JP2021037552A - 研磨治具及びその製造方法 - Google Patents

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利奈 坪内
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Abstract

【課題】研磨される板状体に異物が付着することを抑制することができ、優れた強度及び耐久性を有する研磨治具を提供する。【解決手段】板状体を保持して研磨するための研磨治具1であって、前記研磨治具1が、板状体を保持するための貫通孔2を有する金属板3と該金属板3の外周に接合されるギヤ部4とを有し、前記ギヤ部4が、熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなるとともに、研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤ5を有し、前記金属板3の外周に形成された複数の凸部と前記ギヤ部4の複数の凹部とが嵌合してなる研磨治具。【選択図】図1

Description

本発明は、板状体を保持して研磨するための研磨治具に関する。また本発明は、研磨治具の製造方法に関する。
従来、半導体ウェハやハードディスク用のアルミニウム基板の製造工程には、これら板状体の表面を研磨する工程がある。この研磨工程では、板状体を保持するために研磨治具が用いられる。一般的に、研磨治具は複数の貫通孔を有し、板状体はこの貫通孔で保持される。そして、研磨治具を駆動させることにより板状体が研磨される。
このとき、研磨治具の強度や耐久性が不十分であると、研磨中に研磨治具が破損したり研磨治具から異物が脱落したりする。その結果、板状体の表面に異物が付着したり、板状体にスクラッチ(研磨傷)が発生したりして、品質の優れた製品が得られない。そのため、強度や耐久性を向上させた研磨治具が求められている。
このような問題を解決するために、これまで本発明者らは、基材層と樹脂層とを有する積層板からなる研磨治具であって、前記基材層が、樹脂が含浸された有機繊維集合体からなり、前記樹脂層が、環状オレフィン重合体(A)を含み前記有機繊維を含まず、前記積層板が複数の基材層の間に樹脂層を有するとともに両表面にも樹脂層を有する研磨治具を報告した(特許文献1)。この研磨治具は、優れた強度、耐久性を有しているので、研磨される板状体に異物が付着したりスクラッチが発生したりすることを抑制することができる。
ところで近年、電子機器の小型化に伴い、それに搭載されるハードディスクには大容量化、小型化が求められている。そのため、ハードディスク用のアルミニウム基板も薄型化が進んでいる。板状体の研磨においては、研磨される板状体よりも厚みの薄い研磨治具を用いることが通常であるため、厚みの薄い研磨治具が必要となる。しかしながら、基材層と樹脂層を積層して得られた従来の研磨治具は、厚みを薄くし過ぎると強度が低下して研磨中に破損し、板状体の表面に異物が付着したり、板状体にスクラッチが発生したりするという問題があった。
国際公開第2015/170556号
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、研磨される板状体に異物が付着することを抑制することができ、優れた強度及び耐久性を有する研磨治具を提供することを目的とするものである。
上記課題は、板状体を保持して研磨するための研磨治具であって;前記研磨治具が、板状体を保持するための貫通孔を有する金属板と該金属板の外周に接合されるギヤ部とを有し、前記ギヤ部が、熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなるとともに、研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤを有し、前記金属板の外周に形成された複数の凸部と前記ギヤ部の複数の凹部とが嵌合してなることを特徴とする研磨治具を提供することによって解決される。
このとき、前記研磨治具は、前記貫通孔の内周に接合される保持部をさらに有し、前記保持部が前記樹脂組成物からなり、前記貫通孔の内周に形成された複数の凸部と前記保持部の複数の凹部とが嵌合してなることが好ましい。
前記樹脂組成物が、環状オレフィン重合体(A)と軟質共重合体(B)とを含むことが好ましい。
前記金属板の中心(C)から該金属板の外周の凸部までの距離(L1)が、前記金属板の中心(C)から前記ギヤ部の外周の凹部までの距離(L2)よりも短いことが好ましい。
前記金属板の外周及び前記貫通孔の内周の少なくとも一方が粗化されてなることが好ましい。前記金属板の外周面及び前記貫通孔の内周面の少なくとも一方の面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)が1μm以上であることも好ましい。前記金属板の厚みが0.2〜1.2mmであることも好ましい。
上記課題は、上記の研磨治具の製造方法であって;前記金属板を金型にインサートする第1工程と、前記金型に前記樹脂組成物を射出して前記金属板の外周に樹脂組成物を充填する第2工程と、前記金型から成形品を取り出し、前記ギヤ部の外周にギヤを形成する第3工程とを備える研磨治具の製造方法を提供することによっても解決される。
上記課題は、板状体を保持して研磨するための研磨治具であって;前記研磨治具が、貫通孔を有する金属板と該金属板の外周に研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤと前記貫通孔の内周に接合される保持部とを有し、前記保持部が熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなり、前記貫通孔の内周に形成された複数の凸部と前記保持部の複数の凹部とが嵌合し、前記貫通孔の内周面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)が1μm以上であることを特徴とする研磨治具を提供することによっても解決される。
本発明の研磨治具は優れた強度及び耐久性を有する。そのため、板状体の薄型化に伴い研磨治具の厚みが薄くなったとしても板状体に異物を付着させることなく、板状体を研磨することができる。
研磨治具1の一例を示す平面図である。 図1に示した研磨治具1の外周部を拡大した図である。 金属板において表面粗さを測定した箇所を示す図である。 樹脂組成物の密着強度を測定した箇所を示す図である。
本発明は、板状体を保持して研磨するための研磨治具に関する。ここで、図1を用いて本発明の研磨治具について説明する。
図1は本発明の研磨治具1の一例を示す平面図である。図1に示すように、研磨治具1は、板状体を保持するための貫通孔2を有する金属板3と金属板3の外周に接合されるギヤ部4とを有している。このギヤ部4は、研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤ5を有している。そして、図1中の「外周の拡大図」に示すように、金属板3の外周に形成された複数の凸部6とギヤ部4の複数の凹部7とが嵌合している。図1では5個の貫通孔2を有する研磨治具1を示したが、貫通孔2の数は特に限定されるものではない。貫通孔2の直径も特に限定されず板状体の大きさに応じて適宜設定される。また、ギヤ5の歯の数や高さも特に限定されず使用する研磨装置の仕様に応じて適宜設定される。
本発明の研磨治具によって保持され研磨される板状体は特に限定されず、半導体ウェハ、ハードディスク用のアルミニウムディスクやガラスディスク、液晶表示用のガラス基板、LED用のサファイヤ基板などが例示される。
金属板としては、鉄、アルミニウム、チタン、銅等からなる金属板又はこれらの合金板が挙げられる。例えばJIS G4308で示されるSUS304、SUS431、SK85等が挙げられる。本発明で用いられる金属板の厚みは0.2〜1.2mmであることが好ましい。金属板の厚みが0.2mm未満の場合、研磨治具の強度や耐久性が低下するおそれがある。厚みは0.4mm以上であることがより好ましい。一方、金属板の厚みが1.2mmを超える場合、研磨治具の製造コストが上昇するおそれがある。金属板の厚みは、1.0mm以下であることがより好ましい。
金属板の直径は、使用する研磨装置や研磨される板状体の大きさに応じて適宜設定されるが、通常、10〜100cmである。このときの直径とは、凸部の頂部から金属板の中心を通って反対側の凸部の頂部まで引いた線分の長さのことをいう。
金属板に貫通孔を形成する方法は特に限定されず、レーザー加工、機械的切削加工、エッチングなどにより貫通孔を形成することができる。中でも、寸法精度の良好な貫通孔が得られることから、貫通孔がレーザー加工により形成されてなることが好ましい。また、金属板の外周の凸部もレーザー加工、機械的切削加工、エッチングなどにより形成することができるが、上記と同様の理由から、レーザー加工により形成されてなることが好ましい。
本発明の研磨治具は、前記ギヤ部が、熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなることが重要である。研磨工程においては、研磨治具を研磨装置に装着して板状体を貫通孔で保持して研磨治具を駆動させる。このとき、研磨治具外周のギヤと研磨装置のギヤとが嵌合しているので、これらのギヤが駆動中に削れて異物として発生することがある。本発明は前記ギヤ部が、熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなるので、ギヤが削れて異物として発生することを抑制することができる。また、ギヤ部以外は金属板からなるので、基材層と樹脂層を積層して得られた従来の研磨治具と比べて、強度及び耐久性に優れている。
以下、前記樹脂組成物における熱可塑性樹脂について説明する。本発明において、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含むことが好ましい。中でも、ポリオレフィンがより好ましく、環状オレフィン重合体がさらに好ましい。
環状オレフィン重合体は、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐侯性、耐溶剤性、誘電特性、剛性などに優れた重合体であり、環状オレフィン重合体を用いることによって、研磨中に異物が発生することをより抑制することができる。環状オレフィン重合体は、非晶性であることから、ギヤ部の寸法精度が良好となる。また、環状オレフィン重合体は熱可塑性樹脂であるから、加熱することによって溶融させることができ、研磨治具の生産性が良好になる。
前記環状オレフィン重合体は、脂肪族環状骨格を有するオレフィン単量体のみを重合してなるものであっても構わないし、脂肪族環状骨格を有するオレフィン単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。他の単量体の共重合量は、通常、50質量%未満であり、好適には30質量%未満である。前記環状オレフィン重合体は、環状オレフィン重合体を主成分とし、他の成分を含有する樹脂組成物であっても構わない。主成分とは、通常、含有量が50質量%以上である成分であり、好適には80質量%以上である成分である。
環状オレフィン重合体は、重合体の主鎖又は側鎖に飽和炭化水素環構造を有する、非結晶性、透明性のものであり、具体的には、特開昭63−264646号公報、特開昭64−1705号公報、特開平1−168724号公報、特開平1−168725号公報などに開示されるノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体及びその水素添加物、特開昭60−168708号公報などに開示されるノルボルネン環を有するモノマーとα−オレフィン類との付加重合体、特開平6−136057号公報や、特開平7−258362号公報などに開示されている環状オレフィンや環状ジエンの付加重合体やその水素添加物、国際公開第2006/025294号に開示されている環状オレフィン重合体と軟質共重合体とを含む樹脂組成物などをあげることができる。このような樹脂組成物は、例えば、冨士ベークライト株式会社から商標名「e−mateX」の名称で、三井化学株式会社から商標名「アペル」、「トーパス」の名称で、日本ゼオン株式会社から商標名「ゼオネックス」、「ゼオノア」の名称で販売されており、市販品を容易に入手することが可能である。これらの市販品には、耐久性や成形性を改善するための添加剤が添加されていることも多いので、研磨時に異物が脱落することを防ぐ観点から添加剤を加える前の樹脂を使用して成形することが好ましい場合もある。また、触媒残渣や残存揮発分を特別に低減した樹脂を使用することが好ましい場合もある。
前記樹脂組成物が、環状オレフィン重合体(A)と軟質共重合体(B)とを含むことが好ましい。ギヤ部がこのような樹脂組成物からなることで、当該ギヤ部の耐衝撃性や耐摩耗性をより向上させることができる。前記樹脂組成物が、特に、ガラス転移温度が60〜200℃の環状オレフィン重合体(A)100質量部、オレフィン、ジエン及び芳香族ビニル炭化水素からなる群から選択される少なくとも2種以上の単量体を重合してなり、ガラス転移温度が0℃以下である軟質共重合体(B)1〜50質量部、ラジカル開始剤(C)0.001〜1質量部、及びラジカル重合性の官能基を分子内に2個以上有する多官能化合物(D)0〜1質量部を溶融混練してなる樹脂組成物であることが好ましい。
以下、環状オレフィン重合体(A)、軟質共重合体(B)、ラジカル開始剤(C)及びラジカル重合性の官能基を分子内に2個以上有する多官能化合物(D)について説明する。
まず、環状オレフィン重合体(A)について説明する。本発明で用いられる環状オレフィン重合体(A)は、ガラス転移温度が60〜200℃のものが好適である。ギヤ部の耐熱性をより向上させる観点から、好適には80℃以上であり、より好適には100℃以上である。また、成形温度が高くなりすぎると分解のおそれがあるため、ガラス転移温度は200℃以下であることが好ましい。本発明におけるガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したガラス転移開始温度である。
環状オレフィン重合体(A)のMFR(メルトフローレート:ASTM D1238に基づいて、230℃、2.16kg荷重で測定)が0.1〜500g/10分であることが好適である。MFRが0.1g/10分未満の場合には、溶融粘度が高すぎて、得られる樹脂組成物の溶融成形性が悪化するおそれがある。MFRは、より好適には0.5g/10分以上であり、さらに好適には1g/10分以上である。一方、MFRが500g/10分を超える場合には、得られる樹脂組成物の力学強度が低下するおそれがある。MFRは、より好適には200g/10分以下であり、さらに好適には100g/10分以下である。
環状オレフィン重合体(A)は、脂肪族環状骨格を有するオレフィン単量体を重合してなり、得られた重合体中に脂肪族環状骨格を有するものであればよく、その種類は限定されないが、環状オレフィン重合体(A)が下記式[I]又は[II]で示される環状オレフィンを重合してなる重合体であることが好適である。
Figure 2021037552
(上式[I]中、nは0又は1であり、mは0又は正の整数であり、qは0又は1であり、R1〜R18並びにRa及びRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環又は多環を形成していてもよく、かつ該単環又は多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とで、又はR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
Figure 2021037552
(式[II]中、p及びqは0又は1以上の整数であり、m及びnは0、1又は2であり、R1〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基又はアルコキシ基であり、R9(又はR10)が結合している炭素原子と、R13又はR11が結合している炭素原子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、また、n=m=0のときR15とR12又はR15とR19とは互いに結合して単環又は多環の芳香族環を形成していてもよい。)
上記式[I]又は[II]で示される環状オレフィンを重合してなる重合体としては、以下に示す(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)が好適なものとして例示される。
(a1):エチレンと上記式[I]又は[II]で表される環状オレフィンとのランダム共重合体(エチレン−環状オレフィンランダム共重合体)
(a2):上記式[I]又は[II]で表される環状オレフィンの開環重合体又は開環共重合体
(a3):(a2)の水素化物
(a4):(a1)、(a2)、又は(a3)のグラフト変性物
これらのうち、エチレン−環状オレフィンランダム共重合体(a1)、すなわち、エチレンと上記式[I]又は[II]で示される環状オレフィンとのランダム共重合体が好ましく用いられる。このようなエチレン−環状オレフィンランダム共重合体(a1)は、耐摩耗性に優れ、揮発成分の放出量が少ない樹脂組成物が得られることなどから、好適に使用される。
このとき、エチレン−環状オレフィンランダム共重合体(a1)の原料として使用される上記式[I]又は[II]で示される環状オレフィンとしては、耐熱性や入手の容易性の点から好適なものとして、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン及びこれに炭化水素基が置換した誘導体が例示され、特に好適なものとしてテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンが例示される。
エチレン−環状オレフィンランダム共重合体(a1)におけるエチレン含有率は40〜85モル%であることが、耐熱性や剛性などの点から好ましい。エチレン含有率はより好適には50モル%以上である。また、エチレン含有率はより好適には75モル%以下である。一方、環状オレフィンの含有量は15〜60モル%であることが好ましい。環状オレフィンの含有率はより好適には25モル%以上である。また、環状オレフィンの含有率はより好適には50モル%以下である。
次に、軟質共重合体(B)について説明する。軟質共重合体(B)のガラス転移温度は0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は、好適には−10℃以下であり、より好適には−20℃以下である。また通常、ガラス転移温度は−100℃以上である。またX線回析法により測定した結晶化度は、好適には0〜30%であり、より好適には0〜25%である。
軟質共重合体(B)のMFR(メルトフローレート:ASTM D1238に基づいて、230℃、2.16kg荷重で測定)が0.01〜200g/10分であることが好適である。MFRが0.01g/10分未満の場合には、溶融粘度が高すぎて、得られる樹脂組成物の溶融成形性が悪化するおそれがある。MFRは、より好適には0.05g/10分以上であり、さらに好適には0.1g/10分以上である。一方、MFRが200g/10分を超える場合には、ギヤ部の力学強度が低下するおそれがある。MFRは、より好適には150g/10分以下であり、さらに好適には100g/10分以下である。また、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/g、好ましくは0.08〜7dl/gのものを使用するのが好ましい。
軟質共重合体(B)が、オレフィン、ジエン及び芳香族ビニル炭化水素からなる群から選択される少なくとも2種以上の単量体を重合してなるものであることが好ましい。このとき、軟質共重合体(B)としては、以下に示す(b1)、(b2)、(b3)及び(b4)が好適なものとして例示される。
(b1):エチレン及び炭素数が3〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも2種以上の単量体を重合してなる非晶性又は低結晶性の軟質共重合体
(b2):エチレンと、炭素数が3〜20のα−オレフィンと、環状オレフィンとを重合してなる軟質共重合体
(b3):非共役ジエンと、エチレン及び炭素数が3〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも2種以上の単量体とを重合してなる軟質共重合体
(b4):芳香族ビニル炭化水素と共役ジエンとのランダム若しくはブロック共重合体又はその水素化物である軟質共重合体
次に、ラジカル開始剤(C)について説明する。ラジカル開始剤(C)としては、溶融混練時の加熱によって熱分解してラジカルを発生することのできるものであればよく、その種類は特に限定されない。過酸化物、アゾ化合物、レドックス開始剤などが挙げられる。しかしながら、金属を含有するものは、ギヤ部中に金属残渣が混入するため好ましくない。また、アゾ化合物のように窒素元素を含有するものは、ギヤ部から含窒素化合物が揮発するおそれがあり、好ましくない場合がある。したがって、有機過酸化物が好適に採用される。ラジカル開始剤(C)は、溶融混練時に適度な速度で分解することが好ましく、その1分間半減期温度は30〜250℃であることが好適である。1分間半減期温度は、より好適には50℃以上であり、200℃以下である。
ラジカル開始剤(C)として使用される有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類;ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類;ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等をあげることができる。
次に、ラジカル重合性の官能基を分子内に2個以上有する多官能化合物(D)について説明する。当該多官能化合物(D)としては、たとえばジビニルベンゼン、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、トリアリールイソシアヌレート、ジアリールフタレート、エチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどをあげることができる。
そして、環状オレフィン重合体(A)、軟質共重合体(B)、ラジカル開始剤(C)及び多官能化合物(D)を溶融混練することにより樹脂組成物を得ることができる。
軟質共重合体(B)の配合量は、環状オレフィン重合体(A)100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましい。軟質共重合体(B)の配合量が1質量部未満の場合には、耐摩耗性の改善が不十分になり、好適には5質量部以上である。一方、軟質共重合体(B)の配合量が50質量部を超える場合には、ギヤ部の剛性が低下するおそれがあり、好適には25質量部以下である。
ラジカル開始剤(C)の配合量は、環状オレフィン重合体(A)100質量部に対して0.001〜1質量部であることが好ましい。ラジカル開始剤(C)の配合量が0.001質量部未満の場合には、架橋反応が十分に進行せず耐摩耗性の改善が不十分になり、好適には0.01質量部以上である。一方、ラジカル開始剤(C)の配合量が1質量部を超える場合には耐汚染性が悪化するおそれがあり、好適には0.5質量部以下である。
多官能化合物(D)の配合量は、環状オレフィン重合体(A)100質量部に対して0〜1質量部であることが好ましい。多官能化合物(D)の配合は任意であり、配合しなくても良いが、効率的に架橋反応を進行させるためには配合させるほうが好ましい。その場合の好適な配合量は0.001質量部以上であり、より好適には0.01質量部以上である。一方、多官能化合物(D)の配合量が1質量部を超える場合には耐汚染性が悪化するおそれがあり、好適には0.5質量部以下である。
次に、前記樹脂組成物に含まれる繊維について説明する。本発明で用いられる繊維としては、無機繊維と有機繊維のいずれを使用することもできる。無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維(モスハイジ)、チタン酸カリウム繊維(ティスモなどが挙げられる。有機繊維としては、全芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維などの有機繊維が挙げられる。これらの繊維は研磨治具の要求性能に応じて適宜選択される。ギヤ部の力学特性及び耐摩耗性を向上させる点からは無機繊維を用いることが好ましく、その中でも炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、セルロース系、リグニン系などの種々の炭素繊維が挙げられるが、中でもPAN系炭素繊維が好ましい。
繊維の寸法は、特に限定されないが、繊維径が0.1〜50μmであることが好ましく、繊維長が5μm〜10mmであることが好ましい。このとき、アスペクト比(繊維長/繊維径)が10以上であることが好ましい。
本発明で用いられる樹脂組成物は、熱可塑性樹脂50〜99質量%及び繊維1〜50質量%を含むものであることが好ましい。繊維の含有量が1質量%未満の場合、ギヤ部の力学特性及び耐摩耗性が低下するおそれがある。繊維の含有量は5質量%以上であることがより好ましい。一方、繊維の含有量が50質量%を超える場合、樹脂組成物中での繊維の分散性が悪化するおそれがある。繊維の含有量は30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂と繊維との配合方法は特に限定されないが、各種混練機、例えば単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等によって溶融混練することができる。
本発明で用いられる樹脂組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲で、各種添加剤が含まれていてもよい。しかしながら、研磨工程においてスクラッチの原因となる成分を配合することは好ましくないので、この点を考慮して各種添加剤の種類や量を判断する。
本発明においては、研磨治具が前記貫通孔の内周に接合される保持部をさらに有することが好ましい。ここで、図1を再び用いて本発明の好適な態様について説明する。図1中の「内周の拡大図」に示すように、研磨治具1は貫通孔2の内周に接合される保持部8をさらに有している。そして、貫通孔2の内周に形成された複数の凸部9と保持部8の複数の凹部10とが嵌合している。金属板の内周の凸部は、レーザー加工、機械的切削加工、エッチングなどにより形成することができるが、レーザー加工により形成されてなることが好ましい。
この態様においても保持部8が上述した樹脂組成物からなることが重要である。前記保持部が前記樹脂組成物からなることにより、当該保持部の耐衝撃性や耐摩耗性を向上させることができ、研磨工程において板状体を傷つけることなく研磨することができる。
本発明の研磨治具において、前記金属板の中心(C)から該金属板の外周の凸部までの距離(L1)が、前記金属板の中心(C)から前記ギヤ部の外周の凹部までの距離(L2)よりも短いことが好ましい。ここで、図2を用いて距離(L1)及び(L2)について説明する。図2は、図1に示した研磨治具の外周部を拡大した図である。図2に示すように、距離(L1)は、金属板の中心(C)(図示せず)及び該金属板の外周の凸部の頂部を終点とした線分の距離のことをいう。また、距離(L2)は、金属板の中心(C)及び上記ギヤ部の外周の凹部の底部を終点とした線分の距離のことをいう。
本発明の研磨治具において、前記金属板の外周及び前記貫通孔の内周の少なくとも一方が粗化されてなることが好ましい。具体的には、前記金属板の切断面が粗化されてなることが好ましい。こうすることによって金属板と樹脂組成物との密着性をより向上させることができる。このとき、前記金属板の外周面及び前記貫通孔の内周面の少なくとも一方の面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)が1μm以上であることが好ましい。表面粗さは、1.5μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。一方、表面粗さは、通常、10μm以下である。
粗化方法は特に限定されず、エッチング溶液中に浸漬させる化学的な粗化方法やサンドブラストや紙ヤスリで研磨したりするような機械的な粗化方法が挙げられる。中でも、金属板をエッチング溶液中に浸漬させて粗化する方法が簡便であり好ましい。
このように本発明の研磨治具は優れた強度及び耐久性を有するため、これまでの研磨治具では研磨することの難しかった薄い板状体を研磨することができる。そして、研磨中に板状体に異物が付着することも抑制される。
本発明の研磨治具の製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法は、前記金属板を金型にインサートする第1工程と、前記金型に前記樹脂組成物を射出して前記金属板の外周に樹脂組成物を充填する第2工程と、前記金型から成形品を取り出し、前記ギヤ部の外周にギヤを形成する第3工程とを備える方法である。
まず、第1工程において、前記金属板を金型にインサートする。このときの金属板は、貫通孔、及び前記ギヤ部や前記保持部と嵌合する凸部が予め形成されたものである。
第2工程において、前記金型に前記樹脂組成物を射出して前記金属板の外周に樹脂組成物を充填する。こうすることにより前記金属板の外周に樹脂板が接合される。射出条件は特に限定されるものではないが、射出時の樹脂温度は好ましくは200〜350℃であり、金型温度は好ましくは30〜80℃である。そして、次の第3工程において、前記金型から成形品を取り出し、前記樹脂板の外周にギヤを形成する。ギヤの成形には通常切削加工機が用いられる。そして、切削加工機によって樹脂板の一部が削り取られ樹脂板の外周にギヤが形成される。
本発明の製造方法において、第2工程と第3工程との間に、金属板の外周に接合された樹脂板において、ギヤの形成に必要な幅を残してその他の部分を予め除去する工程を備えることが好ましい。第2工程の直後にこの工程を行うことにより樹脂板の面積を小さくすることができるので、樹脂の収縮による金属の変形を防止することが可能となる。不要な部分を除去する方法は特に限定されないが、打ち抜き加工により除去する方法が簡便である。
貫通孔の内周に接合される保持部をさらに有する研磨治具を得る場合には、上記第2工程において、前記金型に前記樹脂組成物を射出して前記金属板の外周に樹脂組成物を充填するとともに金属板の内周にも樹脂組成物を充填し、前記金属板の内周に接合するように樹脂板を形成する。そして、続く第3工程において、前記ギヤ部の外周にギヤを形成するとともに、前記貫通孔の内周に接合される保持部を形成する。第2工程と第3工程との間に、金属板の接合された樹脂板から、保持部の形成に必要な幅を残してその他の部分を予め除去する工程を備えることが好ましい。
本発明の研磨治具で板状体を保持して該板状体を研磨する。上述したように、本発明の研磨治具は優れた強度及び耐久性を有する。そのため、研磨治具の破損や異物の脱落を防ぐことがきるので、板状体に異物が付着したりスクラッチが発生したりするのを抑制することができる。研磨される板状体は特に限定されず、半導体ウェハ、ハードディスク用のアルミニウムディスクやガラスディスク、液晶表示用のガラス基板、LED用サファイヤ基板などが例示される。
本発明の他の態様は、板状体を保持して研磨するための研磨治具であって;前記研磨治具が、貫通孔を有する金属板と該金属板の外周に研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤと前記貫通孔の内周に接合される保持部とを有し、前記保持部が熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなり、前記貫通孔の内周に形成された複数の凸部と前記保持部の複数の凹部とが嵌合し、前記貫通孔の内周面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)が1μm以上である研磨治具である。
この研磨治具において、前記貫通孔の内周面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)は1μm以上である。内周面の表面粗さを1μm以上とすることで、金属板と保持部との密着性を高めることができる。研磨工程中に保持部が外れることを防ぐことができる。表面粗さは、1.5μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。一方、表面粗さは、通常、10μm以下である。
この研磨治具においては、貫通孔の内周面の表面粗さが上記範囲に含まれていればよく、樹脂組成物からなるギヤ部を有していなくてもよい。したがって、樹脂組成物からなるギヤ部を有する場合も、金属板の外周に直接ギヤが形成される場合も、この研磨治具に含まれる。この研磨治具において、前記研磨治具と共通する構成については、既に説明したとおりである。
実施例1
[樹脂組成物]
(熱可塑性樹脂)
下記の環状オレフィン重合体(a)100質量部、エチレン・プロピレンランダム共重合体(b)11質量部、ラジカル開始剤(c)0.022質量部及び多官能化合物(d)0.022質量部を押出機で溶融混練して樹脂組成物を得た。
・環状オレフィン重合体(a)
エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(以下「TCD−3」と略すことがある)とのランダム共重合体(エチレン−TCD−3ランダム共重合体)。13C−NMRで測定したTCD−3含有量が77.8質量%(38mol%)、エチレン含量が22.2質量%(62mol%)、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.60dl/g、ガラス転移温度(Tg)が105℃である。MFR(ASTM D1238に基づいて230℃、2.16kg荷重で測定)は8.2g/10分である。TCD−3の構造式は、上記式[I]において、n=0、m=1かつR、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18が水素原子の場合である。
・軟質共重合体(b)
三井化学株式会社製エチレン−プロピレンランダム共重合体「P−0880」。エチレン含量が80mol%、極限粘度[η]が2.5dl/g、ガラス転移温度(Tg)が−54℃である。MFR(ASTM D1238に基づいて、230℃、2.16kg荷重で測定)が0.4g/10分、密度が0.867g/cm、X線回折法により測定した結晶化度が約10%である。
・ラジカル開始剤(c)
日本油脂株式会社製「パーヘキシン25B」。2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3を主成分(90%以上)とする。1分間半減期温度は194.3℃である。
・多官能化合物(d)
ジビニルベンゼン
(炭素繊維)
炭素繊維は、東邦テナックス株式会社製のPAN(ポリアクリロニトリル)系の炭素繊維「ベスファイト HTA−C6−UAL1」(径が7μm、長さが6mmのチョップドストランド)である。
そして、上記樹脂組成物及び上記炭素繊維を二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEX30α」)に投入して溶融混練してペレット化して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物における炭素繊維の含有量は10質量%であった。
[金属板]
(金属板の加工)
プレス加工により予め貫通孔が5つ形成された円形の金属板(厚さ500μm、SUS431)を用意した。そして、COレーザー加工機を用いて、金属板の外周に複数の凸部を形成するとともに、貫通孔の内周にも複数の凸部を形成した。このときの金属板の直径は299.17mmであり、貫通孔の直径は96.5mmであった。この場合の直径とは、凸部の頂部から反対側の凸部の頂部までの距離のことである。
(粗化処理)
レーザー加工された金属板を、室温の塩化第二鉄水溶液15質量%に10分間浸漬させた後、硝酸水溶液(15質量%)に10秒間浸漬させた。その後、金属板をイオン交換水中に浸漬させて超音波洗浄して、表面が粗化処理された金属板を得た。
[研磨治具の作製]
(射出工程)
粗化処理された金属板を、金型に装着した後、射出成形機(三菱重工株式会社製「550ME II−70S」、樹脂温度:290℃、金型温度:50℃)を用いて金属板の外周及び貫通孔に樹脂組成物を充填した。金型を冷却した後、当該金型から金属板を取り出した。この金属板の外周には樹脂板が接合されていて、貫通孔は樹脂板が接合されて塞がっている。
(打ち抜き加工)
射出工程で得られた金属板において、ギヤ部や保持部の形成に不要な部分を、打ち抜き加工により予め除去した。ベニヤ合板に刃材が装着された型(トムソン型)を用い、プレスすることによりギヤ部や保持部の形成に不要な部分を打ち抜いて除去した。
(切削加工)
ルーター加工機(庄田鉄工株式会社製「NC101−3015」)を用い、金属板外周に接合された樹脂板を切削してギヤ部を形成した。ギヤ部に形成されたギヤ(歯)の高さは5.585mmであった。また、金属板の中心(C)からギヤ部の外周の凹部までの距離(L2)は143.95mmであり、金属板の中心(C)から該金属板の外周の凸部までの距離(L1)は141.45mmであった。次いで、貫通孔の内周に接合された樹脂板の表面が平滑になるように切削加工を行い、保持部を形成した。
[評価]
(表面粗さの測定)
オリンパス株式会社製の3Dレーザー顕微鏡「LEXT OLS4000」(対物レンズ20倍)を用いて、JIS B 0601に準拠した方法により、切断面の表面粗さを測定した。具体的には、図3の矢印で示した外周面(Fout)及び内周面(Fin)の算術平均粗さ(Ra)を測定した。その結果、外周面の算術平均粗さは3.7μmであり、内周面の算術平均粗さは2.7μmであった。
(樹脂組成物の密着強度)
切削加工して得られた金属板を金型にインサートしてから、樹脂組成物を射出して貫通孔に樹脂板を接合させて塞ぎ、試験用のサンプルを作製した。そして、図4に示すように、樹脂組成物が充填された貫通孔(番号1)において丸印で示した2箇所(図4のinとout)をそれぞれ押した。具体的には、圧縮試験機を用いて、丸印で示した箇所の樹脂板が外れるまで金属製の端子(接触面積14mm、速度1mm/分)で押すことで密着強度を測定した。他の貫通孔(番号2〜5)についても同様の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例2
粗化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして研磨治具を得てそれを評価した。その結果、外周面の算術平均粗さは1.3μmであり、内周面の算術平均粗さは0.7μmであった。また、密着強度を表1に示す。
Figure 2021037552
1 研磨治具
2 貫通孔
3 金属板
4 ギヤ部
5 ギヤ
6 ギヤ部における凸部
7 ギヤ部における凹部
8 保持部
9 保持部における凸部
10保持部における凹部

Claims (9)

  1. 板状体を保持して研磨するための研磨治具であって;
    前記研磨治具が、板状体を保持するための貫通孔を有する金属板と該金属板の外周に接合されるギヤ部とを有し、
    前記ギヤ部が、熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなるとともに、研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤを有し、
    前記金属板の外周に形成された複数の凸部と前記ギヤ部の複数の凹部とが嵌合してなることを特徴とする研磨治具。
  2. 前記研磨治具は、前記貫通孔の内周に接合される保持部をさらに有し、
    前記保持部が前記樹脂組成物からなり、
    前記貫通孔の内周に形成された複数の凸部と前記保持部の複数の凹部とが嵌合してなる請求項1に記載の研磨治具。
  3. 前記樹脂組成物が、環状オレフィン重合体(A)と軟質共重合体(B)とを含む請求項1又は2に記載の研磨治具。
  4. 前記金属板の中心(C)から該金属板の外周の凸部までの距離(L1)が、前記金属板の中心(C)から前記ギヤ部の外周の凹部までの距離(L2)よりも短い請求項1〜3のいずれかに記載の研磨治具。
  5. 前記金属板の外周及び前記貫通孔の内周の少なくとも一方が粗化されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の研磨治具。
  6. 前記金属板の外周面及び前記貫通孔の内周面の少なくとも一方の面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)が1μm以上である請求項5に記載の研磨治具。
  7. 前記金属板の厚みが0.2〜1.2mmである請求項1〜6のいずれかに記載の研磨治具。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の研磨治具の製造方法であって;
    前記金属板を金型にインサートする第1工程と、
    前記金型に前記樹脂組成物を射出して前記金属板の外周に樹脂組成物を充填する第2工程と、
    前記金型から成形品を取り出し、前記ギヤ部の外周にギヤを形成する第3工程とを備える研磨治具の製造方法。
  9. 板状体を保持して研磨するための研磨治具であって;
    前記研磨治具が、貫通孔を有する金属板と該金属板の外周に研磨装置のギヤと嵌合するためのギヤと前記貫通孔の内周に接合される保持部とを有し、
    前記保持部が熱可塑性樹脂と繊維を含む樹脂組成物からなり、
    前記貫通孔の内周に形成された複数の凸部と前記保持部の複数の凹部とが嵌合し、
    前記貫通孔の内周面の表面粗さ(Ra:JIS B 0601に基づく)が1μm以上であることを特徴とする研磨治具。
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