JP2021029413A - 帽子枠及び帽子に刺繍する方法 - Google Patents

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Suhei Nagamura
崇平 長村
保彦 川口
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保彦 川口
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Michihiro Iida
充弘 飯田
和輝 竹内
Kazuki Takeuchi
和輝 竹内
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Abstract

【課題】帽子枠によって保持された帽子のクラウンに刺繍可能な領域を従来に比べ広げることが可能な帽子枠及び帽子に刺繍する方法を提供すること。【解決手段】帽子枠5は、本体部材8、装着部88、押え部材7を備える。本体部材8は、アーチ状に湾曲した周方向に延びる湾曲面81を有する。押え部材7は、本体部材8に取り付けられた場合に、湾曲面81に沿って弾性変形し、湾曲面81との間に配置された帽子を湾曲面81側に押圧する押圧部72を有する。押圧部72は、押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合に、本体部材8の湾曲面81と対向して配置される対向部73と、対向部73の内の、装着部88から湾曲面81に向かう取り外し方向Rの端部から本体部材8側に突出し、本体部材8の湾曲面81の内の取り外し方向Rの端部と対向する、周方向に沿って列設された複数の爪部74とを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、帽子等の被縫製物を保持可能であり、刺繍ミシンに取り付けて使用される帽子枠及び帽子に刺繍する方法に関する。
従来、刺繍ミシンに取り付け可能な帽子枠が知られている。帽子枠は、鍔部と、クラウンとを備える野球帽等の帽子を保持可能である。帽子枠は、本体部材及び押え部材を有する。本体部材は筒状である。押え部材は、可撓性を有する材料により、本体部材の周方向に沿った枠状に形成される。押え部材は、押え部材の開口に帽子の鍔部を挿入した状態で、鍔部とクラウンとの境界付近において、クラウンに沿ってアーチ状に変形した状態で本体部材に固定される。詳細には、押え部材の長手方向の一端部は、本体部材にネジで固定される。押え部材の長手方向の他端部は、押え位置と、開放位置とに変更できる。押え位置は、押え部材の他端部が本体部材と係合し、押え部材と、本体部材とで帽子を保持可能な位置である。開放位置は、押え部材の他端部と本体部材との係合が解除された位置である。ユーザは帽子を帽子枠に装着する場合、押え部材の他端部を開放位置に配置した状態で、本体部材に帽子を配置する。ユーザは、押え部材の開口に鍔部を挿入し、押え部材の一端部から他端部の順に押え部材を帽子に当接させる。ユーザは、押え部材の他端部を押え位置に配置し、押え部材の他端部と本体部材とを係合させる。
特開2011−132638号公報
上記従来の帽子枠において、帽子枠によって保持された帽子のクラウンに刺繍可能な領域を広げたいという要望がある。
本発明は、帽子枠によって保持された帽子のクラウンに刺繍可能な領域を従来に比べ広げることが可能な帽子枠及び帽子に刺繍する方法を提供することである。
本発明の第一態様に係る帽子枠は、アーチ状に湾曲した周方向に延びる湾曲面を有する本体部材と、前記本体部材と連結され、刺繍ミシンが有する移動機構に取り外し可能に装着される装着部と、前記本体部材に取り付けられた場合に、前記湾曲面に沿って弾性変形し、前記湾曲面との間に配置された帽子を前記湾曲面側に押圧する押圧部を有する押え部材であって、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた場合に、前記本体部材の前記湾曲面と対向して配置される対向部と、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態において、前記対向部の内の、前記装着部から前記湾曲面に向かう取り外し方向の端部から前記本体部材側に突出し、前記本体部材の前記湾曲面の内の前記取り外し方向の端部と対向する、前記周方向に沿って列設された複数の爪部とを有する前記押圧部を有する押え部材とを備える。
第一態様の帽子枠によれば、帽子のクラウンと、鍔部との境界を、取り外し方向における対向部の端部に設けられた複数の爪部と本体部材とにより、挟持させることができる。帽子枠は複数の爪部を対向部の取り外し方向の端部に配置した状態で、複数の爪部をクラウンと鍔部との境界に当接させ、鍔部と当接する湾曲面と、押圧部との間に配置された帽子を湾曲面側に押圧して帽子を帽子枠に保持できる。故に該帽子枠は、帽子を挟持した帽子枠がミシンに装着された状態において、帽子を挟持する本体部材の湾曲面と押え部材の押圧部との内、クラウンと鍔部との境界よりもクラウン側に配置される部分を従来に比べ少なくできる。故に、帽子枠によって保持された帽子のクラウンに刺繍可能な領域を従来に比べ、取り外し方向とは反対側に広げることができる。
本発明の第二態様に係る帽子に刺繍する方法は、第一態様の帽子枠と、前記帽子枠を装着可能な刺繍ミシンとを使用して、クラウンと、鍔部とを有する帽子に刺繍する方法であって、前記爪部を前記対向部の前記取り外し方向の前記端部に配置した状態で、前記爪部を前記クラウンと前記鍔部との境界に当接させ、前記鍔部と当接する前記湾曲面と、前記押圧部との間に配置された前記帽子を前記湾曲面側に押圧して前記帽子を前記帽子枠に保持させる挟持工程と、前記帽子枠を前記刺繍ミシンに装着する装着工程と、前記刺繍ミシンを駆動し、前記刺繍ミシンに装着された前記帽子枠を所定の二方向に移動させて、前記帽子枠に保持された前記帽子の前記クラウンと前記鍔部との境界よりも前記クラウン側に刺繍模様を縫製する刺繍工程とを備える。
第二態様の帽子に刺繍する方法によれば、複数の爪部を対向部の取り外し方向の端部に配置した状態で、複数の爪部をクラウンと鍔部との境界に当接させ、鍔部と当接する湾曲面と、押圧部との間に配置された帽子を湾曲面側に押圧して帽子を帽子枠に保持できる。故に該帽子に刺繍する方法は、帽子を挟持した帽子枠がミシンに装着された状態において、帽子を挟持する本体部材の湾曲面と押え部材の押圧部との内、クラウンと鍔部との境界よりもクラウン側に配置される部分を従来に比べ少なくでき、帽子枠によって保持された帽子のクラウンに刺繍可能な領域を従来に比べ取り外し方向とは反対側に広げることができる。
帽子Cを保持した帽子枠5が移動機構20に装着されたミシン1の斜視図である。 帽子Cを保持した帽子枠5が移動機構20に装着されたミシン1の右側面図である。 (A)はフレーム装置6の前方に帽子枠5を配置した状態の斜視図であり、(A)はフレーム装置6に帽子枠5を取り付けた状態の斜視図である。 (A)はフレーム装置6の前方に帽子枠5を配置した状態の右側面図であり、(A)はフレーム装置6に帽子枠5を取り付けた状態の右側面図である。 (A)はフレーム装置6に帽子枠5を取り付けた状態の正面図であり、(B)は、図5(A)のA−A線における矢視方向部分断面図である。 帽子枠5の本体部材8の斜視図である。 帽子枠5の本体部材8の背面図である。 (A)は係合位置に配置された被係合部91、92及び切替部材89の正面図であり、(B)は解除位置に配置された被係合部91、92及び切替部材89の正面図である。 本体部材8に対して押え部材7が上方に配置された状態の帽子枠5の正面図である。 図9のB−B線における押え部材7の矢視方向断面図と、仮想軸Jの延設方向に対する第一面731の角度K7、第二面732の角度K8、傾斜面743の角度K9を説明するための爪部740を含む断面図である。 押え部材7の背面側の斜視図である。 押え部材7の平面図である。 帽子枠5とミシン1とを用いて帽子Cに刺繍する方法のフローチャートである。 (A)から(C)は各々帽子枠5に帽子Cを保持させる工程の説明図(正面図)である。 (A)から(C)は各々帽子枠5に帽子Cを保持させる工程の説明図(右側面図)である。 帽子枠5に保持された帽子Cにカバー30を取り付ける工程の説明図(正面図)である。 第二実施形態の帽子枠9の正面図である。 第二実施形態の帽子枠9の左側面図である。
以下、図面を参照して、本開示の第一、第二実施形態を順に説明する。図1及び図2を参照して、第一実施形態の帽子枠5、及び第二実施形態の帽子枠9の各々を取り外し可能に装着する多針ミシン(以下、単にミシンという)1の物理的構成について、第一実施形態の帽子枠5が装着された場合を例に説明する。以下の説明では、図1の上側、下側、左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側を各々、ミシン1及び帽子枠5の上側、下側、前側、後ろ側、左側、右側とする。
図1及び図2に示すように、ミシン1は、10本の針棒22を有する刺繍ミシンである。ミシン1は、支持部2と、脚柱部3と、アーム部4とを備える。支持部2は、ミシン1全体を支持する平面視U字状である。脚柱部3は、支持部2の後端部から上方へ立設される。アーム部4は、脚柱部3の上端部から前方に延びる。アーム部4の先端には、針棒ケース21が左右方向に移動可能に装着される。針棒ケース21の内部には、上下方向に伸びる10本の針棒22と、押え棒(図示略)が左右方向に等間隔で配置される。針棒22は、針棒22の下端に、縫針23を装着可能である。押え足24は、押え棒の下端に装着され、押え棒と共に、押え足24が被縫製物を押える下降位置と、下降位置から上方に退避した(被縫製物から離れた)上昇位置との間で移動できる。被縫製物は、例えば、クラウンC1と鍔部C2とを有する帽子Cである。
図1に示すように、アーム部4には、スイッチ14を備える操作部11が設けられる。スイッチ14は、縫製の開始又は停止を指示する際に使用される。アーム部4の下方には、脚柱部3の下端部から前方へ延びる筒状のシリンダベッド10が設けられる。シリンダベッド10の上面には針板16が設けられ、シリンダベッド10の内部には、下糸(図示略)が巻回されたボビン(図示略)を収納する釜(図示略)が設けられる。針板16は縫針23を挿通する針穴を有する。アーム部4の下方には更に、移動機構20が設けられる。移動機構20は、ホルダ25、Yモータ(図示略)、Yキャリッジ26、Xモータ(図示略)及びXキャリッジ(図示略)を備える。ホルダ25は、フレーム装置6を介して、帽子枠5を取り外し可能に装着できる。帽子枠5は、帽子Cを取り外し可能に保持する。移動機構20は、ホルダ25に装着された帽子枠5を、固有のXY座標系(刺繍座標系)で示される位置に移動可能である。具体的には、Xキャリッジは、ホルダ25と連結する。Yキャリッジ26は、XキャリッジをX方向(左右方向)に移動可能に支持する。移動機構20はYモータを駆動源として、Yキャリッジ26をY方向(前後方向)に移動する。移動機構20はXモータを駆動源として、XキャリッジをX方向に移動する。アーム部4の上面の背面側には、左右一対の糸駒台12が設けられる。上糸15は、糸駒台12に設置された糸駒13から供給され、針棒22の下端に装着された各縫針23の目孔(図示略)に供給される。
図3から図5を参照して、第一実施形態の帽子枠5を取り外し可能に装着するフレーム装置6を説明する。フレーム装置6は、可動部材61、本体フレーム62、ローラ65から67、回転フレーム63、回転機構64、ネジ68、69を備える。可動部材61は、左右方向に長い金属製(例えば、アルミニウム合金)の矩形板状である。本体フレーム62は、可動部材61の下方に設けられた、左右方向及び上下方向に延びる、金属製(例えば、アルミニウム合金)の板状の部材である。本体フレーム62は、前後方向に貫通する孔621を備える。ローラ65から67は、樹脂製(例えば、アセタール樹脂(POM))であり、本体フレーム62の前面に前後方向を軸方向として支持される。回転フレーム63は、金属製(例えば、アルミニウム合金)の円筒状の部材であり、外周部に、案内溝54、連結金具51から53、ローラ溝57を備える。案内溝54は、回転フレーム63の外周に設けられた環状の溝である。連結金具51から53は各々、回転フレーム63の前端側部分に装着される帽子枠5の係合部881から883(後述)に係合可能であり、帽子枠5を回転フレーム63に取り外し可能に連結する。ローラ溝57は、ローラ65から67と各々係合する環状の溝である。回転フレーム63は、ローラ65から67の各々と外接し、ローラ65から67により前後方向に延びる仮想軸Jを中心に回転可能に支持される。回転フレーム63の直径は、可動部材61の左右方向の長さよりも短い。フレーム装置6がミシン1に装着される場合、ミシン1のシリンダベッド10は本体フレーム62の孔621、回転フレーム63に挿通される。
回転機構64は、紐状のワイヤ59を備え、ホルダ25の左右方向の移動をワイヤ59を介して回転フレーム63の仮想軸J周りの回転に変換する。ワイヤ59は、回転フレーム63の案内溝54に巻き付けられる。ワイヤ59の両端591、592は、可動部材61の左右両端部に各々連結される。ホルダ25が左右方向に移動駆動されると、可動部材61はホルダ25と一体的に且つ本体フレーム62と回転フレーム63とに対して相対的に左右方向に移動する。このとき、可動部材61に両端591、592が連結されたワイヤ59も左右方向に移動するため、回転フレーム63が仮想軸Jを中心に所定角度回転する。ネジ68、69は、可動部材61とホルダ25とに下側から締結され、フレーム装置6を移動機構20のホルダ25に取り外し可能に固定する。
図3から図12を参照して、第一実施形態の帽子枠5について説明をする。以下の説明において、帽子枠5をフレーム装置6を介してミシン1に装着する場合のミシン1に対する帽子枠5の移動方向を装着方向M(後方)と言い、ミシン1から帽子枠5を取り外す場合のミシン1に対する帽子枠5の移動方向を取り外し方向R(前方)と言う。取り外し方向Rは、後述の本体部材8の装着部88から湾曲面81に向かう方向である。装着方向Mは、取り外し方向Rとは反対方向であり、本体部材8の湾曲面81から装着部88に向かう方向である。つまり本例では、ミシン1に対する帽子枠5の着脱方向は、前後方向である。帽子枠5は、帽子枠5により保持された帽子CのクラウンC1の内、ミシン1により縫製可能な領域である縫製領域を枠で囲わない、いわゆるノンフレーム型の帽子枠である。帽子枠5は、押え部材7と、本体部材8とを備え、押え部材7と、本体部材8とで、クラウンC1と鍔部C2とを有する帽子CのクラウンC1と鍔部C2との境界C3(図15参照)を挟持可能である。本例の帽子枠5は、帽子枠5がフレーム装置6に取り付けられた場合の仮想軸Jを通る前後上下方向に延びる面E(図9参照)について概ね左右対称の形状を有する。故に、以下の説明において、帽子枠5の内、左右対称の形状を有する部分については、帽子枠5の左右方向の一方側部分を詳細に説明し、他方側部分の説明は簡略化する。
図3から図8に示すように、本体部材8は、金属製板(例えば、冷間圧延鋼板(SPCC))を加工して形成された湾曲面81、82、鍔部85、及び装着部88を備える。本体部材8は更に、筐体86、被係合部91、92、案内部93、94、切替部材89、受け枠87を備える。湾曲面81、82は、アーチ状に湾曲した周方向Dに延びる。湾曲面81、82の正面形状は、仮想軸Jを中心とする仮想的な円Kの円弧と一致する。湾曲面81から装着部88に向かう装着方向M及び湾曲面81の凸方向Pの各々に直交する幅方向Wにおける湾曲面81の両端の長さの最大値L1は、帽子CのクラウンC1の直径(例えば、16から20cm)よりも小さいことが好ましく、具体的には最大値L1は13cm以下であることが好ましい。本例の最大値L1は、上下方向の位置が仮想軸Jに対応する位置における、湾曲面81の左右方向の両端の長さである。つまり、本例の最大値L1は、湾曲面81の正面形状に対応する円Kの直径である。
湾曲面81は、凹部83、811、812及び複数の爪部84を備える。凹部83は、湾曲面81の周方向Dの中心80を含む部分に設けられた、湾曲面81の取り外し方向Rの端部(前端部)から装着方向M側に切り欠かれた部分である。凹部811、812は各々、湾曲面81の周方向Dの両端部に設けられた、取り外し方向Rの端部から装着方向M側に切り欠かれた部分である。前後方向において凹部83の後端は、凹部811、812の後端よりも後方に位置する。周方向Dにおいて、湾曲面81の延設範囲の内の、凹部83と凹部811との間の領域の延設範囲は、凹部811の延設範囲よりも大きい。湾曲面81の延設範囲の内の、凹部83と凹部812との間の領域の延設範囲は、凹部812の延設範囲よりも大きい。凹部811、812の延設範囲は各々、凹部83の延設範囲よりも大きい。帽子枠5がフレーム装置6を介してミシン1に取り付けられた場合、周方向Dにおいて、湾曲面81の延設範囲の内の、凹部811と、凹部812との間の領域に対応する位置に、縫製領域が設定される。湾曲面81の複数の爪部84は、湾曲面81の取り外し方向Rの端部の内、凹部83、811、812が設けられた部分以外の部分に設けられた、湾曲面81の径方向に向けて折り曲げられた鉤状の部分である。湾曲面81の径方向とは、湾曲面81の仮想軸Jから湾曲面81側に放射状の延びる方向である。図4に示すように、複数の爪部84の各々の周方向Dの長さG1は、複数の爪部84の内の、隣合う2つの爪部84の間隔G2よりも短い。
湾曲面82の前端は、前後方向において、湾曲面81の凹部83の後端と略一致し、凹部811、812の後端よりも後方に位置する。湾曲面82の内周は、湾曲面81の後端部の外周と当接する。湾曲面82は、標識821、凹部822、823を備える。標識821は、湾曲面82の周方向Dの中心に描画された、帽子枠5に対する帽子Cの位置合わせの基準として使用される印である。標識821は、湾曲面82の周方向Dの中心上に配置された、円及び直線を組み合わせた図形である。凹部822、823は各々、上下方向において湾曲面81の凹部811、812に対応する位置に設けられた、湾曲面82の取り外し方向Rの端部から装着方向M側に切り欠かれた部分である。図6に示すように、凹部822、823の前後方向の切り欠き量G4は各々、凹部811、812の前後方向の切り欠き量G3よりも大きい。
図4、図6及び図7に示すように、装着部88は湾曲面82の後方に設けられた筒状の部位である。装着部88の背面形状を表す円の中心は、仮想軸Jと一致する。装着部88は係合部881から883を備える。係合部881から883は各々、フレーム装置6の連結金具51から53と係合可能な矩形状の貫通孔である。鍔部85は、湾曲面82と装着部88との前後方向の境界に設けられた、湾曲面82から径方向に突出した鍔状の部分である。鍔部85は、標識821に対応する位置に標識851を備える。標識851は、標識821と同様に、帽子枠5に対する帽子Cの位置合わせの基準として使用される印であり、鍔部85の外周から仮想軸J側(下方)に延びる正面視V字状の切り欠きである。図7に示すように、鍔部85の下部は、ネジ853から855により筐体86に固定される。帽子枠5がフレーム装置6を介してミシン1に装着される場合、ミシン1のシリンダベッド10は装着部88に挿通される。
図5及び図8に示すように、筐体86は、正面視逆台形状の箱状である。筐体86は、湾曲面81、82の下方に設けられる。筐体86は、板部材861、収容部863、及び当接部865を備える。板部材861は、正面視円状の貫通孔862を有する板である。図8では板部材861の図示を省略している。収容部863は、前方が開放する箱状の部材である。図5に示すように、板部材861は、貫通孔862に後述の切替部材89の操作部891を挿通した状態で、ネジ866から869により収容部863に固定される。当接部865は、収容部863の底面864の内の、左右方向の中央よりもやや右側に設けられた底面864から上方に突出する部位である。
図8に示すように、被係合部91、92は、筐体86の内部に収容され、後述の係合部78、79と係合可能である。被係合部91、92は各々、押圧部72が湾曲面81に沿って配置された状態で対応する係合部78、79と係合した場合に、案内方向F1、F2における押え部材7と本体部材8との相対移動を規制して、押え部材7を本体部材8に沿って取り付ける。被係合部91、92は各々、対応する係合部78、79との係合が解除された場合に、案内方向F1、F2における押え部材7と本体部材8との相対移動を許容する。被係合部91、92は各々、仮想軸Jを通る面E(図9参照)について左右対称の形状を有する。被係合部91は正面視右上方向から左下方向に延びる長辺部911と、長辺部911の上端から右下方向に延びる短辺部912を備える逆L字状の板部材である。長辺部911は右下方が開放するU字状の断面形状を有し、長辺部911の下端部はラチェット爪913として機能する。被係合部91は、前後方向に延びる金属製(例えば、硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材の内のJIS規格のSUM23)の軸914により回転可能に筐体86に支持される。被係合部91は、短辺部912の前面の右端に前方に突出する凸部915を備える。
被係合部91と同様に、被係合部92は、長辺部921と、短辺部922とを備える板部材である。長辺部921は左下方が開放するU字状の断面形状を有し、長辺部921の下端はラチェット爪923として機能する。被係合部92は、前後方向に延びる軸924により回転可能に筐体86に支持される。被係合部92は、短辺部922の前面の左端に前方に突出する凸部925を備える。被係合部91、92は各々、押え部材7と本体部材8との相対位置が互いに異なる複数の位置の各々で、対応する係合部78、79と係合可能である。
案内部93は、筐体86の左部に設けられ、案内部94は、筐体86の右部に設けられる。案内部93は、対応する係合部78の移動可能方向を被係合部91に向かう案内方向F1(下やや右方)に規定する。案内部94は、対応する係合部79の移動可能方向を被係合部92に向かう案内方向F2(下やや左方)に規定する。案内部93は、案内方向F1に延びる壁部931、932、933、935、スリット936を備える。壁部933は筐体86の左壁部である。壁部931、932は各々、上下方向に離れて、壁部933の右方に壁部933と略平行に配置される。壁部935は、案内部93の背面をなす。スリット936は、案内部93の前部に設けられた、案内方向F1に延びる前方に開放する部分である。被係合部91のラチェット爪913は、上下方向において壁部931、932の間に配置される。壁部931は、壁部932の上方に位置する。
同様に案内部94は、案内方向F2に延びる壁部941、942、943、945、スリット946を備える。壁部943は筐体86の右壁部である。壁部941、942は各々、上下方向に離れて、壁部943の左方に壁部943と略平行に配置される。壁部941は、壁部942の上方に位置する。被係合部92のラチェット爪923は、上下方向において壁部941、942の間に配置される。壁部945は、案内部94の背面をなす。スリット946は、案内部94の前部に設けられた、案内方向F2に延びる前方に開放する部分である。湾曲面81から装着部88に向かう装着方向M(後方)及び湾曲面81の凸方向P(上方)の各々に直交する幅方向W(左右方向)の案内部93、94間の距離は、凸方向Pとは反対方向(下方)側程、凸方向P側よりも短くなる。例えば、壁部932、942の左右方向の距離の最大値L2は、壁部932、942よりも上方に配置された壁部931、941の左右方向の距離の最小値L3よりも短い。
図5及び図8に示すように、切替部材89は、被係合部91、92の各々が対応する係合部78、79と係合可能な係合位置(図8(A))と、被係合部91、92の各々が対応する係合部78、79と係合不能な解除位置(図8(B))とに、被係合部91、92の各々の位置を切り替え可能である。本例の切替部材89は操作部891、偏心カム894、及び付勢部材895を備える。操作部891は筐体86の板部材861よりも前方に突出して配置され、前後方向に延びる軸Qを中心に回転可能に設けられた円盤状のダイヤルであり、摘み部892と、突起893とを備える。摘み部892は、操作部891の前面に設けられた、前方に突出する板状部位である。突起893は、軸Qから操作部891の外周に向かう径方向に突出する。偏心カム894及び付勢部材895は、筐体86に収容される。偏心カム894は、操作部891よりも後方において、操作部891と同一の軸Qに固定され、操作部891と一体的に回転する。偏心カム894の外周の一部は、操作部891の外周よりも軸Qに関する径方向にある。付勢部材895は、左端が被係合部91のL字状の角部に固定され、右端が被係合部92のL字状の角部に固定された引張コイルバネである。
切替部材89は、ユーザによる操作部891の操作に応じて、被係合部91、92の各々を係合位置(図8(A))と、解除位置(図8(B))とに切り替え可能である。以下、切替部材89を正面からみた場合の切替部材89の動作を説明する。操作部891は、係合位置に対応する図8(A)に示す位置と、解除位置に対応する図8(B)に示す位置との間の可動範囲内で軸Qを中心に回転可能である。操作部891が、図8(A)に示す位置にある時、偏心カム894は筐体86の当接部865に右側から当接し、操作部891は、当接部865により時計回りの回転が規制される。偏心カム894は、被係合部91、92の各々と離れる。故に、操作部891は、被係合部91、92から力を受けない。操作部891が図8(A)に示す位置から、反時計回りに回転されると、操作部891の位置に応じて偏心カム894の外周が被係合部91の凸部915及び被係合部92の凸部925の各々と当接する。
操作部891が反時計回りに更に回転されると、偏心カム894は凸部915、凸部925の各々を上方に押し上げる。被係合部91は、付勢部材895の付勢力に抗して軸914を中心に反時計回りに回転し、被係合部91の下端部のラチェット爪913は係合位置におけるラチェット爪913に対し右下に配置される。被係合部92は、付勢部材895の付勢力に抗して軸924を中心に時計回りに回転し、被係合部92の下端部のラチェット爪923は係合位置におけるラチェット爪923に対し左下に配置される。操作部891が反時計回りに更に回転されると、図8(B)に示すように操作部891の突起893が筐体86の当接部865に左側から当接し、操作部891は、当接部865により反時計回りに回転するのが規制される。操作部891が図8(B)に示す位置にある時、操作部891は被係合部91、92の各々から下方に向かう力を受ける。ユーザによる操作部891の操作が終了した場合にも、操作部891は、軸Qを中心に回転せず、図8(B)に示す位置で停止する。被係合部91、92が解除位置にある時、被係合部91、92は各々、対応する係合部78、79と離れ、係合できない。故に、係合部78、79は各々、案内方向F1、F2とは反対側に移動可能となる。切替部材89が、被係合部91、92の各々を解除位置から係合位置に切り替える場合の動作は、上記の動作と逆の動作であるので、説明を省略する。
図5から図9に示すように、受け枠87は、水平方向に延びる矩形状の板である。受け枠87は、押え部材7と、本体部材8とにより挟持される帽子CのクラウンC1をクリップK1、K2(図16参照)で本体部材8に固定する場合に使用される。受け枠87は、左右方向において湾曲面81、82の左右下端の間、且つ、上下方向において、仮想軸Jの下方に設けられる。受け枠87は、本体部870、固定部878を備える。本体部870は固定部878に、前後方向の位置を調整可能に固定される。具体的には本体部860は、前後方向に延びる長孔871、872、固定部875、876、折曲部877を備え、長孔871、872に挿通されるネジ873、874により、前後方向の位置を変更可能に固定部878に固定される。固定部875は、本体部870の左端が下方に鉤状に折り曲げられた部位であり、固定部876は、本体部870の右端が下方に鉤状に折り曲げられた部位である。ユーザは、例えば、帽子枠5に保持された帽子CのクラウンC1を周方向Dに展張した状態とするために、クラウンC1の押圧部72の周方向Dの両端部に対応する位置をクリップK1、K2で固定部875、876に固定する。折曲部877は、本体部870の前端の左右方向の中央部に設けられた下方に折り曲げられた部位である。ユーザは、例えば、折曲部877を摘まんで、クラウンC1の前後方向の長さに応じて、図6の実線で示す位置と、図6の二点鎖線で示す位置との間で、受け枠87の前後方向の位置を調整できる。
図9から図12に示すように、押え部材7は、本体部材8に取り付けられた場合に、本体部材8との間で帽子Cを挟持可能に構成される。押え部材7は変形可能、且つ、本体部材8に対して着脱可能な部材であるため、以下では押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合を基準に、押え部材7の構成を説明する。押え部材7は、押圧部72、係合部78、79、回転軸76、77を備える。押圧部72は、弾性体(例えば、ポリアミド樹脂(PA))で形成され、押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合に、湾曲面81に沿って弾性変形し、湾曲面81との間に配置された帽子Cを湾曲面81側に押圧する。押圧部72は、対向部73、複数の爪部74、支持部721、722を備える。対向部73は、本体部材8の湾曲面81と対向して配置される。対向部73の周方向Dの中心70は、押え部材7の周方向Dの中心及び押圧部72の周方向Dの中心でもある。対向部73は、第一面731、第二面732、標識733、複数のリブ734を有する。
第一面731は、対向部73が有する面の内の、本体部材8と対向する側の面であり、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する。第二面732は、対向部73が有する面の内の、本体部材8と対向する側とは反対側の面であり、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する。つまり、第一面731、第二面732は各々、前方ほど、後方に比べ仮想軸Jからの距離が小さいテーパー状である。本例の第一面731は、第二面732と略平行である。標識733は、対向部73の周方向Dの中心70上に配置された前後方向に延びる凸部である。複数のリブ734は各々、第一面731と、爪部74(741)とに連結する板状である。押え部材7は周方向Dに略等間隔で配置された4つのリブ734を備える。各リブ734は、本体部材8と対向する側に、傾斜面735を有する。傾斜面735は、第一面731、第二面732と同様に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する。
図10及び図11に示すように、本例の対向部73は、本体部材8と対向する側の周方向Dの中心70を含む領域に、本体部材8側に突出する突出部75を有する。突出部75における第一面731も、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する。対向部73は突出部75の第一面731に緩衝材751を備える。緩衝材751は、例えば、帽子Cの鍔部C2に傷をつけるのを防止するために設けられた所定の厚みを有するスポンジ、ゴムシート、樹脂シート等である。緩衝材751の厚み(径方向の長さ)は、対向部73の厚み(径方向の長さ)よりも小さい。
複数の爪部74は、対向部73の第一面731の前端部から、本体部材8の湾曲面81側に突出する。複数の爪部74は、本体部材8の湾曲面81の内の取り外し方向Rの端部(前端部)と対向する。複数の爪部74は対向部73の第二面732に周方向Dに沿って列設される。湾曲面81の内の取り外し方向Rの端部は、湾曲面81の前端を含む部分であって、湾曲面81の前後方向の中心よりも前方である。「複数の爪部74が湾曲面81の内の取り外し方向Rの端部と対向する」とは、湾曲面81の径方向において爪部74と湾曲面81の前端部とが対向する場合に加え、爪部74に対し湾曲面81が装着方向Mに配置され、爪部74と湾曲面81の前端部とが装着方向Mに対向する場合を含む。図9に示すように、複数の爪部74は、押え部材7の延設範囲を周方向Dにおいて四等分した四領域R1からR4の内の、押え部材7の周方向Dの中心70と隣接する二領域R2、R3に少なくとも設けられる。複数の爪部74は、2つの爪部740と、複数の爪部741と、複数の爪部745とを備える。2つの爪部740は、周方向Dにおいて、押え部材7の周方向Dの中心70に隣接して配置される。複数の爪部745は各々、周方向Dにおいて、押え部材7の周方向Dの両端部(領域R1、R4)に配置される。複数の爪部741は、周方向Dにおいて、2つの爪部740と、領域R1に配置された複数の爪部745との間、及び2つの爪部740と、領域R4に配置された複数の爪部745との間の各々に配置される。
複数の爪部74の内、爪部740と、爪部741とは略同じ形状であり、爪部741と、爪部745とは互いに異なる形状である。図9に示すように、複数の爪部74のうち、押圧部72の周方向Dの両端部側に位置する爪部745の突出量H2は、押圧部72の周方向Dの中心70に位置する爪部740の突出量H5、及び爪部741の突出量H1よりも大きい。隣合う爪部745の間の谷746と対向部73との距離H4は、突出部75以外の部分に対応する隣合う爪部741の間の谷742と対向部73との距離H3よりも大きい。2つの爪部740、及び複数の爪部741は各々、背面側に傾斜面743を備える。複数の爪部745は各々、背面側に傾斜面747を備える。各傾斜面743、747は、本体部材8と対向する側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する。仮想軸Jの延設方向(前後方向)に対する傾斜面743の角度K9、傾斜面747の角度は、仮想軸Jの延設方向に対する第一面731の角度K7、第二面732の角度K8よりも大きい。仮想軸Jの延設方向(前後方向)に対する傾斜面743の角度K9、傾斜面747の角度は、仮想軸Jの延設方向に対するリブ734の傾斜面735の角度と略同じである。支持部721、722は各々、複数の爪部74の左下端部、右下端部から後方に延びる筒状の部位である。
図9から図12に示すように、係合部78、79は、押圧部72の周方向Dの両端部に設けられる。係合部78は、周方向Dにおける押え部材7の延設範囲の内の領域R1に設けられ、係合部79は領域R4に設けられる。係合部78は、上下方向に長い板状の金属製(例えば、SPCC)の板部材781、783、785を有する。図9に示すように、板部材781の下端部782は正面視、右端が下方ほど左方に傾斜する台形状である。図10に示すように、板部材781の下端部782は、下方ほど上方に比べ後方に傾斜する。図10から図12に示すように、板部材783は板部材781の後方に設けられ、板部材783の右側面には、複数のラチェット歯784が列設される。複数のラチェット歯784は各々、係合部78の移動方向を案内方向F1に制限する構成を有する。具体的には、複数のラチェット歯784は各々、面788、789を備える。面788の案内方向F1に対する角の角度F5は、面788の案内方向F1に対する角の角度F6よりも小さい。面788の案内方向F1の長さは、面788の案内方向F1の長さよりも大きい。本体部材8のラチェット爪913は、押え部材7と本体部材8との相対位置に応じて複数のラチェット歯784の内の1つと係合可能である。係合部78が案内方向F1に移動する時、ラチェット爪913は係合中のラチェット歯784を容易に乗り越えて次のラチェット歯784と係合する。係合部78が案内方向F1と逆方向に移動する場合、ラチェット爪913は係合中のラチェット歯784に食い込み、乗り越えることができず、係合部78の案内方向F1と逆方向への移動が規制される。板部材785は、板部材781の左端から後方に延び、図12に示す平面視において、板部材783よりも後方において右方、前方に順に折れ曲げられた鉤状である。
同様に、係合部79は、板状の板部材791、793、795を有し、板部材793の左辺には複数のラチェット歯794が列設される。板部材791の下端部792は正面視、右端が下方ほど左方に傾斜する台形状であり、下方ほど上方に比べ後方に傾斜する。本体部材8のラチェット爪923は、押え部材7と本体部材8との相対位置に応じて複数のラチェット歯794の内の1つと係合可能である。係合部78は、前方に突出する把持部41を備える。係合部79は、前方に突出する把持部42を備える。係合部78、79が対応する被係合部91、92を係合した場合、把持部41、42は各々、正面視案内方向F1、F2に延びる。把持部41、42は、ユーザが押え部材7を本体部材8に装着する操作を行う過程で操作される。図5及び図8に示すように、押圧部72が本体部材8の湾曲面81に沿って配置された状態で、押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合、係合部78、79間の幅方向Wの距離は、凸方向Pとは反対方向側程、凸方向P側よりも短くなる。例えば、把持部41の下端部と、把持部42の下端部との距離L6は、把持部41の上端部と、把持部42の上端部との距離L5よりも短い。
回転軸76、77は、押圧部72の両端部において装着方向Mに延びる、金属製(例えば、硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材の内のJIS規格のSUM23)の軸である。回転軸76、77は各々、押圧部72よりも、取り外し方向R側(前方)に突出している。係合部78、79は各々、対向部73よりも後方において、回転軸76、77によって押圧部72に対して回転可能に支持される。具体的には、回転軸76は係合部78の板部材781、783の孔、及び支持部721に挿通される。回転軸77は係合部79の板部材791、793の孔、及び支持部722に挿通される。
図12から14を参照して、第一実施形態の帽子枠5と、帽子枠5を装着可能なミシン1とを使用して、クラウンC1と鍔部C2とを有する帽子Cに刺繍する方法について説明する。ユーザは、複数の爪部74を対向部73の取り外し方向Rの端部に配置した状態で、複数の爪部74を帽子CのクラウンC1と鍔部C2との境界C3に当接させ、鍔部C2と当接する湾曲面81と、押圧部72との間に配置された帽子Cを湾曲面81側に押圧して帽子Cを帽子枠5に保持させる(S1)。具体的には、ユーザは切替部材89の操作部891を操作し、被係合部91、92を係合位置に移動させておく。ユーザは必要に応じて本体部材8の複数の爪部84に接着芯を固定する。図14(A)及び図15(A)に示すように、ユーザは押え部材7の係合部78、79を左右方向に広げて変形させ、複数の爪部74を対向部73の取り外し方向Rの端部に配置した状態で、複数の爪部74を境界C3に当接させる。この時、複数の爪部74の内の、対向部73からの突出量が複数の爪部741よりも大きい2つの爪部740が境界C3の左右方向の中心C5を挟んで境界C3と当接し、周方向Dにおいて、帽子Cに対して押え部材7が位置決めされる。境界C3の中心C5付近において、突出部75が緩衝材751を介して、鍔部C2と当接する。ユーザは、押え部材7の周方向Dの中心70から周方向Dの端部に向かう順に、複数の爪部741、及び複数の爪部745を、帽子Cの境界C3と当接させる。
帽子枠5が、鍔部C2とクラウンC1とを有する大人用の帽子Cである場合、クラウンC1の開口が内接する円の直径は、通常、18cm程度であり、13cmよりも大きい。帽子枠5により、クラウンC1の開口付近を押え部材7と本体部材8とで挟持する場合、図14(B)及び図15(B)に示すように、クラウンC1は本体部材8の湾曲面81に沿って円状に変形された状態で保持される。押え部材7と、本体部材8とにより挟持される部分において、変形後の境界C3は、変形前の境界C3よりも小径になるように変形され、クラウンC1は、正面視上下方向に長い楕円状に変形する。ユーザは標識733を基準に、押え部材7に対する帽子Cの周方向Dの位置を合わせる。
ユーザは、帽子Cのスベリ(アセトリ)C4をクラウンC1に対して装着方向Mに引き出し、押え部材7の係合部78、79を左右方向に広げた状態で、押え部材7を本体部材8側に相対移動させ、係合部78、79を対応する案内部93、94に差し込む。把持部41、42は各々スリット936、946に差し込まれ、筐体86よりも前方に突出する。図5(B)に示すように、係合部79は、左右方向において、案内部94の壁部941から943に当接し、前後方向において、板部材861及び壁部945に当接する。このような構成により案内部94は、係合部79の移動方向を、被係合部92に向かう案内方向F2(左下方向)及び案内方向F2とは反対方向に制限する。同様に、係合部78は、左右方向において、案内部93の壁部931から933に当接し、前後方向において、板部材861及び壁部935と当接する。このような構成により案内部93は、係合部78の移動方向を、被係合部91に向かう案内方向F1(右下方向)及び案内方向F1とは反対方向に制限する。
ユーザが把持部41、42を操作して、係合部78、79の各々を本体部材8に対して案内方向F1、F2に移動させると、係合部78、79の各々は対応する案内部93、94により、対応する被係合部91、92へ案内される過程で、係合部78、79間の幅方向Wの距離が小さくなる側に回転する。係合部78は、案内部93により被係合部91へ案内される過程で、回転軸76を中心に正面視反時計回りに回転する。係合部79は、案内部94により被係合部92へ案内される過程で、回転軸77を中心に正面視時計回りに回転する。係合部78の複数のラチェット歯784の内の下端のラチェット歯784がラチェット爪913に係合すると、係合部78はラチェット爪913により上方への移動が規制され、係合部78が案内部93と当接することにより左右方向、及び前後方向の移動が規制される。故に、係合部78の複数のラチェット歯784の内の下端のラチェット歯784がラチェット爪913に係合すると、係合部78は、案内方向F1のみに移動可能な状態となる。同様に係合部79のラチェット歯794の内の下端のラチェット歯794がラチェット爪923に係合すると、係合部79はラチェット爪923により上方への移動が規制され、係合部79が案内部94と当接することにより係合部79の左右方向、及び前後方向の移動が規制される。故に係合部79の複数のラチェット歯794の内の下端のラチェット歯794がラチェット爪923に係合すると、案内方向F2のみに移動可能な状態となる。
図14(C)及び図15(C)に示すように、ユーザは、複数のラチェット歯784の内のラチェット爪913に係合するラチェット歯784、複数のラチェット歯794の内のラチェット爪923に係合するラチェット歯794を適宜変更することで、本体部材8の標識821、851と、押え部材7の標識733を基準に帽子枠5に対する帽子Cの周方向Dにおける位置合わせを行う。例えば、帽子Cの境界C3の周方向Dの中心C5及び押え部材7の周方向Dの中心70が、湾曲面81の周方向Dの中心80よりも右方にある時、ユーザは被係合部91に対し係合部78を案内方向F1に相対移動させて、帽子Cの境界C3の周方向Dの中心C5及び押え部材7の周方向Dの中心70が、湾曲面81の周方向Dの中心80と一致するように調整する。ユーザは帽子Cが帽子枠5によって、周方向Dに張られた状態で挟持されていることを確認後、図16に示すように、回転軸76、77付近のクラウンC1をクリップK1、K2を用いて受け枠87に固定する。帽子Cが帽子枠5に保持された状態では、本体部材8の爪部84は仮想軸J側から境界C3又は境界C3付近のクラウンC1と当接する。故に、帽子Cが帽子枠5に保持された状態では、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81と押え部材7の押圧部72との内、クラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側となる部位は湾曲面81の前端部に設けた爪部84のみである。つまり、帽子Cが帽子枠5に保持された状態では、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81の爪部84以外の部分と押え部材7の押圧部72とは、クラウンC1と鍔部C2との境界C3又は境界C3よりも、鍔部C2側に配置される。帽子Cが帽子枠5に保持された状態では、境界C3と爪部84との前後方向の距離は0.2から3.0(mm)程度である。
ユーザは、必要に応じて、帽子Cの鍔部C2にカバー30を取り付ける。カバー30は、鍔部C2を保護するために、帽子Cの鍔部C2に取り外し可能に装着される。カバー30は、例えば、扇状の透明樹脂製部材である。カバー30は、円弧状の内周35及び外周34を有する。カバー30は、内周35の延設方向の略中心に、外周34側に向かって凹む凹部36を有する。カバー30は、外周34付近に、取付部31から33を有する。ユーザは、カバー30を帽子Cに取り付ける時、カバー30の内周35を、鍔部C2の上方であって対向部73の下方に、後方から差し込む。この時、カバー30の凹部36は、対向部73の突出部75付近に配置される。ユーザは取付部31から33を、帽子Cの鍔部C2の外周に嵌め、カバー30を帽子Cに取り付ける。
ユーザは、帽子Cを挟持した帽子枠5をミシン1に装着する(S2)。具体的にはユーザはフレーム装置6の連結金具51から53を各々、帽子枠5の係合部881から883に係合させ、帽子Cを保持した帽子枠5を回転フレーム63に取り外し可能に連結する。ユーザは、フレーム装置6を、ネジ68、69でミシン1のホルダ25に取り付ける。図2に示す如く、帽子枠5を装着した状態では、フレーム装置6、帽子枠5、クラウンC1にミシン1のシリンダベッド10が挿通される。帽子枠5に挟持された帽子CのクラウンC1の上端は、シリンダベッド10と略平行に延びる。鍔部C2は、針棒22の後方に配置される。鍔部C2は、ミシン1と当接しない。
ユーザはスイッチ14、操作部11を操作して、ミシン1を駆動させる。ミシン1は、刺繍データに従ってミシン1に装着された帽子枠5を所定の二方向に移動させて、帽子枠5に保持された帽子CのクラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側に刺繍模様を縫製する(S3)。帽子CのクラウンC1にミシン1で刺繍する方法は公知の方法が適宜用いられれば良い。例えば、ミシン1は、帽子枠5が装着されたことを検知すると、予めミシン1に記憶されたデータに従って、帽子枠5の種類に応じた縫製領域を境界C3よりもクラウンC1側(前方)に設定する。所定の二方向は、ミシン1の移動機構20がホルダ25を移動させる方向であり、例えば、左右方向及び前後方向である。図2に示すように、本例の帽子枠5は、対向部73の第二面732が傾斜しているため、境界C3付近を縫製する場合に、針棒22、押え足24等のミシン1の部材と帽子枠5とが緩衝しない。帽子枠5は、爪部74を対向部73の取り外し方向Rの端部に配置した状態で、爪部74をクラウンC1と鍔部C2との境界C3に当接させ、鍔部C2と当接する湾曲面81と、押圧部72との間に配置された帽子Cを湾曲面81側に押圧して帽子Cを保持する。帽子枠5は、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81と押え部材7の押圧部72との内、図1、図2に示すように、帽子Cを挟持した帽子枠5がミシン1に装着された状態において、クラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側且つミシン1の針板16と針棒22の間に配置される部分を従来に比べ少なくできる。故に、帽子枠5によって保持された帽子CのクラウンC1に刺繍可能な領域を従来に比べ、取り外し方向Rとは反対の装着方向M側に広げることができる。なお、本例では、帽子Cが帽子枠5に保持された状態では、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81と押え部材7の押圧部72との内、湾曲面81の前端部に設けた爪部84が、クラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側となる。境界C3と爪部84との前後方向の距離は数(mm)程度であり、爪部84は仮想軸J側から帽子Cと接触しており、ミシン1の押え足24等の針板16よりも上方にある部材と衝突することは考慮しなくてもよい。したがって、本例の帽子枠5では、縫製領域の装着方向Mの端部は、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81と押え部材7の押圧部72との内、押圧部72の配置に基づき設定できる。ミシン1による帽子Cへの縫製が終了後、ユーザは、ミシン1から、フレーム装置6を取り外し、切替部材89の操作部891を操作することで、係合部78と、被係合部91との係合、及び係合部79と被係合部92との係合を同一操作により解除して、帽子Cを帽子枠5から取り外す。以上の工程により、帽子枠5と、帽子枠5を装着可能なミシン1とが使用され、帽子CのクラウンC1に刺繍が形成される。
図17及び図18を参照して、第二実施形態の帽子枠9を説明する。第二実施形態の帽子枠9は、第一実施形態の帽子枠5と同様に、ノンフレーム型の帽子枠である。帽子枠9は、本体部材40、装着部48、押え部材50、受け枠38、39及び鍔支持部90を備える。本体部材40は、アーチ状に湾曲した周方向Uに延びる湾曲面43を有する。湾曲面43から装着部48に向かう装着方向M及び湾曲面43の凸方向Pの各々に直交する幅方向Wにおける湾曲面43の両端の長さの最大値L7は、帽子CのクラウンC1の直径(例えば、16から20cm)よりもやや小さいが、最大値L7は13cmよりも大きい。本体部材40は、湾曲面43の前端に、仮想軸Jの径方向に突出した複数の爪部44を備える。本体部材40は、本体部材40の外周の内、左側の部分にネジ531から533と螺合するネジ孔(図示略)を備える。本体部材40は、本体部材40の外周の内、右側の部分に係止部45を備える。装着部48は、本体部材40の後方に連結された筒状の部分である。装着部48は、公知のフレーム装置(例えば、特開2011−132638号公報参照)を介して、ミシン1が有する移動機構20に取り外し可能に装着される。
押え部材50は、本体部材40に取り付けられた場合に、湾曲面43に沿って弾性変形し、湾曲面43との間に配置された帽子Cを湾曲面43側に押圧する押圧部500と、係合部504から506を有する。本例の押え部材50は、周方向Uに延びる貫通孔503を有する矩形枠状であり、矩形枠状の押え部材50の内の、前端部分が押圧部500である。押圧部500は、対向部501と、複数の爪部502とを備える。対向部501は、押え部材50が本体部材40に取り付けられた場合に、本体部材40の湾曲面43と対向して配置される。対向部501は、押え部材50が本体部材40に取り付けられた状態において、本体部材40と対向する側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材40に近づく方向に傾斜する第一面511を有する。対向部501は、本体部材40と対向する側とは反対側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材40に近づく方向に傾斜する第二面512を有する。
複数の爪部502は、押え部材50が本体部材40に取り付けられた状態において、対向部501の内の、装着部48から湾曲面43に向かう取り外し方向Rの端部(前端)から本体部材40側に突出し、本体部材40の湾曲面43の内の取り外し方向Rの端部(前端)と対向する。複数の爪部502は各々、背面側に傾斜面505を備える。各傾斜面505は、本体部材40と対向する側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材40に近づく方向に傾斜する。押え部材50が本体部材40に取り付けられた場合、本体部材40の複数の爪部44は、押え部材50の複数の爪部502よりも前方に位置する。係合部504から506は各々、押え部材50の貫通孔503の左方に設けられた、周方向Uに長い長孔である。押え部材50の左端部は、係合部504から506の各々に挿通されたネジ531から533により本体部材40に固定される。本体部材40に対する押え部材50の周方向Uの位置は、ネジ531から533に対する係合部504から506の位置により調整可能である。係合部508は、押え部材50の右端部に設けられた、本体部材40の係止部45に取り外し可能に係止されるフック部材である。鍔支持部90は、本体部材40の上端部から、後方斜め上側に傾斜状に設けられる。鍔支持部90は、帽子Cの鍔部C2の先端(後端)を挟んで固定する。受け枠38、39は、本体部材8の内周の内、上下方向の中心よりもやや上方から、前方に延び板部材である。受け枠38、39は、押え部材50と、本体部材40とにより挟持される帽子CのクラウンC1をクリップK1、K2で本体部材40に固定する場合に使用される。
第二実施形態の帽子枠9と、帽子枠9を装着可能なミシン1とを使用してクラウンC1と、鍔部C2と帽子Cに刺繍する方法は、挟持工程(S1)のみ第一実施形態の方法と異なる。このため、第二実施形態の帽子枠9と、帽子枠9を装着可能なミシン1とを使用してクラウンC1と、鍔部C2と帽子Cに刺繍する方法の内、挟持工程のみ説明し、他の工程については説明を省略する。ユーザは帽子Cを帽子枠9に装着する場合、押え部材50の押え部材50の右端部に設けられた係合部508と、本体部材40の係止部45との係合を解除した状態で、本体部材40に帽子Cを配置する。ユーザは、押え部材50の貫通孔503に鍔部C2を挿入し、押え部材50の左端部から右端部の順に押え部材50を帽子Cに当接させる。ユーザは、帽子枠9に対する帽子Cの位置を調整した上で、押え部材50の右端部に設けられた係合部508と、本体部材40の係止部45とを係合させる。ユーザは、鍔部C2の先端を鍔支持部90で挟んで固定する。ユーザは、例えば、帽子枠9に保持された帽子CのクラウンC1を周方向Uに展張した状態とするために、クラウンC1の押圧部500の周方向Uの両端部に対応する位置をクリップK1、K2で受け枠38、39に固定する。装着工程(S2)、刺繍工程(S3)については、第一実施形態の方法と同様に行われる。
上記第一実施形態の帽子枠5によれば、帽子枠5は、爪部74を対向部73の取り外し方向Rの端部に配置した状態で、爪部74をクラウンC1と鍔部C2との境界C3に当接させ、鍔部C2と当接する湾曲面81と、押圧部72との間に配置された帽子Cを湾曲面81側に押圧して帽子Cを帽子枠5に保持させる。帽子枠5に対する縫製領域は、帽子枠5が装着されるミシン1の縫針23と帽子枠5とが衝突しない領域となるように設定される。帽子枠5は、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81と押え部材7の押圧部72との内、帽子Cを挟持した帽子枠5がミシン1に装着された状態において、クラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側且つミシン1の針板16と針棒22との間に配置される部分を従来に比べ少なくできる。故に、帽子枠5によって保持された帽子CのクラウンC1に刺繍可能な領域を従来に比べ、取り外し方向Rとは反対の装着方向M側に広げることができる。第二実施形態の帽子枠9についても同様の効果が得られる。
帽子枠5の対向部73は、押え部材7が本体部材8に取り付けられた状態において、本体部材8と対向する側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する第一面731を有する。同様に、帽子枠9は第一面511を有する。帽子枠5、9は、対向部の内の本体部材と対向する面が取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8、40に近づく方向に傾斜していない構成(第一面731、511を有しない構成)に比べ、帽子Cの鍔部C2が、帽子CのクラウンC1の延設方向に対して傾斜して配置されることを許容できる。故に帽子枠5は、対向部73が第一面731を有しない構成に比べ、帽子枠5を装着したミシン1での刺繍縫製時にクラウンC1側に設定される縫製領域内の部分が鍔部C2の姿勢に応じて変形する可能性を低減できる。帽子枠9も、帽子枠5と同様の効果を奏する。
帽子枠5の対向部73は、押え部材7が本体部材8に取り付けられた状態において、本体部材8と対向する側とは反対側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する第二面を732有する。同様に、帽子枠9は第二面512を有する。帽子枠5、9は各々、対向部の内の本体部材と対向する側とは反対側の面が取り外し方向R側ほど、装着方向Mに比べ、本体部材に近づく方向に傾斜していない構成(第二面732、512を有しない構成)に比べ、帽子Cの鍔部C2が帽子CのクラウンC1に対して傾斜することを許容する。帽子枠5、9は各々、帽子Cが帽子枠5、9をミシン1に装着して使用される場合に、ミシン1が備える部位(例えば、押え足24)に帽子枠5、9が接触する可能性を低減できる。
帽子枠5の複数の爪部74(740、741)は各々、押え部材7が本体部材8に取り付けられた状態においての、本体部材8と対向する側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する傾斜面743を有し、複数の爪部74(745)は、本体部材8と対向する側に、取り外し方向R側ほど、装着方向M側に比べ、本体部材8に近づく方向に傾斜する傾斜面747を有する。帽子枠5は、クラウンC1と鍔部C2とを有する帽子Cを押え部材7と、本体部材8とで挟持した状態において、帽子Cの鍔部C2が、複数の爪部74の傾斜した傾斜面743、747に沿って、帽子CのクラウンC1に対して傾斜して配置されることを許容する。故に帽子枠5は、複数の爪部74が、傾斜面743、747を有しない場合に比べ、帽子枠5を装着したミシン1での刺繍縫製時にクラウンC1側に設定される縫製領域内の部分が鍔部C2の姿勢に応じて変形する可能性を低減できる。
帽子枠5の対向部73は、押え部材7が本体部材8に取り付けられた状態においての、本体部材8と対向する側、且つ、周方向Dの中心70を含む領域に、本体部材8側に突出する突出部75を備える。故に帽子枠5は、帽子Cの境界C3の周方向Dの中心C5付近を、突出部75により本体部材8側(下方)に押圧し、押え部材7に対する帽子Cの境界C3の周方向Dの中心C5の位置決めを容易にできる。本例の突出部75の第一面731には、緩衝材751が設けられる。このため、突出部75は、緩衝材751を介して帽子Cの鍔部C2と当接するので、鍔部C2に傷をつけにくい。
帽子枠5の押え部材7は、押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合の押圧部72の内の周方向Dの両端部に設けられた係合部78、79を備える。本体部材8は、係合部78、79と係合可能な被係合部91、92を備える。被係合部91、92は、複数の爪部74が湾曲面81に沿って配置された状態で係合部78、79と係合した場合に、押え部材7と本体部材8との相対移動を規制して、押え部材7を本体部材8に沿って取り付け、係合部78、79との係合が解除された場合に、押え部材7と本体部材8との相対移動を許容する。押え部材7が本体部材8に取り付けられた状態において、複数の爪部74は、押え部材7を周方向Dにおいて四等分した四領域R1からR4の内の、押え部材7の周方向Dの中心70と隣接する二領域R2、R3に少なくとも設けられる。上記実施形態の帽子枠5によれば帽子枠5は、周方向Dにおける、押え部材7の延設範囲に対する複数の爪部74が列設された範囲(押圧部72の延設範囲)の割合を比較的大きく(5割よりも大きく)できる。
帽子枠5は、係合部78、79、被係合部91、92及び本体部材8に設けられ、係合部78、79の各々の移動可能方向を対応する被係合部91、92に向かう案内方向F1、F2に規定する一対の案内部93、94を備える。帽子枠5によれば、押え部材7の両端部に設けた係合部78、79の各々が本体部材8に設けられた対応する被係合部91、92と係合されることで、押え部材7が本体部材8の湾曲面81に沿って取り付けられる。したがって帽子枠5によれば、押え部材の周方向の一端部が本体部材に対して固定された状態で、押え部材が本体部材に対して取り付けられる従来の装置よりも簡単な操作で、帽子枠5に対する、帽子Cの位置を合わせることができる。
帽子枠5の被係合部91、92は各々、押え部材7と本体部材8との相対位置が互いに異なる複数の位置の各々で、対応する係合部78、79と係合可能である。故に帽子枠5は、帽子枠5が保持する帽子Cの大きさ、厚み等に応じて被係合部91、92の各々と、対応する係合部78、79と係合する位置を変更できる。帽子枠5によれば、ユーザは、帽子枠5に対する帽子Cの位置に応じて、被係合部91、92の各々の、対応する係合部78、79と係合する位置を個別に調整できる。このため帽子枠5は、被係合部91、92の各々が、対応する係合部78、79と1つの位置において係合する場合に比べ、帽子枠5に対する帽子Cの位置を所望の位置に合わせる作業が容易である。
帽子枠5の案内部93は案内方向F1に延びる壁部931から933を備える。案内部94は、案内方向F2に延びる壁部941から943を備える。帽子枠5の案内部93、94は、比較的簡単な構造で、係合部78、79を対応する被係合部91、92に案内可能な構造にできる。案内部93は、係合部78と案内方向F1周りの四方から当接しつつ、係合部78の把持部41は案内部93のスリット936から前方に露出させ、ユーザによる把持部41の操作を可能とする。同様に、案内部94は、係合部79と案内方向F2周りの四方から当接しつつ、係合部79の把持部42は案内部94のスリット946から前方に露出させ、ユーザによる把持部42の操作を可能とする。故に、帽子枠5は、本体部材8に対して押え部材7を取り付ける際の押え部材7の操作性を損なうことなく、係合部78、79の移動方向を各々案内方向F1、F2に規定できる。
帽子枠5では、装着方向M及び湾曲面81の凸方向P(上方)の各々に直交する幅方向Wの案内部93、94間の距離は、凸方向Pとは反対方向側(下方)程、凸方向P(上方)側よりも短い。帽子枠5は、案内部93、94間の、幅方向Wの距離が、下方側程、上方側よりも長くなる場合に比べ、押圧部72の周方向Dの両端部を本体部材8側に押しつけることができる。故に帽子枠5の押え部材7は、本体部材8の湾曲面81に沿って取り付けられた場合に、本体部材8との間に配置された帽子Cに対し加える圧力が周方向Dにおいてばらつくことを抑制できる。
押圧部72が本体部材8の湾曲面81に沿って配置された状態で、押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合、係合部78、79間の、幅方向Wの距離は、凸方向Pとは反対方向側程、凸方向P側よりも短い。帽子枠5は、係合部78、79間の、幅方向Wの距離が、下方側程、上方側よりも長くなる場合に比べ、押圧部72の周方向Dの両端部を本体部材8側に押しつけることができる。故に帽子枠5の押え部材7は、本体部材8の湾曲面81に沿って取り付けられた場合に、本体部材8との間に配置された帽子Cに対し加える圧力が、周方向Dにおいてばらつくことを抑制できる。
帽子枠5の押え部材7は、押圧部72の両端部に、装着方向Mに延びる回転軸76、77を備える。係合部78、79は各々、回転軸76、77に回動可能に支持され、対応する案内部93、94により、対応する被係合部91、92へ案内される過程で、係合部78、79間の幅方向の距離が小さくなる側に回動する。故に帽子枠5は、係合部78、79が非弾性体で形成された場合にも、案内部93、94の形状に応じて、係合部78、79の姿勢を変更できる。帽子枠5は、押え部材7を本体部材8に取り付ける過程で、係合部78、79を回転軸76、77を中心に回動させることで、係合部78、79間の、幅方向Wの距離を、下方側程、上方側より短くでき、押圧部72の周方向Dの両端部を本体部材8側に押しつけることができる。故に帽子枠5の押え部材7は、本体部材8の湾曲面81に沿って取り付けられた場合に、本体部材8との間に配置された帽子Cに対し加える圧力が、周方向Dにおいてばらつくことを抑制できる。
帽子枠5は、複数の爪部74のうち、押圧部72の周方向Dの両端部側に位置する爪部745は、押圧部72の周方向Dの中心70側に位置する爪部74よりも本体部材8側への突出量が大きい。故に、帽子枠5は、帽子Cの境界C3を、爪部745により鍔部C2の周方向Dの両端部においてもしっかりと保持できる。本例の帽子枠5の湾曲面81は、爪部745に対応する位置に凹部811、812を備える。このため、爪部745は、境界C3を押さえることで、境界C3の周方向Dの両端部を湾曲面81よりも仮想軸J側に配置させることができる。この時、爪部745は、湾曲面81の前端部と前後方向に対向する。境界C3の周方向Dの中心C5付近にクラウンC1の縫い合わせ部分がある帽子Cを挟持する場合、当該中心C5付近は、境界C3の厚みが他の箇所よりも厚いことがある。本例の湾曲面81は、湾曲面81の周方向Dの中心80を含む領域に凹部83を備えるので、爪部740は、境界C3の中心C5付近を押さえることで、帽子Cの中心C5を湾曲面81よりも仮想軸J側に配置させることができる。この時、爪部740は、湾曲面81の前端部と前後方向に対向する。故に帽子枠5は境界C3の厚みが不均一であることに起因して、押え部材7から本体部材8側に加える圧力が不均一になることを緩和できる。
第一実施形態の帽子枠5又は第二実施形態の帽子枠9と、帽子枠5、9を装着可能なミシン1とを使用して、クラウンC1と、鍔部C2とを有する帽子Cに刺繍する方法は、挟持工程(S1)、装着工程(S2)、及び刺繍工程(S3)を備える。挟持工程は、爪部74を対向部73の取り外し方向Rの端部に配置した状態で、爪部74をクラウンC1と鍔部C2との境界C3に当接させ、鍔部C2と当接する湾曲面81と、押圧部72との間に配置された帽子Cを湾曲面81側に押圧して帽子Cを帽子枠5に保持させる。装着工程では、帽子枠5がミシン1に装着される。刺繍工程では、ミシン1が駆動され、ミシン1に装着された帽子枠5を所定の二方向に移動させて、帽子枠5に保持された帽子CのクラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側に刺繍模様を縫製する。故に、第一実施形態の帽子枠5と、帽子枠5を装着可能なミシン1とを使用して、クラウンC1と、鍔部C2とを有する帽子Cに刺繍する方法によれば、帽子CのクラウンC1と、鍔部C2との境界C3を、複数の爪部74と本体部材8とにより、鍔部C2側から挟持させることができる。第二実施形態の帽子枠9と、帽子枠9を装着可能なミシン1とを使用して、クラウンC1と、鍔部C2とを有する帽子Cに刺繍する方法によれば、帽子Cを挟持した帽子枠5がミシン1に装着された状態において、帽子Cを挟持する本体部材8の湾曲面81と押え部材7の押圧部72との内、クラウンC1と鍔部C2との境界C3よりもクラウンC1側且つミシン1の針板16と針棒22の間に配置される部分を従来に比べ少なくできる。故に、帽子枠5、9によって保持された帽子CのクラウンC1に刺繍可能な縫製領域を従来に比べ取り外し方向Rとは反対側の装着方向M側に広げることができる。
本発明の帽子枠及び帽子に刺繍をする方法は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。帽子枠5の構成、各構成要素の材料等は適宜変更してよい。帽子枠5を装着可能なミシン1の構成は適宜変更されてよい。帽子枠5は、フレーム装置6と一体に構成されてもよい。帽子枠9は、フレーム装置と一体に構成されてもよい。装着部88、48の構成は適宜変更されてよい。帽子枠5は、面Eについて略対称の形状でなくてもよい。押え部材7は押圧部72が樹脂等の弾性変形可能な材料で形成されればよい。
押え部材7の対向部73は突出部75を備えなくても良い。突出部75の形状は適宜変更されてよい。突出部75には、緩衝材751が設けられなくても良い。対向部73は第一面731、第二面732の少なくとも何れかを備えなくてもよい。複数の爪部74の少なくとも何れかは、傾斜面743、747を備えなくてもよい。
被係合部91、92は各々、押え部材7と本体部材8との相対位置が互いに異なる複数の位置の各々で、対応する係合部78、79と係合可能でなくてもよい。係合部78、79は少なくとも一方は、複数のラチェット歯でなくてもよいし、1つのラチェット歯でもよい。同様に、被係合部91、92は各々、対応する複数のラチェット歯の何れかと係合するラチェット爪でなくてもよいし、1つのラチェット歯と係合するラチェット爪でもよい。係合部78、79と、対応する被係合部91、92は各々、本体部材8に対して押え部材7を取り外し可能に装着する構成であればよく、例えば、トグルラッチ等でもよい。
帽子枠5は切替部材89を備えなくてもよい。切替部材89は、被係合部91、92の各々を係合位置と、解除位置とに、個別に切り替えてもよい。切替部材89は、ボタンを押下するか否かにより、被係合部91、92の各々を係合位置と、解除位置とに切り替えてもよい。案内部93、94の構成は適宜変更されてよい。例えば、案内部93、94の少なくとも一方は、対応する係合部78、79の板部と係合するレール等であってもよい。
帽子枠5の本体部材8の湾曲面81は、凹部83、811、812の少なくとも何れかを備えなくてもよい。本体部材8は、湾曲面81と湾曲面82とが一体に形成してもよい。本体部材8は鍔部85を備えなくてもよい。湾曲面81は取り外し方向Rの端部に爪部84を備えなくても良い。複数の爪部84の形状、配置、数は適宜変更されてよい。幅方向Wの案内部93、94間の、距離は、凸方向Pの位置によらず同じであってもよいし、凸方向Pとは反対方向(下方)側程、凸方向P側よりも長くてもよい。同様に、押圧部72が本体部材8の湾曲面81に沿って配置された状態で、押え部材7が本体部材8に取り付けられた場合、係合部78、79間の、幅方向の距離は、凸方向Pの位置によらず同じであってもよいし、凸方向Pとは反対方向側程、凸方向P側よりも長くても良い。押え部材7は、押圧部72の両端部に、装着方向Mに延びる回転軸76、77を備えなくてもよい。この場合、係合部78、79は押圧部72と同じ材料で一体に形成されてもよい。他の例では、係合部78、79は押圧部72とは異なる材料で、押圧部72に回転不能に連結されてもよい。回転軸76、77は各々、押圧部72よりも、取り外し方向R側に突出してなくてもよい。
帽子枠5において、幅方向Wにおける湾曲面81の両端の長さの最大値L1は13cmより大きくてもよい。帽子枠9において、幅方向Wにおける湾曲面43の両端の長さの最大値L2は13cm以下でもよい。帽子枠5の押圧部72は、複数の爪部74を備えなくても良い。複数の爪部74の形状、数、配置は適宜変更されてよい。例えば、複数の爪部74の対向部73からの突出量は、爪部74の周方向Dにおける配置によらず同じでもよい。
5、9:帽子枠、7、50:押え部材、8、40:本体部材、72、500:押圧部、73、501:対向部、74、502、740、741、745:爪部、75:突出部、76、77:回転軸、78、79:係合部、43、81、82:湾曲面、91、92:被係合部、93、94:案内部、511、731:第一面、512、732:第二面、505、743:傾斜面、931から933、935、941から943、945:壁部

Claims (14)

  1. アーチ状に湾曲した周方向に延びる湾曲面を有する本体部材と、
    前記本体部材と連結され、刺繍ミシンが有する移動機構に取り外し可能に装着される装着部と、
    前記本体部材に取り付けられた場合に、前記湾曲面に沿って弾性変形し、前記湾曲面との間に配置された帽子を前記湾曲面側に押圧する押圧部を有する押え部材であって、
    前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた場合に、前記本体部材の前記湾曲面と対向して配置される対向部と、
    前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態において、前記対向部の内の、前記装着部から前記湾曲面に向かう取り外し方向の端部から前記本体部材側に突出し、前記本体部材の前記湾曲面の内の前記取り外し方向の端部と対向する、前記周方向に沿って列設された複数の爪部とを有する前記押圧部を有する押え部材と
    を備えることを特徴とする帽子枠。
  2. 前記対向部は、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態において、前記本体部材と対向する側に、前記取り外し方向側ほど、前記取り外し方向とは反対の装着方向側に比べ、前記本体部材に近づく方向に傾斜する第一面を有することを特徴とする請求項1に記載の帽子枠。
  3. 前記対向部は、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態において、前記本体部材と対向する側とは反対側に、前記取り外し方向側ほど、前記取り外し方向とは反対の装着方向側に比べ、前記本体部材に近づく方向に傾斜する第二面を有することを特徴とする請求項2に記載の帽子枠。
  4. 前記複数の爪部は各々、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態においての、前記本体部材と対向する側に、前記取り外し方向側ほど、前記取り外し方向とは反対の装着方向側に比べ、前記本体部材に近づく方向に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の帽子枠。
  5. 前記対向部は、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態においての、前記本体部材と対向する側、且つ、前記周方向の中心を含む領域に、前記本体部材側に突出する突出部を備えることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の帽子枠。
  6. 前記押え部材は、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた場合の前記押圧部の内の前記周方向の両端部に設けられた一対の係合部を更に備え、
    前記本体部材は、前記一対の係合部と係合可能な一対の被係合部であって、前記複数の爪部が前記湾曲面に沿って配置された状態で前記一対の係合部と係合した場合に、前記押え部材と前記本体部材との相対移動を規制して、前記押え部材を前記本体部材に沿って取り付け、前記一対の係合部との係合が解除された場合に、前記押え部材と前記本体部材との相対移動を許容する一対の被係合部を更に備え、
    前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた状態において、前記複数の爪部は、前記押え部材を前記周方向において四等分した四領域の内の、前記押え部材の前記周方向の中心と隣接する二領域に少なくとも設けられることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の帽子枠。
  7. 前記押え部材は、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた場合の前記押圧部の内の前記周方向の両端部に設けられた一対の係合部を更に備え、
    前記本体部材は、前記一対の係合部と係合可能な一対の被係合部であって、前記複数の爪部が前記湾曲面に沿って配置された状態で前記一対の係合部と係合した場合に、前記押え部材と前記本体部材との相対移動を規制して、前記押え部材を前記本体部材に沿って取り付け、前記一対の係合部との係合が解除された場合に、前記押え部材と前記本体部材との相対移動を許容する一対の被係合部を更に備え、
    前記本体部材に設けられ、前記一対の係合部の各々の移動可能方向を対応する前記被係合部に向かう案内方向に規定する一対の案内部と
    を更に備えることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の帽子枠。
  8. 前記一対の被係合部は各々、前記押え部材と前記本体部材との相対位置が互いに異なる複数の位置の各々で、対応する前記係合部と係合可能であることを特徴とする請求項7に記載の帽子枠。
  9. 前記一対の案内部は各々、前記案内方向に延びる壁部を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の帽子枠。
  10. 前記湾曲面から前記装着部に向かう装着方向及び前記湾曲面の凸方向の各々に直交する幅方向における、前記一対の案内部間の距離は、前記凸方向とは反対方向側程、前記凸方向側よりも短いことを特徴とする請求項7から9の何れかに記載の帽子枠。
  11. 前記押圧部が前記本体部材の前記湾曲面に沿って配置された状態で、前記押え部材が前記本体部材に取り付けられた場合、前記一対の係合部間の、前記幅方向の距離は、前記凸方向とは前記反対方向側程、前記凸方向側よりも短いことを特徴とする請求項10に記載の帽子枠。
  12. 前記押え部材は、前記押圧部の前記両端部に、前記湾曲面から前記装着部に向かう装着方向に延びる一対の回転軸を更に備え、
    前記一対の係合部は各々、前記一対の回転軸に回動可能に支持され、対応する前記案内部により、対応する前記被係合部へ案内される過程で、前記一対の係合部間の前記幅方向の距離が小さくなる側に回動することを特徴とする請求項10又は11に記載の帽子枠。
  13. 前記複数の爪部のうち、前記押圧部の前記周方向の前記両端部側に位置する爪部は、前記押圧部の前記周方向の中心側に位置する爪部よりも前記本体部材側への突出量が大きいことを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の帽子枠。
  14. 請求項1から13の何れかに記載の帽子枠と、前記帽子枠を装着可能な刺繍ミシンとを使用して、クラウンと、鍔部とを有する帽子に刺繍する方法であって、
    前記爪部を前記対向部の前記取り外し方向の前記端部に配置した状態で、前記爪部を前記クラウンと前記鍔部との境界に当接させ、前記鍔部と当接する前記湾曲面と、前記押圧部との間に配置された前記帽子を前記湾曲面側に押圧して前記帽子を前記帽子枠に保持させる挟持工程と、
    前記帽子枠を前記刺繍ミシンに装着する装着工程と、
    前記刺繍ミシンを駆動し、前記刺繍ミシンに装着された前記帽子枠を所定の二方向に移動させて、前記帽子枠に保持された前記帽子の前記クラウンと前記鍔部との境界よりも前記クラウン側に刺繍模様を縫製する刺繍工程と
    を備えることを特徴とする帽子に刺繍する方法。
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