JP2009541304A5 - - Google Patents

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抗癌治療としてのオーロラキナーゼBのRNA干渉媒介阻害およびその組み合わせ
関連特許出願への相互参照
この出願は、2006年6月21日に出願された、インド国仮出願第974/MUM2006号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、オーロラ(Aurora)B(AurkB)発現を調節する小核酸分子の化合物、組成物および使用を含む、遺伝子およびタンパク質の発現を調節するための短い核酸分子、例えば短鎖干渉性核酸(siNA)分子の使用に関する。本発明の化合物および方法は、単独でまたは他の治療と併用して癌の治療に適用される。
発明の背景
オーロラキナーゼは、セリン/スレオニンキナーゼのファミリーである。オーロラAおよびBキナーゼは、細胞周期の有糸分裂事象と関連し、オーロラCキナーゼは、精巣のみに発現している(非特許文献1)。オーロラ−Aキナーゼは、オーロラ−2、STK6、RK1およびオーロラ/IPL−1関連キナーゼとも呼ばれ、有糸分裂中の中心体および微小管と関連している。オーロラAキナーゼ(以下、「オーロラA」)は中心体に局在し、細胞周期機構と中心体との間の関連を制御している(非特許文献2;非特許文献3)。
オーロラBキナーゼは、オーロラキナーゼB、オーロラB、オーロラ−1としても知られ、以下「AurkB」とし、細胞質分裂における前期から中期の動原体、中心紡錘体および中央体(midbody)に局在している(非特許文献4)。AurkBは、染色体パッセンジャータンパク質、内部セントロメアタンパク質(inner centromere protein:INCENP)、スルビビン(Survivin)およびボレアリン(Borealin)タンパク質と結合して、4(quaternary)染色体パッセンジャー複合体を形成し、そのサブ複合体(AurkBおよびINCENP)とともに、それぞれ、紡錘体チェックポイント、細胞質分裂およびヒストンH3のリン酸化に必要であると考えられている。(Schumacher JM,Golden A,およびDonovan P.AIR−2:An Aurora/Ipll−related protein Kinase associated with chromosomes and midbody microtubules is required for polar body extrusion and cytokinesis in Caneorhabditis elegans embryos.J.Cell.Biol.1998;143:1635−1646;Terada Y,Tatsuka M,Suzuki F,Yasuda Y,Fujita S,およびOtsu M.AIM−1:a mammalian midbody−associated protein required for cytokinesis.EMBO J.1998;17:667−676;Giet RおよびGlover DM.Drosophilia aurora B Kinase is required for histone H3 phosphorylation and condensing recruitment during chromosome condensation and to organize the central spindle during cytokinasis.J.Cell Biol 2001;152:669−682)。AurkBは、MCAKをリン酸化し、したがって、有糸分裂中に二向の制御において重要な役割を果たしている(Giet R,Petretti CおよびPrigent C.Aurora Kinases,aneuploidy and cancer,a coincidence or a real link? Trends.Cell Biol.2005;5:241−250)。
オーロラキナーゼの機能におけるいずれかの相違により、癌の顕著な特徴である、異数または倍数をもたらす有糸分裂異常が引き起こされ得る。実際に、染色体の不安定性は、癌を引き起し、癌の発生、したがって治療への耐性と明確に関連付けられる(Duesberg Pら,“The chromosomal basis of cancer”Cell Oncol.2005;27(5−6):293−318;Duesberg Pら,“Cancer drug resistance:The central role of the karyotype.”Drug Resist Updat.2007 Mar 26)。オーロラキナーゼは、染色体の不安定性と結びつけられてきた。さらに、オーロラキナーゼの機能不全は、多数の癌、例えば非小細胞肺癌、表皮癌、前立腺癌、結腸癌、膵臓癌、卵巣癌、乳癌、並びにあらゆる頭部および頸部癌を含む口腔癌に見られる。(Keen N.およびTaylor S.Aurora−kinase inhibitors as anticancer agents.Nature Rev 2004;4:927−936)。AurkBの阻害は、姉妹染色分体の不適切な分離および細胞質分裂の障害をもたらす。AurkBの過剰発現は、結果として悪性となる細胞増殖および侵襲性腫瘍の発生に結びつけられている。(Ota T,Suto S,Katayama H,Han Z,Suzuki F,Maeda ら Increased mitotic phosphorylation of histone H3 attributable to AIM−1/Aurora−B over expression contributes to chromosome number instability.Cancer Res 2002;62:5168−5177;Vischioni B,Oudejans JJ,Vos W,Rodriguez JA and Giaccone G.Frequent overexpression of aurora B Kinase,a novel drug target,in non−small cell lung carcinoma patients.Mol.Cancer Ther.2006;5:2905−2913;Smith SL,Bowers NL,Betticher DC,Gautschi O,Ratschiller D,Hoban PR.Overexpression of aurora B Kinase(AURKB) in primary non−small cell lung carcinoma is frequent,generally driven from one allele,and correlates with the level of genetic instability.Br.J.Cancer 2005;19:719−29)。これまでの試験では、オーロラの機能不全が癌の原因または結果であるのかどうか示されていない。AurkBは、染色体の不安定性の防止に深く関与している。(Liu Q,Kaneko S,Yang L,Feldman RI,Nicosia SV,Chen Jら Aurora−A Abrogation of p53 DNA binding and transactivation activity by phosphorylation of serine 215.J Biol Chem.2004;279:52175−52182;Katayama H,Sasai K,Kawai H,Yuan Z,Bondaruk Jら BRCAI phosphorylation by aurora kinase A induces Mdm2−mediated destabilization and inhibition of p53.Nat.Genetics 2004;36:55−62;Ouchi M,Fujiuchi N,Sasai K,Katayama H,Minamishima YAら BRCAI phosphorylation by Aurora−A in the regulation of G2 to M transition.J Biol.Chem 2004;279:19643−19648)。AurkB複合体の一部であるスルビビンは、アポトーシスおよび/または有糸分裂異常に対する主要な保護因子である(Andrews PD.Aurora Kinases:shining lights on the therapeutic horizon? Oncogene 2005;24:5005−5015)。したがって、AurkBは、腫瘍形成において直接的な役割を有するように考えられる。
何人かの著者がオーロラ阻害剤を報告している(Ditchfield C,Johnson VL,Tighe A,Ellston R,Haworth C,Johnson Tら。Aurora B couples chromosome alignment with anaphase by targeting BubR1,Mad2 and Cenp−E to kinetochores.J Cell Biol 2004;161:267−280;Hauf S,Cole RW,Terra S,Zimmer C,Schnapp G,Walter Rら。The small molecule Hesperadin reveals a role for Aurora B in correcting kinetochore−microtubule attachment and in maintaining the spindle assembly checkpoint.J Cell Biol 2003;161:281−294 and Harrington EA,Bebbington D,Moore J,Rasmussen RK,Ajose−Adeogun AO,Nakayama,T.VX−680,a potent and selective small−molecule inhibitor of the Aurora kinases,suppresses tumor growth in vivo.Nat.Med 2004;10:262−267)。これらの阻害剤には、オーロラを別として、13個の他のキナーゼの阻害を示すZM447439(AstraZenecaによる)が含まれる。AZD1152(アストラゼネカ(AstraZeneca)による)は、有糸分裂時に紡錘体凝集を阻害することが示されており、オーロラキナーゼの特異的阻害剤としてその効果を測定し、増殖性腫瘍における細胞分裂に対する影響を測定するために評価されている。ヘスペラジン(Hesperadin)(ベーリンガー・インゲルハイム(Boehringer Ingelheim)による)は、AurkBおよび25個の他のキナーゼを阻害するが、オーロラAおよびCを阻害せず、細胞生存率に明らかな損失もなく倍数だけをもたらす。
VX−680(バーテックス(Vertex))は、3つオーロラを全て阻害し、一連の癌細胞では、増殖を阻害し、アポトーシス誘導を増加させ、腫瘍細胞死を誘導することが見出された。現在、メルク(Merck)は、血液癌、再発もしくは非応答性固形腫瘍、または標準的な治療が現存しない癌を患っている患者において、VX−680の3つの臨床試験を行っている。これらの試験では、24時間の連続注入または5日間の連続注入として投与された場合のVX−680の安全性および耐容性が評価されている。臨床試験中のオーロラ阻害剤のうち、VX−680だけがオーロラに非常に特異的であるが、毒性骨髄副作用と関連し、腫瘍細胞死のメカニズムは、完全には理解されていない(Giet R,Petretti CおよびPrigent C.Aurora Kinases,aneuploidy and cancer,a coincidence or a real link? Trends.Cell Biol 2005;5:241−250)。
更なるオーロラ阻害剤が記載されている。日本特許出願の特開2005−278472には、オーロラタンパク質に特異的に結合する、内部セントロメアタンパク質のAurkBの活性を阻害するペプチドが記載され;また、医薬組成物、スクリーニング法、およびキットも記載されている。日本特許出願の特開2005−320351には、トリ−およびテトラ−置換されたピリミジン類を調製する方法、オーロラキナーゼ阻害剤の調製におけるその使用、治療方法が記載されている。特許文献1には、AurkBの発現を調節するための組成物および方法が記載され、低分子干渉ヌクレオチドを含む、化学的に修飾されたヌクレオチドを用いることが含まれる。化学的に修飾されたヌクレオチドの使用は、望ましくない副作用の潜在的なリスクを有する。
皮増殖因子レセプター(EGFR、ErbB−1、またはヒトではHER1としても知られている)は、タンパク質チロシンキナーゼである。EGFRの活性は、核への増殖シグナルの伝達をもたらし、転写因子の活性化を介して、増殖の増加、移動の増加、接着の増加、血管新生の増加、プログラムされた細胞死経路の阻害をもたらす(Bundy,L.,Wells,S.,Sealy,L.“C/EBPbeta−2 confers EGF−independent growth and disrupts the normal acinar architecture of human mammary epithelial cells,”Mol.Cancer.2005;4:43)。EGFRは、多数の癌、例えば、頭部および頸部の扁平上皮癌腫(head and neck squamous cell carcinoma:HNSCC)、非小細胞肺癌腫(non−small cell lung carcinoma:NSCLC)、前立腺癌、胃癌、表皮癌および皮膚癌において過剰発現している。EGFRは、多くの非常に侵襲的な腫瘍において構造的に発現し(Rusch V,Mendelsohn J,Dmitrovsky E.“The epidermal growth factor receptor and its ligands as therapeutic targets in human tumors.”Cytokine Growth Factor Rev 1996;7:133−41;Salomon DS,Brandt R,Ciardiello F,Normanno N.“Epidermal growth factor related peptides and their receptors in human malignancies.”Crit Rev Oncol Hematol 1995;19:183−232)、EGFRの過剰発現を示している腫瘍は、多くの場合、化学療法薬に耐性であることが分かっている(James H.Doroshow“Targeting EGFR in Non−Small Lung cancer.”N.Engl.J.Med.2005;353(2):200−2002)。
セツキシマブ(cetuximb)、エルボリチン(erbolitin)などのEGFR阻害剤が知られている。EGFR阻害剤の殺腫瘍作用を強化するために、治療処置には、多くの場合、シスプラチン、フォールドフォックス(foldfox)などの細胞毒性化学療法薬の使用が含まれる。しかしながら、無作為された臨床試験では、細胞毒性の化学療法と併用した場合のEGFR阻害剤は、標準的な化学療法だけと比較して、利点を示さなかった(Sui G.,Soohoo C,el Affar B.,Gay
F.,Shi Y.,Forrester W.C.&Shi Y.A DNA vector−based RNAi technology to suppress gene expression in mammalian cells.Proc.Natl Acad.Sci.USA 2002;99,5515−5520)。したがって、さらに、改善されたEGFR阻害剤も必要である。
化学的に合成された短い核酸分子、例えばsiNAは、特異的および効果的に、相同性特異的な転写後の遺伝子サイレンシングを指向させることができ、したがって、非常に効果的であり、選択的であり、強力な治療薬として用いることができ、その副作用は最小である。AurkBを特異的に阻害する分子は、細胞分裂のメカニズムをブロックすることができ、それゆえ併用療法において非常に有用である。同様に、siNAを用いて、EGFR発現をブロックすることができる。
本発明は、非常に安定であり、AurkBおよび/またはEGFRに特異的である、いずれの化学的修飾も伴わない強力な短い核酸分子を提供し、単独の治療として、または癌に対する他の治療と併用して有用である。
米国特許出願公開第2005/0267065号明細書
Sasai K,Katayama H,Stenoien DL,Fujii S,Honda R,Kimura Mら,Aurora−C kinase is a novel chromosomal passenger protein that can complement Aurora−B kinase function in mitotic cells.Cell Motil.Cytoskeleton,2004;59:249−263 Hirota T,Kunitoku N,Sasayama T,Marumoto T,Zhang D,Nitta M.Aurora−A and an Interacting Activator,the LIM Protein Ajuba,Are Required for Mitotic Commitment in Human Cells.Cell 2003;114:585−598 Dutertre S,Cazales M,Quaranta M,Froment,C,Trabut,V,Dozier,C.ら Phosphorylation of CDC25B by Aurora−A at the centrosome contributes to the G2−M transition.J.Cell.Sci.2004;117:2523−2531 Carmena M.およびEarnshaw WC.The cellular geography of aurora Kinases.Nat.Rev.Mol.Cell Biol 2003;4:842−854
発明の要旨
本発明は、AurkBの遺伝子発現を調節するための短い核酸分子を提供する。関連する態様では、本発明は、子宮頸癌、前立腺癌、乳癌、肺癌および口腔癌を含む癌を治療するためのAurkBを標的にする短い核酸分子を提供する。このような分子は、単独で、または癌の管理および治療のための他の治療を併用して用いられてもよい。一態様では、AurkBを標的にする短い核酸分子は、EGFRを標的にする短い核酸分子と組み合わせて提供される。他の態様では、本発明の短核酸は、脂質、ポリマーおよびモノクローナル抗体などの結合体と組み合わせられてもよい。
本発明は、特異的に標的化される短い核酸分子を含む。いくつかの態様では、この短い核酸分子はRNAであり、siRNAが含まれる。また、本発明は、AurkBおよびEGFRの阻害、癌の関連治療に対して好都合に安定であり、および/または強力な核酸分子を含む。
いくつかの態様では、本発明は、19〜30ヌクレオチド、25〜29ヌクレオチド、または27ヌクレオチドを有するsiNAを提供し、この場合、その配列は、AurkB遺伝子発現のノックダウン(即ち、低下)におけるさらに良好な安定性および有効性のために設計されている。このようなsiNAは、単独でまたは他の治療と併用して用いることができる。本発明は、コレステロールと結合させるかまたは結合させないで、siNAの安定な組成物を提供する。関連する態様では、本発明は、AurkB遺伝子発現の調節において、27merの短干渉性核酸分子の化合物、組成物および使用を包含する。本発明の化合物は、単独でまたは他の処置もしくは治療と組み合わせて、癌の治療に有用である。
一態様では、また、本発明の短い核酸分子は、短干渉性核酸(siNA)、短干渉性RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(μRNA)、および/または短ヘアピンRNA(shRNA)分子である。短い核酸分子は、未修飾であるかまたは化学的に修飾されてもよい。いくつかの態様では、本発明は、27ヌクレオチドを有する短干渉性RNAに関する。
一態様では、本発明の核酸分子は、19〜30ヌクレオチド、25〜29ヌクレオチド、または27ヌクレオチドを有する。一態様では、本発明の核酸分子は、AurkB核酸配列を有するRNAに相補的な19〜30ヌクレオチドを含む。
本発明のヌクレオチドは、化学的に合成されるか、ベクターから発現されるか、または酵素的に合成されてもよい。
一態様では、本発明のsiRNA分子は、二本鎖RNAを含み、ここで、このRNAの1つの鎖は、AurkBのRNAに相補的である。別の態様では、本発明のsiRNA分子は、二本鎖RNAを含み、ここで、このRNAの1つの鎖は、AurkB配列を有するRNAの配列の一部を含む。
一態様では、本発明は、GenBank受入番号NM−004217に記載されるAurkBを標的にする。しかしながら、本発明は、AurkBのある変異体を標的にするヌクレオチドに限定されないが、AurkBのヌクレオチド多型、AurkB相同体、並びにAurkBスプライスおよび転写変異体を含むAurkB関連分子を標的にするヌクレオチドも含む。また、本発明は、AurkBを制御する手段として、AurkB制御経路に関与する遺伝子(複数)を標的にするヌクレオチドを意図している。
他の態様では、本発明は、AurkBを制御するために用いられる組成物および方法を提供する。AurkBは、直接的にAurkBを標的にする小核酸分子によって、またはAurkB経路を制御する分子を標的にすることによって制御され得る。AurkBを標的にする小核酸分子は、単独でまたは他の小核酸分子もしくは小化学分子と組み合わせて用いられてもよい。関連する態様では、AurkBの標的化を用いて、癌、またはその細胞におけるAurkBの発現レベルの調節に応答する疾患状態を制御する。
いくつかの態様では、長さにして27ヌクレオチドの化学的に合成されたsiNAを用いて、単独でまたは種々の癌に関与している遺伝子に指向された他の小核酸分子、例えばEGFRを併用して、AurkBの発現レベルを低下させる。いくつかの態様では、表1または2に開示されている小核酸分子は、癌の治療に単独でまたは組み合わせて用いることができる。
さらに関連する態様では、siNAによる癌の制御は、癌の管理および治療に適している。このようにして、本発明は、子宮頸癌、口腔癌、肺癌、皮膚癌および前立腺癌などの癌を治療するための短い核酸分子を提供する。
別の態様では、本発明は、癌のバイオマーカーを用いて、siNAの有効性を検証するための技術を提供する。例えば、本発明は、PCNAおよびKi−67抗原発現などの癌の特異的バイオマーカーを用いる有効性試験を提供する。
一態様では、本発明は、癌の治療として、AurkBおよびEGFRを標的にする小核酸分子の組み合せを提供する。いくつかの態様では、適切な小核酸分子には、表1および2に列挙されたものが含まれる。
一態様では、本発明は、本発明の小核酸分子を含む哺乳動物細胞、例えばヒト細胞を特徴とする。
本発明は、細胞においてAurkB活性をダウンレギュレートする方法を特徴とし、オーロラキナーゼ活性のダウンレギュレートに適した条件下で、細胞と本発明の酵素核酸分子もしくはアンチセンス核酸分子、または他の核酸分子とを接触させることを含む。
また、本発明は、AurkBの上昇に関連した状態を有する被験体の治療方法を特徴とし、この治療に適した条件下で、被験体の細胞と本発明の酵素核酸分子もしくはアンチセンス核酸分子または他の核酸分子とを接触させることを含む。
本発明は、細胞においてオーロラキナーゼ活性をダウンレギュレート(「ノックダウン」とも呼ばれる)する方法を特徴とし、オーロラキナーゼ活性のダウンレギュレートに適した条件下で、細胞と本発明の酵素核酸分子もしくはアンチセンス核酸分子または他の核酸分子とを接触させることを含む。
一態様では、また、本発明は、AurkBのレベルと関連した状態を有する被験体を治療する方法を特徴とし、この治療に適した条件下で、被験体の細胞と本発明の酵素核酸分子もしくはアンチセンス核酸分子または他の核酸分子とを接触させることを含む。
一態様では、本発明の治療方法は、この治療に適した条件下で、1以上の薬物治療の使用を含む。
また、本発明は、癌、例えば、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、脳の癌、食道癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭部および頸部癌、卵巣癌、メラノーマ、リンパ腫、神経膠腫、または多剤耐性癌を治療する方法を特徴とし、この治療に適した条件下で、本発明の酵素核酸分子もしくはアンチセンス核酸分子または他の核酸分子を被験体に投与することを含む。
別の態様では、本発明によって意図される他の薬物治療には、モノクローナル抗体、化学療法、もしくは放射線療法またはそれらの組み合せが含まれる。
本発明は、医薬として許容される担体中に本発明の酵素核酸分子および/またはアンチセンス核酸分子を含む組成物を特徴とする。
また、本発明は、細胞、例えば哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)に本発明の核酸を投与する方法を特徴とする。このような細胞は、培養中またはヒトなどの哺乳動物内にあってもよい。この投与方法は、このような投与に適した条件下で、細胞と本発明の酵素核酸分子もしくはアンチセンス分子または他の核酸分子とを接触させることを含む。投与方法は、送達試薬、例えば脂質、陽イオン性脂質、リン脂質、またはリポソームの存在下であってもよい。
下記の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある種の局面をさらに明示するために含められ、本発明は、本明細書に示された具体的な態様の詳細な説明とともに、これらの図面の1以上を参照することによりより良く理解され得る。
本発明によれば、例えば以下の組成物などが提供される:
(項目1)
AurkB発現を調節する短い核酸分子を含む組成物であって、該短い核酸分子が、配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、組成物。
(項目2)
前記短い核酸分子が、
配列番号7のセンス鎖および配列番号8のアンチセンス鎖を含むsiRNA1;
配列番号9のセンス鎖および配列番号10のアンチセンス鎖を含むsiRNA2;ならびに
配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3
からなる群から選択される配列を含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
EGFRの発現を調節する第2の短い核酸分子をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記第2の短い核酸分子が、配列番号4、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記第2の短い核酸分子が、
配列番号13のセンス鎖および配列番号14のアンチセンス鎖を含むsiRNA4;
配列番号15のセンス鎖および配列番号16のアンチセンス鎖を含むsiRNA5;ならびに
配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6
からなる群から選択される配列を含む、項目3に記載の組成物。
(項目6)
前記短い核酸分子が、配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3を含み、前記第2の短い核酸分子が、配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6を含む、項目3に記載の組成物。
(項目7)
項目1に記載の組成物、および医薬として許容される担体を含む、癌を治療するための組成物。
(項目8)
脂質、ポリマーおよび/またはモノクローナル抗体をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目9)
前記短い核酸分子がコレステロールに結合している、項目1に記載の組成物。
(項目10)
細胞と短い核酸分子とを接触させることを含む、該細胞におけるAurkB発現を調節するための方法であって、該短い核酸分子が配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、方法。
(項目11)
前記短い核酸分子が、AurkBの発現を直接調節する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記短い核酸分子が、AurkBの発現を調節する少なくとも1つの分子に結合する、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記短い核酸分子が、AurkB発現を阻害する、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記短い核酸分子が、短い干渉性核酸(siNA)、短い干渉性RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(μRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、および干渉性DNA(DNAi)分子からなる群から選択される、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記短い核酸分子が、19〜30ヌクレオチド、25〜29ヌクレオチド、または27ヌクレオチドである、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記短い核酸分子が、全長AurkBヌクレオチド配列内の配列に相補的である19〜30ヌクレオチドを含む、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記短い核酸分子が、
配列番号7のセンス鎖および配列番号8のアンチセンス鎖を含むsiRNA1;
配列番号9のセンス鎖および配列番号10のアンチセンス鎖を含むsiRNA2;ならびに
配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3
からなる群から選択される配列を含む、項目10に記載の方法。
(項目18)
配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む短い核酸分子を個体に投与することを含む、癌を治療するための方法であって、ここで、該短い核酸分子の投与が該個体の癌細胞におけるAurkBの発現を減少させる、方法。
(項目19)
第2の短い核酸分子を前記個体に投与することをさらに含み、ここで、該第2の短い核酸分子の投与が該個体の癌細胞におけるEGFRの発現を減少させる、項目18に記載の方法。
(項目20)
脂質、陽イオン性脂質、リン脂質、およびリポソームからなる群から選択される送達因子を提供することをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目21)
モノクローナル抗体、化学療法、放射線療法、またはそれらの組み合わせを前記個体に施すことをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目22)
前記癌が、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、脳の癌、食道癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭部および頸部癌、卵巣癌、メラノーマ、リンパ腫、神経膠腫、および多剤耐性癌からなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目23)
項目1または3に記載の組成物を個体に投与することを含む、癌を治療するための方法。
(項目24)
配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む短い核酸分子を個体に投与することを含む増殖性疾患を治療する方法であって、該短い核酸分子の投与が該個体の癌細胞におけるAurkBの発現を減少させる、方法。
(項目25)
第2の短い核酸分子を前記個体に投与することをさらに含み、ここで、該第2の短い核酸分子の投与が該個体の癌細胞におけるEGFRの発現を減少させる、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記短い核酸分子が、
配列番号7のセンス鎖および配列番号8のアンチセンス鎖を含むsiRNA1;
配列番号9のセンス鎖および配列番号10のアンチセンス鎖を含むsiRNA2;
配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3
からなる群から選択される配列を含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
配列番号4、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む第2の短い核酸分子を個体に投与することをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記第2の短い核酸分子が、
配列番号13のセンス鎖および配列番号14のアンチセンス鎖を含むsiRNA4;
配列番号15のセンス鎖および配列番号16のアンチセンス鎖を含むsiRNA5;
配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6
からなる群から選択される配列を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記短い核酸分子が、配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3であり、前記第2の短い核酸分子が、配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6である、項目27に記載の方法。
(項目30)
細胞とAurkBの発現を調節する短い核酸分子とを接触させることを含む癌細胞の増殖を阻害するための方法であって、ここで、該短い核酸分子が配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、方法。
(項目31)
前記短い核酸分子が、
配列番号7のセンス鎖および配列番号8のアンチセンス鎖を含むsiRNA1;
配列番号9のセンス鎖および配列番号10のアンチセンス鎖を含むsiRNA2;ならびに
配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3
からなる群から選択される配列を含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記細胞と第2の短い核酸分子とを接触させることをさらに含み、ここで、該第2の短い核酸分子がEGFRの発現を調節する、項目30に記載の方法。
(項目33)
前記第2の短い核酸分子が、配列番号4、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記第2の短い核酸分子が、
配列番号13のセンス鎖および配列番号14のアンチセンス鎖を含むsiRNA4;
配列番号15のセンス鎖および配列番号16のアンチセンス鎖を含むsiRNA5;ならびに
配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6
からなる群から選択される配列を有する、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記短い核酸分子が、配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3であり、前記第2の短い核酸分子が、配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6である、項目32に記載の方法。
(項目36)
前記方法が、前記癌細胞の増殖を減少させ、および/または該癌細胞の壊死を増加させることを含む、項目30に記載の方法。
(項目37)
前記細胞と第2の短い核酸分子とを接触させることをさらに含み、該第2の短い核酸分子がEGFRの発現を調節する、項目36に記載の方法。
(項目38)
癌細胞と、配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む短い核酸分子とを接触させることを含む、該癌細胞をG2期に停止させる方法。
(項目39)
癌細胞と、配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む短い核酸分子とを接触させることを含む、該癌細胞の老化を誘導する方法。
(項目40)
前記細胞と、EGRFの発現を調節する第2の短い核酸分子とを接触させることをさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
実施例および図面において実質的に本明細書に例証され、上記に請求される、AurkB発現を調節する短い核酸分子を含む組成物およびその方法。
ARPE−19(正常な2倍体の網膜色素上皮細胞、レーン1)、HeLa(子宮頸癌、レーン2)、A431(類表皮癌、レーン3)、A549(非小細胞肺癌、レーン4)およびPC3(前立腺癌細胞、レーン5)におけるAurkBの発現は、AurkB(41KDa)、および内在性の対照としてチューブリン(50KDa)の発現について分析された。 細胞株HeLa(子宮頸癌、レーン1)、PC3(前立腺癌細胞、レーン2)、A549(非小細胞肺癌、レーン3)、A431(類表皮癌、レーン4)、SCC−4(舌の扁平上皮細胞癌腫、レーン5)、HFF−2(正常な2倍体の線維芽細胞、レーン6)およびARPE−19(正常な2倍体の網膜色素上皮細胞、レーン7)におけるEGFRの発現。EGFR(170KDa)、チューブリン(50KDa)。 Cy3標識したsiRNAでトラスフェクトされたHeLa細胞。矢印は、トランスフェクションの16時間の終における、細胞質内に分布したCy3標識したsiRNAを示す。 siRNAでトラスフェクトされた細胞の形態。スケールバー1cm=11μm。4A 模擬(mock)(siRNA7および8)でトランスフェクトされた。矢印は、基質に堅固に接着し、正常に増殖している細胞を指す。4B siRNAでトランスフェクトされた細胞。矢印は、基質からの剥離および崩壊前の球形をとっている細胞を指す。 種々の長さのsiRNAで処理されたPC3(前立腺癌細胞株)へのBrdU取り込み。統計的な有意性(両側t−検定、P≦0.05)は、模擬処理された細胞と全てのsiRNAで処理された細胞との間、siRNA2と3との間、siRNA4と5との間、siRNA5と6との間、並びにsiRNA4と6との間で見られた。 siRNA3によるトランスフェクション後のAurkB発現の阻害。レーン1.siRNA3でトラスフェクトされたA549細胞株であり、矢印は、AurkB、41kDaタンパク質の微かなバンドを指す。レーン2.模擬処理された試料であり、AurkBタンパク質は、siRNAで処理された試料と比較して、僅かに良好な量で検出された。レーン3.レインボー低分子量マーカー。 siRNA6によるトランスフェクション後のEGFR発現の阻害。レーン1.siRNA6でトラスフェクトされたA549細胞株であり、矢印は、EGFR、170kDaタンパク質のバンドがないことを指す。レーン2.模擬処理された試料であり、EGFRタンパク質は、siRNAで処理された試料と比較して、僅かに良好な量で検出された。レーン3.レインボー高分子量マーカー。 種々のsiRNAで処理された異なる細胞株の代謝活性。対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAでトランスフェクトされた細胞との間の統計的な有意性が示され、ここではP≦0.05であった。 模擬(A−C)またはsiRNA3および6(D−F)でトランスフェクトされたPC3細胞のコロニー形成アッセイ。 siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)および各10nMと5nMのsiRNAとsiRNA6の組み合わせで処理された種々の細胞株のコロニー形成効率。コロニー形成能の有意な阻害(両側t−検定、P≦0.05)は、模擬処理された細胞と比較して、siRNAで処理された細胞の全てにおいて観察された。 AurkBおよび/またはEGFRの抑制後のLDH放出。 SIRNA3と6との組み合わせを用いてトランスフェクトされたA549細胞株における、経時的な、スクラッチの周辺からの細胞移動を示すスクラッチアッセイ。A−C:siRNA3と6をトランスフェクトされたA549細胞株。D−F:模擬トランスフェクトされた細胞株。AおよびD:スクラッチ負荷の0時間。BおよびE:スクラッチ負荷の8時間。CおよびF:スクラッチ負荷の24時間。 スクラッチアッセイによって測定された細胞移動に対するsiRNAの効果。 MTSによって測定された、(siRNA3、6または3&6による)トランスフェクションの日から8日間にわたる類表癌細胞株A431の増殖率。 MTSアッセイによって測定されるように、(siRNA3、6または3&6による)トランスフェクションの日から8日間にわたる前立腺癌細胞株PC3の増殖率を模擬処理された細胞の増殖率と比較した。 MTSアッセイによって測定された、模擬処理された細胞の増殖率と比較した、(siRNA3、6または3&6による)トランスフェクションの日から8日間にわたる非小細胞肺癌細胞株A549の増殖率。 MTSアッセイによって測定されるように、トランスフェクションの日から8日間にわたる正常な2倍体の網膜色素上皮細胞ARPE−19の増殖率を模擬処理された細胞の増殖率と比較した。 37℃、48時間のインキュベーション後のsiRNA3の血清安定性は、2.5%アガロースゲル電気泳動上で血清−siRNA混合物を分離し、その後のゲルのエチジウム・ブロマイド染色によって導き出された。siRNA3単独、アンチセンス鎖で3’−コレステロールと結合したsiRNA3、センス鎖で3’−コレステロールと結合したsiRNA3。レーン1&9.それぞれ0および48時間のsiRNA3単独。レーン2&10.それぞれ0および48時間のハイパーフェクト(Hiperfect)トランスフェクション試薬と複合化したsiRNA3。レーン3&11.それぞれ0および48時間のコレステロールを含むsiRNA3アンチセンス鎖。レーン4&12.それぞれ0および48時間のコレステロールを含み、ハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合体化されたsiRNA3アンチセンス鎖。レーン5&13.それぞれ0および48時間のコレステロールを含むsiRNA3センス鎖。レーン6&14.それぞれ0および48時間のコレステロールを含み、ハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合体化されたsiRNA3センス鎖。矢印は、37℃で48時間、100%血清とともにインキュベーション後でさえも残っているsiRNA3を指す。 37℃、48時間のインキュベーション後のsiRNA6の血清安定性は、2.5%アガロースゲル電気泳動上で血清−siRNA混合物を分離し、その後のゲルのエチジウム・ブロマイド染色によって導き出された。siRNA6単独、アンチセンス鎖で3’−コレステロールと結合したsiRNA6、センス鎖で3’−コレステロールと結合したsiRNA6。レーン1&9.それぞれ0および48時間のsiRNA6単独。レーン2&10.それぞれ0および48時間のハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合化したsiRNA6。レーン3&11.それぞれ0および48時間のコレステロールを含むsiRNA6アンチセンス鎖。レーン4&12.それぞれ0および48時間のコレステロールを含み、ハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合体化されたsiRNA6アンチセンス鎖。レーン5&13.それぞれ0および48時間のコレステロールを含むsiRNA6センス鎖。レーン6&14.それぞれ0および48時間のコレステロールを含み、ハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合体化されたsiRNA6アンチセンス鎖。矢印は、37℃で48時間、100%血清とともにインキュベーション後でさえも残っているsiRNA6を指す。 マイクロアレイ分析を用いた前立腺癌細胞PC3におけるsiRNA3によるAurkBの抑制の効果。マイクロアレイ分析は、図に示されるようにアップレギュレートまたはダウンレギュレートされた合計で829個の遺伝子を同定している。 マイクロアレイ分析を用いた前立腺癌細胞PC3におけるsiRNA6によるEGFRの抑制の効果。マイクロアレイ分析は、図に示されるようにアップレギュレートまたはダウンレギュレートされた合計で931個の遺伝子を同定している。 マイクロアレイ分析を用いた前立腺癌細胞PC3におけるsiRNA3および6によるAurkBおよびEGFRの同時抑制の効果。マイクロアレイ分析は、図に示されるようにアップレギュレートまたはダウンレギュレートされた合計で249個の遺伝子を同定している。 腫瘍内送達によるsiRNA3と6の組み合せで処された、異種移植された前立腺癌の雄性SCIDマウス。 腫瘍のウェスタンブロット。R1は、siRNA3および6の組み合せで処された動物1を表し、R2は、siRNA3で処された動物番号2を表す。Pは、プラセボ処された動物を表す。Mは、分子量マーカーを表す。矢印は、41KDaのAurkBおよび50KDaのチューブリンを指す。 siRNA3(グループA、n=6)、siRNA6(グループB、n=6)siRNA3と6との組み合せ(グループC、n=5)およびプラセボ(グループD、n=7)で処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウスの腫瘍体積。図では、平均の腫瘍体積は、それらの標準偏差とともに表されている。示された全てのデータは、分散の相同性を用いたF因子を測定し、その後、対にした両側t−検定によって、統計学的に検証され、ここではP≦0.05であった。バーは、平均のS.E.を表す。 siRNAとsiRNA6の組み合せ(グループC)およびプラセボ(グループD)で処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウス。矢印は、動物C8およびC7において、処開始から35日後の前立腺腫瘍の完全な退縮示したが、プラセボで処された動物D10は、異種移植された腫瘍の存在を示していた。 siRNA6(グループB、動物26)、siRNA3と6との組み合せ(グループC、動物6)およびプラセボ(グループD、動物10)で処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウスは、35日の処後に回収された。矢印は、回収された腫瘍組織を表す。 siRNA3(グループA)およびプラセボ(グループD)で処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウス。矢印は、処開始から35日後の前立腺腫瘍の血管新生を指す。 siRNA3およびプラセボで処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウス。処置の35日の終わりで、腫瘍を回収し、肉眼的な病理学について比較した。「D」は、プラセボで処された動物32を表す。「A」は、siRNA3で処された動物番号28を表す。 プラセボで処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウス。矢印は、処置開始から35日後の前立腺腫瘍の血管新生を指す。 siRNA3で処された、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウス。矢印は、処開始から35日後に前立腺腫瘍の血管新生がないことを指す。 siRNA6(レーン1)または模擬(レーン2)を用いたトランスフェクションの72時間後の乳癌細胞株SKBR3におけるEGFR発現(170kDa)のウェスタンブロット。内因性の対照であるチューブリン(50kDa)。レーンM:レインボー高分子量マーカー。 siRNA6(レーン1)または模擬(レーン2)を用いたトランスフェクションの72時間後の乳癌細胞株MCF−7におけるEGFR発現(170kDa)のウェスタンブロット。内因性の対照であるチューブリン(50kDa)。レーンM:レインボー高分子量マーカー。 siRNA(レーン1)または模擬(レーン2)を用いたトランスフェクションの72時間後の乳癌細胞株MCF−7におけるAurkB発現のウェスタンブロット。 siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)、各濃度が10nMのsiRNA3と6の組み合せで処理された乳癌細胞株SKBR−3、MCF−7およびHCC−38のMTSアッセイによって測定された代謝活性。10nMのsiRNA7を模擬対照として与えた。統計的な有意性は、対にした両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAでトランスフェクトされた細胞との間で測定され、ここではP≦0.05であった。 siRNA(3、6または3&6の組み合せ)で処理された乳癌細胞株(SKBR−3、MCF−7およびHCC−38)へのBrdU取り込み。10nMのsiRNA7を模擬対照として与えた。 模擬処理と比較した、siRNA3および/またはsiRNA6で処理された乳癌細胞によるLDH放出。10mMのsiRNA7を模擬対照として与えた。 模擬と比較した、siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)または10nM濃度のsiRNA3と6の組み合せで処理された乳癌細胞株のコロニー形成効率。10nMのsiRNA7を模擬対照として与えた。 siRNA3(AurkBにする)または模擬siRNA7でトランスフェクトされたHeLa子宮頸癌細胞の細胞周期分析。A:siRNA3(AurkBにする)でトランスフェクトされた細胞−77%がG2期にあり、6%がS期にあり、16%がG1期にあった。B:模擬siRNAでトランスフェクトされた細胞−17%がG2期にあり、36%がS期にあり、46%がG1期にあった。 HeLa子宮頸癌細胞は、siRNA3とsiRNA6を同時にトランスフェクトされ、トランスフェクションの72時間後に老化誘導に関して染色された。細胞のβ−グリコシダーゼ活性の検出(染色を介する)は、老化経路の活性に対応した。矢印は、青色になった細胞の一例を指し、β−グリコシダーゼ活性を示している。画像は、倍率200×を示す。
発明の詳細な説明
定義:
用語「短い核酸分子」とは、遺伝子発現を調節することができる任意の核酸分子を指す。用語「短干渉性核酸」、「siNA」または「siNA分子、「短干渉性核酸分子」、「短干渉オリゴヌクレオチド分子」とは、遺伝子発現を阻害するかまたはダウンレギュレートすることができる任意の核酸分子を指す。
典型的には、短干渉性核酸分子は、主にRNAから構成され、「短干渉性RNA」または「siRNA」とも呼ばれる場合がある。しかしながら、siNAには、RNA以外にヌクレオチド、例えばDNAi(干渉性DNA)、または他の修飾された塩基が含まれる。このようにして、用語「RNA」とは、本明細書中で使用するとき、少なくとも1つのリボヌクオチド残基を含む分子を意味し、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離されたRNA、部分的に精製されたか、純粋であるかまたは合成されたRNA、組換え的に生成されたRNA、並びに変性されたRNA、例えば類似体または天然に存在するRNAの類似体が含まれる。
用語「調節する(modulate)」または「調節する(modulates)」とは、1以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットもしくはペプチドをコードしている遺伝子の発現またはRNA分子もしくは同等のRNA分子のレベル、あるいは1以上のタンパク質サブユニットまたはペプチドの活性が、アップレギュレートされるかまたはダウンレギュレートされ、その結果、この発現、レベル、または活性が調節因子のない場合に観察されるよりも大きいかまたは小さいことを意味する。用語「調節する」には、「阻害する」が含まれる。
用語「模擬処理された」とは、siRNA7および8が適用された試料を指し、これらは、それぞれ遺伝子AurkB、およびEGFRについてスクランブルされたsiRNAである。配列のスクランブリングのため、これらのsiRNAは、対象とするいずれの遺伝子も標的にしない。模擬処理は、本明細書では、標準的な陰性対照である。
用語「遺伝子」とは、本明細書中で使用するとき、RNA配列をコードする核酸を意味し、ポリペプチドをコードする構造遺伝子に限定されない。
用語「AurkB」とは、本明細書中で使用するとき、GenBank受入番号NM 004217によってコードされたような、オーロラキナーゼまたはAurkBファミリー活性を有する任意のAurkBタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを指す:それは、アイソフォーム、変異遺伝子、スプライス変異体および多型を有するAurkBタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドをコードする任意の核酸配列を指す。
用語「標的核酸」とは、本明細書中で使用するとき、その発現または活性が調節されるべき任意の核酸配列を意味する。この標的核酸は、DNAまたはRNAであってもよい。
用語「センス領域」とは、本明細書中で使用するとき、標的核酸配列に相補性を有する小核酸分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、小核酸分子のセンス領域は、標的核酸配列と相同性を有する核酸配列を含むことができる。
用語「アンチセンス領域」とは、本明細書中で使用するとき、標的核酸配列に相補性を有する小核酸分子のヌクレオチド配列を意味する。また、それは、小核酸分子のセンス領域に相補性を有する核酸配列を含むことができる。
用語「相補性」または「相補的」とは、本明細書中で使用するとき、ある核酸が別の核酸分子と水素結合を形成し得ることを意味する。
用語「癌」または「増殖疾患」とは、本明細書中で使用するとき、当該技術分野において知られている制御されていない細胞増殖または複製によって特徴付けられる任意の疾患、状態、特性、遺伝子型または表現型を意味する。それには、細胞または組織における疾患に関連したAurkB遺伝子発現の調節に、単独であるかまたは他の治療を併用して応答可能な全てのタイプの癌、腫瘍、リンパ腫、癌腫が含まれ得る。
siNA設計および試験
一態様では、本発明は、短干渉性核酸(siNA)分子、AurkB遺伝子発現の調節におけるそれらの使用を提供する。実施される試験の主な特徴は、下記の通りである:1.siNAの設計
2.siNAの調製
3.化合物の効力試験
4.21、22、および27ヌクレオチドを有するsiRNAの比較データ
5.動物モデルでの有効性評価。
適切なsiNAの設計は、化学的に修飾しないで、AurkBを調節するための21、23、および27ヌクレオチドを有するsiRNAの設計を含んだ。AurkBおよびEGFR標的遺伝子は、接可能な部位についてスクリーニングされ、siRNAは、AurkBおよびEGFRのオープン・リーディング・フレーム(ORF)配列を考慮して合成された。下記の一般的な要件は、siNA設計において考慮された:
i.1列でA、T、G、またはUが4個以上連続しない
ii.下記の配列は、インターフェロン応答を誘導し得るため、避けた。A)5’−UGUGU−3’およびB)5’−GUCCUUCAA−3’
iii.最初の200塩基は、制御エレメントへの結合を避けるために開始コドンから除外された
iv.各々のsiNA二重鎖は、下記のパラメータを考慮して、BLAST検索で行われる非特異的(off−target)効果のサイレンシングを避けるためにインシリコ(in silico)で検証された:
A.低複雑性フィルタリングは、限定されたかまたはクエリーなしのシークエンサーに帰着するBLASTによる無意味性を避けるために除外された
B.語長は、最小値アルゴリズムである7文字に設定された
C.期待される閾値は、短配列出現の可能性を避けるために1000に設定された。
さらに、AurkBおよびEGFRなどの標的遺伝子は、接可能な部位についてスクリーニングされ、siNAは、AurkBおよびEGFRのORF配列を考慮して合成された。
化学的に保護されたホスホロアミダイト単量体を用いて、市販されている方法(例えば、キアジェン(Qiagen))によって、siNA合成を行った。得られたオリゴマーは、PAGE、脱塩、またはIE−HPLCによって精製された。各siNAの量は、MALDI−TOFによって分析され、収率は、統合された分光光度計によって測定された。
分子の効力試験は、種々の細胞株において行われた。下記の細胞株は、ATCCから入手され、ATCCの推奨通りに培養された:PC3(前立腺癌);HeLa(子宮頸癌)およびSCC−4(口腔癌);A549(非小肺癌);A431(皮膚癌);SKBR−3、MCF−7およびHCC−38(乳癌);HFF−2(正常な2倍体の線維芽細胞);およびARPE−19(正常な2倍体の網膜色素上皮細胞)。
本明細書中の他の箇所で詳述されるように、コンフルエントな単層をsiNAでトランスフェクトし、インキュベートした。トランスフェクション効率は、Cy−3標識したsiNAでトランスフェクションし、トランスフェクションの16時間後のCy−3標識された細胞をカウントすることによって測定された。また、細胞、未処理の細胞と比較した形態変化について調べた。
増殖能に対する効果
種々のsiRNAの有効性は、様々なパラメータを用いて、癌細胞株の増殖を阻害するそれらの能力を評価することによって試験された。
細胞に対する直接的なアッセイ
siRNAによって誘導される細胞毒性は、細胞壊死により培地中に放出されるLDHの量を分析することによって試験された。
siRNAの濃度と比較したコロニー形成アッセイによって測定された増殖能。また、BrdUが活発に増殖している細胞にのみ取り込まれるため、BrdUの取り込みによって増殖能を測定した。72時間のsiRNAのトランスフェクション後、カビオケム(Cabiochem)のプロコールに従って、細胞をBrdUとともにインキュベートした。取り込まれたBrdUの量、模擬処理された細胞と比較して、吸光度値によって推定した
mRNAおよびタンパク質レベルに対する効果
siRNAを用いてトランスフェクトされた細胞は、リアルタイムの定量的PCR分析またはノーザンブロット分析を用いて特異的なmRNAレベルの低下について分析された。リアルタイムPCRでは、上記のための第1鎖cDNAの調製は、キアジェンのキットを用いて行った。siRNA、模擬および未処理の試料からの第1鎖のcDNAは、鋳型として用いられ、mRNA量は、内部対照に対して正規化することによって検出された。mRNAレベルの倍数変化(fold change)は、Kenneth JLおよびThomas DS(“Analysis of relative gene expression data using real−time quantitative PCR and 2−ΔΔCt method”Methods 2001;25:402−408)のプロトコールによって測定された。
また、siRNAで処理された癌細胞株の増殖能および転移能は、リアルタイム定量的PCRを用いて、サイクリン(Cyclin)1またはpCNA(増殖性細胞核抗原)のmRNAのレベルを測定することによって試験された。これらのマーカーは、とりわけ、頭部および頸部癌、口腔癌、および肺癌の増殖および転移の指標である。
タンパク質
AurkBのタンパク質レベルをウェスタンブロットによって分析した。siRNAのトランスフェクションはmRNAレベルの減少をもたらしたが、細胞は、mRNAレベルの喪失に対処し得る様々なメカニズムを有する。
また、セントロメアおよび動原体に局在したAurkBの量は、処理された細胞と模擬処理された細胞との間の差異を測定するために試験された。これは、AurkBの抑制が細胞分裂と干渉するには十分であるかの洞察を与える。
siNA組成物
本siNAは、追加の因子を伴うかまたは伴わないで用いられてもよい。しかしながら、また、本発明は、PEIと複合体化されたAurkBおよびEGFRのコレステロール結合siNAを提供する。これらの分子の血清安定性を試験した。また、本発明は、抗EGFRのモノクローナル抗体のチオール化されたF(ab)2断片に連結したAurkBおよびEGR1のコレステロール結合siNAを提供する。これらの結合したsiNAの効果は、それらのインターフェロン応答について評価された。
動物モデル
本発明は、siNA組成物が、動物モデルにおいて腫瘍増殖を阻害し、腫瘍退縮を引き起こすことができたことを示す。したがって、本組成物および方法は、癌および増殖疾患の治療に適し、効果的である。
治療
本発明は、AurkBおよび/またはEGFR発現、したがって活性を阻害するための方法および組成物を提供する。このような阻害は、癌および他の増殖疾患の治療および管理に有用である。
下記の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれている。続く実施例に開示された技術は、本発明の実施において十分に機能するように本発明者によって見出された技術を表し、したがって、その実施のために好ましい様式を構成するように考慮され得ることは当業者に承認されなければならない。しかしながら、当業者は、本開示の観点から、多くの変更が、開示されている特定の態様においてなされ、さらに、本発明の精神および範囲から逸脱せずに同等のまたは類似結果を得られることを承認する。
(実施例1):AurkBおよびEGFRを阻害するための21、22、23、および27ヌクレオチドsiRNAの設計
標的部位の同定:
長さにして21、23または27ヌクレオチドのsiRNAは、文献(Henschel,A.,Buchholz,F.,Habermann,B.DEQOR:a web−based tool for the design and quality control of siRNAs Nucleic Acids Res.2004;32:W113−W120;Ui−Tei K,Naito Y,Takahashi F,Haraguchi T.Guidelines for the selection of highly effective siRNA sequences for mammalian and chick RNA interference.Nucleic Acids Research 2004;32(3):936−48;Sui G.,Soohoo C,el Affar B.,Gay F.,Shi Y.,Forrester W.C.&Shi Y.A DNA vector−based RNAi technology to suppress gene expression in mammalian cells.Proc.Natl Acad.Sci USA 2002;99:5515−5520;Elbashir SM,Harborth J,Weber K,Tuschl T.Analysis of gene function in somatic mammalian cells using small interfering RNAs.Methods 2002;26(2):199−213;Kim DH,Behlke MA,Rose SD,M−S chang S Choi,Rosii JJ.Synthetic dsRNA dicer−substrates enhance RNAi potency and efficacy.Nat Biotechnol,2005;23(2):222−6;Hornung V,Guenthner−Biller M,Bourquin C.Sequence−specific potent induction of IFN−α by short interfering RNA in plasmacytoid dendritic cells through TLR7.Nature Medicine 2005;11:263−270;Judge AD,Sood V,Shaw JR,Fang D,McClintock K.Sequence−dependent stimulation of the mammalian innate immune response by synthetic siRNA.Nat Biotechnol,2005;23(4):457−62)に開示されている一般的な方法を用いて設計された。
下記の基本的な要件は、siRNAを設計する場合に満たされた:
21ヌクレオチドsiRNAの設計に関して:
1.GC含は、30〜50%である
2.各siRNAの3’はdTdTの突出を有する。
22および23ヌクレオチドsiRNAの設計に関して:
1.全てのsiRNAはGまたはCにより5’−で開始する
2.各siRNA鎖の3’はdTdTの突出を有する
3.二重鎖のGC含は、40〜50%である
4.アンチセンス鎖の5’−末端鎖の最初の7塩基において少なくとも5A/U塩基。
27ヌクレオチドsiRNAの設計に関して
1.二重鎖のGC含は、40〜55%である
2.センス鎖は25ヌクレオチドであり、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の3’−末端で2ヌクレオチドの突出をもたらす27ヌクレオチドである。
3.3’−センス鎖の最後の2ヌクレオチドはリボ糖骨格の代わりにデオキシ糖を含む。4.センス鎖の5’−は突出を含み、3’−は平滑末端である。
標的部位:
AurkBおよびEGFR遺伝子の配列は、オンラインで利用可能である様々なアルゴリズムを用いて、上述した基準を満たす接可能な部位についてスクリーニングされ、この分析は手作業検査で補充された。これらの基準に基づいて、下記の部位がAurkBに対するsiRNA(siRNA1〜3)およびEGFRに対するsiRNA(siRNA4〜6)について考慮された。具体的には、siRNA1〜6(下記の表2に示される)は、下記の表1に示されるように、ORFにおける標的配列に基づいて生じさせた。
表1:siRNAが合成されたAurkB(siRNA1〜3)およびEGFR(siRNA4〜6)の標的ORF配列
Figure 2009541304
(実施例2):siRNA分子の調製
siRNA分子は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)、ベックマン(Beckmen)などの様々な会社から市販されている機械類を用いて化学的手段により合成された。これらは、下記の標準的な化学的方法のいずれかによって合成されるか、またはキアジェンから入手可能であった。化学的方法は、リボース糖の2’−炭素位置で取り込まれる保護基のタイプに基づいて分類された−
1.2−t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)
2.2−O−トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)
3.2−アセトキシエトキシ化学(ACE)
オリゴヌクレオチドの化学合成は、当該技術分野において周知であり、さらには詳述しない。
精製:
siRNAは、脱塩、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)またはIE−HPLC(イオン交換−高液体クロマトグラフィー)によって精製された。各RNA鎖の品質は、MALDI−TOFによって分析され、収率は、統合された分光光度計を用いて260nmの吸光度で測定された。MALDI−TOFによる品質管理中に、4原子質量単位の差異は、理論的に予測されるものからの許される最大の差異であった。260nmでの吸光度によって測定される各鎖に対して同程度の収率を得た後、センス鎖およびアンチセンス鎖をアニーリングし、次に、真空で凍結乾燥させた。実験時に、凍結乾燥した粉末は、RNA懸濁バッファー(100mM KCl、30mM HEPESバッファー(pH7.5)、1mM MgCl)中に懸濁させ、1分間、90℃で加熱し、凍結乾燥した粉末を溶解するために37℃で1時間インキュベートされた。これらの製造プロトコールに従って、種々の3’−末端修飾および長さを有する下記のsiRNAを合成した(表2)。
表2:AurkBおよびEGFR遺伝子のために合成されたsiRNAおよびそれらの末端修飾
Figure 2009541304
siRNA7および8は、それぞれ、遺伝子AurkBおよびEGFRに対してスクランブルされたsiRNAである。これは、これらのsiRNAが対象とするいずれの遺伝子も標的にしないことを意味する。これらは、陰性対照として用いられ、常に、模擬処理される実験において参照された。
(実施例3):種々の癌細胞株におけるAurkBおよびEGFRの発現分析
定量的リアルタイムPCRによる遺伝子発現分析
種々の癌細胞株におけるAurkBおよびEGFRのmRNAレベルを正常な2倍体の細胞のものと比較した。遺伝子の発現レベルは、定量的リアルタイムPCRによって比較された。この試験で用いられた細胞株には、PC3(前立腺癌)、A549(非小細胞肺癌)、A431(類表皮癌)、HeLa(子宮頸癌)、SCC−4(舌の扁平上皮細胞癌)が含まれ;正常な細胞の中には、HFF−2(正常な2倍体の線維芽細胞)およびARPE−19(2倍体の網膜色素上皮細胞)が含まれる。リアルタイムPCR分析用の第1鎖のcDNAの調製は、小さな変更を含むが、キアジェンのファースト・レーン(Fast lane)細胞cDNAキット(カタログ番号215011)を用いて行った。要約すると、20,000個の細胞をペレットにし、一回洗浄し、溶解し、gDNAワイプアウト(wipeout)バッファー(キアジェン)を添加し、42.5℃で30分間インキュベートすることによってゲノムDNA汚染を取り除いた。第1鎖のcDNAは、42.5℃、45分間クオンチスクリプト(Quantiscript)逆転写酵素を添加し、次に、95℃で3分間インキュベーションすることによって合成された。調製された第1鎖のcDNAは、定量的リアルタイムPCR用に即座に用いられるかまたはさらに使用するまで−20℃で保存された。
癌細胞(HeLa、A549、PC3およびA431)は、コンフルエントの60〜70%で維持された。回収の24時間前に新鮮な培地を添加した。第1鎖のcDNAは、ファースト・レーン細胞cDNAキット(キアジェン)のプロトコールに従って、上述されるように実験細胞から調製された。アンチセンス、模擬および未処理の試料からの第1鎖のcDNAは鋳型として用いられ、内部対照のβ−アクチンに対して正規化することによってmRNAレベルを定量した。
AurkBおよびEGFRの発現は、正常な2倍体の癌細胞と比較して数倍変化した。前立腺癌細胞株PC3を除いて、表3に示されるように、この試験で試験された他の全ての癌細胞株は、対照細胞より、多くのAurkBおよびEGFR両方のmRNAを発現させた。
表3.2倍体の細胞と比較した癌細胞におけるAurkBおよびEGFRのmRNAの相対的な発現
Figure 2009541304
AurkBおよびEGFRのウェスタンブロット分析
細胞を回収する24時間前に培地を交換して、細胞を60〜70%のコンフルエントになるまで増殖させた。タンパク質の溶解物は、製造業者のプロトコールに従って、哺乳動物のタンパク質抽出試薬(MPER、カルビオケム(Calbiochem))を用いて作製した。ブラッドフォード(Bradford)の総タンパク質の推定に基づいて、AurkBについては15%SDS PAGE、EGFRについては10%SDS−PAGE上で等量のタンパク質を分離した。SDS−PAGE上で分離されたタンパク質は、予め染色されたレインボー分子量マーカー(カタログ番号RPN755、アマシャム・バイオサイエンス(Amersham Biosciences))とともに、プレウェットのニトロセルロースメンブレン上に110V、70分間でウェスタンブロット転写に供された。エレクトロ・ブロッティングによるタンパク質の転写は、ポンソー(Ponceau)S染色(シグマ(Sigma))によって確認された。振動台上で、室温で1時間、このブロットをブロッキング溶液(5%スキムミルク粉末)中でインキュベートした。ウサギ抗AurkB(カタログ番号A5102、シグマ)、内部対照としてのマウスアルファチューブリン抗体(カタログ番号T6199、シグマ)とともにインキュベートする前に、このブロットは、PBST(0.1%Tween 20を含むリン酸緩衝生理食塩水)に交換して、各々5分で3回、オービタル(orbital)シェーカー上で洗浄された。次に、ブロットを一次抗体とともに一晩、4℃でインキュベートし、その後、上述のようにPBSTで洗浄し、あらゆる非特異的に結合した一次抗体を取り除いた。PBSTで洗浄後、アルカリホスファターゼを結合させた二次抗体とともに、オービタルシェーカー上で2時間、室温でこのブロットをインキュベートした。これらの二次抗体には、チューブリンを検出するためのアルカリホスファターゼを結合されたウサギ抗マウス抗体(カタログ番号A3438、シグマ)が含まれ、ヤギ抗ウサギ抗体(カタログ番号111−055−003、ジャクソン(Jackson))は、AurkB抗体を検出するために用いられた。ブロットをそれぞれPBSTで各々10分間、3回洗浄し、その後、BCIP/NBT基質溶液(カタログ番号B6404、シグマ)を用いて発色させた。AurkB(41KDa)、EGFR(170KDa)および内因性の対照としてのチューブリン(50KDa)に対応するタンパク質バンドが、図1および2に示されるように検出された。
図1では、細胞株ARPE−19(正常な2倍体の網膜色素上皮細胞、レーン1)、HeLa(子宮頸癌、レーン2)、A431(類表皮癌、レーン3)、A549(非小細胞肺癌、レーン4)およびPC3(前立腺癌細胞、レーン5)をオーロラキナーゼBの発現について分析した。それぞれの細胞株からの粗タンパク質溶解物を15%SDS−PAGE上で分離し、ニトロセルロースメンブレン上にブロットした。転写されたタンパク質含むメンブレンは、ヤギ抗ウサギ抗体ALP結合のALPを結合したヤギ抗マウス抗体によって検出されるウサギ抗オーロラキナーゼB抗体とマウス抗アルファチューブリンモノクローナル抗体で探査された。ブロット中の41KDaは、AurkBを表し、50KDaは、内因性の対照としてのチューブリンを表す。AurkBは、全ての細胞に発現している。
図2では、細胞株HeLa(子宮頸癌、レーン1)、PC3(前立腺癌細胞、レーン2)、A549(非小細胞肺癌、レーン3)、A431(類表皮癌、レーン4)、SCC−4(舌の平上皮細胞癌腫、レーン5)、HFF−2(正常な2倍体の線維芽細胞、レーン6)およびARPE−19(正常な2倍体の網膜色素上皮細胞、レーン7)は、上皮細胞増殖因子受容体1(EGFR)の発現について分析された。それぞれの細胞株からの粗タンパク質溶解物は、10%SDS−PAGE上で分離され、ニトロセルロースメンブレン上にブロットされた。転写されたタンパク質を含むメンブレンは、ヤギ抗ウサギALP結合した、およびALPと結合したヤギ抗マウス抗体によって検出されるウサギ抗EGFR抗体およびマウス抗アルファチューブリンモノクローナル抗体で探査された。ブロットでは、170KDaはEGFRを示し、50KDaは内因性の対照として検出されたチューブリンを示す。EGFRは、全ての細胞に発現されるが、類表皮癌種細胞株A431および舌の平上皮細胞癌腫SCC−4は、より多量に発現した。
(実施例4):有効性の試験
A.種々の細胞株において:
オリゴヌクレオチドのトランスフェクション/siRNAトランスフェクション:
HeLa(子宮頸癌)、SCC−4(口腔癌)、A549(非小細胞肺癌)、A431(類表皮癌)、PC−3(前立腺癌)、HFF−2(正常な2倍体の線維芽細胞)およびARPE−19(正常な2倍体の網膜色素上皮細胞)細胞株をATCCから入手し、T−25フラスコ(カタログ番号156367、ヌンク(Nunc))中で、トランスフェクションの24時間前に培地を交換して、70〜80%のコンフルエントで維持された。細胞株は、他に指示がなければ、継代数が10に到達する前にsiRNAの全てのトランスフェクションのために用いられた。トランスフェクション時に、細胞をトリプシン処理し、24ウェルプレート(カタログ番号143982、ヌンク)、または任意の他の標準的な組織培養のディスポーザブルプラスチック製品に適切な細胞密度で再度播種した。実験のために、他に記載がなければ、全てのトランスフェクションは、所定の実験に用いられる細胞株に依存して細胞密度を変化させて、24ウェルプレート中で行った。24ウェルプレートの各ウェルは、400μLを超えない増殖培地を用いて、トランスフェクションの1時間前に適切な細胞密度で細胞が播種され、5%CO、37℃でインキュベートされた。この培地に、希釈したsiRNAが最終濃度10nM(20μMストックから0.3μLのsiRNAを添加し97μLのOpti−MEM Iまで添加した。次に、リポソームを形成する陰イオン性および陽イオン性脂質の両方を含むトランスフェクション試薬であるハイパーフェクト(キアジェン)3μLを添加し、ボルテックスによって混合し、その後、室温で10分間インキュベートした。EGRFおよびAurkBなどのsiRNAの組み合わせについては、個々のsiRNAを、各々10nM混合し、用いた。全ての実験では、siRNA7および/またはsiRNA8の模擬対照を用いた。
インキュベーションの終わりに、siRNA−リポソーム複合体を十分に混合し、細胞を含む各ウェルに静かに滴下し、混合し、次に、37℃、5%COでインキュベートした。トランスフェクション効率は、トランスフェクションの16時間後に、Cy3標識されたsiRNAを示す細胞数をカウントすることによって各細胞について得られた。細胞をトリプシン処理し、PBSで1回洗浄し、PBS中に懸濁した。倒立蛍光顕微鏡で細胞を観察し、15箇所の異なる視野で蛍光細胞の数と細胞の総数をカウントした。Cy3標識された細胞の割合は、トランスフェクション効率に対応し、HeLa細胞の97%からA549細胞の70%の範囲であった。表4および図3(siRNA7を用いたトランスフェクションの例を示す)を参照されたい(siRNA1〜8は全て類似の結果を与えた)。
表4.種々の細胞に対するCy3標識したsiRNAによって測定されたトランスフェクション効率
Figure 2009541304
B)siRNAを用いた細胞株のトランスフェクションの際に観察された形態的特徴
トランスフェクションの48時間後、細胞(A431、SCC−4、A549およびHeLa)は、未処理の細胞株と比較して、多様な形態的特徴を示した。siRNA3と6の組み合わせは、有意な細胞死および形態変化を引き起こした。有意な細胞死は、siRNA6を用いてトランスフェクトされた細胞において認められたが、形態変化はなかった。siRNA3を用いて処理された細胞は、図4に示されるように、球形をとり、72時間のトランスフェクションによって培養プレートから徐々に剥離した。
C)癌細胞株の増殖阻害において設計された種々のsiRNAの有効性の同定
PC3(前立腺)およびHeLa(子宮頸部)癌細胞株は、種々のsiRNA(長さが異なる)を単独で、組み合わせてトランスフェクトされた。トランスフェクションの24時間後、96ウェルプレートに1ウェル当たり8000個の密度で細胞を三連で撒いた。72時間後、キット(カタログ番号QIA58、カルビオケム)の使用説明書に従って、BrdUとともに細胞を3時間インキュベートした。BrdUの取り込みは、固定試薬の添加によって停止され、細胞を透過性にして、抗BrdU抗体による標識を可能にした。この抗体は、540nmの参照フィルターを使用して、450nmでの吸光度値によって測定される発色生成物にHを変換するセイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)結合されている。吸光度は、模擬処理された細胞と比較して、siRNAでの処理後にS期にある細胞の比率の推定をもたらす。
全ての実験は、三連で行い、それらの平均値および標準偏差が得られた。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAで処理された細胞との間で測定され、ここではP≦0.05であった。siRNA3と6を用いたトランスフェクション後のBrdUの取り込みは、それぞれ、模擬処理された細胞における取り込みの30および58%であった。また、siRNA1、2、4または5を用いた細胞の処理により、模擬と比較してBrdU取り込みを減少させたが、siRNA3または6を用いて処理された細胞ほどではなかった(図5)。統計的な有意性は、模擬処理された細胞と全てのsiRNAで処理された細胞との間、siRNA2と3との間、siRNA4と5との間、siRNA5と6との間、並びにsiRNA4と6との間に見られた。これらの結果は、siRNA3がsiRNA2よりも強力であり、siRNA6がsiRNA4と5よりも強力であることを示している。
D)リアルタイム定量的PCR分析:
理論に拘束されないで、siRNAを用いた細胞のトランスフェクションは、結果としてRNAi経路を活性化させ、そこでは、このsiRNAに相補的なmRNAが分解され、それにより、mRNAレベルおよびそのmRNAによってコードされる生じるタンパク質のレベルを低下させると考えられる。siRNAの有効性は、siRNAトランスフェクション後のmRNAレベルを測定することによって決定することができる。定量的リアルタイムPCRを用いて、siRNAでトランスフェクトされた種々の細胞株の中でAurkBとEGFRの両方のmRNAレベルを測定し、模擬でトランスフェクトされた細胞と比較した(表5)。
表5.リアルタイムPCRによって測定された、種々の癌細胞株のsiRNAトランスフェクションの72時間後のAurkBおよびEGFR発現レベルの倍数減少
Figure 2009541304
概して、siRNA3と6の組み合わせは、siRNA3または6単独よりもAurkBおよびEGFR mRNAの低下に効果的であった。
E)AurkBタンパク質レベルの分析:
siRNAでトランスフェクトされたPC3、A431、A549およびHeLa細胞は、トランスフェクションの72時間後に総タンパク質抽出に供された。siRNA処理は、模擬処理された試料と比較して、AurkBタンパク質発現を90%(例えば、図6)およびEGFRを95%(例えば、図7)低下させた。タンパク質発現の減少は、リアルタイムPCRで見られたmRNAレベルの減少を反映している。
例えば、図6では、肺癌細胞株A549をsiRNA3で処理し、72時間後にAurkB発現について分析し、模擬処理された細胞と比較した。等量のタンパク質を全てのウェルに入れ、同程度の量の、転写されたタンパク質を確するために、内因性の対照のタンパク質アルファチューブリン(50kDa)もブロットで検出した。レーン1.siRNA3でトランスフェクトされたA549細胞株、ここでは、矢印はオーロラB、41kDaタンパク質の薄いバンドを指している。レーン2.模擬処理された試料、ここでは、オーロラBタンパク質はsiRNAで処理された試料と比較して、かなり良好な量で検出された。レーン3.レインボー低分子量マーカー。
図7は、siRNA6を用いたトランスフェクションの72時間後のA549細胞のウェスタンブロットを示す。等量のタンパク質を全てのウェルに積層し、同程度の量の、転写されたタンパク質をするために、内因性の対照のチューブリン(50kDa)もブロットで検出した。レーン1.siRNA6でトランスフェクトされたA549細胞株、ここでは、矢印は、170kDaタンパク質であるEGFRのバンドがないことを指している。レーン2.模擬処理された試料、ここでは、EGFRタンパク質は、siRNA処理された試料と比較して、かなり良好な量で検出された。レーン3.レインボー高分子量マーカー。
F)アンチセンスRNAで処理された癌細胞株の増殖能および転移能の測定:
1)細胞増殖効率についてのバイオマーカー分析:Ki−67抗原および増殖性細胞核抗原(Proliferative Cell Nuclear Antigen:PCNA)は、癌の増殖および転移のマーカーである。これらの抗原の発現は、不良な臨床予後と相関している。
トランスフェクションの72時間後、Ki−67発現をELISAによって測定した(Sui G.,Soohoo C,el Affar B.,Gay F.,Shi Y.,Forrester W.C.&Shi Y.(2002)A DNA vector−based RNAi technology to suppress gene
expression in mammalian cells.Proc.Natl
Acad.Sci.USA,99,5515−5520)。モノクローナル抗Ki−67抗原抗体(Sigma)は、一次抗体として用いられ、ヤギ抗マウスIgM−μ鎖特異的HRP結合抗体は、二次抗体として用いられた。吸光度値を450nmで得て、それらの平均および標準偏差を模擬処理および未処理の対照と比較した。siRNAでトランスフェクトされた癌細胞は、未処理細胞と比較して、Ki−67抗原の発現レベルの減少を示し、未処理細胞の91.3%から未処理の39%程度の低さまでの範囲であった(表6)。Ki−67のレベル減少は、AurkB、EGFR、またはそれらの両方の阻害がトランスフェクトされた細胞の有糸分裂指数を減少することを支持している。
表6.ELISAによって測定されるように、AurkB、EGFRまたはそれらの両方の阻害がKi−67抗原の発現を減少させる。
Figure 2009541304
PCNA mRNAは、定量的リアルタイムPCRを用いて、siRNAでトランスフェクトされたPC3、A431、SCC−4およびA549細胞株において測定された(表7)siRNA3による肺癌細胞株A549の処理により、PCNAレベルが有意に低下した。siRNA3と6の組み合わせは、SCC−4細胞において、個別に処理されたsiRNAと比較して、PCNAレベルの低下において相加効果を示した。模擬処理された試料と比較して、PCNAの発現レベルの低下は、これらの細胞株の増殖能が大幅に低下したことを示している。
表7.AurkBおよび/またはEGFRに対するsiRNAを用いた種々の細胞株のトランスフェクションに対するPCNA発現の倍数減少
Figure 2009541304
F)細胞増殖アッセイ:
siRNA3および6は、それらの模擬または未処理試料と比較して、それぞれのmRNA、並びにタンパク質レベルを首尾よく低下した。細胞の代謝に対するこのような阻害の影響は、NADまたはNADPをそれぞれNADHまたはNADPHに還元するトランスフェクトされた細胞の能力を測定することによって決定された。siRNAトランスフェクションの24時間後、細胞(HeLa、A431、A549およびPC3)をトリプシン処理し、カウントし、96ウェルプレートでウェル当たり1000個の細胞の濃度で再度播種した。細胞をさらに48時間インキュベートして、その後、プロメガ(Promega)の細胞−タイター96 水性非放射性アッセイキット(カタログ番号G5421)のプロトコールに従って細胞の代謝状態を測定した。要約すると、100μLの増殖培地を96ウェルプレートから回収し、それに20μLの細胞タイター96水溶液を添加し、4時間、37℃、5%COでインキュベートした。630nmの参照フィルターを使用して、プレートを490nmで読み取った。三連のものからの吸光度値の平均および標準偏差を測定し、代謝的に活性な細胞の割合または細胞増殖を模擬処理された細胞と比較して推測した。増殖効率は、細胞株、siRNAの正体、およびsiRNA濃度に依存して変化した。siRNA3と6の組み合わせによるトランスフェクションは、図8に示されるように、代謝活性を大きく低下させた。
図8は、siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)およびそれぞれ10nMと5nMの濃度のsiRNA3と6の組み合わせで処理された種々の細胞株を示す。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAでトランスフェクトされた細胞との間で測定され、ここではP≦0.05であった。有意な増殖阻害は、全ての細胞株(PC3、A549、A431およびHeLa)において得られ、そこでは、AurkB、EGFRまたはその両方が標的にされた。しかしながら、両方のmRNAが、組み合わせでのsiRNA3と6を使用して同時に阻害された場合には、細胞株のいずれにおいても相加効果はなかった。
E)コロニー形成アッセイ:
コロニー形成アッセイを用いて、腫瘍を引き起し、成長させるsiRNA処理された細胞の能力を評価した。24ウェルプレートで細胞(HeLa、A431、A549およびPC3)のトランスフェクションの24時間後、これらの細胞をトリプシン処理し、カウントし、三連で6ウェルプレート当たり300個の細胞の濃度で再度播種した。模擬処理および未処理の細胞株の対照も調製した。10日間のインキュベーション後、細胞をPBSで1回洗浄し、300μLの0.1%クリスタルバイオレットで5分間染色し、その後、PBSで3回洗浄した。これは、トランスフェクトされ、6ウェルプレートで300細胞/ウェルの密度で、三連で播種された前立腺癌細胞株PC3を示す図9において容易に見ることができる。図9では、A〜Cは、模擬処理された細胞を表し、D〜Fは、siRNA3と6で処理された細胞を表す。
少なくとも50個の細胞を含むコロニーの数を倒立顕微鏡でカウントした。標準偏差は、三連のものから導き出され、コロニー形成阻害の割合は下記の式:
コロニー形成阻害率=(対照のコロニー形成率−実験のコロニー形成率)/対照のコロニー形成率×100
を用いて得た。
種々の癌細胞の処は、用量依存的な様式で100〜57%コロニー形成能力を阻害した。図10は、siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)およびそれぞれ10nMと5nM濃度のsiRNA3と6の組み合わせで処理された種々の細胞株のコロニー形成効率を示す。siRNA3および6で処理された全ての細胞株は、模擬処理および未処理の細胞株と比較して、コロニーを形成する異なるレベルの阻害を示した。細胞株HeLaは、siRNA3で処理されると、100%のコロニー形成阻害を示し、これは、AurkBタンパク質に子宮頸癌が100%依存していることを示唆している。細胞株PC3、A549およびA431では、AurkB阻害は、模擬処理された細胞と比較して、コロニー形成能力の有意な阻害をもたらした。また、EGFR抑制は、コロニー形成能力の減少をもたらした。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAでトランスフェクトされた細胞との間で測定され、ここではP≦0.05であった。コロニー形成能力の有意な阻害は、模擬処理された細胞と比較して、siRNAで処理された全ての細胞で観察された。しかしながら、模擬処理細胞と未処理細胞との間のコロニー阻害において得られた結果は有意ではなかった。また、AurkBおよびEGFRの同時抑制によっても相加効果は観察されなかった。
F)癌細胞死および/または膜の完全性に対するsiRNAトランスフェクションの効果
LDH放出を用いて、トランスフェクトされた細胞における低下したレベルのAurkBおよびEGFRの細胞毒性を測定した。細胞株(PC3、A431、A549、HeLa、ARPE−19およびHFF−2)をsiRNAでトランスフェクトし、三連で24ウェルプレートに20,000細胞/ウェルの密度で播種した。72時間後、細胞を軽く遠心分離して、死んで浮遊した細胞を取り除き、100μLの使用済みの培地を別の96ウェルプレートに回収し、シグマLDHアッセイキット(カタログ番号TOX−7)のプロトコールに従ってLDHを評価した。690nmの参照フィルターを使用して、490nmでの吸光度値を測定した。平均および標準偏差は、三連のウェルから計算し、未処理の細胞株と比較した。図11に示されるように、LDHは、AurkBおよび/またはEGFRのmRNAを阻害した後に放出され、これは、細胞壊死および/または膜の完全性の損傷を指示している。正常な2倍体の細胞株ARPE−19は、試験された癌細胞と比較して、部分的にしか影響されないままである。A549とA431におけるAurkBの阻害は、模擬処理された細胞と比較して、それぞれ150%および60%のLDH放出をもたらし、PC3およびHeLaは、65%および52%のLDH放出を示した。比較すると、EGFRの抑制は、模擬処理された試料と比較して、PC3、A549、A431およびHeLa細胞からのそれぞれ150%、90%、47%および100%のLDH放出をもたらした。EGFRとAurkBの同時の抑制は、LDH放出におけるいずれの相加効果も引き起こさなかった。全てのsiRNA処理された細胞は、AurkB阻害後に有意性が見られなかったARPE−19細胞の場合を除いて、模擬処理された細胞と比較して、統計的に有意な(P≦0.05)LDH放出を示した。癌細胞と比較して正常な細胞から放出されたLDHの制限された量は、AurkBまたはEGFRの喪失に対処る癌細胞の場合において固有の不安定性があることを示している。
G)アポトーシスに対するAurkBおよび/またはEGFR阻害の効果
siRNAトランスフェクションがアポトーシスを誘導するかどうかを決定するために、トランスフェクトされたPC3、A549、A431、HeLa、HFF−2およびARPE−19細胞においてアネキシン(Annexin)Vを調べた。カルビオケムのアネキシンV−PEアポトーシス検出キットに従って、細胞をトリプシン処理し、バッファーに懸濁し、siRNAトランスフェクション後に種々の時間間隔(8時間、16時間、24時間、48時間および72時間)でPE標識したアネキシンVを用いて染色した。アネキシンVへの結合を示す細胞数を全体で試料当たり150個の細胞から記録した。アポトーシス誘導は観察されなかった。
(実施例5):組み合わせのインビトロ試験
A)癌細胞浸潤アッセイ:
癌細胞の転移する能力は、それらによるマトリックスメタロプロテイナーゼの分泌、およびE−カドヘリンの発現によって強められる。細胞株(A549およびPC−3)は、三連トランスフェクション直後に、3×10細胞/ウェルの密度でコラーゲンIVコートされた24ウェルプレートに播種された。24ウェルプレートへ播種してから24時間後、10μLのピペットチップを用いて、細胞の単層が確立されたウェルを横切ってスクラッチを与え。スクラッチされた領域へ移動した細胞の数は、スクラッチの8時間後および24時間後にカウントされた。これは図12で見ることができ、このスクラッチアッセイは、肺癌細胞株A549の浸潤性を示している。コラーゲン(0.3mg/mL)コートされた24ウェルプレートに3×10/ウェルの密度で細胞を播種した。siRNA3および6のトランスフェクションは、各5nMのsiRNAを用いて前記で説明したように三連で行った。トランスフェクションの24時間後、ピペットチップでスクラッチを与え、増殖培地を添加して、使用済みの培地と交換した。スクラッチした領域(長方形の点の黒色ボックスによって示される)に移動した細胞の数は、スクラッチを与えて8時間後および24時間後にカウントされた。
A〜C:siRNA3および6でトランスフェクトされたA549細胞株。D〜F:模擬でトランスフェクトされた細胞株。
AおよびD:スクラッチを与えてから0時間。BおよびE:スクラッチを与えてから8時間。CおよびF:スクラッチを与えてから24時間。
図13に示されるように、この効果を定量した。細胞株PC3およびA549は、24ウェルプレート中でsiRNAを用いてトランスフェクトされた。24時間のトランスフェクションの終わりに、10μLのピペットチップを用いて、24ウェルプレートの各ウェルを横切ってスクラッチを作った。ウェルをPBSで1回洗浄し、新鮮な増殖培地を添加し、スクラッチ作製の最中に剥離た細胞および死んだ細胞を除去した。スクラッチを与えてから8時間後、およびスクラッチを与えてから24時間後に細胞を観察した。スクラッチに移動した細胞数を記録した。細胞株PC3およびA549のうち、細胞の移動において、それぞれ60%および47%の阻害を示した。24時間では、siRNAに晒された細胞(AurkBノックダウン細胞)のほんの45%および17%が、それぞれPC3およびA549細胞の場合に移動した。siRNA6に晒された細胞(EGFRノックダウン細胞)の場合には、47%および23%の細胞が、それぞれPC3およびA549細胞について移動した。細胞移動は、siRNA3および6の両方に晒された場合、即ち、AurkBおよびEGFRの両方がそれぞれPC3およびA549細胞についてノックダウンされた場合に57%および9%であった。これは、A549細胞株の場合にAurkBおよびEGFRの同時ノックダウンによって、細胞移動の阻害に対して相加効果があったことを示している。得られた結果は、対をなす両側t−検定によって、24時間で、模擬処理された細胞とsiRNAで処理された細胞との間に統計的な有意性があることが分かり、ここではP≦0.05であった。
全体で、siRNA3のトランスフェクションは、結果としてPC3およびA549細胞株の移動をそれぞれ70%および50%阻害した。siRNA6トランスフェクションは、細胞株PC3およびA549に対して、それぞれ40%および70%の程度まで細胞移動を阻害した。siRNA3と6によるトランスフェクションは、AurkBおよびEGFRの両方を阻害し、細胞株A549およびPC3について、それぞれ85%および80%スクラッチへの細胞移動を阻害した。
B)siRNAで処理された種々の癌細胞株の増殖動力学
癌細胞株および正常な2倍体の細胞株は、24ウェルプレートでsiRNA3および/または6でトランスフェクトされた。トランスフェクションの24時間後、細胞をトリプシン処理し、三連で、96ウェルプレートに1000細胞/ウェルの密度で播種した。48時間後、代謝的に活性である細胞の数は、トランスフェクション後の8日まで、24時間ごとに、プロメガの細胞−タイター96水溶液キットを用いて測定された。24時間ごとに存在している細胞の数を測定し、したがって、siRNAでトランスフェクトされた細胞の増殖率は、細胞の代謝状態を示すMTSアッセイによるものであった。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって測定され、ここではP≦0.05であった。結果を図14〜17に要約する。
図14は、MTSによって測定した、(siRNA3、6または3と6による)トランスフェクションの日から8日間にわたる類表皮癌腫細胞株A431の増殖率を示す。統計的に有意なデータは、下記について得られた:第3および4日−siRNA(3、6および3と6)で処理された試料と模擬処理された試料との間。さらに、siRNA3、siRNA6およびsiRNA3と6の組み合せで処理された細胞の間。第5、6、7および8日−siRNA(3および3と6)で処理された試料と模擬処理された試料との間。さらに、siRNA3およびsiRNA3と6の組み合せで処理された細胞の間。AurkBとEGFRの両方の阻害が、最も低い増殖率を示した。
図15は、模擬処理された細胞と比較した、(siRNA3、6または3と6による)トランスフェクションの日から8日間にわたる前立腺癌細胞株PC3の増殖率パーセントを示す。統計的に有意なデータは、下記について得られた:第3日−siRNA3で処理された細胞と模擬処理された細胞との間;第4、5および6日−siRNA3ならびにsiRNA3と6の組み合せで処理された細胞と模擬処理された細胞との間;第7および6日−組み合せで処理された細胞と模擬処理された細胞との間。
図16は、模擬処理された細胞と比較した、(siRNA3、6または3と6による)トランスフェクションの日から8日間にわたる非小細胞肺癌細胞株A549の増殖率を示す。統計的に有意なデータは、下記について得られた:第3および4日−siRNA3で処理された細胞と模擬処理された細胞との間。
図17は、模擬処理された細胞と比較した、トランスフェクションの日から8日間の正常な2倍体の網膜色素上皮細胞ARPE−19の増殖率を示す。統計的に有意なデータは、下記について得られた:第4および5日−有意な増殖阻害は、siRNA3およびsiRNA3と6の組み合せで処理された細胞と模擬処理された細胞との間で観察された。siRNA6で処理された細胞を用いた場合、いずれの日でも増殖率の有意な減少はなかった。siRNAで処理された細胞の増殖率の増加は、第8日で観察され、これは模擬処理された細胞におけるコンフルエントによるものであった。siRNAで処理された細胞は、トランスフェクションの第4日までに観察されたこれらの細胞の増殖の阻害に起因して、徐々にコンフルエントに到達する。
処理された全ての細胞のうち、癌細胞A431(類表皮癌)は、トランスフェクションの8日後でさえ、最大の阻害効果を示した。しかしながら、正常な2倍体の細胞であるARPE−19は、細胞増殖の阻害に対する非常に制限された効果を示した。これは、siRNAが癌細胞を選択的に阻害することを示している。
C)癌細胞株の細胞周期に対するsiRNAトランスフェクションの効果:
癌細胞は、常に増殖状態を維持しているので、所定時間に細胞周期のS期で維持している細胞の数が腫瘍の増殖能を決定する。siRNAでトランスフェクトされた細胞(細胞株PC−3およびHeLa由来)は、96ウェルプレートにウェル当たり8000個の細胞の密度で播種され、細胞周期に対するsiRNA3および/または6の効果、したがって、腫瘍細胞株の増殖指標を制御する能力を測定した。トランスフェクションの72時間後、細胞をBrDu取り込みにし、上述したように細胞周期のS期にある細胞の数を測定した。吸光度値から、細胞周期のS期にある細胞の割合は、模擬処理された細胞を参照して得られた。全ての実験は、三連で行われ、それらの平均および標準偏差が得られた。前立腺癌細胞株PC3を用いて、siRNA3および/または6によるトランスフェクションは、細胞周期のS期を経て進行する細胞の能力を阻害した。阻害は、PC3(対照の25%)で最も高く、HeLa細胞は、模擬処理された対照の75〜80%であり、より少ない阻害を示した。また、データは、siRNA3と6の両方を用いたPC3に対するトランスフェクションの相加効果を示した。
D)コレステロールと結合したsiRNAおよびハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合体化されたsiRNAの血清安定性:
コレステロールは、siRNA3もしくは6のセンスまたはアンチセンスのいずれかの3’−末端に結合された。コレステロールを結合したsiRNAは、血清安定性、並びにインビトロでのAurkBおよびEGFR発現を阻害する能力について、結合していないsiRNAと比較された。
血清安定性は、1μgのsiRNAについて試験され、10μLの100%ヒト血清とともに、37℃、24時間、48時間および72時間インキュベートされた。インキュベーションの終わりで、siRNAは、1%アガロースゲル電気泳動上で試験された。コレステロールと結合したsiRNAにおいて観察された移動シフトは、様々な血清タンパク質の結合、したがって、血清ヌクレアーゼによる分解からのsiRNAの保護に起因していた。図18および19に見られるように、コレステロールと結合したセンス鎖は、結合したアンチセンス鎖または結合していないsiRNAよりも安定であった。さらに、siRNAとハイパーフェクト・トランスフェクション試薬との複合化は、血清安定性を増強しなかった。センス鎖の3’−末端でコレステロールと結合したsiRNAは、より安定であることが分かり、100%血清条件で37℃、48時間のインキュベーション後でさえ検出することができた。2つのsiRNAのうち、siRNA6は、siRNA3と比較してより安定であることが分かった。これは、GC含量の増加および得られる高いTmに起因している可能性がある。
mRNAを阻害する能力をHeLa細胞で試験した。コレステロールを結合したsiRNA3および6は、結合していないsiRNAと比較して、それぞれAurkBおよびEGFRのmRNAの阻害において3倍および4倍強力であった。
E)種々の癌細胞株のsiRNAトランスフェクションによるインターフェロン−α応答の誘導
コレステロールを結合したsiRNA3(AurkB)およびsiRNA6(EGFR)は、他に記載したように、種々の癌細胞株(PC−3、A431、A549およびHFF−2)に組み合わせてまたは個々にトランスフェクトされ、24ウェルプレートで72時間インキュベートされた。72時間の終わりに、プレートを遠心分離し、死細胞を除去し、100μLの上清を回収した。丸底ELISAプレートで上清を一晩、4℃でインキュベートした。次に、ウェルをPBST(0.1% Tween 20を含むリン酸緩衝生理食塩水)で簡単に洗浄し、非結合の抗原を取り除き、5%スキムミルク粉末で30分間、室温でインキュベートし、PBST中で各5分、3回洗浄し、その後、抗ウサギ抗インターフェロアルファ抗体で1時間、室温でインキュベートした。次に、前述の通り、ウェルをPBSTで3回洗浄し、HRP結合したヤギ抗ウサギ抗体でさらに1時間、室温でインキュベートした。インキュベーション時間の終わりに、HRP基質を添加した。560nmの参照フィルターを使用して、450nmで吸光度値を記録した。模擬処理された試料および未処理の試料と比較した吸光度値に基づいて、インターフェロン応答が得られた。それらの標準偏差値は三連のものから測定され、結果を図8に示した。siRNAトランスフェクションは、多くの場合、IFNアルファ産生と関連付けられる。しかしながら、処理または未処理の細胞において、IFNアルファの統計的に有意な放出はなく、これは、siRNA3および6がいずれのIFNアルファ応答も導き出さないことを示した。
表8.インターフェロンα応答の誘導に対するsiRNAトランスフェクションの効果
Figure 2009541304
は、統計的に、P≦0.05では、有意性が観察されなかったことを示す。
G)転写に対する効果
標的mRNAに対するsiRNAの特異性は、前述されるように、siRNAでトランスフェクトされた前立腺癌細胞(PC3)において試験された。トランスフェクションの72時間後、総RNAは、キアジェンの総RNA単離キット(RNeasy Mini kit)のプロトコールに従って調製され、全量2μgのRNAを10μLの水に懸濁させた。RNAのは、変性ホルムアルデヒドゲル上で検証し、OD比は、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)の分光光度計を用いて測定された。アプライド・バイオシステム(Applied Biosystems)のナノ・インビトロ転写増幅キットのプロトコールに従って、1μgの総RNAをDIG標識したcRNAに変換させた。得られた増幅RNAの14μgをヒトゲノム・サーベイアレイにハイブリダイズさせ、これは、29,098遺伝子の照合のための一連の60bpのプローブを含む。このアレイは、55℃、17時間でハイブリダイズされ、その後、洗浄し、アルカリホスファターゼと連結させたDIGに対する抗体に結合させた。化学発光検出基質を添加後、アレイをスキャンした。自動グリッド化(autogridding)は、画像ソフトウェアによって行い、各遺伝子の強度を数値に変換する結果ファイルを作成し、シグナルが高くなり、数値が高くなると、試料に存在する遺伝子の量が増す。
逆転写(RT)、インビトロ転写(IVT)、ハイブリダイゼーションおよび化学発光検出から開始されるアッセイの各工程および全ての工程に対しては、対照を加えた。品質レポートは、マイクロアレイ実験の成功を確かめるのに役立つこれらの対照について生じさせた。一度、QCレポートを満たしたら、スポットファイアー(Spotfire)を用いて二次解析を進めた。このソフトウェアは、データを正規化し、「t検定」を実行して、2つの条件の間で異なって発現した遺伝子を定した。また、複製を平均化し、2つの条件に対する倍数変化値を測定した。異なって発現されたプローブIDは、Pantherデータベースを経て分類され、どの経路または生物学的プロセスが異なって発現された遺伝子の中で影響を受ける定し、ダウンレギュレートされたかまたは制御されなかった遺伝子の数を決定した。最小の1から4.5を超える倍数変化の範囲およぶ転写発現レベルの変化を図20〜22に示し、ここでは、前立腺癌細胞は、AurkB(siRNA3)(図20)、EGFR(siRNA6)(図21)または両方(siRNA3と6)(図22)に対して阻害された。これらの図は、未処理の対照と比較して、アップレギュレートまたはダウンレギュレートされたmRNAの数を示している。観察された転写変化は、AurkBとEGFRの両方が個々にではなく同時にノックダウンされる場合に、般的に遺伝子抑制がないことを示している。AurkBの下流標的物であるヒストンH3、およびEGFR下流標的物であるAKTが阻害された。さらに、AurkBおよびEGFRをノックダウンされた細胞における転写のプロフィールは、メタル・プロテアーゼの組織阻害因子(TIMPS)、カスパーゼ(アポトーシスの誘導に関する)の全体にわたる活性化、および血管形成に必要とされるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害があることを示している。
(実施例6):siRNAはインビボにおける前立腺腫瘍に対して効果的であった
1.SCIDマウスにおける有効性試験
インビボでsiRNAの有効性を試験するために、異種移植片の前立腺癌腫瘍、100μLの体積のPBS3×10細胞mL−1の密度でヒト前立腺癌細胞株PC3を一方の腹に皮下注射することによって、6〜8週齢の雄性SCIDマウスに誘導た。マウスは、3週間の終わりまでに、約40〜50mmの腫瘍を発生させた。マウスを2つのグループに分けた。グループRは、siRNA3と6の組み合わせで処された5匹の動物からなっていた。グループCは、PBS中のトランスフェクション試薬のみを受けた3匹の動物からなっていた。siRNA処の8日後、腫瘍の大きさを評価し、それら標準偏差を図23に示されるように観察した。試験された2つのグループのうち、siRNA3と6の組み合わせで処された動物は、プラセボ処された動物と比較して、腫瘍増殖の約50%の減少を示した。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって測定され、ここではP≦0.05であった。腫瘍退縮を引き起こすという観点からの統計的な有意性は、第3、4および5日で処された動物とプラセボ処された動物との間で観察された。
腫瘍組織を動物から回収し、全タンパク質を抽出し、ウェスタンブロット分析に供した。癌組織からの全タンパク質溶解物は、15%SDS−PAGE上で分離し、抗AurkB抗体、並びに内因性の対照としての抗チューブリン抗体を用いて探査した。図24に示されるように、siRNA3と6の組み合わせを用いた処により、結果として、AurkB発現を完全に阻害し、siRNA3だけで処されたマウスは、AurkB発現の部分的な阻害を示した。
2.ヌードマウスにおける有効性試験
異種移植片の前立腺癌におけるsiRNAの有効性を試験するために、腫瘍、100μL体積のPBS3×10細胞mL−1の密度で前立腺癌細胞株PC3を腹の一方に皮下注射することによって、40匹の6〜8週齢の雄性無胸腺ヌードマウスに誘導た。マウスは、3週の終わりまでに約50〜100mmの腫瘍を発生させた。腫瘍を発生させたマウスは下記の4グループに分けた
1.グループA−100μgのsiRNA3で処されたマウス
2.グループB−100μgのsiRNA6で処されたマウス
3.グループC−100μgのsiRNA3と100μgのsiRNA6の組み合わせで処されたマウス
4.グループD−プラセボで処されたマウス。
センス鎖でコレステロールと結合され、ハイパーフェクト・トランスフェクション試薬と複合化された100μgのsiRNAは、各マウスに腫瘍内に注射された。100μgのsiRNAの週に一度の投薬を4週間継続した。陽イオン性および陰イオン性リポソーム処方物の混合物と複合体化した、コレステロールを結合したsiRNAの送達は、直接的な腫瘍内送達、並びに等量の異種移植された腫瘍の部位で皮下送達を伴う。グループDにおけるプラセボで処された動物は、siRNAを欠如している処方物を全て受けた。腫瘍測定は、デジタルのワーナー・キャリパー・スケールを用いて、週に2回行われた。腫瘍の体積は、下記の式を用いてた。腫瘍の体積=(WXL)2、ここで、Wは腫瘍の幅であり;Lは、腫瘍の長さであり、デジタルキャリパー・スケールによって測定された。35日の終わりに動物を屠殺し、肉眼的な病理学について観察した。肉眼的な病理学的観察は下記であった:
1.プラセボで処された動物は、異種移植された前立腺腫瘍の非常に高い血管新生を示した。
2.プラセボで処された動物は、淡色の腎臓を示した。リンパ系への腫瘍の転移/増殖が観察された。
3.プラセボで処された動物は、siRNA処された動物と比較して、行動観察から弱く、不健康であった。
35日の終わりに、各グループについて腫瘍退縮は、図25に示されるように得られた。図25では、前立腺癌を異種移植された雄性無胸腺ヌードマウスは、siRNA3(グループA、n=6)、siRNA6(グループB、n=6)siRNA3および6組み合せ(グループC、n=5)およびプラセボ(グループD、n=7)で処された。統計的に有意な腫瘍退縮は、プラセボと比較して、同様にsiRNA3および/または6で処されたマウスにおいて見られた。試験された全てのグループのうち、siRNA3&6の組み合せが最も良い結果を示し、プラセボに対して80%腫瘍退縮を示し;siRNA3で処された動物は、67%退縮を示し;siRNA6は、プラセボで処された動物に対して70%腫瘍退縮を示した。得られた結果は、プラセボ、並びに下記の測定日での他の動物のグループと比較して有意であり、実験が終了するまで継続した:
第21日:データは、グループC(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
データは、グループB(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
第28日:データは、グループC(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
データは、グループB(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
データは、グループA(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
第35日:データは、グループC(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
データは、グループB(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
データは、グループA(腫瘍退縮)対グループDにして有意であった
データは、グループC(腫瘍退縮)対グループAにして有意であった。
図25に示されたデータの概要は、さらに、図26〜31に示されるように、異種移植片の前立腺癌を含むヌードマウスの観察された病理学によって理解され得る。図26では、siRNA3およびsiRNA6の組み合せを用いたマウスの処は、動物C8およびC7における処開始から35日後の、前立腺腫瘍の完全な退縮に影響を及ぼし、腫瘍は、プラセボで処された動物D10において明確に存在していた。図27では、プラセボ(グループD、動物10)から、35日後に単離した前立腺腫瘍が、siRNA6(グループB、動物26)またはsiRNA3&6組み合せ(グループC、動物6)で処された動物から単離されたものよりも非常に大きいことは明らかである。同様な結果は、図29においても見られる。
また、siRNA処は、異種移植された前立腺腫瘍の血管新生を減少させた。この現象は、EGFRの阻害だけに因らない。なぜなら、それは、AurkBを標的にしているsiRNA3で処されたマウスにおいても観察されたためである。例えば、図28は、プラセボで処されたマウスは、siRNA3で処されたマウス(グループA)と比較して、目立つ血管新生した腫瘍(グループD)を有することを示す。図30では、矢印は、処置の35日後にプラセボで処されたマウスにおける前立腺腫瘍の血管新生を指している。比較すると、siRNA3で処されたマウスにおいては血管新生はない(図31)。
得られた結果は、前立腺腫瘍の退縮については、腫瘍の臨界体積および投薬量があることを示している。試験した全てのsiRNAのうち、siRNA3と6の組み合せは、81%の腫瘍退縮を引き起した(図25〜27)。他方で、グループA(siRNA3、AurkB)動物は、プラセボで処理された動物と比較して、67%の退縮を示した(図25、28および29)。グループB(siRNA、EGFR)動物は、プラセボで処理された動物と比較して、70%退縮を示した(図25および27)。肉眼的な病理学の観察から、図30および31において観察されるように、AurkBを標的にすることは、血管形成の阻害と関連付けられることが示唆された。
また、これらの結果は、前立腺腫瘍の初期の体積と必要とされる投薬量が、治療薬としてsiRNA3、6およびそれらの組み合せの効果的な応用について測定することが必要であることを示している。siRNA処された動物および未処の動物の得られた腫瘍退縮、肉眼的な病理学の観察および般的な行動パターンは、実際にこれらのsiRNAが臨床条件下で治療薬として適用されるという可能性を有することを示している。
(実施例7):siRNAは乳癌細胞に対して効果的であった
乳癌細胞のために用いられるプロトコールは、他に指示がなければ、他の癌について上述された通りである。乳癌細胞株SKBR3およびMCF−7は、siRNA6でトランスフェクトされ、72時間後、EGFRタンパク質発現についてウェスタンブロットにより分析された。対照として、細胞は、模擬でトランスフェクトされ、即ち、細胞はsiRNA7でトランスフェクトされた。等量のタンパク質を全てのウェルに装填し、転写されたタンパク質が同程度の量であることを確実にするために、内因性の対照としてアルファチューブリンに対するブロットも試験された。図32(SKBR3)および図33(MCF−7)に示されるように、siRNA6トランスフェクションは、EGFR発現(170kDaバンド)を強力に抑制した
siRNA3(AurkBを標的にする)によるMCF−7のトランスフェクションは、AurkB発現を抑制した。図34に示されるように、トランスフェクトされた細胞は、僅かに検出可能なAurkBタンパク質を発現し、AurkBは、模擬処理された細胞において容易に観察された。siRNA3、6または3と6を用いる主な目的は、それぞれのタンパク質AurkB、EGFRまたはその両方の発現レベルを阻害することである。siRNAでトランスフェクト細胞において視認できるバンドがない場合、それは、対象とするタンパク質の発現のノックダウンにおけるsiRNAの有効性を示している。さらに、等量のタンパク質がゲルに装填され、タンパク質アルファチューブリン(50kDa)も対照として検出された。
ウェスタンブロットにより得られた結果は、前述の通り、リアルタイムPCRを用いたmRNAレベルの試験によって確かめられた。下記の表9は、mRNAがsiRNA3および/またはsiRNA6でトランスフェクトされた細胞において抑制されたことを示している。
表9.種々の癌細胞株のsiRNAトランスフェクションの72時間後のAurkBおよびEGFRレベルの発現における倍数減少
Figure 2009541304
siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)および各10nM濃度のsiRNA3と6の組み合せで処理された種々の細胞株の代謝活性は、MTSアッセイによって測定された。図35に示されるように、siRNA3および6で処理された全ての細胞株は、模擬処理された細胞株および未処理の細胞株と比較して阻害を示す。細胞株HCC−38は、10nM濃度で有意な増殖阻害を示し、これは、最大の遺伝子抑制に必要とされる最適濃度が細胞間で変化し得ることを示唆している。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAでトランスフェクトされた細胞との間で測定され、ここではP≦0.05であった。有意な増殖阻害は、AurkB、EGFRまたは同時にその両方について阻害された全ての細胞株(SKBR3、MCF−7およびHCC−38)において観察された。AurkBおよびEGFR発現の同時の抑制は、AurkBまたはEGFR発現のいずれか単独での抑制よりも増殖を阻害した。
BrdU取り込みは、図36に示されるように、siRNA(3、6および3と6の組み合せ)または模擬、siRNA7でトランスフェクトされた後、SKBR−3、MCF−7およびHCC−38細胞株において試験された。トランスフェクションの48時間後、細胞は、一晩、BrdUとともにインキュベートされ、450nmで吸光度値を測定することによってBrdUについて分析された。全ての実験は、三連で行い、それらの平均の吸光度値は、細胞増殖/腫瘍の増殖能の指標となる、細胞周期のS期における細胞の割合として示された。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAで処理された細胞との間で測定され、ここでは、P≦0.05であった。統計的な有意性は、模擬処理された細胞と全てのsiRNAで処理された細胞との間、並びにAurkB、EGFRおよびそれらの組み合せで処理された細胞間に見出された。
また、AurkB、EGFRまたは同時にその両方の抑制は、結果として、培地中へのLDH放出をもたらす壊死の誘導または膜の完全性の損傷を誘導する。図37は、模擬処理された細胞に対するsiRNAで処理された細胞からのLDH放出を示す。試験された全ての細胞株のうち、AurkおよびEGFR両方の同時抑制は、AurkBまたはEGFR単独と比較して、より多くのLDH放出をもたらした。試験された細胞株のうち、MCF−7は、模擬に対して150〜300%の最大LDH放出を示し、模擬処理された試料に対して、それぞれ、SKBR−3は、50〜150%を示し、HCC−38は、20〜70%を示した。全ての実験は、三連で行われ、統計的な有意性(P≦0.05である)は、模擬処理された細胞およびsiRNAで処理された細胞と比較して、siRNA3で処理された細胞、siRNA6で処理された細胞、およびsiRNA3と6で処理された細胞の間で見出された。しかしながら、HCC−38では、siRNA3処理とsiRNA6処理との間に有意な差はなかった。
また、コロニー形成効率は、siRNA3(10nM)、siRNA6(10nM)、各10nM濃度のsiRNA3と6との組み合せ、および10nMの模擬で処理された乳癌細胞株において調べた。統計的な有意性は、対をなす両側t−検定によって、模擬処理された細胞とsiRNAでトランスフェクトされた細胞との間で測定され、ここではP≦0.05であった。図38に示されるように、コロニー形成能の有意な阻害は、模擬処理された細胞と比較して、siRNA3、siRNA6、またはsiRNA3と6の両方で処理された全ての細胞において観察された。しかしながら、siRNA3および6で処理されたMCF−7細胞、MCF−7で処理されたものにおいて見られた有意な差はなかった。SKBR−3細胞株においては、siRNA3単独は、コロニー形成を80%阻害することができた。
(実施例8):AurkB siRNAは細胞周期のG期に癌細胞を停止させた。
AurkBについてsiRNA3およびEGFRについてsiRNA6を用いて独立にまたは同時にトランスフェクトされた癌細胞株(HeLa、A549およびPC3)は、72時間後に回収された。細胞をPBSで洗浄し、70%氷冷エタノール中で4℃、60分間固定された。次に、細胞をPBSで洗浄し、ヨウ化プロピジウム(0.1%のクエン酸ナトリウム中、5μg/Lのヨウ化プロピジウムおよび0.2mg/mL−1のRNase)で30分間、4℃で処理された。ヨウ化プロピジウムで染色された細胞は、(FACScaliber、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose、CA))を用いてフロー分析に供された。Cell Questソフトウェアを用いて10,000回のゲートイベントについてデータを取得し、ModFitLT2.0(ベリティー・ソフトウェア・ハウス(Verity Software House)、メイン州トップシャム(Topsham、ME))を用いて分析した。
AurkBのノックダウンは細胞周期のG2期での癌細胞の停止をもたらす
図39Aに示されるように、(siRNA3を用いた)AurkBのノックダウンは、結果として、細胞周期のG2期での細胞の停止もたらした。表10に示されるように、例えば、siRNA3でトランスフェクトされたHeLa子宮頸癌細胞では、77%の細胞がG2期にあり、A549およびPC3のトランスフェクトされた細胞は、それぞれ22%および37%の細胞がG2期にあった。オーロラキナーゼが小分子阻害剤によって阻害された場合、同様の結果が以前に報告された(Rojanala S,Han H,Munoz R,Browne W,Nagle R,Von Hoff D and Bearss D.The mitotic serine kinase,Aurora−2,is a potential target for drug development in human pancreatic cancer.Mol.Cancer Therapeutics 2004;451−457)。しかしながら、EGFRノックダウン細胞(siRNA6でトランスフェクトされた)においては、G2捕捉は示されなかった。さらに、細胞におけるG2停止の誘導における相加効果は、siRNA3およびsiRNA6の両方でトランスフェクトされた細胞(即ち、ここでは、AurkBおよびEGFRはノックダウンされた)では示されなかった。本試験で試験された細胞株は、アポトーシスを示さなかった。
表10:ヨウ化プロピジウム染色、その後のフローサイトメトリー分析によって測定されるように、AurkBのノックダウン(siRNA3を用いたトランスフェクションによる)は有糸細胞分裂のG2期に細胞の停止をもたらす。
Figure 2009541304
HeLa細胞は、siRNA3(AurkBに対する)および模擬siRNA7を用いてトランスフェクトされた。72時間後、細胞をトリプシン処理し、フローサイトメーターを用いた細胞周期の分析のためにヨウ化プロピジウムで標識された。図39Aに示されるように、siRNA3(AurkBに対する)でトランスフェクトされた細胞では、77%がG2期にあり、6%がS期にあり、ほんの16%がG1期にあった。対照的に、図39Bに示されるように、模擬siRNA7でトランスフェクトされた細胞では、たった17%がG2期にあり、36%がS期にあり、46%がG1期にあった。これは、AurkBについてノックダウンされた細胞がG2停止に移行し、S期に移行する可能性はほとんどなく、アポトーシス誘導を示さないことを明示している。
これらの結果は、細胞死が、AurkB(siRNA3を用いる)のノックダウンの際にG2期で細胞の停止によって誘導されるのに対して、EGFRのノックダウン(siRNA6を用いる)によって細胞周期に影響しないことを示している。これは、AurkBのノックダウンの場合に膜の完全性の損傷を受けている細胞によ、培地中へのLDHの放出の理由であり得る。
(実施例9):AurkBおよびEGFRのsiRNAは単独または共に癌細胞の老化を誘導する。
HeLaおよびA431細胞は、上述されるように、独立にまたは同時にsiRNA3および6を用いて、24ウェルプレートにおいてトランスフェクトされた。72時間後、トランスフェクトされた細胞は、ケミコン(Chemicon)老化アッセイキットのプロトコールに従って、老化アッセイに供された。要約すると、細胞をPBSで2回洗浄し、固定溶液で30分間、室温で固定した。固定後、細胞をPBSで2回洗浄し、X−gal溶液とともに一晩、37℃でインキュベートした。インキュベーション後、光学顕微鏡を用いて、総合倍率200倍で細胞を観察した。デジタルカメラを用いて、24ウェルプレートの各ウェルについて10箇所の異なる視野で画像を回収した。デジタルで取り込んだ画像は、所定の画像内における青色を示す細胞数と細胞の総数をカウントすることによって分析された。老化を示す細胞の割合は、細胞の総数からた。全ての実験は三連で行い;統計的な有意性は、t−検定によって測定し、ここではP≦0.05であった。
AurkBのノックダウンは、単独でまたはEGFRノックダウンと共に癌細胞の老化を誘導する:
AurkBのノックダウン(siRNA3を用いてトランスフェクトすることによる)は、模擬処理された細胞(siRNA7を用いる)と比較して、HeLa子宮頸癌細胞の27%において老化を誘導した。siRNA7(模擬)またはsiRNA6(EGFRに対する)でトランスフェクトされた細胞では、老化の有意な誘導は見られなかった。一方、表11および図40に示されるように、AurkBとEGRRの両方が同時にノックダウンされた(siRNA3およびsiRNA6の両方でトランスフェクトされた細胞による)場合、増大された老化の誘導が観察された。データは、同様の結果がA431上皮癌細胞において生じことを示す。
表11.AurkBのノックダウンは、単独またはEGFRのノックダウンと共に子宮頸癌細胞における老化の誘導をもたらす。
Figure 2009541304
模擬に対して統計的意、P≦0.05。
大部分の癌細胞は、模擬処理された細胞と比較して、AurkBもしくはEGFRのいずれか、またはそれらの同時のノックダウンの72時間後、老化経路の刺激を示す。これは、G2停止とは別に、老化経路の活性化はAurkBのsiRNAによって誘導される細胞死の更なるメカニズムであることを示している。
(実施例10):siRNA処はインビボにおいて乳癌腫瘍に対して有効である。
siRNA3および/またはsiRNA6がインビトロにおいて種々の癌に対して効果的であり、インビトロの結果も前立腺腫瘍を用いたインビボ実験における結果を反映したことがされているため、siRNAの有効性をヒトの乳癌に対して試験る。乳癌細胞についてのプロトコールは、他に指示がなければ、他の癌について上述された通りである。
乳癌細胞株SKBR−3、MCF−7およびHCC−38は全て、ヌードマウスにおいて腫瘍を形成することができる。実施例6に記載されるPC3前立腺癌細胞を用いて使用されるプロトコールに従って、乳癌細胞をマウスに注射し、腫瘍を形成することができる。次に、siRNAを腫瘍に毎週注射される。その後、マウスは、一般的な健康、腫瘍サイズ、腫瘍血管新生および肉眼的な病理学について試験される。
結果は、統計的に有意な乳房腫瘍の退縮が、プラセボと比較して、siRNA3および/または6を用いて処されたマウスにおいて生じることを示す。結果は、siRNA3および/6が異種移植された乳房組織の血管新生も減少させ、この現象は、EGFRの阻害だけに起因しないことを示す
乳房腫瘍の最初の容積および必要とされる投薬量は、治療薬としてsiRNA3、6およびそれらの組み合せの有効な適用について調べなければならない。他の癌に加えて、これらのsiRNAは、臨床条件下での乳癌に対する治療薬として適用される可能性がある。
本明細書に開示され、請求されている全ての組成物および方法は、本開示に照らして過度の実験なしに作製し実施することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様の観点で記載されているが、当業者には、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、変更が、本明細書に記載された組成物および/または方法、並びに方法の工程または工程の順番に適用されてもよいことは明らかである。より具体的には、化学的または生理学的に関連するある種の薬物は、本明細書に記載された薬物と置換することができ、同じであるかまたは類似した結果が達成されることは明らかである。当業者に明らかであるこのような類似の置換および修飾の全ては、本発明の精神、範囲および概念に含まれるものとみなされる。

Claims (25)

  1. AurkB発現を調節する短い核酸分子であって、該短い核酸分子が、配列番号1、配列番号2および配列番号3からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、分子
  2. 前記短い核酸分子が、
    (a)配列番号7のセンス鎖および配列番号8のアンチセンス鎖を含むsiRNA1;
    (b)配列番号9のセンス鎖および配列番号10のアンチセンス鎖を含むsiRNA2;ならびに
    (c)配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3
    からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載の分子
  3. (a)AurkBの発現を直接調節するか;または
    (b)AurkBの発現を調節する少なくとも1つの分子に結合するか;または
    (c)AurkB発現を阻害する、請求項1に記載の分子
  4. 前記短い核酸分子が、短干渉性核酸(siNA)、短干渉性RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(μRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、および干渉性DNA(DNAi)分子からなる群から選択される、請求項に記載の分子
  5. 前記短い核酸分子が、19〜30ヌクレオチド、25〜29ヌクレオチド、または27ヌクレオチドであるか;または
    該短い核酸分子が、全長AurkBヌクレオチド配列内の配列に相補的である19〜30ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の分子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の分子、および医薬として許容される担体を含む、組成物。
  7. 脂質、ポリマーおよび/またはモノクローナル抗体をさらに含むか、または前記短い核酸分子がコレステロールに結合している、請求項に記載の組成物。
  8. EGFRの発現を調節するかまたはEGFRの発現を減少させる第2の短い核酸分子をさらに含む、請求項6または7に記載の組成物。
  9. (a)前記第2の短い核酸分子が、配列番号4、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むか;
    (b)前記第2の短い核酸分子が、
    (i)配列番号13のセンス鎖および配列番号14のアンチセンス鎖を含むsiRNA4;
    (ii)配列番号15のセンス鎖および配列番号16のアンチセンス鎖を含むsiRNA5;ならびに
    (iii)配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6
    からなる群から選択される配列を有するか;または
    (c)前記短い核酸分子が、配列番号11のセンス鎖および配列番号12のアンチセンス鎖を含むsiRNA3を含み、前記第2の短い核酸分子が、配列番号17のセンス鎖および配列番号18のアンチセンス鎖を含むsiRNA6を含む、請求項に記載の組成物
  10. 前記組成物は、脂質、陽イオン性脂質、リン脂質、およびリポソームからなる群から選択される送達因子と組み合わせて使用されることを特徴とするか;または
    前記組成物は、モノクローナル抗体、化学療法、放射線療法、またはそれらの組み合わせと組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項に記載の組成物
  11. 前記短い核酸分子が、配列番号3の配列全体に相補的であって長さが30ヌクレオチドまでのヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の組成物。
  12. 前記短い核酸分子が、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該センス鎖が配列番号11を含み、該アンチセンス鎖が配列番号12を含む、請求項11に記載の組成物。
  13. EGFRの発現を調節する第2の短い核酸分子をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
  14. 前記第2の短い核酸分子が、配列番号6に相補的であるヌクレオチド配列を含む、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記第2の短い核酸分子が、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該センス鎖が配列番号17を含み、該アンチセンス鎖が配列番号18を含む、請求項13に記載の組成物。
  16. AurkBの発現を調節する短い核酸分子を含む組成物であって、該短い核酸分子は長さが22〜30ヌクレオチドであり、該分子中の少なくとも22連続するヌクレオチドが配列番号3中の少なくとも22連続するヌクレオチドと100%相補的である、組成物。
  17. 細胞におけるAurkBの発現を調節するための、癌細胞の増殖を阻害するための、癌細胞の増殖を減少させ、および/もしくは癌細胞の壊死を増加させるための、癌細胞をG2期に停止させるための、または癌細胞の老化を誘導するための、インビトロにおける方法であって、該細胞を、請求項1〜5のいずれかに記載される短い核酸分子または請求項6〜16のいずれかに記載の組成物と接触させる工程を包含する、方法。
  18. 癌もしくは増殖性疾患を処置するため、または癌細胞の増殖を減少させ、および/もしくは癌細胞の壊死を増加させるため、癌細胞をG2期に停止させるため、または癌細胞の老化を誘導するための方法において使用するための請求項1〜5のいずれかに記載の分子。
  19. 前記癌が、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、脳の癌、食道癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭部および頸部癌、卵巣癌、メラノーマ、リンパ腫、神経膠腫、および多剤耐性癌からなる群から選択される、請求項18に記載の分子。
  20. 癌もしくは増殖性疾患を処置するため、または癌細胞の増殖を阻害するため、または癌細胞の増殖を減少させ、および/もしくは癌細胞の壊死を増加させるため、癌細胞をG2期に停止させるため、または癌細胞の老化を誘導するための医薬の製造における、請求項1〜5のいずれかに記載の分子の使用。
  21. 治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法において使用するための、請求項1〜5のいずれかに記載の分子。
  22. 癌もしくは増殖性疾患を処置するため、または癌細胞の増殖を減少させ、および/もしくは癌細胞の壊死を増加させるため、癌細胞をG2期に停止させるため、または癌細胞の老化を誘導するための方法において使用するための、請求項6〜16のいずれかに記載の組成物。
  23. 癌もしくは増殖性疾患を処置するため、または癌細胞の増殖を阻害するため、または癌細胞の増殖を減少させ、および/もしくは癌細胞の壊死を増加させるため、癌細胞をG2期に停止させるため、または癌細胞の老化を誘導するための医薬の製造における、請求項6〜16のいずれかに記載の組成物の使用。
  24. 治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法において使用するための、請求項6〜16のいずれかに記載の組成物。
  25. 前記癌が、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、脳の癌、食道癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭部および頸部癌、卵巣癌、メラノーマ、リンパ腫、神経膠腫、および多剤耐性癌からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
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