JP2021046685A - 地中遮水壁及び地中遮水壁築造方法 - Google Patents

地中遮水壁及び地中遮水壁築造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な遮水性能と変形追随性とを両立する地中遮水壁、及び、地中遮水壁の品質が安定し、かつ、築造において環境負荷を抑制できる地中遮水壁築造方法を提供する。【解決手段】炭酸水素塩を含む固化材入りのセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメント10を固化させて地中に築造される地中遮水壁1であって、固化後のソイルセメント10の断面において、C−S−Hゲルが存在する領域の面積が、断面全体の面積の15%以上である。【選択図】図5

Description

本発明は、地中遮水壁、及び、地中遮水壁築造方法に関する。
地下水位の調整、汚染水及び汚染土壌の封じ込め、並びに、堤体や調整池の漏水防止等を目的として、地中に連続遮水壁を築造する方法がある。
特に、地震による液状化対策として、地下水位低下工法が採用されている。地下水位低下工法では、地中に液状化対策をする区域の周辺において地中に連続遮水壁を築造し、その後、井戸等を利用して連続遮水壁に囲まれた地中の地下水位を低下させる。
このような、地中に連続遮水壁を築造する方法として、特許文献1に示すようなセメント系固化材を用いたスラリーやセメント・ベントナイトスラリーを地中に注入して撹拌混合して連続遮水壁を地中に築造する方法がある。さらに特許文献2に示すような、セメント系固化材を使用せず、ベントナイトによる地中遮水壁を築造する方法がある。
特開2015−172319号公報 特開2006−291703号公報
特許文献1のセメント系固化材を用いたスラリーやセメント・ベントナイトスラリーによる地中遮水壁は、曲げや引張に対して弱く、柔軟性が極めて低い。また、セメント系固化材及びセメント・ベントナイトの必要量の調整が難しく、地中遮水壁の品質が安定しないという問題もある。また、スラリーを地中で練り混ぜるために大量の水が必要となるという問題もある。
特許文献2のベントナイトによる地中遮水壁は、粘度発現や水膨潤性が乏しく十分な遮水性能が得られない場合があるという問題がある。また、ベントナイトの必要量の調整が難しく、地中遮水壁の品質が安定しないという問題もある。また、排土が大量に生じるという問題がある。
そこで、上記点より本発明は、十分な遮水性能と変形追随性とを両立する地中遮水壁、及び、地中遮水壁の品質が安定し、かつ、築造おいて環境負荷を抑制できる地中遮水壁築造方法を提供することを目的とする。
請求項1の地中遮水壁は、炭酸水素塩を含む固化材入りのセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを固化させて地中に築造される地中遮水壁であって、固化後のソイルセメントの断面において、C−S−Hゲルが存在する領域の面積が、断面全体の面積の15%以上である。
請求項1の地中遮水壁によれば、固化後のソイルセメントの断面において、C−S−Hゲルが存在する領域の面積が、断面全体の面積の15%以上となっていることで、地中遮水壁に存在するC−S−Hゲルにより地中遮水壁の遮水係数を事実上不透水レベルとすることができ、十分な遮水性能を実現できる。また、固化後のソイルセメントの断面においてにおいて、C−S−Hゲルが存在する領域の面積が、断面全体の面積の15%以上となっていることで、地中遮水壁に存在するC−S−Hゲルにより破壊ひずみが2%以上となり、遮水壁の柔軟性が得られ、十分な変形追随性能及び自己修復性能を実現できる。
請求項2の地中遮水壁は、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを固化させて地中に築造される地中遮水壁であって、固化させたソイルセメントのC−S−Hゲルの端部は、微細な針が多数飛び出している形状となっており、炭酸水素塩を含まない固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントと比較して、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂を混合撹拌し固化させたソイルセメントのC−S−Hゲルの端部の微細な針が太くなっている。
C−S−Hゲルの端部の形状は、C−S−Hゲルの結合の強さに影響を及ぼす。炭酸水素塩を含まない固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントでは、C−S−Hゲルの端部の微細な針が比較的細いため、C−S−Hゲルが互いに複雑に絡み合って、高い結合力が生じる。これに対して、請求項2の地中遮水壁によれば、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントでは、炭酸水素塩を含まない固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントと比べて、C−S−Hゲルの端部の微細な針が比較的太いため、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントのC−S−Hゲルが比較的低い結合力となる。よって、炭酸水素塩を含まない固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントと比較して、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントは、地中遮水壁の柔軟性が高まり、変形追随性能を向上させることができる。
請求項3の地中遮水壁は、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを固化させて地中に築造される地中遮水壁であって、固化後の前記ソイルセメントは、遮水性を示す透水係数が10−7cm/s以下、かつ、変形追随性及び自己修復性を示す破壊ひずみが2%以上である
請求項3の地中遮水壁によれば、遮水性を示す透水係数が10−7cm/s以下となっていることによって、地中遮水壁は、事実上不透水レベルとなり、十分な遮水性能を実現できることに加えて、変形追随性及び自己修復性を示す破壊ひずみが2%以上となっていることによって、地中遮水壁は、地震等が発生した後も、十分な遮水性能及び自己修復性能を実現できる。
請求項4の地中遮水壁は、請求項3の地中遮水壁において、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌した固化前のソイルセメントは、さらに、流動性を示すフロー値が15cm以上である。
請求項4の地中遮水壁によれば、請求項3の地中遮水壁と同様の作用に加えて、さらに炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌した固化前のソイルセメントは、流動性を示すフロー値が15cm以上となっていることによって、地中遮水壁の築造施工時に、固化前のソイルセメントの不要な拡散を抑制しつつ、所定の位置に固化前のソイルセメントを充填することができる。
請求項5の地中遮水壁築造方法は、地中で炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させて、遮水壁を築造する。
請求項5の地中遮水壁築造方法によれば、必要量の調整が容易な炭酸水素塩を使用する。そのため、品質が安定した地中遮水壁を築造することができる。また、地中でセメントミルク及び炭酸水素塩を含む固化材と地盤土砂とを混合撹拌するので、排土の量を抑制して、地中に遮水壁を築造することができる。
請求項6の地中遮水壁築造方法は、請求項5の地中遮水壁築造方法において、炭酸水素塩は重曹である
請求項6の地中遮水壁築造方法は、請求項5の地中遮水壁築造方法と同様に作用する上に、重曹は地中に注入しても、人を含む動植物に害を及ぼす恐れがないことが明らかな物質であるため、築造の安全性を向上させることができる。
請求項7の地中遮水壁築造方法は、請求項5又は6の地中遮水壁築造方法において、地中で地盤土砂を泥水掘削した後に、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクを注入しながら、地中で地盤土砂と混合撹拌して固化させる。
請求項7の地中遮水壁築造方法は、請求項5又は6の地中遮水壁築造方法と同様に作用する上に、地中で地盤土砂を泥水掘削した後に、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクを注入しながら、地中で地盤土砂と混合撹拌して固化させることで、排土の量を抑制しつつ、地盤土砂と固化材との混合を効率良くおこなうことができる。
請求項1から4の地中遮水壁は、十分な遮水性能と変形追随性及び自己修復性とを両立することができる。また、請求項5から7の地中遮水壁築造方法は、地中遮水壁の品質が安定し、かつ、築造おいて環境負荷を抑制できる。
重曹を混入していないセメントミルクからなるソイルセメントの試験体の破断面の実体顕微鏡観察写真である。 重曹を混入したセメントミルクからなるソイルセメントの試験体の破断面の実体顕微鏡観察写真である。 重曹を混入していないセメントミルクからなるソイルセメントの試験体の走査型電子顕微鏡の二次電子像である。 重曹を混入したセメントミルクからなるソイルセメントの試験体の走査型電子顕微鏡の二次電子像である。 本発明の一実施形態の地中遮水壁の斜視図である。 図5の地中遮水壁を構成する柱状体の施工を示す断面図である。
1.1 固化したソイルセメントの供試体の実験
本発明の地中遮水壁が十分な遮水性能と変形追随性及び自己修復性とを両立していることを確認する目的の試験を実施した。
1.2 供試体の材料
供試体は、後述する表1中の検討例1〜4に示すように、地盤土砂の「標準砂」に、炭酸水素塩である重曹と粘土とセメントと水の配合条件を変えて、それぞれ混合して作製した。比較のための供試体として、後述する表1中の比較例1〜2に示すように、「標準砂」に粘土とセメントと水を混合して作製した。
「標準砂」は山口県豊浦エリアでも限定された場所でしか産出されない純粋な天然のシリカサンドである。天然砂の特質は、粉砕された人工のものに比べ、自然界に存在する形状をなしているので、粒に丸みがあり、その特質のため、実験や測定で発生する誤差を小さくし、安定した結果をえることができる硅砂である。
さらに、後述する表2中の検討例6〜10に示すように、地盤土砂として、実際に地震後の液状化が発生した「熊本市区内現場土(以下、熊本砂)」に、炭酸水素塩である重曹と粘土とセメントと水の配合条件を変えて、それぞれ混合して作製した。比較のための供試体として、後述する表2中の比較例3に示すように、「標準砂」に粘土とセメントと水を混合して作製した。
「熊本砂」は、熊本市の液状化した原位置で採取した。熊本砂は、含水比が高く約40%で土の飽和度が100%を越えていたため、含水比20%に調整して使用した。
1.3 供試体の作製
(1) 用量3000mlのビーカーに水道水300gを投入し、ディスパーに設置する。
(2) ミキサーを700rpmで回転させ、各検討例の配合条件に合わせた量のセメントを投入し3分間攪拌する。
(3) 検討例の供試体では、上記(2)に、各検討例の配合条件に合わせた量の炭酸水素塩である重曹および粘土を投入し5分間攪拌後、固化剤を作製する。比較例の供試体では、上記(2)に、各比較例の配合条件に合わせた量の粘土のみを投入し、5分間攪拌後、固化剤を作製する。
(4) 標準砂又は熊本砂700gに対し、上記(3)の各検討例及び各比較例の固化剤を投入する。
(5) モルタルミキサーにて5分間攪拌し、固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌した固化前のソイルセメントを作製する。
(6) 上記(5)の固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを変水位透水試験用モールドに充填し、各検討例及び各比較例の透水試験用の供試体を作製する。
(7) 上記(5)のセメントミルク及び炭酸水素塩を含む固化材と地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを一軸圧縮試験用モールドへ投入し、20度±0.5度の恒温槽にて所定期間養生して、各検討例及び各比較例の一軸圧縮試験用の供試体を作製する。
1.4 透水試験(変水位法 JIS A1218/JGS 0311)
透水試験は、比較的に透水性が低い粘性土・シルト質土に用いられる変水位法 JIS A1218/JGS 0311の試験方法を用いて透水係数を測定した。地中遮水壁において、十分な遮水性能を実現できる透水係数の目標値は、10-7cm/sec以下とした。
1.5 一軸圧縮試験 (JIS A1216/JGS 0511)
一軸圧縮試験は、粘性土の供試体の一軸圧縮強度及び破壊ひずみを求めるものである。試験は、複数の配合パターンで混合された供試体を材齢7日の養生期間を設けて一軸圧縮強度機を用いておこなった。地下水位低下工法による偏土圧に対する安全性を確保するため、地中遮水壁における十分な強度の目標値は、100kN/m2以上とした。また、地中遮水壁において、変形追随性及び自己修復性を実現するため、破壊ひずみの目標値は、2%以上とした。
2.1 固化前のソイルセメントの供試体の実験
また、本発明の地中遮水壁の築造施工時に、セメントミルク及び炭酸水素塩を含む固化材と地盤土砂とを混合撹拌したものが十分な流動性があることを確認する目的の実験も実施した。この実験について、以下に説明する。
2.2 供試体の材料
供試体は、地中遮水壁が十分な遮水性能と変形追随性及び自己修復性とを両立していることを確認する目的の試験と同様に、標準砂の検討例1〜5、標準砂の比較例1〜3、熊本砂の検討例6〜11である。
2.3 供試体の作製
(1) 用量3000mlのビーカーに水道水300gを投入し、ディスパーに設置する。
(2) ミキサーを700rpmで回転させ、各検討例の配合条件に合わせた量のセメントを投入し3分間攪拌する。
(3) 検討例の供試体では、上記(2)に、各検討例の配合条件に合わせた量の炭酸水素塩である重曹および粘土を投入し5分間攪拌後、固化剤を作製する。比較例の供試体では、上記(2)に、各比較例の配合条件に合わせた量の粘土のみを投入し、5分間攪拌後、固化剤を作製する。
(4) 標準砂又は熊本砂700gに対し、上記(3)の各検討例及び各比較例の固化剤を投入する。
(5) モルタルミキサーにて5分間攪拌し、固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌した固化前のソイルセメントのフロー試験用の供試体を作製する。
2.4 フロー試験(JIS A313)
フロー試験は、複数の配合パターンで混合されたソイルセメントの供試体の固化前の流動性を確認した。地中遮水壁の築造施工時に、固化前のソイルセメントの不要な拡散を抑制しつつ、所定の位置に固化前のソイルセメントを充填することができるように、フロー値の目標値は、15cm以上とした。
3.試験結果
標準砂での各検討例及び各比較例の配合条件、透水試験、一軸圧縮試験及びフロー試験の結果を以下の表1に示す。
Figure 2021046685
標準砂の各検討例及び比較例の中で、標準砂の検討例4と検討例5が、透水係数の目標値10-7cm/sec以下、強度の目標値100kN/m2以上、破壊ひずみの目標値2%以上、及び、フロー値の目標値15cm以上をすべて満たす。
したがって、地盤土砂の「標準砂」、炭酸水素塩である重曹、粘土、セメント、及び水を適切な配合条件とすることによって、地中遮水壁は、十分な遮水性能と変形追随性及び自己修復性とを両立することができる
比較例1と比較例2は、セメントの量を多くしたことによって、破壊ひずみの目標値を満たすことができなくなっている。
標準砂の検討例4と検討例5は、比較例1と比較例2と比べて、少ないセメントの量で、透水係数、強度、破壊ひずみ及びフロー値の目標値を満たすことができる。したがって、地盤土砂の「標準砂」、炭酸水素塩である重曹、粘土、セメント、及び水を適切な配合条件とすることによって、地中遮水壁は、セメントの使用量を抑制することで、経済性が向上し、環境負荷を抑制することができる。
熊本砂での各検討例及び各比較例の配合条件、透水試験、一軸圧縮試験及びフロー試験の結果を以下の表2に示す。
Figure 2021046685
熊本砂の検討例9と検討例10が、透水係数の目標値10-7cm/sec以下、強度の目標値100kN/m2以上、破壊ひずみの目標値2%以上、及び、フロー値の目標値15cm以上をすべて満たす。なお熊本砂の比較例3及び検討例6〜8は、供試体が自立することなく、当然強度の目標値を満たしていない。
したがって、地盤土砂の「熊本砂」、炭酸水素塩である重曹、粘土、セメント、及び水を適切な配合条件とすることによって、地中遮水壁は、十分な遮水性能と変形追随性及び自己修復性とを両立することができる。
セメントミルクに炭酸水素塩である重曹を混入することでC−S−Hゲルの生成が促進されるメカニズムについて、以下に説明する。
セメント組成物である3CaO・SiO2と水との化学反応は以下の通りである。
Figure 2021046685
化学式1中の2CaO・SiO2・1.17H2Oは、C−S−Hゲルの水和物である。
また、セメントミルクに重曹が混入されると重曹を同時に加えると、重曹と水による加水分解反応が起こる。
Figure 2021046685
化学式2の加水分解反応によって生じたナトリウムイオンによって、化学式1での2CaO・SiO2・1.17H2OのC−S−Hゲルの生成が促進されるようになっている。
重曹を混入していないセメントミルクからなるソイルセメントの試験体の破断面の実体顕微鏡観察写真を図1に示す。重曹を混入したセメントミルクからなるソイルセメントの試験体の破断面の実体顕微鏡観察写真を図2に示す。
各破断面には白色が濃い粒状の点が多数見られる。この白色が濃い粒状の点がC−S−Hゲルである。各破断面におけるC−S−Hゲルの領域の面積と破断面全体の面積との比率は、重曹を混入していないセメントミルクからなるソイルセメントの試験体では約10%であり、重曹を混入したセメントミルクからなるソイルセメントの試験体では約15%である。
C−S−Hゲルは、多孔質であり、吸水して膨張するようになっている。限界まで吸水し膨張したC−S−Hゲルは、水を通さない。そのため、地中遮水壁におけるC−S−Hゲルの量が多くなればなるほど、遮水性能を向上させることができる。
また、C−S−Hゲルが吸水して膨張することによって、地中遮水壁内部の空隙が充填され、地中遮水壁の自己修復性能が得られる。
重曹を混入していないセメントミルクからなるソイルセメントの試験体において、破断面、目視にて観察し、白色生成物であるC−S−Hゲルが確認できた箇所から観察用試料を採取した。採取した試料を観察面が上になるように試料台に固定し、導電性を持たせるため、イオンスパッタリング装置にて表面に金を蒸着した後、走査型電子顕微鏡を使用して、図3に示すC−S−Hゲルの端部構造を観察できる二次電子像を得た。
重曹を混入したセメントミルクからなるソイルセメントの試験体においても、同様に、図4に示すC−S−Hゲルの端部構造を観察できる二次電子像を得た。
図3では、重曹を混入していないセメントミルクからなるソイルセメントのC−S−Hゲルの端部が、微細な針が多数飛び出している形状となっている。これに対し、図4では、図3と比較して、重曹を混入したセメントミルクからなるソイルセメントのC−S−Hゲルの端部の微細な針が太くなっている。
以下、本発明の地中遮水壁1の築造について説明する。
本発明の地中遮水壁1は、図5に示すように、地中に遮水性能を有する複数の柱状体10が連なった構成となっている。複数の柱状体10は、ラップ配置となっている。
柱状体10の施工について、図6を用いて説明する。本発明の地中遮水壁の築造施工で使用する施工機は、昇降及び回転可能に支持されたロッド2と、該ロッドの下に設けられロッド2と一体となって回転する攪拌ヘッド3とを有する。
図6の(a)に示すように、ロッド2の回転軸を柱状体の杭芯位置にセットする。次いで、図6の(b)から(c)に示すように、泥水を撹拌ヘッド3から注入しながらロッド2を回転降下させることによって、撹拌ヘッド3が所定の深度に達するまで、地盤土砂と泥水を撹拌する。次いで、図6の(d)から(e)に示すように、ロッド2を回転上昇させることによって、撹拌ヘッド3がさらに地盤土砂と泥水を撹拌する。
次いで、図6の(f)から(g)に示すように、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクを撹拌ヘッド3から注入しながらロッド2を回転降下させることによって、撹拌ヘッド3が所定の深度に達するまで、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂と泥水を撹拌する。次いで、図6の(h)から(i)に示すように、ロッド2を回転上昇させることによって、撹拌ヘッド3がさらに地盤土砂と泥水を撹拌する。
図6の(j)に示すように、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂と泥水を撹拌された領域が固化すると、地中遮水壁1を構成する柱状体10が造成される。
所定の複数の杭芯位置において、図6(a)から(e)の泥水注入の撹拌作業を行った後、図6(e)から(i)のセメントミルク注入の撹拌作業を行って固化すると、複数の柱状体10が壁状に連なり、地中遮水壁1が築造される。このような地中に遮水性能を有する複数の柱状体10が連なった構成となった地中遮水壁を、液状化対策する区域の周辺の地中に築造することで、地下水位低下の影響をなくすことができる。
なお、本発明の実施では、比較的小型の掘削重機で地中遮水壁を築造することができるので、騒音・振動を抑制するとともに、狭い道路や住宅密集地での地中遮水壁の築造することができる。
また、図6では、一本の柱状体を造成する場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、複数本の柱状体を同時に造成してもよい。また、トレンチャータイプの重機で柱状体を造成してもよい。
1 地中遮水壁
2 ロッド
3 撹拌ヘッド
10 柱状体

Claims (7)

  1. 炭酸水素塩を含む固化材入りのセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを固化させて地中に築造される地中遮水壁であって、
    固化後のソイルセメントの断面において、C−S−Hゲルが存在する領域の面積が、断面全体の面積の15%以上であることを特徴とする地中遮水壁。
  2. 炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを固化させて地中に築造される地中遮水壁であって、
    固化させたソイルセメントのC−S−Hゲルの端部は、微細な針が多数飛び出している形状となっており、
    炭酸水素塩を含まない固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させたソイルセメントと比較して、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂を混合撹拌し固化させたソイルセメントのC−S−Hゲルの端部の微細な針が太くなっていることを特徴とする地中遮水壁。
  3. 炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌したソイルセメントを固化させて地中に築造される地中遮水壁であって、
    固化後の前記ソイルセメントは、遮水性を示す透水係数が10−7cm/s以下、かつ、変形追随性及び自己修復性を示す破壊ひずみが2%以上であることを特徴とする地中遮水壁。
  4. 炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌した固化前のソイルセメントは、さらに、流動性を示すフロー値が15cm以上であることを特徴とする請求項3に記載の地中遮水壁。
  5. 地中で炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクと地盤土砂とを混合撹拌し固化させて、遮水壁を築造することを特徴とする地中遮水壁築造方法。
  6. 炭酸水素塩は重曹であることを特徴とする請求項5に記載の地中遮水壁築造方法。
  7. 地中で地盤土砂に泥水を注入しながら、地盤土砂と混合撹拌した後に、炭酸水素塩を含む固化材入りセメントミルクを注入しながら、地中で地盤土砂と混合撹拌して固化させることを特徴とする請求項5又は6に記載の地中遮水壁築造方法。
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