JP2016140251A - がん幹細胞に対する増殖抑制能を有するマイクロrnaをスクリーニングする方法及びマイクロrnaを有効成分とするがん幹細胞の増殖抑制剤 - Google Patents

がん幹細胞に対する増殖抑制能を有するマイクロrnaをスクリーニングする方法及びマイクロrnaを有効成分とするがん幹細胞の増殖抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】がん幹細胞の増殖抑制能を有するマイクロRNAを効率的に選択する方法、並びに特定のマイクロRNAを有効成分とするがん幹細胞の増殖抑制剤、当該剤を含むがんの治療のための医薬の提供。
【解決手段】がん幹細胞及び前記がん幹細胞を含む悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞それぞれからエクソソーム画分及び細胞質画分を調製する工程、前記各画分におけるマイクロRNAの発現レベルを網羅的に測定する工程、前記組織幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方で発現しており、かつ前記がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが組織幹細胞の対応する画分における発現レベルより低いマイクロRNAを特定する工程、及び前記特定されたマイクロRNAの前記がん幹細胞に対する増殖抑制能を試験する工程を含む、がん幹細胞に対する増殖抑制能を有するマイクロRNAをスクリーニングする方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、がんの治療に有効なマイクロRNAを効率的にスクリーニングする方法及びマイクロRNAを有効成分とするがん幹細胞の増殖抑制剤に関する。
様々な疾患に関連して、特異的な塩基配列を有する微小なRNA(マイクロRNA、以下、miRと表す)が注目されている。
miRは、ゲノムDNAから数百〜数千塩基程度の長さの一次転写物(プライマリmiR、pri−miR)として転写された後、核内でDroshaによるプロセッシングを受けて約60〜70塩基程度のヘアピン構造を有するプレカーサーmiR(pre−miR)となり、さらに細胞質内でDicerによるプロセッシングを受けて20〜25塩基程度の二本鎖成熟miRとなる。以下、本明細書では、単にmiRと表したときはこの二本鎖成熟miRを指す。
miRは、多くの場合それぞれpre−miRNAのヘアピンを挟んだ2つのステム部分に由来し、5’末端側に−5p、また3’末端側に−3pという符号が付けられる。
miRは、その一方のRNA鎖が標的遺伝子のmRNAに作用して標的遺伝子にコードされるタンパク質の発現を阻害することで、遺伝子発現及び転写調節に関与すると考えられている。
最近では、血清中にもmiRが安定的に存在していることが明らかになり、各種がんの悪性度、患者の生命予後の予測に加え、HIV感染、HCV感染、関節リウマチ、薬物性肝障害、心筋梗塞や脳梗塞のバイオマーカー又は診断薬としてのmiRの利用に関する研究開発が試みられている。
また、バイオマーカーではなく、例えばがん細胞内部における特定のmiRの発現を抑制することでがん細胞の増殖を抑制する、がん治療剤としての可能性も注目されている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
さらに、神経膠芽腫(Glioblastoma、GBM)のがん幹細胞(Glioblastoma Initiating Cells、GICs)及び正常な神経幹細胞(Neural Stem Cells、NSCs)におけるmiRの網羅的発現解析を行うことで見いだされる、NSCsと比較してGICsにおいて発現が亢進している又は抑制されているmiRを標的としたがんの治療方法が報告されている(特許文献3)。特許文献3は、このようにして選択されたmiRの一つであるmiR−874が、これを過剰発現するように形質転換されたGICsの増殖を抑制する効果を有することも報告している。
しかし、miRはヒトやマウスなどで1000種以上が知られていることに加え、がんの種類毎に関与しているmiRの種類が異なっているなどの報告もあることから、がん幹細胞毎に増殖抑制能を有するmiRを効率的に選択することは容易なことではない。実際、前記特許文献3では、GICs及びNSCsの間で発現レベルが異なるmiRとして64種類のmiRが挙げられているが、GICsに対して増殖抑制効果が確認されたmiRは僅か1つに過ぎない。
特開2008−86201号公報 特表2006−506469号公報 米国特許出願公開第2014/0088170号明細書
本発明の目的は、がん幹細胞の増殖抑制能を有するmiRを効率的に選択する方法、並びにmiRを有効成分とするがん幹細胞の増殖抑制剤、当該剤を含むがんの治療のための医薬を提供することにある。
本発明者らは、がん幹細胞と組織幹細胞との間におけるmiR発現レベルの解析研究において、細胞全体ではなく細胞サブレベルにおける発現パターンの相違に注目することで、効率的にがん幹細胞の増殖抑制能を有するmiRを選択することができることを見出し、下記の各発明を完成させた。
(1)がん幹細胞及び前記がん幹細胞を含む悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞それぞれからエクソソーム画分及び細胞質画分を調製する工程、
前記各画分におけるmiRの発現レベルを網羅的に測定する工程、
前記組織幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方で発現しており、かつ前記がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが組織幹細胞の対応する画分における発現レベルより低いmiRを特定する工程、及び
前記特定されたmiRの前記がん幹細胞に対する増殖抑制能を試験する工程
を含む、がん幹細胞に対する増殖抑制能を有するmiRをスクリーニングする方法。
(2)がん幹細胞及び組織幹細胞が、GICs及びNSCs、乳がん幹細胞及び乳腺組織幹細胞、大腸がん幹細胞及び腸管上皮幹細胞、白血病幹細胞及び造血幹細胞、肝臓がん幹細胞及び肝幹細胞、食道がん幹細胞及び食道上皮幹細胞、胃がん幹細胞及び胃粘膜上皮幹細胞、膵臓がん幹細胞及び膵臓幹細胞、悪性黒色腫及び色素幹細胞、頭頚部扁平上皮がん及び頭頚部扁平上皮幹細胞、又は前立腺がん及び前立腺幹細胞のいずれかの組合せである、(1)に記載のスクリーニング方法。
(3)miRを特定する工程が、がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが前記組織幹細胞の対応する画分における発現レベルの少なくとも1/16以下のmiRを特定する工程である、(1)又は(2)に記載のスクリーニング方法。
(4)hsa−miR−342−5p、hsa−miR−301b−3p及びそれらの機能的等価物よりなる群から選択される少なくとも一種以上の核酸を有効成分とするがん幹細胞増殖抑制剤。
(5)がん幹細胞がGICsである、(4)に記載のがん幹細胞増殖抑制剤。
(6)(4)又は(5)に記載のがん幹細胞増殖抑制剤を含む医薬。
本発明によれば、がん幹細胞と組織幹細胞との間における細胞サブレベルでのmiR発現レベルを比較することで、がん幹細胞の増殖抑制能を有するmiRを効率的に選択することができる。また、本発明として提供されるmiRはGICsの増殖を抑制することができ、GBMの治療に利用することができる。
本発明により提供されるmiRsのGICsに対する増殖抑制能を示すグラフである。
<miR>
本明細書においてmiRは、miRの配列情報等を集めたデータベースであるmiRBase(http://www.mirbase.org/)に定められたID及びアクセション番号によって示される。また、かかるID及びアクセッション番号によって示されるmiRの塩基配列は、各ID及びアクセッション番号の下で前記miRBaseに記録されているとおりである。
<がん幹細胞>
本発明において、がん幹細胞(Cancer stem cells)は、Cancer Initiating cellsとも呼ばれることのある、悪性腫瘍組織中に存在して自らと同じ細胞を作り出す自己複製能及び悪性腫瘍を構成する各種がん細胞に分化する多分化能を有する細胞を意味する。
がん幹細胞は、悪性腫瘍組織中で自己複製によって自分と同じ細胞を作り出しながら分化によって周辺の多種類のがん細胞を生み出す元になっていると考えられている他、悪性腫瘍組織の薬剤耐性、がんの再発、さらにはがんの転移にも関与していると言われている。
なお学術的には、がん幹細胞の起源として組織幹細胞に遺伝子変異が蓄積することでがん幹細胞化するモデルと、幹細胞から変異を継承した前駆細胞に不死化させるような変異が生じることでがん幹細胞化するモデルとが提唱されている。本発明においては、前記自己複製能及び多分化能を有し、がん細胞の供給源として働き、腫瘍の進展に関与しているがん幹細胞である限り、いずれの起源によるものであってもよい。
がん幹細胞仮説によれば、悪性腫瘍毎にがん幹細胞が存在すると考えられており、幾つかのがん幹細胞が単離されている。そのようながん幹細胞の例としては、GICs、乳がん幹細胞、大腸がん幹細胞、白血病幹細胞、肝臓がん幹細胞、食道がん幹細胞、胃がん幹細胞、膵臓がん幹細胞、悪性黒色腫、頭頚部扁平上皮がん幹細胞、前立腺がん幹細胞などを挙げることができる。
<組織幹細胞>
本発明において、組織幹細胞(Tissue stem cells)は、成体幹細胞(Adult stem cells)又は体性幹細胞(somatic stem cells)とも呼ばれることのある、生体組織に存在して自らと同じ細胞を作り出す自己複製能及び正常な組織を構成する各種細胞に分化する多分化能を有する細胞を意味する。組織幹細胞は各種組織毎に存在し、組織中で死滅した細胞を補充し、損傷した組織を再生させる機能を有すると考えられている。
組織幹細胞はこれまでに多数の組織において存在が確認され、その幾つかは単離されている。そのような組織幹細胞の例としては、NSCs、乳腺組織幹細胞、腸管上皮幹細胞、造血幹細胞、肝幹細胞、食道上皮幹細胞、胃粘膜上皮幹細胞、膵臓幹細胞、色素幹細胞、頭頚部扁平上皮幹細胞、前立腺幹細胞、間葉系幹細胞、嗅粘膜幹細胞、精巣細胞、毛包幹細胞などを挙げることができる。
<スクリーニング方法>
本発明は、がん幹細胞及び前記がん幹細胞を含む悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞それぞれからエクソソーム画分及び細胞質画分を調製する工程、前記各画分におけるmiRの発現レベルを網羅的に測定する工程、前記組織幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方で発現しており、かつ前記がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが組織幹細胞の対応する画分における発現レベルより低いmiRを特定する工程、及び前記特定されたmiRの前記がん幹細胞に対する増殖抑制能を試験する工程を含む、がん幹細胞に対する増殖抑制能を有するmiRをスクリーニングする方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法において、がん幹細胞及び前記がん幹細胞を含む悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞が組み合わされて使用される。かかる組合せは任意の悪性腫瘍及びその悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞であればよい。好ましい組合せとしては、GICs及びNSCs、乳がん幹細胞及び乳腺組織幹細胞、大腸がん幹細胞及び腸管上皮幹細胞、白血病幹細胞及び造血幹細胞、肝臓がん幹細胞及び肝幹細胞、食道がん幹細胞及び食道上皮幹細胞、胃がん幹細胞及び胃粘膜上皮幹細胞、膵臓がん幹細胞及び膵臓幹細胞、悪性黒色腫及び色素幹細胞、頭頚部扁平上皮がん及び頭頚部扁平上皮幹細胞、又は前立腺がん及び前立腺幹細胞などを挙げることができる。
本発明のスクリーニング法は、がん幹細胞及び前記がん幹細胞を含む悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞それぞれからエクソソーム画分及び細胞質画分を調製する工程を含む。エクソソーム画分及び細胞質画分は、細胞培養された前記がん幹細胞及び組織幹細胞それぞれから調製されるものを使用することが好ましい。
がん幹細胞及び組織幹細胞の培養は、それぞれの自己複製能及び多分化能を維持することのできる培養条件(例えば培地の選択及び各種増殖因子の添加を含む)の下で行えばよい。使用可能な培地の例としては、NSC培地(DMEM/F12にN2、B27等のサプリメント及び増殖因子を加えた培地)を挙げることができ、また前記増殖因子の例としてはbFGFとEGFを挙げることができる。
エクソソームは、細胞から分泌放出される直径約30〜100nm程度の脂質二重層からなる膜小胞である。エクソソームは生体中の細胞だけでなく、培養細胞からも分泌されることが知られている。近年になって、エクソソームには様々なタンパク質並びにmRNA及びmiRなどのRNAが封入されていること、及びこれら封入物によって細胞間の情報を伝達する役割を担っていること、特にがんに関しては転移に深く関与している可能性があることなどが指摘されている。
自己複製能及び多分化能を維持することのできる培養条件の下で培養したがん幹細胞及び組織幹細胞からのエクソソームの調製は、市販の調製用キット、例えばPureExo(登録商標)エクソソーム単離キット(コスモ・バイオ社製)又はExoQuick(商標)(System Biosciences社)をそれぞれの製造者プロトコルに従って用いることで、行うことができる。
細胞質(cytoplasm)は、細胞膜の内側と核膜の外側との間に存在する半流動性の物質を意味する。がん幹細胞及び組織幹細胞からの細胞質画分の調製は、当業者に知られた培養細胞から細胞質画分を回収する一般的な方法又は市販の細胞質画分の調製用キットを用いることで行うことができる。
本発明のスクリーニング法は、前記各画分におけるmiRの発現レベルを網羅的に測定する工程を含む。miRの発現レベルの網羅的測定は、RT−PCRその他の方法で行ってもよいが、miRと相補的に結合し得る核酸が固定化されたいわゆるDNAマイクロアレイチップを用いたマイクロアレイ法で行うことが好ましい。利用可能なDNAマイクロアレイチップの例としては、アジレント社製のmiRを搭載した各種オリゴDNAマイクロアレイチップを挙げることができる。本発明において、このような市販のmiR解析用マイクロチップを使用し、製造者マニュアルに従ってマイクロアレイ解析を行えばよい。
本発明のスクリーニング方法は、前記組織幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方で発現しており、かつ前記がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが組織幹細胞の対応する画分における発現レベルより低いmiRを特定する工程を含む。
この工程で特定されるmiRは、組織幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方において、採用された測定方法によって明確に発現が認められるが、対応するがん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方において前記測定方法では発現が検出されないか、実質的に発現しているとは認められないか、又はがん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが、組織幹細胞の対応する画分における発現レベルより有意に低いmiRである。ここにおいてmiRの発現レベルはエクソソーム画分同士及び細胞質画分同士で比較すればよく、一方のエクソソーム画分と他方の細胞質画分との間の比較は必要とされない。
miRの発現レベルの比較は定量的PCRの定量結果を用いて行うこともできるが、DNAマイクロアレイ法によって検出されるシグナル強度からグローバルノーマライゼーションなどの処理をして得られる発現量を用いて行うことが好ましい。発現量が高いmiRを選択する際の基準としては、がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが、組織幹細胞の対応する各画分における発現レベルより少なくともLog2比較で−4以下、好ましくは−6以下、より好ましくは−7以下(整数比較で1/16以下、好ましくは1/64以下、より好ましくは1/128以下)であることを挙げることができる。
本発明のスクリーニング方法はさらに、前記工程によって特定されたmiRのがん幹細胞に対する増殖抑制能を試験する工程を含む。かかる試験は、前記工程によって特定されたmiRをそのままがん幹細胞に導入すること又はかかるmiRをがん幹細胞内で産生することができる核酸によってがん幹細胞を形質転換すること、並びに導入されたmiR又は細胞内で転写誘導されたmiRによってがん幹細胞の増殖が抑制されるか否かを判定することによって行うことができる。
がん幹細胞へのmiR又は核酸の導入は、リポフェクタミンなどの核酸導入試薬、培養細胞を形質転換する種々の方法又は市販の形質転換用キットを用いて行うことができる。
がん幹細胞に対する増殖抑制能は、がん幹細胞としての特徴を保持しながら増殖できる培養条件が維持される限り、培養細胞の増殖能を試験する通常の方法又は培養細胞の細胞死を検出する通常の方法により確認することができる。
なお、試験工程において、がん幹細胞に対する増殖抑制能に代えて、miRのがん幹細胞に対する分化抑制能又は分化促進能を試験することにより、がん幹細胞の分化能を調節することのできるmiRをスクリーニングすることも可能である。がん幹細胞の分化能を調節する機能は、がん幹細胞のマーカー分子の発現若しくは消失又は各種がん細胞のマーカー分子の発現を通じて確認することができる。一般に、がん幹細胞は薬剤耐性を示すが分化したがん細胞は薬剤感受性へと性質が変化するともいわれている。したがって、がん幹細胞に対する分化促進能を有するmiRは、他の抗がん剤との併用において有用であり得る。
がん幹細胞自身のマーカー分子としては各種組織幹細胞マーカー(Nestin、Sox2、CD133、CD15等)や薬剤耐性遺伝子(ABCG2、ALDH1、CD44等)などを挙げることができる。また各種がん細胞に分化したことを確認することのできるマーカー分子としては、Neurofilament,MBPなどを挙げることができる。
<がん幹細胞増殖抑制剤>
本発明は、hsa−miR−342−5p、hsa−miR−301b−3p(以下、これらを纏めてmiRsと表す)及びそれらの機能的等価物よりなる群から選択される少なくとも一種以上の核酸を有効成分とするがん幹細胞、特にGICsに対する増殖抑制剤を提供する。上記のmiRsはいずれも、GICsとNSCsとの組合せに対して本発明のスクリーニング法を実施して特定されたものである。
<機能的等価物>
本発明は、miRsの機能的等価物を有効成分とするがん幹細胞、特にGICsに対する増殖抑制剤を含む。ここで機能的等価物とは、下記のいずれかの核酸を意味する。
a)miRsの各塩基配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を示す塩基配列からなり、かつGICsに対する増殖抑制能を有するRNA
b)生体内においてmiRs又はa)のRNAを産生することができる核酸
c)miRs、a)又はb)のRNAの塩基配列において一部の塩基がデオキシリボヌクレオチドに置き換えられたキメラ核酸であって、かつGICsに対する増殖抑制能を有する核酸
d)miRs又はa)〜c)のRNA若しくは核酸とこれに相補するDNA鎖又はRNA鎖とのハイブリッド核酸であって、かつGICsに対する増殖抑制能を有する核酸
e)miRs又はa)〜d)のRNA若しくは核酸の塩基配列の一部が修飾された又は非天然塩基によって置換された塩基配列からなり、かつGICsに対する増殖抑制能を有する核酸。
a)のRNAは、miRsのいずれかの塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失又は置換されており、あるいは1若しくは数個の塩基が挿入されており、miRsの塩基配列に対して少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の同一性を示す塩基配列からなり、かつGICsに対する増殖抑制能を有するRNAである。
「同一性」とは、当該技術分野において公知のアルゴリズムを用いて算出される最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全ヌクレオチド残基に対する、同一ヌクレオチド残基の割合(%)を意味する。
同一性は例えば、NCBI BLAST−2(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(ギャップオープン=5ペナルティ;ギャップエクステンション=2ペナルティ;x_ドロップオフ=50;期待値=10;フィルタリング=ON)にて2つのヌクレオチド配列をアラインすることにより、計算することができる。
b)の生体内においてmiRs又はa)のRNAを産生することができる核酸の一つの例は、miRs又はa)のRNAに対するpri−miR若しくはpre−miRに相当するRNAである。かかるRNAは細胞内に導入されることで、Drosha及び/又はDicerによってプロセッシングされ、最終的にmiRs又はa)のRNAを産生することができる。なお、2以上のmiRs又はa)のRNAが連結された塩基配列からなり、プロセッシングによって2以上のmiRs又はa)のRNAが同時に産生されるRNAも含まれる。
b)の生体内においてmiRs又はa)のRNAを産生することができる核酸の他の例は、miRs、a)のRNA又はそれらのpri−miR若しくはpre−miRに相当するRNAを転写誘導することができるDNAである。
b)のDNAは、制御可能な適当な発現プロモーター配列、特にがん幹細胞の中で高い発現誘導能を有するプロモーター配列の支配下に置かれることが好ましい。かかるDNAががん幹細胞内に導入されることで、miRs、a)のRNA又はそれらのpri−miR若しくはpre−miRに相当するRNAが転写発現され、さらにこれらがプロセッシングされることで、最終的にmiRs又は上記a)のRNAが産生される。なお2以上のmiRs又はa)のRNAが連結された塩基配列からなるRNAを転写誘導することができ、プロセッシングによって2以上のmiRs又はa)のRNAを同時に産生することができるDNAも含まれる。
b)のDNAは、前記プロモーター配列を含む発現ベクターの形態であることが好ましい。発現ベクターは、プロモーター配列の他に、転写発現を調節する任意の機能性塩基配列、例えばオペレーター配列、エンハンサーなどをさらに含んでいてもよい。これらの機能性塩基配列は、上記DNAと機能的に連結され得る。
発現ベクターの構築方法としては、当業者に公知又は周知の手法、例えばSambrookらによる「Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd.edition」(1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)その他の、当分野の教科書又はハンドブックに記載され、当業者に広く利用されている手法を挙げることができる。また市販のキットや試薬を使用するときは、当該キットや試薬の製造者が定めたプロトコル及び/又はパラメータに従うことが好ましい。
c)のキメラ核酸は、miRs、a)又はb)のRNAの一部の塩基が対応するデオキシリボヌクレオチドに置き換えられた核酸であって、かつGICsに対する増殖抑制能を有する核酸である。
d)のハイブリッド核酸は、RNA鎖及びDNA鎖からなる二本鎖又は三本鎖の核酸であって、少なくとも一の鎖の塩基配列がmiRs又はa)〜c)のRNAに相当する塩基配列からなる核酸をいう。
e)のmiRs又はa)〜d)のRNA若しくは核酸の塩基配列の一部が修飾された又は非天然塩基によって置換された塩基配列からなり、かつGICsに対する増殖抑制能を有する核酸の例としては、miRs又はa〜d)のRNAの塩基配列の一部がヌクレアーゼによる分解に対する安定性を向上させることのできる修飾を受けたRNA、又はmiRs又はa)〜d)のRNAの塩基配列の一部がヌクレアーゼによる分解に耐性を示す非天然塩基に置換されたRNAを挙げることができる。
ヌクレアーゼによる分解に対する安定性を向上させるための修飾としては、2’O−メチル化、2’−F化、4’−チオ化などを挙げることができる。また、リン酸部分やヒドロキシル部分がビオチン、アミノ基、低級アルキルアミン基、アセチル基等によって修飾されたものであってもよい。
ヌクレアーゼによる分解に耐性を示す非天然塩基としては、例えば5‐(2‐アミノ)プロピルウリジン又は5‐ブロモウリジンなどの5位修飾ウリジン又はシチジン、例えば8‐ブロモグアノシンなどの8位修飾アデノシン又はグアノシン、例えば7−デアザ−アデノシンなどのデアザヌクレオチド、例えばN6−メチルアデノシンなどのO−又はN−アルキル化ヌクレオチドを挙げることができるが、これらには限定されない。
修飾される又は置換される塩基の種類又は個数は、GICsに対する増殖抑制能を失わない限り、特に制限は無い。
本発明のがん幹細胞増殖抑制剤の有効成分となるmiRs又はそれらの機能的等価物である核酸は、がん幹細胞に対する増殖抑制能を妨げない限りにおいて、5’または3’末端に付加的な塩基を有していてもよい。このような付加的塩基の配列としては、例えばug−3’、uu−3’、tg−3’、tt−3’、ggg−3’、guuu−3’、gttt−3’、ttttt−3’、uuuuu−3’などの配列が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のがん幹細胞増殖抑制剤の有効成分となるmiRs又はそれらの機能的等価物である核酸は、遺伝子組み換え技術又は化学合成技術を利用して人工的に合成することができる。遺伝子組み換え方法、核酸の化学合成方法、また非天然型の塩基の合成手法又はこれを含む核酸の合成手法としては、当業者に知られ又は周知である方法を採用することができる。またいわゆるDNAシンセサイザーなどの機器を用いることで、核酸を合成してもよい。
本発明のがん幹細胞増殖抑制剤の有効成分となるmiRs又はそれらの機能的等価物はそのまま生体に投与されてもよいが、腫瘍組織に対して選択的に投与される方法、特に腫瘍組織中の細胞内に導入することができる方法により投与されることが好ましい。かかる目的において、本発明のがん幹細胞増殖抑制剤は、核酸導入用試薬と組み合わせて使用されることが好ましい。該核酸導入用試薬の例としては、アテロコラーゲン、リポソーム、ナノパーティクル、リポフェクチン、リポフェクタミン、DOGS(トランスフェクタム)、DOPE、DOTAP、DDAB、DHDEAB、HDEAB、ポリブレン、あるいはポリ(エチレンイミン)(PEI)等の陽イオン性脂質等を挙げることができる。また、適当なウイルスベクターを用いて腫瘍組織中の細胞内に導入してもよい。
本発明のがん幹細胞増殖抑制剤は、薬学的に許容される賦形剤、担体その他の成分と共に医薬、特に医薬組成物を形成し又は製剤化して使用することができる。特に、核酸製剤の調製に好適な賦形剤等の利用が好ましい。かかる医薬も、本発明の一態様である。
薬学的に許容される成分は当業者において周知であり、当業者が通常の実施能力の範囲内で、例えば第十六改正日本薬局方その他の規格書に記載された成分から製剤の形態に応じて適宜選択して使用することができる。また、RNA干渉誘導性核酸などを含む製剤で利用されている各種の成分を利用することが好ましい。治療対象となる疾患に応じて、本発明のがん幹細胞増殖抑制剤とその他の医薬とを併用して使用してもよい。
本発明のがん幹細胞増殖抑制剤を含む医薬は、通常、注射剤、点滴剤などの非経口製剤の形態で用いられる。非経口製剤に用いることができる担体としては、例えば、生理食塩水や、ブドウ糖、D−ソルビトールなどを含む等張液といった、製剤において通常用いられる水性担体が挙げられる。本発明のがん幹細胞増殖抑制剤を含む医薬はさらに、薬学的に許容される緩衝剤、安定剤、保存剤その他の成分を含んでもよい。
また、本発明のがん幹細胞増殖抑制剤を含む医薬は、高分子ミセル、リポソーム、エマルジョン、マイクロスフェア及びナノスフェアなどの適切なDDSに封入及び/又は固定することもできる。
本発明のがん幹細胞増殖抑制剤又はこれを含む医薬の投与方法は特に制限されないが、非経口製剤である場合は、例えば血管内投与(好ましくは静脈内投与)、腹腔内投与、腸管内投与、腫瘍内又はその近傍への局所投与などを挙げることができる。好ましい態様の一つにおいて、本発明のがん幹細胞増殖抑制剤又はこれを含む医薬は、静脈内投与又は腫瘍内若しくはその近傍への局所投与により対象に投与される。
ウイルスベクターを利用して哺乳動物の体内で本発明のがん幹細胞増殖抑制剤の発現を誘導する場合、その用量範囲は、例えば、ヒト対象1人あたり、1×10〜1×1014、好ましくは1×10〜1×1012、より好ましくは1×10〜1×1011、最も好ましくは1×10〜1×1010のプラーク形成単位(p.f.u.)であることができる。
本発明はまた、哺乳動物の悪性腫瘍を治療する、予防する、転移を抑制する及び/又は再発を防止する方法を提供し、具体的には、哺乳動物に有効量の本発明のがん幹細胞増殖抑制剤又はこれを含む医薬を投与して哺乳動物における悪性腫瘍を治療する、予防する、転移を抑制する及び/又は再発を防止する方法を含む。
本明細書中で用いられる「哺乳動物」の例としてはヒト、ウシ、ウマ、イヌ及びネコ等を挙げることができるが、本発明の方法は特にヒトを対象とする。
本明細書中で用いられる「有効量」とは、哺乳動物における悪性腫瘍の増殖又は症状の悪化を抑制する、悪性腫瘍を縮退させる、癌の転移を抑制する及び/又は再発を防止するのに効果的ながん幹細胞増殖抑制剤の量を意味する。かかる有効量は疾患の種類、症状の重症度、患者その他の医学的要因によって適宜調節される。
以下、非限定的な実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例において、市販のキットを用いた操作はキット製造者のプロトコルに従って行った。なお本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、細胞株、動物種及び属、コンストラクト並びに試薬に限定されるものではなく、これらは適宜変更することができるものであることは当業者に容易に理解されるものである。
<実施例1>スクリーニング方法
1)GICs及びNSCsの培養
ヒトGBM組織からPapain Dissociation System(Worthington社)にて調製したヒトGICs及びInvitrogen社から購入したH9 hESC由来ヒトNSCsを、10nMのbFGF、10nMのヒトEGF、5μMのヘパリン、N2supplement(Wako社)、10μg/mLのインスリン、GlutaMAXsupplement(Life Technologies社)、100units/mLのペニシリンG及び100μg/mLのストレプトマイシンを含む塩基性無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/Ham’sF−12(Wako社)(NSC培地)で、37℃でそれぞれ10日間以上培養した。
2)エクソソーム画分及び細胞質画分の調製
ExoMirキット(BIOO Scientific社)を用いて、1)で培養したGICs及びNSCsの培養液からエクソソーム画分を調製し、TRIzol(Invitrogen社)を用いてエクソソーム画分の全RNAを抽出した。また、Total RNA preparationキット(QIAGEN社)を用いて、細胞質画分の全RNAを抽出した。
3)エクソソソーム画分のマイクロアレイ解析
2)で得たGICs及びNSCsのエクソソーム画分の全RNA100ngをmicroRNA Microarray kitを用いてラベルして、Human miRNA Microarray Release 16.0(アジレントテクノロジー社)に対してハイブリダイズさせた。さらに、ハイブリダイゼーションシグナルをDNA microarray scanner(Agilent Technologies)を用いて検出し、スキャンイメージをAgilent feature extraction softwareによって分析した。
4)細胞質画分のマイクロアレイ解析
2)で得たGICs及びNSCsの細胞質画分の全RNAを増幅し、one−color Agilent Low Input Quick Amp Labeling Kit (Agilent Technologies)を用いてCyanine3(Cy3)で標識化した。標識された増幅RNAをフラグメント化し、Agilent Human GE 8x60K Microarrayにハイブリダイズさせた。洗浄後、マイクロアレイをAgilent DNA microarray scannerを用いてスキャンした。スキャンした各特徴の強度を、Agilent feature extraction softwareを用い、バックグラウンドを差し引くことで定量化した。
5)発現レベルの比較
Agilent GeneSpring GX version 11.0.2を用いて、3)及び4)のマイクロアレイで得た各強度に対してノーマライゼーションを行い、ユークリッド距離及び平均結合方法(Agilent GeneSpring GX)を用いて、発現遺伝子の階層的なサンプルのクラスタリングを行った。
その結果、NSCsのエクソソーム画分及び細胞質画分の両方でシグナルが観察され、かつGICsのエクソソーム画分及び細胞質画分におけるシグナル強度がNSCsのエクソソーム画分及び細胞質画分におけるシグナル強度と比較して1/16倍以下である(Log2で−4以下)miRとして、hsa−miR−153−3p、hsa−miR−301b−3p、hsa−miR−340−5p、hsa−miR−342−5p、hsa−miR−324−5p、hsa−miR−18a、hsa−miR−18bの7種類のmiRが特定された。
6)神経膠芽腫幹細胞に対する増殖抑制効果の確認
pBApoCMV−Neoを基にしたタカラマウスmiR発現ライブラリー(タカラ)から、5)で特定した7種類のmiRに関する発現ベクターを作製した。コントロールmiR発現ベクターはタカラから購入した。
前記発現ベクターを、Nucleofector device(Lonza)又はLipofectAmine3000 (Life Technologies)を用いてGICsに導入し、600μg/mlのネオマイシンを含むNSC培地で14日間培養して、コントロールベクターを含む8種類の形質転換されたGICsを得た。
各発現ベクターで形質転換されたGICsを、ポリDリシン(PDL、15μg/mL、シグマ社)及びフィブロネクチン(1μg/mL)でコートされた8ウェルチャンバースライド(Nunc社)上で、20μMのBrdUを含む培地で3時間インキュベートし、Takanagaらの方法(Stem Cells、2009年、第27巻、第165−174ページ)に従って、抗BrdU抗体を用いて免疫染色し、BrdUの細胞内取込量を測定した。その一部の結果を図1に示す。図1の縦軸は、コントロールベクターで形質転換したGICsのBrdU取込量を1としたときの各形質転換GICのBrdU取込量を表す。
図1に示されるように、hsa−miR−153−3p、hsa−miR−301b−3p、hsa−miR−340−5p及びhsa−miR−342−5pの4種類のmiRで形質転換されたGICsにおいて、コントロールと比較してBrdUの細胞内取込量が低下しており、細胞増殖が抑制されていることが確認された。すなわち、hsa−miR−153−3p、hsa−miR−301b−3p、hsa−miR−340−5p及びhsa−miR−342−5pは、GICsに対する増殖抑制剤として有効であることが確かめられた。
本発明のスクリーニング方法は、がん幹細胞に対する増殖抑制効果を有するmiRの効率的な選択を可能とし、がん幹細胞増殖抑制剤としてのmiRを提供することができる。また本発明が提供するmiRs又はそれらの機能的等価物は、がん幹細胞、特にGICsに対する増殖抑制効果を有し、GICsに対する治療、予防、転移抑制又は再発防止のための医薬として利用可能である。

Claims (6)

  1. がん幹細胞及び前記がん幹細胞を含む悪性腫瘍が発生する組織における組織幹細胞それぞれからエクソソーム画分及び細胞質画分を調製する工程、
    前記各画分におけるマイクロRNAの発現レベルを網羅的に測定する工程、
    前記組織幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分の両方で発現しており、かつ前記がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが組織幹細胞の対応する画分における発現レベルより低いマイクロRNAを特定する工程、及び
    前記特定されたマイクロRNAの前記がん幹細胞に対する増殖抑制能を試験する工程
    を含む、がん幹細胞に対する増殖抑制能を有するマイクロRNAをスクリーニングする方法。
  2. がん幹細胞及び組織幹細胞が、神経膠芽腫幹細胞及び神経幹細胞、乳がん幹細胞及び乳腺組織幹細胞、大腸がん幹細胞及び腸管上皮幹細胞、白血病幹細胞及び造血幹細胞、肝臓がん幹細胞及び肝幹細胞、食道がん幹細胞及び食道上皮幹細胞、胃がん幹細胞及び胃粘膜上皮幹細胞、膵臓がん幹細胞及び膵臓幹細胞、悪性黒色腫及び色素幹細胞、頭頚部扁平上皮がん及び頭頚部扁平上皮幹細胞、又は前立腺がん及び前立腺幹細胞のいずれかの組合せである、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. マイクロRNAを特定する工程が、がん幹細胞のエクソソーム画分及び細胞質画分における発現レベルが前記組織幹細胞の対応する画分における発現レベルの少なくとも1/16以下のマイクロRNAを特定する工程である、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
  4. hsa−miR−342−5p、hsa−miR−301b−3p及びそれらの機能的等価物よりなる群から選択される少なくとも一種以上の核酸を有効成分とするがん幹細胞増殖抑制剤。
  5. がん幹細胞が神経膠芽腫幹細胞である、請求項4に記載のがん幹細胞増殖抑制剤。
  6. 請求項4又は5に記載のがん幹細胞増殖抑制剤を含む医薬。

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