JP2021031622A - 透明不燃性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガラス繊維織物と樹脂を含むシートにおいて、不燃性を高めつつ、難燃成分による、難燃成分以外の硬化樹脂成分のアッベ数の低下を抑制し得る、透明不燃性シート及び該透明不燃性シートを用いた防煙垂壁の提供を課題とする。【解決手段】 ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、透明不燃性シートであって、前記硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含む、透明不燃性シート。前記有機臭素モノマー化合物が、テトラブロモビスフェノールAであることが好ましい。【選択図】 図1

Description

本発明は、透明不燃性シートに関し、具体的には防煙垂壁等に好適な透明不燃性シート、これを用いた防煙垂壁に関する。
建築基準法及び建築基準法施行令は、建築物の火災時に発生する煙、有毒ガスなどの流動を妨げて、避難及び消火活動が円滑に行えるように、排煙設備を設けることを規定している。従って、オフィスビル、商業施設などの建築物には、排煙設備及び遮煙設備として、防煙垂壁などが設置されることが多い。
防煙垂壁は、火災発生時の煙、有毒ガスなどが廊下や上層階へ流動することを一時的に遮断し、避難に必要な時間を確保することなどを目的として、通常、建築物の天井に取り付けられている。このため、防煙垂壁によって視野が妨げられたり、美観が損なわれたりしないよう、防煙垂壁としては、透明板ガラス、ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体などが用いられている。ガラス繊維と樹脂との透明樹脂複合体は、透明板ガラスに比して割れにくいという利点を有する。例えば、特許文献1には、ガラス繊維織物と硬化樹脂層とを含む透明不燃性シートが開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも1枚のガラス繊維織物と、当該ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂と、を有する不燃性シートであって、前記ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物と、前記光硬化樹脂との屈折率との差が0.02以下であり、前記不燃性シートに対する前記ガラス繊維織物の割合が20〜70重量%、前記不燃性シートに対する前記光硬化樹脂の割合が80〜30重量%であり、前記光硬化樹脂は、少なくとも臭素化ビニルエステルを含有する組成物を硬化させたものである不燃性シートが開示されている。
また、特許文献3には、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第1ポリカーボネートシート層と、前記第1ポリカーボネートシート層に積層され、目付が30g/m〜80g/mのガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化樹脂組成物を含む硬化樹脂組成物層と、前記硬化樹脂組成物層に積層され、臭素を5質量%〜20質量%含有し、厚さが100μm〜150μmである第2ポリカーボネートシート層と、を備える積層体からなり、厚さが300μm〜400μmである、透明不燃シートが開示されている。そして、該文献には、硬化樹脂組成物は、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物または臭素化ビニルエステル樹脂の硬化物を含むことが開示されている。
特開2005−319746号公報 特開2014−213489号公報 特許第6470454号公報
建築基準法では、防煙垂壁は不燃材料で構成されることが求められる。不燃材料の認定試験の要件には、所定の発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であること、及び加熱開始20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/mを越えないこと、が含まれる。上記総発熱量は、シートに含まれる樹脂量(g/m)が大きいほど高くなる傾向にある。
例えば、特許文献1では、実施例2として樹脂量を300g/mとしたシートが開示されているところ、上記総発熱量が8.74MJ/mとなり、上記不燃材料の認定試験の要件を満足していない。
一方、特許文献2では、ガラス繊維織物に含浸される光硬化樹脂として、臭素化ビニルエステルを含有する組成物を硬化させて得られる光硬化樹脂を用いることで、樹脂重量が200g/m以上となると不燃認定を取得できなかった課題を解決するとされている。ここで、臭素化ビニルエステルの屈折率は、ガラス繊維織物の屈折率より相当程度高いことから、臭素化ビニルエステル単独でガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層とすれば、ガラス繊維と硬化樹脂との界面で光が散乱され、不燃性シートは透明性が劣るものとなる。そこで、特許文献2の実施例では、臭素化ビニルエステルに、反応性希釈剤と屈折率調整剤としてネオペンチルグリコールメタクリレート(NPG)を加えることにより、不燃性シートの透明性向上を図っている。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、特許文献2の不燃性シートは、不燃性を高めることはできるものの、屈折率調整剤の種類によっては、不燃性シートを通して蛍光灯の光を見たときに、赤や青などの色がにじんで見える、色にじみの発生抑制が充分でない場合があるという問題があった。
また、特許文献3では、ガラス繊維織物に含浸された、臭素を10質量%〜30質量%含有する硬化樹脂組成物として、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有させることが開示されており、これにより、総発熱量を抑えることができ、厚膜であっても透明不燃シートとして不燃性能を満足することができるとされている。ここで、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂の屈折率は、ガラス繊維織物の屈折率より相当程度高いことから、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂単独でガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層とすれば、ガラス繊維と硬化樹脂との界面で光が散乱され、不燃性シートは透明性が劣るものとなる。そこで、特許文献3でも、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂に、屈折率を調整するための樹脂を加える必要がある。しかしながら、本発明者等の検討によれば、特許文献3の不燃性シートは、不燃性を高めることはできるものの、屈折率調整剤の種類によっては、不燃性シートを通して蛍光灯の光を見たときに、赤や青などの色がにじんで見える、色にじみの発生抑制が充分でない場合があるという問題があった。
そして、本発明者等は、上記特許文献2及び3において、色にじみの発生抑制が充分でない場合がある原因について鋭意検討したところ、難燃成分として含有させる臭素化ビニルエステル及び臭素化エポキシ樹脂を含有させることにより、色にじみの発生抑制が充分でない場合があることを突き止めた。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、ガラス繊維織物と樹脂を含むシートにおいて、不燃性を高めつつ、難燃成分による、難燃成分以外の硬化樹脂成分のアッベ数の低下を抑制し得る、透明不燃性シート及び該透明不燃性シートを用いた防煙垂壁の提供を課題とする。
本発明者等は、特許文献2及び3のように、硬化樹脂として、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂または臭素化ビニルエステル樹脂を用いた場合、得られる硬化樹脂層のアッベ数が低くなり、これに起因して得られる不燃性シートは色にじみが発生する場合があることを知得した。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、硬化樹脂層に、有機臭素モノマー化合物を含有させることにより、臭素化エポキシ樹脂や臭素化ビニルエステルを含有させる場合に比して、アッベ数が低くなることを抑制でき、不燃性を高めつつ、色にじみの発生を抑制することが可能となることを突き止めた。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、透明不燃性シートであって、前記硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含む、透明不燃性シート。
項2.前記有機臭素モノマー化合物が、テトラブロモビスフェノールAである、項1に記載の透明不燃性シート。
項3.前記硬化樹脂層が、骨格中に臭素を含有しない硬化樹脂を含む、項1又は2に記載の透明不燃性シート。
項4.前記透明不燃性シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、項1〜3のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項5.前記硬化樹脂層のアッベ数が30以上である、項1〜4のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項6.前記透明不燃性シートの厚さ方向に第2の樹脂層が含まれ、当該第2の樹脂層は、ガラス繊維織物に含浸されない状態で含まれており、臭素濃度が30質量%以上である、項1〜5のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項7.一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m以下である、項1〜6のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
項8.項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃性シートの製造方法であって、アッベ数が30以上の硬化樹脂と、前記有機臭素モノマー化合物と、を含有する樹脂組成物を硬化して前記硬化樹脂層を形成する工程を含む、透明不燃性シートの製造方法。
本発明の透明不燃性シートによれば、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、透明不燃性シートであって、前記硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含むことから、不燃性を高めつつ、硬化樹脂層のアッベ数の低下を抑制し得る。従って、当該透明不燃性シートは、不燃性を高めつつ、色にじみの発生を抑制することが可能となり、防煙垂壁等に好適に用いることができる。
本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 本発明の透明不燃性シートの一態様を説明する横断面模式図である。 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置の概略を示す図である。 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法を行う際に使用する試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図である。図10中に示す数値(寸法)の単位はmmである。
本発明の透明不燃性シートは、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、透明不燃性シートであって、前記硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含むことを特徴とする。
例えば、図1〜8に示すように、本発明の透明不燃性シート1は、ガラス繊維織物2と、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層3(以下、第1の硬化樹脂層3と示すことがある。)を含み、第1の硬化樹脂層3が有機臭素モノマー化合物を含む。
本発明の透明不燃性シート1において、ガラス繊維織物2は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。また、図1〜図8に示されるように、本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3は、ガラス繊維織物2を構成しているガラス繊維の隙間を埋めており、第1の硬化樹脂層3の一方の表面側部分と、他方の表面側部分とは、当該隙間を介して通じている。図3、図5、図6及び図8に示されるように、本発明の透明不燃性シート1は、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3を複数層含むようにすることができる。また、図1〜図8には示していないが、1層の第1の硬化樹脂層3に複数枚のガラス繊維織物2が含まれるようにすることもできる。
例えば、図3〜8に示すように、本発明の透明不燃性シート1は、ガラス繊維に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層4を含むことができる。第2の樹脂層4は、例えば図3及び図6に示されるように、1層としてもよいし、図4、図5、図7及び図8に示されるように、複数層としてもよい。第2の樹脂層4が複数層である場合、2〜5層であることが好ましく、2〜3層であることがより好ましい。
例えば、図3、図5、図6、図8の透明不燃性シート1においては、第2の樹脂層4の両面側に、それぞれ、第1の硬化樹脂層3が積層された積層構造を備えている。また、図4、図5、図7、図8の透明不燃性シート1においては、第1の硬化樹脂層3の両面側に、それぞれ、第2の樹脂層4が積層された積層構造を備えている。本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3と第2の樹脂層4の積層構造の具体例としては、図3及び図6に示すような第1の硬化樹脂層3/第2の樹脂層4/第1の硬化樹脂層3がこの順に積層された積層構造;図4及び図7に示すような第2の樹脂層4/第1の硬化樹脂層3/第2の樹脂層4がこの順に積層された積層構造;図5及び図7に示すような第2の樹脂層4/第1の硬化樹脂層3/第2の樹脂層4/第1の硬化樹脂層3/第2の樹脂層4がこの順に積層された積層構造が挙げられる。
本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3及び第2の樹脂層4以外の他の層を設けてもよい。例えば、図2、図6〜8に示されるように、本発明の透明不燃性シート1は、フィルム層5を含んでいてもよい。フィルム層5は、第1の硬化樹脂層3及び第2の樹脂層4よりも外側に1層ずつ含まれていることが好ましい。また、図示しないが、本発明の透明不燃性シート1は、例えば、防煙垂壁としての使用時に剥離されるカバー層を設けてもよい。以下、本発明の透明不燃性シート1を構成する各層について詳述する。
[ガラス繊維織物2]
本発明の透明不燃性シート1において、ガラス繊維織物2は、後述する第1の硬化樹脂層3が含浸された状態で含まれる。本発明の透明不燃性シート1において、ガラス繊維織物2は、該シートの不燃性の向上に寄与する。そして、ガラス繊維織物2の屈折率は、後述する第1の硬化樹脂層3の屈折率と近似するように設定することができ、これにより、後述する本発明の透明不燃性シート1の透明性の好ましい指標である全光線透過率85%以上、ヘーズ10%以下という構成にすることができる。換言すれば、上記本発明の透明不燃性シート1が備える好ましい透明性の指標である、全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維織物2の屈折率と後述する第1の硬化樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維織物2の屈折率と第1の硬化樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。
本発明の透明不燃性シート1において、ガラス繊維織物2の織組織としては、特に制限されず、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられ、平織が好ましい。
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維のガラス材料としては、特に制限されず、例えば公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、例えば、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられ、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。また、透明性を向上させる観点から、後述する、第1の硬化樹脂層3の屈折率と近似するガラス材料を選択することが好ましい。
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維の番手は、ガラス繊維織物2を形成できれば、特定のものに制限されない。ガラス繊維の番手としては、透明性をより一層向上するという観点から、好ましくは20tex以下が挙げられ、3〜6texが好ましく、3〜5texがより好ましい。ガラス繊維の番手は、1種類単独であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。なお、ガラス繊維のtex番手は、1000m当たりのグラム数に相当している。
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維としては、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおける単繊維の本数は、30〜400本程度が好ましく、40〜120本程度がより好ましい。また、ガラスヤーンにおける単繊維の直径は、透明不燃性シート1の透明性をより一層向上させる観点から3.0〜6.0μm程度が好ましく、3.0〜5.0μm程度がより好ましい。ガラスヤーンの番手は、透明不燃性シート1の不燃性を向上させつつ透明不燃性シート1の透明性をより一層向上させる観点から2〜30texが好ましく、2〜12texがより好ましく、2〜5texがさらに好ましい。
透明不燃性シート1において、ガラス繊維織物2の総質量(g/m)と後述の第1の硬化樹脂層3の総質量(g/m、ガラス繊維織物2は除く。)との合計量(g/m)に対する、透明不燃性シート1中のガラス繊維織物2の総質量の割合(質量%)は、透明不燃性シート中の樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、後述する、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験における総発熱量(以下、「総発熱量」と略することがある。)を低いものとすることとの両立をより一層図る観点から、20〜60質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。また、後述する防煙垂壁としての使用時に剥離されるカバー層を除いた透明不燃性シート1の全質量(g/m)に対する透明不燃性シート1中のガラス繊維織物2の総質量(g/m)の割合(質量%)としては、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点から、5〜60質量%が好ましい。また、後述する、第2樹脂層4及び/又はフィルム層5を備える場合、後述する防煙垂壁としての使用時に剥離されるカバー層を除いた透明不燃性シート1の全質量(g/m)に対する透明不燃性シート1中のガラス繊維織物2の総質量(g/m)の割合(質量%)としては、5〜28質量%がより好ましく、5〜25質量%がさらに好ましく、8〜19質量が特に好ましい。ガラス繊維織物2の1枚あたりの質量(g/m)は、10〜120(g/m)が好ましく、10〜60(g/m)がより好ましく、20〜40(g/m)がさらに好ましい。また、透明不燃性シート1中のガラス繊維織物2の総質量(g/m)としては、透明不燃性シート1の不燃性を向上させつつ透明不燃性シート1の透明性をより一層向上させる観点から10〜120(g/m)が好ましく、20〜100(g/m)がより好ましく、30〜80(g/m)が特に好ましい。
ガラス繊維織物2と後述の第1の硬化樹脂層3の屈折率の差としては、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下が挙げられる。ガラス繊維織物2の屈折率としては、好ましくは1.50〜1.58程度、より好ましくは1.53〜1.57程度が挙げられる。
なお、上記ガラス繊維織物2の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、まず、ガラス繊維織物を構成するガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。また、第1の硬化樹脂層3及び第2の樹脂層4の屈折率の測定は、JIS K 7142:2008のB法に準じて行う。具体的には、第1の硬化樹脂層3又は第2の樹脂層4を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察したときにベッケ線が観察できる程度に粉砕する。そして、光源としてハロゲンランプにD線用の干渉フィルターを設けたものを用い、光学顕微鏡を用いて、倍率400倍、温度23℃の条件で観察、測定し、試験数3回の平均値を屈折率の値とする。
ガラス繊維織物2と第1の硬化樹脂層3とのアッベ数の差としては、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。ガラス繊維織物2のアッベ数としては、30〜80が好ましく、40〜70がより好ましく、50〜65がさらに好ましい。なお、第1の硬化樹脂層3及びガラス繊維織物2のアッベ数は、それぞれ、次のように測定する。
(第1の硬化樹脂層3のアッベ数)
第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂を用いて、ガラス繊維織物2が含まれていないシートを、幅8mm、長さ20mm、厚さ1mmとして作製し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のDR−M2、接触液としてジヨードメタンを使用し、干渉フィルターとしてD線(589nm)、F線(486nm)、C線(656nm)を用い、測定温度を23℃とした。D線、F線、C線それぞれの屈折率を測定し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(n−1)/(n−n) (I)
:D線での屈折率
:F線での屈折率
:C線での屈折率
(ガラス繊維織物2のアッベ数)
ガラス繊維を構成するガラス材料を用いて、幅8mm、長さ20mm、厚さ1mmとして作製し、JIS K 7142A法に準じ、アッベ屈折計として(株)アタゴ製のDR−M2、接触液としてジヨードメタンを使用し、干渉フィルターとしてD線(589nm)、F線(486nm)、C線(656nm)を用い、測定温度を23℃とした。D線、F線、C線それぞれの屈折率を測定し、下記式(I)に従い、アッベ数を算出する。
アッベ数=(n−1)/(n−n) (I)
:D線での屈折率
:F線での屈折率
:C線での屈折率
ガラス繊維織物2の1枚あたりの厚さとしては、透明不燃性シート1の不燃性を向上させつつ透明不燃性シート1の透明性をより一層向上させる観点から、例えば10〜100μm程度が挙げられ、10〜55μmが好ましく挙げられ、10〜35μm程度がより好ましく挙げられる。ガラス繊維織物2の厚みを10〜35μmとする場合、ガラス繊維織物2は、下記式(II)にて算出されるガラス体積率が38%以上であることが特に好ましい。10〜35μmの厚みであって、ガラス体積率が38%以上であるガラス繊維織物2は、例えば、ガラス繊維織物に開繊処理を施すことにより得られる。
ガラス体積率(%)=(A/(B×C))×100 (II)
A:ガラス繊維織物の質量(g/m
B:ガラス繊維織物を構成するガラス材料の比重(g/m
C:ガラス繊維織物の厚み(m)
(第1の硬化樹脂層3)
本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3は、ガラス繊維織物2に含浸されており、硬化性樹脂を含む樹脂組成物が硬化されて得られるものにより形成されており、当該硬化樹脂層3が有機臭素モノマー化合物を含む。これにより、透明不燃性シート1の不燃性を高めつつ、第1の硬化樹脂層3のアッベ数の低下を抑制し得る。
また、第1の硬化樹脂層3において、ガラス繊維織物2は、第1の硬化樹脂層3の外側に露出しない状態で含まれる。また、後述の通り、第2の樹脂層4を含む場合、第2の樹脂層4はガラス繊維織物に含浸されない状態で含まれる。従って、少なくとも、第1の硬化樹脂層3と第2の樹脂層4とが接面している場合には、第1の硬化樹脂層3の表面にはガラス繊維織物2が露出しておらず、ガラス繊維織物2は第1の硬化樹脂層3中に含まれている。前述のように、第1の硬化樹脂層3は、ガラス繊維織物2の屈折率と近似するように選択、設定することができ、これによりガラス繊維表面における光の散乱が低減でき、後述する全光線透過率85%以上、ヘーズ10%以下という構成とすることができる。
第1の硬化樹脂層3は、硬化性樹脂を含む樹脂組成物に対して、光、熱などのエネルギーを与えることによって樹脂組成物が硬化した硬化物(光硬化された樹脂組成物又は熱硬化された樹脂組成物)とすることができる。
第1の硬化樹脂層3の形成に用いられる硬化性樹脂としては、透明不燃性シート1の透明性をより一層向上させる観点から、第1の硬化樹脂層3と前述したガラス繊維織物2の屈折率とを近似させることができるものが好ましい。硬化性樹脂としては、硬化性樹脂組成物が光硬化性となるものが好ましく、例えば、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、フィルム層5を設ける場合に、フィルム層5との接着性をより向上させるという観点から、硬化性アクリル樹脂がより好ましく、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものが特に好ましい。本発明において、アクリルシラップとは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの(メタ)アクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチルなどのアクリル単量体に溶解した重合性液状混合物をいう。上記アクリルシラップの中でも、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体、及びメタクリル酸メチル/アクリル酸ノルマルブチル共重合体からなる群より選ばれる1種以上のアクリル酸エステルポリマーをメタクリル酸メチル単量体に溶解したアクリルシラップが特に好ましい。このように、第1の硬化樹脂層3を、アクリルシラップを含む樹脂組成物を硬化したものとする場合、フィルム層5との密着性がより向上するため、透明不燃性シート1の透明性がより一層向上するので好ましい。また、第1の硬化樹脂層3は、骨格中に臭素を含有しない硬化樹脂を含むことが好ましい。
また、第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂組成物に含まれる有機臭素モノマー化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、及びテトラブロモビスフェノールAからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、硬化性樹脂溶液への溶解性を向上させ、硬化性樹脂が元々持つアッベ数の低下をより一層抑制するという観点から、テトラブロモビスフェノールAが好ましい。また、本発明の透明不燃性シート1は、ガラス繊維織物2が含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3の難燃成分として有機臭素モノマー化合物を用いることにより、後述する、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がより一層発生しにくくするという効果も奏することができる。すなわち、難燃成分として、例えばリン系難燃剤(例えば、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等)を用いた場合、上記発熱性試験において第1の硬化樹脂層の膨れが生じる場合があり、これに伴いガラス繊維織物2が変形しやすくなる場合がある。当該現象は、特にガラス繊維織物2の質量が例えば40g/m以下であるような軽量である場合により多く発生しやすくなる。一方、第1の硬化樹脂層3に有機臭素モノマーを含有させた場合は、上記膨れの発生が抑制され、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がより一層発生しにくくする。
第1の硬化樹脂層3のアッベ数としては、30以上が好ましく、33〜60がより好ましく、35〜50が特に好ましい。また、第1の硬化樹脂層3の臭素濃度は、本発明の透明不燃性シートの不燃性を優れたものとしつつ、透明性をより優れたものとする観点から、5〜30質量%が好ましく、5〜26質量%がより好ましく、8〜20質量%がさらに好ましく、10〜16.7質量%がより一層好ましい。本発明において、上記臭素濃度は、EDS分析により測定されるものである。具体的には、図1〜図8に例示するような、透明不燃性シート1の厚さ方向の切断面を測定面とし、試料厚さ(すなわち、透明不燃性シート1の縦方向または横方向の長さ)が1cmとなるようにしたものを測定試料とし、装置として日本電子株式会社製商品名JSM−6390Aにて、測定する層の厚さ方向の中心付近にて任意に1点測定し、その値を各層の臭素濃度とする。
本発明の透明不燃性シート1は、後述する第2の樹脂層4を含む場合、第2の樹脂層4の臭素濃度は、第1の硬化樹脂層3の臭素濃度より高いことが好ましい。すなわち、本発明者等は、ガラス繊維織物に含浸された樹脂中の臭素濃度が過剰に高くなれば、該樹脂の発熱量が低くなる一方で、樹脂の屈折率がガラス繊維織物の屈折率より高くなってしまい、得られるシートの透明性が損なわれやすくなることを知得した。そこで、ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3を臭素濃度が比較的低いものとすることによりガラス繊維織物2との屈折率差を容易に小さくすることができ、かつ、ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3とは別にガラス繊維織物2に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層4を積層し、該ガラス繊維織物2に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層4として臭素濃度が比較的高いものとすることにより臭素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることが可能となることを見出した。
本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3の臭素濃度(質量%)と後述する第2の樹脂層4の臭素濃度(質量%)との差(=第2の樹脂層4の臭素濃度−第1の硬化樹脂層3の臭素濃度)は、例えば、3質量%以上が挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより一層図る観点からは、5〜50質量%が好ましく挙げられ、10〜50質量%がさらに好ましく挙げられ、20〜50質量%が特に好ましく挙げられる。
また、第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂組成物は、硬化促進剤、紫外線吸収剤、充填剤、光重合開始剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルクなどが挙げられる。光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6,−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。中でも、第1の硬化樹脂層3として硬化性アクリル樹脂を用いる場合は、透明性向上の観点から、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが好ましい。これらの添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。第1の硬化樹脂層3が添加物を含有する場合、その含有量としては、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%が挙げられる。
本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3の樹脂組成物の総質量(ガラス繊維織物2を除く質量)としては、例えば、20〜250g/mが挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、不燃性がより優れたものとすることとの両立をより一層図る観点から、20〜200g/mが好ましく挙げられ、20〜120g/mがより好ましく挙げられ、20〜80g/mが特に好ましく挙げられる。また、第1の硬化樹脂層3の1層あたりの厚さ(ガラス繊維織物2を含む状態の厚さ)としては、例えば、20〜150μmが挙げられ、樹脂重量を大きくした場合に透明性を向上させることと、不燃性がより優れたものとすることとの両立をより一層図る観点から、20〜100μmが好ましく挙げられ、20〜50μmがより好ましく挙げられる。
本発明の透明不燃性シート1において、第1の硬化樹脂層3の屈折率としては、好ましくは1.50〜1.58程度、より好ましくは1.53〜1.57程度が挙げられる。
(第2の樹脂層4)
本発明の透明不燃性シート1において、第2の樹脂層4は、ガラス繊維織物2に含浸されない状態で含むことができる。そして、前述のように、第2の樹脂層4の臭素濃度が前記第1の硬化樹脂層3の臭素濃度より高いことが好ましい。本発明の透明不燃性シート1においては、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3と、これとは別にガラス繊維織物2に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層4とを積層し、該ガラス繊維織物2に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層4として、相対的に臭素濃度の高い樹脂を用いることができる。これにより、本発明の透明不燃性シート1は、特許文献2のように臭素濃度の低い他の樹脂により薄めたりする等、ガラス繊維織物2の屈折率と近似させる必要がよりなくなり、臭素濃度の高い樹脂の持つ低発熱特性を十分に活かすことができる。
本発明の透明不燃性シート1の、第2の樹脂層4中の臭素濃度としては、総発熱量をより一層抑制しつつ樹脂重量をより一層大きいものとする観点から、例えば、31質量%以上が挙げられ、35質量%が好ましく挙げられる。上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下、又は55質量%以下が挙げられる。
第2の樹脂層4の形成に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。また、硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フルオレンアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、透明不燃性シート1の透明性をより向上させる観点から、第2の樹脂層4は、硬化性樹脂により形成されるものとすることが好ましい。
第2の樹脂層4に臭素を含ませる方法としては、例えば、第2の樹脂層4を構成する樹脂を置換基として臭素原子を含有する樹脂とする方法、臭素原子を含む難燃剤を硬化性樹脂中に添加した樹脂組成物とする方法等が挙げられる。
上記置換基として臭素原子を含有する樹脂としては、置換基として臭素原子を含有する硬化性樹脂が挙げられる。置換基として臭素原子を含有する硬化性樹脂としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ビニルエステル樹脂、臭素化不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、置換基として臭素原子を含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリウレタン樹脂、臭素化ポリエステル樹脂等が挙げられる。
上記臭素原子を含む難燃剤としては、例えば、デカブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)及びその誘導体、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2−ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイドなどのフェニルオキサイド系難燃剤等が挙げられる。上記難燃剤を含有させる樹脂としては、置換基として臭素原子を含有する樹脂や、上記第1の硬化樹脂層3で例示した硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の透明不燃性シート1において、第2の樹脂層4の総質量としては、例えば、100〜600g/mが挙げられ、180〜500g/mが好ましく挙げられる。また、第2の樹脂層4の1層あたりの厚さとしては、例えば、80〜600μmが挙げられ、100〜400μmが好ましく挙げられる。
本発明の透明不燃性シート1において、第2の樹脂層4の屈折率としては、特に制限されないが、例えば、1.570〜1.650、より好ましくは1.572〜1.620、さらに好ましくは1.580〜1.620が挙げられる。また、ガラス繊維織物2の屈折率と第2の樹脂層4の屈折率の差としては、0.01を越えるものが挙げられ、0.02を越えるものが挙げられる。
また、本発明の透明不燃性シート1の透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図りつつ、さらには、透明不燃性シート1の樹脂重量を高めて、機械的強度を効果的に高める観点から、第1の硬化樹脂層3及び第2の樹脂層4を構成している樹脂の合計含有量(透明不燃性シート1に含まれる全ての第1の硬化樹脂層3(ガラス繊維織物2の質量は除く。)と第2の樹脂層4における合計)としては、好ましくは200g/m以上、より好ましくは240g/m以上、さらに好ましくは270g/m以上が挙げられる。なお、当該合計含有量の上限としては、例えば、600g/m以下が挙げられる。
また、同様の観点から、第1の硬化樹脂層3及び第2の樹脂層4の合計厚み(透明不燃性シート1に含まれる全ての第1の硬化樹脂層3と第2の樹脂層4における合計)としては、好ましくは180μm以上、より好ましくは200μm以上、さらに好ましくは240μm以上が挙げられる。なお、当該合計厚みの上限としては、例えば、500μm以下、450μm以下が挙げられる。
(フィルム層5)
本発明の透明不燃性シート1において、フィルム層5は、必要に応じて第1の硬化樹脂層3又は第2の樹脂層4上に積層され、透明不燃性シート1の初期引裂強度をより向上させる役割を果たす。フィルム層5は、第1の硬化樹脂層3及び第2の樹脂層4よりも外側に1層ずつ含まれていることが好ましい。
フィルム層5を構成する素材としては、特に制限されない。例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。一方、フィルム層5は、ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、可塑剤の量が少なくてもフィルム化が可能なものが挙げられ、ポリ塩化ビニル樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂を含む2軸延伸フィルムが好ましく挙げられる。ポリ塩化ビニル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂が挙げられ、これらを少なくとも1種以上含むものとすることもできる。また、フィルム層5は、ポリ塩化ビニル樹脂を含まないものとすることもできる。透明不燃性シート1の初期引裂強度をより一層優れたものとする観点から、フィルム層5は、エレメンドルフ引裂伝播抵抗(Tensile propagation resistance)が、たて方向及びよこ方向ともに1N/mm以上のものが挙げられ、3〜20N/mmのものが好ましく挙げられ、5〜15N/mmのものがより好ましく挙げられる。中でも、耐薬品性(防煙垂壁として使用するときはアルカリ洗剤耐性を含む。)、初期引裂強度の向上及び透明性をより一層両立させるという観点からは、フィルム層5は、ポリエステル樹脂を含むものとすることが好ましい。該ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)とすることが挙げられる。なお、エレメンドルフ引裂伝播抵抗は、株式会社東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂機を用い、JIS K7128−2・1998に基づいて引裂強さ(N)を測定し、この測定値をフィルム厚みで除した引裂伝播抵抗(N/mm)を意味する。また、引裂強さは、たて方向及びよこ方向それぞれ20サンプルの試験結果の平均値とする。また、フィルム層5をPVDFとアクリル樹脂(PMMA等)を含む樹脂組成物をフィルム化したものとすれば、耐候性に優れつつ、第1の硬化樹脂層3や第2の樹脂層4との密着性に優れ、膜材料としても好適となる。
本発明の透明不燃性シートにおいて、フィルム層5とするフィルムは、透明性及び平滑性に優れたものであることが好ましい。フィルム層5とするフィルムの透明性として、例えば、全光線透過率(JIS K 7105:1981)は90%以上が好ましく、91〜98%がより好ましい。また、例えば、ヘーズ(JIS K 7105:1981)は1.5%以下が好ましく、0.3〜1.0%がより好ましい。
(金属又は金属化合物を含む帯電防止層)
本発明の透明不燃性シート1は、例えば防煙垂壁としての使用時に最外層となるように金属又は金属化合物を含む帯電防止層を設けることができる。
金属又は金属化合物を含む帯電防止層において、含まれる金属元素としては、例えば、Ag、Ni、Cu、Sn、Sb、Al、In、Ti等が挙げられ、金属単体としたときの標準電極電位が0eV未満の金属元素が挙げられる。金属化合物としては、例えば、金属酸化物(五酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモンドープ酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、酸化銀等)が挙げられる。また、帯電防止層において、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ガラスなどからなる微粒子を含まないものとすることもできる。金属又は金属化合物の含有形態としては、例えば、蒸着、スパッタリング、めっき等による金属若しくは金属化合物薄膜、又は、金属若しくは金属化合物微粒子が固着樹脂中に分散された層とすることが挙げられる。上記金属又は金属化合物微粒子の形状としては、粒状、フレーク状、針状(繊維状)が挙げられる。金属又は金属化合物微粒子の平均粒子径としては、例えば、BET法を用いて求めた平均粒子径(窒素ガス吸着法により測定される比表面積(m/g)から常法により平均粒子径として算出される比表面積径)が可視光線の波長以下の100nm以下、好ましくは1〜100nmとすることで、透明不燃性シート1の透明性をより維持しやすくなる。
金属又は金属化合物を含む帯電防止層を、金属又は金属化合物微粒子を含むものとする場合、金属又は金属化合物微粒子を基材に固着させる固着樹脂を含むことが好ましい。すなわち、帯電防止層が、固着樹脂と、該固着樹脂中に分散される金属又は金属化合物微粒子と、を含む層とすることが好ましい。固着樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、特にポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、例えば、変性アクリル樹脂(ウレタン変性、ポリエステル変性、ポリカーボネート変性、フッ素変性等)とすることができる。帯電防止層の質量としては、例えば、1層あたり、0.1〜10g/mが挙げられ、0.1〜5g/mが好ましく挙げられ、0.1〜3g/mがより好ましく挙げられ、0.1〜1g/mが特に好ましく挙げられる。また、帯電防止層の厚さとしては、例えば、1層あたり、0.01〜3μmが挙げられ、0.05〜1μmが好ましく挙げられる。帯電防止層における、固着樹脂と、金属又は金属化合物微粒子と、の質量比(固着樹脂の質量(g/m):金属又は金属化合物微粒子の質量(g/m))としては、10:1〜1:1が好ましく、8:1〜2:1がより好ましく、4:1〜2:1が特に好ましい。また、金属又は金属化合物を含む帯電防止層を設けた場合の表面平滑性としては、例えば、表面粗さRaが1〜200nmが挙げられる。また、帯電防止層の全質量(g/m)に対する、金属及び金属化合物微粒子の質量(g/m)の割合としては、50〜10質量%が挙げられ、30〜20質量%が好ましく挙げられる。
(使用時に剥離される剥離可能なカバー層)
本発明の透明不燃性シート1は、必要に応じて、第1の硬化樹脂層3、第2の樹脂層4、又はフィルム層5の外側(帯電防止層6を第1の硬化樹脂層3、第2の樹脂層4、又はフィルム層5の外側に備えさせる場合はさらに帯電防止層6の外側)にさらに使用時に剥離される剥離可能なカバー層を積層することができる。剥離可能なカバー層は、本発明の透明不燃性シート1の最表面に好適に設けることができる。これにより、例えば、本発明の透明不燃性シート1を防煙垂壁とする場合、施工時に透明不燃性シート1に傷等が発生し透明性や美感が低下するのを防ぎやすくなる。
上記使用時に剥離される剥離可能なカバー層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。中でも、上記使用時に剥離される剥離可能なカバー層として、光透過性の保護フィルムとすれば、例えば、前述した第1の硬化樹脂層3又は第2の樹脂層4を形成する樹脂組成物を光硬化性の硬化性樹脂組成物とする場合に、当該硬化性樹脂組成物を硬化させる工程においても使用時に最外層となる層の表面に傷等が発生し透明性や美感が低下することを防ぎやすくなる点で好ましい。上記光透過性としては、光硬化樹脂を硬化させる光を透過させれば特に制限されないが、例えば、100〜400nmの波長の光を透過させるもの、250〜400nmの波長の光を透過させるものが挙げられる。カバー層の光線透過率としては、例えば、UV透過率測定器(株式会社島津製作所製商品名UV3150)にて測定する、測定波長250〜400nm間の平均透過率が40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。
なお、使用時に剥離される剥離可能なカバー層は、例えば防煙垂壁等、使用時に剥離されることから、透明性及び平滑性は特に制限されない。例えば、コストの観点から、全光線透過率は80〜95%程度(JIS K 7105:1981)、ヘーズは2〜10%程度(JIS K 7105:1981)が挙げられる。
(透明不燃性シート1の物性)
本発明の透明不燃性シート1は、全光線透過率(使用時に剥離される剥離可能なカバー層を含む場合は当該カバー層を剥離後の全光線透過率)が、85%以上、ヘーズ(使用時に剥離される剥離可能なカバー層を含む場合は当該カバー層を剥離後のヘーズ)が10%以下であることが好ましい。前述のように、上記本発明の透明不燃性シート1の全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下という構成は、少なくとも、ガラス繊維織物2の屈折率と第1の硬化樹脂層3の屈折率とが十分に近似(例えば、ガラス繊維織物2の屈折率と第1の硬化樹脂層3の屈折率との差が0.02以下となっていることが挙げられる。)していることを示す。上記全光線透過率としては、好ましくは90%以上が挙げられる。また、上記ヘーズとしては、5%以下が好ましく挙げられ、3%以下がより好ましく挙げられ、1%以下が特に好ましく挙げられる。透明不燃性シート1の、全光線透過率はJIS K7361−1 1997、ヘーズはJIS K 7136:2000に準じて測定して得られる値である。
本発明の透明不燃性シート1の厚さとしては、例えば、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明不燃性シート1の厚さ(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を除く厚さ)が、200〜700μm、好ましくは250〜600μmが挙げられる。また、本発明の透明不燃性シート1の質量として、例えば、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明不燃性シート1の質量(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を除く質量)が、200〜800g/mが挙げられ、400〜750g/mが好ましく挙げられる。また、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明不燃性シート1中の樹脂の総質量(例えば、透明不燃性シート1が図4の積層構造である場合は、第1の硬化樹脂層3、第2の樹脂層4及びフィルム層5の樹脂質量の合計)は、例えば、300〜700g/mが挙げられ、390〜700g/mが好ましく挙げられ、450〜650g/mがより好ましく挙げられる。
本発明の透明不燃性シート1は、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明不燃性シート1が、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m以下であることが好ましい。さらに、本発明の透明不燃性シート1は、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明不燃性シート1が、上記発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことが好ましい。
なお、本発明において、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験における、総発熱量(MJ/m)及び加熱開始後の最大発熱速度が200kW/mを超える時間(S)は、具体的には、以下に示す試験体、試験装置及び試験条件に記載の内容に従って行われる。
[試験体]
(1)試験体(シート)の個数は3個とする。
(2)試験体の形状及び寸法は、1辺の大きさが99mm±1mmの正方形とする。
[試験装置]
(1)使用する試験装置の概略図を図9に示す。試験装置は、円錐状に形作られた輻射電気ヒーター、点火用プラグ、輻射熱遮蔽板、試験体ホルダー、ガス濃度分析装置及びガス流量の測定のできる排気システム、熱流計等で構成される。
(2)輻射電気ヒーターは、50kW/mの輻射熱を試験体表面に均一な照射が安定してできるものとする。
(3)輻射熱遮蔽板は、試験開始前の輻射熱から試験体を保護できるものとする。
(4)試験装置に含まれる試験ホルダー及び押さえ枠の概略図を図10に示す。試験体ホルダーは、外寸で1辺106mm±1mmの正方形で、深さが25mm±1mmの大きさで、厚さが2.15mm±0.25mmのステンレス鋼製で、上部には1辺94.0mm±0.5mmの正方形の開口を中央部に設けるものとする。押さえ枠は、内寸で1辺111mm±1mmの正方形で、深さが54mm±1mmのステンレス鋼製とする。
(5)排気システムは、試験温度で有効に機能する遠心式排気ファン、フード、通風口、排気ダクト、オリフィスプレート流量メータ等を備えているものとする。フード下端部と試験体表面との距離は、210mm±50mmとし、その状態での排気システムの排気装置は、標準温度と標準圧力に換算した流量が0.024m/s以上であることとする。排気流量の測定のために、内径57mm±3mmのオリフィスをフードとダクトの間に設ける。排気ガス採取を目的として、12個の直径2.2mm±0.1mmの穴のあるリングサンプラーをフードから685mm±15mmの位置に、穴が流れと反対の方向に向くように取り付ける。又、排気ガスの温度を、オリフィスから上流100mm±5mmの位置の排気ダクトの中心部で測定する。オリフィスは、流量の測定に影響を及ぼさない位置に設置する。
(6)ガス分析装置は、排気ガス中の酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の濃度を連続的に正確に測定できるものとする。
(7)点火用プラグは、10kVの変圧器あるいは誘導式コイルシステム等から電力を供給できるものとする。スパークの電極間距離は、3mm±0.5mmとし、電極の位置を原則として試験体の中心軸上13mm±2mmとする。
(8)熱流計は、100kW/m±10kW/mまで測定可能なシュミット・ボルダー型を用いる。熱流計の熱感知部は、直径12.5mmの円形で、表面の輻射率は0.95±0.05であるものとする。
[試験条件]
(1) 試験時間は、試験体表面に輻射熱が照射され、同時に電気スパークが作動してから、20分とする。ただし、明らかに燃焼が持続しなくなった時には、測定を終了することができるものとする。
(2) 試験体は、側面と裏面を厚さ0.025mm以上、0.04mm以下のアルミニウムはくで包んで押さえ枠に入れ、さらに裏面側に無機繊維(公称厚さ13mm、密度65kg/m)を充填してから、試験体ホルダーに押し込むものとする。
(3) 試験中は、輻射電気ヒーターから試験体の表面に50kW/mの輻射熱を照射する。
(4) 排気ガス流量を0.024m/s±0.002m/sに調節する。
(5) 試験開始までは、輻射熱遮蔽板によって、試験体が輻射熱を受けないようにする。
(6) 輻射熱遮蔽板を移動する前に、点火用プラグを所定の位置に設定する。
[測定]
(1) 酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素の濃度を5秒以内の間隔で測定する。
(2) 以下に示す手法で、単位面積当たりの発熱速度(kW/m)を算出し、更に単位面積当たりの総発熱量(MJ/m)を加熱開始から終了までの時間の発熱速度を累積することにより算出する。
発熱速度(q)は、次の式に従って算出する。
Figure 2021031622
ここで、
298=C(Δp・Te)1/2/350(:25℃におけるダクト内流量)
E=17.2×10kJ/m
O2:1分間のベースライン測定による酸素濃度の平均値
O2:酸素濃度の実測値
単位面積当たりの発熱速度(q”)は、
q”=q/As
ここで、
As:試験体の初期の暴露面積(0.0088m)。
C(オリフィス係数)は、規定の排気流速の下で、本測定で発熱速度がq=5kW±0.5kWに相当する流量のメタンを燃焼させた際の酸素濃度(XO2)及び差圧(△p)から次の式で計算する。
C=q/(△hc/ro×1.10)(Te/△p)1/2(1.105−1.5XO2)/(0.2095−XO2
ここで、
:供給されるメタンの発熱速度
△hc/ro:メタンの場合は12.54×10kJ/kg
Te:排気ダクト内のガス温度(2方向ピトー管の付近で計測した値)
(本発明の透明不燃性シート1の製造方法)
本発明の透明不燃性シート1の製造方法としては、特に制限されない。例えば、アッベ数が30以上の硬化樹脂と、前記有機臭素モノマー化合物と含有する樹脂組成物を硬化して前記硬化樹脂層を形成する工程を含む、透明不燃性シートの製造方法が挙げられる。具体的には、まず、上記のガラス繊維織物2と、第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂組成物を準備する。次に、ガラス繊維織物2に上記の樹脂組成物を塗布して含浸させた後、絞りローラ等を用いて樹脂組成物の厚さと含有率とを調整する。次に、樹脂組成物を加熱等により硬化させて、ガラス繊維織物2に第1の硬化樹脂層3が含浸された透明不燃性シート1が得られる。また、上記の樹脂組成物を塗布したポリエチレンテレフタレート等の工程フィルムを準備し、ガラス繊維織物2の両面から当該フィルムを圧着してガラス繊維布帛2の両面側から樹脂組成物を含浸させ、樹脂組成物を硬化させたのち、工程フィルムを剥離することにより、ガラス繊維織物2に第1の硬化樹脂層3が含浸された透明不燃性シート1が得られる。
熱エネルギーの付与によって樹脂組成物を硬化させる場合、加熱温度は、特に制限されず、例えば50〜200℃程度とすることができる。また、光エネルギーの付与によって樹脂組成物を硬化させる場合には、樹脂組成物に光を照射して硬化させる。光照射の条件としては、例えば積算光量100〜500mJ/cmとすることができる。
本発明の透明不燃性シート1がフィルム層5を有する場合、上記で得られた第1の硬化樹脂層3の上に、フィルム層5を構成する上記の樹脂フィルムを配置した後、プレス機などを用いて加熱加圧することによって、第1の硬化樹脂層3の上にフィルム層5を形成することができる。
また、第2の樹脂層4を含む、透明不燃性シート1を製造する場合は、例えば、ガラス繊維織物2に第1の硬化樹脂層3が含浸された状態で含まれる中間体を調製する第1工程、前記中間体に第2の樹脂層4を積層する第2工程、とを含むものとすることができる。以下、図3に示す積層構造とする場合の一例について説明する。
前記第1工程について説明する。前記第1工程では、先ず、ガラス繊維織物2と、第1の硬化樹脂層3とする未硬化の硬化性樹脂組成物を準備する。このとき、当該硬化性樹脂組成物中に、有機臭素モノマー化合物を含有させる。該未硬化の硬化性樹脂組成物を工程フィルム(例えばPETフィルム等)に塗布し、該塗布した未硬化の硬化性樹脂組成物の上にガラス繊維織物2を載せ、ガラス繊維織物2に未硬化の硬化性樹脂組成物を含浸させる。次いで、もう1枚工程フィルム(例えばPETフィルム等)を該ガラス繊維織物2に含浸された未硬化の硬化性樹脂組成物の上に載せ、該工程フィルムBの上からローラで加圧し第1の硬化樹脂層3の質量を調整する。その後、工程PETフィルムBを透して第1の硬化樹脂層3とする未硬化の硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプを用いて光照射して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程フィルムのいずれか一方(本例では便宜上工程フィルムA)を剥離して、工程フィルムB/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3の積層構造である中間体を得ることができる。該中間体は2枚準備する。このとき、透明不燃性シート1において、フィルム層5を含むものとする場合は、上記中間体に含まれる工程フィルムBに代えて、フィルム層5とすることができる。また、透明不燃性シート1を、例えば、フィルム層5と、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とを含むものとする場合は、予めフィルム層5と使用時に剥離される剥離可能なカバー層を積層して積層フィルムとしておき、前記中間体に含まれる工程フィルムBに代えて、該積層フィルムをカバー層が表面側となるように用いればよい。
前記第2工程について、第2の樹脂層4を構成する樹脂が硬化性樹脂である場合を挙げて説明する。前記第2工程では、第2の樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂を準備し、該未硬化の硬化性樹脂を、前記第1工程で得られた中間体の第1の硬化樹脂層3面側に塗布する。次に、該第2の樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂の上に、前記得られた中間体のもう一方を、第1の硬化樹脂層3側が該第2の樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂側となるように載せ、該もう一方の中間体の上からローラで加圧し第2の樹脂層4の質量を調整する。その後、該もう一方の中間体を透して第2の樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプを用いて光照射して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第2の樹脂層4を形成、積層する。そして、第2の樹脂層4の両表面にある工程フィルムBを剥離することにより、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/ガラス繊維織物2に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層4/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3、の積層構造である、本発明の透明不燃性シート1を得ることができる。なお、上記フィルム層5を含むものとする場合や、使用時に剥離可能なカバー層を含むものとする場合は、第2の樹脂層4とする未硬化の硬化性樹脂組成物を硬化して第2の樹脂層4を形成、積層した後、当該フィルム層5、使用時に剥離可能なカバー層を剥離せずにおき、透明不燃性シート1とすればよい。
(本発明の透明不燃性シート1の用途)
本発明の透明不燃性シート1の用途としては、建築物の天井に垂下して取り付けられる、防煙垂壁とすることが挙げられる。防煙垂壁としては、ガラス繊維織物と樹脂との透明不燃性シート1を用いた公知のものが挙げられ、例えば、建築物の天井面に配設された取付レールと、前記取付レールに上端部が保持されて吊り下げられた透明不燃性シート1と、前記透明不燃性シート1の両側方に配置された一対の端部方立と、を備え、前記透明不燃性シート1と前記端部方立とが分離自在に接合している防煙垂壁等が挙げられる。また、上記防煙垂壁として、2対の方立の間に透明不燃性シート1が張設されてなる垂壁も挙げられ、例えば、天井に垂下されて設置される場合の透明不燃性シート1の下部側に無目を有さない防煙垂壁が挙げられる。また、透明性を高めた場合、ガラスの代替と成り得ることから、ガラスが用いられている他の用途、例えば、パーティション、間仕切り、防煙シート、防煙カーテン(例えば工場などで使用されるもの)等に適用することもできる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
上記のガラス繊維織物2に含浸させる、第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、実施例1〜5では、アクリルシラップ(屈折率1.531)、テトラブロモビスフェノールA(TBBA、東ソー株式会社製商品名「フレームカット120G」及び光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物(質量比(アクリルシラップ:TBBA:光重合開始剤)=76:24:3)を使用した。また、参考例1の第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、アクリルシラップ(屈折率1.561)及び光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物(質量比(アクリルシラップ:光重合開始剤)=100:3)を使用した。また、比較例1の第1の硬化樹脂層3を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、アクリルシラップ(屈折率1.540)、臭素化ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製商品名ネオポール8197)及び光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物(質量比(アクリルシラップ:臭素化ビニルエステル樹脂:光重合開始剤)=65.7:34.3:3)を使用した。ガラス繊維織物2に含浸されない状態で含まれる、第2の樹脂層4を構成する樹脂組成物としては、表1の組成となるようにして、臭素化ビニルエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製商品名ネオポール8197)、光重合開始剤(IGM社製Omnirad 184)の混合物を使用した。光重合開始剤の量は、臭素化ビニルエステル樹脂100質量部に対して3質量部とした。フィルム層5としては、市販の東洋紡株式会社製2軸延伸ポリエステルフィルム(商品名「コスモシャイン(登録商標)A4300」、厚さ50μm、質量70g/m、全光線透過率(JIS K 7105:1981)93%、ヘーズ(JIS K 7105:1981)0.9%)を使用した。使用時に剥離される剥離可能なカバー層としては、ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm、質量36g/m)の一方の面上にフィルム層5に対し剥離可能に接着させるアクリル酸エステル系粘着剤を塗布したもの、工程フィルムとしてPETフィルム(厚さ50μm、全光線透過率93%、ヘーズ4%(JIS K 7105:1981))を使用した。
<実施例1>
(ガラス繊維織物の準備)
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製商品名「ECC1200 1/0 1.0Z」(平均フィラメント径4.5μm、平均フィラメント本数100本、撚り数1.0Z、番手4.2tex)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が90本/25mm、緯糸密度が90本/25mmの平織のガラス繊維織物を得た。ついで、得られたガラス繊維織物に付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350:N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングした。そして、圧力1.5MPaの水流加工でガラス繊維織物の張力を経方向が100N/mとしながら拡幅処理を1回施し、ガラス繊維織物2を得た。得られたガラス繊維織物は、経糸密度90本/25mm、緯糸密度90本/25mm、厚さ27μm、質量30g/m、屈折率1.561であった。
(透明不燃性シートの製造)
前述の工程フィルムであるPETフィルムの上に、表1に記載の硬化樹脂組成物を塗布した。次に、硬化樹脂組成物の上に、準備したガラス繊維織物を載せ、1分間静置してガラス繊維織物の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の工程フィルムであるPETフィルムを載せ、この上からローラで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成した。次に、PETフィルムを除去して、図1に記載の積層構造である、透明不燃性シートを得た。得られた透明不燃性シートにおいて、ガラス繊維織物のガラス繊維間の隙間には、硬化樹脂層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維織物の層の両面上には硬化樹脂層が形成されていた。
<参考例1>
(ガラス繊維織物の準備)
実施例1と同一のガラス繊維織物を準備した。
(透明不燃性シートの製造)
前述の工程フィルムであるPETフィルムの上に、表1に記載の硬化樹脂組成物を塗布した。次に、硬化樹脂組成物の上に、準備したガラス繊維織物を載せ、1分間静置してガラス繊維織物の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の工程フィルムであるPETフィルムを載せ、この上からローラで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成した。次に、PETフィルムを除去して、図1に記載の積層構造である、透明不燃性シートを得た。得られた透明不燃性シートにおいて、ガラス繊維織物のガラス繊維間の隙間には、硬化樹脂層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維織物の層の両面上には硬化樹脂層が形成されていた。
<比較例1>
(ガラス繊維織物の準備)
実施例1と同一のガラス繊維織物を準備した。
(透明不燃性シートの製造)
前述の工程フィルムであるPETフィルムの上に、表1に記載の硬化樹脂組成物を塗布した。次に、硬化樹脂組成物の上に、準備したガラス繊維織物を載せ、1分間静置してガラス繊維織物の隙間に上記の樹脂を含浸させた。次いで、上から前述の工程フィルムであるPETフィルムを載せ、この上からローラで加圧した。その後、上記のPETフィルムごと、樹脂組成物に光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成した。次に、PETフィルムを除去して、図1に記載の積層構造である、透明不燃性シートを得た。得られた透明不燃性シートにおいて、ガラス繊維織物のガラス繊維間の隙間には、硬化樹脂層(樹脂組成物の硬化物)が含浸されており、ガラス繊維織物の層の両面上には硬化樹脂層が形成されていた。
<実施例2>
(ガラス繊維織物の準備)
実施例1と同一のガラス繊維織物を準備した。
(帯電防止層のフィルム層5への積層)
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m、厚さは0.4μmであった。
(使用時に剥離される剥離可能な保護フィルムのフィルム層5(帯電防止層側)への積層)
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
(第1の硬化樹脂層3の形成、並びに該第1の硬化樹脂層3への前記フィルム層5を含む積層体Aの積層)
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1の硬化樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1の硬化樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維織物2を載せ、1分間静置してガラス繊維織物2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1の硬化樹脂層3の質量が25g/mとなるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1の硬化樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維織物2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1の硬化樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
(ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3側に、ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1の硬化樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2の樹脂層4の質量が149g/mとなるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2の樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2の樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明不燃性シート1を得た。なお、後述する透明不燃性シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明不燃性シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例3>
(ガラス繊維織物の準備)
実施例1と同一のガラス繊維織物を準備した。
(帯電防止層のフィルム層5への積層)
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m、厚さは0.4μmであった。
(使用時に剥離される剥離可能な保護フィルムのフィルム層5(帯電防止層側)への積層)
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
(第1の硬化樹脂層3の形成、並びに該第1の硬化樹脂層3への前記フィルム層5を含む積層体Aの積層)
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1の硬化樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1の硬化樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維織物2を載せ、1分間静置してガラス繊維織物2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1の硬化樹脂層3の質量が25g/mとなるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1の硬化樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維織物2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1の硬化樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
(ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3側に、ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1の硬化樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2の樹脂層4の質量が189g/mとなるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2の樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2の樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明不燃性シート1を得た。なお、後述する透明不燃性シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明不燃性シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例4>
(ガラス繊維織物の準備)
実施例1と同一のガラス繊維織物を準備した。
(帯電防止層のフィルム層5への積層)
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m、厚さは0.4μmであった。
(使用時に剥離される剥離可能な保護フィルムのフィルム層5(帯電防止層側)への積層)
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
(第1の硬化樹脂層3の形成、並びに該第1の硬化樹脂層3への前記フィルム層5を含む積層体Aの積層)
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1の硬化樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1の硬化樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維織物2を載せ、1分間静置してガラス繊維織物2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1の硬化樹脂層3の質量が25g/mとなるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1の硬化樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維織物2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1の硬化樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
(ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3側に、ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1の硬化樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2の樹脂層4の質量が229g/mとなるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2の樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2の樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明不燃性シート1を得た。なお、後述する透明不燃性シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明不燃性シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
<実施例5>
(ガラス繊維織物の準備)
実施例1と同一のガラス繊維織物を準備した。
(帯電防止層のフィルム層5への積層)
上記フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の、一方の面上に、帯電防止層を積層した。該帯電防止層は、固着樹脂としてポリエステル樹脂中に、酸化スズ微粒子(平均粒子径20nm)を、固着樹脂と酸化スズ微粒子との質量比(固着樹脂:酸化スズ微粒子)が75:25となるようにして、混合、分散した帯電防止剤を、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300(厚さ50μm)の一方の面上に塗布、乾燥することにより設けた。設けた帯電防止層の質量は、0.5g/m、厚さは0.4μmであった。
(使用時に剥離される剥離可能な保護フィルムのフィルム層5(帯電防止層側)への積層)
前述した、帯電防止層を一方の面上に設けた、フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300の該帯電防止層上に、前述した使用時に剥離される剥離可能なカバー層とするポリプロピレンフィルムの一方の面上にアクリル酸エステル系粘着剤を付与したものを、当該粘着剤が上記帯電防止層側となるように積層し、乾燥させて、使用時に剥離される剥離可能な保護フィルム/アクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5とするコスモシャイン(登録商標)A4300、の積層構造である積層体Xを得た。該積層体Xは2枚準備した。
(第1の硬化樹脂層3の形成、並びに該第1の硬化樹脂層3への前記フィルム層5を含む積層体Aの積層)
上記得られた積層体X1枚のコスモシャイン(登録商標)A4300面側(すなわち、使用時に剥離される剥離可能なカバー層とは反対面側)に、第1の硬化樹脂層3とする表1に記載のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を塗布した。次に、第1の硬化樹脂層3とする該硬化性樹脂組成物の上に、上記得られたガラス繊維織物2を載せ、1分間静置してガラス繊維織物2の隙間に上記のアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物を含浸させた。次いで、上記した工程フィルムとして使用されるPETフィルムを該アクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物の上に載せ、該PETフィルムの上からローラで第1の硬化樹脂層3の質量が25g/mとなるように加圧した。その後、上記工程PETフィルムを透して第1の硬化樹脂層3とするアクリルシラップからなる硬化性樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1の硬化樹脂層3を形成し、その後上記積層していた工程PETフィルムを剥離して、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3、の積層構造である積層体Yを得た。得られた積層体Yにおいて、ガラス繊維織物2のガラス繊維間の隙間には、アクリルシラップからなる第1の硬化樹脂層3(樹脂組成物の硬化物)がガラス繊維が露出することなく含侵されていた。当該積層体Yは2枚準備した。
(ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4の積層)
上記得られた積層体Y1枚の、ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3側に、ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4とする表1に記載の臭素化ビニルエステル樹脂組成物を塗布した。次に、当該臭素化ビニルエステル樹脂組成物の上に、上記得られた積層体Yのうち、もう一方を、該積層体Yの第1の硬化樹脂層3側が該臭素化ビニルエステル樹脂組成物側となるように載せ、当該もう一方の積層体Yの上からローラで臭素化ビニルエステル樹脂組成物からなる第2の樹脂層4の質量が269g/mとなるように加圧した。その後、上記もう一方の積層体Yを透して第2の樹脂層4とする臭素化ビニルエステル樹脂組成物にブラックライト蛍光ランプ(株式会社東芝製商品名FL15BLB)を用いて光照射(光照射条件:積算光量200mJ/cm)して該臭素化ビニルエステル樹脂組成物を硬化させて第2の樹脂層4を形成し、使用時に剥離される剥離可能なカバー層/該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/帯電防止層/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/ガラス繊維織物2に含侵されない状態で含まれる第2の樹脂層4/ガラス繊維織物2に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層3/フィルム層5(コスモシャイン(登録商標)A4300)/帯電防止層/カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤/使用時に剥離される剥離可能なカバー層、の積層構造である本発明の透明不燃性シート1を得た。なお、後述する透明不燃性シートの、臭素濃度、全光線透過率、ヘーズ、総発熱量、200kW超過時間の評価は、上記得られた透明不燃性シート1の使用時に剥離される剥離可能なカバー層及び該カバー層とともに剥離可能なアクリル酸エステル系粘着剤を剥離しおこなった。
なお、実施例において、ガラス繊維織物の織密度は、JIS R 3420 2013 7.9に従い、測定及び算出した。また、ガラス繊維織物の厚みは、JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定及び算出した。ガラス繊維織物の質量は、JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。ガラス繊維織物2、第1の硬化樹脂層3、第2の樹脂層4の屈折率は、前述の方法で測定及び算出した。ガラス繊維織物2及び第1の硬化樹脂層3のアッベ数は、上記の方法で測定及び算出した。以下の評価は、透明不燃性シート1の製造後、1週間室内で放置してから行った。
臭素濃度は、前述した方法にて測定、算出した。
使用時に剥離される剥離可能なカバー層(実施例1、参考例1及び比較例1においては工程フィルム)を剥離後の透明不燃性シート1の全光線透過率、ヘーズ、使用時に剥離される剥離可能なカバー層を剥離後の透明不燃性シート1の、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験における、総発熱量(MJ/m)及び発熱速度200kW/mを超える時間(S)は、前述の方法にて測定、算出した。また、貫通孔の有無は、上記「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従い、加熱開始後20分間後のシートについて判定した。色にじみの評価について、当該各透明不燃性シートを透かして蛍光灯を見て、蛍光灯の周囲の色にじみが目立つか否かで評価した。評価基準は、参考例1のシートを基準シートとし、以下の通りにおこなった。
○・・・参考例1と同等であった。
×・・・参考例1より色にじみが目立った。
各評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2021031622
実施例1は、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、透明不燃性シートであって、前記硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含む、ことから、硬化樹脂層のアッベ数が、参考例1のシートのアッベ数と同等であり、不燃性を高めつつ、難燃成分を含むことによるアッベ数の低下が抑制され、色にじみの発生抑制が可能となるものであった。一方、比較例1は、硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含まず、臭素化ビニルエステル樹脂を含むことから、参考例のシートのアッベ数より低くなり、色にじみの発生抑制に劣るものであった。
実施例2〜5は、不燃性を高めつつ、難燃成分による、難燃成分以外の硬化樹脂成分のアッベ数の低下を抑制し得ることに加え、ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる第1の硬化樹脂層と、前記ガラス繊維織物に含浸されない状態で含まれる第2の樹脂層を含み、前記第2の樹脂層の臭素濃度が前記第1樹脂層の臭素濃度より高く、前記透明不燃性シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、ことから、樹脂重量を大きくした場合に、透明性を向上させることと、総発熱量を低いものとすることとの両立をより図ることが可能となるものであった。
また、実施例1〜5は、有機臭素モノマー化合物を含むことから、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、第1樹脂層の膨れがより生じにくく、当該膨れに伴う加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がより生じにくいものでもあった。
1・・・透明不燃性シート
2・・・ガラス繊維織物
3・・・第1の硬化樹脂層
4・・・第2の樹脂層
5・・・フィルム層

Claims (8)

  1. ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物に含浸された状態で含まれる硬化樹脂層を含む、透明不燃性シートであって、
    前記硬化樹脂層が有機臭素モノマー化合物を含む、透明不燃性シート。
  2. 前記有機臭素モノマー化合物が、テトラブロモビスフェノールAである、請求項1に記載の透明不燃性シート。
  3. 前記硬化樹脂層が、骨格中に臭素を含有しない硬化樹脂を含む、請求項1又は2に記載の透明不燃性シート。
  4. 前記透明不燃性シートの全光線透過率が85%以上、ヘーズが10%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  5. 前記硬化樹脂層のアッベ数が30以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  6. 前記透明不燃性シートの厚さ方向に第2の樹脂層が含まれ、
    当該第2の樹脂層は、ガラス繊維織物に含浸されない状態で含まれており、臭素濃度が30質量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  7. 一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明不燃性シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明不燃性シートの製造方法であって、
    アッベ数が30以上の硬化樹脂と、前記有機臭素モノマー化合物と、を含有する樹脂組成物を硬化して前記硬化樹脂層を形成する工程を含む、透明不燃性シートの製造方法。
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