JP2021041323A - 洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法 - Google Patents

洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021041323A
JP2021041323A JP2019164177A JP2019164177A JP2021041323A JP 2021041323 A JP2021041323 A JP 2021041323A JP 2019164177 A JP2019164177 A JP 2019164177A JP 2019164177 A JP2019164177 A JP 2019164177A JP 2021041323 A JP2021041323 A JP 2021041323A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
cleaning
filter
cleaning solution
silver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019164177A
Other languages
English (en)
Inventor
清次 中塚
seiji Nakatsuka
清次 中塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dowa Technology KK
Original Assignee
Dowa Technology KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dowa Technology KK filed Critical Dowa Technology KK
Priority to JP2019164177A priority Critical patent/JP2021041323A/ja
Publication of JP2021041323A publication Critical patent/JP2021041323A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】フィルターに付着した硫化銀及び硫化銅などの金属物質を溶解除去し、フィルターの膜性能を回復させることができる洗浄液を提供することを課題とする。【解決手段】乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を含有する洗浄液。【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄液、その製造方法及び前記洗浄液を利用した設備の洗浄方法に関する。
銅や銀等の重金属類を含む廃水は環境汚染の懸念があり、これら重金属類を適切に分離し、廃水を浄化してから放流する必要がある。従来、そのような廃水の処理方法として、硫化水素などの硫化剤を添加して重金属類を硫化物の形で沈殿させ、固液分離する方法が知られている(特許文献1)。
本発明者はこのようなプロセスについて、コスト、煩雑な操作の回避、作業の安全性の確保などを課題として改善を検討し、所定の金属を含有する被処理液に、中性ないしアルカリ性条件下で硫化銅を添加し、前記金属を硫化物として沈殿させ、得られたスラリーを固液分離する被処理液の処理方法を発明し、出願を行った(特許文献2)。
なお、非特許文献1には、金および銀鉱石に対して、硫酸酸性下でチオ尿素を添加し、これらを溶解することが記載されている。特許文献3には、さび除去剤組成物として、シュウ酸と二酸化チオ尿素を含み、有機酸として酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸を含んでもよい組成物が記載されている。
特開2002−282867号公報 特開2019−63710号公報 特開2017−203087号公報
「硫酸酸性チオ尿素による金および銀鉱石の浸出」日本鉱業会誌、著者:後藤佐吉、1983年10月13日発行
本発明者は、上記特許文献2に開示されるプロセスで、スラリーの固液分離工程をフィルター(デッドエンド型又はクロスフロー型(中空糸膜))により実施する形態で、銀を含む被処理液を処理することを検討した。そして、当該処理を長期操業していると、フィルターが固形物で詰まってしまうことを知見した。この固形物は、硫化銀及び未反応の硫化銅で構成されていると考えられる。
このような場合には通常、定期的に水又は圧縮空気あるいはその両方を用いて、フィルターの逆洗浄を行い、固形物をフィルターの膜面から除去する。しかし、逆洗浄では、完全に混合物を除去できなかった。このため、操業を継続すると、結局フィルターの閉塞が発生してしまった。フィルターが閉塞すると、以下の問題が生じる。
1.フィルターの透過流量が下がる(スラリー処理量が低下し、プロセス全体の処理効率が低下する)。
2.フィルターの交換が必要となる(コスト,作業量増加)。
本発明は、これらの問題を解決するため、フィルターに付着した硫化銀及び硫化銅などの金属物質を溶解除去し、フィルターの膜性能を回復させることができる洗浄液を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を含有する洗浄液が、前記の金属物質を溶解除去するのに好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。なお前記洗浄液は、フィルターに限らず前記金属物質で汚染した各種の設備の洗浄に適用可能である。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を含有する洗浄液。
[2]前記洗浄液中の乳酸の含有量が、1〜50質量%である、[1]に記載の洗浄液。
[3]前記洗浄液中のチオウレア構造を有する化合物の含有量が、1〜15質量%である、[1]又は[2]に記載の洗浄液。
[4]前記洗浄液中の硫酸の含有量が、0.05〜10質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の洗浄液。
[5]前記洗浄液中の乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水の含有量の合計が、90質量%以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の洗浄液。
[6]前記チオウレア構造を有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の洗浄液:
(式(1)において、Rはそれぞれ独立に、水素又は炭素数1〜12のアルキル基である。)。
[7]銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質を溶解除去するために使用される、[1]〜[6]のいずれかに記載の洗浄液。
[8]銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質が付着した設備を洗浄するために使用される、[1]〜[6]のいずれかに記載の洗浄液。
[9]前記銀化合物が硫化銀であり、前記銅化合物が硫化銅である、[7]又は[8]に記載の洗浄液。
[10]乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を混合する工程を有する、洗浄液の製造方法。
[11]前記洗浄液中の、前記乳酸の含有量が1〜50質量%、前記チオウレア構造を有する化合物の含有量が1〜15質量%、前記硫酸の含有量が0.05〜10質量%、これら3成分及び水の含有量の合計が90質量%以上となる割合で、前記乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を混合する、[10]に記載の洗浄液の製造方法。
[12]前記洗浄液が、銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質が付着した設備を洗浄するために使用される、[10]又は[11]に記載の洗浄液の製造方法。
[13]前記設備がフィルターである、[12]に記載の洗浄液の製造方法。
[14]銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質が付着した設備に[1]〜[9]のいずれかに記載の洗浄液を接触させて前記金属物質を溶解除去する、設備の洗浄方法。
[15]前記設備がフィルターであり、該フィルターに前記洗浄液を通液することで前記金属物質を溶解除去する、[14]に記載の設備の洗浄方法。
[16]前記フィルターが有機樹脂製である、[15]に記載の設備の洗浄方法。
本発明によれば、フィルター膜面に付着した硫化銀及び硫化銅などの金属物質を溶解除去し、フィルターの膜性能を回復させることができる洗浄液が提供される。
実施例において、本発明の洗浄液による洗浄前の膜モジュール断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真及び洗浄後の膜モジュール断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である(左側が洗浄前、右側が洗浄後の写真)。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書における「A〜B」という表現は、A(数値)以上かつB(数値)以下の範囲を意味する。
[洗浄液]
本発明の洗浄液は、乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を含有する。以下、これらの各成分について説明する。
<乳酸>
本発明の洗浄液の実施の形態は、乳酸を含有する。後述する通り、当該洗浄液はチオウレア構造を有する化合物により硫化銀及び硫化銅などの金属物質(における金属)を錯体化させて溶解するものと考えられる。なお本明細書において、前記金属物質とは、金属単体及び金属化合物を指すものとする。
前記の錯体化・溶解の際に、乳酸は形成された錯体を安定化させ、イオンとなった銀や銅がカウンターイオンなどの何らかの物質と反応して再析出することを防止する機能を発揮すると考えられる。このような機能から、洗浄液中に乳酸又は乳酸イオンが存在すればよく、これらは、洗浄液の製造において、乳酸の塩(例えばナトリウム塩やカリウム塩などの金属塩)として添加され、その結果として洗浄液中において存在するものであってもよい。本明細書においては、乳酸及び乳酸イオンを総称して「乳酸」と称する。
本発明の洗浄液の実施の形態における乳酸の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に制限されない。乳酸の効果の発揮と薬剤コストの観点から、前記含有量は1〜50質量%であることが好ましく、1.2〜30質量%であることがより好ましく、1.5〜10質量%であることが更に好ましい。
<チオウレア構造を有する化合物>
本発明の洗浄液の実施の形態は、チオウレア構造を有する化合物を含有する。当該化合物は従来知られている通り、硫化銀及び硫化銅などの金属物質を錯体化させるものと考えられる。
チオウレア構造とは、下記で表される構造である。
チオウレア構造を有する化合物の例としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1)において、Rはそれぞれ独立に、水素又は炭素数1〜12のアルキル基である。前記アルキル基は、分岐を有していてもよく、ハロゲン原子で置換されていてもよい。金属物質との反応で生成する錯体の洗浄液(特に水)中への溶解性の観点から、Rとしては炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。チオウレア構造を有する化合物の具体例としては、チオ尿素が挙げられる。
本発明の洗浄液の実施の形態におけるチオウレア構造を有する化合物の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に制限されない。錯体化効果の発揮と薬剤コストの観点から、前記含有量は1〜15質量%であることが好ましく、1.2〜10質量%であることがより好ましく、1.5〜8質量%であることが更に好ましい。
<硫酸>
本発明の洗浄液の実施の形態は、硫酸を含有する。硫酸の存在により洗浄液は通常酸性となり、チオウレア構造を有する化合物の錯体化能力を高めることができる。特に、硫酸により酸性とすることが、前記錯体化能力の向上に好適である。
本発明の洗浄液の実施の形態における硫酸の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に制限されない。チオウレア構造を有する化合物の錯体化能力を高める効果の発揮と薬剤コストの観点から、前記含有量は0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.3〜5質量%であることが更に好ましい。
<水>
本発明の洗浄液の実施の形態は、水を含有する。水は、洗浄液中のその他の物質を溶解して均一に混合する安価な媒体である。本発明の洗浄液は少量の乳酸、チオウレア構造を有する化合物及び硫酸の配合でも十分に効果を発揮し、その組成の大半(好ましくは80質量%以上)を安価な水とすることができる。
<その他の成分(添加剤)>
本発明の洗浄液の実施の形態は、その他の成分として、目的に応じて各種の添加剤を含有してもよい。その添加剤の例としては、界面活性剤が挙げられる。添加剤の含有量(添加剤が複数種ある場合はその合計量)は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定可能であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である(洗浄液が添加剤を含む場合、その含有量は通常0.01質量%以上である)。
<主要成分の含有量の合計>
本発明の洗浄液は、乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を主要成分としている。これらの前記洗浄液の実施の形態における含有量の合計は、本発明の効果を奏する限り特に制限されるものではない。洗浄液の実施の形態は、主要成分以外の添加剤を含有せずとも、硫化銀などの金属物質を十分に溶解除去することができる。特に、水を除いた主要成分が上述したような比較的少量で、洗浄液の組成の大半を水としても前記の溶解除去作用が十分に発揮される。このような態様はコストの点から望ましく、このような態様において、前記主要成分の洗浄液中の含有量の合計は、好ましくは90質量%以上であり(この場合水の含有量は好ましくは80質量%以上である)、より好ましくは95質量%以上であり(この場合水の含有量は好ましくは83質量%以上である)、更に好ましくは98質量%以上である(この場合水の含有量は好ましくは85質量%以上である)。
<洗浄液のpH>
本発明の洗浄液の実施の形態の25℃におけるpHは、チオウレア構造を有する化合物の錯体化能力を十分に発揮させるべく、酸性領域にあることが好ましく、具体的には0〜5が好ましく、0.1〜2であることがより好ましい。
<洗浄液の製造方法>
本発明の洗浄液は、以上説明した主要成分、および必要に応じてその他の成分を公知の方法で混合することにより、製造することができる。また、いずれかの成分を先に混合しておき、その混合物へ残りの成分を順次混合してもよい。各成分の使用量については、本発明の洗浄液の実施の形態について説明した、各成分の含有量、主要成分の含有量の合計となるようにすることが好ましい。
<洗浄液の用途>
本発明の洗浄液の実施の形態は、幅広い金属物質を錯体化させその状態を維持することができるので、各種金属物質の溶解除去の用途に好適である。特に溶解除去対象の金属物質として、銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛及び亜鉛化合物が好適である。
前記銀化合物の具体例としては、硫化銀、酸化銀、ハロゲン化銀、ヘキサメチレンテトラミン銀錯体及び硫酸銀が挙げられ、本発明の洗浄液の実施の形態による除去対象としては、硫化銀が特に好ましい。
前記銅化合物の具体例としては、硫化銅、酸化銅、ヘキサメチレンテトラミン銅錯体及び亜酸化銅が挙げられ、本発明の洗浄液の実施の形態による除去対象としては、硫化銅が特に好ましい。
前記鉄化合物の具体例としては、硫化鉄及び酸化鉄が挙げられ、本発明の洗浄液の実施の形態による除去対象としては、硫化鉄が特に好ましい。
前記亜鉛化合物の具体例としては、硫化亜鉛及び酸化亜鉛が挙げられ、本発明の洗浄液の実施の形態による除去対象としては、硫化亜鉛が特に好ましい。
本発明の洗浄液の実施の形態による溶解除去作用が好適に奏される点から、除去対象である金属物質としては、銀、銀化合物、銅及び銅化合物が好ましく、硫化銀及び硫化銅が特に好ましい。
以上説明した通り、本発明の洗浄液の実施の形態は、各種金属物質を好適に溶解除去することができるが、特に、前記金属物質が付着した設備を洗浄(金属物質を溶解除去)する用途に好適である。前記設備とは、前記金属物質が付着しうるものである限り特に制限はなく、例えば前記金属物質が何らかの目的で添加されうる反応装置や、金属物質を含有する液体を固液分離するフィルターが挙げられる。
前記フィルターとは、液体と固体の混合液から特定のサイズの固体を除去するための装置である。フィルターは除去対象の固体のサイズ以下の大きさの孔を備えており、前記混合液をフィルターに通すことで、液体及び孔のサイズより小さい固体はそのフィルターを透過し、孔のサイズより大きい固体はフィルターを透過しない。このようにして特定サイズの固体が除去される。なおフィルターは構造が微細であり、物理的損傷も受けやすいので、本発明の洗浄液の実施の形態(液体)による洗浄が特に好適である。
長期にわたって同じフィルターに液体と固体の混合液を通していると、フィルター上に、その孔のサイズ以上の大きさの固体(本発明でいえば、洗浄液による除去対象である金属物質)が付着し、その固体の上に更に固体が堆積していき、フィルターの詰まり(閉塞)が生じる。本発明においては、フィルターに直接付着した金属物質だけでなく、その上に堆積した金属物質も、フィルターに「付着した」ものとみなす。
フィルターには、処理対象の混合液を全量透過させる(除去対象の固体は透過しないが)デッドエンド型と、処理対象の混合液の流れの周囲に除去対象の固体のサイズ以下の大きさの孔を設けるクロスフロー型とがある。本発明の洗浄液の実施の形態は、どちらのタイプのフィルターの洗浄にも適用可能である。なお、本発明にて「フィルター」にはRO膜(Reverse Osmosis Membrane)及びNF膜(Nanofiltration Membrane)が包含されるものとする。
なお、通常、フィルターは固液分離を目的として使用されるので、混合液から全ての固体を除去すべく、フィルターの孔のサイズは除去対象の固体の最小サイズを基準に選択されることが多い。孔のサイズは、孔が網目状に形成されている場合の目開き、空孔の場合の孔径などとして規定される。これらのサイズは、本発明の洗浄液の実施の形態の溶解除去対象である金属物質を除去対象とする場合は、好ましくは10μm以下とされ、より好ましくは5μm以下とされる。なお、フィルターそれ自体のコストの観点から孔のサイズは好ましくは0.2μm以上である。
フィルターには大きく分けてセラミック製のものと、ポリオレフィンなどの有機樹脂製のものとがある。コストの観点からは有機樹脂製のものが有利である。本発明の洗浄液の実施の形態は、いずれのフィルターの洗浄にも適用可能である。なお、有機樹脂は強力な酸化剤(金属物質を溶解可能である。二クロム酸カリウムなどの無機酸化剤がこれに該当する)によって分解するおそれがあるので、有機樹脂製のフィルターを洗浄する場合には、洗浄液としてそのような酸化剤を実質的に含まない組成のものを採用することが好ましい。
[設備の洗浄方法]
次に、本発明の設備の洗浄方法について説明するが、具体的な実施の形態として、前記設備がフィルターである場合を例として説明する。当該実施の形態では、上記で説明した金属物質が付着したフィルターに、本発明の洗浄液の実施の形態を接触させて、前記金属物質を溶解除去することで、フィルターを洗浄する。
金属物質による閉塞が生じたフィルターではその透過流量が低下して、フィルターの、液体と固体の混合液の処理効率が低下してしまい、またその洗浄が困難であることから、従来はフィルターの交換が必要であった。しかし本発明の設備の洗浄方法によれば、このようなフィルターを洗浄して、その処理効率を回復させることができる。すなわち当該洗浄方法は、同一の(金属物質を含むスラリーの固液分離に利用される)フィルターの長期利用を可能とする。具体的には、本発明の設備の洗浄方法の実施の形態によれば、フィルターのろ過フラックス(単位時間・単位面積あたりに液体がフィルターを透過する量であり、詳細については後述の実施例にて説明する)を、新品のものを100%として、好ましくは75%以上まで回復させることができる。なお、100%まで回復させる必要は現実的には無く、そこまで回復させようとすると洗浄液の使用量や、洗浄液をフィルターに接触させる時間が長くなって洗浄効率が下がることから、本発明の設備の洗浄方法の実施の形態は、フィルターのろ過フラックスを、新品のものを100%として、より好ましくは80〜98%、更に好ましくは83〜96%まで回復させる。
金属物質が付着したフィルターに洗浄液を接触させる方法に、特に制限はない。例えば洗浄液にフィルターを浸漬したり、フィルターに洗浄液を通液させることで、フィルターを洗浄することができる。後者の形態によれば、設置されたままの状態のフィルターに対して洗浄液を通液して洗浄することができ、フィルターの取り外しなどの付加的操作が不要であるので、好ましい。
本発明の設備の洗浄方法の実施の形態において、洗浄液の使用量は、フィルターに付着した金属物質の全量を溶解除去できる量であれば特に制限はない。好ましい使用量は、使用される洗浄液中の乳酸及びチオウレア構造を有する化合物の量が、フィルターに付着した金属物質の量に対して20〜1000モル倍となる量である。なおフィルターに付着した金属物質の量は、例えば、そのフィルターが設置されたプロセス設備を操業して、どの程度の期間でどの程度の量の金属物質がフィルターに付着するかといったデータを取得することにより、平均的な量として求めることができる。
本発明の設備の洗浄方法の実施の形態において、洗浄液を金属物質が付着したフィルターに接触させる時間は、金属物質の汚染(付着)の程度により増減するが、好ましくは1〜20時間程度である。
なお、フィルターに付着した金属物質に関して、フィルターの処理対象である混合液が有機物も含む場合には、金属物質上に有機物がコーティング膜のように堆積している場合がある。この場合には、まず水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ水溶液をフィルターに接触させて前記有機物を除去して(脱脂)、その後に洗浄液による洗浄を実施することが好ましい。
本発明の設備の洗浄方法の実施の形態により金属物質が付着したフィルターを洗浄した後は、フィルター上に残留した本発明の洗浄液の実施の形態を水で洗い流すことが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[1.洗浄液組成の検討]
下記表1の組成の各洗浄液を、各成分を混合することで調製した。
洗浄液のpHの測定にはHORIBA製pH meter F−16を使用し、測定時の温度が25℃の場合は実測定値を採用し、25℃でない場合はpH測定装置内蔵の校正機能により25℃でのpH値を求めた。
洗浄性能を評価するための試料(洗浄対象)はAgS/CuS混合物(粉末)である。AgSとCuSの混合割合(質量比)は、約4:6である。前記試料10mgを5つの試験管にとり、これに各洗浄液20mLを注いだ。試料と洗浄液が入った各試験管を振盪装置にセットし、室温下、200rpmで6時間振盪した。
振盪後の各試験管を観察し、試料(粉末)の溶解状態を観察した。なお実施例1については、非常に溶解速度が高く、2時間の振盪をした時点で一度状態を観察したところ、粉末が試験管内に見えない状態となっていた。試料はこの時点で完全に溶解したと考えられる。一方比較例1〜3については(6時間の振盪後において)残渣があり、溶解は起こらなかったと考えられる。比較例4については残渣の量が少なかったので、試料が一部溶解したものと考えられる。
なお、試料中のCuSの量は0.04mmol、AgSの量は0.02mmolであり、これに対して実施例1の洗浄液中の乳酸は11mmol、チオ尿素は13mmol、硫酸は2mmolであった。
[2.デッドエンド型フィルターの洗浄性能の評価]
(1)目詰まりフィルターの作製
試験に供するフィルターとしては、目開き0.45μmのメンブランフィルター(ニトロセルロース製)を使用した。これの膜面積は,9.07cmである。
フィルターに目詰まりを生じさせる試験液を以下のようにして調製した。1.0gの寺田薬泉製CuSを水100gにリパルプし、AgNOを0.5g添加した。銀と銅の置換反応後(AgSが生成)、固形物を超音波分散し、粒子を微細化した。
このようにして調製した試験液を上記メンブランフィルターで減圧濾過した。次に、フィルター上のケーキを回収し、このケーキについて再度水によるリパルプ及び超音波分散と前記フィルターでの減圧ろ過を行った。このケーキ回収〜減圧ろ過の操作を10回繰り返し、目詰まりフィルターを得た。
(2)目詰まりフィルターのろ過フラックスの測定
上記(1)で作製した目詰まりフィルターを減圧濾過器にセットし、上記(1)で得られた試験液のろ液250mLをろ過し(室温(26℃))、ろ過に要した時間と、フィルター面積(9.07cm)と、ろ液量(250mL)からろ過フラックスを求めた。ろ過フラックスは、単位面積・単位時間あたりの透過液の量であり、「L/m/hr」の次元で表現され、Lはmに換算できることから、「m/hr」の次元でも表現できる。
(3)目詰まりフィルターの洗浄とろ過フラックスの回復確認
上記(2)の試験に供した目詰まりフィルターに実施例1の洗浄液を100mL注ぎ、フィルターが洗浄液中に存在する状態で4時間静置した後に洗浄液を除去した。その後、上記(2)の試験と同様な方法で、洗浄後フィルターのろ過フラックスを測定した。また、新品のメンブランフィルターについても同様な方法でろ過フラックスを測定した。
以上の結果を下記表2に示す。洗浄により、フィルターのろ過フラックスは新品のものの約88%にまで回復していた。
[3.クロスフロー式ろ過フィルターの洗浄性能の評価]
特許文献2に開示されるプロセス、具体的には銀を含有する被処理液に硫化銅を添加して、クロスフロー型のフィルター(ポリプロピレン製中空糸膜モジュール)により固液分離して銀を回収するプロセスを長期操業した。その結果、中空糸膜モジュールが硫化銀および硫化銅の混合物で目詰まりし、これに対して実施例1の洗浄液による洗浄を実施した。
具体的には、中空糸膜が装填された膜モジュール外に透過液が出ないようにモジュールのバルブを閉めて,膜モジュールに洗浄液を循環させた。循環時間は6時間とした。その後、膜モジュール内の洗浄液を排出し、逆洗浄水で膜モジュールを洗浄した。
洗浄前と洗浄後の、膜モジュール断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す(左側が洗浄前、右側が洗浄後の写真)。なお、洗浄前と洗浄後それぞれのSEMの試料として、異なる膜モジュール由来のものを用いている。洗浄前のSEM写真では、中空糸膜と空気の境界面に高比重物質(白く見えているもの)が確認された。洗浄後のSEM写真においては、前記高比重物質は確認されなかった。
新品及び洗浄前後の膜モジュールの膜透過性能を評価するため、それぞれのろ過フラックスを測定した。ろ過フラックス測定には、硫化銀と硫化銅の混合物を含むスラリー(試験液)を用いた(硫化銀と硫化銅合計での濃度は4g/L)。試験液を循環流速0.15m/minで膜モジュールを循環させた。循環流速は、膜モジュールの膜面積(m)に対する,循環液量(L/min)である。本試験の場合、中空糸膜モジュールへの循環液の圧入圧力を0.06MPaとすることで、前記の循環流速となった。試験液を循環させた時間と、透過液量と、膜モジュールの面積とから、ろ過フラックスを求めた。結果を以下の表3に示す。
洗浄により、中空糸膜モジュールのろ過フラックスは新品のものの90%にまで回復していた。そして、洗浄後の中空糸膜モジュールは、洗浄前と同様に硫化銀および硫化銅の混合物をキャッチすることができた(洗浄によるフィルター機能の低下は認められなかった)。

Claims (16)

  1. 乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を含有する洗浄液。
  2. 前記洗浄液中の乳酸の含有量が、1〜50質量%である、請求項1に記載の洗浄液。
  3. 前記洗浄液中のチオウレア構造を有する化合物の含有量が、1〜15質量%である、請求項1又は2に記載の洗浄液。
  4. 前記洗浄液中の硫酸の含有量が、0.05〜10質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄液。
  5. 前記洗浄液中の乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水の含有量の合計が、90質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄液。
  6. 前記チオウレア構造を有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄液:
    (式(1)において、Rはそれぞれ独立に、水素又は炭素数1〜12のアルキル基である。)。
  7. 銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質を溶解除去するために使用される、請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄液。
  8. 銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質が付着した設備を洗浄するために使用される、請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄液。
  9. 前記銀化合物が硫化銀であり、前記銅化合物が硫化銅である、請求項7又は8に記載の洗浄液。
  10. 乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を混合する工程を有する、洗浄液の製造方法。
  11. 前記洗浄液中の、前記乳酸の含有量が1〜50質量%、前記チオウレア構造を有する化合物の含有量が1〜15質量%、前記硫酸の含有量が0.05〜10質量%、これら3成分及び水の含有量の合計が90質量%以上となる割合で、前記乳酸、チオウレア構造を有する化合物、硫酸及び水を混合する、請求項10に記載の洗浄液の製造方法。
  12. 前記洗浄液が、銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質が付着した設備を洗浄するために使用される、請求項10又は11に記載の洗浄液の製造方法。
  13. 前記設備がフィルターである、請求項12に記載の洗浄液の製造方法。
  14. 銀、銀化合物、銅、銅化合物、鉄、鉄化合物、亜鉛および亜鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属物質が付着した設備に請求項1〜9のいずれかに記載の洗浄液を接触させて前記金属物質を溶解除去する、設備の洗浄方法。
  15. 前記設備がフィルターであり、該フィルターに前記洗浄液を通液することで前記金属物質を溶解除去する、請求項14に記載の設備の洗浄方法。
  16. 前記フィルターが有機樹脂製である、請求項15に記載の設備の洗浄方法。
JP2019164177A 2019-09-10 2019-09-10 洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法 Pending JP2021041323A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019164177A JP2021041323A (ja) 2019-09-10 2019-09-10 洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019164177A JP2021041323A (ja) 2019-09-10 2019-09-10 洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021041323A true JP2021041323A (ja) 2021-03-18

Family

ID=74861859

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019164177A Pending JP2021041323A (ja) 2019-09-10 2019-09-10 洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021041323A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1150280A (ja) * 1997-07-30 1999-02-23 Nippon Hyomen Kagaku Kk 鋼材の脱スケール酸洗液および脱スケール酸洗方法
JP2002301496A (ja) * 2001-02-05 2002-10-15 Otsuka Chem Co Ltd スケール除去及び防止剤
JP2003027096A (ja) * 2001-07-13 2003-01-29 Niitaka:Kk 銀器類用水性洗浄剤
JP2007270222A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Kurita Water Ind Ltd スケール洗浄剤及びスケール除去方法
JP2015105412A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 三菱重工業株式会社 溶解除去組成物
WO2016129352A1 (ja) * 2015-02-12 2016-08-18 メック株式会社 エッチング液及びエッチング方法
JP2017203087A (ja) * 2016-05-10 2017-11-16 ユシロ化学工業株式会社 さび除去剤組成物
JP2019063710A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 Dowaテクノロジー株式会社 被処理液の処理方法及び処理装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1150280A (ja) * 1997-07-30 1999-02-23 Nippon Hyomen Kagaku Kk 鋼材の脱スケール酸洗液および脱スケール酸洗方法
JP2002301496A (ja) * 2001-02-05 2002-10-15 Otsuka Chem Co Ltd スケール除去及び防止剤
JP2003027096A (ja) * 2001-07-13 2003-01-29 Niitaka:Kk 銀器類用水性洗浄剤
JP2007270222A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Kurita Water Ind Ltd スケール洗浄剤及びスケール除去方法
JP2015105412A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 三菱重工業株式会社 溶解除去組成物
WO2016129352A1 (ja) * 2015-02-12 2016-08-18 メック株式会社 エッチング液及びエッチング方法
JP2017203087A (ja) * 2016-05-10 2017-11-16 ユシロ化学工業株式会社 さび除去剤組成物
JP2019063710A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 Dowaテクノロジー株式会社 被処理液の処理方法及び処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6955762B2 (en) Method of cleaning membranes
US4014787A (en) Wastewater treatment
JP2018204088A (ja) スカンジウムの回収方法
JP4597169B2 (ja) 重金属を含有する排水の処理方法
JP2021041323A (ja) 洗浄液、洗浄液の製造方法及び設備の洗浄方法
JP2014233657A (ja) 鉄/マンガン含有水の処理装置および処理方法
JP2000140585A (ja) 膜分離装置の運転方法および膜分離装置
JP2013244455A (ja) 廃水処理装置及び廃水処理方法
JP6540154B2 (ja) 逆浸透膜の洗浄方法
JP4490565B2 (ja) 金属表面処理水洗水中の処理剤成分の回収方法
JP5237164B2 (ja) ろ過膜の洗浄方法
CN111556852B (zh) 部件的再生方法以及海水淡化方法
JP6616593B2 (ja) 膜の洗浄方法
JP2002085942A (ja) 金属表面処理水洗水中の薬液成分の回収方法
JP6394306B2 (ja) 膜の洗浄方法、及び塩素含有廃棄物の処理方法
JP3826497B2 (ja) 純水製造方法
DE102011082285A1 (de) Verfahren zur Abtrennung von radioaktiven Nukliden mittels keramischer Filtermembranen
JP5125371B2 (ja) アミン系抽出剤のスクラビング方法
CN106563419A (zh) 一种去除废水中重金属的试剂与方法
JP2020018986A (ja) 膜ろ過装置の洗浄方法および水処理方法
JPS60102905A (ja) 廃液処理方法
JP2019063710A (ja) 被処理液の処理方法及び処理装置
JP6329807B2 (ja) 鉄/マンガン含有水の処理装置および処理方法
JP6301668B2 (ja) マンガン含有水の処理装置および処理方法
JP2005527453A (ja) 金属水酸化物を調製するための方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230725

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230921

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240301

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240326

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240416