JP2021025541A - 弁体駆動装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、特許文献1と特許文献2に記載されている弁体駆動装置の流路開閉構造は、このようなスライド式の弁体には対応することができない。また、特許文献1と特許文献2には、前記スライド式の構造の弁体駆動装置については記載も示唆もされていない。
そして、前記動力伝達切換部の動力伝達状態は、前記コイルバネが前記締付力による摩擦で前記ロータと一体に回転することで作られる。また、前記動力伝達切換部の動力非伝達状態は、前記コイルバネが前記ロータと一体に回転することを所定の回転位置で前記回転規制部によって規制され、該コイルバネが回転する前記ロータの前記被取付部に対してスリップすることで作られる。
これにより、ロータで弁体を軸回りに回転することで流路を開閉する構造の弁体駆動装置において、前記弁体の流路開閉動作のための動力伝達切換部による動力伝達状態と動力非伝達状態の切り換えを、前記コイルバネの前記締付力と前記スリップによって実現できる。従って、前記弁体を前記ロータの軸に沿う方向に移動せずに軸回りに回転させて流路を開閉する構造の弁体駆動装置においても、前記流路の開閉をコイルバネによる簡単な構造で精度よく行なうことができる。
また、この種の弁体駆動装置において、前記動力非伝達状態となる前記所定の回転位置は、前記弁体が前記流路開閉動作のための原点位置に戻された状態に対応する場合が通常である。即ち、前記弁体が前記原点位置に戻された状態において、前記ロータが回転を継続しても、前記コイルバネの前記スリップにより前記原点位置で停止している弁体に動力は伝わらない。従って、該弁体を前記原点位置に向かって回転させるだけで、該弁体は前記原点位置に到達すると前記ロータが回転していても停止するので、該弁体を前記原点位置に簡単且つ精度よく戻すことができる。また、前記ロータが回転を継続しても、前記コイルバネが前記スリップ状態になるので、騒音や振動が発生する虞を低減することができる。
ここで「弁体側部材」とは、弁体単独の構造と、該弁体と一体に回転する他の部材との組構造の両方を含む意味である。
また、前記コイルバネは、他端が自由端であるので、前記ロータの回転が継続していても該コイルバネの前記スリップ状態を続けることができる。
ここで、コイル側摩擦部の「摩擦力」とは、前記ロータとの間で生じる摩擦力を意味する。
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、図1に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸としている。ここでは、図1の上方はZ軸に沿う方向に一致している。X軸とY軸は、Z軸と直交する限りで特定されている。
<弁体駆動装置の概略構造の説明>
図1から図4に表したように、実施形態1に係る弁体駆動装置1は、流路を成す流路管3が接続され、内部にロータ5(図4)を備えるバルブ本体7(図3)と、ロータ5の周囲に配置されてロータ5を軸2の回りに回転させるステータ9と、を備えている。弁体駆動装置1は、バルブ本体7とステータ9を覆って外部と区画するハウジングを備えているが、このハウジングの図示は省略されている。
図5から図8に表したように、バルブ本体7は、回転することで流路を開閉する弁体4(図6)を備え、ロータ5が軸2の回りに回転することで弁体4を回転するように構成されている。
そして、ロータ5の回転力を弁体4に伝達する動力伝達状態と、ロータ5の回転力を弁体4に伝達しない動力非伝達状態とを切り換える動力伝達切換部6を備えている。
図6に表したように、弁体4は、基体部15の弁座面19に接触した状態でスライド回転するように構成されている。具体的には、基体部15の底部に位置する弁座構成部材21の上面が弁座面19になっており、弁体4は該弁座面19に接触した状態で軸2の回りに回転するように構成されている。
弁体4は、軸2の回りに回転することで、前記小径孔を開閉し、バルブ室13内にある冷媒の各流出管3oへの流出を調整変更する。即ち、弁体4は、前記スライド回転によって流路の出口を開閉する。
本実施形態において、動力伝達切換部6は、ロータ5と弁体4の動力伝達経路に配置されロータ5の被取付部25に締付力を付与する状態で取り付けられるコイルバネ27と、コイルバネ27がロータ5と一体に回転することを規制する回転規制部29と、を備えている。そして、前記動力伝達状態は、コイルバネ27が前記締付力による摩擦でロータ5と一体に回転することで作られ、前記動力非伝達状態は、コイルバネ27がロータ5と一体に回転することを所定の回転位置で回転規制部29によって規制され、コイルバネ27が回転するロータ5の被取付部25に対してスリップすることで作られる。
コイルバネ27が前記スリップにより回転が規制されて停止することで、それに連動して弁体4の回転も規制されて停止する。
ここでは、回転規制部29によってコイルバネ27の回転が規制される前記所定の回転位置は、弁体4が流路開閉動作時に戻される原点位置に対応する。
図5、図6に表したように、ロータ5は、マグネット17の内面と接合して該マグネットを固定する円柱形状の大径部31と、該大径部31より小径で円柱形状の小径部を備えている。前記小径部がコイルバネ27が前記締付力を付与する状態で取り付けられる被取付部25である。図から理解できるように、大径部31と被取付部25(小径部)は、軸2を共通軸としている。
該被取付部(小径部)25の下面は、円形の平坦面20(図10参照)であり、該平坦面20から軸2の下端側が突出している。弁体4は被取付部25の平坦面20と弁座構成部材21の弁座面19との間に、軸2の回りに回転可能に配置されている。
図4に表したように、前記小径部である被取付部25及び該被取付部25に取り付けられているコイルバネ27は、マグネット17が大径部31に接合された状態では、該マグネット17によって外側から覆われる状態になる。
図5から図8に表したように、コイルバネ27は、ロータ5の被取付部25に締付力を付与する状態で取り付けられている。具体的には、コイルバネ27のコイル径が被取付部25の外径より小さく形成されている。
この径の差により、コイルバネ27を被取付部25に取り付けると該コイルバネ27の前記コイル径が弾性的に拡大され、その弾性的拡大の反発力として前記締付力が発生する。
本実施形態では、弁体側部材35は、弁体4と、該弁体4と一体に回転するガイド部材8とを備えている。弁体4とガイド部材8は、該ガイド部材8から突設された凸部10が弁体4の穴部12(図6)に嵌っており、これにより、軸2の回りに両者4、8が一体に回転するように構成されている。
コイルバネ27の一端33はガイド部材8の溝14に係止されている。即ち、ロータ5の回転がコイルバネ27に伝わり、該コイルバネ27の一端33からガイド部材8に伝わり、更にガイド部材8から弁体4に伝わるように構成されている。
尚、弁体側部材35は、ガイド部材8を省いて弁体4だけで構成してもよい。この場合は、前記溝14に相当するものが弁体4に設けられ、コイルバネ27の一端33は弁体4の溝14に相当する部分に係止される。
回転規制部29は、コイルバネ27がロータ5と一体に回転することを規制する。
密閉カバー11と基体部15の間にリング形状のリング板39が挟持されて固定されている。リング板39は、ガイド部材8の周囲であって、該ガイド部材8に対応する位置に配置されている。回転規制部29は、リング板39の内周縁に設けられ、内方すなわちガイド部材8に向かって突設されている。
図6、図7に表したように、ガイド部材8には、その外面に被当接部16が突設されている。具体的には、被当接部16は、ガイド部材8の溝14の一部を構成しつつ、該溝14に隣り合って設けられている。
また、被当接部16は、リング板39に設けられた回転規制部29に対応する位置に配置されている。即ち、ガイド部材8が軸2の回りに回転し、所定の回転位置に来ると回転規制部29が被当接部16に当接することで、ガイド部材8の回転が規制されるように構成されている。
別に言い方をすると、ガイド部材8は、コイルバネ27から回転力が伝達されて回転するので、コイルバネ27がロータ5と一体に回転することを所定に回転位置で回転規制部29によって規制され、コイルバネ27が回転するロータ5の被取付部25に対してスリップする状態になる。
(1)本実施形態によれば、ロータ5と弁体4の動力伝達経路にコイルバネ27が配置され、該コイルバネ27がロータ5の被取付部25に締付力を付与する状態で取り付けられている。
そして、動力伝達切換部6の動力伝達状態は、コイルバネ27が前記締付力による摩擦でロータ5と一体に回転することで作られる。また、動力伝達切換部6の動力非伝達状態は、コイルバネ27がロータ5と一体に回転することを所定の回転位置で回転規制部29によって規制され、該コイルバネ27が回転するロータ5の被取付部25に対してスリップすることで作られる。
従って、ロータ5で弁体4を軸回りに回転することで流路を開閉する構造の弁体駆動装置1において、弁体4の流路開閉動作のための動力伝達切換部6による動力伝達状態と動力非伝達状態の切り換えを、コイルバネ27の前記締付力と前記スリップによって実現できる。これにより、弁体4をロータ5の軸2に沿う方向に移動せずに軸2の回りに回転させて流路を開閉する構造の弁体駆動装置1においても、前記流路の開閉をコイルバネ27による簡単な構造で精度よく行なうことができる。
(2)また、この種の弁体駆動装置において、前記動力非伝達状態となる前記所定の回転位置は、弁体4が前記流路開閉動作のための原点位置に戻された状態に対応する場合が通常であり、本実施形態も同様の原点位置を有する。即ち、弁体4が前記原点位置に戻された状態において、ロータ5が回転を継続しても、コイルバネ27の前記スリップにより前記原点位置で停止している弁体4に動力は伝わらない。従って、該弁体4を前記原点位置に向かって回転させるだけで、該弁体4は前記原点位置に到達するとロータ5が回転していても停止するので、該弁体4を前記原点位置に簡単且つ精度よく戻すことができる。また、ロータ5が回転を継続しても、コイルバネ27が前記スリップ状態になるので、騒音や振動が発生する虞を低減することができる。
また、コイルバネ27は、他端37が自由端であるので、ロータ5の回転が継続していても該コイルバネ27の前記スリップ状態を続けることができる。
次に、本発明に係る弁体駆動装置の実施形態2を、図9に基づいて説明する。尚、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
<コイル側摩擦部>
図9に表したように、本実施形態では、コイルバネ27は、ロータ5の被取付部25と接触する部分が、該コイルバネ27の外表面22の摩擦力と異なる摩擦力を有する、即ち異なる材料より成るコイル側摩擦部24を備えている。コイル側摩擦部24は、ここではロータ5の被取付部25と接触する部分にだけ、即ちコイルバネ27の内周側に設けられているが、これに限定されない。例えば、コイルバネ27の外表面22の全てを覆うようにコイル側摩擦部24を設けてもよい。
これにより、コイルバネ27の締付力を小さくしても、前記動力伝達状態と動力非伝達状態を切り換えるために必要な摩擦力を得ることができ、耐久性を向上することができる。
次に、本発明に係る弁体駆動装置の実施形態3を、図10に基づいて説明する。尚、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
<ロータ側摩擦部>
図10に表したように、本実施形態では、ロータ5の被取付部25は、該被取付部25の外表面の摩擦力と異なる摩擦力を有する、即ち異なる材料より成るロータ側摩擦部32を備えている。ロータ側摩擦部32は、被取付部25の全面に設けられているが、これに限定されない。
コイルバネ27に対して付与する摩擦力が安定していれば、ロータ側摩擦部32を被取付部25の全面に設けなくてもよい。例えば、軸2と平行なリブを周方向に間隔をあけてロータ側摩擦部32を複数並べて配設した構造でもよい。
これにより、コイルバネ27の締付力を小さくしても、前記動力伝達状態と動力非伝達状態を切り換えるために必要な摩擦力を得ることができ、耐久性を向上することができる。
次に、本発明に係る弁体駆動装置の実施形態4を、図11に基づいて説明する。尚、実施形態1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
<粗面>
実施形態2では、コイル側摩擦部24はコイルバネ27と異なる材料のものを用いた構造であるが、本実施形態では、図11に表したように、コイル側摩擦部26は、コイルバネの表面22を粗面化された粗面28で構成されている。粗面化の方法は、粉体を吹き付ける方法等が挙げられる。
この粗面28による構成にすれば、部品点数を増加することなく、コイル側摩擦部26を容易に形成することができる。
尚、上記粗面28は、コイルバネ27ではなく、ロータ5の被取付部25を粗面化して設けても、同様の効果が得られる。
本発明に係る弁体駆動装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
3o…流出管、4…弁体、5…ロータ、6…動力伝達切換部、
7…バルブ本体、8…ガイド部材、9…ステータ、10…凸部、
11…密閉カバー、12…穴部、13…バルブ室、14…溝、
15…基体部、16…被当接部、17…マグネット、19…弁座面、
20…平坦面、21…弁座構成部材、22…外表面、
24…コイル側摩擦部、25…被取付部(小径部)、
26…コイル側摩擦部、27…コイルバネ、28…粗面、
29…回転規制部、31…大径部、32…ロータ側摩擦部、
33…一端、35…弁体側部材、37…他端、39…リング板
Claims (11)
- 回転することで流路を開閉する弁体と、前記弁体を回転するロータを備えるバルブ本体と、
前記ロータを回転させるステータと、
前記ロータの回転力を前記弁体に伝達する動力伝達状態と、前記ロータの回転力を前記弁体に伝達しない動力非伝達状態とを切り換える動力伝達切換部と、を備え、
前記動力伝達切換部は、
前記ロータと前記弁体の動力伝達経路に配置され前記ロータの被取付部に締付力を付与する状態で取り付けられるコイルバネと、
前記コイルバネが前記ロータと一体に回転することを規制する回転規制部と、を備え、
前記動力伝達状態は、前記コイルバネが前記締付力による摩擦で前記ロータと一体に回転することで作られ、
前記動力非伝達状態は、前記コイルバネが前記ロータと一体に回転することを所定の回転位置で前記回転規制部によって規制され、該コイルバネが回転する前記ロータの前記被取付部に対してスリップすることで作られる、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項1に記載の弁体駆動装置において、
前記バルブ本体は、
内と外を区画する密閉カバーと、
前記密閉カバーと接合されてバルブ室を構成する基体部と、を備え、
前記弁体は、前記基体部の弁座面に接触してスライド回転する、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項1又は2に記載の弁体駆動装置において、
前記弁体は、前記スライド回転によって前記流路の出口を開閉する、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の弁体駆動装置において、
前記コイルバネは、一端が弁体側部材に係止され、他端は自由端である、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項4に記載の弁体駆動装置において、
前記弁体側部材は、
前記弁体と、
該弁体と一体に回転するガイド部材と、を備え、
前記コイルバネの一端は前記ガイド部材に係止されている、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項4又は5に記載の弁体駆動装置において、
前記弁体側部材は被当接部を備え、
前記回転規制部は、前記被当接部と当接することによって前記弁体及びコイルバネの回転を規制する、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の弁体駆動装置において、
前記コイルバネは、少なくとも前記ロータと接触する部分が、該コイルバネの外表面の摩擦力と異なる摩擦力を有するコイル側摩擦部を備える、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載の弁体駆動装置において、
前記ロータの前記被取付部は、該被取付部の外表面の摩擦力と異なる摩擦力を有するロータ側摩擦部を備える、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項7又は8に記載の弁体駆動装置において、
前記コイル側摩擦部又は前記ロータ側摩擦部の摩擦力は、前記摩擦部が設けられている前記コイルバネ又は前記被取付部の外表面の摩擦力より大きい、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項7から9のいずれか一項に記載の弁体駆動装置において、
前記コイル側摩擦部又は前記ロータ側摩擦部は、前記コイルバネの表面又は前記被取付部の表面を粗面化された粗面で構成されている、
ことを特徴とする弁体駆動装置。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載の弁体駆動装置において、
前記ロータが回転する軸に前記弁体側部材が配置されている、
ことを特徴とする弁体駆動装置。
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