(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、インクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)の好適な実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、プリンタ10の右側方を一部切り欠いた斜視図である。図2は、プリンタ10のフロントカバー13を開いた状態の正面図である。なお、以下の説明において、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとし、プリンタ10からユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号X、Y、Zは、それぞれ前後方向、左右方向、上下方向を表す。ただし、これは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ10の設置形態を何ら限定するものではない。
図1に示すように、プリンタ10は、ケーシング12と、開閉可能なフロントカバー13と、を備えている。図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール18と、キャリッジ19と、キャリッジ移動機構(図示せず)と、インクカートリッジ21と、インクヘッド22と、紫外線ランプ23と、テーブル25と、テーブル移動機構26と、クリーニング機構30と、廃液機構40と、制御装置50(図1参照)と、を備えている。
ガイドレール18は、テーブル25よりも上方に設けられている。ガイドレール18は、左右方向Yに延びている。ガイドレール18には、キャリッジ19が摺動自在に設けられている。キャリッジ19は、キャリッジ移動機構によって左右方向(主走査方向)Yに移動可能に構成されている。印刷が行われていないとき、キャリッジ19は、ケーシング12内の右端部の位置であるホームポジションHPで待機する。
キャリッジ移動機構は、キャリッジ19をテーブル25に対して左右方向Yに相対移動させるように構成されている。キャリッジ移動機構20は、ガイドレール18の右端および左端に配置された一対のプーリ(図示せず)と、無端状のベルト(図示せず)と、キャリッジモータ(図示せず)と、を備えている。キャリッジ19は、無端状のベルトに固定されている。無端状のベルトは、一対のプーリに巻き掛けられている。一方のプーリには、キャリッジモータが連結されている。キャリッジモータが駆動するとプーリが回転し、ベルトが走行する。これにより、キャリッジ19はガイドレール18に沿って左右方向Yに移動する。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、キャリッジ移動機構の構成は特に限定されない。
図2に示すように、キャリッジ19には、6つのインクヘッド22と、2つの紫外線ランプ23と、が搭載されている。プリンタ10は、紫外線硬化型のプリンタである。インクヘッド22は、下方に開口したノズル22a(図3参照)を有している。インクヘッド22は、印刷時にノズル22aから被印刷物25aに向かってインクを吐出するように構成されている。インクヘッド22は、液体を吐出するヘッドの一例である。インクヘッド22は、それぞれ、可撓性を有するインクチューブ(図示せず)によって、インクカートリッジ21と連通されている。
インクカートリッジ21には、重合性化合物と重合開始剤とを含む光硬化型のインク(光硬化インク)が貯留されている。光硬化インクは、ここでは紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型のインク(UVインク)である。なお、本実施形態ではインクカートリッジ21の個数が6つであるが、インクカートリッジ21の数やインクの種類は一例に過ぎず、特に限定されない。
紫外線ランプ23は、被印刷物25a上のインクを硬化させるための光照射装置である。図2に示すように、本実施形態では、インクヘッド22の左右両端に紫外線ランプ23が1つずつ配置されている。紫外線ランプ23から照射される光は、インクを硬化可能な紫外線波長を有している。なお、本実施形態では紫外線ランプ23の個数は2つであるが、紫外線ランプ23の個数は特に限定されない。
テーブル25は、印刷時に被印刷物25aが載置される台である。テーブル25は、テーブル移動機構26によって、前後方向Xに移動可能に構成されている。
テーブル移動機構26は、テーブル25をインクヘッド22および紫外線ランプ23に対して前後方向Xに相対移動させるように構成されている。テーブル移動機構26は、前後方向Xに沿って延びる2本のスライドレール26a、26bと、スライドレール26a、26bに対して摺動自在な搬送部材26cと、搬送部材26cを駆動する前後移動用モータ(図示せず)と、を備えている。搬送部材26cの上方には、テーブル25が支持されている。前後移動用モータが駆動すると、搬送部材26cが前後方向に移動し、これに伴ってテーブル25が前後方向Xに移動する。ただし、ここで説明する機構は一例に過ぎず、テーブル移動機構26の構成は特に限定されない。
クリーニング機構30は、インクヘッド22のノズル22aに付着した付着物(例えば、埃、ごみ、インクの増粘物や硬化物等)を取り除くように構成されている。クリーニング機構30は、ホームポジションHP(図2参照)の位置において、キャリッジ19の真下に配置されている。図3は、クリーニング機構30の構成を示す模式図である。クリーニング機構30は、キャップ31と、キャップ移動機構32と、吸引ポンプ33と、排出経路34と、を備えている。
キャップ31は、インクヘッド22に装着されたときにノズル22aの周囲を覆うように構成されている。キャップ31は、キャップ移動機構32に連結されている。キャップ31は、キャップ移動機構32によって、インクヘッド22のノズル22aに着脱可能に装着される。
キャップ移動機構32は、インクヘッド22のノズル22aにキャップ31を装着したり、インクヘッド22のノズル22aからキャップ31を離間させたりする機構である。
排出経路34は、キャップ31から廃液機構40へと廃液を導く流路である。排出経路34は、例えば可撓性を有するチューブ等で構成されている。排出経路34の途中部分には、吸引ポンプ33が設けられている。吸引ポンプ33は、ノズル22aにキャップ31が装着されている状態において、ノズル22aからインク等を吸引する。吸引ポンプ33は、キャップ31内に溜まったインク等を廃液機構40に送る。
インクヘッド22のノズル22aをクリーニングする際、ノズル22aにキャップ31が装着された状態で吸引ポンプ33が駆動されると、キャップ31を介してノズル22aからインクや付着物等が吸い出され、キャップ31内に溜まる。また、ノズル22aにキャップ31が装着された状態でインクヘッド22が駆動されると、キャップ31内にインクや付着物が吐出され、キャップ31内に溜まる。キャップ31は、排出経路34を介して廃液機構40に連通されている。キャップ31内に溜まったインクや付着物等は、廃液として、排出経路34を介して廃液機構40に送られる。
廃液機構40は、クリーニング動作等で生じた廃液を回収する機構である。図2に示すように、廃液機構40は、ホームポジションHPの位置において、クリーニング機構30よりも下方に配置されている。次に、廃液機構40の詳細について説明する。
図4は、廃液機構40の正面図である。図5は、廃液機構40の鉛直断面図である。廃液機構40は、廃液タンク41と、廃液タンク41を支持する支持台43と、支持台43を傾動可能に支持するベース部材45と、を備えている。
図6は廃液タンク41の斜視図である。なお、以下の廃液タンク41に関する説明において、前、後、左、右、上、下とは、水平状態にある支持台43の上に廃液タンク41が載せられたときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。廃液タンク41は、前後方向Xの厚みが薄い薄型に形成されている。すなわち、廃液タンク41は、前後方向Xの寸法が左右方向Yおよび上下方向Zの寸法よりも小さな形状に形成されている。また、廃液タンク41は縦型に形成されている。すなわち、廃液タンク41は、上下方向Zの寸法が前後方向Xおよび左右方向Yの寸法よりも大きな形状に形成されている。本実施形態では、廃液タンク41は略直方体形状に形成されている。ただし、廃液タンク41の上記の形状および寸法は一例であり、特に限定される訳ではない。廃液タンク41の形状は、円筒形、立方体等の他の形状であってもよい。廃液タンク41は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、フッ素系樹脂等の樹脂製である。廃液タンク41は、黒色で遮光性を有していてもよい。
廃液タンク41は、タンク本体41Aと筒部42とを有している。タンク本体41Aは、前壁41Fと、後壁(図示せず)と、左壁41Lと、右壁41R(図5参照)と、上壁41Uと、下壁41D(図5参照)とを有している。上壁41Uは、左側の水平壁41aと、右側の水平壁41bと、水平壁41aおよび水平壁41bの間に位置する傾斜壁41cとを含んでいる。傾斜壁41cは、右方向に行くに従って上方に向かうように延びている。傾斜壁41cは筒部42よりも右側に設けられている。筒部42は左側の水平壁41aに設けられている。筒部42は上向きに延びている。なお、「上向きに延びる」には、鉛直方向に沿って上向きに延びる場合と、鉛直方向から傾いた方向に沿って上向きに延びる場合との両方が含まれる。本実施形態では、筒部42は鉛直方向に沿って上向きに延びている。筒部42の上端には、上向きに開口する開口42iが形成されている。なお、「上向きに開口する」には、鉛直方向に上向きに開口する場合と、鉛直方向から傾いた方向に上向きに開口する場合との両方が含まれる。本実施形態では、開口42iは鉛直方向に上向きに開口している。筒部42は、廃液タンク41の左右方向の中間位置よりも左側に形成されている。
図4および図5に示すように、ベース部材45は、底壁45Dと、左側の前壁45FLと、右側の前壁45FRと、左壁45Lと、を備えている。図7に示すように、ベース部材45は、更に、左側の後壁45BLと、右側の後壁45BRと、右壁45Rと、を備えている。左壁45Lは底壁45Dの左端から鉛直上向きに延びている。右壁45Rは底壁45Dの右端から鉛直上向きに延びている。前壁45FL,45FRは底壁45Dの前端から鉛直上向きに延びている。後壁45BL,45BRは底壁45Dの後端から鉛直上向きに延びている。左側の前壁45FLは、右側の前壁45FRよりも上方に延びている。左側の後壁45BLは、右側の後壁45BRよりも上方に延びている。
図5に示すように、支持台43は、横板部43aと、横板部43aの左端から上方に延びる縦板部43bと、縦板部43bから左方に延びる延出板部43cとを有している。横板部43aは、左右方向Yおよび前後方向Xに延びており、ベース部材45に傾動可能に支持されている。横板部43aを傾動可能に支持する構造は特に限定されないが、本実施形態では、ベース部材45の前壁45FRおよび後壁45BRに支持軸46が設けられ、横板部43aは支持軸46に揺動可能に支持されている。支持台43は、支持軸46を支点として傾動可能である。
ベース部材45の左壁45Lには、上下に延びるスリット孔39(図7参照)が形成され、延出板部43cはスリット孔39に挿入されている。延出板部43cはベース部材45の左壁45Lを貫通している。左壁45Lには左方に延びるブラケット47が取り付けられ、ブラケット47には、ばね48の上端部が係止されている。延出板部43cには、ばね48の下端部が係止されている。ばね48は延出板部43cを上方に付勢している。これにより、支持台43は、ばね48により上方に付勢されている。
ベース部材45の左壁45Lの下部には、廃液タンク41の廃液量を検出するセンサ51が設けられている。支持台43は傾動可能であるので、廃液タンク41の廃液量が増えるに従って、支持台43の傾きは大きくなり、延出板部43cは下方に移動する。延出板部43cの上下方向の位置は、廃液タンク41の廃液量と一義的に対応する。センサ51は、延出板部43cの位置を検出することにより、廃液タンク41の廃液量を間接的に検出する。本実施形態では、センサ51は光透過型または光反射型のフォトセンサにより構成されている。センサ51は2つ設けられている。ただし、センサ51の種類および個数は特に限定される訳ではない。
ベース部材45の左壁45Lの上部には、支持台43上に廃液タンク41が設置されたか否かを検出するセンサ52が設けられている。ベース部材45の前壁45FLおよび後壁45BLには、揺動板49が揺動自在に支持されている。ここでは、揺動板49は、支持軸55を介して前壁45FLおよび後壁45BLに支持されている。廃液タンク41が設置されていない場合、図8に示すように、揺動板49は水平な初期位置にある。なお、揺動板49には廃液受け38が設けられており、揺動板49が初期位置にあるときに、廃液受け38は後述する排出管62の真下に配置される。一方、図5に示すように、廃液タンク41が支持台43上に設置された場合、揺動板49は廃液タンク41によって左側に押され、傾いた状態となる。センサ52は、揺動板49の傾きを検出することにより、廃液タンク41の設置の有無を検出する。センサ52は、廃液タンク41の一部が排出管62を超えて左側に移動した移動量に基づいて廃液タンク41が支持台43に支持されていることを検出するセンサの一例である。本実施形態では、センサ52は光透過型または光反射型のフォトセンサにより構成されている。センサ52の光が揺動板49によって遮蔽または反射されることにより、センサ52のON/OFFが切り替えられる。ただし、センサ52の種類は特に限定される訳ではない。
ベース部材45の左壁45Lの上部の右方には、漏斗61が配置されている。漏斗61は排出経路34の一部を構成している。漏斗61には、クリーニング機構30からの廃液が導かれる。漏斗61は上方に向かって広がった形状を有している。漏斗61の下端部には、排出管62が設けられている。排出管62は排出経路34の下流端部を構成しており、排出経路34の廃液は排出管62から排出される。排出管62は、下向きに延びており、下向きに開口している。なお、ここで言う「下向き」とは、鉛直方向に沿った下向きと、鉛直方向から傾いた方向に沿った下向きとの両方が含まれる。
図7に示すように、ベース部材45にはガイド部材70が設けられている。ガイド部材70は排出管62よりも右側に配置されている。ガイド部材70は、ベース部材45の前壁45FLおよび後壁45BLに支持されている。ガイド部材70は、鉛直板部70aと傾斜板部70bとを含んでいる。図5に示すように、鉛直板部70aは鉛直方向に延びている。傾斜板部70bは、鉛直板部70aの上端から右方向に行くほど上方に向かうように延びている。傾斜板部70bは鉛直板部70aの上方に位置している。鉛直板部70aの下端70dは、排出管62の下端よりも上方に位置している。ガイド部材70の材料は特に限定されないが、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属であってもよい。本実施形態では、ガイド部材70は、黒色の部材または黒色に着色された部材から構成されており、遮光性を備えている。
制御装置50(図1参照)は、プリンタ10の各部の動作を制御する。制御装置50のハードウェア構成は特に限定されない。制御装置50は、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。
制御装置50は、クリーニング機構30のクリーニング動作を制御する。ただし、制御装置50は、廃液タンク41が支持台43に支持されていることがセンサ52により検出されない場合、クリーニング機構30のクリーニング動作を禁止する。また、制御装置50は、廃液タンク41が満杯状態にあることがセンサ51により検出されると、クリーニング機構30のクリーニング動作を禁止する。一方、制御装置50は、廃液タンク41が支持台43に支持されていることがセンサ52により検出され、廃液タンク41が満杯状態でないことがセンサ51により検出されると、クリーニング機構30のクリーニング動作を許可する。
次に、図9Aおよび図9Bの模式図を参照しながら、廃液タンク41を設置する方法について説明する。なお、廃液タンク41の設置は、ユーザが廃液タンク41を掴みながら行う。
まず、図9Aに示すように、廃液タンク41を挿入方向の前側(図9Aの左側)が低くなるように傾けた状態のまま左側に移動させる(矢印A1参照)。漏斗61の右側にはガイド部材70が設けられているので、廃液タンク41を左側に移動させると、やがて廃液タンク41の傾斜壁41cがガイド部材70の鉛直板部70aに当接する。これにより、廃液タンク41の左側の移動が規制される。
なお、鉛直板部70aの位置は、廃液タンク41を左側に移動させたときに鉛直板部70aが傾斜壁41cに必ず当接するように設定していることが好ましい。例えば、鉛直板部70aの下端70dと支持台43の横板部43aとの上下方向の間隔H1(図5参照)は、廃液タンク41の下壁41Dの前端部が横板部43aと接触したときに、鉛直板部70aの下端70dが廃液タンク41の傾斜壁41cの上端よりも下方に位置するように設定することが好ましい。なお、本実施形態では、支持台43は挿入方向の前側が低くなるように傾動可能であるので、廃液タンク41の下壁41Dの前端部が横板部43aと接触し、かつ、支持台43が最も傾動している状態のときに、鉛直板部70aの下端70dが廃液タンク41の傾斜壁41cの上端よりも下方に位置するように設定すればよい。これにより、ユーザが意識しなくても、廃液タンク41を左側に移動させるだけで鉛直板部70aは傾斜壁41cと当接するようになる。そのため、ユーザの作業負担を軽減することができる。ただし、特に限定される訳ではない。
ユーザは廃液タンク41を掴んでいるので、傾斜壁41cが鉛直板部70aに当接したことを感覚的に容易に認識することができる。傾斜壁41cが鉛直板部70aに当接すると、ユーザは、図9Bに示すように、鉛直板部70aの下端70dを支点として、廃液タンク41を上方に回動させる(矢印A2参照)。これにより、廃液タンク41が支持台43上に載置されると共に、排出管62が廃液タンク41の開口42iに挿入される。
なお、ガイド部材70の鉛直板部70aの下端70dの位置は、廃液タンク41を回動させたときに排出管62が開口42iに挿入されるような位置に設定されている。ガイド部材70は、ガイド部材70と廃液タンク41との当接部分を支点として廃液タンク41を回動させたときに、排出管62の先端が廃液タンク41の開口42iの回動軌跡の範囲内に位置するように構成されている。なお、図9Bにおいて、開口42iの回転軌跡の範囲内とは、開口42iの左端の軌跡を表す曲線42pと、開口42iの右端の軌跡を表す曲線42qとの間の範囲内のことである。例えば、鉛直板部70aの下端70dと排出管62の中心との左右方向の距離は、廃液タンク41の開口42iの中心と傾斜壁41cの下端との距離よりも大きく、かつ、廃液タンク41の開口42iの中心と傾斜壁41cの上端との距離よりも小さく設定されている。ただし、鉛直板部70aの下端70dの位置は廃液タンク41の形状等に応じて適宜に設定すればよく、特に限定される訳ではない。
以上のように、本実施形態に係るプリンタ10は、インクを吐出するノズル22aを有するヘッド22と、ノズル22aからインクを排出させるクリーニング動作を行うクリーニング機構30と、クリーニング動作により排出されたインクをクリーニング機構30から導く排出経路34と、排出経路34により導かれたインクを回収する廃液タンク41と、廃液タンク41を支持する支持台43と、を備えている。排出経路34は、支持台43の上方に配置され、下向きに延びる排出管62を有している。廃液タンク41には、上向きに開口し、廃液タンク41が支持台43に支持されたときに排出管62が挿入される開口42iが形成されている。そして、本実施形態に係るプリンタ10は、廃液タンク41を支持台43の上方にて排出管62の方に向けて移動させるときに廃液タンク41の傾斜壁41cと当接することにより、排出管62が開口42iの内部に挿入されるように廃液タンク41を案内するガイド部材70を備えている。なお、「排出管が開口の内部に挿入される」とは、排出管の少なくとも下端部が開口の内部に挿入されることを意味する。
本実施形態では、ガイド部材70は、廃液タンク41を左方向に移動させたときに廃液タンク41と当接し、ガイド部材70と廃液タンク41との当接部分を支点として廃液タンク41を回動させたときに排出管62の先端が廃液タンク41の開口42iの回動軌跡の範囲内に位置するように構成されている(図9B参照)。
本実施形態では、廃液タンク41は、上向きに延びかつ上端に開口42iが形成された筒部42と、筒部42よりも右側に形成され、右方向に行くに従って上方に向かう傾斜壁41cと、を有している。ガイド部材70は、廃液タンク41を左方向に移動させたときに傾斜壁41cと当接するように構成されている。
本実施形態では、ガイド部材70は、排出管62よりも右側に配置され、下方に延びる鉛直板部70aを有しており、廃液タンク41を左方向に移動させたときに鉛直板部70aの下端が廃液タンク41の傾斜壁41cと当接するように構成されている。
本実施形態では、排出経路34は上方に向かって広がる漏斗61を有し、排出管62は漏斗61の下端部に設けられている。
本実施形態に係るプリンタ10によれば、廃液タンク41を設置する際にガイド部材70が廃液タンク41を案内するので、廃液タンク41を支持台43上に載置した状態のときに、排出管62は廃液タンク41の開口42iの内部に確実に収容される。そのため、排出管62が開口42iから外れた状態のまま廃液タンク41の設置を完了してしまうことはない。したがって、クリーニング動作時に排出経路34から廃液タンク41の外部に廃液が漏れてしまうことを防止することができる。
本実施形態に係るプリンタ10は、廃液タンク41の一部が排出管62を超えて左側に移動した移動量に基づいて廃液タンク41が支持台43に支持されていることを検出するセンサ52と、廃液タンク41が支持台43に支持されていることがセンサ52により検出されない場合はクリーニング機構30のクリーニング動作を禁止し、廃液タンク41が支持台43に支持されていることがセンサ52により検出された場合はクリーニング機構30のクリーニング動作を許可する制御装置50と、を備えている。
図10に示すように、ガイド部材70がない場合、廃液タンク41の左側の移動が規制されないので、廃液タンク41をより左側に移動させることができる。そのため、筒部42が排出管62を超えて左側に移動してしまい、排出管62が筒部42と右側の水平壁41bとの間の隙間に入り込んでしまう場合がある。この場合、揺動板49は左側に十分に押し込まれるので、揺動板49はセンサ52の光を遮蔽しない状態となり、センサ52はONとなる。そのため、実際には廃液タンク41が支持台43上に設置されていないにも拘わらず、設置されているかのように誤って検出されてしまう。この場合、クリーニング機構30のクリーニング動作が許可されるので、クリーニング動作に伴って、廃液が排出管62から廃液タンク41の外部に漏れてしまう。
ところが、本実施形態に係るプリンタ10によれば、図11に示すように、ガイド部材70を備えている。廃液タンク41を左側に移動させたときに、ガイド部材70により、筒部42が排出管62を超えて左側に移動してしまうことが防止される。そのため、排出管62が筒部42と水平壁41bとの間の隙間に入り込んでしまうことがなく、開口42iは排出管62の真下に位置づけられる。また、図11に示す状態では、揺動板49の左方への押し込み量が少ないので、揺動板49はセンサ52の光を遮蔽した状態に保たれる。センサ52はOFFのままとなる。よって、廃液タンク41が支持台43上に設置されているかのように誤検出されることはない。したがって、クリーニング機構30のクリーニング動作は許可されず、排出管62から廃液が排出されることはない。この点においても、廃液が排出管62から廃液タンク41の外部に漏れてしまうことを防止することができる。
本実施形態では、ガイド部材70の鉛直板部70aの下端70dは、排出管62の下端よりも上方に位置している。このことにより、廃液タンク41を左側に移動させるときに、筒部42が鉛直板部70aに当たってしまうことを容易に回避することができる(図9A参照)。また、傾斜壁41cを鉛直板部70aに当接させながら廃液タンク41を回動させるときに、排出管62が開口42iの内部に挿入されるよう廃液タンク41を良好に案内することができる(図9B参照)。
本実施形態では、ガイド部材70は、鉛直板部70aと、鉛直板部70aの上端から右側に行くほど上方に向かうように延びる傾斜板部70bと、を有している。本実施形態によれば、ガイド部材70の剛性を高めることができる。ガイド部材70は変形しにくいので、廃液タンク41の移動および回動を円滑に案内することができる。
図1に示すように、支持台43はケーシング12内の右側部分に設けられており、支持台43上における左方向はプリンタ10の内側に向かう方向であり、右方向はプリンタ10の外側に向かう方向である。なお、図示は省略するが、ケーシング12の右側部分には、廃液タンク41を出し入れする挿入口が形成されている。本実施形態では、廃液タンク41を支持台43上に設置する際に、プリンタ10の内側に向かって廃液タンク41を移動させる必要がある。そのため、廃液タンク41を設置する際に、排出管62が開口42iの内部に挿入されたか否か(言い換えると、廃液タンク41が排出管62に接続されたか否か)を目視で確認することが難しい。しかし、本実施形態では、ガイド部材70が廃液タンク41を案内するので、廃液タンク41を支持台43上に設置するだけで、排出管62を開口42iの内部に挿入することができる。したがって、面倒な目視確認を省略することができる。
本実施形態では、インクは光硬化型インクであり、ガイド部材70は遮光性を有する部材により構成されている。そのため、インクが排出経路34から廃液タンク41に排出されるときに、インクが硬化してしまうことを抑制することができる。例えば、インクが排出管62の周囲で硬化することを抑制でき、排出管62の目詰まり等を防止することができる。
本実施形態では、プリンタ10は、支持台43を廃液タンク41の回動に伴って傾動可能に支持するベース部材45を備えている。廃液タンク41を掴みながら支持台43に押しつけると、支持台43が傾くので、支持台43が傾動不能の場合に比べて、廃液タンク41をより大きく傾けることができる。そのため、廃液タンク41を左側に移動させるとき(図9A参照)に筒部42と排出管62との干渉をより容易に避けることができ、廃液タンク41の設置が更に容易となる。
(第2実施形態)
次に、他の実施形態について説明する。第2実施形態に係るプリンタ10と第1実施形態に係るプリンタ10とは、廃液機構40の構成が異なるが、その他の構成は同一である。そこで、以下の説明では、廃液機構40以外の説明は省略する。また、第1実施形態と同様の部材および部分には同様の符号を付し、それらの詳しい説明は省略する。
図12に示すように、第1実施形態と同様、第2実施形態に係る廃液機構40は、廃液タンク41と、廃液タンク41を支持する支持台43と、支持台43を傾動可能に支持するベース部材45と、ガイド部材72とを備えている。また、廃液機構40は、漏斗61と、漏斗61の下端部に設けられた排出管62と、支持台43を上向きに付勢するばね48と、廃液タンク41の廃液量を検出するセンサ51と、廃液タンク41が設置されているか否かを検出するセンサ52とを備えている。
本実施形態に係るガイド部材72は、鉛直方向に延びる鉛直板部72aと、鉛直板部72aの下端から左方向に延びる水平板部72bと、水平板部72bの左側の端部から鉛直上向きに延びる他の鉛直板部72cとを有している。第1実施形態と同様、ガイド部材72は排出管62よりも右側に配置されている。鉛直板部72aの下端は、排出管62の下端よりも上方に位置している。
本実施形態では、第1実施形態の揺動板49に代えて、ベース部材45の左側の前壁45FLおよび後壁45BLに揺動可能に支持された揺動部材69が設けられている。揺動部材69は、廃液タンク41の設置時に廃液タンク41によって左方に押される被押圧部69aと、被押圧部69aに固定され、被押圧部69aと一体となって揺動する遮光板部69bとを含んでいる。センサ52は、遮光板部69bに遮光されることにより、ON/OFFが切り替えられる。廃液タンク41が支持台43上に設置されていない場合、被押圧部69aは鉛直方向に延び、遮光板部69bはセンサ52を遮光する。これにより、センサ52はOFFとなり、廃液タンク41が設置されていないことがセンサ52によって検出される。一方、図12に示すように、廃液タンク41が支持台43上に設置されている場合、被押圧部69aは廃液タンク41により左側に押され、傾いた姿勢をとる。これに伴い、遮光板部69bは上方に回動し、センサ52の遮光が解除される。これにより、センサ52はONとなり、廃液タンク41が支持台43上に設置されていることがセンサ52によって検出される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様にして廃液タンク41を設置することができる。すなわち、まず、廃液タンク41を左側に移動させ、廃液タンク41の傾斜壁41cをガイド部材72の鉛直板部72aに当接させる。次に、傾斜壁41cの鉛直板部72aとの当接部分を支点として、廃液タンク41を回動させる。これにより、排出管62が廃液タンク41の開口42iの内部に挿入される。
本実施形態においても、廃液タンク41を設置する際にガイド部材72が廃液タンク41を案内するので、廃液タンク41を支持台43上に載置した状態のときに、排出管62は廃液タンク41の開口42iの内部に確実に収容される。そのため、排出管62が開口42iから外れた状態のまま廃液タンク41の設置を完了してしまうことはない。したがって、クリーニング動作時に排出経路34から廃液タンク41の外部に廃液が漏れてしまうことを防止することができる。その他、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、ガイド部材72は、鉛直板部72aと、鉛直板部72aの下端から左方向に延びる水平板部72bと、水平板部72bの左側の端部から鉛直上向きに延びる他の鉛直板部72cとを有している。本実施形態においても、ガイド部材72の剛性を高めることができる。ガイド部材72は変形しにくいので、廃液タンク41の移動および回動を円滑に案内することができる。
(他の実施形態)
以上、実施形態に係るプリンタ10について説明した。しかし、本発明に係るインクジェットプリンタは、これに限定されない。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を組み合わせたり、他の変形態様に置き換えたりすることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
前記実施形態において、ガイド部材は、廃液タンク41を支持台43の上方にて排出管62の方に向けて移動させると共に開口42iが上方に移動するように廃液タンク41を回動させるときに、廃液タンク41と当接することによって、排出管62が開口42iの内部に挿入されるように廃液タンク41を案内する部材であればよく、その形状および寸法は特に限定されない。
前記実施形態では、廃液タンク41を支持台43上に設置したときに、排出経路34の排出管62が廃液タンク41の開口42iの内部に収容されるように構成されていた。しかし、排出管62は、必ずしも廃液タンク41の開口42iの内部に収容されなくてもよい。排出管62を廃液タンク41の開口42iの内部に収容する代わりに、排出管62を開口42iの真上に位置づけるようにしてもよい。すなわち、排出管62を、開口42iよりも上方であって、かつ、上方から見て開口42iの輪郭の内側に位置づけるようにしてもよい。言い換えると、廃液タンク41を支持台43上に設置したときに、廃液タンク41の開口42iが排出管62の真下に位置づけられるようにしてもよい。その場合、ガイド部材70,72は、廃液タンク41を支持台43上に設置するときに廃液タンク41の傾斜壁41cと当接することにより、排出管62が開口42iの真上に位置するように廃液タンク41の位置を案内する。この際、廃液タンク41を前記実施形態のように回動させてもよく、回動させなくてもよい。ガイド部材70,72は、必ずしも廃液タンク41の回動を案内する必要はなく、廃液タンク41の挿入方向(左方向)の移動を規制するだけであってもよい。
第1実施形態では、ガイド部材70は、鉛直板部70aの他に傾斜板部70bを有している。第2実施形態では、ガイド部材72は、鉛直板部72aの他に水平板部72bおよび他の鉛直板部72cを有している。しかし、ガイド部材は必ずしも鉛直板部以外の部分を有していなくてもよい。ガイド部材は鉛直板部のみにより構成されていてもよい。
ガイド部材は下方に延びる縦板部を備えており、第1実施形態の鉛直板部70aおよび第2実施形態の鉛直板部72aは縦板部の例示である。ただし、縦板部は、必ずしも鉛直方向に延びている必要はない。ガイド部材は、鉛直板部に代えて、鉛直方向から傾いた傾斜板部を有していてもよい。例えば、廃液タンク41の傾斜壁41cを上記傾斜板部に当接させ、上記傾斜板部の下端を支点として廃液タンク41を回動させるようにしてもよい。
ガイド部材は、必ずしも廃液タンク41の上壁41Uの傾斜壁41cに当接するものに限られない。廃液タンク41の形状によっては、廃液タンク41の上壁41U以外の部分をガイド部材に当接させるようにしてもよい。
廃液タンク41の上壁41Uは、必ずしも傾斜壁41cを有していなくてもよい。例えば、傾斜壁41cの代わりに、左側の水平壁41aと右側の水平壁41bとの間に鉛直壁が設けられていてもよい。また、廃液タンク41は、左側の水平壁41aおよび右側の水平壁41bの一方または両方に代えて、傾斜壁を備えていてもよい。
排出経路34の漏斗61は必ずしも必要ではない。排出管62は、金属等からなる剛体であってもよいが、樹脂製のチューブ等のように、可撓性を有する材料によって形成されていてもよい。
センサ51およびセンサ52は必ずしも必要ではない。センサ51およびセンサ52の一方または両方を省略してもよい。
ガイド部材70,72の鉛直板部70a,72aの下端の位置は特に限定されない。鉛直板部70a,72aの下端の位置は、排出管62の下端と同じ高さ位置にあってもよい。鉛直板部70a,72aの下端の位置は、排出管62の下端よりも下方に位置していてもよい。
支持台43は必ずしも傾動可能でなくてもよい。支持台43は傾動しないように構成されていてもよい。廃液タンク41を設置した状態のときに、支持台43の横板部43aは必ずしも水平でなくてもよい。例えば、横板部43aは水平方向から若干傾いていてもよい。
上記した実施形態では、プリンタ10のキャリッジ19が左右方向Yに移動し、テーブル25が前後方向Xに移動するように構成されていたが、これには限定されない。キャリッジ19とテーブル25との移動は相対的なものであり、そのどちらが左右方向Yまたは前後方向Xに移動してもよい。また、例えば、テーブル25は移動不能に配置され、キャリッジ19が左右方向Yおよび前後方向Xの両方向に移動可能なように構成されていてもよい。
上記した実施形態では、インクヘッド22がキャリッジ19に搭載され、左右方向Yに往復移動(シャトル移動)しながら印刷が行われる、所謂シャトルタイプ(シリアルタイプ)のプリンタ10について説明したが、これには限定されない。ここに開示される技術は、例えば被印刷物25aと同じかそれよりも長い幅のラインヘッドを備え、当該ラインヘッドが固定された状態で印刷が行われる、所謂ラインタイプのプリンタにも同様に適用することができる。
上記した実施形態では、プリンタ10が紫外線ランプ23を備えていたが、紫外線ランプ23は必須ではなく、省略することもできる。その場合、インクカートリッジ21には、UVインク以外のインクが貯留されていてもよい。ガイド部材は、遮光性を有する部材により構成されていなくてもよい。
上記した実施形態では、プリンタ10が、所謂フラットベットタイプであり、廃液機構40および廃液タンク41がプリンタ10の内部に配置されていたが、これには限定されない。図13は、所謂Roll-to-Rollタイプのプリンタ60である。プリンタ60は、被印刷物として、ロール状のメディアを搬送する。廃液機構40および廃液タンク41は、プリンタ60のケーシングの外部に配置されている。プリンタ60では、廃液タンク41を設置する際に、廃液タンク41を前方から後方に向かって移動させる。ここでは、前方から後方に向かう方向がプリンタ60の内側に向かう方向であり、第1方向に対応する。後方から前方に向かう方向がプリンタ60の外側に向かう方向であり、第2方向に対応する。
プリンタ10は独立したプリンタとして単独で使用されるものに限定されず、他の装置と組み合わせたものであってもよい。例えば、プリンタ10は被印刷物25aをカットするカッティングヘッドを備えていてもよい。
また、上記した実施形態では、インクジェットプリンタを例に挙げて説明したが、廃液機構40は、インクジェットプリンタ以外にも、例えば、インクジェット方式を採用する種々の製造装置、電子デバイスの製造装置、三次元造形装置(所謂、3Dプリンタ)、計測機器、薬剤吸入器等、広範囲に適用可能である。
例えば、上記した実施形態では、廃液タンク41に回収される液体が、インクヘッド22から排出された廃インクを含む廃液であったが、これには限定されない。廃液タンク41に回収される液体は、例えばインクヘッド22のノズル22a等を洗浄するための洗浄液や、機能性有機物溶液、薬剤、樹脂液等、インク以外の液体であってもよい。