JP2021031658A - 光カチオン重合性組成物、光造形用組成物及び硬化物 - Google Patents

光カチオン重合性組成物、光造形用組成物及び硬化物 Download PDF

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Yuki Haruta
由季 春田
隼人 小笠原
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Abstract

【課題】高い機械的強度と伸度を有する硬化物を与える光カチオン重合性組成物を提供する。【解決手段】光カチオン重合性成分として、少なくとも2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)を含有する光カチオン重合性組成物であって、光カチオン重合性成分100重量部に対する脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量が1〜9重量部である、光カチオン重合性組成物。この光カチオン重合性組成物よりなる光造形用組成物及び硬化物。【選択図】なし

Description

本発明は、光カチオン重合性組成物、光造形用組成物及び硬化物に関する。詳しくは、光カチオン重合性成分としてエポキシ化合物を含む光カチオン重合性組成物及び光造形用組成物と、その硬化物に関するものである。
エポキシ樹脂は、高い接着性を有することから従来接着剤として広く使用されており、近年では工程時間の短縮の為、光カチオン重合により硬化する特性を生かして、UV硬化接着剤として使用されている。
例えば、特許文献1には、芳香族エポキシ化合物を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物又は脂環式エポキシ化合物の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及びエネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性組成物が開示されている。また、特許文献2には、カチオン重合性成分およびカチオン重合開始剤を含有する硬化性組成物において、カチオン重合性成分として、芳香族二官能エポキシ化合物および芳香族単官能エポキシ化合物を必須とし、芳香族二官能エポキシ化合物:芳香族単官能エポキシ化合物の比が80:20〜50:50である硬化性組成物が開示されている。
国際公開第2015/005211号 特開2018−141060号公報
近年、3Dプリンターによる光造形技術の急速な発展により、光硬化特性を持つエポキシ樹脂が3Dプリンターによる造形用の樹脂原料として注目を集めている。3Dプリンターによる光造形技術は、一般的に、CAD上で入力された3次元形状を直接に立体モデル化するシステムであり、ラピッドプロトタイピングシステム、ラッピッドマニュファクチャリングシステム等と呼ばれ、これらのシステムには積層造形法と呼ばれる製造手法が用いられる。具体的には、原料となる液体樹脂等を一層ずつ積層させて立体的に造形とする製造手法である。この積層造形法の中でも光硬化性樹脂をインク状にして噴射し、紫外線照射により硬化させながら積層していくインクジェット法は、低コストで比較的高精度な造形が可能であり、また、液体樹脂中に複数の素材を混ぜ合わせることにより多様な性能を付与することが可能であるといった利点を有する。
インクジェット法に使用されるエポキシ樹脂には、寸法安定性に優れること、機械的強度が高いこと、更には得られる造形物が耐衝撃性に優れることも求められ、機械的強度と同時に伸度も要求される。このため、特許文献1や特許文献2に記載の接着剤用途としてのカチオン重合性組成物や硬化性組成物では、硬化性や耐水性、或いは低粘度に特化した組成物であるため、3Dプリンターのインクジェット法に適用する光カチオン重合性組成物としては、十分な機械的強度や伸度が望めなかった。
本発明は、3Dプリンターのインクジェット法に使用する光カチオン重合性組成物として求められる機械的強度と伸度をも十分に満足し得る光カチオン重合性組成物と、この光カチオン重合性組成物よりなる光造形用組成物及び硬化物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、光カチオン重合性組成物において、2官能以上の芳香族エポキシ化合物と単官能の芳香族エポキシ化合物とを併用することでその硬化物が高い機械的強度を発現すると共に、単官能の芳香族エポキシ化合物により硬化物全体の架橋密度を低下させることで伸度も向上させることが可能であることを見出した。さらに、脂肪族エポキシ化合物を特定量配合することで、機械的強度の低下を抑え、更なる伸度の向上が可能であることを見出し、上記課題を解決し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 光カチオン重合性成分として、少なくとも2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)を含有する光カチオン重合性組成物であって、光カチオン重合性成分100重量部に対する脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量が1〜9重量部である、光カチオン重合性組成物。
[2] 更に光重合開始剤を含有する[1]に記載の光カチオン重合性組成物。
[3] 前記2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)が、多価フェノール類またはそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル、芳香族多塩基酸類のグリシジルエステル、ジビニルベンゼンのエポキシ化合物、ビフェニル型のエポキシ化合物、及び多環芳香族型のエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する[1]又は[2]に記載の光カチオン重合性組成物。
[4] 前記単官能の芳香族エポキシ化合物(B)が、フェノール類またはそのアルキレンオキサイド付加物のモノグリシジルエーテル、安息香酸類のグリシジルエステル、ジビニルベンゼンのモノエポキシ化合物、ビフェニル型のモノエポキシ化合物、多環芳香族型のモノエポキシ化合物、及びスチレンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の光カチオン重合性組成物。
[5] 前記脂肪族エポキシ化合物(C)が、脂肪族アルコールのモノエポキシ化合物及び脂肪族多価アルコールの多官能エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する[1]〜[4]のいずれかに記載の光カチオン重合性組成物。
[6] 前記光重合開始剤が活性エネルギー線により酸を発生する光カチオン重合開始剤であり、一般式:[X]r+[Y]r−(式中、Xは陽イオン種を表し、Yは陰イオン種を表し、rは価数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩である[2]〜[5]のいずれかに記載の光カチオン重合性組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の光カチオン重合性組成物からなる光造形用組成物。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の光カチオン重合性組成物よりなる硬化物。
[9] 光カチオン重合性組成物の硬化物であって、以下の引張試験における最大強度が70MPa以上、且つ破断伸度が5%以上である硬化物。
<引張試験>
該硬化物よりなる引張試験JIS6号形ダンベル状試験片(厚さ1mm)について、JIS−K7161に準拠し万能材料試験機にて初期距離50mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を行う。
本発明によれば、3Dプリンターのインクジェット法に適用する光カチオン重合性組成物として求められる機械的強度と伸度をも十分に満足し得る光カチオン重合性組成物と、この光カチオン重合性組成物よりなる光造形用組成物及び硬化物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[光カチオン重合性組成物]
本発明の光カチオン重合性組成物は、光カチオン重合性成分として少なくとも2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)を含有し、光カチオン重合性成分100重量部に対する脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量が1〜9重量部であることを特徴とするものであり、好ましくは更に光重合開始剤を含有する。
なお、本発明における、「エポキシ化合物」とは分子中に平均1個以上のオキシラン環を有する化合物の総称と定義する。
本発明の光カチオン重合性組成物に含まれる光カチオン重合性成分は、2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)、及び脂肪族エポキシ化合物(C)を必須成分として含み、必要に応じて更に2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)以外のその他の光カチオン重合性成分を含有していてもよい。
<2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)>
2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)とは、芳香環を含む2官能以上のエポキシ化合物を指し、その具体例としては、少なくとも1個の芳香環を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック化物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル化物、ジビニルベンゼンのエポキシ化合物、ビフェニル型のエポキシ化合物、多環芳香族型のエポキシ化合物等が挙げられる。
中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック化物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物、ジビニルベンゼンのエポキシ化物が、高強度、低粘度、耐湿性及び耐熱性の観点から好ましい。
2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)のエポキシ当量は80〜500g/eqであることが、硬化性に優れるため好ましい。2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)のエポキシ当量はより好ましくは100〜400g/eqであり、その中でも特に100〜300g/eqの範囲が好ましい。
2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)としては、市販品を用いることができ、例えば、jER825、jER827、jER828、jER828EL、jER828US、jER834、YL980、YL6810、jER1001、jER1004、jER1009、jER807、jER806、jER806H、YL983U、jER1750(以上、三菱ケミカル社製);アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4100G、アデカレジンEP−4100E、アデカレジンEP−4100HF、アデカレジンEP−4100TX、アデカレジンEP−4300E、アデカレジンEP−4400、アデカレジンEP−4520S、アデカレジンEP−4530、アデカレジンEP−4901、アデカレジンEP−4901E、アデカレジンEP−4901HF(以上、ADEKA社製);EPICLON840、EPICLON840−S、EPICLON850、EPICLON850−S、EPICLON EXA−850CRP、EPICLON850−LC、EPICLON830、EPICLON830−S、EPICLON835、EPICLON EXA−830CRP、EPICLON EXA−830LVP、EPICLON EXA−835LV(以上、DIC社製);デナコールEX−201、デナコールEX−711、デナコールEX−721(以上、ナガセケムテックス社製);RE−3035−L、RE−310S(以上、日本化薬社製);YD−127、YD−128,YD−128G、YD−128S、YD−128CA、YD134、YD−011、YD−012、YD−013、YD−014、YDF−170、YDF−170N、YDF−2001、YDF−2004、YD−8125、YDF−8170C、ZX−1059、YD−825GS、YDF−870GS(以上、日鉄ケミカル&マテリアル社製);LX−01、LX−02F(以上、大阪ソーダ社製);リカレジンBPO−20E、リカレジンBEO−60E(以上、新日本理化社製);エポライト3002(N)(共栄社化学社製)等が挙げられる。
2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<単官能の芳香族エポキシ化合物(B)>
単官能の芳香族エポキシ化合物(B)とは、芳香環を含む単官能のエポキシ化合物を指し、その具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノール類又はそのアルキレンオキサイド付加物のモノグリシジルエーテル化物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のモノグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のモノグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のモノグリシジルエステル、安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のグリシジルエステル、ジビニルベンゼンのモノエポキシ化合物、ビフェニル型のモノエポキシ化合物、多環芳香族型のモノエポキシ化合物、スチレンオキサイド等が挙げられる。
中でも、フェノール類のモノグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のモノグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のモノグリシジルエーテル化物を使用することが、高強度や低粘度化、耐湿性及び耐熱性の観点から好ましい。
単官能の芳香族エポキシ化合物(B)のエポキシ当量は80〜400g/eqであることが、硬化性に優れるため好ましい。単官能の芳香族エポキシ化合物(B)のエポキシ当量はより好ましくは80〜400g/eqであり、その中でも特に100〜300g/eqの範囲が好ましい。
単官能の芳香族エポキシ化合物(B)としては、市販品を用いることができ、例えば、YED122(三菱ケミカル社製);デナコールEX−141、デナコールEX−142、デナコールEX−145、デナコールEX−146、デナコールEX−146P、デナコールEX−147、デナコールEX−191P(以上、ナガセケムテックス社製);アデカグリシロールED−509E、アデカグリシロールED−509S、アデカグリシロールED−529(以上、ADEKA社製);PGE、SY−OCG、m,p−CGE、SY−OPG(以上、阪本薬品工業社製);エピオールP、エピオールSB、エピオールTB(以上、日油社製);EPICLON520(DIC社製)等が挙げられる。
単官能の芳香族エポキシ化合物(B)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<脂肪族エポキシ化合物(C)>
脂肪族エポキシ化合物(C)とは、非環式の炭素化合物からなるエポキシ化合物を指し、その炭素鎖は直鎖でも分岐を含んでいてもよく、また、結合は飽和結合でも不飽和結合でもよい。また、官能基数は単官能でも2官能以上の多官能でもよい。脂肪族エポキシ化合物(C)の具体例としては、脂肪族アルコールのモノグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等のモノエポキシ化合物や、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物(C)の代表的な化合物としては、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C11〜13混合アルキルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数が11〜13のアルキルグリシジルエーテルの混合物)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またはプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
中でも、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、あるいは脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、エポキシ化ポリブタジエンが、高伸度や低粘度化の観点から好ましい。
脂肪族エポキシ化合物(C)のエポキシ当量は、80〜2000g/eqであることが、硬化性に優れるため好ましい。脂肪族エポキシ化合物(C)のエポキシ当量はより好ましくは100〜1600g/eqであり、その中でも特に100〜500g/eqの範囲が好ましい。
脂肪族エポキシ化合物(C)としては、市販品を用いることができ、例えば、YED111N、YED111AN、YED188、YED216M、YED216D、YX7400(以上、三菱ケミカル社製);デナコールEX−111、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−252、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナレックスR−45EPT、EX−991L(以上、ナガセケムテックス(株)社製);アデカグリシロールED−502、アデカグリシロールED−502S、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−505、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−509E、アデカグリシロールED−509S、アデカグリシロールED−523T、アデカグリシロールED−529(以上、(株)ADEKA社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(以上、共栄社化学(株)製);リカレジンDME−100、リカレジンL−200(以上、新日本理化社製);DY−BP、エポゴーセーEN、エポゴーセーAN、エポゴーセー2EH、エポゴーセーHD(D)(以上、四日市合成社製);エピオールES−F、エピオールB、エピオールA、エピオールEH−N、エピオールG−100、エピオールE−100LC、エピオールE−400(以上、日油社製);BGE−C、BGE−R、SY−25L、SY−35M、SY−40M、SR−NPG、SR−14BL、SR−14BJ、SR−16HL,SR−TMPL、SR−PG、SR−TPG、SR−4PG、SR−PTMG、SR−CF2、SR−2EGS、SR−8EGS、SR−GLG、SR−DGE、SR−4GL、SR−6GL、SR−SEP(以上、阪本薬品工業社製)等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物(C)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<成分組成>
本発明の光カチオン重合性組成物に含まれる脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量は、光カチオン重合性成分100重量部に対して1〜9重量部である。脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量がこの範囲であることで機械的強度の低下を抑えた上で伸度を向上させることができる。脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量が上記範囲の下限未満ではこのような効果を十分に得ることはできず、上記上限を超えると機械的強度が低下する。
本発明の光カチオン重合性組成物は、光カチオン重合性成分100重量部に対して1.5〜8.5重量部、特に2〜8重量部含有することが好ましい。
本発明の光カチオン重合性組成物は、2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)が光カチオン重合性成分の主成分となるように、光カチオン重合性成分100重量部に対して50〜90重量部、特に55〜85重量部含有されることが強度の観点から好ましい。ここで、光カチオン重合性成分とは、前述の通り、2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)と単官能の芳香族エポキシ化合物(B)と脂肪族エポキシ化合物(C)と、必要に応じて用いられるその他の光カチオン重合性成分の合計をさす。
また、本発明の光カチオン重合性組成物の単官能の芳香族エポキシ化合物(B)の含有量は、光カチオン重合性成分100重量部に対して5〜35重量部、特に10〜30重量部であることが、機械的強度と伸度の両立の観点から好ましい。
<その他の光カチオン重合性成分>
本発明の光カチオン重合性組成物は、2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)以外の光カチオン重合性成分(以下、「その他の光カチオン重合性成分」と称す場合がある。)を含有してもよい。
その他の光カチオン重合性成分としては、特に制限はないが、好ましいものとしてオキセタン化合物やビニルエーテル化合物が挙げられる。また、脂肪族エポキシ化合物(C)に含まれない脂環構造を有するエポキシ化合物が挙げられる。
オキセタン化合物とは、オキセタニル基を有する化合物であり、官能基数は単官能でも多官能でもよい。オキセタン化合物の具体例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン等が挙げられる。
上記オキセタン化合物としては、硬化性と低粘度化の観点から、分子量が100〜1000のものが好ましく、110〜500のものがより好ましい。
上記オキセタン化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、アロンオキセタンOXT−101、OXT−212、OXT−121、OXT−221(東亞合成社製);ETENACOLL EHO、ETENACOLL OXMA、ETENACOLL OXBP、ETENACOLL HBOX、ETENACOLL OXIPA(以上、宇部興産社製)等が挙げられる。
これらのオキセタン化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニルエーテル化合物とは、ビニルエーテル基を有する化合物であり、官能基数は単官能でも多官能でもよい。ビニルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、硬化性と低粘度化の観点から、分子量が58〜500のものが好ましく、70〜300のものがより好ましい。
上記ビニルエーテル化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV)、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)(以上、丸善石油化学社製);n−プロピルビニルエーテル(NPVE)、イソプロピルビニルエーテル(IPVE)、n−ブチルビニルエーテル(NBVE)、イソブチルビニルエーテル(IBVE)、2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(1,4−CHMVE)、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル(BDVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE)、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDVE)(以上、日本カーバイド工業社製)等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、エポキシ当量が80〜500g/eqであるものが好ましい。
脂環式エポキシ化合物としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(以上、ダイセル社製)等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の光カチオン重合性組成物が、オキセタン化合物やビニルエーテル化合物等のその他の光カチオン重合性成分を含有する場合、その含有量は、強度や低粘度化の観点から、光カチオン重合性成分100重量部中に30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0〜20重量部である。
<光重合開始剤>
本発明における光重合開始剤とは、光や電子線又はX線等の活性エネルギー線などの光照射によりカチオンやアニオンなどの活性種を発生させ、エポキシ樹脂やビニル化合物などの光カチオン重合性成分を重合させる光カチオン重合開始剤を指す。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系等のオニウム塩系光カチオン重合開始剤を用いることができる。
好ましい光カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線により酸を発生する光カチオン重合開始剤であり、一般式:[X]r+[Y]r−(式中、Xは陽イオン種を表し、Yは陰イオン種を表し、rは価数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩が挙げられる。
ここで陽イオン[X]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、一般式:[(RQ]r+で表すことができる。
ここで、Rは炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子を含んでいてもよい有機基である。aは1〜5の整数である。a個のRは同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,l,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[X]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
一方、陰イオン[Y]r−は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、一般式:[LZr−で表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Zはハロゲン原子である。bは3〜7の整数である。また、陰イオン[Y]r−中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
オニウム塩系の光重合開始剤における陰イオン[Y]r−としては、例えば、PF 、(Rf)PF(6−n) (Rf=CF(CF)等のリン酸イオン、SbF 、SbCl 等のアンチモン酸イオン、B(C 、BF 等のボレート塩、トリフルオロメタンスルホナート等のフルオロアルキルスルホン酸イオン等が挙げられる。
また、陽イオン[X]r+としては、例えば、芳香族スルホニウム等のスルホニウム、芳香族ヨードニウム等のヨードニウム、芳香族ホスホニウム等のホスホニウム、芳香族スルホキソニウム等のスルホキソニウム等が挙げられる。
このようなオニウム塩としては、例えば、上記陰イオン[Y]r−をカウンターアニオンとして有する、芳香族スルホニウム塩等のスルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩等のヨードニウム塩、芳香族ホスホニウム塩等のホスホニウム塩、芳香族スルホキソニウム塩等のスルホキソニウム塩等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の分解に有効な波長は、主にカチオン成分である陽イオン[X]r+の化学構造に依存して変わり、硬化速度は、主にアニオン成分である陰イオン[Y]r−の種類と硬化するエポキシ化合物の種類によって変わるので、用途により適宜選択することができる。
上記光カチオン重合開始剤としては、芳香族スルホニウム塩系や芳香族ヨードニウム塩系の光カチオン重合開始剤が、硬化性に優れるため好ましい。
上記光カチオン重合開始剤としては、市販品を用いることができ、例えば、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S、CPI−310B、CPI−410S、1K−1(以上、サンアプロ社製);WPI−113、WPI−116、WPI−169、WPI−170、WPI−124(以上、富士フィルム和光純薬社製);B2380、C1390、D2231、D2238、D2248、D2253、I0591、T1608、T1609、T2041、T2042(以上、東京化成工業社製)等が挙げられる。
本発明において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の光カチオン重合性組成物における光重合開始剤の含有量は、光カチオン重合性成分100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜8重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。光重合開始剤の含有量が0.01重量部未満では、エポキシ化合物等の光カチオン重合性成分を十分に重合させることが困難な場合があり、一方、10重量部を超える場合では、重合度が低下する可能性があり、得られる硬化物の物性が低下したり、残存する光重合開始剤が硬化物に悪影響を与えたりする可能性がある。また、光重合開始剤の過剰添加は、すでに性能が飽和状態に達しているため、それ以上添加してもさらなる硬化速度の向上が期待しがたい。以上の点から、光重合開始剤は上記好適な範囲で用いることが好ましい。
<増感剤>
本発明の光カチオン重合性組成物は、更に増感剤を含有していてもよい。
増感剤とは、光重合開始剤が持つ吸収帯より長波長域の吸収帯を持ち、光吸収による励起後に光重合開始剤へ電子もしくはエネルギーの移動が行われ、光重合開始剤の分解・重合開始種の発生に寄与する化合物である。増感剤は光硬化に用いる光源波長に応じて、適宜配合することができる。
増感剤の具体例としては、ジメチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセンなどのアントラセン化合物、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン化合物、2−エチルアントラキノン、(±)−カンファーキノンなどのキノン化合物、ジアルコキシナフタレンなどのナフタレン化合物、ベンジル、クルクミンなどの芳香族のジケトン化合物などが挙げられる。
また、光増感剤としては、350nmより大きい波長領域に吸収帯を持ち、芳香族スルホニウム塩系や芳香族ヨードニウム塩系の光カチオン重合開始剤との電子移動が生じやすいアントラセン化合物やチオキサントン化合部及びキノン化合物の群から選択して使用することが、長波長帯の吸光度が好適なレベルにあり、樹脂中の分散不良が発生しにくく、また硬化性の向上や硬化時の硬化速度向上の観点から好ましい。
増感剤としては、市販品を用いることができ、例えば、アントラキュアーUVS−1331、アントラキュアーUVS−1101(以上、川崎化成工業社製)、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン(以上、東京化成工業社製)等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の光カチオン重合性組成物が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、光カチオン重合性成分100重量部に対して0.01〜10重量部とするのが好ましく、より好ましくは0.05〜8重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。増感剤の含有量が0.05質量部未満では、増感作用を十分に発揮することが困難な場合があり、一方、10質量部を超えると、エポキシ化合物との相溶性の低下や深部への硬化阻害により、硬化速度が低下するおそれがある。
<その他の成分>
本発明の光カチオン重合性組成物には、上記の光カチオン重合性成分及び光重合開始剤以外に、必要に応じて、改質剤、ラジカル重合性成分、三フッ化ホウ素やスルホニウムイオン系化合物等のカチオン性熱重合開始剤、ポリオール化合物、酸増殖剤、シラン系あるいはチタネート系のカップリング剤、可塑剤、希釈剤、シリコーン化合物等の可撓性付与剤、分散剤、湿潤剤、着色剤、顔料、染料、無機質充填剤等の無機添加剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、重合禁止剤、酸化防止剤、脱泡剤、離型剤、流動調整剤等を配合してもよい。
本発明の光カチオン重合性組成物における、光カチオン重合性成分及び光重合開始剤以外の任意成分の合計量は、本発明の光カチオン重合性組成物の用途等にもよるが、本発明の効果を一層高める観点から、光カチオン重合性成分100重量部に対して30重量部以下とすることが好ましい。
<粘度>
本発明の光カチオン重合性組成物は、吐出性の観点から粘度が500mPa・s以下であることが好ましく、10〜400mPa・sであることが更に好ましい。この粘度は、25℃における粘度であり、通常E型粘度計により測定される。
<活性エネルギー線>
本発明の光カチオン重合性組成物は活性エネルギー線の照射により硬化するが、その活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザ、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプなどが挙げられる。
<用途>
本発明の光カチオン重合性組成物の用途としては、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、接着剤、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用樹脂等を挙げることができ、例えばコーティング剤として適用できる基材としては金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス、セラミック製品等を挙げることができる。
本発明の光カチオン重合性組成物は、特にその光硬化性と得られる硬化物の機械的強度及び伸度に優れる観点から、光造形用組成物として好適に用いることができ、特に3Dプリンター(CAD(Computer Aided Design)データに基づいて積層造形法により3次元形状の立体造形物を直接造形する装置)により、インクジェット方式で硬化物を製造するための光造形用組成物として有用である。
[硬化物]
本発明の光カチオン重合性組成物よりなる硬化物は、機械的強度及び伸度に優れるものであり、例えば、本発明の光カチオン重合性組成物を用いて3Dプリンターによりインクジェット方式で製造される硬化物は、後掲の実施例の項に記載の引張試験を行った場合、最大強度70MPa以上で破断伸度5%以上、更には弾性率2.5GPa以上というような優れた特性を有する。
以下に実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[光カチオン重合性成分]
以下の実施例及び比較例において、光カチオン重合性成分としては以下のものを用いた。
<2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)>
化合物1A−1:jER1750(ビスフェノールFエポキシ:三菱ケミカル社製、エポキシ当量:159g/eq)
<単官能の芳香族エポキシ化合物(B)>
化合物1B−1:YED122(アルキルフェノールモノグリシジルエーテル:三菱ケミカル社製、エポキシ当量:235g/eq)
<脂肪族エポキシ化合物(C)>
化合物1C−1:YX7400(アルキルジグリシジルエーテル:三菱ケミカル社製、エポキシ当量:440g/eq)
化合物1C−2:YED111AN(アルキルモノグリシジルエーテル:三菱ケミカル社製、エポキシ当量:300g/eq)
化合物1C−3:YED188(アルキルモノグリシジルエーテル:三菱ケミカル社製、エポキシ当量:188g/eq)
<その他の光カチオン重合性成分>
化合物1D−1:セロキサイド2021P(脂環式エポキシ:ダイセル社製、エポキシ当量:130g/eq)
化合物1D−2:アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては下記の化合物2−1を用いた。
化合物2−1:CPI−200K(下記構造式で表される光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製)
Figure 2021031658
[測定・評価方法]
以下の実施例及び比較例で得られた光カチオン重合性組成物について、以下の方法で測定及び評価を行った。
<粘度>
得られた光カチオン重合性組成物について、25℃においてE型粘度計で粘度を測定し、粘度500mPa・s以下のものを○、500mPa・sより粘度が高いものを×とした。
<引張試験>
得られた光カチオン重合性組成物を引張試験JIS6号形ダンベル状に厚さ1mmとなるよう注型し、365nm波長のUV−LEDランプを用いて片面60,000mJ/cm、両面120,000mJ/cmのエネルギーを照射した。得られた硬化物を25℃、60%RH条件下で24時間以上静置後、JIS−K7161に準拠し、万能材料試験機にて初期距離50mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を実施し、最大強度、弾性率及び破断伸度を測定した。
(最大強度)
引張試験時の最大強度について70MPa以上のものを○、70MPa未満のものを×とした。
(弾性率)
引張試験時の弾性率について2.5GPa以上のものを○、2.5GPa未満のものを×とした。
(破断伸度)
引張試験時の破断時の伸度について5%以上のものを○、5%未満のものを×とした。
<総合評価>
最大強度、弾性率、破断伸度、粘度の4項目のうち、全て○となるものを○、○が3項目となるものを△、○が2項目以下であるものを×とした。
[実施例1,2、比較例1〜16]
表1,2に示す配合で各化合物を混合して光カチオン重合性組成物を製造し、得られた光カチオン重合性組成物について上記の測定、評価を行い、結果を表1,2に示した。
Figure 2021031658
Figure 2021031658
表1,2より次のことが分かる。
2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)の合計100重量部中に脂肪族エポキシ化合物(C)を1〜9重量部含む本発明の光カチオン重合性組成物に該当する実施例1,2の光カチオン重合性組成物は、低粘度であり、機械的強度、伸度において優れている。
本発明の規定を満たさない比較例1〜16の光カチオン重合性組成物は、機械的強度及び伸度のいずれかが劣り、総合評価として△又は×となる。

Claims (9)

  1. 光カチオン重合性成分として、少なくとも2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)、単官能の芳香族エポキシ化合物(B)及び脂肪族エポキシ化合物(C)を含有する光カチオン重合性組成物であって、光カチオン重合性成分100重量部に対する脂肪族エポキシ化合物(C)の含有量が1〜9重量部である、光カチオン重合性組成物。
  2. 更に光重合開始剤を含有する請求項1に記載の光カチオン重合性組成物。
  3. 前記2官能以上の芳香族エポキシ化合物(A)が、多価フェノール類またはそのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル、芳香族多塩基酸類のグリシジルエステル、ジビニルベンゼンのエポキシ化合物、ビフェニル型のエポキシ化合物、及び多環芳香族型のエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1又は2に記載の光カチオン重合性組成物。
  4. 前記単官能の芳香族エポキシ化合物(B)が、フェノール類またはそのアルキレンオキサイド付加物のモノグリシジルエーテル、安息香酸類のグリシジルエステル、ジビニルベンゼンのモノエポキシ化合物、ビフェニル型のモノエポキシ化合物、多環芳香族型のモノエポキシ化合物、及びスチレンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の光カチオン重合性組成物。
  5. 前記脂肪族エポキシ化合物(C)が、脂肪族アルコールのモノエポキシ化合物及び脂肪族多価アルコールの多官能エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の光カチオン重合性組成物。
  6. 前記光重合開始剤が活性エネルギー線により酸を発生する光カチオン重合開始剤であり、一般式:[X]r+[Y]r−(式中、Xは陽イオン種を表し、Yは陰イオン種を表し、rは価数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩である請求項2〜5のいずれか一項に記載の光カチオン重合性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光カチオン重合性組成物からなる光造形用組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光カチオン重合性組成物よりなる硬化物。
  9. 光カチオン重合性組成物の硬化物であって、以下の引張試験における最大強度が70MPa以上、且つ破断伸度が5%以上である硬化物。
    <引張試験>
    該硬化物よりなる引張試験JIS6号形ダンベル状試験片(厚さ1mm)について、JIS−K7161に準拠し万能材料試験機にて初期距離50mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を行う。
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