JP2022015621A - ノロウイルス不活化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】衣類、繊維品、調理器具等に付着したノロウイルスを確実に不活化でき、ノロウイルス感染の拡大を防止又は低減することができる、ノロウイルスの不活化に有効なノロウイルス不活化剤を提供する。【解決手段】エタノール、並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を有効成分とするノロウイルス不活化剤、好ましくは、前記組成物のpHが8以上であり、エタノールの含有量が40~80質量%で、ホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上の含有量が0.02~0.8質量%である、ノロウイルス不活化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ノロウイルス不活化剤に関する。
ノロウイルスは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されているエンベロープ(膜状構造)を持たないRNAウイルスであり、酸性(胃酸)に対して強い抵抗力を有し、少量(10~100個程度)で感染することが知られている。
現状では、ノロウイルスに対するワクチンや治療薬は存在しないことから、ウイルスが付着し得る調理器具、衣服、手指等を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活性化により感染を予防することが重要である。
ノロウイルスは、物理化学的抵抗性が強いため、多くの細菌類に対して有効であるエタノールやカチオン界面活性剤を含む消毒剤等もノロウイルスに対しては一般的な使用法において十分な効果を得られない場合がある。そのため、ノロウイルスの不活化には、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム等)やヨード剤(ポビドンヨード等)、アルデヒド剤(グルタラール等)、過酢酸製剤等が使用されている。しかし、塩素系消毒剤等では繊維の色柄等を漂白する作用があり、繊維製品や衣類への使用においては制限が生じるという問題がある。
ところで、従来、ヒトに感染するヒトノロウイルス(HNV)は、実験室における培養系が確立されていなかったため、ノロウイルスの不活化効果を評価するために、その代替ウイルスとして、同じカリシウイルス科のネコカリシウイルス(FCV)や、マウスノロウイルス(MNV)が用いられていた。しかしながら、FCVは下痢症感染症でなく呼吸器感染症を引き起こすウイルスであり酸やアルカリに弱く、HNVとの違いも多数報告されている。また、MNVはHNVを初めとする他のエンベロープウイルスと比較してアルコールに著しく弱いことが報告されている(非特許文献1)。実際に、非特許文献2では昨今確立されたHNVの培養系において、一部の代替ウイルスにおいて効果があるように思われてきたアルコールはHNVの不活化には不十分であることが報告された。
したがって、実際にHNVに対してその効果を十分に発揮し得る素材を見出すことが求められている。
一方、ホウ素のオキソ酸であるホウ酸やその塩の一つであるホウ砂(硼砂)は、殺菌作用や洗浄作用があるため、医薬品(眼科領域)として使用される他、洗剤や防腐剤などに使われている。
しかしながら、ホウ酸やホウ砂にノロウイルス不活化作用があることは全く知られていない。
特開2015-78479号公報
Cromeans Theresa et al., Appl. Environ. Microbiol. 80.18 (2014): 5743-5751. Costantini, Veronica, et al. "Human norovirus replication in human intestinal enteroids as model to evaluate virus inactivation." Emerging infectious diseases 24.8 (2018): 1453. Seiichi Tobe et al., J. Oleo Sci. 61, (4) 211-216 (2012) 高木弘隆,杉山知良・医学と薬学・第57巻第3号311-312・2007年3月
本発明は、ノロウイルスの不活化に有効なノロウイルス不活化剤を提供することに関する。
本発明者らは、ノロウイルスの不活化には不十分と考えられていたエタノールに、ホウ酸又はその塩を併用することにより、ノロウイルスに対する不活化効果が向上し、エタノールとホウ酸又はその塩の組み合わせがHNVを含めたノロウイルスの不活化のために有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)エタノール、並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を有効成分とするノロウイルス不活化剤。
2)エタノール、並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を含有し、組成物のpHが8以上であるノロウイルス不活化剤。
3)1)のノロウイルス不活化剤をノロウイルス汚染が懸念される対象に接触させる、ノロウイルスの不活化方法。
本発明によれば、衣類、繊維品、調理器具等に付着したノロウイルスを確実に不活化でき、ノロウイルス感染の拡大を防止又は低減することができる。
本発明のノロウイルス不活化剤は、エタノール、並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を有効成分とする。
本発明のノロウイルス不活化剤は、一態様として、エタノール並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を含有する組成物が挙げられる。
ここで、当該組成物のpHは、HNV不活化効果の点から、25℃におけるpHが、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、より好ましくは10以上で、好ましくは13以下、より好ましくは12以下である。また、好ましくは8~13、より好ましくは9~12、より好ましくは10~12である。
pHの調整は、下記アルカリ剤、酸剤及び無機塩等の配合比率を変えることにより行うことができる。
本発明のノロウイルス不活化剤における組成物中のエタノールの含有量は、ノロウイルス不活化効果の点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは78質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。また、好ましくは30~80質量%、より好ましくは35~78質量%、より好ましくは40~75質量%である。
原料エタノールとしては、発酵エタノール、合成エタノール、バイオエタノール、精製エタノール等の通常のものを使用可能であるが、消毒殺菌用途に応じた安全性を担保できる品質のものを採用することが好適である。
本発明において、ホウ酸(boric acid)としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸のいずれでもよいが、好ましくはオルトホウ酸及び四ホウ酸が挙げられる。これらのホウ酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ホウ酸の塩としては、例えば、ホウ酸の無機酸塩、好ましくはホウ酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩)等が挙げられる。ホウ酸又はその塩は、ホウ砂等のように、水和物の形態であってもよい。
ホウ酸塩としては、好ましくは、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン等が挙げられ、より好ましくはホウ酸ナトリウムであり、より好ましくはホウ砂である。なお、ホウ砂(硼砂、Borax)とは、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na.10HO)を意味する。
ホウ酸及びその塩の中でも、好ましくはホウ酸及びホウ砂の少なくとも1種、より好ましくはオルトホウ酸及びホウ砂の少なくとも1種であり、更に好ましくはホウ砂である。
本発明のノロウイルス不活化剤における組成物中のホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上の含有量は、ノロウイルス不活化効果の点から、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。また、0.02~0.8質量%、好ましくは0.03~0.5質量%、より好ましくは0.05~0.4質量%、より好ましくは0.05~0.2質量%である。
好ましい態様として、ホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上の含有量は、エタノールの含有量が40質量%未満である場合は、0.7~0.8質量%が好ましい。
また、エタノールの含有量が40質量%以上50質量%未満である場合は、ホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上の含有量は、0.02~0.4質量%が好ましく、エタノールの含有量が50質量%以上80質量%以下である場合は、ホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上の含有量は、0.02~0.4質量%が好ましく、0.05~0.4質量%がより好ましく、0.05~0.2質量%がより好ましい。
本発明のノロウイルス不活化剤は、さらにアルカリ剤を含むことができる。
アルカリ剤としては、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、リン酸三塩、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)及びアルカリ土類金属の水酸化物(例えば水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ金属カルボン酸塩(例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)等から選ばれる1種以上が挙げられる。このうち、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、リン酸三塩から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
また、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩等が挙げられる。
アルカリ剤として、より具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、このうち、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三カリウム、及びリン酸二水素ナトリウムから選ばれる1種以上が好ましく、より好ましくは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムである。
本発明のノロウイルス不活化剤は、さらに酸剤を含むことができる。
酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸等の有機酸やリン酸、塩酸等の無機酸から選ばれる1種以上が挙げられる。酸剤を含むことで、ウイルス不活性化効果の向上、ウイルス不活性化剤のpH調整が容易となる。
本発明のノロウイルス不活化剤における組成物中の上記酸剤の含有量は、皮膚上での安全性の点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。また、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.03~1質量%、より好ましくは0.05~0.5質量%である。
また、本発明のノロウイルス不活化剤は、各種無機塩を含んでいてもよい。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、ヨウ化ナトリウム等が挙げられる。
また、本発明のノロウイルス不活化剤は、上記の成分以外に、例えば、キレート剤、シリコーン類、増粘剤、油分、天然抽出物、色素、香料等の添加剤を適宜配合することができる。
エタノール並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を含有する組成物は、後述する実施例に示すとおり、ノロウイルス(HNV、FCV)に対して優れたウイルス不活性化効果を示す。したがって、当該組成物はHNVを含むノロウイルスを不活化するためのノロウイルス不活化剤となり得る。そして、当該ノロウイルス不活化剤を、ノロウイルス汚染が懸念される対象に適用することにより、当該対象物に対してノロウイルスの不活化が可能となる。
本発明において、ノロウイルスとは、カリシウイルス科、ノロウイルス属に分類されるエンベロープを持たないRNAウイルスを意味し、HNV(ヒトノロウイルス)、FCV(ネコカリシウイルス)、MNV(マウスノロウイルス)等が包含される。
ノロウイルスは、ゲノム塩基配列の相同性に基づき7つの遺伝子群(genogroup、GI~GVII)に分けられ、ヒトに感染するHNVはGI9種(GI.1、GI.2、GI.3、GI.4、GI.5、GI.6、GI.7、GI.8、GI.9)、GII19種(GII.1、GII.2、GII.3、GII.4、GII.5、GII.6、GII.7、GII.8、GII.9、GII.10、GII.12、GII.13、GII.14、GII.15、GII.16、GII.17、GII.20、GII.21、GII.22)、GIV1種(GIV.1)であるが、本発明におけるHNVは、これらのいずれの遺伝子型のものであっても良い。
なお、本発明において、HNV不活化効果は、ヒト小腸オルガノイド(hSIO)を細胞外マトリクス上で3D培養後、分化誘導して得られる腸管上皮細胞にHNVを感染させた系により評価できる(実施例参照)。
本発明のノロウイルス不活化剤を用いたノロウイルスの不活化は、ノロウイルス汚染が懸念される対象、例えば、台所(厨房の床、壁等の厨房スペース等)、流し台、冷蔵庫等の食品を取り扱う場所、包丁、鍋等の調理器具、皿等の食器類、冷蔵庫、トイレ、バス、洗面所、居室、寝室等の居住空間、ソファー、クッション、寝具、カーテン等の繊維製品等に対して、これらに接触させることにより用いることができる。ここで、接触は、特に限定するものではなく、本発明のノロウイルス不活化剤を対象へ直接かけること、トリガーやエアゾール等の噴霧装置に充填し噴霧することなどが挙げられる。
接触時間は限定されないが、例えば好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上で、好ましくは60分以下放置することが挙げられる。
本発明のノロウイルス不活化剤を接触させるに際しての使用形態に特に制限はない。例えば、液状、ゲル状、又はペースト状とすることができる。
液状の場合には、特にスプレー、ローション等として用いることができる。例えば、トリガースプレー容器(直圧又は蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器等の公知のスプレー容器に充填し、噴霧量を調整して、ウイルスが存在する、又は存在すると考えられる場所に噴霧できるようにしたもの等が挙げられる。
また、ウェット拭取り用品(ぬれナプキン等)として使用することもできる。例えば、天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成繊維、又は天然繊維と合成繊維との混合物の織布又は不織布ウェブを含む基材に、本発明のノロウイルス不活化剤、可溶化キャリア、及び必要に応じて各種添加剤を含ませて使用することができる。具体的には、ペットの手入れ用品、家庭の台所やバスルーム等の表面、運動器具等の表面の殺菌等に使用することができる。また、手洗い液、中性洗剤、消臭剤、皮膚コンディショナー等に加えて使用することもできる。
水溶性ゲルや油性ゲルを用いてゲル状にしたり、ペースト状とした場合には、医療用品として、人体、ペット等に直接塗布して使用したり、紙や不織布等に担持させたものを、空気清浄器のフィルターとして用いることもできる。
さらに、本発明のノロウイルス不活化剤を樹脂に混練して使用することもできる。混練しうる樹脂としては、天然系、石油系、合成系のワックス、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。
上記の混練物は、そのまま用いることもできるし、多孔質担体に担持させたり、シート状にしたり、該シート状物を積層体にして用いることもできる。多孔質担体としては、例えば、セルロース、キトサン等の天然高分子、上記の合成樹脂、ケイ酸カルシウム等の無機多孔性物質等を、粒状、シート状等の任意の形状にしたものが挙げられる。上記の混練物や積層体は、例えば、空調設備、トイレ、浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックス等に設置して、抗ウイルス剤組成物を徐々に揮散させながら利用することもできる。
表1に示す処方に従い、エタノール、ホウ酸又はその塩、及びその他の成分を混合して本発明組成物(実施例1~15)及び比較組成物(比較例1~4)を調製し、以下に示す方法により、HNV及びFCVに対する不活化効果を評価した。結果を表1に併せて示す。表中、溶解性の項は、ホウ酸及びホウ砂の溶解性を示しており、〇:完全に溶解、×:未溶解物が存在、と定義した。
Figure 2022015621000001
<評価法>
1.HNV不活化効果の評価
(1)human Small Intestine Organoid(hSIO)の培養
hSIOは24ウェルプレート上でマトリゲル(Corning, 356231)に包埋し3D培養した。培地はIntestiCult Organoid Growth Medium(Human)(STEMCELL Technologies,ST-06010)を用いた。培地交換・継代・96ウェルプレートを用いた単層化の手技はユーザーマニュアルに従った。トリプシン処理後2日間はアノイキスを阻害するために培地に終濃度10μMとなるようにROCK(Rho-associated coiled-coil forming kinase/Rho結合キナーゼ)阻害剤であるCultureSure Y-27632(富士フィルム和光純薬,036-24023)を添加した。500mLのAdvanced DMEM/F12(Gibco,12634010)に5mLのGlutaMAX I(100×)(Gibco, 35050-061)、5mLの1M HEPES(Gibco,15630080)、5mLのPenicillin-Streptomycin(Gibco,15140122)を添加することで基本培地を作成した。基本培地とIntestiCult Organoid Growth MediumのコンポーネントAとを等量混合することで分化培地を作成した。96ウェルプレートで単層化させた腸管上皮細胞に分化培地を1wellあたり200μLずつ2日間隔で交換しながら計7日間分化を誘導した。
(2)HNV(HuNoV)含有糞便の10%乳剤の作成
糞便の10%乳剤はGII.4型のHNV罹患者糞便から作成した。プロテアーゼ阻害剤であるcOmplete protease inhibitor cocktail tablets(Sigma-Aldrich,11697498001)1錠を50mLのD-PBS(-)に懸濁した。糞便1gに対して10mLのcOmplete含有D-PBS(-)で懸濁し、試験管ミキサーでよく混合した。4℃で20分間静置した後に、2,000×g 4℃で10分間遠心した。上清を新たなチューブに回収し、感染実験に供するまで-80℃に保存した。
(3)HNVの不活化処理と分化hSIOへの感染
HNV含有10%糞便乳剤を分化培地で10倍に希釈し、1mLのシリンジとMillex HV Filter unit (Millipore,SLHVR04NL)を用いて濾過した。PA微量遠心チューブ(Beckman coulter,357448)中で濾過した糞便溶液5μL(2.8×10 HNV genome copy相当)と表1に示す所定の組成物の懸濁液(処理液)45μLとを混合し室温で、30秒間反応させた。次いでこの薬剤処理された糞便溶液に、1mg/mLのbovine serum albumin(Sigma-Aldrich,A9647)を含む基本培地 1.45mLを添加した。遠心チューブを固定角ロータTLA-55(Beckman coulter)にセットしOptima MAX-TL(Beckman coulter)を用いてRmaxにおいて186047×gの遠心力(55,000rpm相当)で1.5時間超遠心した後に上清を除去した。ペレットを100μLの分化培地で懸濁し、hSIOへの感染溶液とした。ウェル中の既存の培地を除去した7日間分化誘導後のhSIOに上述の方法で調製した感染溶液をアプライした。インキュベートは37℃で3時間実施した。300μLの基本培地で3回洗浄した後に、終濃度が125ppmとなるようにブタ胆汁抽出物(Sigma-Aldrich,B8631-100G)を加えた分化培地を250μL添加し37℃ 5%COの条件下でサンプリングのタイミングまで培養した。培養開始直後(day 0)と培養3日後(day 3)に10μLの上清を回収した。回収した上清はRT-qPCRに供するまで-80℃で保存した。尚、薬剤溶液に代わり基本培地を用いて同様の操作を行い調製したhSIOへの感染溶液を薬剤非処理のコントロールとした。
(4)RT-qPCR
回収した上清中のHNV genome copy数の定量にはノロウイルス検出キット G1/G2(東洋紡,FIK-273)を用いた。操作はプロトコールに従った。PCR増幅とデータ測定はLightCycler480II(Roche)を用いた。
測定されたウイルス量に基づき、A:HNVが検出下限にまで不活化されている、B:HNVを検出するがコントロール(薬剤処理無し)よりも減少、C:コントロール(薬剤処理無し)と同等にHNVが増殖している、の3段階で評価した。
2.FCV不活化効果の評価
ウイルスの不活性化評価の標準法として一般的に知られている「平成27年度ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書」(国立医薬品食品衛生研究所)とJIS L 1922を参考に行った。
500μL容サンプルチューブにて、表1に示す所定の組成物の懸濁液(処理液)27μLと1.0×10PFU/mLに調整したネコカリシウイルス液(F-9株、ATCC VR-782)3μLを入れ、よく混合した。30秒経過後に、クエンチ液(D/E Neutralizing Broth)で1/10希釈して反応を停止した。尚、ブランクとして、処理液の代わりにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)27μLを用い同様の操作を行った。反応停止後、混合物をDMEM培地(ダルベッコ改変イーグル培地)でさらに1/10希釈し、その0.5mLを、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗ったCRFK細胞(ネコ腎由来株化細胞)(ATCC CCL-94)に感染させ、1時間後にメチルセルロース含有培地に置換した。2日後に、それぞれの所定時間のサンプルをクリスタルバイオレットで細胞を染色し、プラーク数をカウントして、対数減少量を求めた。
対数減少量=log(ブランクのプラーク数)-log(試験サンプルのプラーク数) 本明細書において対数減少量は、例えば、対数減少量=4の場合、Δ4logと表記する。判定基準は、以下の通りとし、結果を表に示した。
<判定基準>
4:プラークが1点も存在しない(検出下限以下:Δ4logよりも大きい)
3:Δ2~3log
2:Δ1~2log
1:Δ1log未満

Claims (6)

  1. エタノール、並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を有効成分とするノロウイルス不活化剤。
  2. エタノール、並びにホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上を含有し、組成物のpHが8以上であるノロウイルス不活化剤。
  3. エタノールの含有量が40~80質量%で、ホウ酸及びその塩から選ばれる1種以上の含有量が0.02~0.8質量%である、請求項2記載のノロウイルス不活化剤。
  4. ノロウイルスがヒトノロウイルスである、請求項1~3のいずれか1項記載のノロウイルス不活化剤。
  5. ホウ酸の塩がホウ砂である、請求項1~4のいずれか1項記載のノロウイルス不活化剤。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載のノロウイルス不活化剤をノロウイルス汚染が懸念される対象に接触させる、ノロウイルスの不活化方法。
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