JP2021025100A - 硬質皮膜が被覆された被覆部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】中間層を有することなく、切削工具、摺動部材、金型、自動車部品等に求められている平滑さを有し、基材に対する密着性を高めたDLC皮膜を含む被覆部材を提供する。【解決手段】基材上の硬質皮膜における積層されたDLC皮膜が、実質的に水素を含まず、前記基材側から膜表面側に向かうにつれて、sp3結合/(sp2結合+sp3結合)で表されるsp3比率が増加しているものであること、前記DLC皮膜の前記基材側の前記sp3比率の平均値が0.4〜0.6であること、前記DLC皮膜の前記膜表面側の前記sp3比率の平均値が0.7〜0.9であること、前記基材側の前記sp3比率の平均値と前記膜表面側の前記sp3比率の平均値との差が0.2〜0.5であること、を特徴とする被覆部材。【選択図】図2

Description

本発明は、皮膜に対して高い密着性と平滑性が要求される切削工具、摺動部材、金型、自動車部品等の用途に、特に、切削工具の用途に、好適なDLC皮膜を含む硬質皮膜を被覆した部材に関するものである。
DLC(Diamond−Like Carbon)皮膜は、ダイヤモンド構造(sp構造)とグラファイト構造(sp構造)とが混在するアモルファス炭素皮膜であって、高硬度で優れた耐摩耗性を有しているため、切削工具、摺動部材、金型、自動車部品等の皮膜として広く用いられている。
DLC皮膜は、特に金属材料との親和性が乏しく、また、非常に高い圧縮応力を有するために基材との密着性が悪く剥離しやすいという問題がある。そのため、中間層を設けることによって密着性を改善することが検討されている。しかし、中間層を用いた場合、複数の原料を使用するために製造工程が煩雑になる他、また中間層によりDLC皮膜と基材の界面の密着性のみを強化しても、そもそもDLC皮膜の高い圧縮応力が緩和できなければ、厚膜化した際に膜が剥離する可能性がある。そこで、この圧縮応力を緩和すべく、硬いDLC皮膜と軟らかいDLC皮膜を交互に積層した構造とすることが提案されている。
例えば、特許文献1には、断面を明視野TEM像により観察したとき、相対的に白で示される白色の硬質炭素層(軟質層)と、黒で示される黒色の硬質炭素層(硬質層)とが厚み方向に交互に積層されて1μmを超え、50μm以下の総膜厚を有しており、前記白色の硬質炭素層は、厚み方向に扇状に成長した領域を有していることを特徴とするDLC皮膜が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、基材の摺動面側に形成された金属中間層と、該金属中間層上に形成され、第1の炭素膜と第2の炭素膜とが交互に積層されてなる積層炭素膜と、該積層炭素膜上に形成された硬質炭素膜と、を有し、前記第1の炭素膜の透過型電子顕微鏡の明視野観察における像が、前記第2の炭素膜の透過型電子顕微鏡の明視野観察における像よりも明るく、前記第1の炭素膜の厚さをT1、前記第2の炭素膜の厚さをT2として、T2が10nm超え1000nm以下であり、T1/T2が0.010以上0.60以下であることを特徴とするDLC皮膜が記載されている。
さらに、例えば、特許文献3には、硬度の異なる2種類の層が複数層積層(但し、2層のみ積層される場合を除く)された積層皮膜であり、前記2種類の層の硬度差は500〜1700HVで、硬度の高い層が硬度の低い層の厚さと同一又はそれ以上の厚さを有し、皮膜全体の厚さが5.0μm以上であるDLC皮膜が記載されている。
特許第6273563号公報 特開2017−53435号公報 特許第5977322号公報
前記特許文献1に記載されたDLC皮膜は、膜内に扇形の析出物があるために膜が平滑でないという問題がある。また、特許文献2、3では、硬質DLC皮膜と軟質DLC皮膜との界面で膜が剥離する恐れがある。
そこで、本発明は前記課題を解決し、中間層を有することなく、切削工具、摺動部材、金型、自動車部品等に求められている平滑さを有し、基材に対する密着性を高めたDLC皮膜を被覆した部材を提供することを目的とする。
本発明者は、切削工具、摺動部材、金型、自動車部品等に求められている平滑なDLC皮膜の密着性を高めるために鋭意検討を行った。
その結果、実質的に水素を含有せずsp比率が基材側から表面側に向かって増加するDLC皮膜を2層以上積層することにより、平滑さを有し、圧縮応力を緩和して耐剥離性を高め、厚膜でかつ硬度が高く、耐摩耗性に優れる硬質皮膜を得ることができるという新規な知見を得た。
すなわち、本発明はこの知見に基づくものであって、以下のとおりのものである。
「(1)基材の上にDLC皮膜が2層以上積層された硬質皮膜が被覆された被覆部材であって、
前記DLC皮膜は実質的に水素を含まず、前記基材側から膜表面側に向かうにつれて、sp結合/(sp結合+sp結合)で表されるsp比率が増加しているものであること、
前記DLC皮膜の前記基材側の前記sp比率の平均値が0.4〜0.6であること、
前記DLC皮膜の前記膜表面側の前記sp比率の平均値が0.7〜0.9であること、
前記基材側の前記sp比率の平均値と前記膜表面側の前記sp比率の平均値との差が0.2〜0.5であること、
を特徴とする被覆部材。
(2)前記DLC皮膜の平均厚さが10〜200nmであることを特徴とする前記(1)に記載の被覆部材。
(3)前記硬質皮膜の厚さが350〜2000nmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の被覆部材。」
本発明の硬質皮膜が被覆された被覆部材は、平滑であって、高い密着性と耐摩耗性を有しているから、より高い加工能率と工具寿命を持つ切削工具、長寿命の摺動部材、金型、自動車部品等を得ることができる。
DLC皮膜及びグラファイトのπ*、σ*ピークの位置を示す模式図である。 硬質皮膜がDLC皮膜の積層構造であることを示す模式図である。
次に、本発明の硬質皮膜について、より詳細に説明をする。なお、本明細書、特許請求の範囲において、数値範囲を「X〜Y」のように表現する場合、その範囲は上限および下限の数値を含む(すなわち、X以上Y以下)ものとし、Xに単位の記載がなくYにのみ単位の記載がなされているときは、Xの単位はYの単位と同じである。
1.基材
基材は被覆部材の用途に応じて選択されるものであって、特に限定されず、鋼、超硬合金、Ti系合金、Al系合金、Cu系合金、セラミックス、樹脂材料が例示できる。鋼としては、構造用炭素鋼・合金鋼、工具鋼、ステンレス鋼などがあげられる。
2.硬質皮膜
硬質皮膜は、実質的に水素を含まず、基材から表面側に向かってsp結合/(sp結合+sp結合)で表されるsp比率が単調に増加するDLC皮膜を2層以上積層したものである。
ここで、単調に増加するとは、DLC皮膜の断面において任意の2点のsp比率を比較した際に、基材側のsp比率の方が膜表面側のsp比率よりも小さいまたは同等となることであり、その変化は、例えば、連続的、段階的のいずれでもよく、また、直線的であっても曲線的であってもよい。
(1)sp比率
sp比率であるsp結合/(sp結合+sp結合)は、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy−Loss Spectroscopy:ELLS)を用いて基材と硬質皮膜の界面部分から硬質皮膜の表面までライン分析を行いsp結合由来のピークの積分強度、sp結合由来のピークの積分強度を測定し算出する。
炭素系材料のEELSスペクトルに関しては、図1に示すように、285eV付近にsp結合に由来する1s→π*のピーク、290〜300eV付近にかけてsp結合とsp結合に由来する1s→σ*の双方が重なったピークが観測される。このため、sp結合に由来する1s→σ*のみの強度を取り出すために、sp結合のみで構成される材料であるグラファイトを基準試料として用いる。
285eV付近に見られるグラファイトのピークの積分強度をGπ*、DLCのピークの積分強度をDπ*、290〜300eV付近にかけて見られるグラファイトのピークの積分強度をGσ*、DLCのピークの積分強度をDσ*とすると、sp比率は次の式で算出することができる。
sp比率=1−(Dπ*/Dσ*)/(Gπ*/Gσ*
(2)sp比率の分布
積層されるDLC皮膜のそれぞれにおいて、sp比率は、基材側が低く表面側に向かって増加するから、sp比率は基材側が最小、表面側が最大になる。ここで、sp比率の基材側の平均値とは、各DLC皮膜のsp比率の極小値を平均したもののことであり、0.4〜0.6が好ましく、また、sp比率の表面側の平均値とは、各DLC皮膜のsp比率の極大値を平均したもののことであり、0.7〜0.9が好ましい。
なお、sp比率は所定の間隔で測定される不連続の測定点の集合であるため、前記極大値および極小値は、数学で定義されるものではなく、増加から減少に転じる測定点の値を極大値、減少から増加に転じる測定点の値を極小値としている。
sp比率の極小値を平均したものを0.4〜0.6とする理由は、0.4未満の場合、十分な膜の強度が得られず、外力が加わった際に膜が破損する可能性があり、一方、0.6を超える場合、膜全体が硬くなってしまい、応力緩和効果や衝撃緩和効果が得られなくなるためである。
sp比率の極大値を平均したものを0.7〜0.9とする理由は、sp比率が0.7未満の場合、十分な膜の強度が得られず、外力が加わった際に膜が破損する可能性があるほか、耐溶着性が悪くなり、一方、0.9を超える場合、応力が高く、付着強度が低下するためである。
ここで、基材側のsp比率の平均値(極小値を平均したもの)と膜表面側のsp比率の平均値(極大値を平均したもの)との差は、0.2〜0.5であることが好ましい。その理由は、基材側のsp比率の平均値と膜表面側のsp比率の平均値との差が0.2未満である場合、十分な応力緩和効果が得られず、付着強度が低下してしまう。一方、0.5を超える場合、皮膜内にsp比率の低い部分が存在するため、外力が加わった際に皮膜が破損する可能性がある。
(3)各DLC皮膜の平均厚さ
積層される各DLC皮膜の平均厚さは、10〜200nmであることが好ましい。その理由は、10nm未満であると、明確な積層構造が形成されず、耐摩耗性および耐溶着性が低い硬質皮膜となることがあるためであり、一方、200nmを超えると、十分な応力緩和効果および衝撃緩和効果が得られなくなることがあるためである。
(4)硬質皮膜の膜厚
硬質皮膜の厚さは、用途に依存するところはあるが、350〜2000nmであることが好ましい。その理由は、350nm未満であると、応力緩和効果および衝撃緩和効果が低い硬質皮膜となることがあるためであり、一方、2000nmを超えると十分な耐剥離効果が得られないことおよび皮膜へのドロップレットなどの混入物が増え、平滑性が損なわれることがあるためである。
(5)明視野TEM像
硬質皮膜は、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いて薄膜化したものを、明視野の透過型電子顕微鏡(Trasmission Electron Microscope:TEM)で観察すると、sp比率が低い部分は白色に、高い部分は黒色となる。そのため、本発明の基材側から表面側にsp比率が増加するDLC皮膜を積層した硬質皮膜は、図2に模式的に示すような明視野TEM像では白色部分と黒色部分が交互に存在することが視認できる。
(6)硬質皮膜の押し込み硬さ
硬質皮膜の押し込み硬さ、すなわち、ナノインデンテーション硬さは、50〜80GPaが好ましい。その理由は、硬さを考慮しなければならない切削工具として用いた場合に、硬さが50GPa未満であると十分な耐摩耗性および耐溶着性が得られなくなるためであり、一方、80GPaを超えると、高い圧縮応力により膜が剥離してしまう恐れがあるためである。
なお、ナノインデンテーション硬さとは、ステージ上に置かれた試料にダイヤモンド圧子を押し込み、荷重−変位曲線を得て試料の持つ抵抗力からナノメートルスケールで硬さを求めるものである。
(7)硬質皮膜の表面粗さ
硬質皮膜の表面粗さは用途に依存するところがあるが、一例を挙げるならば、基材表面の算術表面粗さをRa1、硬質皮膜表面の算術表面粗さをRa2としたとき、Ra2とRa1の差Ra2−Ra1は10nm以下であることが好ましい。その理由は、Ra2−Ra1が10nmを超えると、外力が加わった際に膜が破損する恐れがあるほか、工具や金型用として用いた場合に、相手材の凝着が生じる恐れがあるためである。
3.製造方法
硬質皮膜は、例えば、PVD法(AIP:Arc Ion Plating)を用い、積層する各DLC皮膜のそれぞれにおいて、成膜開始時の基材に印加するバイアス電圧を−500〜0Vの間の−100V近傍を除く任意の電圧とし、成膜完了時の基材に印加するバイアス電圧を−100Vに近づけるようにバイアス電圧を制御することを繰り返すことによって、製造することができる。すなわち、sp比率が単調に増加すれば、バイアス電圧の変化率(単位時間当たりのバイアス電圧の変化量)は一定であってもよい。
次に、本発明の被覆部材を切削工具として用いた実施例をあげて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
1.基材
本実施例では、基材として、WC超硬合金を使用した。
2.硬質皮膜の成膜
グラファイトをターゲットとしたAIPの一種であるFAD(Filterd Arc Deposition)により、超硬チップ(ISO規格のSNGN120408)にDLC皮膜を表1に示す成膜回数分繰り返し成膜した。バイアス電圧の制御内容を表1に示す。すなわち、各層の成膜に当たり、1回の成膜時間内で開始バイアス電圧から終了バイアス電圧へバイアス昇降速度で変化させる成膜を成膜回数分行った。バイアス電圧は、線形(変化率を一定)に変化させた。成膜回数は積層数である。
得られた本発明被覆部材(本発明例)1〜9の積層数、各DLC皮膜の基材側のsp比率の平均値(極小値を平均したもの)、膜表面側のsp比率の平均値(極大値を平均したもの)、平均厚さ、硬質皮膜の厚さ(各DLC皮膜の厚さの和)を、本実施例では以下のように求め、結果を表2に示す。
DLC皮膜の基材側のsp比率の平均値(極小値を平均したもの)、膜表面側のsp比率の平均値(極大値を平均したもの)は、以下のように決定した。すなわち、EELSを用い、ビームスポット1nm、1nmステップで基材と硬質皮膜の界面部分から硬質皮膜の表面までライン分析を行い、このライン分析の結果を点状に表したグラフを作成し、該グラフ上の各点をもとに補完処理を行うことなく、減少から増加に転じる極小値の平均値、増加から減少に転じる極大値の平均値を求めた。
硬質皮膜の厚さ(DLC皮膜の積層体の厚さ)に関しては、TEM(倍率50000倍)において、基材表面に水平な方向長さが1μmを超える観察視野における膜の断面積を、基材表面に水平な方向長さで割ることによって求めた。
また、積層数に関しては、EELSのライン分析で得られたsp比率の極小値の数を数え、積層数とした。DLC皮膜の平均の厚さに関しては、上記の方法で求めた硬質皮膜の厚さ(DLC皮膜の積層体の厚さ)を、積層数で割ることによって求めた。
また、硬質皮膜および基材の算術表面粗さに関しては、触針探査計を用いて、以下の測定条件で硬質皮膜表面の任意の箇所を測定し、得られた値の平均値を算出することで求めた。
測定回数:3回
触針半径:2μm
測定長さ:1mm
測定速度:0.1mm/s
本発明例において、ナノインデンテーション硬さは、以下の測定条件で硬質皮膜表面の任意の箇所を測定し、得られた値の平均値を算出することで求めた。
測定点:20点
圧子形状:バーコビッチ(稜間角115°)
押込み荷重:0.98mN
押込み時間:10秒
保持時間:1秒
除荷時間:10秒
比較のために、表1に示すように、硬質皮膜の成膜条件を調整して本発明で規定する事項を満足しない比較被覆部材(比較例)1〜6を成膜した。これら比較例1〜6についても、実施例1〜9と同様に、各DLC皮膜のsp比率の基材側の平均値(極小値を平均したもの)・表面側の平均値(極大値を平均したもの)、平均厚さ、硬質皮膜の厚さ(各DLC皮膜の厚さの和)、算術表面粗さ、および、ナノインデンテーション硬さを求め、結果を表2に示す。
なお、比較例1、2は単層のDLC皮膜を成膜したものである。
Figure 2021025100
Figure 2021025100
次に、本発明および比較例の被覆部材に対して、超硬チップ(ISO規格のSNGN120408)を使用して以下の切削試験を行い、溶着面積と剥離の有無を調べた。結果を表3に示す。
湿式切削試験
切削方式:旋削加工
被削材:アルミニウム合金(A6063)
切削速度:1000m/分
送り:0.4mm
切り込み深さ:1mm
切削試験時間:10秒
Figure 2021025100
表3から明らかなように、本発明で規定する事項を満足する硬質皮膜を有する実施例1〜9の被覆部材は、平滑であって、密着性に優れ、さらに、耐溶着性にも優れることから摩擦特性も良いといえ、より高い加工能率と長い工具寿命を持つ切削工具として使用できる。また、この被覆部材は摺動部材、金型、自動車部品等とすることができることは明らかである。
一方、本発明で規定する事項を満足していない硬質皮膜を有する比較例1〜6の被覆部材は、高い加工能率と工具寿命を持つ切削工具としての用途に供することは難しく、また、摺動部材、金型、自動車部品の用途に供することも困難であることは明らかである。
本発明の被覆部材は、高い加工能率と長い工具寿命を持つ切削工具、摺動部材、金型、自動車部品の用途に供することができ、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。

Claims (3)

  1. 基材の上にDLC皮膜が2層以上積層された硬質皮膜が被覆された被覆部材であって、
    前記DLC皮膜は実質的に水素を含まず、前記基材側から膜表面側に向かうにつれて、sp結合/(sp結合+sp結合)で表されるsp比率が増加しているものであること、
    前記DLC皮膜の前記基材側の前記sp比率の平均値が0.4〜0.6であること、
    前記DLC皮膜の前記膜表面側の前記sp比率の平均値が0.7〜0.9であること、
    前記基材側の前記sp比率の平均値と前記膜表面側の前記sp比率の平均値との差が0.2〜0.5であること、
    を特徴とする被覆部材。
  2. 前記DLC皮膜の平均厚さが10〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の被覆部材。
  3. 前記硬質皮膜の厚さが350〜2000nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆部材。
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