JP2021053728A - カラビナに係止するためのリフティングフック - Google Patents

Abstract

【課題】作業者の身体に取り付けたカラビナに係脱させる作業者の動作を単純化させて作業者の負担を軽減する。【解決手段】リフティングフック200は内側脚102、外側脚104、これらを連結する連結部106を有している。レバー式カラビナ2(4)を身に付けた作業者に対して、内側脚102はカラビナ2(4)に近い内側に位置し、外側脚104がカラビナ2(4)から遠い外側に位置している。内側脚102と外側脚104は相対的に高低差を有し、外側脚104の少なくとも一部104mainが内側脚102よりも高位に位置している。【選択図】図11

Description

本発明は、作業者の身体に取り付けたカラビナに手持ち作業ツールを係止するためのリフティングフックに関する。

電動モータ又は内燃エンジンなどの動力源を備えた作業ツールは、作業中又は作業中断中、リフティングフック、カラビナを使って作業者に連携させることが行われている。特許文献１は、ヒップパッドを備えたハーネスを作業者が装着し、そして、ハーネスに刈払機を連携させるためにリフティングフックとカラビナとの組み合わせを用いる例を開示している。特許文献２は、使用しないときに充電式電動作業ツールを作業者の腰ベルトに吊り下げるためにリフティングフックとカラビナとの組み合わせを用いる例を開示している。

一本のロッドを屈曲加工することにより製造された従来のリフティングフックの幾つかの典型例を特許文献３ないし５を参照して説明する。

特許文献３は電動ドライバ、電動又はガス燃焼式のタッカなどの手持ち作業ツールを腰ベルトに係止させるリフティングフックを提案している。このリフティングフックは腰ベルトに直接的に係止するためのものである。

特許文献４、５は、カラビナ又はロープを腰ベルトに装着し、このロープ又はカラビナを介して作業ツールを腰ベルトに係止するリフティングフックを提案し、これらのフックは、平面的なＵ字状の形状を有し、共に作業ツールに対して回動可能に組み付けられて、作業ツールから突出した使用位置と、作業ツールの凹所に収められた格納位置とを取ることができる。

特許文献４のリフティングフックは、これが作業ツールに取り付けられたときに垂直面上に位置している。特許文献５のリフティングフックは、これが作業ツールに取り付けられたときに水平面上に位置している。ここの、「垂直」とは、例えば腰ベルトにカラビナを設置した作業者が起立姿勢を取って作業ツールを自然な姿勢で持ったときに、その身長方向つまり上下方向を意味する。「水平」とは、身長方向と直交する横方向を意味する。ここに、自然な姿勢とは、手首を捻ることなく作業ツールを持っている状態を意味する。

特許文献４、５に開示のリフティングフックを区別するために、特許文献４のリフティングフックを「縦型フック」と呼び、特許文献５のリフティングフックを「横型フック」と呼ぶ。

入手可能なカラビナは２種類に大別できる。第１種はゲートレバーを備えた「レバー式カラビナ」である。第２種はネジを使ったロック機構を備えた「安全ロック式カラビナ」である。手持ち式作業ツールを作業者の身体に連携させるのにレバー式カラビナが採用されている。

レバー式カラビナは、カラビナ本体のゲート部を規定するノーズの長短によって２種類に大別することができる。手持ち式作業ツールの係止に採用されているカラビナの典型例を図２９、図３０に示す。図２９のカラビナ２は「短ノーズ形カラビナ」である。図３０のカラビナ４は「長ノーズ形カラビナ」である。

図２９を参照して、短ノーズ形カラビナ２は、カラビナ本体１０と、カラビナ本体１０のゲート部１２に配設されたゲートレバー１４と、ゲートレバー１４の自由端が係合するノーズ部１６と、を有している。ゲートレバー１４はバネ機能を発揮する構造を有し、このバネ機能によってゲートレバー１４は、常時、閉じ方向に付勢されている。長ノーズ形カラビナ４（図３０）も実質的に同じ構成要素を含んでいるが、長ノーズ形カラビナ４は、これに加えてゲートレバー１４を付勢するバネ部材（図示せず）を有している。そして、このバネ部材により長ノーズ形カラビナ４のゲートレバー１４は常時、閉じ方向に付勢されている。なお、短ノーズ形カラビナ２及び長ノーズ形カラビナ４はゲートレバー１４の基端１４aがカラビナ本体１０に回動可能に軸支されている。

図２９と図３０とを対比すると良く分かるように、ノーズ部１６は、短ノーズ形カラビナ２においては、ゲートレバー１４の自由端を係止する係止ポイント１６aから先端１６bまでの距離Ｌ(s)が短い。他方、長ノーズ形カラビナ４においては係止ポイント１６aから先端１６bまでの距離Ｌ(L)が長く、係止ポイント１６aから先端１６bまでのノーズ部１６つまりノーズ延長部１８は外方に向けて湾曲している（図３０）。

作業ツールのリフティングフックをレバー式カラビナに装着するのに、また、カラビナから離脱させるのに、作業者にはゲートレバー１４をバネ力に抗して押し下げて開放させる操作が求められる。縦型フック（特許文献４）、横型フック（特許文献５）を採用した作業ツールを手にした作業者の操作を図３１ないし図４６を参照して以下に説明する。

――縦型フックと短ノーズ形カラビナとの組み合わせ――
図３１、図３２は縦型フック２０を短ノーズ形カラビナ２に装着する際の操作を説明するための図である。図中、符号Ｗkは作業者を示す。符号Ｗbは腰ベルトを示す。縦型フック２０は作業ツールＴLの後端面に設置されている。図示の作業ツールＴLは例示としての充電式電動チェーンソーである。また、このチェーンソーＴLはトップハンドル式である。

図３１は、縦型フック２０を短ノーズ形カラビナ２に装着するための準備工程を示す。作業者Ｗkは、チェーンソーＴLを持ち上げると共に腕Ａm及び／又は手首Ｗrを回転させる、つまり腕Ａm及び／又は手首Ｗrを捻ることより縦型フック２０の上方脚２０uをゲートレバー１４の自由端部の上に位置決めすると共に下方脚２０dをノーズ部１６の外側に位置決めする。

図３２は、縦型フック２０の上方脚２０uでゲートレバー１４をバネ力に抗して押し下げて、この上方脚２０uをカラビナ本体１０の中に挿入する工程を示す。この工程は、作業者ＷkがチェーンソーＴLを回転させながら押し下げることにより行うことができる。これによりゲートレバー１４をバネ力に抗して開放して、上方脚２０uをカラビナ本体１０の中に進入させることができる。次いで、ゲートレバー１４はバネ力によって自動的に閉じる。以上の操作によって、短ノーズ形カラビナ２に対する縦型フック２０の装着が完了し、チェーンソーＴLは縦型フック２０を介してカラビナ２に係止される。その結果、チェーンソーＴLは作業者Ｗkの腰にカラビナ２を介して吊り下げられた状態になる。

図３３、図３４は、短ノーズ形カラビナ２に係止された縦型フック２０をカラビナ２から離脱させる操作を説明するための図である。図３３は離脱準備工程を示す。作業者Ｗkは腕Ａmを上げてチェーンソーＴLを持ち上げ、そしてチェーンソーＴLを作業者Ｗkの体側に接近させる操作を行う。これにより、縦型フック２０の下方脚２０dをゲートレバー１４の自由端部の上に位置させることができる。

図３４は、ゲートレバー１４の自由端部の上に位置する下方脚２０dを下方に押し下げて、この下方脚２０dをカラビナ本体１０の中に挿入する操作を説明するための図である。この操作は、作業者Ｗkが腕Ａmを下げてチェーンソーＴLを下方に押し下げることにより行われる。そして、これにより上方脚２０u及び下方脚２０dを共にカラビナ本体１０の中に挿入した状態にすることができる。次いで、この状態から腕Ａmを前方にまたは下方に移動させることにより、カラビナ本体１０の中に位置する縦型フック２０を抜き出すことができる。以上の操作によって、短ノーズ形カラビナ２に対する縦型フック２０の離脱が完了し、チェーンソーＴLはカラビナ２から解放される。

――横型フックと短ノーズ形カラビナとの組み合わせ――
図３５、図３６は、横型フック３０を短ノーズ形カラビナ２に装着する際の操作を説明するための図である。図３５は、横型フック３０を短ノーズ形カラビナ２に装着するための準備工程を示す。作業者Ｗkは、チェーンソーＴLを持ち上げると共に腕Ａmを回転させる、あるいは手首Ｗrを捻ることよりチェーンソーＴLの後端面を体側に向ける。そして、横型フック３０の内側脚３０inと外側脚３０outとの端同士を連結する連結部３０cnをゲートレバー１４の自由端部の上に位置決めする。

図３６は、横型フック３０の連結部３０cnをカラビナ本体１０の中に挿入する工程を示す。この挿入工程は、チェーンソーＴLを押し下げることで行うことができる。これにより、連結部３０cnでゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させると共にカラビナ本体１０の中に連結部３０cnを挿入することができる。これにより、短ノーズ形カラビナ２に対する横型フック３０の装着が完了し、チェーンソーＴLは横型フック３０を介してカラビナ２に係止される。

図３７、図３８は、短ノーズ形カラビナ２に装着された横型フック３０をカラビナ２から離脱させる操作を説明するための図である。図３７は離脱準備工程を示す。作業者Ｗkは腕Ａmを持ち上げ且つ回転させることにより、横型フック３０の外側脚３０outをゲートレバー１４の上に位置決めする。図３８は、横型フック３０の外側脚３０outをカラビナ本体１０の中に挿入する工程を示す。この工程は、腕ＡmでチェーンソーＴLを押し下げることにより行うことができる。これにより内側脚３０in及び外側脚３０outを共にカラビナ本体１０の中に挿入した状態にすることができる。次いで、この状態から腕Ａmを前方に移動させることにより、カラビナ本体１０の中に位置する横型フック３０を抜き出すことができる。以上の操作によって、短ノーズ形カラビナ２に対する横型フック３０の離脱が完了し、チェーンソーＴLはカラビナ２から解放される。

――縦型フックと長ノーズ形カラビナとの組み合わせ――
図３９、図４０は、縦型フック２０を長ノーズ形カラビナ４に装着する際の操作を説明するための図である。図３９は装着準備工程を示す。作業者Ｗkは、チェーンソーＴLの後端面を持ち上げると共に腕Ａm及び／又は手首Ｗrを捻ることより縦型フック２０の下方脚２０dをゲートレバー１４の自由端部の上に位置決めすると共に上方脚２０uをノーズ延長部１８の外側に位置決めする。

図４０は、縦型フック２０の下方脚２０dでゲートレバー１４を押し下げて、この下方脚２０dをカラビナ本体１０の中に挿入する工程を示す。この工程は、作業者ＷkがチェーンソーＴLを押し下げることにより行うことができる。この操作によって、長ノーズ形カラビナ４に対する縦型フック２０の装着が完了し、チェーンソーＴLは縦型フック２０を介してカラビナ４に係止される。

図４１〜図４３は、長ノーズ形カラビナ４に係止された縦型フック２０をカラビナ４から離脱させる操作を説明するための図である。図４１は離脱準備工程を示す。図４１を参照して、先ず作業者ＷkはチェーンソーＴLを持ち上げて、縦型フック２０の上方脚２０uをノーズ延長部１８に沿って上昇させ、そしてノーズ延長部１８を乗り越えさせる。図４２、図４３は、上方脚２０uをカラビナ本体１０の中に挿入する工程を示す。この工程は、上方脚２０uでゲートレバー１４の自由端部を押し下げることにより行われる。具体的には、作業者ＷkがチェーンソーＴLを押し下げることにより、上方脚２０uによりゲートレバー１４をバネ力に抗して開放し、そして、上方脚２０uをカラビナ本体１０の中に挿入することができる（図４３）。次いで、腕Ａmを前方に移動させることにより、カラビナ本体１０の中に位置する縦型フック２０を抜き出すことができる。以上の操作によって、長ノーズ形カラビナ４に対する縦型フック２０の離脱が完了し、チェーンソーＴLはカラビナ２０から解放される。

――横型フックと長ノーズ形カラビナとの組み合わせ――
図４４、図４５は、横型フック３０を長ノーズ形カラビナ４に装着する際の操作を説明するための図である。図４４は装着準備工程を示す。作業者Ｗkは、チェーンソーＴLを持ち上げ、そして体側に近づけて、横型フック３０をノーズ延長部１８を乗り越えさせる（図４４）。次いでチェーンソーＴLを押し下げてゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させて（図４５）、カラビナ本体１０の中に横型フック３０を挿入させる。これが終わると、ゲートレバー１４はバネ力によって自動的に閉じ状態に復帰する。この一連の操作によって、長ノーズ形カラビナ４に対する横型フック３０の装着が完了し、チェーンソーＴLは横型フック３０を介して長ノーズ形カラビナ４に係止される。

図４６は、長ノーズ形カラビナ４に係止された横型フック３０をカラビナ４から離脱させる操作を説明するための図である。作業者ＷkはチェーンソーＴLを持ち上げて、横型フック３０の外側脚３０outをノーズ延長部１８に沿って上昇させ、そして手首Ｗrを上に及び横に回転させて、つまり手首Ｗrの捻り動作によって外側脚３０outを移動させてノーズ延長部１８を乗り越えさせる。そして、外側脚３０outをゲートレバー１４の自由端部の上に位置決めしたら、これを押し下げる。具体的には、作業者ＷkがチェーンソーＴLを下方に押し下げることにより、外側脚３０outによりゲートレバー１４を開放し、そして、外側脚３０outをカラビナ本体１０の中に挿入する。次いで、腕Ａmを前方に移動させることにより、カラビナ本体１０の中に位置する横型フック３０を抜き出すことができる。以上の操作によって、長ノーズ形カラビナ４に対する横型フック３０の離脱が完了し、チェーンソーＴLはカラビナ４から解放される。

JP特開２０１５−３９３２８号公報 JP特開２０１１−１０１９１９号公報 JP特開２００９−２６９１５３号公報 ＷＯ２０１０/０７７１９５公報 特開２０１６−１９９００５号公報

上述したように、短ノーズ形又は長ノーズ形のカラビナ２、４に対して、従来の縦型又は横型のフック２０、３０を係脱させるのに作業者Ｗkは腕Ａmの上下動作或いは回転動作（腕のひねり動作）、手首Ｗrの上下動作又は左右の回転動作（手首のひねり動作）が必要である。例示的に挙げた作業ツールＴLとしてのチェーンソーをカラビナ２、４に係止する状況の一例を説明すると、樹木の剪定、伐採において、ザイルなどを使って樹木に登り、樹上を移動しながら作業を行う。チェーンソーを使用しないときには、作業者は腰ベルトWbのカラビナ２又は４に係止した状態で移動し或いは他の作業を行う。このような不安定な状態で作業者がカラビナ２、４に対してフック２０又は３０を係脱する操作に関連する腕Ａm、手Ｈd、手首Ｗrの動作を極力単純化することが求められる。

本発明の目的は、作業者の身体に取り付けたカラビナに係脱させる作業者の動作を単純化させて作業者の負担を軽減できるリフティングフックを提供することにある。

上記の技術的課題は、本発明によれば、
動力源付き作業ツールに定置される内側脚、外側脚と、
該内側脚、外側脚の自由端同士を連結する連結部とを有するリフティングフックであって、
レバー式のカラビナを身に付けた作業者が手首を捻ることなく自然な姿勢で前記作業ツールを持ったときの前記リフティングフックは、前記内側脚が前記カラビナに近い内側に位置し、前記外側脚が前記カラビナから遠い外側に位置し、
前記内側脚と前記外側脚が高低差を有し、前記外側脚の少なくとも一部が前記内側脚よりも高位に位置していることを特徴とするリフティングフックを提供することにより、
及び/又は、
動力源付き作業ツールに定置される内側脚、外側脚と、
該内側脚、外側脚の自由端同士を連結する連結部とを有するリフティングフックであって、
レバー式のカラビナを身に付けた作業者が前記作業ツールを持ったときの前記リフティングフックは、前記内側脚が前記カラビナに近い内側に位置し、前記外側脚が前記カラビナから遠い外側に位置し、
前記内側脚と前記外側脚が高低差を有し、前記外側脚の少なくとも一部が前記内側脚よりも高位に位置し、
前記内側脚と前記外側が高低差を有することにより、前記内側脚と前記連結部と前記外側脚で立体形状を形成することにより、好ましくは前記作業ツールを持ったときは、作業者が手首を捻ることなく自然な姿勢であるリフティングフックを提供することにより達成される。

本発明の作用効果及び他の目的は、以下の本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。

実施形態のリフティングフックの斜視図である。 実施形態のリフティングフックの断面図である。 作業ツールに組み付けた実施形態のリフティングフックの平面図である。 実施形態のリフティングフックを短ノーズ形カラビナに適用したときに、リフティングフックをカラビナに装着する際の操作を説明するための図である。 実施形態のリフティングフックを短ノーズ形カラビナに適用したときに、リフティングフックをカラビナから離脱させる際の操作を説明するための図である。 実施形態のリフティングフックを長ノーズ形カラビナに適用したときに、リフティングフックをカラビナに装着する際の操作を説明するための図である。 実施形態のリフティングフックを長ノーズ形カラビナに適用したときに、リフティングフックをカラビナから離脱させる際の操作を説明するための図である。 本発明に従う実施形態の一例のリフティングフックの作用を従来の横型フックを例に対比して説明するための図であり、(I)(A)は横型フックを短ノーズ形カラビナに係止するときの図であり、(I)(B)は横型フックを短ノーズ形カラビナから離脱させるときの図であり、(II)(A)は本発明のリフティングフックを短ノーズ形カラビナに係止するときの図であり、(II)(B)は本発明のリフティングフックを短ノーズ形カラビナから離脱させるときの図である。 実施例のリフティングフックの斜視図である。 実施例のリフティングフックの平面図である。 実施例のリフティングフックの側面図である。 実施例のリフティングフックを組み付けたチェーンソーの側面図である。 実施例のリフティングフックを組み付けたチェーンソーの平面図である。 実施例のリフティングフックを組み付けたチェーンソーを後方から見た図である。 実施例のリフティングフックを短ノーズ形カラビナに装着する準備工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックの内側脚を短ノーズ形カラビナの中に挿入する工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフック、短ノーズ形カラビナを介して作業者の腰ベルトにチェーンソーを吊り下げた状態を説明するための図である。 実施例のリフティングフックを短ノーズ形カラビナから離脱させる第１準備工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックを短ノーズ形カラビナから離脱させる第２準備工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックの外側脚を短ノーズ形カラビナの中に挿入してリフティングフックを離脱させる工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックを長ノーズ形カラビナに装着するための第１準備工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックの長ノーズ形カラビナに装着するための第２準備工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックの長ノーズ形カラビナに装着した状態を説明するための図である。 実施例のリフティングフックを長ノーズ形カラビナから離脱させる準備工程を説明するための図である。 実施例のリフティングフックを長ノーズ形カラビナから離脱させる工程を説明するための図である。 第１変形例のリフティングフックに関する、図１１に対応した側面図である。 第２変形例のリフティングフックに関する、図１１に対応した側面図である。 第３変形例のリフティングフックに関する、図１１に対応した側面図である。 手持ち作業ツールの吊り下げに用いられる短ノーズ形カラビナの側面図である。 手持ち作業ツールの吊り下げに用いられる長ノーズ形カラビナの側面図である。 従来の縦型フックを短ノーズ形カラビナに装着するための準備工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを短ノーズ形カラビナに装着する工程を説明するための図である。 従来の縦型フックの短ノーズ形カラビナからの離脱準備工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを短ノーズ形カラビナから離脱させる工程を説明するための図である。 従来の横型フックを短ノーズ形カラビナに装着するための準備工程を説明するための図である。 従来の横型フックを短ノーズ形カラビナに装着する工程を説明するための図である。 従来の横型フックを短ノーズ形カラビナから離脱させるための準備工程を説明するための図である。 従来の横型フックを短ノーズ形カラビナから離脱させる工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを長ノーズ形カラビナに装着するための準備工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを長ノーズ形カラビナに装着する工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを長ノーズ形カラビナから離脱させるための準備工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを長ノーズ形カラビナから離脱させる第１工程を説明するための図である。 従来の縦型フックを長ノーズ形カラビナから離脱させる第２工程を説明するための図である。 従来の横型フックを長ノーズ形カラビナに装着するための準備工程を説明するための図である。 従来の横型フックを長ノーズ形カラビナに装着する工程を説明するための図である。 従来の横型フックを長ノーズ形カラビナから離脱させるための工程を説明するための図である。

以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を説明する。それに先だって、１つの実施形態の概要を図１〜７に基づいて説明する。以下の説明において、例えば腰ベルトやハーネスを介して作業者の身体に装着したカラビナを基準として、カラビナ（作業者の身体）に近づく方向を「内(IN)」と呼び、カラビナ（作業者の身体）から離れる方向を「外（OUT）」と呼び、カラビナの上下方向（作業者の身長方向）の上方を「上(UP)」又は「上方」と呼び、下方を「下(DOWN)」又は「下方」と呼ぶ。

本願発明者らは、従来の縦型フック２０及び横型フック３０において、カラビナに対してフック２０、３０を係脱させる際の作業者の動作を検討及び分析した。以下の説明において、作業ツールを持った作業者の身長方向つまり上下方向に延びる面を「垂直面」と呼び、垂直面と直交する面を「水平面」と呼ぶ。作業ツールに組み付けられた従来の縦型フック２０は垂直面に配置されている。他方、従来の横型フック３０は水平面に配置されている。本願発明者らは、水平面に対して傾斜した傾斜面に位置するようにリフティングフックを作業ツールに組み付けて、カラビナに近い側の内側脚と遠い側の外側脚との間に高低差を設け、外側脚を相対的に高所に位置させることを思い付いた。これによれば、カラビナに対するフックの係脱の際の作業者の動作、特に手首の捻りを軽減できると期待できるはずであるとの仮説の下で、実際にＵ字状のリフティングフック１００を傾斜面に配置させて作業者の動作を確認した。

図１ないし図３はＵ字状のリフティングフック１００である。実施形態のフック１００は内側脚１０２、外側脚１０４と、内側脚１０２、外側脚１０４の自由端同士を連結する連結部１０６とを有している。そして、このリフティングフック１００を上述した傾斜面に位置するように作業ツールに組み付けた。傾斜面に位置するリフティングフック１００において、内側脚１０２は作業者（カラビナ）に近い側に位置し、外側脚１０４はカラビナから遠い側に位置している。そして、外側脚１０４が内側脚１０２よりも高位に位置している。参照符号「Ｈ」は内側脚１０２と外側脚１０４との間の高低差を示す。図２はリフティングフック１００の断面図である。参照符号「Ｄ」はフック１００を上方から見たときの内側脚１０２と外側脚１０４との間の離間距離を示す。

図３を参照して、内側脚１０２の基端部は、体側側に屈曲した端１０２aで構成され、他方、外側脚１０４の基端部は、外方に屈曲した端１０４aで構成されている。この２つの屈曲端１０２a、１０４aは作業ツールＴLの一対の取付孔３０４に挿入される。

図４、図５は、短ノーズ形カラビナ２に対するリフティングフック１００の係脱に関する操作を説明するための図である。図４は、リフティングフック１００をカラビナ２に装着するときの操作を説明するための図である。作業者は、矢印で示すように、作業ツールＴLをカラビナ２つまり作業者の身体に近づく方向に移動させて内側脚１０２を、常時閉じ方向に付勢されているゲートレバー１４に当接させ、次いで、フック１００を押し下げることで内側脚１０２でゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させながら、内側脚１０２をカラビナ２の中に入れる。これにより、作業者は作業ツールＴLを介してリフティングフック１００を上下、左右の方向に移動させることにより短ノーズ形カラビナ２にフック１００を装着することができた。

図５は、リフティングフック１００を短ノーズ形カラビナ２から離脱させるときの操作を説明するための図である。作業者は、作業ツールＴLを身体に近づける方向に移動させて外側脚１０４をゲートレバー１４に当接させる。次いで、作業ツールＴLを介してフック１００を下方に移動させて外側脚１０４でゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させてカラビナ本体１０の中に入れることができる。この状態から作業ツールＴLを前方に移動させることにより、カラビナ本体１０の中に位置するリフティングフック１００を抜き出すことができる。以上の操作によって、短ノーズ形カラビナ２に対するリフティング１００の離脱が完了し、作業ツールＴLをカラビナ２から解放させることができた。

短ノーズ形カラビナ２に関する上記の操作つまり作業ツールＴLを単純に上下方向及び横方向に移動させることでリフティングフック１００をカラビナ２に装着及び離脱させることができた。換言すれば、作業者は先ず短ノーズ形カラビナ２を眼で確認又は手探りで確認し、そして腕Ａm、手首Ｗrを“過度に”捻るなどの動作無しにリフティングフック１００を装着及び離脱させる。ここに、「過度に」とは、作業者の負担にならない３０°程度以下の腕Ａmや手首Ｗrの捻りを意味する。好ましくは、“適度に”腕Ａmや手首Ｗrを捻ってリフティングフック１００を装着及び離脱させることを意味する。ここに「適度に」とは、作業者にとって最適な動作である１５°程度以下の腕Ａmや手首Ｗrの捻りを意味する。好ましくは、腕Ａmや手首Ｗrを全く捻ることなしにリフティングフック１００を短ノーズ形カラビナ２に装着及び離脱させることができた。

図６、図７は、リフティングフック１００を長ノーズ形カラビナ４に適用したときの操作を説明するための図である。図６は、リフティングフック１００をカラビナ４に装着するときの操作を説明するための図である。作業者は、作業ツールＴLを持ち上げつつ横方向（体側に近づく方向）に移動させて内側脚１０２をノーズ延長部１８を越えてゲートレバー１４の上方に位置させる。次いで、作業ツールＴLを押し下げることによって、内側脚１０２でゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させてカラビナ本体１０の中に入れる。以上の操作つまり作業ツールＴLを単純に上下方向及び体側に近づく方向に移動させることでリフティングフック１００を長ノーズ形カラビナ４に装着させることができた。換言すれば、作業者は腕Ａm、手首Ｗrを過度に捻るなどの操作無しにフック１００をカラビナ４に目視で、または手探り状態で装着させることができた。好ましくは、適度に腕Ａmや手首Ｗrを捻ってリフティングフック１００を装着させることが出来る。好ましくは、腕Ａmや手首Ｗrを全く捻るなどの動作無しに装着させることができた。

図７は、リフティングフック１００を長ノーズ形カラビナ４から離脱させるときの操作を説明するための図である。作業者は、作業ツールＴLを身体に近づける方向に移動させて外側脚１０４をノーズ延長部１８を越えてゲートレバー１４の上方に位置させる。このとき、内側脚１０２よりも外側脚１０４が相対的に高位に位置しているため、作業ツールＴLを単に作業者の体側に近づけるように操作するだけで外側脚１０４をノーズ延長部１８を越えてゲートレバー１４の上方に位置させることができる。次いで、作業ツールＴLを下方に移動させることで外側脚１０４でゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させてカラビナ本体１０の中に入れる。この状態から作業ツールＴLを前方に移動させることにより、カラビナ本体１０の中に位置するフック１００を抜き出すことができる。以上の操作は目視しながら又は手探り状態で行われる。作業ツールＴLを回転させる操作無しに、つまり腕Ａm、手首Ｗrを過度に捻る操作無しに、長ノーズ形カラビナ４に対するリフティングフック１００の離脱が完了し、作業ツールＴLをカラビナ４から解放させることができた。好ましくは、適度に腕Ａmや手首Ｗrを捻ってリフティングフック１００を解放することが出来る。好ましくは、腕Ａmや手首Ｗrを全く捻るなどの動作無しに解放することができる。

長ノーズ形カラビナ４に関しても、短ノーズ形カラビナ２の場合と同様に、作業者は腕Ａm、手首Ｗrを捻るなどの操作無しにリフティングフック１００を長ノーズ形カラビナ４に目視または手探り状態で装着及び離脱させることができる。

図１において、連結部１０６を高さ方向に傾斜させることで外側脚１０４を内側脚１０２よりも高位に位置させている。外側脚１０４は、図９を用いて次に説明する実施例のように、その長手方向に２つに区分し、連結部１０６に隣接する第１部分１０４subを傾斜させることで、機能主要部分１０４mainを内側脚１０２よりも高位に位置させるようにしてもよい。変形例として、図示を省略したが、内側脚１０２において、連結部１０６に隣接する部位を傾斜させることにより外側脚１０４を内側脚１０２よりも高位に位置させるようにしてもよい。

また、図１ないし図３において、内側脚１０２、外側脚１０４、連結部１０６は直線で図示されているが、これらは湾曲した形状を有していてもよい。また、内側脚１０２、外側脚１０４、連結部１０６は、夫々、直線と湾曲とを組み合わせた形状を有していてもよい。

図８は本発明に従う実施形態の一例のリフティングフック１００の作用を従来例との対比で説明するための図である。図８の（Ｉ）は例示的に従来の横型フック３０の作用を示し、(A)はフック３０をカラビナ２（４）に係止するときの図であり、(B)はフック３０をカラビナ２（４）から離脱させるときの図である。図８の(II)は実施形態のリフティングフック１００の作用を示し、(A)はフック１００をカラビナ２（４）に係止するときの図であり、(B)はフック１００をカラビナ２（４）から離脱させるときの図である。

図８の(I)(B)を参照して、水平面上に位置する横型フック３０を短ノーズ形及び/又は長ノーズ形カラビナ２（４）から離脱させるときには、作業ツールを横方向に変位させて外側脚３０outでレバー１４を開放させればよい。その際に横型フック３０を、カラビナ２(４)のサイズによっては手首を捻る必要がある。また、外側脚３０outを本体１０内に入れるために手首を捻って横型フック３０を上方又は下方に傾斜させる必要があるかも知れない。この傾斜角をγ１、γ２で示す（図８(I)(A)）。傾斜角γ１、γ２は、横型フック３０のサイズ、カラビナ２，４のサイズによって変わる。

図８の(II)を参照して、実施形態のフック１００によれば、内側脚１０２と外側脚１０４との間に高低差Ｈがあるため、その捻りが低減され、好ましくは、その必要がないように設計されている。従来の横型フック３０をカラビナ２（４）から例えば離脱させるときに、手首を捻って外側脚３０outを持ち上げる必要があるが（図８の(I)(B)）、実施形態のフック１００によれば、係脱のいずれにおいても、その必要がない（図８の(II)）。ただし、フック１００のサイズ、上記高低差Ｈの値、カラビナ２のサイズによっては手首を捻る必要があるかも知れないが、手首を捻ってリフティングフック１００を傾斜させる水平面Ｈsからの上下の角度β１、β２は従来の角度γ１、γ２よりも小さくてよい。

以上、横型フック３０を例示したが、縦型フック２０についても同様であり、カラビナ２(４)から離脱させる際には手首を捻って縦型フック２０を傾斜させる必要がある。

カラビナ２、４に対して本発明の実施形態のフック１００を係脱させるのに手首を捻る必要性は、フック１００のサイズ、上記高低差Ｈの値、カラビナ２、４のサイズによって左右される。リフティングフック１００の上記高低差Ｈやサイズの設計において、上述した角度β１又はβ２が約３０°、好ましくは約２０°、最も好ましくは約０°となるように設計するのがよい。換言すれば、カラビナ２、４に対して本発明の実施形態のフック１００を係脱させる際に作業者が手首を捻って作業ツールを回転させる角度が３５°以下、好ましくは２５°以下、最も好ましくは約０°〜１０°となるようにリフティングフック１００の上記高低差Ｈ、フックのサイズを設計するのがよい。

図９ないし図１１は好ましい実施例のリフティングフック２００を示す。図１などで説明したリフティングフック１００と実質的に同じ要素には同じ参照符号を使って実施例のリフティングフック２００を説明する。図９は斜視図である。図１０は平面図である。図１１は、水平面上に載置したときのリフティングフック２００の側面図である。リフティングフック２００は、断面円形のロッドを折り曲げることにより作られている。図１１から最も良く分かるように、リフティングフック２００は、外側脚１０４が相対的に高い位置に位置するように、リフティングフック２００の基本要素つまり内側脚１０２、外側脚１０４、連結部１０６が互いに関連して立体形状に形作られている。それにより、作業者がカラビナに対して特に離脱させる際に、手首の捻り具合を低減させることができる。換言すれば、立体形状でないものと比較して、手首の捻り具合を低減させることができる。また、この立体形状は、カラビナのサイズや形状や作業ツールに合わせて離脱させやすいように形成されている。加えて、リフティングフック２００は、離脱に限らずカラビナに係止し易い形に作られている。

図１１を参照して、リフティングフック２００は、これを水平面上に置いて側面視したときに立体形状を有しており、内側脚１０２の屈曲端１０２aと外側脚１０４の屈曲端１０４aは同じ水平面上に位置している。そして、この内外の屈曲端１０２a、１０４aは、作業ツールＴLの取付孔３０４に挿入して組み付けたときに、リフティングフック２００の回動軸線Ａxbaseを形成する。リフティングフック２００は、回動軸線Ａxbaseを中心に回動して、作業ツールＴLから突出した使用位置（図１０）と、作業ツールＴLの凹所３０６（図３）に収容した格納位置とをとることができる。また、リフティングフック２００は、回動軸線Ａxbaseに対して、内側脚１０２と外側脚１０４とが高低差を形成するように形作られている。それにより、作業者がカラビナに対して係脱させる際に、手首の捻り具合を低減させることができる。また、この高低差を持つ形状は、カラビナのサイズや形状や作業ツールに合わせて設計されている。

図１０の実線は、外側脚１０４を作業ツールＴLに組み付ける前の状態を示す。図１０の仮想線は、リフティングフック２００を作業ツールＴLに組み付けた後の状態を示す。リフティングフック２００の内側脚１０２は、屈曲端１０２aから連結部１０６に向かうに従って外側脚１０４に近づく方向つまり作業者の体側から遠ざかる方向に傾斜している。この傾斜角度を参照符号「θ１」で示す。これによりリフティングフック２００は、平面視したときに先細りの形状を有している。

図１１を参照して、連結部１０６は横方向に延びている。外側脚１０４は、機能的に連結部１０６の一部を構成する第１部分１０４subと、第１部分１０４subに続き且つ高位に位置して機能的に主要部を構成する機能主要部分１０４mainとを含み、機能主要部分１０４mainは直線状の長さを有している。第１部分１０４subと機能主要部分１０４mainとの間の角度を参照符号「α」で示す。長さを有する機能主要部分１０４mainは、側面視したときに内側脚１０２と実質的に平行な直線で構成されている。

実施例のリフティングフック２００の各部の寸法又は角度を例示的に列挙すれば次の通りである。
（１）フック２００の突出長Ｍ（図１０）：４０mm
（２）内外の脚１０２、１０４の間の高低差Ｈ（図１１）:１３mm
（３）内側脚１０２の傾斜角度θ１（図１０）：６５°
（４）フック２００の基端部分の幅Ｗ(B)（図１０）：３５mm
（５）外側脚１０４の第１部分１０４subと機能主要部分１０４mainとの間の側面視挟み角α（図１１）：１３０°

上記（２）の高低差Ｈは、リフティングフックを係脱させるときに過度（例えば３５°）に手首を捻る必要性を無くすために２mm以上５０mm以下であるのがよい。好ましくは、最適に手首を捻る程度、例えば２５°以下の捻り操作で足りるようにするのに５mm以上３０mm以下であるのがよい。最も好ましくは、手首を殆ど捻る必要のない（０°〜１０°）ようにするのに高低差Ｈは８mm以上１５mm以下であるのがよい。カラビナ２、４からフック２００を離脱させるときに、フック本体１０の中に内側脚１０２が入っている状態で外側脚１０４の機能主要部分１０４mainによってゲートレバー１４をバネ力に抗して開放させる必要がある。カラビナ２、４のサイズにもよるが、高低差Ｈが大きすぎると、外側脚１０４によってゲートレバー１４を開放するのが難しくなり、また、フック２００を作業ツールＴLへ格納する際に、収容凹所３０６(図３)を深くしないとフック２００が収まらない場合がある。

リフティングフック２００は、これを水平面に載置したとき、内外の屈曲端１０２a、１０４aで形成される回動軸線Ａxbaseが水平面上に位置し、そして、内側脚１０２と外側脚１０４の機能主要部分１０４mainとの間の高低差Ｈを有する立体形状を有する。

上記（３）の内側脚１０２の傾斜角度θ１（図１０）つまり内側脚１０２と屈曲端１０２aとの間の挟み角θ１に関し、これを９０°よりも小さな値に設定することでフック２００を平面視先細りの形状にすることができる。フック２００を平面視先細りの形状に形作ることで、図１７のように作業ツールＴLを吊るした時に、カラビナ２，４に支持される範囲が制限され、吊るした時の作業ツールＴLの安定性が良くなる（作業者が移動したりする際に安定度が増す）。また、図２０や図２５のような離脱操作時（外側脚１０４でゲート１４を押し下げる際や機能主要部分１０４mainがノーズ部１６を乗り越える際）に、内側脚１０２と作業者やカラビナ本体１０との距離を多くとることができ、操作性が向上する。

図１０を参照して使用位置のリフティングフック２００が作業ツールＴLから突出するフック２００の軸線を「Ａxf」で示す。この軸線Ａxfに対して外側脚１０４の軸線Ａxoutは平行である。外側脚１０４とその屈曲端１０４aとの間の挟み角θ２は９０°である。また、内側脚１０２はその軸線Ａxinがフック２００の軸線Ａxfに対し傾斜している。すなわち、内側脚１０２の傾斜角θ１は９０°よりも小さく、これによりフック２００は平面視先細りの形状を有している。

フック２００を平面視先細りの形状にすることに関し、下記の３つのいずれの構成を採用してもよい。
（a）内側脚１０２をフック２００の軸線Ａxfと交差するように平面視したときに傾斜させる（図１０）。
（b）外側脚１０４をフック２００の軸線Ａxfと交差するように平面視したときに傾斜させて角度θ2を９０°よりも大きくする。
（c）内側脚１０２、外側脚１０４の双方を平面視したときに傾斜させる。

上記（５）外側脚１０４において、第１部分１０４subと機能主要部分１０４mainとの間の側面視挟み角α（図１１）は、目視しながら、好ましくは手探り状態でカラビナ本体１０に沿って外側脚１０４を移動させる、その操作性の良し悪しに関係する。図２０や図２５のような離脱時に、挟み角αは９０°よりも大きく且つ少なくとも１７０°以下であると外側脚１０４をカラビナ２、４のゲートレバー１４に引っ掛けて簡単に離脱させることができる。挟み角αは９０°よりも大きく且つ好ましくは１５０°以下、更に好ましくは１３０°以下であるのがよい。

リフティングフック２００を組み付ける作業ツールＴLの一例を図１２ないし図１４を参照して説明する。図示の作業ツールＴLは充電式電動チェーンソー３００である。図１２は電動チェーンソー３００の側面図であり、図１３は平面図であり、図１４は電動チェーンソー３００を後方から見た背面図である。

図示の電動チェーンソー３００は既に市販されていることから、その概要の説明にとどめる。電動チェーンソー３００は、本体３１０と、カッティングアタッチメント３１２とを有する。アタッチメント３１２は、ガイドバー３１４と、このガイドバー３１４によって案内されて回転するソーチェーン３１６とを含む。

本体３１０にはモータなどの駆動源、制御装置などの他にバッテリが収容され、バッテリから供給される電力によってモータが駆動される。本体３１０には、その上部にセンターグリップ３１８が設けられている。この種のチェーンソー３００は「トップハンドル式チェーンソー」と呼ばれており、作業者Ｗkはセンターグリップ３１８を把持してチェーンソー３００を操作することができる。

チェーンソー３００の後端面３０２には、実施例のリフティングフック２００が格納可能に組み付けられている。図１２ないし図１４はリフティングフック２００を使用するときの状態を示し、実施例のリフティングフック２００は後端面３０２から後方に突出して位置している。チェーンソー３００は図１２に矢印Ｘで示す方向、つまりガイドバー３１４の面に沿った方向に移動させることで切断処理が行われる。

図１５ないし図２５を参照して、短ノーズ形カラビナ２又は長ノーズ形カラビナ４に対する実施例のリフティングフック２００の係脱を以下に説明する。

――短ノーズ形カラビナ２に対するリフティングフック２００の装着（図１５〜図１７）――
図１５は、短ノーズ形カラビナ２に実施例のリフティングフック２００を装着するための準備工程を示す。作業者Ｗkがチェーンソー３００を持ち上げ、そして横方向に移動させてチェーンソー３００を身体に近づけることにより、内側脚１０２をゲートレバー１４に当接させた状態を示す。図１６は、内側脚１０２をカラビナ２つまりカラビナ本体１０の中に挿入する工程を示す。この挿入工程は、チェーンソー３００を下方に移動させることにより行われる。これにより、内側脚１０２によってゲートレバー１４がバネ力に抗して開放され、そして、内側脚１０２がカラビナ本体１０の中に入る。これが終わると、ゲートレバー１４はバネ力によって自動的に閉じる。

図１５、図１６を参照して説明したように、作業者Ｗkはチェーンソー３００を横方向内側に移動させ、次いで、チェーンソー３００を下げることで、フック２００を短ノーズ形カラビナ２に係止させることができる。図１７はチェーンソー３００が腰ベルトＷbに吊り下げられた状態を示す。

――短ノーズ形カラビナ２からリフティングフック２００の離脱（図１８ないし図２０）――
図１８は、短ノーズ形カラビナ２からリフティングフック２００を離脱させるための第１準備工程を示す。作業者Ｗkはチェーンソー３００を持ち上げて、外側脚１０４の機能主要部分１０４mainをゲートレバー１４の高さレベルまで位置させる。図１９は第２準備工程を示す。作業者Ｗkは、チェーンソー３００を体側に近づける方向に横移動させて外側脚１０４の機能主要部分１０４mainをゲートレバー１４に当接させる。

次いで、作業者Ｗkはチェーンソー３００を下げる。これにより下降動する外側脚１０４によってゲートレバー１４が開放され、外側脚１０４はカラビナ本体１０の中に入る（図２０）。その結果、カラビナ本体１０の中にフック２００を位置させることができる。次いで、作業者Ｗkはチェーンソー３００を前方に移動させることで、カラビナ本体１０からフック２００を抜き出すことができる。

上述したように、作業者Ｗkがチェーンソー３００を横方向内側に移動させ、次いで、チェーンソー３００を下げ、そして前方に移動させることで、短ノーズ形カラビナ２からチェーンソー３００を解放することができる。この一連の操作は、作業者が目視しながら行われることもあるし、手探り状態で行われることもある。

――長ノーズ形カラビナ４に対するリフティングフック２００の装着（図２１ないし図２３）――
図２１は長ノーズ形カラビナ４に実施例のリフティングフック２００を装着するための準備工程を示す。作業者Ｗkはチェーンソー３００を持ち上げ、そして体側に近づく方向に横移動させて、内側脚１０２をノーズ延長部１８よりも内側に移動させる。次いで、チェーンソー３００を下げて内側脚１０２をゲートレバー１４に当接させる（図２２）。これにより装着の準備が終わる。そして、作業者Ｗkがチェーンソー３００を更に下方に下げると、内側脚１０２によってゲートレバー１４が開放され、そして、内側脚１０２がカラビナ本体１０の中に入る（図２３）。

図２１ないし図２３を参照して説明したように、作業者Ｗkはチェーンソー３００を持ち上げ、そして横方向内側に移動させ、次いで、下方に移動させることで、リフティングフック２００を長ノーズ形カラビナ４に係止させることができる。この一連の操作は、作業者が目視しながら行われることもあるし、手探り状態で行われることもある。

――長ノーズ形カラビナ４からのリフティングフック２００の離脱（図２４、図２５）――
作業者Ｗkはチェーンソー３００を持ち上げ（図２４）、そして体側に近づく方向に横移動させて、外側脚１０４をノーズ延長部１８よりも内側に移動させる（図２５）。次いで、チェーンソー３００を下げて外側脚１０４の機能主要部分１０４mainでゲートレバー１４を開放し、外側脚１０４をカラビナ本体１０の中に入れる。これにより、内外の脚１０２、１０４が共にカラビナ本体１０の中に位置した状態になる。

次いで、作業者Ｗkはチェーンソー３００を前方に移動させることで、カラビナ本体１０からフック２００を抜き出すことができる。

上述したように、作業者Ｗkがチェーンソー３００を持ち上げ、次いで横方向内側に移動させ、次いで、チェーンソー３００を下げ、そして前方に移動させることで、長ノーズ形カラビナ４からチェーンソー３００を解放することができる。この一連の操作は、作業者が目視しながら行われることもあるし、手探り状態で行われることもある。

リフティングフック２００をチェーンソー３００に配置させるとき、図１３を参照して、センターグリップ３１８よりも作業者側に近づくようにオフセットしてフック２００を配置するのがよい。これにより、フック２００をカラビナ２、４に係脱させる際に、特に離脱させる際に（作業者は作業ツールＴLを身体に寄せて外側脚１０４を使ってカラビナ２、４のゲート１４を開く際に）、作業者の身体が作業ツールＴLに遠くなるので、作業者と作業ツールＴLが近すぎない、また、作業者の身体と作業ツールＴLが当接しにくいので作業性が良くなる。

図１４を参照して、参照符号「Ａxg」は、作業者がセンターグリップ３１８を把持して持ち上げたときのチェーンソー３００の上下軸線を示す。また、「Ｅ」は大地などの水平面を示す。このチェーンソー３００においてフック２００の回動軸線Ａxbaseは、チェーンソーの上下軸線Ａxgと直交する水平に位置するように設定されている。

フック２００が作業ツールＴLの長手方向の後端に設置されて、さらに上下方向で中間近傍に位置する。これによれば、吊り下げたときに、作業ツールＴLがまっすぐに下を向くので、作業ツールＴLが作業者の邪魔になりにくい。また、作業者がカラビナに係脱させる際にも、作業ツールを９０°程度に持ち上げて係脱させるので、作業性が良好である。

外側脚１０４の第１部分１０４subと機能主要部分１０４mainとの間の挟み角αは手探り状態の作業者に信号を与える。この挟み角αを９０°よりも大きな角度に設定することにより、カラビナ２、４の内側脚１０２がカラビナ本体１０の中で円滑に移動することができ、リフティングフック２００の係脱の際の操作を円滑にすることができる。

本発明に従う実施形態のリフティングフックは駆動源を備えた任意の手持ち作業ツールに好適に適用可能である。駆動源は内燃エンジンであってもよいし電動モータであってもよい。具体例を挙げれば、トップハンドル式チェーンソーの他に、両手で操作するチェーンソーを挙げることができる。他の主な適用例を挙げれば次の通りである。
（１）電動又はエンジン駆動トリマー。
（２）電動又はエンジン駆動ブラッシュカッター。
（３）電動インパクトドリル。
（４）電動ラチェット。
（５）電動レンチ。
（６）電動ハサミ。
（７）電動又はエンジン駆動軸流又は遠心ブロワ。
（８）エンジン駆動バキューム。
（９）刈払機。
なお、刈払機は両手で本体を把持して作業するのが一般的である。刈払機を両手で把持した状態でリフティングフック１００、２００をカラビナ２、４に係脱させるときには、作業者が最も自然な姿勢及び手首の状態において内側脚１０２と外側脚１０４との間に高低差Ｈが形成されるようにリフティングフック１００、２００を刈払機に設置するのがよい。

――変形例――
図２６〜図２８は複数の変形例を説明するための図である。図２６は、リフティングフック２００に関する図１１に対応した側面図であり、第１変形例のリフティングフック２５０を示す。このリフティングフック２５０において外側脚１０４は、傾斜した第１部分１０４subを備えている点で図９〜図１１のフック２００と同じであるが、長さを有する機能主要部分１０４mainは比較的短く、この機能主要部分１０４mainと屈曲端１０４aとの間に傾斜した第３部分１０４Ｃを有している。第３部分１０４Ｃから下方に傾斜して屈曲端１０４aに続いている。

図２７は第２変形例のリフティングフック２６０を示す。このリフティングフック２６０にあっては、長さを有する機能主要部分１０４mainは側面視したときにラウンドした形状を有し、この機能主要部分１０４mainから滑らかに第３部分１０４Ｃに連続している。ラウンド形状の機能主要部分１０４mainは、比較的連結部１０６に近い位置に設けられている。第１部分１０４subと機能主要部分１０４mainとの間の挟み角αは９０°よりも大きいのが好ましい。

図２８は第３変形例のリフティングフック２７０を示す。このリフティングフック２７０は、ラウンド形状の機能主要部分１０４mainを有する点で第２変形例（図２７）と同様であるが、比較的屈曲端１０４aに近い位置に設けられている点で第２変形例（図２７）とは異なる。この第３変形例においても、第１部分１０４subと機能主要部分１０４mainとの間の挟み角αは９０°よりも大きいのが好ましい。

トップハンドル式チェーンソーでは、作業者が片手で作業ツールを持った際に、その作業ツールの重心により自然な姿勢となるが、その自然な姿勢は前述した例に限定されるものではなく、例えば、カラビナに対する係脱説明書に記載される姿勢であってもよく、また、作業者が係脱作業がし易い姿勢であってもよい。例えば、前述した例で主に例示したチェーンソーでは、カラビナ係脱の際に作業ツールの上側（垂直面）を持って係脱操作を行うが、作業ツールの側部（水平面）を持って係脱操作を行うほうが良い場合もある。また、前述した例で説明したトップハンドル式チェーンソーでは、後方にリフティングフックが位置するが、側部に位置してもよい。この場合にも内側脚と外側脚に高低差があれば、作業者の負担が減る。

２ 短ノーズ形カラビナ
４ 長ノーズ形カラビナ
１０ カラビナ本体
１２ ゲート部
１４ ゲートレバー
１００ 実施形態のリフティングフック
１０２ リフティングフックの内側脚
１０２a 内側脚の屈曲端
１０４ リフティングフックの外側脚
１０４a 外側脚の屈曲端
１０４sub 外側脚の第１部分（機能的に連結部の一部を構成する部分）
１０４main 外側脚の第２部分（外側脚の機能主要部分）
１０６ リフティングフックの連結部
２００ 実施例のリフティングフック
３００(ＴL) チェーンソー（作業ツール）

Claims (14)

1. 動力源付き作業ツールに定置される内側脚、外側脚と、
   該内側脚、外側脚の自由端同士を連結する連結部とを有するリフティングフックであって、
   レバー式のカラビナを身に付けた作業者が手首を捻ることなく自然な姿勢で前記作業ツールを持ったときの前記リフティングフックは、前記内側脚が前記カラビナに近い内側に位置し、前記外側脚が前記カラビナから遠い外側に位置し、
   前記内側脚と前記外側脚が高低差を有し、前記外側脚の少なくとも一部が前記内側脚よりも高位に位置していることを特徴とするリフティングフック。
2. 動力源付き作業ツールに定置される内側脚、外側脚と、
   該内側脚、外側脚の自由端同士を連結する連結部とを有するリフティングフックであって、
   レバー式のカラビナを身に付けた作業者が前記作業ツールを持ったときの前記リフティングフックは、前記内側脚が前記カラビナに近い内側に位置し、前記外側脚が前記カラビナから遠い外側に位置し、
   前記内側脚と前記外側脚が高低差を有し、前記外側脚の少なくとも一部が前記内側脚よりも高位に位置し、
   前記内側脚と前記外側脚が高低差を有することにより、前記内側脚と前記連結部と前記外側脚で立体形状を形成することを特徴とするリフティングフック。
3. 前記作業ツールを持ったときは、前記作業者が手首を捻ることなく自然な姿勢であることを特徴とする請求項２に記載のリフティングフック。
4. 前記外側脚が、前記連結部に隣接した第１部分と、機能的に主要部を構成する主要機能部とを含み、
   該主要機能部が前記内側脚よりも高位に位置する、請求項１または２に記載のリフティングフック。
5. 前記第１部分と前記主要機能部との間の挟み角(α)が９０°よりも大きく且つ１７０°以下である、請求項４に記載のリフティングフック。
6. 前記連結部が傾斜している、請求項１または２に記載のリフティングフック。
7. 前記リフティングフックが先細りの形状を有する、請求項１〜６のいずれか一項に記載のリフティングフック。
8. 前記内側脚が平面視したときに前記連結部に向かうに従って前記カラビナから離れる方向に傾斜している、請求項７に記載のリフティングフック。
9. 前記カラビナに対して前記リフティングフックを係脱させるのに、作業者が手首を捻って前記作業ツールを回転させる角度が３５°以下となるように前記リフティングフックが設計されている、請求項１または３に記載のリフティングフック。
10. 前記カラビナに対して前記リフティングフックを係脱させるのに、作業者が手首を捻って前記作業ツールを回転させる角度が２５°以下となるように前記リフティングフックが設計されている、請求項１または３に記載のリフティングフック。
11. 前記カラビナに対して前記リフティングフックを係脱させるのに、作業者が手首を捻って前記作業ツールを回転させる角度が１０°以下となるように前記リフティングフックが設計されている、請求項１または３に記載のリフティングフック。
12. 前記リフティングフックが、前記作業ツールから突出した使用位置と、前記作業ツールの凹所に収容される格納位置との間で回動可能であり、
    前記内側脚及び前記外側脚は、夫々、前記リフティングフックの回動軸線を形成する屈曲端を有し、
    前記リフティングフックは、これを水平面上に載置したときに該水平面上に前記回動軸線が位置する立体形状を有する、請求項１〜１１のいずれか一項に記載のリフティングフック。
13. 前記動力源付き作業ツールが片手で操作する作業ツールである、請求項１〜１２のいずれか一項に記載のリフティングフック。
14. 前記動力源付き作業ツールが両手で操作する作業ツールである、請求項１〜１２のいずれか一項に記載のリフティングフック。

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