JP2021048050A - 電解液の原料、及び電解液の原料の製造方法 - Google Patents

電解液の原料、及び電解液の原料の製造方法 Download PDF

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良潤 關根
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Abstract

【課題】高純度なバナジウム電解液を製造できる電解液の原料、及び電解液の原料の製造方法を提供する。【解決手段】3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体であり、前記固体中のアルカリ金属元素の合計含有量は、前記固体中のバナジウム元素の含有量に対して、1000質量ppm以下である、電解液の原料。【選択図】図1

Description

本開示は、電解液の原料、及び電解液の製造方法に関する。
蓄電池の一つに、レドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池に利用される代表的な電解液として、特許文献1に記載されるバナジウムイオンを含むものが挙げられる。以下、バナジウムイオンを含む電解液をバナジウム電解液と呼ぶ。
特許文献1は、メタバナジン酸アンモニウムを原料に用いて、バナジウム電解液を製造する方法を開示する。この方法は、400℃以上の温度で4時間程度加熱してアンモニアを除去する工程を備える。
特開平08−148177号公報
高純度なバナジウム電解液が望まれている。また、高純度なバナジウム電解液を生産性よく製造できることが望ましい。
上述の特許文献1に記載される方法では、アンモニウムイオンを低減するために、上述の高温の加熱が必要である。このような高温の加熱を鑑みれば、生産性の向上に対して、改善の余地がある。また、耐熱設備が必要な点についても、改善の余地がある。
そこで、本開示は、高純度なバナジウム電解液を製造できる電解液の原料を提供することを目的の一つとする。また、本開示は、高純度なバナジウム電解液を製造できる電解液の原料の製造方法を提供することを別の目的の一つとする。
本開示の電解液の原料は、
3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体であり、
前記固体中のアルカリ金属元素の合計含有量は、前記固体中のバナジウム元素の含有量に対して、1000質量ppm以下である。
本開示の電解液の原料の製造方法は、
3価のバナジウムイオンを含む酸溶液にアルカリ溶液を添加して固体を含む混合液体を得る工程と、
前記混合液体を固液分離する工程とを備え、
前記固体は、3価のバナジウムを含む水酸化物である。
本開示の電解液の原料、及び本開示の電解液の原料の製造方法は、高純度なバナジウム電解液を製造できる。
図1は、本開示の電解液の原料の製造方法について、製造過程を説明する図である。
[本開示の実施の形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る電解液の原料は、
3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体であり、
前記固体中のアルカリ金属元素の合計含有量は、前記固体中のバナジウム元素の含有量に対して、1000質量ppm以下である。
本開示の電解液の原料では、不純物であるアルカリ金属元素の合計含有量が少ない。そのため、本開示の電解液の原料を用いれば、不純物が少ないバナジウム電解液、即ち高純度なバナジウム電解液が得られる。
(2)本開示の一態様に係る電解液の原料の製造方法は、
3価のバナジウムイオンを含む酸溶液にアルカリ溶液を添加して固体を含む混合液体を得る工程と、
前記混合液体を固液分離する工程とを備え、
前記固体は、3価のバナジウムを含む水酸化物である。
本開示の電解液の原料の製造方法は、以下に説明するように、不純物であるアルカリ金属元素の合計含有量が少なく、バナジウムの純度が高い固体を製造できる。この固体を用いれば、不純物が少ないバナジウム電解液、即ち高純度なバナジウム電解液が得られる。
3価のバナジウムイオンを含む酸溶液が不純物としてアルカリ金属元素を含んでいても、上記酸溶液にアルカリ溶液を添加すると、3価のバナジウムを含む固体が得られる。この固体は、バナジウムを高濃度に含む。この固体を洗浄すれば、不純物であるアルカリ金属元素が除去されて、バナジウムの純度が高い固体が得られる。
また、本開示の電解液の原料の製造方法は、以下の理由(a)〜(c)により、上述のバナジウムの純度が高い固体を生産性よく製造できる。
(a)各工程の処理が完全に湿式処理である。湿式処理であれば、上述したアンモニアの除去のような高温の加熱が不要である。
(b)アルカリ溶液を添加することで、上述の酸溶液中の3価のバナジウムは代表的には固体として沈殿する。そのため、バナジウムの回収率が高い。
(c)混合液体を作製する際に、利用可能な水素イオン指数(pH)の範囲が広い。そのため、混合液体のpHの調整が行い易い。
(3)本開示の電解液の原料の製造方法の一例として、
前記混合液体を得る工程において前記アルカリ溶液の添加量は、前記混合液体の水素イオン指数が4.5以上を満たす範囲である形態が挙げられる。
本発明者らは、アルカリ溶液の添加によって、水素イオン指数が4.5以上の混合液体になれば、3価のバナジウムを含む固体が生成されて沈殿する、との知見を得た。そのため、上記形態は、固液分離によって、3価のバナジウムを含む固体を回収できる。
(4)上記(3)の電解液の原料の製造方法の一例として、
前記混合液体を得る工程において前記アルカリ溶液の添加量は、前記混合液体の水素イオン指数が7以下を満たす範囲である形態が挙げられる。
上記形態は、弱酸性又は中性の混合液体であることで、pHが7超である場合、即ちアルカリ性の混合液体である場合より固液分離を行い易い上に、固液分離された固体を洗浄し易い。
(5)上記(3)の電解液の原料の製造方法の一例として、
前記混合液体を得る工程において前記アルカリ溶液の添加量は、前記混合液体の水素イオン指数が7超を満たす範囲である形態が挙げられる。
上記形態は、3価のバナジウムを含む固体が確実に生成される上に、pHの調整範囲が広く、混合液体を作製し易い。
(6)上記(5)の電解液の原料の製造方法の一例として、
更に、前記水素イオン指数が7超である前記混合液体に酸を添加する工程を備え、
前記混合液体を固液分離する工程では、前記酸が添加された前記混合液体を固液分離する形態が挙げられる。
本発明者らは、アルカリ溶液の添加によって、上述の酸溶液がアルカリ性の混合液体となった場合に、更に酸が添加されると、混合液体中の固体は、固液分離し易い形態に変化する、との知見を得た。つまり、上記酸溶液を一旦、アルカリ性の混合液体とした後、酸性側に変化させると、変化後の混合液体は、アルカリ性の混合液体より固液分離され易い。従って、上記形態は、バナジウムの回収率を高められる上に、製造時間を短くできる。
(7)上記(6)の電解液の原料の製造方法の一例として、
前記酸を添加する工程において前記酸の添加量は、前記酸が添加された前記混合液体の水素イオン指数が5以上7以下を満たす範囲である形態が挙げられる。
上記形態では、混合液体中の固体の形態が固液分離し易い形態により確実に変化する。そのため、上記形態は、混合液体をより固液分離し易い。
(8)本開示の電解液の原料の製造方法の一例として、
更に、前記混合液体から固液分離された前記固体を洗液によって洗浄する工程を備え、
前記固体を洗浄する工程と、前記固体と前記洗液とを含む液体を固液分離する工程とを1回以上行う形態が挙げられる。
上記形態は、アルカリ金属元素を容易に除去できる。
(9)本開示の電解液の原料の製造方法の一例として、
更に、バナジウムイオンを含む原料液体に還元処理を施して、前記酸溶液を製造する工程を備え、
前記還元処理は、電解還元及び還元剤を用いた処理の少なくとも一方である形態が挙げられる。
上記形態は、上述の酸溶液を製造し易い。この理由として、上記工程の処理が湿式処理であること、上記工程の作業が還元といった単純な作業であること等が挙げられる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施形態を具体的に説明する。
[電解液の原料]
(概要)
実施形態の電解液の原料は、3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体であり、バナジウム電解液の原料に利用される。以下、実施形態の電解液の原料を原料固体1(図1)と呼ぶ。特に、実施形態の原料固体1は、原料固体1中のアルカリ金属元素の合計含有量が原料固体1中のバナジウム元素の含有量に対して1000質量ppm以下である。
原料固体1を構成する水酸化物は、3価のバナジウムを含む。上記水酸化物は、3価のバナジウムの他、4価のバナジウムを含むことを許容する。この場合、上記水酸化物は、3価のバナジウムの水酸化物と4価のバナジウムの水酸化物との双方を含む形態、3価のバナジウムと4価のバナジウムとの複合水酸化物を含む形態が挙げられる。
(不純物)
実施形態の原料固体1中のアルカリ金属元素は不純物である。原料固体1におけるアルカリ金属元素の合計含有量が原料固体1中のバナジウム元素の含有量に対して1000質量ppm以下であれば、不純物であるアルカリ金属元素が少ないといえる。このような原料固体1のバナジウムの純度、又はバナジウムの濃度は高いといえる。原料固体1中のバナジウムの純度が高いほど、高純度なバナジウム電解液が得られる。高純度化の観点から、上記合計含有量は800質量ppm以下、更に600質量ppm以下が好ましい。
原料固体1におけるアルカリ金属元素の含有量は、例えば以下のように測定する。原料固体1を酸によって加熱溶解する。この溶解物を適宜希釈して、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法によって、溶解物中のバナジウム元素の含有量、アルカリ金属元素の合計含有量をそれぞれ求める。得られたバナジウム元素の含有量を基準として、バナジウム元素の含有量に対するアルカリ金属元素の合計含有量の割合を求める。原料固体1は、上記割合が1000質量ppm以下である。
実施形態の原料固体1中のアルカリ金属元素は、代表的には、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等が挙げられる。原料固体1は、1種又は2種以上のアルカリ金属元素を含み得る。
実施形態の原料固体1は、アルカリ金属元素以外の不純物も少ないことが好ましい。例えば、原料固体1は、以下の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、双方を満たすことがより好ましい。以下の元素等の含有量は、原料固体1中のバナジウム元素の含有量に対する質量割合である。
(i)ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)等の金属元素の合計含有量が800質量ppm以下である。
(ii)アンモニア(NH)の含有量が200質量ppm以下である。
(製造方法)
実施形態の原料固体1は、例えば、後述する実施形態の電解液の原料の製造方法によって製造することが挙げられる。
(主な作用効果)
実施形態の原料固体1は、不純物、特にアルカリ金属元素が少ない。そのため、実施形態の原料固体1は、バナジウムの含有量が高く、高純度なバナジウム電解液を製造できる。
[バナジウム電解液]
実施形態の原料固体1を所定の溶媒に溶解することで、3価のバナジウム及び4価のバナジウムの少なくとも一方を含むバナジウム電解液が得られる。
上述の溶媒は、例えば、硫酸、リン酸、及び塩酸からなる群より選択される1種以上の酸、又は酸塩と、純水とを含む水溶液が挙げられる。原料固体1の溶液は、過酸化水素水等を用いて酸化したり、電解酸化したりして、価数調整を行ってもよい。
実施形態の原料固体1を用いて得られたバナジウム電解液は、不純物であるアルカリ金属元素が少なく、バナジウムの純度が高い。定量的には、上記バナジウム電解液におけるアルカリ金属元素の合計含有量は、バナジウム電解液中のバナジウムの含有量に対して1000質量ppm以下である。実施形態の原料固体1がアルカリ金属元素以外の不純物も少なければ、例えば上述の(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たせば、バナジウムの純度が更に高い。
[電解液の原料の製造方法]
以下、図1を参照して、実施形態の電解液の原料の製造方法を説明する。
以下、実施形態の電解液の原料の製造方法を本製法と呼ぶことがある。
本製法は、以下のアルカリ添加工程と、固液分離工程とを備え、バナジウムを高濃度に含む原料固体1を製造する。
(アルカリ添加工程)3価のバナジウムイオンを含む酸溶液にアルカリ溶液31を添加して、固体を含む混合液体13を得る(ステップS5)。
(固液分離工程)混合液体13を固液分離する(ステップS7)。
混合液体13中に含まれる固体は、3価のバナジウムを含む水酸化物である。
以下、3価のバナジウムイオンを含む酸溶液をベース液体10と呼ぶことがある。
混合液体13は、アルカリ性でもよいし、アルカリ性でなくてもよい。以下、アルカリ性ではない、即ち水素イオン指数(pH)が7以下である混合液体13を第一液体11と呼ぶ。アルカリ性である、即ちpHが7超である混合液体13を第一液体110と呼ぶ。
混合液体13が特にアルカリ性の第一液体110である場合、本製法は、アルカリ溶液31を添加した後、固液分離する前に、更に、以下の酸添加工程を備えることが挙げられる。
(酸添加工程)第一液体110に酸32を添加する(ステップS6)。この場合、固液分離工程では、酸32が添加された混合液体13を固液分離する(ステップS7)。
以下、第一液体110に酸32が添加された混合液体13を第二液体12と呼ぶことがある。
本製法は、上述の固液分離工程の後に、更に、以下の洗浄工程を備えることが挙げられる。
(洗浄工程)混合液体13から固液分離された固体を洗液によって洗浄する(ステップS8)。
本製法は、上述のアルカリ添加工程の前に、更に、バナジウムを含む原料6を用いてベース液体10を製造する前工程を備えることが挙げられる(ステップS1〜S4)。
前工程は、以下の還元工程を備えることが挙げられる。
(還元工程)バナジウムイオンを含む原料液体9に還元処理を施して、ベース液体10を製造する(ステップS4)。
還元処理は、電解還元及び還元剤を用いた処理の少なくとも一方である。
以下、前工程、アルカリ添加工程、酸添加工程、固液分離工程、洗浄工程を順に説明する。還元工程は、原料6の種類に応じて、説明する。
(前工程)
〈バナジウムを含む原料〉
バナジウムを含む原料6は、例えば、焼却灰60、五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム(AMV)、及び使用済のバナジウム電解液からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。本製法は、多様な原料6を利用可能であり、実施し易い。以下、使用済のバナジウム電解液を古い電解液63と呼ぶ。
〈形態A〉
焼却灰60を利用する場合、前工程は、例えば以下の工程を備えることが挙げられる。
(工程A−1)焼却灰60にアルカリ溶液28を添加する(ステップS1)。
(工程A−2)アルカリ溶液28が添加された液体を固液分離する(ステップS2)。
以下、上記アルカリ溶液28が添加された液体を液体A1と呼ぶ。
(工程A−3)分離された液体に酸29を添加する(ステップS3)。
以下、上記分離された液体をろ液A2と呼ぶ。
(工程A−4)酸29が添加された液体を還元する(ステップS4)。
以下、上記酸29が添加された液体を液体A3と呼ぶ。この工程A−4で製造される液体がベース液体10である。
《工程A−1》
化石燃料等を焼却して得られる焼却灰60は、バナジウム以外に、例えば、ニッケル、鉄、カルシウム等の不純物を含む。不純物の低減のために、工程A−1は、酸ではなくアルカリを用いる。
焼却灰60にアルカリ溶液28が添加された液体A1では、焼却灰60中のバナジウムは、アルカリ溶液28、例えばアルカリ水溶液に可溶な化合物になる。一方、ニッケルや鉄等の不純物は、アルカリ溶液28に不溶である。そのため、アルカリ溶液28の添加後に、液体A1を固液分離すれば、上記不溶な化合物が除去される。上記不溶な化合物の除去によって、ろ液A2では、不純物が少なく、バナジウムの純度が高い。このような形態Aは、不純物が少ないベース液体10が得られる。ひいては、不純物が少なく、バナジウムの純度が高い原料固体1が得られる。
但し、ベース液体10は、アルカリ溶液28の添加に起因する不純物として、アルカリ金属元素を含み得る。このアルカリ金属元素は、後の洗浄工程(ステップS8)で除去される。
アルカリ溶液28は、例えば、アルカリ金属の水酸化物の溶液、代表的には水溶液を利用できる。アルカリ金属の水酸化物は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等が挙げられる。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは、市販品を利用できること、水溶液を容易に作製できること、一般に安価であり、製造コストを削減できること等から利用し易い。
工程A−1においてアルカリ溶液28の添加量は、上述の化合物を生成可能な範囲で調整する。所定の添加量のアルカリ溶液28を添加したら、アルカリ溶液28の添加を止める。
《工程A−2》
液体A1の固液分離には、例えば、ろ過、フィルタープレス、遠心分離等が利用できる。ろ液A2は、次の工程A−3に利用する。固液分離された固体、即ちろ物は、ニッケルや鉄等の不純物等を含む。そのため、ろ物は、ニッケル、鉄等の原料に利用してもよい。液体A1を固液分離できたら、固液分離を止める。
《工程A−3》
ろ液A2に酸29を添加することで、5価のバナジウムを含む酸性の液体A3が得られる。この液体A3は、原料液体9の一例である。ここで、焼却灰60をアルカリ抽出して得られるバナジウムの価数は主として5価である。5価のバナジウムを含むろ液A2は、通常、アルカリ性である。ろ液A2に酸29を添加して、酸性の液体A3とする。なお、液体A3は、5価以外の価数のバナジウムを含むことを許容する。
酸29は、例えば硫酸、塩酸等が挙げられる。特に、濃硫酸といった強酸を用いれば、pHが例えば2〜1程度、更には1以下である酸性の液体A3が得られる。また、酸29が硫酸である場合、以下の効果を奏する。
(1)ガスが発生しない。
(2)濃硫酸であれば水和熱を利用して、次の工程A−4において有機物の酸化速度が速められる。
(3)Ca等を硫酸塩等として除去可能であり、バナジウムの純度が高められる。
工程A−3において酸29の添加量は、液体A3のpHが2以下、好ましくは1以下である範囲で調整する。所定の添加量の酸29を添加したら、酸29の添加を止める。
《工程A−4》
5価のバナジウムを含む液体A3を還元することで、3価のバナジウムを含むベース液体10が得られる。液体A3を還元する方法の一例として、電解還元を行うことが挙げられる。電解還元は、価数を調整し易く、3価のバナジウムを含むベース液体10をより確実に製造できる。
電解還元は、液体A3を負極電解液とし、適宜な正極電解液を用いた充電運転を行うことによって実施できる。この場合、負極では、3価のバナジウムを含む酸性溶液、即ちベース液体10が得られる。
電解還元の条件は、5価のバナジウム、4価のバナジウム、又はこれらの混合物から3価のバナジウムを生成可能な範囲で調整する。所定量の3価のバナジウムが生成されたら、還元を止める。
液体A3を還元する方法の別例として、還元剤を用いることが挙げられる。還元剤は、例えば、有機酸、糖類、還元性ガス、硫化物塩等が挙げられる。
有機酸は、例えば、シュウ酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸等が挙げられる。糖類は、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース等が挙げられる。有機酸や糖類は、例えば液体A3に添加する。
還元性ガスは、水素ガス、亜硫酸ガス(二酸化硫黄)、硫化水素等が挙げられる。還元性ガスは、例えば液体A3中でバブリングする。
上記に列挙した還元剤を用いる形態は、還元剤の種類に応じて、液体A3を所定の温度に加熱したり、保温したりしてもよい。所定の温度に保持することで、還元が促進される。この点で、製造時間が短くなり易い。還元剤の種類によっては、反応熱によって所定の温度に達する場合がある。この場合、加熱は不要であり、保温のみを行うとよい。加熱や保温には適宜な設備が利用できる。なお、加熱する場合でも、高温の加熱、例えば300℃以上の加熱は不要である。加熱温度は、液体A3が沸騰しない程度の温度、例えば液体A3が水溶液であれば100℃以下の温度でよい。還元剤の種類によっては、加熱しなくても過剰に添加すると、還元が促進される場合がある。
液体A3を還元する方法の更に別例として、還元剤を用いる処理と、電解還元との双方を行うことが挙げられる。例えば、液体A3を還元剤によって還元すると、まず、5価のバナジウムから4価のバナジウムが生成され、4価のバナジウムを含む酸性溶液が得られる。この4価のバナジウムを含む酸性溶液を電解還元すれば、3価のバナジウムを含む酸性溶液、即ちベース液体10が得られる。この場合、4価のバナジウムを含む酸性溶液をそれぞれ正極電解液、負極電解液として充電運転すれば、正極では5価のバナジウムを含む酸性溶液が得られる。負極では3価のバナジウムを含む酸性溶液、即ちベース液体10が得られる。正極で得られた5価のバナジウムを含む酸性液体は、液体A3に利用できる。
〈形態B〉
五酸化バナジウム又はメタバナジン酸アンモニウムを利用する場合、前工程は、例えば以下の工程を備えることが挙げられる。以下、五酸化バナジウム又はメタバナジン酸アンモニウムをV/AMV61と呼ぶ。
(工程B−1)V/AMV61にアルカリ溶液28を添加して、バナジン酸のアルカリ塩62の溶液を生成する(ステップS0)
(工程B−2)バナジン酸のアルカリ塩62の溶液に酸29を添加する(ステップS3)。
(工程B−3)酸29が添加された液体を還元する(ステップS4)。
以下、上記酸29が添加された液体を液体B3と呼ぶ。この工程B−3で製造される液体がベース液体10である。
/AMV61は、バナジウム以外に、例えば、ニッケル、鉄等の不純物を含み得る。アルカリ溶液28を添加すると、V/AMV61中のバナジウムは、アルカリ溶液28、例えばアルカリ水溶液に可溶な化合物になる。ニッケルや鉄等の不純物は、アルカリ溶液28に不溶である。そのため、上述の《工程A−2》と同様に、アルカリ溶液28の添加後の液体を固液分離すれば、ニッケルや鉄等の不純物が少なく、バナジウムを含むろ液が得られる。このような形態Bも、最終的に、アルカリ金属元素だけでなく、ニッケルや鉄等の不純物が少なく、バナジウムの純度が高い原料固体1が得られる。不純物の低減のために、バナジン酸のアルカリ塩62の溶液を生成する工程B−1は、酸ではなくアルカリを用いる。
バナジン酸のアルカリ塩62の溶液を生成する工程におけるアルカリ溶液28は、上述の《工程A−1》で説明したアルカリ金属の水酸化物の溶液等を利用できる。また、この工程においてアルカリ溶液28の添加量は、上述の化合物を生成可能な範囲で調整する。所定の添加量のアルカリ溶液28を添加したら、アルカリ溶液28の添加を止める。
なお、AMVは、アルカリ溶液28を添加すると、化学反応によってアンモニアを発生する。発生したアンモニアは、適宜な回収装置によって回収すれば除去できる。アンモニアの除去によって、不純物であるアンモニアが低減されたベース液体10や原料固体1が得られる。
《工程B−2》
バナジン酸のアルカリ塩62は、ナトリウムやカリウム等といったアルカリ金属元素を含む。上記アルカリ金属元素は後の洗浄工程(ステップS8)で除去される。そのため、不純物であるアルカリ金属元素が少ない原料固体1が得られる。このような形態Bは、不純物が少ないベース液体10が得られる。ひいては、不純物がより少なく、バナジウムの純度が高い原料固体1が得られる。
工程B−2は、代表的にはバナジン酸のアルカリ塩62を純水に溶解して、酸29を添加することで液体B3を作製する。工程B−2において酸29の添加量は、液体B3のpHが2以下、好ましくは1以下を満たす範囲で調整する。酸29の詳細は《工程A−3》を参照するとよい。
《工程B−3》
酸29が添加された液体B3は、5価のバナジウムを含む酸性の溶液である。この液体B3は、原料液体9の一例である。液体B3を還元することで、3価のバナジウムを含むベース液体10が得られる。液体B3を還元する方法は、上述の《工程A−4》で説明した電解還元及び還元剤を用いた処理の少なくとも一方が挙げられる。還元の詳細は《工程A−4》を参照するとよい。
その他、V/AMV61は、焼却灰60に比較して、ニッケルや鉄等の不純物が少ない場合がある。例えば、工業品のVはニッケルや鉄等の不純物が少ない。この場合、アルカリ溶液28の添加を省略して、純水及び酸29を添加した後(ステップS3)、還元を行うこと(ステップS4)が挙げられる。
原料6は、V/AMV61に代えて、バナジン酸のアルカリ塩62でもよい。
〈形態C〉
古い電解液63は、代表的にはバナジウムイオンを含む酸性の水溶液である。古い電解液63が3価のバナジウムイオンを含めば、古い電解液63をそのままベース液体10として利用することが挙げられる。古い電解液63が4価のバナジウムイオン及び5価のバナジウムイオンの少なくとも一方を含むものの、3価のバナジウムを含まない場合、又は3価のバナジウムが少ない場合がある。この場合の古い電解液63は原料液体9の一例といえ、例えば、前工程は古い電解液63を還元する工程(ステップS4)を備えることが挙げられる。古い電解液63を還元する方法は、上述の《工程A−4》で説明した電解還元及び還元剤を用いた処理の少なくとも一方が挙げられる。還元の詳細は《工程A−4》を参照するとよい。
古い電解液63では、古い電解液63以外の原料6に比較して、ニッケルや鉄、アンモニア等の不純物が少ない。この点で、古い電解液63は、不純物が少ないベース液体10といえる。しかし、古い電解液63は、ナトリウムやカリウムといったアルカリ金属元素を不純物として含み得る。アルカリ金属元素は、後の洗浄工程(ステップS8)で除去される。そのため、形態Cは、不純物が少なく、バナジウムの純度が高い原料固体1を製造できる。
(アルカリ添加工程)
アルカリ添加工程は、ベース液体10にアルカリ溶液31を添加して、3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体を生成し、この固体を含む液体、即ち混合液体13を得る。この水酸化物は、固体であり、代表的には沈殿物である。この水酸化物から最終的に原料固体1が製造される。
ベース液体10は、3価のバナジウムを含む酸性の溶液である。ベース液体10は、3価以外の価数のバナジウムを含むことを許容するが、ベース液体10中の3価のバナジウムが多いほど好ましい。
ベース液体10は、バナジウム以外に、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素を不純物として含み得る。上述の前工程においてアルカリ溶液28にアルカリ金属を含むものを用いた場合や、原料6がナトリウムやカリウムを含む場合には、ベース液体10は、アルカリ金属元素を多く含み得る。このようなベース液体10にアルカリ溶液31を添加して3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体を生成し、固液分離によって上記固体を回収し、回収された上記固体を洗浄すれば、不純物であるアルカリ金属元素を除去することができる。本製法は、ベース液体10にアルカリ溶液31を添加することで、上記固体を効率よく回収し、最終的に不純物であるアルカリ金属元素が低減された原料固体1を得る。
アルカリ添加工程において、アルカリ溶液31の添加量は、例えば、混合液体13の水素イオン指数(pH)が4.5以上を満たす範囲で調整することが挙げられる。この場合、アルカリ添加工程では、混合液体13として、弱酸性〜中性である第一液体11、又はアルカリ性である第一液体110が得られる(ステップS5)。第一液体11のpHが4.5以上であれば、第一液体11,110中に3価のバナジウムを含む固体を確実に生成することができる。そのため、第一液体11,110を固液分離すれば、上記固体を回収することができる。なお、アルカリ添加工程では、混合液体13が所定のpHになったら、アルカリ溶液31の添加を止める。
アルカリ溶液31の添加量を混合液体13のpHが7以下を満たす範囲で調整する場合、即ち、混合液体13が弱酸性又は中性の第一液体11である場合、アルカリ性である第一液体110より固液分離が行い易い。また、固液分離された固体の洗浄が行い易い。ひいては、不純物が少なく、バナジウムの純度が高い原料固体1が得られ易い。これらの点から、混合液体13のpHは、5以上7以下、更に6以上7以下でもよい。
アルカリ溶液31の添加量を混合液体13のpHが7超を満たす範囲で調整する場合、即ち、混合液体13がアルカリ性の第一液体110である場合、第一液体110をそのまま固液分離してもよい。この場合、混合液体13のpHが7超であれば、3価のバナジウムを含む固体が確実に生成される。また、第一液体110のpHの調整範囲が広いため、第一液体110の作製を行い易い。一方、後述するように、第一液体110に更に酸32を添加してから固液分離を行うと、第一液体110をそのまま固液分離する場合に比較して、固液が分離され易い。この場合の第一液体110のpHは、高いほど好ましい。第一液体110のpHが10以上、更に14以上であれば、後の酸添加工程において得られる3価のバナジウムを含む固体が粗大になり易い。つまり、固液が分離され易い。
アルカリ溶液31は、例えば、アルカリ金属の水酸化物の溶液、代表的には水溶液が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物は、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられ、上述のように市販品を利用できる。また、これらのアルカリ金属の水酸化物は、上述のように水溶液を製造し易く、安価であるため、利用し易い。アルカリ溶液31がアルカリ金属元素を含んでいても、本製法は、上述のように特定の固体を生成することで、最終的に、アルカリ金属元素を良好に除去できる。その他、アルカリ溶液31は、例えば、アンモニア水が挙げられる。
(酸添加工程)
酸添加工程は、ベース液体10に対してアルカリ溶液31の添加後に更に酸32を添加する(ステップS6)。酸添加工程は、酸32の添加によって、3価のバナジウムを含む水酸化物を固体、代表的には沈殿物として維持しつつ、第一液体110をアルカリ性から酸性側に調整する。
酸添加工程は、混合液体13、ここでは第二液体12を固液分離し易いという効果を奏する。この理由の一つとして、アルカリ溶液31の添加によって生成された上述の固体の形態が酸32の添加によって変化することが挙げられる。アルカリ性である第一液体110中の固体では、微粒子状の固体が多い。一方、酸性側に調整された第二液体12中の固体では、第一液体110に比較して、粗大な固体が多くなり易い。上記固体がある程度大きな塊になることで、固液分離性が高められる。
また、酸添加工程は、混合液体13の液性をアルカリ性から酸性又は中性に変化させることで、洗浄工程における回数を低減できるという効果を奏する。後の洗浄工程で、純水や硫酸等を洗液に用いて洗浄を行えば、水溶性であるアルカリ金属の酸塩が容易に除去される。そのため、不純物であるアルカリ金属元素が少ない原料固体1が得られる。
酸添加工程において酸32の添加量は、例えば、第二液体12の水素イオン指数(pH)が5以上を満たす範囲で調整することが挙げられる。第二液体12のpHが5以上であれば、3価のバナジウムを含む水酸化物が固体の状態を維持し易い。また、第二液体12のpHが5以上であれば、上述の固体が固液分離し易い形態により確実に変化する。特に、第二液体12のpHが5以上7以下であれば、上述のアルカリ金属の酸塩が確実に生成される。そのため、固液分離後に洗浄を行えば、不純物であるアルカリ金属元素が低減される。第二液体12のpHは、例えば5.5以上6.5以下、更に6以上でもよい。所定の添加量の酸32を添加したら、酸32の添加を止める。
酸添加工程における酸32は、例えば硫酸、塩酸等が挙げられる。
(固液分離工程)
固液分離工程は、混合液体13を固液分離して、固体である上記水酸化物を抽出する(ステップS7)。上述の酸添加工程を有しない場合、混合液体13は、3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体と、不純物であるアルカリ金属元素を含む液体とが混合された液体、ここでは第一液体11又は第一液体110である。上述の酸添加工程を経た場合、混合液体13は、上記水酸化物からなる固体と、上述のアルカリ金属の酸塩とを含む液体、ここでは第二液体12である。第一液体11はアルカリ性である第一液体110よりも固液分離し易い。第二液体12は第一液体11,110よりも固液分離し易い。固液分離を行い易い点で、製造時間が短くなり易い。
第一液体11や第二液体12の固液分離には、例えば、ろ過、フィルタープレス、遠心分離等が利用できる。混合液体13を固液分離できたら、固液分離を止める。
(洗浄工程)
洗浄工程は、固液分離工程で抽出された固体、即ち3価のバナジウムの水酸化物を洗浄して、不純物であるアルカリ金属を除去する(ステップS8)。ここで、上記水酸化物には、アルカリ金属が酸塩等の状態で付着されていたり、取り込まれていたりする。洗浄工程は、このアルカリ金属を除去する。洗浄工程を経て得られる上記水酸化物を原料固体1とすれば、この原料固体1は、アルカリ金属元素が少なく、バナジウムの純度が高い。
洗浄は、洗液を用いて行う。洗液は、例えば純水、硫酸等が挙げられる。上述のアルカリ金属の酸塩等は、水溶性であるため、純水や硫酸を用いれば、容易に除去できる。洗液のpHは、例えば5以上7以下が挙げられる。
例えば、洗浄工程(ステップS8)と、上記固体と洗液とを含む液体を固液分離する工程(ステップS7)とを1回以上行うことが挙げられる。
固液分離工程で抽出された固体を洗液中に分散させると、上述の酸塩等が洗液中に溶解される。この洗液中に上記固体が分散する液体を固液分離すれば、上記酸塩等が良好に除去される。
洗浄工程と固液分離工程とを1回以上行うことで、上記酸塩等が除去される。その結果、バナジウムの純度がより高い原料固体1が得られる。洗浄工程と固液分離工程との繰り返し回数が多いほど、上記酸塩等をより確実に除去できる。上記繰り返し回数が例えば3回以下であれば、洗浄工程の時間が長過ぎない上に、製造時間の増大及び廃液の増大とが防止される。上記酸塩等が除去されたら、洗浄を止める。
(主な作用効果)
実施形態の電解液の原料の製造方法は、アルカリ金属元素といった不純物が少ない原料固体1を製造できる。上述の形態A〜形態Cで説明したように、ニッケルや鉄等の不純物やアンモニア等が少ないベース液体10を利用すれば、これらの不純物も少ない原料固体1が製造される。好ましくは、本製法によって製造された原料固体1は、不純物について上記(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす。このような不純物が少ない原料固体1は、不純物が少ないバナジウム電解液を製造できる。不純物としてアルカリ金属元素が少ないバナジウム電解液を用いれば、レドックスフロー電池の性能の低下が抑制される。
また、本製法は、以下の理由〈1〉〜〈5〉により、不純物が少ない原料固体1を生産性よく製造できる。
〈1〉各工程の処理は、完全に湿式処理である。湿式処理であれば、上述したアンモニアの除去のような高温の加熱が不要である。例えば、焼却灰60からのアルカリ抽出(ステップS1)、純水及び酸の添加(ステップS3)、還元(ステップS4)、沈殿反応(ステップS5,S6)はそれぞれ、各工程の液体(例、水溶液)が沸騰しない程度の温度で反応が進む。そのため、各工程の処理に必要なエネルギーが少なくてよい。また、400℃以上といった高温の耐熱設備も不要である。
〈2〉アルカリ溶液31を添加することで、ベース液体10中の3価のバナジウムが沈殿し易い。代表的には、ベース液体10中の3価のバナジウムはほぼ100%沈殿する。そのため、バナジウムの回収率が高い。
〈3〉混合液体13を作製する際に、使用可能な水素イオン指数(pH)の範囲が広い。そのため、本製法は、混合液体13のpHの調整作業性に優れる。
〈4〉各工程の作業は、アルカリや酸といった試薬の添加、固液分離といった単純な作業であり、実施し易い。アルカリや酸に耐えられる撹拌槽と、固液分離装置とが少なくともあればよく、大がかりな設備が不要である。そのため、設備投資も少なくてよい。
〈5〉使用する上記試薬は、市販品を利用でき、入手し易い。また、市販品は、一般に安価である。そのため、製造コストが低くなり易い。
本製法は、以下の効果も奏する。
(1)酸添加工程を備える場合、第二液体12が固液分離され易い。そのため、バナジウムの回収率が高くなり易い。また、固液分離の時間が短くなり易い。更に、酸を添加した際に反応速度が速い。これらの点で、製造時間が短くなり易い。
(2)酸添加工程を備える場合、第二液体12の水素イオン指数(pH)の範囲が5〜7であれば、pHの範囲が広いため、pHの調整が行い易い。また、第二液体12のpHが上記の範囲であれば、第二液体12が固液分離性に優れる。
(3)開始物質の幅が広く、本製法は実施し易い。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、実施形態の電解液の原料の製造方法に利用されるベース液体10について、以下の変更が可能である。
(変形例1)前工程は、焼却灰60を水洗して、アンモニアを除去する工程を含む。
この形態では、焼却灰60にアルカリ溶液28を添加した際に、アンモニアの発生が抑えられる。そのため、アンモニアの除去に関する付帯設備が不要である。
(変形例2)原料液体9が4価の硫酸バナジウム(VOSO)を含む水溶液である。この場合、原料液体9を電解還元することで、ベース液体10が得られる。
(変形例3)ベース液体10は、三塩化バナジウム(VCl)を含む水溶液である。この場合、塩素の除去は以下のように行うことが挙げられる。ベース液体10にアルカリ溶液31を添加すると、アルカリ酸塩が例えばNaClとなる。3価のバナジウムの水酸化物を沈殿させた後、固液分離すれば、NaClが除去される。
1 原料固体
10 ベース液体
11,110 第一液体
12 第二液体
13 混合液体
28,31 アルカリ溶液
29,32 酸
6 原料
60 焼却灰、61 V/AMV、62 バナジン酸のアルカリ塩
63 古い電解液
9 原料液体
A1,A3,B3 液体
A2 ろ液

Claims (9)

  1. 3価のバナジウムを含む水酸化物からなる固体であり、
    前記固体中のアルカリ金属元素の合計含有量は、前記固体中のバナジウム元素の含有量に対して、1000質量ppm以下である、
    電解液の原料。
  2. 3価のバナジウムイオンを含む酸溶液にアルカリ溶液を添加して固体を含む混合液体を得る工程と、
    前記混合液体を固液分離する工程とを備え、
    前記固体は、3価のバナジウムを含む水酸化物である、
    電解液の原料の製造方法。
  3. 前記混合液体を得る工程において前記アルカリ溶液の添加量は、前記混合液体の水素イオン指数が4.5以上を満たす範囲である請求項2に記載の電解液の原料の製造方法。
  4. 前記混合液体を得る工程において前記アルカリ溶液の添加量は、前記混合液体の水素イオン指数が7以下を満たす範囲である請求項3に記載の電解液の原料の製造方法。
  5. 前記混合液体を得る工程において前記アルカリ溶液の添加量は、前記混合液体の水素イオン指数が7超を満たす範囲である請求項3に記載の電解液の原料の製造方法。
  6. 更に、前記水素イオン指数が7超である前記混合液体に酸を添加する工程を備え、
    前記混合液体を固液分離する工程では、前記酸が添加された前記混合液体を固液分離する請求項5に記載の電解液の原料の製造方法。
  7. 前記酸を添加する工程において前記酸の添加量は、前記酸が添加された前記混合液体の水素イオン指数が5以上7以下を満たす範囲である請求項6に記載の電解液の原料の製造方法。
  8. 更に、前記混合液体から固液分離された前記固体を洗液によって洗浄する工程を備え、
    前記固体を洗浄する工程と、前記固体と前記洗液とを含む液体を固液分離する工程とを1回以上行う請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の電解液の原料の製造方法。
  9. 更に、バナジウムイオンを含む原料液体に還元処理を施して、前記酸溶液を製造する工程を備え、
    前記還元処理は、電解還元及び還元剤を用いた処理の少なくとも一方である請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の電解液の原料の製造方法。
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