JP2021066697A - ウイルス不活性化剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノロウイルス等のウイルスを簡便な方法で不活性化でき、低温保存安定性に優れるウイルス不活性化剤組成物を提供する。【解決手段】(a)炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれら塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を有効成分として含有し、20℃でのpHが2.5以上6.0以下である、ウイルス不活性化剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ウイルス不活性化剤組成物、及びウイルスの不活性化方法に関する。
インフルエンザや風邪等に代表されるウイルス性の感染症は手指や環境の洗浄が重要な予防法の1つと考えられている。その中でも、ウイルス性の急性胃腸炎や下痢症は介護施設や学校、病院等での集団感染として確認されるだけでなく、レストランや調理施設等においても汚染された食品を介した食中毒による集団感染としても数多く報告されている。これらの原因ウイルスとして、非エンベロープウイルスであるノロウイルスやサポウイルス、ロタウイルス等が挙げられ、小児や高齢者への感染は重篤な症状を引き起こすことがある。また、代表的な小児感染症である手足口病や家畜に甚大な被害をもたらす口蹄疫の原因ウイルスも非エンベロープウイルスに分類され、これらの予防法としても手指や環境の衛生対策は非常に重要である。
特に、ノロウイルスは非細菌性の食中毒および急性胃腸炎の原因ウイルスとして日本国内のみならず、世界中で検出されている。食中毒の原因としては、従来、黄色ブドウ球菌やセレウス菌等の細菌が知られているが、近年、急性胃腸炎を引き起こすノロウイルスによる食中毒が、食中毒発生件数の約25%、患者数では全体の約半分を占め、最も多くなっており、集団感染を引き起こすウイルスとして問題視されている。感染経路は、生カキ等の貝類を食することによる経口感染がよく知られているが、家庭や公共施設等において、汚染食品に触れた人の手指や調理器具上、患者の嘔吐物や糞便中、あるいは患者の周辺環境に存在しているウイルスからの二次感染も数多く報告されている。特にこのような二次感染は、集団感染や感染拡大につながり、患者数の増加の大きな原因となっている。
従来、ウイルスを不活性化するために種々の提案がされている。
特許文献1には、特定の殺ウイルス性の酸をウイルス含有領域に接触させる殺ウイルス方法が開示されている。
特許文献2には、プロトン供与剤及び界面活性剤を含み、緩和性指数、抗菌性残存有効指数及び10分間抗ウイルス残存有効指数がそれぞれ所定範囲にある抗細菌性組成物が開示されている。
特許文献3には、抗菌活性物質と所定鎖長のアルキル鎖を有する陰イオン性界面活性剤混合物とを含む抗菌組成物が開示されている。
特許文献4には、有機酸と所定鎖長のアルキル鎖を有する陰イオン性界面活性剤混合物とを含む抗菌組成物を、処置を必要とする領域に局所適用するステップを含む、ウイルスを不活性化する方法が開示されている。
特許文献5には、エタノールと、酸剤とを含むウイルス不活性化剤であって、前記酸剤は、クエン酸、酒石酸及びリン酸からなる群から選択される少なくとも2種の酸であり、前記ウイルス不活性化剤のpHは、1.0〜6.0であるウイルス不活性化剤が開示されている。
特許文献6には、抗菌活性物質、アニオン性界面活性剤、プロトン供与剤及び水をそれぞれ所定範囲で含み、約3.0〜約6.0のpHに調整され、約1.3より大きい1回洗浄即時細菌減少指数を有し、且つ0.3より大きい穏和性指数を有する抗菌性クレンジング組成物を染み込ませた多孔性シート又は吸収体シートを含み、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、酵母、カビ及びウイルスに対して有効な、抗菌拭き取り用品が開示されている。
特許文献7には、特定の第4級アンモニウム塩を有効成分とし、pHが5〜9の範囲にある非エンベロープ型ウイルスの不活化剤が開示されている。
特許文献8には、基板と、前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、前記表層樹脂層上に配置された有機系抗ウイルス剤と、を有する化粧板が開示されており、前記有機系抗ウイルス剤は、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が記載されている。
特開昭58−135802号公報 特表2003−520809号公報 特表2005−530857号公報 特表2010−505964号公報 特開2018−199635号公報 特表2002−541182号公報 特開2010−53091号公報 特開2017−94544号公報
ノロウイルスによる食中毒や感染を防止するためには、集団給食施設や飲食店等の大量調理施設や厨房スペース等の床面や壁面、食品加工機器、調理器具等、あるいは家庭における床面や壁面、調理器具、家具類、繊維製品等、さらには公共施設等の床面や壁面、設備、医療機器等などの除ウイルスやウイルスの不活性、および手指の洗浄などの衛生対策を実施することが非常に重要であり、それらの対策は、人や環境を配慮し、且つ簡便に実施されることが望ましい。更に、そのための薬剤は、対象とする設備、器具等の周辺にいつでも適用できるように環境の変化にも影響されず効果を呈する状態で常備保管されている必要があるが、特に季節の変化による低温状態にさらされたり薬効の維持のために低温保存する場合、濁りや分離のような状態変化を起こさないことを要求される。
本発明は、ノロウイルス等のウイルスを簡便な方法で不活性化でき、低温保存安定性に優れるウイルス不活性化剤組成物を提供する。
本発明は、(a)炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれら塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を有効成分として含有し、20℃でのpHが2.5以上6.0以下である、ウイルス不活性化剤組成物に関する。
また、本発明は、前記本発明のウイルス不活性化剤組成物を含有する、洗浄剤組成物に関する。
また、本発明は、前記本発明のウイルス不活性化剤組成物を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
また、本発明は、前記本発明のウイルス不活性化剤組成物を、ウイルスに接触させる、ウイルスの不活性化方法に関する。
また、本発明は、前記本発明の洗浄剤組成物を、ウイルスを含む汚れに接触させる、洗浄方法に関する。
本発明によれば、ノロウイルス等のウイルスを簡便な方法で不活性化でき、低温保存安定性に優れるウイルス不活性化剤組成物及びこれを用いたウイルスの不活性化方法が提供される。
<ウイルス不活性化剤組成物>
(a)成分は、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれら塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である。本発明の組成物は、ウイルス不活性化の有効成分として(a)成分を含有する。(a)成分は、1種以上を用いることができる。
(a)成分のアルキル基は、直鎖、分岐鎖の何れでもよい。
(a)成分のアルキル基は、低温保存安定性向上及びウイルス不活性化の観点から、炭素数が、好ましくは10以上、そして、好ましくは14以下である。なお、アルキルベンゼンスルホン酸では、炭素数8以上24以下のアルキル基は、ベンゼン環の水素分子のひとつと置換するアルキル基である。
炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルは、ポリオキシアルキレンとしてポリオキシエチレンを含むものが好ましい。アルキレンオキシド、更にエチレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
(a)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、入手容易性の観点から、ナトリウム塩が好ましい。
(a)成分は、有機物汚れ存在条件下での安定したウイルスの不活性化の観点から、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、(a)成分を、ウイルス不活性化の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、そして、低温保存安定性向上、ウイルス不活性化及び経済性の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.9質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下含有する。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、(b)有機酸及びリン酸から選ばれる酸剤〔以下、(b)成分という〕を含有することが好ましい。(b)成分は、1種以上を用いることができる。
(b)成分は、低温保存安定性向上及びウイルス不活性化の観点から、pKaが、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3.0以上、そして、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.2以下、より更に好ましくは4.0以下である。複数のpKaを持つ化合物は、第1のpKaがこの範囲にあるものが好ましい。
(b)成分は、ウイルス不活性化の観点から、炭素数2以上12以下の有機酸が好ましい。有機酸は、カルボン酸が好ましい。
(b)成分は、ウイルス不活性化の観点から、1価以上5価以下の有機酸が好ましい。
(b)成分は、ウイルス不活性化の観点から、ヒドロキシカルボン酸が好ましい。
尚、本発明の組成物を製造する際は、(b)成分は、酸の形態であっても塩の形態であってもよい。例えば、(b)成分の塩を用いて本発明の組成物を製造してもよい。
(b)成分としては、ウイルス不活性化の観点から、乳酸(pKa=3.8)、リンゴ酸(pKa=3.4)、コハク酸(pKa=4.2)、クエン酸(pKa=3.1)、グリコール酸(pKa=3.8)、マレイン酸(pKa=1.9)、フマル酸(pKa=3.0)、リン酸(pKa=2.1)が挙げられ、好ましくは乳酸、リンゴ酸、コハク酸、及びクエン酸から選ばれる1種以上の有機酸であり、入手容易性の観点から、より好ましくはリンゴ酸である。
本発明のウイルス不活性化剤組成物が(b)成分を含有する場合、(b)成分の含有量と(a)成分の含有量との質量比である、(b)/(a)は、低温保存安定性向上、ウイルス不活性化及び適用時の作業性の観点から、好ましくは0.015以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.05以上、より更に好ましくは0.1以上、そして、好ましくは300以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは60以下、より更に好ましくは20以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは5以下、より更に好ましくは3以下、より更に好ましくは1.5以下である。尚、本発明の(b)成分の質量は酸型化合物に換算した値に基づく。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、(b)成分を、ウイルス不活性化の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.25質量%以上、より更に好ましくは0.4質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.95質量%以下、より更に好ましくは0.9質量%以下含有する。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、水を含有することができる。組成物が液体の場合、水は組成物の残部として用いられてよい。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、(a)成分、任意の(b)成分以外の成分を含有することもできる。例えば、溶剤、無機塩、無機酸、キレート剤、香料(天然香料、合成香料)、増粘剤、ゲル化剤、高分子化合物、保湿剤、保存料、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、緩衝剤などの成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、例えば、液状、ゲル状、又はペースト状で用いることができる。それらの使用形態に応じて、本発明のウイルス不活性化剤組成物、水、アルコール等の可溶化キャリア、ゲル化剤などを適宜含有させることができる。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、水以外の成分の含有量の合計中、低温保存安定性向上及びウイルス不活性化の観点から、(a)成分の含有量の割合が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは75質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、水以外の成分の含有量の合計中、(a)成分の含有量及び(b)成分の含有量の合計の割合が、低温保存安定性向上及びウイルス不活性化の観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、より好ましくは95質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、ウイルス不活性化効果を十分に発現させる観点及び設備等の腐食防止の観点から、ガラス電極法によって測定される20℃でのpHが2.5以上、好ましくは2.8以上、より好ましくは3.0以上、そして、6.0以下、より好ましくは5.5以下、更に好ましくは5.0以下である。尚、本発明のウイルス不活性化剤組成物の20℃でのpHは、本発明のウイルス不活性化剤組成物が水溶液などの液体である場合、そのまま測定した値であり、粉末などの固体である場合には、固形分濃度として2質量%の水溶液又は水分散液とした状態での値が適用される。また、本発明のウイルス不活性化剤組成物は、前記範囲のpHで用いられるものであってよい。すなわち、前記範囲のpHでウイルスに接触させるものであってよい。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、各種ウイルスに対して適用することができる。ウイルスとしては、好適には、非エンベロープ型ウイルス、すなわちエンベロープを持たない一本鎖(+)RNAウイルス、一本鎖(−)RNAウイルス、二本鎖RNAウイルス、一本鎖DNAウイルス、および二本鎖DNAウイルスが挙げられる。斯かるウイルスとしては、カリシウイルス科、ピコルナウイルス科、パルボウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、アデノウイルス科に属するウイルスが挙げられる。本発明の組成物は、上記の中でも、カリシウイルス科ウイルス(一本鎖(+)ウイルス)に対する不活化効果に優れており、カリシウイルス科ウイルスの中でも、ベシウイルス属、ノロウイルス属及びサポウイルス属に属するウイルスに対する不活化効果に優れ、特にベシウイルス属とノロウイルス属に属するウイルスに対する不活化効果に優れている。
本発明のウイルス不活性化剤組成物の効果発現の作用機作は必ずしも明確に解明されたわけではないが、本発明の(a)成分、更に望ましい成分である(b)成分のウイルスへの吸着によりウイルスを形成するタンパク質の構造を変化させることでウイルスを不活性化しているものと考えられる。又、特定の(b)成分は緩衝能を持つことから、ウイルスへの作用環境においてpHの変動をより小さくし安定的に効果発現しているものと考えられる。尚、本発明は以上の作用機作に特に制限されるものではない。
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、(1)身体、例えば人の皮膚、手指、毛髪及び口腔内など、(2)食品、例えば、野菜等の食品素材表面など、(3)硬質物品、(4)繊維製品、例えば、布、糸等の繊維素材及びこれらを用いて製造された製品など、を対象とすることができる。硬質物品としては、例えば、浴室、トイレ、台所、床、ドアノブ、食器、食品加工設備、机、いす、壁、などの硬質表面を硬質物品が挙げられる。これらの硬質物品は、家庭で用いられるものであっても、公共施設や工場、例えばプール、浴場、食堂、病院などで用いられるものであってよい。
<ウイルスの不活性化方法>
本発明は、本発明のウイルス不活性化剤組成物をウイルスに接触させる、ウイルスの不活性化方法を提供する。本発明は、(a)成分をpHが2.5以上6.0以下の条件でウイルスに接触させることで、(a)成分そのものがウイルスの不活性化の有効成分として機能することを見出したものである。本発明のウイルスの不活性化方法は、(a)炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれら塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を、pHが2.5以上6.0以下の条件でウイルスに接触させる、ウイルスの不活性化方法であってよい。ウイルスは、本発明のウイルス不活性化剤組成物で挙げた対象に存在するものであってよい。
本発明のウイルス不活性化剤組成物をウイルスに接触させるに際しての使用形態に特に制限はない。本発明では、(a)成分がpH2.5以上6.0以下でウイルスと接触する条件で本発明のウイルス不活性化剤組成物を用いることが好ましい。
本発明のウイルス不活性化剤組成物が液状の場合には、特にスプレー、ローション等として用いることができる。例えば、トリガースプレー容器(直圧又は蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器等の公知のスプレー容器に充填し、噴霧量を調整して、ウイルスが存在する、又は存在すると考えられる場所に噴霧できるようにしたもの等が挙げられる。
また、ウェット拭取り用品(ぬれナプキン等)として使用することもできる。例えば、天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成繊維、又は天然繊維と合成繊維との混合物の織布又は不織布ウェブを含む基材に、本発明のウイルス不活性化剤組成物、可溶化キャリア、及び必要に応じて各種添加剤を含ませて使用することができる。具体的には、皮膚コンディショナーや、ペットの手入れ用品、家庭の台所やバスルーム、トイレ、便座等の表面、運動器具等の表面のウイルス不活性化に使用することができる。
本発明のウイルス不活性化剤組成物を、水溶性ゲルや油性ゲルを用いてゲル状にしたり、ペースト状とした場合には、医療用品として、人体、ペット等に直接塗布して使用したり、紙や不織布等に担持させたものを、空気清浄器のフィルターとして用いることもできる。
本発明のウイルス不活性化剤組成物の使用量は特に限定されるものではないが、例えば、対象物の単位面積1mあたり、(a)成分の量として、好ましくは0.0001g以上、より好ましくは0.001g以上、そして、好ましくは0.1g以下、より好ましくは0.05g以下とすることができる。
<洗浄剤組成物及び洗浄方法>
本発明のウイルス不活性化剤組成物は、ウイルスを含む汚れを洗浄する際に、洗浄剤に組み込んで用いることができる。
本発明は、本発明のウイルス不活性化剤組成物を含有する、洗浄剤組成物を提供する。
また、本発明は、本発明のウイルス不活性化剤組成物を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。
本発明の洗浄剤組成物、更に硬質表面洗浄剤組成物では、本発明のウイルス不活性化剤組成物以外の成分や組成などは、用途や用法などを考慮して、公知の態様から選択することができる。
本発明により、本発明の洗浄剤組成物、例えば硬質表面用洗浄剤組成物をウイルスを含む汚れに接触させる、洗浄方法が提供される。
本発明の洗浄方法は、本発明のウイルス不活性化剤組成物で述べた対象に適用することができる。
表に示すウイルス不活性化剤組成物を調製し、ノロウイルスの代替ウイルスとしても知られているネコカリシウイルス(カリシウイルス科ベシウイルス属)の不活性化効果を評価した。なお、表中の組成物は、必要に応じて、水酸化ナトリウム又は塩酸によりpHを表中の値に調整した。
ウイルス不活化評価はウイルスの不活性化評価の標準法として一般的に知られている「平成27年度ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書」(国立医薬品食品衛生研究所)とJIS L 1922を参考に行った。
エッペンチューブにて、ウイルス不活性化剤組成物900μLと1.0×10 PFU/mLに調整したネコカリシウイルス液(F-9株、ATCC VR-782)を100μLを入れ、よく混合した。所定時間(30秒、10分)経過後に、クエンチ液(D/E Neutralizing Broth)で1/10希釈して反応を停止した。尚、ブランクとして、ウイルス不活性化剤組成物900μLの代わりに生理食塩水900μLを用い同様の操作を行った。反応停止後、混合物をDMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)でさらに1/10希釈し、その0.5mLを、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗ったCRFK細胞(ネコ腎由来株化細胞)(ATCC CCL-94)に感染させ、1時間後にメチルセルロース含有培地に置換した。2日後に、それぞれの所定時間のサンプルをクリスタルバイオレットで細胞を染色し、プラーク数をカウントして、対数減少量を求めた。
対数減少量=log(ブランクのプラーク数)−log(試験サンプルのプラーク数)
本明細書において対数減少量は、例えば、対数減少量=4の場合、Δ4logと表記する。判定基準は、以下の通りとし、結果を表に示した。
判定基準
◎:適用時間30秒での対数減少量がΔ4logより大きい
〇:適用時間10分での対数減少量がΔ1logより大きい
×:適用時間10分での対数減少量がΔ1Log以下である
また、表のウイルス不活性化剤組成物の低温での保存安定性について、サンプル約7mlをねじフタ付のガラス管(マルエム スクリュー管 No.3)容器内にて−5℃の恒温槽に保存し、7日後に恒温槽から取り出した直後の液の外観を観察した。判定基準は以下とし、結果を表に示した。
判定基準
〇:透明
×:白濁または沈殿
Figure 2021066697
Figure 2021066697
Figure 2021066697
Figure 2021066697
表中の成分は以下のものである。(a’)成分は(a)成分の比較成分である。
・LAS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックス G−15(花王株式会社))
・ES(EO=3):ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エマール 20C(花王株式会社))
・SDS:ラウリル硫酸ナトリウム(エマール 0(花王株式会社))
・MES:α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩(花王株式会社による合成品)
・AG:ラウリルグルコシド(マイドール 12(花王株式会社))
・塩化ベンザルコニウム(サニゾール B−50(花王株式会社))

Claims (12)

  1. (a)炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれら塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を有効成分として含有し、20℃でのpHが2.5以上6.0以下である、ウイルス不活性化剤組成物。
  2. 更に、(b)有機酸及びリン酸から選ばれる酸剤〔以下、(b)成分という〕を含有する、請求項1に記載のウイルス不活性化剤組成物。
  3. (b)成分のpKaが1.8以上5.0以下である、請求項2に記載のウイルス不活性化剤組成物。
  4. (b)成分を0.01質量%以上5.0質量%以下含有する、請求項2又は3に記載のウイルス不活性化剤組成物。
  5. (a)成分を0.01質量%以上5.0質量%以下含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載のウイルス不活性化剤組成物。
  6. ウイルスが非エンベロープ型である、請求項1〜5の何れか1項に記載のウイルス不活性化剤組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のウイルス不活性化剤組成物を含有する、洗浄剤組成物。
  8. 請求項1〜6の何れか1項に記載のウイルス不活性化剤組成物を含有する、硬質表面用洗浄剤組成物。
  9. 請求項1〜6の何れか1項に記載のウイルス不活性化剤組成物を、ウイルスに接触させる、ウイルスの不活性化方法。
  10. (a)炭素数8以上24以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、炭素数8以上24以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、及びこれら塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を、pHが2.5以上6.0以下の条件でウイルスに接触させる、ウイルスの不活性化方法。
  11. 請求項1〜6の何れか1項に記載のウイルス不活性化剤組成物を用いる、請求項10に記載のウイルスの不活性化方法。
  12. 請求項7又は8に記載の洗浄剤組成物を、ウイルスを含む汚れに接触させる、洗浄方法。
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