JP2021055147A - 鋼構築物の防食構造とその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼構築物を構成する鉄鋼部分に起こる腐食を防ぐために、犠牲要素を鋼表面に担持して供給する構造および施工方法を提供する。【解決手段】防食対象の鋼表面に導電性接着剤(14)を介してマグネシウム板(16)を接着してそのマグネシウム板由来の水酸化マグネシウムあるいは市販の水酸化マグネシウムを含浸させて担持した網目状基体(18、ポリエステル繊維製の平織布帛)で鋼表面を覆い且つその網目状基体を鋼表面に拡げて、マグネシウムイオンを鋼表面に供給し、さらに、マグネシウム板に被せたこの網目状基体を防食カバー(20)で覆ってから、この網目状基体および防食カバーを鋼構築物に固定して、防食範囲(26)に有る鋼表面を不動態化することで鋼材腐食を防止する。【選択図】図11

Description

本発明は、鉄鋼で構築した鋼構造物の防食技術に係る手段およびその工法に関する。特に、鋼構造物の鉄鋼表面を不動態化状態として維持する新規な手段に関する。
従来から海洋鋼構造物、船舶バラスト、沿岸棧橋あるいは河川橋梁脚、地上架空配管あるいは土壌埋設鋼材、鉄筋コンクリート等の地中構造物の防食方法には多くの手段が用いられている。たとえば、パテ材料の塗装、塩化ビニールや熱硬化性樹脂の耐蝕材を被覆するライニング、金属鍍金や溶射を行う防食メッキ等がある。これらの防蝕手段では鉄鋼構造物の周辺環境および熱伸縮や変位また暴露による被覆劣化が起きるので剥離や割れが避けられない。
このような表面に被覆層を設ける手段と異なり、鉄材料の特性を生かして卑金属のイオン化傾向を活用した流電陽極の電気防食法が知られている。この流電陽極の防食方法は、被構造体に合わせて施工できるメンテナンスも容易な方法であり、そして、専用の外部電源設備を備える必要がない安価な技術手段である。特に、この技術は橋梁など地上鋼構築物あるいは港湾鋼構造物に犠牲陽極として広く利用され、大気環境に在る被覆防食の鋼構造物であっても、また干満部や海水に接する箇所においてもこの方法が従来から適用されている。
この流電陽極を活用した例として、特許文献1で開示された手段が公知である。この例は地上および地中に設けた被防食体の外周形状に合わせたマグネシウム板に沿い吸水織布を密着させて、鉄とマグネシウム材料との電位差によってガルバニック腐食を卑金属に発生させる手段である。この方法は犠牲防食のためのマグネシウム板と被防食体との密着を要するので、複雑形状の鉄鋼材を被対象物にする場合はその形状に応じてマグネシウム材の加工が必要になる。そこで被防食体の形状に応じた陽極体であればより設置自由度が拡がるが、被防食体の形状に一致した犠牲陽極を用いない手段も知られている。
たとえば、特許文献2(特開2000−169980号公報)の例では、被防食体の鋼材1の表面に陰イオン選択透過性を有する固体電解質を含む防食皮膜2を設け、その外側に陽極3を積層配置して、陽極3と鋼材1とを被覆銅線5で直接接続し防食電流回路を構成している。この陰イオン選択透過性を有する固体電解質は炭化水素あるいはフッ化炭素の高分子を骨格とするイオン交換樹脂、すなわち第四級アンモニウム(−RR’R''N+ )、第一〜第三級アミン(−NH3 + 、−RNH2 + 、−RR’NH+ )の樹脂である。このような防食皮膜を被防食体の表面に張り付けておき、陽極3はマグネシウム等をその外側に取り付けている。この防食樹脂は被防食体の形状に合わせた膜状塗布が容易であり、密着させている。このような試験体を海水中、飛沫干満帯、および淡水中にて放置すると、水酸化マグネシウム膜の電解生成物が膜塗布部分に生成されて鋼材表面の腐食を防止する。
この特許文献2によれば、被防食体の形状には固体電解質膜を貼り付けているので流電陽極の形状の自由度に余裕ができるが、それでも固体電解質膜に近づける必要があり、依然として流電陽極の形状に制約がある。この制約をさらに緩める手段としては、被防食体の中で最も腐食を起こす箇所に電解質保持部を設けておき、犠牲陽極の取り付け位置はその保持部から離れ、取り付け容易な任意箇所に締結できればより陽極形状の制約を少なくできる。
特許文献3(特開2007−077474号公報)の例では、港湾等の汽水環境にある飛沫干満に接する鋼構造物に液吸収性のノニオン性高分子化合物や脱脂綿のシート材料を密着させて、その密着箇所から離れた水中に陽極ビレット10を犠牲陽極として取り付ける。その高分子化合物としては例えばポリアクリルアミド樹脂をネット状やシート状に成形し、また脱脂綿の代わりにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等の合成繊維製の透液性を有する不織布で構成する。この高分子化合物や脱脂綿の保液層2の外側には、透水コンクリート、透水モルタル、木材、孔あけ加工された金属、液透過性を有する多孔性の繊維強化プラスチックス等の被覆層を設けて、離れて取り付けた犠牲陽極からの防食電流を貫通する構造にしてある。
この特許文献3の構造によれば、水酸化マグネシウムの皮膜が鋼構造物の表面に形成されて防食効果を生み出している。この方法は保液層2に含有する塩化マグネシウムを電解させて鋼表面に水酸化マグネシウムの生成物を作成する防食手段である。ところで、汽水環境の鋼表面に生成される水酸化マグネシウムが防食効果のあるエレクトロコーティングに成ることは、非特許文献1(北川尚男著「水酸化マグネシウムの炭酸化と干潮帯におけるエレクトロコーティングの生成」腐食防食学会、材料と環境、57、P235−240、2008)からも明らかであり、特許文献3の手段が有用であることは明らかである。しかしながら、被防食体形状に合わせることができる保液層2と異なり陽極ビレット10は金属塊であり離れて配置する必要がある。そこで、塩化マグネシウム含有保液層がエレクトロコーティングを生成するのには日数を要し、その間の腐食進行を止める事ができない。
上記の特許文献2、3は生成された水酸化マグネシウムで被防食体を被う技術であるが、エレクトロコーティングの生成を図ることなく、水酸化マグネシウム含有皮膜を直接的に被防食体の鋼構造物に隣接配置することも可能である。このような一例は特許文献4(特開2002−47587号公報)に見られる。この特許文献4は電極材料を金網構造にするものであり、マグネシウムリボン2を金網状の基体にして被防食体に隣接させる。金網状にした金属基体は被防食体の外形と類似形状にできるので陽極を離れた位置に設ける必要がない。そこで、この特許文献4は金属リボンの溶解生成物である水酸化マグネシウムで表面がおおわれる鋼構築物にできる。
また、特許文献5(特開昭58−076465号公報)のように水酸化マグネシウムの粉体を利用する例もある。この特許文献5は、水酸化マグネシウム含有タルク(水酸化マグネシウムを含む珪酸塩の鉱物粉体)をエポキシ樹脂で電気的導通性を有した網目状連続基体に固めて担持する構造である。この構造は、網目状連続基体としてメタルラス(見かけ厚み3mmのラス金網)あるいはガラス繊維や合成繊維の織布芯に導電材をメッキ塗布して、水酸化マグネシウム含有物を2液性エポキシ樹脂で固めた6mmの厚さの防食構造体である。この特許文献5では港湾鉄鋼構造物に金網を巻付けた後にエピコートおよび硬化剤の2液性エポキシ樹脂をウエットハンドでメタルラスに充填する工法になる。
上記特許文献5は、網目状連続基体に合成繊維を使用した場合に織布芯を導電材でメッキ塗布して犠牲金属のマグネシウムと被防食体との間に電流回路を形成しているが、メッキの代わりに固体炭素素材を用いる例もある。例えば特許文献6(特表2007−508439号公報)は特定アスペクト比の炭素粒を伝導性媒体にするか、あるいはカーボン繊維を用いて犠牲金属を塩化リチウム等の電解質媒体に含有させると共に錯化剤を添加し活性状態にしておき、犠牲金属と被防食体との間で防食電流を伝導する手段を用いている。この例の場合は特許文献4、5のような基体を網状にする必要はないが、電解質媒体中の犠牲金属は金属イオンの沈殿を防ぐために錯化剤を添加して被防食体表面の不動態化を維持する工夫を入れている。
一般に被防食体として利用する鋼材は、H鋼のように外形屈曲部があり、そして鋼材接合部には凹凸がある。このような特異形状部に合わせるために前述の特許文献4〜5では、メッシュ金網や芯鞘繊維の柔軟性を利用して鋼材凹凸部に密接するように施工するが、それでも密着性が十分でない。より柔軟性を持たせる構造としては、繊維を格子状に織ったメッシュ状物を介在させる特許文献7(特開平06−126240号公報)が周知である。この特許文献7は、防食性液状樹脂組成物で被防食体を覆ったうえ水酸化アルミニウム含有の酸化重合型アクリル樹脂にポリエステル製メッシュ状繊維物を張り付ける構造にした柔軟な手段であるが、この例ではアクリル樹脂中での分散性に優れたアルミニウム粉体の利用に限られており、イオン化傾向の大きなマグネシウムには不向きであるとされている。
さらに近年は、特許文献7と同様に被防食体の凹凸形状に合致させて防食効果を上げる目的で水酸化マグネシウムを適用した防食テープが開発されている。特許文献8(特開2018−168455号公報)は鋼材表面の凹凸に密着可能なように液状ゴムを設けて、このゴムにバインダー油成分とベントナイトや水酸化アルミニウムを含有して下側層を形成し、その外側にポリエステル繊維などの不織布に含有した不飽和油で重合硬化させた水酸化マグネシウム粒子の漏洩を防ぐ防食テープである。
特開2006−207000号公報 特開2000−169980号公報 特開2007−077474号公報 特開2002−47587号公報 特開昭58−076465号公報 特表2007−508439号公報 特開平06−126240号公報 特開2018−168455号公報
北川尚男著「水酸化マグネシウムの炭酸化と干潮帯におけるエレクトロコーティングの生成」腐食防食学会、材料と環境、57、P235−240、2008
上記の特許文献3、4、5、6で明らかにされた防食膜の形成手段は、形状の決まっている従来型流電陽極材を用いる手法に比べて複雑形状の鋼構造物にも対応し易いが、それでも複雑形状で剛性のある基体や特殊組成の材料を準備することになる。すなわち、網形状マグネシウムやメタルラスで支えたエポキシ固定の水酸化マグネシウム、あるいはカーボンと犠牲金属を含有する電解質媒体剤のような特殊剤が必要になる。これらの従来技術の改良例として複雑形状の被防食鋼材に適合する従来例としては特許文献7、8が挙げられるが、特許文献7はマグネシウムに不適であり、特許文献8は含油成分に依存する組成材料の複雑な組成になっている。
そこで、従来から利用されているマグネシウム板を被防食鋼材に貼り付ける手段のみならず、複雑形状の被防食体であったとしても、犠牲防食で生成された水酸化マグネシウムのアルカリ効果を鉄鋼材の表面に流動および保持して鉄鋼表面を不動態皮膜とし、防食効果のある鋼構造物にする安価な技術が望まれている。
このような要望にこたえ、従来から利用されているマグネシウムを被防食体に貼り付ける手段に加え、本願発明者が鋭意研究した結果、ガーゼ状網布を利用することで水酸化マグネシウムを担持し、マグネシウムのアルカリ効果を鋼構造物表面で保持できることを見出した。
本発明は、水酸化マグネシウムの結晶物を鉄構造物に接触させるかもしくは鉄構造物が腐食する原因となる電解質が通る経路に十分な水酸化マグネシウムを接触させその電解質のpHを10程度に高め、鉄の不働態が維持できる環境に鉄構造物を置くことを目的としている。また、その水酸化マグネシウムの供給源として従来から施工されてきたマグネシウム板を導電性接着剤で鉄構造物に接触させる手法の腐食生成物を利用する。
このため、ゲル状となった十分な量の水酸化マグネシウムを鉄および電解質に接触させるように維持できなければならないが、鉄構造物の表面にゲル状の水酸化マグネシウムを付着させることは困難であるため、格子状に編み込まれた布を利用して保持させるものとする。この考え方は、水酸化アルカリ沈殿法の種晶に相当するものと考えており、布の格子に接触した水酸化マグネシウムがそこにとどまることで種晶となり、マグネシウム板の腐食により生成した水酸化マグネシウムがこの種晶に付着して析出し布全体を覆うことで金属との接触面積や電解質との接触面積が増大する。この種晶を利用することで最初に生成される水酸化マグネシウムの粒子が3〜5μmであるのに比べて、15μm以上の大きな板状結晶が形成され、それが格子の中にとどまることでさらに成長を続けることが可能となる。この格子のサイズは1辺を1mm以下とすることが必要で、格子が大きすぎる場合は隙間を埋めるだけの十分な成長が望めず、水酸化マグネシウムはコロイド状態で外部流出する可能性が否定できない。
本願発明の請求項1に記載の手段は、鋼構築物の防食構造において、
鋼構築物を構成する鉄鋼材と、この鉄鋼材の表面に塗布する導電性接着剤と、この導電性接着剤を間に置いて前記鉄鋼材に固定的に取り付けたマグネシウム板と、このマグネシウム板を覆い且つこのマグネシウム板の表面積よりも広い範囲に亘り配置するガーゼ状の網目構造を有するポリエステル製繊維の平織布帛と、この布帛にビチューメン系のカバーをさらに重ねて備えた前記鉄鋼材のための防食構造において、
前記導電性接着剤と前記マグネシウム板とを挟み且つ前記表面の上に配置した可撓性のある前記布帛、および、前記カバーが前記鉄鋼材に固定してあり、
前記布帛が前記マグネシウム板に由来して生成されたマグネシウムイオンを担持しており、そして、
前記担持した前記布帛が前記鉄鋼材の前記表面に重畳されており、
前記マグネシウム板の表面積よりも広く且つ前記重畳された範囲に亘って前記鉄鋼材の前記表面を不動態化して防食することを特徴とする防食構造、である。
本願発明の請求項2に記載の手段は、鋼構築物の防食構造において、
鋼構築物を構成する鉄鋼材と、この鉄鋼材の表面を覆い且つ重ねて配置するガーゼ状の網目を有するポリエステル製繊維の平織布帛と、水酸化マグネシウム剤と、前記平織布帛にビチューメン系のカバーをさらに重ねて備えた前記鉄鋼材のための防食構造において、
可撓性のある前記平織布帛の前記網目が1mm角メッシュの細目構造を有し、
前記細目構造が前記水酸化マグネシウム剤を担持して、
前記担持した水酸化マグネシウム剤が前記鉄鋼材の前記表面に重畳されて、
前記平織布帛を拡げた前記鉄鋼材の前記表面に亘って前記重畳された前記表面を不動態化して防食することを特徴とする防食構造、である。
本願発明の請求項3に記載の施工方法は、鋼構築物の防食構造の施工方法において、
防食対象の鋼構築物を準備する工程と、前記鋼構築物の外表面にマグネシウム板を取り付けるための取付接着の可否を判断する工程と、前記外表面の中で少なくとも防食対象範囲を素地調整する工程と、マグネシウムイオンあるいは水酸化マグネシウムを担持する網状織布基体を準備する工程と、前記網状織布基体を前記外表面に保持するためにプライマーを準備する工程と、前記素地調整を行った鋼表面および前記網状織布基体を覆うカバーを準備する工程と、前記カバーをさらに覆うための仕上げ剤を準備する工程とを有し、
前記取付接着の可否を判断する工程の後に、下記(1)あるいは(2)の工程にしたがって前記鋼構築物の防食構造を提供する施工方法であり、
(1)の工程として、前記素地調整を行った鋼表面に前記マグネシウム板を接着する場合には、前記マグネシウム板を、導電性ポリマーを介して前記素地調整の行われた鋼表面に接着し、および、前記マグネシウム板と異なる第2のマグネシウム板の使用可否を判断して下記(1−1)工程あるいは(1−2)工程のいずれかを選定し、
(1−1)工程として、前記第2のマグネシウム板を用いない場合、前記網状織布基体が前記マグネシウム板の少なくとも一部を覆うと共に前記素地調整の行われた鋼表面を直接に覆ってから、前記マグネシウム板および前記網状織布基体を挟むようにして前記鋼表面を覆う前記カバーを前記鋼構築物の外表面に固定し、そして、前記カバーの外側に前記仕上げ剤を塗布する工程、
(1−2)工程として、前記第2のマグネシウム板を用いる場合、前記網状織布基体は前記マグネシウム板および前記第2のマグネシウム板との間に在る前記鋼表面に沿って配設し、さらに、前記網状織布基体が前記マグネシウム板および前記第2のマグネシウム板の少なくとも一部を覆ってから、前記マグネシウム板および前記第2のマグネシウム板並びに前記網状織布基体を挟むようにして、前記鋼表面を覆う前記カバーを前記鋼構築物の外表面に固定し、そして、前記カバーの外側に前記仕上げ剤を塗布する工程、
(2)の工程として、前記素地調整を行った鋼表面に前記マグネシウム板を接着しない場合には、水酸化マグネシウムを担持した前記網状織布基体を前記素地調整の行われた鋼表面に沿って配設し、前記水酸化マグネシウムを担持した前記網状織布基体を挟むようにして、前記鋼表面を覆う前記カバーを前記鋼構築物の外表面に固定し、そして、前記カバーの外側に前記仕上げ剤を塗布する工程、
を有する施工方法、である。
本発明の第1の請求項に係る手段は、従来より周知のマグネシウム板を犠牲陽極にした防食手段に加えて、ガーゼ状の繊維布帛をマグネシウム板よりも広い範囲に亘り鋼表面を覆うことで鋼表面の防食範囲を広げる効果を与えることができる。さらにマグネシウム板が平面形状や限定される円弧形状であり、限られた形状のみの鋼材に適用された従来技術に比べて、凹凸のある鋼材の異形状表面に対しても、柔軟なポリエステル繊維の特徴を生かして鋼材表面形状に沿って防食範囲を広げることができる。そして、従来適用済みのマグネシウム板をその貼り付け状態を維持したまま、柔軟で可撓性のある繊維布帛をこのマグネシウム板に重ねることで防食範囲を拡張できるので、施工作業も容易な安価な工程で防食構造を提供できる。
本発明の第2の請求項に係る手段は、従来必要とされたマグネシウム板等の犠牲陽極を不要として安価な水酸化マグネシウム剤を適用でき、従来煩雑な作業であった導電性接着剤によるマグネシウム板の貼り付けやボルトあるいは溶接による固定作業をすることがない。そして、この発明は柔軟なポリエステル繊維布帛を被対象鋼材の表面に沿って配置するので、被対象鋼材が複雑な異形の鋼表面であるとしても防食効果を与えることができる。
本発明の第3の請求項に係る方法は、前述の本発明の第1の請求項に係る手段および第2の請求項に係る手段で開示した防食構造を提供する施工方法を与えることができる。この方法によって、鋼構築物に本願発明手段を適用する際に、被構造体の構造に適した防食構造あるいはユーザの望む施工条件を選定することが可能になる。
本発明の防食構造体に適用するための網布体を比較する試験体の写真である。 ボルト接合部に適用した本発明実施例の構造概略図である。 網布による水酸化マグネシウムの保持機能を検証するための実験写真である。 網布を使用しない場合の腐食を示す実験写真である。 粗目の網布の場合の試験体の状態を示す実験写真である。 細目の網布の場合の試験体の状態を示す実験写真である。 水酸化マグネシウムを検証したデータである。 本発明の作用を説明するプールベ線図である。 網布が水酸化マグネシウムを担持可能であることの検証実験である。 暴露試験のガーゼに付着物を示す写真である。 本発明の防食構造体の概略断面図である。 本発明の防食構造体の部分断面の概略斜視図である。 表2の暴露試験状態および結果を示す実験写真である。 暴露試験中の温度および湿度データである。 本発明を応用した防食構造体の断面図である。 図15に示す構造体の防食性確認実験である。 図15に示す構造体の防食性確認実験の続きを示す。 図15に示す構造体の防食性確認実験の続きを示す。 本発明の図11に示す防食構造体を応用した更に別の防食構造体の断面図である。 鋼材合わせ面の隙間部分での防食効果を検証する実験である。 鋼材合わせ面の隙間部分での防食作用を確認する実験である。 本発明をさらに改良して適用した防食構造体の断面図である。 本発明を適用する防食施工方法の工程フロー図である。
以下、本発明の実施の形態に係る防食体構造および本願発明の実施例について図面を参照して説明する。発明の詳細な説明では同一の機能を図る構成部には同一の符号および名称を付してある。
(網目状基体を用いた水酸化マグネシウムの鋼表面での担持を検証した第1実施例の実験)
柔軟性のある網目状基体で鋼材表面を覆い、犠牲剤の水酸化マグネシウム水溶液が鉛直方向で落下せず、網目状基体で支えることの可能性について次の検証を行なった。まず、比較試験のための網布をつけた試験片と網布をつけない試験片を図1に示す試験体として準備した。以下、詳細に説明する。
被試験体は、JFEスチール(株)製STKR400、サイズ60mm角柱、一般構造用角型鋼管(JISG3466)を用いて、表面の素地調整st3を行った。
水酸化マグネシウムは、45mm×45mmのマグネシウム板を鋼管周囲に4枚を導電性接着剤で接着させ、表面をビチューメンゴムが主成分の保護カバーで覆い、その上から塩分濃度5%(重量パーセント)の塩水を常時流し、マグネシウムから水酸化マグネシウムを生成させ鋼管の被試験体表面に供給した。
網目状基体は2種類用意して作用効果の比較を行う。
第1のサンプルは、材質をポリエステル繊維100%(化学物質名 ポリエチレンテレフタレート)とする粗目網目状ネット(繊維直径1mm、メッシュの大きさ10mm×5mm)を試料番号1に適用する。
第2のサンプルは、材質をポリエステル繊維100%(化学物質名 ポリエチレンテレフタレート)とする細目網目状ガーゼ(繊維直径0.3mm、メッシュの大きさを1mm×1mm)を試料番号2に適用する。
これらの網目状基体はそのサイズを約60mm×60mmの大きさに切断して被試験体に巻付けた。なお比較のために網目状基体を用いない被試験体も準備する。
(第1実施例での被試験体の概略構造)
図2は被試験体の構成概略図である。被試験体12には導電性接着剤14(株式会社ビション開発製、型式 常温タイプ)でマグネシウム板16(権田金属株式会社製、型式AZ61研磨板、サイズ45mm×45mm×2mm)を貼り付け、その外側を網目状基体18で覆う。この網目状基体18はマグネシウム16の接着範囲24から外側に引き延ばしてあり、被試験体12とボルト32とナット30で接合した第2の被試験体13まで拡げてある。2つの被試験体12、13を接合するボルトナット30、32部はマグネシウム板16が取り付け不可能の特異形状部22になる。そして、この網目状基体18の担持機能を確認するために、第1の被試験体12の端末部分24から第2の被試験体13まで網目状基体18を拡げ、防食範囲26を確認するために作成した。
(第1実施例での被試験体の試験雰囲気条件)
温度15℃、湿度80%RH環境雰囲気の下で、塩分濃度(質量濃度)が5%の塩水滴下を14日間継続して、その後、さらに14日間に亘り雰囲気温度15℃、相対湿度40%の大気中に放置した。図3は網布による水酸化マグネシウムの保持機能を検証するための実験写真であり、実際の滴下試験中の状態を示す。
(第1実施例での試験結果のまとめ表1)
表1は網布が水酸化マグネシウムを担持して防錆効果を現すことを検証した実験結果のまとめである。各行に4種類の試料を対比して並べた。ここで、試料番号1は網目状基体として粗目網布を用いた場合、試料番号2は網目状基体として細目網布を用いた場合、試料番号3と4はそれぞれ比較試料である。また、各列では(1)被試験体へのMgペレットの取り付け有無、(2)被試験体表面への水酸化マグネシウムの供給の有無、(3)被試験体表面に水酸化マグネシウムを保持させる網布の有無、(4)試験環境に放置後の試験体表面の錆の発生状態の観測評価、(5)試験後の表面の状態を表わす写真、そして実際の写真を図4〜図6に示す。なお、図4は網布を巻きつけない場合の試験片の状態と水酸化マグネシウムの供給がない場合の試験片の状態を示す実験写真である。図5は粗目の網布の場合の試験片の状態を示す実験写真である。図6は細目の網布の場合の試験片の状態を示す実験写真である。
Figure 2021055147
(第1実施例での試験結果)
試料番号4は防錆対策がないので当然ながら激しい腐食が発生している。そして試料番号3は水酸化ナトリウムを供給し且つ犠牲陽極のマグネシウム板を貼り付けてあるにもかかわらず、凹凸のある特異形状部22では腐食が発生しており水酸化マグネシウムの供給だけでは防食効果が不足していることが判る。そして粗い目の網目状基体を用いた試料番号1では、試料番号3のような腐食は見られないので、水酸化マグネシウムの防食効果は認められる。さらに目の細かい試料番号2では、特異形状部22および端末部分24、さらに第2の被試験体13に至るまで全く腐食が認められない。すなわち、試料番号2は試料番号1よりも、防食効果が大きいことが明らかである。
(第1実施例での試験結果の結論)
試料番号2では被試験体の鋼材表面を被覆する白色物質が図7に示すX線回折データから水酸化マグネシウムであると同定されて、この白色部分は図6に示すように水素イオン指数が9〜10のアルカリ性であった。このような現象に対して、従来技術に相当する試料番号3ではマグネシウム板の犠牲陽極の効果が特異形状部22まで拡がっていないが、網目状基体を用いることで図2の防食範囲26まで防食効果範囲が広がっている。すなわち、網目状基体を用いることで、従来以上に防食範囲を広げることができ、実質的にエレクトロコーティングの作用を鋼材表面に提供していることが明らかになった。後述するがこの現象は図8のプールベ線図からも理解できる。
(第1実施例での試験結果の考察)
マグネシウム板による犠牲防食で生成された水酸化マグネシウムのアルカリ効果をガーゼ状の布で鉄表面に伝達もしくは保持し、鉄表面に防食効果のある不動態保護被膜を鉄自身に生じさせ、アルカリ効果を布で保持させることで保護被膜を破壊させないことを目的としている。通常、犠牲防食は図8に示す腐食域(A点:自然電位)にある鉄に犠牲防食材を接続することにより不活性の領域(図8中の1:防食電位)まで電位を下げることを目的としている。この場合は、犠牲防食材が消耗しきると元の腐食域(A点)にもどるため、犠牲防食材は再施工しなければならない。しかしながら、本発明は犠牲陽極の消耗に伴いアルカリ性を示す水酸化マグネシウムが副生成物として残存するため、この副生成物により図8中のA点から3の点まで移動する。すなわち、図8中の3に示す点は黒錆もしくは透明で光沢のある皮膜つまり不動態が発生しそれが維持される点であるため防食効果を維持できることになる。
(マグネシウム板由来の生成物を担持する網目状基体の担体機能を検証した第2実施例)
犠牲陽極であるマグネシウム板は水酸化マグネシウムを生成して鋼表面の不動態化として作用するが、この生成物を鋼表面で安定に担持する網目状基体がこの担体として機能できるかを確認する必要がある。このような網目状基体の網布が水酸化マグネシウムを担持可能であることの検証として次の実施例を示す。図9は第1実施例で効果を確認した表1の細目の網目状基体(試料番号2)の検証である。
(第2実施例での被試験体の実験条件)
第2実施例は、実験経過に従って試験手順(図9の項1から項5まで)を説明する。
項番1では、鋼板(JFEスチール株式会社製、型式 熱延鋼板SS400 JISG3101 サイズ160mm×120mm×4.5mm)の面に導電性接着剤(株式会社ビジョン開発製、型式 常温タイプ)を用いてマグネシウム板(権田金属工業株式会社製、型式AZ61研磨板、サイズ100mm×70mm×2.0mm)を接着後、表1中の試料番号2に適用した細目網目状基体(ガーゼ)と同質のものを取り付ける。なお、比較のために、網目状基体を使用しないサンプル(A−1)も作成した。
項番2では、その細目網目状基体の上側にビチューメン系カバーを取り付け後、写真に示すようなマトリックス状の切り込みを入れてマグネシウム板を直線状に露出させた後、塩水(質量濃度5%塩水)を浸したトレイ中に浸漬させて、マグネシウム板を反応させる。
項番3では、3日間の浸漬でマグネシウムイオンを発生させる。網目状基体のないA−1サンプルは水素ガスとマグネシウムイオンが流出しているが、網目状基体も用いたA−2サンプルは水酸化マグネシウムがガーゼ内に残っていることが観察される。
項番4で、網目状基体をマグネシウム板から外してみると、網目状基体のないA−1サンプルは水酸化マグネシウムが担持されていないが、網目状基体も用いたA−2サンプルは水酸化マグネシウム塊が観察される。
項番5では、実験トレイの水溶液をビーカーに移してコロイド状に白濁沈殿した水酸化マグネシウム水和物の量を目視で比較すると、網目状基体のないA−1サンプルは水酸化マグネシウムが多く流出し、網目状基体も用いたA−2サンプルは水酸化マグネシウムの流出は少ないことが観察された。
(第2実施例で得られた白濁流出物が水酸化マグネシウムである確認)
図9の実験で得られたコロイド白濁沈殿物はX線回折による分析を行った。その結果、この物質は図7に示すように塩分を含む水酸化マグネシウムであることを同定した。すなわち、細目網目状基体はマグネシウム板由来のマグネシウムイオンを担持し且つ供給していることになる。
(第2実施例での試験結果の考察)
図9に示した実験で得られた水酸化マグネシウムは、後述の網目状基体が担持する生成物の確認実験として、実施例2のガーゼに付着した水酸化マグネシウムの塊とPHを示す図10のAを見ても分かる通り、細目の網目状基体(ガーゼ)は水酸化マグネシウムの流出を阻害して十分なアルカリ供給源となっていることがわかる。またその際に図10のBに示すように、生成物(水酸化マグネシウム)のpHは10.5となっており、不動態域にとどまるのに十分なアルカリ度を示している。
以上の第1実施例および第2実施例の実験確認で得られた知見を適用して、網目状基体を応用した鋼構造物の防食構造体が得られる。図11および図12はその構造体である。図11は防食構造体の横断面を示し、図12は一部を破断して示す斜視図である。ここで用いる網目状基体は柔軟性を有するポリエステル繊維であり環境温度や外力で鋼構造体が変形しても追従できる。
(鋼材に適用した防食構造体の説明)
図11、12は、被防食体になる被防食鋼材12の外面に導電性接着剤14を塗布し、さらにマグネシウム板16を貼り付け、その廻りで水酸化マグネシウムを担持する網目状基体18を備えるために、その板の外側を実施例2で適用した細目の網目状基体18で覆う。この網目状基体18は被防食鋼材12の外面に届くまで延ばして、さらに被防食鋼材の防食効果を得る範囲まで広げてもよい。少なくとも図11、12中に示す符号19に示すように鋼材表面上に沿って裾状に拡げることができる。そして、さらに網目状基体18の外側には、実施例2の適用カバーであるビチューメン系カバーを防食カバーとした防水カバー20を設ける。この防水カバー20の取り付け範囲は、網目状基体18を十分に覆うように取り付ける。この防水カバー20の内部にある網目状基体18を設けた空間には、外部から電解質溶液が浸透し得る使用環境で捕捉し得る親水性溶媒を充填する。この網目状基体18および防水カバー20の被防食鋼材への固定は、この網目状基体18の上面を除いて防食範囲を囲む状態で専用プライマーを用い接着する。この防食範囲を囲む専用プライマーの接着によって防食範囲での防食効果を得ることができる。なお、ここで用いるマグネシウム板は第2実施例で実験的に適用したマグネシウム板にこだわるものではなく、犠牲陽極材として広く市販されている流電陽極用標準品のうちアルカリ性の腐食生成物が生じるものであれば適用可能である。
(暴露試験に適用した本発明の構造体)
本発明の構造体が被防食構造として有効であることを確認するために暴露試験を行った。
被試験試料は一般構造用鋼管(JFEスチール社製STK4002B/JISG3444、長さ約350mm、外形直径約60mm)を用いて、表面の素地調整st3を行なった。
試験試料1〜3は、本発明の図11に示す構造を鋼管の中央部に設け、ガーゼ状網目状基体の下端側の一部を防水カバーから露出させて鋼管に巻き付けてある。
試験試料4〜5は、比較試料として亜鉛を犠牲陽極材とした亜鉛テープ(亜鉛粉末を添加したアクリル系粘着剤の薄手テープ(亜鉛ベースシートタイプ)で厚み0.1mm、幅25mm)を2回巻き付け、試験試料1〜3と同じく鋼管の中央部に設けた。
試験試料6は、鋼管地肌のままで、黒皮のみとした。
試験条件は、上記の試験試料1〜6は鋼管の中央部から上部を地表に出し、反対の下部を地中に埋設する。なおこの試験には、日本国内に広く分布する弱酸性の褐色森林土を試験土壌として使用した。
(暴露試験の試験状態)
図13は暴露試験に使用した試験試料と暴露試験後の試料の状態を写真で示すものである。この中で図13のEは試験前の試料1〜6、図13のDは暴露試験中の状態であり、試料の下側を試験土壌に約5カ月間埋設し、図13のFは試験後の試料1〜6を土壌から引き出した状態を示している。試験試料の特徴と試験結果は表2にまとめ、暴露試験中の大気環境の温度・湿度を図14に示す。この試験中の大気雰囲気は、凡そ温度が変化幅約15℃程度/1日、湿度は約50%RHである。
Figure 2021055147
(暴露試験の試験結果)
図13のA、B、Cはそれぞれ本発明の構造体、亜鉛テープ使用体、鋼材地肌のままで土壌放置の暴露試験を行った鋼管外周面と内周面の状態を写真で示す。これらの写真から、亜鉛テープを巻き付けた例(図13のB)は地肌(図13のC)のままに比べて防食効果が認められるが、本発明構造を適用した鋼管が最も腐食程度が軽く、概ね鋼管初期の表面状態を維持している。この暴露実験で本発明の防食効果が従来技術である亜鉛テープ巻き付け手段に比べて優れた防食効果を得ることが確認できる。より詳しく説明すると、防食未施工の鋼管は管の左側の土中(3%塩水含む)で赤錆が、外面、内面を問わず全面的に発生し、内面の錆は土と一体化して水洗後も残存した(図13のC)。本発明構造の施工をした鋼管はその構造のおおよそ半分程度に損耗しているが、土中の配管(表面処理無しの黒皮状態)に目立った錆は発生していない(図13のA)。比較として使用した亜鉛テープ巻き施工をした鋼管は、防食未施工の鋼管よりも少ないものの外面、内面共に赤錆の発生が見られ、また、亜鉛テープの一部が溶損した(図13のB)。
(暴露試験の考察)
この暴露試験では図10に示す傍証も行い、防食効果の定性的考察を試みる。
図10において防食効果が確認された理由は図8のプールベ線図から次のように理解できる。被試験体の鋼管に接合した本発明構造はマグネシウム板を犠牲電極として、鋼管が不活性領域となり保護される(A→1)。そして、図10−Aに示す水酸化マグネシウムが生成されることで周囲のpHをアルカリ化させる(A→3)。図10−Bに示すアルカリ化した土壌中では鋼管が不動態領域となり保護される。この試験では、マグネシウム面に布を貼り、布の一端が外部と接続されているため、水酸化マグネシウムが土壌中に浸透して土壌がアルカリ化した。アルカリ化による防食効果範囲は、同じ容器内にある他の非防食管が十分腐食しているため、防食を施した鋼管の周囲に留まると考えられる。一方、亜鉛めっきテープは、塩水の存在する箇所での効果が期待できず、本発明構造よりも発錆の多い結果となった。そして、図10−Aを見て分かる通り、ガーゼ状網目状基体により水酸化マグネシウムの流出が阻害され十分なアルカリ供給源となっていることがわかる。また、水酸化マグネシウムである生成物のpHは10.5となっており、不動態域にとどまるのに十分なアルカリ度と言える。また、ガーゼ状網目状基体は別の意味で図8に示す符号1の不活性域でも効果を発揮し、マグネシウムの隙間部に施工することによって、その部分の電位を下げる効果があることが判り、ガーゼ状網目状基体の副次的な効果が認められた。
(マグネシウム板由来の生成物を担持する網目状基体の担体機能を検証した第3実施例)
前述第1実施例で明らかにした1mm×1mm細目メッシュのガーゼ状網目状基体を利用した第3の実施例について説明する。第3実施例は2つのマグネシウム板の間にその網目状基体を配置し、マグネシウム板を置かない領域においても防食効果を得る構造を提供する。これは前述の実施例を応用した構造であり図15にその防食構造体の断面図を示す。すなわち、図15は本願発明の第3実施例の構造になる。被防食鋼材12の表面に第2実施例と同じく導電性接着剤14を介して2つのマグネシウム板16を55mmの中間部30を設け、両板の中間を開けて夫々に貼る。そして、この2枚のマグネシウム板の間を含めマグネシウム板を網目状基体18、さらに防水カバー20で覆い、マグネシウム板の範囲24のみならず、ガーゼ18のみの中間域30を含め防食範囲26での防錆を得る構造である。
(第3実施例での被試験体の実験準備)
第3実施例は、試験準備の手順(図16の項1から項3まで)を初めに説明する。
順番1において、
項番(1−4)では鋼板(JFEスチール株式会社製、型式 熱延鋼板SS400 JISG3101 サイズ160mm×120mm×4.5mm)を準備する。
項番(1−1)、(1−2)では、鋼板の面に導電性接着剤(株式会社ビジョン開発製、型式 常温タイプ)を用いて2枚のマグネシウム板(権田金属工業株式会社製、型式AZ61研磨板、サイズ20mm×70mm×2.0mm)を接着する。
項番(1−3)では、導電性接着剤を延長して塗布しバツ印を付け鉄材を露出させる。
順番2において、
項番(2−1)では表1中の試料番号2に適用した細目網目状基体(ガーゼ)と同質のものを取り付けたサンプル(B−1)を作成する。なお、比較のためにガーゼを付けない試験片も作成(写真省略)(B−2)する。
順番3において、
項番(3−1)ではビチューメン系の外装材を貼り付け鉄材の露出に合わせバツ印の切り欠きを付ける。
(第3実施例での被試験体の実験経過)
実験は塩水を使用して行うが、経過手順(図17の項4から項6まで)に従って説明する。
順番4において、
項番(4−1)では5%の塩水を噴霧し、2日経過させる。
項番(4−2)ではリトマス試験紙を接触させるとガーゼのある試験片(B−1)は、pH10程度となる。
項番(4−3)ではリトマス試験紙を接触させるとガーゼのない試験片(B−2)は、pH7程度となる。
順番5において、
項番(5−1)ではガーゼのある試験片の自然電位を測定すると、バツ印の中心で完全防食電位(−1.159V)になっていることを確認した。
順番6において、
項番(6−1)では防水カバー(図15の符号20)外装材をめくるとバツ印に噴霧した塩水がマグネシウム板(図15の符号16)に到達し生成物である水酸化マグネシウムが全体に均等に行き届いていることがわかる。
(第3実施例での被試験体の実験結果)
図15に示す構造の実証実験を行った結果、図18に示すように、マグネシウム板(7−1)の端部から100mm程度まで5%塩水含浸のガーゼ(7−3)の下側では鉄板(7−2)の表面に錆の発生がない(7−4)ことを確認した。
(第3実施例の検証実験の考察)
図18の以上の実験結果から、項番(7−1)で確認できたようにマグネシウム板を全面に貼らなくても100mm〜200mm程度の隙間までならば、そして少なくとも100mmの間隙であれば、その間を複数のマグネシウム板の間にして、細目網目状基体(ガーゼ)を貼付することにより防食効果を発揮出来ることがわかる。この理由はガーゼに担持されているイオン化傾向の強いマグネシウムイオンが齎す効果といえる。
これによりマグネシウム板の削減が可能となりコストダウンが可能になる。さらに、マグネシウム板を取り付けるために素地調整程度st3程度の錆取りを行う必要があるとしても、ガーゼの裏面部は錆取りなどの作業を省略して低コスト化を図ることが可能である。
(本発明の応用例1)
また、橋梁の添接板のように鋼板を重ね合わせた構造の場合、経年的な隙間腐食が発生する場合は塗装では防食が不可能であるが、マグネシウム板を添接板の平面に導電性接着剤で接着し、そこから添接板の側面にマグネシウム板からガーゼを展張させることで隙間部への電解質の経路入口を覆い、隙間部の防食電位を維持させることが可能となる。
(本発明の応用例2)
また、防食のためのマグネシウム板の接着は被防食体に導電性接着剤で防食範囲全体に密着させる必要があるが、被防食体が外的要因(気温など)により変形した場合はマグネシウム板が防食対象物から剥離する可能性は否めない。このため、マグネシウム板を変形の影響を軽減できる小片として作成し、そのマグネシウム板の間をガーゼで補完することにより防食材に可撓性を持たせることが可能となる。
(鋼板重ね部の構造)
前述で説明した本発明の応用例として図19が挙げられる。図19は重ね合わせた2つの被防食鋼材12、13がボルト32・ナット30で互いに接合してある。被防食鋼材12の外面に導電性接着剤14を塗布し、さらにマグネシウム板16を貼り付ける。この例ではマグネシウム板16は片方の鋼材12に接合してあるが、両鋼材の夫々に配置することもできる。例えば腐食の激しい湾岸の飛沫干満帯等では複数の犠牲陽極材より防食効果を高めることができる。このマグネシウム板16を含みその廻りには生成された水酸化マグネシウムの担体として及びマグネシウムイオンの担持や供給を行う網目状基体18を備えるように、その板の外側を実施例2で適用した細目の網目状基体18で覆う。そして、さらに網目状基体18の外側には図11、12と同様に防水カバー20を設けている。ここで用いるガーゼ状の網目状基体18はポリエステル繊維であり、防水カバー20は加水分解抵抗性および紫外線抵抗性を持つビチューメン系カバーの防食カバーである。この図19に示す重ね合わせ鋼板の端面35は、犠牲防食の弱点になる隙間構造であるが、図19の構造ではマグネシウム板で生成するマグネシウムイオンのガーゼによる端面部分への浸透と柔軟な網目状基体18および防水カバー20で鋼材断面のみならず締結ボルトあるいは端部の鋼材異形部の特異形状表面であっても、あるいは山形鋼や溝形鋼や凹凸のある異形鋼材であっても、網目状基体の防食電位伝達補完効果(前述第3実施例での被試験体の実験経過を説明した段落に記載の項番5−1でその効果を確認)とその形状に合わせて網目状基体18がマグネシウムイオンを担持や供給する担体として作用するので防食効果を上げることができる。なお、この図19ではマグネシウム板を1枚で示してあるが図15に示すような複数のマグネシウム板を利用することもできる。
(隙間構造部分での検証実験)
鋼構築物の中で隙間部分は防食難易度の高い箇所になるが、本発明がこの隙間構造に対しても有効であることを検証する。図20、図21は鋼板の面合わせで接合する隙間部分での検証結果である。使用した鋼材は第3実施例と同じSS鋼であり、この平板(1.6mm×100mm×50mm)を重ね合わせて隙間部分を作る。そして、全体をガーゼで覆った上から防食カバーで包み込み、5ccの3%塩水を隙間部に向けて注入して経過観察を行った。なお、比較基準としてマグネシウム板を用いないサンプルAを同様に準備する(図20の上段、対比写真1)。なお、検証対象のサンプルBは第3実施例と同じ型式でサイズを約50mm×50mmとしたマグネシウム板を用いて3セット準備し、第1セットを1週間後に分解、第2セットを2週間後に分解、第3セットを1カ月後に分解して隙間面の腐食状態を観察した。この結果、3セットともに図20の対比写真2に示すように隙間面の腐食は視認されなかった。この実験の過程で得られた事実は、図21の上欄に示すように電位測定器の計測から隙間部分の防食電位が保たれていることと、図21の中欄に示すように分解した隙間面がアルカリ性になっていることと、使用したマグネシウム板が図21の下欄に示すように犠牲材になっていることが明らかである。すなわち、図20、図21に示す実験結果は、マグネシウムイオンが隙間部へ浸透して防食の作用効果を得ることを表している。
(水酸化マグネシウムを担持する網目状基体の応用構造体)
図22はマグネシウム板を利用することなく、マグネシウムの腐食生成物である水酸化マグネシウムを防食材として利用する構造体である。図22は、被防食体になる被防食鋼材12の外面に水酸化マグネシウム38を担持する網目状基体18を備える。ここで用いる水酸化マグネシウム38は市販されているものを利用できる。網目状基体18が水酸化マグネシウム38を担持できることは既に述べたとおりである。この水酸化マグネシウム38を担持する網目状基体18は、図11の構造に利用したポリエステル製ガーゼでよい。そして防食範囲26の全体に亘り被防食鋼材12の表面全体に配置し、その後、ビチューメン系防水カバー20で覆い、専用プライマーで被防食鋼材12の表面に固定する。
(本発明構造体の経年管理)
上記の本発明構造体において、本願発明の構造が犠牲陽極として作用する期間は、期待効果が約20年有の従来型マグネシウム密着手段に比べ、本願発明の担体構造の効果でより長い期待年月になるが、それでも保守点検は必要になる。このためには網目状基体18の水素イオン指数管理が欠かせない。そのため本発明構造にはpH測定用の検出構造も備えている。
(推奨する網目状基体)
本発明に適用する網目状基体は、ポリエチレンテレフタレート系の親水性ポリエステル繊維を用いる。その繊維には、凹凸表面や中空繊維等の形状吸水タイプ、あるいはヒドロキシ基やカルボキシ基等の反応基を付加した分子構造にするものもあるが、本発明にはいずれの構造でも適用可能である。また繊維の形状として上記第1実施例の説明では、(1)粗目ガーゼとして繊維直径1mm、メッシュの大きさ10mm×5mm、および、(2)細目ガーゼとして繊維直径0.3mm、メッシュの大きさ1mm×1mmを用いて説明したが、少なくとも水酸化マグネシウムが流出しないより細目のメッシュガーゼを利用してもよい。
(本発明構造を被防食体に実施するための作業手段)
鋼構造物のための防食構造として図11、図15、図19および図22を説明したが、本願発明の構造概念を適用可能な構造は、上記の構造に限られるものではない。すなわち、防食を目的とする鉄鋼構造の表面において、塗布した水酸化マグネシウムの担体として、あるいは生成されたマグネシウムイオンを担持するガーゼ状のポリエステル製網目構造基体を鋼表面の防食範囲全面に亘って拡げて、それを添わせる作業を行う。そしてそれに続き、その基体をビチューメン系カバーで覆い、鋼構造物に固定できる作業が可能である限り、凹凸のある複雑形状の鋼材に対しても適用作業が可能な作業工法にもなる。
(本発明を適用する施工方法の選択)
図23は本発明の各種防食構造の選定工程を従来の施工方法と対比して説明する工程フローである。この図で四角枠は作業工程を、菱枠は条件を決めるために点線枠で囲む選択工程を意味し、矢印で示す図23中のフロー線(51、53、55、57、59)は工程順のステップ流れ(S1〜S15)を示す。初めに、防食対象構築物の確認(S1)後、マグネシウム板の採用可否を判断し(S2)、これを利用する場合はマグネシウム板の取り付け範囲のみの防食(S3)であればフロー線51に従い素地調整(S4)、マグネシウム貼り付け部(S4)とサイズ(S5)を決めて貼り付け(S6)と加圧(S7)後、プライマー塗布(S10)、防食カバー(S11)、中塗り(S12)、上塗り(S13)の順序で従来工法を実施する。しかし、マグネシウム板の貼り付け面積より広い範囲に生成する水酸化マグネシウムの作用範囲を広げるフロー線53を選択(S3)した場合は、マグネシウム板を被防食鋼材に貼り付け固定後(S7)、網状織布基体のガーゼでマグネシウム板を覆いながら(図23中のフロー線55)、マグネシウム板よりも広範囲で鋼表面を覆い(S8、S9)。防食範囲の周囲にプライマー塗布後(S10)、従来工程と同様に仕上げを行うことで図11に示す防食構造を得ることができる。そして、マグネシウム板の節約を図り小さなマグネシウム板を利用するフロー線57を選択(S8)した場合には、複数のマグネシウム板の間を網状織布基体で覆い(S15)、防食範囲の周囲にプライマー塗布後(S10)、フロー線57に従い、仕上げ工程(S11,S12,S13)を行って図15に示す防食構造を得ることになる。そしてさらに、マグネシウム板を利用せず水酸化マグネシウムを利用する場合はフロー線59に従い、水酸化マグネシウムを網状織布基体に担持(S14)させて、被防食鋼表面に貼り付け(S15)、防食範囲の周囲にプライマー塗布後(S10)、やはり仕上げ工程(S11,S12,S13)を行い図22の防食構造を完成させる。
12、13・・・被防食鋼材
14・・・導電性接着剤
16・・・マグネシウム板
18・・・網目状基体
20・・・防水カバー、防食カバー
24・・・マグネシウム板を貼る範囲
26・・・被防食体の防食範囲

Claims (3)

  1. 鋼構築物を構成する鉄鋼材と、この鉄鋼材の表面に塗布する導電性接着剤と、この導電性接着剤を間に置いて前記鉄鋼材に固定的に取り付けたマグネシウム板と、このマグネシウム板を覆い且つこのマグネシウム板の表面積よりも広い範囲に亘り配置するガーゼ状の網目構造を有するポリエステル製繊維の平織布帛と、この布帛にビチューメン系のカバーをさらに重ねて備えた前記鉄鋼材のための防食構造において、
    前記導電性接着剤と前記マグネシウム板とを挟み且つ前記表面の上に配置した可撓性のある前記布帛、および、前記カバーが前記鉄鋼材に固定してあり、
    前記布帛が前記マグネシウム板に由来して生成されたマグネシウムイオンを担持しており、そして、
    前記担持した前記布帛が前記鉄鋼材の前記表面に重畳されており、
    前記マグネシウム板の表面積よりも広く且つ前記重畳された範囲に亘って前記鉄鋼材の前記表面を不動態化して防食することを特徴とする防食構造。
  2. 鋼構築物を構成する鉄鋼材と、この鉄鋼材の表面を覆い且つ重ねて配置するガーゼ状の網目を有するポリエステル製繊維の平織布帛と、水酸化マグネシウム剤と、前記平織布帛にビチューメン系のカバーをさらに重ねて備えた前記鉄鋼材のための防食構造において、
    可撓性のある前記平織布帛の前記網目が1mm角メッシュの細目構造を有し、
    前記細目構造が前記水酸化マグネシウム剤を担持して、
    前記担持した水酸化マグネシウム剤が前記鉄鋼材の前記表面に重畳されて、
    前記平織布帛を拡げた前記鉄鋼材の前記表面に亘って前記重畳された前記表面を不動態化して防食することを特徴とする防食構造。
  3. 鋼構築物の防食構造の施工方法において、
    防食対象の鋼構築物を準備する工程と、前記鋼構築物の外表面にマグネシウム板を取り付けるための取付接着の可否を判断する工程と、前記外表面の中で少なくとも防食対象範囲を素地調整する工程と、マグネシウムイオンあるいは水酸化マグネシウムを担持する網状織布基体を準備する工程と、前記網状織布基体を前記外表面に保持するためにプライマーを準備する工程と、前記素地調整を行った鋼表面および前記網状織布基体を覆うカバーを準備する工程と、前記カバーをさらに覆うための仕上げ剤を準備する工程とを有し、
    前記取付接着の可否を判断する工程の後に、下記(1)あるいは(2)の工程にしたがって前記鋼構築物の防食構造を提供する施工方法であり、
    (1)の工程として、前記素地調整を行った鋼表面に前記マグネシウム板を接着する場合には、前記マグネシウム板を、導電性ポリマーを介して前記素地調整の行われた鋼表面に接着し、および、前記マグネシウム板と異なる第2のマグネシウム板の使用可否を判断して下記(1−1)工程あるいは(1−2)工程のいずれかを選定し、
    (1−1)工程として、前記第2のマグネシウム板を用いない場合、前記網状織布基体が前記マグネシウム板の少なくとも一部を覆うと共に前記素地調整の行われた鋼表面を直接に覆ってから、前記マグネシウム板および前記網状織布基体を挟むようにして前記鋼表面を覆う前記カバーを前記鋼構築物の外表面に固定し、そして、前記カバーの外側に前記仕上げ剤を塗布する工程、
    (1−2)工程として、前記第2のマグネシウム板を用いる場合、前記網状織布基体は前記マグネシウム板および前記第2のマグネシウム板との間に在る前記鋼表面に沿って配設し、さらに、前記網状織布基体が前記マグネシウム板および前記第2のマグネシウム板の少なくとも一部を覆ってから、前記マグネシウム板および前記第2のマグネシウム板並びに前記網状織布基体を挟むようにして、前記鋼表面を覆う前記カバーを前記鋼構築物の外表面に固定し、そして、前記カバーの外側に前記仕上げ剤を塗布する工程、
    (2)の工程として、前記素地調整を行った鋼表面に前記マグネシウム板を接着しない場合には、水酸化マグネシウムを担持した前記網状織布基体を前記素地調整の行われた鋼表面に沿って配設し、前記水酸化マグネシウムを担持した前記網状織布基体を挟むようにして、前記鋼表面を覆う前記カバーを前記鋼構築物の外表面に固定し、そして、前記カバーの外側に前記仕上げ剤を塗布する工程、
    を有することを特徴とする施工方法。
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