JP2021041672A - インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置 - Google Patents

インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021041672A
JP2021041672A JP2019167402A JP2019167402A JP2021041672A JP 2021041672 A JP2021041672 A JP 2021041672A JP 2019167402 A JP2019167402 A JP 2019167402A JP 2019167402 A JP2019167402 A JP 2019167402A JP 2021041672 A JP2021041672 A JP 2021041672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
base material
contact
drying
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019167402A
Other languages
English (en)
Inventor
希 寺井
Nozomi Terai
希 寺井
中村 琢磨
Takuma Nakamura
琢磨 中村
勇祐 藤田
Yusuke Fujita
勇祐 藤田
真樹 工藤
Maki Kudo
真樹 工藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2019167402A priority Critical patent/JP2021041672A/ja
Publication of JP2021041672A publication Critical patent/JP2021041672A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】耐擦過性及び乾燥性に優れ、かつブロッキングの発生を抑制できる印刷装置の提供。【解決手段】インクと、該インクが付与された基材を乾燥させる乾燥機構とを有する印刷装置であって、前記乾燥機構は、前記基材の前記インクが付与される面を非接触で加熱する非接触加熱手段と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱手段と、を有し、前記接触加熱手段より、前記非接触加熱手段の方が、加熱温度が高い乾燥機構であり、前記インクが、水、色材、樹脂、及び有機溶剤を含有し、前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m2以下である印刷装置である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置に関する。
近年、インクジェットプリンターの用途多様化に伴い、印刷する基材も多様化しており、例えば、プラスチックフィルム等の非浸透性基材に印刷することも試みられている。
前記非浸透性基材への印刷では、基材上の液体が基材に浸透せず乾燥し難い場合があり、乾燥が不十分な状態では画像の剥がれや裏写りが課題となる。
前記課題を解決するため、例えば、インクを付与した基材に接触しながら加熱する熱ロールと、熱ロールに接触しながら搬送されるインクを付与した基材の表面に熱風を送風する第1熱風送風手段と、第1熱風送風手段よりも基材の搬送方向の下流側に設けられ第1熱風送風手段よりも高温の熱風を送風する第2熱風送風手段と、を備える乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、耐擦過性及び乾燥性に優れ、かつブロッキングの発生を抑制できる印刷装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の印刷装置は、インクと、該インクが付与された基材を乾燥させる乾燥機構とを有する印刷装置であって、前記乾燥機構は、前記基材の前記インクが付与される面を非接触で加熱する非接触加熱手段と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱手段と、を有し、前記接触加熱手段より、前記非接触加熱手段の方が、加熱温度が高い乾燥機構であり、前記インクが、水、色材、樹脂、及び有機溶剤を含有し、前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下である。
本発明によると、耐擦過性及び乾燥性に優れ、かつブロッキングの発生を抑制できる印刷装置を提供することができる。
図1は、第1の実施形態の画像形成装置の構成の一例を説明する概略図である。 図2は、第1の実施形態の画像形成装置の有する制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 図3は、第1の実施形態の画像形成装置の有する制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 図4は、第1の実施形態の乾燥装置の構成の一例を説明する概略図である。 図5は、第1の実施形態の乾燥装置による乾燥の様子を説明する概略図である。 図6は、第1の実施形態の乾燥装置におけるドラムヒータの温度を検出する構成の一例を説明する概略斜視図である。 図7は、搬送に必要な張力をかけながら基材を加熱した時の基材の伸びを説明する図である。 図8は、第1の実施形態の乾燥装置による基材の伸びを抑制した高速乾燥のメカニズムを説明する概略図である。 図9は、本発明に係る印刷装置の一例を示す概略側面図である。 図10は、本発明に係る印刷装置の他の一例を示す概略側面図である。
(印刷装置及び印刷方法)
本発明の印刷装置は、インクと、該インクが付与された基材を乾燥させる乾燥機構とを有する印刷装置であって、前記乾燥機構は、前記基材の前記インクが付与される面を非接触で加熱する非接触加熱手段と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱手段と、を有し、前記接触加熱手段より、前記非接触加熱手段の方が、加熱温度が高い乾燥機構であり、前記インクが、水、色材、樹脂、及び有機溶剤を含有し、前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であり、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の印刷方法は、基材にインクを付与するインク付与工程と、前記インクが付与された前記基材を乾燥させる乾燥工程と、を含む印刷方法であって、前記乾燥工程は、前記基材の前記インクが付与された面を非接触で加熱する非接触加熱処理と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱処理とを含み、前記接触加熱処理の加熱温度より、前記非接触加熱処理の加熱温度の方が高い工程であり、前記インクは、色材、樹脂、水、及び有機溶剤を含み、前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であり、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の印刷方法は、本発明の印刷装置により好適に実施することができ、インク付与工程はインク付与手段により行うことができ、乾燥工程は乾燥機構により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
従来技術では、単に熱ロールのような接触式加熱手段と、熱風送風のような非接触式加熱手段とを併用して乾燥させるだけでは、例えば、プラスチックフィルムのように熱の影響を受けやすい基材の場合には、前記基材が熱変形したり、皺が生じるという問題がある。
また、例えば、インクのような液体を付与した基材に対して液体の表面側から熱風乾燥した場合には、液体の表面側が速く乾燥し、内部に溶剤の一部が残留し、その影響によってブロッキングの発生が課題となる。
本発明においては、前記乾燥機構が、前記接触加熱手段より、前記非接触加熱手段の方が、加熱温度が高い乾燥機構であることにより、乾燥性に優れると共に、基材の熱変形を抑制することができる。
インクが付与される面側を加熱する加熱手段の方が、インクが付与される面の裏側を加熱する加熱手段よりも加熱温度が高い場合、インクの表面から乾燥が進み、インク塗膜内部にインクの有機溶剤の一部が残留してブロッキングの発生につながる場合がある。
しかし、前記インクで形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1600mg/m以下であるインクを用いることにより、インク中から溶剤が離れやすく、溶剤が残留せず、ブロッキングの発生を抑制することができる。なお、前記残留溶剤量は少ないほど好ましい。
ここで、残留溶剤量は、以下のようにして測定することができる。
テトラヒドロフランに内部標準試料N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)を0.1質量%添加し、これを10mLバイアル瓶に4gずつ取り分け抽出液とする。
卓上インクジェット印字機でインクをOKトップコート+(T目、王子製紙株式会社製)にベタ画像を印字し、ホットプレート上において、90℃で2分間乾燥する。乾燥後のコート紙から8.5cm×5cmを切り出し、前記抽出液に浸漬させ、インク中の残留溶剤を抽出する。
この残留溶剤抽出液中の顔料を遠心分離により沈殿させた後、上澄み液を回収し、サンプルとする。
得られたサンプルをAgilent社製GC(7890B)に導入し、JEOL社製MS(JMS−Q−1500GC)にて、下記の測定条件により、残留溶剤量[mg/m]を検出する。
[GC/MS測定条件]
(GC制御)
・スプリット比:50
・注入口温度:250℃
・カラムの温度プログラム:50℃1分間保持→130℃まで10℃/min昇温→280℃まで20℃/min昇温→5分間保持
・カラム:J&W Scientific DB−35MS
[MS制御]
・質量数:20〜500
・イオン化電流:200
・イオン源温度:200℃
・イオン化エネルギー:70eV
・GCインターフェース温度:250℃
以下、本発明の印刷装置及び印刷方法に用いられるインク、本発明のインクセット、本発明の印刷物について詳細に説明する。
<インク>
本発明に用いられるインクは、色材、樹脂、水、有機溶剤を含有し、更に必要に応じて添加剤を含有してもよい。
<<有機溶剤>>
前記有機溶剤としては、沸点が190℃以下である有機溶剤を少なくとも1種含み、前記沸点が190℃以下である有機溶剤の含有量が、インク全量に対して35質量%以上であることが好ましく、37質量%以上がより好ましい。前記沸点が190℃以下である有機溶剤の含有量の上限値は60質量%以下であることが好ましい。これにより、高沸点の有機溶剤を含まず、溶剤離れに優れたインクとすることができ、更に耐擦過性に優れる画像を形成することができる。
前記沸点が190℃以下である有機溶剤としては、例えば、1,2−プロパンジオール(沸点187℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、2,3−ブタンジオール(沸点177℃)、1,4−ペンタンジオール(沸点72.5℃)、1,5−ヘキサンジオール(沸点90℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(沸点178℃)、1,2,3−ブタントリオール(沸点175℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点175℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171.2℃)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点125℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149℃)、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン(沸点141℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(沸点108℃)、ε−カプロラクタム(沸点137℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、モノエタノールアミン(沸点170℃)、トリエチルアミン(沸点89.7℃)、チオジエタノール(沸点166℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性の点から、1,2−プロパンジオール(沸点187℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(沸点174℃)が特に好ましい。
前記有機溶剤としては、必要に応じて前記沸点が190℃以下の有機溶剤以外の有機溶剤を用いることもできる。
このような有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−ブタンジオール(沸点194℃)、エチレングリコール(沸点197.3℃)、ジエチレングリコール(沸点244.3℃)、1,3−ブタンジオール(沸点204℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点203℃)、トリエチレングリコール(沸点245℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点206℃)、1,3−ペンタンジオール(沸点209℃)、2,4−ペンタンジオール(沸点198℃)、1,5−ペンタンジオール(沸点239℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点223℃)、1,6−ヘキサンジオール(沸点250℃)、1,3−ヘキサンジオール(沸点221.7℃)、2,5−ヘキサンジオール(沸点217℃)、グリセリン(沸点290℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点244℃)、1,2,4−ブタントリオール(沸点190.5℃)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(沸点232℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点196℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点256℃)、2−ピロリドン(沸点245℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点204℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、ホルムアミド(沸点210℃)、N−メチルホルムアミド(沸点199℃)、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(沸点215.2℃)、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(沸点215℃)、ジエタノールアミン(沸点280℃)、スルホラン(沸点285℃)、プロピレンカーボネート(沸点240℃)、炭酸エチレン(沸点260.7℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点243℃)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(沸点232℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤のインク中における含有量(2種以上の有機溶剤を用いる場合には合計含有量)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、15質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<<水>>
前記水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<<色材>>
色材としては、特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35などが挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えば、カーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散性顔料などが使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを使用することが可能である。
竹本油脂株式会社製RT−100(非イオン性界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<<顔料分散体>>
色材に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度は20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルタ、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<<樹脂>>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐擦過性の点から、ウレタン樹脂が好ましい。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、及びインクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましい。
<<添加剤>>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等の添加剤を加えてもよい。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、均一な画像濃度が得られる点から、非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
非イオン性界面活性剤の含有量は、インクの全量に対して、1.0質量%以下が好ましく、0.001質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(S−1)式で表される、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2021041672
(ただし、前記一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表し、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社製)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社製)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社製)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社製)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、下記一般式(F−1)及び下記一般式(F−2)で表されるフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
[一般式(F−1)]
Figure 2021041672
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
[一般式(F−2)]
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はC2n+1であり、nは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−C2n+1であり、nは4〜6の整数であり、C2p+1ではpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記フッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
−消泡剤−
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
−防腐防黴剤−
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
−防錆剤−
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
−pH調整剤−
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、前記粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−80L)を使用することができる。前記粘度の測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、画像形成れる点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、又はホワイトなどが挙げられる。
(インクセット)
本発明のインクセットは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクから選択される少なくとも2種からなるインクセットであって、
前記シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクから選択される少なくとも2種のインクは、いずれも色材、樹脂、水、及び有機溶剤を含み、
前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下である。
2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を記録することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を記録することができる。ホワイトインクはカラー画像の下地として好適である。
(印刷物)
本発明の印刷物は、基材と、該基材上にインク膜とを有し、前記インク膜が、色材及び樹脂を含有し、前記インク膜の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下である。
本発明の印刷物は、本発明で用いられるインク又は本発明のインクセットを用い、基材上に本発明の印刷方法によって印刷することで得られる。
<基材>
前記基材としては、特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
基材としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、基材を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
本乾燥機構を用いることで、60℃で基材が変形してしまう軟化性基材も良好に印字することができる。例えば、接着剤が塗布されているようなシール基材、軟化点が低いウィンドウフィルム、壁紙、PVCフィルムなどが挙げられる。
本発明の一態様において、基材にインクを付与する前に、基材に前処理液を付与する前処理液付与機構を有し、前記前処理液は樹脂を含有することが好ましい。前処理液の付与により、より高品質な画像を形成することができる。
<前処理液>
本発明に用いられる前処理液は、樹脂を含有することが好ましく、凝集剤、有機溶剤、及び水を含有することがより好ましく、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等の添加剤を含有してもよい。
前処理液を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
−樹脂−
前記前処理液中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、他の材料と混合して前処理液を得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
前処理液中の樹脂の含有量としては、1質量%以上35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
−凝集剤−
前記凝集剤の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性カチオンポリマー、酸、金属塩などが挙げられる。
金属塩を用いる場合、多価金属塩であることが好ましい。
金属塩としては、例えば、チタン塩、クロム塩、銅塩、コバルト塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、鉄塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、ニッケル塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
凝集剤を用いることで、凝集剤がインク中の成分と反応して画像の滲み等を抑制することができ、高画質な画像を形成することができる。
前記前処理液における前記有機溶剤、前記界面活性剤、前記消泡剤、前記pH調整剤、前記防腐防黴剤、及び前記防錆剤については、前記インクと同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
<印刷装置及び印刷方法>
次に、本発明の印刷装置及び印刷方法を実施するための形態について、図面を参照して説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
本実施形態において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。なお、「液体を吐出する装置」と「液体吐出装置」は同義である。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インク等の液体を吐出させて基材に画像を形成する装置である印刷装置、画像形成装置、インクジェット記録装置等がある。
前記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましく、インクなどが挙げられる。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていてもよい。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出及び噴射する機能部品である。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
[第1の実施形態]
以下、「液体が付着可能なもの」を基材とし、「液体を吐出する装置」をインクジェット方式の画像形成装置とした場合を例に、第1の実施形態を説明する。なお、基材とは、食品包装用途等で用いられる、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックを材質とする薄いフィルムである。
まず、図1は、本実施形態の画像形成装置の構成の一例を説明する図である。画像形成装置100は、液体吐出ユニット1と、乾燥ユニット2と、供給ユニット3と、排出ユニット4と、搬送ユニット5とを有している。画像形成装置100は、供給ユニット3から供給される基材20を矢印で示した搬送方向10に沿って搬送ユニット5により搬送する。また画像形成装置100は、搬送される基材20に対してインクを吐出し、基材20の表面にインクを付着させ、画像を形成する。
ここで、基材20は、巻き取り可能なロール状の連帳のフィルムである。
液体吐出ユニット1から吐出される液体は、例えば、前記のようなインクである。
液体吐出ユニット1は、ブラック用液体吐出ヘッド1Kと、イエロー用液体吐出ヘッド1Yと、シアン用液体吐出ヘッド1Cと、マゼンタ用液体吐出ヘッド1Mとを有している。各液体吐出ヘッド1K〜1Mは、それぞれブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の4色の液体を吐出する。
但し、本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の液体吐出ヘッドを有する画像形成装置を説明するが、これに限定はされない。例えばグリーン(G)、レッド(R)、バイオレット(V)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ホワイト(W)、メタリック及び/又はその他の色に対応する液体吐出ヘッドを更に備えてもよい。
供給ユニット3は、液体が吐出される前の基材20を保持するとともに、基材20を供給する。基材20は、液体吐出ユニット1による画像形成、及び乾燥ユニット2による乾燥が進むにつれ、供給ユニット3から供給される。供給ユニット3は、例えば基材20が巻き付けられた供給ローラと、供給ローラを回転させるモータと、モータを制御する制御ユニットとを有している。
乾燥ユニット2は、基材20に吐出された液体を乾燥させる。この乾燥ユニット2については、別途詳述する。
排出ユニット4は、乾燥された基材20を巻き取る。排出ユニット4は、例えば基材20を巻き付ける排出ローラと、排出ローラを回転させるモータと、モータを制御する制御ユニットとを有している。
搬送ユニット5は、供給ユニット3から供給された基材20を液体吐出ユニット1、乾燥ユニット2、及び排出ユニット4等に向けて搬送する。搬送ユニット5は、例えば、駆動ローラ、及び従動ローラを含む複数の搬送ローラと、駆動ローラを回転させるモータと、モータを制御する制御ユニットと、搬送ローラに巻回されたベルト部材とを有している。
次に、本実施形態の画像形成装置の有する制御装置200のハードウェア構成の一例を、図2のブロック図を参照して説明する。
制御装置200は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201と、RAM(Random Access Memory)202と、ROM(Read Only Memory)203と、外部I/F(Interface)204と、HDD(Hard Disk Drive)205とを有している。
また制御装置200は、温風温度センサI/F206と、非接触ヒータI/F207と、ドラムセンサI/F208と、ドラムヒータI/F209とを有している。これらは、システムバス220を介して相互に接続されている。
CPU201は、制御装置200の動作を統括的に制御する。CPU201は、RAM202をワークエリア、すなわち作業領域として、ROM203、又はHDD205等に格納されたプログラムを実行する。これにより制御装置200全体の動作を制御し、後述する各種機能を実現する。外部I/F204は、画像形成装置100に、PC(Personal Computer)、モータ制御ユニット等の外部機器や外部ネットワークを接続するためのインタフェースである。
制御装置200は、温風温度センサI/F206、非接触ヒータI/F207、ドラムセンサI/F208、及びドラムヒータI/F209のそれぞれを介して、温風温度センサ210、非接触ヒータ211、ドラム温度センサ212、及びドラムヒータ213に接続されている。これにより、これらの各機器とのデータ、又は信号の送受を可能としている。
温風温度センサ210は、非接触ヒータ211から送風される温風の温度を検出し、温風温度センサI/F206を介して制御装置200にフィードバックする。またドラム温度センサ212は、ドラムヒータ213の温度を検出し、ドラム温度センサI/F208を介して制御装置200にフィードバックする。温風温度センサ210、及びドラム温度センサ212は、例えば非接触型の放射温度計等である。
なお、CPU201で行う処理の一部、又は全部を、FPGA(Field−Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電子回路で実現してもよい。
また、供給ユニット3、排出ユニット4、及び搬送ユニット5のモータ制御ユニットが有する機能を制御装置200が実現する構成としてもよい。
制御装置200は、CPU201の命令、及び図2に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
図3は、本実施形態の画像形成装置の有する制御装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置200は、第1設定部301と、ドラム温度検出部302と、第2設定部303と、温風温度検出部304とを有している。第1設定部301は、ドラムヒータ213に接続し、ドラムヒータ213の温度を設定する。ドラムヒータ213の温度は、ドラム温度センサ212により検出され、ドラム温度検出部302を介して第1設定部301にフィードバックされる。
また、第2設定部303は、非接触ヒータ211に接続し、非接触ヒータ211による加熱温度を設定する。非接触ヒータ211による加熱は、例えば、加熱された空気、すなわち温風を送風することで行われる。温風の温度は、温風温度センサ210により検出され、温風温度検出部304を介して第2設定部303にフィードバックされる。
第1設定部301は、例えば、CPU201がHDD205等に記憶された温度データを読み出し、ドラムヒータI/F209を介してドラムヒータ213の温度を設定することにより実現される。或いは、ドラム温度検出部302による温度データに基づき、CPU201がドラムヒータI/F209を介してドラムヒータ213の温度を設定することにより実現される。ドラム温度検出部302は、例えばドラム温度センサI/F208等により実現される。
一方、第2設定部303は、例えば、CPU201がHDD205等に記憶された温度データを読み出し、非接触ヒータI/F207を介して非接触ヒータ211の加熱温度を設定することにより実現される。或いは、温風温度検出部304による温度データに基づき、CPU201が非接触ヒータI/F207を介して非接触ヒータ211の加熱温度を設定することにより実現される。温風温度検出部304は、例えば温風温度センサI/F206等により実現される。
以上は、本実施形態の画像形成装置100の全体概要であり、以下で本実施形態の画像形成装置100の有する乾燥ユニット2について詳細に説明する。
図4は、本実施形態の画像形成装置100の有する乾燥ユニット2の構成の一例を示している。乾燥ユニット2は、非接触ヒータ211と、ドラムヒータ213とを有している。また乾燥ユニット2は、搬送ユニット5の一部である搬送ローラ5aを有している。
ドラムヒータ213は、回転可能な円筒状部材に、加熱用のヒータが組み込まれた部材である。図4に示した黒実線の矢印は、ドラムヒータ213の回転方向を示している。基材20は、ドラムヒータ213に巻き付くようにして、白抜きの矢印で示した搬送方向10の方向に搬送される。ドラムヒータ213は、基材20の液体が吐出された側の面の裏側、すなわち裏面に接触している。
ドラムヒータ213は、搬送される基材20の裏面に伝熱することで、基材20に吐出された液体を乾燥させる。乾燥のために、未乾燥の状態の液体に接触すると、液体が乱れて画像が乱れることがあるが、ドラムヒータ213による伝熱は、基材20の裏側から行われるものであり、未乾燥の状態の液体に接触はしない。そのため、このような液体の乱れ、及び画像の乱れを生じさせない。
一方、非接触ヒータ211は、複数のノズルを有し、各ノズルを通じて所定の風速で加熱された空気、すなわち温風を、基材20の液体が吐出された面、すなわちオモテ面に送風する。非接触ヒータ211は、基材20のオモテ面の未乾燥の状態の液体を、温風により非接触で乾燥させる。
非接触ヒータ211は、非接触で加熱するため、上記のような接触による液体の乱れ、及び画像の乱れは生じさせずに、基材20に吐出された液体を乾燥させることができる。
なお、オモテ面は、「搬送される基材の液体が吐出された面」の一例である。非接触ヒータ211は、「搬送される記録媒体の液体が吐出された面を、非接触で加熱する非接触加熱手段」の代表的な一例であり、ドラムヒータ213は、「記録媒体の液体が吐出される面の裏側に接触する接触加熱手段」の代表的な一例である。また、ドラムヒータ213は、「基材が巻き付けられる円筒状部材」の代表的な一例である。
図5は、乾燥ユニット2における非接触ヒータ211のノズル部の拡大図である。
図5に示すように、搬送方向10に沿って搬送される基材20のオモテ面20aには、液体吐出ユニット1により吐出された液体40が付着している。基材20のオモテ面20aに対向するように、非接触ヒータ211のノズル211a、及び211bが配置されている。なお、ノズル211a、及び211bは、非接触ヒータ211が有する複数のノズルのうちの一部である。非接触ヒータ211は、基材20のオモテ面20aに、ノズル211a、及び211bを通じて温風41を送風している。
ノズル211a、及び211bの先端の吹出部には、ノズル211a、及び211bからの温風に当たるように、温風温度センサ210が配置されている。温風温度センサ210は、ノズル211a、及び211bによる温風の温度を検出し、制御装置200にフィードバックする。
なお、ノズル211a、及び211bと基材20のオモテ面20aとの距離は、例えば10mmである。また温風温度センサ210は、非接触ヒータ211が有する全部のノズルによる温風の温度を検出してもよいし、一部のノズルによる温風の温度を検出してもよい。
一方、基材20の裏面20bは、上述のようにドラムヒータ213に接触し、ドラムヒータ213により伝熱される。
図6は、ドラムヒータ213の温度を検出する構成の一例を示す斜視図である。図6に示したように、ドラムヒータ213において基材20が接触しない部分の温度を検出するように、ドラム温度センサ212が配置されている。ドラム温度センサ212は、ドラムヒータ213の温度を検出し、制御装置200にフィードバックする。
なお、ドラム温度センサ212が配置される位置は、図6の例に限定されないが、ドラムヒータ213の円筒面における基材20が巻き付けられない部分の温度を検出するように配置されることが望ましい。例えば、基材20の有無に関係なく温度を検出できるからである。ドラム温度センサ212は、「円筒状部材の円筒面における基材が巻き付けられない部分の温度を検出する温度センサ」の一例である。
ここで、基材の乾燥特性について説明する。基材20に付着した液体40を乾燥させるためには、液体40が含有する水、及び溶剤を蒸発させる必要がある。本実施形態では、乾燥ユニット2を用いた加熱により乾燥を促進させている。
基材としてのプラスチックフィルムは紙などと比較して熱に弱く、種類にもよるが、例えば100℃程度の加熱によって変形する場合もある。
図7は、搬送のために必要な張力をかけながら、基材を加熱した時の基材の変形量、すなわち伸びを示している。図7の横軸は加熱の温度であり、縦軸は基材の伸びである。基材の伸びは、元の長さからの伸びの比率で表示されている。黒丸のマーク71は、PET(Poly−Ethylene Terephthalate)を材質とする基材の場合であり、白丸のマーク72は、OPPを材質とする基材の場合である。以下では、PETを材質とする基材をPETフィルム、OPPを材質とする基材をOPPフィルムと称する。
図7に示したように、OPPフィルムは80℃を超えた温度から急激に伸びが大きくなっている。OPPフィルムの100℃における伸び1%は、目視で確認できる程度の伸びである。また基材における場所毎での伸びの不均一性に伴い、基材に皺が発生する。従って伸びが1%を超えた状態になると、食品包装等の実用的な用途において使用が難しくなることがある。
本実施形態では、第1設定部301及び第2設定部303により、ドラムヒータ213より非接触ヒータ211の加熱温度を高く設定することが好ましい。
なお、第1設定部301は接触加熱手段の温度を設定する設定手段の一例であり、第2設定部303は非接触加熱手段の温度を設定する設定手段の一例である。
また、第1設定部301により、ドラムヒータ213の温度を85℃未満に設定し、2設定部303により、非接触ヒータ211の加熱温度を、140℃以上160℃以下であって、ドラムヒータ213に対して、30〜90℃高い温度に設定することがより好ましい。
このような温度設定とすることにより、好適な乾燥性を有し、且つ基材の熱変形を抑制することができる。
基材の熱変形を抑制することができる推定メカニズムについて、図8を参照して説明する。図8では、70℃のドラムヒータ213と基材20の裏面が接触している。また基材20のオモテ面には液体40が付着しており、非接触ヒータ211は、液体40に向けて150℃の温風を送風している。
液体40の温度は、150℃の温風の熱により100℃以上となり、乾燥が促進される。しかし、基材20に対しては、接触している70℃のドラムヒータ213の影響が支配的であり、基材20の液体が吐出される面に150℃の温風の熱が送風されても、接触しているドラムヒータ213の温度を基材20が熱変形し得る温度よりも低く設定することで、基材20の温度は、伸びが発生しない温度状態に維持されると考えられる。
軟包装用フィルムとして汎用的なOPPフィルムは、その性質の一つとして、図7に示したように、熱に対して弱い、即ち加熱により伸び易いという点がある。
しかし、本実施形態によれば、OPPフィルムを基材とした場合でも、OPPフィルムの熱変形を抑制しつつ、付与した液体を高速乾燥することができる。
また、OPP以外の基材として、例えば、PETフィルムやナイロンフィルムを使用する場合は、前記のように非接触ヒータ211の加熱による熱変形は小さい。従ってその場合は、例えば、温風温度は140℃以上160℃以下のままで、ドラムヒータ21の温度を100℃前後とすると、更にインク乾燥時間は短縮される。このように、基材の材質に応じて非接触ヒータ211による加熱温度とドラムヒータ213による加熱温度の組み合わせを選択することで、液体の乾燥を好適に促進することができる。
その他、ウィンドウフィルムや壁紙等の軟化点が50℃以下で熱によって変形してしまう基材や、裏面に軟化点が低い接着剤が塗布されシール基材でも良好に印字乾燥することができる。
また、接触加熱手段として、基材が巻き付けられる円筒状部材を用いることで、画像形成における基材の搬送工程において、基材全体を加熱でき、基材の伸びを抑制しつつ、基材に付着した液体を高速乾燥させることができる。
前記では、液体としてインクを例に示したが、液体はこれに限定されるものではなく、例えば、前処理液を画像形成に先だって基材の一部、又は全部に付与する場合の前処理液の乾燥や、後処理液を画像形成後に基材の一部、又は全部に付与する場合の後処理液の乾燥等に対しても、本実施形態を適用してもよい。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、非接触加熱手段の一例として温風の送風を説明した。本実施形態では、赤外線(IR;Infrared Ray)ヒータを非接触加熱手段とする。赤外線ヒータは、加熱対象に赤外線を照射して加熱するヒータである。赤外線ヒータは、近赤外〜遠赤外の何れの波長のものでもよく、液体の材質に応じて適正な波長を決めてよい。
赤外線ヒータを用いることで、伝熱効率がよい、省スペース、予熱時間が短い、制御が容易等の効果を得ることができる。
上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
なお、上記では、温風の送風、及び赤外線の照射を非接触加熱手段の例として説明したが、これに限定されるものではない。また接触による伝熱の一例として、ドラムヒータ213を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、面状ヒータによる伝熱等であってもよい。
以上、実施形態に係る乾燥装置、液体吐出装置、及び乾燥方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
次に、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態について図9及び10を用いて説明する。図9は本実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略側面図である。本実施形態のインクジェット記録装置100は、ラインヘッド型のインクジェット記録装置であり、フルライン型(以降、「ライン型」とも称することがある)としている。
本実施形態では、第1のインクはカラーインクであり、第2のインクは白インクである。
インクジェット記録装置100は、巻き出し装置101、非浸透性基材102、コロナ処理装置103、前処理液塗布装置104(前処理液塗布手段)、前処理液乾燥装置105、カラーインク用インクジェット吐出ヘッド106(第1のインク吐出手段)、白インク用インクジェット吐出ヘッド107(第2のインク吐出手段)、プラテン108、温風ノズル109(第1の乾燥手段)、乾燥装置129、ドラムヒータ113(第2の乾燥手段)、ドラムに対向する温風発生装置112、巻き取り装置117を有する。
図9はインクジェット記録装置100がドラムヒータ113を1つ備える構成であり、図10はインクジェット記録装置100がドラムヒータ113を2つ備える構成である。
以下、各手段、各工程について説明する。
<巻き出し手段及び巻き出し工程、巻き取り手段及び巻き取り工程>
本実施形態における非浸透性基材102の巻き出し、巻き取りには、巻き出し装置101、巻き取り装置117を用いている。
巻き出し装置101は、回転駆動することにより、ロール状に収納された非浸透性基材102を記録装置100内の搬送経路に供給する。
巻き取り装置117は、インクを付与することで画像が形成された非浸透性基材102を、回転駆動することにより、巻き取ってロール状に収納する。
本実施形態における非浸透性基材102は、インクジェット記録装置の搬送方向に連続するフィルム状の基材であり、巻き出し装置101と巻き取り装置117の間の搬送経路に沿って搬送される。また、非浸透性基材102の搬送方向における長さは、少なくとも巻き出し装置101と巻き取り装置117の間の搬送経路より長い。このように記録装置の搬送方向に連続する基材を用いることで、連続して長時間の印刷を行うことができる。
<コロナ処理手段及びコロナ処理工程>
コロナ処理手段は、非浸透性基材102に対してコロナ放電によりコロナ処理を行い、非浸透性基材102の表面を改質するものであり、本実施形態のコロナ処理手段として、コロナ処理装置103が図示されている。コロナ処理工程は、非浸透性基材102を巻き出す工程を経て搬送されてきた非浸透性基材102に対し、コロナ放電によりコロナ処理を行い、表面改質を行う工程である。
コロナ処理は必須ではないが、非浸透性基材102に対する前処理液の密着性や濡れ性が向上するため実施することが好ましい。また、コロナ処理に変えて、大気圧プラズマ処理、フレーム処理、紫外線照射処理等を行ってもよい。
コロナ処理を行う手段としては、各種公知の手段を用いることができる。また、コロナ処理を行う場合の各種条件(放電量等)は、特に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
<前処理液付与手段及び前処理液付与工程>
前処理液付与手段は、非浸透性基材102に前処理液を付与する手段である。本実施形態の前処理液付与手段として前処理液塗布装置104が図示されており、前処理液塗布装置104は前処理液を付着させたローラを非浸透性基材102と接触するように回転駆動させて、非浸透性基材102の表面に前処理液を付与する。
前処理液を付与する手段としては、前処理液を付着させたローラを非浸透性基材102
に接触させる手段が挙げられるが、これに限定されるものではない。
前処理液塗布工程は、非浸透性基材102に前処理液を塗布する工程である。本実施形態では、非浸透性基材を巻き出す工程を経て搬送されてきた非浸透性基材102に対し、前処理液を付与している。
非浸透性基材102に前処理液が塗布されることにより、非浸透性基材102上に前処理層(表面処理層などとも称する)が形成される。なお、前処理液を塗布した後に加熱を行うことで前処理層の形成が促される。
<第1の吐出手段及び第2の吐出手段ならびに第1の吐出工程及び第2の吐出工程>
第1の吐出手段及び第1の吐出工程は、前処理液が付与された非浸透性基材に、第1のインク(カラーインク)を吐出する手段及び工程である。第2の吐出手段及び第2の吐出工程は、第1のインク(カラーインク)が吐出された非浸透性基材を加熱した後に、第2のインク(白インク)を吐出する手段及び工程である。なお、第1の吐出手段及び第2の吐出手段をインク付与手段と称することがあり、第1の吐出工程及び第2の吐出工程をインク付与工程と称することがある。
本実施形態では、図9に示されるように、第1の吐出手段としてカラーインク用インクジェット吐出ヘッド106が用いられ、第2の吐出手段として白インク用インクジェット吐出ヘッド107が用いられる。
カラーインク用インクジェット吐出ヘッド106は、複数のノズルが配列された複数のノズル列を有しており、ノズルからのインクの吐出方向が非浸透性基材102に向くように設けられている。これにより、インクジェット吐出ヘッド106は、非浸透性基材102上の前処理層上に、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色の液体を順次吐出する。なお、吐出の順番は適宜変更することができる。
白インク用インクジェット吐出ヘッド107は、インクジェット吐出ヘッド106より下流側に配置される。白インクをカラーインクの上に重ねることで、透明の非浸透性基材面から、印刷物の視認性を向上させる役割を有する。
本実施形態のインクジェット吐出ヘッド106、107は、ライン型(フルライン型)のインクジェット吐出ヘッドとしている。「ライン型のインクジェット吐出ヘッド」とは、非浸透性基材102の搬送方向の全幅にわたってインクを吐出するノズルが配置されたインクジェット吐出ヘッドである。なお、インクジェット吐出ヘッドの幅は、本発明の効果が損なわれない範囲で変更してもよい。
産業用途の印刷では、大量の印刷を高速で行う必要があるため、図9に示されるようなライン型のインクジェット吐出ヘッドを用いたインクジェット記録方式が好ましい。一方で、産業用途の印刷は、長時間連続して印刷が行われるため、ライン型のヘッドを用いた場合、長時間インクの吐出が行われない一部のノズルにおいてインクが乾燥し、吐出不良が生じることがある。
そのため、インク付与工程では、インクを吐出しないノズルにおいて、ノズル内のインクの界面を振動させることが好ましい。ノズル内のインクの界面を振動させることにより、ノズル内のインクと、ノズルに連通する圧力室などのインクジェット吐出ヘッドにおけるインク流路内のインクと、を均一な状態にすることができ、ノズル内におけるインクの乾燥を抑制することができる。これにより、吐出不良による異常画像の発生をより抑制することができる。なお、ノズル内のインクの界面とは、大気又は気体と接するインクの界面である。
インクジェット吐出ヘッド106、107において、インクに刺激を印加してインクを吐出させる手段としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
これらの中でも、特に、インクジェット吐出ヘッド内のインク流路内にある圧力室(液室などとも称する)と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小することで圧力室中のインクが加圧され、インクジェット吐出ヘッドのノズルからインクを液滴として吐出させる手段が好ましい。
また、このようなインクを吐出することができる複数のノズルにおいて、形成する画像の形状に起因してインクが吐出されない一部のノズルでは、圧電素子に吐出しない微小電圧を印加し、ノズル内のインクの界面を振動させることが好ましい。
他の工程にも関連するが、本実施形態におけるインクジェット記録装置、インクジェット記録方法における印刷速度としては、30m/分〜100m/分であることが好ましい。この場合、高速印刷が求められる産業用途において好適に用いることができる。
<搬送手段及び搬送工程>
プラテン108は、非浸透性基材102を、搬送経路に沿って搬送されるようにガイドする。また、符号のつけられていない搬送ローラ等も搬送手段として用いている。
<乾燥手段及び乾燥工程>
ここで言う乾燥手段は、第1のインク(カラーインク)と第2のインク(白インク)が吐出された後に、非浸透性基材を温風や赤外線、ドラムヒータ等で加熱する手段であり、乾燥工程は、第1のインク(カラーインク)が吐出された非浸透性基材を温風や赤外線、ドラムヒータ等で加熱する工程である。
図10に示されるように、本実施形態の乾燥手段として、温度制御可能なドラムヒータ113とそれに対向して配置される温風発生装置112が配置されている。
ドラムヒータ113は温度調整が可能なドラムであり、対向する温風温度との温度差を設ける必要があり、ドラム内部を温水と冷却水により温度調整する方法が望ましい。
尚、前記ではカラーインクを第1のインク、ホワイトインクを第2のインクとした場合について説明したが、インクの種類や順序はこれに限定されるものではない。例えば、ヘッド107ホワイトインクを第1のインク、カラーインクを第2のインクとしたり、また、必要に応じて更にインクジェット吐出ヘッドを備え、グリーン(G)、レッド(R)、バイオレット(V)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ホワイト(W)、メタリック及び/又はその他の色のインクを用いてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(顔料分散液の調製例1)
<シアン顔料分散液の調製>
以下の処方に従って各材料を混合し、更にディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール)で7時間循環分散させて、顔料分散液を得た(顔料固形分15質量%)。
[処方]
・ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG−7351、東洋インキ株式会社製):15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製):2質量部
・イオン交換水:83質量部
(顔料分散液の調製例2)
<マゼンタ顔料分散液の調製>
顔料分散液の調製例1において、ピグメントブルー15:3を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、顔料分散液の調製例1と同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した(顔料固形分15質量%)。
(顔料分散液の調製例3)
<イエロー顔料分散液の調製>
顔料分散液の調製例1において、ピグメントブルー15:3を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、顔料分散液の調製例1において、イエロー顔料分散液を調製した(顔料固形分15質量%)。
(顔料分散液の調製例4)
<ブラック顔料分散液の調製>
顔料分散液の調製例1において、ピグメントブルー15:3を、カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製)に変更した以外は、顔料分散液の調製例1と同様にして、ブラック顔料分散液を調製した(顔料固形分15質量%)。
(顔料分散液の調製例4)
<ホワイト顔料分散液の調製>
酸化チタン(商品名:STR−100W、堺化学工業株式会社製)25質量部、顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製)5質量部、及び水70質量部を混合し、ビーズミル(商品名:リサーチラボ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填率60%、8m/sにて5分間分散し、ホワイト顔料分散液を得た(顔料固形分25質量%)。
(インク及びインクセットの製造例)
表1から表4に記載のインク処方に従って各材料を混合撹拌し、平均孔径1.0μmのポリプロピレンフィルターでろ過して、各インクを製造した。次いで、表1から表4に記載のインクの組み合わせにより、インクセット1〜11とした。なお、顔料及び樹脂の含有量は仕込み量(質量%)である。
Figure 2021041672
Figure 2021041672
Figure 2021041672
Figure 2021041672
表1〜表4中の各成分の詳細については、以下のとおりである。
−樹脂−
・ウレタン樹脂:WLS213、DIC株式会社製、固形分濃度35質量%
・アクリル樹脂:S−171、トーヨーケム株式会社製、固形分濃度50.0質量%
−有機溶剤−
・1,2−プロパンジオール、沸点187℃、株式会社ADEKA製、プロピレングリコール
・3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、沸点215℃、出光興産株式会社製、エクアミドM−100
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、沸点243℃、KHネオケム株式会社、オクタンジオール
−界面活性剤−
・非イオン性界面活性剤:FS−300、DuPont社製
・イオン性界面活性剤:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製
(実施例1〜10及び比較例1〜4)
<画像形成>
次に、作製したシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクを、表5及び表6に記載の組み合わせで、それぞれインクジェット記録装置(VC−60000、株式会社リコー製)の改造機のインク収容容器に充填し、下記の印刷条件で印刷を行った。
[印刷条件]
・印刷速度:50m/分
・解像度:1200dpi×1200dpi
・印刷画像:ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクのベタ画像の上に、ホワイトインクのベタ画像を重ねて形成した。
・基材:二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(商品名:パイレンP2161、東洋紡株式会社製、平均厚み20μm)
・コロナ処理装置:放電量20W・min/m
・前処理液塗布手段:ロールコーター(塗布量0.3g/m
次に、以下の方法及び評価基準に従って評価を行った。結果は表5及び表6にまとめて示した。
<残留溶剤量の測定>
以下のようにして、残留溶剤量の測定を行った。
テトラヒドロフランに内部標準試料N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)を0.1質量%添加し、これを10mLバイアル瓶に4gずつ取り分け抽出液とした。
卓上インクジェット印字機でインクをOKトップコート+(T目、王子製紙株式会社製)にベタ画像を印字し、ホットプレート上において、90℃で2分間乾燥した。乾燥後のコート紙から8.5cm×5cmを切り出し、前記抽出液に浸漬させ、インク中の残留溶剤を抽出した。
この残留溶剤抽出液中の顔料を遠心分離により沈殿させた後、上澄み液を回収し、サンプルとした。
得られたサンプルをAgilent社製GC(7890B)に導入し、JEOL社製MS(JMS−Q−1500GC)にて、下記の測定条件により、残留溶剤量[mg/m]を検出した。
[GC/MS測定条件]
(GC制御)
・スプリット比:50
・注入口温度:250℃
・カラムの温度プログラム:50℃1分間保持→130℃まで10℃/min昇温→280℃まで20℃/min昇温→5分間保持
・カラム:J&W Scientific DB−35MS
(MS制御)
・質量数:20〜500
・イオン化電流:200
・イオン源温度:200℃
・イオン化エネルギー:70eV
・GCインターフェース温度:250℃
<インク保存性>
作製したインクを60℃で1週間、密封状態で恒温槽にて静置し、初期と60℃で1週間保存後のインクの粘度を測定し、下記数式から粘度変化率を求め、以下の基準で評価した。なお、評価がB以上である場合を実用可能であると判断した。
粘度変化率(%)=[(60℃で1週間保存後の粘度−初期粘度)/初期粘度]×100
インクの粘度は、回転式粘度計(東機産業株式会社製、RE−80L)を用い、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定した。
[評価基準]
A:異常は確認されない
B:目視では異常を確認できないが、粘度の変化率が5%未満である
C:目視では異常を確認できないが、粘度の変化率が5%以上である
D:目視で明らかに粘度が上昇していることや、ゲル状になっていることが確認できる
<乾燥性>
作製したインクをインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GXe5500)に充填し、PP、PET、及びONYの各種フィルムに対して6cm四方のベタ画像を印刷し、乾燥機中、常圧下、80℃で2分間乾燥させた後、印刷面に印刷していない記録媒体(OKトップコート+(T目、王子製紙株式会社製))を重ね、これを10×10cm四方のガラス板2枚の間に挟み、その上から、加重0.5kg/cmをかけた状態で、50℃で50%RHの環境下に1時間放置し、ブロッキングを以下の評価基準で評価した。評価がB以上である場合を実用可能であると判断した。なお、表5及び表6には、PP、PET、及びONYの各種フィルムのうちで最も悪い乾燥性の評価結果を示した。
−各種フィルム−
ブロッキング評価で使用した各種フィルムの製造会社名とグレードは以下の通りである。 PP :東洋紡株式会社製、パイレンP2102
PET:東洋紡株式会社製、エスペットE5100
ONY:東洋紡株式会社製、ハーデンN1100
[評価基準]
A:ブロッキングがない
B:わずかにブロッキングした(記録媒体にわずかに転写した)
C:かなりブロッキングした(記録媒体にはっきりと転写部が分かる)
D:完全にブロッキングした(密着しはがすことが困難)
<耐擦過性>
画像形成部を、白綿布(JISL 0803 綿3号)で200gの荷重をかけて25回擦過し、白綿布及び画像の状態を目視で観察し、以下の評価基準にて評価した。評価がB以上である場合を実用可能であると判断した。
[評価基準]
A:白綿布及び画像共に異常なし
B:白綿布が着色されるものの、目立った画像異常はない
C:白綿布が着色され、目立った画像異常がみられる
D:白綿布が着色され、基材の露出が見受けられる
<画像濃度>
画像形成部の画像濃度をX−Rite938(X−Rite社製)にて測定し、以下の評価基準にて評価した。評価がB以上である場合を実用可能であると判断した。
[評価基準]
A:画像濃度が2.5以上
B:画像濃度が2.2以上2.5未満
C:画像濃度が1.8以上2.2未満
D:画像濃度が1.8未満
Figure 2021041672
Figure 2021041672
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> インクと、該インクが付与された基材を乾燥させる乾燥機構とを有する印刷装置であって、
前記乾燥機構は、前記基材の前記インクが付与される面を非接触で加熱する非接触加熱手段と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱手段と、を有し、前記接触加熱手段より、前記非接触加熱手段の方が、加熱温度が高い乾燥機構であり、
前記インクが、水、色材、樹脂、及び有機溶剤を含有し、
前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とする印刷装置である。
<2> 前記有機溶剤が、沸点が190℃以下である有機溶剤を少なくとも1種含む前記<1>に記載の印刷装置である。
<3> 沸点が190℃以下である有機溶剤の含有量が、前記インクの全量に対して35質量%以上である前記<2>に記載の印刷装置である。
<4> 前記インクが非イオン性界面活性剤を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の印刷装置である。
<5> 前記非イオン性界面活性剤の含有量が1.0質量%以下である前記<4>に記載の印刷装置である。
<6> 前記樹脂がウレタン樹脂を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の印刷装置である。
<7> 前記接触加熱手段の加熱温度が85℃未満である前記<1>から<6>のいずれかに記載の印刷装置である。
<8> 前記非接触加熱手段の加熱温度が、前記接触加熱手段の加熱温度に対して、30℃以上90℃以下高い前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷装置である。
<9> 前記基材が非浸透性基材である前記<1>から<8>のいずれかに記載の印刷装置である。
<10> 基材にインクを付与するインク付与工程と、前記インクが付与された前記基材を乾燥させる乾燥工程と、を含む印刷方法であって、
前記乾燥工程は、前記基材の前記インクが付与された面を非接触で加熱する非接触加熱処理と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱処理とを含み、前記接触加熱処理の加熱温度より、前記非接触加熱処理の加熱温度の方が高い工程であり、
前記インクは、色材、樹脂、水、及び有機溶剤を含み、
前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とする印刷方法である。
<11> 前記有機溶剤が、沸点が190℃以下である有機溶剤を少なくとも1種含む前記<10>に記載の印刷方法である。
<12> 沸点が190℃以下である有機溶剤の含有量が、前記インクの全量に対して35質量%以上である前記<11>に記載の印刷方法である。
<13> 前記インクが非イオン性界面活性剤を含有する前記<10>から<12>のいずれかに記載の印刷方法である。
<14> 前記非イオン性界面活性剤の含有量が1.0質量%以下である前記<13>に記載の印刷方法である。
<15> 前記樹脂がウレタン樹脂を含む前記<10>から<14>のいずれかに記載の印刷方法である。
<16> 前記接触加熱処理における加熱温度が85℃未満である前記<10>から<15>のいずれかに記載の印刷方法である。
<17> 前記非接触加熱処理における加熱温度が、前記接触加熱処理における加熱温度に対して、30℃以上90℃以下高い前記<10>から<16>のいずれかに記載の印刷方法である。
<18> 前記基材が非浸透性基材である前記<10>から<17>のいずれかに記載の印刷方法である。
<19> シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクから選択される少なくとも2種からなるインクセットであって、
前記シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクから選択される少なくとも2種のインクは、いずれも色材、樹脂、水、及び有機溶剤を含み、
前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とするインクセットである。
<20> 基材と、該基材上にインク膜とを有し、
前記インク膜が、色材及び樹脂を含有し、
前記インク膜の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とする印刷物である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の印刷装置、前記<10>から<18>のいずれかに記載の印刷方法、前記<19>に記載のインクセット、及び前記<20>に記載の印刷物によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 液体吐出ユニット
1K、1Y、1C、1M 液体吐出ヘッド
2 乾燥ユニット(乾燥装置の一例)
3 供給ユニット
4 排出ユニット
5 搬送ユニット
5a 搬送ローラ
10 搬送方向
20 基材
20a 基材のオモテ面
20b 基材の裏面
40 液体(水性インクの一例)
100 インクジェット記録装置(画像形成装置、印刷装置、液体吐出装置の一例)
101 巻き出し装置
102 非浸透性基材
103 コロナ処理装置
104 前処理液塗布装置
105 前処理液乾燥装置
106 カラーインク用インクジェット吐出ヘッド
107 ホワイトインク用インクジェット吐出ヘッド
108 プラテン
109 温風ノズル
110 赤外線ヒータ(第1の乾燥手段)
112 ドラムに対向する温風発生装置
113 ドラムヒータ(第2の乾燥手段)
114 温風ノズル(インク第三乾燥装置)
115 ドラムヒータ(インク第三乾燥装置)
116 温風ノズル(カラーインクと白インクの色間加熱装置)
117 巻き取り装置
118 温度検知センサ
119 制御装置
120 冷却装置
129 乾燥装置
200 制御装置
210 温風温度センサ
211 非接触ヒータ(非接触加熱手段の一例)
211a、211b ノズル
212 ドラム温度センサ
213 ドラムヒータ(接触加熱手段の一例、円筒状部材の一例)
301 第1設定部(第1の設定手段の一例)
302 ドラム温度検出部
303 第2設定部(第2の設定手段の一例)
304 温風温度検出部
特開2014−238191号公報

Claims (12)

  1. インクと、該インクが付与された基材を乾燥させる乾燥機構とを有する印刷装置であって、
    前記乾燥機構は、前記基材の前記インクが付与される面を非接触で加熱する非接触加熱手段と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱手段と、を有し、前記接触加熱手段より、前記非接触加熱手段の方が、加熱温度が高い乾燥機構であり、
    前記インクが、水、色材、樹脂、及び有機溶剤を含有し、
    前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記有機溶剤が、沸点が190℃以下である有機溶剤を少なくとも1種含む請求項1に記載の印刷装置。
  3. 沸点が190℃未満である有機溶剤の含有量が、前記インクの全量に対して35質量%以上である請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記インクが非イオン性界面活性剤を含有する請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
  5. 前記非イオン性界面活性剤の含有量が1.0質量%以下である請求項4に記載の印刷装置。
  6. 前記樹脂がウレタン樹脂を含む請求項1から5のいずれかに記載の印刷装置。
  7. 前記接触加熱手段の加熱温度が85℃未満である請求項1から6にいずれかに記載の印刷装置。
  8. 前記非接触加熱手段の加熱温度が、前記接触加熱手段の加熱温度に対して、30℃以上90℃以下高い請求項1から7のいずれかに記載の印刷装置。
  9. 前記基材が非浸透性基材である請求項1から8のいずれかに記載の印刷装置。
  10. 基材にインクを付与するインク付与工程と、前記インクが付与された前記基材を乾燥させる乾燥工程と、を含む印刷方法であって、
    前記乾燥工程は、前記基材の前記インクが付与された面を非接触で加熱する非接触加熱処理と、前記基材の前記インクが付与される面の裏側に接触する接触加熱処理とを含み、前記接触加熱処理の加熱温度より、前記非接触加熱処理の加熱温度の方が高い工程であり、
    前記インクは、色材、樹脂、水、及び有機溶剤を含み、
    前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とする印刷方法。
  11. シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクから選択される少なくとも2種からなるインクセットであって、
    前記シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、及びホワイトインクから選択される少なくとも2種のインクは、いずれも色材、樹脂、水、及び有機溶剤を含み、
    前記インクによって形成した乾燥ベタ画像の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とするインクセット。
  12. 基材と、該基材上にインク膜とを有し、
    前記インク膜が、色材及び樹脂を含有し、
    前記インク膜の単位面積当たりの残留溶剤量が1,600mg/m以下であることを特徴とする印刷物。
JP2019167402A 2019-09-13 2019-09-13 インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置 Pending JP2021041672A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019167402A JP2021041672A (ja) 2019-09-13 2019-09-13 インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019167402A JP2021041672A (ja) 2019-09-13 2019-09-13 インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021041672A true JP2021041672A (ja) 2021-03-18

Family

ID=74861998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019167402A Pending JP2021041672A (ja) 2019-09-13 2019-09-13 インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021041672A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006004006A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 General Company Limited インクジェットインクとそれを用いる印刷方法
JP2014238191A (ja) * 2013-06-06 2014-12-18 大阪シーリング印刷株式会社 乾燥装置及び印刷装置
JP2016210959A (ja) * 2015-05-08 2016-12-15 花王株式会社 水系インク
JP2017226741A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 株式会社リコー インク、インクジェット印刷方法、インクジェット印刷装置および印刷物
WO2018139189A1 (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 株式会社シンク・ラボラトリー シート状非浸透性基材の表面乾燥装置並びに印刷装置及び印刷方法
JP2018192779A (ja) * 2016-06-30 2018-12-06 株式会社リコー 印刷方法、インクセット、印刷装置
JP2019147327A (ja) * 2018-02-28 2019-09-05 株式会社リコー 画像形成方法及び画像形成装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006004006A1 (ja) * 2004-07-01 2006-01-12 General Company Limited インクジェットインクとそれを用いる印刷方法
JP2014238191A (ja) * 2013-06-06 2014-12-18 大阪シーリング印刷株式会社 乾燥装置及び印刷装置
JP2016210959A (ja) * 2015-05-08 2016-12-15 花王株式会社 水系インク
JP2017226741A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 株式会社リコー インク、インクジェット印刷方法、インクジェット印刷装置および印刷物
JP2018192779A (ja) * 2016-06-30 2018-12-06 株式会社リコー 印刷方法、インクセット、印刷装置
WO2018139189A1 (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 株式会社シンク・ラボラトリー シート状非浸透性基材の表面乾燥装置並びに印刷装置及び印刷方法
JP2019147327A (ja) * 2018-02-28 2019-09-05 株式会社リコー 画像形成方法及び画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6958380B2 (ja) 印刷方法、処理液とインクのセット、及び印刷装置
US10723158B2 (en) Liquid discharge apparatus and liquid discharge method
US10899145B2 (en) Image forming method, image forming apparatus, and set of ink and processing fluid
JP7110959B2 (ja) 処理液とインクのセット、画像形成方法及び画像形成装置
US10647129B2 (en) Printing method and set of processing fluid and ink
JP6528537B2 (ja) 白色インク、インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、及び記録方法
CN112123962A (zh) 表面处理用液体组合物,印刷方法,以及印刷装置
JP6788221B2 (ja) インクの製造方法
JP7069741B2 (ja) 記録方法、及び記録装置
CN110272656B (zh) 处理液和墨水的套件,图像形成方法以及图像形成装置
JP2021041549A (ja) 印刷方法及び印刷装置
JP2020019270A (ja) 画像形成方法、画像形成装置、及び印刷物の製造方法
JP2021041672A (ja) インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置
JP7347050B2 (ja) インクセット、前処理液とインクのセット、印刷方法、及び印刷装置
JP2021041616A (ja) インクセット、印刷物、印刷方法、及び印刷装置
JP2020128030A (ja) インクセット、液体吐出ユニット、液体吐出装置、印刷方法、及び印刷装置
JP6735042B2 (ja) インク、画像形成方法及び画像形成装置
US20220177718A1 (en) Ink and image forming method
US20220056298A1 (en) Processing fluid, set of processing fluid and ink, printing method, and printing apparatus
EP3909782A1 (en) Image forming device and image forming method
JP2021181218A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP7218574B2 (ja) インクセット、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2022016330A (ja) インク、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2020185785A (ja) インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法、及び印刷画像の光沢度制御方法
JP2022070811A (ja) インクセット、画像形成方法及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220601

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220721

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230620

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230725