本発明は、道路の路面上で作業する作業員を保護する移動式防護柵トレーラに関する。
一般に、作業員が道路の路面の点検、補修等の作業を行う際、作業領域(車両非進入領域)を確保するために、路面上にロードコーン又は柵等を置いている。また、例えば、特許文献1には、チェーンで連結したブロックを路面に載置させることで車両進入防止柵を構成して、作業員が作業するための作業領域を確保することが開示されている。
しかしながら、ロードコーン又は柵を置いて作業領域を確保する場合では、車両がロードコーン又は柵に衝突することで、ロードコーンが飛散し又は柵を倒して、作業領域内に進入する虞がある。同様に、特許文献1に記載されたものにおいても、車両がブロックに衝突した際、ブロックを倒して又は乗り越えて作業領域内に進入する虞がある。また、ブロックの設置を行う為には、相応の人員と時間を要する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロードコーン又は柵にて確保された作業区域の中に更なる安全区域を迅速に確保することを可能とすること及び規制の迅速化を目的とするものである。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
(1)路上で作業を行う作業員の安全を確保するための移動式防護柵トレーラであって、トラクタに接続支持される第1プラットフォームと、車輪を有する第2プラットフォームと、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、それぞれ長さが伸縮可能な、かつ、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動可能な一対の前後方向に延びるビーム部材と、前記各ビーム部材の両端部をそれぞれ前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとに、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に独立して移動可能に、且つ、第1プラットフォームに前記第2プラットフォームを牽引可能に接続する接続機構と、前記各ビーム部材をそれぞれ独立して前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動させる移動手段と、前記ビーム部材を前記移動式防護柵トレーラの幅方向所定の位置にロックするロック機構と、を備えたことを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項1)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、走行時にはその全長が最短(すなわち、一対のビーム部材の伸縮範囲内の最短)になるように、第1プラットフォームと第2プラットフォームとの間に設けられ、互いに異なる高さに配置された一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの前後方向(移動式防護柵トレーラの長手方向)に縮めるように運用する。一方、路面作業に用いる際には、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの前後方向に延ばし、移動手段を用いて一対のビーム部材の一方を移動式防護柵トレーラの幅方向に移動させる、すなわち、移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に一対のビーム部材を寄せる。その結果、第1プラットフォームと第2プラットフォームと一対のビーム部材とで囲まれた作業領域が構成される。これにより、作業者が作業領域内で点検、補修等の作業を行えるものとなる。また、一対のビーム部材が延びることで、作業領域の面積を拡大され、点検、補修等の作業を広範囲に行えることとなる。
さらに、二車線の路面上、又は、三車線の左車線及び右車線の路面上で作業する際、移動式防護柵トレーラの開口側(すなわち、積層された一対のビーム部材の反対側)を路側帯側又は中央分離帯側とは反対側へと寄せるように配置させることにより、作業領域が第1プラットフォーム、第2プラットフォーム、一対のビーム部材及び路側帯側又は中央分離帯側によって囲まれるため、作業員の安全が確保されるものとなる。
また、一対のビーム部材が積層される構造をなしているため、一対のビーム部材の、路面からの高さ寸法が十分確保され、かつ、高強度の柵として機能し、車両が一対のビーム部材に衝突したとしても、一対のビーム部材を乗り越えることができず、作業領域内への進入を防ぐものとなる。
なお、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一側に寄せた状態の時、ロック機構により、ビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の片側に寄った状態でその位置にロックされるので、上下のビーム部材が外力を受けてもその位置が変化することがない。さらに、移動式防護柵トレーラを傾斜路面に停車させても、一対のビーム部材の、移動式防護柵トレーラの幅方向の移動を防ぐものとなる。また、走行時にも一対のビーム部材を幅方向の互いに反対側の端部にロックすることで、走行時の安定性を確保するものである。一対のビーム部材は、移動式防護柵トレーラの走行時は車両としての必要な強度を確保する強度部材として機能し、作業時には作業領域内の作業者の安全性を確保する柵として機能するものである。
(2)上記(1)項において、前記一対のビーム部材は、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、互いに異なる高さに配置された上段のビーム部材と、下段のビーム部材とから構成され、前記上段のビーム部材は、前記下段のビーム部材の上方に位置する、又は、上下に一部オーバーラップする移動式防護柵トレーラ(請求項2)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材が互いに異なる高さに配置された上段のビーム部材と、下段のビーム部材とから構成されているため、上段のビーム部材又は下段のビーム部材を第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向に移動させた際には、上段のビーム部材が下段のビーム部材の上方に配置される、又は、上段のビーム部材が下段のビーム部材の上面をオーバーラップし、下段のビーム部材が上段のビーム部材の下面をオーバーラップするように配置される。その結果、上段のビーム部材又は下段のビーム部材が第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向の一側で積層された状態で配置され、第1プラットフォームと、第2プラットフォームと、上段のビーム部材又は下段のビーム部材とで囲まれた作業領域が構成される。これにより、作業者が作業領域内で点検、補修等の作業を行えるものとなる。
(3)上記(1)項において、前記一対のビーム部材は、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、互いに対向して配置されるように構成され、前記一対のビーム部材の少なくとも一方は、中空状をなして、対向する他方のビーム部材との対向面には他方のビーム部材の少なくとも一部を収容可能とする開口が設けられていることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項3)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材の少なくとも一方は、中空状をなして、対向する他方のビーム部材との対向面には他方のビーム部材の少なくとも一部を収容可能とする開口が設けられているため、一対のビーム部材の一方又は他方を第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向に移動させた際、他方のビーム部材が一方のビーム部材の開口を通り、一方のビーム部材内に収納される。その結果、上述の(2)項の作用効果と同等の作用効果を奏するものとなる。
(4)上記(3)項において、前記一対のビーム部材は、互いに前記開口を対向させたチャンネル状部材であることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項4)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、互いに開口を対向させたチャンネル状部材である一対のビーム部材の一方又は他方を第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向に移動させることで、一対のビーム部材が第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向の一側に寄せられ、上述の(2)項の作用効果と同等の作用効果を奏するものとなる。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項において、前記一対のビーム部材の各々は、該一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って、側面視で他方のビーム部材を覆うように設けられた板材を有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項5)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材の各々は、該一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って、側面視で他方のビーム部材を覆うように設けられた板材を有している。すなわち、上段のビーム部材の長手方向の外面に沿って下方に延びる板材を有し、下段のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方に延びる板材を有している。これにより、両側面視で各ビーム部材及び板材の高さ方向の総和寸法が同一乃至略同一となり、外観的なバランスが確保されるとともに、一対のビーム部材の強度を板材によって補完されるものとなる。
また、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に寄せたとき、すなわち、一対のビーム部材が積層されたとき、一対のビーム部材の間の隙間が一対のビーム部材に設けられた板材により覆われるため、隙間からの異物の侵入又は飛び出しを防ぐものとなる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項において、前記一対のビーム部材のさらに上方に、前記一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネルを有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項6)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に寄せた状態で、さらに一対のビーム部材の上方に設けられた、一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネルにより、作業領域が覆い隠され、且つ、異物の侵入又は飛び出しを防ぐものとなる。さらに、作業場を通過する車両内からの視線を防ぎ、いわゆる見物渋滞を防ぐものとなる。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項において、前記第2プラットフォームの後方に衝撃緩衝機構を有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項7)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、走行中の車両が移動式防護柵トレーラの後部に衝突した際、第2プラットフォームの後方に設けられた衝撃緩衝機構により、車両と移動式防護柵トレーラとの衝突時の衝撃を吸収するものとなる。これにより、衝突に伴う第2プラットフォームの、移動式防護柵トレーラの前方(第1プラットフォーム側)への押出しが抑えられ、作業領域内で作業する作業員の安全を確保するものとなる。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項において、前記第2プラットフォーム上に任意の情報を表示する情報表示機構を有することを特徴とする移動式移動式防護柵トレーラ(請求項8)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、第2プラットフォーム上に設けられた情報表示機構によって、道路の点検中、補修中等の任意の情報を表示することで、道路を走行する車両の運転手に注意を促すものとなる。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか1項において、前記各ビーム部材の端部近傍位置と、前記第1及び第2プラットフォームの前記各ビーム部材の端部から幅方向に離れた位置とに両端部がそれぞれ接続される斜交い部材を有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項9)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、各ビーム部材の端部近傍位置と、第1及び第2プラットフォームの各ビーム部材の端部から幅方向に離れた位置とに斜交い部材を設けることで、一対のビーム部材の、第1及び第2プラットフォームの幅方向の移動を防ぐものとなる。これにより、作業領域を維持するものとなる。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項において、前記移動手段は、チェーンブロック、油圧シリンダ、エアシリンダ又は油圧ウインチであることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項10)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、チェーンブロック、油圧シリンダ、エアシリンダ又は油圧ウインチ等の移動手段を用いることで、一対のビーム部材を、第1プラットフォーム及び第2プラトフォームの幅方向に適切に移動させるものとなる。
(11)上記(1)〜(10)のいずれか1項において、前記トラクタのナンバープレートの位置を変位させる変位機構が設けられている移動式防護柵トレーラ(請求項11)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、変位機構によって、トラクタのナンバープレートの位置を適宜変位させることで、路面の点検、補修等の作業時、衝撃緩衝機構を第2プラットフォームの後部に配置させてもナンバープレートを見やすい位置に配置するものとなる。
本発明は、以上のように構成したことにより、ロードコーン又は柵にて確保された作業区域の中に更なる安全区域を迅速に確保することを可能とする及び規制の迅速化が可能となる。
本発明の一実施形態に係る走行時(非作業時)の移動式防護柵トレーラの側面図である。
図1に示す移動式防護柵トレーラの上面図である。
図1に示す移動式防護柵トレーラの背面図である。
図1に示す作業時の移動式防護柵トレーラの側面図である。
図4に示す移動式防護柵トレーラの上面図である。
図4に示す移動式防護柵トレーラの背面図である。
図4に示す第1プラットフォーム及び第2プラットフォームに設けられた接続機構及びロック機構を示す上面図である。
図7に示す接続機構及びロック機構の側面図である。
図8に示すD部分の部分拡大図である。
図5に示すC−C線に沿った断面図である。
図4に示すB部分の部分拡大図である。
図3に示すA部分の部分拡大図である。
図4に示す、ブラインドパネルを取付けた移動式防護柵トレーラの側面図である。
ビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一側に寄せる動作を示した図であり、(a)はビーム部材を寄せる前の図であり、(b)はビーム部材を寄せた後の図である。
図14に示すビーム部材の戻し動作を示した図であり、(a)はビーム部材を戻る前の図であり、(b)はビーム部材を戻した後の図である。
他の形状の一対のビーム部材を組合せた概略断面図であり、(a)は断面視コ字状のビーム部材及び断面視矩形状のビーム部材の積層構造、(b)は断面視矩形状のビーム部材を断面視コ字状のビーム部材内に収納した状態の構造、(c)は断面視コ字状のビーム部材同士の積層構造である。
本発明の一実施形態に係る移動式防護柵トレーラの構成を図1〜図15に基づいて詳細に説明する。ここで、以下の説明では、高速道路で作業する場合について説明する。
図1〜図3に示す移動式防護柵トレーラ1は、トラクタ3に連結された状態を示すものであり、第1プラットフォーム5と、第2プラットフォーム7と、一対のビーム部材9a,9bと、接続機構11(図7〜図9等参照)と、移動手段13と、ロック機構14と、衝撃緩衝機構15と、情報表示機構17と、後述する斜交い部材19(図5参照)とを備えている。
第1プラットフォーム5は、その前部がカプラ20(図1及び図4参照)を介してトラクタ3に着脱可能に連結されている。また、第1プラットフォーム5は、その後部が後述する接続機構11を介して一対のビーム部材9a,9bと連結されている。さらに、第1プラットフォーム5の後部(図1の紙面右側)には、道路の路面Gの点検、補修等の作業時、第1プラットフォーム5を支持しつつ、移動式防護柵トレーラ1を路面G上に固定する、上下方向に伸縮可能な前側補助脚21が設けられている。第1プラットフォーム5の上面には、後述するブラインドパネル69を取付けるポール33(図13参照)が取外し可能に立設されている。
第2プラットフォーム7は、その前部が後述する接続機構11を介して一対のビーム部材9a,9bと連結されている。また、第2プラットフォーム7は、その下部に、道路の路面Gの点検、補修等の作業時、移動式防護柵トレーラ1を路面G上に固定するためのアウトリガー27(図11参照)が設けられている。このアウトリガー27は、作業時に第2プラットホーム7のエアサスペンション(図示せず)の車高調整により路面Gに接触する。第2プラットフォーム7の後部には、衝撃緩衝機構15と、ナンバープレート29の取付位置を変位可能にする変位機構31とが設けられている。また、第2プラットフォーム7の上面には、情報表示機構17及びポール33が設けられている。
一対のビーム部材9a,9bは、それぞれが伸縮可能な、2つの断面視矩形の中空部材からなり、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との間に、互いに異なる高さに配置され、後述する移動手段13によって、互いに干渉しないように移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動可能である。一対のビーム部材9a,9b(上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9b)は、内筒部35と、外筒部37と、複数のピン39とを備える。上段のビーム部材9aは、その長手方向の外面に沿って下方に延びる板材41aを有する(図10参照)。下段のビーム部材9bは、その長手方向の外面に沿って上方に延びる板材41bを有している(図10参照)。また、下段のビーム部材9bには、その上部に、移動手段13のチェーンブロック51のロックフック57又は紐状部材55を引っ掛けるための掛止フック43が設けられている(図14及び図15参照)。内筒部35は、その一端が接続機構11に接続され、他端が外筒部37に摺動可能に挿入されている。この内筒部35には、両端近傍にピン39を挿入する複数のピン孔45,47が設けられている(図2及び図5参照)。外筒部37は、その内寸法が内筒部35の外寸法より大きく設定され、一端近傍(すなわち、接続機構11に接続される端部の反対側)にピン39を挿入するピン孔49(図2及び図5参照)が設けられている。外筒部37の他端は、接続機構11に接続されている。ピン39は、一対のビーム部材9a,9bの伸縮、すなわち、内筒部35の、外筒部37に対する摺動をロックするためのものである。
接続機構11は、一対のビーム部材9a,9bの両端部(内筒部35の一端及び外筒部37の他端)を、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7とに、移動式防護柵トレーラ1の幅方向に独立して移動可能に、且つ、第1プラットフォーム5に第2プラットフォーム7を牽引可能に接続するためのものである(図1及び図4参照)。この接続機構11は、第1プラットフォーム5の後部及び第2プラットフォーム7の前部に設けられている。具体的には、図7〜図9を参照して、接続機構11は、一対のパイプ71a,71bと、延在部材75と、ストッパ部73とを備える。一対のパイプ71a,71bは、上下段からなる円筒状のパイプであり、第1プラットフォーム5の後部及び第2プラットフォーム7の前部にそれぞれ設けられている。上段のパイプ71aは、上段のビーム部材9aに対応し、下段のパイプ71bは、下段のビーム部材9bに対応している。延在部材75は、一対のビーム部材9,9(上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9b)の両端部に取付けられ、上段のパイプ71a及び下段のパイプ71bのそれぞれを挟むように配置される一対の板状部材77,77と、この板状部材77,77を支持する支持部79とを少なくとも含む。一対の板状部材77,77は、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向に移動可能に、支持部79から第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に向かって延びている。一対の板状部材77,77は、後述する一対のスライドロックピン83,83を挿通するための複数の挿通孔81,81が形成れている(図8では、2つ)。支持部79は、一対のビーム部9,9の両端に取付けられている。ストッパ部73は、上段のビーム部材9aの両端部の上部を覆うように、第1プラットフォーム5の後部及び第2プラットフォーム7の前部から延びるように形成されている(図8参照)。
ここで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bと、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7とは、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83(後述参照)によって結合されるリンク構造となっている。このため、移動式防護柵トレーラ1の走行時、すなわち、上段のビーム部材9aが第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向一側(ストッパ部73が設けられている側)に配置され、下段のビーム部材9bが第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向他側に配置されている状態において、下段のビーム部材9bの、円筒状の下段のパイプ71bを支点として、下段のビーム部材9bに対して第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7が互いに接近する方向へと回転する態様の相対変位が生じる。かかる相対変位は、上段のビーム部材9aと、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7とが上段のパイプ71aによって連結されていることで妨げられているが、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7と、上段のパイプ71a及び下段のビーム部材9bとの連結位置が、幅方向の一方の上端部と他方の下端部とにあることによって、移動式防護柵トレーラ1の全体でねじれが生じることとなる。かかるねじれに起因する上段のパイプ71aと、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7との変位を、上段のビーム部材9aの上方に配置されたストッパ部73により受けるようになっている。これにより、移動式防護柵トレーラ1全体としてのねじれ発生を抑え込み、バランスが保たれるようになっている。また、一対のパイプ71a,71が円筒状を呈し、上記相対変位を許容することで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bに生じる曲げモーメントの影響を小さくするものとなる。
移動手段13は、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させるものであり、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7のそれぞれに設けられている(図1及び図4参照)。この移動手段13は、チェーンブロック51と、滑車53と、紐状部材55とから構成されている(図14及び図15参照)。チェーンブロック51は、走行時には移動式防護柵トレーラ1内に収納され、一対のビーム部材9a,9b(本実施形態では下段のビーム部材9b)を移動させるとき、チェーンブロック51のロックフック57を第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に設けられた掛止部59(図14及び図15参照)に引掛けて用いられる。滑車53は、掛止部59に対向するように第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に取付けられている。紐状部材55は、ワイヤ、ロープ、チェーン等の索状部材であり、走行時には移動式防護柵トレーラ1内に収納され、一対のビーム部材9a,9bを移動させるとき、滑車53に掛け回しつつ、一端をチェーンブロック51のロックフック57に接続させ、他端を下段のビーム部材9bの掛止フック43に引掛けて用いられる(図14参照)。
ロック機構14は、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向所定の位置にロックするためのものである。このロック機構14は、一対のスライドロックピン83,83と、接続機構11の一対の板状部材77,77の挿通孔81,81と、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に設けられた挿通孔85,85とから構成される(図7〜図9参照)。一対のスライドロックピン83,83は、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bの、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向の移動をロックするものであり、一対の板状部材77,77の複数の挿通孔81,81及び第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に設けられた挿通孔85,85に挿入することで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bの移動をロックする。一方、一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,81,85,85から取外すことで、ロックが解除される。
衝撃緩衝機構15は、第2プラットフォーム7の後部に取付けられており、走行時には折畳まれた状態で第2プラットフォーム7上に格納されており(図1参照)、作業時には衝撃緩衝機構15を展開させて第2プラットフォーム7の後部から延びるように配置される(図4参照)。この衝撃緩衝機構15は、道路の路面補修、路面点検等の作業時における車両の衝突による衝撃を吸収することができる様々な形式の衝撃緩衝機構を適用することができる。
情報表示機構17は、情報表示部61を含み、この情報表示部61がトラクタ3の進行方向の後方に向くように、第2プラットフォーム7の上面に立設されている。この情報表示機構17は、トラクタ3から供給された電力によって作動される。また、情報表示機構17には、回転灯63が設けられている(図3及び図6参照)。
変位機構31は、図12を参照して、ナンバープレート29を取付ける取付部87と、この取付部87を支持し、かつ、取付部87を上下方向(図12の紙面上下)にスライドさせるスライド支持部材89とを備える。スライド付支持部材89は、第2プラットフォーム7の後部に設けられている。また、スライド支持部材89は、衝撃緩衝機構15を展開した際、ナンバープレート29が衝撃緩衝機構15によって隠れないように、ナンバープレート29を所定の高さに配置可能な高さを備えている。
斜交い部材19は、円柱、パイプ等の部材からなり、上段及び下段のビーム部材9a,9bが積層された状態時(作業時)、上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部近傍位置と、第1及び第2プラットフォーム5,7の上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置とに、その両端部がそれぞれ接続されている。走行時には、斜交い部材19は、移動式防護柵トレーラ1に収納されている。
次に、移動式防護柵トレーラ1の使用方法について、図1〜図15を参照しながら説明する。
まず、移動式防護柵トレーラ1を、予め設置されたロードコーンによって囲まれた作業現場まで走行させる。走行時では、図1〜図3に示すように、移動式防護柵トレーラ1の全長が最短(すなわち、一対のビーム部材9,9の伸縮範囲内の最短)になるように、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との間に設けられた一対のビーム部材9a,9bが移動式防護柵トレーラ1の前後方向(移動式防護柵トレーラ1の長手方向)に縮められている。また、衝撃緩衝機構15は、折畳まれた状態で第2プラットフォーム7上に格納されており、前側補助脚21及びアウトリガー27は、収納された状態である(図1参照)。
そして、作業現場に到着し、トラクタ3を停止させた後、衝撃緩衝機構15を展開させて、第2プラットフォーム7の後部から延びるように配置する。このとき、衝撃緩衝機構15によって、ナンバープレート29が隠れるので、変位機構31によってナンバープレート29を上方に配置させる(図12の二点鎖線参照)。
その後、一対のビーム部材9a,9bの内筒部35の一端側のピン孔45及び外筒部37のピン孔49に挿通されたピン39,39を取外す。その後、トラクタ3を所定の距離前進させて、内筒部35を外筒部37内に沿ってスライドさせて、一対のビーム部材9a,9bを延ばす。そして、所定の位置まで延ばされた後、ピン39,39を内筒部35の他端側のピン孔47及び外筒部37のピン孔49に挿入させて、内筒部35を外筒部37にロックさせる(図4参照)。これにより、内筒部35が外筒部37内に沿ってスライドしなくなり、一対のビーム部材9a,9bの伸長が維持される。
そして、前側補助脚21を延ばして路面Gに接触させ(図4参照)、かつ、アウトリガー27を第2プラットフォーム7のエアサスペンションの車高調整により路面Gに接触させて、移動式防護柵トレーラ1を路面Gに固定する。
そして、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85から取外し(図9の一点鎖線参照)、移動手段13によって、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させる。具体的には、図14に示すように、チェーンブロック51のロックフック57の一方を第1プラットフォーム5に設けられた掛止部59に引掛ける。その後、紐状部材55を滑車53に掛けて、紐状部材55の一端をチェーンブロック51のロックフック57の他方に接続し、紐状部材55の他端を下段のビーム部材9bの掛止フック43に引掛ける。その後、作業者がチェーンブロック51を操作することで、ロックフック57の他方に接続された紐状部材55をチェーンブロック51側に引き寄せる。これにより、下段のビーム部材9bが上段のビーム部材9a側に移動する。移動手段13は、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との近傍位置にそれぞれ設けられており、上記作業は、二名の操作者がタイミングを合わせて行うものである。また、上記作業に動力源は不要であり、人力のみによって作業を行うものである。そして、下段のビーム部材9bが所定の位置まで移動することで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bが積層された状態で配置され(図14(b)参照)、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7と一対のビーム部材9a,9bとで囲まれた作業領域67(図5参照)が構成される。また、一対のビーム部材9a,9b間に隙間が形成されるが、この隙間は一対のビーム部材9a,9bに設けられた板材41a,41bにより覆われる。
ここで、前述のごとく移動手段13は、第2プラットフォーム7側にも設けられているが、第1プラットフォーム5に設けられた移動手段13と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
そして、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bが積層された状態で、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85に挿通させて(図9の実線参照)、下段のビーム部材9bをロックする。その後、斜交い部材19の一端を上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部近傍位置に接続させ、他端を第1及び第2プラットフォーム5,7の上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置に接続する。また、第1及び第2プラットフォーム5,7に立設されたポール23,33間に、一対のビーム部材9a,9bの長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネル69を設ける(図13参照)。これにより、作業者が作業領域67内にで路面Gの点検、補修等の作業を行うことができる。なお、衝撃緩衝機構15の展開作業は、一対のビーム部材9,9を伸長した後でもよく、適宜作業順番を変更してもよい。
次に、移動式防護柵トレーラ1の作業形態から走行形態に戻す場合、まず、ブラインドパネル69を取外す。そして、斜交い部材19の一端を上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部近傍位置との接続を解除し、かつ、他端を第1及び第2プラットフォーム5,7の上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置との接続を解除する。
そして、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85から取外し、下段のビーム部材9bのロックを解除させて、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させる。具体的には、図15を参照して、チェーンブロック51のロックフック57の一方を第1プラットフォーム5に設けられた掛止部59に引掛けつつ、ロックフック57の他方を下段のビーム部材9bの掛止フック43に引掛ける。その後、チェーンブロック51を操作して、下段のビーム部材9bをチェーンブロック51側に引き寄せる(図15(b)参照)。そして、下段のビーム部材9bが所定の位置まで移動された後、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85に挿通し、下段のビーム部材9bをロックする。
そして、前側補助脚21を第1プラットフォーム5に収納し、かつ、アウトリガー27を第2プラットフォーム7のエアサスペンションの車高調整により収納し、移動式防護柵トレーラ1の、路面Gに対する固定を解除する。
そして、内筒部35の他端側のピン孔47及び外筒部37のピン孔49に挿入されたピン39,39を取外して、その後、トラクタ3を所定の距離後退させ、内筒部35を外筒部37内にスライドさせる。そして、内筒部35を所定の距離スライドさせた後、ピン39,39を内筒部35の一端側のピン孔45及び外筒部37のピン孔49に挿通させて、内筒部35を外筒部37に固定する。
そして、展開された衝撃緩衝機構15を第2プラットフォーム7に折畳んで格納し、支持部31によってナンバープレート29を下方に配置させる。これにより、移動式防護柵トレーラ1の全長が最短となって、トラクタ3が走行可能となり、別の作業場への移動に適した態様となる。なお、衝撃緩衝機構15の展開作業は、一対のビーム部材9,9の収縮前でもよく、適宜作業順番を変更してもよい。
以上、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、以下のような作用効果を奏するものとなる。
すなわち、走行時には、移動式防護柵トレーラ1の全長が最短になるように、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との間に設けられ、互いに異なる高さに配置された一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の前後方向(移動式防護柵トレーラ1の長手方向)に縮めるように運用する。一方、路面G作業に用いる際には、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の前後方向に延ばし、移動手段13を用いて一対のビーム部材9a,9bの一方を移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させる、すなわち、移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に一対のビーム部材9a,9bを寄せる。このとき、一対のビーム部材9a,9bが互いに異なる高さに配置されているため、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させたとき、下段のビーム部材9bは、上段のビーム部材9aの下方に配置される。その結果、一対のビーム部材9a,9bが移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一側で積層された状態で配置され、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7と一対のビーム部材9a,9bとで囲まれた作業領域67が設けられる。これにより、作業者が作業領域67内で点検、補修等の作業を行うことが可能となる。また、一対のビーム部材9a,9bが延びることで、作業領域67の面積を拡大され、点検、補修等の作業を広範囲に行えることとなる。
また、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、道路の二車線の路面G上、又は、三車線の左車線及び右車線の路面G上で作業する際、移動式防護柵トレーラ1の開口側(すなわち、積層された一対のビーム部材9a,9bの反対側)を路側帯側又は中央分離帯側に対向させるように配置させることにより、作業領域67が第1プラットフォーム5、第2プラットフォーム7、一対のビーム部材9a,9b及び路側帯側又は中央分離帯側によって囲まれるため、作業員の安全が確保される。
さらに、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bが積層される構造をなしているため、一対のビーム部材9a,9bの、路面Gからの高さ寸法が十分確保され、かつ、高強度の柵として機能し、車両が一対のビーム部材9a,9bに衝突したとしても、一対のビーム部材9a,9bを乗り越えることができず、作業領域67内への進入を防ぐことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一側に寄せた状態の時、ロック機構14により、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の片側に寄った状態でその位置にロックされるので、上段及び下段のビーム部材9a,9bが外力を受けてもその位置が変化することがない。さらに、移動式防護柵トレーラ1を傾斜路面に停車させても、一対のビーム部材9a,9bの、移動式防護柵トレーラ1の幅方向の移動を防ぐことが可能となる。また、走行時にも一対のビーム部材9a,9bを幅方向の互いに反対側の端部にロックすることで、走行時の安定性を確保することができる。一対のビーム部材9a,9bは、移動式防護柵トレーラ1の走行時は車両としての必要な強度を確保する強度部材として機能し、作業時には作業領域67内の作業者の安全性を確保する柵として機能する。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、上段のビーム部材9aの長手方向の外面に沿って下方に延びる板材41aを有し、下段のビーム部材9bの長手方向の外面に沿って上方に延びる板材41bを有することにより、両側面視で各ビーム部材9a,9b及び板材41a,41bの高さ方向の総和寸法が同一乃至略同一となり、外観的なバランスが確保されるとともに、一対のビーム部材9a,9bの強度を板材41a,41bによって補完することができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に寄せたとき、すなわち、一対のビーム部材9a,9bが積層されたとき、一対のビーム部材9a,9bの間の隙間が板材41a,41bにより覆われるため、隙間からの異物の侵入又は飛び出しを防ぐことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に寄せた状態で、さらに一対のビーム部材9a,9bの上方に設けられた、一対のビーム部材9a,9bの長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネル69により、作業領域67が覆い隠され、且つ、異物の侵入又は飛び出しを防ぐことが可能となる。さらに、作業場を通過する車両内からの視線を防ぎ、いわゆる見物渋滞を防ぐことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、走行中の車両が移動式防護柵トレーラ1の後部に衝突した際、第2プラットフォーム7の後方に設けられた衝撃緩衝機構15により、車両と移動式防護柵トレーラ1との衝突時の衝撃を吸収する。これにより、衝突に伴う第2プラットフォーム7の、移動式防護柵トレーラ1の前方(第1プラットフォーム5側)への押出しが抑えられ、作業領域67内で作業する作業員の安全を確保することができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、第2プラットフォーム7上に設けられた情報表示機構17によって、道路の点検中、補修中等の任意の情報を表示することで、道路を走行する車両の運転手に注意を促すことが可能となる。さらに、変位機構31によって、トラクタ3のナンバープレート29の位置を適宜変位させることで、路面Gの点検、補修等の作業時、衝撃緩衝機構15を第2プラットフォーム7の後部に配置させてもナンバープレート29を見やすい位置に配置することができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bの端部近傍位置と、第1及び第2プラットフォーム5,7の、一対のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置とに斜交い部材19を設けることで、一対のビーム部材9a,9bの、第1及び第2プラットフォーム5,7の幅方向の移動を防ぐことができる。これにより、作業領域が維持される。
なお、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、高速道路の路面の点検、補修等の作業について説明しているが、一般道路(例えば、二車線の路面、又は、三車線の左車線及び右車線の路面等)の点検、補修等の作業にも適用してもよい。
また、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bは、断面視矩形を呈しているが、円筒状、六角形、八角形等の多角形、断面視コ字状、断面視I字状等の他の形状であってもよい。
ここで、一例として、図16(a)に示すように、それぞれが伸縮可能な、2つの断面視コ字状の部材36A,38A(すなわち、チャンネル状部材)を含む上段のビーム部9aと、それぞれが伸縮可能な、2つの断面視矩形の中空部材(内筒部35及び外筒部37)を含む下段のビーム部9bとを組合せるように構成してもよく、他の形状のビーム部材を組合せるように構成してもよい。
例えば、前述の形状の組合せにおいて、図16(b)に示すように、一方のビーム部材9c又は他方のビーム部材9dを第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向に移動させた際、他方のビーム部材9dの断面視矩形の中空部材(内筒部35及び外筒部37)の少なくとも一部又は全部を一方のビーム部材9cの断面視コ字状の部材36Aの空間40に収納するように構成してもよい。また、図16(b)に示す例では、他方のビーム部材9dが一方のビーム部材9cの空間40の下部に配置されているが、他方のビーム部材9dを一方のビーム部材9cの空間40の中央等の配置位置を変更してもよい。
さらに、例えば、図16(c)に示すように、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bが断面視コ字状(すなわち、チャンネル状)を呈している場合、上段のビーム部材9aの下部脚部が下段のビーム部材9bの上部脚部に対してオーバーラップして、ビーム部材9bの空間40に挿入され、下段のビーム部材9bの上部脚部が上段のビーム部材9aの下部脚部に対してオーバーラップして、上段のビーム部材9aの空間40に挿入し、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bを積層させる構造としてもよい。
さらに、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、移動手段13によって、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させているが、作業現場に応じて上段のビーム部材9aを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させるようにしてもよい。移動手段13は、上段のビーム部材9a又は下段のビーム部材9bを第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向に移動させるためにチェーンブロックを用いているが、油圧シリンダ、エアシリンダ又は油圧ウインチ等の他の移動手段を用いてもよい。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、一対のビーム部材9,9の伸縮は、トラクタ3の前進又は後退によって行われているが、移動式防護柵トレーラ1に油圧等の補助動力を設けて、補助動力によって一対のビーム部材9,9を伸縮させてもよい。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、一対のビーム部材9a,9bが積層された状態時、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に寄せた側とは反対側にバランスウェイトを設けてもよい。これにより、移動式防護柵トレーラ1のバランスを保つことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、一対のビーム部材9a,9bの上方に、一対のビーム部材9a,9bの長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネル69を設けているが、シート等の他のブラインド部材であってもよい。
1…移動式防護柵トレーラ、5…第1プラットフォーム、7…第2プラットフォーム、9…一対のビーム部材、11…接続機構、13…移動手段、14…ロック機構
(1)路上で作業を行う作業員の安全を確保するための移動式防護柵トレーラであって、トラクタに接続支持される第1プラットフォームと、車輪を有する第2プラットフォームと、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、それぞれ長さが伸縮可能な、かつ、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動可能な一対の前後方向に延びるビーム部材と、前記各ビーム部材の両端部をそれぞれ前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとに、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に独立して移動可能に、且つ、第1プラットフォームに前記第2プラットフォームを牽引可能に接続する接続機構と、前記各ビーム部材をそれぞれ独立して前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動させる移動手段と、前記ビーム部材を前記移動式防護柵トレーラの幅方向所定の位置にロックするロック機構と、を備え、前記一対のビーム部材は、走行時は車両として必要な強度を確保する強度部材として機能するものであることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項1)。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項において、前記第1及び第2プラットフォームに立設されたポール間に設けられ、前記一対のビーム部材のさらに上方に、前記一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネルを有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項6)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に寄せた状態で、第1及び第2プラットフォームに立設されたポール間に設けられ、かつ、さらに一対のビーム部材の上方に設けられた、一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネルにより、作業領域が覆い隠され、且つ、異物の侵入又は飛び出しを防ぐものとなる。さらに、作業場を通過する車両内からの視線を防ぎ、いわゆる見物渋滞を防ぐものとなる。
本発明は、道路の路面上で作業する作業員を保護する移動式防護柵トレーラに関する。
一般に、作業員が道路の路面の点検、補修等の作業を行う際、作業領域(車両非進入領域)を確保するために、路面上にロードコーン又は柵等を置いている。また、例えば、特許文献1には、チェーンで連結したブロックを路面に載置させることで車両進入防止柵を構成して、作業員が作業するための作業領域を確保することが開示されている。
しかしながら、ロードコーン又は柵を置いて作業領域を確保する場合では、車両がロードコーン又は柵に衝突することで、ロードコーンが飛散し又は柵を倒して、作業領域内に進入する虞がある。同様に、特許文献1に記載されたものにおいても、車両がブロックに衝突した際、ブロックを倒して又は乗り越えて作業領域内に進入する虞がある。また、ブロックの設置を行う為には、相応の人員と時間を要する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロードコーン又は柵にて確保された作業区域の中に更なる安全区域を迅速に確保することを可能とすること及び規制の迅速化を目的とするものである。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
(1)路上で作業を行う作業員の安全を確保するための移動式防護柵トレーラであって、トラクタに接続支持される第1プラットフォームと、車輪を有する第2プラットフォームと、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、それぞれ長さが伸縮可能な、かつ、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動可能な一対の前後方向に延びるビーム部材と、前記各ビーム部材の両端部をそれぞれ前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとに、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に独立して移動可能に、かつ、第1プラットフォームに前記第2プラットフォームを牽引可能に接続する接続機構と、前記各ビーム部材をそれぞれ独立して前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動させる移動手段と、前記ビーム部材を前記移動式防護柵トレーラの幅方向所定の位置にロックするロック機構と、を備え、前記一対のビーム部材は、走行時は車両として必要な強度及び安定性を確保する強度部材として機能するものであり、前記一対のビーム部材の各々は、該一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って、側面視で他方のビーム部材を覆うように設けられた板材を有する移動式防護柵トレーラ(請求項1)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、走行時にはその全長が最短(すなわち、一対のビーム部材の伸縮範囲内の最短)になるように、第1プラットフォームと第2プラットフォームとの間に設けられ、互いに異なる高さに配置された一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの前後方向(移動式防護柵トレーラの長手方向)に縮めるように運用する。一方、路面作業に用いる際には、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの前後方向に延ばし、移動手段を用いて一対のビーム部材の一方を移動式防護柵トレーラの幅方向に移動させる、すなわち、移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に一対のビーム部材を寄せる。その結果、第1プラットフォームと第2プラットフォームと一対のビーム部材とで囲まれた作業領域が構成される。これにより、作業者が作業領域内で点検、補修等の作業を行えるものとなる。また、一対のビーム部材が延びることで、作業領域の面積を拡大され、点検、補修等の作業を広範囲に行えることとなる。
さらに、二車線の路面上、又は、三車線の左車線及び右車線の路面上で作業する際、移動式防護柵トレーラの開口側(すなわち、積層された一対のビーム部材の反対側)を路側帯側又は中央分離帯側とは反対側へと寄せるように配置させることにより、作業領域が第1プラットフォーム、第2プラットフォーム、一対のビーム部材及び路側帯側又は中央分離帯側によって囲まれるため、作業員の安全が確保されるものとなる。
また、一対のビーム部材が積層される構造をなしているため、一対のビーム部材の、路面からの高さ寸法が十分確保され、かつ、高強度の柵として機能し、車両が一対のビーム部材に衝突したとしても、一対のビーム部材を乗り越えることができず、作業領域内への進入を防ぐものとなる。
なお、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一側に寄せた状態の時、ロック機構により、ビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の片側に寄った状態でその位置にロックされるので、上下のビーム部材が外力を受けてもその位置が変化することがない。さらに、移動式防護柵トレーラを傾斜路面に停車させても、一対のビーム部材の、移動式防護柵トレーラの幅方向の移動を防ぐものとなる。また、走行時にも一対のビーム部材を幅方向の互いに反対側の端部にロックすることで、走行時の安定性を確保するものである。一対のビーム部材は、移動式防護柵トレーラの走行時は車両としての必要な強度を確保する強度部材として機能し、作業時には作業領域内の作業者の安全性を確保する柵として機能するものである。
さらに、一対のビーム部材の各々は、該一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って、側面視で他方のビーム部材を覆うように設けられた板材を有している。すなわち、上段のビーム部材の長手方向の外面に沿って下方に延びる板材を有し、下段のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方に延びる板材を有している。これにより、両側面視で各ビーム部材及び板材の高さ方向の総和寸法が同一乃至略同一となり、外観的なバランスが確保されるとともに、一対のビーム部材の強度を板材によって補完されるものとなる。
また、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に寄せたとき、すなわち、一対のビーム部材が積層されたとき、一対のビーム部材の間の隙間が一対のビーム部材に設けられた板材により覆われるため、隙間からの異物の侵入又は飛び出しを防ぐものとなる。
(2)路上で作業を行う作業員の安全を確保するための移動式防護柵トレーラであって、トラクタに接続支持される第1プラットフォームと、車輪を有する第2プラットフォームと、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、それぞれ長さが伸縮可能な、かつ、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動可能な一対の前後方向に延びるビーム部材と、前記各ビーム部材の両端部をそれぞれ前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとに、前記移動式防護柵トレーラの幅方向に独立して移動可能に、かつ、第1プラットフォームに前記第2プラットフォームを牽引可能に接続する接続機構と、前記各ビーム部材をそれぞれ独立して前記移動式防護柵トレーラの幅方向に移動させる移動手段と、前記ビーム部材を前記移動式防護柵トレーラの幅方向所定の位置にロックするロック機構と、を備え、前記一対のビーム部材は、走行時は車両として必要な強度及び安定性を確保する強度部材として機能するものであり、前記移動式防護柵トレーラのナンバープレートの位置を変位させる変位機構が設けられている移動式防護柵トレーラ(請求項2)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、変位機構によって、移動式防護柵トレーラのナンバープレートの位置を適宜変位させることで、路面の点検、補修等の作業時、衝撃緩衝機構を第2プラットフォームの後部に配置させてもナンバープレートを見やすい位置に配置するものとなる。
また、本項に係る移動式防護柵トレーラでは、上記(1)項の移動式防護柵トレーラで得られるもの、すなわち、作業者が作業領域内で点検、補修等の作業を行える点、一対のビーム部材が延びることで、作業領域の面積を拡大され、点検、補修等の作業を広範囲に行える点、二車線の路面上、又は、三車線の左車線及び右車線の路面上で作業する際の作業員の安全が確保される点、車両が一対のビーム部材に衝突した際、車両が一対のビーム部材を乗り越えることができず、作業領域内への進入を防ぐも点、ロック機構による走行時の安定性を確保する点、及び、一対のビーム部材が移動式防護柵トレーラの走行時は車両としての必要な強度を確保する強度部材として機能し、作業時には作業領域内の作業者の安全性を確保する柵として機能する点と同等の作用を奏するものとなる。
(3)上記(1)又は(2)項において、前記一対のビーム部材は、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、互いに異なる高さに配置された上段のビーム部材と、下段のビーム部材とから構成され、前記上段のビーム部材は、前記下段のビーム部材の上方に位置する、又は、上下に一部オーバーラップする移動式防護柵トレーラ(請求項3)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材が互いに異なる高さに配置された上段のビーム部材と、下段のビーム部材とから構成されているため、上段のビーム部材又は下段のビーム部材を第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向に移動させた際には、上段のビーム部材が下段のビーム部材の上方に配置される、又は、上段のビーム部材が下段のビーム部材の上面をオーバーラップし、下段のビーム部材が上段のビーム部材の下面をオーバーラップするように配置される。その結果、上段のビーム部材又は下段のビーム部材が第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向の一側で積層された状態で配置され、第1プラットフォームと、第2プラットフォームと、上段のビーム部材又は下段のビーム部材とで囲まれた作業領域が構成される。これにより、作業者が作業領域内で点検、補修等の作業を行えるものとなる。
(4)上記(1)又は(2)項において、前記一対のビーム部材は、前記第1プラットフォームと前記第2プラットフォームとの間に、互いに対向して配置されるように構成され、前記一対のビーム部材の少なくとも一方は、中空状をなして、対向する他方のビーム部材との対向面には他方のビーム部材の少なくとも一部を収容可能とする開口が設けられていることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項4)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材の少なくとも一方は、中空状をなして、対向する他方のビーム部材との対向面には他方のビーム部材の少なくとも一部を収容可能とする開口が設けられているため、一対のビーム部材の一方又は他方を第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向に移動させた際、他方のビーム部材が一方のビーム部材の開口を通り、一方のビーム部材内に収納される。その結果、上述の(2)項の作用効果と同等の作用効果を奏するものとなる。
(5)上記(4)項において、前記一対のビーム部材は、互いに前記開口を対向させたチャンネル状部材であることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項5)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、互いに開口を対向させたチャンネル状部材である一対のビーム部材の一方又は他方を第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向に移動させることで、一対のビーム部材が第1プラットフォーム及び第2プラットフォームの幅方向の一側に寄せられ、上述の(3)項の作用効果と同等の作用効果を奏するものとなる。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項において、前記第1及び第2プラットフォームに立設されたポール間に設けられ、前記一対のビーム部材のさらに上方に、前記一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネルを有する移動式防護柵トレーラ(請求項6)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、一対のビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一方に寄せた状態で、さらに一対のビーム部材の上方に設けられた、一対のビーム部材の長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネルにより、作業領域が覆い隠され、かつ、異物の侵入又は飛び出しを防ぐものとなる。さらに、作業場を通過する車両内からの視線を防ぎ、いわゆる見物渋滞を防ぐものとなる。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項において、前記第2プラットフォームの後方に衝撃緩衝機構を有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項7)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、走行中の車両が移動式防護柵トレーラの後部に衝突した際、第2プラットフォームの後方に設けられた衝撃緩衝機構により、車両と移動式防護柵トレーラとの衝突時の衝撃を吸収するものとなる。これにより、衝突に伴う第2プラットフォームの、移動式防護柵トレーラの前方(第1プラットフォーム側)への押出しが抑えられ、作業領域内で作業する作業員の安全を確保するものとなる。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項において、前記第2プラットフォーム上に任意の情報を表示する情報表示機構を有することを特徴とする移動式移動式防護柵トレーラ(請求項8)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、第2プラットフォーム上に設けられた情報表示機構によって、道路の点検中、補修中等の任意の情報を表示することで、道路を走行する車両の運転手に注意を促すものとなる。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか1項において、前記各ビーム部材の端部近傍位置と、前記第1及び第2プラットフォームの前記各ビーム部材の端部から幅方向に離れた位置とに両端部がそれぞれ接続される斜交い部材を有することを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項9)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、各ビーム部材の端部近傍位置と、第1及び第2プラットフォームの各ビーム部材の端部から幅方向に離れた位置とに斜交い部材を設けることで、一対のビーム部材の、第1及び第2プラットフォームの幅方向の移動を防ぐものとなる。これにより、作業領域を維持するものとなる。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項において、前記移動手段は、チェーンブロック、油圧シリンダ、エアシリンダ又は油圧ウインチであることを特徴とする移動式防護柵トレーラ(請求項10)。
本項に係る移動式防護柵トレーラにおいて、チェーンブロック、油圧シリンダ、エアシリンダ又は油圧ウインチ等の移動手段を用いることで、一対のビーム部材を、第1プラットフォーム及び第2プラトフォームの幅方向に適切に移動させるものとなる。
本発明は、以上のように構成したことにより、ロードコーン又は柵にて確保された作業区域の中に更なる安全区域を迅速に確保することを可能とする及び規制の迅速化が可能となる。
本発明の一実施形態に係る走行時(非作業時)の移動式防護柵トレーラの側面図である。
図1に示す移動式防護柵トレーラの上面図である。
図1に示す移動式防護柵トレーラの背面図である。
図1に示す作業時の移動式防護柵トレーラの側面図である。
図4に示す移動式防護柵トレーラの上面図である。
図4に示す移動式防護柵トレーラの背面図である。
図4に示す第1プラットフォーム及び第2プラットフォームに設けられた接続機構及びロック機構を示す上面図である。
図7に示す接続機構及びロック機構の側面図である。
図8に示すD部分の部分拡大図である。
図5に示すC−C線に沿った断面図である。
図4に示すB部分の部分拡大図である。
図3に示すA部分の部分拡大図である。
図4に示す、ブラインドパネルを取付けた移動式防護柵トレーラの側面図である。
ビーム部材を移動式防護柵トレーラの幅方向の一側に寄せる動作を示した図であり、(a)はビーム部材を寄せる前の図であり、(b)はビーム部材を寄せた後の図である。
図14に示すビーム部材の戻し動作を示した図であり、(a)はビーム部材を戻る前の図であり、(b)はビーム部材を戻した後の図である。
他の形状の一対のビーム部材を組合せた概略断面図であり、(a)は断面視コ字状のビーム部材及び断面視矩形状のビーム部材の積層構造、(b)は断面視矩形状のビーム部材を断面視コ字状のビーム部材内に収納した状態の構造、(c)は断面視コ字状のビーム部材同士の積層構造である。
本発明の一実施形態に係る移動式防護柵トレーラの構成を図1〜図15に基づいて詳細に説明する。ここで、以下の説明では、高速道路で作業する場合について説明する。
図1〜図3に示す移動式防護柵トレーラ1は、トラクタ3に連結された状態を示すものであり、第1プラットフォーム5と、第2プラットフォーム7と、一対のビーム部材9a,9bと、接続機構11(図7〜図9等参照)と、移動手段13と、ロック機構14と、衝撃緩衝機構15と、情報表示機構17と、後述する斜交い部材19(図5参照)とを備えている。
第1プラットフォーム5は、その前部がカプラ20(図1及び図4参照)を介してトラクタ3に着脱可能に連結されている。また、第1プラットフォーム5は、その後部が後述する接続機構11を介して一対のビーム部材9a,9bと連結されている。さらに、第1プラットフォーム5の後部(図1の紙面右側)には、道路の路面Gの点検、補修等の作業時、第1プラットフォーム5を支持しつつ、移動式防護柵トレーラ1を路面G上に固定する、上下方向に伸縮可能な前側補助脚21が設けられている。第1プラットフォーム5の上面には、後述するブラインドパネル69を取付けるポール33(図13参照)が取外し可能に立設されている。
第2プラットフォーム7は、その前部が後述する接続機構11を介して一対のビーム部材9a,9bと連結されている。また、第2プラットフォーム7は、その下部に、道路の路面Gの点検、補修等の作業時、移動式防護柵トレーラ1を路面G上に固定するためのアウトリガー27(図11参照)が設けられている。このアウトリガー27は、作業時に第2プラットホーム7のエアサスペンション(図示せず)の車高調整により路面Gに接触する。第2プラットフォーム7の後部には、衝撃緩衝機構15と、ナンバープレート29の取付位置を変位可能にする変位機構31とが設けられている。また、第2プラットフォーム7の上面には、情報表示機構17及びポール33が設けられている。
一対のビーム部材9a,9bは、それぞれが伸縮可能な、2つの断面視矩形の中空部材からなり、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との間に、互いに異なる高さに配置され、後述する移動手段13によって、互いに干渉しないように移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動可能である。一対のビーム部材9a,9b(上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9b)は、内筒部35と、外筒部37と、複数のピン39とを備える。上段のビーム部材9aは、その長手方向の外面に沿って下方に延びる板材41aを有する(図10参照)。下段のビーム部材9bは、その長手方向の外面に沿って上方に延びる板材41bを有している(図10参照)。また、下段のビーム部材9bには、その上部に、移動手段13のチェーンブロック51のロックフック57又は紐状部材55を引っ掛けるための掛止フック43が設けられている(図14及び図15参照)。内筒部35は、その一端が接続機構11に接続され、他端が外筒部37に摺動可能に挿入されている。この内筒部35には、両端近傍にピン39を挿入する複数のピン孔45,47が設けられている(図2及び図5参照)。外筒部37は、その内寸法が内筒部35の外寸法より大きく設定され、一端近傍(すなわち、接続機構11に接続される端部の反対側)にピン39を挿入するピン孔49(図2及び図5参照)が設けられている。外筒部37の他端は、接続機構11に接続されている。ピン39は、一対のビーム部材9a,9bの伸縮、すなわち、内筒部35の、外筒部37に対する摺動をロックするためのものである。
接続機構11は、一対のビーム部材9a,9bの両端部(内筒部35の一端及び外筒部37の他端)を、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7とに、移動式防護柵トレーラ1の幅方向に独立して移動可能に、且つ、第1プラットフォーム5に第2プラットフォーム7を牽引可能に接続するためのものである(図1及び図4参照)。この接続機構11は、第1プラットフォーム5の後部及び第2プラットフォーム7の前部に設けられている。具体的には、図7〜図9を参照して、接続機構11は、一対のパイプ71a,71bと、延在部材75と、ストッパ部73とを備える。一対のパイプ71a,71bは、上下段からなる円筒状のパイプであり、第1プラットフォーム5の後部及び第2プラットフォーム7の前部にそれぞれ設けられている。上段のパイプ71aは、上段のビーム部材9aに対応し、下段のパイプ71bは、下段のビーム部材9bに対応している。延在部材75は、一対のビーム部材9,9(上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9b)の両端部に取付けられ、上段のパイプ71a及び下段のパイプ71bのそれぞれを挟むように配置される一対の板状部材77,77と、この板状部材77,77を支持する支持部79とを少なくとも含む。一対の板状部材77,77は、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向に移動可能に、支持部79から第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に向かって延びている。一対の板状部材77,77は、後述する一対のスライドロックピン83,83を挿通するための複数の挿通孔81,81が形成れている(図8では、2つ)。支持部79は、一対のビーム部9,9の両端に取付けられている。ストッパ部73は、上段のビーム部材9aの両端部の上部を覆うように、第1プラットフォーム5の後部及び第2プラットフォーム7の前部から延びるように形成されている(図8参照)。
ここで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bと、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7とは、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83(後述参照)によって結合されるリンク構造となっている。このため、移動式防護柵トレーラ1の走行時、すなわち、上段のビーム部材9aが第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向一側(ストッパ部73が設けられている側)に配置され、下段のビーム部材9bが第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向他側に配置されている状態において、下段のビーム部材9bの、円筒状の下段のパイプ71bを支点として、下段のビーム部材9bに対して第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7が互いに接近する方向へと回転する態様の相対変位が生じる。かかる相対変位は、上段のビーム部材9aと、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7とが上段のパイプ71aによって連結されていることで妨げられているが、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7と、上段のパイプ71a及び下段のビーム部材9bとの連結位置が、幅方向の一方の上端部と他方の下端部とにあることによって、移動式防護柵トレーラ1の全体でねじれが生じることとなる。かかるねじれに起因する上段のパイプ71aと、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7との変位を、上段のビーム部材9aの上方に配置されたストッパ部73により受けるようになっている。これにより、移動式防護柵トレーラ1全体としてのねじれ発生を抑え込み、バランスが保たれるようになっている。また、一対のパイプ71a,71が円筒状を呈し、上記相対変位を許容することで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bに生じる曲げモーメントの影響を小さくするものとなる。
移動手段13は、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させるものであり、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7のそれぞれに設けられている(図1及び図4参照)。この移動手段13は、チェーンブロック51と、滑車53と、紐状部材55とから構成されている(図14及び図15参照)。チェーンブロック51は、走行時には移動式防護柵トレーラ1内に収納され、一対のビーム部材9a,9b(本実施形態では下段のビーム部材9b)を移動させるとき、チェーンブロック51のロックフック57を第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に設けられた掛止部59(図14及び図15参照)に引掛けて用いられる。滑車53は、掛止部59に対向するように第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に取付けられている。紐状部材55は、ワイヤ、ロープ、チェーン等の索状部材であり、走行時には移動式防護柵トレーラ1内に収納され、一対のビーム部材9a,9bを移動させるとき、滑車53に掛け回しつつ、一端をチェーンブロック51のロックフック57に接続させ、他端を下段のビーム部材9bの掛止フック43に引掛けて用いられる(図14参照)。
ロック機構14は、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向所定の位置にロックするためのものである。このロック機構14は、一対のスライドロックピン83,83と、接続機構11の一対の板状部材77,77の挿通孔81,81と、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に設けられた挿通孔85,85とから構成される(図7〜図9参照)。一対のスライドロックピン83,83は、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bの、第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向の移動をロックするものであり、一対の板状部材77,77の複数の挿通孔81,81及び第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7に設けられた挿通孔85,85に挿入することで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bの移動をロックする。一方、一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,81,85,85から取外すことで、ロックが解除される。
衝撃緩衝機構15は、第2プラットフォーム7の後部に取付けられており、走行時には折畳まれた状態で第2プラットフォーム7上に格納されており(図1参照)、作業時には衝撃緩衝機構15を展開させて第2プラットフォーム7の後部から延びるように配置される(図4参照)。この衝撃緩衝機構15は、道路の路面補修、路面点検等の作業時における車両の衝突による衝撃を吸収することができる様々な形式の衝撃緩衝機構を適用することができる。
情報表示機構17は、情報表示部61を含み、この情報表示部61がトラクタ3の進行方向の後方に向くように、第2プラットフォーム7の上面に立設されている。この情報表示機構17は、トラクタ3から供給された電力によって作動される。また、情報表示機構17には、回転灯63が設けられている(図3及び図6参照)。
変位機構31は、図12を参照して、ナンバープレート29を取付ける取付部87と、この取付部87を支持し、かつ、取付部87を上下方向(図12の紙面上下)にスライドさせるスライド支持部材89とを備える。スライド付支持部材89は、第2プラットフォーム7の後部に設けられている。また、スライド支持部材89は、衝撃緩衝機構15を展開した際、ナンバープレート29が衝撃緩衝機構15によって隠れないように、ナンバープレート29を所定の高さに配置可能な高さを備えている。
斜交い部材19は、円柱、パイプ等の部材からなり、上段及び下段のビーム部材9a,9bが積層された状態時(作業時)、上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部近傍位置と、第1及び第2プラットフォーム5,7の上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置とに、その両端部がそれぞれ接続されている。走行時には、斜交い部材19は、移動式防護柵トレーラ1に収納されている。
次に、移動式防護柵トレーラ1の使用方法について、図1〜図15を参照しながら説明する。
まず、移動式防護柵トレーラ1を、予め設置されたロードコーンによって囲まれた作業現場まで走行させる。走行時では、図1〜図3に示すように、移動式防護柵トレーラ1の全長が最短(すなわち、一対のビーム部材9,9の伸縮範囲内の最短)になるように、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との間に設けられた一対のビーム部材9a,9bが移動式防護柵トレーラ1の前後方向(移動式防護柵トレーラ1の長手方向)に縮められている。また、衝撃緩衝機構15は、折畳まれた状態で第2プラットフォーム7上に格納されており、前側補助脚21及びアウトリガー27は、収納された状態である(図1参照)。
そして、作業現場に到着し、トラクタ3を停止させた後、衝撃緩衝機構15を展開させて、第2プラットフォーム7の後部から延びるように配置する。このとき、衝撃緩衝機構15によって、ナンバープレート29が隠れるので、変位機構31によってナンバープレート29を上方に配置させる(図12の二点鎖線参照)。
その後、一対のビーム部材9a,9bの内筒部35の一端側のピン孔45及び外筒部37のピン孔49に挿通されたピン39,39を取外す。その後、トラクタ3を所定の距離前進させて、内筒部35を外筒部37内に沿ってスライドさせて、一対のビーム部材9a,9bを延ばす。そして、所定の位置まで延ばされた後、ピン39,39を内筒部35の他端側のピン孔47及び外筒部37のピン孔49に挿入させて、内筒部35を外筒部37にロックさせる(図4参照)。これにより、内筒部35が外筒部37内に沿ってスライドしなくなり、一対のビーム部材9a,9bの伸長が維持される。
そして、前側補助脚21を延ばして路面Gに接触させ(図4参照)、かつ、アウトリガー27を第2プラットフォーム7のエアサスペンションの車高調整により路面Gに接触させて、移動式防護柵トレーラ1を路面Gに固定する。
そして、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85から取外し(図9の一点鎖線参照)、移動手段13によって、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させる。具体的には、図14に示すように、チェーンブロック51のロックフック57の一方を第1プラットフォーム5に設けられた掛止部59に引掛ける。その後、紐状部材55を滑車53に掛けて、紐状部材55の一端をチェーンブロック51のロックフック57の他方に接続し、紐状部材55の他端を下段のビーム部材9bの掛止フック43に引掛ける。その後、作業者がチェーンブロック51を操作することで、ロックフック57の他方に接続された紐状部材55をチェーンブロック51側に引き寄せる。これにより、下段のビーム部材9bが上段のビーム部材9a側に移動する。移動手段13は、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との近傍位置にそれぞれ設けられており、上記作業は、二名の操作者がタイミングを合わせて行うものである。また、上記作業に動力源は不要であり、人力のみによって作業を行うものである。そして、下段のビーム部材9bが所定の位置まで移動することで、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bが積層された状態で配置され(図14(b)参照)、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7と一対のビーム部材9a,9bとで囲まれた作業領域67(図5参照)が構成される。また、一対のビーム部材9a,9b間に隙間が形成されるが、この隙間は一対のビーム部材9a,9bに設けられた板材41a,41bにより覆われる。
ここで、前述のごとく移動手段13は、第2プラットフォーム7側にも設けられているが、第1プラットフォーム5に設けられた移動手段13と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
そして、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bが積層された状態で、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85に挿通させて(図9の実線参照)、下段のビーム部材9bをロックする。その後、斜交い部材19の一端を上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部近傍位置に接続させ、他端を第1及び第2プラットフォーム5,7の上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置に接続する。また、第1及び第2プラットフォーム5,7に立設されたポール23,33間に、一対のビーム部材9a,9bの長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネル69を設ける(図13参照)。これにより、作業者が作業領域67内にで路面Gの点検、補修等の作業を行うことができる。なお、衝撃緩衝機構15の展開作業は、一対のビーム部材9,9を伸長した後でもよく、適宜作業順番を変更してもよい。
次に、移動式防護柵トレーラ1の作業形態から走行形態に戻す場合、まず、ブラインドパネル69を取外す。そして、斜交い部材19の一端を上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部近傍位置との接続を解除し、かつ、他端を第1及び第2プラットフォーム5,7の上段及び下段のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置との接続を解除する。
そして、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85から取外し、下段のビーム部材9bのロックを解除させて、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させる。具体的には、図15を参照して、チェーンブロック51のロックフック57の一方を第1プラットフォーム5に設けられた掛止部59に引掛けつつ、ロックフック57の他方を下段のビーム部材9bの掛止フック43に引掛ける。その後、チェーンブロック51を操作して、下段のビーム部材9bをチェーンブロック51側に引き寄せる(図15(b)参照)。そして、下段のビーム部材9bが所定の位置まで移動された後、ロック機構14の一対のスライドロックピン83,83を挿通孔81,85に挿通し、下段のビーム部材9bをロックする。
そして、前側補助脚21を第1プラットフォーム5に収納し、かつ、アウトリガー27を第2プラットフォーム7のエアサスペンションの車高調整により収納し、移動式防護柵トレーラ1の、路面Gに対する固定を解除する。
そして、内筒部35の他端側のピン孔47及び外筒部37のピン孔49に挿入されたピン39,39を取外して、その後、トラクタ3を所定の距離後退させ、内筒部35を外筒部37内にスライドさせる。そして、内筒部35を所定の距離スライドさせた後、ピン39,39を内筒部35の一端側のピン孔45及び外筒部37のピン孔49に挿通させて、内筒部35を外筒部37に固定する。
そして、展開された衝撃緩衝機構15を第2プラットフォーム7に折畳んで格納し、支持部31によってナンバープレート29を下方に配置させる。これにより、移動式防護柵トレーラ1の全長が最短となって、トラクタ3が走行可能となり、別の作業場への移動に適した態様となる。なお、衝撃緩衝機構15の展開作業は、一対のビーム部材9,9の収縮前でもよく、適宜作業順番を変更してもよい。
以上、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、以下のような作用効果を奏するものとなる。
すなわち、走行時には、移動式防護柵トレーラ1の全長が最短になるように、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7との間に設けられ、互いに異なる高さに配置された一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の前後方向(移動式防護柵トレーラ1の長手方向)に縮めるように運用する。一方、路面G作業に用いる際には、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の前後方向に延ばし、移動手段13を用いて一対のビーム部材9a,9bの一方を移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させる、すなわち、移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に一対のビーム部材9a,9bを寄せる。このとき、一対のビーム部材9a,9bが互いに異なる高さに配置されているため、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させたとき、下段のビーム部材9bは、上段のビーム部材9aの下方に配置される。その結果、一対のビーム部材9a,9bが移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一側で積層された状態で配置され、第1プラットフォーム5と第2プラットフォーム7と一対のビーム部材9a,9bとで囲まれた作業領域67が設けられる。これにより、作業者が作業領域67内で点検、補修等の作業を行うことが可能となる。また、一対のビーム部材9a,9bが延びることで、作業領域67の面積を拡大され、点検、補修等の作業を広範囲に行えることとなる。
また、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、道路の二車線の路面G上、又は、三車線の左車線及び右車線の路面G上で作業する際、移動式防護柵トレーラ1の開口側(すなわち、積層された一対のビーム部材9a,9bの反対側)を路側帯側又は中央分離帯側に対向させるように配置させることにより、作業領域67が第1プラットフォーム5、第2プラットフォーム7、一対のビーム部材9a,9b及び路側帯側又は中央分離帯側によって囲まれるため、作業員の安全が確保される。
さらに、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bが積層される構造をなしているため、一対のビーム部材9a,9bの、路面Gからの高さ寸法が十分確保され、かつ、高強度の柵として機能し、車両が一対のビーム部材9a,9bに衝突したとしても、一対のビーム部材9a,9bを乗り越えることができず、作業領域67内への進入を防ぐことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一側に寄せた状態の時、ロック機構14により、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の片側に寄った状態でその位置にロックされるので、上段及び下段のビーム部材9a,9bが外力を受けてもその位置が変化することがない。さらに、移動式防護柵トレーラ1を傾斜路面に停車させても、一対のビーム部材9a,9bの、移動式防護柵トレーラ1の幅方向の移動を防ぐことが可能となる。また、走行時にも一対のビーム部材9a,9bを幅方向の互いに反対側の端部にロックすることで、走行時の安定性を確保することができる。一対のビーム部材9a,9bは、移動式防護柵トレーラ1の走行時は車両としての必要な強度を確保する強度部材として機能し、作業時には作業領域67内の作業者の安全性を確保する柵として機能する。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、上段のビーム部材9aの長手方向の外面に沿って下方に延びる板材41aを有し、下段のビーム部材9bの長手方向の外面に沿って上方に延びる板材41bを有することにより、両側面視で各ビーム部材9a,9b及び板材41a,41bの高さ方向の総和寸法が同一乃至略同一となり、外観的なバランスが確保されるとともに、一対のビーム部材9a,9bの強度を板材41a,41bによって補完することができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に寄せたとき、すなわち、一対のビーム部材9a,9bが積層されたとき、一対のビーム部材9a,9bの間の隙間が板材41a,41bにより覆われるため、隙間からの異物の侵入又は飛び出しを防ぐことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に寄せた状態で、さらに一対のビーム部材9a,9bの上方に設けられた、一対のビーム部材9a,9bの長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネル69により、作業領域67が覆い隠され、且つ、異物の侵入又は飛び出しを防ぐことが可能となる。さらに、作業場を通過する車両内からの視線を防ぎ、いわゆる見物渋滞を防ぐことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、走行中の車両が移動式防護柵トレーラ1の後部に衝突した際、第2プラットフォーム7の後方に設けられた衝撃緩衝機構15により、車両と移動式防護柵トレーラ1との衝突時の衝撃を吸収する。これにより、衝突に伴う第2プラットフォーム7の、移動式防護柵トレーラ1の前方(第1プラットフォーム5側)への押出しが抑えられ、作業領域67内で作業する作業員の安全を確保することができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、第2プラットフォーム7上に設けられた情報表示機構17によって、道路の点検中、補修中等の任意の情報を表示することで、道路を走行する車両の運転手に注意を促すことが可能となる。さらに、変位機構31によって、トラクタ3(移動式防護柵トレーラ1)のナンバープレート29の位置を適宜変位させることで、路面Gの点検、補修等の作業時、衝撃緩衝機構15を第2プラットフォーム7の後部に配置させてもナンバープレート29を見やすい位置に配置することができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1よれば、一対のビーム部材9a,9bの端部近傍位置と、第1及び第2プラットフォーム5,7の、一対のビーム部材9a,9bの端部から幅方向に離れた位置とに斜交い部材19を設けることで、一対のビーム部材9a,9bの、第1及び第2プラットフォーム5,7の幅方向の移動を防ぐことができる。これにより、作業領域が維持される。
なお、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、高速道路の路面の点検、補修等の作業について説明しているが、一般道路(例えば、二車線の路面、又は、三車線の左車線及び右車線の路面等)の点検、補修等の作業にも適用してもよい。
また、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bは、断面視矩形を呈しているが、円筒状、六角形、八角形等の多角形、断面視コ字状、断面視I字状等の他の形状であってもよい。
ここで、一例として、図16(a)に示すように、それぞれが伸縮可能な、2つの断面視コ字状の部材36A,38A(すなわち、チャンネル状部材)を含む上段のビーム部9aと、それぞれが伸縮可能な、2つの断面視矩形の中空部材(内筒部35及び外筒部37)を含む下段のビーム部9bとを組合せるように構成してもよく、他の形状のビーム部材を組合せるように構成してもよい。
例えば、前述の形状の組合せにおいて、図16(b)に示すように、一方のビーム部材9c又は他方のビーム部材9dを第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向に移動させた際、他方のビーム部材9dの断面視矩形の中空部材(内筒部35及び外筒部37)の少なくとも一部又は全部を一方のビーム部材9cの断面視コ字状の部材36Aの空間40に収納するように構成してもよい。また、図16(b)に示す例では、他方のビーム部材9dが一方のビーム部材9cの空間40の下部に配置されているが、他方のビーム部材9dを一方のビーム部材9cの空間40の中央等の配置位置を変更してもよい。
さらに、例えば、図16(c)に示すように、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bが断面視コ字状(すなわち、チャンネル状)を呈している場合、上段のビーム部材9aの下部脚部が下段のビーム部材9bの上部脚部に対してオーバーラップして、ビーム部材9bの空間40に挿入され、下段のビーム部材9bの上部脚部が上段のビーム部材9aの下部脚部に対してオーバーラップして、上段のビーム部材9aの空間40に挿入し、上段のビーム部材9a及び下段のビーム部材9bを積層させる構造としてもよい。
さらに、一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、移動手段13によって、下段のビーム部材9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させているが、作業現場に応じて上段のビーム部材9aを移動式防護柵トレーラ1の幅方向に移動させるようにしてもよい。移動手段13は、上段のビーム部材9a又は下段のビーム部材9bを第1プラットフォーム5及び第2プラットフォーム7の幅方向に移動させるためにチェーンブロックを用いているが、油圧シリンダ、エアシリンダ又は油圧ウインチ等の他の移動手段を用いてもよい。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、一対のビーム部材9,9の伸縮は、トラクタ3の前進又は後退によって行われているが、移動式防護柵トレーラ1に油圧等の補助動力を設けて、補助動力によって一対のビーム部材9,9を伸縮させてもよい。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、一対のビーム部材9a,9bが積層された状態時、一対のビーム部材9a,9bを移動式防護柵トレーラ1の幅方向の一方に寄せた側とは反対側にバランスウェイトを設けてもよい。これにより、移動式防護柵トレーラ1のバランスを保つことができる。
一実施形態に係る移動式防護柵トレーラ1において、一対のビーム部材9a,9bの上方に、一対のビーム部材9a,9bの長手方向の外面に沿って上方へと延びるブラインドパネル69を設けているが、シート等の他のブラインド部材であってもよい。
1…移動式防護柵トレーラ、5…第1プラットフォーム、7…第2プラットフォーム、9…一対のビーム部材、11…接続機構、13…移動手段、14…ロック機構