JP2021126055A - 魚類幹細胞の培養用培地 - Google Patents

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嘉孝 長濱
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タパス チャクラボーティ
シプラ モハファトラ
Mohapatra Sipra
シプラ モハファトラ
孝博 松原
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孝博 松原
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理恵 後藤
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Abstract

【課題】本発明の課題は、魚類幹細胞の分化を抑制しつつ増殖させることができる技術を提供することである。【解決手段】本発明は、血漿、ビタミン類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ピルビン酸ナトリウム、白血病抑制因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、D−ガラクトース、及び2−メルカプトエタノールを少なくとも含む、魚類幹細胞の培養用培地を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、魚類幹細胞の培養用培地に関する。
従来より、優良な形質を有する魚類の育種や安定した供給のために、生殖細胞等の各種細胞を宿主魚類に移植し、これを生殖細胞系列へ分化誘導することを経て新たな個体を得る技術が開発されている。
他方、このような技術においては、移植に供する生殖細胞を充分に用意するために、幹細胞を、分化を抑制しつつ効率的に増殖させる必要がある。
幹細胞の培養技術については各種方法が報告されている(例えば、特許文献1)。
特開2018−11599号公報
しかし、魚類幹細胞の培養技術は充分に確立されていない。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、魚類幹細胞の分化を抑制しつつ増殖させることができる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の成分を組み合わせて含む培養用培地によれば上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 血漿、ビタミン類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ピルビン酸ナトリウム、白血病抑制因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、D−ガラクトース、及び2−メルカプトエタノールを少なくとも含む、魚類幹細胞の培養用培地。
(2) さらに、血清代替物、及び/又はアミノ酸を含む、(1)に記載の培養用培地。
本発明によれば、魚類幹細胞の分化を抑制しつつ増殖させることができる技術が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<魚類幹細胞の培養用培地>
本発明の魚類幹細胞の培養用培地(以下、「本発明の培地」ともいう。)は、血漿、ビタミン類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ピルビン酸ナトリウム、白血病抑制因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、D−ガラクトース、及び2−メルカプトエタノールを少なくとも含む。本発明者らの検討の結果、これらの成分を組み合わせて含む培地によれば、魚類幹細胞の分化を抑制しつつ増殖させることができることが見出された。
本発明の培地に含まれる成分は、それぞれ、従来の細胞培養用培地に配合されることが知られる成分である。しかし、上記の組み合わせによれば、魚類幹細胞の分化を抑制しつつ、魚類幹細胞を良好に増殖できるという意外な知見が見出された。上記の組み合わせのうち、いずれかの成分を含まない培地は、幹細胞の分化の促進、及び/又は、幹細胞の増殖の阻害が生じやすくなる。
本発明において、「魚類」とは、任意の脊椎動物亜門(ただし、四肢動物を除く。)を意味する。魚類としては、例えば、メダカ(学名:Oryzias)、スマ(学名:Euthynnus affinis)等が挙げられる。
本発明において、「幹細胞」とは、自己複製能及び多分化能(multipotent)を有する、未分化な細胞を意味する。
本発明の培地による好ましい培養対象は、魚類のうちメダカ及びスマの幹細胞である。培養対象となる魚類幹細胞は、魚類の生殖腺等から従来知られる方法によって単離できる。
本発明の培地は、血漿、ビタミン類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ピルビン酸ナトリウム、白血病抑制因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、D−ガラクトース、及び2−メルカプトエタノールを少なくとも含むが、これらの成分に加えて、血清代替物、及び/又はアミノ酸を含むことが好ましい。また、本発明の培地が入れられる培養用ウェル等には、本発明の効果を阻害しない範囲でビトロネクチン等によるコーティングをすることが好ましい。
以下、本発明の培地に含まれる成分について説明する。
(血漿)
血漿とは、血液から赤血球を除いた液性成分である。血漿の由来生物は特に制限されないが、通常は、魚類(好ましくは、スマ等の大型魚)の血漿を用いる。
本発明の培地において、血漿の量は、好ましくは0.5〜5vol%、より好ましくは0.5〜1.5vol%である。
(ビタミン類)
本発明の培地において、ビタミン類は、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、葉酸、ビタミンE、ビタミンK)及び水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC)のいずれか1種以上が、単独で、又は、任意の組み合わせで含まれていてもよい。これらのうち、特にビタミンB、ビタミンD、ビタミンA、葉酸が含まれていることが好ましい。
本発明の培地において、ビタミン類の量は、その総量が、好ましくは500〜1000μg/L、より好ましくは600〜800μg/Lである。
本発明の培地は、ビタミンDを80〜120μg/L、ビタミンAを8〜10μg/L、ビタミンBを180〜220μg/L、及び葉酸を80〜120μg/L含んでいることが好ましい。
ビタミン類としては、市販の細胞培養用ビタミンミックス(例えば、Thermo Fisher scientific社製)を使用してもよい。
(カルシウム塩)
本発明の培地において、カルシウム塩は、細胞培養用培地に配合され得る任意の塩であり得る。本発明の培地におけるカルシウム塩は、塩化カルシウム等が好ましい。
本発明の培地において、カルシウム塩の量は、好ましくは0.05〜1.00質量%、より好ましくは0.10〜0.50質量%である。
(マグネシウム塩)
本発明の培地において、マグネシウム塩は、細胞培養用培地に配合され得る任意の塩であり得る。本発明の培地におけるマグネシウム塩は、硫酸マグネシウム等が好ましい。なお、マグネシウム塩としてマグネシウム塩酸塩を用いると、カルシウム塩と反応して塩析する可能性があるため、用いないことが好ましい。
本発明の培地において、マグネシウム塩の量は、好ましくは0.08〜0.30質量%、より好ましくは0.08〜0.10質量%である。
(ピルビン酸ナトリウム)
本発明の培地において、ピルビン酸ナトリウムの量は、好ましくは0.1〜10mM、より好ましくは0.5〜2.0mMである。
(白血病阻止因子)
白血病阻止因子(Leukemia inhibitory factor(LIF))は、IL−6ファミリーに属するサイトカインである。
本発明の培地において、白血病阻止因子の量は、好ましくは0.001〜0.05vol%、より好ましくは0.005〜0.02vol%である。
(塩基性線維芽細胞増殖因子)
塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor(BFGF、又はFGF2))は、血管新生促進作用等を有することが知られるサイトカインである。
本発明の培地において、塩基性線維芽細胞増殖因子の量は、好ましくは0.01〜10vol%、より好ましくは0.01〜1.0vol%である。
(トランスフォーミング増殖因子ベータ)
トランスフォーミング増殖因子ベータ(Transforming growth factor−β、TGFb)は、骨形成等に関与することが知られる増殖因子である。トランスフォーミング増殖因子ベータには、5種類のサブタイプ(β1〜β5)が知られ、本発明においてはいずれを用いてもよいが、TGF−β1が特に好ましい。
本発明の培地において、トランスフォーミング増殖因子ベータの量は、好ましくは0.001〜0.1vol%、より好ましくは0.01〜0.05vol%である。
(インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム)
インスリン、トランスフェリン、及び亜セレン酸ナトリウムの組み合わせは、細胞培養分野においてITSサプリメントとして知られる。
本発明の培地において、インスリン、トランスフェリン、及び亜セレン酸ナトリウムの量は、その総量が、好ましくは0.25〜0.75vol%、より好ましくは0.40〜0.60vol%である。
(硫酸ゲンタマイシン)
本発明の培地において、硫酸ゲンタマイシンの量は、好ましくは2.0〜8.0μg/ml、より好ましくは3.0〜5.0μg/mlである。
(D−ガラクトース)
本発明の培地において、D−ガラクトースの量は、好ましくは100〜1000μg/ml、より好ましくは250〜500μg/mlである。
(2−メルカプトエタノール)
本発明の培地において、2−メルカプトエタノール(BME)の量は、好ましくは0.001〜0.500%(vol/vol)、より好ましくは0.010〜0.200%(vol/vol)である。
(血清代替物)
本発明の培地には、細胞増殖率を高めやすいという観点から、血清代替物(「knockout serum replacement(KoSR)」等とも呼ばれる。)が含まれていてもよい。血清代替物とは、細胞培養において血清(血漿から凝固成分がほぼ除かれた成分)の代替物として使用される組成物である。なお、血清そのもの(魚類由来血清等)は魚類幹細胞の分化を促進させ得るため、本発明の培地には血清を配合しないことが好ましい。
本発明における血清代替物は、幹細胞の成長及び増殖を促進できることが知られる任意の血清代替物を使用できる。
本発明における血清代替物としては、アルブミンを含むものが好ましい。
本発明における血清代替物は、好ましくは以下を全て含む。下記成分の量は、幹細胞の成長及び増殖を促進できるかに基づき、適宜調整できる。
アミノ酸(グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、及びL−バリン)
ビタミン及び抗酸化剤(チアミン、グルタチオン(還元型)、アスコルビン酸リン酸エステル)
微量元素(Ag、Al3+、Ba2+、Cd2+、Co2+、Cr3+、Ge4+、Se4+、Br、I、F、Mn2+、Si4+、V5+、Mo6+、Ni2+、Rb、Sn2+、Zr4+
タンパク質(鉄トランスフェリン(飽和鉄)、インスリン、脂質リッチなアルブミン(「AlbuMAX」、Thermo Fisher scientific社製)等)
血清代替物としては、「Knockout serum」(Thermo Fisher scientific社製)等の市販品を使用することができる。
本発明の培地において、血清代替物の量は、好ましくは1.0〜20vol%、より好ましくは2.5〜10vol%である。血清代替物の量がこの範囲であると、培養細胞の細胞死及び分化を抑制しやすい。
(アミノ酸)
本発明の培地には、細胞増殖率を高めやすいという観点から、アミノ酸が含まれていてもよい。アミノ酸としては、必須アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、及び非必須アミノ酸(グリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリン)のいずれか1種以上が、単独で、又は、任意の組み合わせで含まれていてもよい。
本発明の培地において、アミノ酸の量は、必須アミノ酸が含まれている場合、その総量が、好ましくは0.01〜5.00vol%、より好ましくは0.10〜1.00vol%である。非必須アミノ酸が含まれている場合、その総量が、好ましくは0.01〜10.0vol%、より好ましくは0.10〜1.00vol%である。
必須アミノ酸、及び非アミノ酸としては市販の細胞培養用アミノ酸ミックス(例えば、Thermo Fisher scientific社製)を使用してもよい。
(基本培地)
本発明の培地には、任意の基本培地が含まれていてもよい。基本培地は、動物細胞用又はヒト細胞用であることが好ましい。基本培地は、無血清培地であってもよい。
基本培地としては、L−15培地(Leibovitz’s L−15 Medium)、DMEM培地(DMEM−F12等)等が挙げられる。培養対象がスマ幹細胞である場合、基本培地はL−15培地が好ましい。培養対象がメダカ幹細胞である場合、基本培地はDMEM培地が好ましい。
(その他の成分)
本発明の培地には、上記の成分に加えて、細胞培養用培地に配合されることが知られるその他の成分(蒸留水等の水、無機塩、糖、微量元素等)が含まれていてもよい。
本発明の培地を用いて培養する際には、培地と接する培養器面にビトロネクチンによるコーティングをすることが好ましい。ビトロネクチンのコーティング量は、例えば、10cmプレート(つまり、半径5cmの円形プレート)あたり、50〜100μlであってもよい。
(本発明の培地の組成例)
以下に、本発明の培地の好ましい組成例を示す。
血清代替物:2.5〜10vol%
血漿:0.5〜1.5vol%
ビタミンD:80〜120μg/L
ビタミンA:8〜10μg/L
ビタミンB:180〜220μg/L
葉酸:80〜120μg/L
塩化カルシウム:0.10〜0.50質量%
硫酸マグネシウム:0.08〜0.10質量%
ピルビン酸ナトリウム:0.5〜2.0mM
必須アミノ酸:0.10〜1.00vol%
非必須アミノ酸:0.10〜1.00vol%
白血病抑制因子:0.005〜0.02vol%
塩基性線維芽細胞増殖因子:0.01〜1.0vol%
トランスフォーミング増殖因子ベータ:0.01〜0.05vol%
インスリン−トランスフェリン−亜セレン酸ナトリウム(ITS):0.50vol%
ビトロネクチン:10cmプレートあたり、50〜100μl
硫酸ゲンタマイシン:3.0〜5.0μg/ml
2−メルカプトエタノール(BME):0.010〜0.200vol%
D−ガラクトース:250〜500μg/ml
蒸留水:10〜30質量%
L−15培地:40〜60質量%
<本発明の培地の製造方法>
本発明の培地は、上記の成分を適宜混合及び撹拌することで得られる。本発明の培地は、必要に応じて滅菌処理等を施してもよい。
<本発明の培地を用いた培養方法>
魚類幹細胞やこれを含む組織を、本発明の培地とともに培養することで、魚類幹細胞の分化を抑制しつつ増殖させることができる。
本発明の培地によれば、長期間(例えば、10継代以上、20継代以上、かつ/又は、3ヶ月以上、6ヶ月以上)にわたって、分化を抑制した状態で魚類幹細胞を培養できる。ただし、本発明の培地によれば、短期間(例えば、60日以下、30日以下)魚類幹細胞を培養することもできる。
本発明の培地によれば、分化だけではなく、細胞生存率の低下をも抑制した状態で魚類幹細胞を培養できる。
魚類幹細胞が増殖したかどうかは、所定期間培養後、実施例に示した「細胞増殖率」を算出することで評価できる。例えば、細胞増殖率が50%以上であれば、魚類幹細胞の分化が抑制されていると評価できる。
魚類幹細胞の分化が抑制されているかどうかは、所定期間培養後、実施例に示した「細胞分化率」を算出することで評価できる。例えば、細胞分化率が20%未満であれば、魚類幹細胞の分化が抑制されていると評価できる。
魚類幹細胞の生存率は、所定期間培養後、実施例に示した「細胞生存率」を算出することで評価できる。
培養に用いる培養器は、細胞培養に用いられる任意のものを使用でき、フラスコ、培養用フラスコ、培養用ディッシュ、マイクロウェルプレート、シャーレ等が挙げられる。
培養条件は、細胞培養技術において知られる条件に基づき、適宜設定できる。例えば、培養温度は、特に限定されるものではないが約16〜33℃、好ましくは約25℃であり得る。CO濃度は、約0〜10%、好ましくは約0〜5%であり得る。培養対象がスマ幹細胞である場合、CO濃度は0%に近いことが好ましい。培養対象がメダカ幹細胞である場合、CO濃度は5%に近いことが好ましい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<魚類幹細胞培養用培地の準備>
表1〜3に規定される組成を有する魚類幹細胞培養用培地を調製した。用いた材料は以下のとおりである。なお、表1〜3の組成の各数値は、培地中の各成分の最終濃度を意味する。
(1)血清代替物:「Knockout serum」、Thermo Fisher scientific社製
(2)血漿:海水魚から自家調製したもの
(3)ビタミンミックス(100X):Thermo Fisher scientific社製、最終濃度が1Xとなるように使用した。このビタミンミックスには、少なくともビタミンA、ビタミンD、ビタミンB、葉酸が含まれる。
(4)4M カルシウム塩:塩化カルシウム、Nacalai tesque社製
(5)7.5M マグネシウム塩:硫酸マグネシウム、Nacalai tesque社製
(6)100mM ピルビン酸ナトリウム(SP):Thermo Fisher scientific社製
(7)必須アミノ酸(EA)50X:Thermo Fisher scientific社製、最終濃度が0.5Xとなるように使用した。
(8)非必須アミノ酸(NAA)100X:Thermo Fisher scientific社製、最終濃度が2Xとなるように使用した。
(9)2μg/ml 白血病抑制因子(LIF):Thermo Fisher scientific社製
(10)4μg/ml 塩基性線維芽細胞増殖因子(BFGF):Thermo Fisher scientific社製
(11)10ng/ml トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFb):Thermo Fisher scientific社製
(12)インスリン−トランスフェリン−亜セレン酸ナトリウム(ITS)100X:Thermo Fisher scientific社製、最終濃度が1Xとなるように使用した。
(13)ビトロネクチン:Stemcell Technologies社製、取扱説明書に従い、培養ウェルのコーティングとして用いた。
(14)5mg/ml 硫酸ゲンタマイシン:Sigma Aldrich社製
(15)1000×BME:GIBCO社製、最終濃度が1Xとなるように使用した。
(16)450mg/ml D−ガラクトース:Sigma Aldrich社製
(17)L−15培地:Sigma Aldrich社製
<魚類幹細胞の準備>
以下の方法で魚類幹細胞を準備した。
(生殖腺からの細胞の単離)
(1)Dulbecco’s Phosphate−Buffered Saline(DPBS)(Thermo Fisher Scientific社製)及びウシ血清アルブミン(BSA)(Gibco社製)を用いて、1% DPBS−BSA(1g BSA/ml DPBS、以下、「DPBS BSA培地」ともいう。)を調製した。
(2)魚類(メダカ、スマ)から生殖腺を無菌環境下で回収し、0.001% テトラサイクリン塩酸塩を含むDPBS AB培地で、少なくとも2時間インキュベートした。
(3)次いで、生殖腺をDPBS BSA培地で少なくとも3回洗浄し、5mm角に切り分けた。
(4)上記(3)で得た生殖腺組織に、組織1gあたり10mlの消化培地を加え、均一な細胞溶液が得られるまで、時折撹拌しながら室温でインキュベートした。卵巣については少なくとも2時間、精巣については少なくとも3時間の消化時間を要した。
(5)得られた細胞溶液を、100マイクロ及び40マイクロのメッシュ(Nytal社製)に連続して通し、得られた濾液を800gで30分間、4℃で遠心分離し、次いでDPBS BSA培地で少なくとも3回洗浄した。得られた細胞ペレットを、1mg細胞ペレット/mlとなるようにDPBS BSA培地に懸濁させた。
DPBS AB培地の組成は以下のとおりである。
[DPBS AB培地の組成]
DPBS:Thermo Fisher Scientific社製
ペニシリン/ストレプトマイシン/ネオマイシン(2X):Thermo Fisher Scientific社製
20μg/ml ゲンタマイシン硫酸塩:Gibco社製
0.001% テトラサイクリン塩酸塩:Nacalai Tesque社製
消化培地の組成は以下のとおりである。
[消化培地]
L15培地:Gibco社製
200μg/ml コラゲナーゼ:Wako社製
1mg/ml ディスパーゼ 1:Gibco社製
20UI/ml ペニシリン:Sigma Aldrich社製
200μg/ml ストレプトマイシン硫酸塩:Sigma Aldrich社製
1u/m1 組換えDNAse1:Takara bio社製
(パーコールを用いた分離)
(1)「Percoll PLUS」(GE health care社製)を、DPBS BSA培地で希釈し(10、20、30、40%)、各溶液7.5mlを50m1チューブに入れ、密度勾配を作製した。
(2)上記(生殖腺からの細胞の単離)で得られた細胞溶液を、上記(1)の10%パーコールのチューブの液面上にゆっくり入れ、2500gで1時間遠心分離した。
(3)遠心後、10〜20%及び20〜30%の勾配にある細胞層を回収した。
(4)過剰なパーコールを除去し、回収した細胞層を過剰量のDPBS BSA培地に懸濁させ、800gで20分間遠心した。得られた細胞ペレットをDPBS BSA培地で洗浄した後、細胞ペレットをAGSC培地に懸濁させた。
(磁気ビーズを用いた分離)
(1)充分に撹拌した磁気ビーズ(「抗ウサギIg−Dynabead」(Invitrogen社製))100μlを、1.5m1 遠心管(Eppendorf社製)に入れ、該遠心管を磁気スタンド(Invitrogen社製)にセットして5分間静置した。次いで、上清を捨て、DPBSで少なくとも3回洗浄した。
(2)磁気ビーズを、ブロッキング剤(DPBS BSA培地)を用いて、時折撹拌しながら30分間氷上でブロックした。次いで、ブロッキング剤を除去し、500μlのDPBS BSA培地で懸濁させた。
(3)パーコールで分離した細胞溶液1mlあたり、3μlのGFR1a抗体(Abcam社製)を添加し、ゆっくり撹拌しながら、30分間氷上でインキュベートした。次いで、800gで20分間遠心分離し、過剰な抗体溶液を除き、細胞ペレットをDPBS BSA培地で洗浄し、未結合の抗体を除いた。
(4)上記(3)で得た細胞ペレットを、500μ1のDPBS BSA培地に懸濁させ、上記(2)で得た磁気ビーズに加え、時折ピペッティングしながら1時間氷上で反応させた後、磁気スタンドに遠心管をセットして5分間静置した。次いで、磁気ビーズをDPBS BSA培地で少なくとも3回洗浄した。
(5)1m1の「Tryp−LE Select−1X」(Gibco社製)を、上記(4)で得たビーズ−細胞ペレットに加え、5分間インキュベートした。次いで、磁気スタンドに遠心管をセットして5分間静置した後、培地(細胞を含む。)を別の遠心管に回収した。該遠心管を800gで、20分間遠心し、細胞ペレットを回収した。該細胞ペレットを各魚類幹細胞培養用培地で2回洗浄してトリプシンを除いた後、各魚類幹細胞培養用培地に懸濁させた。
(6)得られた細胞溶液10μlを別のチューブに移し、1μlの0.5% トリパンブルー(Nacalai tesque社製)を加えた。青く染色された細胞及び透明な細胞の数を計測した後、死細胞の割合を特定し、生細胞の濃度が10細胞/mlとなるように調整し、下記の培養に供した。
<魚類幹細胞の培養>
(1)培養プレート(10cm)に、各魚類幹細胞培養用培地8ml、及び、魚類幹細胞(2×10細胞/ウェル)2mlを入れ、27℃で10〜15日間にわたって、コロニーが形成されるまで培養した。培地交換は毎日行った。
(2)コロニーが形成され始めた後、培地交換を1日おきに行いつつ、2週間又はコロニーが1mmサイズになるまで培養した。
(3)培養後、培地を除去し、培養ウェルに1m1の「Tryp−LE Select−1X」(Gibco社製)を加えて5〜10分間インキュベートし、ウェル底から細胞を剥がし、得られた溶液を800gで20分間遠心分離し、細胞ペレットを回収した。
(4)得られた細胞ペレットをAGSC培地で2回洗浄し、トリプシンを除去した。次いで、細胞ペレットをAGSC培地に懸濁させ、「CELLBANKER 2」(ゼノアックリソース株式会社製)を用いて10細胞/mlに調整して以下の評価に供するまで−80℃で保存した。
<培養された魚類幹細胞の評価>
以下の方法で培養細胞を染色し、染色結果に基づき、細胞増殖率、分化率、生存率をそれぞれ算出した。
(細胞染色)
得られた各培養細胞を、培養後15〜21日後の時点で、以下の3種の染色に供した。
(1)アルカリホスファターゼ(AP)染色:「Alkaline phosphatase live stain」(Thermo Fisher Scientific社製)を使用。
(2)(ライブセル)イムノブロッティング:抗GFR1a抗体(Abcam社製)及び抗CD90.2抗体(Thermo Fisher Scientific社製)を使用。
(3)ヨウ化プロピジウム(PI)染色:ヨウ化プロピジウム(Thermo Fisher Scientific)を使用。
(染色細胞の評価)
染色細胞を顕微鏡観察及びフローサイトメトリー解析に供した。
AP染色陽性、かつ、抗GFR1a抗体及び抗CD90.2抗体に対して陽性であるが、PI染色陰性である場合、その細胞は、未分化の生きた幹細胞であると評価した。
AP染色陰性、かつ、PI染色陰性であるが、抗GFR1a抗体及び抗CD90.2抗体に対して陽性である場合、分化した細胞であると評価した。
PI染色陽性である場合、死細胞であると評価した。
上記の評価結果に基づき、細胞増殖率、分化率、生存率をそれぞれ算出した。その結果を表1〜3に示す。なお、各数値は以下の式に基づき算出した。
細胞増殖率(%)=(未分化の幹細胞の総数/全細胞数)×100
細胞分化率(%)=(分化した細胞の総数/全細胞数)×100
細胞生存率(%)=100−(死細胞の総数×100/全細胞数)
細胞増殖率が50%以上であれば、魚類幹細胞の増殖率が充分に高いことを意味する。細胞分化率が20%未満であれば、魚類幹細胞の分化が充分に抑制されていることを意味する。
表に示されるとおり、本発明の実施例に係る培地(すなわち、本発明の要件を満たす培地)で培養された魚類幹細胞は、分化が抑制されつつ、細胞増殖率が高かった。
さらに、本発明の実施例に係る培地によれば、データは示していないが、長期間(例えば、20継代以上、かつ/又は、6ヶ月以上)にわたって、魚類幹細胞を培養することができた。
Figure 2021126055
Figure 2021126055
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Claims (2)

  1. 血漿、ビタミン類、カルシウム塩、マグネシウム塩、ピルビン酸ナトリウム、白血病抑制因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、D−ガラクトース、及び2−メルカプトエタノールを少なくとも含む、魚類幹細胞の培養用培地。
  2. さらに、血清代替物、及び/又はアミノ酸を含む、請求項1に記載の培養用培地。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023101008A1 (ja) * 2021-12-03 2023-06-08 国立大学法人九州大学 魚類の生殖幹細胞の培養方法

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