JP2021048346A - 電磁波シールド材 - Google Patents

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Tatsushi Matsumura
龍志 松村
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Yusuke Suenaga
祐介 末永
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Abstract

【課題】優れた電磁波シールド性を有する電磁波シールド材を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明の電磁波シールド材は、熱可塑性樹脂及び導電性充填材を含有する樹脂組成物からなる発泡成形体であって、周波数1GHz及び15GHzにおける電磁波シールド性が20dB以上であることを特徴とし、発泡成形体中では発泡によって形成された多数の気泡が存在しており、多数の気泡の存在によって多くの導電性充填材を接触させて発泡成形体中に導通パスを形成することができ、発泡成形体に優れた導電性及び電磁波シールド性を付与することができる。このような発泡成形体を用いることにより、電磁波シールド性に優れた電磁波シールド材を提供することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた電磁波シールド性を発揮することが可能な電磁波シールド材に関する。
近年、通信機器、ディスプレイ及び医療機器などの電子機器が急速に普及している。また、自動車などの車両には、エンジン制御系、操舵系、駆動系、空調系などの電子制御ユニット(ECU)など多数の電子機器が搭載されている。これらの電子機器からは電磁波が放射されるが、電磁波は精密機器の誤作動を引き起こす可能性がある。そのため、電子機器の筐体には電磁波シールド性が必要とされ、電磁波シールド材の開発が進められている。
このような電磁波シールド材として、例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂、炭素繊維、及び金属繊維を含有する導電性樹脂組成物の成形体が開示されている。
特開2006−045330号公報
しかしながら、従来の電磁波シールド材では、優れた電磁波シールド性が得られておらず、更なる改善が望まれている。したがって、本発明は、優れた電磁波シールド性を有する電磁波シールド材を提供することを目的とする。
本発明の電磁波シールド材は、熱可塑性樹脂及び導電性充填材を含有する樹脂組成物からなる発泡成形体であって、周波数1GHz及び15GHzにおける電磁波シールド性が20dB以上であることを特徴とする。
発泡成形体中では発泡によって形成された多数の気泡(発泡セル)が存在しており、多数の気泡の存在によって発泡体中で導電性充填材が存在できる範囲が制限されるが、これにより多くの導電性充填材同士を接触させて発泡成形体中に導通パスを形成することができ、発泡成形体に優れた導電性、電磁波シールド性を付与することができる。さらに、発泡成形体は発泡によって軽量性にも優れる。したがって、このような発泡成形体を用いることにより、電磁波シールド性及び軽量性に優れた電磁波シールド材を提供することができる。
(熱可塑性樹脂)
発泡成形体は、これを構成する樹脂成分として熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びABS樹脂などが挙げられるが、オレフィン系樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられても二種以上を併用してもよい。また、熱可塑性樹脂は、不飽和カルボン酸又はその誘導体などの酸によって変性されていない未変性熱可塑性樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂中におけるオレフィン系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。
オレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂などが挙げられる。なかでも、プロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、及びプロピレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。これらのプロピレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体において、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、プロピレン以外の成分であって、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、及び1−デセンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体及びランダム共重合体の何れであってもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるプロピレン成分の含有量は、50質量%以上が好ましく、70〜99質量%がより好ましく、80〜99質量%が特に好ましい。プロピレン成分の含有量を50質量%以上とすることにより、発泡成形体中で導電性充填材を高分散させ易くなり、発泡成形体中で多くの導電性充填材を接触させることが可能となる。
プロピレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、1〜150g/10分が好ましく、1〜100g/10分がより好ましく、20〜100g/10分が特に好ましい。プロピレン系樹脂のMFRが上記範囲内であると、発泡成形体中で導電性充填材を高分散させ易くなり、発泡成形体中で多くの導電性充填材を接触させることが可能となる。また、プロピレン系樹脂のMFRが上記範囲内であると、発泡成形体の発泡成形時に樹脂組成物に導電性充填材を高い含有量で配合しても樹脂組成物の優れた流動性や成形性を確保することもできる。
なお、プロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210(1999)に準拠して、190℃、荷重21.18Nの条件下で測定された値をいう。
(オレフィン系熱可塑性エラストマー)
発泡成形体は、樹脂成分として熱可塑性樹脂以外にオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有していることが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーによれば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させることができる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば(1)ハードセグメントにポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系樹脂を用い、ソフトセグメントにエチレン−プロピレン系ゴム(例えば、EPMやEPDM)などを用い、オレフィン系樹脂及びエチレン−プロピレン系ゴムを混合して得られるエラストマー、並びに(2)エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーなどが挙げられる。なかでも、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーにおけるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、及び1−ドデセンなどが挙げられる。α−オレフィンは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、1−オクテンがより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー中におけるα−オレフィン成分の含有量は、5〜45質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。α−オレフィン成分の含有量を上記範囲内とすることにより、発泡成形体の優れた耐熱性や剛性を確保することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのメルトフローレイト(MFR)は、1〜200g/10分が好ましく、10〜100g/10分がより好ましい。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのMFRは、JIS K7210(1999)に準拠して、190℃、荷重21.18Nの条件下で測定された値をいう。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーは、エチレンとα−オレフィンとを触媒の存在下にて重合させることによって製造することができる。触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒、及びメタロセン触媒などが挙げられるが、メタロセン触媒が好ましい。メタロセン触媒としては、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒などが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、特表平7−500622号公報に記載された方法などを用いることができる。
発泡成形体中におけるオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、30〜100質量部がより好ましく、40〜80質量部が特に好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーの含有量が上記範囲内であると、耐熱性及び剛性を確保しつつ優れた耐衝撃性を発泡成形体に付与することができる。
(酸変性オレフィン系樹脂)
発泡成形体は、樹脂成分として熱可塑性樹脂以外に酸変性オレフィン系樹脂を含んでいることが好ましい。酸変性オレフィン系樹脂は導電性充填材及び熱可塑性樹脂の双方に作用することができ、これにより発泡成形体の剛性を向上させることができる。
酸変性オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性したオレフィン系樹脂である。酸変性オレフィン系樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
酸変性オレフィン系樹脂に用いられるオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂などが挙げられる。なかでも、プロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を50質量%以上含有していれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも、酸変性プロピレン単独重合体が好ましい。
酸変性オレフィン系樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、及びメタクリル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、及び無水イタコン酸などの酸無水物、並びにメタクリル酸ナトリウムなどの不飽和カルボン酸の金属塩が挙げられる。
酸変性オレフィン系樹脂において、オレフィン系樹脂の主鎖の片末端又は両末端が不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性されていればよいが、オレフィン系樹脂の主鎖の片末端のみが不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性されていることが好ましい。
オレフィン系樹脂の主鎖の少なくとも片末端を酸変性する方法としては、公知の方法を用いればよい。例えば、少なくとも主鎖の片末端に二重結合を有するオレフィン系樹脂と、不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、必要に応じて有機過酸化物の存在下で、加熱することにより反応させる方法などが用いられる。
酸変性オレフィン系樹脂中における不飽和カルボン酸成分又はその誘導体成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
発泡成形体中における酸変性オレフィン系樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、5〜40質量部が好ましいが、10〜35質量部がより好ましい。酸変性オレフィン系樹脂の含有量が少な過ぎると、発泡成形体の剛性を十分に向上できないことがある。また、酸変性オレフィン系樹脂の含有量が多過ぎると、発泡成形体の機械的強度が低下することがある。
(導電性充填材)
発泡成形体は導電性充填材を含む。導電性充填材は、導電性粒子及び導電性繊維を含む。導電性粒子としては、ニッケル、銅、金、銀、鉄、クロムなどの金属粒子、カーボンブラック粒子、黒鉛粒子、カーボンナノチューブ粒子、導電性セラミック粒子などが挙げられる。カーボンブラック粒子としては、ファーネスブラック粒子、アセチレンブラック粒子、チャンネルブラック粒子、サーマルブラック粒子、及びケッチェンブラック粒子などが挙げられ、ケッチェンブラック粒子が好ましい。これらの導電性粒子によれば、発泡成形体の熱伝導性をも向上させることもできる。なかでも、高い導電性、電磁波シールド性及び熱伝動性を発泡成形体に付与できることから、カーボンブラック粒子、黒鉛粒子及びカーボンナノチューブ粒子が好ましく、カーボンブラック粒子及び黒鉛粒子がより好ましく、ケッチェンブラック粒子及び黒鉛粒子が特に好ましい。なお、導電性粒子は、単独で用いられても二種以上を併用してもよい。
導電性粒子の形状としては、特に制限されず、粒状、鱗片状、板状、及び樹枝状などが挙げられる。なかでも、発泡成形体中で多くの導電性粒子同士の接触が可能となることから、鱗片状、板状が好ましい。
導電性粒子の平均粒子径は、0.01〜500μmが好ましく、0.01〜400μmがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内である導電性粒子は、発泡成形体中で高分散させることができ、多くの導電性粒子同士の接触が可能となる。
導電性粒子としてカーボンブラック粒子を用いる場合、カーボンブラック粒子の平均粒子径は、0.01〜1μmが好ましく、0.02〜0.1μmがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内であるカーボンブラック粒子は、発泡成形体中で高分散させて気泡のセル壁に収まることができ、これによってより多くの導電性粒子同士を接触させ易くすることができる。
導電性粒子として黒鉛粒子を用いる場合、黒鉛粒子の平均粒子径は大きい方が高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド材を得ることができる。したがって、黒鉛粒子の平均粒子径は、50〜500μmが好ましく、75〜400μmがより好ましく、80〜200μmが特に好ましい。
また、導電性粒子として黒鉛粒子を用いる場合、比較的小さな平均粒子径を有する黒鉛粒子を用いてもよく、このような場合には平均粒子径が異なる黒鉛粒子を組合せて用いてもよい。平均粒子径が異なる黒鉛粒子の組合せとしては、平均粒子径が40〜80μmである黒鉛粒子(G1)と、平均粒子径が15〜35μmである黒鉛粒子(G2)と、平均粒子径が1〜10μmである黒鉛粒子(G3)との組合せが好ましい。このような組合せによれば、大きな平均粒子径を有する黒鉛粒子(G1)間の空隙を、小さな平均粒子径を有する黒鉛粒子(G2)及び(G3)によって充填することができ、多くの導電性粒子同士の接触による導電性及び電磁波シールド性の向上が図れる。
黒鉛粒子(G1)の平均粒子径は、40〜80μmが好ましく、45〜75μmがより好ましい。黒鉛粒子(G2)の平均粒子径は、15〜35μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。そして、黒鉛粒子(G3)の平均粒子径は、1〜10μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。
なお、導電性粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分析測定装置を用いて測定した値とする。導電性粒子の平均粒子径の測定は、例えば、次の通りに行うことができる。先ず、導電性粒子をその濃度が2質量%となるようにエタノール水溶液(エタノール50質量%含有)に投入した後、超音波ホモジナイザーを用いて1kwの出力で超音波を30分間照射し、これにより懸濁液を得る。次に、懸濁液についてレーザー回折・散乱式の粒度分析測定装置(例えば、日機装株式会社製 製品名「マイクロトラックMT3300」など)により導電性粒子の体積粒度分布を測定し、この体積粒度分布の累積50%の値を導電性充粒子の平均粒子径として算出することができる。
(導電性繊維)
発泡成形体中に導電性繊維を含有していると、導電性繊維によって、発泡成形体中で導電性充填材を配列させ易くなり、これによってより多くの導電性充填材同士を接触させることができる。また、導電性繊維によれば発泡成形体の剛性を向上させることもできる。
導電性繊維としては、アルミニウム、ステンレス、銀、金、銅などの金属繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維などが挙げられる。導電性繊維は、単独で用いられても、二種以上を併用してもよい。
導電性繊維によれば、発泡成形体中で導電性充填材を配列させ易くなり、これによってより多くの導電性充填材同士を接触させることができる。したがって、導電性充填材同士の接触によって、発泡成形体の導電性、電磁波シールド材の電磁波シールド性をさらに向上させることができる。
導電性繊維の繊維長は、0.5〜40mmが好ましく、3〜20mmがより好ましい。繊維長が上記範囲内である導電性繊維は、発泡成形体中で導電性繊維を一方向に配列させ易くなり、多くの導電性充填材同士を接触させることができ、これにより発泡成形体の導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させることが可能となる。
なお、本発明において、繊維の繊維長は、任意の100本以上の繊維を抽出し、各繊維の繊維長を測定する。各繊維の繊維長の相加平均値を、繊維の繊維長とする。例えば、繊維を界面活性剤を含む水中に投入し、繊維が折れないようにしながら攪拌して混合液を作製する。得られた混合液を薄ガラス板上に滴下拡散させた後、デジタル顕微鏡(例えば、キーエンス社製の商品名「VHX−900型」)を用いて100本以上の繊維の繊維長を測定し、これらの繊維における繊維長の相加平均値を繊維の繊維長とする。
導電性繊維の繊維径は3〜25μmが好ましく、6〜20μmがより好ましい。繊維径が上記範囲内である導電性繊維によれば、導電性充填材同士の接触を促進させて、発泡成形体の導電性や、電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させることができる。さらに、繊維径が上記範囲内である導電性繊維によれば、発泡成形体の成形時にスクリューやシリンダーの磨耗を低減することも可能となり、発泡成形体を長期間に亘って安定して製造することができる。
本発明において、繊維の繊維径は、繊維の長さ方向に直交する面で切断した切断面の直径をいう。切断面の直径とは、切断面を包囲しうる最小径の真円の直径をいう。繊維の繊維径は、例えば、下記の要領で測定される。100本以上の繊維を抽出する。各繊維をその長さ方向に直交する面で切断し、切断面の直径を測定する。各繊維における繊維径の相加平均値を算出する。相加平均値を繊維の繊維径とする。
導電性繊維は、分散性を向上させるために、表面処理されていてもよい。導電性繊維を表面処理する表面処理剤としては、有機シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、シリコーン化合物、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルが好ましく挙げられる。
有機シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。また、チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
アルミネートカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを挙げることができる。
ジルコネートカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムラクテート、アセチルアセトンジルコニウムブチレートなどが挙げられる。
シリコーン化合物としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン樹脂などが挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、カプリン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、カレイン酸、リノール酸、ロジン酸、リノレン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸などが挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、例えば、炭素数が9以上の脂肪酸(例えば、ステアリン酸、モンタン酸など)のナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩などが挙げられ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウムが好ましい。
脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、アルファスルホン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
表面処理剤の使用量は、導電性繊維100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
導電性繊維は、集束剤で集束(表面)処理されていてもよい。集束剤の種類としては、例えば、エポキシ系集束剤、芳香族ウレタン系集束剤、脂肪族ウレタン系集束剤、アクリル系集束剤及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系集束剤などが挙げられる。これらの集束剤は、樹脂組成物の溶融混練時に融解する必要があるので、200℃以下で溶融することが好ましい。
導電性繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂、チョップドストランド状であってもよい。
発泡成形体中における導電性充填材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜400質量部が好ましく、20〜400質量部がより好ましく、50〜400質量部がより好ましく、70〜370質量部がより好ましい。これにより優れた導電性及び電磁波シールド性を発泡成形体に付与することができる。発泡成形体の導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性をさらに向上させることができるため、導電性充填材の含有量は高い方が好ましいが、特に、本発明では、上述した通り、発泡成形体中の多数の気泡によって多くの導電性充填材同士を効率的に接触させて、発泡成形体の導電性及び電磁波シールド性を向上させることができる。したがって、従来の電磁波シールド材と本発明の電磁波シールド材とで達成される電磁波シールド性が同等である場合であっても、従来の電磁波シールド材に比して、本発明の電磁波シールド材の方が導電性充填材の含有量を低くすることができる。なお、複数種の導電性充填材を用いた場合、「導電性充填材の含有量」とは複数種の導電性充填材の各含有量を合計した値とする。
発泡成形体中における導電性粒子の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜400質量部が好ましく、50〜350質量部がより好ましく、65〜300質量部が特に好ましく、100〜270質量部が最も好ましい。これにより優れた導電性及び電磁波シールド性を発泡成形体に付与することができる。発泡成形体の導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性をさらに向上させることができるため、導電性充填材の含有量は高い方が好ましいが、特に、本発明では、上述した通り、発泡成形体中の多数の気泡によって多くの導電性充填材同士を効率的に接触させて、発泡成形体の導電性及び電磁波シールド性を向上させることができる。したがって、従来の電磁波シールド材と本発明の電磁波シールド材とで達成される電磁波シールド性が同等である場合であっても、従来の電磁波シールド材に比して、本発明の電磁波シールド材の方が導電性充填材の含有量を低くすることもできる。
発泡成形体中における導電性繊維の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、5〜80質量部がより好ましく、10〜70質量部が特に好ましい。導電性繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、成形性を低下させずに、発泡成形体の導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させることができる。
(非導電性繊維)
発泡成形体中に非導電性繊維が含有されていてもよい。上記電磁波シールド材によれば、上述した通り、発泡成形体中に導電性充填材を添加することによって、発泡成形体に優れた導電性及び電磁波シールド性を付与することができ、したがって、非導電性である非導電性繊維を用いた場合であっても発泡成形体の優れた導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性を確保することができ、このような観点から、非導電性繊維も好ましく用いられる。なお、非導電性繊維としては、ガラス繊維が好ましい。なお、非導電性繊維は、金属で被覆されていないことが好ましい。
非導電性繊維としては、例えば、ガラス繊維や、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレンなどの有機繊維や、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機繊維などがある。非導電性繊維は、単独で用いられても、二種以上を併用してもよい。
非導電性繊維の繊維長は、0.5〜40mmが好ましく、3〜20mmがより好ましい。繊維長が上記範囲内である非導電性繊維は、発泡成形体中で導電性充填材を配列させ易くし、多くの導電性充填材同士を接触させることができ、これにより発泡成形体の導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させることが可能となる。
非導電性繊維の繊維径は3〜25μmが好ましく、6〜20μmがより好ましい。繊維径が上記範囲内である非導電性繊維によれば、導電性充填材同士の接触を促進させて、発泡成形体の導電性や電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させることができる。さらに、繊維径が上記範囲内である非導電性繊維によれば、発泡成形体の成形時にスクリューやシリンダーの磨耗を低減することも可能となり、発泡成形体を長期間に亘って安定して製造することもできる。
非導電性繊維は、導電性繊維と同様に、分散性を向上させるために、表面処理されていてもよい。非導電性繊維の表面処理方法は、導電性繊維と同様であるのでその説明を省略する。
非導電性繊維は、集束剤で集束(表面)処理されていてもよい。集束剤の種類としては、例えば、エポキシ系集束剤、芳香族ウレタン系集束剤、脂肪族ウレタン系集束剤、アクリル系集束剤及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系集束剤などが挙げられる。これらの集束剤は、樹脂組成物の溶融混練時に融解する必要があるので、200℃以下で溶融することが好ましい。
非導電性繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂、チョップドストランド状であってもよい。
発泡成形体中における非導電性繊維の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、15〜45質量部がより好ましい。導電性繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、成形性を低下させずに、発泡成形体の導電性及び電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させることができる。
発泡成形体は、本発明の効果が得られる範囲内で、他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核材、可塑剤などが挙げられる。
(電磁波シールド材の製造方法)
次に、電磁波シールド材の製造方法について説明する。電磁波シールド材の製造方法としては、射出発泡成形による方法が好ましい。射出発泡成形によれば、熱可塑性樹脂中で導電性充填材を高分散させることができ、これにより多くの導電性充填材同士を接触させ、導電性及び電磁波シールド性に優れた電磁波シールド材を製造することができる。さらに、射出発泡成形によれば、熱可塑性樹脂中で導電性充填材を高分散させることができることから、多量の導電性充填材を用いることができる。
先ず、上述した、熱可塑性樹脂、導電性充填材、並びに必要に応じて、オレフィン系熱可塑性エラストマー、酸変性ポリプロピレン、非導電性繊維、及び他の添加剤を含む樹脂組成物を用意する。樹脂組成物中において、熱可塑性樹脂中に導電性充填材が分散されていることが好ましい。得られる電磁波シールド材の電磁波シールド性をより一層高めることができる。熱可塑性樹脂中に充填材を分散させる方法は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を加熱溶融させた上で、熱可塑性樹脂と充填材とを混練することで更に均一に分散させることができる。溶融混練は、押出機及び加圧式ニーダなど公知の手段を用いて行えばよい。
用意した樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、金型内に射出して発泡成形する。金型内での樹脂組成物の発泡成形は、公知の方法を用いて行うことができるが、コアバック法を用いて行うことが好ましい。コアバック法は、例えば、次の通りにして行うことができる。樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、溶融状態の樹脂組成物を固定金型と可動金型とから構成されるキャビティ内に射出充填し、続いて、可動金型を後退させてキャビティの内容積を増大させてキャビティ内を減圧することにより、溶融状態の樹脂組成物を発泡させて発泡成形体、即ち、電磁波シールド材を得ることができる。このようなコアバック法によれば、発泡時の樹脂組成物の温度や圧力を制御して、得られる発泡成形体に含まれている発泡セルを微細化することができる。
発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ニトロソ化合物(ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど)、アゾ化合物(アゾジカルボンアミドなど)、スルホニルヒドラジド化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられる。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
物理発泡剤は超臨界状態で使用することもできる。超臨界状態の物理発泡剤によれば、発泡成形体中に微細な発泡セルを形成でき、発泡成形体の導電性、電磁波シールド性や外観を向上させることができる。
発泡剤を添加するタイミングは特に制限されない。化学発泡剤を用いる場合には、樹脂組成物中に化学発泡剤を予め添加してもよい。また、溶融混練している樹脂組成物中に化学発泡剤又は物理発泡剤を添加してもよい。
樹脂組成物中における発泡剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部が特に好ましい。発泡剤の含有量を上記範囲内とすることによって、発泡セルの粗大化を低減して、微細な発泡セルを均一に分散させることができ、これによって多数の導電性充填材をより多く接触させて、優れた導電性及び電磁波シールド性を発泡成形体に付与することができる。
樹脂組成物は発泡剤の存在下で溶融混練した後、金型内に射出して発泡成形する。金型内での樹脂組成物の発泡成形は、公知の方法を用いて行うことができるが、コアバック法を用いて行うことが好ましい。コアバック法は、例えば、次の通りにして行うことができる。樹脂組成物を発泡剤の存在下で溶融混練した後、溶融状態の樹脂組成物を固定金型と可動金型とから構成されるキャビティ内に射出充填し、続いて、可動金型を後退させてキャビティの内容積を増大させてキャビティ内を減圧することにより、溶融状態の樹脂組成物を発泡させる。これにより発泡成形体を得ることができる。このようなコアバック法によれば、発泡時の樹脂組成物の温度や圧力を制御して、得られる発泡成形体に含まれている発泡セルを微細化することができる。
また、樹脂組成物の射出成形時にカウンタープレッシャー法を用いてもよい。カウンタープレッシャー法では、キャビティ内への樹脂組成物の射出充填に先立って、金型のキャビティ内に予めガスを注入する。これにより、ガス圧によって樹脂組成物表面における発泡を抑制しながらキャビティ内に樹脂組成物を射出することができる。このようなカウンタープレッシャー法によれば、発泡成形体においてシルバーストリークなどの外観不良が発生することを低減することができる。
固定金型及び可動金型の温度は、20〜100℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。固定金型及び可動金型の温度が低過ぎると樹脂組成物が早期に固化して発泡させることが困難となることがある。したがって、固定金型及び可動金型の温度を上記範囲内とすることにより、樹脂組成物を良好に発泡させることができる。上記温度範囲内であれば、固定金型と可動金型とでそれぞれ温度が異なっていてもよい。
射出時間は、0.5〜5.0秒が好ましく、0.5〜3.0秒がより好ましい。射出時間が0.5秒以上であると、充填時にキャビティ内に十分な内圧を確保し、可動金型の後退時にキャビティ内を十分に減圧させ、気泡核を十分に発生させて、発泡成形体中の発泡セルの微細化を図ることができる。また、射出時間が5.0秒以下であると、キャビティ内の樹脂組成物の温度の低下を抑制し、樹脂組成物の発泡性を向上させることができる。
射出速度は、1〜500mm/秒が好ましく、20〜250mm/秒がより好ましく、50〜250mm/秒以上が特に好ましい。射出速度が50mm/秒以上であると、金型のキャビティ内への充填性を向上させることができ、所望形状の発泡成形体を成形することができる。射出速度が早過ぎると、ガス抜きが十分にできなくなり、焼けなどの外観不良の発生に繋がる。
背圧は、5〜30MPが好ましく、5〜25MPaがより好ましく、5〜15MPaが特に好ましい。なお、背圧とは、射出成形装置内のスクリューに加える圧力を意味する。背圧が高過ぎると、導電性充填材同士の接触が低下することがあると共に、導電性繊維及び/又は非導電性繊維を用いた場合、繊維の切断を招くことがある。
可動金型の後退開始時間は、0〜5秒であればよい。可動金型の後退開始時間とは、樹脂組成物をキャビティ内に充填完了後から可動金型の後退を開始するまでの時間を意味する。
可動金型の後退速度は、0.5〜100mm/秒が好ましく、1〜30mm/秒がより好ましい。可動金型の後退速度を上記範囲内とすることによって、樹脂組成物を十分に発泡させることができ、発泡成形体に優れた導電性、電磁波シールド性を付与することができる。
発泡成形体の発泡倍率は、1.1〜10倍であり、1.5〜5.0倍が好ましく、1.5〜3.0倍がより好ましい。発泡倍率が高過ぎると、気泡(発泡セル)が導電性充填材同士の接触をかえって阻害し、得られる発泡成形体の導電性や、電磁波シールド材の電磁波シールド性を十分に向上できないことがある。発泡倍率を上記範囲にすることで、発泡成形体に優れた導電性、電磁波シールド性及び軽量性を付与することができる。
発泡成形体の発泡倍率は下記の要領で測定することができる。先ず、発泡成形体の見掛け密度を測定する。発泡成形体の見掛け密度は、JIS K7211−2準拠して測定することができる。例えば、下記測定器具を用いることができる。
測定器具:ミツトヨ社製 製品名「デジマチックキャリパ」誤差 e=0.01
測定器具:エーアンド・デイ社製 製品名「GX200」誤差 e=0.01
次に、発泡成形体を加熱溶融し、この溶融した樹脂組成物から非発泡の試験体を作製し、この試験体の密度をASTM D792に準拠して測定する。試験体の密度を発泡成形体の見掛け密度で除した値を発泡成形体の発泡倍率とする
発泡成形体の平均気泡径は、1〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましい。平均気泡径を上記範囲内とすることによって、導電性充填材同士の接触を促進させて、優れた導電性及び電磁波シールド性を有する発泡成形体を提供することができる。
発泡成形体の平均気泡径は、デジタルマイクロスコープを用いて発泡成形体断面の画像処理を行い、発泡成形体断面に観察された気泡100個の直径の測定を行い、各気泡の相加平均値を発泡成形体の平均気泡径とする。気泡の直径とは、気泡を包囲し得る最小径の真円の直径をいう。なお、デジタルマイクロスコープとしては、例えば、キーエンス社から製品名「形状測定レーザーマイクロスコープ」にて市販されている装置を用いることができる。
発泡成形体の厚みは、1.2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。発泡成形体の厚みが薄過ぎると、発泡成形体の剛性や機械的強度が不足することがある。また、発泡成形体の厚みが厚過ぎると、発泡成形体の耐衝撃性や電磁波シールド性が低下することがある。
本発明の電磁波シールド材は、上述した発泡成形体を用いることにより優れた電磁波シールド性を有する。電磁波シールド材は、発泡成形体のみからなってもよく、発泡成形体にさらに他の部材が配設されていてもよい。他の部材としては、粘着剤層などが挙げられる。
本発明の電磁波シールド材は、特に電磁波シールド性を必要とする用途に用いられ、例えば、家庭電化製品、通信機器、医療機器、車両搭載電子機器などの各種電子機器の部品や筐体部分、電磁波シールド性が要求される建材用途などが挙げられる。
本発明の電磁波シールド材は、上述した発泡成形体を用いることにより、優れた電磁波シールド性を発揮することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例及び比較例において用いられた原料を以下に列記する。
(熱可塑性樹脂)
・ホモポリプロピレン(P1)(日本ポリプロ社製 製品名「MA04A」、未変性熱可塑性樹脂)
(導電性粒子)
・黒鉛粒子(伊藤黒鉛工業社製 製品名「CPB−80」、鱗片状黒鉛粒子、平均粒子径:100μm)
・カーボンブラック粒子(ケッチェンブラック粒子、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製 製品名「EC200L」、平均粒子径:0.041μm)
(導電性繊維)
・ステンレス繊維含有マスターバッチ(ダイセル社製、商品名「PP−SF50」)[ステンレス繊維(繊維長:10mm、繊維径:7μm)及びホモポリプロピレン(P2)を含有するマスターバッチ、ステンレス繊維の含有量:50質量%、ホモポリプロピレン(P2)の含有量:50質量%]
(非導電性繊維)
・ガラス繊維含有マスターバッチ[日本ポリプロ社製、商品名「LR26Y」、ガラス繊維(繊維長:10mm、繊維径:13μm)及びホモポリプロピレン(P3)を含有するマスターバッチ、ガラス繊維の含有量:57質量%、ホモポリプロピレン(P3)の含有量:43質量%]
(発泡剤)
・炭酸水素ナトリウム
(実施例1〜12及び比較例1〜4)
先ず、ホモポリプロピレン、黒鉛粒子及びカーボンブラック粒子を含むマスターバッチを用意した。
次に、マスターバッチ、ホモポリプロピレン、ステンレス繊維含有マスターバッチ及びガラス繊維含有マスターバッチを含む樹脂組成物と、発泡剤(炭酸水素ナトリウム)とを押出機に供給して230℃にて溶融混練し、樹脂組成物を溶融状態とした。
なお、樹脂組成物中におけるホモポリプロピレン以外の他の成分の配合量をホモポリプロピレン100質量部に対する配合量として表1に示した。
一方、固定金型及び可動金型を45℃に加熱した後、固定金型及び可動金型を型締めして形成されたキャビティ内に、溶融状態の樹脂組成物を射出時間1.0秒、射出速度220mm/秒、背圧7MPaで射出充填した。充填完了から0.5秒後に可動金型の後退を開始し、可動金型を1mm/秒の後退速度で後退させてキャビティ内を減圧させることにより、溶融状態の樹脂組成物をそれぞれ発泡させて平板状の発泡成形体を電磁波シールド材として得た。その後、発泡成形体を冷却させてキャビティから取り出した。電磁波シールド材の厚み及び発泡倍率を表1に示す。発泡成形体の平均気泡径を表1に示す。
なお、比較例1〜4においては、キャビティ内に溶融状態の樹脂組成物を射出充填した後、可動金型を後退させず、樹脂組成物を発泡させずに平板状の非発泡成形体を得た。非発泡成形体の厚みを表1に示す。
(評価)
実施例1〜12で得られた電磁波シールド材及び比較例1〜4で得られた非発泡成形体について、表面抵抗値及び電磁波シールド性を下記手順に従って評価した。
(表面抵抗値)
各実施例で得られた電磁波シールド材及び各比較例で得られた非発泡成形体をそれぞれ切断して、平面長方形状の試験片(縦120mm×横120mm)を得た。直列四探針プローブを装着した抵抗率計(三菱化学アナリテック社製 製品名「ロレスタGP」)を用いて、各試験片の4箇所について表面抵抗値(Ω)を測定し、その相加平均値を表1に示した。
(電磁波シールド性:DFFC法)
各実施例で得られた電磁波シールド材及び各比較例で得られた非発泡成形体をそれぞれ切断して、平面長方形状の試験片(縦300mm×横30mm)を得た。各試験片について、DFFC法(2焦点型扁平空洞:Dual-Focus Flat Cavity)によって、周波数1GHz及び15GHzにおける、電磁波シールド性を評価した。
表1に示す通り、本発明の電磁波シールド材は、非発泡成形体と同等の表面抵抗値が得られているが、一方で、本発明の電磁波シールド材は、比較例の非発泡成形体よりも優れた電磁波シールド性を達成していることが分かる。これにより、本発明によれば、表面抵抗値などの表面性状は変えることなく、発泡やこれによる導電性充填材同士の接触の促進などの内部構造の変化によって、電磁波シールド材の電磁波シールド性を向上させていることが分かる。
Figure 2021048346
本発明によれば、電磁波シールド性に優れている電磁波シールド材を提供することができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂及び導電性充填材を含有する樹脂組成物からなる発泡成形体であって、周波数1GHz及び15GHzにおける電磁波シールド性が20dB以上であることを特徴とする電磁波シールド材。
  2. 発泡成形体の発泡倍率が1.1〜10倍であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部及び導電性充填材50〜400質量部を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁波シールド材。
  4. 導電性充填材は、黒鉛粒子、金属繊維、カーボンブラック粒子及びカーボンナノチューブ粒子からなる群から選ばれた少なくとも1種の導電性充填材を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電磁波シールド材。
  5. 樹脂組成物は、非導電性繊維を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電磁波シールド材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115838493A (zh) * 2022-12-29 2023-03-24 山东大学 一种多孔结构屏蔽吸波复合材料及其制备方法
WO2023182394A1 (ja) * 2022-03-25 2023-09-28 積水テクノ成型株式会社 樹脂組成物及び樹脂成形体

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