JP2011516094A - 干渉rnaを用いたcsn5遺伝子発現のサイレンシング方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸を含む組成物、およびCSN5遺伝子発現をサイレンシングするための該組成物の使用方法を提供する。より具体的には、本発明は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする非修飾干渉RNA分子および化学修飾干渉RNA分子、ならびにその使用方法、例えば、癌などの細胞増殖障害を治療するための使用方法を提供する。本発明はまた、干渉RNA分子、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および任意で粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸-脂質粒子を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2008年4月15日に出願された米国特許仮出願第61/045,251号に係る優先権を主張する。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
細胞増殖およびプログラム細胞死は、生物の成長および発達において重要な役割を果たしている。癌のような増殖性疾患においては、細胞増殖および/またはプログラム細胞死の過程が、しばしば、攪乱される。例えば、癌細胞は、おそらく変異のため、細胞周期の正の調節因子の過剰発現または細胞周期の負の調節因子の減少のいずれかを通して、無調節の細胞分裂を有していることがある。または、癌細胞は、アポトーシスの負の調節因子の過剰発現を通して、プログラム細胞死を受ける能力を失っていることもある。従って、癌細胞のチェックポイントコントロールおよびプログラム細胞死の過程を回復するであろう、新しい治療剤を開発する必要が存在している。
RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)の認識が、最終的に、遺伝子発現の転写後抑制をもたらす、進化的に保存された過程である。この抑制は、相補塩基対合を通してmRNAの特異的な分解を誘導する、低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれる短いdsRNAによって媒介される。いくつかのモデル系において、この天然の応答は、遺伝子機能の調査のための強力なツールへと開発されている(例えば、Elbashir et al.,Genes Dev.,15:188-200(2001)(非特許文献1);Hammond et al.,Nat.Rev.Genet.,2:110-119(2001)(非特許文献2)参照)。より最近、合成21ヌクレオチドdsRNA二重鎖の哺乳動物細胞への導入が、遺伝子発現を効率的にサイレンシングし得ることが発見された。正確な機序はまだ不明であるが、RNAiは、関心対象の遺伝子を不活化するための新しい方式を提示する。特に、癌のような新生物障害の処置のため、RNAiは、ある種の遺伝子、例えば、抗アポトーシス分子、増殖因子、増殖因子受容体、有糸分裂紡錘体タンパク質、細胞周期タンパク質、血管形成因子、癌遺伝子、細胞内シグナル伝達因子、分子シャペロン、およびそれらの組み合わせの発現をモジュレートする(例えば、低下させる)ための可能性のある新しいアプローチを提供する。
このような標的の1つはJun活性化結合タンパク質(Jab1)であり、c-Junの活性化ドメインと相互作用することによって初めて特定された(Claret et al., Nature, 383:453-457(1996)(非特許文献3))。Jab1は、転写因子c-JunまたはJunDの複合体を、これらの特定のAP-1転写因子結合部位において安定化して、標的遺伝子活性化の特異性を高める。シロイヌナズナ(Arabidopsis)においてCOP9シグナロソーム(CSN)の一成分として相同タンパク質が特定されており(Kwok et al., Plant Cell., 10:1779-1790(1998)(非特許文献4))、その後に、COP9シグナロソームサブユニット5(CSN5)と名付けられた(Deng et al., Trends Genet., 16:202-203(2000)(非特許文献5))。Jab1/CSN5はCOPS5とも知られ、約40kDaの可溶性タンパク質である。他のCSNサブユニットと同様に、Jab1/CSN5は植物界と動物界の間で高度に保存されており、シロイヌナズナに由来する相同タンパク質とヒトに由来する相同タンパク質は>60%のアミノ酸同一性を有する。Jab1/CSN5はN末端にMPN(MPR1-PAD1-Nterm)ドメインを含有する(Hofmann et al., Trends Biochem. Sci., 23:204-205(1998)(非特許文献6))。このドメインは、CSNサブユニットのいくつか、プロテアソームの調節蓋部(regulatory lid)、および翻訳開始因子eIF3に共通にあり、いくつかの未知のタンパク質に存在している(Glickman et al., Cell, 94:615-623 (1998)(非特許文献7); Hofmann et al., 前記(非特許文献6); Wei et al., Curr. Biol., 8:919-922 (1998)(非特許文献8))。
Jab1/CSN5の過剰発現が、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、胎児性横紋筋肉腫、および口腔扁平上皮癌において報告されている(Kouvaraki et al., Cancer Res., 63:2977-2981 (2003)(非特許文献9); Sui et al., Clin. Cancer Res., 7:4130-4135 (2001)(非特許文献10); Tsuchida et al., Jpn. J. Cancer Res., 93:1000-1006 (2002)(非特許文献11); Fukumoto et al., Oncol. Rep., 11:277-284 (2004)(非特許文献12); Shintani et al., Oncology, 65:355-362(2003)(非特許文献13))。さらに、Jab1/CSN5の高発現は低レベルのp27および予後不良と関連づけられており、このことは、Jab1/CSN5が、これらの腫瘍タイプの進行において重要な役割を果たしている可能性があることを示している。ヒトの癌が発生している間の早期硬変および腺腫様過形成(dysplastic nodule)の最近のマイクロアレイをベースとした発現プロファイリング研究から、前新生物病変から肝細胞癌(HCC)への悪性形質転換にMyc転写シグネチャーの活性化が不可欠であることが特定されている(Lee et al., Hepatology, 40:667-676(2004)(非特許文献14))。実際に、Myc転写シグネチャーの存在はJab1/CSN5の高発現とかなり相関していた。
現在、インビボでJab1/CSN5発現を有効に阻害する公知の治療剤は無く、Jab1/CSN5機能の調節を目標とした研究戦略には、インビトロ細胞培養系ではRNAiが用いられてきた。例えば、siRNAを用いてJab1/CSN5発現を低下させると、インビトロ細胞増殖アッセイにおいてHep3B細胞増殖が中程度に阻害された(Patil et al., Carcinogenesis, 26:2050-2057 (2005)(非特許文献15))。Kim et al. (Mol. Cell. Biol., 24:2251-2262 (2004)(非特許文献16))および米国特許出願公開第20050069918号(特許文献1)もまた、Jab1/CSN5 siRNAを用いたインビトロ細胞培養系について述べている。しかしながら、これらの戦略は、HCCなどの癌を治療するための治療法として試みられておらず、結果として、インビボでJab1/CSN5機能を有効に阻害することができる薬剤が長く求められている。
従って、Jab1/CSN5遺伝子発現を特異的に調節するための組成物および方法が必要とされている。本発明は、これらの必要および他の必要に対処する。
米国特許出願公開第20050069918号
Elbashir et al.,Genes Dev.,15:188-200(2001) Hammond et al.,Nat.Rev.Genet.,2:110-119(2001) Claret et al., Nature, 383:453-457(1996) Kwok et al., Plant Cell., 10:1779-1790(1998) Deng et al., Trends Genet., 16:202-203(2000) Hofmann et al., Trends Biochem. Sci., 23:204-205(1998) Glickman et al., Cell, 94:615-623 (1998) Wei et al., Curr. Biol., 8:919-922 (1998) Kouvaraki et al., Cancer Res., 63:2977-2981 (2003) Sui et al., Clin. Cancer Res., 7:4130-4135 (2001) Tsuchida et al., Jpn. J. Cancer Res., 93:1000-1006 (2002) Fukumoto et al., Oncol. Rep., 11:277-284 (2004) Shintani et al., Oncology, 65:355-362(2003) Lee et al., Hepatology, 40:667-676(2004) Patil et al., Carcinogenesis, 26:2050-2057 (2005) Kim et al., Mol. Cell. Biol., 24:2251-2262 (2004)
本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、およびmiRNA)を含む組成物、ならびにこのような組成物を用いてCSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法を提供する。さらに具体的には、本発明は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする非修飾干渉RNA分子および化学修飾干渉RNA分子、ならびにその使用方法、例えば、癌(例えば、肝臓癌)などの細胞増殖障害を治療するための使用方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、長さが約15〜約60ヌクレオチド(例えば、長さが約15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、もしくは19〜25ヌクレオチド、または長さが15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25ヌクレオチド)の二本鎖領域を含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができるsiRNA分子を提供する。
siRNAは、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする配列の少なくとも1つまたはカクテル(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含んでもよい。一部の態様において、siRNAは、表1〜2に示した配列の少なくとも1つまたはカクテルを含む。CSN5 siRNAは非修飾配列でもよく、(例えば、少なくとも1つの2'OMe-ヌクレオチドおよび/または本明細書に記載の他の任意の修飾ヌクレオチドを含む)修飾ヌクレオチドを含有してもよい。ある特定の好ましい態様において、修飾CSN5 siRNA配列は、対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少ない。ある特定の他の好ましい態様において、siRNAは、CSN5-2 siRNA配列もしくはその化学修飾バージョン、例えば、CSN5-3/8を含むか、またはこれらからなる。
一部の態様において、siRNAは、担体システム、例えば、siRNAを哺乳動物の細胞に送達するための担体システムをさらに含む。本発明における使用に適した担体システムの例には、核酸-脂質粒子、リポソーム、ミセル、ビロソーム、核酸複合体、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載のsiRNAおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
本発明はまた、本明細書に記載のsiRNA分子、カチオン性脂質、および非カチオン性脂質を含む、血清中で安定な核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供し、これは、粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含んでもよい。
好ましい態様において、siRNAは、水溶液中でのヌクレアーゼ分解に対して耐性になるように、核酸-脂質粒子の脂質部分の中に完全に封入されている。他の好ましい態様において、粒子は、哺乳動物、例えば、ヒトに対して実質的に無毒である。
ある特定の局面において、本発明は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる、1つまたは複数のsiRNA分子;(b)粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を構成する、1つまたは複数のカチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を構成する、1つまたは複数の非カチオン性脂質;および(d)粒子に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つまたは複数の複合脂質を含む、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。
一部の態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA;(b)粒子に存在する総脂質の約56.5mol%〜約66.5mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、コレステロールまたはその誘導体;および(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、PEG-脂質結合体を含む。核酸-脂質粒子のこの態様は、一般的に、本明細書において「1:62」製剤と呼ばれる。
他の態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA;(b)粒子に存在する総脂質の約52mol%〜約62mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約36mol%〜約47mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、PEG-脂質結合体を含む。核酸-脂質粒子のこの態様は、一般的に、本明細書において「1:57」製剤と呼ばれる。
さらなる態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA;(b)粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約50mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約47mol%〜約69mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約3mol%を構成する、PEG-脂質結合体を含む。核酸-脂質粒子のこの態様は、一般的に、本明細書において「2:40」製剤と呼ばれる。
別の局面において、本発明は、本明細書に記載の核酸-脂質粒子および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
本発明は、疾患または障害、例えば、細胞増殖障害(例えば、癌)を治療するために、本明細書に記載のsiRNA分子の1つまたは複数(例えば、核酸-脂質粒子の中に封入された本明細書に記載のsiRNA分子)を哺乳動物対象に送達および/または投与することによってCSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法をさらに提供する。
ある特定の局面において、本発明は、細胞と本明細書に記載の核酸-脂質粒子を接触させる工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAを細胞に導入するための方法を提供する。
ある特定の他の局面において、本発明は、本明細書に記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAをインビボ送達するための方法を提供する。
さらなる局面において、本発明は、治療的に有効な量の本明細書に記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程を含む、癌などの細胞増殖障害の治療を必要とする哺乳動物対象において細胞増殖障害を治療するための方法を提供する。本発明の粒子は、肝臓の癌、例えば、肝細胞癌(HCC)および肝臓転移性疾患の治療において特に有効である。
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、循環中で安定であり、薬力学的挙動に必要なサイズであり、血管外部位に進入し、標的細胞集団に到達することができるので、siRNA、aiRNA、および/またはmiRNAなどの干渉RNAを対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の投与における使用に有利かつ適切である。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および図面から当業者に明らかであろう。
Huh7-1H6細胞増殖に対する、CSN5 siRNAを含有するSNALPの効果を証明するデータを示す。(A) 20nM の、SNALPで処方された非修飾CSN5-2 siRNAまたはその修飾変種でトランスフェクションした後のHuh7-luc+細胞増殖の阻害。(B)CSN5遺伝子の他の領域を標的とする、15nM の、SNALPで処方されたsiRNAでトランスフェクションした後のHuh7-luc+細胞増殖の阻害。処理の4日後に、siRNAトランスフェクタントをMTTアッセイによって調べた。対照として、未処理細胞およびルシフェラーゼ特異的siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。結果は、540nmでの吸光度の平均パーセント±s.dとして示した。 HepG2-1A1細胞増殖に対する、CSN5 siRNAを含有するSNALPの効果を証明するデータを示す。(A)20nM の、SNALPで処方された非修飾CSN5-2 siRNAまたはその修飾変種でトランスフェクションした後のHepG2-luc+細胞増殖の阻害。(B)CSN5遺伝子の他の領域を標的とする、15nM の、SNALPで処方されたsiRNAでトランスフェクションした後のHepG2-luc+細胞増殖の阻害。処理の4日後に、siRNAトランスフェクタントをMTTアッセイによって調べた。対照として、未処理細胞およびルシフェラーゼ特異的siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。結果は、540nmでの吸光度の平均パーセント±s.dとして示した。 化学修飾CSN5-2 siRNAがインビトロで最小限のサイトカイン応答しか誘導しなかったことを証明するデータを示す。この図は、SNALPに封入した非修飾CSN5-2 siRNAまたは修飾CSN5-2 siRNAをマウスに静脈内投与した後のIL-6レベルの定量を示す。siRNA処理の24時間後に、マウス骨髄から単離されたFlt3L由来デンドリサイト(dendricyte)の培養上清を、ELISA法によってIL-6についてアッセイした。それぞれの値は三通りの実験の平均±s.d.である。 CSN5遺伝子サイレンシングが細胞生存率アッセイにおいてHCC細胞生存を弱め、定量リアルタイムRT-PCRアッセイにおいてCSN5 mRNAレベルを低下させたことを証明するデータを示す。特に、CSN5-2 siRNAは、Huh7細胞およびHepG2細胞の増殖を強力に阻害し、mRNAレベルで標的遺伝子発現をサイレンシングした。(A、B)3種類の15nM CSN5特異的siRNAでトランスフェクションした後のHuh7(A)細胞またはHepG2(B)細胞の増殖阻害を、処理の4日後にMTTアッセイによって調べた。未処理細胞(偽)およびNC siRNA処理細胞を同時にアッセイした。結果は、540nmでの吸光度の平均パーセント±s.dとして示した。(C、D)CSN5特異的siRNAで処理した、Huh7(C)細胞またはHepG2(D)細胞におけるCSN5遺伝子発現のリアルタイムRT-PCR分析。15nM siRNAで処理した48時間後に総RNAを抽出した。全てのPCR実験において、発現はGAPDHと比較して計算し、未処理対照に対して規準化した。それぞれのバーの値は三通りの実験の平均±s.d.である。NC siRNA=負の対照siRNA。 光学顕微鏡によって検出された時に、CSN5遺伝子サイレンシングがHCC細胞生存を弱めたことを証明するデータを示す。形態変化に及ぼすCSN5特異的siRNAの影響を、15nM siRNAで4日間処理したHuh7細胞またはHepG2細胞において観察した(100×倍率)。 CSN5遺伝子サイレンシングがG1期における細胞周期停止に関連することを証明するデータを示す。15nM CSN5-2 siRNAでHuh7細胞またはHepG2細胞を48時間トランスフェクションした後に、HCC細胞の細胞周期進行に及ぼすCSN5-2 siRNAの影響を細胞周期分析によって確かめた。分析は、同数の細胞(104事象)に対して、ヨウ化プロピウム(propium iodide)によるDNA染色後のフローサイトメトリーによって行った。未処理細胞およびNC siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。 CSN5発現をサイレンシングすると、サイドポピュレーション(SP)細胞の比率が低下することを証明するデータを示す。15nM CSN5-2 siRNAでHuh7細胞またはHepG2細胞を48時間トランスフェクションした後のSP画分の変化を分析した。フローサイトメトリーを用いて、Hoechst33342色素の流出によって規定され、癌幹細胞中に豊富にあることが示されているSPのサイズを求めた。NC siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。 CSN5発現をサイレンシングすると、p53およびp27レベルの回復によってアポトーシスが増大することを証明するデータを示す。(A、B)15nM CSN5-2 siRNAを用いて3日間トランスフェクションした後のHuh7(A)細胞またはHepG2(B)細胞におけるアポトーシス進行の検出。未処理細胞(偽)およびNC siRNA処理細胞を同時にアッセイした。結果は、3回の独立した実験のアポトーシス誘導の平均倍率±s.d.として示した。(C)未処理(偽)のHuh7細胞もしくはHepG2細胞、または15nM NC siRNAもしくはCSN5-2 siRNAで48時間処理したHuh7細胞もしくはHepG2細胞における、CSN5、p53、p21、およびp27タンパク質発現のウエスタンブロット分析。 Huh7-luc+同所肝臓移植(OLT)モデルの樹立を証明するデータを示す。この図は、Huh7細胞におけるルシフェラーゼの安定発現およびHuh7-luc+細胞の免疫不全マウス脾臓への移植を示す。(A)インビトロBLIによるルシフェラーゼを安定発現するクローンのスクリーニング。細胞を5,000個または10,000個まで希釈し、4つのウェルにプレートし、ルシフェリン(150μg/ml最終)を培地に添加した後に10秒間、画像化した。(B)腫瘍細胞肝臓集落形成のインビボ分析。5×105Huh7-luc+細胞をSCID-ベージュマウスの脾臓に移植し、一定の間隔を開けて、肝臓内での腫瘍成長を全マウスBLIによって評価した。 CSN5-3/8 siRNAを含有するSNALPが、転移性ヒト肝臓癌マウスモデルにおける新生物成長を効果的に抑制したことを証明するデータを示す。特に、この図は、SNALPで処方されたCSN5-3/8 siRNAによるCSN5の全身標的化によって、肝臓内のHuh7-luc+同所腫瘍成長が抑制されたことを示す。(A)処置間および処置後のBLIによる腫瘍成長のインビボモニタリング。各処置群からの2匹の代表的なマウスの画像を示した。移植後8日目、11日目、14日目、および18日目に、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAを2mg/kgの投与量で尾静脈に注射した。相対生物発光変化を経時的に示すために、画像は同じ疑似カラースケールに設定した。(B)平均インビボ腫瘍生物発光の測定。Huh7- luc+細胞の肝臓腫瘍から発せられた生物発光シグナルを、各イメージング時点で光子/秒で定量した。SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAで処置されたマウスについて、平均腫瘍生物発光±s.d.を経時的にグラフ化した。(C)このパネルは、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAの投与後28日目の切除された肝臓の肉眼的肝臓形態の例を示す。(D)このパネルは、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAの投与後28日目の切除された肝臓の肉眼的肝臓形態および組織分析を示す。試験した全てのマウスからの肝臓を切片にし、組織内の腫瘍成長状態を観察するためにH&E染色した。各処置群からの代表的な肝臓の肉眼的肝臓形態および顕微鏡画像(100×)を両方とも示した。 SNALPで処方されたCSN5 3/8 siRNA処置マウスの肝臓:体重比が、SNALPで処方されたβgal478 siRNA処置(対照)マウスより少なかったことを証明するデータを示す。特に、2mg/kgの、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAで4回処置されたマウスの肝臓:体重比を示した。各バーは、各処置群からの肝臓:体重比の平均±s.d.を示す。
発明の詳細な説明
I.序論
肝細胞癌(HCC)は肝臓の主な悪性腫瘍である。HCCのほとんどの症例は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスによる感染または硬変に続発し、アルコール依存症が肝硬変の最もよく見られる症例である。HCCは世界中で5番目によく見られる癌、3番目によく見られる致死性新生物であり、これにより年に約600,000人が死亡する。HCCを引き起こすと考えられているさらなる病因には、アフラトキシン-B1、II型糖尿病、および肥満が含まれる。外科手術を用いても肝細胞癌の10〜20%しか完全に除去できないので、HCCの通常のアウトカムは不良である。癌を完全に除去できなければ、通常、3〜6ヶ月以内に死に至る。実際に、米国において、HCCを有する個体の5年生存率は8.9%しかない。最近、進行疾患を有する患者の生存期間の改善(10.7ヶ月対プラセボの場合7.9ヶ月)を示した第三相データに基づいて、切除不能なHCCの治療にマルチキナーゼ阻害剤ソラフェニブが認可された(Llovet et al., J. Hepatol., 48 Suppl 1:S20-37(2008))。他の治療選択肢が現在利用できないので、ソラフェニブは、この患者集団を治療する標準の一部になる可能性が高い。
肝臓はまた腫瘍転移性疾患のよく見られる部位でもある。例えば、結腸直腸癌患者の約50%が肝臓に転移を発症するので、患者死亡率が大幅に高くなる(Steele et al., Annals Surgery, 210:127-138(1989))。全身投与される従来の化学療法剤および標的化学療法剤を用いた併用療法によって、これらの患者の生存期間が改善する。しかしながら、転移性結腸癌の非外科的治療は依然として実現しにくい。
従って、HCCおよび肝臓にある転移性疾患には、より有効な治療選択肢のために新規の治療剤の開発を必要とする、未だ対処されていない大きな医学的ニーズがあることは明らかである。
本発明は、急速に分裂する細胞、例えば、肝臓の癌細胞の増殖を止めるために、CSN5遺伝子発現のサイレンシングが有効な手段であるという発見に一部基づいている。ある特定の局面において、本発明は、例えば、HCC細胞生存を弱めるために、および/またはHCC細胞増殖を低下させるために、干渉RNA、例えば、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNAを提供する。ある特定の他の局面において、本発明は、干渉RNA、例えば、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)が、干渉RNA、例えば、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNAを封入し、肝臓の癌細胞に送達することによって、肝臓癌、例えば、HCCおよび肝臓転移性疾患の治療に特に効果があるというのが本発明の発見である。特に、CSN5 siRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)をインビボ投与すると、HCCマウスモデルにおける新生物成長を有効に抑制することができる。
本発明は、干渉RNA、例えば、CSN5 siRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を哺乳動物対象に投与することによって、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法をさらに提供する。さらに、本発明は、干渉RNA、例えば、CSN5 siRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を投与することによって、細胞増殖障害、例えば、肝臓癌、例えば、HCCまたは肝臓転移性疾患に罹患している対象を治療する方法を提供する。
従って、干渉RNA、例えば、siRNAによるCSN5の標的サイレンシングは、癌、例えば、肝臓癌(例えば、HCC、肝臓転移性疾患など)を治療するための新規の治療方針として大いに有望である。しかしながら、ある特定の非修飾CSN5 siRNA配列には免疫賦活性がある場合があり、例えば、自然免疫細胞からの強力な炎症応答を刺激する。本発明は、一部の局面において、免疫賦活性の低い、または免疫賦活性が無いCSN5 siRNA分子を提供することによって、この制限を克服する。非限定的な例として、本発明は、修飾ヌクレオチド、例えば、2'-O-メチル(2'OMe)ウリジンおよび/またはグアノシンヌクレオチドの、CSN5 siRNA配列の一方の鎖または両方の鎖への選択的組み込みを用いて、対応する非修飾CSN5 siRNA配列より免疫賦活性が少ないCSN5 siRNA分子を提供する。ある特定の好ましい態様において、siRNA二重鎖の二本鎖領域内に最小限のかつ選択的な2'OMe修飾を導入することによって、CSN5 siRNA分子の免疫賦活性およびCSN5発現をサイレンシングする能力を調和または最適化することができる。有利なことに、これは、ある特定の非修飾CSN5 siRNA配列の使用に関連するサイトカイン誘導、毒性、および非特異的作用がなく、治療において実行可能なCSN5 siRNA用量で実現可能である。
本明細書の実施例に例示したように、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNA分子は、インビトロでのHCC細胞増殖の阻害において有効であった。具体的には、CSN5-2 siRNAで4日間トランスフェクトされたHuh7細胞およびHepG2細胞は、それぞれ、68%および77%の増殖阻害を示し、これは、G1期での細胞周期停止と関連していた。CSN5欠損細胞もまた、負の対照であるsiRNA処理細胞と比較してアポトーシスが1.8倍増加した。これは、p53およびp27の機能回復と直接相関する特性であった。さらに、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすると、サイドポピュレーション細胞の比率が低下した(Huh7細胞では50%、HepG2細胞では70%)。このことは、CSN5遺伝子の標的化が抗癌幹細胞療法の有効な形であることを示している。重要なことに、安定核酸-脂質-粒子(SNALP)の中に封入された2'OMe修飾CSN5 siRNAをインビボ全身送達すると、転移性ヒト肝臓癌の同所マウスモデルにおいて新生物成長が有効に抑制された。まとめると、これらの結果は、CSN5がHCC細胞増殖および生存の重要な制御因子であり、HCC治療の魅力的な標的であることを示している。さらに、CSN5を介したp53分解は、腫瘍発生を促進する普遍的なエピジェネティック事象であるので、CSN5遺伝子発現を標的化する有用性は、(HCCなどの肝臓癌に加えて)発癌プロセス中にCSN5を過剰発現する他の癌に適用可能である。
従って、本発明のsiRNA分子は、安全かつ有効な全身送達ビヒクルを用いて送達されると、意図されない免疫刺激が無く、立証されたRNAi機構を介して治療的CSN5遺伝子サイレンシングに影響を及ぼすことができる。
II.定義
本明細書で使用する以下の用語は、特に定めのない限り、その用語に与えられた意味を有する。
「COP9シグナロソームサブユニット5」、「CSN5」、「Jun活性化結合タンパク質」、または「Jab1」という用語は、複数のシグナル伝達経路において重要な制御因子として機能する高度に保存されているタンパク質複合体であるCOP9シグナロソーム(CSN)の5番目のサブユニットを指す。CSN複合体の構造および機能は、26Sプロテアソームの19S調節粒子のものと類似している。CSN複合体は、SCF型E3 ユビキチンリガーゼと相互作用し、その正の制御因子として作用することが示されている(Deng et al., Trends Genet., 16:289 (2000); Chamovitz et al., EMBO Rep., 2:96-101(2001))。特に、CSN複合体は、murine double minute 2のヒトホモログ(Hdm2)と協調して、ユビキチン系を介したp53分解のためにp53を標的とする。CSN5は、CSN複合体のサブユニットとして、または単独で、様々なタンパク質と相互作用する多機能タンパク質であり、植物からヒトまでの広範囲の真核生物において発現される。CSN5は、c-Jun、MIF1、インテグリンLFA-1、プロゲステロン受容体、SRC-1、ルトロピン受容体、プソリアシン(psoriasin)、Smad4、および Bcl-3を含む多種多様なタンパク質と相互作用することによって機能する(Emberley et al., Cancer Res., 63:1954-1961(2003); Tomoda et al., Nature, 398:160-165 (1999); Claret et al., Nature, 383:453-457 (1996); Wan et al., EMBO Rep., 3:171-176 (2002); Bianchi et al., Nature, 404:617-621 (2000); Chauchereau et al., J. Biol. Chem., 275:8540-8548 (2000); Li et al., J. Biol. Chem., 275:13386-13393 (2000); Dechend et al., Oncogene, 18:3316-3323(1999))。CSN5はまた、細胞周期進行の負の制御因子であるp27と相互作用し、p27の分解を促進する(Tomoda et al., J. Biol. Chem., 277:2302-2310(2002); Tomoda et al., Nature, 398:160-165(1999))。CSN5ノックアウトマウスは高レベルのp53およびp27を発現し、このことは、正常条件下での腫瘍抑制遺伝子の発現の調節におけるCSN5の重要性をさらに示している。例示的なヒトCSN5 mRNA配列を、GenBankアクセッション番号NM_006837(SEQ ID NO:34)、BC001187、BC001859、BC007272、U65928、およびU70734に示した。例示的なヒトCSN5ゲノム配列を、GenBankアクセッション番号NC_000008 REGION:相補鎖(68117868..68137116)に示した。例示的なマウスCSN5 mRNA配列を、GenBankアクセッション番号NM_013715に示した。CSN5は、COPS5、SGN5、MOV-34、およびMGC3149とも知られる。
「干渉RNA」または「RNAi」または「干渉RNA配列」という用語は、干渉RNAが標的遺伝子または標的配列と同一の細胞内にある場合に、(例えば、干渉RNA配列に相補的なmRNAの分解を媒介するかまたは翻訳を阻害することにより)標的遺伝子または標的配列の発現を低下させるかまたは阻害することができる一本鎖RNA(例えば、成熟miRNA)または二本鎖RNA(即ち、siRNA、aiRNA、またはpre-miRNAのような二重鎖RNA)をさす。従って、干渉RNAとは、標的mRNA配列に相補的な一本鎖RNA、または2本の相補鎖もしくは単一の自己相補的な鎖により形成された二本鎖RNAをさす。干渉RNAは、標的遺伝子または標的配列との実質的なもしくは完全な同一性を有していてもよいし、またはミスマッチ領域(即ち、ミスマッチモチーフ)を含んでいてもよい。干渉RNAの配列は、全長標的遺伝子に対応していてもよいし、またはその部分配列に対応していてもよい。
干渉RNAには、「低分子干渉RNA」または「siRNA」、例えば、約15〜60、15〜50、または15〜40(二重鎖)ヌクレオチド長、より典型的には、約15〜30、15〜25、または19〜25(二重鎖)ヌクレオチド長の干渉RNAが含まれ、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23(二重鎖)ヌクレオチド長である(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列は、15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、または19〜25ヌクレオチド長、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチド長であり、二本鎖siRNAは、約15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、または19〜25塩基対長、好ましくは、約18〜22、19〜20、または19〜21塩基対長である)。siRNA二重鎖は、約1〜約4ヌクレオチド、または約2〜約3ヌクレオチドの3'オーバーハング、および5'リン酸末端を含んでいてもよい。siRNAの例には、非限定的に、一方の鎖がセンス鎖であり、他方が相補的なアンチセンス鎖である、2本の別々の分子より組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子;センス領域およびアンチセンス領域が、核酸に基づくリンカーまたは核酸に基づかないリンカーによって連結された、一本鎖分子から組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子;自己相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を有するヘアピン二次構造を有する二本鎖ポリヌクレオチド分子;ならびに、インビボまたはインビトロでプロセシングされ、活性二本鎖siRNA分子を作製することができる、二つ以上のループ構造ならびに自己相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を有するステムを含む環状一本鎖ポリヌクレオチド分子が含まれる。
好ましくは、siRNAは化学合成される。siRNAは、大腸菌RNase IIIまたはダイサーにより、より長いdsRNA(例えば、約25ヌクレオチド長より大きなdsRNA)の切断によって作製さてもよい。これらの酵素は、dsRNAを生物学的に活性のsiRNAへとプロセシングする(例えば、Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:9942-9947(2002);Calegari et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14236(2002);Byrom et al.,Ambion TechNotes,10(1):4-6(2003);Kawasaki et al.,Nucleic Acids Res.,31:981-987(2003);Knight et al.,Science,293:2269-2271(2001);およびRobertson et al.,J.Biol.Chem.,243:82(1968)参照)。好ましくは、dsRNAは、少なくとも50ヌクレオチド〜約100、200、300、400、または500ヌクレオチド長である。dsRNAは、1000、1500、2000、5000ヌクレオチド長、またはそれ以上であってもよい。dsRNAは、遺伝子転写物全体をコードしてもよいし、または部分的な遺伝子転写物をコードしてもよい。ある種の例において、siRNAはプラスミドによってコードされてもよい(例えば、ヘアピンループを有する二重鎖へと自動的に折り畳まれる配列として転写されてもよい)。
本明細書において使用されるように、「ミスマッチモチーフ」または「ミスマッチ領域」という用語は、その標的配列に対して100%の相補性を有していない、干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA)配列の部分をさす。干渉RNAは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれ以上のミスマッチ領域を有していてもよい。ミスマッチ領域は、連続していてもよいし、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、もしくはよりそれ以上のヌクレオチドによって分離されていてもよい。ミスマッチモチーフまたはミスマッチ領域は、単一のヌクレオチドを含んでいてもよいし、または2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のヌクレオチドを含んでいてもよい。
干渉RNAの「有効量」または「治療的に有効な量」とは、所望の効果、例えば、干渉RNAの非存在下で検出される正常発現レベルと比較した標的配列の発現の阻害を生ずるために十分な量である。干渉RNAにより得られた値が、対照と比べて、約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合、標的遺伝子または標的配列の発現の阻害が達成されている。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するための適当なアッセイには、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチューハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能のような当業者に公知の技術を使用したタンパク質またはRNAのレベルの調査のみならず、当業者に公知の表現型アッセイも含まれる。
干渉RNAによる免疫応答を「減少させる」、「減少させること」、「低下させる」、または「低下させること」とは、所定の干渉RNA(例えば、修飾干渉RNA)に対する免疫応答の検出可能な減少を意味するものとする。修飾干渉RNAによる免疫応答の減少の量は、非修飾干渉RNAの存在下での免疫応答のレベルと比べて決定され得る。検出可能な減少とは、非修飾干渉RNAの存在下で検出される免疫応答より約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれ以上、低いものであり得る。干渉RNAに対する免疫応答の減少は、典型的には、インビトロの応答細胞によるサイトカイン産生(例えば、IFNγ、IFNα、TNFα、IL-6、もしくはIL-12)の減少、または干渉RNAの投与後の哺乳動物対象の血清中のサイトカイン産生の減少により測定される。
本明細書において使用されるように、「応答細胞」という用語は、非修飾siRNAのような免疫賦活性の干渉RNAと接触した時に、検出可能な免疫応答を生ずる細胞、好ましくは、哺乳動物細胞をさす。例示的な応答細胞には、例えば、樹状細胞、マクロファージ、末梢血単核細胞(PBMC)、脾細胞等が含まれる。検出可能な免疫応答には、例えば、TNF-α、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、TGF、およびそれらの組み合わせのような、サイトカインまたは増殖因子の産生が含まれる。
「実質的同一性」とは、ストリンジェントな条件の下で参照配列にハイブリダイズする配列、または参照配列の指定された領域において指定された同一率を有する配列をさす。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、ある核酸が、標的配列、典型的には、複雑な核酸混合物の中の標的配列にハイブリダイズし、他の配列にはハイブリダイズしない条件をさす。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況においては異なるであろう。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範囲の案内は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes,"Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays"(1993)に見出される。一般に、ストリンジェントな条件は、明確なイオン強度pHでの特定の配列の融点(Tm)より約5〜10℃低く選択される。Tmとは、平衡時に、標的に相補的なプローブの50%が、標的配列にハイブリダイズする(明確なイオン強度、pH、および核酸濃度の下での)温度である(標的配列が過剰に存在するため、Tmにおいては、平衡時に、プローブの50%が占められる)。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションのため、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。
例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下の通りであり得る:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でのインキュベーション、または5×SSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、そして0.2×SSCおよび0.1%SDS、65℃での洗浄。PCRのため、約36℃の温度が、低ストリンジェンシー増幅のため典型的であるが、アニーリング温度は、プライマーの長さに依って、約32℃〜48℃の間で変動し得る。高ストリンジェンシーPCR増幅のためには、約62℃の温度が典型的であるが、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プラスミドの長さおよび特異性に依って、約50℃〜約65℃の範囲であり得る。高ストリンジェンシー増幅の場合にも、低ストリンジェンシー増幅の場合にも、典型的なサイクル条件には、90℃〜95℃で30秒〜2分の変性期、30秒〜2分持続するアニーリング期、および約72℃で1〜2分の伸長期が含まれる。低ストリンジェンシー増幅反応および高ストリンジェンシー増幅反応のためのプロトコルおよび指針は、例えば、Innis et al.,PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications,Academic Press,Inc.N.Y.(1990)に提供されている。
ストリンジェントな条件の下で相互にハイブリダイズしない核酸であっても、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合には、やはり実質的に同一である。これは、例えば、遺伝暗号により許容される最大のコドン縮重を使用して、核酸のコピーが作出された場合に起こる。そのような場合、核酸は、典型的には、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下でハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」には、37℃での40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液におけるハイブリダイゼーション、および45℃での1×SSCにおける洗浄が含まれる。陽性ハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、代替的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件が、類似したストリンジェンシーの条件を提供するために利用され得ることを容易に認識するであろう。ハイブリダイゼーションパラメーターを決定するための付加的な指針は、多数の参照、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.に提供されている。
二つ以上の核酸に関する「実質的に同一の」または「実質的同一性」という用語は、以下の配列比較アルゴリズムのうちの一つを使用して、または手動アラインメントおよび目視検査により測定されるような、比較ウインドウまたは指定された領域における最大の一致のために比較され整列化された場合に、同一であるか、または指定された割合の同一ヌクレオチド(即ち、指定された領域における少なくとも約60%、好ましくは、少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性)を有する、二つ以上の配列または部分配列をさす。この定義は、前後関係が示す場合には、類似して配列の相補鎖もさす。好ましくは、実質的同一性は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60ヌクレオチド長である領域に存在する。
配列比較のためには、典型的には、一つの配列を参照配列とし、テスト配列をそれと比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合には、テスト配列および参照配列をコンピューターへ入力し、必要であれば、サブシーケンス座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用してもよいし、または代替的なパラメータを指定してもよい。次いで、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータに基づき、参照配列と比べたテスト配列の配列同一率を計算する。
「比較ウインドウ」とは、本明細書において使用されるように、二つの配列が最適に整列化された後、ある配列が同数の連続位置の参照配列と比較され得る、約5〜約60、一般的には約10〜約45、より一般的には約15〜約30からなる群より選択される多数の連続位置のうちの一つのセグメントの参照を含む。比較のための配列の整列化の方法は、当技術分野において周知である。比較のための配列の最適の整列化は、例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443(1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動アラインメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.(1995 supplement)参照)によって実施され得る。
配列同一率および配列類似率を決定するのに適しているアルゴリズムの好ましい例は、それぞれ、Altschul et al.,Nuc.Acids Res.,25:3389-3402(1977)およびAltschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403-410(1990)に記載されているBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLASTおよびBLAST 2.0は、本発明の核酸の配列同一率を決定するため、本明細書に記載されたパラメータと共に使用される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公に入手可能である。
BLASTアルゴリズムは、二つの配列の間の類似性の統計分析も実施する(例えば、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:5873-5787(1993)参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の一つの尺度は、二つのヌクレオチド配列の間のマッチが偶然起こるであろう確率の指標を提供する、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))である。例えば、テスト核酸の参照核酸との比較において、最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、その核酸は、参照配列に類似していると見なされる。
「核酸」という用語は、本明細書において使用されるように、一本鎖型または二本鎖型いずれかの少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含有しているポリマーをさし、DNAおよびRNAを含む。DNAは、例えば、アンチセンス分子、プラスミドDNA、凝縮前DNA、PCR産物、ベクター(P1、PAC、BAC、YAC、人工染色体)、発現カセット、キメラ配列、染色体DNA、またはこれらの群の誘導体および組み合わせの形態であり得る。RNAは、siRNA、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA(vRNA)、およびそれらの組み合わせの形態であり得る。核酸には、合成の、天然に存在する、天然には存在しない、公知のヌクレオチドアナログまたは修飾された骨格残基もしくは結合を含有しており、参照核酸と類似した結合特性を有する核酸が含まれる。そのようなアナログの例には、非限定的に、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2'-O-メチルリボヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が含まれる。特に限定されない限り、その用語には、参照核酸と類似した結合特性を有する、天然ヌクレオチドの公知のアナログを含有している核酸が包含される。他に示されない限り、特定の核酸配列には、明示された配列のみならず、それらの保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、および相補配列も暗示的に包含される。特に、縮重コドン置換は、一つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基に置換された配列を作製することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.,19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.,260:2605-2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes,8:91-98(1994))。「ヌクレオチド」は、糖デオキシリボース(DNA)または糖リボース(RNA)、塩基、およびリン酸基を含有している。ヌクレオチドは、リン酸基を通して共に連結されている。「塩基」には、プリンおよびピリミジンが含まれ、これらには、さらに、天然化合物アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、および天然アナログ、ならびにアミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、およびハロゲン化アルキルのような新たな反応基を置く修飾を含むが、これらに限定はされない、プリンおよびピリミジンの合成誘導体が含まれる。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチドまたはポリペプチド前駆体の産生のために必要なコーディング配列の部分長または全長を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列をさす。
「遺伝子産物」とは、本明細書において使用されるように、RNA転写物またはポリペプチドのような遺伝子の産物をさす。
「脂質」という用語は、脂肪酸のエステルを含むが、これに限定はされず、水に不溶性であるが多くの有機溶媒には可溶性であることを特徴とする有機化合物の群をさす。それらは、一般的に、少なくとも三つのクラスへ分類される:(1)脂肪および油のみならず、ロウも含む「単純脂質」;(2)リン脂質および糖脂質を含む「複合脂質」;ならびに(3)ステロイドのような「誘導脂質」。
「脂質粒子」は、核酸(例えば、干渉RNA)を関心対象の標的部位に送達するのに使用することができる脂質製剤を指すために本明細書において用いられる。好ましい態様において、本発明の脂質粒子は核酸-脂質粒子であり、典型的には、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および任意で、粒子の凝集を阻止する複合脂質から形成される。他の好ましい態様において、核酸は核酸-脂質粒子の脂質部分の中に封入されてもよく、それによって、核酸は酵素分解から保護される。
本明細書で使用する、「SNALP」という用語は安定核酸-脂質粒子を指す。SNALPは、脂質(例えば、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、任意で、粒子の凝集を阻止する複合脂質)から作られる粒子であり、核酸(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA、ssDNA、dsDNA、ssRNA、ショートヘアピンRNA(shRNA)、dsRNA、またはプラスミド。干渉RNAが転写されるプラスミドを含む)は完全に脂質の中に封入される。本明細書で使用する、「SNALP」という用語は、核酸(例えば、プラスミド)が脂質の中に封入されている核酸-脂質粒子を指すのに用いられる用語であるSPLPを含む。SNALPおよびSPLPは、典型的には、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および任意で、脂質結合体(例えば、PEG-脂質結合体)を含有する。SNALPおよびSPLPは、静脈内(i.v.)注射後に長い循環寿命を示すことができるので、遠位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)に蓄積することができるので、これらの遠位でのトランスフェクトされた遺伝子の発現または標的遺伝子発現のサイレンシングを媒介することができるので、全身用途に極めて有用である。SPLPには、PCT国際公開公報第WO 00/03683号に示されるように、封入された縮合剤-核酸複合体からなる「pSPLP」が含まれる。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、典型的には、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70〜約90nmの平均直径を有し、実質的に無毒である。さらに、核酸は本発明の核酸-脂質粒子に存在する場合、水溶液中でのヌクレアーゼ分解に対して耐性である。核酸-脂質粒子およびこの調製方法は、例えば、米国特許出願公開第20040142025号および同第20070042031号に開示される。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書で使用する「脂質に封入された」は、核酸(例えば、干渉RNA)などの活性薬剤または治療剤を、完全に封入する脂質粒子を指してもよく、部分的に封入する脂質粒子を指してもよく、または両方をもたらす脂質粒子を指してもよい。好ましい態様において、(例えば、SPLP、pSPLP、SNALP、または他の核酸-脂質粒子を形成するために)核酸は完全に脂質粒子に封入されている。
「脂質結合体」という用語は、脂質粒子の凝集を阻害する複合脂質をさす。そのような脂質結合体には、ポリアミドオリゴマー(例えば、ATTA-脂質結合体)、ジアルキルオキシプロピルにカップリングされたPEG、ジアシルグリセロールにカップリングされたPEG、コレステロールにカップリングされたPEG、ホスファチジルエタノールアミンにカップリングされたPEG、セラミドに結合したPEG(例えば、米国特許第5,885,613号参照。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)、カチオン性PEG脂質、およびそれらの混合物のようなPEG-脂質結合体が含まれるが、これらに限定はされない。PEGは、脂質に直接結合してもよいし、またはリンカー部分を介して脂質に連結されてもよい。例えば、非エステル含有リンカー部分およびエステル含有リンカー部分を含む、脂質にPEGをカップリングするのに適している任意のリンカー部分が使用され得る。好ましい態様において、非エステル含有リンカー部分が使用される。
「両親媒性脂質」という用語は、脂質材料の疎水性部分が疎水相の方を向き、親水性部分が水相の方を向いている適当な材料を一部さす。親水性特徴は、炭水化物、リン酸基、カルボキシル基、スルファト基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基等のような、極性基または電荷を有する基の存在に由来する。疎水性は、飽和および不飽和の長鎖脂肪族炭化水素基、および一つまたは複数の芳香族基、脂環式基、または複素環式基により置換されたそのような基を含むが、これらに限定はされない、無極性基の内含により付与され得る。両親媒性化合物の例には、リン脂質、アミノ脂質、およびスフィンゴ脂質が含まれるが、これらに限定はされない。
リン脂質の代表例には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、およびジリノレオイルホスファチジルコリンが含まれるが、これらに限定はされない。スフィンゴ脂質、糖スフィンゴ脂質ファミリー、ジアシルグリセロール、およびβ-アシルオキシ酸のようなリンを欠くその他の化合物も、両親媒性脂質と呼ばれる群に含まれる。さらに、上記の両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールを含むその他の脂質と混合されてもよい。
「中性脂質」という用語は、選択されたpHにおいて、電荷を有していないかまたは中性の双性の型で存在する多数の脂質種のうちの任意のものをさす。生理的pHにおいて、そのような脂質には、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロールが含まれる。
「非カチオン性脂質」という用語は、両親媒性脂質のみならず、その他の中性脂質またはアニオン性脂質もさす。
「アニオン性脂質」という用語は、生理的pHで、負の電荷を有する任意の脂質をさす。これらの脂質には、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リジルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレイオルホスファチジルグリセロール(POPG)、および中性脂質に接合されたその他のアニオン性修飾基が含まれるが、これらに限定はされない。
「カチオン性脂質」という用語は、生理的pH(例えば、約7.0のpH)のような選択されたpHで、正味の正の電荷を保持している多数の脂質種のうちの任意のものをさす。驚くべきことに、複数の不飽和部位、例えば、少なくとも2個または3個の不飽和部位を有するアルキル鎖を含むカチオン性脂質は、増加した膜流動性を有する脂質粒子を形成するために特に有用であることが見出されている。本発明においても有用である多数のカチオン性脂質および関連アナログが、米国特許公開第20060083780号および第20060240554号;米国特許第5,208,036号;第5,264,618号;第5,279,833号;第5,283,185号;第5,753,613号;および第5,785,992号;ならびにPCT公開WO 96/10390に記載されている。これらの開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。カチオン性脂質の非限定的な例は、本明細書において詳細に記載される。いくつかの場合、カチオン性脂質は、プロトン化可能な三級アミンの(例えば、pH滴定可能な)頭部、C18アルキル鎖、頭部とアルキル鎖との間のエーテル結合、および0〜3個の二重結合を含む。そのような脂質には、例えば、DSDMA、DLinDMA、DLenDMA、およびDODMAが含まれる。
「疎水性脂質」という用語は、飽和および不飽和の長鎖脂肪族炭化水素基、ならびに1個または複数個の芳香族基、脂環式基、または複素環式基によって置換されていてもよいそのような基を含むが、これらに限定はされない、無極性基を有する化合物をさす。適当な例には、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N-N-ジアルキルアミノ、1,2-ジアシルオキシ-3-アミノプロパン、および1,2-ジアルキル-3-アミノプロパンが含まれるが、これらに限定はされない。
「融合性の」という用語は、脂質粒子、例えばSNALPの、細胞の膜と融合する能力をさす。膜は、原形質膜であってもよいし、または細胞器官、例えば、エンドソーム、核等を囲む膜であってもよい。
本明細書において使用されるように、「水性溶液」という用語は、完全にまたは部分的に水を含む組成物をさす。
本明細書において使用されるように、「有機脂質溶液」という用語は、完全にまたは部分的に、脂質を有する有機溶媒を含む組成物をさす。
「遠位部位」とは、本明細書において使用されるように、隣接した毛細血管床に限定されず、生物の全身に広く分布する部位を含む、物理的に離れた部位をさす。
核酸-脂質粒子、例えばSNALPに関して、「血清安定」とは、遊離のDNAまたはRNAを有意に分解するであろう血清への曝露またはヌクレアーゼアッセイの後に、粒子が有意に分解されないことを意味する。適当なアッセイには、例えば、標準的な血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが含まれる。
「全身送達」とは、本明細書において使用されるように、生物において干渉RNAのような活性薬剤または治療剤の広い体内分布をもたらす脂質粒子の送達をさす。ある種の薬剤の全身送達をもたらし得る投与技術もあるし、そうでないものもある。全身送達とは、有用な、好ましくは、治療的な量の薬剤が、身体各部の大部分に曝されることを意味する。広い体内分布を入手するためには、一般に、薬剤が、投与部位に対して遠位の疾患部位に到達する前に、(例えば、初回通過器官(肝臓、肺等)により、または迅速な非特異的な細胞結合により)急速に分解されるかまたは除去されることがないような血中寿命が必要とされる。脂質粒子の全身送達は、例えば、静脈内、皮下、および腹腔内を含む、当技術分野において公知の任意の手段によることができる。好ましい態様において、脂質粒子の全身送達は静脈内送達による。
「局所送達」とは、本明細書において使用されるように、干渉RNAのような活性薬剤または治療剤の、生物体内の標的部位への直接の送達をさす。例えば、薬剤は、腫瘍のような疾患部位、または炎症部位のようなその他の標的部位、または肝臓、心臓、膵臓、腎臓等のような標的器官へ、直接注射により局所送達され得る。
「哺乳動物」という用語は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、ウサギ、家畜等のような任意の哺乳動物種をさす。
「癌」という用語は、異常細胞の無制御の成長を特徴とする疾患クラスの任意のメンバーをさす。その用語には、悪性、良性、軟部組織、または固形のいずれを特徴とするかに関わらず、全ての公知の癌および新生物状態が含まれ、転移前癌および転移後癌を含む全ての病期およびグレードの癌が含まれる。種々の型の癌の例には、肝臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、胆管癌、小腸癌、胃癌(胃の癌)、食道癌;胆嚢癌、膵臓癌、虫垂癌、乳癌、卵巣癌;子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、中枢神経系の癌、神経膠芽腫、皮膚癌、リンパ腫、絨毛癌、頭頸部癌、骨原性肉種、および血液癌が含まれるが、これらに限定はされない。肝臓癌の特定の型の非限定的な例には、肝細胞癌(HCC)、(例えば、他の何らかの非肝臓癌細胞型の転移により引き起こされた)二次性肝臓癌、および肝芽腫が含まれる。本明細書において使用されるように、「腫瘍」には、1個または複数個の癌細胞が含まれる。
III.態様の説明
本発明は、CSN5発現を標的とする核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、miRNAなど)を含む組成物、およびこのような組成物を用いてCSN5発現をサイレンシングする方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、長さが約15〜約60ヌクレオチドの二本鎖領域を含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができるsiRNA分子を提供する。
ある特定の態様において、siRNA分子は、長さが約15〜50、15〜40、15〜35、15〜30、15〜25、もしくは19〜25ヌクレオチドの二本鎖領域、または長さが15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25ヌクレオチドの二本鎖領域を含む。本発明のsiRNA分子は、インビトロおよび/またはインビボでCSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる。
一部の態様において、siRNA分子は少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。ある特定の好ましい態様において、siRNA分子は、二本鎖領域内に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上の修飾ヌクレオチドを含む。ある特定の場合において、siRNAは、二本鎖領域内に約1%〜約100%(例えば、約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、二本鎖領域内のヌクレオチドの約25%未満(例えば、約25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、もしくは5%未満)または約1%〜約25%(例えば、約1%〜25%、5%〜25%、10%〜25%、15%〜25%、20%〜25%、もしくは10%〜20%)が修飾ヌクレオチドを含む。
他の態様において、siRNA分子は、2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、およびその混合物を含むが、これに限定されない修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、siRNAは、2'OMeヌクレオチド(例えば、2'OMeプリンおよび/またはピリミジンヌクレオチド)、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、2'OMe-アデノシンヌクレオチド、2'OMe-シトシンヌクレオチド、およびその混合物を含む。ある特定の場合において、siRNAは、2'OMe-シトシンヌクレオチドを含まない。他の態様において、siRNAはヘアピンループ構造を含む。
siRNAは、siRNA分子の二本鎖領域の一方の鎖(すなわち、センスもしくはアンチセンス)または両方の鎖に修飾ヌクレオチドを含んでもよい。好ましくは、ウリジンおよび/またはグアノシンヌクレオチドは、siRNA二重鎖の二本鎖領域にある選択された位置で修飾される。ウリジンヌクレオチド修飾に関して、センス鎖および/またはアンチセンス鎖におけるウリジンヌクレオチドの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上が、修飾ウリジンヌクレオチド、例えば、2'OMe-ウリジンヌクレオチドでもよい。一部の態様において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある全てのウリジンヌクレオチドが2'OMe-ウリジンヌクレオチドである。グアノシンヌクレオチド修飾に関して、センス鎖および/またはアンチセンス鎖におけるグアノシンヌクレオチドの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上が、修飾グアノシンヌクレオチド、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチドでもよい。一部の態様において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある全てのグアノシンヌクレオチドが2'OMe-グアノシンヌクレオチドである。
ある特定の態様において、siRNA配列にある少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の5'-GU-3'モチーフは、例えば、5'-GU-3'を無くすようにミスマッチを導入することによって、および/または2'OMeヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチドを導入することによって修飾されてもよい。5'-GU-3'モチーフは、siRNA配列のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖にあってもよい。5'-GU-3'モチーフは互いに隣接してもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上のヌクレオチドによって分けられてもよい。
一部の好ましい態様において、修飾siRNA分子は、対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少ない。このような態様において、好都合なことに、免疫賦活性の低い修飾siRNA分子は、標的CSN5配列に対するRNAi活性を保持している。別の態様において、siRNA配列内に、例えば、siRNA二重鎖の二本鎖領域内に最小限のかつ選択的な2'OMe修飾を導入することによって、修飾siRNA分子の免疫賦活性およびその標的遺伝子発現をサイレンシングする能力を調和または最適化することができる。ある特定の場合において、修飾siRNAは、対応する非修飾siRNAより免疫賦活性が少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%少ない。修飾siRNA分子および対応する非修飾siRNA分子の免疫賦活性が、例えば、適切な脂質をベースとする送達系(例えば、本明細書において開示されるSNALP送達系)を用いた哺乳動物における全身投与または哺乳動物レスポンダー細胞トランスフェクションの約2時間〜約12時間後にINF-αおよび/またはIL-6レベルを測定することによって確かめることができることは当業者に容易に明らかであろう。
ある特定の態様において、修飾siRNA分子のIC50 (すなわち、最大半量阻害濃度)は、対応する非修飾siRNAのIC50の10倍以下である(すなわち、修飾siRNAのIC50は、対応する非修飾siRNAのIC50の10倍以下である)。他の態様において、修飾siRNAのIC50は、対応する非修飾siRNA配列のIC50の3倍以下である。さらに他の態様では、修飾siRNAのIC50は、対応する非修飾siRNA配列のIC50の2倍以下である。用量反応曲線を作製することができ、当業者に公知の方法を用いて、修飾siRNAおよび対応する非修飾siRNA のIC50値を容易に求めることができることができることは当業者に容易に明らかであろう。
さらに別の態様において、修飾siRNA分子は、標的CSN5配列の発現を、対応する非修飾siRNA配列と比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%サイレンシングすることができる。
一部の態様において、siRNA分子は、リン酸バックボーン修飾を含まず、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖においてリン酸バックボーン修飾を含まない。他の態様において、siRNAは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のリン酸バックボーン修飾を含み、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖において1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のリン酸バックボーン修飾を含む。好ましい態様において、siRNAはリン酸バックボーン修飾を含まない。
さらなる態様において、siRNAは、2'-デオキシヌクレオチドを含まず、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖において2'-デオキシヌクレオチドを含まない。なおさらなる態様において、siRNAは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の2'-デオキシヌクレオチドを含み、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖において1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の2'-デオキシヌクレオチドを含む。好ましい態様において、siRNAは2'-デオキシヌクレオチドを含まない。
ある特定の場合において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある二本鎖領域の3'末端のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドでない。ある特定の他の場合において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある二本鎖領域の3'末端の近くの(例えば、3'末端の1つ、2つ、3つ、または4つのヌクレオチドの中にある)ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドでない。
本明細書に記載のsiRNA分子は、二本鎖領域の一端または両端に1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヌクレオチドからなる3'オーバーハングを有してもよく、二本鎖領域の一端または両端にオーバーハングが無くてもよい(すなわち、平滑末端を有してもよい)。好ましくは、siRNAは、二本鎖領域の両側に2つのヌクレオチドからなる3'オーバーハングを有する。ある特定の場合において、アンチセンス鎖にある3'オーバーハングは標的配列と相補性を有し、センス鎖にある3'オーバーハングは標的配列の相補鎖と相補性を有する。または、3'オーバーハングは標的配列またはその相補鎖と相補性を有さない。一部の態様において、3'オーバーハングは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヌクレオチド、例えば、2'-デオキシ(2'H)ヌクレオチドを含む。ある特定の好ましい態様において、3'オーバーハングはデオキシチミジン(dT)および/またはウリジンヌクレオチドを含む。他の態様において、二本鎖領域の一端または両端の3'オーバーハングにあるヌクレオチドの1つまたは複数は修飾ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドの非限定的な例は前記に記載されており、2'OMeヌクレオチド、2'-デオキシ-2'Fヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-2-MOEヌクレオチド、LNAヌクレオチド、およびその混合物を含む。好ましい態様において、siRNAのセンス鎖および/またはアンチセンス鎖に存在する3'オーバーハングにある1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヌクレオチドは、2'OMeヌクレオチド(例えば、2'OMeプリンおよび/またはピリミジンヌクレオチド)、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、2'OMe-アデノシンヌクレオチド、2'OMe-シトシンヌクレオチド、ならびにその混合物を含む。
siRNAは、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする非修飾siRNA配列および/または修飾siRNA配列の少なくとも1つまたはカクテル(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含んでもよい。siRNAのカクテルは、同じ領域もしくはドメイン(例えば、「ホットスポット」)に向けられる配列を含んでもよく、および/またはCSN5遺伝子の異なる領域もしくはドメインに向けられる配列を含んでもよい。ある特定の場合において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)の修飾siRNAがカクテルに存在する。ある特定の他の場合において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)の非修飾siRNAがカクテルに存在する。
一部の態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的な配列を含む、またはこれからなる。他の態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つに100%相補的な配列を含む、またはこれからなる。さらなる態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つと特異的にハイブリダイズする配列を含む、またはこれからなる。非限定的な例として、CSN5 siRNA分子のアンチセンス鎖は、表1〜2に示したアンチセンス鎖配列の1つを含んでもよく、これからなってもよい。
ある特定の態様において、siRNA分子センス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つと少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の配列を含む、またはこれからなる。ある特定の他の態様において、siRNA分子のセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つと100%同一の配列を含む、またはこれからなる。非限定的な例として、CSN5 siRNA分子のセンス鎖は、表1〜2に示したセンス鎖配列の1つを含んでもよく、これからなってもよい。
好ましい態様において、siRNAは、表1〜2に示した配列(例えば、センス鎖および/またはアンチセンス鎖配列)の1つまたは複数(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含む。CSN5 siRNAセンス鎖配列および/またはアンチセンス鎖配列は、表1に示した非修飾(すなわち、天然)配列でもよく、その化学修飾バージョン(例えば、2'OMEヌクレオチドを含有する化学修飾バージョン)でもよい。特に好ましい態様において、siRNAは、表1に示したCSN5-2センス鎖(SEQ ID NO:3)およびアンチセンス鎖(SEQ ID NO:4)配列もしくはその化学修飾バージョンを含む、またはこれからなる。修飾CSN5-2 siRNAの非限定的な例を表2に示した。好ましくは、修飾CSN5-2 siRNAは、表2に示したCSN5-3/8センス鎖(SEQ ID NO:27)およびアンチセンス鎖(SEQ ID NO:30)配列を含む、またはこれからなる。
他の態様において、本発明は、本明細書に記載のsiRNA分子および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
別の局面において、本発明の核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、miRNAなど)は担体システムをさらに含む。ある特定の場合において、担体システムは、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)、リポソーム、ミセル、ビロソーム、核酸複合体、およびその混合物からなる群より選択される。一般的に、核酸複合体は、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、シクロデキストリン、またはその混合物と複合体化された核酸(例えば、干渉RNA)を含んでもよい。非限定的な例として、siRNA分子はカチオン性ポリマーと複合体化されてもよく、カチオン性ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)である。好ましい態様において、担体システムは、核酸-脂質粒子、例えば、SNALPであり、核酸はsiRNAである。他の態様において、担体システムは、核酸-脂質粒子、例えば、SNALPであり、核酸は、aiRNA、miRNA、または一本鎖もしくは二本鎖のDNA、RNA、もしくはDNA/RNAハイブリッドであり、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、プラスミド、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、またはその混合物を含むが、これに限定されない。
一部の態様において、本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。核酸-脂質粒子は、典型的には、干渉RNA、例えばCSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA、カチオン性脂質、および非カチオン性脂質を含む。ある特定の場合において、核酸-脂質粒子は、粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含んでもよい。好ましい態様において、核酸-脂質粒子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、カチオン性脂質は、例えば、以下の1つまたは複数を含んでもよい:1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA;「XTC2」)、2,2-ジリノレイル-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(4-ジメチルアミノブチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C4-DMA)、2,2-ジリノレイル-5-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキサン(DLin-K6-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-N-メチルペピアジノ-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-MPZ)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、3-(N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパナミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-β-オキシブタン-4-オキシ)-1-(cis,cis-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパン(CLinDMA)、2-[5'-(コレスト-5-エン-3-β-オキシ)-3'-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(cis,cis-9',1-2'-オクタデカジエノキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2-N,N'-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2-N,N'-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、またはその混合物。ある特定の好ましい態様において、カチオン性脂質は、DLinDMA、DLin-K-C2-DMA(「XTC2」)、またはその混合物である。
カチオン性脂質、例えば、DLin-K-C2-DMA(「XTC2」)、DLin-K-C3-DMA、DLin-K-C4-DMA、DLin-K6-DMA、およびDLin-K-MPZ、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2008年10月9日に出願された、米国特許仮出願第61/104,212号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。カチオン性脂質、例えば、DLin-K-DMA、DLin-C-DAP、DLin-DAC、DLin-MA、DLinDAP、DLin-S-DMA、DLin-2-DMAP、DLin-TMA.Cl、DLin-TAP.Cl、DLin-MPZ、DLinAP、DOAP、およびDLin-EG-DMA、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2008年12月31日に出願された、PCT出願第PCT/US08/88676号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。カチオン性脂質、例えば、CLinDMA、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、米国特許出願公開第20060240554号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
一部の態様において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約90mol%、約50mol%〜約85mol%、約50mol%〜約80mol%、約50mol%〜約75mol%、約50mol%〜約70mol%、約50mol%〜約65mol%、もしくは約50mol%〜約60mol%を構成してもよい。ある特定の場合において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約55mol%〜約80mol%、約55mol%〜約75mol%、約55mol%〜約70mol%、約55mol%〜約65mol%、約60mol%〜約80mol%、約60mol%〜約75mol%、もしくは約60mol%〜約70mol%を構成してもよい。ある特定の他の場合において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の(少なくとも)約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、もしくは90mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。
他の態様において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約2mol%〜約60mol%、約2mol%〜約50mol%、約5mol%〜約45mol%、約5mol%〜約30mol%、約5mol%〜約15mol%、約10mol%〜約50mol%、約20mol%〜約50mol%、約30mol%〜約50mol%、約40mol%〜約50mol%、もしくは約40mol%を構成してもよい。ある特定の場合において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の(少なくとも)約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、非カチオン性脂質は、例えば、1つまたは複数のアニオン性脂質および/または中性脂質を含んでもよい。好ましい態様において、非カチオン性脂質は、以下の中性脂質成分:(1)コレステロールもしくはその誘導体;(2)リン脂質;または(3)リン脂質およびコレステロールもしくはその誘導体の混合物の1つを含む。
コレステロール誘導体の例には、コレスタノール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2'-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4'-ヒドロキシブチルエーテル、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。コレステリル-2'-ヒドロキシエチルエーテルの合成は、2008年4月15日に出願された、米国特許仮出願第61/045,228号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
リン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレイオル-ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、およびその混合物を含むが、これに限定されない、中性脂質でもよい。ある特定の好ましい態様において、リン脂質は、DPPC、DSPC、またはその混合物である。
一部の態様において、非カチオン性脂質(例えば、1つまたは複数のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の約10mol%〜約60mol%、約15mol%〜約60mol%、約20mol%〜約60mol%、約25mol%〜約60mol%、約30mol%〜約60mol%、約10mol%〜約55mol%、約15mol%〜約55mol%、約20mol%〜約55mol%、約25mol%〜約55mol%、約30mol%〜約55mol%、約13mol%〜約50mol%、約15mol%〜約50mol%、または約20mol%〜約50mol%を構成してもよい。非カチオン性脂質がリン脂質およびコレステロールまたはコレステロール誘導体の混合物である場合、混合物は、粒子に存在する総脂質の約40mol%、50mol%、または60mol%までを構成してもよい。
ある特定の場合において、非カチオン性脂質(例えば、1つまたは複数のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の約10mol%〜約49.5mol%、約13mol%〜約49.5mol%、約15mol%〜約49.5mol%、約20mol%〜約49.5mol%、約25mol%〜約49.5mol%、約30mol%〜約49.5mol%、約35mol%〜約49.5mol%、または約40mol%〜約49.5mol%を構成してもよい。
ある特定の他の場合において、非カチオン性脂質(例えば、1つまたは複数のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の(少なくとも)約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。
ある特定の好ましい態様において、非カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%のコレステロールまたはその誘導体を含む。非限定的な例として、リン脂質を含まない本発明の核酸-脂質粒子は、粒子に存在する総脂質の約37mol%のコレステロールまたはその誘導体を含んでもよい。他の好ましい態様において、リン脂質を含まない本発明の核酸-脂質粒子は、粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約30mol%〜約35mol%、約35mol%〜約45mol%、約40mol%〜約45mol%、約32mol%〜約45mol%、約32mol%〜約42mol%、約32mol%〜約40mol%、約34mol%〜約45mol%、約34mol%〜約42mol%、約34mol%〜約40mol%、または約30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、もしくは45mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)のコレステロールまたはその誘導体を含んでもよい。
ある特定の他の好ましい態様において、非カチオン性脂質は、(i)粒子に存在する総脂質の約4mol%〜約10mol%のリン脂質および(ii)粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約40mol%のコレステロールまたはその誘導体の混合物を含む。非限定的な例として、リン脂質およびコレステロールの混合物を含む核酸-脂質粒子は、粒子に存在する総脂質の約7mol%のDPPCおよび約34mol%のコレステロールを含んでもよい。他の態様において、非カチオン性脂質は、(i)粒子に存在する総脂質の約3mol%〜約15mol%、約4mol%〜約15mol%、約4mol%〜約12mol%、約4mol%〜約10mol%、約4mol%〜約8mol%、約5mol%〜約12mol%、約5mol%〜約9mol%、約6mol%〜約12mol%、約6mol%〜約10mol%、または約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)のリン脂質;および(ii)粒子に存在する総脂質の約25mol%〜約45mol%、約30mol%〜約45mol%、約25mol%〜約40mol%、約30mol%〜約40mol%、約25mol%〜約35mol%、約30mol%〜約35mol%、約35mol%〜約45mol%、約40mol%〜約45mol%、約28mol%〜約40mol%、約28mol%〜約38mol%、約30mol%〜約38mol%、約32mol%〜約36mol%、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)のコレステロールまたはその誘導体の混合物を含む。
他の態様において、非カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%〜約85mol%、約20mol%〜約85mol%、約5mol%〜約80mol%、約10mol%〜約80mol%、約20mol%〜約80mol%、約10mol%(例えば、リン脂質、例えば、DSPCまたはDPPCのみ)、または約60mol%(例えば、約10mol%のリン脂質、例えば、DSPCまたはDPPCおよび約48mol%のコレステロール)を含んでもよい。これらの態様において、コレステロールまたはコレステロール誘導体は、粒子に存在する総脂質の0mol%〜約10mol%、約2mol%〜約10mol%、約10mol%〜約60mol%、約20mol%〜約45mol%、約30mol%〜約50mol%、約40mol%〜約60mol%、または約48mol%でもよい。
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、粒子の凝集を阻害する複合脂質は、例えば、以下:ポリエチレングリコール(PEG)-脂質結合体、ポリアミド(ATTA)-脂質結合体、カチオン性ポリマー-脂質結合体(CPL)、またはその混合物の1つまたは複数を含んでもよい。1つの好ましい態様において、核酸-脂質粒子は、PEG-脂質結合体またはATTA-脂質結合体のいずれかを含む。ある特定の態様において、PEG-脂質結合体またはATTA-脂質結合体はCPLと共に用いられる。粒子の凝集を阻害する複合脂質は、例えば、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEGジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、またはその混合物を含むPEG-脂質を含んでもよい。PEG-DAA結合体は、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG-ジミリストイルオキシプロピル(C14)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)、PEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)、またはその混合物でもよい。
本発明における使用に適した、さらなるPEG-脂質結合体には、mPEG2000-1,2-ジ-O-アルキル-sn3-カルボモイルグリセリド(PEG-C-DOMG)が含まれるが、これに限定されない。PEG-C-DOMGの合成は、2008年12月31日に出願された、PCT出願第PCT/US08/88676号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。本発明における使用に適した、なおさらなるPEG-脂質結合体には、1-[8'-(1,2-ジミリストイル-3-プロパノキシ)-カルボキサミド-3',6'-ジオキサオクタニル]カルバモイル-ω-メチル-ポリ(エチレングリコール)(2KPEG-DMG)が含まれるが、それに限定されるわけではない。2KPEG-DMGの合成は米国特許第7,404,969号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書に記載のPEG-脂質結合体のPEG部分は、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの平均分子量を含んでもよい。ある特定の場合において、PEG部分の平均分子量は、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトンなど)である。好ましい態様において、PEG部分の平均分子量は約2,000ダルトンまたは約750ダルトンである。
一部の態様において、粒子の凝集を阻害する複合脂質は、式:A-W-Yを有するCPLである。式中、Aは脂質部分であり、Wは親水性ポリマーであり、Yはポリカチオン部分である。Wは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー、またはその組み合わせからなる群より選択されるポリマーでもよく、ポリマーは約250〜約7000ダルトンの分子量を有する。一部の態様において、Yは、選択されたpHで少なくとも4つの正電荷を有する。一部の態様において、Yは、リジン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、その誘導体、またはその組み合わせでもよい。
ある特定の場合において、粒子の凝集を阻害する複合脂質(例えば、PEG-脂質結合体)は、粒子に存在する総脂質の約0.1mol%〜約2mol%、約0.5mol%〜約2mol%、約1mol%〜約2mol%、約0.6mol%〜約1.9mol%、約0.7mol%〜約1.8mol%、約0.8mol%〜約1.7mol%、約1mol%〜約1.8mol%、約1.2mol%〜約1.8mol%、約1.2mol%〜約1.7mol%、約1.3mol%〜約1.6mol%、約1.4mol%〜約1.5mol%、または約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、もしくは2mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。
ある特定の他の場合において、粒子の凝集を阻止する複合脂質は、粒子に存在する総脂質の0mol%〜約20mol%、約0.5mol%〜約20mol%、約1mol%〜約15mol%、約1mol%〜約10mol%、約2mol%〜約10mol%、約4mol%〜約10mol%、約5mol%〜約10mol%、約0.5mol%、約1mol%、約1.5mol%、約2mol%、約2.5mol%、約3mol%、約3.5mol%、約4mol%、約4.5mol%、約5mol%、約5.5mol%、約6mol%、約6.5mol%、約7mol%、約7.5mol%、約8mol%、約8.5mol%、約9mol%、約9.5mol%、または約10mol%を構成してもよい。
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、核酸は完全に粒子の脂質部分の中に封入されてもよく、それによって、核酸はヌクレアーゼ分解から保護される。好ましい態様において、核酸、例えば、干渉RNA(例えば、siRNA)を含むSNALPは完全に粒子の脂質部分の中に封入され、それによって、核酸はヌクレアーゼ分解から保護される。ある特定の場合において、粒子が37℃で少なくとも約20分間、30分間、45分間、または60分間ヌクレアーゼに曝露された後でも、SNALPの中の核酸は実質的に分解されない。ある特定の他の場合において、粒子が37℃で少なくとも約30分間、45分間、もしくは60分間、または少なくとも約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、もしくは36時間、血清中でインキュベーションされた後でも、SNALPの中の核酸は実質的に分解されない。他の態様において、核酸は粒子の脂質部分と複合体化される。本発明の製剤の利益の1つは、核酸-脂質粒子組成物がヒトなどの哺乳動物に対して実質的に無毒であることである。
「完全に封入された」という用語は、核酸-脂質粒子の中の核酸が、血清または遊離のDNAもしくはRNAをかなり分解するヌクレアーゼアッセイに曝露された後でも、あまり分解されないことを示す。完全に封入された系では、遊離核酸の100%を分解する処理において、好ましくは粒子中の核酸の約25%未満が分解され、より好ましくは粒子中の核酸の約10%未満、最も好ましくは約5%未満が分解される。核酸の状況において、完全な封入はOligreen(登録商標)アッセイによって確かめることができる。Oligreen(登録商標)は、溶解状態でオリゴヌクレオチドおよび一本鎖DNAまたはRNAを定量するための超高感度の蛍光核酸染色剤である(Invitrogen Corporation; Carlsbad, CAから入手可能)。「完全に封入された」はまた、核酸-脂質粒子が血清中で安定であること、すなわち、インビボ投与された時に核酸-脂質粒子の成分部分に迅速に分解しないことを示す。
別の局面において、本発明は、複数の核酸-脂質粒子を含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)組成物を提供する。好ましい態様において、核酸-脂質粒子の約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約30%〜約95%、約40%〜約95%、約50%〜約95%、約60%〜約95%、%、約70%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、または少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)の中に核酸が封入されているように、核酸は核酸-脂質粒子粒子の脂質部分の中に完全に封入されている。
典型的には、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の脂質:核酸比(質量/質量比)は約1〜約100である。場合によっては、脂質:核酸比(質量/質量比)は、約1〜約50、約2〜約25、約3〜約20、約4〜約15、または約5〜約10である。好ましい態様において、核酸-脂質粒子の脂質:核酸比(質量/質量比)は、約5〜約15、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)である。
典型的には、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の平均直径は約40nm〜約150nmである。好ましい態様において、本発明の核酸-脂質粒子の平均直径は、約40nm〜約130nm、約40nm〜約120nm、約40nm〜約100nm、約50nm〜約120nm、約50nm〜約100nm、約60nm〜約120nm、約60nm〜約110nm、約60nm〜約100nm、約60nm〜約90nm、約60nm〜約80nm、約70nm〜約120nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約70nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、または約120nm未満、110nm未満、100nm未満、90nm未満、もしくは80nm未満(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)である。
ある特定の態様において、本発明は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする1つまたは複数の核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を構成する、1つまたは複数のカチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を構成する、1つまたは複数の非カチオン性脂質;および(d)粒子に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つまたは複数の複合脂質を含む、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。これらの態様の中の核酸-脂質粒子は、2008年4月15日に出願された、米国特許仮出願第61/045,228号にさらに記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の特定の1つの態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の非修飾干渉RNAおよび/または修飾干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約56.5mol%〜約66.5mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、非カチオン性脂質;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。この特定の態様は、一般的に、本明細書において「1:62」製剤と呼ばれる。好ましい態様において、カチオン性脂質はDLinDMAまたはDLin-K-C2-DMA(「XTC2」)であり、非カチオン性脂質はコレステロールであり、複合脂質はPEG-DAA結合体である。これらは1:62製剤の好ましい態様であるが、当業者であれば、本明細書に記載の1:62製剤において、他のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(他のコレステロール誘導体を含む)、および複合脂質を使用できることを理解するだろう。
本発明の別の特定の態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の非修飾干渉RNAおよび/または修飾干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約52mol%〜約62mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約36mol%〜約47mol%を構成する、非カチオン性脂質;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。この特定の態様は、一般的に、本明細書において「1:57」製剤と呼ばれる。1つの好ましい態様において、カチオン性脂質はDLinDMAまたはDLin-K-C2-DMA(「XTC2」)であり、非カチオン性脂質は、リン脂質(例えば、DPPC)およびコレステロールの混合物であり、リン脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約9mol%(例えば、約7.1mol%)を構成し、コレステロール(またはコレステロール誘導体)は、粒子に存在する総脂質の約32mol%〜約37mol%を構成し(例えば、約34.3mol%)、かつPEG-脂質はPEG-DAA(例えば、PEG-cDMA)である。これらは1:57製剤の好ましい態様であるが、当業者であれば、本明細書に記載の1:57製剤において、他のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(他のリン脂質および他のコレステロール誘導体を含む)、ならびに複合脂質を使用できることを理解するだろう。
本発明のさらに別の特定の態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の非修飾干渉RNAおよび/または修飾干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約50mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約47mol%〜約69mol%を構成する、非カチオン性脂質;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約3mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。この特定の態様は、一般的に、本明細書において「2:40」製剤と呼ばれる。1つの好ましい態様において、カチオン性脂質はDLinDMAまたはDLin-K-C2-DMA(「XTC2」)であり、非カチオン性脂質はリン脂質(例えば、DPPC)およびコレステロールの混合物であり、リン脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約15mol%(例えば、約10mol%)を構成し、コレステロール(またはコレステロール誘導体)は粒子に存在する総脂質の約40mol%〜約60mol%(例えば、約48mol%)を構成し、PEG-脂質はPEG-DAA(例えば、PEG-cDMA)である。これらは2:40製剤の好ましい態様であるが、当業者であれば、本明細書に記載の2:40製剤において、他のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(他のリン脂質および他のコレステロール誘導体を含む)、ならびに複合脂質を使用できることを理解するだろう。
好ましい態様において、1:62製剤は、リン脂質を含まず、約1.5mol%PEG-cDMA(またはPEG-cDSA)、約61.5mol%DLinDMA(またはXTC2)、および約36.9mol%コレステロール(またはその誘導体)を含む、3成分系である。他の好ましい態様において、1:57製剤は、約1.4mol%PEG-cDMA(またはPEG-cDSA)、約57.1mol%DLinDMA(またはXTC2)、約7.1mol%DPPC(またはDSPC)、および約34.3mol%コレステロール(またはその誘導体)を含む、4成分系である。さらなる好ましい態様において、2:40製剤は、約2mol%PEG-cDMA(またはPEG-cDSA)、約40mol%DLinDMA(またはXTC2)、約10mol%DPPC(またはDSPC)、および約48mol%コレステロール(またはその誘導体)を含む、4成分系である。これらのSNALP製剤は標的製剤であり、製剤に存在する脂質(カチオン性および非カチオン性)の量ならびに製剤に存在する脂質結合体の量は異なってもよいことが理解されるはずである。
一部の態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、表1〜2に示した配列を含む、またはこれらからなる、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上の非修飾siRNA分子および/または修飾siRNA分子を含む。
本発明はまた、本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
さらなる局面において、本明細書に記載のsiRNA分子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするための方法において用いられる。1つの態様において、本発明は、細胞と本明細書に記載のsiRNA分子を接触させることによって、CSN5遺伝子の発現(例えば、mRNAレベルおよび/またはタンパク質レベル)をサイレンシングするsiRNAを細胞に導入するための方法を提供する。別の態様において、本発明は、本明細書に記載のsiRNA分子を哺乳動物に投与することによって、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子をインビボ送達するための方法を提供する。siRNA分子の投与は、当技術分野において公知の任意の経路、例えば、経口投与、鼻腔内投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、関節内投与、病巣内投与、気管内投与、皮下投与、または皮内経路によるものでよい。
これらの方法において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子は、典型的には、担体システムを用いて処方され、siRNAを含む担体システムは、このような治療を必要とする哺乳動物に投与される。または、哺乳動物、例えば、ヒトから細胞が取り出され、siRNAが担体システムを用いてインビトロで送達され、次いで、細胞は、例えば、注射によって哺乳動物に投与される。本発明における使用に適した担体システムの例には、核酸-脂質粒子、リポソーム、ミセル、ビロソーム、核酸複合体(例えば、リポプレックス、ポリプレックスなど)、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。担体システムは、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子の少なくとも1つまたはカクテル(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含んでもよい。ある特定の態様において、担体システムは、表1〜2に示した配列の少なくとも1つまたはカクテルを含む。
一部の態様において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子は、siRNA、カチオン性脂質、および非カチオン性脂質を含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の中にある。好ましくは、siRNAは、siRNA、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む核酸-脂質粒子の中にある。治療的に有効な量の核酸-脂質粒子を、哺乳動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウス、または霊長類、例えば、ヒト、チンパンジー、もしくはサル)に投与することができる。
好ましい態様において、本発明は、細胞と本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を接触させる工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする1つまたは複数の干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA)を細胞に導入するための方法を提供する。1つの態様において、細胞は哺乳動物の中にあり、哺乳動物はヒトである。別の態様において、本発明は、本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を哺乳動物対象に投与する工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする1つまたは複数の干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA)をインビボ送達するための方法を提供する。好ましい態様において、粒子投与方法には、経口投与、鼻腔内投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、関節内投与、病巣内投与、気管内投与、皮下投与、および皮内投与が含まれるが、これに限定されない。好ましくは、哺乳動物対象はヒトである。他の態様において、粒子の送達は、肝臓、例えば、肝臓腫瘍細胞への送達である。ある特定の場合において、本発明の粒子は、優先的に肝臓を標的化するのに、例えば、肝臓にある腫瘍細胞集団に到達するために使用することができる。
1つの態様において、注射の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、または48時間後に、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の総注射用量の少なくとも約5%、10%、15%、20%、または25%が血漿に存在する。他の態様において、注射の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、または48時間後に、粒子の総注射用量の約20%超、30%超、40%超が血漿に存在し、粒子の総注射用量の約60%も、70%も、または80%も血漿に存在する。ある特定の場合において、複数の粒子の約10%超が、投与の約1時間後に哺乳動物の血漿に存在する。ある特定の他の場合において、粒子の存在は、粒子の投与の少なくとも約1時間後に検出可能である。ある特定の態様において、干渉RNA(例えば、siRNA)の存在は、投与の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後、または96時間後に腫瘍細胞において検出可能である。他の態様において、干渉RNA(例えば、siRNA)による標的CSN5配列発現のダウンレギュレーションは、投与の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後時間後、60時間後、72時間後、または96時間後に検出可能である。さらに他の態様では、干渉RNA(例えば、siRNA)による標的CSN5配列発現のダウンレギュレーションは、優先的に腫瘍細胞において起こる。さらなる態様において、投与部位の近位もしくは遠位にある部位の細胞または腫瘍細胞における干渉RNA(例えば、siRNA)の存在または効果は、投与の約12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、もしくは96時間後、または約6日後、8日後、10日後、12日後、14日後、16日後、18日後、19日後、20日後、22日後、24日後、26日後、もしくは28日後に検出可能である。さらなる態様において、本発明の粒子は非経口的にまたは腹腔内に投与される。
一部の態様において、CSN5遺伝子のダウンレギュレーションは、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるmRNAレベルまたはタンパク質レベルを検出することによって確かめられる。他の態様において、CSN5配列発現のダウンレギュレーションは、哺乳動物に由来する生物学的試料における細胞の細胞生存率またはアポトーシス誘導を測定することによって検出される。
一部の態様において、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、干渉RNA配列(例えば、siRNA)を含む1つまたは複数の核酸の治療的送達のための方法において特に有用である。特に、本発明の目的は、CSN5遺伝子の転写および/または翻訳をダウンレギュレーションまたはサイレンシングすることによって、哺乳動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウス、または霊長類、例えば、ヒト、チンパンジー、もしくはサル)における疾患または障害、例えば、細胞増殖障害(例えば、癌)を治療するためのインビトロ方法およびインビボ方法を提供することである。非限定的な例として、本発明の方法は、CSN5遺伝子を標的とする干渉RNA(例えば、siRNA)の哺乳動物対象の腫瘍(例えば、肝臓腫瘍)へのインビボ送達に有用である。
細胞増殖障害の非限定的な例には、新形成(例えば、癌)、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害、および炎症が含まれる。好ましくは、細胞増殖障害は新生物障害、例えば、癌である。一部の態様において、癌には、肝臓癌(例えば、肝細胞癌、続発性肝臓癌、および肝芽腫)、パピローマ、ブラストグリオーマ、カポジ肉腫、黒色腫、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、星状細胞腫、頭部癌、頸部癌、膀胱癌、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、胃癌、白血病、リンパ腫、ホジキン病、骨肉腫、精巣癌、ならびにバーキット病が含まれるが、これに限定されない。本発明の核酸-脂質粒子は、肝臓の癌、例えば、肝細胞癌の治療において特に有効である。
ある特定の態様において、疾患または障害(例えば、肝臓癌などの癌)は、CSN5遺伝子の発現および/または過剰発現と関連し、この遺伝子の発現または過剰発現は干渉RNA(例えば、siRNA)によって低下する。ある特定の他の態様において、治療的に有効な量の核酸-脂質粒子は、例えば、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)などの癌の治療のために哺乳動物に投与されてもよい。場合によっては、干渉RNA(例えば、siRNA)はSNALPの中に処方され、粒子は、このような治療を必要とする患者に投与される。他の場合において、患者から細胞が取り出され、干渉RNA(例えば、siRNA)が(例えば、本明細書に記載のSNALPを用いて)インビトロで送達され、細胞は患者に再注入される。
従って、本発明の核酸-脂質粒子は、循環中で安定であり、薬力学的挙動に必要なサイズであり、血管外部位に進入し、標的細胞集団に到達することができるので、干渉RNA(例えば、siRNA)などの核酸の対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)への投与における使用に有利かつ適切である。
別の局面において、本発明は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする免疫賦活性siRNAを修飾するための方法を提供する。前記方法は、
(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる非修飾siRNA配列を準備する工程であって、非修飾siRNA配列は免疫賦活性を有し、長さが約15〜約60ヌクレオチドの二本鎖配列を含む、工程;および
(b)1つまたは複数のヌクレオチドを修飾ヌクレオチドで置換することによって、非修飾siRNA配列を修飾し、
それによって、非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少なく、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる修飾siRNA分子を作製する工程を含む。
いくつかの態様において、方法は、
(c)修飾siRNA分子を哺乳動物応答細胞と、該応答細胞が検出可能な免疫応答を生ずるのに適した条件の下で接触させることにより、修飾siRNA分子が低免疫賦活性であることを確認する段階
をさらに含む。
関連する局面において、本発明は、
(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる非修飾siRNA配列を、哺乳動物応答細胞と、該応答細胞が検出可能な免疫応答を生ずるのに適した条件の下で接触させる段階;
(b)応答細胞における検出可能な免疫応答の存在により、非修飾siRNA配列を、免疫賦活性siRNAとして同定する段階;および
(c)1個または複数個のヌクレオチドを修飾ヌクレオチドに置換することにより、非修飾siRNA配列を修飾し、それにより、非修飾siRNA配列より低賦活刺激性である修飾siRNA分子を作製する段階
を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする免疫賦活性siRNAを同定しかつ修飾する方法を提供する。
一つの態様において、修飾siRNA分子は、2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、およびそれらの混合物からなる群より選択される修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、修飾siRNA分子は2'OMeヌクレオチドを含む。非限定的な例として、2'OMeヌクレオチドは、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。
典型的には、非修飾siRNA配列のヌクレオチドのうちの2個、3個、4個、5個、6個、7個、またはそれ以上が、修飾ヌクレオチドに置換される。いくつかの態様において、非修飾siRNA配列の二本鎖領域内のヌクレオチドのうちの約30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満が、修飾ヌクレオチドに置換される。他の態様において、非修飾siRNA配列の二本鎖領域内のヌクレオチドのうちの約10%〜約20%が、修飾ヌクレオチドに置換される。
ある種の例において、修飾siRNA分子は、非修飾siRNA配列より少なくとも約70%低賦活刺激性である。ある種の他の場合、修飾siRNA分子は、非修飾siRNA配列のものの10倍以下であるIC50を有する。
いくつかの態様において、哺乳動物応答細胞は、末梢血単核細胞または樹状細胞である。他の態様において、検出可能な免疫応答は、TNF-α、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-6、IL-12、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるサイトカインまたは増殖因子の産生を含む。さらなる態様において、検出可能な免疫応答は、テトラトリコペプチドリピートを含むインターフェロンにより誘導されるタンパク質1(interferon-induced protein with tetratricopeptide repeats 1(IFIT1))mRNAの誘導を含む。
さらなる局面において、本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする非対称干渉RNA(aiRNA)分子を含む組成物、およびCSN5遺伝子発現をサイレンシングするためのそのような組成物の使用法を提供する。
1つの態様において、aiRNA分子は、長さが約10〜約25(塩基対)ヌクレオチドの二本鎖(二重鎖)領域を含み、5'オーバーハングおよび3'オーバーハングを含むアンチセンス鎖を含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる。
ある特定の場合において、aiRNA分子は、長さが約12〜20、12〜19、12〜18、13〜17、または14〜17(塩基対)ヌクレオチド、より典型的には、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20(塩基対)ヌクレオチドの二本鎖(二重鎖)領域を含む。ある特定の他の場合において、アンチセンス鎖にある5'オーバーハングおよび3'オーバーハングは、標的CSN5 mRNAに相補的な配列を含み、任意で、非標的配列をさらに含んでもよい。一部の態様において、アンチセンス鎖にある5'オーバーハングおよび3'オーバーハングはそれぞれ、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上のヌクレオチドを含む、またはこれらからなる。他の態様において、アンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的な配列を含む、またはこれらからなる。
さらなる態様において、aiRNA分子は、2'OMeヌクレオチド、2'Fヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-MOEヌクレオチド、LNAヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択される修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、aiRNA分子は2'OMeヌクレオチドを含む。非限定的な例として、2'OMeヌクレオチドは、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択されてもよい。
関連する局面において、本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とするミクロRNA(miRNA)分子を含む組成物およびこのような組成物を用いてCSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法を提供する。
1つの態様において、miRNA分子は、長さが約15〜約60個のヌクレオチドを含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる。
ある特定の場合において、miRNA分子は、長さが約15〜50、15〜40、または15〜30個のヌクレオチドを含み、より典型的には、長さが約15〜25または19〜25ヌクレオチドを含み、好ましくは、長さが約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、miRNA分子は、CSN5 mRNAを標的とする成熟miRNA分子である。
一部の態様において、miRNA分子は、2'OMeヌクレオチド、2'Fヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-MOEヌクレオチド、LNAヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択される修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、miRNA分子は2'OMeヌクレオチドを含む。非限定的な例として、2'OMeヌクレオチドは、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択されてもよい。
IV.核酸
ある特定の態様において、本発明の脂質粒子は核酸と会合して、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を生じる。一部の態様において、核酸は完全に核酸-脂質粒子の中に封入されている。本明細書で使用する、「核酸」という用語は、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含み、一般的に、60個までのヌクレオチドを含有する断片がオリゴヌクレオチドと呼ばれ、それより長い断片がポリヌクレオチドと呼ばれる。特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド(oligonucletoide)は長さが約15〜約60ヌクレオチドである。核酸は本発明の核酸-脂質粒子の中に入れられて単独で投与されてもよく、癌などの細胞増殖障害の治療に適した1つまたは複数の治療用ペプチド、ポリペプチド、または小さな有機分子もしくは化合物(例えば、従来の薬物)と組み合わせて投与されてもよい(例えば、同時投与されてもよい)。
本発明の状況において、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然の塩基、糖、および糖間(バックボーン)結合からなるヌクレオチド単量体またはヌクレオシド単量体のポリマーまたはオリゴマーを指す。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、非天然の単量体を含むポリマーもしくはオリゴマーまたはその一部も含み、これらは同様に機能する。このような修飾オリゴヌクレオチドまたは置換オリゴヌクレオチドは、特性、例えば、多量に細胞に取り込まれ、免疫原性が低く、ヌクレアーゼ存在下での安定性が高いために、天然形態より好ましいことが多い。
オリゴヌクレオチドは、一般的に、デオキシリボオリゴヌクレオチドまたはリボオリゴヌクレオチドと分類される。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、枝分かれの無い交互重合体を形成するように、デオキシリボースと呼ばれる五炭糖の5'炭素および3'炭素にリン酸が結合したものからなる。リボオリゴヌクレオチドは、五炭糖がリボースの類似の反復構造からなる。
本発明による核酸-脂質粒子に存在する核酸は、公知の任意の形の核酸を含む。本明細書において用いられる核酸は、一本鎖DNAもしくはRNA、または二本鎖DNAもしくはRNA、またはDNA-RNAハイブリッドでもよい。二本鎖DNAの例には、例えば、構造遺伝子、制御領域および終結領域を含む遺伝子、および自己複製系、例えば、ウイルスDNAまたはプラスミドDNAが含まれる。二本鎖RNAの例には、例えば、siRNAおよび他のRNAi剤、例えば、aiRNAおよびプレmiRNAが含まれる。一本鎖核酸には、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、成熟miRNA、および三重鎖形成オリゴヌクレオチドが含まれる。
本発明の核酸は様々な長さの核酸でもよく、一般的に、特定の形の核酸に左右される。例えば、特定の態様において、プラスミドまたは遺伝子は長さが約1,000〜約100,000ヌクレオチド残基でもよい。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは長さが約10〜約100ヌクレオチドでもよい。様々な関連する態様において、一本鎖、二本鎖、および三本鎖のオリゴヌクレオチドは、長さが約10〜約60ヌクレオチド、約15〜約60ヌクレオチド、約20〜約50ヌクレオチド、約15〜約30ヌクレオチドでもよく、長さが約20〜約30ヌクレオチドでもよい。
特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド(またはその鎖)は標的ポリヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズするか、または標的ポリヌクレオチド配列に相補的である。本明細書で使用する「特異的にハイブリダイズする」および「相補的な」という用語は、DNA標的またはRNA標的とオリゴヌクレオチドとの間に安定かつ特異的な結合が生じるのに十分な程度の相補性があることを示している。オリゴヌクレオチドは特異的にハイブリダイズするために、その標的核酸配列に100%相補的である必要はないことが理解される。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドと標的配列が結合することによって標的配列の正常な機能が妨害されて、標的配列からの有用性または発現が失われた時に、および特異的結合が望まれる条件下で、すなわち、インビボアッセイもしくは治療の場合では生理学的条件下で、またはインビトロアッセイの場合ではアッセイが行われる条件下で、オリゴヌクレオチドと非標的配列の非特異的結合を避けるのに十分な程度の相補性がある時に、オリゴヌクレオチドは特異的にハイブリダイズしている。従って、オリゴヌクレオチドは、標的としている、または特異的にハイブリダイズする遺伝子またはmRNA配列の領域と比較して、1個、2個、3個、またはそれ以上の塩基置換を含んでもよい。
A.siRNA
本発明の非修飾siRNA分子および修飾siRNA分子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングして、例えば、癌細胞増殖を阻害するおよび/または癌細胞死を誘導することができ、典型的には、長さが約15〜60ヌクレオチドである。修飾siRNA分子は、一般的に、対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少なく、標的CSN5配列に対するRNAi活性を保持している。一部の態様において、修飾siRNAは、少なくとも1つの2'OMeプリンヌクレオチドまたはピリミジンヌクレオチド、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、2'OMe-アデノシンヌクレオチド、および/または2'OMe-シトシンヌクレオチドを含有する。好ましい態様において、ウリジンヌクレオチドおよび/またはグアノシンヌクレオチドの1つまたは複数が修飾される。修飾ヌクレオチドは、siRNAの一方の鎖(すなわち、センスまたはアンチセンス)に存在してもよく、両方の鎖に存在してもよい。siRNA配列は、オーバーハング(例えば、Elbashir et al., Genes Dev., 15:188 (2001) または Nykanen et al., Cell, 107:309(2001)に記載の3'または5'オーバーハング)を有してもよく、オーバーハングが無くてもよい(すなわち、平滑末端を有してもよい)。
修飾siRNAは、一般的に、siRNA二重鎖の二本鎖領域において約1%〜約100%(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)の修飾ヌクレオチドを含む。ある特定の態様において、siRNAの二本鎖領域内のヌクレオチドの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上が修飾ヌクレオチドを含む。
一部の態様において、siRNAの二本鎖領域内のヌクレオチドの約25%未満(例えば、約25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満)が修飾ヌクレオチドを含む。
他の態様において、siRNAの二本鎖領域内のヌクレオチドの約1%〜約25%(例えば、約1%〜25%、2%〜25%、3%〜25%、4%〜25%、5%〜25%、6%〜25%、7%〜25%、8%〜25%、9%〜25%、10%〜25%、11%〜25%、12%〜25%、13%〜25%、14%〜25%、15%〜25%、16%〜25%、17%〜25%、18%〜25%、19%〜25%、20%〜25%、21%〜25%、22%〜25%、23%〜25%、24%〜25%など)または約1%〜約20%(例えば、約1%〜20%、2%〜20%、3%〜20%、4%〜20%、5%〜20%、6%〜20%、7%〜20%、8%〜20%、9%〜20%、10%〜20%、11%〜20%、12%〜20%、13%〜20%、14%〜20%、15%〜20%、16%〜20%、17%〜20%、18%〜20%、19%〜20%、1%〜19%、2%〜19%、3%〜19%、4%〜19%、5%〜19%、6%〜19%、7%〜19%、8%〜19%、9%〜19%、10%〜19%、11%〜19%、12%〜19%、13%〜19%、14%〜19%、15%〜19%、16%〜19%、17%〜19%、18%〜19%、1%〜18%、2%〜18%、3%〜18%、4%〜18%、5%〜18%、6%〜18%、7%〜18%、8%〜18%、9%〜18%、10%〜18%、11%〜18%、12%〜18%、13%〜18%、14%〜18%、15%〜18%、16%〜18%、17%〜18%、1%〜17%、2%〜17%、3%〜17%、4%〜17%、5%〜17%、6%〜17%、7%〜17%、8%〜17%、9%〜17%、10%〜17%、11%〜17%、12%〜17%、13%〜17%、14%〜17%、15%〜17%、16%〜17%、1%〜16%、2%〜16%、3%〜16%、4%〜16%、5%〜16%、6%〜16%、7%〜16%、8%〜16%、9%〜16%、10%〜16%、11%〜16%、12%〜16%、13%〜16%、14%〜16%、15%〜16%、1%〜15%、2%〜15%、3%〜15%、4%〜15%、5%〜15%、6%〜15%、7%〜15%、8%〜15%、9%〜15%、10%〜15%、11%〜15%、12%〜15%、13%〜15%、14%〜15%など)が修飾ヌクレオチドを含む。
さらなる態様において、例えば、siRNAの一方の鎖または両方の鎖がウリジンヌクレオチドおよび/またはグアノシンヌクレオチドにおいて選択的に修飾される場合、得られた修飾siRNAは、約30%未満の修飾ヌクレオチド(例えば、約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%未満の修飾ヌクレオチド)または約1%〜約30%の修飾ヌクレオチド(例えば、約1%〜30%、2%〜30%、3%〜30%、4%〜30%、5%〜30%、6%〜30%、7%〜30%、8%〜30%、9%〜30%、10%〜30%、11%〜30%、12%〜30%、13%〜30%、14%〜30%、15%〜30%、16%〜30%、17%〜30%、18%〜30%、19%〜30%、20%〜30%、21%〜30%、22%〜30%、23%〜30%、24%〜30%、25%〜30%、26%〜30%、27%〜30%、28%〜30%、もしくは29%〜30%の修飾ヌクレオチド)を含み得る。
1.siRNA配列の選択
適当なsiRNA配列は、当技術分野において公知の任意の手段を使用して同定され得る。典型的には、Elbashir et al.,Nature,411:494-498(2001)およびElbashir et al.,EMBO J.,20:6877-6888(2001)に記載された方法が、Reynolds et al.,Nature Biotech.,22(3):326-330(2004)に示された合理的設計の規則と組み合わせられる。
一般に、関心対象の標的遺伝子に由来する転写物のAUG開始コドンの3'側のヌクレオチド配列を、ジヌクレオチド配列(例えば、AA、NA、CC、GG、またはUU(N=C、G、またはU))に関してスキャンする(例えば、Elbashir et al.,EMBO J.,20:6877-6888(2001)参照)。ジヌクレオチド配列の直ぐ3'側のヌクレオチドを、可能性のあるsiRNA配列(即ち、標的配列またはセンス鎖配列)として同定する。典型的には、ジヌクレオチド配列の直ぐ3'側の19個、21個、23個、25個、27個、29個、31個、33個、35個、またはそれ以上のヌクレオチドを、可能性のあるsiRNA配列として同定する。いくつかの態様において、ジヌクレオチド配列は、AA配列またはNA配列であり、AAジヌクレオチドまたはNAジヌクレオチドの直ぐ3'側の19ヌクレオチドを可能性のあるsiRNA配列として同定する。siRNA配列は、通常、標的遺伝子の長さに沿って異なる位置に間隔をあけて存在する。siRNA配列のサイレンシング効率をさらに増強するため、可能性のあるsiRNA配列を、例えば、標的細胞または標的生物の、他のコーディング配列と相同な領域を含有していない部位を同定するために分析することができる。例えば、約21塩基対の適当なsiRNA配列は、典型的には、標的細胞または標的生物のコーディング配列と相同な16〜17個超の連続塩基対を有しないであろう。siRNA配列をRNA Pol IIIプロモーターから発現させたい場合には、4個超の連続するAまたはTを欠くsiRNA配列が選択される。
可能性のあるsiRNA配列が同定されたならば、相補的な配列(即ち、アンチセンス鎖配列)を設計することができる。可能性のあるsiRNA配列を、当技術分野において公知の多様な基準を使用して分析することもできる。例えば、サイレンシング効率を増強するため、以下の特色のうちの一つまたは複数を有する配列を同定する合理的設計アルゴリズムにより、siRNA配列を分析することができる:(1)約25%〜約60%G/CのG/C含量;(2)センス鎖の15〜19位に少なくとも3個のA/U;(3)内部リピートなし;(4)センス鎖の19位がA;(5)センス鎖の3位がA;(6)センス鎖の10位がU;(7)センス鎖の19位がG/Cではない;および(8)センス鎖の13位がGではない。これらの特色の各々の適当な値を割り当てるアルゴリズムが組み入れられた、siRNAの選択のために有用なsiRNA設計ツールは、例えば、http://boz094.ust.hk/RNAi/siRNAに見出され得る。上記の特徴のうちの一つまたは複数を有する配列が、可能性のあるsiRNA配列としてのさらなる分析および試験のため選択され得ることを、当業者は認識するであろう。
さらに、以下の基準のうちの一つまたは複数を有する可能性のあるsiRNA配列は、しばしば、siRNAとして排除され得る:(1)4個以上の連続する同一塩基のストレッチを含む配列;(2)Gのホモポリマーを含む配列(即ち、これらのポリマーの構造的特徴による可能性のある非特異的効果を低下させるため;(3)三重塩基モチーフ(例えば、GGG、CCC、AAA、またはTTT)を含む配列;(4)7個以上の連続するG/Cのストレッチを含む配列;および(5)内部フォールドバック構造をもたらす、候補内に4塩基以上の直接リピートを含む配列。しかしながら、上記の特徴の一つまたは複数を有する配列であっても、可能性のあるsiRNA配列としてのさらなる分析および試験のため選択され得ることを、当業者は認識するであろう。
いくつかの態様において、可能性のあるsiRNA配列は、例えば、Khvorova et al.,Cell,115:209-216(2003);およびSchwarz et al.,Cell,115:199-208(2003)に記載されるような、siRNA二重鎖非対称性に基づき、さらに分析され得る。他の態様において、可能性のあるsiRNA配列は、例えば、Luo et al.,Biophys.Res.Commun.,318:303-310(2004)に記載されるように、標的部位における二次構造に基づき、さらに分析され得る。例えば、標的部位における二次構造は、塩基対合およびステムループの形態の比較的小さい二次構造が存在する、標的部位への接近可能性にとって好都合なsiRNA配列を選択するMfoldアルゴリズム(http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/rna/form1.cgiで入手可能)を使用してモデル化され得る。
可能性のあるsiRNA配列が同定されたならば、その配列は、例えば、インビトロサイトカインアッセイまたはインビボ動物モデルを使用して、免疫賦活特性の存在に関して分析され得る。GUリッチモチーフ(例えば、5'-GU-3'、5'-UGU-3'、5'-GUGU-3'、5'-UGUGU-3'等)のようなsiRNA配列のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖のモチーフも、配列が免疫賦活性であるか否かの指標を提供することができる。siRNA分子が免疫賦活性であることが見出されたならば、次いで、それを、本明細書に記載されるように、免疫賦活特性を減少させるために修飾することができる。非限定的な例として、siRNAが免疫賦活性siRNAであるかまたは非免疫賦活性siRNAであるかを決定するためには、細胞が検出可能な免疫応答を生ずるような条件の下で、siRNA配列を哺乳動物応答細胞と接触させることができる。哺乳動物応答細胞は、未感作の哺乳動物(即ち、以前にsiRNA配列の遺伝子産物と接触したことがない哺乳動物)に由来し得る。哺乳動物応答細胞は、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)、マクロファージ等であり得る。検出可能な免疫応答には、例えば、TNF-α、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-6、IL-12、またはそれらの組み合わせのようなサイトカインまたは増殖因子の産生が含まれ得る。次いで、免疫賦活性であることが同定されたsiRNA分子は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖のヌクレオチドのうちの少なくとも1個を修飾ヌクレオチドに交換することにより、免疫賦活特性を減少させるために修飾され得る。例えば、siRNA二重鎖の二本鎖領域内のヌクレオチドのうちの約30%未満(例えば、約30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満)が、2'OMeヌクレオチドのような修飾ヌクレオチドに交換され得る。次いで、修飾siRNAは、免疫賦活特性が低下したかまたは抑止されたことを確認するため、上記のような哺乳動物応答細胞と接触させられ得る。
免疫応答を検出するための適当なインビトロアッセイには、Davidら(米国特許第4,376,110号)の二重モノクローナル抗体サンドイッチイムノアッセイ技術;モノクローナル-ポリクローナル抗体サンドイッチアッセイ(Wide et al.,in Kirkham and Hunter,eds.,Radioimmunoassay Methods,E.and S.Livingstone,Edinburgh(1970));Gordonら(米国特許第4,452,901号)の「ウェスタンブロット」法;標識されたリガンドの免疫沈降(Brown et al.,J.Biol.Chem.,255:4980-4983(1980));例えば、Raines et al.,J.Biol.Chem.,257:5154-5160(1982)により記載されたような酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA);蛍光色素の使用を含む免疫細胞化学的技術(Brooks et al.,Clin.Exp.Immunol.,39:477(1980));および活性の中和(Bowen-Pope et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:2396-2400(1984))が含まれるが、これらに限定はされない。上記イムノアッセイに加え、米国特許第3,817,827号;第3,850,752号;第3,901,654号;第3,935,074号;第3,984,533号;第3,996,345号;第4,034,074号;および第4,098,876号に記載されたものを含む、多数のその他のイムノアッセイも利用可能である。これらの参考文献の開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
免疫応答を検出するためのインビボモデルの非限定的な例には、例えば、Judge et al.,Mol.Ther.,13:494-505(2006)に記載されたようなインビボマウスサイトカイン誘導アッセイが含まれる。ある種の態様において、以下のように実施され得るアッセイ:(1)siRNAを、外側尾静脈への標準的な静脈内注射により投与することができる;(2)投与の約6時間後、心臓穿刺により血液を収集し、サイトカイン分析のため血漿として加工することができる;そして(3)製造業者の指示に従って、サンドイッチELISAキットを使用して、サイトカインを定量化することができる(例えば、マウスおよびヒトのIFN-α(PBL Biomedical;Piscataway,NJ);ヒトのIL-6およびTNF-α(eBioscience;San Diego,CA);およびマウスのIL-6、TNF-α、およびIFN-γ(BD Biosciences;San Diego,CA))。
サイトカインおよび増殖因子に特異的に結合するモノクローナル抗体は、複数の供給元から市販されており、当技術分野において公知の方法を使用して作製されてもよい(例えば、Kohler et al.,Nature,256: 495-497(1975)およびHarlow and Lane,ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Publication,New York(1999)参照)。モノクローナル抗体の作製は、以前に記載されており、当技術分野において公知の任意の手段によって達成され得る(Buhring et al.,in Hybridoma,Vol.10,No.1,pp.77-78(1991))。いくつかの方法において、モノクローナル抗体は、検出を容易にするため、(例えば、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、電気的手段、光学的手段、または化学的手段により検出可能な任意の組成物により)標識される。
2.siRNA分子の作製
siRNAは、いくつかの形態で提供され得、例えば、一つもしくは複数の単離された低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖として、比較的長い二本鎖RNA(dsRNA)として、またはDNAプラスミド内の転写カセットから転写されるsiRNAもしくはdsRNAとして提供され得る。siRNA配列は、オーバーハング(例えば、Elbashir et al.,Genes Dev.,15:188(2001)もしくはNykanen et al.,Cell,107:309(2001)に記載されるような3'オーバーハングもしくは5'オーバーハングを有していてもよいし、またはオーバーハングを欠いてもよい(即ち、平滑末端を有していてもよい)。
長いRNA前駆体を提供するためにRNA集団を使用することができ、または選択された標的配列との実質的なもしくは完全な同一性を有する長いRNA前駆体を、siRNAを作製するために使用することができる。RNAは、当業者に周知の方法に従って、細胞または組織から単離されてもよいし、合成されてもよいし、かつ/またはクローニングされてもよい。RNAは、混合集団(細胞または組織から入手されたもの、cDNAから転写されたもの、サブトラクションを受けたもの、選択されたもの等)であってもよいし、または単一の標的配列を表していてもよい。RNAは、(例えば、組織または細胞の試料から単離された)天然に存在するものであってもよいし、(例えば、T7ポリメラーゼもしくはSP6ポリメラーゼおよびPCR産物またはクローニングされたcDNAを使用して)インビトロ合成されてもよいし、または化学合成されてもよい。
長いdsRNAを形成するため、合成RNAの場合には、相補鎖もインビトロで転写し、dsRNAが形成されるようハイブリダイズさせる。天然に存在するRNA集団が使用される場合には、例えば、RNA集団に対応するcDNAを転写することによって、またはRNAポリメラーゼを使用することによって、(例えば、大腸菌RNAse IIIまたはダイサーによる消化のためのdsRNAが形成されるよう)RNA相補鎖も提供される。次いで、RNA前駆体を、消化のための二本鎖RNAが形成されるようハイブリダイズさせる。dsRNAは、対象に直接投与されてもよいし、または投与前にインビトロで消化されてもよい。
RNAの単離、RNAの合成、核酸のハイブリダイゼーション、cDNAライブラリーの作製およびスクリーニング、ならびにPCRの実施のための方法は、当技術分野において周知であり(例えば、Gubler and Hoffman,Gene,25:263-269(1983);Sambrook et al.(前記);Ausubel et al.(前記)参照)、PCR法(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis et al.,eds,1990)参照)も同様である。発現ライブラリーも当業者に周知である。本発明において有用な一般的な方法を開示している付加的な基礎的な教科書には、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(2nd ed.1989);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,1994)が含まれる。これらの参考文献の開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
好ましくは、siRNAは化学合成される。本発明のsiRNA分子を含むオリゴヌクレオチドは、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.,109:7845(1987);Scaringe et al.,Nucl.Acids Res.,18:5433(1990);Wincott et al.,Nucl.Acids Res.,23:2677-2684(1995);およびWincott et al.,Methods Mol.Bio.,74:59(1997)に記載されたもののような、当技術分野において公知の多様な技術のうちの任意のものを使用して合成され得る。オリゴヌクレオチドの合成は、5'末のジメトキシトリチルおよび3'末のホスホラミダイトのような一般的な核酸の保護基およびカップリング基を使用する。非限定的な例として、小規模合成は0.2μmolスケールプロトコルを使用して、Applied Biosystemsの合成装置で実施され得る。または、0.2μmolスケールでの合成は、Protogene(Palo Alto,CA)製の96穴プレート合成装置で実施されてもよい。しかしながら、より大規模またはより小規模の合成も、本発明の範囲内である。オリゴヌクレオチド合成のための適当な試薬、RNA脱保護の方法、およびRNA精製の方法は、当業者に公知である。
siRNA分子は、切断可能リンカーによって分離された単一の連続オリゴヌクレオチド断片または鎖として両方の鎖を合成し、続いて、siRNA二重鎖が形成されるようハイブリダイズする別々の断片または鎖を提供するため、切断可能リンカーを切断する、タンデム合成技術を介して合成されてもよい。リンカーは、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーであり得る。siRNAのタンデム合成は、マルチウェル/マルチプレート合成プラットフォームにも、バッチリアクター、合成カラム等を利用した大規模合成プラットフォームにも、容易に適合し得る。または、siRNA分子は、二つの別個のオリゴヌクレオチド(一方のオリゴヌクレオチドがsiRNAのセンス鎖を含み、他方がアンチセンス鎖を含む)から組み立てられてもよい。例えば、各鎖を別々に合成し、合成および/または脱保護の後、ハイブリダイゼーションまたはライゲーションによって接合することができる。ある種の他の例において、siRNA分子は、ヘアピン二次構造を有するsiRNA二重鎖が形成されるよう、自己相補的なセンス領域およびアンチセンス領域がハイブリダイズする、単一の連続オリゴヌクレオチド断片として合成されてもよい。
3.siRNA配列の修飾
ある種の局面において、本発明のsiRNA分子は、2本の鎖(各鎖は約15〜約60ヌクレオチド長である)を有し、かつ二本鎖領域内に少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを有する二重鎖を含む。有利なことに、修飾siRNAは、対応する非修飾siRNA配列より低免疫賦活性であるが、標的配列の発現をサイレンシングする能力を保持している。好ましい態様において、siRNA分子へ導入される化学的修飾の程度は、siRNAの免疫賦活特性の低下または抑止と、RNAi活性の保持との間のバランスをとる。非限定的な例として、CSN5遺伝子を標的とするsiRNA分子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする能力を保持しながら、siRNAが生ずる免疫応答を排除するため、siRNA二重鎖内の選択的なウリジンヌクレオチドおよび/またはグアノシンヌクレオチドにおいて最小限に修飾され得る(例えば、約30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満、修飾され得る)。
本発明において使用するのに適している修飾ヌクレオチドの例には、2'-O-メチル(2'OMe)基、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)基、2'-デオキシ基、5-C-メチル基、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)基、4'-チオ基、2'-アミノ基、または2'-C-アリル基を有するリボヌクレオチドが含まれるが、これらに限定はされない。例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer-Verlag Ed.(1984)に記載されたもののようなノーザンコンフォメーションを有する修飾ヌクレオチドも、siRNA分子において使用するのに適している。そのような修飾ヌクレオチドには、非限定的に、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2'-O,4'-C-メチレン-(D-リボフラノシル)ヌクレオチド)、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、2'-メチル-チオ-エチルヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-クロロ(2'Cl)ヌクレオチド、および2'-アジドヌクレオチドが含まれる。ある種の例において、本明細書において記載されるsiRNA分子は、1個または複数個のG-クランプヌクレオチドを含む。G-クランプヌクレオチドとは、二重鎖内の相補グアニンヌクレオチドのワトソンクリック表面およびフーグスティーン表面の両方に水素結合する能力を付与する修飾を施されたシトシンアナログをさす(例えば、Lin et al.,J.Am.Chem.Soc.,120:8531-8532(1998)参照)。さらに、例えば、C-フェニル、C-ナフチル、その他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミドのようなヌクレオチド塩基アナログ、3-ニトロピロール、4-ニトロインドール、5-ニトロインドール、および6-ニトロインドールのようなニトロアゾール誘導体を有するヌクレオチド(例えば、Loakes,Nucl.Acids Res.,29:2437-2447(2001)参照)が、siRNA分子に組み入れられ得る。
ある種の態様において、siRNA分子は、末端キャップ部分、リン酸骨格修飾等のような一つまたは複数の化学的修飾をさらに含み得る。末端キャップ部分の例には、非限定的に、反転デオキシ脱塩基残基、グリセリル修飾、4',5'-メチレンヌクレオチド、1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L-ヌクレオチド、α-ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、スレオ-ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3',4'-セコヌクレオチド、非環式3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3'-3'-反転ヌクレオチド部分、3'-3'-反転脱塩基部分、3'-2'-反転ヌクレオチド部分、3'-2'-反転脱塩基部分、5'-5'-反転ヌクレオチド部分、5'-5'-反転脱塩基部分、3'-5'-反転デオキシ脱塩基部分、5'-アミノ-アルキルホスフェート、1,3-ジアミノ-2-プロピルホスフェート、3-アミノプロピルホスフェート、6-アミノヘキシルホスフェート、1,2-アミノドデシルホスフェート、ヒドロキシプロピルホスフェート、1,4-ブタンジオールホスフェート、3'-ホスホロアミデート、5'-ホスホロアミデート、ヘキシルホスフェート、アミノヘキシルホスフェート、3'-ホスフェート、5'-アミノ、3'-ホスホロチオエート、5'-ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、および架橋型もしくは非架橋型のメチルホスホネート、または5'-メルカプト部分が含まれる(例えば、米国特許第5,998,203号;Beaucage et al.,Tetrahedron 49:1925(1993)参照)。リン酸骨格修飾(即ち、修飾されたヌクレオチド間結合をもたらす)の非限定的な例には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、モルホリノ、アミデート、カルバメート、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、およびアルキルシリル置換が含まれる(例えば、Hunziker et al.,Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties,in Modern Synthetic Methods,VCH,331-417(1995);Mesmaeker et al.,Novel Backbone Replacements for Oligonucleotides,in Carbohydrate Modifications in Antisense Research,ACS,24-39(1994)参照)。そのような化学的修飾は、siRNAのセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖の5'末および/または3'末においてなされ得る。これらの参考文献の開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、siRNA分子のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖は、約1〜約4個(例えば、1個、2個、3個、または4個)の2'-デオキシリボヌクレオチド、および/または修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとの任意の組み合わせを有する3'末端オーバーハングをさらに含んでいてもよい。siRNA分子へ導入され得る修飾ヌクレオチドおよび化学的修飾の型の付加的な例は、例えば、英国特許GB 2,397,818 B、米国特許公開第20040192626号、第20050282188号、および第20070135372号に記載されている。これらの開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書において記載されるsiRNA分子は、任意で、siRNAの一方の鎖または両方の鎖に、1個または複数個の非ヌクレオチドを含んでいてもよい。本明細書において使用されるように、「非ヌクレオチド」という用語は、糖および/またはリン酸の置換を含む、1個または複数個のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖へ組み入れられ得、残りの塩基が活性を示すことを可能にする任意の基または化合物をさす。基または化合物は、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシル、またはチミンのような一般的に認識されているヌクレオチド塩基を含有しておらず、従って、1'位に塩基を欠くという点で脱塩基である。
他の態様において、siRNAの化学的修飾には、siRNA分子への結合体の付着が含まれる。結合体は、例えば、生分解性リンカーのような共有結合性の付着を介して、siRNAのセンス鎖および/またはアンチセンス鎖の5'末および/または3'末に付着させられ得る。結合体は、例えば、カルバメート基またはその他の連結基を通して、siRNAに付着させられてもよい(例えば、米国特許公開第20050074771号、第20050043219号、および第20050158727号参照)。ある種の例において、結合体は、siRNAの細胞への送達を容易にする分子である。siRNAへの付着のために適している結合体分子の例には、非限定的に、コレステロールのようなステロイド、ポリエチレングリコール(PEG)のようなグリコール、ヒト血清アルブミン(HSA)、脂肪酸、カロテノイド、テルペン、胆汁酸、葉酸類(例えば、葉酸、葉酸アナログ、およびそれらの誘導体)、糖(例えば、ガラクトース、ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、グルコース、マンノース、フルクトース、フコース等)、リン脂質、ペプチド、細胞取り込みを媒介することができる細胞受容体のリガンド、ならびにそれらの組み合わせ(例えば、米国特許公開第20030130186号、第20040110296号、および第20040249178号;米国特許第6,753,423号参照)が含まれる。他の例には、親油性部分、ビタミン、ポリマー、ペプチド、タンパク質、核酸、低分子、オリゴ糖、炭水化物クラスタ、インターカレーター、副溝結合剤、切断剤、ならびに米国特許公開第20050119470号および第20050107325号に記載された架橋剤結合体分子が含まれる。さらに他の例には、2'-O-アルキルアミン、2'-O-アルコキシアルキルアミン、ポリアミン、C5-カチオン性修飾ピリミジン、カチオン性ペプチド、グアニジニウム基、アミジニニウム基、米国特許公開第20050153337号に記載されたカチオン性アミノ酸結合体分子が含まれる。付加的な例には、疎水性基、膜活性化合物、細胞透過性化合物、細胞ターゲティングシグナル、相互作用修飾剤、および米国特許公開第20040167090号に記載された立体安定化剤結合体分子が含まれる。さらなる例には、米国特許公開第20050239739号に記載された結合体分子が含まれる。siRNA分子に対して使用される結合体の型および結合の程度は、RNAi活性を保持しながら改善されたsiRNAの薬物動態学的プロフィール、生物学的利用能、および/または安定性に関して評価され得る。そのため、当業者は、多様な周知のインビトロ細胞培養物またはインビボ動物モデルのうちの任意のものを使用して、改良された特性および完全なRNAi活性を有するものを同定するため、様々な結合体が付着したsiRNA分子をスクリーニングすることができる。上述の特許文献の開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
B.aiRNA
siRNAと同様に、非対称干渉RNA(aiRNA)も、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を動員し、アンチセンス鎖の5'末から10位のヌクレオチドと11位のヌクレオチドとの間での標的配列の配列特異的な切断を媒介することにより、哺乳動物細胞において多様な遺伝子の効率的なサイレンシングをもたらすことができる(Sun et al.,Nat.Biotech.,26:1379-1382(2008))。典型的には、aiRNA分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を有する短いRNA二重鎖を含み、その二重鎖は、アンチセンス鎖の3'末および5'末にオーバーハングを含有している。センス鎖の両端が相補アンチセンス鎖と比較して短いため、aiRNAは、一般に、非対称である。いくつかの局面において、本発明のaiRNA分子は、siRNA分子に関して使用されるものに類似した条件の下で、設計され、合成され、アニーリングされ得る。非限定的な例として、aiRNA配列は、siRNA配列を選択するための上記の方法を使用して、選択され作製され得る。
もう一つの態様において、関心対象のmRNAを標的とするため、アンチセンス鎖の3'末および5'末にオーバーハングを有する、様々な長さ(例えば、約10〜25、12〜20、12〜19、12〜18、13〜17、または14〜17塩基対、より典型的には、12、13、14、15、16、17、18、19、または20塩基対)のaiRNA二重鎖が設計され得る。ある種の例において、aiRNA分子のセンス鎖は、約10〜25、12〜20、12〜19、12〜18、13〜17、または14〜17ヌクレオチド長、より典型的には、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド長である。ある種の他の例において、aiRNA分子のアンチセンス鎖は、約15〜60、15〜50、または15〜40ヌクレオチド長、より典型的には、約15〜30、15〜25、または19〜25ヌクレオチド長であり、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチド長である。
一部の態様において、5'アンチセンスオーバーハングは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の非標的ヌクレオチド(例えば、「AA」、「UU」、「dTdT」など)を含有する。他の態様において、3'アンチセンスオーバーハングは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の非標的ヌクレオチド(例えば、「AA」、「UU」、「dTdT」など)を含有する。ある特定の局面において、本明細書に記載のaiRNA分子は、例えば、二本鎖(二重鎖)領域および/またはアンチセンスオーバーハングに、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。非限定的な例として、aiRNA配列は、siRNA配列について前記で述べられた修飾ヌクレオチドの1つまたは複数を含んでもよい。好ましい態様において、aiRNA分子は、2'OMeヌクレオチド、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、またはその混合物を含む。
ある種の態様において、本発明のaiRNA分子は、siRNA分子、例えば、CSN5サイレンシング活性を示す本明細書に記載されたsiRNA分子のうちの一つのアンチセンス鎖に相当するアンチセンス鎖を含む。いくつかの例において、CSN5 mRNAを標的とするaiRNAは、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)のような本明細書に記載された担体システムを使用して投与される。好ましい態様において、核酸-脂質粒子は以下のものを含む:(a)CSN5 mRNAを標的とする一つまたは複数のaiRNA分子;(b)カチオン性脂質(例えば、DLinDMA、および/またはXTC2);ならびに(c)非カチオン性脂質(例えば、DSPC、DPPC、DSPE、および/またはコレステロール)。ある種の例において、核酸-脂質粒子は、粒子の凝集を防止する複合脂質(例えば、PEG-DAAなどのPEG-脂質結合体)をさらに含んでいてもよい。
C.miRNA
一般に、マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現を調節する約21〜23ヌクレオチド長の一本鎖RNA分子である。miRNAは、遺伝子によってコードされ、そのDNAから転写されるが、miRNAはタンパク質へは翻訳されず(非コーディングRNA);その代わり、各第一転写物(pri-miRNA)が、pre-miRNAと呼ばれる短いステムループ構造へプロセシングされ、最終的に、機能的な成熟miRNAへとプロセシングされる。成熟miRNA分子は、一つまたは複数のメッセンジャーRNA(mRNA)分子に部分的にまたは完全に相補的であり、それらの主要な機能は、遺伝子発現をダウンレギュレートすることである。miRNAの同定は、例えば、Lagos-Quintana et al.,Science,294:853-858;Lau et al.,Science,294:858-862;およびLee et al.,Science,294:862-864に記載されている。
miRNAをコードする遺伝子は、プロセシングされた成熟miRNA分子よりはるかに長い。miRNAは、まず、キャップおよびポリAテールを有する第一転写物またはpri-miRNAとして転写され、細胞核において、pre-miRNAとして公知の短いおよそ70ヌクレオチドのステムループ構造へプロセシングされる。このプロセシングは、動物においては、ヌクレアーゼドローシャ(Drosha)および二本鎖RNA結合タンパク質パシャ(Pasha)からなるマイクロプロセッサー複合体として公知のタンパク質複合体によって実施される(Denli et al.,Nature,432:231-235(2004))。次いで、これらのpre-miRNAは、エンドヌクレアーゼダイサーとの相互作用によって細胞質において成熟miRNAへプロセシングされる。ダイサーは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)の形成も開始させる(Bernstein et al.,Nature,409:363-366(2001))。DNAのセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかが、miRNAを与えるための鋳型として機能することができる。
ダイサーがpre-miRNAステムループを切断する時、二つの相補的な短いRNA分子が形成されるが、一方のみがRISC複合体へ組み込まれる。この鎖はガイド鎖として公知であり、5'末の安定性に基づき、RISC複合体内の触媒活性RNaseアルゴノートタンパク質によって選択される(Preall et al.,Curr.Biol.,16:530-535(2006))。抗ガイド鎖またはパッセンジャー鎖として公知の残りの鎖は、RISC複合体基質として分解される(Gregory et al.,Cell,123:631-640(2005))。活性RISC複合体への組み込みの後、miRNAは、相補的なmRNA分子と塩基対合し、標的mRNA分解および/または翻訳サイレンシングを誘導する。
哺乳動物miRNAは、一般的に、標的mRNA配列の3'UTR内の部位に相補的である。ある種の例において、標的mRNAへのmiRNAのアニーリングは、タンパク質翻訳機構を阻止することにより、タンパク質翻訳を阻害する。ある種の他の例において、標的mRNAへのmiRNAのアニーリングは、RNA干渉(RNAi)に類似している過程を通して、標的mRNAの切断および分解を容易にする。miRNAは、標的とされたmRNAに対応するゲノム部位のメチル化も標的とすることができる。一般に、miRNAは、集合的にmiRNPと呼ばれるタンパク質の補完物と会合して機能する。
ある種の局面において、本明細書に記載されたmiRNA分子は、約15〜100、15〜90、15〜80、15〜75、15〜70、15〜60、15〜50、または15〜40ヌクレオチド長、より典型的には、15〜30、15〜25、または19〜25ヌクレオチド長であり、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチド長である。ある種の他の局面において、本明細書に記載されたmiRNA分子は1個または複数個の修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。非限定的な例として、miRNA配列は、siRNA配列に関して上に記載された修飾ヌクレオチドのうちの1個または複数個を含んでいてもよい。好ましい態様において、miRNA分子は、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、またはそれらの混合物のような2'OMeヌクレオチドを含む。
一部の態様において、CSN5 mRNAを標的とするmiRNAは、本明細書に記載の担体システム、例えば、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を用いて投与される。好ましい態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5 mRNAを標的とする1つまたは複数のmiRNA分子;(b)カチオン性脂質(例えば、DLinDMAおよび/またはXTC2);ならびに(c)非カチオン性脂質(例えば、DSPC、DPPC、DSPE、および/またはコレステロール)を含む。ある特定の場合において、核酸-脂質粒子は、粒子の凝集を阻止する複合脂質(例えば、PEG-脂質結合体、例えば、PEG-DAA)をさらに含んでもよい。
他の態様において、CSN5 mRNAを標的とするmiRNAの活性をブロックする1つまたは複数の薬剤が、本明細書に記載の担体システム(例えば、核酸-脂質粒子)を用いて投与される。ブロッキング薬剤の例には、立体ブロッキングオリゴヌクレオチド、ロックド核酸オリゴヌクレオチド、およびモルホリノオリゴヌクレオチドが含まれるが、これに限定されない。このようなブロッキング剤はmiRNAに直接結合してもよく、標的mRNA上のmiRNA結合部位に結合してもよい。
V.核酸を含有する担体システム
1つの局面において、本発明は、本明細書に記載の1つまたは複数の核酸、例えば、非修飾干渉RNAまたは修飾干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、またはmiRNAを含有する担体システムを提供する。一部の態様において、担体システムは、脂質をベースにした担体システム、例えば、安定核酸-脂質粒子(例えば、SNALPもしくはSPLP)、カチオン性脂質またはリポソーム核酸複合体(すなわち、リポプレックス)、リポソーム、ミセル、ビロソーム、あるいはその混合物である。他の態様において、担体システムは、ポリマーをベースにした担体システム、例えば、カチオン性ポリマー-核酸複合体(すなわち、ポリプレックス)である。さらなる態様において、担体システムは、シクロデキストリンをベースにした担体システム、例えば、シクロデキストリンポリマー-核酸複合体である。さらなる態様において、担体システムは、タンパク質をベースにした担体システム、例えば、カチオン性ペプチド-核酸複合体である。好ましくは、担体システムは、核酸-脂質粒子、例えば、SNALPまたはSPLPである。当業者であれば、本発明の核酸(例えば、干渉RNA)を裸の分子としても送達できることを理解するだろう。
A.安定核酸-脂質粒子
好ましい態様において、本発明の核酸-脂質粒子は、干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、および/またはmiRNA)、カチオン性脂質(例えば、式I、II、および/またはIIIのカチオン性脂質)、非カチオン性脂質(例えば、コレステロールのみ、または1種類もしくは複数の種類のリン脂質およびコレステロールの混合物)、任意で、粒子の凝集を阻害する複合脂質(例えば、1種類もしくは複数の種類のPEG-脂質結合体)を含む、血清中で安定な核酸-脂質粒子(SNALP)である。SNALPは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の種類の非修飾干渉RNA分子および/または修飾干渉RNA分子を含んでもよい。
本発明のSNALPは、典型的には、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70〜約90nmの平均直径を有し、実質的に無毒である。さらに、核酸は核酸-脂質粒子に存在する時に、水溶液中でのヌクレアーゼ分解に対して耐性である。核酸-脂質粒子およびこの調製方法は、例えば、米国特許第5,753,613号;同第5,785,992号;同第5,705,385号;同第5,976,567号;同第5,981,501号;同第6,110,745号;および同第6,320,017号;およびPCT国際公開公報第96/40964号に記載される。これらの開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
1.カチオン性脂質
様々なカチオン性脂質をいずれも単独で、または、1つもしくは複数の種類のチオン性脂質種もしくは非カチオン性脂質種と組み合わせて、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)において使用することができる。
本発明において有用なカチオン性脂質は、生理学的pHで正味の正電荷を有する多数の脂質種のいずれでもよい。このような脂質には、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、3-(N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパナミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-en-3-β-オキシブタン-4-オキシ)-1-(cis,cis-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパン(CLinDMA)、2-[5'-(コレスト-5-en-3.β.-オキシ)-3'-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(cis,cis-9',1-2'-オクタデカジエノキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2-N,N'-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2-N,N'-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、1,2-ジリノレオイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinCDAP)、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。多数のこれらの脂質および関連する類似体が、米国特許出願公開第20060083780号および20060240554;米国特許第5,208,036号;同第5,264,618;5,279,833号;同第5,283,185号;同第5,753,613号;および同第5,785,992号;ならびにPCT国際公開公報第96/10390号に記載されている。これらの開示はそれぞれ、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。さらに、カチオン性脂質の多数の商業的調製物が入手可能であり、本発明において使用することができる。これらには、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMAおよびDOPEを含む市販のカチオン性リポソーム, GIBCO/BRL, Grand Island, New York, USA); LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPAおよびDOPEを含む、市販のカチオン性リポソーム, GIBCO/BRL);ならびにTRANSFECTAM(登録商標)(DOGSを含む市販のカチオン性リポソーム, Promega Corp., Madison, Wisconsin, USA)が含まれる。
さらに、以下の構造を有する式Iのカチオン性脂質が本発明において有用である。
Figure 2011516094
式中、R1およびR2は独立して選択され、HまたはC1〜C3アルキルであり、R3およびR4は独立して選択され、約10〜約20個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3およびR4の少なくとも1つは少なくとも2つの不飽和部位を含む。ある特定の場合において、R3およびR4は両方とも同じである、すなわち、R3およびR4は両方ともリノレイル(C18)などである。ある特定の他の場合において、R3およびR4は異なる、すなわち、R3はテトラデクトリエニル(tetradectrienyl)(C14)であり、R4はリノレイル(C18)である。好ましい態様において、式Iのカチオン性脂質は対称性である、すなわち、R3およびR4は両方とも同じである。別の好ましい態様において、R3およびR4は両方とも少なくとも2つの不飽和部位を含む。一部の態様において、R3およびR4は、独立して、ドデカジエニル、テトラデカジエニル、ヘキサデカジエニル、リノレイル、およびイコサジエニルからなる群より選択される。好ましい態様において、R3およびR4は両方ともリノレイルである。一部の態様において、R3およびR4は少なくとも3つの不飽和部位を含み、独立して、例えば、ドデカトリエニル、テトラデクトリエニル、ヘキサデカトリエニル、リノレニル、およびイコサトリエニルより選択される。特に好ましい態様において、式Iのカチオン性脂質は、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)または1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)である。
さらに、以下の構造を有する式IIのカチオン性脂質が本発明において有用である。
Figure 2011516094
式中、R1およびR2は独立して選択され、HまたはC1〜C3アルキルであり、R3およびR4は独立して選択され、約10〜約20個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3およびR4の少なくとも1つは少なくとも2つの不飽和部位を含む。ある特定の場合において、R3およびR4は両方とも同じである、すなわち、R3およびR4は両方ともリノレイル(C18)などである。ある特定の他の場合において、R3およびR4は異なる、すなわち、R3はテトラデクトリエニル(C14)であり、R4はリノレイル(C18)である。好ましい態様において、本発明のカチオン性脂質は対称性である、すなわち、R3およびR4は両方とも同じである。別の好ましい態様において、R3およびR4は両方とも少なくとも2つの不飽和部位を含む。一部の態様において、R3およびR4は、独立して、ドデカジエニル、テトラデカジエニル、ヘキサデカジエニル、リノレイル、およびイコサジエニルからなる群より選択される。好ましい態様において、R3およびR4は両方ともリノレイルである。一部の態様において、R3およびR4は少なくとも3つの不飽和部位を含み、独立して、例えば、ドデカトリエニル、テトラデクトリエニル、ヘキサデカトリエニル、リノレニル、およびイコサトリエニルより選択される。
さらに、以下の構造を有する式IIIのカチオン性脂質(またはその塩)が本発明において有用である。
Figure 2011516094
式中、R1およびR2は同じか、または異なり、独立して、置換されてもよいC12〜C24アルキル、置換されてもよいC12〜C24アルケニル、置換されてもよいC12〜C24アルキニル、もしくは置換されてもよいC12〜C24アシルであり;R3およびR4は同じか、または異なり、独立して、置換されてもよいC1〜C6アルキル、置換されてもよいC1〜C6アルケニル、もしくは置換されてもよいC1〜C6アルキニルであり、またはR3およびR4は結合して、4〜6個の炭素原子ならびに窒素および酸素から選択される1個または2個のヘテロ原子からなる置換されてもよい複素環式環を形成し;R5は、第四級アミンを生じるように存在しないか、水素、またはC1〜C6アルキルであり;m、n、およびpは同じか、または異なり、独立して0または1であり、但しm、n、およびpは同時に0ではなく;qは0、1、2、3、または4であり;YおよびZは同じか、または異なり、独立してO、S、またはNHである。
一部の態様において、式IIIのカチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA;「XTC2」)、2,2-ジリノレイル-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(4-ジメチルアミノブチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C4-DMA)、2,2-ジリノレイル-5-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキサン(DLin-K6-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-N-メチルペピアジノ-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-MPZ)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、またはその混合物である。好ましい態様において、式IIIのカチオン性脂質は、DLin-K-C2-DMA(XTC2)である。
一部の態様において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約90mol%、約50mol%〜約85mol%、約50mol%〜約80mol%、約50mol%〜約75mol%、約50mol%〜約70mol%、約50mol%〜約65mol%、または約55mol%〜約65mol%を構成する。
他の態様において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約2mol%〜約60mol%、約5mol%〜約50mol%、約10mol%〜約50mol%、約20mol%〜約50mol%、約20mol%〜約40mol%、約30mol%〜約40mol%、または約40mol%を構成する。
本発明の核酸-脂質粒子における使用に適したカチオン性脂質のさらなるパーセントおよび範囲は、前記のセクションIIIで述べた。
粒子の目的の用途に応じて、成分の比率を変更することができ、例えば、エンドソーム放出パラメータ(ERP)アッセイを用いて、特定の製剤の送達効率を測定できることが当業者に容易に明らかであろう。
2.非カチオン性脂質
本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)において用いられる非カチオン性脂質は、安定した複合体を生成することができる様々な中性無電荷脂質、双性イオン脂質、またはアニオン性脂質のいずれでもよい。
非カチオン性脂質の非限定的な例には、リン脂質、例えば、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレイオル-ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、およびその混合物が含まれる。他のジアシルホスファチジルコリンおよびジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用することができる。これらの脂質の中にあるアシル基は、好ましくは、C10〜C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、またはオレオイルである。
非カチオン性脂質のさらなる実施例には、ステロール、例えば、コレステロールおよびその誘導体、例えば、コレスタノール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2'-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4'-ヒドロキシブチルエーテル、およびその混合物が含まれる。
一部の態様において、核酸-脂質粒子に存在する非カチオン性脂質は、コレステロールまたはその誘導体、例えば、リン脂質を含まない製剤を含む、またはこれからなる。他の態様において、核酸-脂質粒子に存在する非カチオン性脂質は、1つまたは複数のリン脂質、例えば、コレステロールを含まない製剤を含む、またはこれからなる。さらなる態様において、核酸-脂質粒子に存在する非カチオン性脂質は、1つまたは複数の種類のリン脂質およびコレステロールまたはその誘導体を含む、またはこれからなる。
本発明における使用に適した非カチオン性脂質の別の例には、リンを含有しない脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、トリエタノールアミン-ラウリル硫酸、アルキル-アリール硫酸ポリエチルオキシ化脂肪酸アミド(alkyl-aryl sulfate polyethyloxylated fatty acid amide)、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、セラミド、スフィンゴミエリンなどが含まれる。
一部の態様において、非カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%、約20mol%〜約45mol%、約25mol%〜約45mol%、約30mol%〜約45mol%、約35mol%〜約45mol%、約20mol%〜約40mol%、約25mol%〜約40mol%、または約30mol%〜約40mol%を構成する。
ある特定の態様において、リン脂質を含まない核酸-脂質粒子に存在するコレステロールは、粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約35mol%〜約45mol%、または約35mol%〜約40mol%を構成する。非限定的な例として、このような粒子は、粒子に存在する総脂質の約37mol%のコレステロールを含んでもよい。
ある特定の他の態様において、リン脂質およびコレステロールの混合物を含有する核酸-脂質粒子に存在するコレステロールは、粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約40mol%、約30mol%〜約35mol%、または約35mol%〜約40mol%を構成する。非限定的な例として、このような粒子は、粒子に存在する総脂質の約34mol%のコレステロールを含んでもよい。
核酸-脂質粒子が、リン脂質およびコレステロールまたはコレステロール誘導体の混合物を含有する態様において、混合物は、粒子に存在する総脂質の約40mol%、45mol%、50mol%、55mol%、または60mol%までを構成してもよい。ある特定の場合において、混合物中のリン脂質成分は、粒子に存在する総脂質の約2mol%〜約12mol%、約4mol%〜約10mol%、約5mol%〜約10mol%、約5mol%〜約9mol%、または約6mol%〜約8mol%を構成してもよい。非限定的な例として、リン脂質およびコレステロールの混合物を含む核酸-脂質粒子は、 (例えば、約34mol%のコレステロールを含む混合物中に)粒子に存在する総脂質の約7mol%のリン脂質、例えば、DPPCまたはDSPCを含んでもよい。
他の態様において、非カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%〜約85mol%、約20mol%〜約80mol%、約10mol%(例えば、リン脂質のみ)、または約60mol%(例えば、リン脂質およびコレステロールまたはその誘導体)を構成する。
本発明の核酸-脂質粒子における使用に適した非カチオン性脂質のさらなるパーセントおよび範囲は前記のセクションIIIで述べた。
3.脂質結合体
カチオン性脂質および非カチオン性脂質に加えて、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は脂質結合体をさらに含んでもよい。複合脂質は、粒子の凝集を阻止する点で有用である。適切な複合脂質には、PEG-脂質結合体、ATTA-脂質結合体、カチオン性ポリマー-脂質結合体(CPL)、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。ある特定の態様において、粒子は、PEG-脂質結合体またはATTA-脂質結合体のいずれかとCPLを含む。
好ましい態様において、脂質結合体はPEG-脂質である。PEG-脂質の例には、例えば、PCT国際公開公報第05/026372号に記載のジアルキルオキシプロピルと結合したPEG (PEG-DAA)、例えば、米国特許出願公開第20030077829号および同第2005008689号に記載のジアシルグリセロールと結合したPEG(PEG-DAG)、リン脂質と結合したPEG、例えば、ホスファチジルエタノールアミンと結合したPEG (PEG-PE)、例えば、米国特許第5,885,613号に記載のセラミドと結合したPEG、コレステロールまたはその誘導体と結合したPEG、ならびにその混合物が含まれるが、これに限定されない。これらの特許文献の開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。さらなるPEG-脂質には、PEG-C-DOMG、2KPEG-DMG、およびその混合物が含まれるが、それに限定されるわけではない。
PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を有するエチレンPEG反復単位からなる直鎖水溶性ポリマーである。PEGは分子量によって分類され、例えば、PEG2000は約2,000ダルトンの平均分子量を有し、PEG5000は約5,000ダルトンの平均分子量を有する。PEGは、Sigma Chemical Co.および他の会社から市販されており、例えば、以下:モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG-OH)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシネート(MePEG-S)、モノメトキシポリエチレングリコール-スクシンイミジルスクシネート(MePEG-S-NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール-アミン(MePEG-NH2)、モノメトキシポリエチレングリコール-トレシレート(MePEG-TRES)、およびモノメトキシポリエチレングリコール-イミダゾリル-カルボニル(MePEG-IM)を含む。本発明のPEG-脂質結合体を調製するために、他のPEG、例えば、米国特許第6,774,180号および同第7,053,150号に記載のPEG(例えば、mPEG(20KDa)アミン)も有用である。これらの特許の開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。さらに、例えば、PEG-DAA結合体を含むPEG-脂質結合体を調製するために、モノメトキシポリエチレングリコール-酢酸(MePEG-CH2COOH)が特に有用である。
本明細書に記載のPEG-脂質結合体のPEG部分は、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの平均分子量を含んでもよい。ある特定の場合において、PEG部分は、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトンなど)の平均分子量を有する。好ましい態様において、PEG部分は、約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。
ある特定の場合において、PEGは、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、またはアリール基によって置換されてもよい。PEGは脂質に直接結合されてもよく、リンカー部分を介して脂質に連結されてもよい。PEGを脂質に結合するのに適した任意のリンカー部分を使用することができ、例えば、非エステル含有リンカー部分およびエステル含有リンカー部分が含まれる。好ましい態様において、リンカー部分は非エステル含有リンカー部分である。本明細書で使用する、「非エステル含有リンカー部分」という用語は、カルボン酸エステル結合(-OC(O)-)を含有しないリンカー部分を指す。適切な非エステル含有リンカー部分には、アミド(-C(O)NH-)、アミノ(-NR-)、カルボニル(-C(O)-)、カルバメート(-NHC(O)O-)、尿素(-NHC(O)NH-)、ジスルフィド(-S-S-)、エーテル(-O-)、スクシニル(-(O)CCH2CH2C(O)-)、スクシンアミジル(-NHC(O)CH2CH2C(O)NH-)、エーテル、ジスルフィド、ならびにその組み合わせ(例えば、カルバメートリンカー部分およびアミドリンカー部分を含有するリンカー)が含まれるが、これに限定されない。好ましい態様において、PEGを脂質に結合するために、カルバメートリンカーが用いられる。
他の態様において、PEGを脂質に結合するために、エステル含有リンカー部分が用いられる。適切なエステル含有リンカー部分には、例えば、カーボネート(-OC(O)O-)、スクシノイル、リン酸エステル(-O-(O)POH-O-)、スルホン酸エステル、およびその組み合わせが含まれる。
様々な鎖の長さおよび飽和の程度の様々なアシル鎖基を有するホスファチジルエタノールアミンをPEGに結合させて、脂質結合体を形成することができる。このようなホスファチジルエタノールアミンは市販されている、または当業者に公知の従来の技法を用いて単離もしくは合成することができる。C10〜C20の炭素鎖を有する飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸を含有するホスファチジル-エタノールアミンが好ましい。一不飽和脂肪酸または二不飽和脂肪酸、および飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の混合物を有するホスファチジルエタノールアミンも使用することができる。適切なホスファチジルエタノールアミンには、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、およびジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)が含まれるが、これに限定されない。
「ATTA」または「ポリアミド」という用語は、米国特許第6,320,017号および同第6,586,559号に記載の化合物を指すが、それに限定されるわけではない。この開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。これらの化合物は、以下の式を有する化合物を含む。
Figure 2011516094
式中、Rは、水素、アルキル、およびアシルからなる群より選択されるメンバーであり;R1は、水素およびアルキルからなる群より選択されるメンバーであり;または、任意で、RおよびR1ならびにこれらに結合する窒素は、アジド部分を形成し;R2は、水素、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、およびアミノ酸の側鎖より選択される群のメンバーであり;R3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、ヒドラジノ、アミノ、およびNR4R5からなる群より選択されるメンバーであり、式中、R4およびR5は独立して水素またはアルキルであり;nは4〜80であり;mは2〜6であり;pは1〜4であり;qは0または1である。本発明の化合物において他のポリアミドを使用できることは当業者に明らかであろう。
「ジアシルグリセロール」という用語は、2個の脂肪酸アシル鎖R1およびR2を有する化合物を指す。R1およびR2は両方とも独立して、2〜30個の炭素がグリセロールの1-位置および2-位置にエステル結合によって結合している。アシル基は飽和していてもよく、様々な程度の不飽和を有してもよい。適切なアシル基には、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)、およびイコシル(C20)が含まれるが、これに限定されない。好ましい態様において、R1およびR2は同じである、すなわち、R1およびR2は両方ともミリスチル(すなわち、ジミリスチル)であり、R1およびR2は両方ともステアリル(すなわち、ジステアリル)などである。ジアシルグリセロールは、以下の一般式を有する。
Figure 2011516094
「ジアルキルオキシプロピル」という用語は、2個のアルキル鎖R1およびR2を有する化合物を指す。R1およびR2は両方とも独立して2〜30個の炭素を有する。これらのアルキル基は飽和していてもよく、様々な程度の不飽和を有してもよい。ジアルキルオキシプロピルは、以下の一般式を有する。
Figure 2011516094
好ましい態様において、PEG-脂質は、以下の式を有するPEG-DAA結合体である。
Figure 2011516094
式中、R1およびR2は独立して選択され、約10〜約22個の炭素原子を有する長鎖アルキル基であり;PEGはポリエチレングリコールであり;Lは、前記の非エステル含有リンカー部分またはエステル含有リンカー部分である。長鎖アルキル基は飽和していてもよく、不飽和でもよい。適切なアルキル基には、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)、およびイコシル(C20)が含まれるが、これに限定されない。好ましい態様において、R1およびR2は同じであり、すなわち、R1およびR2は両方ともミリスチル(すなわち、ジミリスチル)であり、R1およびR2は両方ともステアリル(すなわち、ジステアリル)などである。
前記の式VIIにおいて、PEGは、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの平均分子量を有する。ある特定の場合において、PEGは、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトンなど)の平均分子量を有する。好ましい態様において、PEGは、約2,000ダルトンまたは約750ダルトンの平均分子量を有する。PEGは、アルキル、アルコキシ、アシル、またはアリールで置換されてもよい。ある特定の態様において、末端ヒドロキシル基はメトキシ基またはメチル基で置換される。
好ましい態様において、「L」は非エステル含有リンカー部分である。適当な非エステル含有リンカーには、アミドリンカー部分、アミノリンカー部分、カルボニルリンカー部分、カルバメートリンカー部分、尿素リンカー部分、エーテルリンカー部分、ジスルフィドリンカー部分、スクシンアミジルリンカー部分、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定はされない。好ましい態様において、非エステル含有リンカー部分は、カルバメートリンカー部分である(即ち、PEG-C-DAA結合体)。もう一つの好ましい態様において、非エステル含有リンカー部分は、アミドリンカー部分である(即ち、PEG-A-DAA結合体)。さらにもう一つの好ましい態様において、非エステル含有リンカー部分は、スクシンアミジルリンカー部分である(即ち、PEG-S-DAA結合体)。
特定の態様において、PEG-脂質結合体は以下より選択される。
Figure 2011516094
PEG-DAA結合体は、当業者に公知の標準的な技術および試薬を使用して合成される。PEG-DAA結合体は、様々なアミド結合、アミン結合、エーテル結合、チオ結合、カルバメート結合、および尿素結合を含有しているであろうことが認識されるであろう。当業者は、これらの結合を形成するための方法および試薬が、周知であり、容易に利用可能であることを認識するであろう。例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(Wiley 1992);Larock,COMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS(VCH 1989);およびFurniss,VOGEL'S TEXTBOOK OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY,5th ed.(Longman 1989)参照。存在する官能基が、PEG-DAA結合体の合成中の異なる点で、保護および脱保護を必要とするかもしれないことも、認識されるであろう。当業者は、そのような技術が周知であることを認識するであろう。例えば、Green and Wuts,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS(Wiley 1991)参照。
好ましくは、PEG-DAA結合体は、ジラウリルオキシプロピル(C12)-PEG結合体、ジミリスチルオキシプロピル(C14)-PEG結合体、ジパルミチルオキシプロピル(C16)-PEG結合体、またはジステアリルオキシプロピル(C18)-PEG結合体である。その他のジアルキルオキシプロピルも本発明のPEG-DAA結合体において使用され得ることを、当業者は容易に認識するであろう。
上記のものに加えて、その他の親水性ポリマーが、PEGの代わりに使用され得ることは、当業者に容易に明白であろう。PEGの代わりに使用され得る適当なポリマーの例には、ポリビニルピロリドン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミドおよびポリジメチルアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびにヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースのような誘導体化されたセルロースが含まれるが、これらに限定はされない。
上記の成分に加えて、本発明の粒子(例えば、SNALPまたはSPLP)は、カチオン性ポリ(エチレングリコール)(PEG)脂質またはCPLをさらに含んでいてもよい(例えば、Chen et al.,Bioconj.Chem.,11:433-437(2000)参照)。本発明において使用するための適当なSPLPおよびSPLP-CPL、ならびにSPLPおよびSPLP-CPLの作製法および使用法は、例えば、米国特許第6,852,334号およびPCT公開WO 00/62813に開示されている。これらの開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
適当なCPLには、式VIIIの化合物が含まれる。
A-W-Y(VIII)
式中、A、W、およびYは、下記の通りである。
式VIIIに関して、「A」は、脂質アンカーとして機能する両親媒性脂質、中性脂質、または疎水性脂質のような脂質部分である。適当な脂質の例には、ジアシルグリセロリル、ジアルキルグリセロリル、N-N-ジアルキルアミノ、1,2-ジアシルオキシ-3-アミノプロパン、および1,2-ジアルキル-3-アミノプロパンが含まれるが、これらに限定はされない。
「W」は、親水性のポリマーまたはオリゴマーのような、ポリマーまたはオリゴマーである。好ましくは、親水性ポリマーは、非免疫原性であるか、または低い固有の免疫原性を保有している生体適合性ポリマーである。または、親水性ポリマーは、もし適切なアジュバントと共に使用されるのであれば、弱抗原性であってもよい。適当な非免疫原性ポリマーには、PEG、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定はされない。好ましい態様において、ポリマーは、約250〜約7,000ダルトンの分子量を有する。
「Y」はポリカチオン性部分である。ポリカチオン性部分という用語は、選択されたpH、好ましくは、生理的pHにおいて、正の電荷、好ましくは、少なくとも2価の正の電荷を有する化合物、誘導体、または官能基をさす。適当なポリカチオン性部分には、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、およびヒスチジンのような塩基性アミノ酸およびそれらの誘導体;スペルミン;スペルミジン;カチオン性デンドリマー;ポリアミン;ポリアミン糖;ならびにアミノ多糖が含まれる。ポリカチオン性部分の構造は、テトラリジンのような直鎖型であってもよいし、分岐型またはデンドリマー型であってもよい。ポリカチオン性部分は、選択されたpH値において、約2価〜約15価の正の電荷、好ましくは、約2価〜約12価の正の電荷、より好ましくは、約2価〜約8価の正の電荷を有する。利用すべきポリカチオン性部分の選択は、望まれる粒子の適用の型によって決定され得る。
ポリカチオン性部分上の電荷は、粒子部分全体に分布していてもよいし、または、粒子部分のある特定の区域における不連続の濃度の電荷密度、例えば、電荷スパイクであってもよい。電荷密度が粒子上に分布している場合、電荷密度は、均等に分布していてもよいし、または不均等に分布していてもよい。ポリカチオン性部分の電荷分布の全ての変動が、本発明に包含される。
脂質「A」および非免疫原性ポリマー「W」は、様々な方法によって、好ましくは、共有結合性付着によって付着させられ得る。当業者に公知の方法が、「A」および「W」の共有結合性付着のために使用され得る。適当な結合には、アミド結合、アミン結合、カルボキシル結合、カーボネート結合、カルバメート結合、エステル結合、およびヒドラゾン結合が含まれるが、これらに限定はされない。結合を実現するためには、「A」および「W」が相補的な官能基を有していなければならないことが、当業者には明白であろう。これらの二つの基(一方は脂質上、他方はポリマー上)の反応が、所望の結合を提供するであろう。例えば、脂質がジアシルグリセロールであり、活性エステルを形成するため、例えば、NHSおよびDCCにより末端ヒドロキシルを活性化し、次いで、ポリアミドのようなアミノ基を含有しているポリマーと反応させた場合(例えば、米国特許第6,320,017号および第6,586,559号参照。これらの開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)、アミド結合が二つの基の間に形成されるであろう。
ある種の例において、ポリカチオン性部分には、ターゲティングリガンドまたはカルシウムを錯体化するためのキレーティング部分のようなリガンドが付着していてもよい。好ましくは、リガンドが付着させられた後、カチオン性部分は正の電荷を維持する。ある種の例において、付着させられるリガンドは正の電荷を有する。適当なリガンドには、反応性官能基を有する化合物または装置が含まれるが、これらに限定はされず、脂質、両親媒性脂質、担体化合物、バイオアフィニティ化合物、バイオマテリアル、バイオポリマー、生物医学的装置、分析的に検出可能な化合物、治療的活性を有する化合物、酵素、ペプチド、タンパク質、抗体、免疫賦活剤、放射標識、蛍光原、ビオチン、薬物、ハプテン、DNA、RNA、多糖、リポソーム、ビロソーム、ミセル、免疫グロブリン、官能基、その他のターゲティング部分、または毒素が含まれる。
一部の態様において、脂質結合体(例えば、PEG-脂質)は、粒子中に存在する総脂質の約0.1mol%〜約2mol%、約0.5mol%〜約2mol%、約1mol%〜約2mol%、約0.6mol%〜約1.9mol%、約0.7mol%〜約1.8mol%、約0.8mol%〜約1.7mol%、約0.9mol%〜約1.6mol%、約0.9mol%〜約1.8mol%、約1mol%〜約1.8mol%、約1mol%〜約1.7mol%、約1.2mol%〜約1.8mol%、約1.2mol%〜約1.7mol%、約1.3mol%〜約1.6mol%、または約1.4mol%〜約1.5mol%を構成する。
他の態様において、脂質結合体(例えば、PEG-脂質)は、粒子中に存在する総脂質の約0mol%〜約20mol%、約0.5mol%〜約20mol%、約1.5mol%〜約18mol%、約4mol%〜約15mol%、約5mol%〜約12mol%、または約2mol%を構成する。
本発明の核酸-脂質粒子における使用に適した脂質結合体のさらなるパーセントおよび範囲は上記のセクションIIIに記載されている。
当業者は、脂質結合体の濃度が、利用される脂質結合体、および核酸-脂質粒子が融合性になる速度に依って、変動し得ることを認識するであろう。
脂質結合体の組成および濃度を制御することによって、脂質結合体が核酸-脂質粒子から排出される速度を制御し、次に、核酸-脂質粒子が融合性になる速度を制御することができる。例えば、PEG-ホスファチジルエタノールアミン結合体またはPEG-セラミド結合体が脂質結合体として使用される場合、核酸-脂質粒子が融合性になる速度は、例えば、脂質結合体の濃度を変動させることにより、PEGの分子量を変動させることにより、またはホスファチジルエタノールアミンもしくはセラミドのアシル鎖基の鎖長および飽和度を変動させることにより、変動し得る。さらに、例えば、pH、温度、イオン強度等を含む他の変数を、核酸-脂質粒子が融合性になる速度を変動させかつ/または制御するために使用することができる。核酸-脂質粒子が融合性になる速度を制御するために使用され得るその他の方法は、この開示を参照することにより当業者に明白になるであろう。
B.付加的な担体システム
本発明において使用するのに適している付加的な脂質に基づく担体システムの非限定的な例には、リポプレックス(例えば、米国特許公開第20030203865号;およびZhang et al.,J.Control Release,100:165-180(2004)参照)、pH感受性リポプレックス(例えば、米国特許公開第20020192275号参照)、可逆的にマスキングされたリポプレックス(例えば、米国特許公開第20030180950号参照)、カチオン性脂質に基づく組成物(例えば、米国特許第6,756,054号;および米国特許公開第20050234232号参照)、カチオン性リポソーム(例えば、米国特許公開第20030229040号、第20020160038号、および第20020012998号;米国特許第5,908,635号;ならびにPCT公開WO 01/72283参照)、アニオン性リポソーム(例えば、米国特許公開第20030026831号参照)、pH感受性リポソーム(例えば、米国特許公開第20020192274号;およびAU 2003210303参照)、抗体によりコーティングされたリポソーム(例えば、米国特許公開第20030108597号;およびPCT公開WO 00/50008参照)、細胞型特異的リポソーム(例えば、米国特許公開第20030198664号参照)、核酸およびペプチドを含有しているリポソーム(例えば、米国特許第6,207,456号参照)、放出可能な親水性ポリマーにより誘導体化された脂質を含有しているリポソーム(例えば、米国特許公開第20030031704号参照)、脂質に捕捉された核酸(例えば、PCT公開WO 03/057190およびWO 03/059322参照)、 脂質に封入された核酸(例えば、米国特許公開第20030129221号;および米国特許第5,756,122号参照)、その他のリポソーム組成物(例えば、米国特許公開第20030035829号および第20030072794号;ならびに米国特許第6,200,599号参照)、リポソームおよびエマルジョンの安定化された混合物(例えば、EP1304160参照)、エマルジョン組成物(例えば、米国特許第6,747,014参照号)、ならびに核酸マイクロエマルジョン(例えば、米国特許公開第20050037086号参照)が含まれる。
本発明において使用するのに適しているポリマーに基づく担体システムの例には、カチオン性ポリマー-核酸複合体(即ち、ポリプレックス)が含まれるが、これに限定はされない。ポリプレックスを形成するためには、典型的には、細胞表面でアニオン性プロテオグリカンと相互作用し、エンドサイトーシスによって細胞に入ることができる正の電荷を有する粒子へと核酸を凝縮する、直鎖型、分岐型、星型、または樹枝状のポリマー構造を有するカチオン性ポリマーと、核酸(例えば、干渉RNA)を複合体化させる。いくつかの態様において、ポリプレックスは、ポリエチレンイミン(PEI)(例えば、米国特許第6,013,240号参照;直鎖型PEI、In vivo jetPEI(商標)としてQbiogene,Inc.(Carlsbad,CA)より市販されている)、ポリプロピレンイミン(PPI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ-L-リジン(PLL)、ジエチルアミノエチル(DEAE)-デキストラン、ポリ(β-アミノエステル)(PAE)ポリマー(例えば、Lynn et al.,J.Am.Chem.Soc.,123:8155-8156(2001)参照)、キトサン、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー(例えば、Kukowska-Latallo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:4897-4902(1996)参照)、ポルフィリン(例えば、米国特許第6,620,805号参照)、ポリビニルエーテル(例えば、米国特許公開第20040156909号参照)、多環式アミジニウム(例えば、米国特許公開第20030220289号参照)、一級アミン基、イミン基、グアニジン基、および/またはイミダゾール基を含むその他のポリマー(例えば、米国特許第6,013,240号;PCT公開WO/9602655;PCT公開WO95/21931;Zhang et al.,J.Control Release,100:165-180(2004);およびTiera et al.,Curr.Gene Ther.,6:59-71(2006)参照)、ならびにそれらの混合物のようなカチオン性ポリマーと複合体化された核酸(例えば、干渉RNA)を含む。他の態様において、ポリプレックスには、米国特許公開第20060211643号、第20050222064号、第20030125281号、および第20030185890号、ならびにPCT公開WO 03/066069に記載されたようなカチオン性ポリマー-核酸複合体;米国特許公開第20040071654号に記載されたような生分解性ポリ(β-アミノエステル)ポリマー-核酸複合体;米国特許公開第20040142475号に記載されたようなポリマー性マトリックスを含有している微粒子;米国特許公開第20030157030号に記載されたようなその他の微粒子組成物;米国特許公開第20050123600号に記載されたような凝縮核酸複合体;ならびにAU 2002358514およびPCT公開WO 02/096551に記載されたようなナノカプセル組成物およびマイクロカプセル組成物が含まれる。
ある種の例において、核酸(例えば、干渉RNA)は、シクロデキストリンまたはそのポリマーと複合体化され得る。シクロデキストリンに基づく担体システムの非限定的な例には、米国特許公開第20040087024号に記載されたシクロデキストリン修飾ポリマー-核酸複合体;米国特許第6,509,323号、第6,884,789号、および第7,091,192号に記載された直鎖型シクロデキストリンコポリマー-核酸複合体;ならびに米国特許第7,018,609号に記載されたシクロデキストリンポリマー-複合体化剤-核酸複合体が含まれる。ある種の他の例において、核酸(例えば、干渉RNA)は、ペプチドまたはポリペプチドと複合体化されてもよい。タンパク質に基づく担体システムの例には、PCT公開WO95/21931に記載されたカチオン性オリゴペプチド-核酸複合体が含まれるが、これに限定はされない。
上述の特許文献およびその他の刊行物の開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
V.核酸-脂質粒子の調製
干渉RNAなどの核酸が脂質二重層に封入され、分解から保護される、本発明の血清安定核酸-脂質粒子は、連続混合法、または直接希釈法を含むが、これらに限定はされない、当技術分野において公知の任意の方法によって形成され得る。
好ましい態様において、カチオン性脂質は、式I、II、およびIIIの脂質またはそれらの組み合わせである。他の好ましい態様において、非カチオン性脂質は、卵スフィンゴミエリン(ESM)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン、14:0 PE(1,2-ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE))、16:0 PE(1,2-ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE))、18:0 PE(1,2-ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE))、18:1 PE(1,2-ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE))、18:1トランスPE(1,2-ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE))、18:0-18:1 PE(1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE))、16:0-18:1 PE(1-パルミトイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE))、ポリエチレングリコールに基づくポリマー(例えば、PEG 2000、PEG 5000、PEG修飾ジアシルグリセロール、またはPEG修飾ジアルキルオキシプロピル)、コレステロール、またはそれらの組み合わせである。
ある種の態様において、本発明は、連続混合法、例えば、第一レザバーに干渉RNAのような核酸を含む水性溶液を準備すること、第二レザバーに有機脂質溶液を準備すること、および核酸(例えば、干渉RNA)が封入されたリポソームが実質的に瞬間的に生成するよう有機脂質溶液が水性溶液と混合されるよう、水性溶液を有機脂質溶液と混合することを含む工法を介して作製された核酸-脂質粒子を提供する。この工法およびこの工法を実施するための装置は、米国特許公開第20040142025号に詳細に記載されている。この開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
混合チャンバーのような混合環境へ脂質溶液および緩衝溶液を連続的に導入する作業は、緩衝溶液による脂質溶液の連続的な希釈を引き起こし、それにより、混合時に実質的に瞬間的にリポソームが生成する。本明細書において使用されるように、「緩衝液による脂質溶液の連続的な希釈」という語句(および変化形)は、一般に、小胞作製を実現するために十分な力で、水和過程において脂質溶液が十分に急速に希釈されることを意味する。核酸を含む水性溶液の有機脂質溶液との混合によって、有機脂質溶液は、緩衝溶液(即ち、水性溶液)の存在下で連続的な段階希釈を受け、核酸-脂質粒子が生成する。
連続混合法を使用して形成された核酸-脂質粒子は、典型的には、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70nm〜約90nmのサイズを有する。このように形成された粒子は、凝集せず、任意で、均一の粒子サイズを達成するために整粒される。
もう一つの態様において、本発明は、リポソーム溶液を形成すること、および制御された量の希釈緩衝液を含有している収集容器へ直ちに直接リポソーム溶液を導入することを含む、直接希釈法を介して作製された核酸-脂質粒子を提供する。好ましい局面において、収集容器は、希釈を容易にするため収集容器の内容物を撹拌するために配置された一つまたは複数の要素を含む。一つの局面において、収集容器中に存在する希釈緩衝液の量は、そこに導入されるリポソーム溶液の容量と実質的に等しい。非限定的な例として、45%エタノール中のリポソーム溶液は、等しい容量の希釈緩衝液を含有している収集容器へ導入された時、有利に、より小さい粒子を与えるであろう。
さらにもう一つの態様において、本発明は、希釈緩衝液を含有している第三レザバーが第二混合領域に流体カップリングされる直接希釈法を介して作製された核酸-脂質粒子を提供する。この態様において、第一混合領域において形成されたリポソーム溶液は、第二混合領域の希釈緩衝液と直ちに直接混合される。好ましい局面において、第二混合領域は、リポソーム溶液および希釈緩衝液の流れが反対の180°の流れとして遭遇するよう配置されたT型コネクターを含む;しかしながら、より浅い角度、例えば、約27°〜約180°を提供するコネクターが使用されてもよい。ポンプ機序が、緩衝液の制御可能な流れを第二混合領域へ送達する。一つの局面において、第二混合領域に提供される希釈緩衝液の流速は、第一混合領域からそこに導入されるリポソーム溶液の流速と実質的に等しくなるよう制御される。この態様は、有利に、第二混合領域においてリポソーム溶液と混合される希釈緩衝液の流れのより優れた制御を可能にし、従って、第二混合過程を通じた緩衝液中のリポソーム溶液の濃度のより優れた制御も可能にする。希釈緩衝液の流速のそのような制御は、有利に、低下した濃度での小さい粒子サイズの形成を可能にする。
これらの工法およびこれらの直接希釈法を実施するための装置は、米国特許公開第20070042031号に詳細に記載されている。この開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
直接希釈法を使用して形成された核酸-脂質粒子は、典型的には、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70nm〜約90nmのサイズを有する。このように形成された粒子は、凝集せず、任意で、均一の粒子サイズを達成するために整粒される。
必要であれば、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、リポソームを整粒するための利用可能な方法のうちの任意のものによって整粒され得る。整粒は、所望のサイズ範囲および比較的狭い粒子サイズ分布を達成するために実施され得る。
所望のサイズに粒子を整粒するため、いくつかの技術が利用可能である。リポソームのために使用され、本発明の粒子にも同様に適用可能な一つの整粒法は、米国特許第4,737,323号に記載されている。この開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。バス式またはプローブ式いずれかの超音波処理により粒子懸濁物を超音波処理することは、約50nm未満のサイズの粒子への漸進的なサイズ低下を生ずる。ホモジナイゼーションは、より大きい粒子をより小さいものへ断片化するための、剪断エネルギーに頼るもう一つの方法である。典型的なホモジナイゼーション手順において、粒子は、選択された粒子サイズ、典型的には、約60〜約80nmが観察されるまで、標準的なエマルジョンホモジナイザーで再循環させられる。いずれの方法においても、粒子サイズ分布は、従来のレーザービーム粒子サイズ識別またはQELSによってモニタリングされ得る。
小孔ポリカーボネート膜または非対称セラミック膜を通した粒子の押し出しも、粒子サイズを比較的明確なサイズ分布にまで低下させるための有効な方法である。典型的には、所望の粒子サイズ分布が達成されるまで、懸濁物は、1回または複数回、膜へ循環させられる。粒子は、漸進的なサイズの低下を達成するため、連続的に小さくなる孔の膜を通して押し出されてもよい。
いくつかの態様において、粒子内の核酸は、例えば米国特許出願第09/744,103に記載されたように、予備凝縮される。この開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
他の態様において、方法は、本発明の組成物を使用した細胞のリポフェクションを達成するために有用な非脂質ポリカチオンを添加することをさらに含むであろう。適当な非脂質ポリカチオンの例には、ヘキサジメトリンブロミド(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin,USA)よりPOLYBRENE(登録商標)という商品名で販売されている)またはヘキサジメトリンのその他の塩が含まれる。他の適当なポリカチオンには、例えば、ポリ-L-オルニチン、ポリ-L-アルギニン、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、ポリアリルアミン、およびポリエチレンイミンの塩が含まれる。これらの塩の添加は、好ましくは、粒子が形成された後、なされる。
一部の態様において、形成された核酸-脂質粒子における核酸:脂質比(質量/質量比)は、約0.01〜約0.2、約0.02〜約0.1、約0.03〜約0.1、または約0.01〜約0.08である。出発物質の比もこの範囲内にある。他の態様において、粒子の調製には、10mgの総脂質の当たり約400μgの核酸、または約0.01〜約0.08、より好ましくは、約0.04の核酸:脂質質量比が用いられ、これは、50μgの核酸あたり1.25mgの総脂質に相当する。他の好ましい態様において、粒子の核酸:脂質質量比は約0.08である。
他の態様において、形成された核酸-脂質粒子における脂質:核酸比(質量/質量比)は、約1(1:1)〜約100(100:1)、約5(5:1)〜約100(100:1)、約1(1:1)〜約50(50:1)、約2(2:1)〜約50(50:1)、約3(3:1)〜約50(50:1)、約4(4:1)〜約50(50:1)、約5(5:1)〜約50(50:1)、約1(1:1)〜約25(25:1)、約2(2:1)〜約25(25:1)、約3(3:1)〜約25(25:1)、約4(4:1)〜約25(25:1)、約5(5:1)〜約25(25:1)、約5(5:1)〜約20(20:1)、約5(5:1)〜約15(15:1)、約5(5:1)〜約10(10:1)、約5(5:1)、6(6:1)、7(7:1)、8(8:1)、9(9:1)、10(10:1)、11(11:1)、12(12:1)、13(13:1)、14(14:1)、または15(15:1)である。出発物質の比もこの範囲内にある。
前記で議論したように、複合脂質はCPLをさらに含んでもよい。SNALP-CPL(CPL含有SNALP)を作る様々な一般的方法が本明細書において議論される。2つの一般的な技法には、「挿入後」法、すなわち、CPLを、例えば、予め形成されたSNALPに挿入する技法、およびCPLを、例えば、SNALP形成段階中に脂質混合物に含める「標準」法が含まれる。挿入後法では、主にSNALP二重層膜の外面にCPLを有するSNALPが得られるのに対して、標準法では、内面および外面の両方にCPLを有するSNALPが得られる。この方法は、(コレステロールを含有し得る)リン脂質から作られる小胞に特に有用であり、PEG-脂質(例えば、PEG-DAAおよびPEG-DAG)を含有する小胞にも有用である。SNALP-CPLを作る方法は、例えば、米国特許第5,705,385号;同第6,586,410号;同第5,981,501号;同第6,534,484号;および同第6,852,334号;米国特許公報第20020072121号;およびPCT国際公開公報第00/62813号に開示されている。これらの開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
VI.キット
本発明はまた、キットの形で核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。キットは、粒子の様々な要素(例えば、核酸、例えば、干渉RNAおよび粒子の個々の脂質成分)を保持するために仕切られた容器を備えてもよい。一部の態様において、キットは、エンドソーム膜不安定化剤(例えば、カルシウムイオン)をさらに含んでもよい。キットは、典型的には、本発明の粒子組成物を備え、好ましくは、脱水された形で本発明の粒子組成物を、再水和および投与するための説明書と共に備える。
本明細書において説明されたように、本発明の核酸-脂質粒子は、関心対象の特定の組織、器官、または腫瘍を優先的に標的化するように合わせることができる。ある特定の場合において、SNALPそれ自体の組成を制御することによって、SNALPの優先的な標的化を行うことができる。例えば、1:57 PEG-cDSA SNALP製剤を用いると、肝臓の外側にある腫瘍を優先的に標的化できるのに対して、1:57 PEG-cDMA SNALP製剤を用いると、肝臓(肝臓腫瘍を含む)を優先的に標的化できることが発見されている。これらのSNALP製剤が腫瘍を標的とする能力は、2008年4月15日に出願された米国特許仮出願第61/045,228号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
ある特定の他の場合において、SNALPの標的をさらに強化するために、標的化部分を粒子の表面に取り付けることが望ましい場合がある。標的化部分(例えば、抗体、タンパク質など)を脂質(例えば、本発明の粒子に用いられる脂質)に取り付ける方法は当業者に公知である。
VII.核酸-脂質粒子の投与
形成後、本発明の血清安定核酸-脂質粒子(SNALP)は、核酸(例えば、干渉RNA)の細胞への導入のために有用である。従って、本発明は、核酸(例えば、干渉RNA)を細胞へ導入する方法も提供する。方法は、まず、上記のような粒子を形成し、次いで、核酸の細胞への送達が起こるために十分な期間、粒子を細胞と接触させることにより、インビトロまたはインビボで実施される。
本発明の核酸-脂質粒子は、混合されたまたは接触したほぼ任意の細胞型に吸着することができる。吸着した後、粒子は、細胞の一部分によってエンドシトーシスを受けるか、脂質を細胞膜と交換するか、または細胞と融合することができる。粒子の核酸部分の転移または取り込みは、これらの経路のうちの任意のものを介して起こり得る。特に、融合が起こる場合、粒子膜は細胞膜へ組み込まれ、粒子の内容物が細胞内液と組み合わさる。
本発明の核酸-脂質粒子は、単独で投与されてもよいし、または投与経路および標準的な薬学的実務に従い選択された薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水もしくはリン酸緩衝液)と混合されて投与されてもよい。一般に、普通の緩衝生理食塩水(例えば、135〜150mM NaCl)が、薬学的に許容される担体として利用されるであろう。他の適当な担体には、例えば、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン等のような増強された安定性のための糖タンパク質を含んでいる、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等が含まれる。付加的な適当な担体は、例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に記載されている。本明細書において使用されるように、「担体」には、全ての任意の溶媒、分散媒、媒体、コーティング、希釈剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤、緩衝液、担体溶液、懸濁物、コロイド等が含まれる。「薬学的に許容される」という語句は、ヒトへ投与された時、アレルギー反応または類似の不都合な反応を生じない分子エンティティおよび組成物をさす。
薬学的に許容される担体は、一般に、粒子形成後に添加される。従って、粒子が形成された後、粒子は、普通の緩衝生理食塩水のような薬学的に許容される担体で希釈され得る。
薬学的製剤中の粒子の濃度は、広く変動することができ、即ち、最低約0.05重量%未満、通常、少なくとも約2〜5重量%、最大約10〜90重量%であり得、選択された特定の投与モードに従い、主として、液体の容量、粘性等によって選択されるであろう。例えば、処置に関連した液体負荷を低下させるため、濃度を増加させることができる。これは、アテローム性動脈硬化症に関連したうっ血性心不全または重度の高血圧を有する患者において、特に望ましいかもしれない。または、刺激性の脂質から構成された粒子は、投与の部位における炎症を軽減するため、低濃度に希釈され得る。
本発明の薬学的組成物は、従来の周知の減菌技術によって滅菌され得る。水性溶液は、無菌条件下で使用のためにパッケージングされてもよいし、またはろ過され、凍結乾燥され、凍結乾燥調製物が投与前に無菌水性溶液と組み合わせられてもよい。組成物は、pH調整剤、緩衝剤、浸透圧調整剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのような生理的条件に近づくために必要とされるような薬学的に許容される補助物質を含有していてもよい。さらに、粒子懸濁物は、保管時のフリーラジカルおよび脂質過酸化による損害から脂質を保護する脂質保護剤を含んでいてもよい。アルファトコフェロールのような親油性フリーラジカルクエンチャーおよびフェリオキサミンのような水溶性の鉄特異的キレーターが適当である。
A.インビボ投与
インビボ治療のための全身送達、例えば、循環系のような身体系を介した遠位標的細胞への治療用核酸の送達は、PCT公開WO 05/007196、WO 05/121348、WO 05/120152、およびWO 04/002453に記載されたもののような核酸-脂質粒子を使用して達成されている。これらの開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。本発明は、血清中のヌクレアーゼによる分解から核酸を保護し、非免疫原性であり、サイズが小さく、かつ反復投薬のために適している、完全に封入された核酸-脂質粒子も提供する。
インビボ投与の場合、投与は、当技術分野において公知の任意の様式、例えば、注射、経口投与、吸入(例えば、鼻腔内または気管内)、経皮適用、または直腸投与によるものであり得る。投与は、単回投与または分割投与を介して達成され得る。薬学的組成物は、非経口的に、即ち、関節内、静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内に投与され得る。いくつかの態様において、薬学的組成物は、ボーラス注射によって静脈内または腹腔内へ投与される(例えば、米国特許第5,286,634号参照)。細胞内核酸送達は、Straubringer et al.,Methods Enzymol.,101:512(1983);Mannino et al.,Biotechniques,6:682(1988);Nicolau et al.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.,6:239(1989);およびBehr,Acc.Chem.Res.,26:274(1993)にも記述されている。脂質に基づく治療薬を投与するさらに他の方法は、例えば、米国特許第3,993,754号;第4,145,410号;第4,235,871号;第4,224,179号;第4,522,803号;および第4,588,578号に記載されている。粒子は、疾患部位における直接注射によって投与されてもよいし、または疾患部位から遠位の部位における注射によって投与されてもよい(例えば、Culver,HUMAN GENE THERAPY,MaryAnn Liebert,Inc.,Publishers,New York.pp.70-71(1994)参照)。上記の参考文献の開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の組成物は、単独で、または他の適当な成分と組み合わせて、吸入(例えば、鼻腔内または気管内)を介して投与されるエアロゾル製剤にされてもよい(即ち、「噴霧」されてもよい)(Brigham et al.,Am.J.Sci.,298:278(1989)参照)。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等のような加圧された許容される噴霧剤の中に置かれ得る。
ある種の態様において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/またはその他のエアロゾル送達媒体によって送達されてもよい。鼻エアロゾルスプレーを介して核酸組成物を肺に直接送達する方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂およびリゾホスファチジル-グリセロール化合物を使用した薬物の送達(米国特許第5,725,871号)も、薬学分野において周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態の経粘膜薬物送達が、米国特許第5,780,045号に記載されている。上記特許の開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
例えば、関節内(関節中)経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、腹腔内経路、および皮下経路のような、非経口投与のために適している製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および意図されたレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有していてもよい水性および非水性の等張の滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、濃化剤、安定剤、および保存剤を含んでいてもよい水性および非水性の滅菌懸濁物が含まれる。本発明の実務において、組成物は、好ましくは、例えば、静脈内注入により、経口的に、局所的に、腹腔内に、膀胱内に、またはくも膜下腔内に投与される。
一般に、静脈内投与される場合、核酸-脂質粒子製剤は、適当な薬学的担体を用いて製剤化される。多くの薬学的に許容される担体が、本発明の組成物および方法において利用され得る。本発明において使用するための適当な製剤は、例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に見出される。多様な水性担体、例えば、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等が使用され得、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン等のような増強された安定性のための糖タンパク質を含んでいてもよい。一般に、普通の緩衝生理食塩水(135〜150mM NaCl)が、薬学的に許容される担体として利用されるであろうが、その他の適当な担体も十分であろう。これらの組成物は、濾過のような従来のリポソーム減菌技術によって滅菌され得る。組成物は、pH調整剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等のような生理的条件に近づくために必要とされるような薬学的に許容される補助物質を含有していてもよい。これらの組成物は、上に言及された技術を使用して滅菌されてもよいし、または無菌条件下で作製されてもよい。得られた水性溶液は、無菌条件下で使用のためにパッケージングされてもよいし、またはろ過され、凍結乾燥され、凍結乾燥調製物が、投与前に無菌水性溶液と組み合わせられてもよい。
ある種の適用において、本明細書に開示された核酸-脂質粒子は、経口投与を介して個体に送達され得る。粒子は賦形剤に取り込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、丸剤、ロゼンジ、エリキシル、口腔洗浄剤、懸濁物、経口スプレー、シロップ、ウエハース等の形態で使用され得る(例えば、米国特許第5,641,515号、第5,580,579号、および第5,792,451号参照。これらの開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)。これらの経口剤形は、以下のものも含有していてよい:結合剤、ゼラチン;賦形剤、滑沢剤、および/または風味剤。単位剤形がカプセルである場合、それは、上記の材料に加えて、液体の担体を含有し得る。様々なその他の材料が、コーティングとして、または投薬単位の物理的形態を他に修飾するため、存在してもよい。当然、単位剤形の調製において使用される材料は、薬学的に純粋で、かつ利用される量において実質的に非毒性であるべきである。
典型的には、これらの経口製剤は、少なくとも約0.1%またはそれ以上の核酸-脂質粒子を含有することができるが、当然、粒子の割合は、変動してもよく、便利には、全製剤の重量または容量の約1%もしくは2%〜約60%もしくは70%、またはそれ以上であり得る。当然、各々の治療的に有用な組成物の中の粒子の量は、適当な投薬量が化合物の所定の単位用量で入手されるよう調製され得る。可溶性、生物学的利用能、生物学的半減期、投与経路、生成物の貯蔵寿命のような因子、およびその他の薬理学的考慮が、そのような薬学的製剤の調製の当業者によって企図されるであろう。従って、多様な投薬量および処置計画が望ましいかもしれない。
経口投与のために適している製剤は、以下のものからなることができる:(a)水、生理食塩水、またはPEG 400のような希釈剤に懸濁した有効量のパッケージングされた核酸(例えば、干渉RNA)のような液状溶液;(b)予定された量の核酸(例えば、干渉RNA)を、液体、固体、顆粒、またはゼラチンとして各々含有しているカプセル、サシェ、または錠剤;(c)適切な液体中の懸濁物;および(d)適当なエマルジョン。錠剤形態は、乳糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微晶質セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびその他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、風味剤、色素、崩壊剤、ならびに薬学的に適合性の担体のうちの一つまたは複数を含み得る。ロゼンジ形態は、風味剤、例えば、ショ糖の中に核酸(例えば、干渉RNA)を含んでいてよく、ゼラチンおよびグリセリンのような不活性基剤の中に核酸を含む香錠、または核酸に加えて、当技術分野において公知の担体を含有しているショ糖エマルジョンおよびアラビアゴムエマルジョン、ゲル等を含んでいてもよい。
もう一つの使用例において、核酸-脂質粒子は、広範囲の局所剤形へ取り込まれてもよい。例えば、粒子を含有している懸濁物を、ゲル、オイル、エマルジョン、局所クリーム、ペースト、軟膏、ローション、フォーム、ムース等として製剤化し投与することができる。
本発明の核酸-脂質粒子の薬学的調製物を調製する際は、空の粒子または外表面に核酸が会合した粒子を低下させるかまたは排除するため精製された大量の粒子を使用することが好ましい。
本発明の方法は、多様な宿主において実施され得る。好ましい宿主には、霊長類(例えば、ヒトおよびチンパンジーならびにその他の非ヒト霊長類)、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類(例えば、ラットおよびマウス)、ウサギ、ならびにブタのような哺乳動物種が含まれる。
投与される粒子の量は、核酸(例えば、干渉RNA)脂質比、使用される特定の核酸、治療される疾患または障害、患者の年齢、体重、および状態、ならびに医師の判断に依るであろうが、一般には、体重1kg当たり約0.01〜約50mg、好ましくは、体重1kg当たり約0.1〜約5mg、または投与(例えば、注射)1回当たり約108〜1010個の粒子であろう
治療目的のためのCSN5遺伝子発現のサイレンシングにおける有用性に加えて、本明細書で記載される核酸(例えば、siRNAのような干渉RNA)は、研究および開発への適用においてと同様、診断、予防、予後、臨床、および他の医療への適用においても有用である。
B.インビトロ投与
インビトロ適用のため、核酸(例えば、干渉RNA)の送達は、植物起源であってもよいし、または動物起源であってもよく、脊椎動物であってもよいし、または無脊椎動物であってもよく、任意の組織または型のものであってよい、培養物中で成長した任意の細胞に対してなされ得る。好ましい態様において、細胞は、動物細胞、より好ましくは、哺乳動物細胞、最も好ましくは、ヒト細胞である。
細胞と核酸-脂質粒子との接触は、インビトロで実施される場合、生物学的に適合性の培地において行なわれる。粒子の濃度は、特定の適用に依って広く変動するが、一般には、約1μmol〜約10mmolである。核酸-脂質粒子による細胞の処理は、一般には、約1〜48時間、好ましくは、約2〜4時間の期間、生理的温度(約37℃)で実施される。
好ましい態様の一つの群において、核酸-脂質粒子懸濁物は、約103〜約105細胞/ml、より好ましくは、2×104細胞/mlの細胞密度を有する、60〜80%コンフルエントな播種された細胞へ添加される。細胞に添加される懸濁物の濃度は、好ましくは、約0.01〜0.2μg/ml、より好ましくは、約0.1μg/mlである。
エンドソーム放出パラメーター(ERP)アッセイを使用して、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)またはその他の脂質に基づく担体システムの送達効率が最適化され得る。ERPアッセイは、米国特許公開第20030077829号に詳細に記載されている。この開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。より具体的には、ERPアッセイの目的は、結合/取り込みまたはエンドソーム膜の融合/不安定化に対する相対的な効果に基づき、粒子の様々なカチオン性脂質およびヘルパー脂質成分の効果を識別することである。このアッセイは、粒子またはその他の脂質に基づく担体システムの各成分が、どのように送達効率に影響を与えるかを定量的に決定し、それにより、粒子またはその他の脂質に基づく担体システムを最適化することを可能にする。通常、ERPアッセイは、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)等)の発現を測定し、いくつかの例において、発現プラスミドのために最適化された粒子製剤は、干渉RNAを封入するためにも適切であろう。他の例において、ERPアッセイは、干渉RNA(例えば、siRNA)の存在下または非存在下での標的配列の転写または翻訳のダウンレギュレーションを測定するために適合し得る。様々な粒子またはその他の脂質に基づく製剤の各々に関してERPを比較することによって、細胞への最も大きな取り込みを有する最適化された系、例えば、SNALPまたはその他の脂質に基づく製剤を容易に決定することが可能である。
C.干渉RNAの送達のための細胞
本発明の組成物および方法は、インビボおよびインビトロの多様な細胞型を処置するために使用される。適当な細胞には、例えば、造血系前駆(幹)細胞、繊維芽細胞、ケラチノサイト、肝細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、骨芽細胞、ニューロン、静止リンパ球、最終分化細胞、細胞周期が長いまたは休止状態の初代細胞、柔組織細胞、リンパ球系細胞、上皮細胞、骨細胞等が含まれる。好ましい態様において、干渉RNAなどの核酸(例えば、siRNA)は、例えば、肝臓癌細胞、肺癌細胞、結腸癌細胞、直腸癌細胞、肛門癌細胞、胆管癌細胞、小腸癌細胞、胃癌(胃の癌)細胞、食道癌細胞、胆嚢癌細胞、膵臓癌細胞、虫垂癌細胞、乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頸癌細胞、前立腺癌細胞、腎臓癌細胞、中枢神経系の癌細胞、神経膠芽腫腫瘍細胞、皮膚癌細胞、リンパ腫細胞、絨毛癌腫瘍細胞、頭頸部癌細胞、骨原性肉種腫瘍細胞、および血液癌細胞のような癌細胞に送達される。
干渉RNA(例えば、siRNA)が封入されている核酸-脂質粒子のインビボ送達は、任意の細胞型の細胞を標的とするのに適している。方法および組成物は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、およびモルモット)、ウサギ、ブタ、ならびに霊長類(例えば、サル、チンパンジー、およびヒト)のような哺乳動物を含む極めて多様な脊椎動物の細胞で利用され得る。
細胞の組織培養が必要とされるかもしれないという点で、それは、当技術分野において周知である。例えば、Freshney,Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique,3rd Ed.,Wiley-Liss,New York(1994)、Kuchler et al.,Biochemical Methods in Cell Culture and Virology,Dowden,Hutchinson and Ross,Inc.(1977)、およびそれらの中に引用された参照が、細胞の培養に関する一般的な案内を提供している。培養細胞株は、しばしば、細胞の単層の形態であろうが、細胞懸濁物が使用されてもよい。
D.SNALPの検出
いくつかの態様において、核酸-脂質粒子は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、またはそれ以上の時間で、対象において検出可能である。他の態様において、核酸-脂質粒子は、粒子の投与の約8時間後、12時間後、24時間後、48時間後、60時間後、72時間後、もしくは96時間後、または約6日後、8日後、10日後、12日後、14日後、16日後、18日後、19日後、22日後、24日後、25日後、もしくは28日後、対象において検出可能である。粒子の存在は、細胞、組織、または対象由来のその他の生物学的試料において検出され得る。粒子は、例えば、粒子の直接検出、干渉RNA(例えば、siRNA)配列の検出、関心対象の標的配列の検出(即ち、関心対象の配列の発現もしくは発現低下の検出)、またはそれらの組み合わせによって検出され得る。
1.粒子の検出
核酸-脂質粒子は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して検出され得る。例えば、当技術分野において周知の方法を使用して、SNALPの成分に直接または間接的に標識をカップリングすることができる。極めて多様な標識が使用され得、標識の選択は、必要とされる感度、SNALP成分との結合の容易さ、安定性要件、ならびに利用可能な機器および廃棄規定に依る。適当な標識には、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、およびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)およびOregon Green(商標)のような誘導体;ローダミン、およびテキサスレッド、テトラロージミンイソチオシネート(tetrarhodimine isothiocynate)(TRITC)等のような誘導体、ジゴキシゲニン、ビオチン、フィコエリトリン、AMCA、CyDyes(商標)等のようなスペクトル標識;3H、125I、35S、14C、32P、33P等のような放射標識;西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等のような酵素;コロイド金または色ガラスまたはポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等のようなプラスチックビーズ等のようなスペクトル比色分析標識が含まれるが、これらに限定はされない。標識は、当技術分野において公知の任意の手段を使用して検出され得る。
2.核酸の検出
核酸(例えば、siRNAなどの干渉RNA)は、当業者に周知の多数の手段のうちの任意のものによって本明細書において検出され定量化される。核酸の検出は、サザン分析、ノーザン分析、ゲル電気泳動、PCR、放射標識、シンチレーション計数、およびアフィニティクロマトグラフィのような周知の方法によって進む。分光光度法、X線撮影、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、およびハイパーディフュージョン(hyperdiffusion)クロマトグラフィのような付加的な生化学的分析法も利用され得る。
核酸ハイブリダイゼーション形式の選択は、重大ではない。多様な核酸ハイブリダイゼーション形式が当業者に公知である。例えば、一般的なフォーマットには、サンドイッチアッセイおよび競合アッセイまたは置換アッセイが含まれる。ハイブリダイゼーション技術は、例えば、"Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach," Eds.Hames and Higgins,IRL Press(1985)に一般に記載されている。
ハイブリダイゼーションアッセイの感度は、検出される標的核酸を増大させる核酸増幅系の使用を通して増強され得る。分子プローブとして使用するための配列を増幅するため、またはその後のサブクローニングのための核酸断片を作製するのに適しているインビトロ増幅技術は公知である。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ-レプリカーゼ増幅、およびその他のRNAポリメラーゼによって媒介される技術(例えば、NASBA(商標))を含む、そのようなインビトロ増幅法に関して熟練者を導くのに十分な技術の例は、Sambrook et al.,In Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2000);およびAusubel et al.,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,eds.,Current Protocols,Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.(2002);ならびに米国特許第4,683,202号;PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications(Innis et al.eds.)Academic Press Inc.San Diego,CA(1990);Arnheim & Levinson(October 1,1990),C&EN 36;The Journal Of NIH Research,3:81(1991);Kwoh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:1173(1989);Guatelli et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1874(1990);Lomell et al.,J.Clin.Chem.,35:1826(1989);Landegren et al.,Science,241:1077(1988);Van Brunt,Biotechnology,8:291(1990);Wu and Wallace,Gene,4:560(1989);Barringer et al.,Gene,89:117(1990);およびSooknanan and Malek,Biotechnology,13:563(1995)に見出される。インビトロで増幅された核酸をクローニングする改善された方法は、米国特許第5,426,039号に記載されている。当技術分野において記載されているその他の方法は、核酸配列に基づく増幅(NASBA(商標)、Cangene,Mississauga,Ontario)およびQβ-レプリカーゼ系である。PCRプライマーまたはLCRプライマーが、選択配列が存在する場合のみ、伸長されるかまたはライゲートされるよう設計されるこれらの系は、変異体を直接同定するために使用され得る。または、選択配列は、一般に、例えば、非特異的PCRプライマーを使用して増幅されてもよく、増幅された標的部位が、後に、変異を示す特異的な配列に関して探索される。上述の参考文献の開示は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
例えば、インビトロ増幅法において、プローブとして使用するための核酸、遺伝子プローブとして使用するための核酸、または阻害剤成分としての核酸は、典型的には、Beaucage et al.,Tetrahedron Letts.,22:1859 1862(1981)によって記載された固相ホスホラミダイトトリエステル法に従って、例えば、Needham VanDevanter et al.,Nucleic Acids Res.,12:6159(1984)に記載されたような自動合成装置を使用して、化学合成される。ポリヌクレオチドの精製は、必要であれば、典型的には、未変性アクリルアミドゲル電気泳動によって、またはPearson et al.,J.Chrom.,255:137 149(1983)に記載されたような陰イオン交換HPLCによって実施される。合成ポリヌクレオチドの配列は、Maxam and Gilbert(1980)in Grossman and Moldave(eds.)Academic Press,New York,Methods in Enzymology,65:499の化学的分解法を使用して確証され得る。
転写のレベルを決定するための代替的な手段は、インサイチューハイブリダイゼーションである。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイは、周知であり、Angerer et al.,Methods Enzymol.,152:649(1987)に一般に記載されている。インサイチューハイブリダイゼーションアッセイにおいては、細胞を、固体支持体、典型的には、ガラススライドに固定する。DNAを探索すべき場合には、細胞を熱またはアルカリで変性させる。次いで、標識されている特異的プローブのアニーリングを可能にするため、中程度の温度で、細胞をハイブリダイゼーション溶液と接触させる。プローブは、好ましくは、放射性同位元素または蛍光性レポーターで標識される。
VIII.併用療法
いくつかの態様において、本発明は、化学療法薬と組み合わせてCSN5遺伝子を標的とする干渉RNA(例えば、適当な担体システムを使用するsiRNA)を投与することにより、癌(例えば、肝臓癌)などの細胞増殖障害を治療する方法を提供する。方法は、標準的な組織培養技術を使用してインビトロで実施されてもよいし、または本明細書に記載されたように、または当技術分野において公知の任意の手段を使用して、干渉RNAおよび化学療法薬を投与することによりインビボで実施されてもよい。好ましい態様において、この治療剤の組み合わせは、ヒトのような哺乳動物の体内の癌細胞に送達される。
ある種の局面において、化学療法を開始しようとしている患者は、まず、適当な用量のCSN5干渉RNA(例えば、siRNA)を含有している一つまたは複数の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)により前処置される。患者は、化学療法薬投与前の任意の合理的な時点で、適当な用量の一つまたは複数の核酸-脂質粒子により前処置され得る。非限定的な例として、その用量の一つまたは複数の核酸-脂質粒子は、化学療法薬投与の約96、84、72、60、48、36、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、もしくは0.1時間前、またはそれらの間の時点で投与され得る。
さらに、化学療法を開始しようとしている患者は、化学療法薬投与前の異なる時点で、CSN5干渉RNA(例えば、siRNA)を含有している核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の複数回投与によって前処置されてもよい。従って、本発明の方法は、化学療法薬投与前に、核酸-脂質粒子の二回目の用量を投与することをさらに含み得る。ある種の例において、一回目の用量の核酸-脂質粒子は、二回目の用量の核酸-脂質粒子と同一である。ある種の他の例において、一回目の用量の核酸-脂質粒子は、二回目の用量の核酸-脂質粒子と異なる。好ましくは、二回の前処置用量は、同一のCSN5干渉RNA配列を含有している同一の核酸-脂質粒子、例えば、SNALPを使用する。核酸-脂質粒子の二回目の用量が、一回目の用量の後の任意の合理的な時点で行われ得ることを、当業者は認識するであろう。非限定的な例として、一回目の用量が、化学療法薬投与の約12時間前に投与された場合、二回目の用量は、化学療法薬投与の約11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、もしくは0.1時間前、またはそれらの間の時点で投与され得る。核酸-脂質粒子の二回目の用量が、同一の用量であってもよいし、または異なる用量であってもよいことを、当業者は認識するであろう。本発明の付加的な態様において、患者は、化学療法薬投与前に、三回目、四回目、五回目、六回目、七回目、八回目、九回目、十回目、またはそれ以上の同一であるかまたは異なる核酸-脂質粒子の用量によって前処理されてもよい。
患者は、化学療法薬投与中の任意の合理的な時点で、適当な用量のCSN5干渉RNA(例えば、siRNA)を含有している一つまたは複数の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)によって処置されてもよい。従って、本発明の方法は、化学療法薬投与中に、ある用量の核酸-脂質粒子を投与することをさらに含むことができる。当業者は、核酸-脂質粒子の複数回投与が化学療法薬投与中の異なる時点で投与され得ることを認識するであろう。非限定的な例として、非修飾CSN5 siRNA配列および/または修飾CSN5 siRNA配列を含有しているSNALPは、化学療法薬投与の開始時、化学療法薬投与の進行中、および/または化学療法薬投与の終了時に投与され得る。核酸-脂質粒子の前処置および中間処置(即ち、化学療法薬投与中)の用量が、同一の用量であってもよいし、または異なる用量であってもよいことも、当業者は認識するであろう。
さらに、患者は、化学療法薬投与後の任意の合理的な時点で、適当な用量のCSN5干渉RNA(例えば、siRNA)を含有している一つまたは複数の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)により処置され得る。従って、本発明の方法は、化学療法薬投与後に、ある用量の核酸-脂質粒子を投与することをさらに含み得る。非限定的な例として、その用量の一つまたは複数の核酸-脂質粒子は、化学療法薬投与の約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、60、72、84、96、108時間後、またはそれより後、またはそれらの間の時点で投与され得る。ある種の例において、化学療法薬投与の前後に、同一の核酸-脂質粒子が使用される。ある種の他の例において、異なる核酸-脂質粒子が、化学療法薬投与後に使用される。核酸-脂質粒子の複数回投与が、化学療法薬投与後の異なる時点で投与され得ることを、当業者は認識するであろう。核酸-脂質粒子の前処置および後処置(即ち、化学療法薬投与後)の用量が、同一の用量であってもよいし、または異なる用量であってもよいことも、当業者は認識するであろう。
化学療法薬は、必要に応じて、適当な薬学的賦形剤と共に投与され得、容認される投与モードのうちの任意のものを介して実施され得る。従って、投与は、例えば、経口、頬、舌下、歯肉、口蓋、静脈内、局所、皮下、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、筋肉内、関節内、非経口、細動脈内、皮内、脳室内、頭蓋内、腹腔内、膀胱内、くも膜下腔内、病巣内、鼻腔内、直腸、膣、または吸入であり得る。「同時投与」とは、化学療法薬が、第二の薬物または治療剤(例えば、核酸-脂質粒子、もう一つの化学療法薬、化学療法に関連した副作用を低下させるために有用な薬物、放射線治療剤、ホルモン治療剤、免疫治療剤等)の投与と同時に、直前に、または直後に投与されることを意味する。
本発明において使用するのに適している化学療法薬の非限定的な例には、白金に基づく薬物(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、スピロプラチン(spiroplatin)、イプロプラチン(iproplatin)、サトラプラチン等)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン(uramustine)、チオテパ、ニトロソ尿素等)、代謝拮抗薬(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、アザチオプリン、メトトレキサート、ロイコボリン、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド等)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタクセル(タキソール)、ドセタキセル等)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、リン酸エトポシド、テニポシド等)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン等)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、スニチニブ(Sutent(登録商標);SU11248)、エルロチニブ(Tarceva(登録商標);OSI-1774)、ラパチニブ(GW572016;GW2016)、カネルチニブ(CI 1033)、セマキシニブ(SU5416)、バタラニブ(PTK787/ZK222584)、ソラフェニブ(BAY 43-9006)、イマチニブ(Gleevec(登録商標);STI571)、ダサチニブ(BMS-354825)、レフルノミド(SU101)、バンデタニブ(Zactima(商標);ZD6474)等)、それらの薬学的に許容される塩、それらの立体異性体、それらの誘導体、それらのアナログ、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
本明細書に記載された核酸-脂質粒子および/または化学療法薬は、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、アロマターゼ阻害薬、タモキシフェン、およびゴセレリンのような性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)を含むが、これらに限定はされない、従来のホルモン治療剤と同時投与されてもよい。
さらに、本明細書に記載された核酸-脂質粒子および/または化学療法薬は、免疫賦活剤(例えば、カルメットゲラン桿菌(BCG)、レバミソール、インターロイキン-2、アルファ-インターフェロン等)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA-DR、および抗VEGFモノクローナル抗体)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体-カリチアマイシン結合体、抗CD22モノクローナル抗体-シュードモナス外毒素結合体等)、ならびに放射線免疫治療(例えば、111In、90Y、または131Iに結合した抗CD20モノクローナル抗体等)を含むが、これらに限定はされない、従来の免疫治療剤と同時投与されてもよい。
さらなる態様において、本明細書に記載された核酸-脂質粒子および/または化学療法薬は、任意で、腫瘍抗原に対する抗体に結合した、47Sc、64Cu、67Cu、89Sr、86Y、87Y、90Y、105Rh、111Ag、111In、117mSn、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、および212Biのような放射性核種を含むが、これらに限定はされない、従来の放射線治療剤と同時投与されてもよい。
治療的に有効な量の化学療法薬は、例えば、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、またはそれ以上、繰り返し投与されてもよいし、または、用量は連続注入によって投与されてもよい。用量は、好ましくは、正確な投薬量の単純な投与のために適した単位剤形で、例えば、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、粉末、溶液、懸濁物、エマルジョン、坐剤、停留浣腸、クリーム、軟膏剤、ローション、ゲル、エアロゾル、フォーム等のような、固形、半固形、凍結乾燥粉末、または液状の剤形の形態をとり得る。投与される化学療法薬の投薬量は、投与される特定の化学療法薬または化学療法薬のセット、投与のモード、適用の型、患者の年齢、および患者の身体状態を含むが、これらに限定はされない、多数の因子に依って変動するであろうことを、当業者は認識するであろう。好ましくは、所望の結果を生ずるために必要とされる最低の用量および濃度が使用されるべきである。子供、高齢者、衰弱した患者、ならびに心疾患および/または肝疾患を有する患者に関しては、投薬量が適切に調整されるべきである。さらなる案内は、投薬量の評価のための実験動物モデルを使用した当技術分野において公知の研究より入手され得る。
本明細書において使用されるように、「単位剤形」という用語は、ヒト対象およびその他の哺乳動物のための単位投薬量として適当な物理的に不連続の単位をさし、各単位は、適当な薬学的賦形剤と会合した、所望の作用発現、耐容性、および/または治療効果を生ずるよう計算された予定された量の化学療法薬を含有している(例えば、アンプル)。さらに、より濃縮された剤形を調製し、次いで、それから、より希薄な単位剤形を作製することもできる。より濃縮された剤形は、実質的に多い、例えば、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれ以上の量の化学療法薬を含有しているであろう。
そのような剤形を調製する方法は、当業者に公知である(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18TH ED.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)参照)。剤形は、典型的には、従来の薬学的担体または賦形剤を含み、その他の医用薬剤、担体、アジュバント、希釈剤、組織透過性増強剤、可溶化剤等を付加的に含んでいてもよい。適切な賦形剤は、当技術分野において周知の方法によって、特定の剤形および投与経路のため調整され得る(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES(前記)参照)。
適当な賦形剤の例には、乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸、トラガカントゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、生理食塩水、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびCarbopol、例えば、Carbopol 941、Carbopol 980、Carbopol 981等のようなポリアクリル酸が含まれ得るが、これらに限定はされない。剤形は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油のような滑択剤;湿潤剤;乳化剤;懸濁化剤;ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチル、およびヒドロキシ安息香酸プロピル(即ち、パラベン)のような保存剤;無機および有機の酸および塩基のようなpH調整剤;甘味剤;ならびに風味剤を付加的に含んでいてもよい。剤形には、生分解性ポリマービーズ、デキストラン、およびシクロデキストリン包含複合体も含まれ得る。
経口投与の場合、治療的に有効な用量は、錠剤、カプセル、エマルジョン、懸濁物、溶液、シロップ、スプレー、ロゼンジ、粉末、および徐放性製剤の形態であり得る。経口投与のための適当な賦形剤には、薬学的等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ゼラチン、ショ糖、炭酸マグネシウム等が含まれる。
いくつかの態様において、治療的に有効な用量は、丸剤、錠剤、またはカプセルの形態をとり、従って、剤形は、化学療法薬と共に、以下のうちの任意のものを含有していてもよい:乳糖、ショ糖、第二リン酸カルシウム等のような希釈剤;デンプンまたはその誘導体のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等のような滑沢剤;ならびにデンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース、およびそれらの誘導体のような結合剤。化学療法薬は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)担体の中に配置された坐剤へ製剤化されてもよい。
例えば、経口投与、局所投与、または静脈内投与のための溶液または懸濁物を形成するためには、化学療法薬、および、任意で、一つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバントを、例えば、水性生理食塩水(例えば、0.9%w/v塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等のような担体に溶解させるかまたは分散させることにより、液状剤形を調製することができる。化学療法薬は停留浣腸へ製剤化されてもよい。
局所投与の場合、治療的に有効な用量は、エマルジョン、ローション、ゲル、フォーム、クリーム、ゼリー、溶液、懸濁物、軟膏、および経皮パッチの形態であり得る。吸入による投与の場合、化学療法薬は、噴霧器を介して、乾燥粉末として、または液状で送達され得る。非経口投与の場合、治療的に有効な用量は、無菌注射可能溶液および無菌のパッケージングされた粉末の形態であり得る。好ましくは、注射可能溶液は、約4.5〜約7.5のpHで製剤化される。
治療的に有効な用量は、凍結乾燥形態で提供されてもよい。そのような剤形は、投与前の再生のため、緩衝液、例えば、重炭酸緩衝液を含んでいてもよいし、または、例えば、水による再生のため、緩衝剤が凍結乾燥剤形に含まれていてもよい。凍結乾燥剤形は、適当な血管収縮薬、例えば、エピネフリンをさらに含んでいてもよい。凍結乾燥剤形は、注射器に提供され得、任意で、再生された剤形を直ちに対象へ投与することができるよう、再生のための緩衝液と組み合わせてパッケージングされてもよい。
IX.実施例
本発明を、具体的な実施例により、さらに詳しく説明する。以下の実施例は、例示目的のために提示され、決して、本発明を限定するためのものではない。本質的に同一の結果を与えるよう変化させるかまたは修飾することができる、多様な重大でないパラメーターを、当業者は容易に認識するであろう。
実施例1.材料および方法
siRNA:インビトロ研究に使用したsiRNA二重鎖は全てAmbionによって化学合成された。siRNAをインビボで全身送達するために、2'OMe修飾CSN5 siRNAがIntegrated DNA Technologiesによって合成され、次いで、SNALPに入れて封入された。どの内因性転写物も標的としない負の対照siRNA分子を対照実験セットに使用した。特に、Silencer Negative Control #1 siRNA(Ambion)およびSNALPで処方されたβgal478 siRNAを、それぞれ、インビトロ研究およびインビボ研究に使用した。これらの研究に使用したCSN5 siRNA配列を表1〜2に使用した。βgal478 siRNA配列は、以下である:
センス鎖-
Figure 2011516094
;アンチセンス鎖-
Figure 2011516094
。mU=2'OMe-ウリジン;mG=2'OMe-グアノシン;dT=デオキシ-チミジン。
siRNAの脂質封入
siRNAを、以下の脂質:脂質結合体PEG-cDMA(3-N-[(-メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル]-1,2-ジミリスチルオキシプロピルアミン);カチオン性脂質DLinDMA(1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N,N-ジメチル)アミノプロパン);リン脂質DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン; Avanti Polar Lipids; Alabaster, AL);および合成コレステロール(Sigma-Aldrich Corp.; St. Louis, MO)から、それぞれ、1.4:57.1:7.1:34.3のモル比でなる安定核酸-脂質粒子(SNALP)に入れて封入した。言い換えると、siRNAを、以下の「1:57」製剤:1.4mol%PEG-cDMA;57.1mol%DLinDMA;7.1mol%DPPC;および34.3mol%コレステロールのSNALPに入れて封入した。
または、siRNAは、以下の脂質:脂質結合体PEG-cDMA;カチオン性脂質DLinDMA;および合成コレステロールから、それぞれ、1.5:61.5:36.9のモル比でなる、リン脂質を含まないSNALPに入れて封入されてもよい。言い換えると、siRNAは、以下の「1:62」製剤:1.5mol%PEG-cDMA;61.5mol%DLinDMA;および36.9mol%コレステロールの、リン脂質を含まないSNALPに入れて封入されてもよい。
ビヒクル対照のために、同一の脂質組成を有する空の粒子を、siRNAの非存在下で形成することができる。
1:57製剤および1:62製剤は標的製剤であり、製剤に存在する脂質(カチオン性および非カチオン性)の量および製剤に存在する脂質結合体の量は異なってもよいことが理解されるはずである。典型的には、1:57製剤において、カチオン性脂質の量は57mol%±5mol%であり、脂質結合体の量は1.5mol%±0.5mol%であり、1:57製剤の不足は非カチオン性脂質(例えば、リン脂質、コレステロール、または2つの混合物)で埋め合わされる。同様に、1:62製剤において、カチオン性脂質の量は62mol%±5mol%であり、脂質結合体の量は1.5mol%±0.5mol%であり、1:62製剤の不足は非カチオン性脂質(例えば、コレステロール)で埋め合わされる。
細胞培養およびインビトロでのsiRNAトランスフェクション
ヒト肝臓癌細胞株Huh7およびHepG2は、American Type Culture Collectionから購入した。細胞は、10%胎仔ウシ血清(Atlanta Biological)を添加したDMEM/F-12培地(Mediatech)中で37℃で5%CO2の存在下で維持した。HCC細胞の表現型変化を調べるために、トランスフェクション日の前に、25%コンフルエンシーの細胞を、抗生物質を含まない培地100μlが入っている96ウェルプレート上に播種した。0.2μlおよび0.3μlのLipofectamine2000を、体積50μlのOpti-MEM Iに入っているsiRNA分子と混合し(両方ともInvitrogen)、それぞれ、Huh7細胞およびHepG2細胞に添加した。トランスフェクションの24時間後に、培養物を新鮮な培地と交換し、さらに2〜3日間インキュベートした。標的siRNA分子の効果を比較するために、同量のNC#1 siRNA+脂質も同数の細胞に添加し、同時にアッセイした。異なる組織培養形式で細胞をトランスフェクトすることが必要な他のアッセイの場合、製造業者のプロトコールに従って、脂質、siRNA、細胞、および培地の量を相対表面積に比例させた。
細胞増殖およびアポトーシス細胞死の測定
対照siRNAまたは標的siRNAの増殖阻害効果を、Vybrant MTT Cell Proliferation Assay (Invitrogen)を用いて製造業者により推奨されるように試験した。細胞の570nmでの吸光度を、ELISAリーダーであるSpectraMAX 190(Molecular Devices)を用いて測定した。siRNA+脂質で処理した各ウェルにおける細胞増殖阻害のパーセントは、以下の式:1-(実験ウェルの吸光度/偽対照ウェルの吸光度)×100を用いて、光学密度と未処理対照の光学密度を比較することによって計算した。siRNAトランスフェクション後に、アポトーシス細胞において形成された一本鎖DNAに対する変性DNAを検出するが、壊死細胞またはアポトーシス非存在下でDNAが切断した細胞では検出しないApoStrand ELISA Apoptosis Detection Kit(Biomol International)を用いて、インビトロで培養した細胞においてアポトーシス誘導を測定した。
標的遺伝子転写物およびポリペプチドの検出
siRNAトランスフェクション後に、mRNAレベルにおける標的遺伝子発現の変化を、リアルタイム定量RT-PCRで検出した。総RNAの調製は、Tri試薬(Molecular Research Center)を用いて、製造業者により推奨されるプロトコールに従って行った。総RNA(1μg)を、High-Capacity cDNA Archieve Kit(Applied Biosystems)において供給されるランダムプライマーを用いて逆転写した。遺伝子発現を定量するために、CSN5遺伝子のcDNAを、Operonにより合成された一対のプライマー(フォワード
Figure 2011516094
;リバース
Figure 2011516094
)、Power SYBR Green PCR Master Mix、およびABI 7700HT PCR Machine(両方ともApplied Biosystemsから入手)を用いて、製造業者の説明書に従って増幅した。各反応に存在する総RNAの量を規準化するために、GAPDH遺伝子を同時に増幅した。全ての反応を三通り行った。
siRNA処理後のタンパク質の定量はウェスタンブロッティング法を用いて行った。総タンパク質の量は、BCA Protein Assay Kit(Pierce)を用いて求めた。100μgの総タンパク質を4〜20%SDS-ポリアクリルアミドゲル上で流し、PVDF膜(Invitrogen)に転写した。膜を5%ミルク/Tris緩衝食塩水+Tween20(TBST)とインキュベーションすることによってブロッキングし、次いで、ヒトCSN5(FL-334)、p53(FL-393)、p21(C-19)、およびp27(F-8)に対する一次抗体(全てSanta Cruz Biotechnologyから入手)とインキュベートした。抗体作製源に応じて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗ウサギIgG(Pierce)、抗ヤギIgG(Santa Cruz)、または抗マウスIgG(Amersham)の二次抗体を添加し、免疫反応性バンドを、ECL Plus Western Blotting Detection System(GE Healthcare)を用いて視覚化した。同じ膜をACTIN抗体(NeoMarker)でプローブすることによって、同量のローディングを評価した。
マウス系統および動物飼育
研究に使用した免疫不全マウスは、雄SCID-ベージュ、5〜6週齢(Charles River Laboratories)であった。動物の施設および飼育は、米国立癌研究所の実験動物委員会(Animal Care and Use Committee)からの指針に従った。これらの研究は、米国立癌研究所の倫理調査委員会(Institutional Review Board)による認可を受けた。
ルシフェラーゼを持続的に発現するHCC細胞株の作製
Lipofectamine2000を用いて、Huh7細胞を、ホタルルシフェラーゼおよびゼオシン耐性遺伝子を発現するpGL4.17ベクター(Promega)でトランスフェクトした。ルシフェラーゼ遺伝子の発現を増強するために、pCAGENプラスミド(Addgene)からのβ-アクチンプロモーターをpGL4.17のマルチクローニングサイトにサブクローニングした。Geneticin (Gibco)を用いた抗生物質耐性について細胞を選択し、生き残ったコロニーを増幅し、150μg/ml D-ルシフェリン(Biosynth)を添加した完全培地における生物発光について、IVIS Imaging System(Xenogen)を用いたインビトロイメージングによってスクリーニングした。適切なHuh7-1H6クローンを、インビトロでの安定した発光の点から選択し、さらなる研究に使用した。
SNALPで処方されたsiRNAの全身投与およびインビボでの生物発光イメージング(BLI)
総数5×105個のHuh7-luc+細胞をPBS緩衝液(Ca2+およびMg2+イオンを含む)50μlに溶解して、5〜6週齢雄SCID-ベージュマウスの脾臓に移植し、肝臓以外の他の臓器における腫瘍形成を避けるために、細胞注射の30秒後に脾臓を取り出した。肝臓における腫瘍形成は、循環系を介した細胞移動によって誘導される。腫瘍はBLIによって7日目から検出することができ、28日目まで指数関数的に増殖し続けた。移植8日後から、マウスを無作為化し、SNALPで処方されたsiRNA製剤を、2mg/kgの投与量で外側尾静脈に静脈内注射した。注射は、3日の間隔を開けて4回、3〜5秒間行った。肝臓内の腫瘍成長を、IVIS Imaging System(Xenogen)を用いて、4週間、3〜4日の間隔を開けてBLIによってモニタリングした。ルシフェラーゼシグナルの画像および測定値を入手し、Living Image Software(Xenogen)を用いて分析した。インビボイメージングの10分前に、1〜3%イソフルラン(Abbott Laboratories)を用いてマウスに麻酔し、150mg/kgの基質ルシフェリン(Biosynth)を含むDPBSを腹腔内注射によって与えた。腫瘍部位を、表示された画像からの対象領域(ROI)で囲み、Living Image Softwareを用いて光子/秒として定量した。
組織病理学
新生細胞の存在を確認するために、肝臓組織を10%ホルマリン溶液で保存した。組織検査(パラフィン包埋、切片、およびH&E染色)はHistoservが行った。
サイトカイン誘導アッセイ
Gilliet et al.(J. Exp. Med., 195:953-958)に記載のように、100ng/mlマウスFlt3-リガンド(PeproTech Inc.; Rocky Hill, NJ)を添加した培地を用いて、Flt3-リガンド由来マウス樹状細胞(Flt3L DC)を作製した。雌Balb/Cマウスの大腿骨および脛骨を単離し、滅菌PBSでリンスした。骨の端部を切断し、骨髄を採取して完全培地(RPMI1640、10%熱失活FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L-グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPES、50μM 2-メルカプトエタノール)に入れた。骨髄細胞を70μmストレーナーに通し、1000rpmで7分間、遠心分離し、100ng/mlマウスFlt3Lを添加した完全培地に2x106細胞/mlまで再懸濁した。細胞2mlを6ウェルプレートに播種し、2日または3日ごとに新鮮な完全培地1mlを添加した。培養9日目に、非付着細胞を完全培地で洗浄し、96ウェルプレートに0.5〜2.5x105細胞/ウェルの濃度でプレートした。CSN5 SNALPをPBSで希釈し、5μg/ml siRNAでFlt3L DC培養物に添加した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後に、ELISAによって上清のサイトカインをアッセイした。
サイトカインELISA
マウスFlt3Lデンドリサイトの培養上清中のIL-6レベルを、サンドイッチELISAキットを用いて、製造業者の説明書(BD Biosciences; San Jose, CA)に従って定量した。
実施例2.CSN5を標的とする例示的な非修飾siRNAおよび化学修飾siRNA
表1は、ヒトCSN5遺伝子発現を標的とする例示的なsiRNA配列のリストを示す。
(表1)ヒトCSN5遺伝子発現を標的とするsiRNA配列
Figure 2011516094
表1にある「CSN5」の後ろにある数字は、ヒトCSN5 mRNA配列NM_006837を基準にした標的配列またはセンス鎖配列の5'塩基のヌクレオチド位置を指す。ある特定の態様において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド、例えば、2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、および/またはロックド核酸(LNA)ヌクレオチドを含む。場合によっては、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、DNA塩基(例えば、「tt」、「tg」、もしくは「tc」)またはRNA塩基(例えば、「UU」)を含む、またはこれらからなる3'オーバーハングを含有する。他の場合において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、標的配列またはその相補鎖と相補性を有する3'オーバーハングを含有する。非限定的な例として、CSN5-2センス鎖(SEQ ID NO:3)および/またはアンチセンス鎖(SEQ ID NO:4)は、「tt」または「UU」3'オーバーハングを含んでもよく、これからなってもよい。
表2は、二本鎖領域内の選択した位置に2'OMeヌクレオチドを含有する化学修飾CSN5-2 siRNAのリストを示す。
(表2)ヒトCSN5遺伝子発現を標的とする2'OMe修飾siRNA配列
Figure 2011516094
2'OMeヌクレオチドを表2に太字で下線を付けて示した。または、もしくはさらに、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、および/またはロックド核酸(LNA)ヌクレオチドを含む場合がある。場合によっては、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、DNA塩基(例えば、「tt」、「tg」、もしくは「tc」)またはRNA塩基(例えば、「UU」)を含む、あるいはこれらからなる3'オーバーハングを含有する。他の場合において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、標的配列またはその相補鎖と相補性を有する3'オーバーハングを含有する。非限定的な例として、CSN5-3/8センス鎖(SEQ ID NO:27)および/またはアンチセンス鎖(SEQ ID NO:30)は、「tt」または「UU」3'オーバーハングを含んでもよく、これらからなってもよい。
ヒトCSN5遺伝子発現を標的とするさらなるsiRNA分子は、SEQ ID NO:34の19〜25個の連続したヌクレオチドを含む、もしくはこれらからなるセンス鎖(標的)配列、および/またはセンス鎖(標的)配列に部分的もしくは完全に相補する(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%相補する)アンチセンス鎖を含んでもよい。このようなさらなるCSN5 siRNA配列の例には、SEQ ID NO:34のヌクレオチド1-19、2-20、3-21、4-22、5-23、6-24、7-25、8-26、9-27、10-28、11-29、12-30、13-31、14-42、15-33、16-34、17-35、18-36、19-37、20-38、…、450-468、451-469、452-470、453-471、454-472、455-473、456-474、457-475、458-476、459-477、460-478、461-479、462-480、463-481、464-482、465-483、466-484、467-485、468-486、469-487、470-488、471-489、472-490、473-491、474-492、475-493、476-494、477-495、478-496、479-497、480-498、481-499、482-500、483-501、484-502、485-503、486-504、487-505、488-506、489-507、490-508、491-509、492-510、493-511、494-512、495-513、496-514、497-515、498-516、499-517、500-518、…、1485-1503、1486-1504、1487-1505、1488-1506、1489-1507、1490-1508、1491-1509、または1492-1510が含まれるが、これに限定されない。siRNAの一方の鎖または両方の鎖は、本明細書に記載のように、1つまたは複数の修飾ヌクレオチド(例えば、2'OMeヌクレオチド)および/または3'オーバーハングを含んでもよい。
実施例3.CSN5を標的とするsiRNAは癌細胞の増殖を阻害する
前記の表1および表2に示したCSN5 siRNA分子を、SNALP(1:57製剤:1.4%PEG-cDMA;57.1%DLinDMA;7.1%DPPC;および34.3%コレステロール)として処方し、インビトロでの細胞増殖に対する阻害効果について評価した。ヒト肝細胞癌(HCC)細胞株Huh7またはHepG2をCSN5 SNALPで処理し、細胞生存率に対する効果を評価した。細胞培養物の生存率は、PBS処理対照に対する%生存率として表した。図1A(Huh7)および2A(HepG2)は、2'OMe修飾CSN5-2 siRNAを含有するSNALPが、両細胞株からの細胞の増殖阻害に有効であったことを示す。特に、非修飾CSN5-2 siRNAまたはCSN5-3/8 siRNAを含有するSNALPは、Huh7細胞およびHepG2細胞の死滅に極めて効果があった。CSN5-3/8 siRNAは最も有効な配列であり、Huh7細胞増殖を約85%阻害した。図1B(Huh7)および2B(HepG2)は、CSN5遺伝子の他の領域を標的とするsiRNAを含有するSNALPもまた両細胞株からの細胞増殖の阻害に有効であったことを示す。ルシフェラーゼ(Luc)siRNAを含有するSNALPは負の対照として使用し、Eg5 siRNAを含有するSNALPは正の対照として使用した。
実施例4.修飾CSN5 siRNAは免疫賦活性が無い
前記の表1および表2に示した非修飾CSN5-2 siRNA分子および2'OMe修飾CSN5-2 siRNA分子を、SNALP(1:57製剤:1.4%PEG-cDMA;57.1%DLinDMA;7.1%DPPC;および34.3%コレステロール)として処方し、インビトロで免疫賦活活性について評価した。マウス骨髄からのFlt3L DC培養物を5μg/mlのCSN5 SNALPで24時間処理した。培養上清中のIL-6レベルを、特定のCSN5 siRNAによる免疫刺激の指標としてアッセイした。
図3は、非修飾(天然)CSN5-2 siRNAを含有するSNALPが、マウスFlt3L DC培養物において、強い免疫刺激を示す高レベルのIL-6を誘導したことを示す。しかしながら、CSN5-2の2'OMe修飾変種は、この細胞培養系において最小限のIL-6応答しか誘導しなかった。さらに、空の粒子を注射しても、IL-6レベルはあまり誘導されなかった。
実施例5.CSN5を標的とするsiRNAはHCC進行の経過に影響を及ぼす
本実施例は、(1)siRNAを介したCSN5発現ノックダウンによって、Huh7細胞株およびHepG2細胞株からの細胞の増殖が阻害されたこと;(2)CSN5を標的とするsiRNA処理によって、p52腫瘍サプレッサーおよびp27 cdkインヒビターのタンパク質レベルが回復することにより、HCC細胞のアポトーシスが増大したこと;(3)CSN5サイレンシングによって、サイドポピュレーションを含有する癌幹細胞(CSC)のサイズが小さくなり、このことから、CSN5遺伝子の標的化が抗CSC療法において有効であることが分かったこと;ならびに(4)化学修飾CSN5 siRNAを含有するSNALPの全身送達によって、転移性ヒト肝臓癌のマウスモデルにおいて新生物成長が効果的に抑制されたことを例示している。
CSN5サイレンシングはヒトHCC細胞の増殖および細胞周期進行を阻害する
肝臓癌形成におけるp53およびp27の重要性を考えて、ヒトHCC細胞株を用いてCSN5遺伝子ノックダウンの効果を調べた。CSN5遺伝子発現を不活化するために、Huh7細胞およびHepG2細胞を3種類のsiRNA(CSN5-1、CSN5-2、およびCSN5-3)で処理した。CSN5遺伝子発現のサイレンシングは、定量リアルタイムRT-PCRおよびウェスタンブロッティングによって確認した。次いで、細胞増殖をMTTおよびFACS分析によって分析し、アポトーシスを、ssDNAを検出するためにELISAによって評価した。さらに、遺伝子療法に対する癌幹細胞の応答を研究するアプローチとして、フローサイトメトリーを用いて、Hoechst33342色素の流出によって規定され、癌幹細胞中に豊富にあることが示されているサイドポピュレーション(SP)のサイズを求めた。
図4は、CSN5遺伝子サイレンシングによって、細胞生存率アッセイにおいてHCC細胞生存が減少し、定量リアルタイムRT-PCRアッセイにおいてCSN5 mRNAレベルが低下したことを示す。試験したsiRNAの中で、CSN5-2 siRNAは、HCC細胞増殖の阻害に最も有効であった。CSN5-2 siRNAで4日間トランスフェクトしたHuh7細胞およびHepG2細胞は、それぞれ、約68%および約77%の増殖阻害を示した(図4A〜B)。対照的に、負の対照(NC)siRNAは、無処理と比較した時に、同じ濃度でHuh7細胞増殖およびHepG2細胞増殖の阻害をほとんど示さなかった(すなわち、14%未満の阻害および13%未満の阻害)。Huh7細胞およびHepG2細胞におけるCSN5遺伝子発現に対するsiRNAの効果を試験するために、標的mRNAの定量分析を行った。15nM CSN5-2 siRNAで48時間処理することによって、Huh7細胞およびHepG2細胞において、それぞれ、標的mRNAの約87%および約90%が減少した(図4C〜D)。
図5は、光学顕微鏡によって検出された時に、CSN5遺伝子サイレンシングによってHCC細胞生存が減少したことを示す。従って、細胞形態の表現型変化が観察されたことによって、細胞増殖アッセイの結果が裏付けられた。
図6は、CSN5遺伝子サイレンシングがG1期における細胞周期停止と関連することを示している。細胞周期進行に及ぼす影響の点では、対照処理と比較して、CSN5 siRNAによる標的遺伝子サイレンシングによって、一般的に、Huh7細胞およびHepG2細胞のG0/G1集団が増加し、その代償としてG2/M期が減少し、最終的に、G1期における細胞周期停止が誘導された。
図7は、CSN5遺伝子発現のサイレンシングによって、サイドポピュレーション(SP)細胞の比率が少なくなったことを示している(Huh7およびHepG2において、それぞれ約50%および約70%)。このことから、CSN5遺伝子の標的化は抗癌幹細胞療法に有効であることが分かる。特に、siRNA療法に対する癌幹細胞の応答を研究するアプローチとして、フローサイトメトリーを用いて、Hoechst33342色素の流出によって規定され、癌幹細胞中に豊富にあることが示されているSP細胞のサイズを求めた。
これらの結果は、siRNAを介したCSN5ノックダウンがヒトHCC細胞の増殖および細胞周期進行をブロックし、抗癌幹細胞療法の有効な形であることを証明している。
p53腫瘍サプレッサーの機能回復によるアポトーシスの誘導
本研究は、CSN5 siRNA処理による癌細胞死がアポトーシス誘導を反映したものであるかどうかを分析した。15nM CSN5-2 siRNAで3日間処理したHuh7細胞およびHepG2細胞を、アポトーシス進行に関連するクロマチン変化の指標である細胞内の変性DNAを検出するアッセイに供した。CSN5を欠損するHuh7細胞およびHepG2細胞のアポトーシスは、負の対照(NC)siRNA処理細胞と比較して約1.8倍増加した。この特性は、CSN5 mRNAレベルのダウンレギュレーションの程度と直接の相関関係があった(図8A〜B)。
さらに、siRNA処理によるCSN5タンパク質のダウンレギュレーションによってHCC細胞のアポトーシスが進行している時に、p53、そのレスポンダーp21、およびp27のレベルは回復していた。特に、CSN5タンパク質のダウンレギュレーションによってHCC細胞のアポトーシスが進行している時に、細胞内の総p53タンパク質レベルは、等量のNC siRNAによる処理と比較して約2倍増加した(図8C)。p53レベルの上昇と同様に、細胞p21レベルは、Huh7細胞およびHepG2細胞においてそれぞれ約9.3倍および13.7倍増加し、p27レベルも増加した(約1.6倍)。これらの結果から、CSN5 siRNAによるHCC細胞の増殖阻害は、p53腫瘍サプレッサーの機能回復によって誘発されるアポトーシス誘導によって媒介されることが分かる。
CSN5遺伝子の全身サイレンシングを用いたインビボ評価モデルの構築
siRNAを用いた治療標的を全身で検証するために、siRNAを標的組織に送達し、処置後に腫瘍応答を持続してモニタリングするための安定した系であるHCCマウスモデルを樹立することが必須である。最近、ルシフェラーゼを発現する細胞または組織からの可視光に基づいて、動物の中の腫瘍を検出する新たなインビボ分子イメージング法が登場した(Contag et al., Neo Rev.,1:e225-232(2000))。従って、HCC同所異種移植片モデルの開発と標的siRNA投与による応答の検出のために、ルシフェラーゼを構成的に発現する生物発光ヒトHCC細胞を樹立した。細胞内でのルシフェラーゼ遺伝子発現を増強するために、pGL4.17レポーターベクター内のルシフェラーゼ遺伝子上流にβ-アクチンプロモーターをサブクローニングし、次いで、Huh7細胞にトランスフェクトした。
抗生物質選択の制御下で増殖した非常に多くのフォーカスの中で、ルシフェラーゼ発現レベルが最も高かったHuh7-1H6クローンを選択し(図9A)、Huh7-luc+細胞と名付けた。治療標的としてCSN5のインビボで評価するためのHuh7- luc+ HCC同所異種移植片モデルを樹立するために、ルシフェラーゼを持続的に発現する約50万個の生物発光Huh7細胞を、免疫不全SCID-ベージュマウスの脾臓に移植した。細胞を注射した直後に、脾臓を取り出した。腫瘍は生物発光イメージング(BLI)によって7日目から検出することができ、28日目まで指数関数的に増殖し続けた(図9B)。
同所肝臓腫瘍成長の全身阻害
Huh7-luc+細胞を移植した8日後に、CSN5-3/8 siRNAを含有するSNALP(1:57製剤:1.4%PEG-cDMA;57.1%DLinDMA;7.1%DPPC;および34.3%コレステロール)を、尾静脈注射を介して肝臓に向けて、2mg/kgの投与量で、4回(8日目、11日目、14日目、および18日目)、全身送達した。腫瘍再発は、細胞移植後28日目まで生物発光イメージング(BLI)によってモニタリングした。
β-ガラクトシダーゼを標的とするsiRNAを含有するSNALPの対照投与と比較して、CSN5-3/8 siRNAの全身送達は、転移性ヒト肝臓癌マウスモデルにおける肝臓内の同所腫瘍成長を有効に阻止した(図10A〜B)。28日目の生物発光シグナルのレベルと相関して、目視検査から、CSN5-3/8 siRNAで処理したマウスの肝臓の腫瘍数はかなり少ないか、または腫瘍は全く無いことが分かった(図10C〜D)。組織分析からも、対照siRNAで処理した肝臓には腫瘍が発生したことが分かった。このことは、かなりの程度の細胞増殖を示している。対照的に、CSN5-3/8 siRNA処理によって、中程度の用量でも腫瘍拡大が阻害された。
CSN5-3/8 siRNA処理マウスの肝臓:体重比もまた対照siRNA処理マウスと比べて小さかった。このことは、腫瘍成長抑制をさらに裏付けている(図11)。
これらの結果は、CSN5がHCC細胞増殖および生存の重要な制御因子であり、p53ユビキチン結合がヒトHCC治療の標的経路であることを証明している。
結論
従って、本実施例は、明らかな毒性が無く、CSN5を標的とするsiRNAの全身送達の効力が、HCCなどの肝臓癌を治療するための臨床で実行可能な治療法であることを証明している。特に、本実施例は、CSN5がHCC細胞増殖および生存の重要な制御因子であり、HCC療法の魅力的な標的であることを例示する。重要なことに、本実施例は、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNAを含有するSNALPが、インビボ送達およびHCCなどの肝臓癌の治療に有効であることを示す。
前記の説明は例示を目的とし、制限を目的としないことが理解されるはずである。前記の説明を読めば、多くの態様が当業者に明らかであろう。従って、本発明の範囲は前記の説明を参照して決定してはならず、代わりに、添付の特許請求の範囲により権利が与えられる均等物の全範囲と共に、このような特許請求の範囲を参照すれば決定できるはずである。特許出願、特許、PCT刊行物、およびGenBankアクセッション番号を含む全ての文献および参考文献の開示は、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
非公式の配列表
Figure 2011516094

Claims (54)

  1. 長さが約15〜約60ヌクレオチドの二本鎖領域を含み、COP9シグナロソームサブユニット5(CSN5)遺伝子発現をサイレンシングすることができる、siRNA分子。
  2. 二本鎖領域内のヌクレオチドの1つまたは複数が修飾ヌクレオチドを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  3. 前記修飾ヌクレオチドが2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチドを含む、請求項2記載のsiRNA分子。
  4. 二本鎖領域内のヌクレオチドの約25%未満が修飾ヌクレオチドを含む、請求項2記載のsiRNA分子。
  5. 対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少ない、請求項2記載のsiRNA分子。
  6. siRNA分子の一方の鎖または両方の鎖に3'オーバーハングを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  7. SEQ ID NO:4の核酸配列を含むアンチセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  8. SEQ ID NO:30の核酸配列を含むアンチセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  9. SEQ ID NO:3の核酸配列を含むセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  10. SEQ ID NO:27の核酸配列を含むセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  11. CSN5-2を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  12. CSN5-3/8を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  13. 表1に示した配列の少なくとも1つを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  14. 表2に示した配列の少なくとも1つを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  15. 担体システムをさらに含む、請求項1記載のsiRNA分子。
  16. 担体システムが核酸-脂質粒子を含む、請求項15記載のsiRNA分子。
  17. 請求項1記載のsiRNA分子および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  18. (a)請求項1記載のsiRNA分子;
    (b)カチオン性脂質;および
    (c)非カチオン性脂質
    を含む、核酸-脂質粒子。
  19. カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  20. カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約20mol%〜約50mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  21. カチオン性脂質が、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、またはそれらの混合物を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  22. カチオン性脂質が、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA)を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  23. 非カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  24. 非カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  25. 非カチオン性脂質がリン脂質を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  26. 非カチオン性脂質が、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  27. リン脂質が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、またはそれらの混合物を含む、請求項26記載の核酸-脂質粒子。
  28. リン脂質が、粒子に存在する総脂質の約4mol%〜約10mol%を構成し、かつコレステロールが、粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約40mol%を構成する、請求項26記載の核酸-脂質粒子。
  29. リン脂質が、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約15mol%を構成し、かつコレステロールが、粒子に存在する総脂質の約45mol%〜約55mol%を構成する、請求項26記載の核酸-脂質粒子。
  30. 非カチオン性脂質がコレステロールまたはその誘導体を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  31. コレステロールまたはその誘導体が、粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、請求項30記載の核酸-脂質粒子。
  32. 粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  33. 粒子の凝集を阻害する複合脂質が、粒子に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を構成する、請求項32記載の核酸-脂質粒子。
  34. 粒子の凝集を阻害する複合脂質が、粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約10mol%を構成する、請求項32記載の核酸-脂質粒子。
  35. 粒子の凝集を阻害する複合脂質が、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質結合体を含む、請求項32記載の核酸-脂質粒子。
  36. PEG-脂質結合体が、PEG-ジアシルグリセロール(PEG-DAG)結合体、PEG-ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)結合体、またはそれらの混合物を含む、請求項35記載の核酸-脂質粒子。
  37. PEG-DAA結合体が、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(PEG-DMA)結合体、PEG-ジステアリルオキシプロピル(PEG-DSA)結合体、またはそれらの混合物を含む、請求項36記載の核酸-脂質粒子。
  38. 核酸-脂質粒子を37℃で30分間、血清中でインキュベーションした後に、前記粒子中のsiRNA分子が実質的に分解されていない、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  39. siRNA分子が完全に核酸-脂質粒子に封入されている、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  40. 核酸-脂質粒子の脂質:siRNA質量比が約5〜約15である、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  41. 核酸-脂質粒子の直径の中央値が約40nm〜約150nmである、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
  42. 請求項18記載の核酸-脂質粒子および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  43. 細胞と、請求項1記載のsiRNA分子または請求項18記載の核酸-脂質粒子とを接触させる工程
    を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAを細胞に導入する方法。
  44. 前記細胞が哺乳動物内にある、請求項43記載の方法。
  45. 前記哺乳動物が癌を有すると診断されている、請求項44記載の方法。
  46. 前記癌が肝臓癌である、請求項45記載の方法。
  47. 請求項1記載のsiRNA分子または請求項18記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程
    を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAをインビボ送達するための方法。
  48. 前記投与が、経口、鼻腔内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、病巣内、気管内、皮下、および皮内からなる群より選択される、請求項47記載の方法。
  49. 前記哺乳動物対象が癌を有すると診断されている、請求項47記載の方法。
  50. 前記癌が肝臓癌である、請求項49記載の方法。
  51. 治療的に有効な量の請求項1記載のsiRNA分子または請求項18記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程
    を含む、癌の治療を必要とする哺乳動物対象において癌を治療するための方法。
  52. 前記投与が、経口、鼻腔内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、病巣内、気管内、皮下、および皮内からなる群より選択される、請求項51記載の方法。
  53. 前記癌が肝臓癌である、請求項51記載の方法。
  54. 前記肝臓癌が肝細胞癌である、請求項53記載の方法。
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