JP2021050188A - 脂肪線維化抑制剤 - Google Patents

脂肪線維化抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2021050188A
JP2021050188A JP2019175895A JP2019175895A JP2021050188A JP 2021050188 A JP2021050188 A JP 2021050188A JP 2019175895 A JP2019175895 A JP 2019175895A JP 2019175895 A JP2019175895 A JP 2019175895A JP 2021050188 A JP2021050188 A JP 2021050188A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
ginger
collagen
fibrosis
active ingredient
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019175895A
Other languages
English (en)
Inventor
雅文 青木
Masafumi Aoki
雅文 青木
村瀬 孝利
Takatoshi Murase
孝利 村瀬
絵里奈 前山
Erina Maeyama
絵里奈 前山
浩二郎 橋爪
Kojiro Hashizume
浩二郎 橋爪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2019175895A priority Critical patent/JP2021050188A/ja
Publication of JP2021050188A publication Critical patent/JP2021050188A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract

【課題】皮下脂肪の線維化を抑制し、セルライトの予防又は改善に有用な素材を提供する。【解決手段】ショウガ又はその抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下剤。【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪組織の線維化を抑制する脂肪線維化抑制剤に関する。
セルライトは、女性の80〜90%に存在していることが報告されており(非特許文献1)、ビューティケア分野における改善課題とされている。「セルライトは、主に女性の体表に現れる皮膚の凹凸の変化」と定義され、病態生理学的には「末梢の循環不全、代謝不全に伴って脂肪組織内に線維化が生じ、周囲組織も線維化した状態」と考えられている(非特許文献2)。また、過体重(肥満)の女性に特異的な症状ではないことも報告されており(非特許文献1、3)、このことから単純に肥満抑制剤(痩身剤など)を使用しただけでは、セルライトの改善は困難であると考えられる。
従来、セルライトの改善には、マッサージや近赤外レーザーの照射などが行われてきたが、これらの方法では大きな効果が見られないことが報告されており(非特許文献4)、また、上部皮膚層はセルライトと直接的には関わっていないため、外用剤による改善は困難である。
近年、皮下脂肪の線維化がセルライトの発症に関与するとの報告が複数なされている(非特許文献2、4、5)。線維化とは、細胞外マトリクス(コラーゲンなど)が重合し、線維状構造を形成することであり、代謝異常や慢性炎症、自己免疫疾患などで線維化が誘導されると、その臓器や組織は機能低下することが知られている(非特許文献6)。脂肪組織の線維化の場合、その前段階として、マクロファージが脂肪組織中に浸潤することが報告されており(非特許文献7)、このような脂肪組織ではマクロファージマーカーであるF4/80の増加やマクロファージの浸潤を誘導するMCP1の増加が認められる。このマクロファージが浸潤した脂肪組織では、分泌因子の影響により線維化が誘導されることが明らかになっており、特にTransforming Growth Factor β (TGFβ)は、筋線維芽細胞(Myofibroblast)へ分化誘導を介することで、線維化を促進することが知られている(非特許文献8)。筋線維芽細胞とは、脂肪を含めたほぼすべての組織の線維化に関わる細胞であり、コラーゲンなどを大量に分泌することで、線維化を強力に促進することが報告されている(非特許文献9)。これまでに筋線維芽細胞マーカーとしてα-smooth muscle actin(αSMA)が特定されているため、αSMAを解析することで筋線維芽細胞への分化度合いや存在量を判定することは可能であるが、筋線維芽細胞が、どのような細胞から発生・分化するのかについては、現在もはっきりしておらず、間葉系幹細胞や内皮細胞、上皮細胞、骨髄細胞などから分化することが推定されている(非特許文献10)。
線維化が起こる際には、コラーゲンが増加することが報告されており、特に、VI型コラーゲン(COL6)不全マウスでは、脂肪の線維化が抑制されることから、COL6は脂肪線維化促進作用を有することが示唆されている(非特許文献11)。また、VI型コラーゲンα3鎖(COL6A3)のC末端ペプチドが切断され、エンドトロフィン(Endotrophin:ETP)という分泌因子が産生されることも知られており、この分泌因子は血液を介して全身の炎症、脂肪線維化、インスリン抵抗性を誘導することが知られている(非特許文献12)。これらのことから、COL6やETPを減少させることにより、脂肪の線維化が抑制されると考えられている。
一方、ショウガ(学名:Zingiber officinale)は、辛味成分であるショウガオールを含み、食品香料として利用されるだけでなく、解熱作用、鎮痛作用、抗炎症作用、抗酸化作用、プロスタグランジンの生合成阻害作用、血行促進作用、体温上昇作用等、多くの薬理作用を有することが知られている。
しかしながら、ショウガに脂肪線維化抑制作用やセルライト改善作用があることは知られていない。
de Godoy JM, de Godoy Mde F. Clin Cosmet Investig Dermatol. 4:55-59 (2011) 尾見徳弥、沼野香世子 臨床皮膚科 69巻5号 (2015) Rawlings AV. Int J Cosmet Sci. 28: 175-190 (2006) Valentim da Silva RM, et al. Dermatol Res Pract. 715829 (2013) Tokarska K, et al. Postepy Dermatol Alergol. 35: 442-446 (2018) Wynn TA, Ramalingam TR. Nat Med. 2012 ;18 :1028-40 Vila IK, et al. Cell Rep. 7: 1116-1129 (2014) Bourlier V, et al. PLoS One. 2012;7(2):e31274. Sem H Phan. Proc Am Thorac Soc. 5: 334-337 (2008) Bagalad BS, Mohan Kumar KP, Puneeth HK. J Oral Maxillofac Pathol. 21: 462-463 (2017) Khan T, et al. Mol Cell Biol. 29: 1575-1591 (2009) Sun K, et al. Nat Commun. 5: 3485 (2014)
本発明は、皮下脂肪の線維化を抑制し、セルライトの予防又は改善に有用な素材を提供することに関する。
本発明者らは、脂肪の線維化が誘導される高脂肪食で飼育したマウスに、ショウガ抽出物を摂取させた場合、血中エンドトロフィンの上昇が抑制されると共に、脂肪組織における線維化に関わる一連の分子の発現が制御され、ショウガが脂肪の線維化抑制に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
1)ショウガ又はその抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下剤。
2)ショウガ又はその抽出物を有効成分とするコラーゲン上昇抑制剤。
3)ショウガ又はその抽出物を有効成分とする脂肪線維化抑制剤。
4)ショウガ又はその抽出物を有効成分とするセルライト予防又は改善剤。
5)ショウガ抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下用食品。
6)ショウガ抽出物を有効成分とするコラーゲン上昇抑制用食品。
7)ショウガ抽出物を有効成分とする脂肪線維化抑制用食品。
8)ショウガ抽出物を有効成分とするセルライト予防又は改善用食品。
本発明によれば、脂肪の線維化を抑制できることから、皮下脂肪の線維化を伴うセルライトの予防又は改善に有用な医薬品、食品を提供できる。
ショウガ抽出物の血中エンドトロフィンに対する作用を示すグラフ。 ショウガ抽出物のマクロファージ関連分子に対する作用を示すグラフ。 ショウガ抽出物のコラーゲン類に対する作用を示すグラフ。 ショウガ抽出物の筋線維芽細胞分化関連分子に対する作用を示すグラフ。
本明細書において、「ショウガ」とは、ショウガ科のショウガ(学名:Zingiber officinale)を指す。
本発明において、ショウガは、根茎、茎、葉から構成されるが、本発明においては主として根茎が使用される。
当該ショウガは、生のままであっても乾燥された状態であってもよい。ショウガは、抽出に際してそのまま用いることもできるが、粉砕したり、摩り下ろした状態、圧搾して絞り汁とした状態として用いることもできる。
ショウガ抽出物としては、ショウガを常温又は加温下にて抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出される各種溶媒抽出物、超臨界二酸化炭素等の超臨界抽出によって得られる抽出物、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末等が挙げられる。
抽出のための溶媒には、極性溶媒、非極性溶媒のいずれをも使用することができる。溶媒の具体例としては、例えば、水;1価、2価又は多価のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状又は環状のエーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ヘキサン等の飽和又は不飽和の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ピリジン類;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;二酸化炭素、超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他のオイル類;ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適には、水、アルコール類及びその水溶液が挙げられ、アルコール類としてはメタノール、エタノール、1,3−ブチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられ、好ましくはエタノールである。
上記アルコール類の水溶液におけるアルコールの濃度(25℃における容量%)は、好ましくは30容量%以上、より好ましくは50容量%以上、さらに好ましくは75容量%以上であり、且つ好ましくは99.5容量%以下である。また、上記アルコール類の水溶液におけるアルコールの濃度は、好ましくは30〜99.5容量%、より好ましくは50〜99.5容量%、さらに好ましくは75〜99.5容量%である。好ましくは、30〜99.5容量%エタノール水溶液、より好ましくは50〜99.5容量%エタノール水溶液、さらに好ましくは75〜99.5容量%エタノール水溶液が挙げられる。
抽出における溶媒の使用量としては、ショウガ(乾燥質量換算)1gに対して1〜100mLが好ましい。抽出条件は、十分な抽出が行える条件であれば特に限定されないが、例えば、抽出時間は好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上がより好ましく、他方、好ましくは2ヶ月以下、より好ましくは5週間以下、より好ましくは2週間以下である。抽出温度は0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、他方、溶媒沸点以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。通常、低温なら長時間、高温なら短時間の抽出を行う。
抽出手段は、特に限定されないが、例えば、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、ソックスレー抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の通常の手段を用いることができる。
本発明のショウガ抽出物は、例えば食品や医薬品上許容し得る規格に適合し、本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよい。また、必要に応じて、液々分配、固液分配、濾過膜、活性炭、吸着樹脂、イオン交換樹脂、澱出し等の公知の技術によって不活性な夾雑物の除去、脱臭、脱色等の処理を施すことができる。
また、さらに公知の分離精製方法を適宜組み合わせてこれらの純度を高めてもよい。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
また、本発明のショウガ抽出物は、そのまま用いてもよく、適宜な溶媒で希釈した希釈液として用いてもよく、あるいは濃縮エキスや乾燥粉末としたり、ペースト状に調製したものでもよい。また、凍結乾燥し、用時に、通常抽出に用いられる溶剤、例えば水、エタノール、水・エタノール混液等の溶剤で希釈して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
後述する実施例に示すように、ショウガ抽出物は、高脂肪食の摂取により誘導された血中エンドトロフィンの上昇を抑制する。また、ショウガ抽出物は、高脂肪食の摂取により誘導された脂肪組織におけるマクロファージの炎症関連分子(F4/80、MCP1)の発現上昇を抑制する。また、ショウガ抽出物は、高脂肪食の摂取により誘導された脂肪組織におけるコラーゲン分子(COL5A1、COL6A3)の上昇を抑制する。さらに、ショウガ抽出物は、高脂肪食の摂取により誘導された脂肪組織におけるTGFβの発現上昇を抑制する。
したがって、ショウガ又はその抽出物は、エンドトロフィン低下剤、コラーゲン上昇抑制剤、脂肪線維化抑制剤、セルライト予防又は改善剤(以下、「エンドトロフィン低下剤」等と称す)となり得、またこれらを製造するために使用できる。
また、ショウガ又はその抽出物は、エンドトロフィンの低下、コラーゲンの上昇抑制、脂肪線維化の抑制、セルライトの予防又は改善のために使用することができる。ここで、当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。尚、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明において、「エンドトロフィン」とは、VI型コラーゲンの1種TYPE VI COLLAGEN ALPHA3 CHAIN(COL6A3)のC末端ペプチドが切断されて産生される分泌因子を指し、「エンドトロフィンの低下」とは、生体内のエンドトロフィンレベルの低下を意味し、特に上昇した血中エンドトロフィンレベルを低下させることを意味する。また、エンドトロフィンの上昇を抑制することも意味する。血中エンドトロフィンレベルは、例えばEndotrophin(mouse)−EIA Kit(Peninsula Laboratories International, Inc.)を用いて測定することができる。
本発明において、「コラーゲン上昇抑制」には、遺伝子レベルでの発現抑制及びタンパク質レベルでの上昇抑制が包含される。遺伝子レベルでの発現抑制にはmRNAの発現抑制、好ましくはmRNAへの転写抑制が挙げられ、タンパク質レベルでの上昇抑制には翻訳における抑制、分解の促進及び安定性の低下などが含まれる。
ここで、コラーゲンとしては特に限定されないが、脂肪の線維化と関連性の高いCOL6A3及びCOL5A1が好ましい。これらは、それぞれ、「collagen type VI α3 chain」、「collagen type V α1 chain」として、NCBIのデータベース(Gene)[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/]において登録されているタンパク質を意味する。
本発明において、「線維化」とは、コラーゲン等の細胞外マトリクスが線維状の構造を形成し、臓器や組織が硬化すると共にその機能が低下することを意味する。「脂肪の線維化」とは、脂肪組織が線維化することを指し、好ましくは皮下脂肪組織の線維化が挙げられる。
本発明において「セルライト」とは、皮下脂肪のうち、体表に現れる皮膚の凸凹の変化で主に腹部・臀部・大腿部に不均一かつブロック状に存在する組織を指す。病態生理学的には、末梢の循環不全、代謝不全に伴って脂肪組織内に線維化が生じ、線維化により脂肪組織の代謝不全が亢進して脂肪組織が変性をきたすとともに周囲組織も線維化した状態と考えられている。
本発明において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
また、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転、疾患、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本発明のエンドトロフィン低下剤等は、エンドトロフィンの低下、コラーゲンの上昇抑制、脂肪線維化抑制、セルライト予防又は改善の各作用効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、食品となり、また当該医薬品、医薬部外品、食品に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
なお、当該食品には、脂肪線維化抑制、セルライト予防又は改善効果をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性表示食品、特定保健用食品、病者用食品、サプリメントが包含される。
本発明のエンドトロフィン低下剤等を医薬品(医薬部外品を含む)として用いる場合、当該医薬品は任意の投与形態で投与され得る。投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられるが、好ましい形態は経口投与である。
このような種々の剤型の医薬製剤は、本発明のショウガ又はその抽出物と他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
本発明のエンドトロフィン低下剤等を食品として用いる場合、当該食品の形態は、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料などの各種食品組成物の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。
種々の形態の食品は、本発明のショウガ又はその抽出物と他の食品材料や溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて調製することができる。
当該医薬品や食品におけるショウガ又はその抽出物の含有量(乾燥物換算)は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、且つ好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、また好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%である。なお、本明細書において「乾燥物」とは、抽出物を−30〜−40℃で3〜4時間凍結させたものを、乾燥温度40〜100℃、真空到達度20〜70Paの条件下で、12〜20時間かけて乾燥させて得られる残分をいう。
ショウガ又はその抽出物の投与量又は摂取量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与又は摂取の場合、成人(体重60kg)1人、1日あたり、好ましくは0.6mg以上、より好ましくは6mg以上であり、より好ましくは30mg以上であり、且つ好ましくは6000mg以下、より好ましくは3000mg以下、より好ましくは1200mg以下である。また、1日あたり好ましくは0.6〜6000mg、より好ましくは6〜3000mg、より好ましくは30〜1200mgである。
ショウガ又はその抽出物は、1日1回〜数回に分け、又は任意の期間及び間隔で投与又は摂取することができる。投与又は摂取期間は適宜決定することができ、例えば、1日以上が好ましく、7日以上がより好ましく、30日以上がさらに好ましい。
本発明のエンドトロフィン低下剤等の対象者としては、二の腕、臀部、太もも等の皮下脂肪にできたセルライトの除去を望むヒト、或いはセルライトの発生を予防したいヒトが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>ショウガ又はその抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下剤。
<2>ショウガ又はその抽出物を有効成分とするコラーゲン上昇抑制剤。
<3>上昇抑制が遺伝子発現抑制である<2>のコラーゲン上昇抑制剤。
<4>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<2>又は<3>のコラーゲン上昇抑制剤。
<5>ショウガ又はその抽出物を有効成分とする脂肪線維化抑制剤。
<6>ショウガ又はその抽出物を有効成分とするセルライト予防又は改善剤。
<7>ショウガ抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下用食品。
<8>ショウガ抽出物を有効成分とするコラーゲン上昇抑制用食品。
<9>上昇抑制が遺伝子発現抑制である<8>のコラーゲン上昇抑制用食品。
<10>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<8>又は<9>のコラーゲン上昇抑制用食品。
<11>ショウガ抽出物を有効成分とする脂肪線維化抑制用食品。
<12>ショウガ抽出物を有効成分とするセルライト予防又は改善用食品。
<13>エンドトロフィン低下剤を製造するための、ショウガ又はその抽出物の使用。
<14>コラーゲン上昇抑制剤を製造するための、ショウガ又はその抽出物の使用。
<15>上昇抑制剤が遺伝子発現抑制剤である<14>の使用。
<16>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<14>又は<15>の使用。
<17>脂肪線維化抑制剤を製造するための、ショウガ又はその抽出物の使用。
<18>セルライト予防又は改善剤を製造するための、ショウガ又はその抽出物の使用。
<19>エンドトロフィン低下用食品を製造するための、ショウガ抽出物の使用。
<20>コラーゲン上昇抑制用食品を製造するための、ショウガ抽出物の使用。
<21>上昇抑制用食品が遺伝子発現抑制用食品である<20>の使用。
<22>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<20>又は<21>の使用。
<23>脂肪線維化抑制用食品を製造するための、ショウガ抽出物の使用。
<24>セルライト予防又は改善用食品を製造するための、ショウガ抽出物の使用。
<25>エンドトロフィン低下に使用するための、ショウガ又はその抽出物。
<26>コラーゲン上昇抑制に使用するための、ショウガ又はその抽出物。
<27>上昇抑制が遺伝子発現抑制である<26>のショウガ又はその抽出物。
<28>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<26>又は<27>のショウガ又はその抽出物。
<29>脂肪線維化抑制に使用するための、ショウガ又はその抽出物。
<30>セルライト予防又は改善に使用するための、ショウガ又はその抽出物。
<31>エンドトロフィンを低下するための、ショウガ又はその抽出物の非治療的使用。
<32>コラーゲン上昇を抑制するための、ショウガ又はその抽出物の非治療的使用。
<33>上昇の抑制が遺伝子発現の抑制である<32>の非治療的使用。
<34>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<32>又は<33>の非治療的使用。
<35>脂肪線維化を抑制するための、ショウガ又はその抽出物の非治療的使用。
<36>セルライトを予防又は改善するための、ショウガ又はその抽出物の非治療的使用。
<37>ショウガ又はその抽出物を、それらを必要とする対象に有効量で投与又は摂取するエンドトロフィン低下方法。
<38>ショウガ又はその抽出物を、それらを必要とする対象に有効量で投与又は摂取するコラーゲン上昇抑制方法。
<39>上昇抑制が遺伝子発現抑制である<38>のコラーゲン上昇抑制方法。
<40>コラーゲンがCOL6A3及び/又はCOL5A1である<38>又は<39>のコラーゲン上昇抑制方法。
<41>ショウガ又はその抽出物を、それらを必要とする対象に有効量で投与又は摂取する脂肪線維化抑制方法。
<42>ショウガ又はその抽出物を、それらを必要とする対象に有効量で投与又は摂取するセルライトの予防又は改善方法。
<43>投与又は摂取が、経口による投与又は摂取である<37>〜<42>の方法。
<44>投与又は摂取する有効量が、成人(体重60kg)1人、1日あたり、好ましくは0.6mg以上、より好ましくは6mg以上であり、より好ましくは30mg以上であり、且つ好ましくは6000mg以下、より好ましくは3000mg以下、より好ましくは1200mg以下である。また、1日あたり好ましくは0.6〜6000mg、より好ましくは6〜3000mg、より好ましくは30〜1200mgである<37>〜<43>の方法。
<45>ショウガ又はその抽出物の投与又は摂取期間が1日以上、好ましくは7日以上、より好ましくは30日以上である<44>の方法。
<46>ショウガ抽出物が、ショウガ根茎の溶媒抽出物であり、抽出のための溶媒が好ましくは極性溶媒であり、より好ましくは水、アルコール類及びその水溶液である、<1>〜<6>の剤、<7>〜<12>の食品、<13>〜<24>の使用、<25>〜<30>のショウガ抽出物、<31>〜<36>の非治療的使用、<37>〜<45>の方法。
製造例1 ショウガ抽出物の調製
ジンジャー末PKS(日本産ショウガ科ショウガ属ショウガ(Zingiber officinale ROSC.)の根茎の乾燥粉末、こだま食品より入手)500gに99.5容量%エタノール水溶液4Lを加え、室温、静置条件下で、11日間浸漬抽出を行った。その後、ろ過にて抽出液を採取し、減圧濃縮・凍結乾燥して、ショウガ抽出物28.23gを得た。
実施例1 ショウガ抽出物の脂肪線維化抑制作用
1.実験動物と試験条件
C57Bl/6Jマウス(7週齢 ♂)を試験に用い、平均体重が等しくなるように低脂肪食群(LF)、高脂肪食群(HF)、高脂肪食+ショウガ群(HFS)の3群に分けた(N=10)。
LF群の試験食は5質量%の脂質(TG:トリグリセリド)を、HF群の試験食は30質量%の脂質(TG)と13質量%のショ糖を含有しており、HFS群の試験食は、HF群と同条件の試験食に0.3質量%のショウガ抽出物(製造例1)を含有している。
詳細な試験食の組成については下記表1に記載した。
Figure 2021050188
これら試験食(自由摂食)にてマウスを18週間飼育した。試験最終日に3時間の絶食を行った後、マウスの腹部大静脈から全採血を行うとともに、鼠蹊部皮下脂肪を採取した。得られた血液は血清分離し、脂肪組織はQIAzol Lysis Reagent(Qiagen)に浸漬し、−80℃にて凍結保存した。
2.血中のエンドトロフィン(ETP)の測定
各マウスから得た血清をEndotrophin(mouse)−EIA Kit (Peninsula Laboratories International, Inc.)に供し、血中のエンドトロフィン濃度を測定した。一連の操作は、添付のマニュアルに従った。
3.マウス脂肪組織からのRNA抽出とcDNA作製
採取した鼠蹊部脂肪組織からのRNA抽出は、RNeasy Lipid Tissue Mini Kit (Qiagen)にて行い、一連の操作は添付のマニュアルに従った。また、得られたRNAを200ng使用し、High−Capacity RNA−to−cDNA Kit (Thermo Fisher Scientific)にてcDNA作製を行った。
4.マウス脂肪組織の遺伝子発現解析
脂肪組織の遺伝子発現解析は、TaqMan (Life Technologies)を用いたRealtime−PCRにて行った。使用したTaqMan primerおよび遺伝子名は下記表2に示した。本明細書に記載する遺伝子名については、下記表の略号を使用する。測定した値は内部標準である36B4遺伝子の値で補正し、得られた値はLF群の内臓脂肪の遺伝子発現量を1とした相対値で示した。
Figure 2021050188
5.結果と考察
(1)エンドトロフィンに対する作用
図1に示すように、血中のエンドトロフィン濃度は、LF群と比較してHF群で有意な増加が見られ、高脂肪食の摂取により脂肪の線維化が亢進していることが示唆された。これに対し、HFS群は、HF群と比較しETPが有意に減少しており、ショウガ抽出物はETPを低減させることで、脂肪の線維化を抑制することが示唆された。
(2)マクロファージ関連分子に対する作用
マウスの皮下脂肪についてマクロファージマーカーであるF4/80とマクロファージの浸潤を誘導するMCP1の遺伝子発現解析を行った。その結果を図2に示す。HF群ではLF群と比較し、MCP1の発現が約8倍に、F4/80の発現が1.5倍以上有意に増加しており、このことからHF群の皮下脂肪組織ではマクロファージの浸潤が起きていることが示唆された。一方、HFS群では、HF群と比較しMCP1の発現が半分以下に有意に減少しており、さらにF4/80についても有意な減少が認められた。これらの結果から、ショウガ抽出物は、高脂肪摂取によって誘導される皮下脂肪組織のマクロファージの浸潤を抑制すると考えられ、ショウガ抽出物の摂取によりマクロファージの浸潤に起因する脂肪線維化が起こりにくくなることが示唆された。
(3)コラーゲンに対する作用
脂肪で発現が高いことが報告されているcollagen V、collagen VIを解析対象とし、遺伝子発現解析を行った。その結果を図3に示す。COL5A1遺伝子の発現が、HF群ではLF群の2倍以上有意に増加し、この増加はHFS群で約50%有意に抑制された。また、COL6A3についても、ほぼ同様の発現変動が見られ、LF群に対してHF群では有意に増加し、HF群と比較してHFS群では有意な減少を示した。
以上の結果から、マウスの皮下脂肪では、高脂肪食摂取によりCOL5A1、COL6A3が増加するが、ショウガ抽出物の摂取により、その増加が抑制されることが示され、ショウガ抽出物により、コラーゲンの増加にともなう皮下脂肪の線維化が抑制されることが示唆された。
(4)筋線維芽細胞(Myofibroblast)分化関連分子に対する作用
マウスの皮下脂肪について、筋線維芽細胞への分化を誘導し、線維化を促進することが知られるTGFβの遺伝子発現解析を行った。その結果を図4に示す。TGFβは、LF群と比較し、HF群で約60%の有意な増加を示しており、HF群の皮下脂肪では筋線維芽細胞への分化が誘導されていることが示唆された。また、HF群と比較してHFS群では有意な減少が認められ、このことから、ショウガ抽出物は皮下脂肪におけるTGFβを減少させ、筋線維芽細胞への分化誘導を抑制することが示唆された。したがって、ショウガ抽出物の摂取により皮下脂肪の線維化が抑制されると考えられた。

Claims (9)

  1. ショウガ又はその抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下剤。
  2. ショウガ又はその抽出物を有効成分とするコラーゲン上昇抑制剤。
  3. ショウガ又はその抽出物を有効成分とする脂肪線維化抑制剤。
  4. ショウガ又はその抽出物を有効成分とするセルライト予防又は改善剤。
  5. ショウガ抽出物を有効成分とするエンドトロフィン低下用食品。
  6. ショウガ抽出物を有効成分とするコラーゲン上昇抑制用食品。
  7. ショウガ抽出物を有効成分とする脂肪線維化抑制用食品。
  8. ショウガ抽出物を有効成分とするセルライト予防又は改善用食品。
  9. コラーゲンが、COL6A3及び/又はCOL5A1から選ばれる、請求項2記載のコラーゲン上昇抑制剤又は請求項6記載のコラーゲン上昇抑制用食品。
JP2019175895A 2019-09-26 2019-09-26 脂肪線維化抑制剤 Pending JP2021050188A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019175895A JP2021050188A (ja) 2019-09-26 2019-09-26 脂肪線維化抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019175895A JP2021050188A (ja) 2019-09-26 2019-09-26 脂肪線維化抑制剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021050188A true JP2021050188A (ja) 2021-04-01

Family

ID=75157049

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019175895A Pending JP2021050188A (ja) 2019-09-26 2019-09-26 脂肪線維化抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021050188A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lorenzo et al. Sources, chemistry, and biological potential of ellagitannins and ellagic acid derivatives
CN117701424A (zh) 具有肥胖预防或治疗效果的新的鼠李糖乳杆菌菌株及其用途
KR20210133909A (ko) 함초 추출물을 포함하는 골 질환 또는 갱년기 질환의 예방 또는 치료용 조성물
JP5923239B2 (ja) コウバクニクジュヨウエキスを含有する生体機能改善用組成物
JPWO2012111643A1 (ja) アディポネクチン産生促進剤、並びにアディポネクチン産生促進剤を含む医薬組成物、飲食品、及び飼料
EP2387406B1 (en) Postprandial hyperglycemia-improving agent
JP2021050188A (ja) 脂肪線維化抑制剤
JP5661309B2 (ja) 抗肥満剤
KR101842786B1 (ko) 생약 혼합 추출물을 포함하는 아토피 피부염의 치료용 조성물
JP2022078258A (ja) エンドセリン変換酵素阻害剤
JP7489271B2 (ja) 脂肪線維化抑制剤
JP5300233B2 (ja) 皮膚化粧料
JP2014015429A (ja) サテライト細胞分化促進剤
JP5122924B2 (ja) 抗肥満剤
JP2017178862A (ja) 抗炎症剤、化粧料、皮膚外用剤、炎症性疾患の改善剤、及び抗炎症剤の製造方法
JP2017178862A6 (ja) 抗炎症剤、化粧料、皮膚外用剤、炎症性疾患の改善剤、及び抗炎症剤の製造方法
JP6483660B2 (ja) クルミの抽出物を含む抗肥満剤
JP6871737B2 (ja) ウロプラキン発現促進剤
JP7075694B1 (ja) アイリシンの生理作用増強剤
KR102467125B1 (ko) 카우레노산 및 콘티넨탈산의 함량이 증대된 독활 추출물의 제조 방법
JP7301347B2 (ja) サーチュイン1活性化剤及びサーチュイン1活性化用皮膚化粧料
WO2022100399A1 (zh) 无细胞脂肪提取液对关节炎的治疗用途
KR20180034909A (ko) 헌팅턴병의 예방 또는 치료용 조성물
KR102188013B1 (ko) 오수유 추출물을 포함하는 근육 질환 예방 또는 개선용 조성물 및 그의 용도
JP2022020446A (ja) 骨形成促進剤および骨形成促進用経口組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230530

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231121