JP2021063521A - 車軸用軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】低トルクで、かつ、軸受寿命に優れる車軸用軸受を提供する。【解決手段】ハブベアリング6は、車両の車輪を回転支持し、内部空間にグリース組成物10が封入されてなり、グリース組成物10は、基油と増ちょう剤とを含み、25℃のせん断速度1000s−1〜10000s−1におけるせん断応力が3000Pa以下で、かつ、粘度が1Pas以下であり、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1300Pa〜3000Paである。【選択図】図1

Description

本発明は車軸用軸受、特に自動車のハブベアリングに関する。
車軸用軸受は、車両の車輪または該車輪に繋がる車軸を回転支持する軸受であり、自動車のハブベアリングや鉄道車両車軸用軸受などがある。例えば、ハブベアリングは、軸受の周辺部品であるハブ輪やハウジングとをユニット化することで、部品点数の削減と軽量化を図ったものである。車軸用軸受の内部には、転がり摩擦や滑り摩擦の軽減などを目的として、潤滑用のグリース組成物が封入されている。グリース潤滑は、長寿命で外部の潤滑ユニットなどが不要かつ安価であるため、広く利用されている。
例えば、従来のハブベアリング用グリースとして、基油に鉱油または合成油を用い、増ちょう剤に脂肪族ジウレア化合物、脂肪族・脂環式ジウレア化合物、脂環式ジウレア化合物の混合物を用い、これにMoDTCやCaスルフォネートを添加したグリース組成物が提案されている(特許文献1参照)。このグリース組成物を用いることで、軸受部材の金属疲労による剥離を防止して、軸受寿命の延長を図っている。
特開2011−178824号公報
ところで、近年、省エネルギーや省資源の要求に伴って、ハブベアリングなどの車軸用軸受についても回転トルクの低減が求められている。回転トルクには、チャネリングやチャーニングといったグリースの挙動が関与している。チャネリングの場合、回転中にグリースがかき分けられ、転動体表面や軌道面へのグリースの付着量が少なくなり、低トルクになる傾向がある。一方、チャーニングの場合、回転によりかき分けられたグリースが再び軌道面に戻ることで、転動体表面や軌道面へのグリースの付着量が常に多くなり、高トルクになる傾向がある。上記特許文献1では、運転中の回転トルクについては評価されておらず、グリースの挙動に着目したグリース組成について、検討はなされていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低トルクで、かつ、軸受寿命に優れる車軸用軸受を提供することを目的とする。
本発明の車軸用軸受は、車両の車輪または該車輪に繋がる車軸を回転支持し、内部空間にグリース組成物が封入されてなる車軸用軸受であって、上記グリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含み、25℃のせん断速度1000s−1〜10000s−1におけるせん断応力が3000Pa以下で、かつ、粘度が1Pas以下であり、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1300Pa〜3000Paであることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるジウレア化合物であり、上記モノアミン成分が、脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンであることを特徴とする。
上記脂環式モノアミンがジシクロヘキシルアミンを含むことを特徴とする。
上記基油は、合成炭化水素油を主成分として含み、該基油の40℃における動粘度が30mm/s〜80mm/sであることを特徴とする。
上記車軸用軸受は、自動車の車輪を回転支持するハブベアリングであり、上記ハブベアリングは、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、外周に上記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が形成された内方部材と、上記両軌道面間に収容された複列の転動体と、該転動体の周囲に封入された上記グリース組成物とを備えてなり、上記内方部材はハブ輪と内輪とを有し、上記ハブ輪は、一端部に車輪取付フランジを一体に有して、外周に上記複列の外側軌道面の一方に対向する内側軌道面と、この内側軌道面から軸方向に延びる小径段部とが形成されており、上記内輪は、外周に上記複列の外側軌道面の他方に対向する内側軌道面が形成されていて、上記ハブ輪の小径段部に圧入されており、上記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、上記内輪は上記ハブ輪に対して固定されていることを特徴とする。
上記車軸用軸受は、1000min−1以下の回転速度域で使用されることを特徴とする。
本発明の車軸用軸受は、内部空間にグリース組成物が封入されており、該グリース組成物は、25℃のせん断速度1000s−1〜10000s−1におけるせん断応力が3000Pa以下で、かつ、粘度が1Pas以下であり、さらに降伏応力が1300Pa〜3000Paであるので、低回転速度域においてグリースが低粘度であるとともに、グリースのチャネリング性が高められることで、回転トルクを低下させることができ、また、軸受寿命にも優れる。
本発明の車軸用軸受の一例であるハブベアリングの断面図である。 保持器ポケットにおけるグリースの状態を示す図である。 レオメータの一例を示す概要図である。
車軸用軸受のグリース潤滑において、低トルク化には、転動体と保持器ポケット面間に介在するグリースのせん断抵抗を低減することが重要である。本発明者らは、このせん断抵抗の低減を図るべく、グリース組成物のグリース粘度(粘性)とチャネリング性に着目して鋭意検討を重ねた結果、所定せん断速度におけるせん断応力および粘度と、降伏応力とを所定範囲にすることで、車軸用軸受が低トルクかつ長寿命を示すことを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明の車軸用軸受の一例を図1に基づき説明する。図1は、駆動輪用第三世代のハブベアリングの断面図である。図1に示すように、ハブベアリング6は、ハブ輪1および内輪2を有する内方部材5と、外輪である外方部材3と、複列の転動体4、4とを備えている。ハブ輪1はその一端部に車輪(図示せず)を取付けるための車輪取付けフランジ1dを一体に有し、外周に内側軌道面1aと、この内側軌道面1aから軸方向に延びる小径段部1bとが形成されている。本明細書においては、軸方向に関して「外」とは、車両への組付け状態で幅方向外側をいい、「内」とは、幅方向中央側をいう。上記の小径段部1bは、内側軌道面1aから軸方向内側に位置する。
ハブ輪1の小径段部1bには、外周に内側軌道面2aが形成された内輪2が圧入されている。そして、ハブ輪1の小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cにより、ハブ輪1に対して内輪2が軸方向へ抜けるのを防止している。外方部材3は、外周に車体取付けフランジ3bを一体に有し、内周に外側軌道面3a、3aと、これら複列の外側軌道面3a、3aに対向する内側軌道面1a、2aとの間には複列の転動体4、4が転動自在に収容されている。この複列の転動体4、4が、リング状の保持器9、9により保持される。各列の転動体4は、各保持器9において周方向に離間して形成された複数のポケットに収納されている。
上記ハブベアリング(ハブ輪など)に使用できる材質は、軸受鋼、浸炭鋼、または機械構造用炭素鋼を挙げることができる。これらの中で鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼を用いることが好ましい。該炭素鋼は一般に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保した上で用いられる。
シール部材7と、外方部材3と、シール部材8と、内方部材5と、ハブ輪1とに囲まれた空間に、グリース組成物10が封入されている。グリース組成物10は、外方部材3と内方部材5とに挟まれた複列の転動体4、4の周囲を被覆し、転動体4、4の転動面と、内側軌道面1a、2aおよび外側軌道面3a、3aとの転がり接触の潤滑に供される。ハブベアリング6の内部において、保持器9、9と転動体4、4とのポケット隙間にグリース組成物10が入り込んでいる状態(チャーニング)の場合にグリース組成物10のせん断抵抗の影響を受けやすくなる。
本発明に用いるグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含み、必要に応じて各種添加剤を添加したものである。該グリース組成物は、特に、25℃のせん断速度1000s−1〜10000s−1におけるせん断応力が3000Pa以下で、かつ、粘度が1Pas以下であり、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1300Pa〜3000Paであることを特徴としている。
グリース組成物の降伏応力は、レオメータを用いて、JIS K 7244に準拠した動的粘弾性測定法により測定される。具体的には、所定の条件下でレオメータで揺動角を変化させて、グリースの弾性成分を表す貯蔵弾性率G′と、粘性成分を表す損失弾性率G″を実測し、その比(tanδ=G″/G′)が1となるせん断応力値を降伏応力とする。なお、貯蔵弾性率G′は、グリース組成物が受けた外力の内で、弾性的に蓄えることのできるエネルギーに相当し、損失弾性率G″は、グリース組成物が受けた外力の内で熱として散逸するエネルギーに相当する。
動的粘弾性測定の条件として、好ましくは、周波数1Hz、温度25℃の条件である。また、レオメータとしては、パラレルプレート型のセルを有するレオメータを用いることが好ましい。このレオメータは、一定の応力を印加することが可能であるという特徴を有しているため、グリース組成物の降伏応力の測定に適している。
ここで、図2に、モデル軸受を用いて、X線CTスキャナで撮影した軸受内部のグリース付着状態の写真を示す。図2では、X線が透過できるように、内外輪、転動体、保持器、およびシールに樹脂製を用いた。また、グリースと部材間のコントラストがつきやすいように、グリースにトレーサとしてタングステンを5質量%添加した。この軸受をトルク測定しながら運転し、初期(5時間)に停止したチャーニング品(トルク13Nmm)および長時間(23時間)で停止したチャネリング品(トルク5Nmm)を観察した。図2に示すように、チャネリング時とチャーニング時では、保持器と転動体のポケット隙間のグリース量に大きな違いがあることが分かる。すなわち、ポケット隙間において、チャネリング時はグリースが存在しないのに対して、チャーニング時にはグリースが存在することでせん断抵抗を受ける。
本発明に用いるグリース組成物は、25℃における降伏応力が1300Pa以上であるので、回転中にグリース組成物がかき分けられ、一度軌道面から弾かれたグリース組成物が位置決めされ、軌道面に導入されにくくなる。例えば、図1に示すような内輪回転のハブベアリングでは、グリース組成物は遠心力により内側軌道面から外輪内径面に移動し、そこに塊として堆積する。その結果、転動体表面や軌道面へのグリースの付着量が少なくなるチャネリング状態となり、回転トルクが減少する。なお、堆積したグリース組成物またはその分離油が軌道面に還流されることで、軸受が潤滑される。
本発明において、グリース組成物の降伏応力は1700Pa以上であることが好ましい。降伏応力が高い方が、振動や昇温などを駆動力とするグリース組成物の軌道面への移動を妨げ、安定なチャネリング状態を維持しやすい。また、回転トルクの上昇に伴う発熱によって軸受寿命が短寿命になることを抑制できる。一方、グリース組成物の降伏応力の上限は3000Paである。降伏応力が高くなると潤滑成分が供給されにくくなり、軸受寿命が短寿命になるおそれがある。好ましくは、グリース組成物の降伏応力は、1700Pa〜2500Paである。
続いて、グリース組成物のせん断応力は、レオメータを用いて算出することができる。レオメータとして、コーンプレート型のセルを有するものを用いることが好ましい。このようなレオメータの概要を図3に示す。図3に示すように、レオメータ11は、コーンプレート型のセル12と、水平円盤プレート13とから構成されており、セル12とプレート13とは1点で接する(僅かなギャップあり)ように配置され、これらの間に試料であるグリース14を配置する。このレオメータでは、グリース14に加わるせん断速度が、セル中心からの距離に依存せずに、どの位置においても同一となる。レオロジー測定の条件としては、(1)一定温度・一定方向回転での回転速度依存性、(2)一定温度・一定せん断ひずみにおける振動周波数依存性、(3)一定周波数における動的粘弾性のせん断応力依存性などがある。例えば、(1)の条件では、一定温度・一定方向回転で所定時間回転させ、せん断応力が一定になった値が用いられる。
さらに、グリース組成物の粘度や、レオメータの測定範囲外のせん断速度におけるせん断応力は、非ニュートン流体の一般的な流動方程式であるハーシェル・バークレイ式(Herschel−Bulkley’s equation)を用いて、算出(予測)できる。ハーシェル・バークレイ式は下記式で表される。
Figure 2021063521
せん断速度は、転動体と保持器のポケット隙間に存在するグリースに掛かるせん断速度であり、設定する軸受回転数などから算出できる。例えば、転動体が保持器のポケット中心に位置すると仮定すれば、玉軸受(6204)を1800min−1〜10000min−1で内輪回転させた場合、ポケットのグリースのせん断速度は24000s−1〜130000s−1となる。また、降伏応力と各定数は、レオメータを用いたグリースのレオロジー特性の評価などに基づき特定できる。上記式によって、所定のせん断速度でのグリース組成物の粘度が算出される。また、算出された粘度から測定範囲外のせん断速度における粘度を外挿して求めることもできる。得られた粘度に対してせん断速度を乗じることで、該せん断速度におけるせん断応力を算出できる。
上記グリース組成物において、25℃のせん断速度1000s−1〜10000s−1におけるせん断応力が2500Pa以下で、かつ、粘度が0.8Pas以下であることが好ましく、せん断応力が2000Pa以下で、かつ、粘度が0.6Pas以下であることがより好ましい。上記せん断応力の下限は、例えば1000Paであり、上記粘度の下限は、例えば0.2Pasである。
本発明に用いるグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含み、上述の降伏応力、せん断応力および粘度が所定範囲内であれば、特に限定されない。基油は、通常グリースの分野で使用される一般的なものを使用できる。基油としては、例えば、高度精製油、鉱油、エステル油、エーテル油、合成炭化水素油(PAO油)、シリコーン油、フッ素油およびこれらの混合油などを使用できる。これらの中でも、PAO油を主成分とする基油が好ましい。この場合、PAO油の含有量は、基油(混合油)全体に対して50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上である。特に、PAO油のみからなる基油(PAO油100%)を用いることが好ましい。
上記基油の動粘度(混合油の場合は、混合油の動粘度)は、例えば、40℃において30mm/s〜100mm/sであり、30mm/s〜80mm/sであることが好ましい。基油の動粘度は、低トルク化の観点では低い方が適しているが、軸受寿命の短縮を招くおそれがある。そのため、30mm/s〜80mm/sとすることで、低トルク化と長寿命化の両立を一層図りやすい。より好ましくは、40℃における動粘度が30mm/s〜50mm/sである。
本発明に用いるグリース組成物の増ちょう剤としては、特に限定されず、通常グリースの分野で使用される一般的なものを使用できる。例えば、金属石けん、複合金属石けんなどの石けん系増ちょう剤、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物などの非石けん系増ちょう剤を使用できる。金属石けんとしては、ナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けんなどが、ウレア化合物およびウレア・ウレタン化合物としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、他のポリウレア化合物、ジウレタン化合物などが挙げられる。これらの中でも、高温耐久性に優れるジウレア化合物が好ましい。
ジウレア化合物は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。ジウレア化合物の中でも、特に、脂肪族・脂環式ジウレア化合物が好ましい。脂肪族・脂環式ジウレア化合物は、モノアミン成分として脂肪族モノアミンと脂環式モノアミンを用いて得られる。ここで、脂肪族モノアミンと脂環式モノアミンの配合比(例えばモル%)は特に限定されないが、脂環式モノアミンの方が脂肪族モノアミンよりも多いことが好ましい。具体的には、モノアミン全体に対して、脂環式モノアミンを60モル%以上にすることが好ましい。
ジウレア化合物を構成するジイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。脂環式モノアミンとしては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが挙げられ、特に、ジシクロヘキシルアミンを含むことが好ましい。
また、ジウレア化合物として、脂環式モノアミンを用いた脂環式ジウレア化合物や、脂肪族モノアミンを用いた脂肪族ジウレア化合物、芳香族モノアミン(p−トルイジンなど)を用いた芳香族ジウレア化合物も使用できる。
基油に増ちょう剤を配合してベースグリースが得られる。ジウレア化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応させて作製する。グリース組成物全体に占める増ちょう剤の配合割合は、例えば5質量%〜40質量%であり、好ましくは10質量%〜30質量%であり、より好ましくは10質量%〜20質量%である。増ちょう剤の含有量が5質量%未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となる。また、40質量%をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られにくくなる。
また、グリース組成物には、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗防止剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
グリース組成物の混和ちょう度(JIS K 2220)は、200〜350の範囲にあることが好ましい。ちょう度が200未満である場合は、油分離が小さく潤滑不良となるおそれがある。一方、ちょう度が350をこえる場合は、グリースが軟質で軸受外に流出しやすくなり好ましくない。
本発明の車軸用軸受には、上述のグリース組成物が封入されている。このグリース組成物は、特にハブベアリングで重要な1000s−1〜10000s−1のせん断速度域で低粘度であり、また、後述の実施例で示すように、高負荷条件かつ低回転条件において低トルクを示し、さらに、軸受寿命にも優れることから、車軸用軸受として特にハブベアリングに適している。このハブベアリングの使用回転速度域としては、1000min−1以下が好ましく、600min−1以下がより好ましい。
さらに、ハブベアリングとしては、軸(ハブ輪)と軸受内輪を一体化し、余肉を削除するとともに、ラインの組み立て性をさらに向上させた第三世代ハブベアリング(GEN3)に特に適している。第三世代ハブベアリングでは、鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼が用いられている。機械構造用炭素鋼は、軌道部に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保しているが合金成分が少ないため表面強度が弱く、軸受鋼(SUJなど)に比べて表面起点剥離への耐性が懸念されるところ、上記グリース組成物を用いることで、高負荷な条件でも長寿命を実現できる。
実施例1および比較例1〜3について、表1に示す配合組成(質量%)で基油および増ちょう剤を混合してグリース組成物を得た。得られた各グリース組成物を用いて、グリース粘度、せん断応力および降伏応力を算出した。
(1)グリース粘度およびせん断応力
コーンプレート型(直径20mm、コーン角1°)のレオメータを用い、各グリース組成物に対して、温度25℃、周波数1Hzで、せん断速度を1s−1から8000s−1まで増加させた。各せん断速度において定常流となったせん断応力を求め、上述のハーシェル・バークレイ式より各せん断速度におけるグリース粘度を算出した。得られた各グリース粘度を用いて、せん断速度10000s−1までのグリース粘度を外挿して算出した。さらに、算出されたグリース粘度に各せん断速度を乗じて、各せん断応力を算出した。得られた各グリース粘度と各せん断応力から最大値を表1に示した。なお、表1において、最大グリース粘度はせん断速度1000s−1のグリース粘度であり、最大せん断応力はせん断速度10000s−1のせん断応力である。
(2)降伏応力
上部プレートと下部プレートを有するパラレルプレート型(ギャップ0.5mm)のレオメータを用い、各グリース組成物に対して下記の条件に従って動的粘弾性測定を行った。具体的には、上部プレートと下部プレートの間にグリース組成物を挟み、そのグリース組成物に振動による周期的なせん断応力を印加し、その応答から貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″を測定した。得られた貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″が重なった点におけるせん断応力値を降伏応力とした。結果を表1に示す。
せん断応力 :10Paから4000Paまで増加
測定周波数 :1Hz
測定温度 :25℃
各プレート :直径25mm
(3)ハブベアリング寿命試験
上記で得たグリース組成物を、PCD58mmのハブベアリング(図1参照)に封入して、寿命試験用のハブベアリングをそれぞれ作製した。得られた各ハブベアリングを、成り行き温度、0.6Gの旋回荷重条件で、300min−1(約3000s−1)の回転速度で回転させ、剥離が発生して使用できなくなるまでの時間(h)を測定した。表1には、各試験例において、比較例2の寿命時間を1とした場合の寿命比を示した。
(4)ハブベアリングトルク試験
上記で得たグリース組成物を、PCD58mmのハブベアリング(図1参照)に封入して、トルク試験用のハブベアリングをそれぞれ作製した。得られた各ハブベアリングを、成り行き温度、アキシアル荷重3.2kN、ラジアル荷重無負荷の条件で、600min−1(約6000s−1)の回転速度で回転させた。試験では180分間回転させ、最後の3分間の平均値をトルク値(mNm)とした。表1には、各試験例において、比較例2のトルク値を1とした場合のトルク比を示した。
Figure 2021063521
表1に示すように、せん断速度1000s−1〜10000s−1のせん断応力が3000Pa以下、かつ、粘度が1Pas以下であり、降伏応力が1300Pa〜3000Paである実施例1は、比較例1〜3に対して、低トルクかつ長寿命を示した。
以上より、本発明の車軸用軸受は、軸受内部に封入されたグリース組成物が低回転速度域で低粘度であり、かつ、高い降伏応力値を示すので、転動体と保持器ポケット面間のグリースせん断抵抗が低下し、低トルク化を実現できるとともに、長寿命化にも寄与する。
本発明の車軸用軸受は、低トルクで、かつ、寿命時間に優れるので、車軸用軸受として広く使用でき、特に、高負荷条件および低回転条件で使用される自動車のハブベアリングに適している。
1 ハブ輪
1a 内側軌道面
1b 小径段部
1c 加締部
1d 車輪取付けフランジ
2 内輪
2a 内側軌道面
3 外方部材
3a 外側軌道面
3b 車体取付けフランジ
4 転動体
5 内方部材
6 ハブベアリング
7 シール部材
8 シール部材
9 保持器
10 グリース組成物
11 レオメータ
12 コーンプレート型セル
13 水平円盤プレート
14 グリース

Claims (6)

  1. 車両の車輪または該車輪に繋がる車軸を回転支持し、内部空間にグリース組成物が封入されてなる車軸用軸受であって、
    前記グリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含み、25℃のせん断速度1000s−1〜10000s−1におけるせん断応力が3000Pa以下で、かつ、粘度が1Pas以下であり、レオメータを用いた動的粘弾性測定法により測定される25℃での降伏応力が1300Pa〜3000Paであることを特徴とする車軸用軸受。
  2. 前記増ちょう剤は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるジウレア化合物であり、前記モノアミン成分が、脂肪族モノアミンおよび脂環式モノアミンであることを特徴とする請求項1記載の車軸用軸受。
  3. 前記脂環式モノアミンがジシクロヘキシルアミンを含むことを特徴とする請求項2記載の車軸用軸受。
  4. 前記基油は、合成炭化水素油を主成分として含み、該基油の40℃における動粘度が30mm/s〜80mm/sであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の車軸用軸受。
  5. 前記車軸用軸受は、自動車の車輪を回転支持するハブベアリングであり、
    前記ハブベアリングは、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、外周に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が形成された内方部材と、前記両軌道面間に収容された複列の転動体と、該転動体の周囲に封入された前記グリース組成物とを備えてなり、
    前記内方部材はハブ輪と内輪とを有し、前記ハブ輪は、一端部に車輪取付フランジを一体に有して、外周に前記複列の外側軌道面の一方に対向する内側軌道面と、この内側軌道面から軸方向に延びる小径段部とが形成されており、
    前記内輪は、外周に前記複列の外側軌道面の他方に対向する内側軌道面が形成されていて、前記ハブ輪の小径段部に圧入されており、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、前記内輪は前記ハブ輪に対して固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の車軸用軸受。
  6. 前記車軸用軸受は、1000min−1以下の回転速度域で使用されることを特徴とする請求項5記載の車軸用軸受。
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