車載制御装置のソフトウェアは、例えばエンジン等の駆動力源の出力制御や自動変速機の変速制御、オートクルーズ制御、自動運転制御など、車両そのもの、或いは補機類やアクセサリ装置等の各種の制御に関係するもので、プログラムおよびデータの両方を含む。本発明の車両用ソフトウェア更新システムは、プログラムおよびデータの両方を更新するものでも良いが、プログラムおよびデータの何れか一方を更新するだけでも良い。無線更新部および有線更新部は、車載制御装置の内部に機能的に設けることもできるが、車載制御装置の外部に付加的に設けることも可能である。無線更新部および有線更新部を、単一の制御装置によって構成することもできる。車両そのものについては、エンジンや電動モータ等の動力源によって走行できるものであれば良く、電気自動車やハイブリッド車両、エンジン駆動車両など何でも良い。変速機も要件ではない。
更新作業者は、適切に更新作業を行なう上で特定の専門家が望ましい。特定の専門家としては、例えば車両のメーカーやディーラ(販売会社)等において、更新ツールを用いてソフトウェアの更新作業を行なうことを許可された者が望ましく、ディーラの整備工場の技術担当者等が適当である。無線通信によるソフトウェアの更新作業は、必要に応じて更新ツールを接続して有線更新部による更新を行なうことができるように、更新ツールが備えられた場所で行なうことが望ましい。更新ツールはパソコンやタブレット、或いは専用機などで、例えば有線通信または無線通信等によるダウンロード、或いは記録媒体等を介して、予め更新用のソフトウェアが記憶され、或いは有線通信等によってリアルタイムで確実に更新用のソフトウェアをダウンロードできるように構成される。この意味で、更新ツールは整備工場に設けられることが望ましいが、その他の場所に備えられても良い。有線更新部による更新を促す方法としては、文字等による画像表示や音声、警告音等による音伝達が適当である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両10に備えられた動力伝達装置12の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン14と第1回転機MG1と第2回転機MG2とを備えている。動力伝達装置12は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース16内において共通の軸心上に直列に配設された、電気式無段変速部18および機械式有段変速部20等を備えている。電気式無段変速部18は、直接的に或いは図示しないダンパーなどを介して間接的にエンジン14に連結されている。機械式有段変速部20は、電気式無段変速部18の出力側に連結されている。また、動力伝達装置12は、機械式有段変速部20の出力回転部材である出力軸22に連結された差動歯車装置24、差動歯車装置24に連結された一対の車軸26等を備えている。動力伝達装置12において、エンジン14や第2回転機MG2から出力される動力は、機械式有段変速部20へ伝達され、その機械式有段変速部20から差動歯車装置24等を介して車両10が備える駆動輪28へ伝達される。なお、以下の説明では、トランスミッションケース16をケース16、電気式無段変速部18を無段変速部18、機械式有段変速部20を有段変速部20という。また、動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。また、無段変速部18や有段変速部20等は上記共通の軸心に対して略対称的に構成されており、図1ではその軸心の下半分が省略されている。上記共通の軸心は、エンジン14のクランク軸、後述する連結軸34などの軸心である。
エンジン14は、駆動トルクを発生することが可能な動力源として機能する機関であって、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。このエンジン14は、後述する電子制御装置90によって車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等のエンジン制御装置50が制御されることにより、エンジン14の出力トルクであるエンジントルクTe が制御される。本実施例では、エンジン14は、トルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく無段変速部18に連結されている。
第1回転機MG1および第2回転機MG2は、電動機(モータ)としての機能および発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1および第2回転機MG2は、各々、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられた蓄電装置としてのバッテリ54に接続されており、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、第1回転機MG1および第2回転機MG2の各々の出力トルクであるMG1トルクTg およびMG2トルクTm が制御される。回転機の出力トルクは、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。バッテリ54は、第1回転機MG1および第2回転機MG2の各々に対して電力を授受する蓄電装置である。
無段変速部18は、第1回転機MG1と、エンジン14の動力を第1回転機MG1および無段変速部18の出力回転部材である中間伝達部材30に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構32とを備えている。中間伝達部材30には第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。無段変速部18は、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式無段変速機である。第1回転機MG1は、エンジン14の回転速度であるエンジン回転速度Ne を制御可能な回転機であって、差動用回転機に相当する。第2回転機MG2は、駆動トルクを発生することが可能な動力源として機能する回転機であって、走行駆動用回転機に相当する。車両10は、走行用の動力源として、エンジン14および第2回転機MG2を備えたハイブリッド車両である。動力伝達装置12は、動力源の動力を駆動輪28へ伝達する。
差動機構32は、シングルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、サンギヤS0、キャリアCA0、およびリングギヤR0を備えている。キャリアCA0には連結軸34を介してエンジン14が動力伝達可能に連結され、サンギヤS0には第1回転機MG1が動力伝達可能に連結され、リングギヤR0には中間伝達部材30および第2回転機MG2が動力伝達可能に連結されている。差動機構32において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能する。
有段変速部20は、中間伝達部材30と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する有段変速機としての機械式変速機構、つまり無段変速部18と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する機械式変速機構である。中間伝達部材30は、有段変速部20の入力回転部材としても機能する。中間伝達部材30には第2回転機MG2が一体回転するように連結されており、また、無段変速部18の入力側にはエンジン14が連結されているため、有段変速部20は、動力源(第2回転機MG2またはエンジン14)と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機である。中間伝達部材30は、駆動輪28に動力源の動力を伝達する為の伝達部材である。有段変速部20は、例えば第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の複数組の遊星歯車装置と、ワンウェイクラッチF1を含み、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2の複数の係合装置とを備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。以下、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、およびブレーキB2については、特に区別しない場合は単に係合装置CBという。
係合装置CBは、油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式の摩擦係合装置である。係合装置CBは、車両10に備えられた油圧制御回路56内のソレノイドバルブSL1-SL4等から各々出力される調圧された係合装置CBの各係合圧としての各係合油圧PRcbによりそれぞれのトルク容量である係合トルクTcbが変化させられることで、各々、係合や解放などの状態である作動状態が切り替えられる。
有段変速部20は、第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の複数の回転要素が、直接的に或いは係合装置CBやワンウェイクラッチF1を介して間接的に、互いに連結されるとともに、中間伝達部材30、ケース16、或いは出力軸22に連結されている。第1遊星歯車装置36は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を相対回転可能に備えており、第2遊星歯車装置38は、サンギヤS2、キャリアCA2、およびリングギヤR2の3つの回転要素を相対回転可能に備えている。
有段変速部20は、複数の係合装置CBのうちの何れかの所定の係合装置の係合によって、変速比γat(=AT入力回転速度Ni /出力回転速度No )が異なる複数のギヤ段が形成される有段変速機である。つまり、有段変速部20は、複数の係合装置CBの係合解放状態が変更されることにより、ギヤ段が切り替えられる、すなわち変速が実行される。有段変速部20は、複数のギヤ段が形成される有段式の自動変速機である。本実施例では、有段変速部20にて形成されるギヤ段をATギヤ段と称する。AT入力回転速度Ni は、有段変速部20の入力回転部材の回転速度であって、中間伝達部材30の回転速度と同値であり、また、第2回転機MG2の回転速度であるMG2回転速度Nm と同値である。AT入力回転速度Ni は、MG2回転速度Nm で表すことができる。出力回転速度No は、有段変速部20の出力回転部材である出力軸22の回転速度であって、無段変速部18と有段変速部20とを合わせた全体の変速機である複合変速機40の出力回転速度でもある。複合変速機40は、エンジン14と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機である。
有段変速部20は、例えば図2の係合作動表に示すように、複数のATギヤ段として、AT1速ギヤ段(図中の「1st」)-AT4速ギヤ段(図中の「4th」)の4段の前進用のATギヤ段が形成される。AT1速ギヤ段「1st」の変速比γatが最も大きく、ハイ側すなわちAT4速ギヤ段「4th」側へ向かうに従って、変速比γatが小さくなる。図2の係合作動表は、各ATギヤ段と複数の係合装置CBの各作動状態との関係をまとめたものである。すなわち、図2の係合作動表は、各ATギヤ段と、各ATギヤ段において各々係合される係合装置である所定の係合装置との関係をまとめたものである。図2において、「○」は係合、「△」はエンジンブレーキ時や有段変速部20のコーストダウンシフト時に係合、空欄は解放をそれぞれ表している。
有段変速部20は、後述する電子制御装置90によって、ドライバー(運転者)のアクセル操作や車速V等に応じて形成されるATギヤ段が切り替えられる、すなわち所定のATギヤ段が選択的に形成される。有段変速部20の変速制御においては、係合装置CBの何れか2つの掴み替え、すなわち係合装置CBの何れか1つの係合、および係合装置CBの他の何れか1つの解放により変速が実行される、所謂クラッチツークラッチ変速が実行される。本実施例では、例えばAT2速ギヤ段「2nd」からAT1速ギヤ段「1st」へのダウンシフトを2→1ダウンシフトと表す。他のアップシフトやダウンシフトについても同様である。
図3は、無段変速部18および有段変速部20の複数の回転要素の回転速度の相対的関係を直線で表すことができる共線図である。図3において、無段変速部18を構成する差動機構32の3つの回転要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応するサンギヤS0の回転速度を表すg軸であり、第1回転要素RE1に対応するキャリアCA0の回転速度を表すe軸であり、第3回転要素RE3に対応するリングギヤR0の回転速度(すなわち有段変速部20の入力回転速度)を表すm軸である。また、有段変速部20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応するサンギヤS2の回転速度、第5回転要素RE5に対応する相互に連結されたリングギヤR1およびキャリアCA2の回転速度(すなわち出力軸22の回転速度)、第6回転要素RE6に対応する相互に連結されたキャリアCA1およびリングギヤR2の回転速度、第7回転要素RE7に対応するサンギヤS1の回転速度をそれぞれ表す軸である。縦線Y1、Y2、Y3の相互の間隔は、差動機構32のギヤ比(歯数比ともいう)ρ0に応じて定められている。また、縦線Y4、Y5、Y6、Y7の相互の間隔は、第1、第2遊星歯車装置36、38の各ギヤ比ρ1、ρ2に応じて定められている。差動機構32および遊星歯車装置36、38は何れもシングルピニオン型の遊星歯車装置であるため、共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリアとの間隔を「1」とすると、キャリアとリングギヤとの間隔は各遊星歯車装置のギヤ比ρ(=サンギヤの歯数Zs /リングギヤの歯数Zr )となる。
図3の共線図を用いて表現すれば、無段変速部18の差動機構32において、第1回転要素RE1にエンジン14(図中の「ENG」参照)が連結され、第2回転要素RE2に第1回転機MG1(図中の「MG1」参照)が連結され、中間伝達部材30と一体回転する第3回転要素RE3に第2回転機MG2(図中の「MG2」参照)が連結されて、エンジン14の回転を中間伝達部材30を介して有段変速部20へ伝達するように構成されている。無段変速部18では、縦線Y2を横切る各直線L0、L0Rにより、サンギヤS0の回転速度とリングギヤR0の回転速度との関係が示される。
また、有段変速部20において、第4回転要素RE4はクラッチC1を介して中間伝達部材30に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6はクラッチC2を介して中間伝達部材30に選択的に連結されると共にブレーキB2を介してケース16に選択的に連結され、第7回転要素RE7はブレーキB1を介してケース16に選択的に連結される。有段変速部20では、係合装置CBの係合解放制御によって縦線Y5を横切る各直線L1、L2、L3、L4により、AT1速ギヤ段「1st」、AT2速ギヤ段「2nd」、AT3速ギヤ段「3rd」、AT4速ギヤ段「4th」における各々の出力軸22の回転速度が示される。
図3中の実線で示す、直線L0および直線L1、L2、L3、L4は、少なくともエンジン14を動力源として走行するハイブリッド走行が可能なハイブリッド走行モードでの前進走行における各回転要素の相対回転速度を示している。このハイブリッド走行モードでは、差動機構32において、キャリアCA0に入力されるエンジントルクTe に対して、第1回転機MG1による負トルクである反力トルクが正回転にてサンギヤS0に入力されると、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるエンジン直達トルクTd (=Te /(1+ρ0)=-(1/ρ0)×Tg )が現れる。そして、要求駆動力に応じて、エンジン直達トルクTd とMG2トルクTm との合算トルクが車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段「1st」-AT4速ギヤ段「4th」のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部20を介して駆動輪28へ伝達される。このとき、第1回転機MG1は正回転にて負トルクを発生する発電機として機能する。第1回転機MG1の発電電力Wg は、バッテリ54に充電されたり、第2回転機MG2にて消費される。第2回転機MG2は、発電電力Wg の全部または一部を用いて、或いは発電電力Wg に加えてバッテリ54からの電力を用いて、MG2トルクTm を出力する。
図3に図示はしていないが、エンジン14を停止させると共に第2回転機MG2を動力源として走行するモータ走行が可能なモータ走行モードでの共線図では、差動機構32において、キャリアCA0はゼロ回転とされ、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるMG2トルクTm が入力される。このとき、サンギヤS0に連結された第1回転機MG1は、無負荷状態とされて負回転にて空転させられる。つまり、モータ走行モードでは、エンジン14は駆動されず、エンジン回転速度Ne はゼロとされ、MG2トルクTm が車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段「1st」-AT4速ギヤ段「4th」のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速部20を介して駆動輪28へ伝達される。ここでのMG2トルクTm は、正回転の力行トルクである。
図3中の破線で示す、直線L0Rおよび直線LRは、モータ走行モードでの後進走行における各回転要素の相対回転速度を示している。このモータ走行モードでの後進走行では、リングギヤR0には負回転にて負トルクとなるMG2トルクTm が入力され、そのMG2トルクTm が車両10の後進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段「1st」が形成された有段変速部20を介して駆動輪28へ伝達される。車両10では、後述する電子制御装置90によって、複数のATギヤ段のうちの前進用のロー側のATギヤ段である例えばAT1速ギヤ段「1st」が形成された状態で、前進走行時における前進用のMG2トルクTm とは正負が反対となる後進用のMG2トルクTm が第2回転機MG2から出力されることで、後進走行を行うことができる。ここでは、前進用のMG2トルクTm は正回転の正トルクとなる力行トルクであり、後進用のMG2トルクTm は負回転の負トルクとなる力行トルクである。縦線Y5と直線LRとの交点「Rev」は、この後進走行時における出力軸22の回転速度である。このように、車両10では、前進用のATギヤ段を用いて、MG2トルクTm の正負を反転させることで後進走行を行う。なお、ハイブリッド走行モードにおいても、例えばエンジン回転速度Ne をアイドル回転速度等に維持されるように第1回転機MG1を無負荷とし、第2回転機MG2を負回転とすることにより、モータ走行モードと同様に後進走行を行うことが可能である。
動力伝達装置12では、エンジン14が動力伝達可能に連結された第1回転要素RE1としてのキャリアCA0と、第1回転機MG1が動力伝達可能に連結された第2回転要素RE2としてのサンギヤS0と、中間伝達部材30が連結された第3回転要素RE3としてのリングギヤR0と、の3つの回転要素を有する差動機構32を備えており、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式変速機構としての無段変速部18が構成される。無段変速部18は、入力回転部材となる連結軸34の回転速度と同値であるエンジン回転速度Ne と、出力回転部材となる中間伝達部材30の回転速度であるMG2回転速度Nm との比の値である変速比γ0(=Ne /Nm )が変化させられる電気的な無段変速機として作動させられる。
ここで、ハイブリッド走行モードにおいては、有段変速部20にて所定のATギヤ段が形成されることで、駆動輪28の回転に拘束されるリングギヤR0の回転速度に対して、第1回転機MG1の回転速度を制御することによってサンギヤS0の回転速度が上昇或いは下降させられると、キャリアCA0の回転速度つまりエンジン回転速度Ne が上昇或いは下降させられる。従って、ハイブリッド走行では、エンジン14を効率の良い運転点にて作動させることが可能である。つまり、所定のATギヤ段が形成された有段変速部20と無段変速機として作動させられる無段変速部18とで、無段変速部18と有段変速部20とが直列に配置された複合変速機40全体として無段変速機を構成することができる。
また、無段変速部18を有段変速機のように変速させることも可能であるので、所定のATギヤ段が形成される有段変速部20と有段変速機のように変速させる無段変速部18とで、複合変速機40全体として有段変速機のように変速させることができる。つまり、複合変速機40において、エンジン回転速度Ne の出力回転速度No に対する比の値である変速比γt(=Ne /No )が異なる複数のギヤ段を成立させるように、有段変速部20と無段変速部18とを協調制御することが可能である。本実施例では、複合変速機40全体として有段変速機のように変速させることで成立させられるギヤ段を模擬ギヤ段と称する。変速比γtは、直列に配置された無段変速部18および有段変速部20によって形成されるトータル変速比であって、無段変速部18の変速比γ0と有段変速部20の変速比γatとを乗算した値(γt=γ0×γat)となる。
模擬ギヤ段は、例えば有段変速部20の各ATギヤ段と1または複数種類の無段変速部18の変速比γ0との組合せによって、有段変速部20の各ATギヤ段に対してそれぞれ1または複数種類を成立させるように割り当てられる。例えば、AT1速ギヤ段「1st」に対して模擬1速ギヤ段-模擬3速ギヤ段が成立させられ、AT2速ギヤ段「2nd」に対して模擬4速ギヤ段-模擬6速ギヤ段が成立させられ、AT3速ギヤ段「3rd」に対して模擬7速ギヤ段-模擬9速ギヤ段が成立させられ、AT4速ギヤ段「4th」に対して模擬10速ギヤ段が成立させられるように予め定められている。複合変速機40では、出力回転速度No に対して複数の変速比γtを実現するエンジン回転速度Ne となるように無段変速部18が制御されることにより、一つのATギヤ段に対して変速比γtが異なる複数の模擬ギヤ段を成立させることができる。また、複合変速機40では、ATギヤ段の切替えに合わせて無段変速部18が制御されることによって、模擬ギヤ段が切り替えられる。
図1に戻り、車両10は、エンジン14の出力制御、無段変速部18の変速制御、および有段変速部20の変速制御などの各種の制御を実行するコントローラとして電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、車載制御装置に相当する。図1は、電子制御装置90の入出力系統を併せて示した図であり、また、電子制御装置90によって実行される制御機能の要部を説明する機能ブロック図である。電子制御装置90は、各種制御を実行するプログラムおよびそのプログラムの実行に必要な各種データが記憶されたソフトウェア記憶部92、および図示しないCPU、RAM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、ソフトウェア記憶部92に記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。ソフトウェア記憶部92は、フラッシュROM、EEPROM等の逐次書き替え可能な記録媒体にて構成されている。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、変速制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ60、出力回転速度センサ62、MG1回転速度センサ64、MG2回転速度センサ66、アクセル開度センサ68、スロットル弁開度センサ70、ブレーキペダルセンサ71、ステアリングセンサ72、ドライバ状態センサ73、Gセンサ74、ヨーレートセンサ76、バッテリセンサ78、油温センサ79、車両周辺情報センサ80、GPS(全地球測位システム)アンテナ81、外部ネットワーク通信用アンテナ82、ナビゲーションシステム83、運転支援設定スイッチ群84、シフトポジションセンサ85など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Ne 、車速Vに対応する出力回転速度No 、第1回転機MG1の回転速度であるMG1回転速度Ng 、AT入力回転速度Ni であるMG2回転速度Nm 、運転者の加速要求の大きさを表すアクセルペダルの踏込み操作量であるアクセル開度θacc 、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキ(常用ブレーキ)を作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、ブレーキペダルの踏力に対応する、運転者によるブレーキペダルの踏込操作力の大きさを表すブレーキ操作量Bra、車両10に備えられたステアリングホイールの操舵角θswおよび操舵方向Dsw、ステアリングホイールが運転者によって握られている状態を示す信号であるステアリングオン信号SWon、運転者の状態を示す信号であるドライバ状態信号Drv、車両10の前後加速度Gx 、車両10の左右加速度Gy 、車両10の鉛直軸まわりの回転角速度であるヨーレートRyaw 、バッテリ54のバッテリ温度THbat やバッテリ充放電電流Ibat 、バッテリ電圧Vbat 、係合装置CBの油圧アクチュエータへ供給される作動油すなわち係合装置CBを作動させる作動油の温度である作動油温THoil 、カメラや距離センサ等で検出した車両周辺情報Iard 、GPS信号Sgps 、通信信号Scom 、ナビ情報Inavi、自動運転制御やオートクルーズ制御等の運転支援制御における運転者による設定を示す信号である運転支援設定信号Sset 、車両10に備えられたシフトレバーの操作ポジションPOSsh など)が、それぞれ供給される。
ドライバ状態センサ73は、例えば運転者の表情や瞳孔などを撮影するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体情報センサなどのうちの少なくとも一つを含んでおり、運転者の視線や顔の向き、眼球や顔の動き、心拍の状態等の運転者の状態を取得する。
車両周辺情報センサ80は、例えばライダー、レーダー、および車載カメラなどのうちの少なくとも一つを含んでおり、走行中の道路に関する情報や車両周辺に存在する物体に関する情報を直接的に取得する。ライダーは、例えば車両10の前方の物体、側方の物体、後方の物体などを各々検出する複数のライダー、または、車両10の全周囲の物体を検出する一つのライダーであり、検出した物体に関する物体情報を車両周辺情報Iard として出力する。レーダーは、例えば車両10の前方の物体、前方近傍の物体、後方近傍の物体などを各々検出する複数のレーダーなどであり、検出した物体に関する物体情報を車両周辺情報Iard として出力する。前記ライダーやレーダーによる物体情報には、検出した物体の車両10からの距離と方向とが含まれる。車載カメラは、例えば車両10のフロントガラスの裏側に設けられた、車両10の前方を撮像する単眼カメラまたはステレオカメラであり、撮像情報を車両周辺情報Iard として出力する。この撮像情報には、走行路の車線、走行路における標識、及び走行路における他車両や歩行者や障害物などの情報が含まれる。
運転支援設定スイッチ群84は、自動運転制御を実行させる為の自動運転選択スイッチ、オートクルーズ制御を実行させる為のクルーズスイッチ、オートクルーズ制御における車速を設定するスイッチ、クルーズ制御における先行車との車間距離を設定するスイッチ、設定された車線を維持して走行するレーンキープ制御を実行させる為のスイッチなどを含んでいる。
通信信号Scom は、例えばサーバや道路交通情報通信システムなどの車外装置であるセンタとの間で送受信された道路交通情報など、および/または、前記センタを介さずに車両10の近傍にいる他車両との間で直接的に送受信された車車間通信情報などを含んでいる。道路交通情報には、例えば道路の渋滞、事故、工事、所要時間、駐車場などの情報が含まれる。車車間通信情報は、例えば車両情報、走行情報、交通環境情報などを含んでいる。車両情報には、例えば乗用車、トラック、二輪車などの車種を示す情報が含まれる。走行情報には、例えば車速V、位置情報、ブレーキペダルの操作情報、ターンシグナルランプの点滅情報、ハザードランプの点滅情報などの情報が含まれる。交通環境情報には、例えば道路の渋滞、工事などの情報が含まれる。
ナビ情報Inaviは、例えばナビゲーションシステム83に予め記憶された地図データに基づく道路情報や施設情報などの地図情報などを含んでいる。道路情報には、市街地道路、郊外道路、山岳道路、高速自動車道路すなわち高速道路などの道路の種類、道路の分岐や合流、道路の勾配、制限車速などの情報が含まれる。施設情報には、スーパー、商店、レストラン、駐車場、公園、車両10を修理する拠点、自宅、高速道路におけるサービスエリアなどの拠点の種類、所在位置、名称などの情報が含まれる。サービスエリアは、例えば高速道路で、駐車、食事、給油などの設備のある拠点である。
ナビゲーションシステム83は、GPS信号Sgps に基づいて、予め記憶された地図データ上に自車位置を特定する。ナビゲーションシステム83は、表示装置89に表示した地図上に自車位置を表示する。ナビゲーションシステム83は、目的地が入力されると、出発地から目的地までの走行経路を演算し、表示装置89やスピーカ等で運転者に走行経路などの指示を行う。表示装置89は、例えばタッチ操作が可能なマルチディスプレイなどで、ナビゲーションシステム83以外の種々の用途に使用可能で、車両10の点検に関するメンテナンス情報などについても表示できる。また、表示装置89は、画像表示だけでなく音声や音楽等の音を発生することもできる。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、外部ネットワーク通信用アンテナ82、ホイールブレーキ装置86、操舵装置87、情報周知装置88など)に各種指令信号(例えばエンジン14を制御する為のエンジン制御指令信号Se 、第1回転機MG1および第2回転機MG2を各々制御する為の回転機制御指令信号Smg、係合装置CBの作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Sat、通信信号Scom 、ホイールブレーキによる制動トルクを制御する為のブレーキ制御指令信号Sbra 、車輪(特には前輪)の操舵を制御する為の操舵制御指令信号Sste 、運転者に警告や報知を行う為の情報周知制御指令信号Sinf など)が、それぞれ出力される。
ホイールブレーキ装置86は、車輪にホイールブレーキによる制動トルクを付与するブレーキ装置である。ホイールブレーキ装置86は、運転者による例えばブレーキペダルの踏込操作などに応じて、ホイールブレーキに設けられたホイールシリンダへブレーキ油圧を供給する。このホイールブレーキ装置86では、通常時には、ブレーキマスタシリンダから発生させられる、ブレーキペダルの踏力に対応した大きさのマスタシリンダ油圧が直接的にブレーキ油圧としてホイールシリンダへ供給される。一方で、ホイールブレーキ装置86では、例えばABS制御時、横滑り抑制制御時、車速制御時、自動運転制御時などには、ホイールブレーキによる制動トルクの発生の為に、各制御で必要なブレーキ油圧がホイールシリンダへ供給される。上記車輪は、駆動輪28および不図示の従動輪である。
操舵装置87は、例えば車速V、操舵角θswおよび操舵方向Dsw、ヨーレートRyaw などに応じたアシストトルクを車両10の操舵系に付与する。操舵装置87では、例えば自動運転制御時などには、前輪の操舵を制御するトルクを車両10の操舵系に付与する。
情報周知装置88は、例えば車両10の走行に関わる何らかの部品が故障したり、その部品の機能が低下した場合に、運転者に対して警告や報知を行う装置である。情報周知装置88は、例えばモニタやディスプレイやアラームランプ等の表示装置、および/またはスピーカやブザー等の音出力装置などである。表示装置として前記表示装置89を利用することも可能である。音出力装置は、運転者に対して聴覚的な警告や報知を行う装置である。
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、運転制御手段すなわち運転制御部94、AT変速制御手段すなわちAT変速制御部96、およびハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部98を備えている。すなわち、前記ソフトウェア記憶部92には、運転制御部94、AT変速制御部96、およびハイブリッド制御部98による各制御を実行するためのプログラムおよびデータが記憶されており、CPUによって信号処理が実行されることにより制御部94、96、98の各機能が実現される。
運転制御部94は、車両10の運転制御として、運転者の運転操作に基づいて走行する自律運転制御と、運転者の運転操作に因らず車両10の運転制御を自動的に行うことで走行する自動運転制御、例えば運転者により入力された目的地や地図情報などに基づいて自動的に目標走行状態を設定し、その目標走行状態に基づいて加減速と操舵とを自動的に行うことで走行する自動運転制御とを行うことが可能である。自律運転制御は、運転者の運転操作による自律運転にて走行する運転制御であり、運転者の運転操作による手動運転にて走行する手動運転制御である。その自律運転は、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作などの運転者の運転操作によって車両10の通常走行を行う運転方法である。自動運転制御は、自動運転にて走行する運転制御である。その自動運転は、運転者の運転操作(意思)に因らず、各種センサからの信号や情報等に基づく電子制御装置90による制御により加減速、制動、操舵などを自動的に行うことによって車両10の走行を行う運転方法である。
運転制御部94は、運転支援設定スイッチ群84における自動運転選択スイッチにおいて自動運転が選択されていない場合には、自律運転モードを成立させて自律運転制御を実行する。運転制御部94は、有段変速部20やエンジン14や回転機MG1、MG2を各々制御する指令をAT変速制御部96およびハイブリッド制御部98に出力することで自律運転制御を実行する。
運転制御部94は、運転者によって運転支援設定スイッチ群84における自動運転選択スイッチが操作されて自動運転が選択されている場合には、自動運転モードを成立させて自動運転制御を実行する。具体的には、運転制御部94は、運転者により入力された目的地や燃費優先度や車速や車間距離等の各種設定と、GPS信号Sgps に基づく自車位置情報と、ナビ情報Inaviおよび/または通信信号Scom に基づく、カーブ等の道路状態や勾配や高度や法定速度等の前記地図情報、インフラ情報、および天候等と、車両周辺情報Iard に基づく走行路の車線、走行路における標識、走行路における他車両や歩行者などの情報とに基づいて、自動的に目標走行状態を設定する。運転制御部94は、設定した目標走行状態に基づいて加減速と制動と操舵とを自動的に行うことで自動運転制御を行う。この加減速は車両10の加速と車両10の減速とであり、ここでの減速には制動を含めても良い。
運転制御部94は、前記目標走行状態として、目標ルートおよび目標進路、実際の車間距離などに基づく安全マージンを考慮した目標車速、目標車速や走行抵抗分などに基づく目標駆動トルクまたは目標加減速度などを設定する。上記走行抵抗は、例えば予め運転者によって車両10に設定された値、車外との通信により取得された地図情報や車両諸元に基づく値、または、走行中に勾配や実駆動量や実前後加速度Gx 等に基づいて演算された推定値などが用いられる。運転制御部94は、目標駆動トルクが得られるように、有段変速部20やエンジン14や回転機MG1、MG2を各々制御する指令をAT変速制御部96およびハイブリッド制御部98に出力する。目標駆動トルクが負値の場合すなわち制動トルクが必要な場合は、エンジン14によるエンジンブレーキトルク、第2回転機MG2による回生ブレーキトルク、およびホイールブレーキ装置86によるホイールブレーキトルクのうちの少なくとも一つのブレーキトルクが車両10に作用させられる。例えば、運転制御部94は、利用可能な範囲でホイールブレーキトルクを演算し、目標駆動トルクが得られるように、そのホイールブレーキトルクを作用させる為のブレーキ制御指令信号Sbra をホイールブレーキ装置86に出力する。加えて、運転制御部94は、設定した目標走行状態に基づいて前輪の操舵を制御する為の操舵制御指令信号Sste を操舵装置87に出力する。
AT変速制御部96は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係、すなわち予め定められた関係である図4に例示したATギヤ段変速マップ等、を用いて有段変速部20の変速判断を行い、必要に応じて有段変速部20の変速制御を実行する。AT変速制御部96は、この有段変速部20の変速制御では、有段変速部20のATギヤ段を自動的に切り替えるように、ソレノイドバルブSL1-SL4により係合装置CBの係合解放状態を切り替える為の油圧制御指令信号Satを油圧制御回路56へ出力する。上記ATギヤ段変速マップは、例えば車速Vおよび要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、有段変速部20の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。ここでは、車速Vに替えて出力回転速度No などを用いても良いし、また、要求駆動力Frdemに替えて要求駆動トルクTrdemやアクセル開度θacc やスロットル弁開度θthなどを用いても良い。上記ATギヤ段変速マップにおける各変速線は、実線に示すようなアップシフトが判断される為のアップシフト線、および破線に示すようなダウンシフトが判断される為のダウンシフト線である。自動運転制御の場合、上記要求駆動力Frdemや要求駆動トルクTrdemとして、例えば目標駆動力や目標駆動トルクを適用すれば良い。
ハイブリッド制御部98は、エンジン14の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ52を介して第1回転機MG1および第2回転機MG2の作動を制御する回転機制御手段すなわち回転機制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン14、第1回転機MG1、および第2回転機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。ハイブリッド制御部98は、予め定められた関係である例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc および車速Vを適用することで、駆動要求量としての駆動輪28における要求駆動力Frdem[N]を算出する。駆動要求量としては、要求駆動力Frdemの他に、駆動輪28における要求駆動トルクTrdem[Nm]、駆動輪28における要求駆動パワーPrdem[W]、出力軸22における要求AT出力トルク等を用いることもできる。自動運転制御の場合、上記要求駆動力Frdemや要求駆動トルクTrdemとして、例えば目標駆動力や目標駆動トルクを適用すれば良い。
ハイブリッド制御部98は、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン14を制御する指令信号であるエンジン制御指令信号Se と、第1回転機MG1および第2回転機MG2を制御する指令信号である回転機制御指令信号Smgとを出力する。エンジン制御指令信号Se は、例えばそのときのエンジン回転速度Ne におけるエンジントルクTe を出力するエンジン14のパワーであるエンジンパワーPe の指令値である。回転機制御指令信号Smgは、例えばエンジントルクTe の反力トルクとしての指令出力時のMG1回転速度Ng におけるMG1トルクTg を出力する第1回転機MG1の発電電力Wg の指令値であり、また、指令出力時のMG2回転速度Nm におけるMG2トルクTm を出力する第2回転機MG2の消費電力Wm の指令値である。
ハイブリッド制御部98は、例えば無段変速部18を無段変速機として作動させて複合変速機40全体として無段変速機として作動させる場合、エンジン最適燃費点等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するエンジンパワーPe が得られるエンジン回転速度Ne とエンジントルクTe となるように、エンジン14を制御すると共に第1回転機MG1の発電電力Wg を制御することで、無段変速部18の無段変速制御を実行して無段変速部18の変速比γ0を変化させる。この制御の結果として、無段変速機として作動させる場合の複合変速機40の変速比γtが制御される。
ハイブリッド制御部98は、例えば無段変速部18を有段変速機のように変速させて複合変速機40全体として有段変速機のように変速させる場合、予め定められた関係である例えば模擬ギヤ段変速マップを用いて複合変速機40の変速判断を行い、AT変速制御部96による有段変速部20のATギヤ段の変速制御と協調して、複数の模擬ギヤ段を選択的に成立させるように無段変速部18の変速制御を実行する。複数の模擬ギヤ段は、それぞれの変速比γtを維持できるように車速Vに応じて第1回転機MG1によりエンジン回転速度Ne を制御することによって成立させることができる。各模擬ギヤ段の変速比γtは、車速Vの全域に亘って必ずしも一定値である必要はなく、所定領域で変化させても良いし、各部の回転速度の上限や下限等によって制限が加えられても良い。このように、ハイブリッド制御部98は、エンジン回転速度Ne を有段変速のように変化させる変速制御が可能である。複合変速機40全体として有段変速機のように変速させる模擬有段変速制御は、例えば運転者によってスポーツ走行モード等の走行性能重視の走行モードが選択された場合や要求駆動トルクTrdemが比較的大きい場合に、複合変速機40全体として無段変速機として作動させる無段変速制御に優先して実行するだけでも良いが、所定の実行制限時を除いて基本的に模擬有段変速制御が実行されても良い。
ハイブリッド制御部98は、走行モードとして、モータ走行モードまたはハイブリッド走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部98は、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値よりも小さなモータ走行領域にある場合には、モータ走行モードを成立させる一方で、要求駆動パワーPrdemが予め定められた閾値以上となるハイブリッド走行領域にある場合には、ハイブリッド走行モードを成立させる。図4の一点鎖線Aは、車両10の走行用の動力源を、少なくともエンジン14とするか、第2回転機MG2のみとするかを切り替える為の境界線である。すなわち、図4の一点鎖線Aは、ハイブリッド走行とモータ走行とを切り替える為のハイブリッド走行領域とモータ走行領域との境界線である。この図4の一点鎖線Aに示すような境界線を有する予め定められた関係は、車速Vおよび要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標で構成された動力源切替マップの一例である。なお、図4では、便宜上、この動力源切替マップをATギヤ段変速マップと共に示している。自動運転制御でも、同様の動力源切替マップを用いてモータ走行モードとハイブリッド走行モードとを切り替えて走行することができる。
一方、車両10は、上記の各種の制御を実行する電子制御装置90のソフトウェア記憶部92に記憶されたプログラムやデータの一部または全部が、車両用ソフトウェア更新システム110によって更新される。車両用ソフトウェア更新システム110は、電子制御装置90に設けられた更新可能情報記憶部112および更新履歴情報記憶部114の他、電子制御装置90とは別に車両10に設けられた一対の第1ゲートウェイECU(Electronic Control Unit )120、第2ゲートウェイECU126を備えて構成されている。更新可能情報記憶部112および更新履歴情報記憶部114は、フラッシュROM、EEPROM等の逐次書き替え可能な記録媒体にて構成されており、前記ソフトウェア記憶部92と共通の記録媒体に設けることもできる。また、第1ゲートウェイECU120、第2ゲートウェイECU126は、何れもCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を有する所謂マイクロコンピュータを備えて構成されている電子制御装置である。電子制御装置90は、車両用ソフトウェア更新システム110によってソフトウェアが更新される車載制御装置であるが、ナビゲーションシステム83などの他の車載装置の制御装置のソフトウェアについても、車両用ソフトウェア更新システム110によって更新されるようにすることができる。
第1ゲートウェイECU120は無線更新部として機能するもので、無線通信機122を介してソフト配信センタのサーバ124との間で情報を送受信することが可能であり、必要に応じて新たな更新用ソフトウェアをサーバ124からダウンロードすることができる。ソフト配信センタは、車両10のメーカー等によって設けられたもので、携帯電話網や無線LAN網等の無線通信を介して第1ゲートウェイECU120との間で情報を送受信できる。無線通信機122の代わりに前記外部ネットワーク通信用アンテナ82を利用することもできる。
第2ゲートウェイECU126は有線更新部として機能するもので、更新ツール130を有線により機械的に着脱可能に接続できるコネクタ128を備えている。更新ツール130は、使用可能な更新用ソフトウェアが予め有線通信或いは無線通信等によりサーバ124等からダウンロードされて記憶されているもので、本実施例では車両10を取り扱う各ディーラに備えられている。更新ツール130は、少なくとも車両10に関する更新用ソフトウェアについて、ソフト配信センタのサーバ124と同期(シンクロ)させられている。コネクタ128は、例えば車両10の運転席近傍等に設けられる。コネクタ128の形状や電気信号は規格で定められており、ソフトウェアの更新以外にも故障診断等に使用できる。このような規格には、OBD(On-Board Diagnostics)、WWH-OBD(World Wide Harmonized-OBD )、KWP(Keyword Protocol)、UDS(Unified Diagnostic Services )等がある。また、このようなコネクタは、OBDコネクタ(OBD-IIコネクタ)、DLCコネクタ、故障診断コネクタなどと呼ばれている。更新ツール130は、LANに直接接続され、他のECUと同様にLANを流れるCAN(Controller Area Network )フレームを受信したり、LANにCANフレームを送信したりすることができる。
無線更新部として機能する第1ゲートウェイECU120は、図5のフローチャートのステップS1~S12(以下、ステップを省略して単にS1~S12という。他のフローチャートについても同様である。)に従って信号処理を実行する。S1では、予め定められた更新実行許可条件を満足するか否かを判断し、更新実行許可条件を満足しない場合はそのまま終了するが、更新実行許可条件を満足した場合にはS2以下を実行する。更新実行許可条件は、例えば表示装置89に表示される図6のエンター画面140にパスワード等の所定事項が入力されてエンター釦142がタッチ操作された場合に、パスワード等の入力事項に間違いが無く、且つGPS信号Sgps に基づく自車位置情報とディーラの所在地とが一致することである。すなわち、このソフトウェアの無線更新は、車両10の定期点検時等にディーラの整備工場で、更新作業を行なうことを許可された特定の専門家、例えばその整備工場の技術担当者(メカニック等)によって行なわれることを前提としており、その特定の専門家が更新作業者である。また、自車位置情報とディーラの所在地とが一致することは、車両10がディーラに存在し、ディーラに備えられた更新ツール130を用いた更新を直ちに実施することができることを意味する。図6のエンター画面140は、表示装置89のメンテナンス画面等から選択できるように設けられており、特定の専門家が「ディーラ名」、「パスワード」、「点検名」を入力してエンター釦142をタッチ操作した場合にS1の判断を実行する。上記更新実行許可条件は、変更したり追加したりすることが可能であり、S1を省略してS2から実行されるようにしても良い。
S2では、更新可能なソフトウェア情報を表示装置89に表示する。図7は、更新可能なソフトウェア情報画面144の一例で、「車両名」、「車体番号」、「ユーザー名」、「担当セールス名」、「車両履歴」に加えて、「更新可能なプログラム&データ」を表示する更新可能情報表示部146を備えている。「車両名」、「車体番号」、「ユーザー名」、「担当セールス名」は、車両購入時等に予め電子制御装置90等に登録されており、技術担当者等の特定の専門家は「車体番号」が一致していること等を確認する。「車両履歴」の表示部分は、更新履歴情報表示部148としても機能し、車両10の購入日に加えて、ソフトウェアの更新履歴情報が表示されるようになっており、プログラムやデータの更新履歴を一目で確認できる。プログラムやデータの更新履歴は、更新が行なわれる毎に更新履歴情報記憶部114に記憶されるようになっており、その更新履歴情報記憶部114の記憶内容に基づいて更新履歴情報表示部148に表示される。
更新可能情報表示部146には、現在更新可能なプログラムやデータすなわち更新用ソフトウェアが総て表示されるようになっており、図7では、「HV制御ソフト・・・」および「VSC制御ソフト・・・」の2つが、更新可能開始日および更新所要時間と共に例示されている。この更新可能なプログラム&データの情報は、第1ゲートウェイECU120によりサーバ124から「車両名」等に応じて自動的に逐次取り込まれて更新可能情報記憶部112に記憶されるようになっており、その更新可能情報記憶部112の記憶内容に基づいて更新可能情報表示部146に表示される。更新可能なプログラム&データ(更新用ソフトウェア)は、タッチ操作などで個別に選択できるようになっており、特定の専門家は、車両10の所有者等の意向に基づいて1または複数の更新用ソフトウェアを選択し、更新実行釦150をタッチ操作する。なお、この更新可能情報表示部146や更新履歴情報表示部148を、「車両名」等の他の表示と別の画面で表示しても良いなど、表示の態様は適宜変更できる。
図5のS3では、更新実行釦150がON操作すなわちタッチ操作されたか否かを判断し、タッチ操作された場合はS4以下を実行する。前記更新用ソフトウェアの選択操作および更新実行釦150のタッチ操作が更新指示操作である。更新実行釦150がタッチ操作されることなく一定時間が経過したり、図7の更新可能なソフトウェア情報画面144が閉じられたりした場合には、S3の判断はNo(否定)となってそのまま終了する。S4以下では、選択された1または複数の更新用ソフトウェアをサーバ124からダウンロードするが、S4では、その前提としてサーバ124との間で正常に無線通信が可能か否かを、例えばデータ通信の有無やデータ通信速度等の予め定められた判断基準に従って判断する。そして、正常な無線通信が可能であればS5以下を実行するが、正常な無線通信が不可の場合にはS12を実行する。
S12では、更新ツール130を機械的に接続して有線通信によりソフトウェアを更新する機械式接続方式による更新を指示する。この指示は、文字等による画像表示が適当で表示装置89に表示することが望ましいが、音声や警告音等による音伝達で指示することもできる。画像および音の両方で指示することも可能である。このようにサーバ124との間で正常な無線通信が不可の場合、サーバ124から更新用ソフトウェアを適切にダウンロードできる可能性が低いため、最初から機械式接続方式すなわち有線通信方式による更新に切り替えることで、更新作業を迅速に行なうことができる。このS12は、更新ツール130を用いた有線通信による更新を特定の専門家(更新作業者)に促す有線更新指示部として機能する。
S4の判断がYes(肯定)の場合、すなわちサーバ124との間で正常に無線通信できる場合には、S5を実行する。S5では、選択された更新用ソフトウェアをサーバ124からダウンロードして、ソフトウェア記憶部92に記憶されている対応するソフトウェアを更新する更新処理を実行する。S6では、更新用ソフトウェアが正常にダウンロードされて対応するソフトウェアの更新(書き替え)が完了したか否かを判断し、更新が完了した場合にはS7で更新が完了した旨の表示を表示装置89に表示するとともに、S8で更新履歴情報記憶部114に記憶されている更新履歴情報を更新する。すなわち、今回更新されたソフトウェアを日付と共に更新履歴情報に追加する。S8ではまた、更新可能情報記憶部112から、更新が完了した更新用ソフトウェアの情報を削除する。
S6の判断がNoの場合、すなわちソフトウェアの更新が正常に完了しなかった場合で、例えば更新用ソフトウェア毎に定められた一定の所要時間が経過してもダウンロードや更新が完了しなかった場合には、S9で予め定められたn回実行したか否かを判断し、n回に達するまでS5以下を繰り返す。そして、S5の更新処理をn回繰り返しても更新が完了しない場合は、S10以下を実行する。nは、例えば無線通信の通信環境等を考慮して3~5程度等の適当な値が定められる。条件によってはn=1として、S9を省略しても良い。
S10では、更新処理が行なわれる前の元のプログラムが正常に作動可能か否かを判断し、元のプログラムが正常に作動可能であれば、S11で更新が不履行であった旨の表示を表示装置89に表示する。すなわち、元のプログラムおよびデータを何れも復元できれば、元のプログラムは正常に作動可能であるが、プログラムおよびデータの何れか一方でも復元できない場合はプログラムの正常な作動が不可となる。S11では、元のプログラムが正常に作動可能であるため、特定の専門家は車両所有者等の意向に従ってそのまま放置しても良いが、必要に応じてソフトウェアの更新処理をやり直すこともできる。その場合、更新ツール130を機械的に接続して更新する機械式接続方式による更新を行なうようにしても良い。一方、元のプログラムが正常に作動しない場合、プログラムによってはそのまま放置することが適当でない場合があるため、S10に続いてS12を実行し、更新ツール130を機械的に接続して更新する機械式接続方式による更新を指示する。プログラムが正常に作動可能か否かを判断するS10を省略し、S9の判断がYesの場合には常にS12が実行されるようになっていても良い。
なお、複数の更新用ソフトウェアが選択されている場合には、更新用ソフトウェア毎に別々にS5以下を実行し、その更新結果に応じてS7の更新完了表示、S11の更新不履行表示、或いはS12の機械式接続方式による更新の指示が個別に行なわれる。
次に、更新ツール130をコネクタ128に機械的に接続してソフトウェアを更新する機械式接続方式による更新を説明する。この機械式接続方式による更新は、有線更新部として機能する第2ゲートウェイECU126により、図8のフローチャートに従って実行される。図8のR1では、更新ツール130がコネクタ128に接続されたか否かを判断し、更新ツール130がコネクタ128に接続されたら、例えば前記図6と同様のエンター画面140を表示装置89に表示し、R2以下を実行する。更新ツール130はディーラの整備工場に備えられており、整備工場の技術担当者等の特定の専門家のみが更新ツール130をコネクタ128に接続して更新作業を行なうことができる。R2~R8は、前記図5のフローチャートのS1~S3、S5~S8と実質的に同じであるが、図5のS5では無線通信を介して更新処理を行なうのに対し、図8のR5では有線通信を介して更新処理を行なう。すなわち、図7の更新可能なソフトウェア情報画面144の更新可能情報表示部146から選択された1または複数の更新用ソフトウェアを更新ツール130から有線通信を介して取得し、ソフトウェア記憶部92に記憶された対応するソフトウェアを更新する。ここでは、有線通信を介して更新ツール130から更新用ソフトウェアを取得するため、確実に更新することが可能である。このため、図5のS4、S9~S12に相当するステップは不要である。
このように、本実施例の車両用ソフトウェア更新システム110においては、通常は、無線更新部に相当する第1ゲートウェイECU120により無線通信を介してソフトウェアの更新を簡便に行なうことができる一方(S1~S8)、その無線通信を介した更新を正常に実行できなかった場合には、更新ツール130を用いた機械式接続方式による更新を実行するように促されるため(S12)、必要な場合だけ更新作業者(特定の専門家)が更新ツール130を車両10に接続して機械式接続方式によるソフトウェアの更新を行なえば良い。すなわち、無線通信を介して簡便にソフトウェアを更新できるにも拘らず、更新ツール130を用いた面倒な機械式接続方式による更新を行なうことが抑制される。
また、無線通信システム自体に異常が発生した場合など、無線通信を介したソフトウェアの更新を適切に行なうことができない場合でも、そのソフトウェアの更新を、機械的に接続できる更新ツール130を用いて確実に行なうことができるため、ソフトウェアを更新できない状態が継続することが抑制されるとともに、バックアップ用のメモリを省略してコストダウンを図ることができる。
また、無線通信を介したソフトウェアの更新を正常に実行できず(S9の判断がYes)、且つ、更新前の元のプログラムが正常に作動しない場合、すなわち元のソフトウェアを復元できなかった場合に(S10の判断がNo)、更新ツール130を用いた機械式接続方式による更新を実行するように促されるため(S12)、更新前の元のソフトウェアによる制御が正常に実行されない状態で放置されることが防止される。更新前の元のソフトウェアが復元されて元のプログラムが正常に作動可能な場合は、更新不履行であったことを更新作業者に知らせるため(S11)、その更新前の元のソフトウェアの使用をそのまま継続しても良いし、更新ツール130を接続して機械式接続方式による更新を実行しても良く、車両所有者等の意向に応じて更新作業者が任意に選択することが可能で、更新ツール130を用いた面倒な機械式接続方式による更新を必要以上に実行する必要がない。
また、特定の専門家が更新作業者で、更新ツール130が整備工場に備えられており、特定の専門家以外の第三者が更新ツール130を用いることが制限されているため、第1ゲートウェイECU120による無線通信を介したソフトウェアの更新を正常に実行できなくて機械式接続方式による更新を実行するように促された場合には、その特定の専門家が整備工場に備えられた更新ツール130を用いて機械式接続方式によるソフトウェアの更新を速やかに確実に実行することができる。これにより、無線通信を介したソフトウェアの更新を適切に行なうことができない場合でも、そのソフトウェアの更新を更新ツール130を用いて速やかに確実に行なうことが可能で、ソフトウェアを更新できない状態が継続することが適切に防止される。
また、整備工場の所在地と車両10の位置情報とが一致すること、言い換えれば特定の専門家が更新ツール130を用いた更新を直ちに実施することができること、を含む予め定められた更新実行許可条件を満たした場合に(S1の判断がYes)、第1ゲートウェイECU120の無線通信による更新が許可されるため、その無線通信を介したソフトウェアの更新を正常に実行できなくて更新ツール130を用いた機械式接続方式による更新を実行するように促された場合に、その特定の専門家によって更新ツール130を用いたソフトウェアの更新を直ちに適切に実施することができる。このように、無線通信を介したソフトウェアの更新を正常に実行できなかった場合に、直ちに更新ツール130を用いてソフトウェアの更新を実施できるため、バックアップ用のメモリが不要でコストダウンを図ることができる。なお、必要に応じてバックアップ用のメモリが設けられても良い。
また、更新実行許可条件を満たした場合に第1ゲートウェイECU120の無線通信による更新が許可されるため、車両所有者等の第三者によって勝手に第1ゲートウェイECU120の無線通信による更新が行なわれ、その無線通信を介したソフトウェアの更新を正常に実行できなかった場合に、そのまま放置されることを確実に防止できる。
なお、上記実施例では、先ず、無線通信によるソフトウェアの更新作業を実行し、その無線通信を介した更新を正常に実行できなかった場合に、更新ツール130を用いた機械式接続方式による更新作業を行なう場合について説明したが、無線通信によるソフトウェアの更新作業を行なうことなく、更新ツール130を用いた機械式接続方式による更新作業を直ちに実行することも可能である。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。