JP2021059735A - 光硬化性樹脂組成物、硬化被膜、被膜付き基材およびその製造方法、ならびに基材に対する防曇処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以上の知見に基づいてなされた態様は以下の通りである。
光重合性不飽和基を有し、かつ、当該光重合性不飽和基1個に対して2個以上のアルキレンオキサイド変性部位を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)と、
重量平均分子量3,000以下のシリコン系化合物(b1)および重量平均分子量3,000以下のフッ素系化合物(b2)から選択される少なくとも1種の化合物(B)と、
光重合開始剤(C)と、
を含有し、
前記アルキレンオキサイド変性化合物(A)の固形分100重量部に対し、前記化合物(B)の固形分の含有量は0.1〜25重量部であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)が、エチレンオキサイド変性化合物であることを特徴とする第1の態様の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)が、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびエトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド変性化合物であることを特徴とする第1または第2の態様の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記シリコン系化合物(b1)が、ポリエーテル変性シリコン系化合物であることを特徴とする第1〜第3のいずれかの態様の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記フッ素系化合物(b2)が、ポリエーテル変性フッ素系化合物であることを特徴とする第1〜第4のいずれかの態様の光硬化性樹脂組成物が提供される。
前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)が、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびエトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記シリコン系化合物(b1)が、ポリエーテル変性シリコン系化合物であり、
前記フッ素系化合物(b2)が、ポリエーテル変性フッ素系化合物であることを特徴とする第1の態様の光硬化性樹脂組成物が提供される。
さらに、前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)とは異なる、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(D)を含有することを特徴とする第1〜第6の態様のいずれかの光硬化性樹脂組成物が提供される。
第1〜第7のいずれかの態様の光硬化性樹脂組成物により構成されたことを特徴とする硬化被膜が提供される。
前記硬化被膜に対する純水の水滴の接触角が20°以下であることを特徴とする第8の態様の硬化被膜が提供される。
JIS K 5600に準拠した鉛筆硬度がH以上であることを特徴とする第8または第9の態様の硬化被膜が提供される。
第8〜第10のいずれかの態様の硬化被膜を基材上に備えることを特徴とする被膜付き基材が提供される。
第1〜第7のいずれかの態様の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有することを特徴とする被膜付き基材の製造方法が提供される。
第1〜第7のいずれかの態様の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有することを特徴とする基材に対する防曇処理方法が提供される。
1.光硬化性樹脂組成物
2.被膜付き基材の製造方法(防曇処理方法)
3.本実施形態の効果
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
また、光重合性不飽和基とは、光により重合反応に関与する不飽和基を意味し、「光」は活性光線又は放射線を意味し、例えば可視光線や紫外線、遠紫外線、電子線、X線などを含むものを意味する。
また、本明細書において、シリコン“系”、フッ素“系”とは、一分子単位においてシリコン(Si)やフッ素(F)を含む化合物のことを指す。
また、本明細書において「〜」は所定の値以上かつ所定の値以下を指す。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、主として以下のものが含有(配合)されてなる。
・光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)
・重量平均分子量3,000以下のシリコン系化合物(b1)および重量平均分子量3,000以下のフッ素系化合物(b2)から選択される少なくとも1種の化合物(B)
・光重合開始剤(C)
以下、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について述べる。
光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)(以下、成分(A)とも言う。)は、光照射により硬化する光重合性不飽和基と、親水性を有するアルキレンオキサイド(AO)変性部位とを有する化合物である。成分(A)は、光硬化性樹脂組成物を塗料として使用する際に主にバインダーとしての役割を果たすものであり、オリゴマー、樹脂でもよい。
ここでは光重合性不飽和基1個あたりの個数としてAO変性部位を表したが、光重合性不飽和基1モルあたりのモル数として表示しても構わない。例えば、光重合性不飽和基1モルに対し、上記の変性部位は非常に好ましくは2モル以上であり、他の範囲についても同様である。
これらの化合物の中でも、硬化被膜の強度、付着性等の観点から、光重合性不飽和基を3個以上有するエトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化DPHA、プロポキシ化DPHA、エトキシ化TMPTA、プロポキシ化TMPTAが好ましく、エトキシ化DPHA、エトキシ化TMPTAがより好ましい。
なお、これらのオリゴマー、樹脂の中でも、硬化被膜の強度や付着性等の観点から、EO変性ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。このようなEO変性ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシ(メタ)アクリレートからなるウレタン(メタ)アクリレートであって、前記反応物のうち少なくとも1種類がEO変性部位を有するもの、または(メタ)アクリレート基を有するイソシアネートおよびポリオールからなるウレタン(メタ)アクリレートであって、前記反応物のうち少なくとも1種類がEO変性部位を有するものが挙げられる。
また、このような成分(A)は、ガラス転移温度(Tg)が、−60℃〜60℃であるものが好ましく、−60℃〜30℃であるものがより好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定できる。
これらの成分(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の化合物(B)は、重量平均分子量3,000以下のシリコン系化合物(b1)および重量平均分子量3,000以下のフッ素系化合物(b2)から選択される少なくとも1種の化合物である。なお、そのような化合物であれば特に限定はなく、オリゴマー、樹脂を採用しても構わない。
以下、化合物(B)であるところのシリコン系化合物(b1)やフッ素系化合物(b2)について説明する。以降、化合物(B)のことを成分(B)とも称し、同様にシリコン系化合物(b1)、フッ素系化合物(b2)のことを単に成分(b1)、成分(b2)とも称する。
成分(b1)としては、Mwが3,000以下であれば特に限定はなく、公知のレべリング剤を使用しても構わない。成分(b1)としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジエンシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルフェニルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルハイドロジエンシロキサン等が挙げられる。
なお、光硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して換算した場合、成分(b1)の固形分の配合量は、0.05〜15重量部が非常に好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
成分(b2)としても、Mwが3,000以下であれば特に限定はなく、公知のレべリング剤を使用しても構わない。成分(b2)としては、例えば、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルケニルカルボン酸塩、パーフルオロアルケニルスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルリン酸エステル、パーフルオロアルケニルベタイン等のパーフルオロアルケニル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系レベリング剤;パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルベタイン等のパーフルオロアルキル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系レベリング剤、等が挙げられる。
さらに分子内にポリオキシアルキレン基を有するものが好ましい。ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基が挙げられ、ポリオキシエチレン基がより好ましい。
なお、ここで言う平均EOモル数とは、各化合物1モルに対して付加されたEOの平均モル数である。
なお、光硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して換算した場合、成分(b1)の固形分の配合量は、0.05〜15重量部が非常に好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
また、成分(b1)および成分(b2)をそれぞれ1種以上選択して2種以上とする際は、(b1)および(b2)の合計の固形分の配合量は、硬化被膜の親水性・硬度の観点から、アルキレンオキサイド変性化合物(A)の固形分100重量部に対し、0.1〜25重量部が非常に好ましく、0.1〜15重量部がより好ましく、0.5〜10重量部がさらに好ましい。
なお、光硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して換算した場合、成分(b1)および(b2)の合計の固形分の配合量は、0.05〜15重量部が非常に好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
本実施形態の光重合開始剤(C)(以降、成分(C)と称する。)は、光照射によりラジカル又はカチオンを発生して、光重合性不飽和基を有する成分(A)および任意に用いる後述のその他の樹脂成分(D)を硬化させるものである。成分(C)は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
上記の成分(A)〜(C)に加え、その他の樹脂成分(D)(以降、成分(D)と称する。)を新たに含有しても構わない。このとき、光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)とは異なる、光重合性不飽和基を有する成分(D)を含有することが、光重合の度合いを増大させ、ひいては硬化被膜の強度を向上させるという点で好ましい。
また、このような成分(D)は、ガラス転移温度(Tg)が、80℃以上であるものが好ましく、220℃以上であるものがより好ましく、300℃以上であるものがさらに好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定できる。
これらの成分(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本実施形態においては、必要に応じて、上述した成分以外のその他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤として、粘度を所定の範囲に調整する観点から、有機溶剤を含有させてもよく、有機溶剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、芳香族炭化水素類(例:キシレン、トルエンなど)、ケトン類(例:メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(例:酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、アルコール類(例:イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、グリコールエーテル類(例:プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)などの各種有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
無機微粒子は、表面修飾されていてもよく、例えば、表面に光重合性不飽和基を有していても良い。このような無機微粒子は、光硬化性樹脂組成物の硬化時に、光重合性不飽和基が成分(A)や成分(D)と共に重合することによって、硬化被膜に組み込まれるため、無機微粒子が硬化被膜から脱落し難く、長期間に渡って効果を発揮することができる。
無機微粒子の配合量は、光硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、0.1〜60重量部が好ましい。
無機微粒子の市販品としては、例えば「IPA−ST」、「MEK−ST」、「MEK−AC2140Z」、「PGM−AC−2140Y」(以上、日産化学工業株式会社製)、「ELCOM V−8804」(日揮触媒化成株式会社製)、「NANOBYK−3650」、「NANOBYK−3651」、「NANOBYK−3652」(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
本実施形態の硬化被膜は、上記の光硬化性樹脂組成物を用いた上で、主に以下の工程により作製される。
・上記の光硬化性樹脂組成物を準備する準備工程
・上記の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程
・塗布工程の後、光照射により光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程
例えば、光硬化性樹脂組成物を準備する際には、先に述べた各(A)〜(E)成分を、一度にあるいは任意の順序で攪拌容器に添加し、公知の攪拌・混合手段で各成分を混合して、溶剤中に分散または溶解させればよい。攪拌・混合手段としては、ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、ボールミル、三本ロール、ロスミキサー、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。
また、JIS K 5600に準拠した鉛筆硬度(詳しくは実施例の項目にて後述)がH以上であるのが好ましい。
本実施形態によれば、主として以下の効果を奏する。
すなわち、従来の技術においては、高湿度環境下における防曇性能においてさらに改良すべき点があるところ、添加剤を単純に増量するのではなく、上記の本実施形態の構成、すなわち、光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物に対し、従来だと比較的疎水性を有すると考えられていたはずのシリコン系化合物やフッ素系化合物を積極的に混合する、ただしシリコン系化合物にしてもフッ素系化合物にしても重量平均分子量を3,000以下とするという条件(さらに非常に好ましくはAO変性部位の数や各成分の含有量の条件、上記の成分(D)の含有)を課すことにより、高湿度環境下においても硬化被膜の変質の発生を抑えつつ防曇性能を発揮可能となり、硬度についても非常に満足いく値が得られる。また、密着性や透明性についても十分である。
つまり、本実施形態ならば、高湿度環境下においても比較的高い硬度と防曇性能を安定して発揮可能となる。
「光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)と、
重量平均分子量3,000以下のシリコン系化合物(b1)および重量平均分子量3,000以下のフッ素系化合物(b2)から選択される少なくとも1種の化合物(B)と、
光重合開始剤(C)と、
を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物、またはその関連技術。」
なお、上記の構成に対し、本実施形態で挙げた好適例等を組み合わせてももちろん構わない。また、成分(A)、(b1)、(C)の組み合わせに対し、本実施形態で挙げた所定の好適例等を適用しても構わないし、上記の組み合わせに適用したもの以外の好適例等を成分(A)、(b2)、(C)の組み合わせに対して適用しても構わない。
基材として、PETフィルム(東洋紡株式会社製「コスモシャインA4300」、縦200mm×横150mm×厚み100μm)を準備した。続いて、以下の表に記載のように調製した光硬化性樹脂組成物をPETフィルムの一方の主面に塗布し、塗膜を形成した。このとき、得られる硬化被膜の膜厚(ドライ膜厚)が3〜4μmとなるように、塗膜の厚さを調整して塗布した。続いて、高圧水銀ランプを用いて、塗膜に対して紫外線を照射した(照射量:200mJ/cm2)。照射により塗膜を硬化させ、本実施例の光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムを作製した。また、後述の(4)密着性を調べるべく、PETフィルムの代わりにポリカーボネートの成形体(タキロン株式会社製「PC1600」)に対しても上記の硬化被膜を設けた。
なお、各実施例において、以下の表に示すように光硬化性樹脂組成物における化合物や分量を変えた。
また、成分(A)および成分(D)のガラス転移温度(Tg)は、次のように測定した。まず、各成分97重量部に対して、光開始剤としてIRGACURE−184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン株式会社製)3重量部を添加し攪拌した樹脂組成物を、アルミニウム製容器に流し入れ、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し(照射量:250mJ/cm2)硬化させて、厚さ1mmの試験片を作成した。この試験片10mgに対し、電気冷却システムDSC(リガク株式会社製「DSC8231」)により、100ml/分の窒素雰囲気下、10℃/分で昇温させたときのガラス転移点のオンセット温度から求めた。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)の24EO変性物(光重合性不飽和基1個あたりのアルキレンオキサイド基数:4、Tg:−7℃)
・SR499、SR502、SR9035(以上、サートマー・ジャパン株式会社製:トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のEO変性物。なお、光重合性不飽和基1個あたりのアルキレンオキサイド基数は、SR499が2、SR502が3、SR9035が5であり、Tgは、SR499が10℃、SR502が−11℃、SR9035が−35℃)
いずれもEO変性部位を有している。
・BYK−345、BYK−347、BYK−349(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
いずれも、ポリエーテル変性シリコン系化合物であるところのポリエーテル変性シロキサンであり、かつ重量平均分子量(Mw)は3,000以下である。
・フタージェント250、フタージェント251、フタージェント212M、フタージェント215M(以上、株式会社ネオス製)
いずれも、ポリエーテル変性フッ素化合物であるところのフッ素系ポリオキシエチレンエーテルであり、かつ重量平均分子量は3,000以下である。
・IRGACURE 184D(1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン)、IRGACURE TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)(以上、BASFジャパン株式会社製)
・アートレジン3320HA(根上工業株式会社製:ウレタンアクリレート樹脂、Tg:300℃以上)
・溶剤(固形分0%、酢酸ブチル)
本比較例においては、以下の表に示すように、各化合物における試薬を変更した。なお、比較例1においては成分(A)を使用しておらず、比較例2においては成分(B)を使用していない。
・NKエステルA−DPH(新中村化学工業株式会社製、Tg:300℃以上)すなわちEO変性部位が無いもの(比較例3に該当)
較例
・ポリフローNo.75(共栄社化学株式会社製)すなわちアクリルポリマーであって上記の(b1)や(b2)に該当しないもの(比較例4に該当)
・BYK−361N(ビックケミー・ジャパン株式会社製)すなわちアクリル系重合物であって上記の(b1)や(b2)に該当しないもの(比較例5に該当)
・TSF−4440(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)すなわちシリコン系化合物ではあるがMwが3,000を超えているもの(比較例6に該当)
・BYK−333(ビックケミー・ジャパン株式会社製)すなわちフッ素系化合物ではあるがMwが3,000を超えているもの(比較例7に該当)
・フッ素系ポリオキシエチレンエーテルのオリゴマー(固形分37%)すなわちフッ素系化合物ではあるがMwが3,000を超えているもの(比較例8に該当)
得られた被膜付きフィルムを用いて、下記に記載の試験条件に準拠して、各種特性を評価した。
以下、各特性の評価方法について述べる。
塗膜表面に呼気を2秒程度吹きかけ、その曇り具合を目視にて評価した。本実施例では、○以上を合格とした。
○:まったく曇らない
△:僅かに曇る
×:曇る
硬化被膜に純水1μlを滴下し、着滴してから10秒後の接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製、「DropMaster DM500」)にて測定した。接触角が20°以下になるものを合格とした。
JIS K 5600に準拠して荷重750gで鉛筆硬度試験を行い、光硬化性樹脂組成物の硬化被膜の鉛筆硬度を測定し、評価した。本実施例では、鉛筆硬度がH以上であれば、十分な硬度を有しており、耐擦傷性に優れているものと評価し合格とした。
JIS K 5400に記載されている碁盤目試験の方法に準じて、光硬化性樹脂組成物の硬化被膜上にカッターで1mm幅、100マスの傷を入れ、碁盤目を付けた試験片を作製し、セロテープ(登録商標)(商品名、ニチバン株式会社製)を試験片に貼り付けた後、このセロテープ(登録商標)を速やかに、基盤面に対して45度斜め上方の方向に引っ張って剥離させ、残った碁盤目の被膜数を数え、この数を付着性の指標とした。
{ヘイズ(HZ)}
JIS K7136に準拠して光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムのヘイズ(HZ)を測定し、評価した。本実施例では、ヘイズが1%以下であれば、透明性に優れているものと評価した。なお、ヘイズは、ヘイズメーター(日本電色工株式会社製、「NDH4000」)を用いて測定した。
また、同じく透明性に関し、全光線透過率(TT)を調べた。具体的には、JIS K7361に準拠して光硬化性樹脂組成物の硬化被膜付きフィルムの全光線透過率(TT)を測定し、評価した。本実施例では、全光線透過率が90%以上であれば、透過率が高いものと評価した。なお、全光線透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH4000」)を用いて測定した。
まず、各実施例においては、評価における全ての項目(硬度含め)において満足のいく結果となっていた。特に、(1)防曇性および(2)接触角が示すところの親水性においては著しく優れた結果となっていた。その中でも成分(b1)を使用した例の方が、総合的に評価したときに優れた結果をもたらす傾向があるため、成分(A)、(b1)、(C)の組み合わせが好ましいとも言える。
その一方、各比較例の全てにおいて(1)防曇性および(2)接触角が示すところの親水性の項目だと良好な結果が得られなかった。
Claims (11)
- 光重合性不飽和基を3個以上有し、かつ、当該光重合性不飽和基1個に対して2個以上のアルキレンオキサイド変性部位を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)と、
重量平均分子量3,000以下のフッ素系化合物(b2)である化合物(B)と、
光重合開始剤(C)と、
を含有し、
前記アルキレンオキサイド変性化合物(A)の固形分100重量部に対し、前記化合物(B)の固形分の含有量は0.1〜25重量部であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 - 前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)が、エチレンオキサイド変性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)が、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびエトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド変性化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 前記フッ素系化合物(b2)が、ポリエーテル変性フッ素系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
- さらに、前記光重合性不飽和基を有するアルキレンオキサイド変性化合物(A)とは異なる、光重合性不飽和基を有する樹脂成分(D)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物により構成されたことを特徴とする硬化被膜。
- 前記硬化被膜に対する純水の水滴の接触角が20°以下であることを特徴とする請求項6に記載の硬化被膜。
- JIS K 5600に準拠した鉛筆硬度がH以上であることを特徴とする請求項6または7に記載の硬化被膜。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の硬化被膜を基材上に備えることを特徴とする被膜付き基材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有することを特徴とする被膜付き基材の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、光照射により前記光硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化被膜を形成する硬化工程と、
を有することを特徴とする基材に対する防曇処理方法。
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