特許文献1に記載の吸着分離装置では、袋を1枚ずつ分離して取り出すために、3個の吸着具を昇降させるための機構に加えて、袋の開口部側を吸着する2個の吸着具が互いに近づくようにこの2個の吸着具を水平方向に個別に移動させるための機構が必要になる。したがって、この吸着分離装置では、吸着具を移動させるための構成が複雑になる。
そこで、本発明の課題は、積層されている複数のシート状のシート体からシート体を1枚ずつ分離して取り出すための分離取出装置において、シート体を吸着する吸着パッドを移動させるための構成を簡素化しても、シート体を1枚ずつ分離して取り出すことが可能な分離取出装置を提供することにある。また、本発明の課題は、積層されている複数のシート状のシート体からシート体を1枚ずつ分離して取り出すための分離取出方法において、シート体を吸着する吸着パッドを移動させるための構成を簡素化しても、シート体を1枚ずつ分離して取り出すことが可能となる分離取出方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本願発明者は、種々の検討を行った。具体的には、本願発明者は、吸着パッドを移動させるための構成を簡素化するために、積層されている複数のシート体の中で最も上に配置されるシート体である第1シート体を吸着パッドで吸着して持ち上げるだけで、上から2番目に配置されるシート体である第2シート体から第1シート体を分離して取り出すための種々の方策を検討した。
その結果、本願発明者は、積層状態の複数のシート体の少なくとも1箇所が上側に向かって膨らむように積層状態の複数のシート体を予め撓ませておくとともに、第1シート体を吸着パッドで吸着して持ち上げるときに、第1シート体の、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように第1シート体を変形させることで、第1シート体を吸着パッドで吸着して持ち上げるときに、第2シート体に対する第1シート体の水平方向のずれを生じさせて、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を解除することが可能になることを知見するに至った。また、本願発明者は、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を解除することによって、第1シート体を吸着パッドで吸着して持ち上げるだけで、第2シート体から第1シート体を分離して取り出すことが可能になることを知見するに至った。
本発明の分離取出装置は、かかる新たな知見に基づくものであり、積層されている複数のシート状のシート体からシート体を1枚ずつ分離して取り出すための分離取出装置であって、シート体の積層方向である上下方向とシート体の幅方向とに直交する方向を第1方向とし、積層されている複数のシート体の中で最も上に配置されるシート体を第1シート体とすると、シート体の幅方向から見たときに第1方向において所定の間隔をあけた状態で配置されるとともに第1シート体の上面を吸着する複数の吸着パッドと、複数の吸着パッドを昇降させる昇降機構と、積層状態の複数のシート体が載置される載置部材とを備え、載置部材の上面には、上側に向かって突出する突起部が形成され、複数の吸着パッドが第1シート体の上面を吸着して第1シート体を持ち上げるときに、突起部よりも第1方向の一方側に吸着パッドが配置されるとともに、突起部よりも第1方向の他方側に吸着パッドが配置されていることを特徴とする。
本発明の分離取出装置では、積層状態の複数のシート体が載置される載置部材の上面に、上側に向かって突出する突起部が形成されている。そのため、本発明では、積層状態の複数のシート体の、突起部の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむように積層状態の複数のシート体を予め撓ませておくことが可能になる。また、本発明では、複数の吸着パッドが第1シート体の上面を吸着して第1シート体を持ち上げるときに、突起部よりも第1方向の一方側に吸着パッドが配置されるとともに、突起部よりも第1方向の他方側に吸着パッドが配置されているため、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第1シート体の、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように第1シート体を変形させることが可能になる。
したがって、本発明では、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、上から2番目に配置されるシート体である第2シート体に対して第1シート体の水平方向のずれ(具体的には、第1方向のずれ)を生じさせて、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を解除することが可能になり、その結果、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるだけで、第2シート体から第1シート体を分離して取り出すことが可能になる。したがって、本発明では、吸着パッドを移動させるための構成を簡素化しても、シート体を1枚ずつ分離して取り出すことが可能になる。
本発明において、たとえば、シート体の第1方向の長さは、シート体の幅方向の幅よりも長くなっている。この場合には、積層状態の複数のシート体の、突起部の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむように積層状態の複数のシート体を撓ませやすくなる。
本発明において、載置部材の上面には、第1方向において所定の間隔をあけた状態で配置される複数の突起部が形成され、複数の吸着パッドが第1シート体の上面を吸着して第1シート体を持ち上げるときに、複数の突起部よりも第1方向の一方側に吸着パッドが配置され、かつ、複数の突起部よりも第1方向の他方側に吸着パッドが配置されるとともに、第1方向における複数の突起部の間に吸着パッドが配置されていることが好ましい。
このように構成すると、積層状態の複数のシート体の複数箇所が上側に向かって膨らむように積層状態の複数のシート体を予め撓ませておくことが可能になるとともに、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第1シート体の、上側に向かって膨らんでいた複数の箇所が下側に向かって膨らむように第1シート体を変形させることが可能になる。したがって、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第2シート体に対する第1シート体の第1方向のずれを複数の箇所で生じさせることが可能になり、その結果、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を効果的に解除することが可能になる。そのため、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるだけで、第2シート体から第1シート体を分離して取り出しやすくなる。
本発明において、突起部は、シート体の幅方向に細長い長尺状に形成され、突起部の上面は、上側に向かって膨らむ凸曲面状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、突起部の上面が上側に向かって膨らむ凸曲面状に形成されているため、積層状態の複数のシート体の中で最も下に配置されるシート体が突起部の上面に接触しても、最も下に配置されるシート体の損傷を防止することが可能になる。
また、このように構成すると、突起部がシート体の幅方向に細長い長尺状に形成されているため、積層状態の複数のシート体をシート体の幅方向の全域に亘って予め撓ませておくことが可能になるとともに、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、シート体の幅方向の全域に亘って第1シート体を変形させることが可能になる。したがって、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第2シート体に対する第1シート体の第1方向のずれをシート体の幅方向の全域に亘って生じさせることが可能になり、その結果、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を効果的に解除することが可能になる。そのため、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるだけで、第2シート体から第1シート体を分離して取り出しやすくなる。
本発明において、分離取出装置は、シート体の幅方向および第1方向において積層状態のシート体の両側に配置され積層状態のシート体をシート体の幅方向および第1方向で位置決めする複数のガイド部材を備え、ガイド部材は、上側に向かって立ち上がる柱状に形成され、複数のガイド部材の全ての上端側、または、複数のガイド部材のうちのいくつかのガイド部材の上端側には、ガイド部材の外周面を囲むゴム製かつ環状のシール部材が取り付けられていることが好ましい。
このように構成すると、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第2シート体から第1シート体を分離することができずに、第2シート体および第2シート体よりも下側に配置されるシート体が第1シート体と一緒に持ち上がったとしても、第2シート体の上面をシール部材に接触させて、第2シート体および第2シート体よりも下側に配置されるシート体を第1シート体から分離することが可能になる。したがって、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるだけで、第1シート体のみを確実に取り出すことが可能になる。
本発明において、昇降機構は、複数の吸着パッドが第1シート体の上面を吸着する前に複数の吸着パッドを第1シート体の上面に押し付けることが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、積層状態のシート体の反発力を利用して、第2シート体に対する第1シート体の第1方向のずれ量を大きくすることが可能になる。したがって、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を効果的に解除することが可能になる。
また、上述の新たな知見に基づいて、本発明の分離取出方法は、積層されている複数のシート状のシート体からシート体を1枚ずつ分離して取り出すための分離取出方法であって、シート体の積層方向である上下方向とシート体の幅方向とに直交する方向を第1方向とし、積層されている複数のシート体の中で最も上に配置されるシート体を第1シート体とすると、シート体の幅方向から見たときに第1方向において所定の間隔をあけた状態で配置されるとともに第1シート体の上面を吸着する複数の吸着パッドと、積層状態の複数のシート体が載置されるとともに上側に向かって突出する突起部が上面に形成される載置部材とを用い、第1シート体の、突起部よりも第1方向の一方側の上面と、第1シート体の、突起部よりも第1方向の他方側の上面とを吸着パッドで吸着して、第1シート体を持ち上げることを特徴とする。
本発明の分離取出方法では、積層状態の複数のシート体が載置される載置部材の上面に、上側に向かって突出する突起部が形成されている。そのため、本発明では、積層状態の複数のシート体の、突起部の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむように積層状態の複数のシート体を予め撓ませておくことが可能になる。また、本発明では、第1シート体の、突起部よりも第1方向の一方側の上面と、第1シート体の、突起部よりも第1方向の他方側の上面とを吸着パッドで吸着して、第1シート体を持ち上げているため、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、第1シート体の、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように第1シート体を変形させることが可能になる。
したがって、本発明では、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるときに、上から2番目に配置されるシート体である第2シート体に対して第1シート体の第1方向のずれを生じさせて、第1シート体が第2シート体に貼り付いている状態を解除することが可能になり、その結果、複数の吸着パッドで第1シート体を吸着して持ち上げるだけで、第2シート体から第1シート体を分離して取り出すことが可能になる。したがって、本発明では、吸着パッドを移動させるための構成を簡素化しても、シート体を1枚ずつ分離して取り出すことが可能になる。
以上のように、本発明では、積層されている複数のシート状のシート体からシート体を1枚ずつ分離して取り出すための分離取出装置または分離取出方法において、シート体を吸着する吸着パッドを移動させるための構成を簡素化しても、シート体を1枚ずつ分離して取り出すことが可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(分離取出装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる分離取出装置1の構成を説明するための側面図である。図2は、図1に示すシート体セット部3の斜視図である。図3は、図1に示すシート体セット部3の平面図である。
本形態の分離取出装置1は、積層されている複数のシート状のシート体2からシート体2を1枚ずつ分離して取り出すための装置である。本形態のシート体2は、たとえば、内容物が未充填で表面フィルムと裏面フィルムとが密着している状態のパウチ容器(袋)である。シート体2は、細長い長方形状に形成されている。分離取出装置1は、積層状態の複数のシート体2がセットされるシート体セット部3と、シート体2を吸着する複数の吸着パッド4と、複数の吸着パッド4を保持するパッド保持部材5と、パッド保持部材5を昇降させる昇降機構6とを備えている。
以下の説明では、シート体セット部3にセットされているシート体2の積層方向である上下方向(図1等のZ方向)に直交する図1等のX方向を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する図1等のY方向を「左右方向」とする。本形態では、シート体セット部3にセットされているシート体2の幅方向(長方形状に形成されるシート体2の短辺方向)は前後方向と一致し、シート体セット部3にセットされているシート体2の長さ方向(長方形状に形成されるシート体2の長辺方向)は左右方向と一致している。すなわち、本形態の前後方向(X方向)は、シート体2の幅方向である。また、本形態の左右方向(Y方向)は、上下方向とシート体2の幅方向とに直交する第1方向であり、シート体2の第1方向の長さは、シート体2の幅よりも長くなっている。
シート体セット部3は、積層状態のシート体2が載置される載置部材9と、前後方向および左右方向で積層状態のシート体2を位置決めする複数のガイド部材10と、ガイド部材10が固定される固定部材11とを備えている。本形態のシート体セット部3は、柱状に形成される10本のガイド部材10を備えている。固定部材11は、平板状に形成されている。固定部材11は、固定部材11の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。
載置部材9は、長方形の平板状に形成されるベース板12を備えている。ベース板12は、ベース板12の厚さ方向と上下方向とが一致し、かつ、ベース板12の幅方向(短辺方向)と前後方向とが一致するように配置されている。ベース板12は、固定部材11の上面に固定されている。積層状態のシート体2は、ベース板12の上面側に載置される。また、載置部材9は、ベース板12の上面に固定される突起部材13を備えている。本形態の載置部材9は、左右方向において所定の間隔をあけた状態で配置される複数の突起部材13を備えている。具体的には、載置部材9は、2個の突起部材13を備えている。載置部材9は、1枚のベース板12と2個の突起部材13とから構成されている。
突起部材13は、前後方向に細長い長尺状に形成されている。具体的には、突起部材13は、前後方向に細長い略直方体に形成されている。突起部材13の長さ(前後方向の長さ)は、ベース板12の幅(前後方向の幅)とほぼ等しくなっているか、あるいは、ベース板12の幅よりもわずかに短くなっている。2個の突起部材13のうちの一方の突起部材13は、ベース板12の左右方向の中心よりも右側に配置され、他方の突起部材13は、ベース板12の左右方向の中心よりも左側に配置されている。
突起部材13の上面は、上側に向かって膨らむ凸曲面状に形成されている。具体的には、突起部材13の上面は、前後方向から見たときの形状が半円弧状となる凸曲面状に形成されている。図1に示すように、前後方向から見たときに、載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2は、略M形状に撓んでいる。具体的には、載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2は、2個の突起部材13の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむとともに、2個の突起部材13の間の部分が下側に向かって膨らむ略M形状に撓んでいる。本形態の突起部材13は、載置部材9の上面に形成される突起部であり、この突起部は、上側に向かって突出している。また、本形態では、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置される2個の突起部が載置部材9の上面に形成されている。
ガイド部材10は、円柱状に形成されている。ガイド部材10の下端は、固定部材11の上面に固定されており、ガイド部材10は、固定部材11の上面から上側に向かって立ち上がっている。ガイド部材10は、左右方向および前後方向において積層状態のシート体2の両側に配置されている。具体的には、積層状態のシート体2の前側に3本のガイド部材10が配置され、積層状態のシート体2の後ろ側に3本のガイド部材10が配置され、積層状態のシート体2の右側に2本のガイド部材10が配置され、積層状態のシート体2の左側に2本のガイド部材10が配置されている。
積層状態のシート体2の前側に配置される3本のガイド部材10は、載置部材9よりも前側に配置され、積層状態のシート体2の後ろ側に配置される3本のガイド部材10は、載置部材9よりも後ろ側が配置されている。積層状態のシート体2の右側に配置される2本のガイド部材10は、載置部材9よりも右側に配置され、積層状態のシート体2の左側に配置される2本のガイド部材10は、載置部材9よりも左側に配置されている。
積層状態のシート体2の前側に配置される3本のガイド部材10と、積層状態のシート体2の後ろ側に配置される3本のガイド部材10とは、左右方向において同じ位置に配置されている。積層状態のシート体2の前側に配置される3本のガイド部材10のうちの1本のガイド部材10は、左右方向の中心部に配置され、残りの2本のガイド部材10は、左右方向の両端側のそれぞれに配置されている。同様に、積層状態のシート体2の後ろ側に配置される3本のガイド部材10のうちの1本のガイド部材10は、左右方向の中心部に配置され、残りの2本のガイド部材10は、左右方向の両端側のそれぞれに配置されている。
積層状態のシート体2の右側に配置される2本のガイド部材10と、積層状態のシート体2の左側に配置される2本のガイド部材10とは、前後方向において同じ位置に配置されている。積層状態のシート体2の右側に配置される2本のガイド部材10は、前後方向の両端側のそれぞれに配置されている。同様に、積層状態のシート体2の左側に配置される2本のガイド部材10は、前後方向の両端側のそれぞれに配置されている。
載置部材9に載置される積層状態のシート体2の前後左右の両端面は、10本のガイド部材10の外周面に接触している。また、積層状態のシート体2の前後左右の両端面が10本のガイド部材10の外周面に接触することで、10本のガイド部材10によって、積層状態のシート体2が前後方向および左右方向で位置決めされている。
10本のガイド部材10のうちのいくつかのガイド部材10の上端側には、ガイド部材10の外周面を囲むゴム製かつ環状のシール部材15が取り付けられている。本形態のシール部材15は、Oリングである。シール部材15は、載置部材9に載置される積層状態のシート体2の上面よりも上側に配置されている。なお、図2では、シール部材15の図示を省略している。
本形態では、5本のガイド部材10の上端側にシール部材15が取り付けられている。具体的には、積層状態のシート体2の右側に配置される2本のガイド部材10の上端側と、積層状態のシート体2の左側に配置される2本のガイド部材10の上端側と、積層状態のシート体2の前後方向の一方側に配置される3本のガイド部材10のうちの、左右方向の中心部に配置される1本のガイド部材10の上端側とにシール部材15が取り付けられている。
上述のように、分離取出装置1は、複数の吸着パッド4を備えている。本形態の分離取出装置1は、6個の吸着パッド4を備えている。6個の吸着パッド4は、積層状態のシート体2よりも上側に配置されている。積層されている複数のシート体2の中で最も上側に配置されるシート体2を第1シート体2Aとすると、吸着パッド4は、第1シート体2Aの上面を吸着する。具体的には、吸着パッド4は、第1シート体2Aの上面を真空吸着する。
吸着パッド4は、第1シート体2Aの上面に接触して第1シート体2Aの上面を吸着するゴム製の吸着部と、真空ポンプに接続される配管部とを備えている。吸着部は、バネ部材を介して配管部の先端(下端)に取り付けられており、バネ部材の付勢力によって配管部に対して下側に付勢されている。また、吸着部は、配管部に対して上下動可能となっている。吸着部の、第1シート体2Aに接触する部分の形状は円形状となっている。すなわち、吸着パッド4は、第1シート体2Aに接触する部分の形状が円形状となっている丸形の吸着パッドである。
6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときには、6個の吸着パッド4のうちの2個の吸着パッド4は、2個の突起部材13よりも右側に配置され(すなわち、右側に配置される突起部材13よりも右側に配置され)、残りの4個の吸着パッド4のうちの2個の吸着パッド4は、2個の突起部材13よりも左側に配置され(すなわち、左側に配置される突起部材13よりも左側に配置され)、残りの2個の吸着パッド4は、左右方向において2個の突起部材13の間に配置されている。
また、図3に示すように、2個の突起部材13よりも右側に配置される2個の吸着パッド4は、左右方向において同じ位置に配置されるとともに前後方向に間隔をあけた状態で配置され、2個の突起部材13よりも左側に配置される2個の吸着パッド4は、左右方向において同じ位置に配置されるとともに前後方向に間隔をあけた状態で配置され、左右方向において2個の突起部材13の間に配置される2個の吸着パッド4は、左右方向において同じ位置に配置されるとともに前後方向に間隔をあけた状態で配置されている。
すなわち、図1に示すように、前後方向から見たときに、複数の吸着パッド4が前後方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。また、6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときには、2個の突起部材13よりも右側に吸着パッド4が配置され、かつ、2個の突起部材13よりも左側に吸着パッド4が配置されるとともに、左右方向における2個の突起部材13の間に吸着パッド4が配置されている。
また、6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときには、右側に配置される突起部材13よりも右側に吸着パッド4が配置されるとともに、この突起部材13よりも左側に吸着パッド4が配置され、左側に配置される突起部材13よりも右側に吸着パッド4が配置されるとともに、この突起部材13よりも左側に吸着パッド4が配置されている。
6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときに、右側に配置される突起部材13よりも右側に配置される吸着パッド4は、右側に配置される突起部材13とベース板12の右端面との左右方向の中心よりも左側に配置され、左側に配置される突起部材13よりも左側に配置される吸着パッド4は、左側に配置される突起部材13とベース板12の左端面との左右方向の中心よりも右側に配置され、左右方向において2個の突起部材13の間に配置される吸着パッド4は、2個の突起部材13の間の左右方向の略中心に配置されている。
パッド保持部材5は、6個の吸着パッド4を保持している。具体的には、パッド保持部材5は、6個の吸着パッド4の配管部を保持している。昇降機構6は、たとえば、電動シリンダであり、上述のように、パッド保持部材5を昇降させる。すなわち、昇降機構6は、6個の吸着パッド4を昇降させる。なお、本形態の分離取出装置1は、昇降機構6を水平方向に移動させる移動機構を備えており、この移動機構は、昇降機構6によって持ち上げられた吸着パッド4に吸着される第1シート体2Aを水平方向に移動させる。
(シート体の分離取出方法)
図4、図5は、図1に示す分離取出装置1によるシート体2の分離取出方法を説明するための図である。
上述のように、載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2は、2個の突起部材13の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむとともに、2個の突起部材13の間の部分が下側に向かって膨らむ略M形状に撓んでいる。載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2から第1シート体2Aを分離して取り出すときには、まず、昇降機構6は、6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着する前に6個の吸着パッド4を第1シート体2Aの上面に押し付ける(図4参照)。その後、6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着してから、昇降機構6が吸着パッド4と一緒に第1シート体2Aを持ち上げる(図5参照)。
具体的には、第1シート体2Aの、右側に配置される突起部材13よりも右側の上面と、第1シート体2Aの、左側に配置される突起部材13よりも左側の上面と、第1シート体2Aの、2個の突起部材13の間の上面とを吸着パッド4で吸着してから、昇降機構6によって吸着パッド4と一緒に第1シート体2Aを持ち上げる。すなわち、第1シート体2Aの、右側に配置される突起部材13よりも右側の上面と、この突起部材13よりも左側の上面とを吸着パッド4で吸着するとともに、第1シート体2Aの、左側に配置される突起部材13よりも右側の上面と、この突起部材13よりも左側の上面とを吸着パッド4で吸着してから、昇降機構6によって吸着パッド4と一緒に第1シート体2Aを持ち上げる。
図5に示すように、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げると、第1シート体2Aの、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように、かつ、第1シート体2Aの、下側に向かって膨らんでいた部分が上側に向かって膨らむように第1シート体2Aが変形する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、左右方向において所定の間隔をあけた状態で配置される2個の突起部材13がベース板12の上面に固定されており、載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2は、2個の突起部材13の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむとともに、2個の突起部材13の間の部分が下側に向かって膨らむ略M形状に撓んでいる。
また、本形態では、第1シート体2Aの、右側に配置される突起部材13よりも右側の上面と、第1シート体2Aの、左側に配置される突起部材13よりも左側の上面と、第1シート体2Aの、2個の突起部材13の間の上面とを吸着パッド4で吸着して第1シート体2Aを持ち上げており、第1シート体2Aを吸着して持ち上げると、第1シート体2Aの、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように、かつ、第1シート体2Aの、下側に向かって膨らんでいた部分が上側に向かって膨らむように第1シート体2Aが変形する。
そのため、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、上から2番目に配置されるシート体2である第2シート体2Bに対して第1シート体2Aの左右方向のずれを生じさせて、第1シート体2Aが第2シート体2Bに貼り付いている状態を解除することが可能になる。したがって、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるだけで、第2シート体2Bから第1シート体2Aを分離して取り出すことが可能になる。その結果、本形態では、吸着パッド4を移動させるための構成を簡素化しても、シート体2を1枚ずつ分離して取り出すことが可能になる。
特に本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げると、第1シート体2Aの、上側に向かって膨らんでいた2箇所が下側に向かって膨らむように第1シート体2Aが変形するとともに、第1シート体2Aの、下側に向かって膨らんでいた1箇所が上側に向かって膨らむように第1シート体2Aが変形しており、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、第2シート体2Bに対する第1シート体2Aの左右方向のずれが複数の箇所で生じている。そのため、本形態では、第1シート体2Aが第2シート体2Bに貼り付いている状態を効果的に解除することが可能になる。したがって、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるだけで、第2シート体2Bから第1シート体2Aを分離して取り出しやすくなる。
また、本形態では、突起部材13が前後方向に細長い長尺状に形成されているため、積層状態の複数のシート体2Aを前後方向の全域に亘って予め撓ませておくことが可能になるとともに、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、前後方向の全域に亘って第1シート体2Aを変形させることが可能になる。したがって、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、第2シート体2Bに対する第1シート体2Aの左右方向のずれを前後方向の全域に亘って生じさせることが可能になり、その結果、第1シート体2Aが第2シート体2Bに貼り付いている状態を効果的に解除することが可能になる。そのため、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるだけで、第2シート体2Bから第1シート体2Aを分離して取り出しやすくなる。
さらに、本形態では、6個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着する前に昇降機構6が6個の吸着パッド4を第1シート体2Aの上面に押し付けているため、本願発明者の検討によれば、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、積層状態のシート体2の反発力を利用して、第2シート体2Bに対する第1シート体2Aの左右方向のずれ量を大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、第1シート体2Aが第2シート体2Bに貼り付いている状態を効果的に解除することが可能になる。
本形態では、前後方向および左右方向で積層状態のシート体2を位置決めする複数のガイド部材10のうちの、積層状態のシート体2の右側に配置される2本のガイド部材10の上端側と、積層状態のシート体2の左側に配置される2本のガイド部材10の上端側と、積層状態のシート体2の前後方向の一方側に配置される3本のガイド部材10のうちの、左右方向の中心部に配置される1本のガイド部材10の上端側とにシール部材15が取り付けられている。
そのため、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるときに、第2シート体2Bから第1シート体2Aを分離することができずに、第2シート体2Bおよび第2シート体2Bよりも下側に配置されるシート体2が第1シート体2Aと一緒に持ち上がったとしても、図5の二点鎖線で示すように、第2シート体2Bの上面をシール部材15に接触させて、第2シート体2Bおよび第2シート体2Bよりも下側に配置されるシート体2を第1シート体2Aから分離することが可能になる。したがって、本形態では、6個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げるだけで、第1シート体2Aのみを確実に取り出すことが可能になる。
本形態では、突起部材13の上面は、上側に向かって膨らむ凸曲面状に形成されている。そのため、本形態では、積層状態の複数のシート体2の中で最も下に配置されるシート体2が突起部材13の上面に接触しても、最も下に配置されるシート体2の損傷を防止することが可能になる。また、本形態では、シート体2の左右方向の長さがシート体2の前後方向の幅よりも長くなっているため、積層状態の複数のシート体2を略M形状に撓ませやすくなる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態において、シート体2の前後方向の幅が狭い場合には、分離取出装置1が備える吸着パッド4の数は3個であっても良い。この場合には、3個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときに、3個の吸着パッド4のうちの1個の吸着パッド4は、右側に配置される突起部材13よりも右側に配置され、残りの2個の吸着パッド4のうちの1個の吸着パッド4は、左側に配置される突起部材13よりも左側に配置され、残りの1個の吸着パッド4は、左右方向において2個の突起部材13の間に配置されている。
また、上述した形態において、シート体2の前後方向の幅が広い場合には、分離取出装置1が備える吸着パッド4の数は、たとえば、9個でも良い。この場合には、9個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときに、9個の吸着パッド4のうちの3個の吸着パッド4は、右側に配置される突起部材13よりも右側に配置され、残りの6個の吸着パッド4のうちの3個の吸着パッド4は、左側に配置される突起部材13よりも左側に配置され、残りの3個の吸着パッド4は、左右方向において2個の突起部材13の間に配置されている。
また、上述した形態において、分離取出装置1が備える吸着パッド4の数は4個であっても良い。この場合には、4個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときに、4個の吸着パッド4のうちの2個の吸着パッド4は、右側に配置される突起部材13よりも右側に配置され、残りの2個の吸着パッド4は、左側に配置される突起部材13よりも左側に配置されている。
この場合であっても、4個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げると、第1シート体2Aの、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように第1シート体2Aが変形する。そのため、上述した形態と同様に、第2シート体2Bに対して第1シート体2Aの左右方向のずれを生じさせて、第1シート体2Aが第2シート体2Bに貼り付いている状態を解除することが可能になる。
上述した形態において、載置部材9が備える突起部材13の数は1個であっても良い。この場合には、たとえば、分離取出装置1は4個の吸着パッド4を備えており、4個の吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときに、4個の吸着パッド4のうちの2個の吸着パッド4は、突起部材13よりも右側に配置され、残りの2個の吸着パッド4は、突起部材13よりも左側に配置されている。
この場合には、載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2は、突起部材13の上側に配置される1箇所が上側に向かって膨らむ凸状に撓んでいる。また、この場合には、4個の吸着パッド4で第1シート体2Aを吸着して持ち上げると、第1シート体2Aの、上側に向かって膨らんでいた部分が下側に向かって膨らむように第1シート体2Aが変形する。そのため、上述した形態と同様に、第2シート体2Bに対して第1シート体2Aの左右方向のずれを生じさせて、第1シート体2Aが第2シート体2Bに貼り付いている状態を解除することが可能になる。
上述した形態において、載置部材9が備える突起部材13の数は3個以上であっても良い。この場合には、載置部材9に載置される積層状態の複数のシート体2は、突起部材13の上側に配置される部分が上側に向かって膨らむとともに、左右方向における突起部材13の間の部分が下側に向かって膨らむように蛇行しながら撓んでいる。また、この場合には、分離取出装置1は、吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着して第1シート体2Aを持ち上げるときに、最も右側に配置される突起部材13よりも右側に配置される吸着パッド4と、最も左側に配置される突起部材13よりも左側に配置される吸着パッド4とを少なくとも備えている。また、この場合には、左右方向において突起部材13の間に配置される吸着パッド4を分離取出装置1が備えていても良い。
上述した形態において、10本のガイド部材10の全ての上端側にシール部材15が取り付けられていても良い。ただし、上述した形態のように、10本のガイド部材10のうちのいくつかのガイド部材10の上端側にシール部材15が取り付けられている方が、吸着パッド4で第1シート体2Aを持ち上げる際の抵抗が小さくなる。また、上述した形態において、10本のガイド部材10の全てにシール部材15が取り付けられていなくても良い。
上述した形態において、シート体セット部3が備えるガイド部材10の数は、9本以下であっても良いし、11本以上であっても良い。また、上述した形態において、ベース板12に対する突起部材13の固定位置が左右方向において調整可能となっていても良い。さらに、上述した形態において、突起部材13は、前後方向の長さが短いブロック状に形成されていても良い。また、上述した形態において、突起部材13の上面は、平面状に形成されていても良い。
上述した形態において、吸着パッド4が第1シート体2Aの上面を吸着する前に吸着パッド4を第1シート体2Aの上面に押し付けなくても良い。また、上述した形態において、シート体2は、左右方向に細長い長円形状に形成されていても良いし、左右方向に細長い多角形状に形成されていても良い。また、シート体2は、パウチ容器でなくても良い。たとえば、シート体2は、パウチ容器以外の袋であっても良いし、樹脂等で形成されるシートであっても良い。