JP2021025615A - 変換継手および変換継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような変換継手では、溶融継手部にニクロム線などの電熱線が設けられている。
このため、本発明では、溶融継手部が1層構造の場合と比べて溶融継手部の樹脂部分全体の体積の減少を抑えることができ、溶融継手部と金属継手部との隙間を抑えることができる。その結果、変換継手の止水性を向上させることができる。
1層構造の溶融継手部では、収縮後の体積は、100×99%=99となる。
2層構造の溶融継手部では、内層樹脂部のみ成形した後の収縮後の体積は、50×99%=49.5となる。外層樹脂部は、設計上の体積と内層樹脂部の減少の補填分を合わせると50+0.5=50.5となり、収縮後の体積は、50.5×99%=49.995となる。2層構造の溶融継手部では、収縮後の内層樹脂部と外層樹脂部を合わせた体積は99.495となり、1層構造の溶融継手部よりも収縮が小さい。なお、溶融継手部の全体が2層構造でなくても、少なくとも一部が2層構造となることにより、収縮を抑えることができる。
本発明では、外層樹脂部が内層樹脂部の外周全体を囲んでいる形態のみでなく、内層樹脂部の外周の少なくとも一部に外層樹脂部に囲まれていない部分がある形態も含むものとする。
このような構成とすることにより、変換継手の止水性を向上させることができる。
金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分には、内層樹脂部が接触している。これにより、内層樹脂部と外層樹脂部の間に隙間が生じたとしてもこの隙間が金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分と溶融継手部との接続部の止水性に影響することがなく、変換継手の止水性を良好に維持することができる。
このような構成とすることにより、金属継手部における溶融継手部の内部に配置される側の端面、および端面と連続する外周面の両方が内層樹脂部と接触しているため、変換継手の止水性を更に向上させることができる。
このような構成とすることにより、金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分の外周面全体が内層樹脂部と接触しているため、変換継手の止水性を更に向上させることができる。
このような構成とすることにより、溝部と溝部に配置された内層樹脂部によって、金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分と内層樹脂部とが嵌合した状態となる。このため、金属継手部と内層樹脂部とが接触した状態を良好に維持することができ、溶融継手部と金属継手部との接続部の止水性を向上させることができる。
このような構成とすることにより、各溝部と各溝部に配置された内層樹脂部によって、金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分と内層樹脂部とがより嵌合した状態となる。このため、金属継手部と内層樹脂部とが接触した状態を更に良好に維持することができ、溶融継手部と金属継手部との接続部の止水性を向上させることができる。
このような構成とすることにより、一般的に内層樹脂部と外層樹脂部との離間(剥離)が生じやすい内層樹脂部と外層樹脂部とが重なる部分における管軸方向の端部の近傍において、内層樹脂部と外層樹脂部とが離間することを防止することができる。
ここで、内層樹脂部と外層樹脂部とが重なる部分における管軸方向の端部の近傍とは、内層樹脂部と外層樹脂部とが重なる部分における管軸方向の端から、管軸方向に沿って、前記重なる部分の全長の80%以内に位置する部分を意味する。
このような構成とすることにより、溶融継手部における内部に金属継手部が配置される部分は、外層樹脂部のみで形成された1層構造となり、内層樹脂部と外層樹脂部とで形成された2層構造の場合と比べて、製造時における金型への樹脂の充填を容易にかつ良好に行うことができる。
内層樹脂部と金属継手部とが正位置に配置された状態で外層樹脂部を成形することにより、内層樹脂部、外層樹脂部および金属継手部それぞれが正位置に配置され、変換継手の止水性を向上させることができる。
以下、本発明の第1実施形態による変換継手1および変換継手1の製造方法について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、第1実施形態による変換継手1は、樹脂管継手と金属管継手とを接続する継手(電気融着継手、EF継手)である。変換継手1は、樹脂管継手が溶融接続される樹脂製の溶融継手部2と、金属管継手が接続される金属製の金属継手部3と、を有している。溶融継手部2と金属継手部3とは、連結されている。
溶融継手部2および金属継手部3は、それぞれ軸線が直線に延びる管状に形成され、それぞれの軸線が同一直線上に配置されている。
管軸方向における、金属継手部3に対して溶融継手部2が設けられている側(図面の左右方向の左側)を一方側とし、溶融継手部2に対して金属継手部3が設けられている側(図面の左右方向の右側)を他方側とする。
溶融継手部2と金属継手部3とは、第1嵌合部22の内部に第2嵌合部32が挿入された状態で嵌合している。
第1嵌合部22が本発明の「溶融継手部における内部に金属継手部が配置される部分」に相当する。
第2嵌合部32が本発明の「金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分」に相当し、第2嵌合部32の管軸方向の一方側の端部32aの近傍が「金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分」に相当する。
第2受口部31における管軸方向の他方側の部分の外周面31eには、金属管継手が螺合する雄ねじ33が形成されている。第2受口部31における雄ねじ33の管軸方向の一方側には、六角状の係止部34が設けられている。
図2に示すように、金属継手部3は、第2嵌合部32における管軸方向の一方側の端面32cに第1溝部35が形成され、外周面32eに第2溝部36および第3溝部37が形成されている。
第1溝部35は、管軸方向の他方側に窪む溝で、第2嵌合部32における管軸方向の一方側の端面32cに、周方向全体にわたって(全周に)環状に形成されている。
第2溝部36および第3溝部37は、第2溝部36が第3溝部37の管軸方向の一方側に位置するように配置されている。第2溝部36および第3溝部37は、それぞれ第2嵌合部32の外周面32eに周方向全体にわたって環状に形成されている。
溶融継手部2は、径方向の内側に配置される内層樹脂部4と、内層樹脂部4の外周に巻きつけられた電熱線23と、電熱線23が巻き付けられた内層樹脂部4の外周を囲む外層樹脂部5と、電熱線23が接続される第1端子24および第2端子25と、を有している。
内層樹脂部4および外層樹脂部5の材質は、熱可塑性樹脂とされ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの結晶性樹脂が好ましい。
溶融継手部2は、電熱線23に印加することで、樹脂管継手が溶着接続されるように構成されている。
第1受口部形成部41および第1嵌合部形成部6は、それぞれ円筒状に形成されている。第1受口部形成部41および第1嵌合部形成部6は、第1受口部形成部41が第1嵌合部形成部6の管軸方向の一方側に位置するように配置されている。
第1嵌合部形成部6は、金属継手部3の第2嵌合部32の外周に沿って設けられている。
第1内層ボス部42は、第1受口部形成部41における管軸方向の一方側の端部41aの近傍で、第1受口部形成部41の管軸方向の一方側の端部41aよりも少し管軸方向の他方側となる位置に配置されている。
第2内層ボス部43は、第1受口部形成部41の管軸方向における他方側の端部の近傍で、第1受口部形成部41の管軸方向の他方側の端部41bよりも少し管軸方向の一方側となる位置に配置されている。
第1端子24は、第1内層ボス部42の先端部に設置されている。第2端子25は、第2内層ボス部43の先端部に設置されている。
電熱線23は、ニクロム線などで、電熱線巻きつけ溝部44に沿って第1受口部形成部41に螺旋状に巻きつけられている。電熱線23は、一方の端部が第1端子24に接続され、他方の端部が第2端子25に接続されている。
円筒部61における管軸方向の一方側の端部61aは、第1受口部形成部41の管軸方向の他方側の端部41bと接続されている。
第1突出部62、第2突出部63および第3突出部64は、管軸方向の一方側から他方側に向かって第1突出部62、第2突出部63、第3突出部64の順番に管軸方向に間隔をあけて配置されている。
第1突出部62、第2突出部63および第3突出部64は、それぞれ円筒部61の内周面61fの周方向全体から突出していて、環状に形成されている。
第2突出部63は、円筒部61における管軸方向の中間部から径方向の内側に突出している。
第3突出部64は、円筒部61における管軸方向の中間部で、第2突出部63よりも管軸方向の他方側で、円筒部61における管軸方向の他方側の端部61bよりも管軸方向の一方側となる位置から径方向の内側に突出している。
第2突出部63および第3突出部64は、円筒部61からの突出寸法がほぼ同じ寸法に設定されている。第1突出部62は、第2突出部63および第3突出部64よりも円筒部61からの突出寸法が大きく設定されている。
第4突出部65は、第1突出部62から管軸方向の他方側に突出している。第4突出部65は、円筒部61と離間している。第4突出部65の先端部は、第2突出部63まで達しておらず、第2突出部63と離間している。
第1突出部62は、第2嵌合部32における管軸方向の一方側に端面32cに沿って設けられている。
第4突出部65は、第2嵌合部32の第1溝部35に設けられていて、第1溝部35に充填された樹脂によって形成されている。
第2突出部63は、第2嵌合部32の第2溝部36に設けられていて、第2溝部36に充填された樹脂によって形成されている。
第3突出部64は、第2嵌合部32の第3溝部37に設けられていて、第3溝部37に充填された樹脂によって形成されている。
なお、金属継手部3に第1溝部35と第2溝部36とを連通する孔部が形成されていて、第4突出部65と第2突出部63とが孔部に充填された樹脂によって連結されていてもよい。
内層樹脂部4と外層樹脂部5とは、管軸方向に同じ長さに形成されている。内層樹脂部4における管軸方向の一方側の端部4aと、外層樹脂部5における管軸方向の一方側の端部5aと、は径方向に重なり、内層樹脂部4における管軸方向の他方側の端部4bと、外層樹脂部5における管軸方向の他方側の端部5bと、は径方向に重なっている。このため、溶融継手部2の内周面2fは、内層樹脂部4の内周面4fで形成され、溶融継手部2の外周面2eは、外層樹脂部5の外周面5eで形成されている。
第1外層ボス部52および第2外層ボス部53は、それぞれ円筒状に形成され、その軸線が互いに平行で径方向に延びる向きに配置されている。
第1外層ボス部52は、第1内層ボス部42の径方向の外側(図2では上側)に配置され、内部に第1端子24が配置されている。第2外層ボス部53は、第2内層ボス部43の径方向の外側(図2では上側)に配置され、内部に第2端子25が配置されている。
外層円筒部51の管軸方向の他方側の端部51bの近傍の外周部には、金属製のリング11を取り付けるための切り欠き部55が周方向全体にわたって形成されている。切り欠き部55は、溶融継手部2の第1嵌合部22に位置している。金属製のリング11は溶融継手部2の第1嵌合部22を金属継手部3の第2嵌合部32に締め付けるために設けられる。なお、変換継手1には、金属製のリング11が設けられていなくてもよく、外層円筒部51に切り欠き部55が形成されていなくてもよい。
以下では、金属継手部3は予め製作されており、溶融継手部2を製造する工程について説明する。
まず、内層樹脂部4を成形する内層樹脂部成形工程を行う。
図3に示すように、内層樹脂部4を成形する内層金型71に金属継手部3を設置し、内層樹脂部4の樹脂を射出する。
内層金型71は、内層樹脂部4の外形を形成する内層外枠72と、内層樹脂部4の内部の空洞部を形成するコア金型73と、を有している。
内層外枠72のゲート74は、内層外枠72が2分割される境界部分で、第1内層ボス部42および第2内層ボス部43が成形される側と反対側となる位置、かつ金属製のリング11に締め付けられる加締め部以外の位置に設けられている。内層樹脂部4の樹脂は、内層樹脂部4に対して側面から充填される。
従来、樹脂管継手の受口と反対側にゲートを設けることで、金型に樹脂を均一に充填しやすいとともに、ゲート痕が残ること無く、ウェルド(樹脂の合流痕)ができることがない。しかしながら、本実施形態では、樹脂管継手の受口と反対側にはコア金型73と連結された金属継手部3が設けられるため、内層樹脂部4の側面となる位置にゲート74を設けている。このため、本実施形態では内層樹脂部4の側面となる位置にゲート痕が形成され、ゲート痕の反対側の内層樹脂部4にはウェルドが形成される。なお、ゲート74は金属継手部3に臨む位置に設けないことが好ましい。金属継手部74は、金型よりも温度が低く不均一になっている可能性があり、金属継手部74と接触した樹脂が冷却され、樹脂を金型内に均一に充填できない恐れがある。また、電熱線巻きつけ溝部44にゲート痕が形成されると電熱線を巻き付けにくくなるため、ゲート74は電熱線巻きつけ溝部44となる位置には設けないことが好ましい。
また、内層外枠72のゲートは、樹脂管継手の受口端部全体から樹脂を充填するディスクゲートとして設けられていてもよく、内層樹脂部4の側面にゲート痕が残ることがなく、ウェルドができることもない。
本実施形態の変換継手1は、金属継手部3の第2嵌合部32の周囲に内層樹脂部4の第1嵌合部形成部6が設けられている。
このため、内層樹脂部成形工程では、内層外枠72の内部にコア金型73および金属継手部3を設置し、コア金型73および金属継手部3と内層外枠72との間のキャビティ75に樹脂をゲート74から射出して内層樹脂部4を成形する。
内層樹脂部4の樹脂が硬化したら、内層樹脂部4をコア金型73および金属継手部3とともに内層外枠72から外す。上述しているが、内層樹脂部4の第2〜第4突出部65は、金属継手部3の第1〜第3溝部37に充填された樹脂によって形成されている。内層樹脂部4と金属継手部3とは連結されている。
内層樹脂部4の電熱線巻きつけ溝部44に沿って電熱線23を巻きつける。電熱線巻きつけ工程と前後して、第1端子24を第1内層ボス部42に設置し、第2端子25を第2内層ボス部43に設置する。
内層樹脂部4に巻きつけられた電熱線23を第1端子24および第2端子25に接続する。
電熱線巻きつけ工程では、コア金型73は、内層樹脂部成形工程に引き続き内層樹脂部4の内部に配置された状態となっている。
図4に示すように、外層樹脂部5を成形する外層金型76に電熱線23、第1端子24および第2端子25が設けられた内層樹脂部4、および内層樹脂部4と連結された金属継手部3を設置し、外層樹脂部5の樹脂を射出する。
外層樹脂部成形工程では、コア金型73は、電熱線巻きつけ工程に引き続き内層樹脂部4の内部に配置された状態となっている。
外層金型76は、外層樹脂部5の外径を形成する外層外枠77を有している。
外層外枠77のゲート78は、外層外枠77が2分割される境界部分で、第1外層ボス部52および第2外層ボス部53が成形される側と反対側、かつ金属製のリング11に締め付けられる加締め部以外の位置となる位置に設けられている。外層樹脂部の樹脂は、外層樹脂部に対して側面から充填される。
外層樹脂部5の成形においても、ゲート78を第1内層ボス部42および第2内層ボス部43が成形される側と反対側となる位置、かつ金属製のリング11に締め付けられる加締め部以外の位置に設けることにより、第1内層ボス部42および第2内層ボス部43が成形される側、および加締め部にゲート痕が残ることがない。
また、外層外枠77のゲートは、樹脂管継手の受口端部全体から樹脂を充填するディスクゲートとして設けられていてもよく、外層樹脂部5の側面にゲート痕が残ることが無く、ウェルドができることもない。
外層樹脂部5の樹脂が硬化することで、変換継手1が形成される。外層樹脂部5の樹脂が硬化したら、変換継手1を外層外枠77から外し、変換継手1からコア金型73を外す。このようにして、変換継手1が製造される。
上述した本発明の第1実施形態による変換継手1では、溶融継手部2は、内層樹脂部4と、電熱線23が巻きつけられた内層樹脂部4の外周を囲む外層樹脂部5との2層構造となっている。これにより、製造工程において、内層樹脂部4が成形後に収縮し内層樹脂部4の体積が減少しても、内層樹脂部4の収縮した部分に外層樹脂部5の樹脂が充填され、内層樹脂部4の体積の減少分を補填することができる。また、内層樹脂部4が成形後に収縮し、内層樹脂部4と金型との間に隙間が生じても、内層樹脂部4が外層樹脂部5に押されて、内層樹脂部4と金型との隙間を無くすことができる。
このため、本実施形態では、1層構造の溶融継手部と比べて溶融継手部2の樹脂部分全体の体積の減少を抑えることができ、溶融継手部2と金属継手部3との隙間を抑えることができる。その結果、変換継手1の止水性を向上させることができる。
1層構造の溶融継手部では、収縮後の体積は、100×99%=99となる。
2層構造の溶融継手部では、内層樹脂部のみ成形した後の収縮後の体積は、50×99%=49.5となる。外層樹脂部は、設計上の体積と内層樹脂部の減少の補填分を合わせると50+0.5=50.5となり、収縮後の体積は、50.5×99%=49.995となる。2層構造の溶融継手部では、収縮後の内層樹脂部と外層樹脂部を合わせた体積は99.495となり、1層構造の溶融継手部よりも収縮が小さい。
特に、溶融継手部2に結晶性樹脂を採用する場合には、結晶性樹脂は、非結晶性樹脂と比べて溶融状態よりも結晶状態の方が体積が小さく、体積収縮率が大きいため、溶融継手部2を2層構造とすることで、体積の収縮を抑えることができる。なお、溶融継手部の全体が2層構造でなくても、少なくとも一部が2層構造となることにより、収縮を抑えることができる。
金属継手部3の第2嵌合部32には、溶融継手部2の内層樹脂部4のみが接触している。これにより、内層樹脂部4と外層樹脂部5の間に隙間が生じたとしても、この隙間が溶融継手部2の第1嵌合部22と金属継手部3の第2嵌合部32との接続部の止水性に影響することがなく、変換継手1の止水性を良好に維持することができる。
このような構成とすることにより、金属継手部3の第2嵌合部32と内層樹脂部4とが嵌合した状態となるため、金属継手部3の第2嵌合部32と内層樹脂部4とが接触した状態を良好に維持することができ、変換継手1の止水性を向上させることができる。
内層樹脂部4と金属継手部3とが正位置に配置された状態で外層樹脂部5を成形することにより、内層樹脂部4、外層樹脂部5および金属継手部3が正位置に配置され、変換継手1の止水性を向上させることができる。
次に、本発明の他実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
(第2実施形態)
図5に示すように、第2実施形態による変換継手1Bは、溶融継手部2Bの内層樹脂部4Bが外層樹脂部5Bよりも管軸方向に短く形成されている。内層樹脂部4Bにおける管軸方向の一方側の端部4aは、外層樹脂部5Bにおける管軸方向の一方側の端部5aよりも管軸方向の他方側に位置している。内層樹脂部4Bにおける管軸方向の他方側の端部4bは、外層樹脂部5Bにおける管軸方向の他方側の端部5bよりも管軸方向の一方側に位置している。
内層樹脂部4Bにおける管軸方向の一方側および他方側の端面4dは、外層樹脂部5Bに覆われている。
第1受口部21Bにおける管軸方向の一方側の端部21aの近傍とは、第1受口部21Bにおける管軸方向の一方側の端から、管軸方向の他方側に沿って、第1受口部21Bの全長の80%以内に位置する部分を意味する。
第1嵌合部22Bにおける管軸方向の他方側の端部22bの近傍とは、第1嵌合部22Bにおける管軸方向の他方側の端から、管軸方向の一方側に沿って、第1嵌合部22Bの全長の80%以内に位置する部分を意味する。
このため、外層樹脂部5は、外層円筒部51における管軸方向の他方側の部分が管軸方向の一方側よりも厚く成形されて径方向の内側に突出する第3突出部64Bが形成されている。第3突出部64Bは、金属継手部3の第3溝部37に充填された樹脂によって形成されている。
このため、内層樹脂部4Bと外層樹脂部5Bとの間に隙間が生じたとしても、この隙間が、金属継手部3の第2嵌合部32の管軸方向の一方側の端部32aの近傍と内層樹脂部4Bとの接触状態に影響する虞がない。
金属継手部3Bの第2嵌合部32における管軸方向の一方側の端部32aの近傍には、溶融継手部2Bの内層樹脂部4Bのみが接触している。これにより、内層樹脂部4Bと外層樹脂部5Bの間に隙間が生じたとしても、この隙間が溶融継手部2の第1嵌合部22と金属継手部3の第2嵌合部32との接続部の止水性に影響することがなく、第1実施形態と同様に、変換継手1Bの止水性を良好に維持することができる。
このため、変換継手1Bの止水性を向上させることができるとともに、溶融継手部2Bの成形性がよい。
さらに、内層樹脂部4Bと外層樹脂部5Bとがずれることを防止できる。特に、電熱線23の加熱時に、溶融継手部2Bに挿入された樹脂管継手に対して、内層樹脂部4Bだけがずれることを防止できる。
図6に示すように、第3実施形態による変換継手1Cは、溶融継手部2Cの内層樹脂部4Cが外層樹脂部5Cよりも管軸方向に短く形成され、内層樹脂部4Cにおける管軸方向の他方側の端部4bが外層樹脂部5Cにおける管軸方向の他方側の端部5bよりも管軸方向の一方側に位置している。内層樹脂部4Cにおける管軸方向の一方側の端部4aは、外層樹脂部5Cにおける管軸方向の一方側の端部5aと径方向に重なって配置されている。
第3実施形態では、内層樹脂部4Cは、金属継手部3と接触しておらず、外層樹脂部5Cにおける内層樹脂部4Cよりも管軸方向の他方側に位置する部分が第1嵌合部形成部6Cとなり金属継手部3と接触している。第3実施形態では、第1嵌合部22Cが外層樹脂部5Cで形成されている。
外層円筒部51Cにおける管軸方向の一方側の端部5aは、第1受口部形成部41Cにおける管軸方向の他方側の端部41bと接続されている。
第1突出部62C、第2突出部63Cおよび第3突出部64Cは、管軸方向に間隔をあけて設けられていて、管軸方向の一方側から他方側に向かって第1突出部62C、第2突出部63C、第3突出部64Cの順番に配置されている。
第1突出部62C、第2突出部63Cおよび第3突出部64Cは、それぞれ円筒部61の内周面61fの周方向全体から突出していて、環状に形成されている。
第3実施形態においても、金属継手部3に第1溝部35と第2溝部36とを連通する孔部が形成されていて、第4突出部65Cと第2突出部63Cとが孔部に充填された樹脂によって連結されていてもよい。
内層樹脂部4Cの管軸方向の端部4a,4bの近傍とは、内層樹脂部4Cが外層樹脂部5Cと重なる部分における管軸方向の端から、管軸方向に沿って、前記重なる部分の全長の80%以内に位置する部分を意味する。
内層樹脂部4Cの外周面4eにおける第1内層ボス部42と電熱線23が巻きつけられる溝部との間の領域に形成された内層凹凸部45を第2内層凹凸部452とする。
内層樹脂部4Cの外周面4eにおける内層樹脂部4Cの管軸方向の他方側の端部4bの近傍の領域に形成された内層凹凸部45を第3内層凹凸部453とする。
第3実施形態では、内層凹凸部45が形成される領域に、内層樹脂部4Cの外周面4eから突出し周方向全体にわたって延びる環状の凸条が、管軸方向に間隔をあけて複数形成されている。複数の凸条と、管軸方向に隣り合う凸条の間の凹条とが内層凹凸部45を形成している。
このような構成とすることにより、一般的に内層樹脂部4Cと外層樹脂部5Cとの離間(剥離)が生じやすい内層樹脂部4Cと外層樹脂部5Cとが重なる部分における管軸方向の端部の近傍において、内層樹脂部4Cと外層樹脂部5Cとが離間することを防止することができる。
図7に示すように、第4実施形態による変換継手1Dは、溶融継手部2Dの管軸方向の一方側の端部2aの形態が、第3実施形態による変換継手1Cと異なっている。
第4実施形態による溶融継手部2Dでは、外層樹脂部5Dにおける管軸方向の一方側の端部5aが内層樹脂部4Dにおける管軸方向の一方側の端部4aよりも管軸方向の一方側に位置していて、内層樹脂部4Dにおける管軸方向の一方側の端面4cが外層樹脂部5に覆われている。
第4実施形態では、第3実施形態と同様に内層樹脂部4Dに内層凹凸部45が形成され、外層樹脂部5Dに外層凹凸部56が形成されている。
内層樹脂部4Dにおける第1内層ボス部42よりも管軸方向の一方側の部分が第3実施形態よりも小さくなっている。このため、内層樹脂部4Dの第1内層凹凸部451D、および外層樹脂部5Dの第1外層凹凸部561Dは、第3実施形態の第1内層凹凸部451、および第1外層凹凸部561よりも凹条及び凸条の数が少なくなっている。
また、第4実施形態による変換継手1Dでは、内層樹脂部4Dにおける管軸方向の一方側の端部4aを外層樹脂部5Dが覆っていることにより、内層樹脂部の端部が外層樹脂部に覆われていない変換継手と比べて、内層樹脂部4Dと外層樹脂部5Dとが互いに接合される部分を多く確保することができる。
このため、変換継手1Dの止水性を向上させることができるとともに、溶融継手部2Dの成形性がよい。
さらに、内層樹脂部4Dと外層樹脂部5Dとがずれることを防止できる。特に、電熱線23の加熱時に、溶融継手部2Dに挿入された樹脂管継手に対して、内層樹脂部4Dだけがずれることを防止できる。
図8に示すように、第5実施形態による変換継手1Eは、溶融継手部2Eにおける金属継手部3と嵌合する第1嵌合部22Eが内層樹脂部4Eで構成されている。その他は、第1実施形態による変換継手1Aと同様に構成されている。
内層樹脂部4Eの第1嵌合部22Eを形成する第1嵌合部形成部6Eは、管軸方向の一方側の部分が外層樹脂部5Eに囲まれていて、それ以外の部分は外層樹脂部5Eに囲まれていない。
第1嵌合部形成部6Eの円筒部61E外周には、金属製のリング11が取り付けられている。上述しているが、第1実施形態では、外層円筒部51の管軸方向の他方側の端部51bの近傍の外周部に形成された切り欠き部55に、金属製のリング11が取り付けられている(図2参照)。
と同様の効果を奏する。
例えば、上記の第1実施形態および第2実施形態では、金属継手部3の第2嵌合部32(溶融継手部2の内部に配置される部分)が、全周にわたって内層樹脂部4と接触している。これに対し、上記の第1実施形態および第2実施形態において、金属継手部3の第2嵌合部32(溶融継手部2の内部に配置される部分)が、内層樹脂部4と接触しておらず。外層樹脂部5と接触していてもよい。
また、上記の実施形態では、金属継手部3に第1〜第3溝部37が形成され、内層樹脂部4または外層樹脂部5に第1〜第3溝部37に嵌合する第2〜第4突出部65が形成されている。これに対し、内層樹脂部4および外層樹脂部5のいずれか一方または両方が金属継手部3と接触していれば、金属継手部3に第1〜第3溝部37が形成されず、外層樹脂部5に第2〜第4突出部65が形成されていなくてもよい。
また、第1実施形態による変換継手1,1Bにおいて、内層樹脂部4に内層凹凸部45が形成され、外層樹脂部5に外層凹凸部56が形成されていてもよい。
2,2B〜2D 溶融継手部
3 金属継手部
4,4B〜4D 内層樹脂部
4e 外周面
5,5B〜5D 外層樹脂部
5f 内周面
22 第1嵌合部(溶融継手部における内部に金属継手部が配置される部分)
23 電熱線
32 第2嵌合部
32a 端部(金属継手部における溶融継手部の内部に配置される部分の端部)
32e 外周面
35 第1溝部(溝部)
36 第2溝部(溝部)
37 第3溝部(溝部)
45 内層凹凸部
56 外層凹凸部
73 コア金型
Claims (10)
- 樹脂管継手が溶融接続される溶融継手部と、
金属管継手が接続される金属継手部と、を有し、
前記溶融継手部の内部に前記金属継手部が配置されて連結された変換継手において、
前記溶融継手部は、管状の内層樹脂部と、
前記内層樹脂部の外周に巻きつけられた電熱線と、
前記電熱線が巻きつけられた前記内層樹脂部の外周を囲む外層樹脂部と、を有することを特徴とする変換継手。 - 前記金属継手部における前記溶融継手部の内部に配置される部分が、全周にわたって前記内層樹脂部と接触していることを特徴とする請求項1に記載の変換継手。
- 前記金属継手部における前記溶融継手部の内部に配置される部分の端面、および前記端面と連続する外周面が、全周にわたって前記内層樹脂部と接触していることを特徴とする請求項2に記載の変換継手。
- 前記金属継手部における前記溶融継手部の内部に配置される部分の外周面全体が、全周にわたって前記内層樹脂部と接触していることを特徴とする請求項2または3に記載の変換継手。
- 前記金属継手部における前記溶融継手部の内部に配置される部分には、前記金属継手部の周方向に延びる溝部が形成され、
前記溝部には、前記内層樹脂部が配置されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の変換継手。 - 前記溝部は、前記金属継手部における前記溶融継手部の内部に配置される部分の端面、および前記端面と連続する外周面のそれぞれに形成されていることを特徴とする請求項5に記載の変換継手。
- 前記内層樹脂部の外周面には、内層凹凸部が形成され、
前記外層樹脂部の内周面には、前記内層凹凸部と嵌合する外層凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の変換継手。 - 前記内層凹凸部および前記外層凹凸部は、前記内層樹脂部と前記外層樹脂部とが重なる部分における管軸方向の端部の近傍に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の変換継手。
- 前記溶融継手部における内部に前記金属継手部が配置される部分が、前記外層樹脂部によって形成され、前記内層樹脂部が前記金属継手部と離間していることを特徴とする請求項7または8に記載の変換継手。
- 樹脂管継手が溶融接続される溶融継手部と、
金属管継手が接続される金属継手部と、を有し、
前記溶融継手部の内部に前記金属継手部が配置されて連結され、
前記溶融継手部は、管状の内層樹脂部と、
前記内層樹脂部の外周に巻きつけられた電熱線と、
前記電熱線が巻きつけられた前記内層樹脂部の外周を囲む外層樹脂部と、を有する変換継手を製造する変換継手の製造方法において、
前記内層樹脂部を成形する内層樹脂部成形工程と、
前記内層樹脂部の外周に前記電熱線を巻きつける電熱線巻きつけ工程と、
前記電熱線が巻きつけられた前記内層樹脂部の外周に前記外層樹脂部を成形する外層樹脂部成形工程と、を有し、
前記内層樹脂部成形工程では、前記内層樹脂部の内部の空洞部を形成するコア金型と、前記金属継手部とを連結させて設置した金型に、前記内層樹脂部を成形する樹脂を射出することを特徴とする変換継手の製造方法。
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