JP2023011959A - 医薬組成物 - Google Patents

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泰行 玄
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Tomoteru Muramatsu
祐希 ▲高▼川
Yuki Takagawa
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Abstract

【課題】ブロモドメインタンパク質(BRD4)遺伝子の発現を抑制し、腫瘍の処置に用いることができる医薬組成物を提供する。【解決手段】医薬組成物は、miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pからなる群から選択されるマイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物と同一の塩基配列、又はその塩基配列において1から5塩基が置換、欠損又は付加された塩基配列を有するポリヌクレオチドを含み、腫瘍の処置に用いられる。【選択図】図2-1

Description

本発明は、医薬組成物に関する。
日本人の死因の第一位はがんであり、国立がんセンターの統計(2012年)によると生涯においてがんに罹患する確率は日本人男性63%、女性47%と高い。また厚生労働省の統計(2015年)によると、日本人の死亡原因に占めるがんの割合は、男性32%、女性24%、全人口の約3分の1ががんで亡くなっている。がんによる死亡は増加し続け、2030年には世界で年間1140万人ががんで死亡すると予測されている。
2003年に終了したヒトゲノム計画により、遺伝子レベル、タンパク質分子レベルでがんを理解し、それを診断及び治療に応用しようとする動きは加速し、その結果、がんの診断及び治療の進歩は目覚ましい。特に、治療面では、従来の抗がん剤とは異なる機序として、がん細胞において活性化している遺伝子やタンパク質を標的としたいわゆる分子標的治療薬の進歩、開発も進んでいる。診断時にがんで活性化している分子を同定することでこのような分子標的治療薬が臨床応用されている。
上記に関連して、例えば、特許文献1にはブロモドメインタンパク質(BRD4)とがんとの関係に着目し、特定のマイクロRNAを含み、腫瘍の処置に用いられる医薬組成物が提案されている。
国際公開第2019/107487号
本発明は、ブロモドメインタンパク質(BRD4)遺伝子の発現を抑制し、腫瘍の処置に用いることができる医薬組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りであり、本発明は以下の態様を包含する。第一態様は、miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pからなる群から選択されるマイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物と同一の塩基配列、又はその塩基配列において1から5塩基が置換、欠損又は付加された塩基配列を有するポリヌクレオチドを含み、腫瘍の処置に用いられる医薬組成物である。第二態様は、前記医薬組成物を対象に投与することを含む腫瘍の処置方法である。
本発明によれば、BRD4遺伝子の発現を抑制し、腫瘍の処置に用いることができる医薬組成物を提供することができる。
大腸がん細胞株を用いた抗腫瘍性マイクロRNAの1次スクリーニング結果を示す図である。 がん細胞株におけるBRD4の発現抑制を示すウエスタンブロットの結果を示す図である。 BRD4遺伝子の3'UTR領域を組み込んだコンストラクトを用いたルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図である。 大腸がん細胞株に対してsiRNAを用いて、BRD4遺伝子をノックダウンした場合の細胞増殖に対する影響を示す図である。 がん細胞株に対して、miR-876-3pあるいはmiR-1293を導入した場合における細胞増殖曲線を示した図である。 大腸がん細胞株に対して、miR-876-3pあるいはmiR-1293を導入した場合における細胞の状態を示した図である。 がん細胞株に対して、miR-876-3pあるいはmiR-1293を導入した場合におけるアポトーシスの割合を示す図である。 がん細胞株に対して、miR-876-3pあるいはmiR-1293を導入した場合におけるアポトーシスマーカーの発現状態を示すウエスタンブロットである。 miR-876-3pをがん細胞株に導入した後に行った発現アレイ解析において発現が1.5倍以上低下した遺伝子数を示すベン図である。 miR-876-3pを導入した口腔がん細胞株における、RSK1遺伝子、p-p70S6K及びpS6の発現状態を示すウエスタンブロットの結果を示す図である。 RSK1遺伝子の3'UTR領域を組み込んだコンストラクトを用いたmiR-876-3pのルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図である。 口腔がん細胞株に対してsiRNAを用いて、RSK1遺伝子及びBRD4遺伝子をノックダウンした場合の細胞増殖に対する影響を示す図である。 miR-876-3pによる腫瘍増殖抑制の推定機序を示す概念図である。 miR-1293をがん細胞株に導入した後に行った発現アレイ解析において発現が1.5倍以上低下した遺伝子数を示すベン図である。 miR-1293を導入したがん細胞株における、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子、POLD4遺伝子の発現状態を示すウエスタンブロットの結果を示す図である。 APEX1遺伝子、RPA1遺伝子又はPOLD4遺伝子の3'UTR領域を組み込んだコンストラクトを用いたmiR-1293のルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す図である。 大腸癌がん細胞株に対してsiRNAを用いて、APEX1遺伝子、PRA1遺伝子、POLD4遺伝子をノックダウンした場合の細胞増殖に対する影響を示す図である。 miR-1293を導入したがん細胞株に対してNCSを加えた後のDNA修復に対する影響を示す免疫蛍光染色の図である。 miR-1293を導入したがん細胞株に対してNCSを加えた後のDNA修復に対する影響を示す図である。 miR-1293又はBRD4に対するsiRNAを導入した大腸がん細胞株における相同組み換え修復を評価した結果を示す図である。 miR-1293による腫瘍増殖抑制の推定機序を示す概念図である。 マウスを用いたin vivo試験におけるmiR-876-3pあるいはmiR-1293の投与スケジュールを示した図である。 大腸がん細胞株の皮下注射から19日後のマウスの皮下腫瘍の外観及び摘出された腫瘍を示した図である。 上記in vivo試験における、摘出された腫瘍の体積の測定結果を示す図である。 上記in vivo試験における、摘出された腫瘍の重量の測定結果を示す図である。 上記in vivo試験において摘出された腫瘍における、miR-876-3p及びmiR-1293の発現解析の結果を示す図である。 上記in vivo試験において摘出された腫瘍におけるBRD4遺伝子の発現状態を免疫染色により示した図である。 上記in vivo試験において摘出された腫瘍におけるRSK1遺伝子の発現状態を免疫染色により示した図である。 上記in vivo試験において摘出された腫瘍におけるAPEX1遺伝子、RPA1遺伝子、POLD4遺伝子の発現状態を免疫染色により示した図である。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、マイクロRNA(miRNA)には、リボヌクレオチドからなるポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)に加えて、リボヌクレオチドと修飾ヌクレオチドとからなるポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)が含まれる。更にマイクロRNAは1本鎖であっても、2本鎖であってもよい。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、医薬組成物を例示するものであって、本発明は、以下に示す医薬組成物に限定されない。
医薬組成物
医薬組成物は、miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pからなる群から選択されるマイクロRNA(以下、併せて特定マイクロRNAともいう)をコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物と同一の塩基配列を有するポリヌクレオチド、又はその塩基配列において1から5塩基が置換、欠損又は付加された塩基配列を有するポリヌクレオチド(以下、併せて特定マイクロRNAに由来するポリヌクレオチドともいう)を含み、腫瘍の処置に用いられる。医薬組成物はBRD4遺伝子の発現抑制剤であってよい。
特定マイクロRNAに由来するポリヌクレオチドは、BRD4遺伝子の発現を抑制することができる。これにより、腫瘍細胞における過剰な転写活性を抑制し、抗腫瘍性を示すことができる。BRD4は、アセチル化修飾されたリジンに結合するブロモドメインを2つ有し、C末端側にはp-TEFb(positive transcription elongation factor b)と結合する領域を有しているタンパク質である。ヒストンのアセチル化修飾は転写活性と正の相関を認め、p-TEFbは転写を行うRNAポリメラーゼIIを抑制するタンパク質を不活性化することで転写を活性化する。BRD4はアセチル化修飾されたヒストンのリジンに結合することで、そこにp-TEFbを動員し、転写を促進する働きがあるとされている。血液腫瘍がん、膵がん、乳がんを含む多くのがん種において、BRD4遺伝子の発現の異常な活性化が腫瘍細胞の増殖に寄与すると考えられている。したがって、BRD4遺伝子の発現を抑制することが、がん治療において有効である可能性がある。
マイクロRNAは標的転写産物(mRNA)のコーディング(CDS)領域あるいは3'非翻訳領域(3'UTR)への結合を通じて、その翻訳あるいは安定化を妨害することにより遺伝子発現を抑制する、内因性の小分子のノンコーディングRNAである。1つのmRNAは複数のマイクロRNAによって標的にされる一方、1つのマイクロRNAは複数のmRNAを標的にすることができる。複数の発がん経路に寄与する複数の遺伝子を標的にすることができるマイクロRNAの投与は、がん治療において効果的であると考えられる。
miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pは、BRD4遺伝子の発現を抑制してBRD4遺伝子の発現が認められる腫瘍細胞に対する優れた増殖抑制効果を有する。さらに少なくともmiR-876-3pは、RSK1遺伝子の発現を抑制し、RSK1遺伝子を発現が認められる腫瘍細胞に対して優れた増殖抑制効果を有する。また少なくともmiR-1293は、APEX1、RPA1及びPOLD4からなる群から選択される少なくとも1種の発現が認められる腫瘍細胞に対して優れた増殖抑制効果を有する。特定マイクロRNAが、BRD4遺伝子のみならず、他の腫瘍関連遺伝子の発現を抑制することで腫瘍細胞に対してより優れた抑制効果を示すことができる。
医薬組成物が含むポリヌクレオチドは、miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pからなる群から選択されるマイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物と同一の塩基配列を有していてよい。マイクロRNAをコードする遺伝子の一次転写産物は初期転写産物(pri-miRNA)と呼ばれ、一般にステムループのヘアピン構造を有する。pri-miRNAはRNaseIII様のDroshaと呼ばれる酵素によってステムループ構造をもつ成熟したmiRNAの前駆体(pre-miRNA)に変換される。pre-miRNAは細胞核の外に輸送され、Dicerと呼ばれる酵素のスプライシングによって、20から25塩基長の2本鎖の成熟miRNAとなる。したがって、マイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物は、pri-miRNA、pre-miRNA及び成熟miRNAを包含する。なお、2本鎖の成熟miRNAにおいては、一方の鎖のみが所望の効果を奏する場合、それぞれの鎖が所望の効果を奏する場合、及び2本鎖の状態で所望の効果を奏する場合の3態様がある。したがって、本明細書におけるmiRNAに由来するポリヌクレオチドは、1本鎖及び2本鎖のいずれであってもよく、好ましくは2本鎖である。
また、医薬組成物が含むポリヌクレオチドは、miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pからなる群から選択されるマイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物の機能を保持する変異体と同一の塩基配列を有していてもよい。変異体は、マイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物の塩基配列において1から5塩基が置換、欠損又は付加された塩基配列を有していてもよい。置換、欠損又は付加される塩基数は、好ましくは1から3であってよく、1又は2であってよい。また、変異体は元の塩基配列に対して、例えば80%以上、好ましくは85%以上、90%以上又は95%以上の配列相同性を有していてよい。配列相同性は、例えばBLASTを用いて算出される。
ここで、特定マイクロRNAが1本鎖である場合、miR-1293は、hsa-miR-1293であってよく、配列番号1の塩基配列を有していてよい。miR-876-3pは、hsa-miR-876-3pであってよく、配列番号2の塩基配列を有していてよい。miR-4438は、hsa-miR-4438であってよく、配列番号3の塩基配列を有していてよい。miR-6751は、hsa-miR-6751であってよく、hsa-miR-6751-5pであってよく、配列番号4の塩基配列を有していてよい。miR-634は、hsa-miR-634であってよく、配列番号5の塩基配列を有していてよい。miR-92a-2-5pは、hsa-miR-92a-2-5pであってよく、配列番号6の塩基配列を有していてよい。
Figure 2023011959000002
医薬組成物は、ポリヌクレオチドを1本鎖として含んでいてもよく、2本鎖として含んでいてもよい。ポリヌクレオチドを2本鎖として含む場合、少なくとも部分的に2本鎖を形成していればよく、2本鎖の末端の少なくとも一方に1本鎖部分を有していてもよく、2本鎖部分に少なくとも1対のミスマッチ塩基対又は塩基欠損を有していてもよい。2本鎖の末端に1本鎖部分を有する場合、1本鎖部分を少なくとも3’側に有することが好ましい。また、1本鎖部分その鎖長は、例えば、2残基以上20残基以下、好ましくは2残基以上12残基以下、又は2残基以上5残基以下である。一方、2本鎖部分にミスマッチ塩基対を有する場合、ミスマッチ塩基対は連続して配置されてもよく、不連続に配置されてもよい、また、ミスマッチ塩基対の総数は例えば、10塩基対以下、好ましくは6塩基対以下、又は4塩基対以下であり、また例えば、1塩基対以上、2塩基対以上、又は3塩基対以上であってよい。なお、相補的な塩基対には、熱力学的に安定な非ワトソンクリック型のゆらぎ塩基対(例えば、G-U)が含まれる。
医薬組成物が含む2本鎖のポリヌクレオチドは、下記(1)から(6)のいずれかの塩基配列又はその変異体の塩基配列を有していてよい。また、医薬組成物は、下記(1)から(6)のいずれかの塩基配列又はその変異体の塩基配列を有する2本鎖ポリヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
(1)第1の2本鎖ポリヌクレオチドは、hsa-miR-1293をコードする遺伝子に由来する。第1の2本鎖ポリヌクレオチドは、塩基配列「UGGGUGGUCUGGAGAUUUGUGC」(配列番号1)の1本鎖ポリヌクレオチド及び塩基配列「GCACAAAUCUCCGGACCACUUA」(配列番号7)の1本鎖ポリヌクレオチドからなる相補的な2本鎖ポリヌクレオチドである。配列番号1は、hsa-miR-1293(成熟miRNA)の塩基配列であり、以下に示す相補的構造を形成し得る。天然型の成熟miRNAでは、配列番号1の塩基配列を有する5’側のRNAがガイド鎖として、配列番号7の塩基配列を有する3’側のRNAがパッセンジャー鎖として位置付けられている。
Figure 2023011959000003

Figure 2023011959000004
(2)第2の2本鎖ポリヌクレオチドは、hsa-miR-876-3pをコードする遺伝子に由来する。第2の2本鎖ポリヌクレオチドは、塩基配列「UGGUGGUUUACAAAGUAAUUCA」(配列番号2)の1本鎖ポリヌクレオチド及び塩基配列「UGGAUUUCUUUGUGAAUCACCA」(配列番号8)の1本鎖ポリヌクレオチドからなる略相補的な2本鎖ポリヌクレオチドである。配列番号2は、hsa-miR-876-3p(成熟miRNA)の塩基配列であり、以下に示す略相補的構造を形成し得る。天然型の成熟miRNAでは、配列番号2の塩基配列を有する3’側のRNAがガイド鎖として、配列番号8の塩基配列を有する5’側のRNAがパッセンジャー鎖として位置付けられている。ここで「略相補的」とは、下記式のように、2本鎖ポリヌクレオチドの一部が1本鎖である部分、及び/又は、塩基対の一部が水素結合で結合していない部分(ミスマッチ)を含みつつ、全体としては2本鎖ポリヌクレオチドを構成している状態である。
Figure 2023011959000005

Figure 2023011959000006
(3)第3の2本鎖ポリヌクレオチドは、hsa-miR-4438をコードする遺伝子に由来する。第3の2本鎖ポリヌクレオチドは、塩基配列「CACAGGCUUAGAAAAGACAGU」(配列番号3)の1本鎖ポリヌクレオチド及び塩基配列「ACUGUCUUUUCUAAGCCUGUG」(配列番号9)の1本鎖ポリヌクレオチドからなる相補的な2本鎖ポリヌクレオチドである。配列番号3は、hsa-miR-4438(成熟miRNA)の塩基配列であり、以下に示す相補的構造を形成し得る。天然型の成熟miRNAでは、配列番号3の塩基配列を有する3’側のRNAがガイド鎖として、配列番号9の塩基配列を有する5’側のRNAがパッセンジャー鎖として位置付けられている。
Figure 2023011959000007

Figure 2023011959000008
(4)第4の2本鎖ポリヌクレオチドは、hsa-miR-6751-5pをコードする遺伝子に由来する。第4の2本鎖ポリヌクレオチドは、塩基配列「UUGGGGGUGAGGUUGGUGUCUGG」(配列番号4)の1本鎖ポリヌクレオチド及び塩基配列「ACUGAGCCUCUCUCUCUCCAG」(配列番号10)の1本鎖ポリヌクレオチドからなる略相補的な2本鎖ポリヌクレオチドである。配列番号4は、hsa-miR-6751-5p(成熟miRNA)の塩基配列であり、以下に示す略相補的構造を形成し得る。天然型の成熟miRNAでは、配列番号4の塩基配列を有する5’側のRNAがガイド鎖として、配列番号10の塩基配列を有する3’側のRNAがパッセンジャー鎖として位置付けられている。
Figure 2023011959000009

Figure 2023011959000010
(5)第5の2本鎖ポリヌクレオチドは、hsa-miR-634をコードする遺伝子に由来する。第5の2本鎖ポリヌクレオチドは、塩基配列「AACCAGCACCCCAACUUUGGAC」(配列番号5)の1本鎖ポリヌクレオチド及び塩基配列「AUCGAGGGUUGGGGCUUGGU」(配列番号11)の1本鎖ポリヌクレオチドからなる略相補的な2本鎖ポリヌクレオチドである。配列番号5は、hsa-miR-634(成熟miRNA)の塩基配列であり、以下に示す略相補的構造を形成し得る。天然型の成熟miRNAでは、配列番号5の塩基配列を有する3’側のRNAがガイド鎖として、配列番号11の塩基配列を有する5’側のRNAがパッセンジャー鎖として位置付けられている。
Figure 2023011959000011

Figure 2023011959000012
(6)第6の2本鎖ポリヌクレオチドは、hsa-miR-92a-2をコードする遺伝子に由来する。第6の2本鎖ポリヌクレオチドは、塩基配列「GGGUGGGGAUUUGUUGCAUUAC」(配列番号6)の1本鎖ポリヌクレオチド及び塩基配列「UAUUGCACUUGUCCCGGCCUGU」(配列番号12)の1本鎖ポリヌクレオチドからなる略相補的な2本鎖ポリヌクレオチドである。配列番号6は、hsa-miR-92a-2(成熟miRNA)の塩基配列であり、以下に示す略相補的構造を形成し得る。天然型の成熟miRNAでは、配列番号6の塩基配列を有する5’側のRNAがガイド鎖として、配列番号12の塩基配列を有する3’側のRNAがパッセンジャー鎖として位置付けられている。
Figure 2023011959000013

Figure 2023011959000014
ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドは、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含んでいればよく、リボヌクレオチドに代えて対応するデオキシリボヌクレオチド及び修飾されたヌクレオチドの少なくとも1種を含んでいてもよい。修飾されたヌクレオチドには、リン酸部分が修飾されたヌクレオチド、糖部分が修飾されたヌクレオチド、塩基部分が修飾されたヌクレオチド等が含まれる。修飾されたヌクレオチドは、リン酸部分、糖部分及び塩基部分のいずれかが修飾されたものであってもよく、2種以上の修飾が組み合わされたものであってもよい。修飾されたヌクレオチドについては、例えば、特開平10-304889号公報、国際公開第2005/021570号、特開平10-195098号公報、特表2002-521310号公報、国際公開第2007/143315号、国際公開第2008/043753号、国際公開第2008/029619号、国際公開第2008/049085号等を参照することができる。
リン酸部分の修飾としては、酸素原子を硫黄原子に置換した「ホスホロチオエート修飾」(S化)等が知られている。糖部分の修飾としては、非架橋化型修飾と、架橋型修飾が知られている。非架橋型修飾としては、2'位のフッ素(F)化、O-メチル化、MOE化等の2'位水酸基の修飾、モルフォリノ核酸化等が挙げられる。また、架橋化型修飾としては、LNA(2’,4’-BNA)化、ENA化等が挙げられる。
本実施形態に係るポリヌクレオチドは、公知ポリヌクレオチドの合成法等を用いて合成することが可能である。ポリヌクレオチドの合成法としては、ホスホロアミダイド法及びその改良法、H-ホスホネート法及びその改良法、酵素合成法(in vitro転写法)等が挙げられる。また、市販品の当該核酸、委託製造された当該核酸を適応することも可能である。
医薬組成物は、有効成分として、ポリヌクレオチドに加えて、他の抗腫瘍性化合物を更に含んでいてもよい。他の抗腫瘍性化合物としては、例えば、代謝拮抗剤、分子標的薬、アルキル化剤、植物アルカロイド剤、抗がん性抗生物質、プラチナ製剤、ホルモン剤、生物学的応答調節剤、免疫チェックポイント阻害剤などが挙げられる。
医薬組成物は、上記の有効成分としての核酸(ポリヌクレオチド)とともに適切な医薬製剤担体を含んで、製剤組成物の形態に調製されてもよい。当該製剤担体としては、使用形態に応じた担体を選択することが可能であり、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、界面活性剤等の賦形剤、希釈剤等を使用することができる。また、上記の有効成分としての核酸に対して適切な担体を添加することで使用時に液状となしうる乾燥剤とすることも可能である。
医薬組成物は、有効成分であるポリヌクレオチドを薬学的に許容される担体に内包、又は結合した状態で含んでいてもよい。例えば、高分子ミセル、シクロデキストリン含有ポリマーで構成されたナノ粒子、安定核酸脂質粒子、多機能エンベローブ型ナノ構造体等のドラッグデリバリーシステムを活用して、医薬組成物の効果をより向上させることが可能である。
医薬組成物の形態は、上記の有効成分としての核酸を効果的に含有可能な形態であれば、特に限定されるものではなく、錠剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤等の固剤、軟膏剤、ハップ剤であってもよい。また、液剤、懸濁剤、乳剤等の注射剤形態とするのも好適である。現状において医薬組成物は、局所への投与が効果的である。この投与形式に適した剤型は、通常は注射剤、軟膏剤、又はハップ剤の形態である。注射剤を用いる局所への投与は、腫瘍に対して、静脈内、皮下、皮内、筋肉内注射等の体外からの注射により、直接有効成分を注入し、さらに、内視鏡を用いて体内(消化管内、子宮内、膀胱内等)の腫瘍に対して、直接有効成分を注入する、等の態様で行われる。軟膏剤又はハップ剤を用いる局所への投与は、皮膚がんに対して直接有効成分を浸潤させる等の態様で行われる。
上記の有効成分としての核酸の人体に対する投与量は、一日成人1人あたり、例えば、0.01μg以上1000mg以下程度である。この投与は1日1回、又は2回以上5回以下であってよく、さらに連日又は数日おきに行うことも可能である。
医薬組成物は、腫瘍の処置に用いられる。ここで腫瘍の処置とは、腫瘍について施される何らかの処置であればよく、例えば、腫瘍の治療、改善、進行の抑制(悪化の防止)、予防、腫瘍に起因する症状の緩和等が挙げられる。医薬組成物は、BRD4遺伝子の発現を抑制するポリヌクレオチドを含むことから、処置の対象となる腫瘍は、BRD4遺伝子を発現している腫瘍細胞を含むことが好ましい。処置の対象となる腫瘍としては、食道がん、肺がん、口腔がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、皮膚がん、脳腫瘍、神経芽腫、膠芽腫、乳がん、膵がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、食道がん、肝がん、腎がん等の固形がん、及び血液腫瘍等が例示される。処置の対象となる腫瘍は、好ましくは、大腸がん、膵がん、口腔がん、肺がん、食道がん、胃がん、子宮がん、皮膚がん、血液腫瘍、脳腫瘍、神経芽腫、膠芽腫、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、食道がん、肝がん及び腎がんからなる群から選ばれる少なくとも1種であってよい。また、有効成分であるポリヌクレオチドが確実に腫瘍に到達可能であることから、局所投与、すなわち、医薬組成物を直接腫瘍に接触させることが可能な腫瘍が、処置対象として好適である。
医薬組成物は、RSK1遺伝子を発現している腫瘍の処置に用いられてもよい。医薬組成物が有効成分として、例えばmiR-876-3pをコードする遺伝子に由来するポリヌクレオチドを含む場合に特に好適である。
RSK1は、RSK(リボソームS6キナーゼ)ファミリーメンバーであり、増殖因子制御型セリンスレオニンキナーゼである。RSK1は分裂促進因子活性化キナーゼ(MAPK)カスケード活性化に関与し、細胞増殖や分化を刺激する。また、MAPKカスケードによって活性化されたRSK1は、S6キナーゼを活性化することが知られており、その結果、mTOR経路が活性化され、細胞増殖や生存を促進する。なお、このmTOR経路の阻害剤はすでに癌の治療においても臨床応用されている。
医薬組成物は、APEX1、RPA1及びPOLD4からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子を発現している腫瘍の処置に用いられてもよい。医薬組成物が有効成分として、例えばmiR-1293をコードする遺伝子に由来するポリヌクレオチドを含む場合に特に好適である。
APEX1、RPA1及びPOLD4は、いずれもDNAの修復に関わる遺伝子である。癌においては遺伝子の変異、構造異常が蓄積されていることから複製ストレスがかかっていると考えられており、DNA修復経路を阻害する治療薬としてPARP阻害剤が臨床応用されている。
さらに「がんとの共存」を目指す場合も医薬組成物の適応対象となりうる。すなわち、がんにおけるBRD4遺伝子の発現をはじめ、RSK1、APEX1、RPA1、POLD4等の遺伝子の発現を抑制することにより、がんの悪性化を防ぎ、天寿を全うすることを目指す場合にも医薬組成物は適していると考えられる。
なお、上記の遺伝子発現の定量は、常法に従って行うことが可能である。例えば、BRD4遺伝子、RSK1遺伝子、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子、POLD4遺伝子等の発現の定量方法としては、ノーザンブロッティング法、ウェスタンブロティング法、in situハイブリダイゼーション法(ISH法)、定量的RT-PCR法(リアルタイムPCR法を含む)、RNaseプロテクションアッセイ、in vitro転写法、発現アレイ解析法、免疫組織化学染色法等、又はこれらの方法の変法が挙げられる。
処置の対象となる腫瘍におけるBRD4、RSK1、APEX1、RPA1、POLD4等の遺伝子の発現は、過剰発現であってもよい。所定の遺伝子の過剰発現の有無は、以下のようにして特定することができる。それぞれの遺伝子の正常な発現量を基にして適切なカットオフ値を包括的に又は腫瘍個別的に設定する。上述した遺伝子発現の定量法を、処置対象の腫瘍に対して適用して求められる当該腫瘍における所定の遺伝子の発現定量値に対して、前記カットオフ値を当て嵌めることで、所定の遺伝子の過剰発現の有無を特定することができる。このような所定の遺伝子の過剰発現が認められるがんを、医薬組成物の適切な適用対象として特定することができる。
医薬組成物の処置の対象は、腫瘍に限られず、上述した遺伝子的特徴を示す疾患であってよい。遺伝子的特徴に基づいた処置対象となる疾患としては、例えば、BRD4遺伝子に関連する疾患として、急性骨髄性白血病(AML)、混合系統白血病(MLL)、バーキットリンパ腫、小児期に最も一般的な脳腫瘍である髄芽腫、MYCN増幅神経芽細胞腫、去勢抵抗性前立腺がん、転移性去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)、ユーイング肉腫、結腸直腸がん、ミエローマ、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、固形腫瘍(例えば、膵臓及び前立腺のがん)、乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性新生物、分類できない葉状線維腫瘍、び漫性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、膵管腺がん、多形性神経膠芽腫、2型真性糖尿病、冠状動脈疾患、心血管疾患(例えば、Int. J. Mol. Sci. 2016, 17,_1849;Cold Spring Harb Perspect Med. 2017; 7:a026674 参照)等が挙げられる。
腫瘍の処置方法
腫瘍の処置方法は、有効量の前記医薬組成物を、対象に投与することを含む腫瘍を処置する方法である。処置の対象となる腫瘍は既述の通りであり、例えば、BRD4、RSK1、APEX1、RPA1及びPOLD4からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子を発現している腫瘍である。また、医薬組成物の詳細及び投与方法は既述の通りである。処置の対象は、例えば、哺乳動物であり、哺乳動物はヒトを含む。また、処置の対象は、非ヒト動物であってもよい。
本発明は、別の態様として、腫瘍の処置に用いられる医薬組成物の製造における前記ポリヌクレオチドの使用、腫瘍の処置における前記ポリヌクレオチドの使用、腫瘍の処置に使用される前記ポリヌクレオチドをも包含する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.材料と方法
(1)マイクロRNA及びsiRNA
hsa-miR-1293(成熟miRNA)をガイド鎖(配列番号1)とする2本鎖マイクロRNAの合成品を、アンビオン社(Ambion、Inc.:米国)より入手した(商品名:MC13698)。当該マイクロRNAは、下記の天然型と同一の塩基配列の2本鎖RNAであり、修飾ヌクレオチドを含んでいる。以下、本実施例では、この2本鎖RNAを、特に断らない限り「miR-1293」と記載する。
Figure 2023011959000015
hsa-miR-876-3p(成熟miRNA)をガイド鎖(配列番号2)とする2本鎖マイクロRNAの合成品を、アンビオン社より入手した(商品名:MC12886)。当該マイクロRNAは、下記の天然型と同一の塩基配列の2本鎖RNAであり、修飾ヌクレオチドを含んでいる。以下、本実施例では、この2本鎖RNAを、特に断らない限り「miR-876-3p」と記載する。
Figure 2023011959000016
hsa-miR-4438(成熟miRNA)をガイド鎖(配列番号3)とする2本鎖マイクロRNAの合成品を、アンビオン社より入手した(商品名:MC22634)。当該マイクロRNAは、下記の天然型と同一の塩基配列の2本鎖RNAであり、修飾ヌクレオチドを含んでいる。以下、本実施例では、この2本鎖RNAを、特に断らない限り「miR-4438」と記載する。
Figure 2023011959000017
hsa-miR-6751-5p(成熟miRNA)をガイド鎖(配列番号4)とする2本鎖マイクロRNAの合成品を、アンビオン社より入手した(商品名:MC27194)。当該マイクロRNAは、下記の天然型と同一の塩基配列の2本鎖RNAであり、修飾ヌクレオチドを含んでいる。以下、本実施例では、この2本鎖RNAを、特に断らない限り「miR-6751」と記載する。
Figure 2023011959000018
hsa-miR-634(成熟miRNA)をガイド鎖(配列番号5)とする2本鎖マイクロRNAの合成品を、アンビオン社より入手した(商品名:MC11538)。当該マイクロRNAは、下記の天然型と同一の塩基配列の2本鎖RNAであり、修飾ヌクレオチドを含んでいる。以下、本実施例では、この2本鎖RNAを、特に断らない限り「miR-634」と記載する。
Figure 2023011959000019
hsa-miR-92a-2(成熟miRNA)をガイド鎖(配列番号6)とする2本鎖マイクロRNAの合成品を、アンビオン社より入手した(商品名:MC12524)。当該マイクロRNAは、下記の天然型と同一の塩基配列の2本鎖RNAであり、修飾ヌクレオチドを含んでいる。以下、本実施例では、この2本鎖RNAを、特に断らない限り「miR-92a-2」と記載する。
Figure 2023011959000020
対照のマイクロRNAには、コントロールmiRNA(ネガティブコントロール#1;miR-NC)(アンビオン社)を用いた。
RSK1(siGENOME SMARTpool:M-003025-04)、APEX1(siGENOME SMARTpool:M-010237-01)、BRD4(siGENOME SMARTpool:M-004937-02-0005)、RPA1(siGENOME SMARTpool:M-015749-01)、POLD4(siGENOME SMARTpool:M-014013-01)に対するsiRNAは、各々ダーマコン社から入手した。
(2)がん細胞株
膵がん細胞株(MIAPaCa2細胞)、口腔がん細胞株(HOC313細胞、HSC2細胞)、肺がん細胞株(A549細胞)、大腸がん細胞株(HCT116+/+細胞、SW48細胞、HT29細胞)、胃がん細胞株(AGS細胞)はアメリカンカルチャーコレクション(米国)から購入した。大腸がん細胞株HCT116+/+細胞及びHCT116-/-細胞はVogelstein研究室より供与を受けた。食道がん細胞株(KYSE150細胞)は嶋田裕博士(富山大学)より供与を受けた。
HCT116+/+、HCT116-/-、MIAPaCa2、KYSE150、HT29、SW48、HOC313、HSC2細胞はダルベッコ改変イーグル培地に、A549、AGS細胞はRPMI1640培地に、それぞれ10%ウシ胎児血清を添加して、5%CO・37℃で培養した。
(3)抗体
ウエスタンブロット用の抗体として、抗BRD4抗体(cell signaling社)、抗cleaved PARP抗体(cell signaling社)、抗RSK1抗体(R&D Systems社)、抗APEX1抗体(proteintech社)、抗リン酸化RSK1抗体(R&D Systems社)、抗リン酸化P70S6K抗体(cell signaling社)、抗リン酸化S6抗体(cell signaling社)、抗MYC抗体(cell signaling社)、抗POLD4抗体(proteintech社)、抗γH2AX抗体(cell signaling社)、抗βアクチン抗体(シグマ社)を用いた。免疫組織染色用の抗BRD4抗体(Atlas antibodies社)、抗RSK1抗体(Atlas antibodies社)、抗APEX1抗体(proteintech社)、抗RPA1抗体(abcam社)、及び抗POLD4抗体(MyBioSource社)を用いた。
(4)統計解析
サブグループ間の差はANOVA、Student t-test及びMann-Whitney’s U test(下記のin vivo試験におけるマウスの腫瘍の重量の解析において用いた)で解析した。計算されたP値が0.05未満の場合、統計学的な有意差ありと判断した。
<実施例A1> 細胞増殖を抑制するmiRNAの1次スクリーニング
HCT116+/+細胞及びHCT116-/-細胞(6000個/well)に、miRNAライブラリー[miRVana miRNA mimic Library V21(アンビオン社)]に含まれる2565種類のmiRNA又はコントロールmiRNA(miR-NC)の10nmol/Lを、Lipofectamine RNAiMAX(インビトロゲン社)を用い、添付の手順書に従って導入した。導入から3日後に細胞生存数をクリスタルバイオレット(CV)染色アッセイで評価した。なお、CV染色アッセイは以下のように実施した。細胞をPBSで洗浄し、0.2%CV含有10%ホルムアルデヒドPBSで5分間固定した。過剰なCV溶液は除去し、完全に空気乾燥した後、染色細胞に2%SDS溶液を加えて、プレートを1時間振盪することで溶解した。吸光度をマイクロプレートリーダー(ARVOmx;パーキンエルマー社)を用いてウェル毎に560nmで計測した。細胞にコントロールmiRNAを導入したコントロールウェルにおける吸光度を100%に設定した場合の各ウェルにおける吸光度から、生存細胞数の比を決定した。
図1に、上記のHCT116+/+、HCT116-/-細胞における1次スクリーニングの結果を示す。2565種のmiRNAをそれぞれ導入したときの、コントロールmiRNAと比べた時の細胞生存数の比を示している。横軸がHCT116+/+細胞の結果、縦軸がHCT116-/-細胞の結果を示す。コントロールmiRNAをトランスフェクションした場合の生存細胞数を1としたときの相対的な生存細胞数を示す。なお、細胞増殖抑制効果の基準としてコントロールとの比を0.3未満とした。
1次スクリーニングにおいてHCT116+/+、HCT116-/-細胞とも増殖抑制効果を認めたのは138種類のmiRNAであった。なお、HCT116+/+において細胞増殖抑制効果を認めたのは630種類であり、HCT116-/-において増殖抑制効果を認めたのは141種類であり、両方に共通するmiRNAが138種類であった。
2次スクリーニングとして、1次スクリーニングにおいてHCT116+/+、HCT116-/-細胞とも増殖抑制をみとめた138種類のmiRNA又はコントロールmiRNAの10nmol/Lを、HCT116+/+、HCT116-/-、MIAPaCa2、HOC313、HSC2、SW48、HT29、AGS、A549、及びKYSE150のそれぞれの細胞にLipofectamine RNAiMAXを用いて、添付の手順書に従って導入した。導入から3日後に細胞生存数をクリスタルバイオレット(CV)染色アッセイで上記と同様にして評価した。
表14は、2次スクリーニングの結果を表している。1次スクリーニングで抽出した138種のmiRNAをそれぞれ導入したときの、コントロールmiRNAと比べた時の細胞生存数の比を示している。コントロールmiRNAをトランスフェクションした場合の生存細胞数を1としたときの相対的な生存細胞数を示す。なお、増殖抑制効果の基準としてコントロールとの比で0.6未満とした。ここでは10種類の癌細胞すべてにおいて増殖抑制効果を認めた7種類のmiRNAを示している。
Figure 2023011959000021
<実施例A2>
(ウエスタンブロット)
miR-NC、miR-876-3p、miR-1293、miR-4438、miR-6751-5p、miR-92a-5p、miR-634、又はmiR-3140-3pを導入した、HCT116+/+細胞、HCT116-/-細胞、及びHOC313細胞から得られた試料に対して、ウエスタンブロットを行い、BRD4の発現量を調べた。ウエスタンブロットは以下のようにして行った。全細胞の溶解物に対してSDS-PAGEを行い、タンパクをPVDF膜(GEヘルスケア社)に転写した。0.05%Tween20と5%スキムミルクを含有するTBSを用いて室温で1時間ブロッキングを行った後、当該膜を抗体と共に4℃で一晩反応させた。1次抗体の希釈倍率は、抗BRD4抗体(1/1000)、抗β-アクチン抗体(1/5000)であった。当該膜を洗浄後、HRP結合抗マウス又は抗ウサギIgG抗体(ともに1/5000)に室温1時間暴露した。結合した抗体を、SuperSignal West Femto Substrate(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて視覚化した。結果を図2-1に示す。
図2-1に示すように、これら3種類のがん細胞株において、miR-876-3p、miR-1293、miR-4438、miR-6751-5p、miR-92a-5p、miR-634、又はmiR-3140-3pを導入することによるBRD4遺伝子の発現の抑制が認められた。
<実施例A3>
(ルシフェラーゼレポーターアッセイ)
BRD4遺伝子の3’UTR領域をルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いるルシフェラーゼレポーターアッセイによって、miRNAとBRD4遺伝子の相互作用を評価した。
図2-2(A)は、miR-1293のルシフェラーゼレポーターアッセイによる検証の結果を示している。miR-1293のガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、BRD4遺伝子に5つ存在し(R1からR5)、当該アッセイに用いるルシフェラーゼレポータープラスミドは、pmiRGlo Dual-Luciferase miRNA Target Expression Vector(プロメガ社)のルシフェラーゼ遺伝子の下流に、当該相同領域を含むBRD4遺伝子の3’UTR領域に対応するオリゴヌクレオチド(Wt)、あるいは、この領域の塩基配列に変異を入れたオリゴヌクレオチド(Mt)を挿入することで作製した。全ての部位特異的変異は、KOD mutagenesis kit(TOYOBO社)を用いて作製した。ルシフェラーゼレポータープラスミドを、HOC313細胞に、Lipofectamine2000(インビトロゲン社)を用いて添付の手順文書に沿って導入し、次の日にmiR-1293又はコントロールmiRNAを導入した。2日後に、ホタルルシフェラーゼ活性とウミシイタケルシフェラーゼ活性を、Dual-Luciferase Reporter Assay System(プロメガ社)を用いて測定した。相対的ルシフェラーゼ活性は、対応する内部標準コントロールのウミシイタケルシフェラーゼ活性で補正することで、ホタルルシフェラーゼ活性を標準化して算出した。
miR-1293の導入により、BRD4の3’UTR領域のR1とR4の2か所において、野生型の3’UTR領域に対応するルシフェラーゼ活性の低下を認め、miR-1293のガイド鎖の塩基配列とマッチする領域に変異を入れたベクターではルシフェラーゼ活性は回復した。これらの結果から、miR-1293は、BRD4遺伝子のR1とR4の2か所の3’UTR領域への作用により、直接BRD4遺伝子の発現を有意に抑制していることが示された。
図2-2(B)は、miR-876-3pのルシフェラーゼレポーターアッセイによる検証の結果を示している。miR-876-3pのガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、BRD4遺伝子に1つ存在する。その領域の配列に変異を入れたこと以外は上記と同様にしてアッセイを行った。
miR-876-3pの導入により、野生型の3’UTR領域に対応するルシフェラーゼ活性の低下を認め、miR-876-3pのガイド鎖の塩基配列とマッチする領域に変異を入れたベクターではルシフェラーゼ活性は回復した。これらの結果から、miR-876-3pは、BRD4遺伝子の3’UTR領域への作用により、直接BRD4遺伝子の発現を有意に抑制していることが示された。
図2-2(C)は、miR-6751-5pのルシフェラーゼレポーターアッセイによる検証の結果を示している。miR-6751-5pのガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、BRD4遺伝子に1つ存在する。その領域の配列に変異を入れたこと以外は上記と同様にしてアッセイを行った。
miR-6751-5pの導入により、野生型の3’UTR領域に対応するルシフェラーゼ活性の低下を認め、miR-6751-5pのガイド鎖の塩基配列とマッチする領域に変異を入れたベクターではルシフェラーゼ活性は回復した。これらの結果から、miR-6751-5pは、BRD4遺伝子の3’UTR領域への作用により、直接BRD4遺伝子の発現を有意に抑制していることが示された。
<比較例1>
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)にBRD4遺伝子に対するsiRNAを作用させて、BRD4遺伝子をノックダウンしたときの細胞増殖に対する効果を図2-3(A)に示す。比較としてコントロールsiRNA(si-NC)を導入した場合の細胞増殖に対する効果を併せて示す。また、実施例A2と同様にしてウエスタンブロットを行った結果を図2-3(B)に示す。
ウエスタンブロットの結果から、si-BRD4を導入することでBRD4遺伝子の発現が抑制されていることが示された。また、HCT116-/-細胞においては、BRD4遺伝子のノックダウンに伴い、細胞増殖が抑制されることが示された。これにより、BRD4遺伝子の発現が実際にこれらの大腸がん細胞株の増殖に寄与していることが確認された。また、si-BRD4を作用させた場合の細胞増殖抑制効果は、本実施形態に係るmiRNAを作用させた場合よりも小さいことが分かる。
<実施例A4>
(細胞増殖抑制能の評価)
標的がん細胞株として、大腸がん細胞株(HCT116+/+細胞、HCT116-/-細胞)、口腔がん細胞株(HOC313細胞、HSC2細胞)、肺がん細胞株(A549細胞(非小細胞性肺がん細胞株))及び食道がん細胞株(KYSE150細胞)を用いて、miRNAの導入による細胞増殖抑制効果を評価した。miR-876-3p、miR-1293又は対照であるコントロールmiRNA(miR-NC)の10nmol/Lを、Lipofectamine RNAiMAXを用い、添付文書の手順書に従って、それぞれの標的がん細胞株に導入した。導入から2日後及び4日後に生存細胞数を評価した。細胞増殖曲線を図3-1に示す。また、導入72時間後の大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)の顕微鏡写真を図3-2に示す。
図3-1に示すように、いずれの細胞株においても、miR-876-3p又はmiR-1293の導入により、有意に細胞増殖が抑制され、顕著な増殖抑制効果が認められた。また、図3-2に示すように、大腸がん細胞株において、miR-876-3p又はmiR-1293を導入することで死細胞が多数確認され、生存細胞が対照と比べて少ない。
<実施例A5>
(アポトーシス評価1)
大腸がん細胞株(HCT116+/+、HCT116-/-細胞)、口腔がん細胞株(HOC313細胞)に対して、miR-NC、miR-876-3p又はmiR-1293の10nmol/Lを、Lipofectamine RNAiMAXを用い、添付文書の手順書に従って、それぞれのがん細胞株に導入した。導入から72時間後のアポトーシス細胞の割合をアネキシンV/PI染色で評価した。アネキシンV/PI陽性細胞の割合はAccuri C6 Flow Cytometer(BD Biosciences社)を用いて評価した。結果を図3-3に示す。
図3-3に示すように、miR-876-3p又はmiR-1293の導入により、それぞれの細胞において、コントロール(miR-NC)と比較してアポトーシス細胞の割合が増加している。
(アポトーシス評価2)
大腸がん細胞株(HCT116+/+、HCT116-/-細胞)又は口腔がん細胞株(HOC313細胞)に対して、miR-NC、miR-876-3p又はmiR-1293の10nmol/Lを、Lipofectamine RNAiMAXを用い、添付文書の手順書に従って、それぞれのがん細胞株に導入した。導入から72時間後の細胞についてウエスタンブロットにより、アポトーシスのマーカーであるcleaved PARPの発現量を評価した。なお、ウエスタンブロットは、上記と同様の手順で実施した。結果を図3-4に示す。
図3-4に示すように、miR-876-3p又はmiR-1293の導入により、それぞれの細胞において、コントロール(miR-NC)と比較して、cleaved PARPの発現量が増加していることが示された。
以上の結果から、miR-876-3p及びmiR-1293は、難治性のがんを含めて様々ながん種において、アポトーシスを誘導し、著明に増殖抑制効果を示すことが示された。
<実施例A5>
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)、口腔がん細胞株(HSC2、HOC313細胞)、肺がん細胞株(A549細胞)、食道がん細胞株(KYSE150細胞)に対して、実施例A1に記した要領でmiR-NC又はmiR-876-3pを導入した。導入から48時間後に、以下のようにして遺伝子発現アレイ解析を行った。遺伝子発現アレイ解析は、Agilent 4x44K遺伝子発現アレイ(アジレントテクノロジー社)を用いて、その操作マニュアルに従って行った。遺伝子発現アレイ解析のデータはGeneSpringソフト(アジレントテクノロジー社)を用いて解析した。
図4-1には、これらのmiR導入細胞に対して行った発現アレイの結果、遺伝子発現が1.5倍を超えて低下した遺伝子の数をベン図で示している。miR-NC導入群と比較して1.5倍を超えて発現が抑制されている遺伝子のうち、当該5種類のがん細胞株のうち、4種類以上で共通していた遺伝子は1223個であった。この共通遺伝子1223個について、DAVID software(https://david.ncifcrf.gov)を用いてパスウェイ解析を行ったところ、下表に示すmTOR経路に関わる複数の遺伝子が有意に抑制され、その結果としてmTOR経路が抑制されていることが示された。
Figure 2023011959000022
<実施例A6>
(ウエスタンブロット)
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)又は口腔がん細胞株(HOC313細胞、KOSC3細胞)に対して、実施例A1に記した要領でmiR-NC又はmiR-876-3pを導入した。導入から48時間後に、RSK1、リン酸化RSK1(p-RSK1)、mTORシグナル経路の活性化の指標であるリン酸化p70S6K(p-p70S6K)及びpS6(p-S6)の発現量を上記と同様にしてβ-actinタンパクの発現をポジティブコントロールとしたウエスタンブロットを行うことにより評価した。結果を図4-2に示す。
図4-2に示すように、HCT116-/-細胞とHOC313細胞、KOSC3細胞において、miR-876-3pの導入によるRSK1の発現抑制が顕著に認められ、さらに、mTORシグナル経路のp-p70S6K、p-S6タンパクの発現抑制が認められ、miR-876-3pの導入により、RSK1ならびにmTORシグナル経路の抑制が確認できた。
<実施例A7>
(ルシフェラーゼレポーターアッセイ)
RSK1遺伝子の3’UTR領域をルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いるルシフェラーゼレポーターアッセイによって、miR-876-3pとRSK1遺伝子の相互作用を評価した。miR-876-3pのガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、RSK1遺伝子に1つ存在する。その領域に変異を入れたこと以外は上記と同様にしてルシフェラーゼレポーターアッセイを実施した。結果を図4-3に示す。
図4-3に示すように、miR-876-3pの導入により、野生型の3’UTR領域に対応するルシフェラーゼ活性の低下を認め、miR-876-3pのガイド鎖の塩基配列とマッチする領域に変異を入れたベクターではルシフェラーゼ活性は回復した。これらの結果から、miR-876-3pは、RSK1遺伝子の3’UTR領域への作用により、直接RSK1遺伝子の発現を抑制していることが示された。
<参考例1>
口腔がん細胞株(KOSC3)に、BRD4遺伝子に対するsiRNA及びRSK1に対するsi-RNAを作用させて、BRD4遺伝子及びRSK1遺伝子の少なくとも一方をノックダウンしたときの遺伝子発現と細胞増殖に対する効果を、コントロールsiRNA(si-NC)を用いた場合と比較して評価した。遺伝子発現は上記と同様にしてウエスタンブロットによって評価した。結果を図4-4(A)示す。また、細胞増殖に対する効果を図4-4(B)に示す。
図4-4(A)に示すようにBRD4遺伝子及びRSK1遺伝子の少なくとも一方をノックダウンすることでノックダウンした遺伝子の発現が抑制される。また、BRD4遺伝子及びRSK1遺伝子の両方を同時にノックダウンすることで、アポトーシスの指標であるcleaved PARPの発現量が相乗的に増加した。図4-4(B)に示すように細胞増殖が、BRD4遺伝子及びRSK1遺伝子の少なくとも一方をノックダウンすることで抑制され、両方をノックダウンしたときに相乗的に抑制された。
図4-5は、上記の実施例の結果から導かれるmiR-876-3pが腫瘍細胞の増殖を抑制する推定機序を模式的に示す概念図である。
<実施例A8>
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)、口腔がん細胞株(HSC2、HOC313細胞)、肺がん細胞株(A549細胞)、食道がん細胞株(KYSE150細胞)に、実施例A1に記した要領でmiR-NC又はmiR-1293を導入した。導入から48時間後に、上記と同様にして遺伝子発現アレイ解析を行った。
図5-1には、これらのmiR導入細胞に対して行った発現アレイの結果、遺伝子発現が1.5倍を超えて低下した遺伝子の数をベン図で示している。miR-NC導入群と比較して1.5倍を超えて発現が抑制されている遺伝子のうち、当該5種類のがん細胞株のうち、4種類以上で共通していた遺伝子は1248個であった。この共通遺伝子1248個について、DAVID softwareを用いてパスウェイ解析を行ったところ、DNA修復に関わる複数の経路、すなわち、Homologous recombination(相同組み換え修復)、base excision repair(塩基除去修復)、Mismatch repair、nucleotide excision repairが抑制されていることが示された。下表に各経路とその経路に関わる遺伝子を示す。
Figure 2023011959000023
<実施例A9>
(ウエスタンブロット)
miR-1293を導入した大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)又は口腔がん細胞株(HOC313細胞)に対して、実施例A1に記した要領でmiR-NC又はmiR-1293を導入した。導入から48時間後に、APEX1、RPA1及びPOLD4タンパクの発現量を上記と同様にしてβ-actinタンパクの発現をポジティブコントロールとしたウエスタンブロットを行うことにより評価した。結果を図5-2に示す。
図5-2において示すように、HCT116-/-細胞とHOC313細胞において、miR-1293の導入によるAPEX1、RPA1及びPOLD4の発現抑制が顕著に認められた。
<実施例A10>
(ルシフェラーゼレポーターアッセイ)
APEX1遺伝子、RPA1遺伝子又はPOLD4遺伝子の3’UTR領域をルシフェラーゼベクターに組み込んだコンストラクトを用いるルシフェラーゼレポーターアッセイによって、miR-1293と、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子又はPOLD4遺伝子の相互作用を評価した。miR-1293のガイド鎖の塩基配列と相同する領域は、APEX1、RPA1及びPOLD4遺伝子のそれぞれに1つずつ存在する。その領域にそれぞれ変異を入れたこと以外は上記と同様にしてルシフェラーゼレポーターアッセイを実施した。結果を図5-3に示す。
図5-3に示すように、miR-1293導入により、APEX1、RPA1及びPOLD4遺伝子のいずれにおいても野生型の3’UTR領域に対応するルシフェラーゼ活性の有意な低下を認め、miR-1293のガイド鎖の塩基配列とマッチする領域に変異を入れたベクターではルシフェラーゼ活性は有意に回復した。これらの結果から、miR-1293は、APEX1、RPA1及びPOLD4遺伝子の3’UTR領域への作用により、直接APEX1、RPA1及びPOLD4遺伝子の発現を抑制していることが示された。
<参考例2>
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)にsiRNAを作用させて、BRD4遺伝子、APEX1遺伝子又はBRD4遺伝子とAPEX1遺伝子の両方を同時にノックダウンしたとき(A)、BRD4遺伝子、RPA1遺伝子又はBRD4遺伝子とRPA1遺伝子の両方を同時にノックダウンしたとき(B)、BRD4遺伝子、POLD4遺伝子又はBRD4遺伝子とPOLD4遺伝子の両方を同時にノックダウンしたときの(C)、遺伝子発現と細胞増殖に対する効果を、コントロールsiRNA(si-NC)を用いた場合と比較して評価した。遺伝子発現は上記と同様にしてウエスタンブロットによって評価した。ウエスタンブロットの結果を図5-4(A)から(C)を示す。また細胞増殖に対する効果を図5-4(D)に示す。
図5-4(A)から(C)のウエスタンブロットの結果に示されるように、siRNAに対応する遺伝子の発現が抑制されている。また、BRD4遺伝子とAPEX1遺伝子、BRD4遺伝子とRPA1遺伝子、又はBRD4遺伝子とPOLD4遺伝子の両方を同時にノックダウンしたときに、アポトーシスの指標であるcleaved PARPの相乗的な増加が認められた。図5-4(D)の細胞増殖の結果に示されるように、それぞれの遺伝子をノックダウンしたときに細胞増殖が抑制され、両方をノックダウンしたときに相乗的に細胞増殖が抑制された。
<実施例A11>
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)に対して、実施例A1に記した要領でmiR-NC又はmiR-1293を導入した。その後ネオカルチノスタチン(NCS)を200ng/mL添加して、DNA切断を行った。24時間後に以下のようにして免疫蛍光染色でDNA障害のマーカーであるγH2AXの染色を行った。細胞を3.7%ホルムアルデヒド含有PBSで固定し、TritonX-100含有PBSで処理した。3%ウシ血清含有PBSでブロッキングを行い、その後、抗γH2AX抗体(1/400希釈)を1時間室温で反応させた。結合した抗体をAlexa Fluor555 anti-rabbit IgG抗体(1/500希釈、Life Technologies社)を用いて可視化した。その後、当該切片をVECTASHILD containing DAPI(Vector Laboratories社)で対比染色し、Nikon社の蛍光顕微鏡で観察撮影した。結果を図5-5に示す。また、蛍光顕微鏡観察におけるランダムに抽出した3視野におけるγH2AX陽性細胞の割合を測定した。結果を図5-6に示す。
図5-5及び図5-6に示されるように、miR-1293導入細胞において、γH2AXが多く認められた。すなわち、miR-1293導入により、ネオカルチノスタチンによるDNA障害からのDNA修復が抑制されたことを示す結果である。また、図5-5及び図5-6に示すようにmiR-1293のターゲットであるAPEX1、RPA1、POLD4およびBRD4を抑制するとmiR-1293同様、DNA修復が抑制される結果であった。これらの結果からmiR-1293によるDNA修復抑制効果がAPEX1、RPA1、POLD4およびBRD4の抑制を介したものであることが示された。
<実施例A12>
大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)に対して、siRNAを用いてBRD4遺伝子のノックダウンした場合と、miR-1293を導入した場合とにおける相同組み換え修復を評価した。相同組み換え修復の評価は、DR-GFPベクターを用いて、公知の方法(Genes Dev. 2001 Dec 15. 15(24):3237-42.)に従っておこなった。ここでDR-GFPベクターは蛍光色素GFPの配列にエンドヌクレアーゼScelで切断される配列を組み込んだベクターであり、Scelで切断されたのち、相同組み換え修復により切断されたベクターのDNAが修復されるとGFPを発現するベクターである。HCT116-/-細胞に対してDR-GFPベクターを導入し、ネオマイシンによってDR-GFPベクターが安定的に発現している細胞を樹立した。DR-GFPベクターにはネオマイシン耐性遺伝子が組み込まれており、DR-GFPベクターを発現する細胞はネオマイシンに対して耐性を持つことで生存できるが、逆にDR-GFPベクターを発現していない細胞はネオマイシン耐性がないため、生存できない。このDR-GFP発現HCT116-/-細胞に対してmiR-1293あるいはコントロールとしてmiR-NCを導入し、その後、エンドヌクレアーゼScelで処理して24時間後にDR-GFPを発色している細胞数をフローサイトメトリーで解析し、miR-NC投与群の細胞数を1とした時の相対的な細胞数を計算した。また、同様にDR-GFP発現HCT116-/-細胞に対してsi-BRD4あるいはコントロールとしてsi-NCを導入し、その後、エンドヌクレアーゼScelで処理して24時間後にDR-GFPを発色している細胞数をフローサイトメトリーで解析し、miR-NC投与群の細胞数を1とした時の相対的な細胞数を計算した。結果を図5-7に示す。
図5-7に示されるように、BRD4遺伝子のノックダウン、又はmiR-1293の導入により、GFP発現細胞の数はコントロールよりも低くなった。すなわち、miR-1293の導入により、相同組み換え修復が抑制されることが示された。
図5-8は、上記の実施例の結果から導かれるmiR-1293が腫瘍細胞の増殖を抑制する推定機序を模式的に示す概念図である。
<実施例B1>
miR-876-3p、miR-1293の投与によるin vivoでの腫瘍細胞の増殖抑制効果
7週齢のBalb/cヌードマウスをオリエンタルバイオサービス社から購入し、無菌状態で飼育した。10×10個の大腸がん細胞株(HCT116-/-細胞)を含むPBS100μlをマウスの背側横腹に皮下注射した。この皮下注射以降のin vivo試験のスケジュールを図6-1に示す。1nmolのmiR-876-3p、miR-1293又はコントロールmiRNAと、200μlのAteroGene(KOKEN社)の混合物を、腫瘍と皮膚の間の隙間に、計5回投与した(HCT116-/-細胞の注射から3、7、10、14、17日後)。細胞投与後19日後、マウスを安楽死させ、腫瘍を摘出した。なお、すべてのマウスに対して行った実験手順は東京医科歯科大学の動物実験委員会の承認を受けた。
図6-2に、HCT116-/-細胞の注射から19日後の代表的なマウスの皮下腫瘍の外観及び摘出された腫瘍の写真を示す。
図6-3に、腫瘍体積の推移を示す。腫瘍の体積は、(長径)×(短径)×0.5で計算した。図6-3に示されるように、腫瘍の体積は、miR-876-3p、miR-1293の投与により、コントロールmiRNA(miR-NC)の投与と比較して、有意に減少した。
マウス毎に摘出した腫瘍の重量を計量した。結果を図6-4に示す。図6-4に示されるように、miR-876-3p又はmiR-1293の投与群の腫瘍の重量は、コントロールmiRNAの投与群に比べて、有意に軽い結果であった。
<実施例B2>
miR-876-3p及びmiR-1293の発現解析
定量RT-PCRを用いて、摘出された腫瘍組織におけるmiR-876-3p及びmiR-1293の発現解析を実施した。腫瘍組織より全RNAを、TRIsure試薬(バイオライン社)を用いて標準的方法で分離した。当該全RNAから調製された1本鎖RNAをmiR-876-3p又はmiR-1293に特異的なプライマーを用いて増幅した。miR-876-3p及びmiR-1293に対するリアルタイムRT-PCRは、ABI Prism 7500 Fast Real-time PCR system(アプライドバイオシステム社)、Taqman Universal PCR Master Mix (アプライドバイオシステム社)、Taqman Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステム社)、Taqman microRNA Assays(アプライドバイオシステム社)を用いて、これらの操作マニュアルに従って行った。miR-876-3p及びmiR-1293の発現レベルは、全RNAの初期量の標準化コントロールとしてRNU6Bの発現量により補正することで標準化した。結果を図6-5に示す。
図6-5に示されるように、定量RT-PCRによる検討の結果、腫瘍細胞におけるmiR-876-3p又はmiR-1293の発現量は、それぞれのmiRNA投与群において顕著に増加していることが確認できた。
<実施例B3>
免疫染色によって、摘出された腫瘍組織におけるBRD4遺伝子、RSK1遺伝子、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子及びPOLD4遺伝子の発現量を評価した。腫瘍組織を10%ホルムアルデヒド含有PBSで固定し、パラフィン包埋を行い、4μm厚の切片に薄切した。腫瘍切片を以下に示すように、アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ法を用いて、BRD4、RSK1、APEX1、RPA1、POLD4に対して免疫組織化学染色を行った。パラフィンで包埋された腫瘍切片について、キシレンで脱パラフィン後、エタノールで再水和をおこなった。10mMのクエン酸緩衝液(pH6.0)中で煮沸することで抗原の賦活化を行い、内因性ペルオキシダーゼを不活性化するために0.3%過酸化水素含有メタノールで処理した。その後、当該切片について、抗BRD4抗体(1/500希釈)、抗RSK1抗体(1/100希釈)、抗APEX1抗体(1/200希釈)、RPA1抗体(1/100希釈)又は抗POLD4抗体(1/100希釈)を用いて、4℃で一晩反応させた。結合した抗体をジアミノベンジジン(VECTASTAIN-EluteABCkit:ベクターラボラトリー社)を用いて可視化した。その後、当該切片をヘマトキシリンで対比染色した。
抗BRD4抗体を用いた免疫染色の結果を図6-6に示す。抗RSK1抗体を用いた免疫染色の結果を図6-7に示す。抗APEX1抗体、RPA1抗体又は抗POLD4抗体を用いた免疫染色の結果を図6-8に示す。
図6-6及び図6-7に示す結果から、miR-876-3pの投与により、インビボの腫瘍組織において、BRD4遺伝子及びRSK1遺伝子の発現が抑制され、腫瘍増殖が抑制されたことが示された。すなわち、miR-876-3pを含む医薬組成物は、BRD4及びRSK1からなる群から選択される少なくとも1種の発現に起因する種々の腫瘍に対して効果を有することが期待される。
図6-6及び図6-8に示す結果から、miR-1293の投与により、インビボの腫瘍組織において、BRD4遺伝子、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子、及びPOLD4遺伝子の発現が抑制され、腫瘍増殖が抑制されたことが示された。すなわち、miR-1293を含む医薬組成物は、BRD4、APEX1、RPA1、及びPOLD4からなる群から選択される少なくとも1種の発現に起因する種々の腫瘍に対して効果を有することが期待される。
従来の研究においても、1つのmiRNAは各々の遺伝子のコーディング領域あるいは3'UTR領域に直接結合することにより、複数の標的の発現を阻害することができることが示されている。このことは、がんの活性化に関与する複数の経路を1つのmiRNAが標的とすることができることを示している。例えば、hsa-miR-34aは、CCND1遺伝子、CDK6遺伝子、MYC遺伝子、c-MET遺伝子、NOTCH遺伝子といった複数の標的を介して、腫瘍増殖を抑制することが知られている。上記の実施例に示されるように、miR-876-3pは、BRD4遺伝子及びRSK1遺伝子を標的とすることができる。また、miR-1293はBRD4遺伝子、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子及びPOLD4遺伝子を標的とすることができる。これらのmiRNAの導入により、ヌードマウスの皮下に形成された大腸がん細胞株であるHCT116-/-細胞由来の腫瘍の増大を抑制する効果が認められた。
したがって本実施形態は、miR-876-3pに由来するポリヌクレオチドを含み、BRD4遺伝子及びRSK1遺伝子が活性化した腫瘍に対する有効性が認められる医薬組成物を提供するものである。また、miR-1293に由来するポリヌクレオチドを含み、BRD4遺伝子、APEX1遺伝子、RPA1遺伝子及びPOLD4遺伝子が活性化した腫瘍に対する有効性が認められる医薬組成物を提供するものである。

Claims (5)

  1. miR-1293、miR-876-3p、miR-4438、miR-6751、miR-634及びmiR-92a-2-5pからなる群から選択されるマイクロRNAをコードする遺伝子の転写産物又はそのプロセッシング産物と同一の塩基配列、又はその塩基配列において1から5塩基が置換、欠損又は付加された塩基配列を有するポリヌクレオチドを含む、腫瘍の処置に用いられる医薬組成物。
  2. 処置の対象となる腫瘍は、BRD4遺伝子を発現している腫瘍細胞を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 処置の対象となる腫瘍は、大腸がん、膵がん、口腔がん、肺がん、食道がん、胃がん、子宮がん、皮膚がん、血液腫瘍、脳腫瘍、神経芽腫、膠芽腫、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、食道がん、肝がん及び腎がんからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 前記ポリヌクレオチドは、少なくとも1種の修飾ヌクレオチドを含む請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 前記ポリヌクレオチドを2本鎖として含む請求項1から4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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