JP2021033185A - 静電潜像現像用トナーセット及び電子写真画像形成方法 - Google Patents

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佑介 滝ヶ浦
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Abstract

【課題】本発明の課題は、ワックスの付着を抑制し、定着分離性と光沢メモリー性との両立を可能にする静電潜像現像用トナーセット及び電子写真画像形成方法を提供することである。【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーセットは、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、前記イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Y)、P(M)及びP(C)としたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする。70≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(1)【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーセット及び電子写真画像形成方法に関し、より詳しくはワックスの付着を抑制し、定着分離性と光沢メモリー性との両立を可能にする静電潜像現像用トナーセット等に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置において、より低い温度で熱定着される静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)が求められている。このようなトナーとしては、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることが必要である。
そこで、従来、結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性樹脂を定着助剤として添加することで、低温定着性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、低融点の離型剤を添加することで、低温定着性を向上させたトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
このような結晶性樹脂や低融点の離型剤を含有したトナーにおいては、画像搬送時において、画像表層に存在するワックスが溶融した状態のままで、搬送ローラー等の部材に接触すると、部材接触時にワックスが冷却・固着し、搬送不良、機内汚染、又は過剰に存在するワックスが画像に転写されて光沢ムラの発生、などの問題が発生する。そのため、離型剤を減らすことも考えられるが、減らすことで光沢メモリー性や定着分離性が劣化するという問題がある。
特開2012−168505号公報 特開2010−145549号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ワックスの付着を抑制し、定着分離性と光沢メモリー性との両立を可能にする静電潜像現像用トナーセット及び電子写真画像形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、静電潜像現像用トナーの示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度が、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナーの各トナーにおいて、特定の関係を満たす静電潜像現像用トナーセットによって、ワックスの付着を抑制し、定着分離性と光沢メモリー性との両立を可能にする静電潜像現像用トナーセットが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくともイエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、
前記イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Y)、P(M)及びP(C)としたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする静電潜像現像用トナーセット。
70≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(1)
2.少なくともブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、
前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Bk)、P(Y)、P(M)及びP(C)としたときに、下記式(2)を満たすことを特徴とする静電潜像現像用トナーセット。
70≦P(Bk)≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(2)
3.前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の各トナーの発熱ピークトップ温度が、下記式(3)〜(6)を満たすことを特徴とする第2項に記載の静電潜像現像用トナーセット。
70≦P(Bk)≦85(℃)………………(3)
72≦P(Y)≦86(℃) ………………(4)
73≦P(M)≦87(℃) ………………(5)
74≦P(C)≦88(℃) ………………(6)
4.前記各トナーが、結着樹脂として、少なくともスチレン・アクリル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーセット。
5.前記各トナーが、結着樹脂として、少なくとも結晶性樹脂を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーセット。
6.前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする第5項に記載の静電潜像現像用トナーセット。
7.少なくとも、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを用いる電子写真画像形成方法であって、
第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーセットを用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
本発明の上記手段により、ワックスの付着を抑制し、定着分離性と光沢メモリー性との両立を可能にする静電潜像現像用トナーセット及び電子写真画像形成方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の静電潜像現像用トナーセットは、トナーの示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度が70〜90℃の範囲にあり、各色の発熱ピークトップ温度が関係式:P(Y)≦P(M)≦P(C)を満たすことで、定着後にトナー画像が冷却されながら排出されるときに、接触する部材へのワックス付着を抑制することができ、かつ定着分離性が悪化することなく、光沢メモリー性等の品質不具合のない画像を得ることができる。
前記トナーの発熱ピークトップ温度が70〜90℃の範囲にあることで、定着後にトナー画像が冷却されながら排出されるとき、接触する部材へのワックス付着を単層(単色)として抑制することができる。
その理由としては、前記トナーの発熱ピークトップ温度は、画像表面の離型剤が固化(結晶化)する温度よりも低い温度を示す特徴があり、トナー画像が排出され部材に接触するときの温度が70℃より低いため、トナーが70℃以上に発熱ピークトップ温度を有することで、画像表面に存在する離型剤はそれよりも高い温度で固化することになり、ローラー接触時にワックス付着を抑制できる。
また、トナーの発熱ピークトップ温度が90℃より高い場合には、定着後の画像表面の離型剤の結晶化する速度が速すぎるために画像が白化したり、発熱ピーク温度が高い、すなわち吸熱ピーク温度も高いために、離型剤の画像表面への染み出し量が極端に少なくなり、定着分離性又は低温定着性が劣化する。
一方、各色トナーの重ね合わせの画像(多色)の場合は、全体のトナー付着量が増えることで画像上のワックス量が増え、上記トナーの発熱ピークトップ温度の設定だけではワックス付着を抑制しきれない。
検討の結果、重ね合わせ画像形成時には、各色トナーの発熱ピークトップ温度が関係式(1):P(Y)≦P(M)≦P(C)を満たすことが必要なことを見いだした。
画像の重ね合わせは、画像形成のプロセス上、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの順に紙に転写される。またブラックの上に他の色を載せることはないので、シアン、マゼンタ、及びイエローの順にピークトップ温度が下がっていればよい。
これは、重ね合わせの画像を形成するときに下に配置される画像層の発熱ピークトップ温度が高いことで、定着後にトナー画像が冷却されながら排出される際、接触するローラーで前記トナー画像に圧力がかかると下層側から先に結晶化が進むため、画像表面への離型剤の染み出しを適度に抑制できるためである。
したがって、重ね合わせの画像を定着したときに、画像の表面近傍の層からワックスが染み出され、下層はトナー中にワックスを留めたまま排出させることを実現するために、各色の発熱ピークトップ温度が前記関係式(1)を満たす必要があると考えている。
その結果、重ね合わせの画像でトナー付着量が増えワックス量が多くなったときでも、画像表面に染み出すワックス量を少なくすることができ、接触する部材へのワックス付着性を抑制することができる。また上記手段によりワックス付着性を抑制できるが、定着時のワックス染み出し量を過度に抑える必要はないため、光沢メモリーや定着分離性を劣化させることはないものと推察される。
DSCによる降温時の発熱曲線及びその微分曲線の一例を示すグラフ DSCによる降温時の発熱曲線及びその微分曲線の拡大例を示すグラフ DSCによる降温時の発熱曲線及びその微分曲線の他の例を示すグラフ 電子写真画像形成装置の全体構成の一例を示す模式図
本発明の静電潜像現像用トナーセットは、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、
前記イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Y)、P(M)及びP(C)としたとき、前記式(1)を満たすことを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、本発明の静電潜像現像用トナーセットは、少なくともブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Bk)、P(Y)、P(M)及びP(C)としたときに、前記式(2)を満たすことを特徴とする。
さらに、前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナーの示差走査熱量測定による降温時の各トナーの発熱ピークトップ温度が、前記式(3)〜(6)を満たすことが、好ましい。
また、前記各トナーが、結着樹脂として、少なくともスチレン・アクリル樹脂を含有することが定着時の離型剤の過剰な染み出しを抑制し、ワックス付着を抑制する観点から、好ましい。
さらに.前記各トナーが、結着樹脂として、少なくとも結晶性樹脂を含有することが、定着時の離型剤の過剰な染み出しを抑制し、ワックス付着を抑制する観点から、好ましい。
加えて、前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルを含有することが、離型剤のトナー中での結晶化を促進し、ワックス付着を抑制する観点から、好ましい。
本発明の電子写真画像形成方法は、少なくとも、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを用いる電子写真画像形成方法であって、本発明の静電潜像現像用トナーセットを用いることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の静電潜像現像用トナーセットの概要≫
本発明の静電潜像現像用トナーセットは、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、
前記イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Y)、P(M)及びP(C)としたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
70≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(1)
さらに、本発明の静電潜像現像用トナーセットは、少なくともブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、 前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Bk)、P(Y)、P(M)及びP(C)としたときに、下記式(2)を満たすことを特徴とする。
70≦P(Bk)≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(2)
前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナーの示差走査熱量測定による降温時の各トナーの発熱ピークトップ温度が、下記式(3)〜(6)を満たすことが、好ましい。
70≦P(Bk)≦85(℃)………………(3)
72≦P(Y)≦86(℃) ………………(4)
73≦P(M)≦87(℃) ………………(5)
74≦P(C)≦88(℃) ………………(6)
ここで、本発明において、「示差走査熱量測定による降温時の発熱ピークトップ温度」とは、以下の定義に基づく温度である。
[降温時の発熱ピークトップ温度rの定義]
降温時の発熱ピークトップ温度rの定義について、図1〜3を用いて説明する。
図1は、曲線1がDSCによる降温時の発熱曲線であり、曲線2が前記曲線1の微分曲線である(以下、曲線2のことを「微分曲線2」ともいう。)。
本発明においては、曲線1において発熱ピークの始点及び終点を、微分曲線2の傾きの変化の始点/終点で定義する。
図2は、曲線2を拡大したものである。微分曲線2の傾きの変化の始点(図1及び2の例においては、51℃近傍)、終点(図1及び2の例においては、73℃近傍)が曲線1における発熱ピークの始点P、終点Pとする。発熱ピークトップ温度rは、前記で定義したピークの始点Pから終点Pの範囲内の極小点Mの温度とするが、図3に示す例のように極小点が複数ある場合は、最も強度の大きい極小点に対して1/3以上の強度を持つ極小点のうち、最も低い温度のピークを発熱ピークトップとし、このときの温度を発熱ピークトップ温度rと定義する。具体的には、図3の例においては、最も強度の大きい極小点MV1は68℃近辺に存在するが、本発明に係る発熱ピークトップ温度rは低い温度(64℃近辺)の極小点であるMV2の温度となる。
本発明の静電潜像現像用トナーセットを構成するブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーのDSCによる降温時の発熱ピークトップ温度rは、70〜90℃の範囲内であり、好ましくは70〜88℃の範囲内である。発熱ピークトップ温度rが70℃未満であると、トナー製造時に結晶化する成分が多くなりやすいため、耐プリントブロッキング性が低下する。また、発熱ピークトップ温度rが90℃より大きいと、低温定着性が低下する。
[降温時の発熱ピークトップ温度の測定]
試料5mgをアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/minの昇温速度で0℃から100℃まで昇温して100℃を1分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で100℃から0℃まで降温して0℃の温度を1分間保持する。冷却時に得られる吸熱曲線における発熱ピークトップの温度を「発熱ピークトップ温度」とする。
本発明の静電潜像現像用トナーセットを構成する前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーが、前記関係式(1)〜(6)を満たすには、離型剤種類(例えば、エステルワックス又は炭化水素ワックスなど)、結着樹脂種類(スチレン・アクリル樹脂や結晶性ポリエステル樹脂など)、及びそれぞれの混合比率を適宜調整することで、達成することができる。
以下、本発明の構成要素について詳細に説明する。
〔1〕静電潜像現像用トナーセット
本発明の静電潜像現像用トナーセットは、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであり、本発明に係る静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも、結着樹脂と着色剤と離型剤とを含むトナー母体粒子とからなるトナー粒子を含むことが好ましい。
また、本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤のほか、必要に応じて帯電制御剤、又は界面活性剤などの種々の内添剤を含有してもよい。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいい、トナー粒子とは、上述のトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。また、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」ともいう。
〔1.1〕結着樹脂
本発明に係る結着樹脂は、少なくとも非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有することが好ましい。非晶性樹脂としてはスチレン・アクリル樹脂を含有することが好ましく、結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。また、当該結着樹脂として、前記結晶性ポリエステル樹脂の他に非晶性ポリエステル樹脂又はその一部が変性された変性ポリエステル樹脂(ハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂)を含むことが、好ましい。
[非晶性樹脂]
結着樹脂として含有される非晶性樹脂は、スチレン・アクリル樹脂を含有していることが好ましく、1種でもそれ以上でもよい。非晶性樹脂の他の例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂及びスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂などの非晶性ポリエステル樹脂が含まれる。中でも、熱可塑性を制御しやすい観点から、ビニル樹脂であることが好ましい。
<ビニル樹脂>
前記ビニル樹脂は、例えばビニル化合物の重合体であり、その例には、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂及びエチレン−酢酸ビニル樹脂が含まれる。中でも、熱定着時の可塑性の観点から、スチレン・アクリル酸エステル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。
(スチレン・アクリル樹脂)
スチレン・アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成される。スチレン単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有するスチレン誘導体を含む。
((メタ)アクリル酸エステル単量体)
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH(R)=CHCOOR(Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を表す)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、これらのエステルの構造中に公知の側鎖や官能基を有するアクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体を含む。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート及びフェニルアクリレートなどのアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルが含まれる。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とは、「アクリル酸エステル単量体」と「メタクリル酸エステル単量体」との総称であり、それらの一方又は両方を意味する。例えば、「(メタ)アクリル酸メチル」は、「アクリル酸メチル」及び「メタクリル酸メチル」の一方又は両方を意味する。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種でもそれ以上でもよい。例えば、スチレン単量体と2種以上のアクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること、スチレン単量体と2種以上のメタクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること及びスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成すること、のいずれも可能である。
(スチレン単量体)
スチレン単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン及びp−n−ドデシルスチレンが含まれる。
(スチレン・アクリル樹脂の好ましい構成)
前記スチレン・アクリル樹脂の可塑性を制御する観点から、スチレン・アクリル樹脂におけるスチレン単量体に由来する構成単位の含有量は、40〜90質量%の範囲内であることが好ましい。また、前記スチレン・アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、10〜60質量%の範囲内であると好ましい。
(他の単量体)
スチレン・アクリル樹脂は、前記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構成単位を更に含有していてもよい。他の単量体は、多価アルコール由来のヒドロキシ基(−OH)又は多価カルボン酸由来のカルボキシ基(−COOH)とエステル結合する化合物であることが好ましい。すなわち、スチレン・アクリル樹脂は、前記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して付加重合可能であり、かつ、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(両性化合物)が更に重合してなる重合体であることが好ましい。
(両性化合物)
両性化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどのカルボキシ基を有する化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する化合物が含まれる。
(両性化合物に由来する構成単位の好ましい含有量)
前記スチレン・アクリル樹脂における前記両性化合物に由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
(スチレン・アクリル樹脂の合成方法)
前記スチレン・アクリル樹脂は、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法によって合成することができる。油溶性の重合開始剤の例には、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤が含まれる。
(アゾ系又はジアゾ系重合開始剤)
前記アゾ系又はジアゾ系重合開始剤の例には、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルが含まれる。
(過酸化物系重合開始剤)
過酸化物系重合開始剤の例には、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及びトリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンが含まれる。
(水溶性ラジカル重合開始剤)
また、乳化重合法でスチレン・アクリル樹脂の樹脂粒子を合成する場合には、重合開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤の例には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸とその塩及び過酸化水素が含まれる。
(非晶性樹脂の好ましい重量平均分子量)
非晶性樹脂は、その可塑性を制御しやすいという観点から、その重量平均分子量(Mw)が、5000〜150000の範囲内であると好ましく、10000〜70000の範囲内であるとより好ましい。
[結晶性樹脂]
本発明に係る結晶性樹脂とは、結晶性樹脂又はトナー粒子のDSCにおいて、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂とは、このような結晶性樹脂のうち、ポリエステル樹脂であるものをいう。
なお、本発明において、結着樹脂は少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含有するが、本発明の効果発現を阻害しない範囲内で、結晶性ポリエステル樹脂以外の結晶性樹脂も使用できる。なお、そのような結晶性樹脂としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、1種類であってもよく、複数の種類であってもよい。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点)
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、十分な低温定着性と高温保存性とを得る観点から、50〜90℃の範囲内にあることが好ましく、60〜80℃の範囲内にあることがより好ましい。
(融点の測定方法)
結着樹脂の融点は、DSCにより測定することができる。具体的には、試料5mgをアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、昇温、降温、昇温の順に温度を変動させる。
1回目と2回目の昇温時には、10℃/minの昇温速度で0℃から100℃まで昇温させて100℃を1分間保持する。降温時には、10℃/minの降温速度で100℃から0℃まで降温させて0℃の温度を1分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点(Tm)として測定する。
(結晶性ポリエステル樹脂の好ましい重量平均分子量及び数平均分子量)
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が5000〜50000の範囲内にあり、数平均分子量(Mn)が2000〜10000の範囲内にあることは、低温定着性及び最終画像における安定した光沢の発現の観点から好ましい。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgel SuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてTHFを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出する。そして、単分散のポリスチレン標準粒子の10点を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。
(トナー母体粒子における結晶性樹脂の含有量)
トナー母体粒子における結晶性樹脂の含有量は、5〜20質量%の範囲内であることが、良好な低温定着性と高温高湿環境下での転写性とを両立する観点から好ましい。前記含有量が5質量%以上であれば、形成されるトナー画像の低温定着性が十分となる。また、前記含有量が20質量%以下であれば、転写性が十分となる。
<結晶性ポリエステル樹脂の構成>
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。
(ジカルボン酸)
多価カルボン酸の例には、ジカルボン酸が含まれる。このジカルボン酸は、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を更に含んでいてもよい。脂肪族ジカルボン酸は、直鎖型であることが、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から好ましい。
(脂肪族ジカルボン酸)
脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、これらの低級アルキルエステル及びこれらの酸無水物が含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数6〜16の範囲内の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、更に炭素数10〜14の範囲内の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
(芳香族ジカルボン酸)
芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4′−ビフェニルジカルボン酸が含まれる。中でも、入手容易性及び乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸又はt−ブチルイソフタル酸が好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂におけるジカルボンの好ましい含有量)
結晶性ポリエステル樹脂における前記ジカルボン酸由来の構成単位に対する脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位の含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を十分に確保する観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
(ジオール)
前記多価アルコール成分の例には、ジオールが含まれる。ジオールは、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジオールであることが好ましく、それ以外のジオールを更に含んでいてもよい。脂肪族ジオールは、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から、直鎖型であることが好ましい。
(脂肪族ジオール)
前記脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオールが含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両立との効果が得られやすい観点から、炭素数2〜120の範囲内の脂肪族ジオールが好ましく、更に炭素数4〜6の範囲内の脂肪族ジオールがより好ましい。
(その他のジオール)
その他のジオールの例には、二重結合を有するジオール及びスルホン酸基を有するジオールが含まれる。具体的には、二重結合を有するジオールの例には、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが含まれる。
(結晶性ポリエステル樹脂における脂肪族ジオールの好ましい含有量)
結晶性ポリエステル樹脂におけるジオール由来の構成単位に対する脂肪族ジオール由来の構成単位の含有量は、トナーの低温定着性及び最終的に形成される画像の光沢性を高める観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
(ジオールとジカルボン酸との好ましい割合)
結晶性ポリエステル樹脂のモノマーにおける前記ジオールと前記ジカルボン酸との割合は、ジオールのヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]で2.0/1.0〜1.0/2.0の範囲内であることが好ましく、1.5/1.0〜1.0/1.5の範囲内であることがより好ましく、1.3/1.0〜1.0/1.3の範囲内であることが特に好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成)
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を利用して、前記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成することができる。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒)
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物が含まれる。
具体的には、スズ化合物の例には、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ及びこれらの塩が含まれる。チタン化合物の例には、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド;ポリヒドロキシチタンステアレートなどのチタンアシレート;及びチタンテトラアセチルアセトナート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレートが含まれる。ゲルマニウム化合物の例には、二酸化ゲルマニウムが含まれ、アルミニウム化合物の例には、ポリ水酸化アルミニウムなどの酸化物、アルミニウムアルコキシド及びトリブチルアルミネート、が含まれる。
(結晶性ポリエステル樹脂の好ましい重合温度)
結晶性ポリエステル樹脂の重合温度は、150〜250℃の範囲内であることが好ましい。また、重合時間は、0.5〜10時間の範囲内であることが好ましい。重合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
<ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂>
結晶性ポリエステル樹脂として、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド樹脂」ともいう。)を含有していてもよい。ハイブリッド結晶性樹脂を含有させることにより、併用する非晶性樹脂との親和性が向上するため、トナーの低温定着性が向上する。また、結晶性樹脂のトナー中での分散性が向上するため、ブリードアウトを抑制することができる。
ハイブリッド樹脂は、1種でもそれ以上でもよい。また、ハイブリッド樹脂は、前記結晶性ポリエステル樹脂の全量と置き換えられていてもよいし、一部と置き換えられていても併用されていてもよい。
ハイブリッド樹脂は、結晶性ポリエステル重合セグメントと、非晶性重合セグメントとが化学的に結合した樹脂である。結晶性ポリエステル重合セグメントとは、前記結晶性ポリエステル樹脂に由来する部分を意味する。すなわち、前述した結晶性ポリエステル樹脂を構成する分子鎖と同じ化学構造の分子鎖を意味する。また、非晶性重合セグメントとは、前記非晶性樹脂に由来する部分を意味する。すなわち、前述した非晶性樹脂を構成する分子鎖と同じ化学構造の分子鎖を意味する。
(ハイブリッド樹脂の好ましい重量平均分子量(Mw))
ハイブリッド樹脂の好ましい重量平均分子量(Mw)は、十分な低温定着性及び優れた長期保管安定性を確実に両立し得るという観点から、5000〜100000の範囲内であると好ましく、7000〜50000の範囲内であるとより好ましく、8000〜20000の範囲内であると特に好ましい。ハイブリッド樹脂のMwを100000以下とすることにより、十分な低温定着性を得ることができる。一方、ハイブリッド樹脂のMwを5000以上とすることにより、トナー保管時において当該ハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との相溶が過剰に進行することが抑制され、トナー同士の融着による画像不良を効果的に抑制することができる。
(結晶性ポリエステル重合セグメント)
結晶性ポリエステル重合セグメントは、例えば、結晶性ポリエステル重合セグメントによる主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂であってもよいし、結晶性ポリエステル重合セグメントを他成分からなる主鎖に共重合させた構造を有する樹脂であってもよい。当該結晶性ポリエステル重合セグメントは、前述した多価カルボン酸及び多価アルコールから、前述した結晶性ポリエステル樹脂と同様に合成され得る。
(ハイブリッド樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントの含有量)
ハイブリッド樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントの含有量は、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から、80〜98質量%の範囲内であることが好ましく、90〜95質量%の範囲内であるとより好ましく、91〜93質量%の範囲内であることが更に好ましい。なお、ハイブリッド樹脂中(又はトナー中)の各重合セグメントの構成成分及びその含有量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)やメチル化反応熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Py−GC/MS)などの公知の分析方法を利用することにより特定することができる。
(好ましい結晶性ポリエステル重合セグメントの態様)
結晶性ポリエステル重合セグメントは、モノマーに不飽和結合を有するモノマーを更に含むことが、非晶性重合セグメントとの化学的な結合部位を当該セグメント中に導入する観点から好ましい。不飽和結合を有するモノマーは、例えば二重結合を有する多価アルコールであり、その例には、メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸などの二重結合を有する多価カルボン酸;2−ブテン−1,4−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール及び4−オクテン−1,8−ジオールが含まれる。前記結晶性ポリエステル重合セグメントにおける前記不飽和結合を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
前記ハイブリッド樹脂は、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよいが、グラフト共重合体であることが、結晶性ポリエステル重合セグメントの配向を制御しやすくなり、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から好ましく、結晶性ポリエステル重合セグメントが非晶性重合セグメントを主鎖として、グラフト化されていることがより好ましい。すなわち、ハイブリッド樹脂は、主鎖として前記非晶性重合セグメントを有し、側鎖として前記結晶性ポリエステル重合セグメントを有するグラフト共重合体であることが好ましい。
(官能基の導入)
ハイブリッド樹脂には、更にスルホン酸基、カルボキシ基、ウレタン基などの官能基が導入されていてもよい。前記官能基の導入は、前記結晶性ポリエステル重合セグメント中でもよいし、前記非晶性重合セグメント中であってもよい。
(非晶性重合セグメント)
非晶性重合セグメントは、結着樹脂を構成する非晶性樹脂とハイブリッド樹脂との親和性を高める。それにより、ハイブリッド樹脂が非晶性樹脂中に取り込まれやすくなり、トナーの帯電均一性がより一層向上する。ハイブリッド樹脂中(又はトナー中)の非晶性重合セグメントの構成成分及びその含有量は、例えばNMRやメチル化反応Py−GC/MSなどの公知の分析方法を利用することにより特定することができる。
また、非晶性重合セグメントは、本発明に係る非晶性樹脂と同様に、DSCの1度目の昇温過程におけるガラス転移温度(Tg)が、30〜80℃の範囲内であることが好ましく、40〜65℃の範囲内であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、公知の方法(例えば、DSC)で測定することができる。
(好ましい非晶性重合セグメントの態様)
非晶性重合セグメントは、結着樹脂に含まれる非晶性樹脂と同種の樹脂で構成されることが、結着樹脂との親和性を高め、トナーの帯電均一性を高める観点から好ましい。このような形態とすることにより、ハイブリッド樹脂と非晶性樹脂との親和性がより向上し、「同種の樹脂」とは、繰り返し単位中に特徴的な化学結合を有する樹脂同士のことを意味する。
「特徴的な化学結合」とは、物質・材料研究機構(NIMS)物質・材料データベース(http://polymer.nims.go.jp/PoLyInfo/guide/jp/term_polymer.html)に記載の「ポリマー分類」に従う。すなわち、ポリアクリル、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル及びその他のポリマーの計22種によって分類されたポリマーを構成する化学結合を「特徴的な化学結合」という。
また、樹脂が共重合体である場合における「同種の樹脂」とは、共重合体を構成する複数のモノマー種の化学構造において、前記化学結合を有するモノマー種を構成単位としている場合、特徴的な化学結合を共通に有する樹脂同士を意味する。したがって、樹脂自体の示す特性が互いに異なる場合や、共重合体中を構成するモノマー種のモル成分比が互いに異なる場合であっても、特徴的な化学結合を共通に有していれば同種の樹脂とみなす。
例えば、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)と、スチレン、ブチルアクリレート及びメタクリル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)とは、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有しているため、これらは同種の樹脂である。さらに例示すると、スチレン、ブチルアクリレート及びアクリル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)と、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸、テレフタル酸及びフマル酸によって形成される樹脂(又は重合セグメント)とは、互いに共通する化学結合として、少なくともポリアクリルを構成する化学結合を有している。したがって、これらは同種の樹脂である。
非晶性重合セグメントの例には、ビニル重合セグメント、ウレタン重合セグメント及びウレア重合セグメントが含まれる。中でも、熱可塑性を制御しやすいと観点から、ビニル重合セグメントであることが好ましい。ビニル重合セグメントは、本発明に係るビニル樹脂と同様にして合成され得る。
(スチレン単量体に由来する構成単位の好ましい含有量)
非晶性重合セグメントにおけるスチレン単量体に由来する構成単位の含有量は、40〜90質量%の範囲内であることが、ハイブリッド樹脂の可塑性を制御することが容易となる観点から好ましい。また、同様の観点から、非晶性重合セグメントにおける(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有量は、10〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
(両性化合物の好ましい含有量)
さらに、非晶性重合セグメントは、前述した両性化合物をモノマーに更に含有することが、前記結晶性ポリエステル重合セグメントとの化学的な結合部位を前記非晶性重合セグメントに導入する観点から好ましい。非晶性重合セグメントにおける前記両性化合物に由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
(ハイブリッド樹脂における非晶性重合セグメントの好ましい含有量)
前記ハイブリッド樹脂における前記非晶性重合セグメントの含有量は、ハイブリッド樹脂に十分な結晶性を付与する観点から、3〜15質量%の範囲内であることが好ましく、5〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、7〜9質量%の範囲内であることが更に好ましい。
(ハイブリッド樹脂の製造方法)
ハイブリッド樹脂は、例えば、以下に示す第1から第3の製造方法によって製造することができる。
(第1の製造方法)
第1の製造方法は、あらかじめ合成された非晶性重合セグメントの存在下で結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法である。
この方法では、まず、上述した非晶性重合セグメントを構成する単量体(好ましくは、スチレン単量体や(メタ)アクリル酸エステル単量体などのビニル単量体)を付加反応させて非晶性重合セグメントを合成する。次に、非晶性重合セグメントの存在下で、多価カルボン酸と多価アルコールとを重合反応させて結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する。このとき、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させるとともに、非晶性重合セグメントに対し、多価カルボン酸又は多価アルコールを付加反応させることにより、ハイブリッド樹脂が合成される。
前記第1の方法において、結晶性ポリエステル重合セグメント又は非晶性重合セグメント中に、これら重合セグメントが互いに反応可能な部位を組み込むことが好ましい。具体的には、非晶性重合セグメントの合成時、非晶性重合セグメントを構成する単量体の他に、前述した両性化合物も使用する。当該両性化合物が結晶性ポリエステル重合セグメント中のカルボキシ基又はヒドロキシ基と反応することにより、結晶性ポリエステル重合セグメントは、非晶性重合セグメントと化学的かつ定量的に結合する。また、結晶性ポリエステル重合セグメントの合成時、そのモノマーに、前述した不飽和結合を有する化合物を更に含有させてもよい。
前記第1の方法により、非晶性重合セグメントに結晶性ポリエステル重合セグメントが分子結合した構造(グラフト構造)のハイブリッド樹脂を合成することができる。
(第2の製造方法)
第2の製造方法は、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとをそれぞれ形成しておき、これらを結合させてハイブリッド樹脂を製造する方法である。
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する。また、結晶性ポリエステル重合セグメントを合成する反応系とは別に、上述した非晶性重合セグメントを構成する単量体を付加重合させて非晶性重合セグメントを合成する。このとき、結晶性ポリエステル重合セグメント及び非晶性重合セグメントの一方又は両方に、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが互いに反応可能な部位を前述のようにして組み込むことが好ましい。
次に、合成した結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとを反応させることにより、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが分子結合した構造のハイブリッド樹脂を合成することができる。
また、前記反応可能な部位が結晶性ポリエステル重合セグメント及び非晶性重合セグメントのいずれにも組み込まれていない場合は、結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが共存する系において、結晶性ポリエステル重合セグメント及び非晶性重合セグメントの両方と結合可能な部位を有する化合物を投入する方法を採用してもよい。それにより、当該化合物を介して結晶性ポリエステル重合セグメントと非晶性重合セグメントとが分子結合した構造のハイブリッド樹脂を合成することができる。
(第3の製造方法)
第3の製造方法は、結晶性ポリエステル重合セグメントの存在下で非晶性重合セグメントを合成する重合反応を行ってハイブリッド樹脂を製造する方法である。
この方法では、まず、多価カルボン酸と多価アルコールとを縮合反応させて重合を行い、結晶性ポリエステル重合セグメントを合成しておく。次に、結晶性ポリエステル重合セグメントの存在下で、非晶性重合セグメントを構成する単量体を重合反応させて非晶性重合セグメントを合成する。このとき、前記第1の製造方法と同様に、結晶性ポリエステル重合セグメント又は非晶性重合セグメントに、これら重合セグメントが互いに反応可能な部位を組み込むことが好ましい。
前述の方法により、結晶性ポリエステル重合セグメントに非晶性重合セグメントが分子結合した構造(グラフト構造)のハイブリッド樹脂を合成することができる。
前記第1から第3の製造方法の中でも、第1の製造方法は、非晶性樹脂鎖に結晶性ポリエステル樹脂鎖をグラフト化した構造のハイブリッド樹脂を合成しやすいことや生産工程を簡素化できるため好ましい。第1の製造方法は、非晶性重合セグメントをあらかじめ形成してから結晶性ポリエステル重合セグメントを結合させるため、結晶性ポリエステル重合セグメントの配向が均一になりやすい。
〔1.2〕着色剤
本発明に係る静電潜像現像用トナーにおいて、着色剤としては、下記に例示するような有機又は無機の各種、各色の顔料を使用することができ、必要に応じて、色ごとに2つ以上の着色剤を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、ブラックトナー用の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラック等を使用することができる。カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられ、また、磁性体としてはフェライト、マグネタイト等が挙げられる。
イエロートナー用の着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同44、同56、同61、同77、同79、同80、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等が挙げられ、また、顔料としてC.I.ピグメントイエロー1、同3、同5、同11、同12、同13、同14、同15、同17、同62、同65、同73、同74、同81、同83、同93、同94、同97、同138、同139、同147、同150、同151、同154、同155、同162、同168、同174、同176、同180、同183、同185、同191等が挙げられ、これらの混合物も使用することができる。
マゼンタトナー用の着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等が挙げられ、顔料としてC.I.ピグメントレッド2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同13、同15、同16、同21、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同63:1、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同146、同149、同150、同163、同166、同169、同170、同175、同176、同177、同178、同184、同185、同188、同202、同206、同207、同208、同209、同210、同222、同238、同254、同255、同266、同268、同269等が挙げられ、これらの混合物も使用することができる。
シアントナー用の着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等が挙げられ、顔料としてC.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66等が挙げられ、これらの混合物も使用することができる。
着色剤の含有量は、トナー中、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。
着色剤の数平均一次粒子径は、特に制限されないが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
また、着色剤としては、表面改質されたものを使用することもできる。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を用いることができる。
〔1.3〕離型剤
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、離型剤を含む。離型剤の融点は、70〜95℃の範囲内であることが好ましく、75〜95℃の範囲内であることがより好ましい。なお、離型剤の融点は、結着樹脂の融点と同様の方法で測定することができる。
離型剤としては特に制限されず、公知の種々のワックスが用いられる。具体例としては、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、又はエチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等を用いることができる。
本発明に使用可能な離型剤について、更に詳細に述べる。
離型剤として使用できるエステルワックスとは、少なくともエステルを含んでいる。
エステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステルのいずれをも用いることができ、例えば、下記一般式(1)〜(3)で表される構造を有する高級脂肪酸及び高級アルコールのエステル類、下記一般式(4)で表される構造を有するトリメチロールプロパントリエステル類、下記一般式(5)で表される構造を有するグリセリントリエステル類、下記一般式(6)で表される構造を有するペンタエリスリトールテトラエステル類などを挙げることができる。
一般式(1) R−COO−R
一般式(2) R−COO−(CH)−OCO−R
一般式(3) R−OCO−(CH)−COO−R
一般式(1)〜(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数
13〜30の炭化水素基を表す。R及びRは、同一であっても、異なっていてもよい。nは、1〜30の整数を表す。
及びRは、炭素数13〜30の炭化水素基を表すが、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
nは、1〜30の整数を表すが、好ましくは1〜12の整数を表す。
Figure 2021033185
一般式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R〜Rは、同一であっても、異なっていてもよい。なお、R〜Rは、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
Figure 2021033185
一般式(5)中、R〜Rは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R〜Rは、同一であっても、異なっていてもよい。なお、R〜Rは、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
Figure 2021033185
一般式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数13〜30の炭化水素基を表す。R〜Rは、同一であっても、異なっていてもよい。R〜Rは、好ましくは炭素数17〜22の炭化水素基である。
〜Rが有してもよい置換基としては、本発明の効果を阻害しない範囲において特に限定されず、例えば、直鎖又は分岐アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基、非芳香族複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、シリル基、重水素原子等が挙げられる。
前記一般式(1)で表される構造を有するモノエステルの具体例としては、例えば、以下の式(1−1)〜(1−8)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
式(1−1) CH−(CH)12−COO−(CH)13−CH
式(1−2) CH−(CH)14−COO−(CH)15−CH
式(1−3) CH−(CH)16−COO−(CH)17−CH
式(1−4) CH−(CH)16−COO−(CH)21−CH
式(1−5) CH−(CH)20−COO−(CH)17−CH
式(1−6) CH−(CH)20−COO−(CH)21−CH
式(1−7) CH−(CH)25−COO−(CH)25−CH
式(1−8) CH−(CH)28−COO−(CH)29−CH
前記一般式(2)及び一般式(3)で表される構造を有するジエステルの具体例としては、例えば、以下の式(2−1)〜(2−7)及び式(3−1)〜(3−3)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
式(2−1) CH−(CH)20−COO−(CH)−OCO−(CH)20−CH
式(2−2) CH−(CH)18−COO−(CH)−OCO−(CH)18−CH
式(2−3) CH−(CH)20−COO−(CH)−OCO−(CH)20−CH
式(2−4) CH−(CH)22−COO−(CH)−OCO−(CH)22−CH
式(2−5) CH−(CH)16−COO−(CH)−OCO−(CH)16−CH
式(2−6) CH−(CH)26−COO−(CH)−OCO−(CH)26−CH
式(2−7) CH−(CH)20−COO−(CH)−OCO−(CH)20−CH
式(3−1) CH−(CH)21−OCO−(CH)−COO−(CH)21−CH
式(3−2) CH−(CH)23−OCO−(CH)−COO−(CH)23−CH
式(3−3) CH−(CH)19−OCO−(CH)−COO−(CH)19−CH
前記一般式(4)で表される構造を有するトリエステルの具体例としては、例えば、以下の式(4−1)〜(4−6)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
Figure 2021033185
前記一般式(5)で表される構造を有するトリエステルの具体例としては、例えば、以下の式(5−1)〜(5−6)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
Figure 2021033185
前記一般式(6)で表される構造を有するテトラエステルの具体例としては、例えば、以下の式(6−1)〜(6−5)で表される構造を有する化合物を例示することができる。
Figure 2021033185
以上の中でも、エステルとしては、モノエステルであることが好ましい。
また、離型剤に採用可能なエステルワックスは、一つの分子内にモノエステル構造、ジエステル構造、トリエステル構造及びテトラエステル構造の複数が保有された構造のものであってもよい。
また、離型剤としては、以上のエステルの2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(マイクロクリスタリンワックス)
上述のように、本発明に係る離型剤として、マイクロクリスタリンワックスを使用してもよい。
ここで、マイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で、主成分が直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)であるパラフィンワックスとは異なり、直鎖状炭化水素の他に分岐鎖状炭化水素(イソパラフィン)や環状炭化水素(シクロパラフィン)を多く含むワックスをいい、一般に、マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンが多く含有されているために、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、分子量が大きいものである。
このようなマイクロクリスタリンワックスは、炭素数が30〜60の範囲内、重量平均分子量が500〜800の範囲内、融点が60〜90℃の範囲内である。マイクロクリスタリンワックスとしては、重量平均分子量が600〜800の範囲内、融点が60〜85℃の範囲内であるものが好ましい。また、低分子量のもので特に数平均分子量が300〜1000の範囲内のものが好ましく、400〜800の範囲内のものがより好ましい。また、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、1.01〜1.20の範囲内であることが好ましい。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095などのマイクロクリスタリンワックスや、イソパラフィンが主成分であるワックスEMW−0001、EMW−0003などが挙げられる。
マイクロクリスタリンワックスにおける分岐の有無及びその割合は、具体的には、下記条件における13C−NMR測定方法により得られるスペクトルにより、下記式(i)により算出することができる。
式(i):分岐の割合(%)=(C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)×100
(式(i)中、C1は1級炭素原子に係るピーク面積、C2は2級炭素原子に係るピーク面積、C3は3級炭素原子に係るピーク面積、C4は4級炭素原子に係るピーク面積を表す。)
13C−NMR測定方法の条件)
測定装置 :FT NMR装置 Lambda400(日本電子社製)
測定周波数 :100.5MHz
パルス条件 :4.0μs
データポイント:32768
遅延時間 :1.8sec
周波数範囲 :27100Hz
積算回数 :20000回
測定温度 :80℃
溶媒 :ベンゼン−d/o−ジクロロベンゼン−d=1/4(v/v)
試料濃度 :3質量%
試料管 :径5mm
測定モード :H完全デカップリング法
(好ましい離型剤の種類・組み合わせ)
前記例示した離型剤の中でも、本発明においては、少なくとも炭素数が30〜72の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含むことが好ましい。これにより、結晶化温度が好ましい範囲(50〜80℃)としやくすくなり、かつ低温定着性を良好にできる。なお、このような脂肪酸エステルワックスの具体的な例としては、例えば、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
また、離型剤は、炭化水素ワックスを含有することが好ましく、中でも分岐構造を有する炭化水素ワックスであることが好ましい。これは、分岐構造により結晶化が促進されやすくなり、この結果、ΔH(L)を好適に小さくすることができ、ひいては、本発明の効果を好適に発現できるからである。なお、このような分岐構造を有する炭化水素ワックスの具体例としては、例えば、マイクロクリスタリンHNP0190等が挙られるがこれに限定されない。
さらに、離型剤は、少なくとも炭化水素ワックス及び炭素数が30〜72の範囲内の脂肪酸エステルワックスを含有することがより好ましい。これにより、結晶化温度をより好ましい範囲にでき、かつ低温定着性がより良好にできる。また、離型剤として、少なくとも、炭化水素ワックス及び炭素数が30〜72の脂肪酸エステルワックスを含むことで、結晶化温度の低い脂肪酸エステルに結晶化温度の高い炭化水素ワックスが混合することとなる。さらに、脂肪酸エステルの結晶化を促進しΔH(L)を好適に小さくすることができ、ひいては、本発明の効果を好適に発現できる。
離型剤の含有量は、トナー中、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。離型剤の添加量が0.1質量%以上であれば、定着部材と画像の剥離不良による画像欠陥の抑制の点で好ましい。また、離型剤の添加量が30質量%以下であれば、良好な画質を得ることができる点で好ましい。
〔1.4〕その他の添加剤
[帯電制御剤]
上記帯電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体及びサリチル酸金属塩又はその金属錯体が含まれる。上記帯電制御剤は1種でもそれ以上でもよい。
[界面活性剤]
上記界面活性剤の例には、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系などのアニオン系界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型などのカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン系界面活性剤が含まれる。上記界面活性剤は、1種でもそれ以上でもよい。
上記アニオン系界面活性剤の具体例には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが含まれる。上記カチオン系界面活性剤の具体例には、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドが含まれる。非イオン系界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
〔1.5〕外添剤
トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するために、トナー母体粒子表面に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤を添加する。
本発明に係る外添剤は、1種でもそれ以上でもよい。当該外添剤としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子を使用できる。
上記外添剤は、ゾル・ゲル法で作製されたシリカ粒子を含むことがより好ましい。ゾル・ゲル法で作製されたシリカ粒子は、粒子径分布が狭いという特徴を有しているので、トナー母体粒子に対する外添剤の付着強度のバラツキを抑制する観点から好ましい。
また、上記シリカ粒子の個数平均一次粒子径は、70〜200nmであることが好ましい。個数平均一次粒子径が上記範囲内にあるシリカ粒子は、他の外添剤に比べて粒子径が大きい。したがって、二成分現像剤においてスペーサーとしての役割を有する。よって、二成分現像剤が現像装置中で撹拌されているときに、より小さな他の外添剤がトナー母体粒子に埋め込まれることを防止する観点から好ましい。また、トナー母体粒子同士の融着を防止する観点からも好ましい。
上記外添剤の個数平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した画像の画像処理によって求めることが可能であり、例えば、分級や分級品の混合などによって調整することが可能である。
上記外添剤は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。当該表面処理剤は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、又はそのエステル化物及びロジン酸が含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシランが含まれる。上記シリコーンオイルの例には、環状化合物や、直鎖状又は分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、が含まれる。
また、上記シリコーンオイルの例には、側鎖又は片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが含まれる。上記変性基の種類は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、アルコキシ、カルボキシ、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル及びアミノが含まれる。
上記外添剤の添加量は、トナー粒子全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
〔1.6〕トナー粒子の物性
[トナー粒子の構造]
本発明に係るトナー母体粒子は、トナー粒子のみの単層構造であってもよいが、コア・シェル構造を有することが好ましい。これにより、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできる。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子とは、コア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェルとを備える多層構造を有するトナー母体粒子をいう。シェルは、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などの公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェルでガラス転移点、融点、硬度などの特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤などを含有し、ガラス転移点が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェルを形成することができる。シェルには、上述したように非晶性ポリエステル樹脂を使用することができ、中でもスチレン・アクリル樹脂により変性された非晶性ポリエステル樹脂を好ましく使用することができる。
[トナー粒子の平均粒径]
トナー粒子の平均粒径としては、体積基準のメジアン径(d50)が3〜15μmの範囲にあることが好ましく、4〜8μmの範囲にあることがより好ましく、4〜7μmの範囲であることがさらに好ましい。
上記範囲内にあれば、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像であっても高い再現性が得られる。
なお、トナー粒子の平均粒径は、製造時に使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径(d50)の測定には、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いることができる。
具体的には、測定試料(トナー)を、界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を行い、トナー粒子分散液を調製する。このトナー粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmとし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径(d50)として得る。
[トナー粒子の平均円形度]
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.945〜0.985の範囲内であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
上記平均円形度は、次のようにして測定することができる。メジアン径を測定する場合と同様にして、トナーの分散液を調製する。FPIA−2100、FPIA−3000(いずれもシスメックス株式会社製)等によって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液の撮影を行い、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。下記式(y)中、L1は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長(μm)を表し、L2は、粒子投影像の周囲長(μm)を表す。
式(y) 円形度=L1/L2
〔2〕トナー母体粒子の製造方法
本発明に係る静電潜像現像用トナーを製造する際には、トナー母体粒子を、例えば、乳化凝集法によって製造することができる。
本発明に係るトナー母体粒子を、乳化凝集法によって製造する場合の製造方法は、例えば、結晶性樹脂微粒子を含む分散液(a)及び非晶性樹脂微粒子を含む分散液(b)を水系媒体に添加して混合分散液を調製する工程と、混合分散液を昇温して非晶性樹脂微粒子及び結晶性樹脂微粒子を凝集かつ融着させてトナー母体粒子を形成する工程と、を含む。なお、本明細書において、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを言い、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
上記製造方法は、例えば、以下の各工程を含む構成とすることができる。ここで、以下の例は、結晶性樹脂微粒子が結晶性ポリエステル樹脂微粒子であり、さらにトナー母体粒子が着色剤を含有するものである場合について記載したものであり、本発明の技術的範囲がこれらの形態に限定されるわけではない。
(1)着色剤粒子が分散されてなる着色剤粒子分散液の調製工程、
(2)結晶性ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解し、水系分散媒中に乳化分散させ、有機溶媒を除去することにより結晶性ポリエステル樹脂微粒子を含む分散液を調製する、分散液(a)の調製工程、
(3)離型剤を含有する非晶性樹脂微粒子を含む分散液(b)を調製する、分散液(b)の調製工程、
(4)上記(1)〜(3)で調製した各分散液を水系媒体に添加して混合分散液を調製する、混合分散液の調製工程、
(5)上記(4)で調製した混合分散液を昇温して非晶性樹脂微粒子及び結晶性樹脂微粒子を凝集させてトナー母体粒子を形成する凝集粒子形成工程、
(6)上記(5)で形成された凝集粒子を熱エネルギーにより融着させて形状を制御し、トナー母体粒子を得る融着工程、
(7)トナー母体粒子の分散液を冷却する冷却工程、
(8)水系媒体からトナー母体粒子を濾別し、当該トナー母体粒子から界面活性剤等を除去する濾過・洗浄工程、
(9)洗浄されたトナー母体粒子を乾燥する乾燥工程。
上述した各工程を実施するにあたっては、従来公知の知見が適宜参照されうる。
例えば、上述した結晶性樹脂微粒子を含む分散液(a)や、非晶性樹脂微粒子を含む分散液(b)については、機械的せん断力によって乳化させる方法等の種々の乳化方法を用いて調製することができるが、転相乳化法と称される手法を用いて調製することが好ましい。特に、分散液(a)については、転相乳化法により調製されたものを用いると、ポリエステルのカルボキシ基の安定性を変化させることによって油滴を均一分散させることができ、機械乳化法のように無理矢理せん断力で分散させない点で優れている。「転相乳化法」では、有機溶媒に樹脂を溶解し、樹脂溶解液を得る溶解工程と、樹脂溶解液に中和剤を投入する中和工程と、中和後の樹脂溶解液を水系分散媒中に乳化分散させ、樹脂乳化液を得る乳化工程と、樹脂乳化液から有機溶媒を除去する脱溶媒工程と、を経ることで、樹脂微粒子の分散液が得られる。
なお、分散液中の樹脂微粒子の粒径は、中和剤添加量を変更することによって制御可能である。上記結晶性樹脂微粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径として、100〜300nmであることが好ましい。当該平均粒径の測定方法は、後述の実施例に記載したとおりである。
また、上記のトナー母体粒子をコアとして、その表面にシェル層を設けることによって、コア・シェル構造のトナー母体粒子とすることもできる。コア・シェル構造とすることによって、耐熱保管性と低温定着性をさらに向上させることができる。
コア・シェル構造のトナー母体粒子を製造するには、例えば、上述した製造方法において、上記(5)の凝集粒子形成工程の後に、以下の工程:
(5´)上記(5)で調製したトナー母体粒子をコア粒子として用い、非晶性樹脂微粒子を含むシェル用分散液(c)を混合分散液に添加して、上記コア粒子の表面にシェルを形成する工程、を実施し、次いで上記(6)以降の工程を実施することとすればよい。
[着色剤粒子分散液の調製工程]
(顔料粒子分散液の調製方法)
着色剤として顔料を使用する場合において、顔料粒子を水系媒体中に分散させる際には、顔料粒子の水系媒体分散液を調製し、該分散液と、樹脂粒子の水系媒体分散液とを用いて、凝集・融着を行うことが好ましい。
顔料粒子の水系媒体分散液を調製する際に用いられる水系媒体は、上記で説明した通りであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂微粒子等が添加されていてもよい。
顔料粒子の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記で挙げたように、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、あるいは、高圧衝撃式分散機アルティマイザー等が挙げられ、具体的には、例えば(株)スギノマシン製、HJP30006等を挙げることができる。
[離型剤を含有する結着樹脂粒子分散液の調製工程]
離型剤を含有する結着樹脂粒子分散液の調製方法としては、乳化重合法、ミニエマルション法が好ましい。
例えば、結着樹脂を構成する重合性単量体と、離型剤を混合して、混合液を調製し、界面活性剤と重合開始剤を加えた水系媒体を加熱し、加熱した水系媒体中に上記の混合液を添加する。そして、機械的に攪拌することで混合分散し、重合性単量体を乳化重合することで、離型剤を含有した結着樹脂粒子を得ることができる。
さらに必要により、得られた離型剤を含有した結着樹脂粒子に、重合性単量体もしくは重合性単量体と離型剤の混合液を添加し、重合性単量体を重合する工程を繰り返すことで、コア・シェル構造の離型剤を含有する結着樹脂粒子を得ることができる。
重合性単量体の水系媒体への混合や重合の際には、重合性単量体の分散を良好なものとし、重合が円滑に進行するように、機械的エネルギーを用いて攪拌しながら行うことが好ましい。かような機械的エネルギーを付与する機器としては、ホモジナイザー、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機、アルティマイザー等の分散機が挙げられる。
重合性単量体の重合は、常圧、減圧、加圧のいずれでも行うことができるが、好ましくは常圧(又はその近傍、通常±10mmHg)で行う。また、重合温度は、特に限定されず、重合性単量体の重合が進行する範囲において、適宜選択することができる。重合温度としては、例えば、50℃以上150℃以下であることが好ましく、60℃以上130℃以下であることがより好ましい。さらに、重合時間も、重合性単量体の重合が進行する範囲において、適宜選択することができ、例えば、0.5〜5時間であることが好ましく、0.5〜3時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体及び重合開始剤の水系媒体への添加順序は、特に限定されるものではなく、(1)重合開始剤を水系媒体に添加した後、重合性単量体(添加物)を添加する方法、(2)重合性単量体(混合物)を水系媒体に添加した後、重合開始剤を添加する方法、のどちらであってもよい。
第1段階の重合において、離型剤を含まない場合には、簡便性の観点から、(1)重合開始剤を水系媒体に添加した後、重合性単量体(混合物)を添加する方法が好ましく、重合性単量体(混合物)を滴下しながら添加することがより好ましい。
一方、第1段階の重合において、離型剤を単量体とともに分散させる際には、(2)重合性単量体(混合物)及び離型剤を水系媒体に添加した後、重合開始剤を添加する方法が好ましい。離型剤の分散性を良好にするために、離型剤及び第1の重合性単量体の混合物を水系媒体に添加した後、機械的エネルギーを付与して攪拌することが好ましく、ホモジナイザー、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機、アルティマイザー等の分散機を用いることが好ましい。分散機としては市販品を用いることもでき、例えば、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)を用いることができる。乳化重合の際には、界面活性剤を用いて、第1の重合性単量体及び離型剤を乳化・分散させることが好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があり、スルホン酸塩には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、o−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等がある。
硫酸エステル塩には、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム等がある。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル、等がある。
これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
(連鎖移動剤)
結着樹脂の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、タービノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等がある。
(重合開始剤)
重合性単量体の重合は、ラジカル重合剤の存在下で行うことが好ましい。
重合性単量体を重合する際に用いられる重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、公知の重合開始剤を使用することができる。乳化重合法で樹脂微粒子を形成する場合は、水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等がある。本実施形態では、乳化重合法を好適に使用するため、過硫酸カリウム(KPS)がより好ましい。
重合開始剤の添加量は、重合が進行するように適宜設定されるが、重合時の重合性単量体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
(樹脂微粒子)
重合により得られた樹脂微粒子の体積平均粒子径は、50〜400nmであることが好ましく、60〜200nmであることがより好ましい。
[凝集工程と融着工程]
凝集工程(上記の凝集粒子形成工程)においては、離型剤を含有する結着樹脂粒子分散液と結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と着色剤分散液を水系媒体中に投入し、混合した混合分散液を調整し、この混合分散液中に凝集剤を添加して、離型剤を含有する結着樹脂粒子、結晶性ポリエステル樹脂粒子、着色剤を凝集させる。
凝集性付与のために、凝集剤の添加前に、予め水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を樹脂微粒子の分散液に加えて、pHを9〜12に調整しておくことが好ましい。
次いで、分散液に、凝集剤を添加する。添加温度及び添加速度は、特に限定されるものではないが、25〜35℃で5〜15分かけて攪拌しながら添加することが好ましい。
使用可能な凝集剤は、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、銅等の2価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属の塩等がある。具体的な塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。上述した凝集剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
凝集剤の使用量は、分散液中の固形分全量100質量部に対して、5〜30質量部が適当である。
凝集させる際には、凝集剤を添加した後に分散液を放置する放置時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。放置時間は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内であり、より好ましくは2〜6分である。凝集剤を添加する温度は特に限定されないが、結着樹脂のガラス転移温度以下であることが好ましい。
凝集させる際には、加熱、昇温することが好ましい。加熱温度は70〜95℃の範囲で行い、昇温速度としては1〜15℃/分の範囲で行うことが好ましい。
凝集粒子が所望の粒径になったところで、反応系内の各種の粒子の凝集を停止させてもよい。凝集の停止は、pH調整することができるキレート化合物や、塩化ナトリウム等の無機塩化合物等の凝集停止剤を添加することにより、行われる。体積基準メジアン径は、例えば、コールター・ベックマン社製コールターマルチサイザー3によって測定することができる。
融着工程は、上記の凝集工程で得られた凝集粒子を融着する工程であり、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で行うことが好ましい。そして、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度に到達した後に、分散液の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させる。これにより、粒子の成長(樹脂粒子の凝集)と、凝集粒子中の樹脂粒子の融着とを効果的に進行させることができる。保持時間としては、融合される程度行えばよく、融着時の最高温度で0.5〜10時間程度保持すればよい。
凝集工程と融着工程は、トナー母体粒子が所望の体積基準メジアン径や円形度になるまで行うことが好ましい。トナー母体粒子の成長の停止は、塩化ナトリウム水溶液等を添加して行うことができる。
トナー母体粒子を得る工程は、離型剤を含有する樹脂粒子を凝集し、融着させる工程を、複数回行うことが好ましい。凝集し融着させる工程を複数回行うことにより、多層構造のトナー母体粒子となって、離型剤をトナー母体粒子中の適切な位置に分散させることが可能となる。
[冷却工程]
融着工程の後の冷却工程においては、0〜45℃まで冷却することが好ましい。
融着して得た融着粒子は、濾過等の固液分離工程や、必要に応じて、洗浄工程、乾燥工程を経て、トナー母体粒子とすることができる。
[濾過・洗浄工程]
この濾過・洗浄工程では、冷却されたトナー母体粒子の分散液から、水等の溶媒を用いて、トナー母体粒子を固液分離してトナー母体粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー母体粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤等の付着物を除去する洗浄処理とが施される。具体的に、固液分離及び洗浄の方法としては、遠心分離法、アスピレータ、ヌッチェ等を使用する減圧濾過法、フィルタープレス等を使用する濾過法、等が挙げられ、これらは特に限定されるものではない。この濾過・洗浄工程においては、適宜、pH調整や粉砕等を行ってもよい。このような操作は繰り返し行ってもよい。
[乾燥工程]
この乾燥工程は、洗浄処理されたトナー母体粒子に乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、オーブン、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機等が挙げられ、これらは特に限定されるものではない。なお、乾燥処理された粒子中のカールフィッシャー電量滴定法にて測定される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
また、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集して凝集体を形成している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、コーミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式解砕装置を使用することができる。
〔3〕静電潜像現像用現像剤
上記トナーは、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子及びキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%である。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子の例には、当該磁性体からなる芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子及び樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子、が含まれる。上記キャリア粒子は、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
上記芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質、によって構成される。当該磁性体は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、鉄、ニッケル及びコバルトなどの強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物及び熱処理することにより強磁性を示す合金、が含まれる。
上記強磁性を示す金属又はそれを含む化合物の例には、鉄、下記式(a)で表されるフェライト及び下記式(b)で表されるマグネタイト、が含まれる。式(a)、式(b)中のMは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiの群から選ばれる一以上の1価又は2価の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金又は金属酸化物の例には、マンガン−銅−アルミニウム及びマンガン−銅−スズなどのホイスラー合金及び二酸化クロム、が含まれる。
上記芯材粒子は、上記フェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像装置内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
上記被覆材は、1種でもそれ以上でもよい。被覆材には、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材は、シクロアルキル基を有する樹脂であることが、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点及び被覆層の芯材粒子との密着性を高める観点、から好ましい。当該シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が含まれる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、被覆層とフェライト粒子との密着性の観点からシクロヘキシル基がより好ましい。
上記シクロアルキル基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば10000〜800000であり、より好ましくは100000〜750000である。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば10〜90質量%である。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、P−GC/MSやH−NMRなどの公知の機器分析法を利用して求めることが可能である。
上記二成分現像剤は、上記トナー粒子と上記キャリア粒子とを適量混合することによって製造することができる。当該混合に用いられる混合装置の例には、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機が含まれる。
また、上記キャリア粒子の大きさ及び形状も、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。例えば、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、15〜100μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜60μmの範囲内である。当該キャリア粒子の体積平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(Sympatec社製)を用いて湿式にて測定することができる。また、上記キャリア粒子の体積平均粒径は、例えば、芯材粒子の製造条件による芯材粒子の粒径を制御する方法や、キャリア粒子の分級、キャリア粒子の分級品の混合などによって調整することが可能である。
〔4〕電子写真画像形成方法及び装置
本発明の電子写真画像形成方法は、少なくとも、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを用いる電子写真画像形成方法であって、本発明の静電潜像現像用トナーセットを用いることを特徴とする。
また、本発明の電子写真画像形成方法は、少なくとも、潜像形成工程、現像工程、中間転写工程、転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を有する画像形成方法であって、すなわち、本発明の電子写真画像形成方法は以下の各工程を有する。
1)静電荷像担持体の表面を帯電する帯電工程と、
2)当該静電荷像担持体の表面を露光することにより、静電潜像を静電荷像担持体上に形成する潜像形成工程と、
3)当該静電潜像を静電潜像現像用トナーを含む現像剤により顕像化しトナー像を形成する現像工程と、
4)当該トナー像を中間転写体上に転写する中間転写工程及び画像形成支持体に転写する転写工程と、
5)当該画像形成支持体上に形成されたトナー像の定着工程と、
6)残存静電潜像現像用トナーをクリーニングブレードを用いて除去するクリーニング工程と、
を有する。
静電荷像担持体(電子写真感光体、単に感光体ともいう。)は、電子写真方式の公知の種々の画像形成方法において用いることができる。例えば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、一つの感光体とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置及び感光体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。
本発明の電子写真画像形成方法としては、具体的には、前記感光体を使用して、感光体上に帯電装置にて帯電(帯電工程)し、像露光(露光工程)することにより形成された静電潜像を、現像装置を用いて現像(現像工程)することにより顕像化させてトナー画像を得る。このトナー画像をコピー用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写(転写工程)し、その後、除電工程を経て、次の画像形成のサイクルが行われる。転写ベルト等の転写媒体上に転写されたトナー画像は、コピー用紙上に転写され、コピー用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着(定着工程)させることにより、可視画像を得る。転写工程の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニングブレード(ゴムブレード)等により除去(クリーニング工程)される。このクリーニング工程は、除電工程の前でも後であってもよいが、除電工程が光照射による除電の場合は、クリーニング工程の後の方が、感光体上に残留するトナーが除電光の吸
収を妨げることがないので、効果的に除電が行えるので好ましい。
なお、前記感光体が硬化型表面層を有することで、感光体の耐久性が向上するなどの利点がある反面、感光体の表面層が削れにくいために、感光体の表面にフィルミングなどが発生しやすい現像剤を用いた場合には、画像不良が発生することがある。本発明の静電潜像現像用トナーセットを用いることで感光体のフィルミングなどの発生を抑制することが可能となり、フィルミングやブレードの摩耗などに起因する感光体ユニットの交換を行う頻度も下げることが可能になり、硬化型表面層の感光体を用いる利点を最大化することが可能となる。
硬化型表面層は、前記感光体の外周面上の外周面上に形成され、アンチモンドープの酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属酸化物微粒子と、(メタ)アクリレートモノマー、及び、当該(メタ)アクリレートモノマー以外の多官能(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られることが好ましい。
前記金属酸化物微粒子が、表面処理を施された金属酸化物微粒子からなることが好ましい。
[電子写真画像形成装置]
次いで、具体的な電子写真画像形成方法について、電子写真画像形成装置を用いて説明する。
電子写真画像形成装置は、前記感光体を使用して、感光体上に帯電装置にて帯電する帯電手段、像露光することにより形成された静電潜像を形成する露光手段、現像装置を用いて現像することにより顕像化させてトナー画像を得る現像手段、このトナー画像を用紙又は転写ベルト等の転写媒体上に転写する転写手段、及び除電手段を有している。コピー用紙上に直接転写されたトナー画像及び転写ベルト等の転写媒体を経て用紙上に転写されたトナー画像は接触加熱方式等の定着処理によってコピー用紙に定着する定着手段により可視画像を得る。転写の後、感光体上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニングブレード等のクリーニング手段によりにより除去される。
<記録媒体>
本発明の電子写真画像形成方法で用いられる記録媒体(記録材、記録紙、記録用紙等ともいう)は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、又は、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、又はそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
<画像形成装置>
本発明の電子写真画像形成方法は、従来公知の電子写真方式の画像形成装置を用いることで行うことができる。
画像形成装置としては、感光体、当該感光体に静電潜像を形成する手段、当該静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する手段、形成されたトナー像を用紙に転写する手段、転写されたトナー像を用紙上に定着する手段等を有する。
図4は、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン又は黒のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、これらの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにおいて形成された各色のトナー像を用紙P上に転写する中間転写ユニット7と、用紙Pに対してトナー像を定着させる定着手段24とを備える画像形成装置本体100Aを有する。また、当該画像形成装置本体100Aの上部に、原稿を光学的に走査して画像情報をデジタルデータ(原稿画像データ)として読み取るための原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット10M、10C、10Bkは、各々、イエロートナーに代えて、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーによってトナー像を形成するものであり、基本的には画像形成ユニット10Yと同様の構成を有するものである。したがって、以下、画像形成ユニット10Yを例に取って説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体であるドラム状の感光体1Yの周囲に、当該感光体1Yの表面に一様な電位を与える帯電手段2Y、一様に帯電された感光体1Y上に露光用画像データ信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する露光手段3Y、トナーを感光体1Y上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段4Y、一次転写後に感光体1Y上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段6Yが配置されてなり、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。なお、現像手段4Yには、形成される画像の温度変化法による70℃の画像表面抵抗値が5×1013Ω以下となるように、例えば外添剤含有量が調整されたトナーが装填されている。
帯電手段2Yとしては、コロナ放電型の帯電器が用いられている。
露光手段3Yとしては、露光光源として発光ダイオードを用いた、例えば感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光ダイオードからなる発光素子が配列されたLED部と結像素子とから構成される光照射装置や、露光光源として半導体レーザーを用いた、レーザー光学系のレーザー照射装置等よりなる。図4に示す画像形成装置100においては、レーザー照射装置が設けられている。
露光手段3Yにおいては、発振波長が350〜850nmの半導体レーザー又は発光ダイオードを、露光光源として用いた装置からなることが望ましい。このような露光光源を、書き込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込んで用い、感光体1Y上にデジタル露光を行うことにより、600dpiから2400dpi、又はそれ以上の高解像度の電子写真画像を得ることができる。
露光手段3Yにおける露光方法としては、半導体レーザーを用いた走査光学系であっても良く、LEDによる固体型であっても良い。
中間転写ユニット7は、複数の支持ローラー71〜74により張架され、循環移動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70と、それぞれ画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkによって形成されたトナー像を中間転写体70に転写するための一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkによって中間転写体70上に転写されたトナー像を用紙P上に転写する二次転写ローラー5bと、中間転写体70上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段6bとを有する。
中間転写ユニット7における一次転写ローラー5Bkは、画像形成処理中の常時、感光体1Bkに当接されており、他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cは、カラー画像を形成する場合にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接される。
また、二次転写ローラー5bは、ここを用紙Pが通過して二次転写が行われるときにのみ、中間転写体70に当接される。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラー241、この加熱ローラー241に定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラー242等を備えて構成されている。
以上のような画像形成装置100においては、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面が帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより帯電される。そして、露光手段3Y、3M、3C、3Bkが、原稿画像読み取り装置SCによって得られた原稿画像データに各種の画像処理等が施されて得られた各色の露光用画像データ信号に従って動作される。具体的には、当該露光用画像データ信号に対応して変調されたレーザー光が露光光源から出力され、このレーザー光によって当該感光体1Y、1M、1C、1Bkが走査露光される。これにより、原稿画像読み取り装置SCにより読み取られた原稿に対応したイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応した静電潜像が各感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成される。
次いで、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成された静電潜像が、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより各色のトナーで現像されることにより各色のトナー像が形成される。そして、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより各色のトナー像が中間転写体70上に逐次転写されて重ね合わされて合成され、カラートナー像が形成される。
さらに、カラートナー像の形成に同期して、給紙カセット20内に収容された用紙Pが、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D及びレジストローラー23を経て、二次転写ローラー5bに搬送される。そして、当該用紙P上に、二次転写ローラー5bによって中間転写体70上に転写されたカラートナー像が一括して転写される。
用紙P上に転写されたカラートナー像は、定着手段24により加熱及び加圧が施されることで定着され、可視画像(トナー層)が形成される。その後、可視画像が形成された用紙Pが、排紙ローラー25によって排出口26から機外に排出されて排紙トレイ27上に載置される。
各色のトナー像を中間転写体70に転写させた後の感光体1Y、1M、1C、1Bkは、それぞれクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkにより当該感光体1Y、1M、1C、1Bkに残留したトナーが除去された後に、次の各色のトナー像の形成に供される。
一方、二次転写ローラー5bにより用紙P上にカラートナー像を転写し、用紙Pが曲率分離された後の中間転写体70は、クリーニング手段6bにより当該中間転写体70上に残留したトナーが除去された後に、次のトナー像の中間転写に供される。
以上のような画像形成装置において使用されるトナーとして、本発明の静電潜像現像用トナーセットを用いることで、低温定着性実現しながら、高転写効率・高画質性、クリーニング性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《トナーの製造》
[非晶性樹脂微粒子分散液(非晶性分散液)1の調製]
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該反応容器の内温を80℃に昇温させた。昇温後、得られた混合液に過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、得られた混合液の温度を再度80℃とした。当該混合液に、下記組成からなる単量体混合液1を1時間かけて滴下後、80℃にて前記混合液を2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液a1を調製した。
(単量体混合液1)
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、当該溶液を80℃に加熱後、80質量部の樹脂微粒子の分散液a1(固形分換算)と、下記組成からなる単量体及び離型剤を90℃にて溶解させた単量体混合液2とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CLEARMIX」は同社の登録商標)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。下記炭化水素ワックス1は、離型剤であり、その融点は82℃である。
(単量体混合液2)
スチレン 285質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
炭化水素ワックス1(C80(サゾール社製)) 190質量部
次いで、前記分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、得られた分散液を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液a2を調製した。
(3)第3段重合
さらに、樹脂微粒子の分散液a2にイオン交換水400質量部を添加し、十分に混合した後、得られた分散液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、前記分散液を2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ビニル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)からなる非晶性樹脂微粒子分散液(以下、「非晶性分散液」ともいう。)1を調製した。
(単量体混合液3)
スチレン 307質量部
n−ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
得られた非晶性分散液1について物性を測定したところ、非晶性樹脂微粒子の体積基準のメジアン径(d50)は220nmであり、ガラス転移温度(Tg)は46℃であり、重量平均分子量(Mw)は32000であった。
[非晶性樹脂微粒子分散液2〜7の調製]
第2段重合における炭化水素ワックス1を表1に示す離型剤に変更した以外は非晶性分散液1の調製と同様にして、非晶性樹脂微粒子分散液(非晶性分散液)2〜7のそれぞれを得た。
Figure 2021033185
[結晶性ポリエステル樹脂1の合成]
セバシン酸281質量部及び1,10−デカンジオール283質量部を、撹拌器、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れた。反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、Ti(OBu)を0.1質量部添加し、得られた混合液を窒素ガス気流下、約180℃で8時間撹拌し、反応を行った。さらに、当該混合液にTi(OBu)を0.2質量部添加し、当該混合液の温度を約220℃に上げ6時間、当該混合液を撹拌し、反応を行った。その後、反応容器内の圧力を1333.2Paまで減圧し、減圧下で反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。結晶性ポリエステル樹脂1の数平均分子量(Mn)は5500であり、重量平均分子量(Mw)は18000であり、融点(Tm)は70℃であった。
[結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)1の調製]
結晶性ポリエステル樹脂1を30質量部溶融させた状態で、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)へ毎分100質量部の移送速度で移送した。同時に、濃度0.37質量%の希アンモニア水を熱交換機で100℃に加熱しながら毎分0.1リットルの移送速度で前記乳化分散機へ移送した。前記希アンモニア水は、水性溶媒タンクにおいて試薬アンモニア水70質量部をイオン交換水で希釈して調製した。そして、前記乳化分散機を、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm(490kPa)の条件で運転することにより、固形分量が30質量部である結晶性ポリエステル樹脂1の結晶性樹脂微粒子分散液(結晶性分散液)1を調製した。結晶性分散液1に含まれる結晶性ポリエステル樹脂1の粒子の体積基準のメジアン径(d50)は200nmであった。
[着色剤分散液C1の調製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、420質量部のC.I.ピグメントブルー18:3を徐々に添加した。
次いで、得られた分散液を、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液(着色剤分散液)C1を調製した。着色剤分散液C1における体積基準のメジアン径d50を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
[着色剤分散液Y1の調製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、420質量部のC.I.ピグメントイエロー74を徐々に添加した。
次いで、得られた分散液を、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液(着色剤分散液)Y1を調製した。着色剤分散液Y1における体積基準のメジアン径d50を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
[着色剤分散液M1の調製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、各140質量部のC.I.ピグメントレッド122、269、48:3を徐々に添加した。
次いで、得られた分散液を、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液(着色剤分散液)M1を調製した。着色剤分散液M1における体積基準のメジアン径d50を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、200nmであった。
[着色剤分散液B1の調製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、各420質量部のカーボンブラックを徐々に添加した。
次いで、得られた分散液を、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液(着色剤分散液)B1を調製した。着色剤分散液B1における体積基準のメジアン径d50を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
[シェル用非晶性樹脂1の合成]
両性化合物(アクリル酸)を含む下記組成からなる、単量体混合液6を滴下ロートに入れた。なお、ジ−t−ブチルパーオキサイドは、重合開始剤である。
(単量体混合液6)
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
アクリル酸 10質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 16質量部
また、下記の重縮合系セグメント(非晶性ポリエステルセグメント)の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
次いで、得られた溶液に、撹拌下で単量体混合液6を90分間かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて単量体混合液6の成分のうちの未反応のモノマーを四つ口フラスコ内から除去した。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を四つ口フラスコ内に0.4質量部投入し、当該四つ口フラスコ中の混合液を235℃まで昇温し、常圧下(101.3kPa)にて5時間、更に減圧下(8kPa)で1時間の条件で反応を行い、シェル用非晶性樹脂s1を得た。
[シェル用樹脂微粒子分散液(シェル用分散液)1の調製]
100質量部のシェル用非晶性樹脂s1を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。
得られた混合液を、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社日本精機製作所製)によって、V−LEVELが300μAの条件で30分間超音波分散した。
その後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を用いて前記混合液を減圧下で3時間撹拌して酢酸エチルを完全に除去した。こうして、固形分量が13.5質量%のシェル用非晶性樹脂微粒子分散液(シェル用分散液)1を調製した。シェル用分散液1におけるシェル用樹脂粒子の体積基準のメジアン径(d50)は160nmであった。
[カラートナーC1の製造]
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、288質量部の非晶性分散液1(固形分換算)及び2000質量部のイオン交換水2000質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して当該反応容器中の分散液のpHを10(測定温度25℃)に調整した。
前記分散液に、30質量部の着色剤分散液C1(固形分換算)を投入した。次いで、凝集剤として塩化マグネシウム30質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて前記分散液に添加した。得られた混合液を80℃まで昇温し、40質量部の結晶性分散液1(固形分換算)を10分間かけて前記混合液に添加して凝集を進行させた。
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて前記混合液中で会合した粒子の粒径を測定し、当該粒子の体積基準のメジアン径d50が6.0μmになった時点で、37質量部のシェル用分散液1(固形分換算)を前記混合液に30分間かけて投入した。得られた反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を前記反応液に添加して粒子成長を停止させた。
さらに、前記反応液を80℃に加熱し撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、前記反応液中の粒子を測定装置「FPIA−2100」(シスメックス株式会社製)を用いて(HPF検出数を4000個)測定し、当該粒子の平均円形度が0.945になった時点で2.5℃/分の冷却速度で前記反応液を30℃に冷却した。
次いで、冷却した前記反応液から前記粒子を分離、脱水し、得られたケーキを、イオン交換水への再分散と固液分離とを3回繰り返して洗浄し、その後、40℃で24時間乾燥させることにより、カラートナー母体粒子C1を得た。
100質量部のカラートナー母体粒子C1に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、これらを「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去した。このような外添剤処理を行って、静電潜像現像用のカラートナー母体粒子C1の集合体であるカラートナーC1を製造した。
[各トナーの製造]
非晶性分散液1を、下記表に示す非晶性分散液に変更すること、また着色剤分散液C1を下記表に示す着色剤分散液に変更する以外はカラートナーC1の製造と同様にして、各トナーをそれぞれ製造した。
Figure 2021033185
Figure 2021033185
Figure 2021033185
Figure 2021033185
その後、各トナーと、アクリル樹脂を被覆した体積平均粒径32μmのフェライトキャリアとを、トナー粒子濃度が6質量%となるように添加して混合した。こうして、各トナーを含有する二成分現像剤である現像剤を製造した。
各トナーの組み合わせによるトナーセットの内容と、各トナーの発熱ピークトップ温度を下記表VIに示す。
なお、発熱ピークトップ温度は、試料5mgをアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置 Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目と2回目の加熱時には、10℃/minの昇温速度で0℃から100℃まで昇温して100℃を1分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で100℃から0℃まで降温して0℃の温度を1分間保持する。冷却時に得られる吸熱曲線における発熱ピークトップの温度を「発熱ピークトップ温度」とした。
Figure 2021033185
≪評価方法≫
[ワックス付着性]
市販のカラー複合機AccurioPress C3080(コニカミノルタ社製)において、定着装置を、定着上ベルトの表面温度を140〜220℃の範囲で、定着下ローラーの表面温度を120〜200℃の範囲で変更することができるように改造した。この改造機に各現像剤を順次装填して、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下において、A4(坪量157g/m)グロスコート紙に、トナー付着量が8.0g/mのベタ画像を形成し、定着処理した。定着処理時の定着速度は460mm/sec、定着温度(定着上ベルトの表面温度)はアンダーオフセット温度+35℃とした。
100枚プリント後の搬送ローラーへのワックス付着状態を、目視により下記のように10段階でランク評価し、ランク7以上を合格とした。
ランク10〜9:ワックス付着が全く確認されない
ランク8〜7:ワックス付着が若干確認されるが、品質には問題ないレベル
ランク6〜1:ワックス付着が確認され、実用できないレベル
[光沢メモリー性]
光沢メモリーとは、連続通紙時に定着部材に付着した離型剤が次の画像上に乗ってしまい前の画像の履歴が光沢差として表れてしまう画像不良のことをいう。
市販のカラー複合機AccurioPress C3080(コニカミノルタ社製)を、定着装置をニップ領域での圧力および定着用ヒートローラー(定着ローラー)の表面温度を100〜210℃の範囲内で変更することができ、かつプロセス速度(ニップ時間)を変更できるように改造し、各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
トナーから製造した現像剤それぞれについて、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、A3サイズのコート紙エスプリC 209g/m(日本製紙株式会社製)上に対し、トナー付着量が8g/mの光沢メモリー評価用画像(アルファベットの出力画像)を出力する定着実験を、定着器のニップ圧が238kPa、ニップ時間が25ミリ秒(プロセス速度480mm/s)の条件で、設定する定着温度を160℃から200℃まで10℃ずつ上げる変更を行いながら繰り返し行った。
なお、評価基準は次の通りであり、◎〜△であれば実用可能である
◎:どのサンプルも光沢メモリーが全く発生しない
〇:どのサンプルも光沢メモリーが少し発生するが許容レベル(薄くモヤが見える)
△:どのサンプルも光沢メモリーが少し発生するが許容レベル(薄くアルファベットが見える)
×:どのサンプルも光沢メモリーが顕著に発生する(アルファベットの輪郭が確認できる)
[定着分離性]
≪薄紙分離性(分離可能な先端余白量)≫
画像形成装置として、市販のカラー複合機AccurioPress C3080(コニカミノルタ社製)を、定着上ベルトおよび定着下ローラーの表面温度を変更可能に改造したものを用い、上記各色の二成分現像剤を順次装填した。上記装置について、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてOKトップコート+85g/m(王子製紙株式会社製)を用いた。アンダーオフセットが発生しない温度(U.O.回避温度)を基準として25℃上昇させた温度(U.O.回避温度+25℃)を定着上ベルトの温度とし、定着下ローラーを90℃に設定し、それぞれの全ベタ画像(付着量8.0g/m)について先端余白量を変化させて画出し、紙詰まり(ジャム)が発生した直前の先端余白量を薄紙分離性能の尺度とした。分離可能な先端余白量の値が小さい方が、分離性能が良い。なお、評価は、常温常湿環境(NN環境:2温度5℃、湿度50%RH)で実施した。また、分離可能な先端余白は、小さければ小さいほど、薄紙分離性に優れることを意味しており、当該先端余白が5.5mm未満であるとき、合格と判定する(◎又は〇)。
(評価基準)
◎:分離可能な先端余白が2mm未満
〇:分離可能な先端余白が2mm以上、5.5mm未満
△:分離可能な先端余白が5.5mm以上、10mm未満
×:分離可能な先端余白が10mm以上
トナーセット1〜11の評価結果を下記表VIIに示す。
Figure 2021033185
表VIIより、本発明に係る実施例1〜8のトナーセットは、ワックス付着性、光沢メモリー、及び定着分離性に優れていることが分かる。
1Y、1M、1C、1K 電子写真感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電手段
3Y、3M、3C、3K 露光手段
4Y、4M、4C、4K 現像手段
5Y、5M、5C、5K 一次転写ローラー(一次転写手段)
5b 二次転写部(二次転写手段)
6Y、6M、6C、6K、6b クリーニング手段
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 中間転写体ユニット
71〜74 ローラー
77 無端ベルト状中間転写体
80 筐体
82R、82L 支持レール
100 画像形成装置
241 加熱ローラー
242 加圧ローラー

Claims (7)

  1. 少なくともイエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、
    前記イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Y)、P(M)及びP(C)としたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする静電潜像現像用トナーセット。
    70≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(1)
  2. 少なくともブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーとからなる静電潜像現像用トナーセットであって、
    前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の発熱ピークトップ温度を、それぞれ、P(Bk)、P(Y)、P(M)及びP(C)としたときに、下記式(2)を満たすことを特徴とする静電潜像現像用トナーセット。
    70≦P(Bk)≦P(Y)≦P(M)≦P(C)≦90(℃)………………(2)
  3. 前記ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーの示差走査熱量測定における降温時の各トナーの発熱ピークトップ温度が、下記式(3)〜(6)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の静電潜像現像用トナーセット。
    70≦P(Bk)≦85(℃)………………(3)
    72≦P(Y)≦86(℃) ………………(4)
    73≦P(M)≦87(℃) ………………(5)
    74≦P(C)≦88(℃) ………………(6)
  4. 前記各トナーが、結着樹脂として、少なくともスチレン・アクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーセット。
  5. 前記各トナーが、結着樹脂として、少なくとも結晶性樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーセット。
  6. 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする請求項5に記載の静電潜像現像用トナーセット。
  7. 少なくとも、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを用いる電子写真画像形成方法であって、
    請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナーセットを用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
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