JP2021028297A - マイクロrna及びその誘導体を有効成分とするがん治療剤 - Google Patents

マイクロrna及びその誘導体を有効成分とするがん治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 がんとBRD4の関係に着目して、これを出発点とする新たな概念に基づくがん治療の手段を見出すこと。【解決手段】hsa−miR−3140(成熟miRNA)に基礎をおく二本鎖RNA、及び/又は、hsa−miR−766−5p(成熟miRNA)に基礎を置く二本鎖RNA、を有効成分とするがん治療剤を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。このがん治療剤は、難治性のがんや薬剤耐性のがんを含めた幅広いがん種が治療対象となる。【選択図】 なし

Description

本発明は抗がん剤に関する発明であり、具体的には、特定のマイクロRNAとその誘導体を有効成分とする抗がん剤に関する発明である。
がんは日本人の死因のトップであり、2012年の国立がんセンターの統計によると生涯においてがんに罹患する確率は日本人男性63%、女性47%と高い。また2015年の厚生労働省の統計によると、死亡原因にしめる癌の割合は、日本人男性32%、女性24%、全人口の約3分の1ががんで亡くなっている。がんによる死亡は増加し続け、2030年には世界で年間1140万人ががんで死亡すると予測されている。
2003年に終了したヒトゲノム計画により、がんを遺伝子レベル、タンパク質分子レベルで理解し、それをがんの診断、治療に応用しようとする動きは加速され、その結果、がんをめぐる診断および治療の進歩は目覚ましい。特に、治療面においては従来の抗がん剤とは異なる機序として、がん細胞において活性化している遺伝子やタンパク質を標的としたいわゆる分子標的治療薬の進歩、開発も進んでいる。診断時にがんで活性化している分子を同定することでこのような分子標的治療薬が臨床応用されている。
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がんをめぐる上記の状況のもと、本発明者らは、まずはがんとBRD4の関係に着目して、これを出発点とする新たな概念に基づくがん治療の手段を見出すことを課題とした。
BRD4は構造上、アセチル化修飾されたリジンに結合するブロモドメインを2つもち、C末端側にはp−TEFb(positive elongation factor b)と結合する領域を有しているタンパク質である(非特許文献1)。ヒストンのアセチル化修飾は転写活性と正の相関を認め、p−TEFbは転写を行うRNAポリメラーゼIIを抑制するタンパク質を不活性化することで転写を活性化する。BRD4はアセチル化修飾されたヒストンのリジンに結合することで、そこにp−TEFbを動員し、転写を促進する働きがある。血液腫瘍、膵がん、乳がんなどいくつかのがん種において、BRD4発現の異常な活性化ががん細胞の増殖に寄与し、BRD4の発現を抑制することが、がん治療において有効である可能性が報告されている(非特許文献2、3、4、5、6、7)。そこで、現在、BRD4を阻害するBET阻害剤が開発されつつある。多くのBET阻害剤は、BRD4のブロモドメインが、アセチル化リジンと結合する領域の阻害作用を持つ(非特許文献8)。
本発明者らはこのBRD4に対するマイクロRNA(miRNA)の役割に着目した。miRNAは標的転写産物(mRNA)のコーディング(CDS)領域あるいは3'−非翻訳領域(3'UTR)への結合を通じて、その翻訳あるいは安定化を妨害することにより、遺伝子発現を調整する、内因性の小分子の非コーディングRNAである(非特許文献9、10)。いくつかのmiRNAは腫瘍遺伝子を抑制的に調節することが可能であり、腫瘍抑制型のmiRNAの不活性化は発がん経路の活性化につながる(非特許文献11)。重要なこととして、一つのmRNAは複数のmiRNAによって標的にされる一方、一つのmiRNAは複数のmRNAを標的にすることができる(非特許文献12)。すなわち、腫瘍遺伝子を標的にする複数のmiRNAの発現低下は、発がん経路の活性化をもたらすが、複数の発がん経路に寄与する複数の遺伝子を標的にすることができるmiRNAの投与は、がん治療において効果的であると考えられる。
その結果、二本鎖のhsa−miR−3140と二本鎖のhsa−miR−766−5pが、がん抑制効果を有し、特に、「BRD4遺伝子の過剰発現が認められるがん」とBRD4−NUT融合遺伝子の発現が認められるがんに対する優れた抑制効果が認められることを見出すと共に、少なくとも二本鎖のhsa−miR−3140は、BRD4遺伝子に関連する、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子、BRD3遺伝子、又は、EGFR遺伝子の過剰発現が認められるがんに対しても優れた抑制効果が認められることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記(1)の二本鎖RNA(以下、本発明の第一の二本鎖RNA又は第一の二本鎖RNAともいう)、及び/又は、下記(2)の二本鎖RNA(以下、本発明の第二の二本鎖RNA又は第二の二本鎖RNAともいう)、を有効成分とするがん治療剤(以下、本発明のがん治療剤ともいう)を提供する。
(1)本発明の第一の二本鎖RNAは、塩基配列「AGCUUUUGGGAAUUCAGGUAk12」(配列式1)[式中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミン、及び、Uはウラシルを表し、k1とk2は同一又は異なって、G、T又はUである:配列番号1]の一本鎖RNA、並びに、塩基配列「UACCUGAAUUhCCAAAAGCUUU」(配列式2)[式中、hは、A、U又はCである:配列番号2]の一本鎖RNAからなる、略相補的な二本鎖RNA、である。
本発明の第一の二本鎖RNAは、hsa−miR−3140(成熟miRNA)を基礎とするものである。当該hsa−miR−3140(天然型)のガイド鎖は、配列式1の塩基配列「k12」が「GU」である塩基配列の一本鎖RNAであり、パッセンジャー鎖は、配列式2の塩基「h」が「A」である塩基配列の一本鎖RNAである。これらの一本鎖RNAが相互に略相補的に結合して下記式の二本鎖RNAを構成している。下記式において、塩基間の太線は塩基間の水素結合を示し、当該部分の塩基対が相補的であることを示している。「略相補的」とは、下記式のように、二本鎖RNAの一部が一本鎖である部分、及び/又は、塩基対の一部が水素結合で結合していない部分(ミスマッチ)、を含みつつ、全体としては二本鎖RNAを構成している状態であり、二本鎖RNAの対となっている一本鎖RNAの構成塩基同士の全てが水素結合した「完全に相補的」な場合を含んでいる。
配列式1の好適な他の態様として、下記の4態様の式が挙げられる。
(2)本発明の第二の二本鎖RNAは、塩基配列「AGGAGGAAUUGGUGCUGGUCUU」(配列式3:配列番号3)の一本鎖RNA、並びに、塩基配列「ACUCCAGCCCCACAGCCUCAGC」(配列式4:配列番号4)の一本鎖RNAからなる、略相補的な二本鎖RNAである。配列式3は、hsa−miR−766−5p(成熟miRNA)の塩基配列であり、配列式4は、hsa−miR−766−3p(成熟miRNA)の塩基配列であり、下記の略相補的構造を有している。天然型の成熟miRNAでは、配列式3がガイド鎖として、配列式4がパッセンジャー鎖として位置付けられている。
本発明の第一・第二の二本鎖RNAには、無修飾のものの他、ヌクレアーゼ耐性を付与する等の目的の修飾が施されたものも含まれる。当該修飾としては、リン酸部の修飾、糖部の修飾が挙げられる。リン酸部の修飾としては、リン酸部の酸素原子を硫黄原子に置換した「ホスホロチオエート修飾」(S化)等が知られている。糖部の修飾としては、2'位のフッ素(F)化、O−メチル化、MOE化等の2'位の修飾;LNA(2',4'−BNA)化、ENA化、モルフォリノ核酸化等の架橋型修飾が挙げられる。
本発明の第一・第二の二本鎖RNAは、公知RNAの合成法等を用いて合成することが可能である。RNAの合成法は、ホスホロアミダイド法やその改良法、H−ホスホネート法とその改良法、酵素合成法(in vitro転写法)等があげられる。また、市販品の当該核酸や、委託製造された当該核酸を本発明に適応することも可能である。
本発明のがん治療剤の対象となるがんは、特に限定されないが、少なくともBRD4遺伝子発現が過剰に発現しているがんであり、BRD4−NUT融合遺伝子が発現しているがんは好適な治療対象となる。BRD4−NUT融合遺伝子は、主に上部消化管気道に発生する難治性のがんである「NUT midline carcinoma」における、15番染色体と19番染色体の転座により認められる融合遺伝子である。
さらに、本発明のがん治療剤の有効成分が「本発明の第一の二本鎖RNA」を含む場合には、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子、BRD3遺伝子、又は、EGFR遺伝子の過剰発現しているがんが好適な治療対象となる。
CDK2遺伝子とCDK6遺伝子について、CDKは「サイクリン依存性キナーゼ(cyclin−dependent kinase)」の略称であり、CDK2は、CyclinEと、CDK2−CyclinE複合体を形成し、細胞周期をG1期からS期へ移行させる。当該複合体にCDKインヒビターであるp21が結合すると、細胞周期はS期に移行しなくなる(G1/S期チェックポイント)。これはDNAに傷害を受けた細胞のがん化を妨げる、重要な機能であることが知られており(非特許文献13)、がん細胞におけるCDK2遺伝子の過剰発現は、がんの促進作用として捉えられる。CDK6遺伝子も、細胞周期をG1期からS期への以降を制御する役割を持つ遺伝子であり、がん細胞におけるCDK6遺伝子の過剰発現はがんにおける増殖促進作用として捉えられ、CDK6を標的とする低分子化合物が開発され、さまざまながんにおいて臨床試験がおこなわれている。当該CDK2遺伝子又はCDK6遺伝子が過剰発現しているがんは、「本発明の第一の二本鎖RNA」を含む態様の本発明のがん治療剤の好適な治療対象である。
BRD3は、上述したBRD4と同じく、ヒストンのアセチル化リジンを認識し,制御タンパク質を集めてクロマチン構造や遺伝子発現を制御する機能を有するタンパク質ドメインである「ブロモドメイン」の一つである。ブロモドメイン繰り返し配列及び特異的末端配列を持つBET(bromodomain and extra−terminal)ファミリータンパク質の一つとして知られており、これをコードする遺伝子は、抗がん剤であるBET阻害薬の標的の一つとなっている。BRD3が過剰発現しているがんは、「本発明の第一の二本鎖RNA」を含む態様の本発明のがん治療剤の好適な治療対象である。
EGFRは、「上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor)は、細胞の増殖や成長を制御する上皮成長因子(EGF)を認識し、シグナル伝達を行う受容体であり、多くのがんにおいてEFGR遺伝子の過剰発現が認められ(非特許文献14)、がんのEGFR遺伝子の過剰発現は予後不良因子である(非特許文献15、16)。特に、肺がんはEGFRによって強く促進されることが知られており、「本発明の第一の二本鎖RNA」を含む態様の本発明のがん治療剤の好適な治療対象となる。当該態様の本発明のがん治療剤は、EGFR阻害剤に対する抵抗性を獲得した肺がんに対しても有効である。
さらに「がんとの共存」を目指す場合も本発明のがん治療剤の適応対象となりうる。すなわち、がんにおけるBRD4遺伝子の発現をはじめ、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子の発現を抑制することにより、がんの悪性化を防ぎ、天寿を全うすることを目指す場合にも本発明のがん治療剤は適していると考えられる。
上記の遺伝子発現の定量は、常法に従って行うことが可能であり、例えば、BRD4遺伝子、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子の発現の定量は、ノーザンブロッティング法、ウェスタンブロティング法、in situハイブリダイゼーション法(ISH法)、定量的RT−PCR法(リアルタイムPCR法を含む)、RNaseプロテクションアッセイ、in vitro転写法、発現アレイ解析法、免疫組織化学染色法等、又は、これらの方法の変法が挙げられる。また、NUT midline carcinomaの診断は、フランキングNUTプローブを用いるsplit−apart FISH法、RT−PCR法、ウェスタンブロティング法、免疫組織化学染色法等に基づく診断が一般的である。
遺伝子の正常な発現量を基にして適切なカットオフ値が包括的に又はがん個別的に設定された、これらの遺伝子発現の定量法を、治療対象のがんに対して適用して、当該がんにおける所定の遺伝子の発現定量値に対して、前記カットオフ値を当て嵌めることで、所定の遺伝子の過剰発現の有無を特定することができる。このような所定の遺伝子の過剰発現が認められるがんを、本発明のがん治療剤の適切な適用対象として特定することができる。
上述した遺伝子的特徴のがんが、本発明のがん治療剤の好適な治療対象であるが、外形的には、上記のNUT midline carcinomaの他、膵がん、肝がん、食道がん、肺がん、口腔がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、皮膚がん、腎がん、血液腫瘍等が例示される。無論、これらのがんの外形に治療対象が限定されるものではなく、好適には、上記の遺伝子的特徴に基づいた治療対象がんの選択が行われることが好適である。また、有効成分である核酸が確実にがんに到達可能であることから、局所投与、すなわち、本発明のがん治療剤を直接がんに接触させることが可能ながんが、治療対象として好適である。
本発明により、幅広いがん種、薬剤耐性がん、難治性がんに対して治療効果を有するがん治療剤が提供される。特に、本発明のがん治療剤は、BRD4遺伝子の過剰発現が認められるがん、さらに、BRD4−NUT融合遺伝子の発現が認められる難治性のがんである「NUT midline carcinoma」に対する治療効果が認められる。さらに、本発明のがん治療剤の実施態様の一つである「hsa−miR−3140(成熟miRNA)を基礎とする二本鎖RNA」を有効成分として含むがん治療剤は、上記に加えて、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子、BRD3遺伝子、又は、EGFR遺伝子の過剰発現しているがんに対しても治療効果が認められる。
細胞増殖を抑制するマイクロRNAのスクリーニングの手順を示す図面である。 膵がん細胞株Panc1における、図1−1におけるスクリーニングの結果を示す図面である。 図1−2のスクリーニングの結果をベン図で示した図面である。 2種類の膵がん細胞株に対して、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した場合における当該がん細胞株の状態を示した顕微鏡写真である。 種々のがん細胞株に対して、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した場合における細胞増殖曲線を示した図面である。 図1−5に引き続き、種々のがん細胞株に対して、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した場合における細胞増殖曲線を示した図面である。 有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)をがん細胞株に導入した後に行った発現アレイ解析の結果と、予測される当該有効成分が3'UTR領域に作用する標的遺伝子候補の数を、それぞれベン図で示した図面である。 有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した2種類の膵がん細胞株における、CDK2遺伝子とCDK6遺伝子の発現抑制について検討したウエスタンブロットの結果を示す図面である。 CDK2遺伝子とEGFR遺伝子の3'UTR領域をルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いた、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)のルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図面である。 2種類の膵がん細胞株に対してsiRNAを用いて、CDK2遺伝子をノックダウンした場合の細胞増殖に対する影響を示す図面である。 膵がん細胞株と、EGFRがドライバーとなってがんの増殖を促進する肺がん細胞株に対してsiRNAを用いて、EGFR遺伝子をノックダウンした場合の細胞増殖に対する影響を示す図面である。 EGFRがドライバーとなってがんの増殖を促進する肺がん細胞株に対して、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した場合の細胞増殖に対する影響を示す図面である。 有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)をがん細胞株に導入した後に行った発現アレイ解析の結果から予測される当該有効成分がコーディング領域に作用する標的遺伝子候補の数を、それぞれベン図で示した図面である。 2種類の膵がん細胞株に対して有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した場合の、BRD2遺伝子、BRD3遺伝子、BRD4遺伝子等の発現に対する影響を示すウエスタンブロットの結果を示す図面である。 膵がん細胞株に対してsiRNAを用いて、BRD2遺伝子、BRD3遺伝子、BRD4遺伝子をノックダウンした場合の細胞増殖に対する影響を示す図面である。 膵がん細胞にBRD4遺伝子発現ベクターを導入し、BRD4を過剰発現させたときの細胞増殖に対する影響を示す図面である。 BRD4遺伝子のコーディング領域のうち、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)のガイド配列と相同する領域の塩基配列、作成した変異の配列、及び、当該有効成分の導入によるルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図面である。 BRD3遺伝子のコーディング領域のうち、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)のガイド配列と相同する領域の塩基配列、作成した変異の配列、及び、当該有効成分の導入によるルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図面である。 BRD3遺伝子の3'UTR領域のうち、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)のガイド配列と相同する領域の塩基配列、及び、当該有効成分の導入によるルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図面である。 膵がん細胞におけるBRD4の発現に対する、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)導入の影響を示すウエスタンブロットの結果を示す図面である。 膵がん細胞におけるBRD3の発現に対する、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)導入の影響を示すウエスタンブロットの結果を示す図面である。 BRD4−NUT融合遺伝子のmRNAと、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)のガイド配列の関係を示している。 NUT midline carcinomaの細胞株に、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した結果を、細胞増殖とウエスタンブロットで示した図面である。 NUT midline carcinomaの細胞株に対するBET阻害剤の効果を、細胞増殖とウエスタンブロットで示した図面である。 NUT midline carcinomaの細胞株と、そのBET阻害剤耐性株の用量反応曲線とIC50を示した図面である。 NUT midline carcinomaのBET阻害剤耐性細胞株に、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)を導入した結果を、細胞増殖とウエスタンブロットで示した図面である。 マウスを用いたin vivo試験における、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)の投与スケジュールを示した図面である。 膵がん細胞株の皮下注射から23日後のマウスの皮下腫瘍の外観を示した写真図面である。 図5−2のマウスから摘出された腫瘍の写真図面である。 上記in vivo試験における、有効成分の一つである第一の二本鎖miRNA(天然型)の投与の効果を、摘出された腫瘍の体積により検討した結果を示す図面である。 上記in vivo試験において摘出された腫瘍における、hsa−miR−3140の発現解析を行った結果を示す図面である。 上記in vivo試験において摘出された腫瘍における、hsa−miR−3140の発現増加に伴う、BRD4遺伝子、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子、CDK2遺伝子の発現の低下を、摘出腫瘍の免疫染色により示した写真図面である。 有効成分である4種類の第一の二本鎖miRNA(塩基配列改変型を含む)導入による腫瘍抑制効果を検討した結果を示す図面である。 有効成分である第一の二本鎖miRNAによる腫瘍増殖抑制の機序のまとめを示した図面である。 有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)のがん抑制効果をウエスタンブロットにより検討した結果を示す図面である。 BRD4遺伝子と有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)の相同領域を、コーディング領域と3'UTR領域において示した図面である。 BRD4遺伝子の第1と第2のコーディング領域における、有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)との相同領域について行ったルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示した図面である。 BRD4遺伝子の第3のコーディング領域における、有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)との相同領域について行ったルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示した図面である。 BRD4遺伝子の第4のコーディング領域における、有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)との相同領域について行ったルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示した図面である。 BRD4遺伝子の第5のコーディング領域における、有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)との相同領域について行ったルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示した図面である。 BRD4遺伝子の3'UTR領域における、有効成分である第二の二本鎖miRNA(hsa−miR−766−5p)との相同領域について行ったルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示した図面である。
本発明のがん治療剤の形態は、その有効成分である、本発明の第一・第二の二本鎖RNAそのもの、であってもよいが、これらの有効成分としての核酸を含有する医薬組成物としての形態を取るのが通常である。これらの有効成分をがん治療剤としての直接投与する場合も、用時に注射剤等の液剤として混合使用するのが現実であるので、この態様も実質には医薬組成物の使用に含められる。
上記の有効成分としての核酸の人体に対する投与量は、一日成人1人あたり、0.01μg−100mg程度である。この投与は1日1回、ないし、2−5回、さらに連日ないし数日おきに行うことも可能である。
上記医薬組成物は、上記の有効成分としての核酸とともに適切な医薬製剤担体を配合して、製剤組成物の形態に調整される。当該製剤担体としては、使用形態に応じた担体を選択することが可能であり、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、界面活性剤等の賦形剤ないし希釈剤を使用することができる。組成剤の形態は上記の有効成分としての核酸を効果的に含有可能な形態であれば、特に限定されるものではなく、錠剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤等の固剤、軟膏剤、ハップ剤であってもよい。また、液剤、懸濁剤、乳剤等の注射剤形態とするのも好適である。現状においては本発明のがん治療剤は、局所への投与が効果的であり、この投与形式に適した剤型は、通常は注射剤、軟膏剤、又は、ハップ剤の形態である。注射剤を用いる局所への投与は、腫瘍に対して、皮下、皮内、筋肉内注射等の体外からの注射により、直接有効成分を注入し、さらに、内視鏡を用いて体内(消化管内、子宮内、膀胱内等)の腫瘍に対して、直接有効成分を注入する、等の態様で行われる。軟膏剤又はハップ剤を用いる局所への投与は、皮膚がんに対して直接有効成分を浸潤させる、等の態様で行われる。
また、上記の有効成分としての核酸に対して適切な担体を添加することで使用時に液状となしうる乾燥剤とすることも可能である。さらに、高分子ミセル、シクロデキストリン含有ポリマーで構成されたナノ粒子、安定核酸脂質粒子、多機能エンベローブ型ナノ構造体等のドラッグデリバリーシステムを活用して、本発明のがん治療剤の効果をより向上させることが可能である。
医薬品組成物としての本発明のがん治療剤は、その形態に応じた適切な投与経路により、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、皮膚上、消化管内、子宮内、膀胱内、血管内、腹腔内等への投与形態で、投与される。医薬品組成物中の上記の有効成分としての核酸の含有量は当該組成物の投与方法、投与形態、使用目的、患者の症状等に応じて適宜選択され、一定ではないが、通常、有効成分の核酸を0.1−95質量%程度含有する組成物形態に調整して、上述した有効成分の投与量と投与頻度で投与を行うことが望ましい。
以下、本発明の実施例を開示する。
1.材料と方法
実施例の結果の開示に先立ち、それに用いられた材料と試験方法について説明する。
(1)マイクロRNA(本発明のがん治療剤の有効成分の有用性の検証用途)
(a)本発明の第一の二本鎖RNA(hsa−miR−3140(成熟miRNA))の天然型と塩基改変誘導体
(a)−1:天然型二本鎖RNA
「hsa−miR−3140(成熟miRNA)」として、当該マイクロRNAの合成を、アンビオン社(Ambion、Inc.:米国)に依頼して調達した。当該マイクロRNAは、下記の塩基配列の二本鎖RNAである。以下、この実施例においては、特に断らない限り、この天然型hsa−miR−3140の二本鎖RNA(アンビオン社の商品名:MC17496)を「miR−X」と記載する。
(a)−2:塩基改変誘導体
hsa−miR−3140(成熟miRNA)の二本鎖RNAの塩基改変誘導体の合成を、株式会社ジーンデザインに依頼した。当該塩基改変誘導体は、下記の4種類である。
以下、本実施例では、この塩基改変誘導体を、特に断らない限り「gene design−1」と記載する。
以下、本実施例では、この塩基改変誘導体を、特に断らない限り「gene design−2」と記載する。
以下、本実施例では、この塩基改変誘導体を、特に断らない限り「gene design−3」と記載する。
以下、本実施例では、この塩基改変誘導体を、特に断らない限り「gene design−4」と記載する。
(b)本発明の第二の二本鎖RNA(miR−766−5p)
hsa−miR−766−5p(成熟miRNA)をガイド鎖とする二本鎖miRNAの合成を、アンビオン社(Ambion、Inc.:米国)に依頼して調達した。当該二本鎖miRNAは、hsa−miR−766−5p(成熟miRNA)とhsa−miR−766−3p(成熟miRNA)からなる天然型の略相補鎖として、下記の構造を取ることが知られている。以下、本実施例では、この二本鎖RNA(アンビオン社の商品名:MC23847)を、特に断らない限り「miR−766−5p」と記載する。
(c)対照miRNAとsiRNA
対照のmiRNAは、コントロールmiRNA(ネガティブコントロール#1)(アンビオン社)を用いた。
BRD2(siGENOME SMARTpool:M−004935−02−0005)、BRD3(siGENOME SMARTpool:M−004936−01−0005)、BRD4(siGENOME SMARTpool:M−004937−02−0005)、EGFR(siGENOME SMARTpool:M−003114−03−0005)、CDK2(siGENOME SMARTpool:M−003236−04−0005)に対するsiRNAは、各々ダーマコン社から入手した。
(2)がん細胞株
膵がん細胞株(Panc1、MIAPaCa2細胞、CFPAC1細胞、SW1990細胞)、乳がん細胞株(MDA−MB−231細胞、SK−BR3細胞、T−47D細胞、CRL1500細胞、YMB−1−E細胞)、肺がん細胞株(NCI−H1650細胞、NCI−H1975細胞、A549細胞、HUT29細胞、11−18細胞)、肝がん細胞株(Sk−Hep1細胞、Hep3B細胞、HepG2細胞、Huh7細胞、PLC/PRF/5細胞)はアメリカンカルチャーコレクション(米国)から購入した。NUT midline carcinoma細胞株(Ty−82細胞)はJCRB細胞バンクより購入した。食道がん細胞株(KYSE150細胞)は嶋田裕博士(富山大学)より供与を受け、KYSE150シスプラチン耐性株は以前に樹立されたものを用いた(Fujiwara N ET AL., CANCER RES, 2015, vol 75, pages 3890-3901)。
Panc1、MIAPaCa2、KYSE150、KYSE150シスプラチン耐性株、CFPAC1、SW1990、HepG2、Huh7、PLC/PRF/5、SK−BR3、T−47D、CRL1500、YMB−1−E細胞はダルベッコ改変イーグル培地に、A549、HUT29、NCI−H1975、Ty−82、NCI−H1650、11−18細胞はRPMI1640培地に、Sk−Hep1、Hep3B細胞はウイリアムE培地に、MDA−MB−231細胞はL15培地に10%ウシ胎児血清を添加して、5%CO2・37℃で培養した。
大腸がん細胞株HCT116+/+細胞及びHCT116−/−細胞はVogelstein研究室より供与を受け、ダルベッコ改変イーグル培地に10%ウシ胎児血清を添加して5%CO2・37℃で培養した。
(3)抗体とBET阻害剤
ウェスタンブロッティング用の抗体として、抗BRD4抗体(cell signaling社)、抗BRD3抗体(Bethyl laboratories社)、抗BRD2抗体(cell signaling社)、抗MYC抗体(cell signaling社、抗NUT抗体(cell signaling社)、抗CCND2抗体(cell signaling社)、抗EGFR抗体(サンタクルズバイオテクノロジー社)、抗CDK2抗体(サンタクルズバイオテクノロジー社)、抗CDK6抗体(cell signaling社)、抗Vinculin抗体(シグマ社)、抗βアクチン抗体(シグマ社)を用いた。免疫組織染色用の抗BRD4抗体(Atlas antibodies社)、抗BRD3抗体(Bethyl laboratories社)、抗CDK2抗体(Bethyl laboratories社)、抗EGFR抗体(サンタクルズバイオテクノロジー社)を用いた。BET阻害剤は、JQ1(ApExBIO社)を用いた。
(4)統計解析
サブグループ間の差はStudent t−testおよびPaired t−test(下記のin vivo試験におけるマウスの腫瘍の重量の解析において用いた)で解析した。計算されたP値が0.05未満の場合、統計学的な有意差ありと判断した。
2.実施例の開示
[実施例群A]
実施例群A(実施例A1−A5)は、miR−Xとその塩基改変誘導体におけるがん治療剤の有効成分としての検討を行った結果を示している。
<実施例A1> 細胞増殖を抑制するmiRNAのスクリーニング
図1−1は細胞増殖を抑制するmiRNAのスクリーニングの手順を示している。
Panc1由来細胞#1、#2(3000個/well又は5000個/well)に、1090種類の前駆体miRライブラリー[Pre−miR−miRNA Precursor Library−Human V15(アンビオン社)]またはコントロールmiRNAを10nmol/Lを導入し、3日後に細胞生存数をクリスタルバイオレット(CV)染色アッセイで評価した。細胞はPBSで洗浄し、0.2%CV含有10%ホルムアルデヒドPBSで5分間固定した。過剰なCV溶液は除去し、完全に空気乾燥された後、染色細胞は2%SDS溶液を加えて、プレートを1時間振盪することで溶解した。光学密度(OD)吸光度はマイクロプレートリーダー(ARVOmx;ペルキンエルマー社)を用いて560nmで計測し、吸光度百分率をウェル毎に算出した。コントロールウェルにおけるコントロールmiRNAを導入した細胞のOD吸光度値は、生存細胞の百分率を決定するため、任意に100%に設定した。
図1−2は、上記のPanc1#1とPanc1#2におけるスクリーニングの結果を表している。1090個の前駆体miRNAを導入したときの、コントロールmiRNAと比べた時の細胞生存の比を示している。左がPanc1#1細胞の、右がPanc1#2細胞の結果を示す。コントロールmiRNAをトランスフェクションした場合の細胞数を1としたときの相対的な細胞数を示す。増殖抑制効果の基準としてコントロールとの比で0.6未満とした。
細胞増殖抑制のカットオフ値を0.6未満としたとき、Panc1#1、Panc1#2とも増殖抑制をみとめたのは12種類のmiRNAであった。図1−3は、この結果をベン図で表したものである。Panc1#1において細胞増殖抑制効果を認めたのは29種類、Panc1#2において増殖抑制効果を認めたのは65種類認め、両方に共通するものとして12種類存在することを示している。
そのうち、miRBaseのデータベース解析でその存在が確からしい(Annotation confidence:high)miRNAは4種類であった。その4種類のうち、腫瘍抑制miRNAとして報告が認められないmiRNAとして、miR−X(hsa−miR−3140)が特定された。
次に、10nmol/LのmiR−X(対照は、コントロールmiRNA(ネガティブコントロール#1(アンビオン社):miR−NC)を、それぞれにLipofectamine RNAiMAX(インビトロゲン社)を用いて、標的がん細胞株に、添付文書に従って導入した。
標的がん細胞株は、膵がん細胞株[Panc1、MIAPaCa2、CFPAC1細胞、SW1990細胞]、乳がん細胞株[MDA−MB−231細胞(トリプルネガティブ乳がん細胞株:トリプルネガティブ乳がんは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2のいずれも腫瘍細胞に発現していない乳がんであって、これらの受容体等に着目したホルモン療法や分子標的薬の有効性が認められず、予後が悪いがんとして知られている)、SK−BR3細胞、T−47D細胞、CRL1500細胞、YMB−1−E細胞]、肺がん細胞株[NCI−H1650細胞、NCI−H1975細胞、A549細胞(非小細胞性肺がん細胞株)、HUT29細胞(非小細胞性肺がん細胞株)、11−18細胞]、肝がん細胞株[Sk−Hep1細胞、Hep3B細胞、HepG2細胞、Huh7細胞、PLC/PRF/5細胞]、食道がん細胞株[KYSE150と、そのシスプラチン(CDDP)耐性株KYSE150 CDDP−R]である。
図1−4に、上記導入72時間後の、上記の2種類の膵がん細胞株(Panc1、MIAPaCa2)の顕微鏡写真である。それぞれの膵がん細胞株において、miR−X導入群で死細胞を多数認め、生存細胞が対照と比べて少ないことが示されている。
図1−5は、膵がん細胞株(Panc1、 MIAPaCa2)、 トリプルネガティブ乳がん細胞株(MDA−MB−231)、食道がん細胞株(KYSE150と、そのシスプラチン(CDDP)耐性株KYSE150 CDDP−R)、肝がん細胞株(Sk−Hep1)、非小細胞性肺がん細胞株(HUT29、A549細胞)における、miR−NC又はmiR−X投与時の細胞増殖曲線を示している。いずれの細胞株においても、miR−X投与により、顕著な増殖抑制効果が認められた。
さらに、図1−5に図示したがん細胞株以外の、標的がん細胞株、すなわち、膵がん細胞株[CFPAC1細胞、SW1990細胞]、乳がん細胞株[SK−BR3細胞、T−47D細胞、CRL1500細胞、YMB−1−E細胞]、肺がん細胞株[NCI−H1650細胞、11−18細胞]、肝がん細胞株[Hep3B細胞、HepG2細胞、Huh7細胞、PLC/PRF/5細胞]、においても、miR−X投与により、顕著な増殖抑制効果が認められた(図1−6)。
以上の結果から、miR−Xは、難治性のがんを含めて様々ながん種において、著明に増殖抑制効果を示すことが示された。
<実施例A2> miR−Xの機能的標的としてのEGFR遺伝子、CDKファミリー遺伝子の同定
上記のmiR−NC又はmiR−Xを導入した、Panc1細胞、MIAPaCa2細胞、MDA−MB−231細胞に対して、遺伝子発現のアレイ解析を行った。当該遺伝子発現アレイ解析は、Agilent 4x44K遺伝子発現アレイ(アジレントテクノロジー社)を用いて、その操作マニュアルに従って行った。遺伝子発現アレイ解析は、それぞれのmiR導入がん細胞に対して2回ずつ行い、データはGeneSpringソフト(アジレントテクノロジー社)を用いて解析した。
図2−1は、上記遺伝子発現アレイ解析の結果と、Target Scanデータベースから予測される、miR−Xが3’UTR領域に作用する標的遺伝子候補の数をベン図で示している。miR−NC導入群と比較して2倍を超えて発現が抑制されている遺伝子のうち、当該3種類のがん細胞株に共通する遺伝子は228個存在した。この共通遺伝子228個のうち、Target Scanデータベースで、miR−Xの3’UTR領域の標的遺伝子候補として挙げられている遺伝子は99個存在した。
これらの結果から、miR−Xの標的候補として、細胞増殖に関連する遺伝子であるEGFR遺伝子、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子に着目した。図2−2は、実施例A1において記した要領でmiR−Xを導入した、膵がん細胞株である、Panc1細胞とMIAPaCa2細胞において、ウエスタンブロットを行った結果を示す写真図面である。ウエスタンブロットは、全細胞の溶解物でSDS−PAGEを行い、タンパクをPVDF膜(GEヘルスケア社)に転写し、0.05%Tween20と5%スキムミルクを含有するTBSを用いて室温で1時間ブロッキングを行った後、当該膜を抗体と共に4℃で一晩反応させた。2次抗体の希釈倍率は、抗EGFR抗体(1/200)、抗CDK2抗体(1/200)、抗CDK6抗体(1/1000)、抗β−アクチン抗体(1/5000)であった。当該膜を洗浄後、HRP結合抗マウスまたは抗ウサギIgG抗体(ともに1/5000)で室温1時間暴露した。結合した抗体は、SuperSignal West Femto Substrate(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて視覚化した。その結果、これらの膵がん細胞にmiR−Xを導入することによる、CDK2遺伝子、CDK6遺伝子、及び、EGFR遺伝子の発現の抑制が認められた。
図2−3は、CDK2遺伝子、EGFR遺伝子の3’UTR領域をルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いた、miR−Xのルシフェラーゼレポーターアッセイによる検証の結果を示している。miR−Xのガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、EGFR遺伝子、CDK2遺伝子共に一つずつ存在し、当該アッセイに用いるルシフェラーゼレポータープラスミドは、pmiRGlo Dual−Luciferase miRNA Target Expression Vector(プロメガ社)のルシフェラーゼ遺伝子の下流に、当該相同領域を含むCDK2遺伝子又はEGFR遺伝子の3'UTR領域、あるいは、この領域に変異を入れた配列を挿入することで作成した。全ての部位特異的変異は、KOD mutagenesis kit(TOYOBO社)を用いて作成した。ルシフェラーゼレポータープラスミドを、Panc1細胞又はMIAPaCa2細胞に、Lipofectamine2000(インビトロゲン社)を用いて添付文書に沿って導入し、次の日にmiR−X又はコントロールmiRNAを導入した。2日後に、ホタルルシフェラーゼ活性とウミシイタケルシフェラーゼ活性を、Dual−Luciferase Reporter Assay System(プロメガ社)を用いて測定し、相対的ルシフェラーゼ活性は対応する内部標準コントロールのウミシイタケルシフェラーゼ活性で補正することで、ホタルルシフェラーゼ活性を標準化し、算出した。
CDK2遺伝子、EGFR遺伝子共、miR−X導入により、野生型の3’UTR領域に対応するルシフェラーゼ活性の低下を認め、miR−Xのガイド鎖の塩基配列とマッチする領域に変異を入れたベクターではルシフェラーゼ活性は回復した。これらの結果から、miR−Xは、CDK2遺伝子とEGFR遺伝子の3’UTR領域への作用により、直接CDK2遺伝子とEGFR遺伝子の発現を抑制していることが示された。
図2−4は、膵がん細胞株であるPanc1細胞とMIAPaCa2細胞にsiRNAを作用させて、CDK2遺伝子をノックダウンしたときの細胞増殖に対する効果を示している。CDK2遺伝子に対するsiRNAの作用により、コントロールsiRNA(si−NC)を導入したときと比較した。ウエスタンブロットを実施例A2に記した要領に従って行うことにより、CDK2遺伝子の発現は抑制されていることが示された。また、MIAPaCa2細胞においては、CDK2遺伝子のノックダウンに伴い、細胞増殖が抑制されていた。これにより、CDK2遺伝子の発現が実際にこれらの膵がん細胞株の増殖に寄与していることが確認された。また、本発明のがん治療剤の有効成分を作用させた場合よりも、細胞増殖の抑制度合いは僅かであることから、本発明のがん治療剤の有効性が明らかになっている。
図2−5は、膵がん細胞株であるPanc1細胞と、肺がん細胞株であり、EGFRがドライバーとなって癌の増殖を促進しているNCI−H1975細胞にsiRNAを作用させて、EGFR遺伝子をノックダウンしたときの細胞増殖に対する効果を示す。EGFR遺伝子に対するsiRNAの作用により、コントロールsiRNA(si−NC)を導入したときと比較した。ウエスタンブロットを行うことにより、EGFR遺伝子の発現は抑制されていることが示された。また、これらの細胞においては、EGFR遺伝子のノックダウンに伴い、細胞増殖が抑制されていた。これにより、EGFR遺伝子の発現が実際にこれらのがん細胞株の増殖に寄与していることが確認された。また、本発明のがん治療剤の有効成分を作用させた場合よりも、細胞増殖の抑制度合いは僅かであることから、本発明のがん治療剤の有効性が明らかになっている。
図2−6は、肺がん細胞株であるNCI−H1975細胞に対して、miR−Xを導入したときの細胞増殖に対する効果を示している。上記のように、NCI−H1975細胞はEGFRがドライバーとなってがんの増殖を促進している肺がん細胞であり、EGFR阻害剤に対して抵抗性の変異を有することが知られている。このようなEGFR阻害剤抵抗性の肺がん細胞に対しても、miR−Xを導入すると、EGFRの発現が減少し、さらにCDK2の発現も低下することがウエスタンブロットにより示され、さらに、細胞増殖も著明に抑制されることが明らかになった。
これらの結果は、miR−Xが、CDK2遺伝子と、EGFR遺伝子の3’UTR領域に直接結合することで、これらの遺伝子発現を抑制し、さらに、細胞増殖の著しい抑制に寄与していることを示している。
<実施例A3> miR−Xの機能的標的としてのBRD4遺伝子とBRD3遺伝子の同定
膵がん細胞株であるPanc1細胞とMIAPaCa2細胞、及び、トリプルネガティブ乳がん細胞株であるMDA−MB−231細胞に、実施例A1に記した要領でmiR−NC又はmiR−Xを導入して、これらに上記の発現アレイ解析を行った。図3−1は、これらのmiR導入細胞に対して行った発現アレイの結果とStarMirDBデータベースから予測されるmiR−Xのコーディング領域(CDS)の標的遺伝子候補の数を、ベン図で示している。
miR−NC導入群と比較して発現が1/2未満に抑制されている遺伝子のうち、上記3種類のがん細胞株に共通する遺伝子は228個存在し、このうち、StarMirDBデータベースでmiR−XのCDSの標的遺伝子候補として挙げられている遺伝子は103個存在した。
これらの結果から、miR−Xの標的候補として、細胞増殖に関連するBRD4遺伝子に着目した。
上記した要領により、miR−Xを導入した膵がん細胞株Panc1細胞とMIAPaCa2細胞におけるBRD2、BRD3、BRD4、CyclinD2、MYC、リン酸化STAT3(p−STAT3(Tyr705))、STAT3タンパクの発現を、β−actinタンパクの発現をポジティブコントロールとしたウエスタンブロットを行うことにより検討し、結果を図3−2の写真図面に示す。図3−2において、miR−Xの導入によるBRD4の発現抑制が顕著に認められ、さらに、BETファミリーであるBRD2、BRD3タンパクの発現抑制が認められた。BRD4の下流のターゲットであるMYC、p−STAT3、CCND2(CyclinD2)の発現低下も認められた。
図3−2はPanc1、MIAPaCa2において、hsa−miR−Xを導入により、BRD4の発現の抑制を認めた。さらに、BRD4のみならず、BETファミリーであるBRD2、BRD3の発現の低下および、BRD4の下流のターゲットであるMYC、リン酸化STAT3、CCND2の低下も認めた。
図3−3は、膵がん細胞株Panc1にsiRNAを用いて、BRD2遺伝子、BRD3遺伝子、BRD4遺伝子をそれぞれノックダウンしたときの、遺伝子発現と細胞増殖に対する効果を、コントロールsiRNA(si−NC)を用いた場合と比較しつつ示している。ウエスタンブロットにより、これらの遺伝子の発現が抑制されていることが示され、細胞増殖も抑制されていた。
図3−4は、Panc1細胞にBRD4発現ベクターを導入し、BRD4遺伝子を過剰発現させたときの細胞増殖に対する影響を示す。BRD4発現ベクターはBRD4のcDNAをカズサDNA研究所より購入し、プロメガ社より購入したpFN28A Halotag CMV−neo Flexi vectorに組み込んで作製した。BRD4遺伝子には、Halotagというタグをつけることで、外因性(exo)に導入したBRD4と内因性(endo)に発現しているBRD4を区別できるようにした。BRD4発現ベクターの導入により、コントロールであるEmpty vectorを導入した細胞と比べ、外因性に導入されたBRD4の発現を認め、さらに、BRD4の下流のターゲットであるMYCの発現も上昇していることが、ウエスタンブロットの写真図面により示されている。そして、BRD4遺伝子の導入によるBRD4の過剰発現により、細胞増殖が促進していることが分かった。
これらの結果から、miR−XはBRD4遺伝子を含むBETファミリー遺伝子を抑制し、がん細胞の増殖を抑制していることが示された。
次に、miR−XがBRD4遺伝子やBRD3遺伝子を直接制御しているかどうかを調べるために、BRD4遺伝子とBRD3遺伝子のCDS領域を、ルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いた、miR−Xのルシフェラーゼレポーターアッセイによる検証を、概ね実施例A2に記した要領で行った。miR−Xのガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、BRD4遺伝子のCDSには近接して2ヶ所存在し、BRD3遺伝子のCDSに一カ所存在する。この領域を含む野生型のCDS領域、又は、この領域に変異を入れた配列をルシフェラーゼレポーターベクターに組み込み、膵がん細胞株であるMIAPaCa2細胞に導入後、miR−Xを導入した。図3−5、図3−6上段はそれぞれBRD4遺伝子とBRD3遺伝子のCDS配列のうち、miR−Xのガイド鎖の塩基配列と本来相同する領域の遺伝子配列と、上記の変異の導入配列を示す。図3−5、図3−6下段に示すように、BRD4遺伝子、BRD3遺伝子共、miR−X導入により、野生型のCDSではルシフェラーゼ活性の低下を認め、miR−Xのガイド鎖の塩基配列と相同する領域に変異を入れたベクターでは、ルシフェラーゼ活性は回復した。
また図3−7に示すように、BRD3遺伝子の3’UTR領域に存在するmiR−Xのガイド鎖の塩基配列と相同する領域で、上記と同様のルシフェラーゼレポーターアッセイを行ったが、miR−Xの導入によるルシフェラーゼ活性の低下は認められず、miR−Xは、BRD3遺伝子の3’UTR領域は標的にしていないことが示された。
さらにBRD4遺伝子とBRD3遺伝子の発現ベクター、及び、これらの遺伝子のCDSにおけるmiR−Xのガイド鎖の塩基配列と相同する領域に、アミノ酸配列を変えないように変異を導入したコンストラクトを用いて、miR−Xが実際に、BRD3遺伝子とBRD4遺伝子のCDSを介して遺伝子発現が制御されているか否かを検証した。図3−8、図3−9は、それぞれBRD4遺伝子、BRD3遺伝子の発現が、miR−XによりそれぞれのCDSを介して抑制されていることを、ウエスタンブロットの写真図面で示している。これらの図面には、膵がん細胞株であるMIAPaCa2細胞に、BRD4遺伝子又はBRD3遺伝子の発現ベクターと、これらの遺伝子変異ベクターを導入後、miR−Xを導入すると、野生型のBRD4遺伝子又はBRD3遺伝子を導入した細胞では、その発現がmiR−Xにより抑制されている一方、変異型のBRD4遺伝子又はBRD3遺伝子を導入した場合には、miR−Xによるこれらの遺伝子の発現抑制が解除されていることが示されている。
これらの結果から、miR−Xは、BRD4遺伝子とBRD3遺伝子のCDS領域に直接結合することで、これらの遺伝子の発現を抑制していることが明らかになった。
<実施例A4> miR−Xの機能的標的としてのBRD4−NUT融合遺伝子の同定
稀ではあるが、極めて悪性度の高いNUT midline carcinomaの主病因は15番染色体と19番染色体の転座によってできるBRD4−NUT融合遺伝子であることが知られている。図4−1は、BRD4−NUT融合遺伝子のmRNAとmiR−Xの関係を示している。miR−Xは、前記のようにBRD4遺伝子のCDSを標的とするため、このBRD4−NUT融合遺伝子もまた標的であると予測した。
図4−2にNUT midline carcinomaの細胞株Ty−82細胞にmiR−X導入した結果を、細胞増殖曲線とウエスタンブロットの写真図面にて示す。Ty−82は、BRD4−NUT融合遺伝子を発現しているが、miR−Xの導入により、BRD4−NUTの発現は抑制され、その下流であるMYCも抑制され、その結果、細胞増殖は著明に抑制されたことが示されている。
また、NUT midline carcinomaに対して、臨床試験においてBET阻害剤が有効とされており、図4−3にTy−82に対するBET阻害剤JQ1の効果を示す。JQ1濃度500nMで、BRD4−NUTの下流であるMYCは抑制され、細胞増殖は著明に抑制された。
次に、miR−XがBET阻害剤の抵抗性を克服できるかどうかを検証するために、Ty−82細胞を用いてJQ1耐性株を樹立した。すなわち、Ty−82細胞に対してJQ1を低濃度加えた培養液で培養し、生き残った細胞をJQ1が含まれていない培養液で増殖させた後、これをJQ1の濃度を前回よりも増加させた培養液で培養し、再び生き残った細胞をJQ1が含まれていない培養液で増殖させた後、これをJQ1の濃度を前回よりも増加させた培養液で培養する。このJQ1の濃度を漸増させて生き残りの細胞を培養確保する工程を1ヶ月以上繰り返し、最終的にJQ1の濃度が2.5μMの培養液でも生存できる細胞を確保し、これを樹立されたJQ1耐性株として用いた。
図4−4は、xCELLigence システムを用いて測定した、Ty−82細胞と新たに樹立したTy−82JQ1耐性株の、JQ1の用量反応曲線とIC50を示す。Ty−82JQ1耐性細胞はTy−82細胞と比べIC50が3倍程度高く、JQ1抵抗性であることが示されている。
図4−5に、このTy−82JQ1耐性細胞に対して、miR−Xを導入した結果を、細胞増殖曲線とウエスタンブロットの写真図面にて示す。miR−Xの導入により、Ty−82JQ1耐性細胞においても、BRD4−NUT遺伝子の発現と、下流のMYC遺伝子の発現が著明に抑制され、細胞増殖も著明に抑制されることが明らかになった。
これらの結果から、miR−XはBRD4−NUT遺伝子の発現を抑制することで、NUT midline carcinomaの増殖を抑制し、さらにBET阻害剤JQ1抵抗性をも克服することができることが示された。
<実施例A5> miR−Xの投与によるin vivoでの腫瘍抑制効果
7週齢のBalb/cヌードマウスをオリエンタルバイオサービス社から購入し、無菌状態で飼育した。5×106個の膵がん細胞株であるMIAPaCa2細胞を含むPBS 100μlをマウスの背側横腹に皮下注射した。図5−1は、この皮下注射以降のin vivo試験のスケジュールである。1nmolのmiR−X、又は、コントロールmiRNAと、200μlのAteroGene(KOKEN社)の混合物を、腫瘍と皮膚の間の隙間に、計5回投与した(MIAPaCa2細胞の注射から7、11、15、18、21日後)。細胞投与後23日後、マウスを安楽死させ、腫瘍を摘出した。すべてのマウスに対して行った実験手順は東京医科歯科大学の動物実験委員会の承認を受けた。
図5−2は、MIAPaCa2細胞の注射から23日後の代表的なマウスの皮下腫瘍の外観を示す。
図5−3は摘出された腫瘍の写真を示す。各マウス毎に摘出した腫瘍の重量を軽量したところ、miR−Xの投与群の腫瘍の重量は、コントロールmiRNAの投与群に比べて、有意に軽い結果であった。
腫瘍の体積は、miR−Xの投与により、コントロールmiRNAの投与と比較し、有意に減少した(図5−4)。腫瘍の体積は(長径)×(短径)2×0.5で計算した。
図5−5は摘出された腫瘍におけるmiR−Xの発現解析を示している。hsa−miR−Xの発現レベルは定量RT−PCRによって算出した結果を示している。
この定量RT−PCRにおいては、腫瘍組織より全RNAを、TRIsure試薬(バイオライン社)を用いて標準的方法で分離し、当該全RNAから調整された一本鎖RNAはmiR−Xに特異的なプライマーで増幅された。miR−Xに対するリアルタイムRT−PCRは、ABI Prism 7500 Fast Real−time PCR system(アプライドバイオシステム社)、Taqman Universal PCR Master Mix (アプライドバイオシステム社)、Taqman Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステム社)、Taqman microRNA Assays(アプライドバイオシステム社)を用いて、これらの操作マニュアルに従って行った。miR−Xの発現レベルは、全RNAの初期量の標準化コントロールとしてRNU6Bの発現量により補正することで標準化した。
この定量RT−PCRによる検討の結果、腫瘍細胞におけるmiR−Xの発現は、miR−X投与群において著明に増加していることが確認できた。
図5−6には、上記のmiR−Xの発現増加に伴う、BRD4遺伝子、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子、及び、CDK2遺伝子の発現の低下を、摘出腫瘍の免疫染色で示した。
免疫染色において、腫瘍サンプルは10%ホルムアルデヒド含有PBSで固定し、パラフィン包埋を行い、4μm厚の切片に薄切し、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ法でBRD4、BRD3、EGFR、CDK2の免疫組織化学染色を行った。パラフィンで包埋された腫瘍切片は、キシレンで脱パラフィン後、エタノールで再水和をおこなった。10mM のクエン酸緩衝液(pH6.0)中で煮沸することで抗原の賦活化を行い、当該切片は内因性ペルオキシダーゼを不活性化するために0.3%過酸化水素含有メタノールで処理した。その後、当該切片は、抗BRD4抗体(1/500希釈)、抗BRD3抗体(1/500希釈)、抗EGFR抗体(1/200希釈)又は抗CDK2抗体(1/500希釈)で、4℃で一晩反応させた。結合した抗体は色抗原としてジアミノベンディジン(VECTASTAIN−EluteABCkit:ベクターラボラトリー社)を用いて可視化し、その後、当該切片はヘマトキシリンで対比染色した。
これらの結果からmiR−Xの投与により、インビボの腫瘍組織において、BRD4遺伝子、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子及びCDK2遺伝子の発現が抑制され、腫瘍増殖が抑制されたことが示された。
<実施例A6> 塩基配列改変誘導体のがん細胞に対する抑制効果の検討
図6は、本発明のがん治療剤の有効成分の一部である4種類の第一の二本鎖miRNA(塩基配列改変型を含む)導入による腫瘍抑制効果を、miR−Xとの比較において検討した結果を示す図面である。すなわち、膵臓がん細胞株であるMIAPaCa2細胞に対して、実施例A1に記した要領で、miR−NC(図中、NC)、miR−X(図中、miRVana)、gene design−1、gene design−2、gene design−3、及び、gene design−4を導入し、これらの導入細胞に対してウエスタンブロットの写真図面と、がん細胞の増殖を経時的に追って、これに基づく細胞増殖曲線を示した。
この結果により、hsa−miR−3140の天然型二本鎖RNAと同等のがん抑制効果が、上記4種の塩基改変誘導体にも認められることが明らかになった。
<実施例A群のまとめ>
図7は、上記の実施例A群の結果から導かれる、miR−Xが腫瘍増殖を抑制する機序のまとめの図である。
上記の実施例A群の結果から、miR−Xは、直接BRD4遺伝子のコーディング領域を標的とすることでBRD4遺伝子のタンパク質レベルの発現を抑制し、さまざまながんにおいて抗がん効果を発揮することを見出した。さらに、BRD4−NUT融合遺伝子の転写産物mRNAを直接標的とすること、EGFR遺伝子とCDK2遺伝子の3’UTR領域を標的とすることも明らかになった。また、CDK6遺伝子の発現を抑制することも明らかになった。
がんの治療においてはしばしば、薬剤抵抗性が問題となる。肺がんにおいてはEGFR阻害剤が臨床応用され、実際に使用され、有効性も確認されているが、その一方でEGFR阻害剤に対する抵抗性が問題となっている。この点上記実施例A群に示したように、miR−Xの導入により、EGFR阻害剤抵抗性の肺がん細胞においてもEGFRそのものを減少させることで当該肺がん細胞の増殖を抑制できることが明らかになり、miR−Xが、EGFR抵抗性肺がんの薬剤抵抗性を克服できることを示している。
また、NUT midline carcinomaは稀な悪性度の極めて高い予後不良のがんであり、その主病因はBRD4−NUT融合遺伝子であることもわかっているが、これまで治療方法はなく、臨床研究レベルでBET阻害剤が用いられている(非特許文献17)。この点上記実施例A群に示したように、miR−XがBRD4−NUT融合遺伝子を直接抑制することで、NUT midline carcinoma細胞においても高い抗がん効果を発揮することを見出し、さらにはBET阻害剤抵抗性のNUT midline carcinoma細胞に対してさえも、増殖を抑制できることを見出した。このことは、miR−Xが、難治性のNUT midline carcinomaに対して極めて有効であることを示している。
さらに、miR−Xの塩基配列を一部改変した二本鎖RNA(gene design−1、gene design−2、gene design−3、及び、gene design−4)においても、miR−Xと同等のがん抑制効果が認められ、マイクロRNAの構造的なアプローチによる改変により、有効成分の多様化を行うことも可能であることが明らかになった。
従来の研究によっても、一つのmiRNAは各々の遺伝子のコーディング領域あるいは3'UTR領域に直接結合することにより、複数の標的の発現を阻害することができることが示されており、このことはがんの活性化に関与する複数の経路を一つのmiRNAが標的とすることを示している。例えば、hsa−miR−34aは、CCND1遺伝子、CDK6遺伝子、MYC遺伝子、c−MET遺伝子、NOTCH遺伝子といった複数の標的を介して、腫瘍増殖を抑制することが知られている(非特許文献18、19)。この点上記実施例A群においては、miR−Xやその塩基改変誘導体の投与が、BRD4遺伝子、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子、CDK2遺伝子、及び、CDK6遺伝子を標的とすることで、ヌードマウスの皮下に形成された膵がん細胞株であるMIAPaCa2細胞由来の腫瘍の増大を抑制する効果が認められた。
このように本発明は、特に、BRD4遺伝子、BRD3遺伝子、EGFR遺伝子、CDK2遺伝子、又は、CDK6遺伝子が活性化した腫瘍、さらに、BRD4−NUT融合遺伝子を発現している腫瘍に対する有効性が認められるがん治療剤を提供するものである。
[実施例B] miR−766−5pのがん抑制効果の検討
大腸がん細胞株であるHCT116+/+(p53遺伝子が野生型の細胞株)、HCT116−/−(野生型のp53遺伝子を欠失させた細胞株)、食道がん細胞株であるKYSE150、及び、膵がん細胞株であるMIAPaCa2に対して、10nmol/LのmiR−766−5pをLipofectamine RNAiMAX(インビトロゲン社)を用いて、標的がん細胞株に、添付文書に従って導入し、導入後72時間後の各導入細胞に対し、実施例A2に記した要領で、ウエスタンブロットを、BRD4とMYCに対して行った。その結果を、図8−1に示す。
図8−1に示すように、miR−766−5pの導入により、上記のがん細胞のBRD4遺伝子と、その下流のMYC遺伝子の発現が抑制されていることが明らかになった。
次に、BRD4遺伝子のCDS領域と3’UTR領域をルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いた、miR−766−5pのルシフェラーゼレポーターアッセイによる検証を行った。miR−766−5pの塩基配列と相同する領域は、CDS領域に5カ所(R1−5)、3’UTR領域に1カ所(R6)存在する(図8−2)。
当該アッセイに用いるルシフェラーゼレポータープラスミドは、pmiRGlo Dual−Luciferase miRNA Target Expression Vector(プロメガ社)のルシフェラーゼ遺伝子の下流に、当該相同領域を含むBRD4遺伝子のCDS領域又は3'UTR領域を挿入することで作成した。ルシフェラーゼレポータープラスミドを、大腸がん細胞株であるHCT116−/−細胞に、Lipofectamine2000(インビトロゲン社)を用いて添付文書に沿って導入し、次の日にmiR−766−5p又はコントロールmiRNAを導入した。2日後に、ホタルルシフェラーゼ活性とウミシイタケルシフェラーゼ活性を、Dual−Luciferase Reporter Assay System(プロメガ社)を用いて測定し、相対的ルシフェラーゼ活性は対応する内部標準コントロールのウミシイタケルシフェラーゼ活性で補正することで、ホタルルシフェラーゼ活性を標準化し、算出した。
図8−3は、BRD4遺伝子のCDS領域の相同部分のR1とR2を標的とした場合の上記ルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示している。このことより、miR−766−5pはBRD4のCDS領域のR1とR2を標的としていると考えられる。
図8−4は、BRD4遺伝子のCDS領域の相同部分のR3を標的とした場合の上記ルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示している。このことより、miR−766−5pはBRD4のCDS領域のR3を標的としていると考えられる。
図8−5は、BRD4遺伝子のCDS領域の相同部分のR4を標的とした場合の上記ルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示している。このことより、miR−766−5pはBRD4のCDS領域のR4を標的としていないと考えられる。
図8−6は、BRD4遺伝子のCDS領域の相同部分のR5を標的とした場合の上記ルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示している。このことより、miR−766−5pはBRD4のCDS領域のR5を標的としていると考えられる。
図8−7は、BRD4遺伝子の3'UTR領域の相同部分のR6を標的とした場合の上記ルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示している。このことよりmiR-766-5pはBRD4遺伝子の3'UTR領域を標的にしていないことが示された。
以上の結果からmiR−766−5pはBRD4遺伝子のCDS領域のR1R2、R3、R5を標的とし、BRD4の発現を抑制しており、BRD4遺伝子を過剰発現しているがんに対して抑制作用があることが示された。

Claims (10)

  1. 下記(1)の二本鎖RNA、及び/又は、下記(2)の二本鎖RNA、を有効成分とするがん治療剤:
    (1)塩基配列「AGCUUUUGGGAAUUCAGGUAk12」[式中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミン、及び、Uはウラシルを表し、k1とk2は同一又は異なって、G、T又はUである]の一本鎖RNA、並びに、塩基配列「UACCUGAAUUhCCAAAAGCUUU」[式中、hは、A、U又はCである]の一本鎖RNAからなる、略相補的な二本鎖RNA;
    (2)塩基配列「AGGAGGAAUUGGUGCUGGUCUU」の一本鎖RNA、並びに、塩基配列「ACUCCAGCCCCACAGCCUCAGC」の一本鎖RNAからなる、略相補的な二本鎖RNA。
  2. hがA又はUの場合に、塩基配列「k12」は「GU」であり、hがCの場合に、塩基配列「k12」は「TT」又は「GG」である、請求項1に記載のがん治療剤。
  3. 治療の対象となるがんは、BRD4遺伝子を過剰に発現しているがんである、請求項1又は2に記載のがん治療剤。
  4. 治療の対象となるがんは、BRD4−NUT融合遺伝子を発現しているがんである、請求項1−3のいずれか1項に記載のがん治療剤。
  5. 塩基配列「AGCUUUUGGGAAUUCAGGUAk12」[式中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミン、及び、Uはウラシルを表し、k1とk2は同一又は異なって、G、T又はUである]の一本鎖RNA、並びに、塩基配列「UACCUGAAUUhCCAAAAGCUUU」[式中、hは、A、U又はCである]の一本鎖RNAからなる、略相補的な二本鎖RNAを有効成分とするがん治療剤の治療の対象となるがんは、CDK2遺伝子を過剰に発現しているがんである、請求項1−4のいずれか1項に記載のがん治療剤。
  6. 治療の対象となるがんは、BRD3遺伝子を過剰に発現しているがんである、請求項5に記載のがん治療剤。
  7. 治療の対象となるがんは、EGFR遺伝子を過剰に発現しているがんである、請求項5又は6に記載のがん治療剤。
  8. 治療の対象となるがんは、CDK6遺伝子を過剰に発現しているがんである、請求項5−7のいずれか1項に記載のがん治療剤。
  9. 治療の対象となるがんは、膵がん、肝がん、食道がん、肺がん、口腔がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、皮膚がん、腎がん、血液腫瘍、及び、NUT midline carcinoma、からなる群から選ばれるがんである、請求項1−8のいずれか1項に記載のがん治療剤。
  10. 治療の対象となるがんは、前記がん治療剤の局所への投与が可能ながんである、請求項1−8のいずれか1項に記載のがん治療剤。
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