JP2021060693A - 学習制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】学習制御による学習の進捗状況を外部から把握できるようにする。【解決手段】自動変速機の変速に関与する油圧式摩擦係合装置の係合待機圧が学習制御される場合に、その学習の進捗状況として進捗率が進捗状況解析部(S2、S3)によって求められるとともに進捗状況伝達部(S4)によって表示装置に表示されるため、車両の点検時などに外部から係合待機圧に関する学習の進捗率を把握することができる。これにより、進捗率が推奨値よりも低い場合など、必要に応じて係合待機圧に関する学習を促進する作業を行なうことが可能で、その学習値を用いた自動変速機の変速制御が適切に行なわれるようになる。【選択図】図11
Description
本発明は、定常的に生じる誤差成分を補正するための学習制御を実行する学習部を有する車両に関する学習制御装置に関するものである。
各部の個体差や経時変化等によって定常的に生じる誤差成分を補正するための学習制御を実行する学習部を有する車両が広く知られている。特許文献1に記載の車両はその一例で、車両の走行位置を取得するための車載センサの出力値を学習する技術が記載されている。特許文献1にはまた、学習の進捗状況を求めて、その進捗状況に応じて車載センサの出力値をアプリケーションの実行に利用するか否かを判断するようになっている。
ところで、このような従来の学習制御装置においては外部から学習の進捗状況を把握することができないため、学習の進捗状況に基づいて、必要に応じて学習を促進するための作業、例えば学習制御が実行される特定の運転操作など、を行なうことができない。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、学習制御における学習の進捗状況を外部から把握できるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、定常的に生じる誤差成分を補正するための学習制御を実行する学習部を有する車両に関する学習制御装置において、(a) 前記学習部による学習の進捗状況を解析する進捗状況解析部と、(b) 前記学習の進捗状況を知らせる進捗状況伝達部と、を有することを特徴とする。
第2発明は、第1発明の学習制御装置において、前記進捗状況解析部は、前記学習部を有する他の多数の車両の学習データに基づいて前記学習の進捗状況を解析することを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の学習制御装置において、前記学習の進捗状況が予め定められた推奨値よりも低い場合に、前記学習を促進するための学習促進方法を提示する学習促進方法提示部を有することを特徴とする。
第4発明は、第3発明の学習制御装置において、前記学習促進方法提示部は、予め定められた特定の作業者に対してのみ前記学習促進方法を提示するようにその提示が制限されていることを特徴とする。
第5発明は、第1発明〜第4発明の何れかの学習制御装置において、前記学習部は、前記車両に搭載された自動変速機の変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧を制御する際に、その変速が予め定められた目標状態で行なわれるようにその油圧に関する制御パラメータを学習制御するものであることを特徴とする。
第6発明は、第1発明〜第5発明の何れかの学習制御装置において、前記進捗状況解析部および前記進捗状況伝達部は前記学習部と共に前記車両の制御装置に備えられていることを特徴とする。
このような学習制御装置においては、進捗状況解析部によって得られた学習の進捗状況を知らせる進捗状況伝達部を備えているため、例えば工場からの車両の出荷時や車両点検時、或いは車両の走行時などに、外部から学習の進捗状況を把握することができる。これにより、必要に応じて学習を促進する作業を行なうことが可能で、その学習制御による学習値を用いた各種の制御が適切に行なわれるようになる。
第2発明では、多数の車両の学習データに基づいて学習の進捗状況を解析するため、高い精度で学習の進捗状況を求めることができる。
第3発明では、学習の進捗状況が推奨値よりも低い場合に、その学習を促進するための学習促進方法が提示されるため、その学習促進方法に従って容易且つ迅速に学習を促進することができる。
第4発明では、上記学習促進方法が予め定められた特定の作業者に対してのみ提示されるため、その特定の作業者によって学習促進方法が適切に実施される。すなわち、学習促進方法の中には一般のユーザー等が簡単に行なえないものもあるため、ユーザー等の第三者によって間違った学習促進方法が行なわれることが防止される。
第5発明は、車両に搭載された自動変速機の変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧を制御する際に、その変速が予め定められた目標状態で行なわれるようにその油圧に関する制御パラメータを学習制御する場合で、一般に変速の種類等に応じて多数の学習制御が行なわれるとともに、それ等の学習制御における学習の進捗状況は走行条件によって異なるためばらつきがある。このため、本発明が適用されて各学習制御における学習の進捗状況をそれぞれ把握できれば、進捗状況が遅いものについて学習を促進する作業(学習制御が実行される運転など)を行なうことが可能で、総ての変速制御が速やかに適切に行なわれるようになる。
本発明の学習制御装置は、例えば自動変速機の変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧に関する制御パラメータを学習制御する場合に好適に適用されるが、その他の車載装置の制御に関する各種のパラメータを目標状態に基づいて学習したり、車載センサの検出値を学習したり、ダンパ等の回転部材の応力−回転角特性を学習したりするなど、種々の学習制御に適用される。自動変速機の油圧式摩擦係合装置の油圧に関する制御パラメータは、例えば待機圧や待機時間、油圧を変化させる際の変化率などで、入力回転速度のオーバーシュートやアンダーシュートが目標範囲内になるように学習したり、変速所要時間が目標範囲内になるように学習したりする。また、この自動変速機の油圧に関する学習については、アップシフトかダウンシフトか、パワーON状態かパワーOFF状態か、等の変速の種類などに応じて種々の学習制御が知られている。
学習制御装置は、例えば進捗状況解析部および進捗状況伝達部が学習部と共に車両の制御装置に備えられるが、進捗状況解析部および進捗状況伝達部が車両とは別の学習状況表示ツール等に設けられても良い。学習状況表示ツールは、パソコンやタブレット、或いは専用機などで、有線通信を介して機械的に或いは無線通信を介して、車両の制御装置に接続され、学習の進捗状況の解析に必要な学習回数等のデータを取り込むように構成される。
進捗状況解析部は、例えば学習制御によって得られる学習値の変化が所定以下になる学習収束時までの学習回数の平均値等を標準値として、その学習収束標準値に対する現在までの学習回数の割合等で進捗状況を表すことができる。学習回数に対応する他のパラメータ(例えば走行距離や変速回数などで、学習制御の内容に応じて定まる。)を用いることもできる。車載センサの検出値の学習など、走行条件等に応じて多数の学習値が必要な場合は、全体の学習値の総数に対する現在までの学習値の数の割合等で進捗状況を表すことができるなど、学習制御の態様に応じて適宜定められる。進捗状況を良否の2段階で表したり、3段階以上の多段階で表したりしても良い。この進捗状況解析部は、例えば同じ学習部を有する走行中の他の多数の車両の学習データ(所謂ビッグデータ)を収集して、上記学習収束標準値等を求めて学習の進捗状況を解析するように構成されるが、予め実験やシミュレーション等によって標準学習回数等の学習収束標準値が定められても良いなど、種々の態様が可能である。進捗状況伝達部は、例えば表示装置に進捗状況を画像で表示するように構成されるが、音声で知らせることもできる。画像および音声の両方で進捗状況を知らせることも可能である。
学習促進方法提示部は、学習の進捗状況が遅い学習制御が実行される車両条件、例えば車速やアクセル開度、動力源回転速度等の車両の運転方法などを、進捗状況伝達部と同様に画像や音声で知らせるように構成される。学習制御によっては促進作業を行なう際に専門性が要求される場合があるため、予め定められた特定の作業者に対してのみ学習促進方法が提示されるようにすることが望ましいが、運転者等の通常のユーザーが容易に実施できる場合には、必ずしも特定の作業者に制限する必要はない。特定の作業者は、例えば車両のメーカーやディーラ(販売会社)等において、学習促進作業を行なうことを許可された者が望ましく、ディーラの整備工場の技術者等が適当である。この学習促進方法の提示の制限は、例えばパスワードの入力要求等によって行なうことができる。学習促進方法だけでなく、学習の進捗状況についても、知ることができる作業者を制限しても良い。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両10に備えられた動力伝達装置12の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン14と第1回転機MG1と第2回転機MG2とを備えている。動力伝達装置12は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース16内において共通の軸心上に直列に配設された、電気式無段変速部18および機械式有段変速部20等を備えている。電気式無段変速部18は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン14に連結されている。機械式有段変速部20は、電気式無段変速部18の出力側に連結されている。また、動力伝達装置12は、機械式有段変速部20の出力回転部材である出力軸22に連結された差動歯車装置24、差動歯車装置24に連結された一対の車軸26等を備えている。動力伝達装置12において、エンジン14や第2回転機MG2から出力される動力は、機械式有段変速部20へ伝達され、その機械式有段変速部20から差動歯車装置24等を介して車両10が備える駆動輪28へ伝達される。なお、以下の説明では、トランスミッションケース16をケース16、電気式無段変速部18を無段変速部18、機械式有段変速部20を有段変速部20という。また、動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。また、無段変速部18や有段変速部20等は上記共通の軸心に対して略対称的に構成されており、図1ではその軸心の下半分が省略されている。上記共通の軸心は、エンジン14のクランク軸、後述する連結軸34などの軸心である。
図1は、本発明が適用された車両10に備えられた動力伝達装置12の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン14と第1回転機MG1と第2回転機MG2とを備えている。動力伝達装置12は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース16内において共通の軸心上に直列に配設された、電気式無段変速部18および機械式有段変速部20等を備えている。電気式無段変速部18は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン14に連結されている。機械式有段変速部20は、電気式無段変速部18の出力側に連結されている。また、動力伝達装置12は、機械式有段変速部20の出力回転部材である出力軸22に連結された差動歯車装置24、差動歯車装置24に連結された一対の車軸26等を備えている。動力伝達装置12において、エンジン14や第2回転機MG2から出力される動力は、機械式有段変速部20へ伝達され、その機械式有段変速部20から差動歯車装置24等を介して車両10が備える駆動輪28へ伝達される。なお、以下の説明では、トランスミッションケース16をケース16、電気式無段変速部18を無段変速部18、機械式有段変速部20を有段変速部20という。また、動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。また、無段変速部18や有段変速部20等は上記共通の軸心に対して略対称的に構成されており、図1ではその軸心の下半分が省略されている。上記共通の軸心は、エンジン14のクランク軸、後述する連結軸34などの軸心である。
エンジン14は、駆動トルクを発生することが可能な動力源として機能する機関であって、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。このエンジン14は、後述する電子制御装置90によって車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等のエンジン制御装置50が制御されることにより、エンジン14の出力トルクであるエンジントルクTe が制御される。本実施例では、エンジン14は、トルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく無段変速部18に連結されている。
第1回転機MG1および第2回転機MG2は、電動機(モータ)としての機能および発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1および第2回転機MG2は、各々、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられた蓄電装置としてのバッテリ54に接続されており、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、第1回転機MG1および第2回転機MG2の各々の出力トルクであるMG1トルクTg およびMG2トルクTm が制御される。回転機の出力トルクは、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。バッテリ54は、第1回転機MG1および第2回転機MG2の各々に対して電力を授受する蓄電装置である。
無段変速部18は、第1回転機MG1と、エンジン14の動力を第1回転機MG1および無段変速部18の出力回転部材である中間伝達部材30に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構32とを備えている。中間伝達部材30には第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。無段変速部18は、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式無段変速機である。第1回転機MG1は、エンジン14の回転速度であるエンジン回転速度Ne を制御可能な回転機であって、差動用回転機に相当する。第2回転機MG2は、駆動トルクを発生することが可能な動力源として機能する回転機であって、走行駆動用回転機に相当する。車両10は、走行用の動力源として、エンジン14および第2回転機MG2を備えたハイブリッド車両である。動力伝達装置12は、動力源の動力を駆動輪28へ伝達する。
差動機構32は、シングルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、サンギヤS0、キャリアCA0、およびリングギヤR0を備えている。キャリアCA0には連結軸34を介してエンジン14が動力伝達可能に連結され、サンギヤS0には第1回転機MG1が動力伝達可能に連結され、リングギヤR0には中間伝達部材30および第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。差動機構32において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能する。
有段変速部20は、中間伝達部材30と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する有段変速機としての機械式変速機構、つまり無段変速部18と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する機械式変速機構である。中間伝達部材30は、有段変速部20の入力回転部材としても機能する。中間伝達部材30には第2回転機MG2が一体回転するように連結されており、また、無段変速部18の入力側にはエンジン14が連結されているため、有段変速部20は、動力源(第2回転機MG2またはエンジン14)と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機である。中間伝達部材30は、駆動輪28に動力源の動力を伝達する為の伝達部材である。有段変速部20は、例えば第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の複数組の遊星歯車装置と、ワンウェイクラッチF1を含み、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2の複数の係合装置とを備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。以下、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、およびブレーキB2については、特に区別しない場合は単に係合装置CBという。
係合装置CBは、油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式の摩擦係合装置である。係合装置CBは、車両10に備えられた油圧制御回路56内のリニアソレノイドバルブSL1−SL4等から各々出力される調圧された係合装置CBの各係合圧としての各係合油圧Pcbによりそれぞれのトルク容量である係合トルクTcbが変化させられることで、各々、係合や解放などの状態である作動状態が切り替えられる。
有段変速部20は、第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の複数の回転要素が、直接的に或いは係合装置CBやワンウェイクラッチF1を介して間接的に、互いに連結されるとともに、中間伝達部材30、ケース16、或いは出力軸22に連結されている。第1遊星歯車装置36は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を相対回転可能に備えており、第2遊星歯車装置38は、サンギヤS2、キャリアCA2、およびリングギヤR2の3つの回転要素を相対回転可能に備えている。
有段変速部20は、複数の係合装置CBのうちの何れかの所定の係合装置の係合によって、変速比γat(=AT入力回転速度Ni /出力回転速度No )が異なる複数のギヤ段が形成される有段変速機である。つまり、有段変速部20は、複数の係合装置CBの係合解放状態が変更されることにより、ギヤ段が切り替えられる、すなわち変速が実行される。有段変速部20は、複数のギヤ段が形成される有段式の自動変速機である。本実施例では、有段変速部20にて形成されるギヤ段をATギヤ段と称する。AT入力回転速度Ni は、有段変速部20の入力回転部材の回転速度であって、中間伝達部材30の回転速度と同値であり、また、第2回転機MG2の回転速度であるMG2回転速度Nm と同値である。AT入力回転速度Ni は、MG2回転速度Nm で表すことができる。出力回転速度No は、有段変速部20の出力回転部材である出力軸22の回転速度であって、無段変速部18と有段変速部20とを合わせた全体の変速機である複合変速機40の出力回転速度でもある。複合変速機40は、エンジン14と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機である。
有段変速部20は、例えば図2の係合作動表に示すように、複数のATギヤ段として、AT1速ギヤ段(図中の「1st」)−AT4速ギヤ段(図中の「4th」)の4段の前進用のATギヤ段が形成される。AT1速ギヤ段「1st」の変速比γatが最も大きく、ハイ側すなわちAT4速ギヤ段「4th」側へ向かうに従って、変速比γatが小さくなる。図2の係合作動表は、各ATギヤ段と複数の係合装置CBの各作動状態との関係をまとめたものである。すなわち、図2の係合作動表は、各ATギヤ段と、各ATギヤ段において各々係合される係合装置である所定の係合装置との関係をまとめたものである。図2において、係合装置の欄の「○」は係合、「△」はエンジンブレーキ時や有段変速部20のコーストダウンシフト時に係合、空欄は解放をそれぞれ表している。
有段変速部20は、後述する電子制御装置90によって、ドライバー(運転者)のアクセル操作や車速V等に応じて形成されるATギヤ段が切り替えられる、すなわち所定のATギヤ段が選択的に形成される。有段変速部20の変速制御においては、係合装置CBの何れか2つの掴み替え、すなわち係合装置CBの何れか1つの係合、および係合装置CBの他の何れか1つの解放により変速が実行される、所謂クラッチツークラッチ変速が実行される。本実施例では、例えばAT2速ギヤ段「2nd」からAT1速ギヤ段「1st」へのダウンシフトを2→1ダウンシフトと表す。他のアップシフトやダウンシフトについても同様である。
図3は、無段変速部18および有段変速部20の複数の回転要素の回転速度の相対的関係を直線で表すことができる共線図である。図3において、無段変速部18を構成する差動機構32の3つの回転要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応するサンギヤS0の回転速度を表すg軸であり、第1回転要素RE1に対応するキャリアCA0の回転速度を表すe軸であり、第3回転要素RE3に対応するリングギヤR0の回転速度(すなわち有段変速部20の入力回転速度)を表すm軸である。また、有段変速部20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応するサンギヤS2の回転速度、第5回転要素RE5に対応する相互に連結されたリングギヤR1およびキャリアCA2の回転速度(すなわち出力軸22の回転速度)、第6回転要素RE6に対応する相互に連結されたキャリアCA1およびリングギヤR2の回転速度、第7回転要素RE7に対応するサンギヤS1の回転速度をそれぞれ表す軸である。縦線Y1、Y2、Y3の相互の間隔は、差動機構32のギヤ比(歯数比ともいう)ρ0に応じて定められている。また、縦線Y4、Y5、Y6、Y7の相互の間隔は、第1、第2遊星歯車装置36、38の各ギヤ比ρ1、ρ2に応じて定められている。差動機構32および遊星歯車装置36、38は何れもシングルピニオン型の遊星歯車装置であるため、共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリアとの間隔を「1」とすると、キャリアとリングギヤとの間隔は各遊星歯車装置のギヤ比ρ(=サンギヤの歯数Zs /リングギヤの歯数Zr )となる。
図3の共線図を用いて表現すれば、無段変速部18の差動機構32において、第1回転要素RE1にエンジン14(図中の「ENG」参照)が連結され、第2回転要素RE2に第1回転機MG1(図中の「MG1」参照)が連結され、中間伝達部材30と一体回転する第3回転要素RE3に第2回転機MG2(図中の「MG2」参照)が連結されて、エンジン14の回転を中間伝達部材30を介して有段変速部20へ伝達するように構成されている。無段変速部18では、縦線Y2を横切る各直線L0、L0Rにより、サンギヤS0の回転速度とリングギヤR0の回転速度との関係が示される。
また、有段変速部20において、第4回転要素RE4はクラッチC1を介して中間伝達部材30に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6はクラッチC2を介して中間伝達部材30に選択的に連結されると共にブレーキB2を介してケース16に選択的に連結され、第7回転要素RE7はブレーキB1を介してケース16に選択的に連結される。有段変速部20では、係合装置CBの係合解放制御によって縦線Y5を横切る各直線L1、L2、L3、L4により、AT1速ギヤ段「1st」、AT2速ギヤ段「2nd」、AT3速ギヤ段「3rd」、AT4速ギヤ段「4th」における各々の出力軸22の回転速度が示される。
図3中の実線で示す、直線L0および直線L1、L2、L3、L4は、少なくともエンジン14を動力源として走行するハイブリッド走行が可能なハイブリッド走行モードでの前進走行における各回転要素の相対回転速度を示している。このハイブリッド走行モードでは、差動機構32において、キャリアCA0に入力されるエンジントルクTe に対して、第1回転機MG1による負トルクである反力トルクが正回転にてサンギヤS0に入力されると、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるエンジン直達トルクTd (=Te /(1+ρ0)=−(1/ρ0)×Tg )が現れる。そして、要求駆動力に応じて、エンジン直達トルクTd とMG2トルクTm との合算トルクが車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段「1st」−AT4速ギヤ段「4th」のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部20を介して駆動輪28へ伝達される。このとき、第1回転機MG1は正回転にて負トルクを発生する発電機として機能する。第1回転機MG1の発電電力Wg は、バッテリ54に充電されたり、第2回転機MG2にて消費される。第2回転機MG2は、発電電力Wg の全部または一部を用いて、或いは発電電力Wg に加えてバッテリ54からの電力を用いて、MG2トルクTm を出力する。
図3に図示はしていないが、エンジン14を停止させると共に第2回転機MG2を動力源として走行するモータ走行が可能なモータ走行モードでの共線図では、差動機構32において、キャリアCA0はゼロ回転とされ、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるMG2トルクTm が入力される。このとき、サンギヤS0に連結された第1回転機MG1は、無負荷状態とされて負回転にて空転させられる。つまり、モータ走行モードでは、エンジン14は駆動されず、エンジン回転速度Ne はゼロとされ、MG2トルクTm が車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段「1st」−AT4速ギヤ段「4th」のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部20を介して駆動輪28へ伝達される。ここでのMG2トルクTm は、正回転の力行トルクである。
図3中の破線で示す、直線L0Rおよび直線LRは、モータ走行モードでの後進走行における各回転要素の相対回転速度を示している。このモータ走行モードでの後進走行では、リングギヤR0には負回転にて負トルクとなるMG2トルクTm が入力され、そのMG2トルクTm が車両10の後進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段「1st」が形成された有段変速部20を介して駆動輪28へ伝達される。車両10では、後述する電子制御装置90によって、複数のATギヤ段のうちの前進用のロー側のATギヤ段である例えばAT1速ギヤ段「1st」が形成された状態で、前進走行時における前進用のMG2トルクTm とは正負が反対となる後進用のMG2トルクTm が第2回転機MG2から出力されることで、後進走行を行うことができる。ここでは、前進用のMG2トルクTm は正回転の正トルクとなる力行トルクであり、後進用のMG2トルクTm は負回転の負トルクとなる力行トルクである。縦線Y5と直線LRとの交点「Rev」は、この後進走行時における出力軸22の回転速度である。このように、車両10では、前進用のATギヤ段を用いて、MG2トルクTm の正負を反転させることで後進走行を行う。なお、ハイブリッド走行モードにおいても、例えばエンジン回転速度Ne をアイドル回転速度等に維持されるように第1回転機MG1を無負荷とし、第2回転機MG2を負回転とすることにより、モータ走行モードと同様に後進走行を行うことが可能である。
動力伝達装置12では、エンジン14が動力伝達可能に連結された第1回転要素RE1としてのキャリアCA0と、第1回転機MG1が動力伝達可能に連結された第2回転要素RE2としてのサンギヤS0と、中間伝達部材30が連結された第3回転要素RE3としてのリングギヤR0と、の3つの回転要素を有する差動機構32を備えており、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式変速機構としての無段変速部18が構成される。無段変速部18は、入力回転部材となる連結軸34の回転速度と同値であるエンジン回転速度Ne と、出力回転部材となる中間伝達部材30の回転速度であるMG2回転速度Nm との比の値である変速比γ0(=Ne /Nm )が変化させられる電気的な無段変速機として作動させられる。
ここで、ハイブリッド走行モードにおいては、有段変速部20にて所定のATギヤ段が形成されることで、駆動輪28の回転に拘束されるリングギヤR0の回転速度に対して、第1回転機MG1の回転速度を制御することによってサンギヤS0の回転速度が上昇或いは下降させられると、キャリアCA0の回転速度つまりエンジン回転速度Ne が上昇或いは下降させられる。従って、ハイブリッド走行では、エンジン14を効率の良い運転点にて作動させることが可能である。つまり、所定のATギヤ段が形成された有段変速部20と無段変速機として作動させられる無段変速部18とで、無段変速部18と有段変速部20とが直列に配置された複合変速機40全体として無段変速機を構成することができる。
また、無段変速部18を有段変速機のように変速させることも可能であるので、所定のATギヤ段が形成される有段変速部20と有段変速機のように変速させる無段変速部18とで、複合変速機40全体として有段変速機のように変速させることができる。つまり、複合変速機40において、エンジン回転速度Ne の出力回転速度No に対する比の値である変速比γt(=Ne /No )が異なる複数のギヤ段を成立させるように、有段変速部20と無段変速部18とを協調制御することが可能である。本実施例では、複合変速機40全体として有段変速機のように変速させることで成立させられるギヤ段を模擬ギヤ段と称する。変速比γtは、直列に配置された無段変速部18および有段変速部20によって形成されるトータル変速比であって、無段変速部18の変速比γ0と有段変速部20の変速比γatとを乗算した値(γt=γ0×γat)となる。
模擬ギヤ段は、例えば有段変速部20の各ATギヤ段と1または複数種類の無段変速部18の変速比γ0との組合せによって、有段変速部20の各ATギヤ段に対してそれぞれ1または複数種類を成立させるように割り当てられる。例えば、AT1速ギヤ段「1st」に対して模擬1速ギヤ段−模擬3速ギヤ段が成立させられ、AT2速ギヤ段「2nd」に対して模擬4速ギヤ段−模擬6速ギヤ段が成立させられ、AT3速ギヤ段「3rd」に対して模擬7速ギヤ段−模擬9速ギヤ段が成立させられ、AT4速ギヤ段「4th」に対して模擬10速ギヤ段が成立させられるように予め定められている。複合変速機40では、出力回転速度No に対して複数の変速比γtを実現するエンジン回転速度Ne となるように無段変速部18が制御されることにより、一つのATギヤ段に対して変速比γtが異なる複数の模擬ギヤ段を成立させることができる。また、複合変速機40では、ATギヤ段の切替えに合わせて無段変速部18が制御されることによって、模擬ギヤ段が切り替えられる。
図5は、前記有段変速部20の複数の係合装置CBを係合解放制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL4を含む油圧制御回路56の一例を示した油圧回路図である。油圧制御回路56は、エンジン14によって回転駆動される機械式オイルポンプ200、および電動モータによって回転駆動される電動式オイルポンプ202を油圧源として備えている。これ等のオイルポンプ200、202によってオイルパン等の油貯留部204から汲み上げられた作動油は、チェック弁206、208を介してライン圧油路210に供給され、プライマリレギュレータバルブ等のライン圧コントロールバルブ212により所定のライン圧PLに調圧される。ライン圧コントロールバルブ212にはリニアソレノイドバルブSLTが接続されている。リニアソレノイドバルブSLTは、電子制御装置90によって電気的に制御されることにより、略一定圧であるモジュレータ油圧Pmoを元圧として信号圧Pslt を出力する。そして、その信号圧Pslt がライン圧コントロールバルブ212に供給されると、ライン圧コントロールバルブ212のスプールが信号圧Pslt により付勢されて軸方向へ移動させられ、ドレーン流量が変化させられることにより、その信号圧Pslt に応じてライン圧PLが調圧される。ライン圧PLは、例えば出力要求量であるアクセル開度θacc 等に応じて調圧される。
ライン圧PLに調圧された作動油は、ライン圧油路210から直接リニアソレノイドバルブSL1およびSL4に供給される。また、ライン圧油路210の作動油の一部は、レンジ切替バルブ214からDレンジ油路218を介してリニアソレノイドバルブSL2およびSL3に供給される。リニアソレノイドバルブSL1〜SL4は、クラッチC1、C2、ブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)220、222、224、226に対応して設けられており、電子制御装置90から供給される油圧制御指令信号Satに従ってそれぞれ出力圧Pout (係合油圧Pcb)が制御されることにより、クラッチC1、C2、ブレーキB1、B2が個別に係合解放制御され、前記AT1速ギヤ段「1st」〜AT4速ギヤ段「4th」の何れかの前進ギヤ段が形成される。
上記レンジ切替バルブ214のスプールは、スプリング216により軸方向の一方(図5における上方)へ付勢されており、ライン圧油路210からDレンジ油路218への作動油の流通を遮断するOFF位置(中心線よりも左側に示した位置)に保持される。レンジ切替バルブ214には、電子制御装置90によってそれぞれ開閉制御される第1ソレノイドバルブSC1および第2ソレノイドバルブSC2から切替油が供給されるようになっており、第1ソレノイドバルブSC1から切替油が供給され且つ第2ソレノイドバルブSC2からの切替油が停止することにより、スプールはスプリング216の付勢力に抗してON位置(中心線よりも右側に示した位置)へ移動させられ、ライン圧PLの作動油がライン圧油路210からDレンジ油路218へ流通することが許容される。第1ソレノイドバルブSC1および第2ソレノイドバルブSC2の切替油が共に供給された場合、および共に停止した場合は、何れもスプリング216の付勢力に従ってスプールはOFF位置に保持され、ライン圧油路210からDレンジ油路218への作動油の流通が遮断される。第1ソレノイドバルブSC1および第2ソレノイドバルブSC2は、何れもノーマリクローズ型のバルブで、通電によって切替油を出力する。
上記第1ソレノイドバルブSC1および第2ソレノイドバルブSC2は、図2に示されるようにシフトレバー等によって選択されるレンジに応じて制御される。図2のSC1、SC2の欄の「○」は通電(切替油の出力)を意味し、空欄は非通電(切替油の停止)を意味する。図2に示すように、第1ソレノイドバルブSC1は、レンジの種類に関係無く常にON、すなわち通電されて切替油を出力する状態に保持されるが、第2ソレノイドバルブSC2は、駐車用のPレンジおよび後進走行用のRレンジでは、切替油を出力するON(通電)とされ、レンジ切替バルブ214のスプールをOFF位置としてライン圧油路210からDレンジ油路218への作動油の流通を遮断する。これにより、有段変速部20はAT1速ギヤ段「1st」のみ成立させることができる。一方、前進走行用のDレンジでは、第2ソレノイドバルブSC2がOFF(非通電)とされ、レンジ切替バルブ214のスプールをON位置としてライン圧油路210からDレンジ油路218への作動油の流通を許容する。これにより、有段変速部20はAT1速ギヤ段「1st」〜AT4速ギヤ段「4th」の総てのギヤ段を成立させることができる。なお、動力伝達を遮断するNレンジでは、前進走行時には第2ソレノイドバルブSC2がOFF(非通電)とされ、後進走行時には第2ソレノイドバルブSC2がON(通電)とされる。本実施例では、PレンジおよびNレンジで、有段変速部20がAT1速ギヤ段「1st」とされるが、第1回転機MG1および第2回転機MG2のトルクが何れも0とされることで、動力伝達の遮断状態が成立させられる。なお、PレンジおよびNレンジでは、総ての係合装置CBを解放して、有段変速部20そのものを動力伝達遮断状態としても良い。
図6は、前記リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の構成を説明する図である。リニアソレノイドバルブSL1〜SL4は、基本的に同じ構成であるため、ここではリニアソレノイドバルブSL1を例示している。このリニアソレノイドバルブSL1は、通電することにより電気エネルギーを駆動力に変換する装置であるソレノイド部314と、そのソレノイド部314の駆動により入力圧であるライン圧PLを調圧して所定の出力圧Pout (係合油圧Pcbに相当) を発生させる調圧部316とから構成されている。ソレノイド部314は、円筒状の巻芯318と、その巻芯318の外周側に巻回されたコイル320と、巻芯318の内部に軸方向に移動可能に設けられたコア322と、そのコア322における上記調圧部316と反対側の端部に固設されたプランジャ324と、それ等の巻芯318、コイル320、コア322、およびプランジャ324を格納するためのケース326と、そのケース326の開口に嵌め着けられたカバー328とから成る。上記調圧部316は、ケース326に嵌め着けられたスリーブ330と、そのスリーブ330の内部を軸方向に移動可能に設けられたスプール332と、そのスプール332をソレノイド部314に向けて付勢するスプリング334とから成り、そのスプール332におけるソレノイド部314側の端部は、上記コア322における調圧部316側の端部に当接させられている。以上のように構成されたリニアソレノイドバルブSL1では、上記コイル320に駆動電流Idrが通電されると、その電流値に応じてプランジャ324がコア322およびスプール332に共通の軸方向へ移動させられ、それに従ってコア322、更にはスプール332が同方向へ移動させられる。これにより、入力ポート336から入力される作動油の流量およびドレーンポート338から排出される作動油の流量が調節され、例えば図7の駆動電流Idrと出力圧Pout との関係を示す弁特性に従って、その入力ポート336から入力されるライン圧PLが駆動電流Idrに対応する所定の出力圧Pout に調圧されて出力ポート340から出力される。前記図2のソレノイドの欄のSL1〜SL4における「○」は駆動電流Idrの通電、すなわち所定の出力圧Pout が出力されて対応する係合装置CBが係合させられることを意味し、空欄は非通電で出力圧Pout の出力が停止し、対応する係合装置CBが解放されることを意味する。「△」はエンジンブレーキ時や有段変速部20のコーストダウンシフト時に通電することを意味する。
図8は、有段変速部20がクラッチツークラッチ変速される際に係合させられる側の係合装置CBに関する油圧指令値に対応する駆動電流Idrの制御パターンの一例である。例えば、2→3アップシフトの場合には、図2から明らかなようにブレーキB1が解放されるとともにクラッチC2が係合制御されるが、その係合側であるクラッチC2の油圧Pc2の油圧指令値である。図8の制御パターンでは、時間ta1において変速指令が出力されると、作動油を急速充填するために駆動電流Idrは急激に増大させられる。時間ta2までの間が、その急速充填(クイックアプライ)期間であり、時間ta2になると、クラッチC2を係合直前状態に維持するために予め定められた係合待機圧αに対応する電流値まで低下させられる。その係合待機圧αに対応する駆動電流Idrに予め定められた待機時間βだけ保持して時間ta3になると、クラッチC2を徐々に係合させるために予め定められた変化率γでC2油圧Pc2を上昇させるように駆動電流Idrを増大させる。このC2油圧Pc2の上昇過程でAT入力回転速度Ni(=Nm)が変化させられ、変速後のギヤ段であるAT3速ギヤ段「3rd」の同期回転速度に達すると(時間ta4)、駆動電流IdrすなわちC2油圧Pc2が最大値まで上昇させられ、クラッチC2が完全に係合させられる。
図1に戻り、車両10は、エンジン14の出力制御、無段変速部18の変速制御、および有段変速部20の変速制御などの各種の制御を実行するコントローラとして電子制御装置90を備えている。図1は、電子制御装置90の入出力系統を併せて示した図であり、また、電子制御装置90によって実行される制御機能の要部を説明する機能ブロック図である。電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、ROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、変速制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ60、出力回転速度センサ62、MG1回転速度センサ64、MG2回転速度センサ66、アクセル開度センサ68、スロットル弁開度センサ70、ブレーキペダルセンサ71、ステアリングセンサ72、ドライバ状態センサ73、Gセンサ74、ヨーレートセンサ76、バッテリセンサ78、油温センサ79、車両周辺情報センサ80、GPS(全地球測位システム)アンテナ81、外部ネットワーク通信用アンテナ82、ナビゲーションシステム83、運転支援設定スイッチ群84、シフトポジションセンサ85など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Ne 、車速Vに対応する出力回転速度No 、第1回転機MG1の回転速度であるMG1回転速度Ng 、AT入力回転速度Ni であるMG2回転速度Nm 、運転者の加速要求の大きさを表すアクセルペダルの踏込み操作量であるアクセル開度θacc 、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキ(常用ブレーキ)を作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、ブレーキペダルの踏力に対応する、運転者によるブレーキペダルの踏込操作力の大きさを表すブレーキ操作量Bra、車両10に備えられたステアリングホイールの操舵角θswおよび操舵方向Dsw、ステアリングホイールが運転者によって握られている状態を示す信号であるステアリングオン信号SWon、運転者の状態を示す信号であるドライバ状態信号Drv、車両10の前後加速度Gx 、車両10の左右加速度Gy 、車両10の鉛直軸まわりの回転角速度であるヨーレートRyaw 、バッテリ54のバッテリ温度THbat やバッテリ充放電電流Ibat 、バッテリ電圧Vbat 、係合装置CBの油圧アクチュエータへ供給される作動油すなわち係合装置CBを作動させる作動油の温度である作動油温THoil 、カメラや距離センサ等で検出した車両周辺情報Iard 、GPS信号Sgps 、通信信号Scom 、ナビ情報Inavi、自動運転制御やオートクルーズ制御等の運転支援制御における運転者による設定を示す信号である運転支援設定信号Sset 、車両10に備えられたシフトレバーの操作ポジションPOSsh など)が、それぞれ供給される。
ドライバ状態センサ73は、例えば運転者の表情や瞳孔などを撮影するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体情報センサなどのうちの少なくとも一つを含んでおり、運転者の視線や顔の向き、眼球や顔の動き、心拍の状態等の運転者の状態を取得する。
車両周辺情報センサ80は、例えばライダー、レーダー、および車載カメラなどのうちの少なくとも一つを含んでおり、走行中の道路に関する情報や車両周辺に存在する物体に関する情報を直接的に取得する。ライダーは、例えば車両10の前方の物体、側方の物体、後方の物体などを各々検出する複数のライダー、または、車両10の全周囲の物体を検出する一つのライダーであり、検出した物体に関する物体情報を車両周辺情報Iard として出力する。レーダーは、例えば車両10の前方の物体、前方近傍の物体、後方近傍の物体などを各々検出する複数のレーダーなどであり、検出した物体に関する物体情報を車両周辺情報Iard として出力する。前記ライダーやレーダーによる物体情報には、検出した物体の車両10からの距離と方向とが含まれる。車載カメラは、例えば車両10のフロントガラスの裏側に設けられた、車両10の前方を撮像する単眼カメラまたはステレオカメラであり、撮像情報を車両周辺情報Iard として出力する。この撮像情報には、走行路の車線、走行路における標識、及び走行路における他車両や歩行者や障害物などの情報が含まれる。
運転支援設定スイッチ群84は、自動運転制御を実行させる為の自動運転選択スイッチ、オートクルーズ制御を実行させる為のクルーズスイッチ、オートクルーズ制御における車速を設定するスイッチ、クルーズ制御における先行車との車間距離を設定するスイッチ、設定された車線を維持して走行するレーンキープ制御を実行させる為のスイッチなどを含んでいる。
通信信号Scom は、例えばサーバや道路交通情報通信システムなどの車外装置であるセンタとの間で送受信された道路交通情報など、および/または、前記センタを介さずに車両10の近傍にいる他車両との間で直接的に送受信された車車間通信情報などを含んでいる。道路交通情報には、例えば道路の渋滞、事故、工事、所要時間、駐車場などの情報が含まれる。車車間通信情報は、例えば車両情報、走行情報、交通環境情報などを含んでいる。車両情報には、例えば乗用車、トラック、二輪車などの車種を示す情報が含まれる。走行情報には、例えば車速V、位置情報、ブレーキペダルの操作情報、ターンシグナルランプの点滅情報、ハザードランプの点滅情報などの情報が含まれる。交通環境情報には、例えば道路の渋滞、工事などの情報が含まれる。
ナビ情報Inaviは、例えばナビゲーションシステム83に予め記憶された地図データに基づく道路情報や施設情報などの地図情報などを含んでいる。道路情報には、市街地道路、郊外道路、山岳道路、高速自動車道路すなわち高速道路などの道路の種類、道路の分岐や合流、道路の勾配、制限車速などの情報が含まれる。施設情報には、スーパー、商店、レストラン、駐車場、公園、車両10を修理する拠点、自宅、高速道路におけるサービスエリアなどの拠点の種類、所在位置、名称などの情報が含まれる。サービスエリアは、例えば高速道路で、駐車、食事、給油などの設備のある拠点である。
ナビゲーションシステム83は、GPS信号Sgps に基づいて、予め記憶された地図データ上に自車位置を特定する。ナビゲーションシステム83は、表示装置89に表示した地図上に自車位置を表示する。ナビゲーションシステム83は、目的地が入力されると、出発地から目的地までの走行経路を演算し、表示装置89やスピーカ等で運転者に走行経路などの指示を行う。表示装置89は、例えばタッチ操作が可能なマルチディスプレイなどで、ナビゲーションシステム83以外の種々の用途に使用可能で、車両10の点検に関するメンテナンス情報などについても表示できる。また、表示装置89は、画像表示だけでなく音声や音楽等の音を発生することもできる。
シフトポジションセンサ85は、シフトレバーの操作位置(シフトポジション)を検出するものである。シフトレバーは、前進走行用のDレンジ、後進走行用のRレンジ、駐車用のPレンジ、および動力伝達を遮断するNレンジを選択するもので、Dレンジを選択するD位置、Rレンジを選択するR位置、Pレンジを選択するP位置、Nレンジを選択するN位置の何れかに操作される。動力伝達装置12は、選択レンジに応じて動力伝達状態が切り替えられ、Dレンジでは車両10を前進走行可能とし、Rレンジでは車両10を後進走行可能とし、PレンジおよびNレンジでは動力伝達不能とする。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、外部ネットワーク通信用アンテナ82、ホイールブレーキ装置86、操舵装置87、情報周知装置88など)に各種指令信号(例えばエンジン14を制御する為のエンジン制御指令信号Se 、第1回転機MG1および第2回転機MG2を各々制御する為の回転機制御指令信号Smg、係合装置CBの作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Sat、通信信号Scom 、ホイールブレーキによる制動トルクを制御する為のブレーキ制御指令信号Sbra 、車輪(特には前輪)の操舵を制御する為の操舵制御指令信号Sste 、運転者に警告や報知を行う為の情報周知制御指令信号Sinf など)が、それぞれ出力される。
ホイールブレーキ装置86は、車輪にホイールブレーキによる制動トルクを付与するブレーキ装置である。ホイールブレーキ装置86は、運転者による例えばブレーキペダルの踏込操作などに応じて、ホイールブレーキに設けられたホイールシリンダへブレーキ油圧を供給する。このホイールブレーキ装置86では、通常時には、ブレーキマスタシリンダから発生させられる、ブレーキペダルの踏力に対応した大きさのマスタシリンダ油圧が直接的にブレーキ油圧としてホイールシリンダへ供給される。一方で、ホイールブレーキ装置86では、例えばABS制御時、横滑り抑制制御時、車速制御時、自動運転制御時などには、ホイールブレーキによる制動トルクの発生の為に、各制御で必要なブレーキ油圧がホイールシリンダへ供給される。上記車輪は、駆動輪28および不図示の従動輪である。
操舵装置87は、例えば車速V、操舵角θswおよび操舵方向Dsw、ヨーレートRyaw などに応じたアシストトルクを車両10の操舵系に付与する。操舵装置87では、例えば自動運転制御時などには、前輪の操舵を制御するトルクを車両10の操舵系に付与する。
情報周知装置88は、例えば車両10の走行に関わる何らかの部品が故障したり、その部品の機能が低下した場合に、運転者に対して警告や報知を行う装置である。情報周知装置88は、例えばモニタやディスプレイやアラームランプ等の表示装置、および/またはスピーカやブザー等の音出力装置などである。表示装置として前記表示装置89を利用することも可能である。音出力装置は、運転者に対して聴覚的な警告や報知を行う装置である。
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、運転制御手段すなわち運転制御部94、AT変速制御手段すなわちAT変速制御部96、およびハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部98を備えている。
運転制御部94は、車両10の運転制御として、運転者の運転操作に基づいて走行する自律運転制御と、運転者の運転操作に因らず車両10の運転制御を自動的に行うことで走行する自動運転制御、例えば運転者により入力された目的地や地図情報などに基づいて自動的に目標走行状態を設定し、その目標走行状態に基づいて加減速と操舵とを自動的に行うことで走行する自動運転制御とを行うことが可能である。自律運転制御は、運転者の運転操作による自律運転にて走行する運転制御であり、運転者の運転操作による手動運転にて走行する手動運転制御である。その自律運転は、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作などの運転者の運転操作によって車両10の通常走行を行う運転方法である。自動運転制御は、自動運転にて走行する運転制御である。その自動運転は、運転者の運転操作(意思)に因らず、各種センサからの信号や情報等に基づく電子制御装置90による制御により加減速、制動、操舵などを自動的に行うことによって車両10の走行を行う運転方法である。
運転制御部94は、運転支援設定スイッチ群84における自動運転選択スイッチにおいて自動運転が選択されていない場合には、自律運転モードを成立させて自律運転制御を実行する。運転制御部94は、有段変速部20やエンジン14や回転機MG1、MG2を各々制御する指令をAT変速制御部96およびハイブリッド制御部98に出力することで自律運転制御を実行する。
運転制御部94は、運転者によって運転支援設定スイッチ群84における自動運転選択スイッチが操作されて自動運転が選択されている場合には、自動運転モードを成立させて自動運転制御を実行する。具体的には、運転制御部94は、運転者により入力された目的地や燃費優先度や車速や車間距離等の各種設定と、GPS信号Sgps に基づく自車位置情報と、ナビ情報Inaviおよび/または通信信号Scom に基づく、カーブ等の道路状態や勾配や高度や法定速度等の前記地図情報、インフラ情報、および天候等と、車両周辺情報Iard に基づく走行路の車線、走行路における標識、走行路における他車両や歩行者などの情報とに基づいて、自動的に目標走行状態を設定する。運転制御部94は、設定した目標走行状態に基づいて加減速と制動と操舵とを自動的に行うことで自動運転制御を行う。この加減速は車両10の加速と車両10の減速とであり、ここでの減速には制動を含めても良い。
運転制御部94は、前記目標走行状態として、目標ルートおよび目標進路、実際の車間距離などに基づく安全マージンを考慮した目標車速、目標車速や走行抵抗分などに基づく目標駆動トルクまたは目標加減速度などを設定する。上記走行抵抗は、例えば予め運転者によって車両10に設定された値、車外との通信により取得された地図情報や車両諸元に基づく値、または、走行中に勾配や実駆動量や実前後加速度Gx 等に基づいて演算された推定値などが用いられる。運転制御部94は、目標駆動トルクが得られるように、有段変速部20やエンジン14や回転機MG1、MG2を各々制御する指令をAT変速制御部96およびハイブリッド制御部98に出力する。目標駆動トルクが負値の場合すなわち制動トルクが必要な場合は、エンジン14によるエンジンブレーキトルク、第2回転機MG2による回生ブレーキトルク、およびホイールブレーキ装置86によるホイールブレーキトルクのうちの少なくとも一つのブレーキトルクが車両10に作用させられる。例えば、運転制御部94は、利用可能な範囲でホイールブレーキトルクを演算し、目標駆動トルクが得られるように、そのホイールブレーキトルクを作用させる為のブレーキ制御指令信号Sbra をホイールブレーキ装置86に出力する。加えて、運転制御部94は、設定した目標走行状態に基づいて前輪の操舵を制御する為の操舵制御指令信号Sste を操舵装置87に出力する。
AT変速制御部96は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係、すなわち予め定められた関係である図4に例示したATギヤ段変速マップ等、を用いて有段変速部20の変速判断を行い、必要に応じて有段変速部20の変速制御を実行する。AT変速制御部96は、この有段変速部20の変速制御では、有段変速部20のATギヤ段を自動的に切り替えるように、ソレノイドバルブSL1−SL4により係合装置CBの係合解放状態を切り替える為の油圧制御指令信号Satを油圧制御回路56へ出力する。上記ATギヤ段変速マップは、例えば車速Vおよび要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、有段変速部20の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。ここでは、車速Vに替えて出力回転速度No などを用いても良いし、また、要求駆動力Frdemに替えて要求駆動トルクTrdemやアクセル開度θacc やスロットル弁開度θthなどを用いても良い。上記ATギヤ段変速マップにおける各変速線は、実線に示すようなアップシフトが判断される為のアップシフト線、および破線に示すようなダウンシフトが判断される為のダウンシフト線である。自動運転制御の場合、上記要求駆動力Frdemや要求駆動トルクTrdemとして、例えば目標駆動力や目標駆動トルクを適用すれば良い。
図9は、上記AT変速制御部96によって実行される有段変速部20の変速時における各部の作動状態の変化を示すタイムチャートの一例である。具体的には、ブレーキB1が解放されるとともにクラッチC2が係合制御される2→3アップシフト時のタイムチャートである。図9において、時間t1は変速指令に従って変速制御が開始された時間であり、C2油圧指令値(具体的にはリニアソレノイドバルブSL2の駆動電流Idr)が前記図8に示すような予め定められた制御パターンに従って変化させられるとともに、B1油圧指令値(具体的にはリニアソレノイドバルブSL3の駆動電流Idr)が予め定められた制御パターンに従って変化させられる。時間t2は、ブレーキB1およびクラッチC2の係合トルクの変化に伴ってAT入力回転速度Ni であるMG2回転速度Nm が低下し始めるイナーシャ相の開始時間であり、時間t3は、MG2回転速度Nm が変速先のAT3速ギヤ段「3rd」の同期回転速度まで低下したイナーシャ相の終了時間、すなわち変速終了時間である。
ハイブリッド制御部98は、エンジン14の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ52を介して第1回転機MG1および第2回転機MG2の作動を制御する回転機制御手段すなわち回転機制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン14、第1回転機MG1、および第2回転機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。ハイブリッド制御部98は、予め定められた関係である例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc および車速Vを適用することで、駆動要求量としての駆動輪28における要求駆動力Frdem[N]を算出する。駆動要求量としては、要求駆動力Frdemの他に、駆動輪28における要求駆動トルクTrdem[Nm]、駆動輪28における要求駆動パワーPrdem[W]、出力軸22における要求AT出力トルク等を用いることもできる。自動運転制御の場合、上記要求駆動力Frdemや要求駆動トルクTrdemとして、例えば目標駆動力や目標駆動トルクを適用すれば良い。
ハイブリッド制御部98は、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン14を制御する指令信号であるエンジン制御指令信号Se と、第1回転機MG1および第2回転機MG2を制御する指令信号である回転機制御指令信号Smgとを出力する。エンジン制御指令信号Se は、例えばそのときのエンジン回転速度Ne におけるエンジントルクTe を出力するエンジン14のパワーであるエンジンパワーPe の指令値である。回転機制御指令信号Smgは、例えばエンジントルクTe の反力トルクとしての指令出力時のMG1回転速度Ng におけるMG1トルクTg を出力する第1回転機MG1の発電電力Wg の指令値であり、また、指令出力時のMG2回転速度Nm におけるMG2トルクTm を出力する第2回転機MG2の消費電力Wm の指令値である。
ハイブリッド制御部98は、例えば無段変速部18を無段変速機として作動させて複合変速機40全体として無段変速機として作動させる場合、エンジン最適燃費点等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するエンジンパワーPe が得られるエンジン回転速度Ne とエンジントルクTe となるように、エンジン14を制御すると共に第1回転機MG1の発電電力Wg を制御することで、無段変速部18の無段変速制御を実行して無段変速部18の変速比γ0を変化させる。この制御の結果として、無段変速機として作動させる場合の複合変速機40の変速比γtが制御される。
ハイブリッド制御部98は、例えば無段変速部18を有段変速機のように変速させて複合変速機40全体として有段変速機のように変速させる場合、予め定められた関係である例えば模擬ギヤ段変速マップを用いて複合変速機40の変速判断を行い、AT変速制御部96による有段変速部20のATギヤ段の変速制御と協調して、複数の模擬ギヤ段を選択的に成立させるように無段変速部18の変速制御を実行する。複数の模擬ギヤ段は、それぞれの変速比γtを維持できるように車速Vに応じて第1回転機MG1によりエンジン回転速度Ne を制御することによって成立させることができる。各模擬ギヤ段の変速比γtは、車速Vの全域に亘って必ずしも一定値である必要はなく、所定領域で変化させても良いし、各部の回転速度の上限や下限等によって制限が加えられても良い。このように、ハイブリッド制御部98は、エンジン回転速度Ne を有段変速のように変化させる変速制御が可能である。複合変速機40全体として有段変速機のように変速させる模擬有段変速制御は、例えば運転者によってスポーツ走行モード等の走行性能重視の走行モードが選択された場合や要求駆動トルクTrdemが比較的大きい場合に、複合変速機40全体として無段変速機として作動させる無段変速制御に優先して実行するだけでも良いが、所定の実行制限時を除いて基本的に模擬有段変速制御が実行されても良い。
ハイブリッド制御部98は、走行モードとして、モータ走行モードまたはハイブリッド走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部98は、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値よりも小さなモータ走行領域にある場合には、モータ走行モードを成立させる一方で、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値以上となるハイブリッド走行領域にある場合には、ハイブリッド走行モードを成立させる。図4の一点鎖線Aは、車両10の走行用の動力源を、少なくともエンジン14とするか、第2回転機MG2のみとするかを切り替える為の境界線である。すなわち、図4の一点鎖線Aは、ハイブリッド走行とモータ走行とを切り替える為のハイブリッド走行領域とモータ走行領域との境界線である。この図4の一点鎖線Aに示すような境界線を有する予め定められた関係は、車速Vおよび要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標で構成された動力源切替マップの一例である。なお、図4では、便宜上、この動力源切替マップをATギヤ段変速マップと共に示している。自動運転制御でも、同様の動力源切替マップを用いてモータ走行モードとハイブリッド走行モードとを切り替えて走行することができる。
電子制御装置90はまた、前記有段変速部20の変速に関与する係合装置CBの係合油圧Pcbを制御する際に、その係合油圧Pcbに関する制御パラメータを学習制御する変速学習制御部100を備えている。すなわち、有段変速部20の変速制御に関与するリニアソレノイドバルブSL1〜SL4や係合装置CBの個体差(例えば特性のばらつきなど)、経時変化等によって定常的に生じる係合トルクの誤差成分により、変速時に吹きやタイアップが発生したり変速所要時間が長くなったりして変速ショックを生じることがある。この誤差成分を補正するために、言い換えれば変速が所定の目標状態で進行するように、それ等の係合装置CBの係合油圧Pcbに関する制御パラメータを学習制御する。変速学習制御部100は学習制御装置に相当し、学習部102、進捗状況解析部104、進捗状況伝達部106、および学習促進方法提示部108を機能的に備えている。
学習部102は、学習制御の基本部分を実行するもので、AT変速制御部96によって有段変速部20が変速された際に、実際の制御結果に基づいて学習制御を行なう。例えば2→3アップシフトの場合、ブレーキB1を解放するとともにクラッチC2を係合制御して変速が行なわれるが、本実施例では係合側の摩擦係合装置であるクラッチC2の係合油圧Pc2に関する制御パラメータである前記係合待機圧α(図8参照)を学習制御する。具体的には、前記図9におけるイナーシャ相の開始時(時間t2)に、MG2回転速度Nm が変速前(AT2速ギヤ段)の同期回転速度から上昇する吹き量(図9の破線参照)が予め定められた目標範囲内になるように、係合待機圧αの基準値(初期値)に対する補正量である学習値LRNを増減する。すなわち、吹き量が大きい場合は、係合待機圧αが高くなるように学習値LRNを増大し、吹き量が少ない場合は係合待機圧αが低くなるように学習値LRNを減少させる。MG2回転速度Nm の吹きに対応してエンジン回転速度Ne も吹くため、エンジン回転速度Ne の吹き量に基づいて係合待機圧αの学習制御を行なうこともできるし、吹き量の代わりに吹き時間に基づいて係合待機圧αの学習制御を行なうこともできる。
そして、上記学習値LRNを記憶しておいて、次回の2→3アップシフトの際には、学習値LRNによって補正された係合待機圧αを用いてクラッチC2の係合制御が行なわれる。この学習値LRNは、2→3アップシフトが行なわれる毎に逐次更新され、一般に学習制御の開始当初は比較的大きく変動してハンチング(上下変動)を生じる可能性があるが、繰り返し学習が行なわれることによりハンチングが小さくなり、やがて略一定の値に収束する。すなわち、係合待機圧αの学習制御によって吹き量が所定の目標範囲内となる目標状態で変速が行なわれるようになる。この学習制御では、誤学習を防止するために学習値LRNの範囲を制限する学習ガードが必要に応じて設定される。図10は、学習値LRNの一例で、車両状態であるアクセル開度θacc が異なる4つの領域に区分けして学習が行なわれる場合である。アクセル開度θacc の代わりにスロットル弁開度θth等の他の車両状態によって区分けしても良い。
係合待機圧αの代わりに、図8の待機時間βや変化率γ等の他の制御パラメータを学習制御するようにしても良い。また、解放側のブレーキB1の油圧指令値の制御パターンの待機圧や待機時間、変化率等を学習制御することも可能である。2→3アップシフト以外のアップシフトやダウンシフトについても、同様に係合側および/または解放側の係合装置CBの係合油圧Pcbに関する所定の制御パラメータ(上記α、β、γ等)が学習制御される。
進捗状況解析部104、進捗状況伝達部106、および学習促進方法提示部108は、上記学習部102による学習の進捗状況を知らせることにより、必要に応じて学習を促進する作業を行なうことができるようにするためのもので、図11のフローチャートのステップS1〜S6(以下、ステップを省略して単にS1〜S6という。)に従って信号処理を実行する。図11のフローチャートのS2およびS3は進捗状況解析部104に相当し、S4は進捗状況伝達部106に相当し、S5およびS6は学習促進方法提示部108に相当する。
図11のS1では、学習の進捗状況の表示指示があったか否かを判断し、表示指示が無ければそのまま終了し、表示指示があった場合はS2以下を実行する。具体的には、例えば表示装置89に表示される図12のエンター画面140にパスワードや進捗状況の表示対象等の所定事項が入力されて学習状況表示釦142がタッチ操作された場合に、表示指示があったと判断する。図12のエンター画面140は、表示装置89のメンテナンス画面等から選択できるように設けられており、「ディーラ名」および「パスワード」が正しいことを条件として先へ進むことができる。すなわち、この学習進捗状況の表示は、車両10の定期点検時等にディーラの整備工場で、予め許可された特定の作業者、例えばその整備工場の技術者等に対して行なうことを前提としており、ユーザー等の一般人が勝手に見ることはできない。図12は、進捗状況の「表示対象」として、2→3アップシフトのC2係合待機圧αが選択されている場合である。この「表示対象」については、学習状況表示釦142がタッチ操作された後の次の画面等で選択できるようにしても良い。なお、車両10とは別個に整備工場等に備えられた学習状況表示ツールを用いて学習の進捗状況を確認する場合は、例えばその学習状況表示ツールが車両10に接続されたことをもって表示指示と判断すれば良い。
S2では、表示対象の学習の進捗状況に関する情報を含むビッグデータを、前記外部ネットワーク通信用アンテナ82等を介して収集する。すなわち、車両10と同じ有段変速部20および学習部102を有する走行中の他の多数の車両から各種のデータを収集するビッグデータ管理センタ等から、表示対象である係合待機圧αの学習に関するデータをダウンロードして、学習値LRNの変化が所定以下になる学習収束時までの変速回数(学習回数に対応)の平均値等を学習収束標準値Nlrn として求める。図13は、学習値LRNの変化が所定以下になる学習収束時までの変速回数に関するビッグデータの分布図の一例で、縦軸は車両台数、横軸は学習収束時までの変速回数であり、例えば学習収束時までの変速回数の平均値が学習収束標準値Nlrn として求められる。この学習収束標準値Nlrn は、アクセル開度θacc 等の車両状態に応じて複数に区分けして学習制御が行なわれる場合、その車両状態毎に分けて別々に求められる。すなわち、前記図10のように、アクセル開度θacc に応じて4つの領域に区分けして学習制御が行なわれる場合には、学習収束標準値Nlrn もアクセル開度θacc に応じて4つに区分けして別々に求められる。具体的には、図13に示すような分布図が、アクセル開度θacc に応じて4つ作成され、別々に学習収束標準値Nlrn が算出される。なお、上記平均値の代わりに最頻値(モード)や中央値(メジアン)を学習収束標準値Nlrn として求めても良い。また、上記ビッグデータや、実験、シミュレーション等により、学習収束標準値Nlrn が予め定められて記憶しておいても良い。
S3では、車両10における現状の学習の進捗状況を解析する。すなわち、S2で求められた学習収束標準値Nlrn を100(%)として、係合待機圧αに関する現在までの学習回数すなわち変速回数がどの程度かを、学習の進捗率Lr (%)として算出する。例えば学習収束標準値Nlrn =20の場合に、現在までの変速回数が5であれば、進捗率Lr は25%である。この進捗率Lr についても、アクセル開度θacc 等の車両状態に応じて複数に区分けして学習制御が行なわれる場合には、その車両状態毎に分けて別々に求められる。そして、次のS4では、S3で求められた進捗率Lr を、数値表示、グラフ表示等によって表示装置89に表示する。表示の代わりに、或いは表示に加えて、音声で伝達しても良い。図14は、この学習の進捗率Lr を棒グラフで表示した学習状況表示画面160の一例で、前記係合待機圧αに関するものであり、アクセル開度θacc に応じて4つの領域に区分けして表示される。推奨値Lr*は、係合待機圧α等の学習対象の制御パラメータを用いた各種の制御が適切に行なわれる程度に学習が進んだ進捗率Lr で、学習対象に応じて適宜定められ、図14では、吹きやタイアップ等による変速ショックの程度に基づいて60%程度の値が推奨値Lr*として定められている。したがって、推奨値Lr*よりも進捗率Lr が低い場合は、変速ショックを低減するために速やかに学習を進めることが望ましい。図14の場合、アクセル開度θacc が0−25%の領域の学習の進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低いため、作業者は、そのアクセル開度領域における2→3アップシフトが行なわれるように車両10を運転して学習を促進することが望まれる。図14では、アクセル開度θacc の相違に拘らず一定の推奨値Lr*が定められているが、アクセル開度θacc 等の車両状態に応じて複数に区分けして学習制御が行なわれる場合、その車両状態毎に分けて別々に推奨値Lr*が定められても良い。推奨値Lr*の表示を省略しても良い。
なお、図14では、2→3アップシフト時に係合させられるクラッチC2に関する係合待機圧αの学習の進捗率Lr が表示されているが、S1で複数の学習の進捗状況の表示指示を行なうことができるようにし、S4では、その複数の学習の進捗状況を表示できるようにしても良い。例えば、複数の係合装置CBの係合待機圧αの学習について、全部の進捗状況を同時に表示できるようにしても良い。
S5では、学習促進方法を提示する指示の有無を判断し、提示指示が無ければそのまま終了するが、提示指示があった場合はS6を実行する。すなわち、学習の進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低い場合など、学習の進捗状況が悪い時には、作業者は、その学習を促進する作業を行なうことが求められる。例えば、前記図14の場合、アクセル開度θacc が0−25%における2→3アップシフトが行なわれるように車両10を運転することが求められるが、図4の変速マップから明らかなように車速Vによって変速条件が異なるため、専門家であっても必ずしも容易な作業ではない。このため、図14の学習状況表示画面160には促進方法提示釦162が設けられ、この促進方法提示釦162がタッチ操作された場合には、学習促進方法を提示する指示があったと判断してS6を実行する。なお、進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低い学習が存在した場合には、自動的にその学習を促進する学習促進方法が提示されるようにしても良い。
S6では、進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低いものについて、その学習促進方法を表示装置89に表示する。図14のようにアクセル開度θacc が0−25%の領域の学習の進捗率Lr が低い場合には、そのアクセル開度θacc が0−25%の領域における2→3アップシフト時の係合待機圧αの学習を促進する方法として、例えば「車両を暖機後、初速50km/h、アクセル開度20%一定で加速して下さい。」といった運転方法を表示装置89に表示する。表示の代わりに、或いは表示に加えて、音声で伝達しても良い。そして、この学習促進方法に従って作業者が車両10を運転すれば、アクセル開度θacc が0−25%の領域の2→3アップシフトが行なわれるとともに、その変速時にクラッチC2の係合待機圧αの学習制御が実行され、アクセル開度θacc が0−25%の領域における2→3アップシフト時の係合待機圧αの学習を容易且つ迅速に促進することができる。学習状況表示画面160には、促進方法提示釦162の他に終了釦164が設けられており、終了釦164がタッチ操作された場合は、進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低い学習が存在したか否かに拘らず、S5の判断がNO(否定)となってそのまま終了する。
図1に戻って、車両10は、上記の各種の制御を実行する電子制御装置90のプログラムやデータの一部または全部が、車両用ソフトウェア更新システム110によって更新される。車両用ソフトウェア更新システム110は、電子制御装置90とは別に設けられた一対の第1ゲートウェイECU120、第2ゲートウェイECU126を備えて構成されている。第1ゲートウェイECU120、第2ゲートウェイECU126は、何れもCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を有する所謂マイクロコンピュータを備えて構成されている電子制御装置である。
第1ゲートウェイECU120は無線更新部として機能するもので、無線通信機122、125を介してソフト配信センタのサーバ124との間で情報を送受信することが可能であり、必要に応じて新たな更新用ソフトウェアをサーバ124からダウンロードして電子制御装置90のソフトウェア(プログラムやデータ)を更新する。ソフト配信センタは、車両10のメーカー等によって設けられたもので、携帯電話網や無線LAN網等の無線通信を介して第1ゲートウェイECU120との間で情報を送受信できる。無線通信機122の代わりに前記外部ネットワーク通信用アンテナ82を利用することもできる。
第2ゲートウェイECU126は有線更新部として機能するもので、更新ツール130を有線により機械的に着脱可能に接続できるコネクタ128を備えている。更新ツール130は、使用可能な更新用ソフトウェアが予め有線通信或いは無線通信等によりサーバ124等からダウンロードされて記憶されているもので、本実施例では車両10を取り扱う各ディーラに備えられている。更新ツール130は、少なくとも車両10に関する更新用ソフトウェアについて、ソフト配信センタのサーバ124と同期(シンクロ)させられており、例えば整備工場の技術者等により操作されて電子制御装置90のソフトウェア(プログラムやデータ)を更新することができる。
このように、本実施例の車両10に備えられた変速学習制御部100によれば、有段変速部20の変速に関与する係合装置CBの係合待機圧αが学習制御されるが、その学習の進捗状況として進捗率Lr が進捗状況解析部104によって求められるとともに進捗状況伝達部106によって表示装置89に表示されるため、車両10の点検時などに外部から係合待機圧αに関する学習の進捗率Lr を把握することができる。これにより、進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低い場合など、必要に応じて係合待機圧αに関する学習を促進する作業を行なうことが可能で、その学習値LRNを用いた有段変速部20の変速制御が適切に行なわれるようになる。
また、進捗状況解析部104は、車両10と同じ有段変速部20および学習部102を有する多数の車両から得られたビッグデータを用いて係合待機圧αに関する学習の進捗率Lr を解析するため、高い精度で進捗率Lr を求めることができる。
また、学習の進捗率Lr が推奨値Lr*よりも低い場合に、その学習を促進するための学習促進方法が表示装置89に表示されるため、その学習促進方法に従って容易且つ迅速に学習を促進することができる。
また、上記学習促進方法の提示を含めて学習の進捗状況を表示させる作業が、予め定められた特定の作業者に対してのみ許容されるため、その特定の作業者によって学習促進方法が適切に実施される。すなわち、学習促進方法の中には一般のユーザー等が簡単に行なえないものもあるため、ユーザー等の第三者によって間違った学習促進方法が行なわれることが防止される。
また、本実施例は、車両10に搭載された有段変速部20の変速に関与する係合装置CBの油圧Pcbを制御する際に、その変速が予め定められた目標状態で行なわれるようにその油圧Pcbに関する制御パラメータ、具体的には係合待機圧 α、を学習制御する場合で、一般に変速の種類等に応じて多数の学習制御が行なわれるとともに、それ等の学習制御における学習の進捗状況は走行条件によって異なるためばらつきがある。このため、本発明が適用されて各学習制御による学習の進捗状況をそれぞれ把握できれば、進捗状況が遅いものについて学習を促進する作業を適切に行なうことが可能で、総ての変速制御が速やかに適切に行なわれるようになる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両 20:機械式有段変速部(自動変速機) 100:変速学習制御部(学習制御装置) 102:学習部 104:進捗状況解析部 106:進捗状況伝達部 108:学習促進方法提示部 C1、C2:クラッチ(油圧式摩擦係合装置) B1、B2:ブレーキ(油圧式摩擦係合装置) α:係合待機圧(油圧に関する制御パラメータ) Lr :進捗率(進捗状況) Lr*:推奨値
Claims (6)
- 定常的に生じる誤差成分を補正するための学習制御を実行する学習部を有する車両に関する学習制御装置において、
前記学習部による学習の進捗状況を解析する進捗状況解析部と、
前記学習の進捗状況を知らせる進捗状況伝達部と、
を有することを特徴とする学習制御装置。 - 前記進捗状況解析部は、前記学習部を有する他の多数の車両の学習データに基づいて前記学習の進捗状況を解析する
ことを特徴とする請求項1に記載の学習制御装置。 - 前記学習の進捗状況が予め定められた推奨値よりも低い場合に、前記学習を促進するための学習促進方法を提示する学習促進方法提示部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の学習制御装置。 - 前記学習促進方法提示部は、予め定められた特定の作業者に対してのみ前記学習促進方法を提示するように該提示が制限されている
ことを特徴とする請求項3に記載の学習制御装置。 - 前記学習部は、前記車両に搭載された自動変速機の変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧を制御する際に、該変速が予め定められた目標状態で行なわれるように該油圧に関する制御パラメータを学習制御するものである
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の学習制御装置。 - 前記進捗状況解析部および前記進捗状況伝達部は前記学習部と共に前記車両の制御装置に備えられている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の学習制御装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11543027B1 (en) | 2021-07-26 | 2023-01-03 | Hyundai Motor Company | Line pressure control method for DCT |
-
2019
- 2019-10-03 JP JP2019183322A patent/JP2021060693A/ja active Pending
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