JP2021032345A - 吸着装置 - Google Patents

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誠 宍戸
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佳也 竹村
武嗣 三角
Takeshi Misumi
武嗣 三角
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Abstract

【課題】吸着装置において、吸着対象物を堅牢に支持するとともに、吸着対象物が損傷する懸念を払拭する。【解決手段】吸着装置10を構成する吸着パッド36は、吸着対象物(80)に当接するリップ部40と、伸縮可能なベローズ部42とを有する。また、吸着装置10は、少なくともベローズ部42を内部に収容した中空部材(38)を備える。リップ部40は、ベローズ部42が伸張状態であるときには少なくとも一部が中空部材から露呈する。その一方で、リップ部40は、ベローズ部42が収縮状態であるときには中空部材に収容され、且つ中空部材の内壁に当接する。【選択図】図2

Description

本発明は、吸着対象物に吸着する吸着パッドを備える吸着装置に関する。
吸着装置は、吸着対象物を吸着パッドに引き寄せて吸着保持するものとして周知である。この種の吸着装置は、例えば、ロボットの先端アームにエンドエフェクタとして取り付けられる。この場合、アームの位置決め誤差等に起因して吸着対象物と吸着パッドとの相対的な位置関係に多少の誤差が生じたとしても、吸着パッドが柔軟であるために誤差が吸収される。このため、吸着パッドで吸着対象物を吸着保持することが可能である。
トマトやリンゴ等の果菜を吸着対象物とする場合がある。例えば、果菜を吸着パッドに吸着した後、吸着パッドを果菜ごと捻って果梗から分離することで収穫を行うとき等である。すなわち、吸着装置は、果菜を収穫する収穫装置を構成するものとしても有用である。
ここで、果菜は、大きさや形状が個々に相違する上、表面に凹凸が存在する個体も存在する。特許文献1には、このような吸着対象物であっても吸着パッドで果菜を十分に吸着保持するべく、吸着パッドの開口外周縁部に軟質な接触部材を設けることが提案されている。
実開平3−115212号公報
上記したように、果菜と吸着パッドの相対的位置に誤差が生じたとしても、吸着パッドが柔軟であるために誤差が吸収されるので、吸着パッドで果菜を吸着保持することが可能である。その一方で、果菜を捻る(収穫動作を行う)ときには、吸着パッドで果菜を堅牢に支持する必要がある。
十分な支持力を得るべく、吸引力(真空度)を大きくすることが想起される。しかしながら、真空度を過度に大きくすると、果菜が損傷することがある。そこで、吸着パッドとして剛性が大きなものを用いることも考えられるが、この場合、果菜と吸着パッドの相対的位置の誤差を吸収することが容易でなくなる。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、果菜等の吸着対象物を堅牢に支持することが可能である一方、吸着対象物が損傷する懸念を払拭し得るとともに、果菜と吸着パッドの相対的位置の誤差を吸収することが可能な吸着装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、吸着対象物に当接するリップ部と、伸縮可能なベローズ部とを有する吸着パッドを備える吸着装置において、
少なくとも前記ベローズ部を内部に収容した中空部材を備え、
前記リップ部は、前記ベローズ部が伸張状態であるときには少なくとも一部が前記中空部材から露呈する一方、前記ベローズ部が収縮状態であるときには前記中空部材に収容され、且つ該中空部材の内壁に当接する吸着装置が提供される。
本発明によれば、吸着パッドの外側に中空部材を配設し、吸着パッドのリップ部で吸着対象物を吸着する際には、該リップ部を中空部材の内壁に当接させるようにしている。この当接により、吸着パッドが中空部材から支持されるとともに、両者の間に摩擦力が作用するようになる。その結果、吸着装置が、優れた曲げ剛性と捻り剛性を示す。しかも、吸着対象物が中空部材から堅牢に支持される。
以上のような理由から、吸着対象物を保持した保持体を曲げ折ったり、捻り折ったりすることが容易となる。すなわち、吸着対象物が保持体に保持されている場合であっても、該吸着対象物を保持体から離脱させて吸着することが可能である。
また、真空度を大きくする必要がないので、吸着対象物を損傷することが回避される。しかも、吸着パッドは、吸着対象物を吸着する時点では中空部材から露呈している。従って、比較的柔軟な吸着パッドが吸着対象物に先ず当接する。このため、吸着対象物と吸着パッドの間で相対的位置に誤差が生じている場合であっても、吸着パッドが十分に撓むので該誤差を吸収することが可能である。
本発明の実施の形態に係る吸着装置が組み込まれた多関節ロボットの先端アームの要部概略斜視図である。 図1の吸着装置の概略側面断面図である。 図1から吸着パッドが中空部材(バックアップ用筒体)に収容された状態を示す要部概略斜視図である。 図3に示す状態にある吸着装置の概略側面断面図である。
以下、本発明に係る吸着装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る吸着装置10が組み込まれた多関節ロボットの先端アーム12の要部概略斜視図である。この場合、先端アーム12は、所定角度で回転可能な軸部14と、該軸部14の先端面から突出するように延在する四角柱部16とを有する。軸部14が回転した際に四角柱部16が一体的に回転することは勿論である。
吸着装置10は、四角柱部16に対し、L字型ステー18を介して組み付けられる。すなわち、L字型ステー18は、底壁部20と、該底壁部20から略垂直に立ち上がった縦壁部22とを有する。この中の底壁部20にはボルト挿通孔24が形成されるとともに、該ボルト挿通孔24を貫通する取付ボルト26が、四角柱部16に形成された図示しない螺合穴に螺合される。一方、縦壁部22には、図2に示す管体挿通孔28が形成される。吸着装置10は、管体挿通孔28に嵌合された中空管体としての中継管30を介して、縦壁部22に保持される。
図2に示すように、吸着装置10は、吸着パッド36と、該吸着パッド36の大部分を内部に収容するとともに、L字型ステー18の縦壁部22に支持されたバックアップ用円筒体38(中空部材)とを備える。
この中の吸着パッド36は、リップ部40と、該リップ部40の一端部に連なるベローズ部42と、該ベローズ部42の、リップ部40とは反対の端部に連なる筒部44とを有する。リップ部40は、ベローズ部42から離間するにつれてテーパー状に拡径する。また、ベローズ部42は、山部と谷部が交互に連なった薄肉部であり、リップ部40に、ベローズ部42に指向する方向の押圧力が付与されたときには容易に収縮する。また、リップ部40が前記押圧力から解放されると、ベローズ部42は、その弾性作用によって元の形状に戻る。すなわち、ベローズ部42が伸張する。
筒部44は、中継管30(中空管体)の長尺な一端を覆う。すなわち、筒部44には挿入孔46が形成されるとともに、該挿入孔46内に中継管30の大径な頭部48が圧入される。この圧入により、吸着パッド36に中継管30が連結される。中継管30の軸線方向は、吸着パッド36の軸線方向に一致する。
バックアップ用円筒体38には、吸着パッド36を収容するための収容凹部50が形成される。収容凹部50は、ベローズ部42が収縮した際にリップ部40が進入する(図3及び図4参照)テーパー孔52と、ベローズ部42を収容する大径孔54と、大径孔54に連なる中径孔56と、中径孔56に連なる小径孔58とからなる。テーパー孔52の形状が、リップ部40の形状に対応していることは勿論である。また、大径孔54、中径孔56、小径孔58の各内径は、この順序で小さくなる。小径孔58の内径は、管体挿通孔28の直径に比して大きく設定される。
大径孔54には、ベローズ部42と筒部44が収容される。筒部44内に中継管30の一端が圧入されていることから、大径孔54内には、中継管30の頭部48も収容されている。また、中径孔56には中継管30のフランジ部60が収容され、小径孔58には中継管30の軸形状部62が挿入されているが、これらについては後述する。なお、大径孔54の内径はリップ部40の最大径よりも小さく設定されており、このため、リップ部40が大径孔54内に進入することはない。
バックアップ用円筒体38は、吸着パッド36よりも剛性が大きくなるように肉厚に設定される。従って、ベローズ部42が収縮することに伴ってリップ部40がテーパー孔52に収容されたときには、テーパー孔52を形成するテーパー面によってリップ部40が堅牢に支持される。
バックアップ用円筒体38の素材は、テーパー孔52を形成するテーパー面でリップ部40の背面を支持し得る程度に剛性が大きく、且つテーパー面にリップ部40の背面が当接したときにリップ部40に傷を生じさせることが回避される程度に軟質であるものが好ましい。このような素材の好適な例としてはシリコーンゴムが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
中継管30は、頭部48、フランジ部60、軸形状部62にわたる内部に吸気通路64が形成された中空管体である。上記したように、頭部48は筒部44の挿入孔46に圧入される。また、軸形状部62には、可撓性を有する吸気チューブの一端が管継手を介して接続される。吸気チューブの他端は、吸気ポンプに接続されており、従って、該吸気ポンプを付勢することにより、吸着パッド36が大気を吸引する。吸引された大気が、中継管30の吸気通路64、及び吸気チューブの内孔を通過することは勿論である。なお、管継手、吸気チューブ及び吸気ポンプは図示していない。
中継管30のフランジ部60は、中径孔56内に位置する。ここで、中径孔56の長さは、フランジ部60の厚みに比して大きい。従って、中径孔56には軸形状部62の一端が進入している。軸形状部62の該一端は、円環形状のスペーサ66の貫通孔68に通される。このスペーサ66の一端面は、フランジ部60の端面に当接する。また、該スペーサ66の他端面は、中径孔56と小径孔58の内径差によって形成される段部70に当接する。
小径孔58には、円環形状のストッパ72が収容される。軸形状部62は、ストッパ72に形成された貫通孔74に通される。すなわち、軸形状部62の外周壁と、小径孔58を形成する壁部との間には、ストッパ72が介装される。該ストッパ72の一端面はスペーサ66の他端面に当接し、他端面はL字型ステー18の縦壁部22の一端面に当接する。
さらに、管体挿通孔28から外部に露呈した軸形状部62には、止め輪76が外嵌される。止め輪76は、中継管30のフランジ部60が前記段部70とともにスペーサ66を十分に挟持し、且つスペーサ66がL字型ステー18の縦壁部22とともにストッパ72を十分に挟持した状態を維持する位置となるように、中継管30を位置決め固定している。このため、中継管30の頭部48が圧入された筒部44も位置決め固定される。
このように構成される吸着装置10は、例えば、トマト等の果菜80を収穫する際に用いられる。すなわち、この場合の吸着対象物は、果菜80である。
本実施の形態に係る吸着装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
果菜80を収穫するに際しては、前記多関節ロボットが適宜動作し、先端アーム12が果菜80に対向する。この時点では、ベローズ部42は伸張しており、且つリップ部40は、バックアップ用円筒体38の収容凹部50から露呈している。すなわち、吸着パッド36は、この時点ではバックアップ用円筒体38に支持されていない。この状態で前記吸気ポンプが付勢されることに伴い、吸着パッド36を介しての大気の吸引が開始される。大気は、中継管30の吸気通路64、吸気チューブの内孔を経て、前記吸気ポンプから排気される。
吸着パッド36と果菜80の間の大気が吸引されるので、果菜80が吸着パッド36に引き寄せされる。最終的に、図3及び図4に示すように、果菜80がリップ部40に当接する。この際、リップ部40は未だバックアップ用円筒体38に当接していない。すなわち、リップ部40は未だバックアップ用円筒体38に支持されておらず、弾性を示す程度に柔軟である。従って、リップ部40に、いわゆるロパスト性が確保され、果菜80が吸着パッド36に保持される。また、リップ部40が柔軟であるために十分に撓むので、果菜80と吸着パッド36の相対的位置の誤差を吸収することが可能である。
以上の当接及び吸着(保持)に伴い、リップ部40が果菜80から押圧を受ける。換言すれば、果菜80からバックアップ用円筒体38に向かう方向の押圧力が、リップ部40に付与される。この押圧力により、リップ部40がバックアップ用円筒体38に指向して変位するとともに、ベローズ部42が収縮する。
ベローズ部42が一層収縮してリップ部40がさらに変位すると、図3及び図4に示すように、リップ部40の全体がテーパー孔52に収容される。さらに、該リップ部40の背面が、バックアップ用円筒体38に形成されたテーパー孔52のテーパー面に当接して密着する。この密着に伴い、リップ部40のそれ以上の変位が阻止されてベローズ部42の収縮が終了する。また、該リップ部40の背面がバックアップ用円筒体38に堅牢に支持される。この支持により、吸着装置10が十分な曲げ剛性を示す。また、リップ部40とバックアップ用円筒体38との間に摩擦力が作用するので、吸着装置10は、優れた捻り剛性を併せ持つ。
なお、中継管30が位置決め固定されているため、筒部44が変位することが阻止される。また、バックアップ用円筒体38が吸着パッド36の外側に設けられているので、吸着パッド36を介しての吸気がバックアップ用円筒体38で妨げられることが回避される。すなわち、バックアップ用円筒体38を設けたことに伴って吸気流量が変化することはない。さらに、吸着パッド36の受圧面積が変化することもない。加えて、捻り剛性が、バックアップ用円筒体38を吸着パッド36の内側に設けた場合に比して大きくなる。
リップ部40がテーパー孔52に収容されることにより、果菜80がバックアップ用円筒体38の端面に当接して収容凹部50の開口を閉塞する。吸着パッド36の内部が負圧となっているので、果菜80がバックアップ用円筒体38から脱落することはない。これにより、果菜80がバックアップ用円筒体38によって堅牢に支持される。
次に、吸気が継続された状態で、果菜80を枝(ないし果梗)から離脱させるべく、多関節ロボットが適宜動作する。すなわち、先端アーム12が、例えば、図3に矢印Aで示すように回転する。上記したように、果菜80がバックアップ用円筒体38によって堅牢に支持されている。また、リップ部40の背面と、その外側のバックアップ用円筒体38との間に摩擦力が作用しているので、吸着パッド36及びバックアップ用円筒体38が優れた捻り剛性を示す。以上のことが相俟って、枝(ないし果梗)を容易に捻り折ることができる。すなわち、果菜80を容易に収穫することができる。
先端アーム12が、図4に矢印Bで示すように揺動することもある。ここで、吸着装置10は、吸着パッド36の背面がバックアップ用円筒体38から支持を受けることで十分な曲げ剛性を有している。このことと、上記と同様に果菜80がバックアップ用円筒体38によって堅牢に支持されていることとが相俟って、吸着パッド36に吸着された果菜80を介して、枝(ないし果梗)を果菜80と一体的に揺動することができる。従って、枝(ないし果梗)を容易に曲げ折ることができるので、この場合も果菜80を収穫することが容易である。
以上のように、果菜80の吸着時、吸着パッド36の背面を、該吸着パッド36の外側に配設されたバックアップ用円筒体38で支持する本実施の形態によれば、吸着装置10が優れた曲げ剛性及び捻り剛性を示すようになる。このため、果菜80を容易に収穫することができる。しかも、吸引力(真空度)を大きくする必要が特にないので、果菜80が損傷することが回避される。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、吸着対象物は果菜80に特に限定されるものではなく、その他の物体であってもよい。また、吸着装置10は、エンドエフェクタに限定されるものではなく、例えば、アクチュエータの先端に設けられるものであってもよい。
10…吸着装置 30…中継管
36…吸着パッド 38…バックアップ用円筒体
40…リップ部 42…ベローズ部
50…収容凹部 52…テーパー孔
54…大径孔 56…中径孔
58…小径孔 64…吸気通路
66…スペーサ 70…段部
72…ストッパ 76…止め輪
80…果菜

Claims (4)

  1. 吸着対象物に当接するリップ部と、伸縮可能なベローズ部とを有する吸着パッドを備える吸着装置において、
    少なくとも前記ベローズ部を内部に収容した中空部材を備え、
    前記リップ部は、前記ベローズ部が伸張状態であるときには少なくとも一部が前記中空部材から露呈する一方、前記ベローズ部が収縮状態であるときには前記中空部材に収容され、且つ該中空部材の内壁に当接する吸着装置。
  2. 請求項1記載の吸着装置において、前記中空部材がシリコーンゴムからなる吸着装置。
  3. 請求項1又は2記載の吸着装置において、前記リップ部が、前記ベローズ部から離間するにつれてテーパー状に拡径するテーパー形状をなす一方、前記中空部材の内壁の一部が、前記リップ部の形状に対応するテーパー形状をなすテーパー孔である吸着装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸着装置において、前記吸着パッドと前記中空部材とが一体的に回転可能である吸着装置。
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