JP2021066197A - 表示制御装置、表示制御プログラム及び車載システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車線維持機能に関する情報提示の利便性を向上させることが可能な表示制御装置等を提供する。【解決手段】制御装置は、車両Aに用いられ、ヘッドアップディスプレイによる表示を制御する表示制御の機能を有している。車両Aは、走行中の自車車線Lns内での走行が継続されるように車線維持制御を行う車線維持制御部を備えている。制御装置は、車線維持制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報を取得し、車線維持制御が実行状態にある場合には、車両Aの予想軌跡を示す車線維持支援コンテンツCTltを路面に重畳表示させる。さらに、制御装置は、ドライバの運転操作に関する操作情報を取得し、操作情報の示す運転操作に伴い、車線維持支援コンテンツCTltの様態を変化させる。【選択図】図6
Description
この明細書による開示は、ヘッドアップディスプレイによる表示を制御する表示制御の技術に関する。
例えば特許文献1には、レーン維持制御及びレーン変更制御を行う走行制御装置が記載されている。特許文献1の走行制御装置は、レーン変更を行う場合に、車線変更を開始する位置までのレーン維持案内表示を、自車の前景を撮像したリアル画像に重ねて、メータ又はナビゲーション装置等の表示器に表示させる。
特許文献1におけるレーン維持案内表示は、レーン変更制御の実行を指示するドライバのウィンカー操作が行われると、終了されてしまう。しかし、レーン維持の運転制御を行う車線維持機能は、ドライバの操作が行われたとしても、実行状態を維持するか、又は待機状態に遷移する場合がほとんどであり、完全に停止するわけではない。そのため、上述のレーン維持案内表示は、ドライバの運転操作に伴う車線維持機能の作動状態の変化をドライバに分かり易く提示できていなかった。
本開示は、車線維持機能に関する情報提示の利便性を向上させることが可能な表示制御装置等の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、走行中の走路内での走行が継続されるよう運転制御を行う車線維持機能を備える車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する表示制御装置であって、車線維持機能による運転制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報、及び車両のドライバの運転操作に関する操作情報、を取得する情報取得部(72,73)と、運転制御が実行状態にある場合に、運転制御された車両の予想軌跡を示す予想軌跡コンテンツ(CTlt)を路面に重畳表示させ、操作情報の示す運転操作に伴い予想軌跡コンテンツの様態を変化させる表示制御部(74)と、を備える表示制御装置とされる。
また開示された一つの態様は、走行中の走路内での走行が継続されるよう運転制御を行う車線維持機能を備える車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する表示制御プログラムであって、少なくとも一つの処理部(11)に、車線維持機能にて運転制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報を取得し(S101)、車両のドライバの運転操作に関する操作情報を取得し(S104)、運転制御が実行状態にある場合に、運転制御された車両の予想軌跡を示す予想軌跡コンテンツ(CTlt)を路面に重畳表示させ(S106)、操作情報の示す運転操作に伴い予想軌跡コンテンツの様態を変化させる(S107,S110)、ことを含む処理を実施させる表示制御プログラムとされる。
また開示された一つの態様は、車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する車載システムであって、走行中の走路内での走行が継続されるよう運転制御を行う車線維持制御部(51,53)と、車線維持制御部による運転制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報、及び車両のドライバの運転操作に関する操作情報、を取得する情報取得部(72,73)と、運転制御が実行状態にある場合に、運転制御された車両の予想軌跡を示す予想軌跡コンテンツ(CTlt)を路面に重畳表示させ、操作情報の示す運転操作に伴い予想軌跡コンテンツの様態を変化させる表示制御部(74)と、を備える車載システムとされる。
これらの態様では、車線維持機能による運転制御が実行状態にある場合、操作情報の示すドライバの運転操作に伴い、路面に重畳表示された予想軌跡コンテンツの様態が変化する。故に、予想軌跡コンテンツは、ドライバの運転操作に伴う車線維持機能の作動状態の変化を、ドライバに分かり易く提示し得る。したがって、車線維持機能に関する情報提示の利便性が向上可能になる。
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による表示制御装置の機能は、図1及び図2に示すHCU(Human Machine Interface Control Unit)100によって実現されている。HCU100は、車両Aにおいて用いられるHMI(Human Machine Interface)システム10を、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)20等と共に構成している。HMIシステム10には、操作デバイス26及びDSM(Driver Status Monitor)27等がさらに含まれている。HMIシステム10は、車両Aの乗員(例えばドライバ等)によるユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
本開示の第一実施形態による表示制御装置の機能は、図1及び図2に示すHCU(Human Machine Interface Control Unit)100によって実現されている。HCU100は、車両Aにおいて用いられるHMI(Human Machine Interface)システム10を、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)20等と共に構成している。HMIシステム10には、操作デバイス26及びDSM(Driver Status Monitor)27等がさらに含まれている。HMIシステム10は、車両Aの乗員(例えばドライバ等)によるユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
HMIシステム10は、車両Aに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に通信可能に接続されている。HMIシステム10は、車載ネットワーク1に設けられた複数のノードのうちの一つである。車載ネットワーク1の通信バス99には、周辺監視センサ30、ロケータ40、走行制御ECU(Electronic Control Unit)45、ボディECU48、運転支援ECU50及び自動運転ECU52等がノードとして接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。
周辺監視センサ30は、車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、道路標識、走行区画線等の路面表示、及び道路脇にある構造物等の静止物体、を検出可能である。周辺監視センサ30は、車両Aの周囲の物体を検出した検出情報を、運転支援ECU50等に提供する。
周辺監視センサ30は、物体検出のための検出構成として、フロントカメラ31を有している。フロントカメラ31は、車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、及び撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。周辺監視センサ30は、フロントカメラ31と共に、ミリ波レーダ、ライダ及びソナー等の検出構成を有していてもよい。
ロケータ40は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、車両Aの高精度な自車の位置情報等を生成する。ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器41、慣性センサ42、高精度地図データベース(以下、「高精度地図DB」)43、及びロケータECU44を含む構成である。
GNSS受信器41は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。慣性センサ42は、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを含んでいる。高精度地図DB43は、不揮発性メモリを主体に構成されており、通常のナビゲーションに用いられるよりも高精度な地図データ(以下、「高精度地図データ」)を記憶している。高精度地図データは、高度運転支援及び自動運転に利用可能な地図データである。
ロケータECU44は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成である。ロケータECU44は、GNSS受信器41で受信する測位信号、慣性センサ42の計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、車両Aの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータECU44は、測位結果に基づく車両Aの位置情報及び方角情報を、通信バス99を通じて、HCU100、運転支援ECU50及び自動運転ECU52等に提供する。
ボディECU48は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。ボディECU48は、ボディ系の統合ECUの機能を有しており、車両Aに搭載された灯火装置の作動を制御する。ボディECU48は、方向指示スイッチ49と電気的に接続されている。方向指示スイッチ49は、ステアリングコラム部8等に設けられたレバー状の操作部である。ボディECU48は、方向指示スイッチ49へ入力されるユーザ操作(オン操作)の検知に基づき、操作方向に対応した左右いずれかの方向指示器の点滅を開始させる。加えてボディECU48は、方向指示スイッチ49への入力を示す操作情報を、運転支援ECU50及び自動運転ECU52に逐次提供する。
走行制御ECU45は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU45は、ブレーキ制御ECU及び駆動制御ECUの機能を少なくとも有しており、各輪に発生させるブレーキ力の制御と、内燃機関又はモータジェネレータの出力制御とを実施する。走行制御ECU45は、各輪のハブ部分に設けられた車輪速センサの検出信号に基づき、車両Aの現在の走行速度を示す車速情報を生成し、通信バス99に逐次出力する。また走行制御ECU45は、車両Aに発生する制動トルク及び駆動トルクを示すトルク情報を、通信バス99に逐次出力する。
加えて走行制御ECU45は、アクセルペダルセンサ46及びステアセンサ47と接続されている。アクセルペダルセンサ46は、アクセルペダルの踏み込み量DA(図5参照)を検出する。ステアセンサ47は、ドライバの操舵操作に関連する値として、ステアリングホイールに入力される操舵トルクTq(図4参照)を検出する。走行制御ECU45は、アクセルペダルの踏み込み量DA及び操舵トルクTqを、ドライバの操作情報として、運転支援ECU50及び自動運転ECU52に逐次提供する。
運転支援ECU50及び自動運転ECU52は、それぞれプロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。運転支援ECU50及び自動運転ECU52は、HCU100等と共に、車両側にて必要とされる演算の大部分を処理する車載システム110を構築している。
運転支援ECU50は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を備えている。自動運転ECU52は、ドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能を備えている。一例として、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、運転支援ECU50は、レベル2以下の部分的な自動走行制御(高度運転支援)を可能にする。一方、自動運転ECU52は、レベル3以上の自動走行制御を可能にする。
運転支援ECU50及び自動運転ECU52は、それぞれ周辺監視センサ30から取得する検出情報に基づき、後述の運転制御のため、車両Aの周囲の走行環境を認識する。各ECU50,52は、走行環境認識のために実施した検出情報の解析結果を、解析済みの検出情報として、HCU100に提供する。一例として、各ECU50,52は、車両Aが現在走行する車線(以下、「自車車線Lns」,図6参照)の左右の区画線又は道路端の相対位置及び形状を示す情報を、HCU100に提供可能である。
尚、本実施形態における前後及び左右の各方向は、水平面上に静止させた車両Aを基準として規定される。具体的に、前後方向は、車両Aの長手方向に沿って規定される。また左右方向は、車両Aの幅方向に沿って規定される。
運転支援ECU50は、プロセッサによるプログラムの実行により、高度運転支援を実現する複数の機能部を有する。具体的に、運転支援ECU50は、ACC(Adaptive Cruise Control)制御部及び車線維持制御部51を有する。ACC制御部は、目標車速で車両Aを定速走行させるか、又は前走車との車間距離を維持しつつ車両Aを前走車に追従走行させるACCの機能を実現する機能部である。
車線維持制御部51は、LTA(Lane Tracing Assist)又はLTC(Lane Trace Control)との機能を実現する機能部である。車線維持制御部51は、走行環境認識によってフロントカメラ31の撮像データから抽出される区画線又は道路端の位置及び形状情報に基づき、車両Aの操舵輪の舵角を制御する。車線維持制御部51は、走行中の走路である自車車線Lns内での走行が継続されるよう、当該自車車線Lnsに沿う形状の予定走行ラインを生成する。車線維持制御部51は、ACC制御部と連携し、予定走行ラインに従い、自車車線Lnsの概ね中央に車両Aを位置させる運転制御(以下、「車線維持制御」)を行う。
自動運転ECU52は、プロセッサによるプログラムの実行により、車両Aの自律走行を実現する複数の機能部を有する。自動運転ECU52は、ロケータ40より取得する高精度地図データ及び自車位置情報と、周辺監視センサ30より取得する検出情報とに基づき、予定走行ラインを生成する。自動運転ECU52は、予定走行ラインに沿って車両Aが走行するように、加減速制御及び操舵制御等を実行する。
以上の自動運転ECU52にて、運転支援ECU50の車線維持制御部51と実質的に同一の車線維持制御、即ち、自車車線Lns内での走行が継続されるよう車両Aの運転制御を行う機能部を、便宜的に車線維持制御部53とする。車両Aのドライバは、車線維持制御部51,53のうちの一方を排他的に利用可能である。
車線維持制御部51,53は、車線維持制御の作動状態を、オフ状態、待機状態、及び実行状態のうちで切り替える。オフ状態は、車線維持制御部51,53が起動されていない状態である。待機状態は、車線維持制御部51,53が起動されているものの、車線維持制御を実施していない状態である。実行状態は、両側の区間線を認識できている等の実行条件の成立に基づき、車線維持制御がアクティブとなり、走路内走行が実施されている状態である。
車線維持制御部51,53は、車線維持制御が実行状態にある場合、ステアリングホイール、アクセルペダル及び方向指示スイッチ49等への運転操作の入力により、車線維持制御を待機状態に遷移させる。この場合、車両Aの操舵制御に関わる運転操作の権限は、運転支援ECU50又は自動運転ECU52から、ドライバに移譲される。ドライバが自らの判断によって運転操作の制御権を取得することを、以下、「オーバーライド」という。
車線維持制御部51,53は、車線維持制御が待機状態又は実行状態にある場合、車線維持制御に関連する制御情報を、HCU100に逐次提供する。制御情報には、車線維持制御の作動状態を示すステータス情報、予定走行ラインの形状を規定するライン形状情報、ドライバの運転操作に関する操作情報が少なくとも含まれている。ステータス情報は、車線維持制御の作動状態を示す情報であり、具体的には、車線維持制御が実行状態にあるか否かを示す情報である。ライン形状情報は、主要な地点の座標情報、地点間の距離及び曲率半径等を含むことにより、取得側にて予定走行ラインの形状を再現可能な情報とされている。操作情報は、ドライバによる運転操作のうちで、オーバーライドに関連する運転操作の有無と、その操作量とを示す情報である。具体的に、方向指示スイッチ49の操作の有無を示す情報、操舵トルクTq、及びアクセルペダルの踏み込み量DA等が、操作情報として出力される。
次に、HMIシステム10に含まれる操作デバイス26、DSM27、HUD20及びHCU100の各詳細を順に説明する。
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば運転支援機能又は自動運転機能等に関連するユーザ操作が入力される。具体的には、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部8に設けられた操作レバー、及びドライバの発話を検出する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
DSM27は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。DSM27は、運転席のヘッドレスト部分に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部8の上面又はインスツルメントパネル9の上面等に設置されている。DSM27は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、アイポイントEPの位置及び視線方向等の情報を撮像画像から抽出し、抽出した状態情報をHCU100へ向けて逐次出力する。
HUD20は、HCU100と電気的に接続されており、HCU100によって生成された映像データを逐次取得する。HUD20は、映像データに基づき、例えば運転支援機能又は自動運転機能等、車載機能に関連する種々の情報を、虚像Viを用いてドライバに提示する。
HUD20は、ウィンドシールドWSの下方にて、インスツルメントパネル9内の収容空間に収容されている。HUD20は、虚像Viとして結像される光を、ウィンドシールドWSの投影範囲PAへ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、投影範囲PAにおいて運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、投影範囲PAを通して見える前景に、虚像Viが重畳された表示を視認する。
HUD20は、プロジェクタ21及び拡大光学系22を備えている。プロジェクタ21は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル及びバックライトを有している。プロジェクタ21は、LCDパネルの表示面を拡大光学系22へ向けた姿勢にて、HUD20の筐体に固定されている。プロジェクタ21は、映像データの各フレーム画像をLCDパネルの表示面に表示し、当該表示面をバックライトによって透過照明することで、虚像Viとして結像される光を拡大光学系22へ向けて射出する。拡大光学系22は、凹面鏡等の光学素子を、少なくとも一つ含む構成である。拡大光学系22は、プロジェクタ21から射出された光を反射によって広げつつ、上方の投影範囲PAに投影する。
HUD20には、画角VAが設定される。HUD20にて虚像Viを結像可能な空間中の仮想範囲を結像面ISとすると、画角VAは、ドライバのアイポイントEPと結像面ISの外縁とを結ぶ仮想線に基づき規定される視野角である。画角VAは、アイポイントEPから見て、ドライバが虚像Viを視認できる角度範囲となる。HUD20では、垂直方向における垂直画角(例えば4〜5°程度)よりも、水平方向における水平画角(例えば10〜12°程度)の方が大きくされている。アイポイントEPから見たとき、結像面ISと重なる前方範囲が画角VA内の範囲となる。
HUD20は、重畳コンテンツCTs(図6及び図7参照)及び非重畳コンテンツを、虚像Viとして表示する。重畳コンテンツCTsは、拡張現実(Augmented Reality,以下「AR」)表示に用いられるAR表示物である。重畳コンテンツCTsの表示位置は、例えば路面の特定位置、前方車両、歩行者及び道路標識等、前景に存在する特定の重畳対象に関連付けられている。重畳コンテンツCTsは、前景中にある特定の重畳対象(例えば自車車線Lnsの路面,図6参照)に重畳表示され、当該重畳対象に相対固定されているように、重畳対象を追って、ドライバの見た目上で移動可能である。即ち、ドライバのアイポイントEPと、前景中の重畳対象と、重畳コンテンツCTsとの相対的な位置関係は、継続的に維持される。そのため、重畳コンテンツCTsの形状は、重畳対象の相対位置及び形状に合わせて、所定の周期で更新され続ける。重畳コンテンツCTsは、非重畳コンテンツよりも水平に近い姿勢で表示され、例えばドライバから見た奥行き方向に延伸した表示形状とされる。
非重畳コンテンツは、前景に重畳表示される表示物のうちで、重畳コンテンツCTsを除いた非AR表示物である。非重畳コンテンツの表示位置は、投影範囲PA(画角VA)内の特定位置とされる。故に、非重畳コンテンツは、ウィンドシールドWS等の車両構成に相対固定されているように表示される。
HCU100は、HMIシステム10において、メータディスプレイ及びHUD20等の車載表示デバイスによる表示を統合的に制御する電子制御装置である。HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部11は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。RAM12は、映像生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、本開示の表示制御方法を実現するための種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(表示制御プログラム等)が格納されている。
図1〜図3に示すHCU100は、記憶部13に記憶された表示制御プログラムを処理部11によって実行することで、HUD20によるコンテンツの重畳表示を制御する複数の機能部を有する。具体的に、HCU100には、視点位置特定部71、制御情報取得部72、ロケータ情報取得部73及び表示生成部74等の機能部が構築される。
視点位置特定部71は、DSM27から取得する状態情報に基づき、運転席に着座しているドライバのアイポイントEPの位置を特定する。視点位置特定部71は、アイポイントEPの位置を示す三次元の座標(以下、「アイポイント座標」)を生成し、生成したアイポイント座標を、表示生成部74に逐次提供する。
制御情報取得部72は、車両Aの制御状態を示す情報を、主に通信バス99を通じて取得する。具体的に、制御情報取得部72は、各ECU50,52より出力される区画線又は道路端の検出情報を取得する。また制御情報取得部72は、各車線維持制御部51,53より出力されるステータス情報、ライン形状情報及び操作情報を取得する。加えて制御情報取得部72は、走行制御ECU45より出力される車速情報及びトルク情報を取得する。さらに、制御情報取得部72は、車両Aの姿勢を示す情報として、ハイトセンサの出力に基づくハイト情報を取得する。
ロケータ情報取得部73は、車両Aについての最新の位置情報及び方角情報を、自車位置情報としてロケータECU44から取得する。加えてロケータ情報取得部73は、車両Aの周辺範囲の高精度地図データを、ロケータECU44から取得する。ロケータ情報取得部73は、高精度地図データが未整備の道路範囲にて、経路案内に用いられるナビゲーション用の地図データ(以下、「ナビ地図データ」)を、高精度地図データの代替地図データとして取得する。ナビ地図データは、例えば車両Aに搭載されたナビゲーション装置、又はHMIシステム10に接続されたユーザ端末等により、ロケータ情報取得部73に提供される。ロケータ情報取得部73は、高精度地図データ又はナビ地図データを参照し、車線維持制御が行われる前方走路のカーブ曲率CV(図5参照)を取得する。
表示生成部74は、HUD20に逐次出力される映像データを生成することで、HUD20によるドライバへの情報提示を制御する。表示生成部74は、虚像Viとして表示される各コンテンツの元画像を、HUD20へ向けて出力する映像データの個々のフレーム画像に描画する。
表示生成部74は、重畳コンテンツCTs(図6及び図7参照)の元画像をフレーム画像に描画する場合、3Dモデルを構築する。3Dモデルの構築には、制御情報取得部72及びロケータ情報取得部73にて取得される重畳対象、例えば前方路面や区画線等の位置情報及び形状情報等が用いられる。表示生成部74は、構築した3Dモデルを、自車位置を基準として、仮想空間に配置する。3Dモデルの配置には、ロケータ情報取得部73にて取得される自車位置情報が用いられる。
表示生成部74は、3Dモデルを配置した仮想空間に、仮想のカメラ位置及び仮想の拡大光学系22(又は結像面IS)の位置を設定する。表示生成部74は、視点変換処理により、仮想のカメラ位置から見た3Dモデルの形状を演算する。仮想のカメラ位置は、ドライバのアイポイントEPの位置に対応しており、視点位置特定部71にて取得されるアイポイント座標に基づき補正される。さらに、仮想のカメラ位置及び光学系位置は、制御情報取得部72にて取得されるハイト情報及びトルク情報に基づき、車両Aの姿勢変化を反映した位置にそれぞれ補正される。
表示生成部74は、仮想のカメラ位置から見た3Dモデルの形状に従い、元画像の基準データを描画する。表示生成部74は、拡大光学系22及びウィンドシールドWSでの反射に伴う光像の歪みが相殺されるように、元画像の基準データに、予め規定された変形を付与する。表示生成部74は、歪み補正の適用された元画像を各フレーム画像に含んでなる映像データを生成する。表示生成部74は、生成した映像データを、予め規定された映像フォーマットで、プロジェクタ21へ向けて連続的に出力する。
表示生成部74は、重畳コンテンツCTsの一つとして、LTAコンテンツCTltを表示させる。以下、図6及び図7に基づき、図3〜図5を参照しつつ、LTAコンテンツCTltの詳細を説明する。
LTAコンテンツCTltは、車線維持制御部51,53にて車線維持制御が実行状態にある場合に、当該車線維持制御によって自車車線Lns内を走行する車両Aの予想軌跡を示す重畳コンテンツCTsとして表示される。表示生成部74は、路面に貼り付いたような様態での表示により、LTAコンテンツCTltを仮想の道路ペイントのようにドライバに視認させる。表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得される区画線又は道路端の検出情報に基づき、車両Aの走行に合わせて、アイポイントEP(図2参照)から見える路面形状に適合するように、所定の更新周期で、LTAコンテンツCTltの描画形状を更新する。
LTAコンテンツCTltは、前方走路等の路面に重畳表示される一対のAR表示物を含んだ2本線状を呈している。各AR表示物は、自車車線Lnsに沿って細帯状に延伸する形状であり、自車車線Lnsの路面のうちで、左右の各区画線の近傍に重畳表示される。一例として、各AR表示物は、各区画線よりも僅かに内側(自車車線Lnsの中央側)に重畳される。各AR表示物は、各区画線に重なるように重畳されてもよく、又は各区画線の僅かに外側に重畳されてもよい。
表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得される操作情報及びステータス情報等に基づき、LTAコンテンツCTltの様態を変化させる。上述したように、車線維持制御部51,53にて実施される車線維持制御は、ドライバによるオーバーライドを可能にするため、ドライバの運転操作に伴い、実行状態から待機状態へと遷移する。又は、車線維持制御による走行継続が困難な場合にも、車線維持制御部51,53は、車線維持制御を待機状態へと遷移させる。表示生成部74は、こうした車線維持制御の作動状態の遷移をドライバに分かり易く提示するため、ドライバの運転操作に伴い、LTAコンテンツCTltの様態を変化させる。
具体的に、表示生成部74は、ドライバによる操舵操作、アクセル操作及び方向指示スイッチ49のオン操作(以下、「ウィンカー操作」)等に基づき、車線維持制御の作動状態を示すようにLTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度を変化させる。さらに、表示生成部74は、ドライバの入力する運転操作の操作量に基づき、操作量が多くなるほど、LTAコンテンツCTltの様態変化量を多くする。そのため、LTAコンテンツCTltは、操作量が多くなるほど低くなり、操作量が多くなるほど高くなる。
まず、操舵操作に伴うLTAコンテンツCTltの様態変化について詳記する。
表示生成部74は、操舵トルクTqに対して、2つの閾値Tq1,Tq2を規定している(図4参照)。第1閾値Tq1は、ステアリング系統に設けられた「あそび」を想定した閾値である。操舵トルクTqが第1閾値Tq1以下である場合、車両Aに横方向の移動が生じない。操舵トルクTqが第1閾値Tq1以下である場合、車線維持制御部51,53は、ステアリングホイールが正しく把持されていると推定し、車線維持機能の実行状態を維持する。
一方、第2閾値Tq2は、システムからドライバへの制御権の移譲が発生する操舵トルクTqである。車線維持制御部51,53は、操舵トルクTqが第2閾値Tq2以下であれば、車線維持制御の実行状態を維持する。反対に、操舵トルクTqが第2閾値Tq2を超えると、車線維持制御部51,53は、車線維持制御を待機状態に遷移させる。
表示生成部74は、操舵トルクTqが第1閾値Tq1以下である場合、LTAコンテンツCTltを基準となる通常の様態で表示させる(図6 上段参照)。表示生成部74は、通常の様態におけるLTAコンテンツCTltの輝度を、基準輝度LuR(図4参照)とする。基準輝度LuRは、ドライバによって調整可能な値であってもよく、又は車両Aの周囲の外光量に応じて自動調整されてもよい。
表示生成部74は、操舵トルクTqが第1閾値Tq1を超える場合、操舵トルクTqが大きくなるほど、LTAコンテンツCTltの様態の変化量を多くする。具体的に、表示生成部74は、操舵トルクTqの増加に従い、コンテンツ輝度を基準輝度LuRから漸減させ、LTAコンテンツCTltを徐々に薄い表示に遷移させる(図6 中段参照)。また表示生成部74は、ドライバの操舵操作が終了した場合、操舵トルクTqが第2閾値Tq2以下に留まっていれば、LTAコンテンツCTltの様態を通常状態に戻していく。具体的に、表示生成部74は、操舵トルクTqの減少に従い、コンテンツ輝度を基準輝度LuRに近づくように上昇させていく。こうした操舵トルクTqとコンテンツ輝度との相関は、線形であってもよく(図4 実線参照)、又は非線形であってもよい(図4 破線参照)。
さらに、表示生成部74は、操舵トルクTqが第2閾値Tq2を超える場合、又はステータス情報が待機状態を示す内容に変化した場合、LTAコンテンツCTltを非表示とする(図6 下段参照)。
ここで、車線維持制御部51,53は、第2閾値Tq2を超えていた操舵トルクTqが再び第2閾値Tq2以下まで減少すると、車線維持制御を実行状態に遷移させる処理を開始する。一例として、車線維持制御部51,53は、操舵トルクTqが第2閾値Tq2以下となった後、操舵制御を再開し、車両Aの挙動が安定したタイミングで、車線維持制御の作動状態を実行状態とする。操舵制御の再開から車両挙動の安定化までの時間は、例えば数秒(5秒)程度である。
表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得されるステータス情報に基づき、車線維持制御の実行状態への遷移を把握する。そして、表示生成部74は、車線維持制御が実行状態に遷移したタイミングで、操舵トルクTqに対応するコンテンツ輝度にて、LTAコンテンツCTltを再表示させる(図6 中段又は上段参照)。即ち、表示生成部74は、ドライバの操舵操作が終了した場合、非表示としたLTAコンテンツCTltの様態を、元の表示状態に戻すことができる。上述したように、車線維持制御の実行状態への復帰には数秒程度の時間を要するため、LTAコンテンツCTltの再表示は、操舵トルクTqが第2閾値Tq2以下となったときから、所定の時間が経過したときとなる。
次に、アクセル操作に伴うLTAコンテンツCTltの様態変化について詳記する。
表示生成部74は、アクセル操作に関連し、車速SP及び前方走路のカーブ曲率CVと比較する2つの境界Bd1,Bd2を規定している(図5参照)。これらの境界Bd1,Bd2は、車速SP及びカーブ曲率CVに替えて、アクセルペダルの踏み込み量DA及びカーブ曲率CVと比較される相関線であってもよい。また各境界Bd1,Bd2は、車速SP及びカーブ曲率CVに対し直線状に規定されなくてもよく、曲線状に規定されてもよい。
表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得される車速SPと、ロケータ情報取得部73にて取得されるカーブ曲率CVとを参照し、車速SP及びカーブ曲率CVを用いてLTAコンテンツCTltの様態を決定する。表示生成部74は、現在の車速SP及びカーブ曲率CVに相当する現状ポイントと、各境界Bd1,Bd2との位置関係を把握する。第2境界Bd2は、車線維持制御の作動限界を想定した相関線であり、カーブ曲率CVに対して所定の限界速度を規定している。故に、現状ポイントが第2境界Bd2よりも原点側であれば、車線維持制御部51,53は、車線維持制御の実行状態を維持できる。対して、現状ポイントが第2境界Bd2よりも原点の反対側(以下、「限界側」)となると、車線維持制御は待機状態となる。
表示生成部74は、現状ポイントが第1境界Bd1よりも原点側である場合、LTAコンテンツCTltを通常の様態で表示させる(図6 上段参照)。表示生成部74は、現状ポイントが第1境界Bd1よりも第2境界Bd2側に位置する場合、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度を低下させる。表示生成部74は、現状ポイントが第1境界Bd1から離れるに従って、コンテンツ輝度を基準輝度LuRから漸減させ、LTAコンテンツCTltを徐々に薄い表示に遷移させる(図6 中段参照)。
また表示生成部74は、ドライバのアクセル操作が終了した場合、現状ポイントが第2境界Bd2を限界側に超えていなければ、LTAコンテンツCTltの様態を通常状態に戻していく。表示生成部74は、現状ポイントが第1境界Bd1に接近するに従い、コンテンツ輝度を基準輝度LuRに近づくように上昇させていく。
さらに、現状ポイントが第2境界Bd2の限界側となると、車線維持制御部51,53は、作動限界となり、車線維持制御を待機状態に遷移させる。この場合、表示生成部74は、現状ポイントが第2境界Bd2の限界側に移動したこと、又はステータス情報が待機状態を示す内容に変化したことに基づき、LTAコンテンツCTltを非表示とする(図6 下段参照)。
また車線維持制御部51,53は、車速SPの低下又はカーブ曲率CVの減少に伴い、現状ポイントが第2境界Bd2の原点側に移動すると、車線維持制御を実行状態に遷移させる処理を開始する。このとき、表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得されるステータス情報に基づき、車線維持制御の実行状態への遷移を把握する。そして、表示生成部74は、車線維持制御が実行状態に遷移したタイミングで、現状ポイントに対応するコンテンツ輝度にて、LTAコンテンツCTltを再表示させる(図6 中段又は上段参照)。この場合でも、LTAコンテンツCTltの再表示タイミング、即ち、LTAコンテンツCTltの様態が戻されるタイミングは、第2境界Bd2の原点側に現状ポイントが移動したときから、所定の時間(例えば、5秒程度)が経過したときとなる。
次に、ウィンカー操作に伴うLTAコンテンツCTltの様態変化について詳記する。
車線維持制御部51,53は、ウィンカー操作が入力された場合、ドライバによる車線変更の実施を想定し、車線維持制御を待機状態に遷移させる。故に、自車車線Lnsから移動先となる隣接車線Lndへ車両Aを向かわせるための操舵操作は、車線維持制御によるシステム側からの操舵介入に妨げられなくなる。
表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得される操作情報に基づき、方向指示スイッチ49へのオン操作の入力を把握する(図7 P1参照)。表示生成部74は、方向指示スイッチ49のオン操作に基づき、LTAコンテンツCTltを、通常の様態(図7 〜P1の表示参照)から、待機コンテンツCTlw(図7 P1〜P2の表示参照)に切り替える。待機コンテンツCTlwは、コンテンツ輝度を基準輝度LuRに対して低下させた様態のLTAコンテンツCTltである。
表示生成部74は、区画線又は道路端の位置情報とライン形状情報等とに基づき、自車車線Lns及び隣接車線Lnd間の区画線Lirと、自車(車両A)との位置関係を把握する。表示生成部74は、車両Aが区画線Lirを跨ぎ始めるタイミング(図7 P2参照)、又は車両Aの中心が区画線Lir上に位置するタイミング(図7 P3参照)にて、待機コンテンツCTlwを移動させる。具体的に、表示生成部74は、待機コンテンツCTlwの重畳対象を、自車車線Lnsの路面から、隣接車線Lndの路面へと変更する。その結果、画角VA内での待機コンテンツCTlwの瞬間的な移動が生じる(図7 P2又はP3の表示参照)。
車両Aが区画線Lirを跨ぎ終えて、車線変更が完了するタイミングで、方向指示スイッチ49は、操舵操作の終了に伴ってオフ状態となる(図7 P4参照)。このとき、車線維持制御部51,53は、車線維持制御を待機状態から実行状態に復帰させる。車線維持制御部51,53による制御の再開後、車両挙動の安定化したタイミングで、車線維持制御は、実行状態となる(図7 P5参照)。方向指示スイッチ49がオフ状態となってから、車線維持制御が実行状態となるまでには、上述したように数秒程度の所定の待機時間が必要とされる。
表示生成部74は、手動での車線変更に関連するウィンカー操作又は操舵操作が終了した場合、待機コンテンツCTlwとしていたLTAコンテンツCTltの様態(図7 P4の表示参照)を、通常の様態に戻す。表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得されるステータス情報に基づき、車線維持制御が実行状態に遷移したタイミングで、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度を基準輝度LuRに切り替える(図7 P5〜の表示参照)。
以上のような情報提示を実現する表示制御方法の詳細を、図8に示すフローチャートに基づき、図1及び図3〜図7を参照しつつ、以下説明する。図8に示す表示制御処理は、例えば車両電源のオン状態への切り替えにより、起動処理等を終えたHCU100により、繰り返し開始される。
S101では、制御情報取得部72によるステータス情報の取得を開始し、S102に進む。S102では、車線維持制御部51,53のいずれかにて車線維持制御がオン状態にあるか否かを判定し、車線維持制御の起動を待機する。一例として、ステータス情報の取得が可能な場合、S102では、車線維持制御がオン状態にあると判定する。S102にて、車線維持制御がオン状態であると判定すると、S103に進む。
S103では、車線維持制御部51,53のいずれかにて、車線維持制御が実行状態にあるか否かを判定する。車線維持制御が待機状態である場合、S103の判定が繰り返される。一方で、S103にて、車線維持制御が実行状態にあると判定した場合、S104に進む。
S104では、制御情報取得部72にてドライバの操作情報を取得し、S105に進む。S105では、S104にて取得した操作情報に基づき、オーバーライドに関連する所定の運転操作の有無を判定する。S105にて、所定の運転操作がないと判定した場合、S106に進む。操舵トルクTqが第1閾値Tq1未満であり、且つ、車速SP及びカーブ曲率CVより特定される現状ポイントが第1境界Bd1に対して原点側に位置する場合、S105では、所定の運転操作がないと判定する。S106では、基準となる通常の様態でLTAコンテンツCTltを表示させ、S108に進む。
一方、S105にて、所定の運転操作があると判定した場合、S107に進む。操舵トルクTqが第1閾値Tq1以上である場合、又は車速SP及びカーブ曲率CVより特定される現状ポイントが第1境界Bd1よりもオーバーライド側である場合、S105では、所定の運転操作があると判定する。S107では、運転操作に対応するコンテンツ輝度にて、LTAコンテンツCTltを低輝度表示させ、S108に進む。
S108では、車線維持制御の実行状態が継続されているか否かを判定する。S108にて、車線維持制御が依然として実行状態であると判定した場合、S104に戻る。一方で、S108にて、車線維持制御が実行状態ではなくなったと判定した場合、S109に進む。
S109では、車線維持制御が待機状態か否かを判定する。S109にて、車線維持制御が待機状態であると判定した場合、S110に進む。S110では、待機状態に対応する様態でのLTAコンテンツCTltの表示及び非表示を設定し、S103に戻る。操舵操作又はアクセル操作によって車線維持機能が待機状態となった場合のS110では、LTAコンテンツCTltを非表示とする。一方で、方向指示スイッチ49へのオン操作の入力によって車線維持機能が待機状態となった場合のS110では、コンテンツ輝度を所定値まで低下させて、LTAコンテンツCTltの表示を継続させる。
一方、S109にて、車線維持制御がオフ状態に遷移したと判定した場合、S111に進む。S111では、LTAコンテンツCTltの表示を終了し、表示制御処理を一旦終了する。尚、LTAコンテンツCTltを除く他のコンテンツの表示は、そのまま継続されてよい。
ここまで説明した第一実施形態では、車線維持制御部51,53による車線維持制御が実行状態にある場合、操作情報の示すドライバの運転操作に伴い、路面に重畳表示されたLTAコンテンツCTltの様態が変化する。故に、LTAコンテンツCTltは、ドライバの運転操作に伴う車線維持制御の作動状態の変化を、ドライバに分かり易く提示し得る。したがって、車線維持制御に関する情報提示の利便性が向上可能になる。
加えて第一実施形態では、ドライバの入力する運転操作の操作量が多くなるほど、LTAコンテンツCTltの様態変化量も多くなる。以上によれば、ドライバは、車線維持制御の現在の作動状態を、LTAコンテンツCTltの現在の様態から直感的に把握し易くなる。したがって、車線維持制御に関する情報提示の利便性が、さらに向上可能になる。
また第一実施形態では、ドライバの操舵操作に関連する操舵トルクTqが操作情報として取得される。そして、表示生成部74は、車線維持制御が実行状態にある場合に、操舵トルクTqが大きくなるほど、LTAコンテンツCTltの様態の変化量を多くする。以上のように、操舵トルクTqを反映したLTAコンテンツCTltの表示変化は、操舵操作に伴って車線維持制御の作動状態が実行状態から待機状態にどの程度近づいているのかを、ドライバに分かり易く示すことができる。
さらに第一実施形態では、ドライバのアクセル操作に関連する状態値として、車速SP又はアクセルペダルの踏み込み量DAが取得される。そして、表示生成部74は、車線維持制御が実行状態にある場合に、車速SP又は踏み込み量DAが大きくなるほど、LTAコンテンツCTltの様態の変化量を多くする。加えて第一実施形態では、前方走路のカーブ曲率CVがさらに取得される。そして、表示生成部74は、運転制御が実行状態にある場合に、カーブ曲率CVが大きくなるほど、LTAコンテンツCTltの様態の変化量を多くする。
車線維持制御部51,53は、アクセル操作が入力された場合でも、前方走路のカーブを走行可能な場合、車線維持制御の実行状態を維持できる。故に、車速SP又は踏み込み量DAとカーブ曲率CVとを関連付けた表示変化によれば、LTAコンテンツCTltは、車線維持制御の作動限界に対する現状の余裕度を、ドライバに分かりやすく示すことができる。
また第一実施形態では、方向指示スイッチ49へのオン操作が操作情報として取得される。そして、表示生成部74は、運転制御が実行状態にある場合に、方向指示スイッチ49のオン操作に基づき、LTAコンテンツCTltの様態を切り替える。こうした表示によれば、ドライバが手動での車線変更を行う場合に、車線維持機能が操舵操作を妨げないよう待機状態に遷移したことを、LTAコンテンツCTltは、操舵開始前のドライバに分り易く通知できる。
さらに第一実施形態では、操作情報の示す運転操作が終了した場合、表示生成部74は、LTAコンテンツCTltの様態を戻していく。具体的に、表示生成部74は、ドライバの操舵操作又はアクセル操作の終了、或いは方向指示器の点滅の終了に基づき、LTAコンテンツCTltに生じさせていた態様変化を解消させる。以上によれば、車線維持制御の作動状態が待機状態から実行状態に自動復帰すること、又は第2閾値Tq2及び第2境界Bd2に対する余裕度が増加していることを、LTAコンテンツCTltは、ドライバに分り易く示すことができる。
加えて第一実施形態では、ドライバの運転操作の終了に伴って車線維持制御が待機状態から実行状態に復帰する場合、運転操作の終了から所定の時間が経過したときに、表示生成部74は、LTAコンテンツCTltを実行状態に対応する様態に戻す。車線維持制御部51,53は、所定の運転操作が解除された後、直ちに車線維持制御を開始するものの、車両Aの挙動が安定的になるまで、所定の時間を必要とする。故に、LTAコンテンツCTltの様態の復元を所定の時間だけ待機する処理によれば、車両挙動が安定化するタイミングと同期するように、LTAコンテンツCTltの表示変化が生じ得る。その結果、ドライバにとって分かり易い情報提示が実現される。
尚、第一実施形態において、LTAコンテンツCTltが「予想軌跡コンテンツ」に相当し、車速SP又は踏み込み量DAが「状態値」に相当し、操舵トルクTqが「操舵値」に相当する。また、制御情報取得部72及びロケータ情報取得部73が「情報取得部」に相当し、表示生成部74が「表示制御部」に相当し、HCU100が「表示制御装置」に相当する。
(第二実施形態)
図9〜図11に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態のLTAコンテンツCTltは、画角VA内において連続する1本線状を呈しており、自車車線Lnsの前方路面の中央に重畳される。表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得されるライン形状情報に基づき、車線維持制御部51,53にて生成される予定走行ラインを明示するように、LTAコンテンツCTltを表示させる。表示生成部74は、最新のライン形状情報に基づき、アイポイントEP(図2参照)から見える前方路面の中央形状に適合するように、LTAコンテンツCTltの描画形状を所定の周期で更新する。
図9〜図11に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態のLTAコンテンツCTltは、画角VA内において連続する1本線状を呈しており、自車車線Lnsの前方路面の中央に重畳される。表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得されるライン形状情報に基づき、車線維持制御部51,53にて生成される予定走行ラインを明示するように、LTAコンテンツCTltを表示させる。表示生成部74は、最新のライン形状情報に基づき、アイポイントEP(図2参照)から見える前方路面の中央形状に適合するように、LTAコンテンツCTltの描画形状を所定の周期で更新する。
LTAコンテンツCTltは、第二実施形態においても、ドライバの操舵操作、アクセル操作、及びウィンカー操作等に基づき、表示の様態を変更される。表示生成部74は、コンテンツ輝度だけでなく、LTAコンテンツCTltの描画形状も、ドライバの運転操作に応じて、車線維持制御の作動状態を示すように変更する。
表示生成部74は、操舵トルクTqに対して、1つの操舵閾値Tqtを規定している(図11参照)。操舵閾値Tqtは、第一実施形態の第2閾値Tq2(図4参照)と実質同一の閾値である。また表示生成部74は、アクセルペダルの踏み込み量DAに対して、1つの操作閾値DAtを規定している(図11参照)。操舵閾値Tqt及び操作閾値DAtは、それぞれシステムからドライバへの制御権の移譲が発生する操舵トルクTq及び踏み込み量DAである。
車線維持制御部51,53は、操舵トルクTqが操舵閾値Tqt以下であれば、車線維持制御の実行状態を維持する。反対に、操舵トルクTqが操舵閾値Tqtを超えると、車線維持制御は待機状態となる。同様に、車線維持制御部51,53は、踏み込み量DAが操作閾値DAt以下であれば、車線維持制御の実行状態を維持する。反対に、踏み込み量DAが操作閾値DAtを超えると、車線維持制御は、待機状態となる。
表示生成部74は、操舵トルクTqが操舵閾値Tqt以下であり、且つ、踏み込み量DAが操作閾値DAt以下である場合、上述の基準形状、即ち、路面中央に重畳される連続した1本線状のLTAコンテンツCTltを表示させる(図9 上段参照)。表示生成部74は、操舵トルクTqが大きくなるほど、コンテンツ輝度を基準輝度LuRから漸減させ、LTAコンテンツCTltを徐々に薄い表示に遷移させる(図9 中段参照)。そして、表示生成部74は、操舵トルクTqが操舵閾値Tqtとなるとき、コンテンツ輝度を予め規定された最小輝度Lut(図11 参照)とする。同様に、表示生成部74は、踏み込み量DAが大きくなるほど、コンテンツ輝度を基準輝度LuRから漸減させ、踏み込み量DAが操作閾値DAtとなるとき、コンテンツ輝度を最小輝度Lutとする。最小輝度Lutは、基準輝度LuRと同様に、ドライバによって調整可能な値であってよく、車両Aの周囲の外光量に応じて自動調整されてもよい。さらに、表示生成部74は、ドライバの操舵操作又はアクセル操作が終了した場合、操舵トルクTq又は踏み込み量DAの減少に従い、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度を徐々に戻していく。その結果、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度は、基準輝度LuRまで漸増する。
表示生成部74は、操舵トルクTqが操舵閾値Tqtを超えるか、又は踏み込み量DAが操作閾値DAtを超える場合、車線維持制御が待機状態に遷移することに合わせて、LTAコンテンツCTltの描画形状を変更する。一例として、表示生成部74は、全体として破線状を呈する待機コンテンツCTlwを、変化形状のLTAコンテンツCTltとして表示させる(図9 下段参照)。待機コンテンツCTlwのコンテンツ輝度は、操舵トルクTq及び踏み込み量DAにかかわらず、例えば最小輝度Lut(図11 参照)等の特定輝度に維持される。
表示生成部74は、車線維持制御が待機状態となった後、ステータス情報に基づいて車線維持制御の実行状態への復帰を把握する。表示生成部74は、車線維持制御が実行状態に遷移したタイミングで、変化形状から基準形状へと、LTAコンテンツCTltの描画形状を戻す処理を実施する(図9 中段又は上段参照)。描画形状基準形状に戻す処理は、操舵トルクTqが操舵閾値Tqt以下となったときから、又は踏み込み量DAが操作閾値DAt以下となったときから、所定の時間が経過したときに開始される。
表示生成部74は、方向指示スイッチ49にオン操作が入力されると、車線維持制御の待機状態への遷移に合わせて、LTAコンテンツCTltを非表示の状態に切り替える(図10 <P1〜;非表示>の破線参照)。LTAコンテンツCTltは、車線維持制御部51,53にて車線維持制御が実行状態に復帰するまで、非表示のままとされる。
車線変更のための操舵操作の終了に伴って方向指示スイッチ49がオフ状態となり、車線維持制御部51,53による制御が再開されると(図10 P4参照)、車線維持制御は、待機状態から実行状態に復帰する(図10 P5参照)。表示生成部74は、制御情報取得部72にて取得されているステータス情報の切り替りに基づき、車線維持制御が実行状態に復帰したタイミングで、LTAコンテンツCTltを再表示させる(図10 <P5〜;再表示/通常表示>参照)。
ここまで説明した第二実施形態でも、LTAコンテンツCTltの様態がドライバの運転操作に伴って変化するため、車線維持制御の作動状態の変化は、LTAコンテンツCTltによってドライバに分かり易く提示され得る。したがって、車線維持制御に関する情報提示の利便性が向上可能になる。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態及び変形例について説明したが、本開示は、上記実施形態及び変形例に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
以上、本開示の複数の実施形態及び変形例について説明したが、本開示は、上記実施形態及び変形例に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記第一実施形態のLTAコンテンツCTltは、2本線状を呈していた。また、上記第二実施形態のLTAコンテンツCTltは、1本線状を呈していた。こうしたLTAコンテンツCTltの描画形状は、上記実施形態の描画形状に限定されず、適宜変更されてよい。例えば、上記実施形態の変形例1では、自車車線Lnsの路面のうちで、画角VA内となる範囲を全体的に塗り潰すような描画形状のLTAコンテンツCTltが表示される。
上記実施形態の車両Aには、運転支援ECU50及び自動運転ECU52の両方が搭載されていた。しかし、車線維持機能を有するECUは、1つのみであってもよい。上記実施形態の変形例2では、運転支援ECU50及び自動運転ECU52の両方の機能を備える1つのECUが設けられている。また上記実施形態の変形例3では、2つのECUのうちで運転支援ECU50のみが車両Aに搭載されている。さらに、上記実施形態の変形例4では、2つのECUのうちで自動運転ECU52のみが車両Aに搭載されている。
上記実施形態では、運転操作の権限移譲を伴わない範囲での運転操作に対しLTAコンテンツCTltの様態を変化させる表示制御と、運転操作の権限移譲を伴う運転操作に対しLTAコンテンツCTltの様態を変化させる表示制御の両方が実施されていた。しかし、いずれか一方の表示制御のみが、HCU100にて実施される形態であってもよい。
運転操作の操作量とLTAコンテンツCTltの様態変化量との関係は、適宜変更されてよい。また、LTAコンテンツCTltの態様変更を生じさせる運転操作には、車線維持制御に作動状態に関連する運転操作であれば、操舵操作、アクセル操作、及びウィンカー操作以外の運転操作が含まれていてもよい。さらに、本開示におけるLTAコンテンツCTltの様態を変化させることには、LTAコンテンツCTltを非表示とすることも含まれる。
例えば上記実施形態の変形例5では、方向指示器の点滅を所定の回数のみ実施させるワンタッチ操作が入力された場合と、方向指示器の点滅を継続的に実施させる通常操作が入力された場合とで、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度が異なっている。具体的に、方向指示スイッチ49へのワンタッチ操作があった場合には、最小輝度LutにてLTAコンテンツCTltが表示される。一方で、方向指示スイッチ49への通常操作があった場合には、LTAコンテンツCTltは、非表示とされる。
また、操舵操作及びアクセル操作に対する様態変更は、連続的でなくてもよい。例えば、上記実施形態の変形例6では、第1閾値Tq1(図4参照)を超える操舵トルクTqが入力された場合に、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度が、基準輝度LuR(図4参照)から最小輝度Lut(図11参照)に切り替えられる。また上記実施形態の変形例7でも、所定の踏み込み量DAを超えるアクセル操作が行われた場合に、LTAコンテンツCTltのコンテンツ輝度が、基準輝度LuRから最小輝度Lutに切り替えられる。この場合の所定の踏み込み量DAは、操作閾値DAt(図11参照)よりも少ない値である。
上記実施形態では、車線維持制御が待機状態から実行状態に復帰するタイミングにあわせるように、表示生成部74は、LTAコンテンツCTltの様態も、基準輝度LuRや基準形状に戻していた。しかし、LTAコンテンツCTltの様態を復元させるタイミングは、適宜変更されてよい。
一例として、上記実施形態の変形例8の表示生成部74は、特定の運転操作の解除後、車線維持制御が待機状態であるうちに、換言すれば、実行状態に遷移する前に、LTAコンテンツCTltの様態を戻す処理を開始する。また別の一例として、上記実施形態の変形例9の表示生成部74は、車線維持制御が実行状態に遷移して、所定の時間が経過した後に、LTAコンテンツCTltの様態を戻す処理を開始する。さらに別の一例として、運転操作の終了に伴い、LTAコンテンツCTltの様態を自動で戻す処理は、省略されてもよい。
上記実施形態の各コンテンツは、表示色、表示輝度、基準となる表示形状等の静的な要素、さらに、点滅の有無、点滅の周期、アニメーションの有無、及びアニメーションの動作等の動的な要素を適宜変更されてよい。また、各コンテンツの静的又は動的な要素は、ドライバの嗜好に応じて変更可能であってよい。加えて、LTAコンテンツと異なる他のコンテンツが画角内にさらに表示されていてもよい。
上記実施形態のHCUは、ドライバから見て重畳対象に重畳コンテンツがずれなく重畳されるように、重畳コンテンツCTsとして結像される虚像光の投影形状及び投影位置を逐次制御していた。HCUは、こうした補正処理に、DSMにて検出されるアイポイントの位置情報、及び通信バスに出力される車両の姿勢情報を用いていた。しかし、HCUは、アイポイントの位置情報及び車両の姿勢情報のいずれか一方のみによって、虚像光の投影形状及び投影位置の補正制御を実施してもよい。またアイポイントの位置情報及び車両の姿勢情報を用いた虚像光の補正制御は、省略されてもよい。
HCUは、例えばHUDに設けられたジャイロセンサの検出情報をさらに用いて、重畳コンテンツとして結像される虚像光の投影形状及び投影位置を逐次制御可能であってもよい。ジャイロセンサは、主に車両のピッチ方向の姿勢変化を検出する姿勢センサである。こうした姿勢センサの利用によれば、重畳コンテンツは、いっそう正確に重畳対象に重畳され得る。
変形例10のHUDのプロジェクタには、LCDパネル及びバックライトに替えて、EL(Electro Luminescence)パネルが設けられている。さらに、ELパネルに替えて、プラズマディスプレイパネル、ブラウン管及びLED等の表示器を用いたプロジェクタがHUD20には採用可能である。
変形例11のHUDには、LCD及びバックライトに替えて、レーザモジュール(以下「LSM」)及びスクリーンが設けられている。LSMは、例えばレーザ光源及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナ等を含む構成である。スクリーンは、例えばマイクロミラーアレイ又はマイクロレンズアレイである。こうしたHUDでは、LSMから照射されるレーザ光の走査により、スクリーンに表示像が描画される。HUDは、スクリーンに描画された表示像を、拡大光学素子によってウィンドシールドに投影し、虚像を空中表示させる。
変形例12のHUDには、DLP(Digital Light Processing,登録商標)プロジェクタが設けられている。DLPプロジェクタは、多数のマイクロミラーが設けられたデジタルミラーデバイス(以下、「DMD」)と、DMDに向けて光を投射する投射光源とを有している。DLPプロジェクタは、DMD及び投射光源を連携させた制御により、表示像をスクリーンに描画する。
さらに、変形例13のHUDでは、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)を用いたプロジェクタが採用されている。また変形例14のHUDには、虚像Viを空中表示させる光学系の一つに、ホログラフィック光学素子が採用されている。
上記実施形態の変形例15では、HCUとHUDとが一体的に構成されている。即ち、HUDの制御回路には、HCUの処理機能が実装されている。また変形例16のHCUは、メータECUとして、HMIシステムに設けられている。
上記実施形態の変形例17では、フロントカメラ31の撮像データであって、自車の前景を撮像した撮像データを取得するカメラ画像取得部が、HCU100に設けられている。表示生成部74は、撮像データに基づく前景のリアル画像に、LTAコンテンツCTlt等の元画像を重ねてなる映像データを生成する。こうした映像データに基づき、HUD20は、リアル画像に各コンテンツを重ねた映像を、前景に虚像として表示させる。以上のように、HUD20の画角VAが十分でない場合、AR表示に用いられるコンテンツ等の元画像をリアル画像に重ねた虚像表示が実施されてもよい。
上記実施形態にて、HCUによって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
また、上記の表示制御方法を実現可能なプログラム等を記憶する記憶媒体の形態も、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、HCUの制御回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、HCUへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
HMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。
HMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による車線維持機能のステータス表示は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化される。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
A 車両、CTlt LTAコンテンツ(予想軌跡コンテンツ)、CV カーブ曲率(前方走路の曲率)、DA 踏み込み量(状態値)、SP 車速(状態値)、Tq 操舵トルク(操舵値)、11 処理部、20 HUD(ヘッドアップディスプレイ)、51,53 車線維持制御部、72 制御情報取得部(情報取得部)、73 ロケータ情報取得部(情報取得部)、74 表示生成部(表示制御部)、100 HCU(表示制御装置)、110 車載システム
Claims (10)
- 走行中の走路内での走行が継続されるよう運転制御を行う車線維持機能を備える車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する表示制御装置であって、
前記車線維持機能による前記運転制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報、及び前記車両のドライバの運転操作に関する操作情報、を取得する情報取得部(72,73)と、
前記運転制御が実行状態にある場合に、前記運転制御された前記車両の予想軌跡を示す予想軌跡コンテンツ(CTlt)を路面に重畳表示させ、前記操作情報の示す前記運転操作に伴い前記予想軌跡コンテンツの様態を変化させる表示制御部(74)と、
を備える表示制御装置。 - 前記表示制御部は、前記運転制御が実行状態にある場合に、前記運転操作の操作量が多くなるほど、前記予想軌跡コンテンツの様態の変化量を多くする請求項1に記載の表示制御装置。
- 前記情報取得部は、ドライバの操舵操作に関連する操舵値(Tq)を、前記操作情報として少なくとも取得し、
前記表示制御部は、前記運転制御が実行状態にある場合に、前記操舵値が大きくなるほど前記予想軌跡コンテンツの様態の変化量を多くする請求項1又は2に記載の表示制御装置。 - 前記情報取得部は、ドライバのアクセル操作に関連する状態値(SP,DA)を、前記操作情報として少なくとも取得し、
前記表示制御部は、前記運転制御が実行状態にある場合に、前記状態値が大きくなるほど前記予想軌跡コンテンツの様態の変化量を多くする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示制御装置。 - 前記情報取得部は、前記運転制御が行われる前方走路の曲率(CV)を、さらに取得し、
前記表示制御部は、前記運転制御が実行状態にある場合に、前記状態値に加えて前記曲率を用いて前記予想軌跡コンテンツの様態を決定し、前記曲率が大きくなるほど前記予想軌跡コンテンツの様態の変化量を多くする請求項4に記載の表示制御装置。 - 前記情報取得部は、ドライバが方向指示器を作動させるオン操作を、前記操作情報として少なくとも取得し、
前記表示制御部は、前記運転制御が実行状態にある場合に、前記オン操作に基づき前記予想軌跡コンテンツの様態を切り替える請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示制御装置。 - 前記表示制御部は、前記操作情報の示す前記運転操作が終了した場合、前記予想軌跡コンテンツの様態を戻す請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示制御装置。
- 前記表示制御部は、前記運転操作の終了に伴って前記運転制御が実行状態に復帰する場合、前記運転操作の終了から所定の時間が経過したときに、前記予想軌跡コンテンツの様態を戻す請求項7に記載の表示制御装置。
- 走行中の走路内での走行が継続されるよう運転制御を行う車線維持機能を備える車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する表示制御プログラムであって、
少なくとも一つの処理部(11)に、
前記車線維持機能にて前記運転制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報を取得し(S101)、
前記車両のドライバの運転操作に関する操作情報を取得し(S104)、
前記運転制御が実行状態にある場合に、前記運転制御された前記車両の予想軌跡を示す予想軌跡コンテンツ(CTlt)を路面に重畳表示させ(S106)、
前記操作情報の示す前記運転操作に伴い前記予想軌跡コンテンツの様態を変化させる(S107,S110)、
ことを含む処理を実施させる表示制御プログラム。 - 車両(A)において用いられ、ヘッドアップディスプレイ(20)による表示を制御する車載システムであって、
走行中の走路内での走行が継続されるよう運転制御を行う車線維持制御部(51,53)と、
前記車線維持制御部による前記運転制御が実行状態にあるか否かを示すステータス情報、及び前記車両のドライバの運転操作に関する操作情報、を取得する情報取得部(72,73)と、
前記運転制御が実行状態にある場合に、前記運転制御された前記車両の予想軌跡を示す予想軌跡コンテンツ(CTlt)を路面に重畳表示させ、前記操作情報の示す前記運転操作に伴い前記予想軌跡コンテンツの様態を変化させる表示制御部(74)と、
を備える車載システム。
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