JP2017172714A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】基油や増ちょう剤の種類や組合せによらず、軸受の低トルク化を実現できる新たな指標を見出すとともに、その指標を満足して低トルク化を図った転がり軸受を提供する。
【解決手段】基油、増ちょう剤及び添加剤を含み、降伏応力を、せん断速度10000s−1でのせん断応力で除した値が1〜20.20.83である潤滑剤組成物を封入した転がり軸受。
【選択図】図1
【解決手段】基油、増ちょう剤及び添加剤を含み、降伏応力を、せん断速度10000s−1でのせん断応力で除した値が1〜20.20.83である潤滑剤組成物を封入した転がり軸受。
【選択図】図1
Description
本発明は転がり軸受に関し、より詳細には、産業機械用モータや家電用モータ等で使用される低トルクの転がり軸受に関する。
従来から、産業機械用モータや家電用モータ等には低トルクが要求されている。一般に、転がり軸受には潤滑のためにグリース等の潤滑剤組成物が封入されており、低トルク化のためには潤滑剤組成物による抵抗を少なくする必要がある。例えば、基油粘度を下げたり、増ちょう剤量を減らしたりするのが一般的であるが、特許文献1では、降伏応力を上げてチャネリング性を高めることを提案している。
しかしながら、低トルク化に対する効果は、基油と増ちょう剤との組み合わせにより大きく異なり、グリースを封入した転がり軸受における、トルクとグリース物性との関係は十分に理解されていないのが現状である。これは、軸受内でのグリースの挙動が複雑で、グリースが受けるせん断速度も場所により異なり、単一の物性のみにグリースの挙動が支配されないことが原因である。
そこで本発明は、基油や増ちょう剤の種類や組合せによらず、軸受の低トルク化を実現できる新たな指標を見出すとともに、その指標を満足して低トルク化を図った転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明者らは、低トルク化の新たな指標を見出すに当たり、降伏応力がチャネリング性に関係し、せん断応力が軸受内でのグリースの粘性による抵抗に関係すると考え、両者の関係について検討したところ、降伏応力を、特定のせん断速度でのせん断応力で除した値が特定の範囲であれば低トルクになることを見出し、本願発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の転がり軸受を提供する。
(1)基油、増ちょう剤及び添加剤を含み、降伏応力を、せん断速度10000s−1でのせん断応力で除した値が1〜20.20.83である潤滑剤組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
(2)前記潤滑剤組成物において、ちょう度が93〜280、降伏応力が1741〜9062Pa、せん断速度10000s−1でのせん断応力が210〜3884Paであることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
(1)基油、増ちょう剤及び添加剤を含み、降伏応力を、せん断速度10000s−1でのせん断応力で除した値が1〜20.20.83である潤滑剤組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
(2)前記潤滑剤組成物において、ちょう度が93〜280、降伏応力が1741〜9062Pa、せん断速度10000s−1でのせん断応力が210〜3884Paであることを特徴とする上記(1)記載の転がり軸受。
本発明で用いる潤滑剤組成物は、チャネリング性に関係する降伏応力と、グリースの粘性による抵抗に関係するせん断応力とで表される特定値を満足するため、これを封入した転がり軸受を低トルク化することができる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明において転がり軸受の種類は制限されず、玉軸受やころ軸受等の種々の転がり軸受が対象となり、潤滑のために下記の潤滑剤組成物を封入したものである。
潤滑剤組成物は、基油と、増ちょう剤と、添加剤とを含むとともに、降伏応力をせん断速度10000s−1でのせん断応力で除した値(以下「A値」ともいう。)が、1〜20.83を満足する。後述する実施例に示すように、A値が1未満または20.83超では、本発明の目的とする低トルク化を実現できない。降伏応力はチャネリング性に関係し、せん断応力は軸受内でのグリースの粘性による抵抗に関係し、両者を含むA値はチャネリング性及び粘性による抵抗の両方で規定される値であり、潤滑剤組成物の抵抗を表す指標として有効である。尚、A値は、2.53〜20.83が特に好ましい。
降伏応力は、レオメータを用いて測定する。パラレルプレート(直径25mm)を用い、ギャップ0.5mm、周波数10Hz、温度30℃、ひずみを0.1〜1000%まで変化させて測定する。また、損失正接tanδ(G″/G′)=1となるひずみでのせん断応力値を用いる。
降伏応力は、ちょう度と同様に、増ちょう剤の種類や量、基油との相性、製造方法等により異なる値を得ることができるが、降伏応力が小さいと漏洩する問題があり、高すぎるとハンドリング性が悪化するという問題がある。従って、降伏応力は100〜10000Paが好ましく、1741〜9062Paがより好ましい。
また、せん断応力もレオメータを用いて測定することができ、コーンプレート(直径25mm、コーン角0.5°)を用い、せん断速度10000s−1、温度30℃にて5分後のせん断応力が一定になった値を用いる。せん断応力も増ちょう剤の種類や量、基油との相性、製造方法等により異なる値を得ることができるが、せん断応力が低すぎると油膜が薄くなり軸受寿命の低下を招き、高すぎると粘性による抵抗の増加を招いて軸受トルクを増大させる。従って、せん断速度10000s−1でのせん断応力は100〜7000Paが好ましく、210〜3884Paがより好ましい。
尚、基油、増ちょう剤及び添加剤は、上記A値が1〜20.83を満足する限り、その種類には制限はない。基油には、潤滑剤の基油として通常使用されている油(鉱油や合成油、転園油等)を全て使用することができる。例えば、鉱油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を、適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。合成油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。天然油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油またはこれらの水素化物が挙げられる。また、基油粘度にも制限はないが、転がり軸受の潤滑性を考慮すると40℃における動粘度が5〜400mm2/cが好ましい。
増ちょう剤も、基油をゲル構造中に保持する能力があれば制約はない。例えば、リチウム石けん等の金属石けん系増ちょう剤、アミノ酸系ゲル化剤、ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤、ウレア、シリカ、カーボン等の非石けん系増ちょう剤を用いることができる。また、増ちょう剤量も制限はないが、潤滑剤組成物全量の3〜35質量%が好ましい。増ちょう剤量が3質量%未満では、潤滑剤組成物が初期から柔らか過ぎて軸受から漏洩しやすく、35質量%を超えると流動性が低くなりすぎて十分な潤滑性を付与することができなくなるおそれがある。
添加剤は潤滑剤組成物の性能向上のために添加され、例えばアミン系、フェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛等の酸化防止剤、スルフォン酸金属塩、エステル系、アミン系、ナフテン酸金属塩、コハク酸誘導体等の防錆剤、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤、脂肪酸、動植物油等の油性向上剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤等、一般に潤滑剤組成物に添加される添加剤を1種または2種以上を混合して用いることができる。尚、添加剤量にも制限はなく、本発明の目的を損なわない範囲であればよい。
また、潤滑剤組成物の製造方法にも制限はなく、増ちょう剤の種類に応じて適宜選択する。何れも定法で構わないが、例えば、金属石けん系増ちょう剤、アミノ酸系ゲル化剤、ベンジリデンソルビトール系ゲル化剤を用いる場合には、これら増ちょう剤を基油とともに容器に投入し、加熱撹拌し、増ちょう剤が完全に溶解した後、予め水冷したアルミ製バットに流し込み、流水で冷却する。そして、グリース状に固まった潤滑剤組成物を3本ロールミル等により混練し、添加剤を添加する。
シリカ粒子を増ちょう剤に用いる場合は、例えば、シリカ粒子を基油とともに容器に投入し、撹拌してグリース状に固まった潤滑剤組成物を混練し、添加剤を添加する。
ウレア系増ちょう剤を用い場合は、第1の容器に基油と、ウレアの原料となるイソシアネートとを投入し、イソシアネートが溶解するまで60℃程度で撹拌する。また、第2の容器に基油と、ウレアの原料となるアミンとを投入し、加熱しながら撹拌してアミンを溶解させる。そして、第1の容器の内容物と第2の容器の内容物とを混合し、混合物を撹拌しながら150℃まで加熱し、自然冷却後に混練し、添加剤を添加する。
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
表1に示すように、種々の基油、増ちょう剤及び添加剤を組合せ、増ちょう剤毎に上記した製造方法に従い、試験グリースを調製した、そして、各試験グリースの降伏応力と、せん断速度10000s−1でのせん断応力とを上記した測定方法にて測定し、A値を算出した。また、ちょう度をJIS K 2220 1/4円すいを用いる不混和ちょう度試験の手順に従い測定した。
そして、各試験グリースを試験軸受に封入して下記条件にて軸受トルクを測定した。軸受トルクは、回転開始後840〜900秒間のトルクの平均値とし、比較例1のトルク値を1とする相対トルクとした。それぞれの測定値を表1に併記する。また、図1に、初期トルクと、降伏応力/せん断速度10000s−1でのせん断応力との関係をグラフ化して示す。
<トルク測定条件>
・試験軸受:単列深溝玉軸受(内径25mm、外径62mm、幅17mm)
・シール:非接触型ゴムシール
・グリース封入量:3.4g
・回転数:3000min−1
・荷重:Fr=29.4N、Fa=98N
・温度:常温
・試験軸受:単列深溝玉軸受(内径25mm、外径62mm、幅17mm)
・シール:非接触型ゴムシール
・グリース封入量:3.4g
・回転数:3000min−1
・荷重:Fr=29.4N、Fa=98N
・温度:常温
表1及び図1から、降伏応力/せん断速度10000s−1でのせん断応力が1〜20.83の範囲で相対トルクが小さくなっており、2.53〜20.83の範囲で相対トルクが特に小さくなっている。
Claims (2)
- 基油、増ちょう剤及び添加剤を含み、降伏応力を、せん断速度10000s−1でのせん断応力で除した値が1〜20.20.83である潤滑剤組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
- 前記潤滑剤組成物において、ちょう度が93〜280、降伏応力が1741〜9062Pa、せん断速度10000s−1でのせん断応力が210〜3884Paであることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
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JP2016060080A JP2017172714A (ja) | 2016-03-24 | 2016-03-24 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021070888A1 (ja) * | 2019-10-10 | 2021-04-15 | Ntn株式会社 | 車軸用軸受、グリース組成物、および転がり玉軸受 |
WO2021070887A1 (ja) * | 2019-10-10 | 2021-04-15 | Ntn株式会社 | グリース組成物および転がり玉軸受 |
JP2021063154A (ja) * | 2019-10-10 | 2021-04-22 | Ntn株式会社 | グリース組成物および転がり玉軸受 |
WO2022071194A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | Ntn株式会社 | 転がり軸受および電動機 |
WO2023181407A1 (ja) * | 2022-03-25 | 2023-09-28 | 株式会社ジェイテクト | グリース |
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2016
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