JP4787535B2 - シールド導電体の取付け構造 - Google Patents
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尚、編組線からなるシールド部材で電線をシールドするシールド導電体としては、特許文献1に記載されているものなどがある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド導電体における放熱性を向上させるとともに、部品点数の増大を回避することを目的とする。
前記ブラケットは、前記パイプを貫通させる円筒部から上方へアーム部を突出させ、前記アーム部の上端から板状の取付部を側方へ突出させた形態となっており、前記取付部が、固定手段によって車体の床板に固定されているところに特徴を有する。
シールド部材を金属製のパイプとしたので、シールド部材と電線の保護手段としてのプロテクタが不要であり、部品点数が少なくて済む。また、パイプは金属製なので、合成樹脂製のプロテクタに比べて熱伝導率が高く、電線で発生した熱を効率良く大気中に放出することができる。しかも、シールド導電体を、自動車の車体の床下に沿うように配索したので、少なくとも走行中においては、パイプの外周面が空気流により冷却され、放熱効率が更に高められる。
また、電気自動車の車体には、走行用の動力源を構成する装置であるバッテリ、インバータ、モータなどが配置されるが、これらの装置が、車体におけるキャビンよりも前方の位置とキャビンよりも後方の位置に分かれて配置されている場合には、これらの装置同士を接続するシールド導電体の配索長が長くなるため、シールド導電体の軽量化が望まれる。一方、動力源構成装置が収容される車内(例えば、エンジンルーム等)に配索される車内用導電路については、配索長さは比較的短いものの、車内収容空間のスペース効率を考慮して狭い隙間を縫うようにして配索することが優先されるため、車内用導体が可撓性を有していることが望ましい。
そこで、本発明では、床下に配索されるシールド導電体については、比重の比較的小さいアルミニウム合金製を床下用導体として使用することで軽量化を図るとともに、屈曲して配索される車内用導電路については、その車内用導体を可撓性を有する導体である銅合金製としたので、屈曲して配索することが容易となり、スペース効率に優れた配索経路を設定することが可能である。
シールド導電体と車体のとの間に通風空間を空けたことにより、パイプの外周全体に亘って空気流が接触してシールド導電体から熱が奪われるので、放熱効率に優れている。
電線からパイプに伝達された熱は、空気流による空冷作用の他に、金属製のブラケットを介して車体に伝達されることによっても放出されるので、放熱効率が高い。
車内用導体を撚り線としたので、単芯線のものに比べて可撓性に優れ、配索が容易となる。
導体に所定の電流を流したときの発熱量は、断面積が大きい程小さく抑えられ、発熱に起因する導体の温度上昇値は、導電路の放熱性が高いほど小さく抑えられる。したがって、導体の温度上昇値に上限が定められている場合、放熱効率の低い環境下では導体の断面積を大きくする必要があるが、放熱効率の高い環境下では導体の断面積を小さくすることができる。
本発明では、この点に鑑み、床下に配索されて空冷作用により放熱性に優れているシールド導電体については、床下用導体の断面積を小さくし、シールド導電体の軽量化を図った。このことは、シールド導電体が車内用導電路に比べて配索長が比較的長くなるということに鑑みると、シールド導電体と車内用導電路を合わせた導電路全体としての軽量化に大きく寄与し得ることを意味する。
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図5を参照して説明する。電気自動車EVの車体Bdの前部にはエンジンルームが設けられ、エンジンルーム内には、走行用モータを駆動するための動力回路を構成するインバータIvとガソリン駆動のエンジンEgとが収容されている。車体Bdの後部には動力回路を構成するバッテリBtが搭載されている。また、エンジンルームの下方には、前輪駆動用のモータMが配置されており、車体Bdの後部には、後輪駆動用のモータ(図示せず)が配置されている。インバータIvとバッテリBtとの間にはシールド導電体Waと車内用導電路Wbが配索され、インバータIvと前輪駆動用のモータMとの間には車内用導電路Wbが配索され、インバータIvと後輪駆動用のモータとの間にはシールド導電体Waと車内用導電路Wbが配索されている。
また、インバータIvと後輪用モータも、上記と同様にしてシールド導電体Waと車内用導電路Wbにより接続され、インバータIvと前輪用モータMも、上記と同様にして車内用導電路Wbにより接続されている。
本実施形態では、この点に鑑み、床下に配索されて空冷作用により放熱性に優れているシールド導電体Waについては、床下用導体11の断面積を小さくし、シールド導電体Waの軽量化を図った。このことは、シールド導電体Waが車内用導電路Wbに比べて配索長が比較的長くなるということに鑑みると、シールド導電体Waと車内用導電路Wbを合わせた導電路全体としての軽量化に大きく寄与し得ることを意味する。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではシールド導電体を車体に対して通風空間を空けて支持したが、本発明によれば、シールド部材のパイプを車体に接触又は密着させた形態(即ち、パイプと車体との間に通風空間が空かない形態)としてもよい。
(2)上記実施形態では車内用導電路として銅合金製の車内用導体と編組線からなる車内用シールド部材を用いたが、参考例として、床下(車体外部)に配索されるシールド導電体と同じ構成の導電路を車体内に配索するものが挙げられる。
(3)上記実施形態ではシールド導電体の床下用導体をアルミニウム合金製としたが、参考例として、床下用導体は、銅合金など、アルミニウム合金以外の金属とするものが挙げられる。
(4)上記実施形態では車内用導体を撚り線としたが、本発明によれば、車内用導体を単芯線としてもよい。
(5)上記実施形態ではシールド導電体の床下用導体を単芯線としたが、本発明によれば、床下用導体を撚り線としてもよい。
(6)上記実施形態ではシールド導電体の床下用導体の断面積を車内用導体の断面積よりも小さくしたが、本発明によれば、床下用導体の断面積は、車内用導体の断面積と同じか、それより大きくしてもよい。
(7)上記実施形態では1つのパイプ内に3本の電線を挿通したが、本発明によれば、1つのパイプに挿通される電線の本数は1本、2本、4本以上のいずれとしてもよい。
(8)上記実施形態においてパイプ内における電線との隙間に合成樹脂などの空気よりも熱伝導率の高い充填材を充填してもよい。
(9)上記実施形態ではパイプ内で電線が俵積み状に配置されるようにしたが、本発明によれば、電線は一列に並ぶように配置されていてもよく、縦横に整列して配置されていてもよい。
(10)上記実施形態ではパイプを円形断面としたが、本発明によれば、パイプの断面形状は非円形(長円形、楕円形、台形や平行四辺形を含む概ね多角形など)としてもよい。
(11)上記実施形態ではシールド導電体を金属製のブラケットを用いて車体の支持したが、本発明によれば、金属以外の材質のブラケットによってシールド導電体を車体に支持していもよい。
Bd…車体
Wa…シールド導電体
Wb…車内用導電路
10…電線
11…床下用導体
20…パイプ
30…ブラケット
50…車内用導体
52…車内用シールド部材
Claims (6)
- 電線をシールド部材で包囲してなるシールド導電体を自動車に取り付けるための取付け構造であって、
前記シールド部材が金属製のパイプとされ、
前記シールド導電体が、前記自動車の車体の床下に沿うように配索されており、
前記車体の内部には、車内用導体を編組線である車内用シールド部材で包囲した形態の車内用導電路が配索され、
前記電線を構成する床下用導体に前記車内用導体が接続され、前記パイプに前記車内用シールド部材が接続されているものであって、
前記床下用導体がアルミニウム合金製とされ、
前記車内用導体が銅合金製とされ、
前記パイプの端部には、筒状の車外用シールドシェルが導通可能に取り付けられるとともに、前記車内用シールド部材の端部は、筒状の車内用シールドシェルがカシメリングのかしめ付けにより導通可能に固着され、
前記パイプと前記車内用シールド部材とは、前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルを介して導通可能に接続されるとともに、前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルは、前記車体の床板に固定されており、前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルを通される前記電線は、前記床板を貫通する配索孔を通されていることを特徴とするシールド導電体の取付け構造。 - 前記シールド導電体が、前記車体に対し通風間隔を空けて配索されていることを特徴とする請求項1記載のシールド導電体の取付け構造。
- 前記シールド導電体が、前記パイプに取り付けた金属製のブラケットを介して前記車体に支持されており、
前記ブラケットは、前記パイプを貫通させる円筒部から上方へアーム部を突出させ、前記アーム部の上端から板状の取付部を側方へ突出させた形態となっており、前記取付部が、固定手段によって車体の床板に固定されていることを特徴とする請求項2記載のシールド導電体の取付け構造。 - 前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルの外周からは、ともに取付板が突出しており、前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルは、前記取付板同士を面接触させるとともに、前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルが同軸筒状に連なる形態で接続され、前記両取付板を貫通させたボルトとナットによって前記車外用シールドシェル及び前記車内用シールドシェルが前記床板に固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシールド導電体の取付け構造。
- 前記車内用導体が、複数本の金属細線を撚り合わせてなる撚り線とされていることを特徴とする請求項4記載のシールド導電体の取付け構造。
- 前記床下用導体の断面積が、前記車内用導体の断面積よりも小さくされていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシールド導電体の取付け構造。
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