本発明は、コイル部品に関する。
様々なコイル部品が従来から知られている。公知のコイル部品の一つとしてインダクタがある。インダクタは、電子回路において用いられる受動素子である。インダクタは、例えば、電源ラインや信号ラインにおいてノイズを除去するために用いられる。従来のコイル部品は、磁性材料から形成される本体と、当該本体内に配置されたコイル導体と、当該本体の表面に設けられた複数の外部電極と、を有する。当該複数の外部電極の各々は、当該コイル導体と引出導体を介して接続される。コイル部品の本体は、フェライト、軟磁性金属粒子を含む複合樹脂材料、又はこれら以外の公知の磁性材料から形成される。従来のコイル部品は、例えば国際公開第2011/155241号及び特開2015−039026号公報に開示されている。
国際公開第2011/155241号
特開2015−039026号公報
従来のコイル部品においては、基体と外部電極との接合強度が十分でない場合に外部電極が本体から脱落することがある。例えば、コイル部品を回路基板へ実装する際に外部電極が本体から脱落することがある。また、コイル部品が落下したときの衝撃で外部電極が本体から脱落することもある。
コイル部品の本体用の磁性材料として、軟磁性金属粒子を含む複合磁性材料が着目されている。この種の複合磁性材料はフェライトと比べて高密度であるため、軟磁性金属粒子を含む本体を備えるコイル部品は高重量化しやすい。コイル部品が高重量化すると、実装時や落下時により大きな力が外部電極に作用するので、外部電極が本体から脱落しやすくなる。
本発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決又は緩和することである。より具体的な本発明の目的の一つは、コイル部品において外部電極の本体からの脱落を抑制することである。本発明のこれら以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。
本発明の一態様によるコイル部品は、第1磁性体層、第2磁性体層、及び第3磁性体層を含む複数の磁性体層を有する基体と、前記基体の表面に設けられた第1外部電極と、前記基体の前記表面に前記第1外部電極から離間した位置において設けられた第2外部電極と、前記基体内に設けられたコイル導体と、第1引出導体第1パターン及び第1引出導体第2パターンを有する第1引出導体と、前記コイル導体の第2端部と前記第2外部電極とを接続する第2引出導体と、を備える。前記第1引出導体第1パターンは、前記第1磁性体層と前記第2磁性体層との間に前記コイル導体の第1端部及び前記第1外部電極と接続されるように設けられる。前記第1引出導体第2パターンは、前記第2磁性体層と前記第3磁性体層との間に前記第1引出導体第1パターン及び前記第1外部電極と接続されるように設けられる。当該実施形態において、前記第1磁性体層、前記第2磁性体層、及び前記第3磁性体層は、前記第1外部電極と前記第1引出導体第1パターンとが接触する第1接触面及び前記第1外部電極と前記第1引出導体第2パターンとが接触する第2接触面よりも前記基体の外側に突出している。
本発明の一態様において、前記複数の磁性体層は、第4磁性体層、第5磁性体層、及び第6磁性体層をさらに含む。本発明の一態様において、前記第2引出導体は、前記第4磁性体層と前記第5磁性体層との間に前記コイル導体の前記第2端部及び前記第2外部電極と接続されるように設けられた第2引出導体第1パターンと、前記第5磁性体層と前記第6磁性体層との間に前記第2引出導体第1パターン及び前記第2外部電極と接続されるように設けられた第2引出導体第2パターンと、を有する。本発明の一態様において、前記第4磁性体層、前記第5磁性体層、及び前記第6磁性体層は、前記第2外部電極と前記第2引出導体第1パターンとが接触する第3接触面及び前記第2外部電極と前記第2引出導体第2パターンとが接触する第4接触面よりも前記基体の外側に突出している。
本発明の一態様において、前記基体の前記表面は、前記第1引出導体が露出する第1領域と、前記第1領域よりも前記基体の外側に突出している第2領域と、を含む。本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第1領域の少なくとも一部を覆う。本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第1領域の少なくとも一部及び前記第2領域の少なくとも一部を覆うように前記表面に設けられる。
本発明の一態様において、前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、回路基板に接続される。本発明の一態様において、前記基体の前記表面は、前記回路基板と対向する実装面を含み、前記第1領域及び前記第2領域はいずれも、前記実装面の領域である。
本発明の一態様において、前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、回路基板に接続される。本発明の一態様において、前記基体の前記表面は、前記回路基板と対向する実装面に接続された第1端面及び第2端面を含み、前記第1端面は、前記第1引出導体が露出する第3領域を有し、前記第2端面は、前記第2引出導体が露出する第4領域を有する。本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第3領域の少なくとも一部をさらに覆うように前記表面に設けられ、前記第2外部電極は、前記第4領域の少なくとも一部をさらに覆うように前記表面に設けられる。
本発明の一態様において、前記第1磁性体層、前記第2磁性体層、及び前記第3磁性体層のそれぞれの厚さは、前記第1引出導体第1パターンの厚さ及び前記第1引出導体第2パターンの厚さよりも薄い。
本発明の一態様によるコイル部品は、前記基体内に前記コイル導体、前記第1引出導体、及び前記第2引出導体から離間して配置され、第3接触面において前記第1外部電極と接する第1独立導体を備える。一態様において、前記第1独立導体は、前記複数の磁性体層のうち前記第1磁性体層、前記第2磁性体層、及び前記第3磁性体層とは異なる第1独立磁性体層に設けられており、前記第1独立磁性体層は、前記第3接触面よりも前記基体の外側に突出している。本発明の一態様によるコイル部品は、前記基体内に前記コイル導体、前記第1引出導体、及び前記第2引出導体から離間して配置され、第4接触面において前記第2外部電極と接する第2独立導体を備える。一態様において、前記第2独立導体は、前記第1独立磁性体層に設けられ、前記第1独立磁性体層は、前記第4接触面よりも前記基体の外側に突出している。
本発明の一実施形態は、上記の何れかのコイル部品を備える回路基板に関する。
本発明の一実施形態は、上記の回路基板を備える電子機器に関する。
本発明の一実施形態によるコイル部品においては、外部電極の本体からの脱落を抑制することができる。
回路基板に実装された本発明の一実施形態によるコイル部品の斜視図である。
図1のコイル部品の正面図である。
図1のコイル部品の分解図である。
図1のコイル部品の実装面側から見た斜視図である。
図1のコイル部品のX−X線断面の一部を模式的に示す図である。
図1のコイル部品のX−X線断面を模式的に示す図である。
本発明の別の実施形態によるコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す図である。
回路基板に実装された本発明の別の実施形態によるコイル部品の斜視図である。
図6のコイル部品の正面図である。
図6のコイル部品の分解図である。
図6のコイル部品の実装面側から見た斜視図である。
図6のコイル部品のY−Y線断面の一部を模式的に示す図である。
本発明の別の実施形態によるコイル部品の分解図である。
図11aのコイル部品が備える磁性体層及び独立導体を模式的に示す図である。
図11aのコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す図である。
本発明の別の実施形態によるコイル部品の分解図である。
図13aのコイル部品が備える磁性体層及び独立導体を模式的に示す図である。
図13aのコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す図である。
図1から図5bを参照して本発明の一実施形態に係るコイル部品1について説明する。まずは図1及び図2を参照してコイル部品1の概略について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の斜視図であり、図2は、コイル部品1の正面図である。図示のように、コイル部品1は、基体10と、この基体10内に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極21と、基体10の表面において外部電極から離間した位置に設けられた外部電極22と、コイル導体25の一端と外部電極21とを接続する引出導体23と、コイル導体25の他端と外部電極22とを接続する引出導体24と、を備える。
各図には、互いに直交するL軸、W軸、及びT軸が記載されている。本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、図1のL軸に沿う方向、W軸に沿う方向、及びT軸に沿う方向とする。
コイル部品1は、回路基板2に実装されている。回路基板2には、2つのランド部3が設けられている。コイル部品1は、外部電極21,22の各々と回路基板2の対応するランド部3とをはんだにより接合することで当該回路基板2に実装されてもよい。回路基板2は、様々な電子機器に実装され得る。回路基板2が実装され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
コイル部品1は、本発明を適用可能なコイル部品の一例である。本発明は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトル、及びこれら以外の様々なコイル部品に適用され得る。本発明は、カップルドインダクタ、チョークコイル、及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品にも適用することができる。
基体10は、磁性材料から直方体形状に形成されている。本発明の一実施形態において、基体10は、長さ寸法(L軸方向の寸法)が1.0mm〜10.0mm、幅寸法(W軸方向の寸法)が0.5〜10mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)が0.8〜5.0mmとなるように形成される。基体10は、例えば、長さ寸法が3.2mm、幅寸法が2.5mm、高さ寸法が2.5mmとされる。基体10の寸法は、本明細書で具体的に説明される寸法には限定されない。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」というときには、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。
基体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外面が画定される。第1の主面10aと第2の主面10bとは互いに対向し、第1の端面10cと第2の端面10dとは互いに対向し、第1の側面10eと第2の側面10fとは互いに対向している。回路基板2を基準としたとき第1の主面10aは基体10の上側にあるため、第1の主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2の主面10bが回路基板2と対向するように配置されるので、第2の主面10bを「実装面」又は「実装面10b」と呼ぶこともある。コイル部品1の上下方向に言及する際には、図1の上下方向を基準とする。
図示の実施形態において、外部電極21及び外部電極22は、基体10の実装面10bに設けられる。外部電極21及び外部電極22は、基体10の実装面10以外の面と接するように設けられてもよい。
基体10は、磁性材料から作製される。基体10用の磁性材料は、複数の軟磁性金属粒子を含んでも良い。基体10用の磁性材料に含まれる軟磁性金属粒子は、例えば、(1)Fe、Ni等の金属粒子、(2)Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni合金等の結晶合金粒子、(3)Fe−Si−Cr−B−C合金、Fe−Si−Cr−B合金等の非晶質合金粒子、または(4)これらが混合された混合粒子である。コア10に含まれる軟磁性金属粒子の組成は、前記のものに限られない。例えば、コア10に含まれる軟磁性金属粒子は、Co−Nb−Zr合金、Fe−Zr−Cu−B合金、Fe−Si−B合金、Fe−Co−Zr−Cu−B合金、Ni−Si−B合金、又はFe−AL−Cr合金であってもよい。軟磁性金属粒子の各々の表面には、絶縁膜が形成されてもよい。この絶縁膜は、上記の金属又は合金が酸化してできる酸化膜であってもよい。軟磁性金属粒子の各々の表面に設けられる絶縁膜は、例えばゾルゲル法によりコーティングされた酸化ケイ素膜であってもよい。軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜にはBiが含まれても良い。
一実施形態において、軟磁性金属粒子は、1.5〜20μmの平均粒径を有する。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径は、1.5μmより小さくてもよいし20μmより大きくても良い。基体10は、互いに平均粒径の異なる2種類以上の軟磁性金属粒子を含んでもよい。例えば、複合磁性材料用の軟磁性金属粒子は、第1平均粒径を有する第1の軟磁性金属粒子と、この第1平均粒径よりも小さな第2平均粒径を有する第2軟磁性金属粒子と、を含んでもよい。一実施形態において、基体10は、第2平均粒径よりも小さな第3平均粒径を有する第3軟磁性金属粒子をさらに含んでもよい。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径は、当該基体10をその厚さ方向(T方向)に沿って切断して断面を露出させ、当該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により1μm以上の粒子を2000倍〜5000倍の倍率、1μmより小さな粒子は5000〜10000倍で撮影した写真に基づいて粒度分布を求め、この粒度分布に基づいて定められる。例えば、SEM写真に基づいて求められた粒度分布の50%値を軟磁性金属粒子の平均粒径とすることができる。
基体10は、軟磁性金属粒子と結合材とを含む複合磁性材料から形成されてもよい。基体10が複合磁性材料から形成される場合、当該複合磁性材料に含まれる結合材は、例えば、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂である。結合剤として、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂が用いられ得る。
基体10は、互いに異なる磁性材料から成る2つ以上の領域を有していても良い。例えば、磁性体層11aと磁性体層11bとは、互いに異なる磁性材料から形成されてもよい。
次に、図3をさらに参照して、積層プロセスで作成されるコイル部品1の積層構造について説明する。図3においては、説明の便宜のために、外部電極21,22の図示が省略されている。図3には、コイル部品1の分解図が示されている。図3に示すように、基体10は、磁性体層11a〜11hを備える。磁性体層11a〜11hの各々は、磁性材料から作製される。基体10は、W軸方向の正側から負側に向かって、磁性体層11a、磁性体層11b、磁性体層11c、磁性体層11d、磁性体層11e、磁性体層11f、磁性体層11g、及び磁性体層11hの順に積層されている。この積層構造のW軸方向における両端には、磁性体層11a及び磁性体層11hが配置されている。磁性体層11a及び磁性体層11hはそれぞれ、図示されているように、複数の磁性体層を含んでも良い。磁性体層11a及び磁性体層11hはW軸方向における両側からコイル導体25を覆うように配置されるので、カバー層と呼ばれることもある。本明細書においては、磁性体層11a及び磁性体層11hをそれぞれ、カバー層11a及びカバー層11hと呼ぶことがある。コイル部品1は、積層プロセス以外の方法で作成されてもよい。例えば、コイル部品1は、薄膜プロセスにより作成されてもよい。
磁性体層11c〜11fの一方の表面にはコイル導体パターンC1〜C4がそれぞれ設けられ、磁性体層11b〜11gの一方の表面には引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fがそれぞれ設けられている。図示の実施形態では、磁性体層11c〜11fのW軸方向と交わる一対の表面のうちW軸方向の負側にある表面に、コイル導体パターンC1〜C4、引出導体パターンL1a〜L1f、及び引出導体パターンL2a〜L2fが設けられている。コイル導体パターンC1〜C4、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fは、例えば、導電性に優れた金属又は合金から成る導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより形成される。この導電性ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。コイル導体パターンC1〜C4は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。コイル導体パターンC1〜C4、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
磁性体層11d〜磁性体層11fの所定の位置には、ビアV11〜V13がそれぞれ設けられ、磁性体層11c〜磁性体層11gの所定の位置には、ビアV1a〜V1e及びビアV2a〜V2eがそれぞれ設けられている。ビアV11〜V13は、磁性体層11d〜磁性体層11fの所定の位置に当該磁性体層11d〜磁性体層11fをW軸方向に貫く貫通孔をそれぞれ形成し、当該貫通孔に導電性ペーストを埋め込むことにより形成される。ビアV1a〜V1e及びビアV2a〜V2eは、磁性体層11c〜磁性体層11gの所定の位置に当該磁性体層11c〜磁性体層11gをW軸方向に貫く貫通孔をそれぞれ形成し、当該貫通孔に導電性ペーストを埋め込むことにより形成される。
コイル導体パターンC1〜C4のうちの隣接する導体パターン同士は、ビアV11〜V13のいずれかを介して電気的に接続される。このようにして接続されたコイル導体パターンC1〜C4及びビアV11〜V13が、スパイラル状のコイル導体25を構成する。すなわち、コイル導体25は、コイル導体パターンC1〜C4及びビアV11〜V13を有する。
コイル導体パターンC1の一端はビアV11に接続され、その他端は引出導体パターンL2bに接続される。コイル導体パターンC4の一端はビアV13に接続され、その他端は引出導体パターンL1eに接続される。つまり、コイル導体25は、その一端において引出導体23に接続され、その他端において引出導体24に接続される。このように、引出導体23はコイル導体25の一端と外部電極21とを電気的に接続し、引出導体24はコイル導体25の他端と外部電極22とを電気的に接続する。
引出導体パターンL1a〜L1fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV1a〜V1eのいずれかを介して電気的に接続され、引出導体パターンL2a〜L2fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV2a〜V2eのいずれかを介して電気的に接続される。このようにして接続された引出導体パターンL1a〜L1f及びビアV1a〜V1eが引出導体23を構成し、引出導体パターンL2a〜L2f及びビアV2a〜V2eが引出導体24を構成する。すなわち、引出導体23は引出導体パターンL1a〜L1f及びビアV1a〜V1eを有し、引出導体24は引出導体パターンL2a〜L2f及びビアV2a〜V2eを有する。
引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fは、図4に示されているように、基体10の表面から露出するように設けられる。図4に示されている実施形態においては、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fは、各々の下端が基体10の実装面10bから基体10の外部に露出するように設けられている。基体10の実装面10bは、引出導体パターンL1a〜L1fが露出している第1露出領域A1と、引出導体パターンL2a〜L2fが露出している第2露出領域A2と、第1露出領域A1及び第2露出領域A2以外の非露出領域A3と、を有する。
外部電極21は、第1露出領域A1の少なくとも一部を覆うように設けられる。外部電極21は、第1露出領域A1の全てを覆っても良い。外部電極21は、引出導体パターンL1a〜L1fの各々と接続される。外部電極22は、第2露出領域A2の少なくとも一部を覆うように設けられる。外部電極22は、第2露出領域A2の全てを覆っても良い。外部電極21は、引出導体パターンL2a〜L2fの一部又は全部と接続される。このように、引出導体パターンL1a〜L1fはそれぞれ外部電極21に接続され、引出導体パターンL2a〜L2fはそれぞれ外部電極22に接続される。
次に、図5a及び図5bを参照して、実装面10bにおける第1露出領域A1について説明する。図5a及び図5bは、コイル部品1のX−X線断面図である。つまり、図5a及び図5bは、WT平面に沿って延びており第1露出領域A1を通る断面でコイル部品1を切断した断面を示している。図5aにおいては、説明の便宜のために、外部電極21の図示を省略している。
図5に明瞭に示されているように、引出導体パターンL1a〜L1fの各々は、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。例えば、引出導体パターンL1eは、磁性体層11fと磁性体層11gとの間に設けられている。同様に、この引出導体パターンL1eに隣接しており当該引出導体パターンL1eとビアV1dにより接続されている引出導体パターンL1dは、磁性体層11eと磁性体層11fとの間に設けられている。引出導体パターンL1a〜L1fに含まれる他の引出導体パターンも同様である。図5a及び図5bには示されていないが、引出導体パターンL2a〜L2fの各々も、引出導体パターンL1a〜L1fと同様に、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。
図示の実施形態において、磁性体層11b〜11gのそれぞれの厚さ(W軸方向における寸法)は、引出導体パターンL1a〜L1fのそれぞれの厚さ(W軸方向における寸法)よりも薄い。これにより、引出導体23及び引出導体24の抵抗を小さくすることができる。引出導体パターンL1a〜L1fのそれぞれの厚さは、磁性体層11b〜11gのそれぞれの厚さの2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、又は10倍以上とされてもよい。
引出導体パターンL1a〜L1fは、その各々の端面L1a1〜L1f1が基体10の実装面10bから露出するように設けられている。言い換えると、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1は、基体10の実装面10bから基体10の外部に露出している。後述するように、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1には研磨処理が施されているため、端面L1a1〜L1f1の各々は、基体10の内部に向かって(T軸の正方向に向かって)凹んでいる。図5bに示すように、実装面10bには外部電極21が取り付けられる。よって、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1は外部電極21によって覆われる。したがって、引出導体パターンL1a〜L1f又はその端面L1a1〜L1f1が基体10から外部に露出することは、当該引出導体パターンL1a〜L1f又はその端面L1a1〜L1f1が大気中に露出することを意味するものではない。外部電極21は、引出導体パターンL1a〜L1fの各々と端面L1a1〜L1f1において接するように設けられる。引出導体パターンL1a〜L1fの各々は、端面L1a1〜L1f1において外部電極21と接するので、本明細書では、端面L1a1〜L1f1の各々を接触面L1a1〜L1f1と呼ぶことがある。
図示のように、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の接触面L1a1〜L1f1よりも基体10の外側に突出している。図示の実施形態においては、磁性体層11a〜11hは、接触面L1a1〜L1f1よりもT軸の負方向に突出している。磁性体層11b〜11gの各々は、接触面L1a1〜L1f1よりも基体10の外側に突出する突出部11b1〜11g1を有している。接触面L1a1〜L1f1は、基体10の内側に向かって凹んでいる。よって、接触面L1a1〜L1f1のうち隣接する磁性体層11a〜11hと接する接触部位が基体10の最も外側(T軸方向における負側)に位置している。磁性体層11a〜11hは、接触面L1a1〜L1f1のうち基体10の最も外側に位置する接触部位よりもさらに基体10の外側に突出している。図示はされていないが、磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL2a〜L2fとの関係は、図5aに示されている磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL1a〜L1fとの関係と同様である。すなわち、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL2a〜L2fの各々の端面よりも基体10の外側に突出している。引出導体パターンL2a〜L2fの各々の端面は、引出導体パターンL2a〜L2fの各々が外部電極と接する接触面である。このように、磁性体層11b〜11gの各々が引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの各々の端面よりも基体10の外側に突出する突出部11b1〜11g1を有しているため、基体10の実装面10bは、第1露出領域A1及び第2露出領域A2において凹凸を有する。
一実施形態において、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1fよりも耐摩耗性に優れている。よって、第1露出領域A1に研磨処理を行うことにより、引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1が磁性体層11a〜11hよりも凹むように研磨処理を行うことができる。同様に、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL2a〜L2fよりも耐摩耗性に優れている。よって、第2露出領域A2に研磨処理を行うことにより、引出導体パターンL2a〜L2fの端面が磁性体層11a〜11hよりも凹むように研磨処理を行うことができる。引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1の各々は、湾曲していてもよい。例えば、引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1の各々は、W軸方向における中央において最も凹むように湾曲している。端面L1a1〜L1f1が湾曲していることにより、引出導体パターンL1a〜L1fと外部電極21との接触面積を大きくすることができるので、外部電極21を引出導体23に対してより強固に取り付けることができる。引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1の各々が湾曲している場合、端面L1a1〜L1f1の各々において、T軸方向において最も負側にある部位と最も正側にある部位との間の寸法(「凹み量」という。)は、例えば2μmから35μmである。端面L1a1〜L1f1の凹み量は、引出導体パターンL1a〜L1fの厚さの1/12以上、1/11以上、1/10以上、1/9以上、1/8以上、1/7以上、又は1/6以上であってもよい。以上の引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1に関する説明は、引出導体パターンL2a〜L2fの端面にも当てはまる。
一実施形態において、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1fよりも例えば3μm〜50μmだけ基体10の外側に突出している。つまり、引出導体パターンL1a〜L1fからの磁性体層11a〜11hの突出量は、例えば3μm〜50μmである。この突出部11b1〜11g1があることにより外部電極21と基体10及び引出導体23との接触面積が大きくなり、外部電極21の脱落を抑制することができる。突出部11b1〜11g1のT軸方向における寸法(「突出量」という。)は、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の厚さ(W軸方向における寸法)の1/10以上、1/9以上、1/8以上、1/7以上、1/6以上、又は1/5以上であってもよい。引出導体パターンL2a〜L2fからの磁性体層11a〜11hの突出量は、引出導体パターンL1a〜L1fからの磁性体層11a〜11hの突出量と同程度であってもよい。
磁性体層11a及び磁性体層11hは、上記のとおり、複数の磁性体層を有している。磁性体層11aは磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1よりも基体10のさらに外側に突出する突出部11a1を有しており、磁性体層11bは磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1よりも基体10のさらに外側に突出する突出部11h1を有している。この突出部11a1及び突出部11b1は、実装面10bの非露出領域A3に配置される。突出部11a1及び突出部11h1は、磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1の端よりもD1だけT軸の負方向に突出している。このD1は、例えば10μm〜120μmの範囲にある。カバー層11a及びカバー層11hは、引出導体パターンL1a〜L1fの合計の厚さが大きいほど突出量D1が大きくなるように構成されてもよい。
外部電極21は、実装面10bの第1露出領域A1に設けられるので、図5bに示されているように外部電極21の外表面21aには第1露出領域A1の凹凸が反映される。つまり、外部電極21の外表面21aのうち第1露出領域A1に対向する領域は凹凸を有する。
図5aにおいては、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1がT軸方向において同じ位置に配置されているが、端面L1a1〜L1f1の位置は互いに異なっていても良い。例えば、端面L1a1は、端面L1b1よりも基体10の外側に配置されていてもよく、端面L1b1よりも基体10の内側に配置されていてもよい。図5aにおいては、磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1の端がT軸方向の同じ位置に配置されているが、突出部11b1〜11g1の端の位置は互いに異なっていてもよい。例えば、突出部11b1は、突出部11c1よりも基体10の外側に配置されていてもよく、突出部11c1よりも基体10の内側に配置されていてもよい。
次に、図5cを参照して、外部電極21、22の形状が変更された本発明の別の実施形態について説明する。図5cは、本発明の別の実施形態によるコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す。図5cに示されている実施形態によるコイル部品1は、外部電極21に代えて外部電極21’を備えている。図示のように、外部電極21’は、W軸方向において第1露出領域A1のみに設けられている。外部電極21’は、W軸方向における第1露出領域A1の寸法の10%以下の寸法だけ第1露出領域A1からW軸方向の正方向及び負方向にはみ出ていても良い。つまり、本明細書においては、外部電極21’が第1露出面A1からW軸方向において第1露出領域A1の寸法の10%以下の寸法だけはみ出している態様も外部電極21’が第1露出領域A1のみに設けられている態様に含まれる。実装面10bは、第1露出面領域A1において非露出領域A3よりも基体10の内部に凹んでいるので、外部電極21’を第1露出領域A1にのみ設けることにより、コイル部品1の高さ(T軸方向における寸法)を小さくすることができる。これにより、コイル部品1を小型化することができる。外部電極22’は、外部電極21’と同様に、第2露出領域A2にのみ設けられる。本明細書においては、外部電極21’が第2露出面A1からW軸方向において第2露出領域A2の寸法の10%以下の寸法だけはみ出している態様も外部電極22’が第2露出領域A2のみに設けられている態様に含まれる。
次に、コイル部品1の製造方法の一例を説明する。コイル部品1は、例えば積層プロセスによって製造することができる。以下では、積層プロセスによるコイル部品1の製造方法の一例を説明する。この説明のために、適宜図3が参照される。
まず、磁性材料から成る複数の磁性体シートを作成する。この磁性体シートは、焼成後に磁性体層11a〜11hになる。磁性体シートは、例えば、結合材及び複数の軟磁性金属粒子を含む複合磁性材料から形成される。
次に、磁性体層11c〜磁性体層11gとなる磁性体シートの各々の所定の位置に、各磁性体シートをW軸方向に貫く貫通孔を形成する。次に、磁性体層11c〜磁性体層11gとなる磁性体シートの各々の表面に導電性ペーストを印刷することで、焼成後にコイル導体パターンC1〜C4、引出導体パターンL1a〜L1f、及び引出導体パターンL2a〜L2fとなる未焼成導体パターンが形成される。また、各磁性体シートの貫通孔には導電性ペーストが埋め込まれる。この貫通孔に埋め込まれた導電性ペーストが焼成後にビアV11〜V13、ビアV1a〜V1e、及びビアV2a〜V2eとなる。本明細書では、焼成によりコイル導体パターンC1〜C4となる未焼成の導体パターンを未焼成のコイル導体パターンC1〜C4と呼ぶ。同様に、焼成により引出導体パターンL1a〜L1f、引出導体パターンL2a〜L2f、ビアV11〜V13、ビアV1a〜V1e、及びビアV2a〜V2eとなる導体パターン又は貫通孔に埋め込まれた導体ペーストについても未焼成の引出導体パターンL1a〜L1fなどと呼ぶ。
次に、磁性体層11a〜11hとなる磁性体シートを積層して積層体を得る。これらの磁性体シートは、未焼成のコイル導体パターンC1〜C4の各々が隣接する未焼成のコイル導体パターンと未焼成のビアV11〜Va13を介して接続され、未焼成の引出導体パターンL1a〜L1fの各々が隣接する未焼成の引出導体パターンと未焼成のビアV1a〜V1eを介して接続され、また、未焼成の引出導体パターンL2a〜L2fの各々が隣接する未焼成の引出導体パターンと未焼成のビアV2a〜V2eを介して接続されるように積層される。
次に、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて上記積層体を個片化することで、チップ積層体が得られる。次に、このチップ積層体を脱脂し、脱脂されたチップ積層体を焼成する。
次に、このチップ積層体に対して、バレル研磨等の研磨処理を行う。バレル研磨処理を行う場合には、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さ(W軸方向における寸法)よりも小さな粒径を有するメディア(研磨石)が用いられる。一実施形態においては、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さの1/2よりも小さい粒径のメディアが用いられる。引出導体パターンL1aの厚さが一様でない場合には、その端面L1a1におけるW軸方向の寸法を当該引出導体パターンL1aの厚さとすることができる。この説明は、他の引出導体パターンL1b〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さについても当てはまる。引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fが互いに異なる厚さを有する場合には、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fのうち最も薄い引出導体パターンの厚さよりも小さな粒径を有するメディアが用いられ得る。上記のとおり、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fよりも耐摩耗性に優れている。よって、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さ(W軸方向における寸法)よりも小さな粒径を有するメディアを用いてバレル研磨処理を行うことにより、図5aに示されているように、引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1が磁性体層11c〜11fよりも凹むように研磨処理を行うことができる。この研磨処理により、第1露出領域A1及び第2露出領域A2に凹凸を形成することができる。
次に、このチップ積層体の実装面10bに相当する面に外部電極21及び外部電極22を形成する。外部電極21は第1露出領域A1を覆うように設けられ、外部電極22は第2露出領域A2を覆うように設けられる。外部電極21及び外部電極22は、例えば、チップ積層体の実装面10bに相当する表面に導電性ペーストを塗布して下地電極を形成し、この下地電極の表面にめっき層を形成することにより形成される。めっき層は、例えば、ニッケルを含むニッケルめっき層と、スズを含むスズめっき層の2層構造とされる。外部電極21及び外部電極22には、必要に応じて、半田バリア層及び半田濡れ層の少なくとも一方が形成されてもよい。以上により、コイル部品1が得られる。
上記の製造方法に含まれる工程の一部は、適宜省略可能である。コイル部品1の製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時に又は並行して実行され得る。
続いて、図6から図10を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品101について説明する。コイル部品101は、引出導体及び外部電極に関してコイル部品1と異なっている。具体的には、コイル部品101は、コイル部品1の外部電極21、外部電極22、引出導体23、及び外部電極24に代えて外部電極121、外部電極122、引出導体123、及び外部電極124を備えている。
図6及び図7に示されているように、コイル部品101の外部電極121は、基体10の実装面10bから端面10cまで延びている。つまり、外部電極121は、基体10の実装面10b及び端面10cに取り付けられている。また、外部電極122は、基体10の実装面10bから端面10dまで延びている。つまり、外部電極122は、基体10の実装面10b及び端面10dに取り付けられている。
引出導体123は、コイル導体25の一端と第1外部電極121とを電気的に接続し、引出導体124はコイル導体25の他端と外部電極122とを電気的に接続する。図8に示されているように、引出導体123は引出導体パターンL11a〜L11f及びビアV1a〜V1eを有し、引出導体124は引出導体パターンL12a〜L12f及びビアV2a〜V2eを有する。引出導体パターンL11a〜L11fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV1a〜V1eのいずれかを介して電気的に接続され、引出導体パターンL12a〜L21fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV2a〜V2eのいずれかを介して電気的に接続される。
引出導体パターンL12a〜L12fは、図9に示されているように、基体10の実装面10b及び端面10dから露出するように設けられている。引出導体パターンL11a〜L11fも同様に、基体10の実装面10b及び端面10cから露出するように設けられている。図9においては、端面10cが紙面の背面側に位置しているため、引出導体パターンL11a〜L11のうち端面10cから露出する部位が図9には現れていない点に留意されたい。
基体10の実装面10bは、引出導体パターンL11a〜L11fが露出している第1露出領域A1と、引出導体パターンL12a〜L12fが露出している第2露出領域A2と、第1露出領域A1及び第2露出領域A2以外の非露出領域A3と、を有する。端面10cは、引出導体パターンL11a〜L11fが露出している第3露出領域A11と、第3露出領域A11以外の非露出領域A13aと、を有する。端面10dは、引出導体パターンL12a〜L12fが露出している第4露出領域A12と、第4露出領域A12以外の非露出領域A13bと、を有する。第1露出領域A1は、そのL軸方向の負側の端において第3露出領域A11のT軸方向の負側の端と接続されている。第2露出領域A2は、そのL軸方向の正側の端において第4露出領域A12のT軸方向の負側の端と接続されている。
図10を参照して、端面10dにおける第3露出領域A12について説明する。図10は、コイル部品101のY−Y線断面図である。つまり、図10は、LW平面に沿って延びており第4露出領域A12を通る断面でコイル部品101を切断した断面を示している。図10においては、説明の便宜のために、外部電極122の図示を省略している。
図10に示されているように、引出導体パターンL12a〜L12fの各々は、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。例えば、引出導体パターンL12bは、磁性体層11cと磁性体層11dとの間に設けられている。同様に、この引出導体パターンL12bに隣接しており当該引出導体パターンL12bとビアV2aにより接続されている引出導体パターンL12aは、磁性体層11bと磁性体層11cとの間に設けられている。引出導体パターンL12a〜L12fに含まれる他の引出導体パターンも同様である。図10には示されていないが、引出導体パターンL11a〜L11fの各々も、引出導体パターンL12a〜L12fと同様に、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。
図10に示されているように、引出導体パターンL12a〜L12fは、その各々の端面が基体10の端面10dの第4露出領域A12において当該端面10dから露出するように設けられている。外部電極122は、実装面10bから端面10dまで延びている。よって、外部電極122は、引出導体パターンL12a〜L12fの各々の端面と接するように設けられる。図示は省略されているが、引出導体パターンL11a〜L11fは、その各々の端面が基体10の端面10cの第3露出領域A11において当該端面10cから露出するように設けられている。外部電極121は、実装面10bから端面10cまで延びている。よって、外部電極121は、引出導体パターンL11a〜L11fの各々の端面と接するように設けられる。
図10に示されているように、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL12a〜L12fの各々の端面よりも基体10の外側に突出している。図示の実施形態においては、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL12a〜L12fの各々の端面よりもL軸の正方向に突出している。このように、磁性体層11b〜11gの各々が引出導体パターンL12a〜L12fの各々端面よりも基体10の外側に突出しているため、基体10の端面10dは、第4露出領域A12において凹凸を有する。図示は省略されているが、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL11a〜L11fの各々の端面よりもL軸の負方向に突出している。このように、磁性体層11b〜11gの各々が引出導体パターンL11a〜L11fの各々端面よりも基体10の外側に突出しているため、基体10の端面10cは、第3露出領域A11において凹凸を有する。
磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL1a〜L1fとの配置に関する上記の説明は、磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL11a〜L11fとの配置及び磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL12a〜L12fとの配置についても同様に当てはまる。
続いて、図11a、図11b及び図12を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品201について説明する。本発明の一実施形態によるコイル部品201は、磁性体層11a〜11hに加えて、図11bに示されている磁性体層11i、独立導体パターンL21、及び独立導体パターンL22を備える点でコイル部品1と異なっている。図示の例において、コイル部品201は、磁性体層11aと磁性体層11bとの間及び磁性対応11gと磁性体層11hとの間にそれぞれ3枚の磁性体層11iが設けられている。磁性体層11iは、磁性体層11aを構成する複数の磁性体層のうちの一つであってもよいし、磁性体層11hを構成する複数の磁性体層のうちの一つであってもよい。磁性体201が備える磁性体層11iの数は6枚に限られない。本発明の一実施形態によるコイル部品201は、磁性体層11iを一つだけ備えてもよいし、6枚より少ない又は6枚より多い複数の磁性体層11iを備えてもよい。
図11bに示されているように、磁性体層11iは、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22を有する。独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、磁性体層11iの一方の表面に設けられる。図示の実施形態においては、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、磁性体層11iのW軸方向と交わる一対の表面のうちW軸方向の負側にある表面に設けられている。独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、コイル導体パターンC1〜C4と同様に、導電性ペーストから形成される。
独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、基体10において、コイル導体25、第1引出導体23、及び第2引出導体24から離間して配置される。すなわち、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、コイル導体25、第1引出導体23、及び第2引出導体24から独立して配置されている。コイル導体25を構成するコイル導体パターンC1〜C4のうち隣接するパターン同士はビアV11〜V13によって接続されているのに対し、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、コイル導体25、第1引出導体23、及び第2引出導体24を構成するいずれの導体パターンとも基体10内では接していない。コイル部品201が複数の磁性体層11iを備える場合には、各磁性体層11iに設けられた独立導体パターン同士は電気的に接続されていてもよい。
独立導体パターンL21は、そのT軸の負側の端面L211において外部電極21に接している。外部電極21は、引出導体23と直接接しており、また、コイル導体25と引出導体23を介して電気的に接続されているので、独立導体パターンL21は、外部電極21を介して引出導体23及びコイル導体25と電気的に接続されているが、基体10内ではコイル導体25及び第1引出導体23から離間した位置に配置している。したがって、独立導体パターンL21は、基体10内ではコイル導体25及び第1引出導体23から絶縁されている。
独立導体パターンL22は、そのT軸の負側の端面L221において外部電極22に接している。独立導体パターンL22は、外部電極22を介して引出導体24及びコイル導体25と電気的に接続されているが、基体10内ではコイル導体25及び第2引出導体24から離間した位置に配置している。したがって、独立導体パターンL22は、基体10内ではコイル導体25及び第2引出導体24から絶縁されている。
独立導体パターンL21は、基体10内において、独立導体パターンL22から離間した位置に配置されている。よって、基体10内において、独立導体パターンL21は独立導体パターンL22から絶縁されている。
独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22の一方は省略可能である。つまり、磁性体層11iは、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22の少なくとも一方を有する。磁性体層11iは、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22に加えて別の独立電極(不図示)を備えてもよい。磁性体層11iには、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22が設けられるので、本明細書においては、磁性体層11iを独立磁性体層と呼ぶことがある。
図12を参照して、磁性体層11iについてさらに説明する。図12は、磁性体層11iを備えるコイル部品の上記のX−X線に沿った断面の一部を模式的に示している。図12においても、説明の便宜のために、外部電極21の図示が省略されている。図12に示されている実施形態においては、磁性体層11iが磁性体層11gと磁性体層11hとの間に配置されている。図示されている磁性体層11iの配置は例示であり、磁性体層11iは図示されている位置以外の位置に設けられてもよい。
図示のように、独立導体パターンL21は、磁性体層11iと磁性体層11hとの間に設けられている。引出導体パターンL12a〜L12fのうちの隣接するパターン同士がビアV1a〜V1eによって基体10内で接続されているのに対し、独立導体パターンL21は、引出導体パターンL12a〜L12fのいずれとも基体10内では接続されていない。独立導体パターンL21は、その端面L211が基体10の実装面10bの第1露出領域A1から露出するように設けられている。外部電極21は実装面10bに設けられるので、外部電極21は、独立導体パターンL21と端面L211において接するように設けられる。図示は省略されているが、独立導体パターンL22は、その端面が基体10の実装面10bの第2露出領域A2において実装面10bから露出するように設けられている。外部電極22は、実装面10bに設けられている。よって、外部電極22は、独立導体パターンL22とその端面において接するように設けられる。コイル部品201においては、実装面10bのうち引出導体パターンL1a〜L1f及び独立導体パターンL21が露出している領域が第1露出領域A1とされ、実装面10bのうち引出導体パターンL2a〜L2f及び独立導体パターンL22が露出している領域が第2露出領域A2とされる。
図12に示されているように、磁性体層11h及び磁性体層11iは、独立導体パターンL21の端面L211よりも基体10の外側に突出している。このように、磁性体層11h及び磁性体層11iが独立導体パターンL21の端面L211よりも基体10の外側に突出しているため、実装面10bにおいて独立導体パターンL21、磁性体層11h及び磁性体層11iが配置されている領域に凹凸が形成される。
図11bには、W軸方向から見たときに長方形の形状を有する独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22が示されているが、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22の形状は図示されているものに限られない。独立導体パターンL21は、外部電極21に接するように実装面10bから露出している限り磁性体層11iの任意の位置に配置され得る。同様に、独立導体パターンL22は、外部電極22に接するように実装面10bから露出している限り磁性体層11iの任意の位置に配置され得る。一実施形態において、独立導体パターンL21は、外部電極21と平行なL軸方向における寸法が、外部電極21に垂直なT軸方向の寸法よりも大きくなるように構成される。
続いて、図13a、図13b及び図14を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品301について説明する。本発明の一実施形態によるコイル部品301は、磁性体層11a〜11hに加えて、図13bに示されている磁性体層11i、独立導体パターンL121、及び独立導体パターンL122を備える点ででコイル部品101と異なっている。図示の例において、コイル部品301は、磁性体層11aと磁性体層11bとの間及び磁性対応11gと磁性体層11hとの間にそれぞれ3枚の磁性体層11iが設けられている。磁性体301が備える磁性体層11iの数は6枚に限られない。本発明の一実施形態によるコイル部品301は、磁性体層11iを一つだけ備えてもよいし、6枚より少ない又は6枚より多い複数の磁性体層11iを備えてもよい。
独立導体パターンL121及び独立導体パターンL122は、外部電極121及び外部電極122と接続されるように端面10cからも露出するように配置されている点で独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22と異なっている。独立導体パターンL121は、端面10cから露出して外部電極121に接すること以外は独立導体パターンL21と同様に構成及び配置される。独立導体パターンL122は、端面10dから露出して外部電極122に接すること以外は独立導体パターンL22と同様に構成及び配置される。
図14に示されているように、磁性体層11h及び磁性体層11iは、独立導体パターンL122の端面L211よりも基体10の外側に突出している。このように、磁性体層11h及び磁性体層11iが独立導体パターンL122の端面L1221よりも基体10の外側に突出しているため、端面10dにおいて独立導体パターンL122、磁性体層11h及び磁性体層11iが配置されている領域に凹凸が形成される。同様に、端面10cにおいても、独立導体パターンL121、磁性体層11h及び磁性体層11iが配置されている領域に凹凸が形成される。コイル部品301においては、端面10cのうち引出導体パターンL11a〜L11f及び独立導体パターンL121が露出している領域が第3露出領域A11とされ、端面10dのうち引出導体パターンL12a〜L12f及び独立導体パターンL122が露出している領域が第4露出領域A12とされる。
次に、上記の実施形態が奏する作用効果について説明する。上記の一実施形態によれば、磁性体層11a〜11hが引出導体パターンL1a〜L1fよりも基体10の外側に突出しているため、基体10の実装面10bの第1露出領域A1が凹凸を有する。外部電極21は、この凹凸面において基体10及び引出導体23に取り付けられる。この第1露出領域A1における凹凸により、外部電極21と基体10及び引出導体23との接触面積が大きくなるから、外部電極21を基体10及び引出導体23に対して強固に取り付けることができる。これにより、外部電極21の基体10からの脱落を抑制することができる。
上記の一実施形態によれば、磁性体層11a〜11hが引出導体パターンL1a〜L1fよりも基体10の外側に突出しているため、基体10の実装面10bの第2露出領域A2が凹凸を有する。外部電極22は、この凹凸面において基体10及び引出導体24に取り付けられる。この第2露出領域A2における凹凸により、外部電極22と基体10及び引出導体24との接触面積が大きくなるから、外部電極22を基体10及び引出導体24に対して強固に取り付けることができる。これにより、外部電極22の基体10からの脱落を抑制することができる。
上記の一実施形態によれば、基体10の実装面10bは、第1露出領域A1、第2露出領域A2、及び非露出領域A3と、を有しており、非露出領域A3は、第1露出領域A1及び第2露出領域A2よりも基体10の外側に突出している。言い換えると、実装面10bにおいて、第1露出領域A1及び第2露出領域A2は、非露出領域A3よりも基体10の内側に向かって凹んでいる。コイル部品1を回路基板2に実装する場合には、実装面10bが平坦な場合と比べて、第1露出領域A1及び第2露出領域A2に多くのはんだを受け入れることができる。これにより、回路基板2にコイル部品101をより強固に接合することができる。
上記のコイル部品1について説明した効果は、コイル部品101によっても奏される。
上記の一実施形態によるコイル部品101によれば、磁性体層11a〜11hが引出導体パターンL11a〜L11f及び引出導体パターンL12a〜L12fよりも基体10の外側に突出しているため、基体10の端面10cは第3露出領域A11において凹凸を有しており、基体10の端面10dは第4露出領域A12において凹凸を有している。外部電極121は、実装面10bの第1露出領域A1における凹凸面に加えて第3露出領域A11の凹凸面において基体10及び引出導体123に取り付けられる。これにより、外部電極121と基体10及び引出導体123との接触面積がさらに大きくなるから、外部電極121を基体10及び引出導体123に対してより強固に取り付けることができる。同様に、外部電極122は、実装面10bの第2露出領域A2における凹凸面に加えて第4露出領域A12の凹凸面において基体10及び引出導体124に取り付けられる。これにより、外部電極122と基体10及び引出導体124との接触面積がさらに大きくなるから、外部電極122を基体10及び引出導体124に対してより強固に取り付けることができる。
上記の一実施形態によれば、磁性体層11iと磁性体層11hとの間に独立導体パターンL21が設けられており、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL21よりも基体10の外側に突出しているため、実装面10bにおいて凹凸面を有する第1露出領域A1が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極21の基体10、引出導体23、及び独立導体パターンL21との接触面積が大きくなるから、外部電極21を基体10に対してより強固に取り付けることができる。同様に、上記の一実施形態によれば、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL22よりも基体10の外側に突出しているため、実装面10bにおいて第1露出領域A1が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極22を基体10に対してより強固に取り付けることができる。
上記の一実施形態によれば、磁性体層11iと磁性体層11hとの間に独立導体パターンL121が設けられており、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL121よりも基体10の外側に突出しているため、端面10cにおいて凹凸面を有する第3露出領域A11が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極121の基体10、引出導体123、及び独立導体パターンL121との接触面積が大きくなるから、外部電極121を基体10に対してより強固に取り付けることができる。同様に、上記の一実施形態によれば、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL122よりも基体10の外側に突出しているため、端面10dにおいて第4露出領域A12が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極122を基体10に対してより強固に取り付けることができる。
一実施形態において、独立導体パターンL21は、外部電極21と平行なL軸方向における寸法が、外部電極21に垂直なT軸方向の寸法よりも大きくなるように構成される。独立導体パターンL21のT軸方向における寸法が大きくなると、基体10内を通過する磁束の磁路に干渉しやすくなる。他方、独立導体パターンL21のT軸方向における寸法を大きくしても、外部電極21の固定強度の向上には貢献しない。そこで、独立導体パターンL21の外部電極21と平行なL軸方向における寸法を外部電極21に垂直なT軸方向の寸法よりも大きくすることにより、コイル部品1の磁気特性に大きな影響を与えずに外部電極21を強固に固定することができる。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
例えば、外部電極21、22、121、122の形状及び配置は例示である。外部電極21、22、121、122は、適宜変更可能である。例えば、外部電極21、22、121、122の少なくとも一つは、基体10の第1の側面10e、第2の側面10f、及び第1の主面10aの少なくとも一つと接していても良い。外部電極21、22、121、122が第1の側面10e、第2の側面10f、及び第1の主面10aのいずれかと接していれば、基体10に外部電極21、22、121、122をさらに強固に取り付けることができる。
1、101、201、301 コイル部品
2 回路基板
10 基体
10b 実装面
10c、10d 端面
11a〜11h 磁性体層
11i 独立磁性体層
21、22、121、122 外部電極
23、24、123、124 引出導体
25 コイル導体
L1a〜L1f、L2a〜L2f、L11a〜L11f、L12a〜L12f 引出導体パターン
L21、L22 独立導体パターン
本発明は、コイル部品に関する。
様々なコイル部品が従来から知られている。公知のコイル部品の一つとしてインダクタがある。インダクタは、電子回路において用いられる受動素子である。インダクタは、例えば、電源ラインや信号ラインにおいてノイズを除去するために用いられる。従来のコイル部品は、磁性材料から形成される本体と、当該本体内に配置されたコイル導体と、当該本体の表面に設けられた複数の外部電極と、を有する。当該複数の外部電極の各々は、当該コイル導体と引出導体を介して接続される。コイル部品の本体は、フェライト、軟磁性金属粒子を含む複合樹脂材料、又はこれら以外の公知の磁性材料から形成される。従来のコイル部品は、例えば国際公開第2011/155241号及び特開2015−039026号公報に開示されている。
国際公開第2011/155241号
特開2015−039026号公報
従来のコイル部品においては、基体と外部電極との接合強度が十分でない場合に外部電極が本体から脱落することがある。例えば、コイル部品を回路基板へ実装する際に外部電極が本体から脱落することがある。また、コイル部品が落下したときの衝撃で外部電極が本体から脱落することもある。
コイル部品の本体用の磁性材料として、軟磁性金属粒子を含む複合磁性材料が着目されている。この種の複合磁性材料はフェライトと比べて高密度であるため、軟磁性金属粒子を含む本体を備えるコイル部品は高重量化しやすい。コイル部品が高重量化すると、実装時や落下時により大きな力が外部電極に作用するので、外部電極が本体から脱落しやすくなる。
本発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決又は緩和することである。より具体的な本発明の目的の一つは、コイル部品において外部電極の本体からの脱落を抑制することである。本発明のこれら以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。
本発明の一態様によるコイル部品は、第1磁性体層、第2磁性体層、及び第3磁性体層を含む複数の磁性体層を有する基体と、前記基体の表面に設けられた第1外部電極と、前記基体の前記表面に前記第1外部電極から離間した位置において設けられた第2外部電極と、前記基体内に設けられたコイル導体と、第1引出導体第1パターン及び第1引出導体第2パターンを有する第1引出導体と、前記コイル導体の第2端部と前記第2外部電極とを接続する第2引出導体と、を備える。前記第1引出導体第1パターンは、前記第1磁性体層と前記第2磁性体層との間に前記コイル導体の第1端部及び前記第1外部電極と接続されるように設けられる。前記第1引出導体第2パターンは、前記第2磁性体層と前記第3磁性体層との間に前記第1引出導体第1パターン及び前記第1外部電極と接続されるように設けられる。当該実施形態において、前記第1磁性体層、前記第2磁性体層、及び前記第3磁性体層は、前記第1外部電極と前記第1引出導体第1パターンとが接触する第1接触面及び前記第1外部電極と前記第1引出導体第2パターンとが接触する第2接触面よりも前記基体の外側に突出している。
本発明の一態様において、前記複数の磁性体層は、第4磁性体層、第5磁性体層、及び第6磁性体層をさらに含む。本発明の一態様において、前記第2引出導体は、前記第4磁性体層と前記第5磁性体層との間に前記コイル導体の前記第2端部及び前記第2外部電極と接続されるように設けられた第2引出導体第1パターンと、前記第5磁性体層と前記第6磁性体層との間に前記第2引出導体第1パターン及び前記第2外部電極と接続されるように設けられた第2引出導体第2パターンと、を有する。本発明の一態様において、前記第4磁性体層、前記第5磁性体層、及び前記第6磁性体層は、前記第2外部電極と前記第2引出導体第1パターンとが接触する第3接触面及び前記第2外部電極と前記第2引出導体第2パターンとが接触する第4接触面よりも前記基体の外側に突出している。
本発明の一態様において、前記基体の前記表面は、前記第1引出導体が露出する第1領域と、前記第1領域よりも前記基体の外側に突出している第2領域と、を含む。本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第1領域の少なくとも一部を覆う。本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第1領域の少なくとも一部及び前記第2領域の少なくとも一部を覆うように前記表面に設けられる。
本発明の一態様において、前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、回路基板に接続される。本発明の一態様において、前記基体の前記表面は、前記回路基板と対向する実装面を含み、前記第1領域及び前記第2領域はいずれも、前記実装面の領域である。
本発明の一態様において、前記第1外部電極及び前記第2外部電極は、回路基板に接続される。本発明の一態様において、前記基体の前記表面は、前記回路基板と対向する実装面に接続された第1端面及び第2端面を含み、前記第1端面は、前記第1引出導体が露出する第3領域を有し、前記第2端面は、前記第2引出導体が露出する第4領域を有する。本発明の一態様において、前記第1外部電極は、前記第3領域の少なくとも一部をさらに覆うように前記表面に設けられ、前記第2外部電極は、前記第4領域の少なくとも一部をさらに覆うように前記表面に設けられる。
本発明の一態様において、前記第1磁性体層、前記第2磁性体層、及び前記第3磁性体層のそれぞれの厚さは、前記第1引出導体第1パターンの厚さ及び前記第1引出導体第2パターンの厚さよりも薄い。
本発明の一態様によるコイル部品は、前記基体内に前記コイル導体、前記第1引出導体、及び前記第2引出導体から離間して配置され、第5接触面において前記第1外部電極と接する第1独立導体を備える。一態様において、前記第1独立導体は、前記複数の磁性体層のうち前記第1磁性体層、前記第2磁性体層、及び前記第3磁性体層とは異なる第1独立磁性体層に設けられており、前記第1独立磁性体層は、前記第5接触面よりも前記基体の外側に突出している。本発明の一態様によるコイル部品は、前記基体内に前記コイル導体、前記第1引出導体、及び前記第2引出導体から離間して配置され、第6接触面において前記第2外部電極と接する第2独立導体を備える。一態様において、前記第2独立導体は、前記第1独立磁性体層に設けられ、前記第1独立磁性体層は、前記第6接触面よりも前記基体の外側に突出している。
本発明の一実施形態は、上記の何れかのコイル部品を備える回路基板に関する。
本発明の一実施形態は、上記の回路基板を備える電子機器に関する。
本発明の一実施形態によるコイル部品においては、外部電極の本体からの脱落を抑制することができる。
回路基板に実装された本発明の一実施形態によるコイル部品の斜視図である。
図1のコイル部品の正面図である。
図1のコイル部品の分解図である。
図1のコイル部品の実装面側から見た斜視図である。
図1のコイル部品のX−X線断面の一部を模式的に示す図である。
図1のコイル部品のX−X線断面を模式的に示す図である。
本発明の別の実施形態によるコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す図である。
回路基板に実装された本発明の別の実施形態によるコイル部品の斜視図である。
図6のコイル部品の正面図である。
図6のコイル部品の分解図である。
図6のコイル部品の実装面側から見た斜視図である。
図6のコイル部品のY−Y線断面の一部を模式的に示す図である。
本発明の別の実施形態によるコイル部品の分解図である。
図11aのコイル部品が備える磁性体層及び独立導体を模式的に示す図である。
図11aのコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す図である。
本発明の別の実施形態によるコイル部品の分解図である。
図13aのコイル部品が備える磁性体層及び独立導体を模式的に示す図である。
図13aのコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す図である。
図1から図5bを参照して本発明の一実施形態に係るコイル部品1について説明する。まずは図1及び図2を参照してコイル部品1の概略について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の斜視図であり、図2は、コイル部品1の正面図である。図示のように、コイル部品1は、基体10と、この基体10内に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極21と、基体10の表面において外部電極21から離間した位置に設けられた外部電極22と、コイル導体25の一端と外部電極21とを接続する引出導体23と、コイル導体25の他端と外部電極22とを接続する引出導体24と、を備える。
各図には、互いに直交するL軸、W軸、及びT軸が記載されている。本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、図1のL軸に沿う方向、W軸に沿う方向、及びT軸に沿う方向とする。
コイル部品1は、回路基板2に実装されている。回路基板2には、2つのランド部3が設けられている。コイル部品1は、外部電極21,22の各々と回路基板2の対応するランド部3とをはんだにより接合することで当該回路基板2に実装されてもよい。回路基板2は、様々な電子機器に実装され得る。回路基板2が実装され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
コイル部品1は、本発明を適用可能なコイル部品の一例である。本発明は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトル、及びこれら以外の様々なコイル部品に適用され得る。本発明は、カップルドインダクタ、チョークコイル、及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品にも適用することができる。
基体10は、磁性材料から直方体形状に形成されている。本発明の一実施形態において、基体10は、長さ寸法(L軸方向の寸法)が1.0mm〜10.0mm、幅寸法(W軸方向の寸法)が0.5〜10mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)が0.8〜5.0mmとなるように形成される。基体10は、例えば、長さ寸法が3.2mm、幅寸法が2.5mm、高さ寸法が2.5mmとされる。基体10の寸法は、本明細書で具体的に説明される寸法には限定されない。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」というときには、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。
基体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外面が画定される。第1の主面10aと第2の主面10bとは互いに対向し、第1の端面10cと第2の端面10dとは互いに対向し、第1の側面10eと第2の側面10fとは互いに対向している。回路基板2を基準としたとき第1の主面10aは基体10の上側にあるため、第1の主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2の主面10bが回路基板2と対向するように配置されるので、第2の主面10bを「実装面」又は「実装面10b」と呼ぶこともある。コイル部品1の上下方向に言及する際には、図1の上下方向を基準とする。
図示の実施形態において、外部電極21及び外部電極22は、基体10の実装面10bに設けられる。外部電極21及び外部電極22は、基体10の実装面10b以外の面と接するように設けられてもよい。
基体10は、磁性材料から作製される。基体10用の磁性材料は、複数の軟磁性金属粒子を含んでも良い。基体10用の磁性材料に含まれる軟磁性金属粒子は、例えば、(1)Fe、Ni等の金属粒子、(2)Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni合金等の結晶合金粒子、(3)Fe−Si−Cr−B−C合金、Fe−Si−Cr−B合金等の非晶質合金粒子、または(4)これらが混合された混合粒子である。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の組成は、前記のものに限られない。例えば、基体10に含まれる軟磁性金属粒子は、Co−Nb−Zr合金、Fe−Zr−Cu−B合金、Fe−Si−B合金、Fe−Co−Zr−Cu−B合金、Ni−Si−B合金、又はFe−AL−Cr合金であってもよい。軟磁性金属粒子の各々の表面には、絶縁膜が形成されてもよい。この絶縁膜は、上記の金属又は合金が酸化してできる酸化膜であってもよい。軟磁性金属粒子の各々の表面に設けられる絶縁膜は、例えばゾルゲル法によりコーティングされた酸化ケイ素膜であってもよい。軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜にはBiが含まれても良い。
一実施形態において、軟磁性金属粒子は、1.5〜20μmの平均粒径を有する。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径は、1.5μmより小さくてもよいし20μmより大きくても良い。基体10は、互いに平均粒径の異なる2種類以上の軟磁性金属粒子を含んでもよい。例えば、複合磁性材料用の軟磁性金属粒子は、第1平均粒径を有する第1の軟磁性金属粒子と、この第1平均粒径よりも小さな第2平均粒径を有する第2軟磁性金属粒子と、を含んでもよい。一実施形態において、基体10は、第2平均粒径よりも小さな第3平均粒径を有する第3軟磁性金属粒子をさらに含んでもよい。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径は、当該基体10をその厚さ方向(T方向)に沿って切断して断面を露出させ、当該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により1μm以上の粒子を2000倍〜5000倍の倍率、1μmより小さな粒子は5000〜10000倍で撮影した写真に基づいて粒度分布を求め、この粒度分布に基づいて定められる。例えば、SEM写真に基づいて求められた粒度分布の50%値を軟磁性金属粒子の平均粒径とすることができる。
基体10は、軟磁性金属粒子と結合材とを含む複合磁性材料から形成されてもよい。基体10が複合磁性材料から形成される場合、当該複合磁性材料に含まれる結合材は、例えば、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂である。結合剤として、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂が用いられ得る。
基体10は、互いに異なる磁性材料から成る2つ以上の領域を有していても良い。例えば、磁性体層11aと磁性体層11bとは、互いに異なる磁性材料から形成されてもよい。
次に、図3をさらに参照して、積層プロセスで作成されるコイル部品1の積層構造について説明する。図3においては、説明の便宜のために、外部電極21,22の図示が省略されている。図3には、コイル部品1の分解図が示されている。図3に示すように、基体10は、磁性体層11a〜11hを備える。磁性体層11a〜11hの各々は、磁性材料から作製される。基体10は、W軸方向の正側から負側に向かって、磁性体層11a、磁性体層11b、磁性体層11c、磁性体層11d、磁性体層11e、磁性体層11f、磁性体層11g、及び磁性体層11hの順に積層されている。この積層構造のW軸方向における両端には、磁性体層11a及び磁性体層11hが配置されている。磁性体層11a及び磁性体層11hはそれぞれ、図示されているように、複数の磁性体層を含んでも良い。磁性体層11a及び磁性体層11hはW軸方向における両側からコイル導体25を覆うように配置されるので、カバー層と呼ばれることもある。本明細書においては、磁性体層11a及び磁性体層11hをそれぞれ、カバー層11a及びカバー層11hと呼ぶことがある。コイル部品1は、積層プロセス以外の方法で作成されてもよい。例えば、コイル部品1は、薄膜プロセスにより作成されてもよい。
磁性体層11c〜11fの一方の表面にはコイル導体パターンC1〜C4がそれぞれ設けられ、磁性体層11b〜11gの一方の表面には引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fがそれぞれ設けられている。図示の実施形態では、磁性体層11c〜11fのW軸方向と交わる一対の表面のうちW軸方向の負側にある表面に、コイル導体パターンC1〜C4が設けられており、磁性体層11b〜11gのW軸方向と交わる一対の表面のうちW軸方向の負側にある表面に引出導体パターンL1a〜L1f、及び引出導体パターンL2a〜L2fが設けられている。コイル導体パターンC1〜C4、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fは、例えば、導電性に優れた金属又は合金から成る導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより形成される。この導電性ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。コイル導体パターンC1〜C4は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。コイル導体パターンC1〜C4、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
磁性体層11d〜磁性体層11fの所定の位置には、ビアV11〜V13がそれぞれ設けられ、磁性体層11c〜磁性体層11gの所定の位置には、ビアV1a〜V1e及びビアV2a〜V2eがそれぞれ設けられている。ビアV11〜V13は、磁性体層11d〜磁性体層11fの所定の位置に当該磁性体層11d〜磁性体層11fをW軸方向に貫く貫通孔をそれぞれ形成し、当該貫通孔に導電性ペーストを埋め込むことにより形成される。ビアV1a〜V1e及びビアV2a〜V2eは、磁性体層11c〜磁性体層11gの所定の位置に当該磁性体層11c〜磁性体層11gをW軸方向に貫く貫通孔をそれぞれ形成し、当該貫通孔に導電性ペーストを埋め込むことにより形成される。
コイル導体パターンC1〜C4のうちの隣接する導体パターン同士は、ビアV11〜V13のいずれかを介して電気的に接続される。このようにして接続されたコイル導体パターンC1〜C4及びビアV11〜V13が、スパイラル状のコイル導体25を構成する。すなわち、コイル導体25は、コイル導体パターンC1〜C4及びビアV11〜V13を有する。
コイル導体パターンC1の一端はビアV11に接続され、その他端は引出導体パターンL2bに接続される。コイル導体パターンC4の一端はビアV13に接続され、その他端は引出導体パターンL1eに接続される。つまり、コイル導体25は、その一端において引出導体23に接続され、その他端において引出導体24に接続される。このように、引出導体23はコイル導体25の一端と外部電極21とを電気的に接続し、引出導体24はコイル導体25の他端と外部電極22とを電気的に接続する。
引出導体パターンL1a〜L1fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV1a〜V1eのいずれかを介して電気的に接続され、引出導体パターンL2a〜L2fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV2a〜V2eのいずれかを介して電気的に接続される。このようにして接続された引出導体パターンL1a〜L1f及びビアV1a〜V1eが引出導体23を構成し、引出導体パターンL2a〜L2f及びビアV2a〜V2eが引出導体24を構成する。すなわち、引出導体23は引出導体パターンL1a〜L1f及びビアV1a〜V1eを有し、引出導体24は引出導体パターンL2a〜L2f及びビアV2a〜V2eを有する。
引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fは、図4に示されているように、基体10の表面から露出するように設けられる。図4に示されている実施形態においては、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fは、各々の下端が基体10の実装面10bから基体10の外部に露出するように設けられている。基体10の実装面10bは、引出導体パターンL1a〜L1fが露出している第1露出領域A1と、引出導体パターンL2a〜L2fが露出している第2露出領域A2と、第1露出領域A1及び第2露出領域A2以外の非露出領域A3と、を有する。
外部電極21は、第1露出領域A1の少なくとも一部を覆うように設けられる。外部電極21は、第1露出領域A1の全てを覆っても良い。外部電極21は、引出導体パターンL1a〜L1fの各々と接続される。外部電極22は、第2露出領域A2の少なくとも一部を覆うように設けられる。外部電極22は、第2露出領域A2の全てを覆っても良い。外部電極22は、引出導体パターンL2a〜L2fの一部又は全部と接続される。このように、引出導体パターンL1a〜L1fはそれぞれ外部電極21に接続され、引出導体パターンL2a〜L2fはそれぞれ外部電極22に接続される。
次に、図5a及び図5bを参照して、実装面10bにおける第1露出領域A1について説明する。図5a及び図5bは、コイル部品1のX−X線断面図である。つまり、図5a及び図5bは、WT平面に沿って延びており第1露出領域A1を通る断面でコイル部品1を切断した断面を示している。図5aにおいては、説明の便宜のために、外部電極21の図示を省略している。
図5に明瞭に示されているように、引出導体パターンL1a〜L1fの各々は、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。例えば、引出導体パターンL1eは、磁性体層11fと磁性体層11gとの間に設けられている。同様に、この引出導体パターンL1eに隣接しており当該引出導体パターンL1eとビアV1dにより接続されている引出導体パターンL1dは、磁性体層11eと磁性体層11fとの間に設けられている。引出導体パターンL1a〜L1fに含まれる他の引出導体パターンも同様である。図5a及び図5bには示されていないが、引出導体パターンL2a〜L2fの各々も、引出導体パターンL1a〜L1fと同様に、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。
図示の実施形態において、磁性体層11b〜11gのそれぞれの厚さ(W軸方向における寸法)は、引出導体パターンL1a〜L1fのそれぞれの厚さ(W軸方向における寸法)よりも薄い。これにより、引出導体23及び引出導体24の抵抗を小さくすることができる。引出導体パターンL1a〜L1fのそれぞれの厚さは、磁性体層11b〜11gのそれぞれの厚さの2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、又は10倍以上とされてもよい。
引出導体パターンL1a〜L1fは、その各々の端面L1a1〜L1f1が基体10の実装面10bから露出するように設けられている。言い換えると、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1は、基体10の実装面10bから基体10の外部に露出している。後述するように、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1には研磨処理が施されているため、端面L1a1〜L1f1の各々は、基体10の内部に向かって(T軸の正方向に向かって)凹んでいる。図5bに示すように、実装面10bには外部電極21が取り付けられる。よって、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1は外部電極21によって覆われる。したがって、引出導体パターンL1a〜L1f又はその端面L1a1〜L1f1が基体10から外部に露出することは、当該引出導体パターンL1a〜L1f又はその端面L1a1〜L1f1が大気中に露出することを意味するものではない。外部電極21は、引出導体パターンL1a〜L1fの各々と端面L1a1〜L1f1において接するように設けられる。引出導体パターンL1a〜L1fの各々は、端面L1a1〜L1f1において外部電極21と接するので、本明細書では、端面L1a1〜L1f1の各々を接触面L1a1〜L1f1と呼ぶことがある。
図示のように、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の接触面L1a1〜L1f1よりも基体10の外側に突出している。図示の実施形態においては、磁性体層11a〜11hは、接触面L1a1〜L1f1よりもT軸の負方向に突出している。磁性体層11b〜11gの各々は、接触面L1a1〜L1f1よりも基体10の外側に突出する突出部11b1〜11g1を有している。接触面L1a1〜L1f1は、基体10の内側に向かって凹んでいる。よって、接触面L1a1〜L1f1のうち隣接する磁性体層11a〜11hと接する接触部位が基体10の最も外側(T軸方向における負側)に位置している。磁性体層11a〜11hは、接触面L1a1〜L1f1のうち基体10の最も外側に位置する接触部位よりもさらに基体10の外側に突出している。図示はされていないが、磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL2a〜L2fとの関係は、図5aに示されている磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL1a〜L1fとの関係と同様である。すなわち、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL2a〜L2fの各々の端面よりも基体10の外側に突出している。引出導体パターンL2a〜L2fの各々の端面は、引出導体パターンL2a〜L2fの各々が外部電極と接する接触面である。このように、磁性体層11b〜11gの各々が引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの各々の端面よりも基体10の外側に突出する突出部11b1〜11g1を有しているため、基体10の実装面10bは、第1露出領域A1及び第2露出領域A2において凹凸を有する。
一実施形態において、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1fよりも耐摩耗性に優れている。よって、第1露出領域A1に研磨処理を行うことにより、引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1が磁性体層11a〜11hよりも凹むように研磨処理を行うことができる。同様に、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL2a〜L2fよりも耐摩耗性に優れている。よって、第2露出領域A2に研磨処理を行うことにより、引出導体パターンL2a〜L2fの端面が磁性体層11a〜11hよりも凹むように研磨処理を行うことができる。引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1の各々は、湾曲していてもよい。例えば、引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1の各々は、W軸方向における中央において最も凹むように湾曲している。端面L1a1〜L1f1が湾曲していることにより、引出導体パターンL1a〜L1fと外部電極21との接触面積を大きくすることができるので、外部電極21を引出導体23に対してより強固に取り付けることができる。引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1の各々が湾曲している場合、端面L1a1〜L1f1の各々において、T軸方向において最も負側にある部位と最も正側にある部位との間の寸法(「凹み量」という。)は、例えば2μmから35μmである。端面L1a1〜L1f1の凹み量は、引出導体パターンL1a〜L1fの厚さの1/12以上、1/11以上、1/10以上、1/9以上、1/8以上、1/7以上、又は1/6以上であってもよい。以上の引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1に関する説明は、引出導体パターンL2a〜L2fの端面にも当てはまる。
一実施形態において、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1fよりも例えば3μm〜50μmだけ基体10の外側に突出している。つまり、引出導体パターンL1a〜L1fからの磁性体層11a〜11hの突出量は、例えば3μm〜50μmである。この突出部11b1〜11g1があることにより外部電極21と基体10及び引出導体23との接触面積が大きくなり、外部電極21の脱落を抑制することができる。突出部11b1〜11g1のT軸方向における寸法(「突出量」という。)は、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の厚さ(W軸方向における寸法)の1/10以上、1/9以上、1/8以上、1/7以上、1/6以上、又は1/5以上であってもよい。引出導体パターンL2a〜L2fからの磁性体層11a〜11hの突出量は、引出導体パターンL1a〜L1fからの磁性体層11a〜11hの突出量と同程度であってもよい。
磁性体層11a及び磁性体層11hは、上記のとおり、複数の磁性体層を有している。磁性体層11aは磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1よりも基体10のさらに外側に突出する突出部11a1を有しており、磁性体層11hは磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1よりも基体10のさらに外側に突出する突出部11h1を有している。この突出部11a1及び突出部11b1は、実装面10bの非露出領域A3に配置される。突出部11a1及び突出部11h1は、磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1の端よりもD1だけT軸の負方向に突出している。このD1は、例えば10μm〜120μmの範囲にある。カバー層11a及びカバー層11hは、引出導体パターンL1a〜L1fの合計の厚さが大きいほど突出量D1が大きくなるように構成されてもよい。
外部電極21は、実装面10bの第1露出領域A1に設けられるので、図5bに示されているように外部電極21の外表面21aには第1露出領域A1の凹凸が反映される。つまり、外部電極21の外表面21aのうち第1露出領域A1に対向する領域は凹凸を有する。
図5aにおいては、引出導体パターンL1a〜L1fの各々の端面L1a1〜L1f1がT軸方向において同じ位置に配置されているが、端面L1a1〜L1f1の位置は互いに異なっていても良い。例えば、端面L1a1は、端面L1b1よりも基体10の外側に配置されていてもよく、端面L1b1よりも基体10の内側に配置されていてもよい。図5aにおいては、磁性体層11b〜11gの突出部11b1〜11g1の端がT軸方向の同じ位置に配置されているが、突出部11b1〜11g1の端の位置は互いに異なっていてもよい。例えば、突出部11b1は、突出部11c1よりも基体10の外側に配置されていてもよく、突出部11c1よりも基体10の内側に配置されていてもよい。
次に、図5cを参照して、外部電極21、22の形状が変更された本発明の別の実施形態について説明する。図5cは、本発明の別の実施形態によるコイル部品1のX−X線断面を模式的に示す。図5cに示されている実施形態によるコイル部品1は、外部電極21に代えて外部電極21’を備えている。図示のように、外部電極21’は、W軸方向において第1露出領域A1のみに設けられている。外部電極21’は、W軸方向における第1露出領域A1の寸法の10%以下の寸法だけ第1露出領域A1からW軸方向の正方向及び負方向にはみ出ていても良い。つまり、本明細書においては、外部電極21’が第1露出面A1からW軸方向において第1露出領域A1の寸法の10%以下の寸法だけはみ出している態様も外部電極21’が第1露出領域A1のみに設けられている態様に含まれる。実装面10bは、第1露出面領域A1において非露出領域A3よりも基体10の内部に凹んでいるので、外部電極21’を第1露出領域A1にのみ設けることにより、コイル部品1の高さ(T軸方向における寸法)を小さくすることができる。これにより、コイル部品1を小型化することができる。外部電極22’は、外部電極21’と同様に、第2露出領域A2にのみ設けられる。本明細書においては、外部電極22’が第2露出領域A2からW軸方向において第2露出領域A2の寸法の10%以下の寸法だけはみ出している態様も外部電極22’が第2露出領域A2のみに設けられている態様に含まれる。
次に、コイル部品1の製造方法の一例を説明する。コイル部品1は、例えば積層プロセスによって製造することができる。以下では、積層プロセスによるコイル部品1の製造方法の一例を説明する。この説明のために、適宜図3が参照される。
まず、磁性材料から成る複数の磁性体シートを作成する。この磁性体シートは、焼成後に磁性体層11a〜11hになる。磁性体シートは、例えば、結合材及び複数の軟磁性金属粒子を含む複合磁性材料から形成される。
次に、磁性体層11c〜磁性体層11gとなる磁性体シートの各々の所定の位置に、各磁性体シートをW軸方向に貫く貫通孔を形成する。次に、磁性体層11b〜磁性体層11gとなる磁性体シートの各々の表面に導電性ペーストを印刷することで、焼成後にコイル導体パターンC1〜C4、引出導体パターンL1a〜L1f、及び引出導体パターンL2a〜L2fとなる未焼成導体パターンが形成される。また、各磁性体シートの貫通孔には導電性ペーストが埋め込まれる。この貫通孔に埋め込まれた導電性ペーストが焼成後にビアV11〜V13、ビアV1a〜V1e、及びビアV2a〜V2eとなる。本明細書では、焼成によりコイル導体パターンC1〜C4となる未焼成の導体パターンを未焼成のコイル導体パターンC1〜C4と呼ぶ。同様に、焼成により引出導体パターンL1a〜L1f、引出導体パターンL2a〜L2f、ビアV11〜V13、ビアV1a〜V1e、及びビアV2a〜V2eとなる導体パターン又は貫通孔に埋め込まれた導体ペーストについても未焼成の引出導体パターンL1a〜L1fなどと呼ぶ。
次に、磁性体層11a〜11hとなる磁性体シートを積層して積層体を得る。これらの磁性体シートは、未焼成のコイル導体パターンC1〜C4の各々が隣接する未焼成のコイル導体パターンと未焼成のビアV11〜V13を介して接続され、未焼成の引出導体パターンL1a〜L1fの各々が隣接する未焼成の引出導体パターンと未焼成のビアV1a〜V1eを介して接続され、また、未焼成の引出導体パターンL2a〜L2fの各々が隣接する未焼成の引出導体パターンと未焼成のビアV2a〜V2eを介して接続されるように積層される。
次に、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて上記積層体を個片化することで、チップ積層体が得られる。次に、このチップ積層体を脱脂し、脱脂されたチップ積層体を焼成する。
次に、このチップ積層体に対して、バレル研磨等の研磨処理を行う。バレル研磨処理を行う場合には、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さ(W軸方向における寸法)よりも小さな粒径を有するメディア(研磨石)が用いられる。一実施形態においては、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さの1/2よりも小さい粒径のメディアが用いられる。引出導体パターンL1aの厚さが一様でない場合には、その端面L1a1におけるW軸方向の寸法を当該引出導体パターンL1aの厚さとすることができる。この説明は、他の引出導体パターンL1b〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さについても当てはまる。引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fが互いに異なる厚さを有する場合には、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fのうち最も薄い引出導体パターンの厚さよりも小さな粒径を有するメディアが用いられ得る。上記のとおり、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fよりも耐摩耗性に優れている。よって、引出導体パターンL1a〜L1f及び引出導体パターンL2a〜L2fの厚さ(W軸方向における寸法)よりも小さな粒径を有するメディアを用いてバレル研磨処理を行うことにより、図5aに示されているように、引出導体パターンL1a〜L1fの端面L1a1〜L1f1が磁性体層11b〜11fよりも凹むように研磨処理を行うことができる。この研磨処理により、第1露出領域A1及び第2露出領域A2に凹凸を形成することができる。
次に、このチップ積層体の実装面10bに相当する面に外部電極21及び外部電極22を形成する。外部電極21は第1露出領域A1を覆うように設けられ、外部電極22は第2露出領域A2を覆うように設けられる。外部電極21及び外部電極22は、例えば、チップ積層体の実装面10bに相当する表面に導電性ペーストを塗布して下地電極を形成し、この下地電極の表面にめっき層を形成することにより形成される。めっき層は、例えば、ニッケルを含むニッケルめっき層と、スズを含むスズめっき層の2層構造とされる。外部電極21及び外部電極22には、必要に応じて、半田バリア層及び半田濡れ層の少なくとも一方が形成されてもよい。以上により、コイル部品1が得られる。
上記の製造方法に含まれる工程の一部は、適宜省略可能である。コイル部品1の製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時に又は並行して実行され得る。
続いて、図6から図10を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品101について説明する。コイル部品101は、引出導体及び外部電極に関してコイル部品1と異なっている。具体的には、コイル部品101は、コイル部品1の外部電極21、外部電極22、引出導体23、及び外部電極24に代えて外部電極121、外部電極122、引出導体123、及び外部電極124を備えている。
図6及び図7に示されているように、コイル部品101の外部電極121は、基体10の実装面10bから端面10cまで延びている。つまり、外部電極121は、基体10の実装面10b及び端面10cに取り付けられている。また、外部電極122は、基体10の実装面10bから端面10dまで延びている。つまり、外部電極122は、基体10の実装面10b及び端面10dに取り付けられている。
引出導体123は、コイル導体25の一端と第1外部電極121とを電気的に接続し、引出導体124はコイル導体25の他端と外部電極122とを電気的に接続する。図8に示されているように、引出導体123は引出導体パターンL11a〜L11f及びビアV1a〜V1eを有し、引出導体124は引出導体パターンL12a〜L12f及びビアV2a〜V2eを有する。引出導体パターンL11a〜L11fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV1a〜V1eのいずれかを介して電気的に接続され、引出導体パターンL12a〜L12fのうちの隣接する引出導体パターン同士はビアV2a〜V2eのいずれかを介して電気的に接続される。
引出導体パターンL12a〜L12fは、図9に示されているように、基体10の実装面10b及び端面10dから露出するように設けられている。引出導体パターンL11a〜L11fも同様に、基体10の実装面10b及び端面10cから露出するように設けられている。図9においては、端面10cが紙面の背面側に位置しているため、引出導体パターンL11a〜L11fのうち端面10cから露出する部位が図9には現れていない点に留意されたい。
基体10の実装面10bは、引出導体パターンL11a〜L11fが露出している第1露出領域A1と、引出導体パターンL12a〜L12fが露出している第2露出領域A2と、第1露出領域A1及び第2露出領域A2以外の非露出領域A3と、を有する。端面10cは、引出導体パターンL11a〜L11fが露出している第3露出領域A11と、第3露出領域A11以外の非露出領域A13aと、を有する。端面10dは、引出導体パターンL12a〜L12fが露出している第4露出領域A12と、第4露出領域A12以外の非露出領域A13bと、を有する。第1露出領域A1は、そのL軸方向の負側の端において第3露出領域A11のT軸方向の負側の端と接続されている。第2露出領域A2は、そのL軸方向の正側の端において第4露出領域A12のT軸方向の負側の端と接続されている。
図10を参照して、端面10dにおける第4露出領域A12について説明する。図10は、コイル部品101のY−Y線断面図である。つまり、図10は、LW平面に沿って延びており第4露出領域A12を通る断面でコイル部品101を切断した断面を示している。図10においては、説明の便宜のために、外部電極122の図示を省略している。
図10に示されているように、引出導体パターンL12a〜L12fの各々は、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。例えば、引出導体パターンL12bは、磁性体層11cと磁性体層11dとの間に設けられている。同様に、この引出導体パターンL12bに隣接しており当該引出導体パターンL12bとビアV2aにより接続されている引出導体パターンL12aは、磁性体層11bと磁性体層11cとの間に設けられている。引出導体パターンL12a〜L12fに含まれる他の引出導体パターンも同様である。図10には示されていないが、引出導体パターンL11a〜L11fの各々も、引出導体パターンL12a〜L12fと同様に、磁性体層11b〜11hのうちの隣接する一組の磁性体層間に設けられている。
図10に示されているように、引出導体パターンL12a〜L12fは、その各々の端面が基体10の端面10dの第4露出領域A12において当該端面10dから露出するよ
うに設けられている。外部電極122は、実装面10bから端面10dまで延びている。よって、外部電極122は、引出導体パターンL12a〜L12fの各々の端面と接するように設けられる。図示は省略されているが、引出導体パターンL11a〜L11fは、その各々の端面が基体10の端面10cの第3露出領域A11において当該端面10cから露出するように設けられている。外部電極121は、実装面10bから端面10cまで延びている。よって、外部電極121は、引出導体パターンL11a〜L11fの各々の端面と接するように設けられる。
図10に示されているように、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL12a〜L12fの各々の端面よりも基体10の外側に突出している。図示の実施形態においては、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL12a〜L12fの各々の端面よりもL軸の正方向に突出している。このように、磁性体層11b〜11gの各々が引出導体パターンL12a〜L12fの各々端面よりも基体10の外側に突出しているため、基体10の端面10dは、第4露出領域A12において凹凸を有する。図示は省略されているが、磁性体層11a〜11hは、引出導体パターンL11a〜L11fの各々の端面よりもL軸の負方向に突出している。このように、磁性体層11b〜11gの各々が引出導体パターンL11a〜L11fの各々端面よりも基体10の外側に突出しているため、基体10の端面10cは、第3露出領域A11において凹凸を有する。
磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL1a〜L1fとの配置に関する上記の説明は、磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL11a〜L11fとの配置及び磁性体層11a〜11hと引出導体パターンL12a〜L12fとの配置についても同様に当てはまる。
続いて、図11a、図11b及び図12を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品201について説明する。本発明の一実施形態によるコイル部品201は、磁性体層11a〜11hに加えて、図11bに示されている磁性体層11i、独立導体パターンL21、及び独立導体パターンL22を備える点でコイル部品1と異なっている。図示の例において、コイル部品201は、磁性体層11aと磁性体層11bとの間及び磁性対応11gと磁性体層11hとの間にそれぞれ3枚の磁性体層11iが設けられている。磁性体層11iは、磁性体層11aを構成する複数の磁性体層のうちの一つであってもよいし、磁性体層11hを構成する複数の磁性体層のうちの一つであってもよい。コイル部品201が備える磁性体層11iの数は6枚に限られない。本発明の一実施形態によるコイル部品201は、磁性体層11iを一つだけ備えてもよいし、6枚より少ない又は6枚より多い複数の磁性体層11iを備えてもよい。
図11bに示されているように、磁性体層11iは、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22を有する。独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、磁性体層11iの一方の表面に設けられる。図示の実施形態においては、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、磁性体層11iのW軸方向と交わる一対の表面のうちW軸方向の負側にある表面に設けられている。独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、コイル導体パターンC1〜C4と同様に、導電性ペーストから形成される。
独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、基体10において、コイル導体25、第1引出導体23、及び第2引出導体24から離間して配置される。すなわち、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、コイル導体25、第1引出導体23、及び第2引出導体24から独立して配置されている。コイル導体25を構成するコイル導体パターンC1〜C4のうち隣接するパターン同士はビアV11〜V13によって接続されているのに対し、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22は、コイル導体25、第1引出導体23、及び第2引出導体24を構成するいずれの導体パターンとも基体10内では接していない。コイル部品201が複数の磁性体層11iを備える場合には、各磁性体層11iに設けられた独立導体パターン同士は電気的に接続されていてもよい。
独立導体パターンL21は、そのT軸の負側の端面L211において外部電極21に接している。外部電極21は、引出導体23と直接接しており、また、コイル導体25と引出導体23を介して電気的に接続されているので、独立導体パターンL21は、外部電極21を介して引出導体23及びコイル導体25と電気的に接続されているが、基体10内ではコイル導体25及び第1引出導体23から離間した位置に配置している。したがって、独立導体パターンL21は、基体10内ではコイル導体25及び第1引出導体23から絶縁されている。
独立導体パターンL22は、そのT軸の負側の端面L221において外部電極22に接している。独立導体パターンL22は、外部電極22を介して引出導体24及びコイル導体25と電気的に接続されているが、基体10内ではコイル導体25及び第2引出導体24から離間した位置に配置している。したがって、独立導体パターンL22は、基体10内ではコイル導体25及び第2引出導体24から絶縁されている。
独立導体パターンL21は、基体10内において、独立導体パターンL22から離間した位置に配置されている。よって、基体10内において、独立導体パターンL21は独立導体パターンL22から絶縁されている。
独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22の一方は省略可能である。つまり、磁性体層11iは、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22の少なくとも一方を有する。磁性体層11iは、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22に加えて別の独立電極(不図示)を備えてもよい。磁性体層11iには、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22が設けられるので、本明細書においては、磁性体層11iを独立磁性体層と呼ぶことがある。
図12を参照して、磁性体層11iについてさらに説明する。図12は、磁性体層11iを備えるコイル部品の上記のX−X線に沿った断面の一部を模式的に示している。図12においても、説明の便宜のために、外部電極21の図示が省略されている。図12に示されている実施形態においては、磁性体層11iが磁性体層11gと磁性体層11hとの間に配置されている。図示されている磁性体層11iの配置は例示であり、磁性体層11iは図示されている位置以外の位置に設けられてもよい。
図示のように、独立導体パターンL21は、磁性体層11iと磁性体層11hとの間に設けられている。引出導体パターンL1a〜L1fのうちの隣接するパターン同士がビアV1a〜V1eによって基体10内で接続されているのに対し、独立導体パターンL21は、引出導体パターンL1a〜L1fのいずれとも基体10内では接続されていない。独立導体パターンL21は、その端面L211が基体10の実装面10bの第1露出領域A1から露出するように設けられている。外部電極21は実装面10bに設けられるので、外部電極21は、独立導体パターンL21と端面L211において接するように設けられる。図示は省略されているが、独立導体パターンL22は、その端面が基体10の実装面10bの第2露出領域A2において実装面10bから露出するように設けられている。外部電極22は、実装面10bに設けられている。よって、外部電極22は、独立導体パターンL22とその端面において接するように設けられる。コイル部品201においては、実装面10bのうち引出導体パターンL1a〜L1f及び独立導体パターンL21が露出している領域が第1露出領域A1とされ、実装面10bのうち引出導体パターンL2a〜L2f及び独立導体パターンL22が露出している領域が第2露出領域A2とされる。
図12に示されているように、磁性体層11h及び磁性体層11iは、独立導体パターンL21の端面L211よりも基体10の外側に突出している。このように、磁性体層11h及び磁性体層11iが独立導体パターンL21の端面L211よりも基体10の外側に突出しているため、実装面10bにおいて独立導体パターンL21、磁性体層11h及び磁性体層11iが配置されている領域に凹凸が形成される。
図11bには、W軸方向から見たときに長方形の形状を有する独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22が示されているが、独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22の形状は図示されているものに限られない。独立導体パターンL21は、外部電極21に接するように実装面10bから露出している限り磁性体層11iの任意の位置に配置され得る。同様に、独立導体パターンL22は、外部電極22に接するように実装面10bから露出している限り磁性体層11iの任意の位置に配置され得る。一実施形態において、独立導体パターンL21は、外部電極21と平行なL軸方向における寸法が、外部電極21に垂直なT軸方向の寸法よりも大きくなるように構成される。
続いて、図13a、図13b及び図14を参照して、本発明の別の実施形態によるコイル部品301について説明する。本発明の一実施形態によるコイル部品301は、磁性体層11a〜11hに加えて、図13bに示されている磁性体層11i、独立導体パターンL121、及び独立導体パターンL122を備える点ででコイル部品101と異なっている。図示の例において、コイル部品301は、磁性体層11aと磁性体層11bとの間及び磁性対応11gと磁性体層11hとの間にそれぞれ3枚の磁性体層11iが設けられている。コイル部品301が備える磁性体層11iの数は6枚に限られない。本発明の一実施形態によるコイル部品301は、磁性体層11iを一つだけ備えてもよいし、6枚より少ない又は6枚より多い複数の磁性体層11iを備えてもよい。
独立導体パターンL121及び独立導体パターンL122は、外部電極121及び外部電極122と接続されるように端面10cからも露出するように配置されている点で独立導体パターンL21及び独立導体パターンL22と異なっている。独立導体パターンL121は、端面10cから露出して外部電極121に接すること以外は独立導体パターンL21と同様に構成及び配置される。独立導体パターンL122は、端面10dから露出して外部電極122に接すること以外は独立導体パターンL22と同様に構成及び配置される。
図14に示されているように、磁性体層11h及び磁性体層11iは、独立導体パターンL122の端面L1221よりも基体10の外側に突出している。このように、磁性体層11h及び磁性体層11iが独立導体パターンL122の端面L1221よりも基体10の外側に突出しているため、端面10dにおいて独立導体パターンL122、磁性体層11h及び磁性体層11iが配置されている領域に凹凸が形成される。同様に、端面10cにおいても、独立導体パターンL121、磁性体層11h及び磁性体層11iが配置されている領域に凹凸が形成される。コイル部品301においては、端面10cのうち引出導体パターンL11a〜L11f及び独立導体パターンL121が露出している領域が第3露出領域A11とされ、端面10dのうち引出導体パターンL12a〜L12f及び独立導体パターンL122が露出している領域が第4露出領域A12とされる。
次に、上記の実施形態が奏する作用効果について説明する。上記の一実施形態によれば、磁性体層11a〜11hが引出導体パターンL1a〜L1fよりも基体10の外側に突出しているため、基体10の実装面10bの第1露出領域A1が凹凸を有する。外部電極
21は、この凹凸面において基体10及び引出導体23に取り付けられる。この第1露出領域A1における凹凸により、外部電極21と基体10及び引出導体23との接触面積が大きくなるから、外部電極21を基体10及び引出導体23に対して強固に取り付けることができる。これにより、外部電極21の基体10からの脱落を抑制することができる。
上記の一実施形態によれば、磁性体層11a〜11hが引出導体パターンL2a〜L2fよりも基体10の外側に突出しているため、基体10の実装面10bの第2露出領域A2が凹凸を有する。外部電極22は、この凹凸面において基体10及び引出導体24に取り付けられる。この第2露出領域A2における凹凸により、外部電極22と基体10及び引出導体24との接触面積が大きくなるから、外部電極22を基体10及び引出導体24に対して強固に取り付けることができる。これにより、外部電極22の基体10からの脱落を抑制することができる。
上記の一実施形態によれば、基体10の実装面10bは、第1露出領域A1、第2露出領域A2、及び非露出領域A3と、を有しており、非露出領域A3は、第1露出領域A1及び第2露出領域A2よりも基体10の外側に突出している。言い換えると、実装面10bにおいて、第1露出領域A1及び第2露出領域A2は、非露出領域A3よりも基体10の内側に向かって凹んでいる。コイル部品1を回路基板2に実装する場合には、実装面10bが平坦な場合と比べて、第1露出領域A1及び第2露出領域A2に多くのはんだを受け入れることができる。これにより、回路基板2にコイル部品1をより強固に接合することができる。
上記のコイル部品1について説明した効果は、コイル部品101によっても奏される。
上記の一実施形態によるコイル部品101によれば、磁性体層11a〜11hが引出導体パターンL11a〜L11f及び引出導体パターンL12a〜L12fよりも基体10の外側に突出しているため、基体10の端面10cは第3露出領域A11において凹凸を有しており、基体10の端面10dは第4露出領域A12において凹凸を有している。外部電極121は、実装面10bの第1露出領域A1における凹凸面に加えて第3露出領域A11の凹凸面において基体10及び引出導体123に取り付けられる。これにより、外部電極121と基体10及び引出導体123との接触面積がさらに大きくなるから、外部電極121を基体10及び引出導体123に対してより強固に取り付けることができる。同様に、外部電極122は、実装面10bの第2露出領域A2における凹凸面に加えて第4露出領域A12の凹凸面において基体10及び引出導体124に取り付けられる。これにより、外部電極122と基体10及び引出導体124との接触面積がさらに大きくなるから、外部電極122を基体10及び引出導体124に対してより強固に取り付けることができる。
上記の一実施形態によれば、磁性体層11iと磁性体層11hとの間に独立導体パターンL21が設けられており、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL21よりも基体10の外側に突出しているため、実装面10bにおいて凹凸面を有する第1露出領域A1が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極21の基体10、引出導体23、及び独立導体パターンL21との接触面積が大きくなるから、外部電極21を基体10に対してより強固に取り付けることができる。同様に、上記の一実施形態によれば、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL22よりも基体10の外側に突出しているため、実装面10bにおいて第2露出領域A2が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極22を基体10に対してより強固に取り付けることができる。
上記の一実施形態によれば、磁性体層11iと磁性体層11hとの間に独立導体パターンL121が設けられており、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL121よりも基体10の外側に突出しているため、端面10cにおいて凹凸面を有する第3露出領域A11が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極121の基体10、引出導体123、及び独立導体パターンL121との接触面積が大きくなるから、外部電極121を基体10に対してより強固に取り付けることができる。同様に、上記の一実施形態によれば、磁性体層11i及び磁性体層11hがいずれも独立導体パターンL122よりも基体10の外側に突出しているため、端面10dにおいて第4露出領域A12が占める割合を大きくすることができる。これにより、外部電極122を基体10に対してより強固に取り付けることができる。
一実施形態において、独立導体パターンL21は、外部電極21と平行なL軸方向における寸法が、外部電極21に垂直なT軸方向の寸法よりも大きくなるように構成される。独立導体パターンL21のT軸方向における寸法が大きくなると、基体10内を通過する磁束の磁路に干渉しやすくなる。他方、独立導体パターンL21のT軸方向における寸法を大きくしても、外部電極21の固定強度の向上には貢献しない。そこで、独立導体パターンL21の外部電極21と平行なL軸方向における寸法を外部電極21に垂直なT軸方向の寸法よりも大きくすることにより、コイル部品1の磁気特性に大きな影響を与えずに外部電極21を強固に固定することができる。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
例えば、外部電極21、22、121、122の形状及び配置は例示である。外部電極21、22、121、122は、適宜変更可能である。例えば、外部電極21、22、121、122の少なくとも一つは、基体10の第1の側面10e、第2の側面10f、及び第1の主面10aの少なくとも一つと接していても良い。外部電極21、22、121、122が第1の側面10e、第2の側面10f、及び第1の主面10aのいずれかと接していれば、基体10に外部電極21、22、121、122をさらに強固に取り付けることができる。
1、101、201、301 コイル部品
2 回路基板
10 基体
10b 実装面
10c、10d 端面
11a〜11h 磁性体層
11i 独立磁性体層
21、22、121、122 外部電極
23、24、123、124 引出導体
25 コイル導体
L1a〜L1f、L2a〜L2f、L11a〜L11f、L12a〜L12f 引出導体パターン
L21、L22 独立導体パターン