JP2021022677A - ワイヤハーネスの放熱構造 - Google Patents
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Abstract
Description
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスの放熱構造は、
(1)ワイヤハーネスと、前記ワイヤハーネスが熱伝導可能に接触する放熱体と、特定方向で熱伝導性が向上された熱伝導部材を含み、前記ワイヤハーネスと前記放熱体とが、前記熱伝導部材を前記特定方向で間に挟んで、相互に押し当てられているワイヤハーネスの放熱構造である。
しかも、ワイヤハーネスと放熱体の間に、熱伝導部材を特定方向に挟むように介在させればよいことから、既存のワイヤハーネスと放熱体に対して形状変更等を必要とすることなく、簡便に本開示の放熱構造を適用することができる。それゆえ、汎用性の向上を図りつつ優れた放熱性を確保できるワイヤハーネスの放熱構造を、簡単な構造で提供することが可能となる。特に、熱伝導部材を特定方向で挟んだ状態でワイヤハーネスと放熱体が相互に押し当てられていることから、効率的な熱伝導を安定して維持することができる。
また、熱伝導部材としてシート状の熱伝導シートを採用することで、熱伝導率が向上された方向以外の方向でワイヤハーネスと放熱体の間に無駄に熱伝導部材が配設され、かえって熱籠りの原因になることも有利に回避できる。
さらに、上記(2)と組み合わせでは、1枚の熱伝導シートを用いて、ワイヤハーネスと冷却管およびワイヤハーネスとケースの両方を熱伝導シートを厚さ方向で挟んで相互に押し当てることも可能である。これにより、ワイヤハーネスの2つの放熱体への伝熱経路を、少ない部品点数で効率的に構築できる。
冷却管の外周面に熱伝導シートを巻きつけることで、外周密着部と側方突出部を容易に構成でき、2本のワイヤハーネスと放熱体である冷却管とが、厚さ方向で熱伝導シートを間に挟んで相互に押し当てる構造を有利に構築できるからである。しかも、第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスの当接面間には、熱伝導シートが二重に重ね合された側方突出部が介在している。これにより、各ワイヤハーネスにおいて一重の熱伝導シートを厚さ方向で間に挟んで当接する冷却管との熱交換が優先的に促進されて、冷却管による各ワイヤハーネスの放熱(吸熱)が確実に促進される。
筒状部材の底壁上に載置した冷却管の上方から熱伝導シートの長さ方向中間部分を載置するように配設し、その熱伝導シートの上方側から長さ方向両端部分に対して第1および第2ワイヤハーネスを載置することで、各密着部を容易に構成できる。また、1枚の伝熱シートを用いて、ワイヤハーネスと冷却管およびワイヤハーネスと筒状部材を、それぞれ熱伝導シートを厚さ方向で挟んで相互に押し当てることができる。これにより、ワイヤハーネスの複数の放熱体への伝熱経路を少ない部品点数で効率的に構築できる。なお、第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスは、少なくとも第2当接部位で筒状部材に当接していればよいが、複数の当接部位で筒状部材に当接していてもよい。例えば、第1当接部位とは異なるそれぞれの第2当接部位で、第1側密着部と第2側密着部を厚さ方向で間に挟んで筒状部材の底壁に当接し、第1および第2当接部位とは異なるそれぞれの第3当接部位で、第1側密着部と第2側密着部を厚さ方向で間に挟んで筒状部材の側壁に当接していることがさらに好ましい。これにより、筒状部材内で第1ワイヤハーネスと冷却管を安定して保持しつつ、第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスの放熱を促進することができる。
筒状部材の内部において、ワイヤハーネスと冷却管を熱伝導シートを介して安定して所定部位に保持することができる。また、熱伝導シートを相互に離隔配置された第1ワイヤハーネスおよび第2ワイヤハーネスの周囲に環状に巻きつけるだけで、2つの冷却管を収容する一対の窪み部を構成しつつ、熱伝導シートを厚さ方向で間に挟んだ状態で、ワイヤハーネスと筒状部材およびワイヤハーネスと冷却管を複数箇所で相互に押し当てることができる。これにより、ワイヤハーネスの2つの放熱体への伝熱経路を、少ない部品点数で効率的に構築できる。
特定方向で熱伝導率が向上された熱伝導部材を用いていることから、ワイヤハーネスの全長に亘って熱伝導部材を設けることなく、部分的に設けても、所望のワイヤハーネスから放熱体への熱伝導を有利に実現できる。これにより、コストの削減や軽量化等を図ることができる。
本開示の回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下、本開示の実施形態1について、図1から図4を参照しつつ説明する。図1は、図示しない電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に、本開示の実施形態1のワイヤハーネスの放熱構造10を適用した場合の全体構成を示している。図示しない車両の前方にはインバータ12が搭載されたモータ14が配置され、車両の後方にはバッテリ16が配置されている。これらの間は図2に示すように複数本(図示のものは2本)の高圧のワイヤハーネスである第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bによって接続されている。これらの第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bは、放熱体を構成する筒状部材20内に挿通状態で収容されている。ここで、インバータ12は、自動車のモータ14を駆動するために、バッテリ16から供給された電力を交流に変換するために用いられている。また、ワイヤハーネスの放熱構造10を構成する第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bは、任意の向きで配置することができる。以下では、図2に示すZ方向を上方、Y方向を幅方向、X方向を長さ方向として説明する。なお、X方向の右方はバッテリ16側であり、逆方向はインバータ12側である。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
本開示の実施形態1のワイヤハーネスの放熱構造10は、図2に示すように、第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bを含んでいる。第1ワイヤハーネス18aがバッテリ16およびインバータ12のプラス側端子間を接続しており、第2ワイヤハーネス18bがバッテリ16バッテリ16およびインバータ12のマイナス側端子間を接続している。第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bはいずれも、金属製(例えば、アルミニウム合金や銅合金など)の導体22の外周を合成樹脂製の絶縁被覆24で包囲した形態であり、導体22は、複数本の細線(図示せず)を螺旋状に撚り合わせた撚り線からなる。第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bの断面形状は、導体22と絶縁被覆24の双方が真円形とされている。
筒状部材20は、図2に示すように、樋形状で長さ方向に延びる筒状部本体26と、筒状部本体26の上方開口部を覆蓋する矩形平板状の蓋体28を含んで構成されている。筒状部本体26は、長さ方向に延びる矩形平板状の底壁30と、底壁30の幅方向の両端部から上方に向かって突出する矩形平板状の側壁32を含んでいる。底壁30の下面には、長さ方向に離隔する3箇所において、図示しない車両等の所望の位置に固定するための逆U字状の固定用脚部33が溶接等の任意の手段を用いて取り付けられている。筒状部材20を構成する筒状部本体26,蓋体28および固定用脚部33は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。かかる金属板材を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性が高い金属を適宜に選択することができる。
本開示の実施形態1のワイヤハーネスの放熱構造10は、図2に示すように、放熱体を構成する1本の冷却管34を含んでいる。1本の冷却管34は、第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bに沿って平行に延び出している。冷却管34は円筒形状を有しており、図4に示すように、冷却管34の内部は図示しない冷媒が挿通される冷却通路36となっている。第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bは隙間を隔てて並列配置され、冷却管34がそれらの間に配置された状態で、図2の左右方向に延出している。なお、冷却管34は、第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bの外径よりやや小さい外径を有する長尺のパイプによって構成されており、耐熱性、耐圧性及び柔軟性を有する材質にて形成されている。
図2に示すように、熱伝導部材を構成する熱伝導シート42が、第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bの長さ方向である左右方向で相互に離隔する3箇所において、第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bと1本の冷却管34の外周面に巻き付けられて密着されている。熱伝導シート42は、絶縁性を有しており、扁平なシート状をなしている。熱伝導シート42は、熱伝導率が厚さ方向で向上されたものであれば、何れも採用可能である。例えば、特開2015−105282号公報に記載されている、エラストマー等からなる基材に熱伝導性フィラーが含有された熱伝導体であって、熱伝導性フィラーを配向することにより、厚さ方向で熱伝導率が向上されたものも採用可能である。また、特開2009−51148号公報に記載されている、ポリウレタンフォーム(発泡体)からなる基材と、基材中に配合されている磁性フィラーと、を有し、磁性フィラーは、球以外の形状をなし、互いに線接触および面接触の少なくとも一方により連接して配向することにより、厚さ方向で熱伝導率が向上されたものも採用可能である。基材が発泡体であることにより、熱伝導部材が第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bや筒状部材20,冷却管34の外面形状に追従して変形しやすくなる。それゆえ、熱伝導部材の第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bや筒状部材20,冷却管34への接触面積の増大を有利に図ることができる。また、熱伝導シート42は可撓性を有しており、上下方向に加えられる力に応じて、厚さ寸法が変化できるようになっている。なお、本実施形態では、熱伝導シート42は、何れもシート状をなしているが、熱伝導部材の形状はこれに限定されず任意の形状が採用可能である。
続いて、ワイヤハーネスの放熱構造10の組み付け工程の一例について説明する。ワイヤハーネスの放熱構造10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
このように、実施形態3においては、冷却管34の外周面に熱伝導シート70を巻きつけることで、外周密着部44と側方突出部74を容易に構成できる。これにより、第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bと冷却管34とが、厚さ方向で熱伝導シート70を間に挟んで相互に押し当てる構造を有利に構築できる。しかも、第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bの当接面間には、熱伝導シート70が二重に重ね合された側方突出部74が介在している。それゆえ、第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bにおいては一重の熱伝導シート70を厚さ方向で間に挟んで当接する冷却管34との熱交換が優先的に促進されるので、冷却管34による第1ワイヤハーネス18aと第2ワイヤハーネス18bの放熱(吸熱)を確実に促進できる。
(5)例示の実施形態では、第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bの長さ方向で相互に離隔した3箇所に熱伝導部材を設ける例を示したが、2箇所でもよく、4箇所やそれ以上でもよい。さらに第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bの長さ方向の全長にわたって熱伝導部材を設けてさらなる熱伝導率の向上を図ってもよい。
(6)例示の実施形態では、本開示のワイヤハーネスの放熱構造10,60,72,80を、バッテリ16とインバータ12をつなぐ第1ワイヤハーネス18a,第2ワイヤハーネス18bに適用した例を示したが、いずれのワイヤハーネスに対しても本開示のワイヤハーネスの放熱構造10,60,72,80は適用可能である。それゆえ、ワイヤハーネスの本数や放熱体の構造等も例示のものに限定されない。
12 インバータ
14 モータ
16 バッテリ
18a 第1ワイヤハーネス(ワイヤハーネス)
18b 第2ワイヤハーネス(ワイヤハーネス)
20 筒状部材(放熱体)
22 導体
24 絶縁被覆
26 筒状部本体
28 蓋体
30 底壁
32 側壁
33 固定用脚部
34 冷却管(放熱体)
34a 第1冷却管(放熱体)
34b 第2冷却管(放熱体)
36 冷却通路
38 エンジン
40 循環ポンプ
42 熱伝導シート(熱伝導部材)
44 外周密着部
46 第1側密着部
48 第2側密着部
50 第1当接部位
52 第2当接部位
56 第3当接部位
57 第4当接部位
58 熱伝導シート(熱伝導部材)
60 ワイヤハーネスの放熱構造(実施形態2)
62 窪み部
64 上側第1当接部位
66 下側第1当接部位
68 結束バンド
70 熱伝導シート(熱伝導部材)
72 ワイヤハーネスの放熱構造(実施形態3)
74 側方突出部
76 第1当接部位
78 第2当接部位
80 ワイヤハーネスの放熱構造(実施形態3の変形例)
Claims (8)
- ワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスが熱伝導可能に接触する放熱体と、
特定方向で熱伝導性が向上された熱伝導部材を含み、
前記ワイヤハーネスと前記放熱体とが、前記熱伝導部材を前記特定方向で間に挟んで、相互に押し当てられている、ワイヤハーネスの放熱構造。 - 前記熱伝導部材が可撓性を有する熱伝導シートを含み、前記特定方向が前記熱伝導シートの厚さ方向である請求項1に記載のワイヤハーネスの放熱構造。
- 前記熱伝導部材が、発泡体からなる基材を有している請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネスの放熱構造。
- 前記放熱体が、前記ワイヤハーネスに沿って延出して冷媒が挿通される冷却管と、前記ワイヤハーネスが挿通状態で収容される筒状部材との少なくとも1つを含んでいる請求項1から請求項3の何れか1項に記載のワイヤハーネスの放熱構造。
- 前記放熱体が前記冷却管によって構成され、
前記熱伝導シートの長さ方向中間部分が、前記冷却管の外周面に巻きつけられて密着する外周密着部を構成し、
前記熱伝導シートの長さ方向両端部が相互に重ね合されて前記冷却管の側方に突出する側方突出部を構成し、
前記ワイヤハーネスが第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスを含んで構成されており、
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスがそれぞれの第1当接部位で前記側方突出部を前記厚さ方向で間に挟んで相互に押し当てられており、
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスは、前記第1当接部位とは異なるそれぞれの第2当接部位で、前記外周密着部を前記厚さ方向で間に挟んで前記冷却管に当接している請求項2から請求項4の何れか1項に記載のワイヤハーネスの放熱構造。 - 前記ワイヤハーネスが第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスを含んで構成されており、
前記放熱体が前記冷却管と矩形断面形状で延びる前記筒状部材によって構成され、
前記筒状部材の底壁の幅方向中央部分に前記冷却管が配置され、前記冷却管から前記幅方向両側に離隔した部位に前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスが配置されており、
前記熱伝導シートの長さ方向中間部分が、前記冷却管の上方側から外周面に巻きつけられて密着する外周密着部を構成し、
前記熱伝導シートの長さ方向両端部が前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスの下方側から外周面にそれぞれ巻きつけられて密着する第1側密着部と第2側密着部を構成し、
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスがそれぞれの第1当接部位で前記外周密着部を前記厚さ方向で間に挟んで前記冷却管に当接し、
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスは、前記第1当接部位とは異なるそれぞれの第2当接部位で、前記第1側密着部と前記第2側密着部を前記厚さ方向で間に挟んで前記筒状部材に当接している請求項2から請求項4の何れか1項に記載のワイヤハーネスの放熱構造。 - 前記ワイヤハーネスが第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスを含んで構成され、前記冷却管が第1冷却管と第2冷却管を含んで構成されており、
前記放熱体が前記冷却管と矩形断面形状で延びる前記筒状部材によって構成され、
前記筒状部材の底壁の幅方向で相互に離隔した2箇所に前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスが配置されており、
前記熱伝導シートが、前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスの周囲を囲んで環状に巻きつけられており、
前記環状の前記熱伝導シートには、前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスの離隔隙間に上下側から窪んだ一対の窪み部が設けられており、該窪み部に前記第1冷却管と前記第2冷却管がそれぞれ配設されており、
前記第1冷却管と前記第2冷却管は、前記筒状部材の上壁と前記底壁にそれぞれ当接する一方、
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスがそれぞれの上側第1当接部位および下側第1当接部位で前記熱伝導シートを前記厚さ方向で間に挟んで前記冷却管に当接し、
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスは、それぞれの周方向で異なる部位に設けられた第2〜第4当接部位において、前記熱伝導シートを前記厚さ方向で間に挟んで前記筒状部材の前記底壁と、側壁と前記上壁にそれぞれ当接している請求項2から請求項4の何れか1項に記載のワイヤハーネスの放熱構造。 - 複数の前記熱伝導部材が、前記ワイヤハーネスの長さ方向で相互に離隔した複数箇所にそれぞれ配設されている請求項1から請求項7の何れか1項に記載のワイヤハーネスの放熱構造。
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