部分の前端位置14Fから後端位置14Rまでの前後寸法Lyを二等分する直線が前後中心線Lbとなる。なお、前述の便鉢部14の中心線Cpとは、左右中心線Laと前後中心線Lbとの交点をいう。
水洗大便器10は、便鉢部14内の汚物を水の落差を用いてトラップ部18内に押し流す、いわゆる洗い落し式の洗浄方式により便鉢部14内を洗浄する。洗浄水の供給を開始するためのスイッチ、レバー等の操作部材の操作により、水洗大便器10の通水部38内には洗浄水供給装置から所定の流量範囲内の洗浄水が供給される。以下、所定の流量範囲内の洗浄水の供給を開始してから終了するまでの動作を一回の洗浄動作として説明する。
初期段階において、便鉢部14内には、第1吐水口32A、第3吐水口32Cのそれぞれから洗浄水が吐き出され、第2吐水口32Bからは洗浄水が吐き出されない。第1吐水口32Aから吐き出される洗浄水は、第1リム導水路34Aに沿って旋回する流れDwaを形成する。また、第3吐水口32Cから吐き出される洗浄水は、第3リム導水路34Cに沿って旋回する流れDwbを形成する。各リム導水路34A、34Cに沿って流れる洗浄水は、各リム導水路34A、34Cの棚部34aから受け面部26に徐々に流れ落ち、受け面部26の下方に向かいながら旋回する流れDwcを形成する。
途中段階において、便鉢部14内には、第1吐水口32A、第3吐水口32Cの他に、第2吐水口32Bからも洗浄水が吐き出される。第1吐水口32A、第3吐水口32Cから吐き出される洗浄水の流れ方は初期段階と同様である。
(1)以上の水洗大便器10によれば、四つの分割領域Sr1〜Sr4のうち、三つの分割領域のそれぞれに個別の吐水口32A〜32Cが形成される。よって、四つの分割領域Sr1〜Sr4のうちの二つの分割領域に個別の吐水口を形成するよりも、各吐水口32A〜32Cそれぞれから旋回流旋回方向Daに隣り合う他の吐水口までのリム部28の内周長を短くできる。仮に、二つの分割領域に個別に吐水口を形成した場合を考える。リム部28の内周面に沿って流れる洗浄水は重力により下方に向けて流れ落ちる。よって、この場合、吐水口から他の吐水口までのリム部28の内周長が長くなることで、吐水口から離れた位置には十分量の洗浄水が届き難くなる。この点、本実施形態によれば、リム部28全体で吐水口から他の吐水口までのリム部28の内周長を短くできるため、リム部28の内周面全体に洗浄水を届かせ易くなり、良好なリム洗浄能力を得られるようになる。
吐水部36は、第1吐水口32Aの洗浄水吐出量が最も多く、第2吐水口32Bの洗浄水吐出量が次に多く、第3吐水口32Cの洗浄水吐出量が最も少なくなるように構成される。つまり、第1吐水口32A、第2吐水口32B及び第3吐水口32Cの順で洗浄水吐出量が少なくなるように構成される。別の観点からいうと、他の二つの第2吐水口32B、第3吐水口32Cより第1吐水口32Aの方が洗浄水吐出量が多くなるように構成される。ここでの洗浄水吐出量とは吐水口を通る単位時間当たりの洗浄水の流量(L/s)をいう。
ここでの内周長とは、リム部28を通る水平断面において、各リム導水路34A〜34Cの始端位置にある各吐水口32A〜32Cから、各リム導水路34A〜34Cの終端位置34Aa〜34Caまでの範囲の内周面の長さをいう。たとえば、第1リム導水路34Aの内周長Lb1は、第1吐水口32Aから第1リム導水路34Aの終端位置34Aaまでの範囲の内周面の長さとなる。
第1吐水口32A〜第3吐水口32Cは、図3に示すように、二つの前側の第2分割領域Sr2、第3分割領域Sr3のうちの旋回流旋回方向Daの下流側にある第3分割領域Sr3と、二つの後側の第1分割領域Sr1、第4分割領域とのそれぞれに個別に形成される。言い換えると、第1吐水口32A〜第3吐水口32Cは、二つの前側の第2分割領域Sr2、第3分割領域Sr3のうちの旋回流旋回方向Daの上流側にある第2分割領域Sr2には形成されない。
水洗大便器10の便座に着座した状態で使用者が小用をする場合、便鉢部14の受け面部26で受けた小水が周囲に飛び散ることがある(方向Df参照)。このとき、リム部28の前側の左右中心位置28aを含む内周面領域に飛び散った小水が当たると、この内周面領域に周方向に沿って小水が伝わることで、第2吐水口32Bから右側通水路38b内にまで進入する可能性がある。
便鉢部14の内周面に沿って流れる洗浄水には径方向外側に向かう遠心力Fcが付与される。この遠心力Fcは洗浄水が流れる箇所の曲率半径が小さくなるほど大きくなり、この遠心力が大きくなるほど、トラップ部18の入口16に向かって流れる水流の水勢が弱まりやすくなる。
図3を参照する。第2吐水口32Bに洗浄水を供給する左側通水路38cは、左側方部分28Lの裏側にて前後方向に沿って延びるように形成される。この左側通水路38cは、リム部28の左側方部分28L、右側方部分28Rのうち、第2吐水口32Bが形成される第3分割領域Sr3がある側の左側方部分28Lの裏側にて形成される。この左側通水路38cは、平面視において、左側方部分28Lの裏側にて前後中心線Lbを跨ぐように形成される。別の観点からは、左側通水路38cは、リム部28の右側方部分28Rの裏側にて前後中心線Lbを跨ぐようには形成されていない。この利点を説明する。
第2吐水口32Bは便鉢部14の径方向に隣り合う内側の立壁部34b(以下、内側立壁部34b(1)ともいう)と外側の立壁部34b(以下、外側立壁部34b(2)ともいう)とにより部分的に形成される。二つの立壁部34bのうち、外側立壁部34b(2)の周方向端部34baと、内側立壁部34b(1)の周方向端部34bbとは、便鉢部14の中心点Cpから延びる仮想線Lc上に並ぶように配置される。ここでの「並ぶ」には、便鉢部14の中心点Cpから見て、二つの立壁部34bが周方向に重なる角度範囲が3°以下となるように並ぶ場合が含まれる。二つの立壁部34bは、便鉢部14の中心点Cpから見て、周方向に重なる角度範囲が3°以下となるように配置されるともいえる。この利点を説明する。
平面視において、左側通水路38cと前後中心線Lbとが重なる位置での左側通水路38cの幅寸法をW1とする。左側通水路38cには、前後中心線Lbより後方に向かうにつれて幅寸法が徐々に大きく幅変化領域38hが形成される。この幅変化領域38hにおいて、幅寸法W1の二倍の幅寸法W2となる位置38iを基準位置38iとしたとき、第3吐水口32Cは、この基準位置38iより後方に形成される。仮に、基準位置38iより前方位置(たとえば、範囲Sd)に第3吐水口32Cが形成される場合、その周囲に第3吐水口32Cに洗浄水を導くための壁部分を確保する必要があるため、その周囲から第2吐水口32Bに向かう通水路が狭くなり易くなる。一方、基準位置38iより後方に第3吐水口32Cが形成されていれば、第3吐水口32Cに洗浄水を導くための壁部分により、第2吐水口32Bに向かう通水路が狭くなり難くなり、第2吐水口32Bに十分量の洗浄水を供給し易くなる。
作用効果(1)を得る観点からは、たとえば、図13(a)に示すように、第1分割領域Sr1に第1吐水口32A、第2分割領域Sr2に第2吐水口32B、第4分割領域Sr4に第3吐水口32Cを形成してもよい。また、図13(b)に示すように、第1分割領域Sr1に第1吐水口32A、第2分割領域Sr2に第2吐水口32B、第3分割領域Sr3に第3吐水口32Cを形成してもよい。また、図13(c)に示すように、第2分割領域Sr2に第1吐水口32A、第3分割領域Sr3に第2吐水口32B、第4分割領域Sr4に第3吐水口32Cを形成してもよい。このように、最も洗浄水吐出量が多い第1吐水口32Aは後側の分割領域ではなく前側の分割領域に形成してもよい。いずれの場合においても、四つの分割領域Sr1〜Sr4のうち、一つの分割領域には吐水口を形成せず、他の三つの分割領域には個別に吐水口を形成するともいえる。
作用効果(2)を得る観点からは、たとえば、図14(a)に示すように、第1分割領域Sr1に第1吐水口32A、第3分割領域Sr3に第2吐水口32Bを形成してもよい。また、図14(b)に示すように、第2分割領域Sr2に第1吐水口32A、第3分割領域Sr3に第2吐水口32Bを形成してもよい。また、この他にも、図14(c)に示すように、第4分割領域Sr4に第3吐水口32Cを更に形成してもよい。
Claims (9)
- 便鉢部と、前記便鉢部内に洗浄水を吐き出すための吐水部と、を有する便器本体を備え、
前記便鉢部は、汚物を受けるための受け面部と、前記受け面部の上縁部に接続されるリム部と、を有し、
前記吐水部は、前記リム部に形成される三つの吐水口を有し、前記三つの吐水口から前記リム部の内周面に沿って周方向の一方側に洗浄水を吐き出し、
前記便鉢部は、平面視において、前記便器本体の外面部分の左右寸法を二等分する左右中心線と、該便鉢部の内面部分の前後寸法を二等分する前後中心線とで区分けされる四つの分割領域を有し、
前記三つの吐水口は、前記四つの分割領域のうち、三つの分割領域のそれぞれに個別に形成されることを特徴とする水洗大便器。 - 前記三つの吐水口には、他の二つの吐水口より洗浄水吐出量が多い第1吐水口が含まれることを特徴とする請求項1に記載の水洗大便器。
- 前記第1吐水口は、前記四つの分割領域のうちの後側の分割領域に設けられることを特徴とする請求項2に記載の水洗大便器。
- 前記四つの分割領域のうち、前記第1吐水口が形成される分割領域に対して前記周方向の一方側に隣接する分割領域には、前記他の二つの吐水口が形成されないことを特徴とする請求項2または3に記載の水洗大便器。
- 前記リム部は、前記三つの吐水口のそれぞれから前記周方向の一方側に延びるように形成される三つのリム導水路を有し、
前記吐水部は、前記三つの吐水口のそれぞれの洗浄水吐出量の大小関係が、該三つの吐水口のそれぞれに連なる前記三つのリム導水路の内周長の大小関係と同じになるように構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水洗大便器。 - 前記吐水部は、前記三つの吐水口のそれぞれの洗浄水吐出量の大小関係と、該三つの吐水口のそれぞれの開口面積の大小関係とが同じとなるように構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水洗大便器。
- 前記三つの吐水口は、二つの前側の前記分割領域のうちの前記周方向の一方側にある分割領域と、二つの後側の前記分割領域とのそれぞれに個別に形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の水洗大便器。
- 前記三つの吐水口のうちの一つの吐水口は、二つの前側の前記分割領域のうちの前記周方向の一方側にある分割領域に形成され、
前記吐水部は、前記一つの吐水口に洗浄水を供給する通水路を有し、
前記通水路は、前記リム部の左右両側の側方部分のうち、前記周方向の一方側の分割領域がある側の側方部分の裏側にて前後方向に沿って延びるように形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の水洗大便器。 - 前記通水路の下流端部には、上流側から供給される洗浄水を折り返して前記一つの吐水口に導くように流す折り返し部分が形成され、
前記一つの吐水口は、前記便鉢部の径方向に隣り合う二つの壁部により部分的に形成され、
前記二つの壁部の周方向端部は、前記便鉢部の中心点から延びる仮想線上に並ぶように配置されることを特徴とする請求項8に記載の水洗大便器。
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