JP2021021023A - 反応性ポリウレタン接着剤の再生方法及び建築用パネルの補修方法 - Google Patents

反応性ポリウレタン接着剤の再生方法及び建築用パネルの補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反応性ポリウレタン接着剤が劣化した場合であっても、当該接着剤を再生することが可能な反応性ポリウレタン接着剤の再生方法、及び建築用パネルの補修方法を提供する。【解決手段】反応性ポリウレタン接着剤の再生方法は、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物と化合物とを反応させる工程と、を有する。建築用パネル10の補修方法は、基材1と化粧シート2とが反応性ポリウレタン接着剤の硬化物からなる接着層3で接着されてなる建築用パネルの補修方法である。当該補修方法は、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物と化合物とを反応させる工程と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、反応性ポリウレタン接着剤の再生方法及び建築用パネルの補修方法に関する。
反応性ホットメルト接着剤は、溶剤を含んでいないため環境への負荷が少なく、さらに短時間で接着が可能であることから、産業界で広く利用されている。このような反応性ホットメルト接着剤としては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなる反応性ポリウレタン接着剤が知られている。
特許文献1では、ポリエーテルポリオール、軟化点が40℃未満の非晶性ポリエステルポリオール、軟化点が40℃以上の非晶性ポリエステルポリオール、およびポリイソシアネート化合物を反応させて得られる反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
特開2011−1465号公報
反応性ポリウレタン接着剤が硬化してなる硬化物は、ポリウレタンを主成分として含んでいる。ただ、ポリウレタンは、自然環境下で加水分解により劣化することが知られている。そのため、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解して接着強度が低下した場合には、商品の寿命に至ることから、当該商品の交換が必要になる。しかしながら、商品によっては、その交換に非常に手間がかかったり、既に商品が廃番になっていて、顧客に同じ商品を提供できないという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、反応性ポリウレタン接着剤が劣化した場合であっても、当該接着剤を再生することが可能な反応性ポリウレタン接着剤の再生方法、及び建築用パネルの補修方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る反応性ポリウレタン接着剤の再生方法は、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物と化合物とを反応させる工程と、を有する。
本発明の第二の態様に係る建築用パネルの補修方法は、基材と化粧シートとが反応性ポリウレタン接着剤の硬化物からなる接着層で接着されてなる建築用パネルの補修方法である。当該補修方法は、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物と化合物とを反応させる工程と、を有する。
本開示によれば、反応性ポリウレタン接着剤が劣化した場合であっても、当該接着剤を再生することが可能な反応性ポリウレタン接着剤の再生方法、及び建築用パネルの補修方法を提供する。
反応性ポリウレタン接着剤の加水分解を説明するための化学反応式である。(a)は反応性ポリウレタン接着剤が加水分解する前の状態を示し、(b)は反応性ポリウレタン接着剤が加水分解した後の状態を示す。 建築用パネルの一例を分解した状態で示す断面図である。
以下、本実施形態に係る反応性ポリウレタン接着剤の再生方法及び建築用パネルの補修方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[反応性ポリウレタン接着剤の再生方法]
反応性ポリウレタン接着剤(Poly Urethane Reactive接着剤、PUR接着剤)は、一液型のポリウレタン系接着剤である。そして、当該一液型ポリウレタン系接着剤は、一つの分子中に複数のイソシアネート基(NCO基)を有するポリイソシアネート化合物と、ポリオールとを予め重合させてなり、末端にNCO基を持つウレタンプレポリマーを含んでいる。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリマーポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
PUR接着剤を用いて被着材を接着する場合には、まず、一方の被着材の表面にPUR接着剤を塗布した後、他方の被着材を張り合わせて圧締する。そして、PUR接着剤の末端NCO基が空気中の水分や被着材に含まれる水分と反応することにより重合体(ポリウレタン)を形成し、被着材同士を接着することができる。
ここで、ポリウレタンは、自然環境下で加水分解により劣化することが知られている。そして、ポリウレタンの加水分解は、ポリオールに依存している。具体的には、ポリオールとしてポリエステルポリオールを使用したポリウレタンは、図1(a)に示すように、分子内にエステル結合を有している。そして、エステル結合は、図1(b)に示すように、環境中の水分の影響等による加水分解により、カルボキシ基(COOH基)とヒドロキシ基(OH基)に分解してしまう。
ポリオールとしてポリエーテルポリオールを使用したポリウレタンは、エーテル結合が加水分解に対して抵抗性が高いため、エステル系ポリウレタンと比べて加水分解され難いことが知られている。ただ、エーテル系ポリウレタンも、加水分解によりウレタン結合が開裂し、ヒドロキシ基(OH基)とアミノ基(NH基)が生成してしまう。
このように、PUR接着剤の硬化物が加水分解した場合には、ポリウレタンの主鎖が切断されるため、接着強度が低下して被着材同士が分離してしまう。被着材同士が分離した場合には、従来では商品の寿命と判断して当該商品を交換する場合があるが、商品によっては、その交換に非常に手間がかかったり、既に商品が廃番になっていて、顧客に同じ商品を提供できないという問題があった。
本実施形態のPUR接着剤の再生方法は、PUR接着剤の硬化物が加水分解して劣化した場合でも、当該接着剤を再生して接着性を回復する方法である。具体的には、PUR接着剤の再生方法は、PUR接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、当該加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物と化合物とを反応させる工程と、を有する。
PUR接着剤の再生方法では、まず、PUR接着剤の加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる。なお、以下、「イソシアネート基を有する化合物」を「イソシアネート化合物」ともいう。PUR接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物は、通常、被着材の接着面に残存している。そして、PUR接着剤の硬化物がエステル系ポリウレタンからなる場合、図1(b)に示すように、加水分解物は、主鎖が切断されることにより形成された、カルボキシ基を有する分子と、ヒドロキシ基を有する分子とを含有している。PUR接着剤の硬化物がエーテル系ポリウレタンからなる場合、加水分解物は、主鎖が切断されることにより形成された、ヒドロキシ基を有する分子と、アミノ基を有する分子とを含有している。
再生剤は、イソシアネート基を有する化合物を主成分として含んでいる。このような化合物としては、主鎖が切断されることにより形成された、カルボキシ基を有する分子、ヒドロキシ基を有する分子、アミノ基を有する分子と反応して結合することが可能なものを用いる。イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDIイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、o−トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などが挙げられる。イソシアネート基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
ただ、イソシアネート基を有する化合物は、化学式1に示すポリメリックMDI及び化学式2に示すHDIイソシアヌレートの少なくとも一方であることが好ましい。ポリメリックMDI及びHDIイソシアヌレートは、加熱することによりPUR接着剤の加水分解物と強固に結合するため、再生接着剤の接着強度を高めることが可能となる。
Figure 2021021023
Figure 2021021023
再生剤は、イソシアネート基を有する化合物に加えて、当該化合物を溶解する有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤は、イソシアネート基を有する化合物を溶解しつつ、揮発することで除去されるものが好ましい。このような有機溶剤は特に限定されないが、例えば酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、及び塩化メチレンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
PUR接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、再生剤を付着させる方法は、特に限定されるものではない。再生剤の付着方法は、例えば、刷毛塗り、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、スポンジ塗り等の方法を好適に用いることができる。また、加水分解物に対する再生剤の付着量も特に限定されず、PUR接着剤の加水分解物とイソシアネート化合物とが結合して、接着性が回復するような付着量とすることが好ましい。
上述のように、PUR接着剤の加水分解物に再生剤を付着させた後、当該加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物とイソシアネート化合物とを反応させる。なお、PUR接着剤の加水分解物と再生剤のイソシアネート化合物との反応メカニズムは必ずしも明確ではないが、次のメカニズムが考えられる。
加水分解物がCOOH基を有する分子とOH基を有する分子とを含む場合、再生剤のNCO基と分子中のCOOH基とを反応させることによりアミド結合を生成し、再生剤のNCO基と分子中のOH基とを反応させることによりウレタン結合を生成する。同様に、加水分解物がOH基を有する分子とNH基を有する分子とを含む場合、再生剤のNCO基と分子中のOH基と反応させることによりウレタン結合を生成し、再生剤のNCO基と分子中のNH基とを反応させることにより尿素結合を生成する。このように、PUR接着剤の加水分解物を、イソシアネート化合物を介して再結合することにより、加水分解物同士が再結合してなる再生接着剤が生成する。そのため、再生接着剤を介して、被着材同士を再接着することができる。なお、本実施形態の技術的範囲は、このようなメカニズムによって効果が発現する実施態様に限定されない。
PUR接着剤の加水分解物と再生剤とを加熱する方法は特に限定されない。例えば、熱プレス成形機を用いて、被着材並びに加水分解物及び再生剤を、加圧しながら加熱してもよい。また、アイロン等の加熱装置を用いて、被着材並びに加水分解物及び再生剤を、加圧しながら加熱してもよい。
なお、PUR接着剤の加水分解物及び再生剤を加熱するときの温度は、加水分解物とイソシアネート化合物とが反応する温度に設定することが好ましい。具体的には、加水分解物及び再生剤を加熱する際、再生剤の温度が50℃〜100℃になるように加熱することが好ましく、50℃〜80℃になるように加熱することがより好ましく、55℃〜75℃になるように加熱することがさらに好ましい。
PUR接着剤の加水分解物と再生剤を加熱した後、養生してもよい。具体的には、PUR接着剤の加水分解物と再生剤を加熱した後、室温で一定時間放置してもよい。これにより、PUR接着剤の加水分解物とイソシアネート化合物との反応が進行し、加水分解物を強固に再接着することができる。
このように、本実施形態の反応性ポリウレタン接着剤の再生方法は、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程を有する。再生方法は、さらに、当該加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物とイソシアネート基を有する化合物とを反応させる工程を有する。これにより、イソシアネート基を有する化合物を介して、PUR接着剤の硬化物の加水分解物が再結合するため、一度分離した被着材同士を再度接着することが可能となる。また、PUR接着剤の硬化物が加水分解して接着強度が低下した場合でも、再生剤を用いて再接着できることから、被着材の交換の手間を省くことが可能となる。
[建築用パネルの補修方法]
次に、本実施形態に係る建築用パネルの補修方法について説明する。
建築用パネル10としては、例えば、図2に示すように、基材1と、基材1の一方の面に設けられた化粧シート2とを備えるものを挙げることができる。化粧シート2を用いて基材1の上面1a全体を覆うことで、耐傷性や耐汚染性などの表面性能を確保したり、意匠性を高めている。そして、化粧シート2は、反応性ポリウレタン接着剤(PUR接着剤)が硬化してなる接着層3により、基材1の上面1aに接着されている。なお、化粧シート2におけるPUR接着剤と反対側の面には、必要に応じて塗料を塗布し、塗膜4を形成してもよい。
なお、基材1は特に限定されず、表面平滑性の良好な材料から形成されたものを用いることができる。基材1としては、例えば、樹脂製の板材、又は木質系材料から形成された板材を用いることができる。また、化粧シート2も特に限定されず、例えばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート製のシートを用いることができる。また、化粧シート2としては、突板も用いることができる。
このような建築用パネル10を長期間使用した場合、上述のように、PUR接着剤は加水分解により劣化する。具体的には、PUR接着剤の硬化物がエステル系ポリウレタンからなる場合、当該硬化物は、主鎖が切断されることにより、カルボキシ基を有する分子と、ヒドロキシ基を有する分子とに加水分解される。また、PUR接着剤の硬化物がエーテル系ポリウレタンからなる場合、当該硬化物は、主鎖が切断されることにより、ヒドロキシ基を有する分子と、アミノ基を有する分子に加水分解される。その結果、PUR接着剤の接着強度は大きく低下し、化粧シート2は基材1から剥離してしまう。
そして、化粧シート2が基材1から剥離した場合、従来では建築用パネル10の寿命と判断し、建築用パネル10を交換する場合があった。ただ、建築用パネル10を交換する場合には、多くの手間と費用がかかっていた。
本実施形態に係る建築用パネル10の補修方法は、剥離した化粧シート2を基材1に再接着する方法である。具体的には、本実施形態の建築用パネルの補修方法は、基材1と化粧シート2とが反応性ポリウレタン接着剤の硬化物からなる接着層3で接着されてなる建築用パネル10の補修方法である。そして、当該補修方法は、反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程を有する。補修方法は、さらに、加水分解物及び再生剤を加熱して、当該加水分解物とイソシアネート基を有する化合物とを反応させる工程を有する。
建築用パネル10の補修方法では、まず、PUR接着剤の加水分解物に、イソシアネート化合物を含む再生剤を付着させる。PUR接着剤の加水分解物は、通常、基材1と化粧シート2の接着面に残存しているため、上述の方法により、加水分解物に再生剤を付着させる。なお、再生剤は、上述のイソシアネート化合物を含むことが好ましい。また、イソシアネート化合物は、ポリメリックMDI及びHDIイソシアヌレートの少なくとも一方であることが好ましい。
PUR接着剤の加水分解物に再生剤を付着させた後、基材1の上面1aに、化粧シート2における加水分解物が付着した面(接着面)を重ね合わせる。次いで、当該加水分解物及び再生剤を加熱して、加水分解物とイソシアネート化合物とを反応させる。加水分解物及び再生剤を加熱する方法は特に限定されないが、上述のように、熱プレス成形機を用いて、化粧シート2、再生剤及び基材1を加圧しながら加熱してもよい。また、アイロン等の加熱装置を用いて、化粧シート2、再生剤及び基材1を加圧しながら加熱してもよい。
PUR接着剤の加水分解物及び再生剤を加熱するときの温度は、上述のように、加水分解物とイソシアネート化合物とが反応する温度に設定することが好ましい。また、加熱温度は、化粧シート2の耐熱温度以下とすることが好ましい。具体的には、加水分解物及び再生剤を加熱する際、再生剤の温度が50℃〜100℃になるように加熱することが好ましく、50℃〜80℃になるように加熱することがより好ましく、55℃〜75℃になるように加熱することがさらに好ましい。
PUR接着剤の加水分解物と再生剤を加熱した後、室温にて一定時間放置してもよい。これにより、PUR接着剤の加水分解物とイソシアネート化合物との反応を進行させ、加水分解物を強固に再接着することができる。
このような建築用パネル10の補修方法により、PUR接着剤の劣化により剥離した化粧シート2を、基材1に再接着することができる。そのため、建築用パネル10を交換する必要がないことから、交換の手間及び費用を省くことが可能となる。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、再生剤を塗布する前後における反応性ポリウレタン接着剤(PUR接着剤)の接着強さを測定した。
(試験サンプルの作製)
まず、化粧シートとして、厚みが約0.2mmであるポリオレフィン系シートを準備した。さらに、基材として、厚みが約0.6mmであるプラスチックボードと厚みが約10mmである合板とを一体化した複合材を準備した。なお、プラスチックボードは、ポリプロピレン樹脂と無機化合物からなるフィラーとを混合してシート状に加工したものである。
次いで、基材のプラスチックボード側にPUR接着剤を塗布した後、化粧シートを重ね合わせた。そして、化粧シート、PUR接着剤及び基材からなる積層体を加圧しながら加熱することにより、PUR接着剤を硬化させた。これにより、PUR接着剤の硬化物で化粧シート及び基材を接着してなる試験サンプルを得た。なお、PUR接着剤としては、三井化学ポリウレタン株式会社製のホットメルト系Poly Urethane Reactive接着剤を使用した。
(劣化加速処理)
上述のようにして得られた試験サンプルを、エスペック株式会社製の恒温恒湿器の中に入れ、温度85℃、湿度85%の雰囲気下に60日間放置することにより、劣化加速処理を行った。
そして、劣化加速処理を施して得られた劣化試験サンプルに対して、180度剥離試験を行った。具体的には、劣化試験サンプルを幅25mmに切断して複数の試験片を作製した後、引張試験機を用いて、化粧シートの接着強さ(はく離力)(N)を測定した。なお、引張試験機は、株式会社島津製作所製、精密万能試験機オートグラフAG−ISを用い、引張試験機の最大荷重を10kNとした。また、引張試験機のつかみ移動速度は、毎分100mmとした。
180度剥離試験の結果、劣化試験サンプルにおける化粧シートの接着強さは3〜5Nであった。このように、劣化加速処理の結果、PUR接着剤の硬化物は加水分解してしまうため、化粧シートの接着強さは大きく低下し、化粧シートは手で簡単に捲れる状態となった。
(PUR接着剤の再生試験)
劣化加速処理を施して得られた劣化試験サンプルの化粧シートに対して、PUR接着剤の再生試験を行った。具体的には、劣化試験サンプルの化粧シートを剥がした後、プラスチックボードの表面に、筆を用いて再生剤を塗布した。そして、剥がした化粧シートを、PUR接着剤が残存している面が再生剤に接触するように、プラスチックボードの表面に載置した。
次に、化粧シートの表面にあて布を置いた状態で、化粧シートに対して、かけ面を約180℃に加熱したアイロンを10秒間かけた。その後、化粧シートに錘を載せ、室温下で1日放置した。このようにして、再生試験サンプルを得た。なお、再生試験において、再生剤は、次の再生剤1〜3を使用した。
再生剤1として、ノーテープ工業株式会社製、硬化剤UFE(履物系クロロプレン系およびポリウレタン系接着剤用硬化剤)を使用した。なお、再生剤1は、ポリイソシアネート化合物と酢酸エチルとを質量比で20:80(ポリイソシアネート化合物:酢酸エチル)で混合した液状の硬化剤である。
再生剤2として、ノーテープ工業株式会社製、硬化剤U−70(プロファイルラッピング用硬化剤)を使用した。なお、再生剤2は、ポリイソシアネート化合物とMDIと塩化メチレンとを、質量比で65〜55:25〜35:5〜15(ポリイソシアネート化合物:MDI:塩化メチレン)で混合した液状の硬化剤である。
再生剤3として、ポリメリックMDI(クルードMDI)を使用した。
そして、再生剤1〜3を使用して再生処理を施した再生試験サンプル1−1〜1−3に対して、上述の180度剥離試験を行った。各再生試験サンプルの接着強さ(はく離力)を表1に示す。また、表1では、再生処理を行う前の劣化試験サンプルの接着強さも合わせて示す。
Figure 2021021023
上述のように、PUR接着剤に対して劣化加速処理を施した場合には、化粧シートが手で簡単に捲れるほど劣化してしまった。そして、このような劣化したPUR接着剤に対して再生処理を施すことにより、PUR接着剤が再生し、化粧シートを基材に接着することができた。さらに、化粧シートが基材に強固に接着しているため、再生試験サンプルから化粧シートを剥離しようとしても化粧シート自体が破断してしまい、接着強さが測定できない結果となった。
このように、PUR接着剤の硬化物が加水分解することにより生成した劣化物に対して、ポリイソシアネート化合物を反応させることにより、ポリイソシアネート化合物を介して劣化物同士が結合し、PUR接着剤が再生できることが分かる。
[実施例2]
実施例2では、PUR接着剤の劣化物に対して再生処理を行うことにより生成した再生接着剤の寿命を評価した。
(再生試験サンプルの作製)
まず、実施例1の試験サンプルを複数準備した後、実施例1と同じ劣化加速処理を行い、劣化試験サンプルを得た。次に、劣化試験サンプルの化粧シートを剥がした後、プラスチックボードの表面に、筆又はバーコーターを用いて、再生剤1〜3のいずれかを塗布した。そして、剥がした化粧シートを、PUR接着剤が残存している面が再生剤に接触するように、プラスチックボードの表面に載置した。
次に、化粧シート、再生剤及び基材の積層体に加熱処理を施すことにより、再生試験サンプルを得た。なお、加熱処理は、化粧シートの表面にあて布を置いた状態で、化粧シートに対して、かけ面を約180℃に加熱したアイロンを10秒間かける方法、又は熱プレス機を用いて積層体を100℃で10秒間加熱する方法で行った。このようにして、再生剤1〜3を使用した再生試験サンプル1−1〜1−3を得た。
なお、実施例2では、再生剤4としてHDIイソシアヌレートを用い、再生試験サンプル1−1〜1−3と同じ方法により、再生試験サンプル1−4も作製した。
(再生接着剤の寿命推定試験)
再生試験サンプル1−1〜1−4を、それぞれ約40mm角に切断して試験片を作製した。そして、再生試験サンプル1−1〜1−4の各試験片を、エスペック株式会社製の恒温恒湿器の中に入れ、温度85℃、湿度85%の雰囲気下に放置し、化粧シートの剥離が発生するまでの日数を測定した。再生試験サンプル1−1〜1−4において、化粧シートの剥離が発生するまでの日数を表2に示す。なお、表2における「試験サンプル」は、PUR接着剤により化粧シート及び基材を接合したものである。
Figure 2021021023
表2に示すように、PUR接着剤の硬化物により化粧シート及び基材を接着してなる試験サンプルは、3日で剥離が生じた。これに対して、再生試験サンプル1−1〜1−4では、56日以上で剥離が生じる結果となった。そのため、再生接着剤は、PUR接着剤の硬化物よりも寿命が18倍以上も長いことが分かる。
[実施例3]
実施例3では、PUR接着剤の劣化物に対する再生剤の反応速度を測定した。具体的には、まず、実施例1の試験サンプルを複数準備した後、実施例1と同じ劣化加速処理を行うことにより、劣化試験サンプルを得た。次に、劣化試験サンプルの化粧シートを剥がした後、プラスチックボードの表面に、筆を用いて再生剤1を塗布した。そして、剥がした化粧シートを、PUR接着剤が残存している面が再生剤1に接触するように、プラスチックボードの表面に載置することにより、積層体を得た。
次に、得られた積層体に対して、化粧シートの表面にあて布を置いた状態で、化粧シートに対して、かけ面を約180℃に加熱したアイロンを10秒間かけた。その後、化粧シートに錘を載せた。そして、基材に対して化粧シートが再接着するまでの時間を測定した。また、得られた積層体に対して加熱処理を施さずに錘を載せた状態で室温で放置し、基材に対して化粧シートが再接着するまでの時間を測定した。化粧シートが再接着するまでの時間を測定した結果を表3に示す。
Figure 2021021023
表3に示すように、アイロンを用いて加熱することにより、化粧シートと基材が3時間程度で完全に接着した。さらに、3時間経過した再生試験サンプルに対して、実施例1の180度剥離試験を実施した。その結果、化粧シートが基材に強固に接着しているため、化粧シート自体が破断してしまう結果となった。
これに対して、表3に示すように、加熱処理を施さない場合には、3日間経過しても化粧シートと基材が十分に接着しなかった。このように、PUR接着剤の劣化物とポリイソシアネート化合物とを加熱して反応させることにより、PUR接着剤が再生できることが分かる。
[比較例]
比較例では、PUR接着剤の劣化物に対して、市販の接着剤を用いることにより、接着性の再生を試みた。
まず、実施例1の試験サンプルを複数準備した後、実施例1と同じ劣化加速処理を行うことにより、劣化試験サンプルを得た。次に、劣化試験サンプルの化粧シートを剥がした後、プラスチックボードの表面に、接着剤1〜5のいずれかを塗布した。そして、剥がした化粧シートを、PUR接着剤が残存している面が接着剤に接触するように、プラスチックボードの表面に載置した。次に、化粧シートに錘を載せ、室温下で2日放置した。このようにして、接着剤1〜5で接着した再生試験サンプル2−1〜2−5を得た。なお、使用した接着剤1〜5を表4に纏めて示す。
Figure 2021021023
次に、再生試験サンプル2−1〜2−5を、それぞれ約40mm角に切断して試験片を作製した。そして、再生試験サンプル2−1〜2−5の各試験片を、エスペック株式会社製の恒温恒湿器の中に入れ、温度85℃、湿度85%の雰囲気下に放置し、化粧シートの剥離が発生するまでの日数を測定した。再生試験サンプル2−1〜2−5において、化粧シートの剥離が発生するまでの日数を表5に示す。
Figure 2021021023
表5に示すように、全ての再生試験サンプルは、6日以内に化粧シートの剥離が生じた。そのため、市販の接着剤を用いても、PUR接着剤の劣化物の接着性は、十分に再生できないことが分かる。
このように、市販の接着剤を用いても、PUR接着剤の劣化物の接着性が再生できない理由は、定かではない。ただ、劣化試験サンプルでは、PUR接着剤の劣化物が、化粧シート及び基材の接着面に残存している。そのため、市販の接着剤を用いて再接着したとしても、PUR接着剤がさらに劣化するため、PUR接着剤を起点として化粧シートが容易に剥離してしまうと推測される。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 基材
2 化粧シート
3 接着層
10 建築用パネル

Claims (6)

  1. 反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、
    前記加水分解物及び前記再生剤を加熱して、前記加水分解物と前記化合物とを反応させる工程と、
    を有する、反応性ポリウレタン接着剤の再生方法。
  2. 前記加水分解物及び前記再生剤を加熱する際、前記再生剤の温度が50℃〜100℃になるように加熱する、請求項1に記載の反応性ポリウレタン接着剤の再生方法。
  3. 前記イソシアネート基を有する化合物は、ポリメリックMDI及びHDIイソシアヌレートの少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の反応性ポリウレタン接着剤の再生方法。
  4. 基材と化粧シートとが反応性ポリウレタン接着剤の硬化物からなる接着層で接着されてなる建築用パネルの補修方法であって、
    前記反応性ポリウレタン接着剤の硬化物が加水分解してなる加水分解物に、イソシアネート基を有する化合物を含む再生剤を付着させる工程と、
    前記加水分解物及び前記再生剤を加熱して、前記加水分解物と前記化合物とを反応させる工程と、
    を有する、建築用パネルの補修方法。
  5. 前記加水分解物及び前記再生剤を加熱する際、前記再生剤の温度が50℃〜100℃になるように加熱する、請求項4に記載の建築用パネルの補修方法。
  6. 前記イソシアネート基を有する化合物は、ポリメリックMDI及びHDIイソシアヌレートの少なくとも一方である、請求項4又は5に記載の建築用パネルの補修方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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