JP2006274119A - 熱可塑性エラストマー組成物及びその積層成形品 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物及びその積層成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、柔軟性に加え極性材料との接着性に優れた成形体を得る事ができる熱可塑性エラストマー組成物を提供し、さらにそれを用いた成形とリサイクルが可能で耐熱性、耐水性、機械的特性に優れ、低比重な樹脂積層体を提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂(A)15〜95重量部、架橋されたゴム(B)5〜85重量部[成分(A)と成分(B)の合計は100重量部]と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)を(A)+(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部含有することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、及びそれと極性材料例えばポリアミド系の樹脂を積層した成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物とその成形品に関し、さらに詳しくは耐熱性に優れた成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物とそれを用いた積層成形品に関する。
加硫ゴムは優れた柔軟性と耐熱性を備えているが、成形性に問題があり、例えば射出成形する場合、ゴムに添加剤を配合、混練し、金型内に供給後、架橋する必要があるため、特殊な成形機を必要とし、成形サイクル時間が長く、かつ工程が煩雑という欠点を有している。押出成形においても同様な問題があり、架橋ゴム製品を大量生産する上での問題となっている。また架橋ゴムはいったん成形、架橋した後は、加熱しても溶融しないため、融着して接合するなどの後加工ができないという問題点もある。
そこで架橋しないで成形でき、かつ架橋ゴム類似の性能を有する素材によるゴム代替が検討されてきた。このような性能を有する素材の中で軟質塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン等の軟質プラスチックは成形性が良好であり、かつ柔軟性に富んでいるが、反発弾性が劣り、また130℃以上の高温下では溶融してしまうなどの欠点がある。そこで、架橋ゴムと軟質プラスチックの中間の性能を有する素材としていわゆる熱可塑性 エラストマー の開発が進められてきた。
このような熱可塑性 エラストマーの例として、特公昭56−15741号(特許文献1)には、(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム90〜40重量部、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラステイック10〜60重量部(ここで(a)+(b)は100重量部になるように選ぶ)、ならびに(c)ペルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質および/または(d)鉱油系軟化剤5〜100重量部からなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。しかし、上記従来の熱可塑性 エラストマー組成物は150℃以下では柔軟性、反発弾性、引張特性に優れ、良好な成形性も備えているが、150℃を越える高温下では溶融するため、使用できないなど、耐熱性に問題がある。
この問題点を解決するために特開平11−269330号(特許文献2)、特開2001−181459号(特許文献3)では高耐熱性樹脂である4−メチル−1−ペンテン系重合体を使用した熱可塑性エラストマーが提案されている。しかし4−メチル−1−ペンテン系重合体は熱変形温度が低いため高温高加重下での樹脂変形が大きいという欠点があり高耐熱性の利点を十分に生かす事ができなかった。また4−メチル−1−ペンテン系重合体の表面エネルギーが低い特徴のために他の材料との相溶性・接着性に劣り、ブレンドによる改良や多層成形による機械物性の付与も困難であった。
特公昭56−15741号公報 特開平11−269330号公報 特開2001−181459号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、耐熱性、柔軟性に加え極性材料との接着性に優れた成形体を得る事ができる熱可塑性エラストマー組成物を提供し、さらにそれを用いた成形とリサイクルが可能で耐熱性、耐水性、機械的特性に優れ、低比重な樹脂積層体を提供することを目的としている。
本発明は主として、以下の特徴をもつ耐熱性熱可塑性エラストマー組成物とその積層成形品に関する。
(1)オレフィン系樹脂(A)15〜95重量部、架橋されたゴム(B)5〜85重量部[成分(A)と成分(B)の合計は100重量部]と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)を(A)+(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部含有することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(2)前記オレフィン系樹脂(A)全体の0〜100重量%が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)であり、該4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)が、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体および/または4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする(1)項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(3)前記オレフィン系樹脂(A)全体の50〜97重量%が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)であり、該4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)が、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体および/または4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする(1)項に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(4)前記架橋されたゴム(B)が、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムの架橋物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(5)前記オレフィン系樹脂(A)中の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)が、ペルオキシド分解型オレフィン系樹脂であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(6)前記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)によってオレフィン系樹脂(A)、ゴム(B)の全量もしくはその一部がグラフト変性されていることを特徴とする(1)〜(5)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(7)オレフィン系樹脂(A)の全量もしくはその一部とペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(B)を有機過酸化物の存在下で動的架橋させることにより得られる(1)〜(6)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物と極性材料を積層してなる成形品。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー組成物好ましくはオレフィン系樹脂(A)[4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)]、架橋されたゴム(B)、不飽和カルボン酸およびその誘導体(C)を特定量含んでいる熱可塑性エラストマー組成物は、成形が容易であるとともにリサイクルが容易であり、かつ耐熱性、耐水性および機械的特性に優れ低比重であって、さらに接着力に富むため多層成形をおこなうことができ、極性樹脂や金属の表面に樹脂層を形成する事が可能である。この熱可塑性エラストマー組成物を使用する事で、高耐熱性、高耐水性、高耐薬品性の樹脂層を各種材料の表面に形成する事が可能である。
[オレフィン系樹脂(A)]
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(A)は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)1〜100重量%を含有していることが好ましく、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)50〜97重量%と4−メチル−1−ペンテン系重合体以外のオレフィン系樹脂(A2)3〜50重量%とを含有していることがさらに好ましい。
[4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)]
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、または4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、好ましくは90〜99.9重量%、炭素数2〜20好ましくは6〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体である。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20、好ましくは6〜20のα−オレフィンが挙げられる。4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)が共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンの含有量が80〜99.9重量%、好ましくは90〜99.9重量%、共重合成分の含有量が0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である4−メチル−1−ペンテンを主成分とした共重合体が好ましい。共重合体成分の含有量が上記範囲内にあると、より耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが得られる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)のメルトフローレート(MFR;ASTMD1238、260℃、5.0kg荷重)は、0.1〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分の範囲内にあることが望ましい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)は、市販品を使用することもでき、たとえば三井化学(株)製のTPXMX001、MX002、MX004、MX021、MX321、RT18、あるいはDX845(いずれも商標)などが挙げられる。その他のメーカーの4−メチル−1−ペンテン系重合体でも、上記要件を満たせば好ましく使用することができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)は、本発明に係る熱可塑性エラストマーからなるホースにおいて、特に耐熱性を向上させる役割を担っている。
[オレフィン系樹脂(A2)]
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(A2)は、上述した4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂であって、高圧法または低圧法のいずれかによる、1種または2種以上のモノオレフィンを単独重合または共重合して得られる高分子量固体生成物からなる。
このようなオレフィン系樹脂(A2)としては、たとえばアイソタクチックおよびシンジオタクチックのモノオレフィン単独重合体または共重合体樹脂などが挙げられる。これらの代表的な樹脂は、商業的に入手できる。
上記オレフィン系樹脂(A2)の適当な原料オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等の炭素数2〜12、好ましくは2〜10のα−オレフィンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、1種単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。
重合様式はランダム型でもブロック型でも、樹脂状物が得られれば、どのような重合様式を採用しても差支えない。
オレフィン系樹脂(A2)は、1種単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
オレフィン系樹脂(A2)としては、ペルオキシド分解型オレフィン系樹脂が好ましい。
ペルオキシド分解型オレフィン系樹脂とは、熱、光、衝撃などの刺激をうけてペルオキシドから発生するラジカルの連鎖移動によって容易に分解反応を起こすポリオレフィン樹脂を指し、その多くは主鎖上に3級炭素をもつことを特徴とする。ペルオキシド分解型オレフィン系樹脂としては、プロピレン系重合体、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレンブロックコポリマー、プロピレン・エチレンランダムコポリマー、プロピレン・エチレン・ブテンランダムコポリマーなどが特に好ましい。
本発明で用いられるオレフィン系樹脂(A2)は、メルトフローレート(MFR:ASTMD1238−65T、230℃)が通常0.01〜1000g/10分、好ましくは0.05〜500g/10分の範囲内にあることが望ましい。
オレフィン系樹脂(A2)は、架橋されたゴム(B)と4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)との分散性を向上させ、本発明で用いられる熱可塑性エラストマーの流動性および機械的強度を向上させる役割を持っている。
[架橋されたゴム(B)]
本発明で用いられる架橋されたゴム(B)としては、公知の架橋可能なゴム原料が架橋した架橋ゴムを制限なく使用できるが、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムの架橋物であって、架橋されたゴム(B)のゴム原料が公知のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムなどの架橋ゴムが好ましい。
ゴム原料としてはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが好ましく、以下の物性を有するエチレン・プロピレン・非共役ジエンゴムが特に好ましい。
すなわち、エチレンから誘導される構成単位含有量とプロピレンから誘導される構成単位含有量とのモル比[エチレン/プロピレン(モル比)]が30/70〜90/10、好ましくは50/50〜85/15であり、ヨウ素価が1〜40g/100g、好ましくは3〜30g/100gであり、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定される極限粘度[η]が0.8〜6dl/g、好ましくは1〜5dl/gであるエチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム。
前記非共役ポリエンとしては、具体的には、
1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。これらの中では、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが好ましい。これらは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いるができる。
架橋されたゴム(B)は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
[不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)]
本発明では不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)は、グラフト変性剤として用いられる。上記の不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸;
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物;
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2- エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2- エン-5,6- ジカルボン酸またはこれらの無水物が好ましい。
本発明においては不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)によって前記オレフィン樹脂(A)、ゴム(B)の全量がグラフト変性されていても良いし、またはグラフト変性樹脂を前記オレフィン樹脂(A)、ゴム(B)で希釈した物でも良い。ただしいずれの場合にも不飽和カルボン酸などのグラフト量は全体で前記範囲内である必要がある。
[その他の成分]
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー中に、オレフィン系樹脂(A)[4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)および4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)]、および架橋されたゴム(B)の他に、必要に応じて、公知の軟化剤、無機充填剤、カーボンブラックなどの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明で用いられる軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;
トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;
石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、オレフィン系合成油、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
本発明において軟化剤は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、オレフィン系樹脂(A2)および架橋されたゴム(B)の合計量100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは80重量部以下、さらに好ましくは60重量部以下の割合で用いるのが望ましい。軟化剤を上記のような割合で用いると、得られる熱可塑性エラストマーは、成形時の流動性に優れ、それから得られるホースの機械的物性を低下させることはない。
本発明において軟化剤は、熱可塑性エラストマー製造時に添加してもよいし、また予め原料ゴムに油展しておいても構わない。
本発明で用いられる無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
本発明において無機充填剤は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、オレフィン系樹脂(A2)および架橋されたゴム(B)の合計量100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは80重量部以下の割合で用いるのが望ましい。
本発明において、無機充填剤の使用量が上記範囲にある場合、ゴム弾性、成形加工性に優れた熱可塑性エラストマーが得られる。
さらに、本発明においては、熱可塑性エラストマー中に、従来公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤などを、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
[熱可塑性エラストマーの配合]
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーは、前記したオレフィン系樹脂(A)好ましくは4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)および4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)と、架橋されたゴム(B)と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)、さらに必要に応じて用いられる前記軟化剤、無機充填剤、カーボンブラック等の添加剤とを含有している。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーにおいて、オレフィン系樹脂(A)および架橋されたゴム(B)の合計100重量部に対して、架橋されたゴム(B)は、5〜85重量部、好ましくは10〜85重量部の割合で用いられ、オレフィン系樹脂(A)は、合計量で15〜95重量部、好ましくは15〜90重量部の割合で用いられる。不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)は上記(A)+(B)100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部であることが好ましい。
さらには、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)および架橋されたゴム(B)の合計100重量部に対して、架橋されたゴム(B)は、5〜85重量部、好ましくは10〜85重量部の割合で用いられ、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)および4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)は、合計量で15〜95重量部、好ましくは15〜90重量部の割合で用いられることが好ましい。不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)は上記(A)+(B)100重量部に対して0.1〜2重量部であることが好ましい。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)および4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)の合計100重量%に対して、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)の含有量は50〜97重量%、好ましくは55〜95重量%であり、オレフィン系樹脂(A2)の含有量は3〜50重量%、好ましくは5〜45重量%である。
オレフィン系樹脂(A)の含有割合が上記範囲内である場合に、機械的性質に優れると共に良好な成形加工性を得る事ができる。
架橋されたゴム(B)の含有割合が上記範囲内にある場合に、可撓性、耐永久歪み性、耐屈曲疲労性に優れた熱可塑性エラストマーが得られる。
不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)の含有割合が上記範囲内であれば、極性成分との接着力に優れた熱可塑性エラストマーが得られる。
オレフィン系樹脂(A)として4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)の含有割合が上記範囲内にあると、曲げ弾性および耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが得られる。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、ペルオキシド分解型オレフィン系樹脂(A2)、架橋されたゴム(B)の全ての含有割合が上記範囲内にある場合に本組成物は共連続相を持たないコア・シェル型の微細構造をとるため機械的性質、熱的性質が特異的に良好となり、全成分の含有割合が上記範囲内である場合に初めて当初の目的である他材料との積層成形が可能な高耐熱性熱可塑性エラストマーを得る事ができる。
[不飽和カルボン酸およびその誘導体のグラフト化]
不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーを前記オレフィン樹脂(A)とゴム(B)にグラフト共重合して変性物を製造するには、従来公知の種々の方法を採用することができる。たとえば、溶融させてグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法あるいは溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合にも、前記グラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。グラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は、反応に供されるポリオレフィン樹脂もしくはゴム100重量部に対して通常0.001〜1重量部の範囲である。
ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、たとえばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテート、その他アゾ化合物、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートが用いられる。これらのうちではジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。
[熱可塑性エラストマーの製造法]
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーは、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)と、オレフィン系樹脂(A2)と、架橋されたゴム(B)の原料ゴムと、不飽和カルボン酸およびその誘導体(C)と、必要に応じて配合される軟化剤、無機充填剤等の添加剤とを混合した後、架橋剤の存在下に動的に熱処理することによって得ることができる。ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーは、前記オレフィン系樹脂(A2)と、架橋されたゴム(B)の原料ゴムとの混合物を、架橋剤の存在下に動的に熱処理してマスターバッチを製造し、次いで、マスターバッチと4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)とを動的に熱処理することによっても得ることができる。必要に応じて軟化剤、無機充填剤等の添加剤を、マスターバッチに配合することもできるし、またマスターバッチと4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)との混合の際に配合することもできる。
上記架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等、熱硬化型ゴムで一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらの架橋剤の中でも、有機過酸化物が特に好ましい。
本発明で用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく、中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
このような有機過酸化物は、被処理物全体、すなわち4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、オレフィン系樹脂(A2)および架橋されたゴム(B)の原料ゴムの合計量100重量部に対して、0.02〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部となるような量で用いるのが望ましい。有機過酸化物を上記範囲内の割合で用いると、耐熱性、引張特性、弾性回復および反発弾性、機械的強度ならび伸びに優れたホース用熱可塑性エラストマーが得られる。
本発明においては、上記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド等のペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ適正な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては多官能性メタクリレートモノマーが好ましく、特にジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
多官能性メタクリレートモノマーは取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分である4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、オレフィン樹脂(A2)および架橋されたゴム(B)の原料ゴムとの相溶性が良好であり、かつ有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
上記のような架橋助剤あるいは多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、上記被処理物全体100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは0.1〜3重量部となるような量で用いるのが望ましい。
また有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6−トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことがさらに好ましい。
熱処理の温度は、オレフィン樹脂(A)[4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、オレフィン系樹脂(A2)]の融点から300℃の範囲であり、通常150〜280℃、好ましくは170℃〜260℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で10〜50,000sec−1、好ましくは100〜20,000sec−1の範囲である。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましく、2軸押出機が特に好ましい。
本発明によれば、上述した動的な熱処理によって、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、オレフィン系樹脂(A2)および架橋したゴム(B)からなる熱可塑性エラストマーが得られる。
なお本発明において、熱可塑性エラストマー中のゴムが架橋されたとは、熱可塑性エラストマーをシクロヘキサン中に、23℃、48時間浸漬し、抽出残中のゴム量と混合したゴム量の比を百分率で表わし、これをゲル量%とし、ゲル量が好ましくは30重量%以上、 さらに好ましくは50重量%以上の範囲内にある場合をいう。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)、その他のオレフィン系樹脂(A2)と架橋されたゴム(B)とを混合する際には、前記の軟化剤、無機充填剤、カーボンブラック、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、耐電防止剤、金属石鹸、ワックス等の滑剤などの添加剤を添加することができる。また、これらの添加剤を混合する際には、前記の動的熱処理方法で行なうことが好ましい。ただし、熱処理は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)の融点以上の温度で行なわれる。この熱処理温度は、具体的には、240℃〜300℃、好ましくは240〜270℃の範囲である。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーは不飽和カルボン酸およびその誘導体(C)でグラフト変性されていることを特徴とするが、グラフト変性反応と熱可塑性エラストマー製造の動的な熱処理は同時に行う事が可能である。またオレフィン系樹脂(A)またはゴム(B)の全量もしくは一部を予めグラフト変性した後に他の原料と混合して動的熱処理を実施することでも製造可能である。さらにオレフィン系(A)またはゴム(B)の一部を予めグラフト変性してマスターバッチを製造し、次いで原料の動的な熱処理で得られた熱可塑性エラストマーとマスターバッチを混合することでも製造可能である。ただし、いずれの場合も原料の組成や不飽和カルボン酸などのグラフト量は全体で前記範囲内である必要がある。
[積層体成形品]
本発明に関わる成形品は、前記熱可塑性エラストマーを他の材料と共に積層して使用する成形品である。
本発明の熱可塑性エラストマーは成型が容易でありかつ耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れているが、さらに接着性を有しているために各種極性材料との積層において強固な層間接着を示す事ができる。
極性材料としては各種金属、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが使用できる。これらの材料に本発明の熱可塑性エラストマーを積層することで容易に耐熱性、耐水性、耐薬品性を付与する事ができる。
本発明の熱可塑性エラストマーを用いた積層体の用途として例えば耐熱・耐水性樹脂管などが例示できる。ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂は成形性、機械物性に優れているが加水分解性を有するため熱水接触状況での使用は不可能である。しかし本組成物と積層することで容易に耐温水性を付与する事ができ、軽量かつリサイクル性に富んだ樹脂ホースを得る事ができる。このようなホースは自動車用水系ホース、リザーバーホース、ベンチレーションホース、産業用スチームホース、産業用温水ホースなどとして使用する事ができる。
本発明の熱可塑性エラストマーを用いた積層体の用途として例えば金属保護用のコーティング皮膜なども例示する事ができる。金属は機械物性、耐久性、耐熱性に優れた材料であるが、さらに本組成物と積層する事により耐熱性を保持したまま耐錆性、意匠性などを付与する事ができる。このような積層体は自動車エンジンルームや産業用ボイラー周りの金属保護や意匠性付与に使用する事ができる。
本発明に係る積層体は、押出成形、射出成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、ラミネーション成形など公知の成形方法により製造することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例および比較例のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物について行った物性の測定方法は、下記の通りである。
[物性の測定方法]
(1)引張強さ
JISK6251の方法に従って、ダンベル状7号型試験片を使用し速度100mm/分で引張試験を行なって、試験片が切断したときの応力を測定した。
(2)切断時伸び
JISK6251で定義した方法に従って、23℃の測定環境下でダンベル状7号型試験片を100mm/分の速度で伸長させたときの引張破壊時の呼びひずみを測定した。
(3)曲げ初期弾性率
JISK7171で定義された方法に従って、23℃の測定環境下で厚さ4mmのシートの支点間距離で支持し、2mm/分の速度で中央部に荷重を加えたときの曲げ弾性率を測定した。
(4)軟化温度
デュポン製TMA測定装置を用い、昇温速度20℃/分で49gの荷重を掛けた針が0.1mm針入したときの温度を軟化温度とした。
(5)接着力の評価
被着体として東レ(株)製アミランCM1017(6−ナイロン)を1mm厚にプレス成形した物を使用し、同様に1mm厚にプレス成形した接着性熱可塑性エラストマーと重ねあわせたものを熱プレスで加熱して接着した。
熱プレス接着条件:230℃、3分
得られた積層体を1cm幅に切断し、室温環境下、剥離速度200mm/分で90度剥離して界面接着力を求めた。
(6)耐クーラント性
耐温水性の指標として自動車ラジエター冷却水に用いられるクーラントを用いて評価を行った。
JISD2602で定義された方法に従って、エチレングリコール50%水溶液に100℃±1℃、168時間の浸漬条件で浸漬後の体積変化率、引張強さ変化率、伸び変化率を測定した。
[実施例1]
ポリプロピレンホモポリマー[MFR=10g/10分(230℃、2.16kg)]のペレット12.5重量部、油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)共重合体ゴム[エチレンから導かれる単位とプロピレンから導かれる単位とのモル比(エチレン/プロピレン)=79/21、ENBに基づくヨウ素価=13、ムーニー粘度ML(1+4)125℃=105のゴムを、鉱物油系軟化剤(出光興産(株)製PW−380(商標))を用い100:40の重量比で油展したもの]のペレット70重量部、後添加鉱物油系軟化剤(前述のPW−380)12.5重量部、有機過酸化物[2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン]0.2重量部、ジビニルベンゼン(DVB)0.2重量部、およびフェノール系耐熱老化防止剤0.1重量部を加えて、ヘンシェルミキサー中で充分混合した後、2軸押出機にフィードして以下の条件で動的熱処理を行ない、熱可塑性エラストマーマスターバッチペレットを得た。
<動的熱処理条件>
・押出機:ウェルナー&フライデル社製、ZSK−53(商標)、スクリュー径=53mm
・温度設定:C1/C2/C3/C4/C5/D=140/160/180/220/220/200(℃)
・最高剪断速度:2800(1/秒)
・押出量:50(kg/時)
続いて4−メチル−1−ペンテン系重合体[TPXMX004(商標):4−メチル−1−ペンテン含有量=93重量%、炭素数16および18のオレフィン混合物含有量=7重量%、MFR=26g/10分(260℃、5.0kg)、三井化学(株)製]のペレット100重量部に、無水マレイン酸0.4重量部と過酸化物〔パーヘキシン−25B、日本油脂(株)製、商標〕0.08重量部とをヘンシェルミキサーで混合した後、2軸押出機にフィードして以下の条件でグラフト変性を行ない、変性ポリオレフィンのペレットを得た。
<動的熱処理条件>
・押出機:ウェルナー&フライデル社製、ZSK−53(商標)、スクリュー径=53mm
・温度設定:C1/C2/C3/C4/C5/D=200/240/260/280/280/280(℃)
・最高剪断速度:2000(1/秒)
・押出量:60(kg/時)
つぎに、この熱可塑性エラストマーマスターバッチペレット50重量部と、4−メチル−1−ペンテン系重合体[TPXMX004(商標):4−メチル−1−ペンテン含有量=93重量%、炭素数16および18のオレフィン混合物含有量=7重量%、MFR=26g/10分(260℃、5.0kg)、三井化学(株)製]のペレット25重量部、変性ポリオレフィンのペレット25部とを再びヘンシェルミキサーで混合した後、2軸押出機にフィードして以下の条件で動的熱処理を行ない、熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
<動的熱処理条件>
・押出機:ウェルナー&フライデル社製、ZSK−53(商標)、スクリュー径=53mm
・温度設定:C1/C2/C3/C4/C5/D=200/240/260/270/270/250(℃)
・最高剪断速度:2000(1/秒)
・押出量:60(kg/時)
[実施例2]
実施例1において配合量を変更し、表1に示す組成の熱可塑性エラストマーを得た以外は、実施例1と同様に行った。
その結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において配合量を変更し、表1に示す組成の熱可塑性エラストマーを得た以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において配合量を変更し、表1に示す組成の熱可塑性エラストマーを得た以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において配合量を変更し、表1に示す組成の熱可塑性エラストマーを得た以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において表1に示すように、変性ポリオレフィンマスターバッチの原料として4−メチル−1−ペンテン系重合体[TPXMX004(商標):4−メチル−1−ペンテン含有量=93重量%、炭素数16および18のオレフィン混合物含有量=7重量%、MFR=26g/10分(260℃、5.0kg)、三井化学(株)製]の代わりにポリプロピレンホモポリマー[MFR=10g/10分(230℃、2.16kg)]を用い、表1で示される組成の樹脂を調製して実施例1と同様の評価を行った。
結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例6において配合量を変更し、表1に示す組成の熱可塑性エラストマーを得た以外は、実施例6と同様に行った。
結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例1において変性ポリオレフィンマスターバッチを使用せず、熱可塑性エラストマーマスターバッチ50部と4−メチル−1−ペンテン系重合体[TPXMX004(商標)]50部に無水マレイン酸0.1重量部と過酸化物〔パーヘキシン−25B、日本油脂(株)製、商標〕0.02重量部とをヘンシェルミキサーで混合した後、2軸押出機にフィードして以下の条件でグラフト変性を行ない、変性ポリオレフィンのペレットを得た。
結果を表2に示す。
<動的熱処理条件>
・押出機:ウェルナー&フライデル社製、ZSK−53(商標)、スクリュー径=53mm
・温度設定:C1/C2/C3/C4/C5/D=200/240/260/280/280/280(℃)
・最高剪断速度:2000(1/秒)
・押出量:60(kg/時)
[実施例9]
実施例1において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)として4−メチル−1−ペンテン共重合体[TPXRT18(商標):4−メチル−1−ペンテン含有量=97重量%、炭素数10のオレフィン含有量=3重量%、MFR=26g/10分(260℃、5.0kg)、三井化学(株)製]を使用した以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表2に示す。
Figure 2006274119
Figure 2006274119
比較例
[比較例1]
実施例1のポリプロピレンホモポリマーと油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムを表2の比率で用いて調製したTPXMX004(商標)を含まない熱可塑性エラストマーペレットを使用し、変性ポリオレフィンとして実施例6のポリプロピレンホモポリマーを原料としたペレットを用いて、最終組成中の4−メチル−1−ペンテン系重合体の量0とした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
[比較例2]
オレフィン系樹脂(A)として4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)TPXMX004(商標)を単独で使用し、最終組成内のポリプロピレンホモポリマーの量を0とした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
[比較例3]
実施例1で変性ポリオレフィンペレットを使用せず、代わりに無変性の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)TPXMX004(商標)を使用して最終組成内の無水マレイン酸の量を0とした以外は実施例1と同様に行った。
結果を表3に示す。
[比較例4]
市販のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーTPO(ミラストマー8030N(商標):三井化学(株)製)を単独で使用し、240℃で射出成形と押出成形をした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表4に示す。
[比較例5]
市販のポリアミド系熱可塑性エラストマーTPAE(ペバックス3533(商標):東レ(株)製)を単独で使用し、220℃で射出成形と押出成形をした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表4に示す。
[比較例6]
市販のポリエステル系熱可塑性エラストマーTPEE(ペルプレンP30B(商標):東洋紡(株)製)を単独で使用し、230℃で射出成形と押出成形をした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表4に示す。
Figure 2006274119
Figure 2006274119

Claims (8)

  1. オレフィン系樹脂(A)15〜95重量部、架橋されたゴム(B)5〜85重量部[成分(A)と成分(B)の合計は100重量部]と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)を(A)+(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部含有することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記オレフィン系樹脂(A)全体の1〜100重量%が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)であり、該4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)が、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体および/または4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記オレフィン系樹脂(A)全体の50〜97重量%が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)であり、該4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)が、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体および/または4−メチル−1−ペンテン含有量80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン含有量0.1〜20重量%の4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記架橋されたゴム(B)が、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムの架橋物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記オレフィン系樹脂(A)中の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外のオレフィン系樹脂(A2)が、ペルオキシド分解型オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記不飽和カルボン酸もしくはその誘導体(C)によってオレフィン系樹脂(A)、ゴム(B)の全量もしくはその一部がグラフト変性されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  7. オレフィン系樹脂(A)の全量もしくはその一部とペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(B)を有機過酸化物の存在下で動的架橋させることにより得られる請求項1ないし6のいずれか記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物と極性材料を積層してなる成形品。
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