JP2021040551A - 培地組成物、キット、間葉系幹細胞組成物の製造方法、間葉系幹細胞組成物、間葉系幹細胞、細胞培養上清および細胞外小胞 - Google Patents

培地組成物、キット、間葉系幹細胞組成物の製造方法、間葉系幹細胞組成物、間葉系幹細胞、細胞培養上清および細胞外小胞 Download PDF

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【課題】特別な装置、機材を用いることなく、より多くの間葉系幹細胞を短期間で増殖させ、細胞の性質の変化を抑制する培地組成物、これを含むキット、これを用いた間葉系幹細胞組成物の製造方法、間葉系幹細胞組成物、間葉系幹細胞、細胞培養上清、細胞外小胞を提供すること。【解決手段】アスコルビン酸に代えて、アスコルビン酸誘導体を含む間葉系幹細胞を増殖させるための培地組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、培地組成物、キット、間葉系幹細胞組成物の製造方法、間葉系幹細胞組成物、間葉系幹細胞、細胞培養上清および細胞外小胞に関する。
間葉系幹細胞は、全世界で600例以上の臨床試験が実施されている細胞である。間葉系幹細胞は、培養期間が長く、分裂回数が多くなると、増殖速度の低下、細胞形態の変化、分化能の低下を示す細胞と知られている。
特許文献1には、少なくとも1種のアミノ酸の濃度が、グリシン5μmol/L未満、アラニン5μmol/L未満、セリン3μmol/L未満、プロリン5μmol/L未満、アスパラギン1μmol/L未満、アスパラギン酸2μmol/L未満、および/またはグルタミン酸3μmol/L未満である、間葉系幹細胞用培地が記載されている。
特許文献2には、(a)特定の第一の培地でヒト多能性幹細胞を培養するステップ;(b)第一の培地を、特定の第二の培地に交換してヒト多能性幹細胞を培養するステップ;(c)第一の培地でヒト多能性幹細胞を継代培養するステップを含む、未分化状態を維持したままヒト多能性幹細胞を培養する方法が記載されている。
また、非特許文献1には、イーグルの細小必須培地に所定の成分を添加したα培地が記載されている。
Nature New Biology Vol.230 March 10 1971 pp.52−54
国際公開第2016/027850号パンフレット 特開2016−73323号公報
間葉系幹細胞の研究、細胞治療においては、大量の細胞数を確保する必要があり、この増殖速度の低下が問題となる。また、研究や治療においては、再現性および均質性が重要であり、細胞の形態の変化や分化能の低下を抑制することが求められる。
本発明は、特別な装置、機材を用いることなく、より多くの間葉系幹細胞を短期間で増殖させ、細胞の性質の変化を抑制する培地組成物、これを含むキット、これを用いた間葉系幹細胞組成物の製造方法、間葉系幹細胞組成物、間葉系幹細胞、細胞培養上清、細胞外小胞を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アスコルビン酸を含む培地中において間葉系幹細胞を培養した場合には、培地中に含有されているアスコルビン酸の不安定性に起因して、間葉系幹細胞の増殖不全が生じることが考えられた。培地中にアスコルビン酸の代わりにアスコルビン酸誘導体を含ませることにより間葉系幹細胞をより安定に培養できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、以下の発明が提供される。
<1>ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリンを含み;
グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン類、グルタミン酸、プロリン、セリンおよびチロシンからなる群から選択される一以上を含み;
ビオチン、ビタミンB12、および少なくとも1種のその他のビタミン類を含み;
少なくとも1種の無機塩を含み;
糖類およびピルビン酸塩のうちの少なくとも1種を含み;
リポ酸を含み;
アスコルビン酸誘導体を含み;
リノール酸を含まない;
間葉系幹細胞を増殖させるための培地組成物。
<2>上記アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸−2−リン酸、アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウム、アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩、およびアスコルビン酸−2−グリコシドからなる群から選択される一以上である、<1>に記載の培地組成物。
<3>アスコルビン酸誘導体の濃度が0.03mmol/L以上である、<1>または<2>に記載の培地組成物。
<4>アスコルビン酸誘導体の濃度が0.14mmol/L以上0.57mmol/L以下である、<1>または<2>に記載の培地組成物。
<5>上記その他のビタミン類が、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキサール類、リボフラビン、チアミン塩酸塩およびi−イノシトールからなる群から選択される一以上である、<1>から<4>の何れか一項に記載の培地組成物。
<6>ピリドキサール類が、ピリドキサールまたはピリドキシンのいずれかである<5>に記載の培地組成物。
<7>上記無機塩が、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムからなる群から選択される一以上である、<1>から<6>の何れか一項に記載の培地組成物。
<8>上記糖類が、D−グルコースであり、上記ピルビン酸塩が、ピルビン酸ナトリウムである、<1>から<7>の何れか一項に記載の培地組成物。
<9>アミノ酸として、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含み、
ビタミン類として、ビオチン、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキサール類、リボフラビン、チアミン塩酸塩、およびビタミンB12およびi−イノシトールを含み、
無機塩類として、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを含み、
さらに、グルタミン類、D−グルコース、フェノールレッド、リポ酸、およびピルビン酸ナトリウムを含む、
<1>から<8>の何れか一項に記載の培地組成物。
<10>アミノ酸として、
0.33〜1.34mmol/Lのグリシン、
0.14〜0.56mmol/Lのアラニン、
0.30〜1.2mmol/Lのアルギニン、
0.16〜0.66mmol/Lのアスパラギン、
0.11〜0.46mmol/Lのアスパラギン酸、
0.05〜0.20mmol/Lのシスチン、
0.28〜1.14mmol/Lのシステイン、
0.25〜1.02mmol/Lのグルタミン酸、
0.10〜0.40mmol/Lのヒスチジン、
0.20〜0.80mmol/Lのイソロイシン、
0.20〜0.80mmol/Lのロイシン、
0.20〜0.80mmol/Lのリジン、
0.05〜0.20mmol/Lのメチオニン、
0.09〜0.38mmol/Lのフェニルアラニン、
0.17〜0.70mmol/Lのプロリン、
0.12〜0.48mmol/Lのセリン、
0.20〜0.80mmol/Lのスレオニン、
0.025〜0.10mmol/Lのトリプトファン、
0.10〜0.40mmol/Lのチロシン、
0.19〜0.78mmol/Lのバリン、
ビタミン類として、
2.05〜8.20×10−4mmol/Lのビオチン、
0.003〜0.014mmol/Lの塩化コリン、
0.001〜0.004mmol/Lのパントテン酸カルシウム、
0.001〜0.004mmol/Lの葉酸、
0.004〜0.016mmol/Lのナイアシンアミド、
0.002〜0.010mmol/Lのピリドキサール類、
0〜5.32×10−4mmol/Lのリボフラビン、
0.001〜0.006mmol/Lのチアミン塩酸塩、
0.0005〜0.002mmol/LのビタミンB12、
0.005〜0.02mmol/Lのi−イノシトール、
無機塩類として、
0.90〜3.60mmol/Lの塩化カルシウム、
0.40〜1.62mmol/Lの硫酸マグネシウム、
2.66〜10.66mmol/Lの塩化カリウム、
13.09〜52.38mmol/Lの炭酸水素ナトリウム、
58.62〜234.48mmol/Lの塩化ナトリウム、
0.50〜2.02mmol/Lのリン酸二水素ナトリウム
その他の成分として、
1.00〜4.00mmol/Lのグルタミン類、
2.78〜11.12mmol/LのD−グルコース、
0〜0.06mmol/Lのフェノールレッド、
4.85〜19.42×10−4mmol/Lのリポ酸、
0.50〜2.00mmol/Lのピルビン酸ナトリウム
を含む、
<9>に記載の培地組成物。
<11>グルタミン類が、グルタミンおよびアラニル−グルタミンのいずれかである、<1>から<10>の何れか一項に記載の培地組成物。
<12>さらに2〜20体積%の血清を含む、<1>から<11>の何れか一項に記載の培地組成物。
<13> さらに血清代替物の一以上を含む、<1>から<12>の何れか一項に記載の培地組成物。
<14> さらに増殖因子の一以上を含む、<1>から<13>の何れか一項に記載の培地組成物。
<15> 増殖因子が、塩基性線維芽細胞増殖因子である、<14>に記載の培地組成物。
<16>さらに抗生物質を含む、<1>から<15>の何れか一項に記載の培地組成物。
<17>間葉系幹細胞が、ヒト間葉系幹細胞である、<1>から<16>の何れか一項に記載の培地組成物。
<18>間葉系幹細胞が、骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞のいずれかに由来する細胞である、<1>から<17>の何れか一項に記載の培地組成物。
<19><1>から<18>の何れか一に記載の培地組成物と、血清、血清代替物、サイトカイン及び抗生物質からなる群から選択される一以上とを含む、培地キット。
<20><1>から<18>の何れか一に記載の培地組成物と骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞由来の間葉系幹細胞を含む細胞群とを接触させることによって、上記細胞群を単離または、分化させることを含む、間葉系幹細胞の製造方法。
<21><1>から<18>の何れか一項に記載の培地組成物中において、間葉系幹細胞を培養することを含む、間葉系幹細胞組成物の製造方法。
<22><20>または<21>に記載の方法により得られる間葉系幹細胞組成物。
<23><20>または<21>に記載の方法により得られる、細胞治療用の間葉系幹細胞。
<24><20>または<21>に記載の方法により得られる、細胞培養上清。
<25><20>または<21>に記載の方法により得られる細胞培養上清から抽出した、細胞外小胞。
本発明の培地組成物、キット、および間葉系幹細胞組成物の製造方法によれば、特別な装置や機材を用いることなく、より多くの間葉系幹細胞を短期間で増殖させ、細胞の性質の変化を抑制することができる。本発明の間葉系幹細胞組成物、間葉系幹細胞、細胞培養上清、および細胞外小胞は、細胞治療などにおいて有用である。
図1は、増殖曲線の比較を示す。1つの細胞が分裂して2つになった際にはPDLは1つ上がる。 図2は、4継代の一日当たりの平均増殖倍率を示す。 図3は、各培地で4継代したときのMSCの細胞形態を示す。 図4は、培地Aで4継代し、その後、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞に分化させたときの染色写真を示す。 図5は、表面抗原マーカーを調べた結果を示す。MSCの表面抗原マーカーのうち陽性はCD73、CD90、CD105であり、陰性はCD45、CD34、CD14、HLA−DRである。 図6は、培地の成分分析の結果を示す。Thermoは、Thermo Fisher Scientificを示し、FFWKは富士フイルム和光純薬を示す。MEMαの処方値を100%としたときの濃度を示す。 図7は、各社基礎培地の増殖能(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)の比較を示す。Thermoは、Thermo Fisher Scientificを示し、FFWKは富士フイルム和光純薬を示す。 図8は、基礎培地中のアスコルビン酸類の濃度とMSCの増殖能との関係を示す。 図9は、アスコルビン酸類縁体について、培地変更後、4継代の平均増殖倍率を示す。APNはアスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウム、APMはアスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩n水和物、AGはアスコルビン酸−2−グリコシドを示す。 図10は、初代培養時のコロニー形成数の比較を示す。 図11は、初代培養時のコロニー形成の比較を示す。 図12は、初代培地として各培地を用いた際の増殖能の比較を示す。1つの細胞が分裂して2つになった際にはPDLは1つ上がる。 図13は、各培地にて10継代した時の細胞形態を示す。 図14は、各培地で10継代した細胞の分化能を確認した結果を示す。 図15は、牛胎児血清(FBS)量が各培地の増殖能(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)に与える影響を調べた結果を示す。 図16は、LONZA社BMSCを各培地で培養したときの増殖能(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)を示す。 図17は、LONZA社BMSCを各培地で培養したときの細胞形態を示す。 図18は、基礎培地中のリボフラビンの濃度とMSCの増殖能(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)の関係を示す。括弧内の数値は基礎培地Cに加えたリボフラビンの濃度(mg/L)を示す。 図19は、フェノールレッドがMSCの増殖能(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)に与える影響を示す。 図20は、アラニル−グルタミン(Ala−Gln)がMSCの増殖能(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)に与える影響を示す。 図21は、ピリドキシンがMSC(培地変更後、4継代の平均増殖倍率)の増殖能に与える影響を示す。 図22は、リノール酸がMSCの増殖能に与える影響を示す。 図23は、培地Aおよびタイプ培地で培養した異なる2人のドナー由来のMSCの増殖能を示す。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において実質的に含まない、ないし単に含まないと言うときには、特に断らない限り、該当する成分が5×10−5mmol/L未満であることを意味する。逆に、含むと言うときには、特に断らない限り、5×10−5mmol/L以上で含まれることを指す。
本発明の培地組成物は必須アミノ酸を含んでいる。すなわち、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリンを含んでいる。培地組成物における必須アミノ酸の濃度は特に限定されないが、各必須アミノ酸の濃度が、0.003mmol/L以上であることが好ましく、0.005mmol/L以上であることがより好ましく、0.01mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、5mmol/L以下であることが一般的である。
必須アミノ酸は合計濃度としては、0.5mmol/L以上であることが好ましく、1mmol/L以上であることがより好ましく、1.5mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、15mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は非必須アミノ酸等を含む。ここで、非必須アミノ酸等とは非必須アミノ酸とグルタミン類とを規定する意味である。非必須アミノ酸等としては、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン類、グルタミン酸、プロリン、セリンおよびチロシンからなる群から選択される一以上のものが挙げられる。
非必須アミノ酸等として、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン類、または/およびグルタミン酸を含む場合、これらの各々は0.005mmol/L(5μmol/L)以上であり、0.01mmol/L以上であることが好ましく、0.05mmol/L以上であることがより好ましい。上限値としては、3mmol/L以下であることが一般的である。グルタミン類として好ましくは、グルタミンおよびアラニル−グルタミンが挙げられる。
非必須アミノ酸等の合計濃度としては、0.5mmol/L以上であることが好ましく、1.5mmol/L以上であることがより好ましく、2.5mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、30mmol/L以下であることが一般的である。
アミノ酸の検出および測定方法は公知の方法によればよいが、例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によるアミノ酸の定量、ニンヒドリン法によるアミノ酸分析方法(例えば、Clinical Chemistry(1997),Vol.43,No.8,p1421−1428を参照)等により行うことができる。
本明細書中に記載されるアミノ酸は、L−体、D−体、DL−体のいずれであってもよい。またアミノ酸は遊離体のみならず塩を形成していてもよい。塩の形態には酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができる。酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸またはモノメチル硫酸等の有機酸が挙げられる。また、そのような塩を形成する塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の金属の水酸化物あるいは炭酸化物や、アンモニア等の無機塩基、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。塩は水和物(含水塩)であってもよい。
本発明の培地組成物は、ビオチン、ビタミンB12、および少なくとも1種のその他のビタミン類を含む。その他のビタミン類としては、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキサール類、リボフラビン、チアミン塩酸塩およびi−イノシトールが挙げられる。ピリドキサール類としては、ピリドキサールおよびピリドキシンが挙げられる。上記のビオチン、ビタミンB12、および少なくとも1種のその他のビタミン類は遊離体のみならず塩を形成していてもよい。塩の形態には酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができる。具体的には、アミノ酸について上記したものが挙げられる。
本発明の培地組成物におけるビタミン類の含有濃度は、各々が0.0005mmol/L以上であることが好ましく、0.001mmol/L以上であることがより好ましく、0.002mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、1mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物におけるビタミン類の含有濃度は、合計で、0.01mmol/L以上であることが好ましく、0.05mmol/L以上であることがより好ましく、0.1mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、2mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は、少なくとも1種の無機塩を含む。無機塩は、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムからなる群から選択される一以上であることが好ましい。無機塩の濃度は特に限定されないが、合計で、10mmol/L以上であることが好ましく、50mmol/L以上であることがより好ましく、80mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、1,000mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は、糖類およびピルビン酸塩のうちの少なくとも1種を含む。糖類としてはD−グルコースが挙げられる。ピルビン酸塩としては、ピルビン酸ナトリウムが挙げられる。糖類およびピルビン酸塩の濃度は、合計で、0.1mmol/L以上であることが好ましく、0.3mmol/L以上であることがより好ましく、1mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、50mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は、リポ酸を含む。リポ酸の濃度は、5×10−5mmol/L以上であることが好ましく、0.0001mmol/L以上であることがより好ましく、0.0005mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、0.005mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物には、アスコルビン酸(下記式a)に代えて、アスコルビン酸誘導体を含む。アスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸−2−リン酸(下記式b)、アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウム(下記式c、以下これを「APN」と呼ぶことがあり、アスコルビン酸誘導体を「APN等」と呼ぶことがある)、アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩(下記式d)、およびアスコルビン酸−2−グリコシドが挙げられ、アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウム又はアスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩が好ましく、アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウムがより好ましい。
Figure 2021040551
上述のとおり、本発明の培地組成物においては、アスコルビン酸に代えて、その代替物を含むことが重要である。これは、実験的に裏付けられてきたものではあるが、不安定なアスコルビン酸に代え、アスコルビン酸誘導体を採用したことにより、培地としての安定性が向上したと考えられる。
本発明の培地組成物において、アスコルビン酸誘導体の濃度は、合計で、0.03mmol/L以上であることが好ましく、0.1mmol/L以上であることがより好ましく、0.14mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、5.0mmol/L以下であることが好ましく、1.0mmol/L以下であることがより好ましく、0.57mmol/L以下であることがさらに好ましい。
本発明の培地組成物はアスコルビン酸を含むことを妨げないが、 含まないことが好ましい。本発明の培地組成物はリノール酸を含まないことが好ましい。さらに、本発明の培地組成物は核酸を含まないことが好ましい。
ここで含まないとは、本発明の効果との関係で実質的に含まれていないことを言い、不可避的に混入するものを排除する意味ではない。実質的に含まれない例としては、アスコルビン酸の場合は、通常、5×10−5mmol/L未満であり、好ましくは、0mmol/Lである。リノール酸の場合は、通常、0.0015mmol/L未満であり、好ましくは、0.001mmol/L以下、より好ましくは、0.0005mmol/L以下、更に好ましくは、0.0003mmol/L以下であり、特に好ましくは、0.00015mmol/L以下であり、最も好ましくは、0mmol/Lである。また、核酸の場合は、通常、5×10−5mmol/L未満であり、好ましくは、0mmol/Lである。
本発明の培地組成物は、フェノールレッドを含んでいてもよい。フェノールレッドの濃度は、0.001mmol/L以上であることが好ましく、0.005mmol/L以上であることがより好ましく、0.01mmol/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、0.2mmol/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は、血清を含んでいてもよい。血清を含有する培地組成物における血清の量は、下限値としては、2体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることがより好ましく、10体積%以上であることがさらに好ましい。上限値としては、20体積%以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は血清、血清代替物、増殖因子及び抗生物質からなる群から選択される一以上と組み合わせて培地キットとしてもよい。
血清としては、動物由来の血清が挙げられる。特に限定されないが、好ましくは哺乳動物由来の血清(例えばウシ胎仔血清、ヒト血清等)であり、より好ましくはヒト血清である。
本発明の培地組成物は、さらに血清代替物を含んでいてもよい。
血清代替物としては、増殖因子も含まれるが、そのほかの例としては、アルブミン、脂質リッチアルブミンおよび組換えアルブミン等のアルブミン代替物、植物デンプン、デキストラン、タンパク質加水分解物、トランスフェリンまたは他の鉄輸送体、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2−メルカプトエタノール、3’−チオグリセロールあるいはこれらの均等物などが挙げられる。血清代替物の具体例としては、例えば、国際公開WO98/30679号記載の方法により調製されるものや、市販のknockout Serum Replacement(KSR社)、Chemically−defined Lipid concentrated(Life Technologies社)およびGlutamax(Life Technologies社)などが挙げられる。
本発明の培地組成物は、さらに増殖因子を含んでいてもよい。増殖因子としては、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子が挙げられる。増殖因子の濃度は、各増殖因子の濃度として、0.1μg/L以上であることが好ましく、0.5μg/L以上であることがより好ましく、1.0μg/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、50.0μg/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物は、さらに抗生物質を含んでいてもよい。抗生物質としては、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン(ゲンタマイシン硫酸塩など)、ペニシリンなどが挙げられる。抗生物質の濃度は、その合計濃度として、0.1mg/L以上であることが好ましく、0.5mg/L以上であることがより好ましく、10.0mg/L以上であることがさらに好ましい。上限値としては、1000mg/L以下であることが一般的である。
本発明の培地組成物には、上述した成分以外に、必要により、公知の添加物を含むことができる。添加物としては、例えば、ポリアミン類(例えばプトレシン等)、還元剤(例えば2−メルカプトエタノール等)、緩衝剤(例えばHEPES(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)等)等が挙げられる。
本発明の培地組成物について、好ましい実施形態を成分全体にわたって規定しなおすと、下記のような濃度範囲のものが挙げられる。すなわち、
アミノ酸として、
0.33〜1.34mmol/Lのグリシン、
0.14〜0.56mmol/Lのアラニン、
0.30〜1.2mmol/Lのアルギニン、
0.16〜0.66mmol/Lのアスパラギン、
0.11〜0.46mmol/Lのアスパラギン酸、
0.05〜0.20mmol/Lのシスチン、
0.28〜1.14mmol/Lのシステイン、
0.25〜1.02mmol/Lのグルタミン酸、
0.10〜0.40mmol/Lのヒスチジン、
0.20〜0.80mmol/Lのイソロイシン、
0.20〜0.80mmol/Lのロイシン、
0.20〜0.80mmol/Lのリジン、
0.05〜0.20mmol/Lのメチオニン、
0.09〜0.38mmol/Lのフェニルアラニン、
0.17〜0.70mmol/Lのプロリン、
0.12〜0.48mmol/Lのセリン、
0.20〜0.80mmol/Lのスレオニン、
0.025〜0.10mmol/Lのトリプトファン、
0.10〜0.40mmol/Lのチロシン、
0.19〜0.78mmol/Lのバリン、
ビタミン類として、
2.05〜8.20×10−4mmol/Lのビオチン、
0.003〜0.014mmol/Lの塩化コリン、
0.001〜0.004mmol/Lのパントテン酸カルシウム、
0.001〜0.004mmol/Lの葉酸、
0.004〜0.016mmol/Lのナイアシンアミド、
0.002〜0.010mmol/Lのピリドキサール類、
0〜5.32×10−4mmol/Lのリボフラビン、
0.001〜0.006mmol/Lのチアミン塩酸塩、
0.0005〜0.002mmol/LのビタミンB12、
0.005〜0.02mmol/Lのi−イノシトール、
無機塩類として、
0.90〜3.60mmol/Lの塩化カルシウム、
0.40〜1.62mmol/Lの硫酸マグネシウム、
2.66〜10.66mmol/Lの塩化カリウム、
13.09〜52.38mmol/Lの炭酸水素ナトリウム、
58.62〜234.48mmol/Lの塩化ナトリウム、
0.50〜2.02mmol/Lのリン酸二水素ナトリウム
その他の成分として、
1.00〜4.00mmol/Lのグルタミン類、
2.78〜11.12mmol/LのD−グルコース、
0〜0.06mmol/Lのフェノールレッド、
4.85〜19.42×10−4mmol/Lのリポ酸、
0.50〜2.00mmol/Lのピルビン酸ナトリウム
を含む、培地組成物が挙げられる。
本発明の培地組成物は、間葉系幹細胞(本明細書において「MSC」と呼ぶことがある)を増殖させるための培地組成物である。
幹細胞とは、自己複製能および分化増殖能を有する未熟な細胞をいい、分化能力に応じて、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)、複能性幹細胞(multipotent stem cell)、単能性幹細胞(unipotent stem cell)等が含まれる。「幹細胞」は、一般に、未分化状態を保持したまま増殖できる「自己再生能」と、三胚葉系列すべてに分化できる「分化多能性」とを有する未分化細胞と定義されている。 多能性幹細胞とは、生体を構成する全ての組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。複能性幹細胞とは、全ての種類ではないが、複数種の組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。 単能性幹細胞とは、特定の組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。
間葉系幹細胞とは、骨芽細胞、軟骨芽細胞および脂肪芽細胞等の間葉系の細胞の全て又はそのうちの一部の細胞への分化が可能な幹細胞またはその前駆細胞の集団を広義に意味する。
間葉系幹細胞の由来も特に限定されず、例えば、ラット、マウス、ハムスター、モルモット等のげっ歯類、ウサギ等のウサギ目、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ等の有蹄目、イヌ、ネコ等のネコ目、ヒト、サル、アカゲザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類などの細胞であってもよい。
間葉系幹細胞は、ヒト間葉系幹細胞であることが好ましい。
また、間葉系幹細胞は、骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞のいずれかに由来する細胞であることが好ましい。
本発明の培地組成物は、これを間葉系幹細胞と接触させることによって培養し、骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞から間葉系幹細胞を単離する、間葉系幹細胞組成物の製造方法に適用してもよい。
本発明の間葉系幹細胞組成物の製造方法においては、好ましくは、培地組成物と骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞由来の間葉系幹細胞を含む細胞群とを接触させることによって、当該細胞群を単離または、分化させてもよい。ここで言う「単離」とは、例えば、上記細胞群を本発明の培地組成物で満たされた後述の培養器に播種し、当該培養器に付着した細胞以外を除去することによりなされればよい。この製造方法で得られる間葉系幹細胞組成物は細胞治療に用いることができる。また、この製造方法により細胞培養上清を得ることが好ましい。細胞培養上清には、間葉系幹細胞の種類によっては、そこから分泌された様々なサイトカイン(タンパク質)などが含まれており、治療や診断に適用することができる。本発明においては、この細胞培養上清から細胞外小胞を抽出することができる。細胞外小胞は培養した細胞から分泌等された物質が挙げられる。例えば、細胞から分泌されたエクソソーム、細胞の一部が分離したマイクロベシクル、細胞が死滅したアポトーシス小体等が含まれる。この細胞外小胞も治療・診断の目的で利用することができ、例えばエクソソームが担う細胞間での情報伝達機能を利用した細胞医療等への活用が可能である。
本発明の培地組成物によれば、増殖能を維持したまま長期に効率よく間葉系幹細胞の培養を行うことが可能となる。例えば、本発明の培地組成物により、50日以上、好ましくは70日以上、より好ましくは90日以上、さらに好ましくは100日以上の間、増殖能を維持したまま間葉系幹細胞の培養が可能である。また、本発明の培地組成物によれば、間葉系幹細胞の増殖能が失われないため、必要により、培養により多量の間葉系幹細胞を得ることが可能となる。
間葉系幹細胞の培養に用いられる培養器は、間葉系幹細胞の培養が可能なものであれば特に限定されないが、フラスコ、組織培養用フラスコ、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、マイクロスライド、チャンバースライド、シャーレ、チューブ、トレイ、培養バック、およびローラーボトルが挙げられる。
培養器は、細胞接着性であっても細胞非接着性であってもよく、目的に応じて適宜選ばれる。細胞接着性の培養器は、培養器の表面の細胞との接着性を向上させる目的で、細胞外マトリックス(ECM)等の任意の細胞支持用基質でコーティングされたものであり得る。細胞支持用基質は、間葉系幹細胞の接着を目的とする任意の物質であり得、ECMを用いたマトリゲル、あるいはコラーゲンやゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ラミニン、フィブロネクチン等が挙げられる。
培養条件は、適宜設定できる。例えば、培養温度は、特に限定されるものではないが約30〜40℃、好ましくは約37℃であり得る。CO濃度は、約1〜10%、好ましくは約2〜5%であり得る。酸素濃度は、1〜20%、好ましくは1〜10%であり得る。
本発明の培養方法によって得られる間葉系幹細胞組成物は、細胞治療用などの医療用に好適に使用することができる。間葉系幹細胞は、対象疾患等に応じて、未分化のまま、または骨細胞、軟骨細胞もしくは脂肪細胞等へ分化させた後に、使用することができる。対象疾患としては、例えば、月状骨無腐性壊死、大腿骨頭無腐性壊死、難断性骨軟骨炎、腰椎椎間板ヘルニア、虚血性心疾患、表皮水疱症等が挙げられる。また、間葉系幹細胞は、脂肪細胞へ分化させた後、美容整形用に使用することも可能である。
本発明の好ましい実施形態によれば、間葉系幹細胞は増殖が遅く継代するごとに増殖能が低下する細胞であるところ、アスコルビン酸をアスコルビン酸誘導体(APN等)に置き換えることにより、以下の利点が得られる。
・間葉系幹細胞の増殖能の向上、細胞形態の維持
・初代培地として間葉系幹細胞の培養に使用する場合、コロニー形成率の向上、増殖能の向上、分化能の向上、細胞形態の維持
・使用する血清量を低減することができる。
・細胞増殖因子を添加せずに添加した場合と同等の増殖能が得られる。
・長期間、培地の成分を維持することができる。
・ISCT(International Society for Cellular Therapy)によって定義される間葉系幹細胞の条件(分化能、表面抗原)を維持しうる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
(材料と方法)
1.細胞
Allcells社より購入した、骨髄液(Whole Bone Marrow, Fresh, 10mL、型番:ALL−ABM001、ロット:B003、B009およびB010)より単離したMSCおよび、LONZA社より購入したヒト間葉系幹細胞(型番:PT−2501)
2.基礎培地
タイプ基礎培地:Thermo Fisher Scientific社 MEM alpha no nucleosides (型番:12561)
基礎培地A〜F:詳細は下記表1(表1−1〜1−8)に記載
Figure 2021040551
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3.間葉系幹細胞の培養
間葉系幹細胞の培養には、2.に記載のそれぞれの基礎培地に抗生物質としてゲンタマイシン硫酸塩(「高田製薬ゲンタシン注60」)を20μg/mL、および、牛胎児血清(SAFC社 型番:12007Cもしくは、Selborne社 型番:FBS−04)を最終濃度10%(v/v)もしくは15%(v/v)になるように添加し、使用した。
間葉系幹細胞の単離は、購入した骨髄液(ロット:B003、B009、およびB010)を1,000rpmで10分間遠心を行い、血漿を除去したものに、タイプ培地もしくは、培地Aを血漿除去する前の10倍量になるように加え、0.20 mL/cmになるようにフラスコに播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を行った。3日または4日間ごとに培地交換を行い、播種から11日〜14日間培養を行ったのち、0.05%トリプシン−EDTA溶液(以下、トリプシン、ライフテクノロジーズ 型番:25300)で剥離を行った。剥離後、等量の培地でトリプシンの中和を行い、別に用意したチューブに移した。培養フラスコをさらに等量の培地で洗いこみを行い、上記チューブに加え、残った細胞を回収した。チューブは200×gで5分間遠心を行い、その上清を除去した。残ったペレットに適切な量の培地を加え、血球計算板を用いて、細胞カウントを行った。最終濃度が0.25〜0.50×10 cells/cmになるようにフラスコに播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養をした。3日もしくは4日間培養し、フラスコ底面の60%以上を細胞が満たしたときに、上記と同様の操作で継代を繰り返した。ロットB003はタイプ培地で単離・拡大培養を行った。2継代目終了時の細胞を遠心し、終濃度が10%(v/v) ジメチルスルホキシド(以下、DMSO、SIGMA−ALDRICH 型番:D2650)となるように、タイプ培地に混ぜた凍結液で 100×10 cells/cmになるように調整し、培地評価用の細胞ストック(B003−type−P3と称する)を作製し、これを以降の培地の評価で用いた。
各培地の評価は、凍結したB003−type−P3を37℃ウォーターバスにて解凍し、200×gで5分間遠心し、凍結液を除去し、タイプ培地を加え、0.25〜0.50 ×10 cells/cmになるようにフラスコに播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を3日もしくは4日間行った。フラスコ底面の60%以上を細胞が満たしたときに、トリプシンで剥離し、上記した方法で、回収した細胞を各培地に置き換え、0.25〜0.50×10 cells/cmになるようにフラスコに播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を3日もしくは4日間行った。この操作を計4継代もしくは5継代行い、MSCの増殖能、細胞形態を評価した。
ロットB009およびB010に関しては、上記の方法でタイプ培地、培地Aで単離・拡大培養を10継代まで行い、初代培地としての性能を評価した。
4.間葉系幹細胞の分化能の確認
<骨芽細胞への分化>
各種培地で4継代培養したMSCをCorning社 Human fibronectin Cellware 24 well plateに0.50 〜0.75×10 cells/cmとなるように播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を3日間行った。培養上清をPromocell社 間葉系幹細胞骨芽細胞分化培地(型番:C−28013)に置き換え、3日もしくは4日ごとに培地交換を行い、計21日間、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養した。各wellを4%パラホルムアルデヒドで固定を行い、アリザリンレッドで染色を行い、骨分化を評価した。
<脂肪細胞への分化>
各種培地で4継代培養したMSCをCorning社 Human fibronectin Cellware 24 well plateに0.50 ×10 cells/cmとなるように播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を3日間行った。培養上清をPromocell社 間葉系幹細胞脂肪細胞分化培地2(型番:C−28016)に置き換え、3日もしくは4日ごとに培地交換を行い、計21日間、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養した。各wellを4%パラホルムアルデヒドで固定を行い、オイルレッド−oで染色を行い、脂肪分化を評価した。
<軟骨細胞への分化(1)>
各種培地で4継代培養したMSC(20×10 cells)の細胞懸濁液を1.5mLチューブに移し、200×gで遠心し、上清の各種培地をPromocell社 間葉系幹細胞軟骨細胞分化培地(型番:C−28012)0.2mLに置き換え、住友ベークライト社 96wells, U bottomプレートに播種した。プレートを200×gで5分間遠心し、wellの底面に細胞のスフェロイドを作り、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を21日間行った。培地交換は3日もしくは4日ごとに行った。分化終了後のスフェロイドは、切片を作製し、アルシャンブルー染色液で染色を行い、軟骨分化を評価した。
<軟骨細胞への分化(2)>
各種培地で4継代培養したMSCをCorning社 Human fibronectin Cellware 24 well plateに0.50 ×10 cells /cmとなるように播種し、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を3日間行った。培養上清をPromocell社 間葉系幹細胞軟骨細胞分化培地(型番:C−28012)に置き換え、3日もしくは4日ごとに培地交換を行い、計21日間、37℃、5% CO雰囲気下のインキュベータ内で培養した。各wellを4%パラホルムアルデヒドで固定を行い、アルシャンブルーで染色を行い、軟骨分化を評価した。
(結果)
実施例1 タイプ培地、培地AでのMSCの培養の比較
MSCの凍結ストックB003−type−P3を用いて、タイプ培地、培地Aで4継代培養を行い、増殖能を比較した結果、培地Aで培養したMSCの増殖能はタイプ培地に比べ、有意に高いことを見出した。図1に増殖曲線の比較を示す。図2に4継代の一日当たりの増殖倍率を示す。
図3に、各培地で4継代したときのMSCの細胞形態を示す。培地Aの細胞形態は、タイプ培地に比べ、細胞が小さく、扁平な細胞が少なく、継代数が若いときの形態に近い。
図4に、培地Aで4継代し、その後、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞に分化させたときの染色写真を示す。培地Aで培養したMSCは骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞に分化することがわかった。
図5に、表面抗原マーカーを調べた結果を示す。ISCTが定義するMSCの定義を満たしていることが確認できた。
実施例2 基礎培地Aとタイプ基礎培地およびその他の各社の市販MEMα培地の成分分析および、MSCの増殖能の比較
培地の成分分析の結果を図6および表2に示す。タイプ基礎培地、市販MEMα培地ではアスコルビン酸がほとんど検出されなかった。基礎培地AではAPNが処方値の通り検出された。唯一アスコルビン酸が検出された培地は製造から測定までの日数が2か月であったため、6%残存していたと考えられる。MSCの凍結ストックB003−type−P3を用いて、タイプ培地、各社MEMαに15% 牛胎児血清、20μg/mLゲンタマイシン硫酸塩を加えた培地で培養した結果を図7に示す。結果、市販の基礎培地はタイプ培地と同等の増殖能を示し、培地Aより増殖能は劣っていた。
Figure 2021040551
※含有量は測定時点での値を示す。
Thermo:Thermo Fisher Scientific
FFWK:富士フイルム和光純薬
APN:アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウム
AS:アスコルビン酸
AN:アスコルビン酸ナトリウム
Ala−Gln:アラニル−グルタミン
実施例3 アスコルビン酸およびAPNの容量依存性試験
アスコルビン酸類が不含の培地Bを作製し、アスコルビン酸もしくはAPNの容量を変えた培地を作製し、MSCの増殖能を評価した。結果、基礎培地中のアスコルビン酸類の濃度が0.142 mmol/L未満になったときに、増殖能の低下が確認され、MSCの増殖能とアスコルビン酸類に容量依存性があることが分かった。図8に結果を示す。
実施例4 アスコルビン酸類縁体の評価
APNの類縁体として、アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩n水和物(以下、AMG)、アスコルビン酸−2−グリコシド(以下、AG)を評価した。アスコルビン酸類が不含の培地Bを作製し、上記アスコルビン酸類縁体を基礎培地中の濃度が0.284 mmol/Lとなるように添加し、MSCの増殖能を評価した。結果としてはAPNと同等、それ以上の増殖能を示した。図9に結果を示す。
実施例5 タイプ培地、培地Aの初代培地としての性能の比較
骨髄液ロットB009およびB010を用いて、初代培地としての性能評価を行った。B009では、培地Aの初代培養のコロニー形成数はタイプ培地に比べて、約1.8倍であった。コロニー形成数の結果を図10、その際のフラスコの写真を図11に示す。次に、各培地で10継代培養を行った結果、タイプ培地に比べて、培地Aの方が有意に増殖能が高い結果となった。5継代で得られる累積細胞数は約30倍、10継代で約940倍の細胞が得られる。その際の増殖曲線を図12に示す。図12の増殖曲線からもわかる通り、通常、MSCを長期間培養すると増殖能が徐々に低下していくが、培地Aで培養したMSCはタイプ培地に比べ、増殖能の低下が著しく遅い。10継代した時の細胞形態は図13に示す。タイプ培地の細胞形態は培地Aに比べて、細胞が大きく、扁平な細胞が多い。10継代した細胞の分化能を調べた結果、培地Aで培養したMSCは10継代しても分化能を維持しており、タイプ培地に比べて、分化能が高いことが分かった。結果を図14に示す。
本発明によれば、MSCを長期間培養することが可能で、大量のMSCが必要となる同種の細胞治療や、細胞バンキング、早期に細胞を増殖させたい自家の細胞移植に有用である。
一方、B010においては、培地A、タイプ培地で培養したMSCの増殖能は同等であった。図23に結果を示す。B010由来のMSCは増殖能が高かったため、増殖能の差分がほとんどなかったと考えられる。つまり、培地Aは、増殖能が悪いドナーのMSCについては、増殖能を改善し、増殖能の良いドナーのMSCに関しては、増殖能は同等になる。また、その増殖能の改善効果の結果の増殖能はドナーによらず、ほぼ同等となる。つまり、ドナーによる増殖能のばらつきを軽減することができる。
自家MSCの培養においては、ドナー由来のMSCの増殖能が分からないため、予備培養を行ない、播種密度や培養日数などを変更することがあるが、培地Aを用いることで、ドナー間の増殖能のばらつきが軽減されるので、播種密度や培養日数を統一することが可能になり、さらに、予備培養も不要になる。
実施例6 牛胎児血清(以下、FBS)の使用量低減の検討
タイプ培地および、基礎培地AのFBSの含有率を変えて、増殖能に与える影響を調べた。結果、培地Aでは、FBSを10%に下げると、増殖能は低下するが、FBSを15%含有しているタイプ培地よりも増殖能が高かった。つまり、血清を低減しても、市販の基礎培地よりも性能が高いことから、血清を低減することができる可能性が示された。結果を図15に示す。
実施例7 別細胞での培地Aの増殖能促進効果の確認
他社のMSC(LONZA社 BMSC(骨髄間葉系幹細胞))を用いて、培地Aの増殖能促進効果を検証した。LONZA社BMSCをLONZA社推奨培地(以下、MSCGM、型番PT−3001)および、タイプ培地、培地Aで4継代培養し、その増殖能を比較した結果、培地Aでの増殖能が最も高く、細胞形態も小さく、扁平な細胞が少ない結果となった。結果を図16、図17に示す。
実施例8 各因子のMSCの増殖能への寄与の確認
1) リボフラビン 他社基礎培地の成分解析にて、含有量にばらつきの見られた、リボフラビンについてリボフラビン不含の培地Cを作製し、リボフラビンの容量依存性試験を実施した。しかしながら、リボフラビンは不含でも増殖性能に影響を与えないことが分かり、0〜0.10 mg/Lの範囲では、増殖能に影響を与えないことが分かった。結果を図18に示す。
2) フェノールレッド フェノールレッド不含の培地Dを作製し、フェノールレッドがMSCの増殖に与える影響を確認した結果、フェノールレッドは増殖に影響しないことが分かった。結果を図19に示す。
実施例9 不安定な化合物を安定な誘導体に変えることで培地の安定性を向上させる確認
アミノ酸のグルタミンやビタミンのピリドキサールは培地中に含まれるが、不安定な成分として知られる。これらを安定な誘導体に変え、培地の安定性を向上できるか検証した。培地A中のアラニル−グルタミンをグルタミンに変更した培地D、ピリドキサールを含有した培地Eとそれをピリドキシンに変更した培地Fを作製し、MSCの増殖能を評価した。結果、グルタミンをアラニル−グルタミンに、ピリドキサールをピリドキシンに変更しても、MSCの増殖能に影響を与えないことが確認できた。結果を図20、図21に示す。
実施例10 MSCの増殖に対するリノール酸の影響の確認
培地Aに最終濃度が3.0、1.5、0.30、0.15、0μmol/Lとなるようにリノール酸を加え、MSCの増殖に対するリノール酸の影響を評価した。本評価は、以下のように実施した。凍結したB003−type−P3のMSCを培地AでP6まで培養した細胞を、上記の異なる濃度のリノール酸を含んだ培地に0.25〜0.50×10cells/cmになるように6well plateに播種し、37℃、5%CO雰囲気下のインキュベータ内で培養を4日間行ったのち、細胞数をカウントし、増殖倍率を算出した。その結果、リノール酸の濃度依存的に増殖は低下し、リノール酸が1.5μmol/L以上ではMSCは全く増殖しないことが分かり、リノール酸はMSCの増殖に負の影響を与えることが分かった。結果を図22に示す。
上記の結果から分かるとおり、本発明の培地組成物は、間葉系幹細胞の培地として優れている。本発明の培地組成物により培養した細胞は細胞医療に好適に利用することができ、培養した後の培養上清やエクソソームは医療用途に利用することができる。

Claims (25)

  1. ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリンを含み;
    グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン類、グルタミン酸、プロリン、セリンおよびチロシンからなる群から選択される一以上を含み;
    ビオチン、ビタミンB12、および少なくとも1種のその他のビタミン類を含み;
    少なくとも1種の無機塩を含み;
    糖類およびピルビン酸塩のうちの少なくとも1種を含み;
    リポ酸を含み;
    アスコルビン酸誘導体を含み;
    リノール酸を含まない;
    間葉系幹細胞を増殖させるための培地組成物。
  2. 前記アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸−2−リン酸、アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウム、アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩、およびアスコルビン酸−2−グリコシドからなる群から選択される一以上である、請求項1に記載の培地組成物。
  3. アスコルビン酸誘導体の濃度が0.03mmol/L以上である、請求項1または2に記載の培地組成物。
  4. アスコルビン酸誘導体の濃度が0.14mmol/L以上0.57mmol/L以下である、請求項1または2に記載の培地組成物。
  5. 前記その他のビタミン類が、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキサール類、リボフラビン、チアミン塩酸塩およびi−イノシトールからなる群から選択される一以上である、請求項1から4の何れか一項に記載の培地組成物。
  6. ピリドキサール類が、ピリドキサールまたはピリドキシンのいずれかである、請求項5に記載の培地組成物。
  7. 前記無機塩が、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムからなる群から選択される一以上である、請求項1から6の何れか一項に記載の培地組成物。
  8. 前記糖類が、D−グルコースであり、前記ピルビン酸塩が、ピルビン酸ナトリウムである、請求項1から7の何れか一項に記載の培地組成物。
  9. アミノ酸として、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを含み、
    ビタミン類として、ビオチン、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキサール類、リボフラビン、チアミン塩酸塩、およびビタミンB12およびi−イノシトールを含み、
    無機塩類として、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを含み、
    さらに、グルタミン類、D−グルコース、フェノールレッド、リポ酸、およびピルビン酸ナトリウムを含む、
    請求項1から8の何れか一項に記載の培地組成物。
  10. アミノ酸として、
    0.33〜1.34mmol/Lのグリシン、
    0.14〜0.56mmol/Lのアラニン、
    0.30〜1.2mmol/Lのアルギニン、
    0.16〜0.66mmol/Lのアスパラギン、
    0.11〜0.46mmol/Lのアスパラギン酸、
    0.05〜0.20mmol/Lのシスチン、
    0.28〜1.14mmol/Lのシステイン、
    0.25〜1.02mmol/Lのグルタミン酸、
    0.10〜0.40mmol/Lのヒスチジン、
    0.20〜0.80mmol/Lのイソロイシン、
    0.20〜0.80mmol/Lのロイシン、
    0.20〜0.80mmol/Lのリジン、
    0.05〜0.20mmol/Lのメチオニン、
    0.09〜0.38mmol/Lのフェニルアラニン、
    0.17〜0.70mmol/Lのプロリン、
    0.12〜0.48mmol/Lのセリン、
    0.20〜0.80mmol/Lのスレオニン、
    0.025〜0.10mmol/Lのトリプトファン、
    0.10〜0.40mmol/Lのチロシン、
    0.19〜0.78mmol/Lのバリン、
    ビタミン類として、
    2.05〜8.20×10−4mmol/Lのビオチン、
    0.003〜0.014mmol/Lの塩化コリン、
    0.001〜0.004mmol/Lのパントテン酸カルシウム、
    0.001〜0.004mmol/Lの葉酸、
    0.004〜0.016mmol/Lのナイアシンアミド、
    0.002〜0.010mmol/Lのピリドキサール類、
    0〜5.32×10−4mmol/Lのリボフラビン、
    0.001〜0.006mmol/Lのチアミン塩酸塩、
    0.0005〜0.002mmol/LのビタミンB12、
    0.005〜0.02mmol/Lのi−イノシトール、
    無機塩類として、
    0.90〜3.60mmol/Lの塩化カルシウム、
    0.40〜1.62mmol/Lの硫酸マグネシウム、
    2.66〜10.66mmol/Lの塩化カリウム、
    13.09〜52.38mmol/Lの炭酸水素ナトリウム、
    58.62〜234.48mmol/Lの塩化ナトリウム、
    0.50〜2.02mmol/Lのリン酸二水素ナトリウム
    その他の成分として、
    1.00〜4.00mmol/Lのグルタミン類、
    2.78〜11.12mmol/LのD−グルコース、
    0〜0.06mmol/Lのフェノールレッド、
    4.85〜19.42×10−4mmol/Lのリポ酸、
    0.50〜2.00mmol/Lのピルビン酸ナトリウム
    を含む、
    請求項9に記載の培地組成物。
  11. グルタミン類が、グルタミンおよびアラニル−グルタミンのいずれかである、請求項1から10の何れか一項に記載の培地組成物。
  12. さらに2〜20体積%の血清を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の培地組成物。
  13. さらに血清代替物の一以上を含む、請求項1から12の何れか一項に記載の培地組成物。
  14. さらに増殖因子の一以上を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の培地組成物。
  15. 増殖因子が、塩基性線維芽細胞増殖因子である、請求項14に記載の培地組成物。
  16. さらに抗生物質を含む、請求項1から15の何れか一項に記載の培地組成物。
  17. 間葉系幹細胞が、ヒト間葉系幹細胞である、請求項1から16の何れか一項に記載の培地組成物。
  18. 間葉系幹細胞が、骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞のいずれかに由来する細胞である、請求項1から17の何れか一項に記載の培地組成物。
  19. 請求項1から18の何れか一項に記載の培地組成物と、血清、血清代替物、サイトカイン及び抗生物質からなる群から選択される一以上とを含む、培地キット。
  20. 請求項1から18の何れか一項に記載の培地組成物と骨髄、脂肪、歯髄、胎児由来組成物または人工多能性幹細胞由来の間葉系幹細胞を含む細胞群とを接触させることによって、前記細胞群を単離または、分化させることを含む、間葉系幹細胞の製造方法。
  21. 請求項1から18の何れか一項に記載の培地組成物中において、間葉系幹細胞を培養することを含む、間葉系幹細胞組成物の製造方法。
  22. 請求項20または21に記載の方法により得られる間葉系幹細胞組成物。
  23. 請求項20または21に記載の方法により得られる、細胞治療用の間葉系幹細胞。
  24. 請求項20または21に記載の方法により得られる、細胞培養上清。
  25. 請求項20または21に記載の方法により得られる細胞培養上清から抽出した、細胞外小胞。
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