JP2021049885A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤのスノートラクション性能と耐偏摩耗性能とを両立できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤでは、ショルダー陸部31が、単一の周方向細溝311と、複数の外側ショルダーラグ溝312と、ショルダー主溝21および周方向細溝311を接続する複数の内側ショルダーラグ溝313と、外側ショルダーラグ溝312および周方向細溝311に区画されて成る複数の外側ショルダーブロック314と、内側ショルダーラグ溝313および周方向細溝311に区画され成る複数の内側ショルダーブロック315とを備える。また、1つの外側ショルダーブロック314が、3つの内側ショルダーブロック315に対して周方向細溝311を挟んで対向する。また、内側ショルダーブロック315の最大接地長さL15と最大接地幅W15とが、1.10≦L15/W15≦1.50の関係を有する。
【選択図】図4

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤのスノートラクション性能と耐偏摩耗性能とを両立できる空気入りタイヤに関する。
トラック、バスなどの長距離輸送用の車両のドライブ軸に装着される重荷重用ラジアルタイヤでは、スノートラクション性能を向上するために、サイプを有するブロックパターンが採用されている。
かかる構造を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開平4−372506号公報
一方で、従来の空気入りタイヤでは、タイヤの耐偏摩耗性能を向上すべき課題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤのスノートラクション性能と耐偏摩耗性能とを両立できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する複数の主溝と、前記主溝のうちタイヤ幅方向の最外側にあるショルダー主溝に区画されて成るショルダー陸部およびミドル陸部とを備える空気入りタイヤであって、前記ショルダー陸部が、タイヤ周方向に延在する単一の周方向細溝と、タイヤ接地端および前記周方向細溝を接続する複数の外側ショルダーラグ溝と、前記ショルダー主溝および前記周方向細溝を接続する複数の内側ショルダーラグ溝と、前記外側ショルダーラグ溝および前記周方向細溝に区画されて成る複数の外側ショルダーブロックと、前記内側ショルダーラグ溝および前記周方向細溝に区画され成る複数の内側ショルダーブロックとを備え、1つの前記外側ショルダーブロックが、3つの前記内側ショルダーブロックに対して前記周方向細溝を挟んで対向し、且つ、前記内側ショルダーブロックの最大接地長さL15と最大接地幅W15とが、1.10≦L15/W15≦1.50の関係を有することを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、(1)ショルダー陸部が、外側ショルダーラグ溝および内側ショルダーラグ溝を備えるので、ショルダー陸部のエッジ成分が確保されて、タイヤのスノートラクション性能が向上する。また、(2)内側ショルダーブロックが長尺な外側ショルダーブロックに対して周方向細溝を挟んで対向するので、タイヤ接地時にて周方向細溝が閉塞したときに、内側ショルダーブロックが高い周方向剛性をもつ外側ショルダーブロックに支持される。これにより、内側ショルダーブロックが補強されて、内側ショルダーブロックのヒール・アンド・トゥ摩耗(ブロックエッジ部の偏摩耗およびサイプを起点とした偏摩耗を含む。)が抑制される。また、(3)内側ショルダーブロックがタイヤ周方向に長尺な形状を有するので、内側ショルダーブロックの周方向剛性が確保されて、内側ショルダーブロックのヒール・アンド・トゥ摩耗が抑制される。これらにより、タイヤの耐偏摩耗性能とスノートラクション性能とが両立する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。 図3は、図2に記載した空気入りタイヤのショルダー陸部およびミドル陸部を示す拡大図である。 図4は、図3に記載したショルダー陸部を示す拡大図である。 図5は、図4に記載したショルダー陸部の要部を示す拡大図である。 図6は、図4に記載したショルダー陸部の断面図である。 図7は、図3に記載したミドル陸部を示す拡大図である。 図8は、図7に記載したミドル陸部の断面図である。 図9は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図10は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤ1を示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤ1の一例として、トラック、バスなどの長距離輸送用の車両のドライブ軸に装着される重荷重用ラジアルタイヤを示している。
同図において、タイヤ子午線方向の断面は、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面として定義される。また、タイヤ赤道面CLは、JATMAに規定されたタイヤ断面幅の測定点の中点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面として定義される。また、タイヤ幅方向は、タイヤ回転軸に平行な方向として定義され、タイヤ径方向は、タイヤ回転軸に垂直な方向として定義される。
空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、スチールから成る1本あるいは複数本のビードワイヤを環状かつ多重に巻き廻して成り、ビード部に埋設されて左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、ローアーフィラー121およびアッパーフィラー122から成り、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造あるいは複数枚のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチールから成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上90[deg]以下のコード角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの長手方向の傾斜角として定義される。)を有する。
ベルト層14は、複数のベルトプライ141〜144を積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。これらのベルトプライ141〜144は、高角度ベルト141と、一対の交差ベルト142、143と、ベルトカバー144と含む。高角度ベルト141は、スチールから成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で45[deg]以上70[deg]以下のコード角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの長手方向の傾斜角として定義される。)を有する。一対の交差ベルト142、143は、スチールから成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上55[deg]以下のコード角度を有する。また、一対の交差ベルト142、143は、相互に異符号のコード角度を有し、ベルトコードの長手方向を相互に交差させて積層される(いわゆるクロスプライ構造を有する)。ベルトカバー144は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトカバーコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上55[deg]以下のコード角度を有する。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側からタイヤ幅方向外側に延在して、ビード部のリム嵌合面を構成する。
[トレッド面]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤ1のトレッド面を示す平面図である。同図は、オールシーズン用タイヤのトレッド面を示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端であり、寸法記号TWは、タイヤ接地幅である。
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の主溝21、22と、これらの主溝21、22に区画された複数の陸部31〜33とをトレッド面に備える。
主溝は、JATMAに規定されるウェアインジケータの表示義務を有する溝であり、6.0[mm]以上の溝幅および10[mm]以上の溝深さを有する。また、図2の構成では、主溝21、22の溝幅Wg1、Wg2(図2参照)が、タイヤ接地幅TWに対して3[%]以上4[%]以下の範囲にある。
溝幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、溝開口部における対向する溝壁間の距離として測定される。切欠部あるいは面取部を溝開口部に有する構成では、溝幅方向かつ溝深さ方向に平行な断面視におけるトレッド踏面の延長線と溝壁の延長線との交点を測定点として、溝幅が測定される。
溝深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面から溝底までの距離として測定される。また、部分的な底上部、サイプあるいは凹凸部を溝底に有する構成では、これらを除外して溝深さが測定される。
規定リムとは、JATMAに規定される「標準リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が規定内圧での最大負荷能力の88[%]である。
例えば、図2の構成では、4本の主溝21、22がタイヤ赤道面CLを境界として左右対称に配置されている。また、5列の陸部31〜33が、これらの主溝21、22により区画されている。また、1つの陸部33が、タイヤ赤道面CL上に配置されている。
しかし、これに限らず、3本あるいは5本の主溝が配置されても良い(図示省略)。また、陸部がタイヤ赤道面CLから外れた位置に配置されても良い(図示省略)。
ここで、タイヤ赤道面CLを境界とする1つの領域に配置された主溝21、22のうち、タイヤ幅方向の最も外側にある主溝21をショルダー主溝として定義し、他の主溝22をセンター主溝として定義する。
図2の構成では、タイヤ赤道面CLから左右のショルダー主溝21、21の溝中心線までの距離(図中の寸法記号省略)が、タイヤ接地幅TWの26[%]以上32[%]以下の範囲にある。また、タイヤ赤道面CLから左右のセンター主溝22、22の溝中心線までの距離が、タイヤ接地幅TWの8[%]以上12[%]以下の範囲にある。
溝中心線は、対向する溝壁間の距離の測定点の中点を接続した仮想線として定義される。
タイヤ接地幅TWは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大直線距離として測定される。
タイヤ接地端Tは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置として定義される。
また、ショルダー主溝21、21に区画されたタイヤ幅方向外側の陸部31、31をショルダー陸部として定義する。ショルダー陸部31、31は、タイヤ幅方向の最も外側の陸部であり、タイヤ接地端T上に位置する。また、ショルダー主溝21、21に区画されたタイヤ幅方向内側の陸部32、32をミドル陸部として定義する。ミドル陸部32、32は、ショルダー主溝21を挟んでショルダー陸部31に隣り合う。また、ミドル陸部32、32よりもタイヤ赤道面CL側にある陸部33をセンター陸部として定義する。センター陸部33は、タイヤ赤道面CL上に配置されても良いし(図2参照)、タイヤ赤道面CLから外れた位置に配置されても良い(図示省略)。
図2のような4本の主溝21、22を備える構成では、一対のショルダー陸部31、31と、一対のミドル陸部32、32と、単一のセンター陸部33とが定義される。また、例えば、5本以上の主溝を備える構成では、2列以上のセンター陸部が定義され(図示省略)、3本の主溝を備える構成では、ミドル陸部がセンター陸部を兼ねる(図示省略)。
また、図2において、陸部31、32、33の最大接地幅Wb1、Wb2、Wb3が、タイヤ接地幅TWに対して15[%]以上25[%]以下の範囲にある。また、図2の構成では、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1が最も広く、センター陸部33の最大接地幅Wb3が最も狭い。また、ミドル陸部32の最大接地幅Wb2が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.75≦Wb2/Wb1≦0.87の関係を有することが好ましく、0.79≦Wb2/Wb1≦0.83の関係を有することがより好ましい。
陸部の接地幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときの陸部と平板との接触面におけるタイヤ軸方向の直線距離として測定される。
[主溝のジグザグ形状]
図3は、図2に記載した空気入りタイヤのショルダー陸部31およびミドル陸部32を示す拡大図である。
図3に示すように、ショルダー主溝21およびセンター主溝22は、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有する。
また、ショルダー主溝21が、タイヤ周方向に対して相互に異なる方向に傾斜する長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有する。また、図3において、ジグザグ形状の長尺部の周方向長さLg1が、ジグザグ形状の波長λ1に対して0.60≦Lg1/λ1≦0.90の関係を有することが好ましく、0.65≦Lg1/λ1≦0.80の関係を有することがより好ましい。また、ジグザグ形状の振幅A1が、タイヤ接地幅TWに対して0.02≦A1/TW≦0.04の関係を有する。
ジグザグ形状の波長および振幅は、溝中心線を測定点として測定される。
また、センター主溝22が、タイヤ周方向に対して相互に異なる方向に傾斜する直線部を交互に接続して成るジグザグ形状を有する。また、図3において、これらの直線部の周方向長さLg2が、ジグザグ形状の波長λ2に対して0.30≦Lg2/λ2≦0.70の関係を有することが好ましく、0.35≦Lg2/λ2≦0.65の関係を有することがより好ましい。したがって、センター主溝22が略同一長さの直線部を接続して成るジグザグ形状を有することが好ましい。また、センター主溝22のジグザグ形状の振幅A2が、タイヤ接地幅TWに対して0.02≦A2/TW≦0.04の関係を有する。また、センター主溝22のジグザグ形状のピッチ数がショルダー主溝21のジグザグ形状のピッチ数に等しい。
また、図3の構成では、上記のように、ショルダー主溝21が長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有し、センター主溝22が略同一長さの直線部を接続して成るジグザグ形状を有している。かかる構成では、センター陸部33のタイヤ赤道面CL側のエッジ部の剛性が確保されて、センター陸部33の偏摩耗が抑制される。一方で、トレッド部ショルダー領域のトラクション性が向上して、タイヤのスノー性能が効果的に高まる。これにより、タイヤのスノー性能と耐偏摩耗性能とが両立する。
しかし、これに限らず、ショルダー主溝21およびセンター主溝22の双方が、長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有しても良いし(図示省略)、略同一長さの直線部を接続して成るジグザグ形状を有しても良い。
また、図2の構成では、ショルダー主溝21およびセンター主溝22のジグザグ形状が、タイヤ周方向視にてシースルー構造を有する。したがって、隣り合う陸部31、32;32、33のエッジ部が、タイヤ周方向視にて相互にオーバーラップしない。これにより、ショルダー主溝21およびセンター主溝22の溝容積が確保されて、タイヤのスノートラクション性能が向上する。
[ショルダー陸部]
図4は、図3に記載したショルダー陸部31を示す拡大図である。図5は、図4に記載したショルダー陸部31の要部を示す拡大図である。図6は、図4に記載したショルダー陸部31の断面図である。同図は、外側ショルダーラグ溝312、周方向細溝311および内側ショルダーラグ溝313に沿った溝深さ方向の断面図を示している。
図3に示すように、ショルダー陸部31は、単一の周方向細溝311と、複数の外側ショルダーラグ溝312と、複数の内側ショルダーラグ溝313と、複数の外側ショルダーブロック314と、複数の内側ショルダーブロック315とを備える。
周方向細溝311は、タイヤ周方向に延在して、ショルダー陸部31の全周に渡って連続的に延在する。また、タイヤ接地端Tから周方向細溝311の溝中心線までの距離D11が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.30≦D11/Wb1≦0.70の範囲にあり、0.40≦D11/Wb1≦0.60の範囲にあることが好ましい。したがって、周方向細溝311が、ショルダー陸部31のタイヤ幅方向の中央部に配置される。
また、図4において、周方向細溝311が、略同一長さの直線部を接続して成るジグザグ形状を有する。また、ジグザグ形状の直線部の周方向長さL11が、ジグザグ形状の波長λ11に対して0.30≦L11/λ11≦0.70の関係を有し、0.45≦L11/λ11≦0.65の関係を有することが好ましい。また、周方向細溝311のジグザグ形状の振幅(図中の寸法記号省略)が、ショルダー主溝21のジグザグ形状の振幅A1(図3参照)よりも小さい。また、周方向細溝311のジグザグ形状のピッチ数がショルダー主溝21のジグザグ形状のピッチ数に等しい(図3参照)。
また、図4において、周方向細溝311の最大溝幅W11が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.025≦W11/Wb1≦0.045の関係を有する。また、周方向細溝311の最大溝幅W11が、W11≦3.0[mm]の範囲にある。また、図6において、周方向細溝311の最大溝深さH11が、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対して0.55≦H11/Hg1≦0.75の関係を有する。これらにより、周方向細溝311がタイヤ接地時に適正に塞がり、ショルダー陸部31の剛性が確保される。
外側ショルダーラグ溝312は、図3に示すように、タイヤ幅方向に延在してタイヤ接地端Tおよび周方向細溝311を接続する。具体的には、外側ショルダーラグ溝312が、周方向細溝311のジグザグ形状のタイヤ接地端T側への最大振幅位置に接続する。また、複数の外側ショルダーラグ溝312が、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。
また、図5において、周方向細溝311に対する外側ショルダーラグ溝312の開口幅W12が、12.0[mm]≦W12≦18.0[mm]の範囲にある。また、図6において、外側ショルダーラグ溝312の最大溝深さH12が、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対して0.95≦H12/Hg1≦1.45の関係を有する。
内側ショルダーラグ溝313は、図3に示すように、タイヤ幅方向に延在してショルダー主溝21および周方向細溝311を接続する。具体的には、内側ショルダーラグ溝313が、周方向細溝311のジグザグ形状のタイヤ赤道面CL側への最大振幅位置と、ショルダー主溝21のジグザグ形状のタイヤ接地端T側への最大振幅位置とを接続する。また、複数の内側ショルダーラグ溝313が、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。また、周方向細溝311に対する内側ショルダーラグ溝313の開口位置が、周方向細溝311に対する外側ショルダーラグ溝312の開口位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。
また、図3において、タイヤ周方向に対する内側ショルダーラグ溝313の傾斜角θ13が、73[deg]≦θ13≦83[deg]の範囲にある。また、図3の構成では、内側ショルダーラグ溝313が、ショルダー主溝21のジグザグ形状の長尺部に対してタイヤ周方向で逆方向に傾斜している。
ラグ溝の傾斜角は、ラグ溝の左右の開口部の中心点を接続した仮想直線とタイヤ周方向に平行な直線とのなす角として測定される。
また、図5において、周方向細溝311に対する内側ショルダーラグ溝313の開口幅W13が、6.0[mm]≦W13≦10.0[mm]の範囲にある。また、周方向細溝311に対する外側ショルダーラグ溝312の開口幅W12が周方向細溝311に対する内側ショルダーラグ溝313の開口幅W13に対して1.50≦W12/W13≦2.20の関係を有することが好ましく、1.70≦W12/W13≦2.00の関係を有することがより好ましい。
また、図6において、内側ショルダーラグ溝313の最大溝深さH13が、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対して0.55≦H13/Hg1≦0.75の関係を有する。また、内側ショルダーラグ溝313の最大溝深さH13が、外側ショルダーラグ溝312の最大溝深さH12よりも浅い(H13<H12)。
また、図6に示すように、内側ショルダーラグ溝313が、周方向細溝311に対する接続部に形成された底上部3131を有する。また、ショルダー陸部31の踏面から内側ショルダーラグ溝313の底上部3131の頂面までの距離H13’が、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対して0.45≦H13’/Hg1≦0.65の関係を有する。また、底上部3131の距離H13’が、周方向細溝311の最大溝深さH11に対して0.65≦H13’/H11≦0.90の関係を有することが好ましい。したがって、底上部3131の距離H13’が周方向細溝311の最大溝深さH11よりも浅い位置にあることが好ましい。これにより、内側ショルダーブロック315(図4参照)の剛性が確保される。
なお、これに限らず、内側ショルダーラグ溝313の底上部3131が省略されても良い(図示省略)。
外側ショルダーブロック314は、図3に示すように、外側ショルダーラグ溝312および周方向細溝311に区画されて成る。また、複数の外側ショルダーブロック314が、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。
また、図4に示すように、外側ショルダーブロック314の周方向細溝311側のエッジ部が、周方向細溝311に沿ったジグザグ形状を有する。また、1つの外側ショルダーブロック314の周方向細溝311側のエッジ部が、2つの凸部と単一の凹部ともつW字形状を有する。また、外側ショルダーブロック314の最大接地長さL14が、周方向細溝311のジグザグ形状の波長λ11に対して1.45≦L14/λ11≦1.85の関係を有する。
また、外側ショルダーブロック314の最大接地長さL14と最大接地幅W14とが、2.70≦L14/W14≦3.30の関係を有する。また、外側ショルダーブロック314の最大接地幅W14が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.40≦W14/Wb1≦0.60の関係を有する。
ブロックの最大接地長さおよび最大接地幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのブロックと平板との接触面におけるタイヤ周方向およびタイヤ軸方向の最大直線距離としてそれぞれ測定される。
また、図4に示すように、外側ショルダーブロック314が、単一の周方向サイプ316を有する。周方向サイプ316は、タイヤ周方向に延在し、また、その両端部が外側ショルダーブロック314内で終端する。また、周方向サイプ316のタイヤ周方向への延在長さ(図中の寸法記号省略)が、外側ショルダーブロック314の最大周方向長さL14に対して40[%]以上50[%]以下の範囲にある。一方で、外側ショルダーブロック314が、周方向細溝311に接続するサイプあるいは細溝を備えていない。このため、外側ショルダーブロック314が、サイプあるいは細溝により分断されておらず、タイヤ周方向に連続した踏面を有する。
サイプは、トレッド踏面に形成された切り込みであり、1.5[mm]未満のサイプ幅および2.0[mm]以上のサイプ深さを有することにより、タイヤ接地時に閉塞する。
サイプ幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面におけるサイプの最大開口幅として測定される。
サイプ深さは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を充填した無負荷状態にて、トレッド踏面からサイプ底までの距離として測定される。また、サイプが部分的な底上部あるいは凹凸部あるいは凹凸部をサイプ底に有する構成では、これらを除外してサイプ深さが測定される。
内側ショルダーブロック315は、図3に示すように、内側ショルダーラグ溝313および周方向細溝311に区画されて成る。また、複数の内側ショルダーブロック315が、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。また、内側ショルダーブロック315のピッチ数が、周方向細溝311およびショルダー主溝21のジグザグ形状のピッチ数に等しい。
また、図4に示すように、内側ショルダーブロック315の左右のエッジ部が、周方向細溝311およびショルダー主溝21側に凸となるV字形状を有する。また、図4の構成では、上記のようにショルダー主溝21が長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有するため、内側ショルダーブロック315のショルダー主溝21側のエッジ部のV字形状が、タイヤ周方向に非対称な形状を有している。
また、3つの内側ショルダーブロック315が、1つの外側ショルダーブロック314に対して周方向細溝311を挟んで対向する。すなわち、1つの長尺な外側ショルダーブロック314が、3つの短尺な内側ショルダーブロック315に跨ってタイヤ周方向に延在する。また、図4に示すように、3つの内側ショルダーブロック315のうち、中央に配置された内側ショルダーブロック315が、その周方向細溝311側のエッジ部の全体にて外側ショルダーブロック314に対向する。また、タイヤ周方向の前後に配置された1つの内側ショルダーブロック315が、隣り合う2つの外側ショルダーブロック314に対して周方向細溝311を挟んで対向する。
上記の構成では、(1)ショルダー陸部31が、外側ショルダーラグ溝312および内側ショルダーラグ溝313を備えるので、ショルダー陸部31のエッジ成分が確保されて、タイヤのスノートラクション性能が向上する。また、(2)内側ショルダーブロック315が長尺な外側ショルダーブロック314に対して周方向細溝311を挟んで対向するので、タイヤ接地時にて周方向細溝311が閉塞したときに、内側ショルダーブロック315が高い周方向剛性をもつ外側ショルダーブロック314に支持される。これにより、内側ショルダーブロック315のヒール・アンド・トゥ摩耗が抑制される。これらにより、タイヤの耐偏摩耗性能とスノートラクション性能とが両立する。
また、図4において、内側ショルダーブロック315の最大接地長さL15と最大接地幅W15とが、1.10≦L15/W15≦1.50の関係を有し、また、1.20≦L15/W15≦1.40の関係を有することが好ましい。したがって、内側ショルダーブロック315がタイヤ周方向に長尺な形状を有する。また、内側ショルダーブロック315の最大接地幅W15が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.50≦W15/Wb1≦0.65の関係を有する。
また、図4において、内側ショルダーブロック315の最大接地長さL15が、外側ショルダーブロック314の最大接地長さL14に対して0.45≦L15/L14≦0.65の関係を有することが好ましく、0.50≦L15/L14≦0.60の関係を有することがより好ましい。また、内側ショルダーブロック315の総ピッチ数が、外側ショルダーブロック314のピッチ数の2倍である。
また、図4の構成では、上記のように1つの外側ショルダーブロック314に対向する3つの内側ショルダーブロック315のうち、タイヤ周方向の前後に配置された1つ内側ショルダーブロック315が、その周方向細溝311側のエッジ部の一部にて、隣り合う2つの外側ショルダーブロック314、314に対向する。
このとき、図5に示すように、1つの内側ショルダーブロック315と隣り合う2つの外側ショルダーブロック314とのタイヤ周方向における対向長さLd1、Ld2の和が、内側ショルダーブロック315の周方向長さL15に対して0.40≦(Ld1+Ld2)/L15の関係を有することが好ましく、0.50≦(Ld1+Ld2)/L15の関係を有することがより好ましい。また、対向長さLd1、Ld2のそれぞれが、内側ショルダーブロック315の周方向長さL15の15[%]以上であることが好ましい。これにより、タイヤ接地時にて周方向細溝311が閉塞したときに、内側ショルダーブロック315が2つの外側ショルダーブロック314に適正に支持される。比(Ld1+Ld2)/L15の上限は、特に限定がないが、周方向細溝311に対する外側ショルダーラグ溝312の開口幅W12(図5参照)により制約を受ける。
また、図5において、外側ショルダーブロック314と内側ショルダーブロック315とのタイヤ幅方向におけるオーバーラップ量Ddが、内側ショルダーブロック315の最大接地幅W15に対して0.050≦Dd/W15の関係を有することが好ましく、0.070≦Dd/W15の関係を有することがより好ましい。これにより、タイヤ接地時にて周方向細溝311が閉塞したときにおける、内側ショルダーブロック315と外側ショルダーブロック314との接触幅が確保される。上記比Dd/W15の上限は、特に限定がないが、周方向細溝311の振幅の上限により制約を受ける。
また、図4に示すように、内側ショルダーブロック315が、単一のオープンサイプ317と、一対のクローズドサイプ318、318とを有する。オープンサイプ317は、内側ショルダーブロック315の中央部に配置されて、内側ショルダーブロック315をタイヤ幅方向に貫通する。一対のクローズドサイプ318、318は、オープンサイプ317に区画された内側ショルダーブロック315のタイヤ周方向の前後の領域にそれぞれ配置され、また、その両端部が内側ショルダーブロック315内で終端する。
なお、図4の構成では、すべてのサイプ316〜318が、波状形状を有している。しかし、これに限らず、一部あるいは全部のサイプがストレート形状を有しても良い(図示省略)。
[ミドル陸部]
図7は、図3に記載したミドル陸部32を示す拡大図である。図8は、図7に記載したミドル陸部32の断面図である。同図は、ミドルラグ溝321Aに沿った溝深さ方向の断面図を示している。
図3に示すように、ミドル陸部32は、第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bと、複数のミドルブロック322とを備える。
第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bは、タイヤ幅方向に延在してミドル陸部を貫通し、ショルダー主溝21およびセンター主溝22に開口する。第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bは、相互に異なる溝深さを有する。具体的に、第一ミドルラグ溝321Aの最大溝深さH21Aが、第二ミドルラグ溝321Bの最大溝深さH21Bよりも深い(H21B<H21A。図8参照)。この点については、後述する。
また、図3に示すように、第一ミドルラグ溝321Aのタイヤ接地端T側の開口部が、タイヤ幅方向視にてショルダー陸部31の外側ショルダーラグ溝312に対してオフセットした位置に配置される。また、第二ミドルラグ溝321Bのタイヤ接地端T側の開口部が、タイヤ幅方向視にてショルダー陸部31の外側ショルダーラグ溝312に対してオーバーラップする位置に配置される。図3の構成では、第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bが、タイヤ周方向に交互に配列されている。
また、タイヤ周方向に対する第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bの傾斜角θ21が、50[deg]≦θ21≦80[deg]の範囲にある。また、図3の構成では、第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bが、ショルダー主溝21のジグザグ形状の長尺部に対してタイヤ周方向で同一方向に傾斜し、また、ショルダー陸部31の内側ショルダーラグ溝313に対して逆方向に傾斜している。
図7に示すように、第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bが、タイヤ赤道面CL側に向かって溝幅を狭めた形状を有する。図7の構成では、ミドルラグ溝321A、321Bの一方(図中下方)のエッジ部がステップ形状を有し、他方(図中上方)のエッジ部が直線状あるいは円弧形状を有することにより、ミドルラグ溝321A、321Bが、タイヤ赤道面CL側に向かって溝幅を狭めた形状を有している。
また、図7において、ミドルラグ溝321A、321Bのタイヤ赤道面CL側(すなわちセンター主溝22側)の開口幅W21cとタイヤ接地端T側(すなわちショルダー主溝21側)の開口幅W21tとが、0.30≦W21c/W21t≦0.60の関係を有し、また、0.40≦W21c/W21t≦0.50の関係を有することが好ましい。また、タイヤ赤道面CL側の開口幅W21cが、W21c≦4.0[mm]の範囲にあることが好ましい。
また、図7において、ミドルラグ溝321A、321Bの幅狭部(図中の符号省略)のタイヤ幅方向への延在長さD21’が、ミドル陸部32の最大接地幅Wb2に対して0.20≦D21’/Wb2≦0.40の関係を有する。ミドルラグ溝321A、321Bの幅狭部は、タイヤ接地端T側の開口幅W21tに対して60[%]以下の溝幅を有する連続した領域として定義される。図7の構成では、ミドルラグ溝321A、321Bのタイヤ赤道面CL側の開口部からステップ形状の立ち上げ部までの領域が、上記幅狭部となる。
また、図8において、上記のように、第一ミドルラグ溝321Aの最大溝深さH21Aが、第二ミドルラグ溝321Bの最大溝深さH21Bよりも深い(H21B<H21A)。したがって、タイヤ周方向においてショルダー陸部31の外側ショルダーブロック314の中央部に位置する第一ミドルラグ溝321Aが、相対的に深い溝深さを有する。具体的には、第二ミドルラグ溝321Bの最大溝深さH21Bが、第一ミドルラグ溝321Aの最大溝深さH21Aに対して0.60≦H21B/H21A≦0.80の関係を有する。これにより、ショルダー陸部31およびミドル陸部32における周方向剛性が均一化される。
また、第一ミドルラグ溝321Aの最大溝深さH21Aが、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対してH21A/Hg1≦1.00の関係を有し、H21A/Hg1≦0.90の関係を有することが好ましい。また、第二ミドルラグ溝321Bの最大溝深さH21Bが、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対して0.80≦H21B/Hg1の関係し、0.70≦H21B/Hg1の関係を有することが好ましい。比H21A/Hg1の下限および比H21B/Hg1の上限は、特に限定がないが、上記比H21B/H21Aの範囲により制約を受ける。
また、図8に示すように、ミドルラグ溝321A、321Bが、タイヤ赤道面CL側の溝底部に底上部3211を有する。具体的には、底上部3211が上記した幅狭部に形成される。また、ミドル陸部32の踏面からミドルラグ溝321A、321Bの底上部3211の頂面までの距離H21’が、ショルダー主溝21の最大溝深さHg1に対して0.50≦H21’/Hg1≦0.65の関係を有する。
ミドルブロック322は、図3に示すように、隣り合う第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bに区画されて成る。また、複数のミドルブロック322が、タイヤ周方向に所定間隔で配列される。また、ミドルブロック322のピッチ数が、ショルダー陸部31の内側ショルダーブロック315のピッチ数に等しい。
また、図7に示すように、ミドルブロック322の左右のエッジ部が、ショルダー主溝21側およびセンター主溝22側に凸となるV字形状を有する。また、図7の構成では、上記のようにショルダー主溝21が長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有するため、ミドルブロック322のショルダー主溝21側のエッジ部のV字形状が、タイヤ周方向に非対称な形状を有している。
また、図7において、ミドルブロック322の最大接地長さL22と最大接地幅W22とが、1.10≦L22/Wb2≦1.40の関係を有し、また、1.20≦L22/Wb2≦1.30の関係を有することが好ましい。したがって、ミドルブロック322がタイヤ幅方向に長尺な形状を有する。
また、図7に示すように、ミドルブロック322が、単一のオープンサイプ323と、一対のクローズドサイプ324、324とを有する。オープンサイプ323は、ミドルブロック322の中央部に配置されて、ミドルブロック322をタイヤ幅方向に貫通する。一対のクローズドサイプ324、324は、オープンサイプ323に区画されたミドルブロック322のタイヤ周方向の前後の領域にそれぞれ配置され、また、その両端部がミドルブロック322内で終端する。
[センター陸部]
図2に示すように、センター陸部33は、センター陸部33をタイヤ幅方向に貫通する複数のセンターラグ溝331と、これらのセンターラグ溝331に区画されて成る複数のセンターブロック332とを備える。また、タイヤ周方向に対するセンターラグ溝331の傾斜方向が、ミドル陸部32のミドルラグ溝321A、321Bの傾斜方向に対して逆方向である。また、センター主溝22に対するセンターラグ溝331の開口位置が、ミドル陸部32のミドルラグ溝321A、321Bの開口位置に対してタイヤ周方向にオフセットして配置される。また、図2の構成では、センターラグ溝331がステップ状の屈曲形状を有している。
また、図2に示すように、センターブロック332が、単一のオープンサイプと、一対のクローズドサイプとを有する(図中の符号省略)。オープンサイプは、センターブロック332の中央部に配置されて、センターブロック332をタイヤ幅方向に貫通する。一対のクローズドサイプは、オープンサイプに区画されたセンターブロック332のタイヤ周方向の前後の領域にそれぞれ配置され、また、その両端部がセンターブロック332内で終端する。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の主溝21、22と、主溝21、22のうちタイヤ幅方向の最外側にあるショルダー主溝21に区画されて成るショルダー陸部31およびミドル陸部32とを備える(図2参照)。また、ショルダー陸部31が、タイヤ周方向に延在する単一の周方向細溝311と、タイヤ接地端Tおよび周方向細溝311を接続する複数の外側ショルダーラグ溝312と、ショルダー主溝21および周方向細溝311を接続する複数の内側ショルダーラグ溝313と、外側ショルダーラグ溝312および周方向細溝311に区画されて成る複数の外側ショルダーブロック314と、内側ショルダーラグ溝313および周方向細溝311に区画され成る複数の内側ショルダーブロック315とを備える(図3参照)。また、1つの外側ショルダーブロック314が、3つの内側ショルダーブロック315に対して周方向細溝311を挟んで対向する。また、内側ショルダーブロック315の最大接地長さL15と最大接地幅W15とが、1.10≦L15/W15≦1.50の関係を有する(図4参照)。
上記の構成では、(1)ショルダー陸部31が、外側ショルダーラグ溝312および内側ショルダーラグ溝313を備えるので、ショルダー陸部31のエッジ成分が確保されて、タイヤのスノートラクション性能が向上する。また、(2)内側ショルダーブロック315が長尺な外側ショルダーブロック314に対して周方向細溝311を挟んで対向するので、タイヤ接地時にて周方向細溝311が閉塞したときに、内側ショルダーブロック315が高い周方向剛性をもつ外側ショルダーブロック314に支持される。これにより、内側ショルダーブロック315が補強されて、内側ショルダーブロック315のヒール・アンド・トゥ摩耗(ブロックエッジ部の偏摩耗およびサイプを起点とした偏摩耗を含む。)が抑制される。また、(3)内側ショルダーブロック315がタイヤ周方向に長尺な形状を有するので、内側ショルダーブロック315の周方向剛性が確保されて、内側ショルダーブロック315のヒール・アンド・トゥ摩耗が抑制される。これらにより、タイヤの耐偏摩耗性能とスノートラクション性能とが両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、周方向細溝311の最大溝幅W11が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.025≦W11/Wb1≦0.045の関係を有する(図4参照)。上記下限により、周方向細溝311の溝としての機能が確保される利点がある。上記上限により、タイヤ接地時に周方向細溝311が適正に閉塞して、外側ショルダーブロック314による内側ショルダーブロック315の補強作用が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、周方向細溝311が、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有する(図4参照)。かかる構成では、タイヤ接地時に周方向細溝311が閉塞したときにタイヤ周方向への噛み合い力が生じるため、外側ショルダーブロック314による内側ショルダーブロック315の補強作用が効果的に高まる利点がある。また、周方向細溝311のタイヤ周方向へのエッジ成分が増加して、タイヤのスノートラクション性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、周方向細溝311に対する外側ショルダーラグ溝312の開口幅W12が、周方向細溝311に対する内側ショルダーラグ溝313の開口幅W13に対して1.50≦W12/W13≦2.20の関係を有する(図5参照)。これにより、周方向細溝311に区画されたタイヤ接地端T側の領域の溝開口幅の総和とタイヤ赤道面CL側の溝開口幅の総和とがバランスする利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、内側ショルダーラグ溝313が、周方向細溝311に対する接続部に形成された底上部3131を有する(図6参照)。これにより、内側ショルダーブロック315の剛性が補強される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、外側ショルダーブロック314が、サイプあるいは溝により分断されていない、タイヤ周方向に連続した踏面を有する。これにより、外側ショルダーブロック314の剛性が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、外側ショルダーブロック314の最大接地長さL14と最大接地幅W14とが、2.70≦L14/W14≦3.30の関係を有する(図4参照)。これにより、外側ショルダーブロック314の周方向剛性が確保されて、外側ショルダーブロック314のヒール・アンド・トゥ摩耗が抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、3つの内側ショルダーブロック315のうちタイヤ周方向の前後に配置された1つの内側ショルダーブロック315と隣り合う2つの外側ショルダーブロック314とのタイヤ周方向における対向長さLd1、Ld2の和が、内側ショルダーブロック315の周方向長さL15に対して0.40≦(Ld1+Ld2)/L15の関係を有する(図5参照)。これにより、タイヤ接地時にて、1つの内側ショルダーブロック315が隣り合う2つの外側ショルダーブロック314により適正に支持される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、外側ショルダーブロック314と内側ショルダーブロック315とのタイヤ幅方向におけるオーバーラップ量Ddが、内側ショルダーブロック315の最大接地幅W15に対して0.050≦Dd/W15の関係を有する(図5参照)。これにより、タイヤ接地時にて周方向細溝311が閉塞したときにおける、内側ショルダーブロック315と外側ショルダーブロック314との接触幅が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ミドル陸部32が、ミドル陸部32をタイヤ幅方向に貫通する複数のミドルラグ溝321A、321Bを備える(図2参照)。また、ミドルラグ溝321A、321Bが、タイヤ赤道面CL側に向かって溝幅を狭めた形状を有する(図7参照)。また、ミドルラグ溝321A、321Bのタイヤ赤道面CL側の開口幅W21cとタイヤ接地端T側の開口幅W21tとが、0.30≦W21c/W21t≦0.60の関係を有する。かかる構成では、ミドルラグ溝321A、321Bがタイヤ赤道面CL側に向かって溝幅を狭めた形状を有することにより、ミドルブロック322の剛性が適切に補強されて、ミドルブロック322ヒール・アンド・トゥ摩耗が抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ミドル陸部32が、ミドル陸部32をタイヤ幅方向に貫通する第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bを備える(図3参照)。また、第一ミドルラグ溝321Aのタイヤ接地端T側の開口部が、タイヤ幅方向視にてショルダー陸部31の外側ショルダーラグ溝312に対してオフセットした位置に配置される。また、第二ミドルラグ溝321Bのタイヤ接地端T側の開口部が、タイヤ幅方向視にてショルダー陸部31の外側ショルダーラグ溝312に対してオーバーラップする位置に配置される。また、第一ミドルラグ溝321Aの最大溝深さH21Aが、第二ミドルラグ溝321Bの最大溝深さH21Bに対してH21B<H21Aの関係を有する。かかる構成では、第一および第二のミドルラグ溝321A、321Bの最大溝深さH21A、H21Bが幅広な外側ショルダーラグ溝312との位置関係に応じて適正化されるので、ショルダー陸部31およびミドル陸部32における周方向剛性が均一化される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ミドル陸部32の最大接地幅Wb2が、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1に対して0.75≦Wb2/Wb1≦0.87の関係を有する(図2参照)。これにより、ミドル陸部32の最大接地幅Wb2が適正化される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ショルダー主溝21が、長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有する。また、長尺部の周方向長さLg1が、ジグザグ形状の波長λ1に対して0.60≦Lg1/λ1≦0.90の関係を有する(図3参照)。これにより、トレンド部ショルダー領域の剛性が増加して、陸部31、32のヒール・アンド・トゥ摩耗が抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、センター主溝22が、略同一長さの直線部を接続して成るジグザグ形状を有すると共に、直線部の周方向長さLg2が、ジグザグ形状の波長λ2に対して0.30≦Lg2/λ2≦0.70の関係を有する(図3参照)。これにより、トレッド部ショルダー領域のトラクション性が向上して、タイヤのスノートラクション性能が効果的に高まる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、車両のドライブ軸に装着される重荷重用タイヤである(図1参照)。かかる重荷重用タイヤを適用対象とすることにより、タイヤのスノートラクション性能および耐偏摩耗性能の向上作用を効果的に得られる利点がある。
図9および図10は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)スノートラクション性能および(2)耐偏摩耗性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ11R22.5の試験タイヤがJATMAの規定リムに組み付けられ、この試験タイヤにJATMAの規定内圧および規定荷重が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である2−D(駆動二輪)のトラクターヘッドのドライブ軸に装着される。
(1)スノートラクション性能に関する評価は、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、走行速度が5[km/h]から20[km/h]に至るまでの加速タイムが測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
(2)耐偏摩耗性能に関する評価は、試験車両が所定の舗装路を3万[km]走行した後に、ヒール・アンド・トゥ摩耗量が測定されて指数評価が行われる。この評価は従来例を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
実施例の試験タイヤは、図1および図2の構成を備え、ジグザグ形状を有する4本の主溝21、22と、これらの主溝21、22に区画された5列の陸部31〜33とを備える。また、主溝21、22の最大溝幅Wg1、Wg2が8.3[mm]であり、主溝21、22の最大溝深さHg1、Hg2が21.4[mm]である。また、タイヤ接地幅TWが240[mm]であり、ショルダー陸部31の最大接地幅Wb1が53.5[mm]である。また、ショルダー主溝21のジグザグ形状の波長λ1が45.1[mm]である。また、第一ミドルラグ溝321Aの最大溝深さH21Aが12.4[mm]である。
従来例の試験タイヤは、図1および図2の構成において、ショルダー陸部31の内側ショルダーブロック315がタイヤ幅方向に長尺な構造を有する。
試験結果が示すように、実施例の試験タイヤでは、タイヤのスノートラクション性能および耐偏摩耗性能が両立することが分かる。
1 空気入りタイヤ;11 ビードコア;12 ビードフィラー;121 ローアーフィラー;122 アッパーフィラー;13 カーカス層;14 ベルト層;141 高角度ベルト;142、143 交差ベルト;144 ベルトカバー;15 トレッドゴム;16 サイドウォールゴム;17 リムクッションゴム;21 ショルダー主溝;22 センター主溝;31 ショルダー陸部;311 周方向細溝;312 外側ショルダーラグ溝;3121 底上部;313 内側ショルダーラグ溝;3131 底上部;314 外側ショルダーブロック;315 内側ショルダーブロック;316〜318 サイプ;32 ミドル陸部;33 センター陸部;321A 第一ミドルラグ溝;321B 第二ミドルラグ溝;3211 底上部;322 ミドルブロック;323、324 サイプ;331 センターラグ溝;332 センターブロック

Claims (15)

  1. タイヤ周方向に延在する複数の主溝と、前記主溝のうちタイヤ幅方向の最外側にあるショルダー主溝に区画されて成るショルダー陸部およびミドル陸部とを備える空気入りタイヤであって、
    前記ショルダー陸部が、タイヤ周方向に延在する単一の周方向細溝と、タイヤ接地端および前記周方向細溝を接続する複数の外側ショルダーラグ溝と、前記ショルダー主溝および前記周方向細溝を接続する複数の内側ショルダーラグ溝と、前記外側ショルダーラグ溝および前記周方向細溝に区画されて成る複数の外側ショルダーブロックと、前記内側ショルダーラグ溝および前記周方向細溝に区画され成る複数の内側ショルダーブロックとを備え、
    1つの前記外側ショルダーブロックが、3つの前記内側ショルダーブロックに対して前記周方向細溝を挟んで対向し、且つ、
    前記内側ショルダーブロックの最大接地長さL15と最大接地幅W15とが、1.10≦L15/W15≦1.50の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記周方向細溝の最大溝幅W11が、前記ショルダー陸部の最大接地幅Wb1に対して0.025≦W11/Wb1≦0.045の関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記周方向細溝が、タイヤ幅方向に振幅をもつジグザグ形状を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記周方向細溝に対する前記外側ショルダーラグ溝の開口幅W12が、前記周方向細溝に対する前記内側ショルダーラグ溝の開口幅W13に対して1.50≦W12/W13≦2.20の関係を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記内側ショルダーラグ溝が、前記周方向細溝に対する接続部に形成された底上部を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記外側ショルダーブロックが、サイプあるいは溝により分断されていない、タイヤ周方向に連続した踏面を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記外側ショルダーブロックの最大接地長さL14と最大接地幅W14とが、2.70≦L14/W14≦3.30の関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記3つの内側ショルダーブロックのうちタイヤ周方向の前後に配置された1つの内側ショルダーブロックと隣り合う2つの前記外側ショルダーブロックとのタイヤ周方向における対向長さLd1、Ld2の和が、前記内側ショルダーブロックの周方向長さL15に対して0.40≦(Ld1+Ld2)/L15の関係を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記外側ショルダーブロックと前記内側ショルダーブロックとのタイヤ幅方向におけるオーバーラップ量Ddが、前記内側ショルダーブロックの最大接地幅W15に対して0.050≦Dd/W15の関係を有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記ミドル陸部が、前記ミドル陸部をタイヤ幅方向に貫通する複数のミドルラグ溝を備え、
    前記ミドルラグ溝が、タイヤ赤道面側に向かって溝幅を狭めた形状を有し、
    前記ミドルラグ溝のタイヤ赤道面側の開口幅W21cとタイヤ接地端側の開口幅W21tとが、0.30≦W21c/W21t≦0.60の関係を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記ミドル陸部が、前記ミドル陸部をタイヤ幅方向に貫通する第一および第二のミドルラグ溝を備え、
    前記第一ミドルラグ溝のタイヤ接地端側の開口部が、タイヤ幅方向視にて前記ショルダー陸部の前記外側ショルダーラグ溝に対してオフセットした位置に配置され、
    前記第二ミドルラグ溝のタイヤ接地端側の開口部が、タイヤ幅方向視にて前記ショルダー陸部の前記外側ショルダーラグ溝に対してオーバーラップする位置に配置され、且つ、
    前記第一ミドルラグ溝の最大溝深さH21Aが、前記第二ミドルラグ溝の最大溝深さH21Bに対してH21B<H21Aの関係を有する請求項1〜10に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記ミドル陸部の最大接地幅Wb2が、前記ショルダー陸部の最大接地幅Wb1に対して0.75≦Wb2/Wb1≦0.87の関係を有する請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記ショルダー主溝が、長尺部と短尺部とを交互に接続して成るジグザグ形状を有すると共に、前記長尺部の周方向長さLg1が、前記ジグザグ形状の波長λ1に対して0.60≦Lg1/λ1≦0.90の関係を有する請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記センター主溝が、略同一長さの直線部を接続して成るジグザグ形状を有すると共に、前記直線部の周方向長さLg2が、前記ジグザグ形状の波長λ2に対して0.30≦Lg2/λ2≦0.70の関係を有する請求項13に記載の空気入りタイヤ。
  15. 車両のドライブ軸に装着される重荷重用タイヤである請求項1〜14のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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