JP2021020225A - ろう付け用フラックス組成物と粉末ろう組成物、アルミニウム合金部材と熱交換器及びアルミニウム合金部材と熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これまで、ろう付けするためのSi粉末と、フッ化物系フラックスに加え、樹脂(高分子材料)と溶剤からなる粉末ろう組成物が提供されている。また、前記粉末ろう組成物を表面に塗布した扁平多穴管とフィン及びヘッダーパイプとをろう付けすることによって、安価に熱交換器を製造する方法が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
しかし、上述の粉末ろう組成物は、扁平多穴管の表面に塗布した後、フラックスや金属粉末を管表面に固着する必要がある。そのため、粉末ろう組成物を管表面に塗布した後、溶剤の蒸発温度範囲において一定時間加熱保持する必要があり、溶剤の蒸発に必要な時間が長い場合は生産性が低下することが懸念される。
さらに、均一な防食層や良好なフィンとの接合部を形成するために、ろう付け用組成物の塗布膜にブリスター等の膨れが無い、均一な厚みでの塗布膜の形成(塗膜の膜厚均一性)が要求される。
また、上述のろう付け用組成物塗料を用いてチューブあるいは熱交換器を量産する場合、塗料保管時間が長くなると塗料中の粉末成分が沈降する懸念があった。例えば、粉末成分が塗料中で沈降すると、溶剤成分と粉末成分が分離することとなり、塗布装置の配管内に粉末成分が詰まるおそれがあり、塗布することが困難となるおそれがある。また、粉末成分の沈降による塗布ムラを生じると、ろう付け用組成物本来の性能を発揮できなくなるおそれがあった。
また、本願発明は、生産性と塗膜密着性とろう付け接合率に優れるとともに、保管時に粉末成分の分離が生じ難いろう付け用フラックス組成物と粉末ろう組成物の提供を目的とする。
Qa=(Pa×√Ma)/(P酢酸ブチル×√M酢酸ブチル)×100…(1)式
ただし、(1)式において、Qa:溶剤aの比蒸発量、Pa:溶剤aの飽和蒸気圧(20℃)、Ma:溶剤aの分子量、P酢酸ブチル:酢酸ブチルの飽和蒸気圧(20℃)、M酢酸ブチル:酢酸ブチルの分子量を意味する。
(3)本発明に係るろう付け用フラックス組成物において、前記溶剤1〜3が、水、エーテル類、エステル類、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、エステル系グリコールエーテル類、一級アミン類、アミド類、アセトニトリルからなる溶剤群のいずれかであることが好ましい。
(5)本発明に係るろう付け用フラックス組成物において、前記溶剤2が、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−ブタノール、ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることが好ましい。
Qa=(Pa×√Ma)/(P酢酸ブチル×√M酢酸ブチル)×100…(1)式
ただし、(1)式において、Qa:溶剤aの比蒸発量、Pa:溶剤aの飽和蒸気圧(20℃)、Ma:溶剤aの分子量、P酢酸ブチル:酢酸ブチルの飽和蒸気圧(20℃)、M酢酸ブチル:酢酸ブチルの分子量を意味する。
(10)本発明に係る粉末ろう組成物において、前記溶剤1〜3が、水、エーテル類、エステル類、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、エステル系グリコールエーテル類、一級アミン類、アミド類、アセトニトリルからなる溶剤群のいずれかであることが好ましい。
(15)本発明に係るアルミニウム合金部材は、先のいずれかに記載の粉末ろう組成物からなる塗膜が表面に形成されたことを特徴とする。
(16)本発明に係る熱交換器は、アルミニウム合金からなるヘッダーパイプと扁平管とフィンを備え、これらヘッダーパイプと扁平管とフィンを含むアルミニウム合金部材のいずれかが先の何れかに記載の粉末ろう組成物の溶融凝固物であるフィレットにより接合されたことを特徴とする。
(18)本発明に係るアルミニウム合金材の製造方法において、前記アルミニウム合金部材が、アルミニウム合金からなるヘッダーパイプ又は扁平管であることが好ましい。
また、上述の粉末ろう組成物からなる塗膜を有する扁平管やフィン、ヘッダーパイプなどのアルミニウム合金部材をろう付け接合して熱交換とした場合、ろう付け部分の接合率の高いアルミニウム合金部材あるいは熱交換器を提供できる。
図1は熱交換器のチューブを構成する扁平管(アルミニウム合金部材:扁平多穴管)1に対しその上面にろう付け用の塗膜2を形成し、扁平多穴管1に対し板状のフィン(アルミニウム合金部材)3を組み合わせた状態を示す部分断面図である。
図1に示す状態から、加熱炉などを用いて不活性(非酸化性)雰囲気中において580〜620℃程度の温度に1〜10分程度加熱して塗膜2を溶融させ、後に常温まで冷却して溶融物を凝固させることでろう付けを行うことができる。
ろう付け後の状態を図2に示すが、塗膜2の溶融物が扁平管1とフィン3の境界部分に集まり、溶融物が凝固することによりフィレット4が生成され、このフィレット4により扁平管1にフィン3がろう付け接合されている。
なお、本明細書において添加元素の範囲を0.05〜1.0%のように「〜」を用いて表記した場合、特に注記しない限り、その上限と下限を含む範囲とする。よって、0.05〜1.0%は0.05%以上1.0%以下の範囲を意味する。
扁平管1に含まれるSiは強度向上効果を有する元素である。Mnは、扁平管1の耐食性を向上するとともに、機械的強度を向上させる元素である。また、Mnは、押出し成形時の押出性を向上する効果を有する。Mnは、ろうの流動性を抑制し、フィレットと扁平管表面の後述するZn濃度差を小さくする効果がある。Cuは、扁平管1の耐食性に影響を与える元素であり、上述の範囲を選択することができる。
フィン3は、上記組成を有するアルミニウム合金を常法により溶製し、熱間圧延工程、冷間圧延工程などを経て、目的の形状に加工される。なお、フィン3の製造方法は、特に限定されるものではなく、既知の製法を適宜採用することができる。
<Si粉末>
Si粉末は、扁平管1を構成するAlと反応し、フィン3と扁平管1を接合するろうを形成するが、ろう付時にSi粉末が溶融してろう液となる。このろう液にZnフラックス中のZnが拡散し、扁平管1の表面に均一に広がる。液相であるろう液内でのZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、扁平管1の上面(塗布面)のZn濃度がほぼ均一となり、これにより扁平管1の上面に均一なZn溶融拡散層が形成され、扁平管1の耐食性を向上させることができる。
Si粉末の塗布量が1g/m2未満であると、ろう付性が低下する場合がある。一方、Si粉末の塗布量が5g/m2を超えると、過剰なろう形成によりフィレットにZnが濃縮しやすくなり、未反応Si残渣が発生する場合があるとともに、扁平管1の腐食深さが大きくなり、フィンの分離を防止しようとする目的の効果が得られない場合がある。
このため、塗膜におけるSi粉末の含有量は1〜5g/m2とすることが好ましい。ここで用いるSi粉末の粒径は、一例としてD(99)で15μm以下である。D(99)は小径粒側からの体積基準の積算粒度分布が99%となる径である。
Zn含有フラックスは、ろう付に際し、扁平管1の表面にZn溶融拡散層を形成し、耐孔食性を向上させる効果がある。また、Zn含有フラックスは、ろう付け時に扁平管1およびフィン3の表面の酸化物を除去し、ろうの広がり、ぬれを促進してろう付性を向上させる作用を有する。このZn含有フラックスは、Znを含まないフラックスに比べ活性度が高いので、比較的微細なSi粉末を用いても良好なろう付け性が得られる。
上述のZn含有フラックスを用いるか、Zn含有フラックスに加えて非Zn含有フラックスを添加することでろう付け性向上に寄与することができる。
Zn含有フラックスの塗布量が3.0g/m2未満であると、Zn溶融拡散層の形成が不十分になる場合があり、扁平管の耐食性が低下する場合がある。一方、塗布量が20g/m2を超えると、フィレットにおけるZn濃縮が顕著になり、フィレットの耐食性が低下して、フィン剥離を加速する場合がある。このため、Zn含有フラックスの塗布量を3.0〜20g/m2とすることが望ましい。
Zn含有フラックスは、KZnF3を主体として用いることが好ましいが、KZnF3に、必要に応じて、K1−3AlF4−6、Cs0.02K1−2AlF4−5、AlF3、KF、K2SiF6などのZnを含有しないフラックスを混合した混合型のフラックスを用いても良い。
非Zn含有フラックス塗布量が1g/m2未満であると、非Zn含有フラックスを添加した効果が得られず、非Zn含有フラックス塗布量が10g/m2を超えると、ろうの流動性が過剰に向上する事によって想定以上のZnがフィレットに濃縮して、フィン剥離に繋がる場合がある。なお、良好なろう付け性を確保するためには、Zn含有フラックスが上述の量含まれていればよいので、非Zn含有フラックスは略しても良い。
ろう付け用の塗膜2には、Si粉末、Zn含有フラックス、非Zn含有フラックスに加えて樹脂と溶剤とチキソトロピック剤が含まれている。
「樹脂の塗布量:0.2〜8.3g/m2」
樹脂の塗布量が0.2g/m2未満であると、塗膜硬度が低下し、加工性(耐塗膜剥離性)が低下する。一方、樹脂の塗布量が8.3g/m2を超えると、ろう付け時に樹脂の残渣が多く残り、ろう付性が低下する場合がある。このため、樹脂の塗布量は、0.2〜8.3g/m2とすることが好ましい。なお、樹脂および溶剤は、通常、ろう付の際の加熱により蒸散する。
また、溶剤として水を含む場合は、ろう付用フラックス組成物または粉末ろう組成物中の水の割合として、0.4〜2.5質量%程度であることが望ましく、更に、水を含めた溶剤は、30〜80質量%程度であることが望ましい。
ただし、(1)式において、Qa:溶剤aの比蒸発量、Pa:溶剤aの飽和蒸気圧(20℃)、Ma:溶剤aの分子量、P酢酸ブチル:酢酸ブチルの飽和蒸気圧(20℃)、M酢酸ブチル:酢酸ブチルの分子量を意味する。
なお、本明細書において溶剤などの添加物の範囲を0〜20%のように「〜」を用いて表記した場合、特に注記しない限り、その上限と下限を含む範囲とする。よって、0〜20%は0%以上20%以下の範囲を意味する。
また、これらの溶剤1〜3が、水、エーテル類、エステル類、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、エステル系グリコールエーテル類、一級アミン類、アミド類、アセトニトリル等からなる溶剤群であることが好ましい。
チキソトロピック剤として、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアの中から選択される1種又は2種以上の無機酸化物の微粉末を用いることができる。シリカ系無機酸化物の微粒子として、親水性フュームドシリカの1種としてのAEROSIL200(日本アエロジル株式会社商品名)を用いることができる。
他の無機酸化物の微粉末として、親水性フュームド金属酸化物の1種である親水性フュームド法酸化アルミニウムとしてのAEROXADE Alu 130(日本アエロジル株式会社商品名)を用いることができる。
無機酸化物の微粉末は、平均粒径が0.001μm以上0.1μm以下の微粉末であることが好ましく、粉末ろう組成物に添加するSi粉末より平均粒径の小さな粉末であることが望ましい。
チキソトロピック剤の添加量が、0.5質量%未満であると、沈降防止機能が不足し、ろう付け用フラックス組成物や粉末ろう組成物の溶液を塗布する工程において、塗布する設備の配管などで、溶液が粒子沈降領域と上澄み領域に分離するおそれがある。また、チキソトロピック剤の添加量が、20質量%を超えると、粒子沈降剤の添加量が多すぎるため、ろう付け接合性に問題を生じる、もしくは高粘度のため均一に塗布されないなどのおそれがある。
ろう付け用フラックス組成物や粉末ろう組成物は、例えば、溶液調合後、静置して24時間経過後であっても、溶液に分離を生じないことが望ましい。
また、前記粉末ろう組成物に対しSi粉末を除いた成分、即ち、Zn含有フラックスと樹脂および溶剤あるいはこれらに非Zn含有フラックスを添加した成分に前記水又は溶剤を添加したものがろう付け用フラックス組成物となる。換言すると、フッ化物系フラックスと樹脂および溶剤を含み、溶剤が水または前記水溶性溶剤であるものをろう付け用フラックス組成物と称することができる。
図3に、扁平管1に塗膜2を塗布するとともに、該塗膜2を乾燥させて巻き取る工程で用いる設備の一例を示す。
図3に示す工程では、扁平管1を巻き付けておくことができ、扁平管1を巻き出し可能な巻出ローラー6と、巻出ローラー6から巻き出された扁平管1の上面及び下面あるいは全面に粉末ろう組成物を塗布し、塗膜2を形成可能なコーター(ロールコーター)7と、乾燥炉8と、巻取ローラー9をこの順に設置した塗布乾燥設備5を利用することができる。乾燥炉8の内部には扁平管1を案内するためのガイドローラー8aを複数設けていることが好ましい。
次に、未乾燥の塗膜付きの扁平管1を乾燥炉8に導入すると、乾燥炉8を通過する間に塗膜2を乾燥させることができ、扁平管1の塗布面に塗膜を固着することができる。
乾燥炉8から引き出した乾燥塗膜付きの扁平管1を巻取ローラー9に巻き取り、収容することができる。
この組成比のろう付け組成物は、溶剤の主要部がソルフィット(株式会社クラレ、商品名)からなるが、この物質は沸点が174℃、酢酸ブチルに対する比蒸発量Qaが5.4であり、上述の配合の溶剤よりも乾燥に要する時間が長い。溶剤として相対蒸発量において4〜10倍の差異がある。
従って上述の配合質量割合の溶剤を用いるならば、上述の物質を用いたろう付け組成物より遙かに早く塗膜を乾燥させることができる。
また、前述のチキソトロピック剤を配合した粉末ろう組成物あるいはろう付け用フラックス組成物を適用すると、これら組成物の溶液を調合した後、24時間あるいは60時間などのように長時間経過しても溶液中の粒子成分が沈降し難い。このため、上述の組成の粉末ろう組成物であるならば、調合後時間が経ってから使用しても、塗布ムラを生じることなく均一な塗膜を扁平管1上に形成できる。このため、粉末ろう組成物を構成する各成分を均一に分散させた塗膜を扁平管1上に形成できるので、均一かつ高品質のろう付けができる。
また、上述のように乾燥が早く、固着強度の高い塗膜2であるならば、フィンとの組み付け時に塗膜2の膜剥がれを生じ難く、均一な塗膜2となる。また、ろう付け時にZn含有フラックスからの均一なZn拡散を図ることができ、必要なZn拡散層を形成することで耐食性に優れた扁平管1を提供することができる。また、ろう付け部分の良好な接合率を得ることができる。
このように構成した熱交換器であるならば、ろう付け部分の接合率が高く、扁平管1が耐食性に優れているので、扁平管1に孔が生じ難く、腐食寿命の長い熱交換器を提供することができる。
このように先に説明した配合質量割合の溶剤を用いたろう付け用の塗膜2は、熱交換器用アルミニウム合金部材である扁平管、フィン、ヘッダーパイプのろう付けに用いて好適であり、接合率の高いろう付けができる。
図4は、本発明に係わる熱交換器の一例を示すものである。この熱交換器100は離間して平行に配置されたヘッダーパイプ11、12と、これらのヘッダーパイプ11、12の間に相互に間隔を保って平行に、かつ、ヘッダーパイプ11、12に対して直角に接合された複数の扁平管13と、各扁平管13に付設された波形のフィン14を主体として構成されている。ヘッダーパイプ11、12、扁平管13及びフィン14は、いずれもアルミニウム合金から構成されている。
扁平管13は先の第1実施形態の扁平管1と同様に形成されたアルミニウム合金からなる扁平多穴管であり、その内部には複数の冷媒通路13Cが形成されている。
例えば、Mn:0.05〜1.50%を含有することが好ましく、他の元素として、Cu:0.05〜0.8%、Zr:0.05〜0.15%を含有することができる。
扁平管13を構成するアルミニウム合金は第1実施形態の扁平管1を構成するアルミニウム合金と同等の合金を用いることができ、フィン14を構成するアルミニウム合金は第1実施形態のフィン3を構成するアルミニウム合金と同等の合金を用いることができる。
図6は、フィン14との接合面に塗膜17を塗布した扁平管13を使用して、ヘッダーパイプ11、12、扁平管13及びフィン14を組み立てた状態を示す熱交換器組立体101の部分拡大図であって、加熱ろう付けする前の状態を示している。
図6に示す熱交換器組立体101において、扁平管13はその一端をヘッダーパイプ11に設けたスリット16に挿入されている。また、ヘッダーパイプ11、12の芯材11の表面側にろう材層23が設けられている。塗膜17は先の実施形態において説明した塗膜2と同等材料からなる塗膜である。ヘッダーパイプ11、12の外周面にはろう材層23が塗布形成されている。
また、扁平管13の表裏面の塗膜17は溶融してAl−SiろうあるいはAl−Si−Znろうとなり、毛管力によりフィン14近傍に流れ、第2のフィレット19を形成して扁平管13とフィン14とがろう付け接合される。また、ヘッダーパイプ11、12の表面に設けられていたろう材層23はろう付け後に僅かに表面に残留する。
塗膜17は先の実施形態の塗膜2と同等材料からなるので、塗膜17を塗布して形成後乾燥させる場合に早期乾燥ができる特徴を有する。また、塗膜2と同等の塗膜17を用いることで、ろう付け部分の接合率の良好な熱交換器100を提供できる。
更に、均一塗布が可能な塗膜17を利用することでZnの均一拡散ができるので、均一なZn溶融拡散層13Eを得ることができ、均一な防食層を備えた耐食性に優れた熱交換器100を提供できる。
図7に示す塗布乾燥設備30は図3に示す塗布乾燥設備5に類似する構成であり、巻出ローラー6とコーター7と乾燥炉と巻取ローラー9を備えている点は同等構成である。
図7に示す塗布乾燥設備30において、乾燥炉31は先の実施形態の乾燥炉8と同じように加熱乾燥ができる装置であるが、その内部に入口側から出口側まで列をなす複数のガイドローラー31aが上下3段になるように設置され、ガイドローラー31aの各列の折り返し位置に反転ローラー31bが設けられている構成が異なる。
図7に示す設備において、通過する扁平管の表面温度を150℃程度まで昇温して塗膜を乾燥させることができる。
この点において本実施形態では、先に説明したように乾燥の早い溶剤を用いているので、乾燥炉31を用いて高速乾燥させた場合であっても、1段目において塗膜を完全に乾燥できるので、塗膜にクラックや剥離、浮き上がりなどの欠陥部を生じることなく乾燥させることができる。
このため、乾燥炉31を用いた乾燥工程において従来より乾燥速度の向上を図ることができる。また、従来の塗膜生成、乾燥ラインより高速で塗膜の乾燥ができるようになる。
後に詳述する組成比の粉末ろう組成物の塗膜を用いて以下に詳述する塗布安定性と塗膜乾燥性と塗膜密着性とフィン接合率について試験を行った。
粉末ろう組成物は、Si粉末:13.75質量%、Zn含有フラックス(KZnF3粉末):30.25質量%、高分子材料としてアクリル樹脂:5質量%の含有量に固定し、残部;51質量%の溶剤について後記する表1〜表8、17、18、20、21に示す配合質量割合で溶剤1+溶剤2+溶剤3を混合し、更に溶剤量に対して表に示す量のチキソトロピック剤を配合して用いた。
表に示す親水性フュームドシリカは、親水性フュームドシリカの1種であるAEROSIL200(日本アエロジル株式会社商品名)を用い、ヒュームド金属酸化物は、AEROXADE Alu 130(日本アエロジル株式会社商品名)を用い、合成ヘクトライトは、(LAPONITE:BYK株式会社商品名)を用い、ポリアマイドは、(BYK431:BYK株式会社商品名)を用いた。
塗布安定性の評価について、幅:約50mm×長さ:約50mm×厚さ:0.1mmのアルミニウム合金の板材表面の片面に、粉末ろう組成物をバーコータ(No.16:JIS K5400参照)にて塗布し、大気中、乾燥炉にて塗膜を乾燥させた。乾燥炉は図3に示す乾燥炉を用いた。
このようにして得られたアルミニウム合金板材の塗布前の重量をW1[g]、乾燥後の重量をW2[g]とし、粉末ろう付組成物の塗布面積をA[m2]とした時、乾燥塗布重量Dを、式(W2−W1)/A[g/m2]に基づいて算出した。それらの結果を後記する表1〜表51に示す。
上記平均値、最大値と最小値より、平均値に対して、最大値及び最小値が±1.0g/m2以下の範囲にある場合を「○」、±1.0g/m2を超える範囲にある場合を「×」として塗布安定性を評価した。それらの結果を後記する表1〜表8、17、18、20、21に示す。
また、ろう付け用フラックス組成物としての塗布安定性と塗膜乾燥性と塗膜密着性についても試験するために、表9〜表16、18〜20、21、22に示すようにZn含有フラックスとアクリル樹脂に加え、各種組成の溶剤1+溶剤2+溶剤3を加えてろう付け用フラックス組成物を作製した。
これらの試験には、フィン3を構成するアルミニウム合金板に、質量%でSi:10.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金ろう材層(厚さ20μm)を貼り合わせたブレージングシートを用い、このブレージングシートでフィンを構成し、このフィンを用いて後述するろう付け試験を行った。
塗膜乾燥性の評価については、幅:約50mm×長さ:約50mm×厚さ:0.1mmのアルミニウム合金板材表面の片面に、粉末ろう付組成物をバーコータ(No.16)にて塗布した後、A&D社製加熱乾燥式水分計MF−50を用いて、設定温度100℃にて加熱した時の、アルミニウム合金板材の重量の時間変化を測定した。
更に、塗布直後のアルミニウム合金板材の重量から、上記条件で加熱・乾燥した時に重量の時間変化が無くなった時のアルミニウム合金板材の重量を引いた値(相対乾燥重量)を100とした時に、塗布直後の相対乾燥重量を100とし、相対乾燥重量が5未満となった時間を乾燥時間とした。
上記乾燥時間より、80sec以下を「◎」、120sec以下を「○」、180sec以下を「△」とし、180secを超えた場合を「×」として塗膜乾燥性試験の評価とした。それらの結果を後記する表1〜表22に示す。
塗膜密着性の評価については、幅:約50mm×長さ:約50mm×厚さ:0.1mmのアルミニウム合金板材表面の片面に、粉末ろう付組成物をバーコータ(No.16)にて塗布し、乾燥させた。
このようにして得られた、上記粉末ろう組成物の塗膜が形成されたアルミニウム合金板材を用いて、引っかき硬度(鉛筆法)(JIS−K−5600−5−4)に基づき、鉛筆硬度が、B以上を「○」、2B以下を「×」として塗膜密着性を評価した。それらの結果を後記する表1〜表22に示す。
フィン接合率の評価については、幅:約15mm×長さ:約100mm×厚さ:約1.4mmのアルミニウム合金角材の上面と下面に、粉末ろう組成物をバーコータ(No.16)にて塗布し、乾燥させた。
更に、幅:約15mm×厚さ:0.1mmのアルミニウム合金板材を用いて、コルゲート加工した。上記、粉末ろう組成物の塗膜が形成されたアルミニウム合金の角材と、コルゲート加工されたアルミフィンとを、交互に重ねるようにして組み立てた後、ろう付け炉(不活性雰囲気)にて600℃、3分間保持して、ろう付を行った。
ろう付け用フラックス組成物を用いたフィン接合率の評価においては、前記アルミニウム合金角材にフラックス組成物を前記と同等の方法で塗布し乾燥させた。また、前記ろう材層を複合したブレージングシートをコルゲート加工したアルミニウムフィンを用いて前記と同等条件にてろう付けを行った。
式:フィン接合率(%)=(アルミフィンとアルミ角材の総ろう付長さ)/(アルミフィンとアルミ角材の総接触長さ)×100
上述の各試験に用いる粉末ろう組成物として以下の表1〜表22に示す各種配合組成の粉末ろう組成物を用いて各試験を行い、それらの結果を各表に示した。また、ブレージングシートを用いたフラックス組成物の試験についても各試験を行い、それらの結果を各表に示した。
粉末ろう組成物の粒子沈降性評価については、キャップ付きガラス瓶(容量:20ml)中に表1〜表22に示す各組成の粉末ろう組成物あるいはろう付け用フラックス組成物を15ml加え、静置して24時間経過後の粉末ろう組成物中の溶剤上澄み領域と粒子沈降領域との比率から、沈降抑制割合を算出した。
静置して24時間経過後の溶液全体について、ガラス瓶の底面から溶液最上面までの高さをA、粒子の沈降を生じて上澄みを生じた場合、ガラス瓶の底面から上澄みの底面までの高さをBと定義した場合、沈降抑制率(S)をS=B/Aの関係式で表すことができる。
上述の関係式から計算された沈降抑制率から、0.9以上を「○」、0.9未満を「×」と判定した。
連続塗布性の評価について、株式会社サンエイテック製エアスプレーバルブ装置(吐出開口径0.2mm)を用いて、表1〜表22に示す各組成の粉末ろう組成物又はろう付け用フラックス組成物を1時間連続で吐出した。この時、吐出できなくなることなく1時間連続吐出できた場合を「○」、連続吐出できなかった場合を「×」と判定した。
実施例1〜20、25〜44、49〜68、73〜92、97〜116、121〜140、145〜164、169〜188と、比較例1〜15、21〜35、37、41〜50、53〜62は、溶剤1として水と2−プロパノールを選択した。
実施例21〜24、45〜48、69〜72、93〜96、117〜120、141〜144、165〜168、189〜192と、比較例19、20、39、40、51、52、63、64は溶剤1を略し、溶剤2,3を選択している。
比較例16、18、36、38は、溶剤1として水と2−プロパノールのどちらかを選択した。
実施例1〜192と比較例1〜64は、溶剤3として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを用いた。
実施例1〜192は、溶剤1〜3のそれぞれの配合質量割合が、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%の範囲内の例である。
実施例1〜192は、これらの成分に加え、チクソトロピック性を付与する沈降防止剤として、親水性フュームドシリカの1種としてのAEROSIL200(日本アエロジル株式会社商品名)と、親水性フュームド金属酸化物の1種である親水性フュームド法酸化アルミニウムとしてのAEROXADE Alu 130(日本アエロジル株式会社商品名)と、増粘剤としての合成ヘクトライトと、沈降防止剤としてのポリアマイドの何れかを選択して添加した。
比較例1〜64は、これらの沈降防止剤を含んでいない例である。
表1、表2に示す実施例1〜24の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表3、表4に示す実施例25〜48の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表5、表6に示す実施例49〜72の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表7、表8に示す実施例73〜96の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表9、表10に示す実施例97〜120の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表11、表12に示す実施例121〜144の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表13、表14に示す実施例145〜168の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表14、表15に示す実施例169〜192の試料は、いずれにおいても粒子沈降性、塗布安定性、連続塗布性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率において優れていた。
表17、表18に示す比較例1〜20が示すように、溶剤1の含有量について20質量%を超える(比較例2、3、8〜10、11)と、塗膜の乾燥速度が速くなりすぎるため、塗布工程中において塗料の粘度が上昇し、塗布量のバラツキが大きくなることにより、塗布安定性が悪化することが分かった。
溶剤2の含有量について70質量%を超える(比較例1、4〜7、15、16、19)と、乾燥速度が速くなりすぎるため、塗布工程中での塗料の粘度が上昇し、塗布量のバラツキが大きくなり、塗布安定性が悪化するか、塗布安定性の悪化に加えて塗膜密着性も低下することが分かった。また、溶剤2の含有量について、30質量%未満(比較例11〜14)とすると塗膜乾燥性が悪化することから、十分に塗膜が乾燥されなくなり、塗膜密着性も低下することが分かった。
比較例21〜40の試料は、塗布安定性、塗膜乾燥性、膜密着性、フィン接合率のいずれかにおいて評価が悪化した。また、比較例21〜40の試料は、いずれにおいても粒子沈降性が悪化している。
以上のことから、ろう付け用フラックス組成物について塗布安定性、塗膜乾燥性、膜密着性を良好とし、ろう材と組み合わせて良好なフィン接合率を得るためには、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%の範囲とすることが重要であり、更に粒子沈降性の面で優れるためには、上述のチキソトロピック剤を添加していることが重要であることがわかった。
比較例41〜64の試料は、塗布安定性、塗膜乾燥性、塗膜密着性、フィン接合率についての評価は優れていたが、粒子沈降性と塗連続塗布性についての評価は悪かった。
このため、ろう付け組成物とフラックス組成物において、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%の範囲の条件を満たしている上に、チキソトロピック剤を添加し、溶液成分の分離を抑制することが、チューブや熱交換器を量産する場合に重要であることがわかった。
エタノール、1−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、tert−ブタノール、アセトニトリルについても、上述の実施例と同様の試験を行っている。
その結果、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%の範囲の条件を満たすように配合した場合、ろう付け組成物とフラックス組成物について、塗布安定性、塗膜乾燥性、塗膜密着性、フィン接合率について優れた評価を得ることができることを確認している。
2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤についても、上述の実施例と同様の試験を行っている。
その結果、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%の範囲の条件を満たすように配合した場合、ろう付け組成物とフラックス組成物について、塗布安定性、塗膜乾燥性、塗膜密着性、フィン接合率について優れた評価を得ることができることを確認している。
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ブトキシエタノール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチルラクトン、3−メトキシ−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、グリセリン、2−アミノエタノールからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤についても、上述の実施例と同様の試験を行っている。
その結果、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%の範囲の条件を満たすように配合した場合、ろう付け組成物とフラックス組成物について、塗布安定性、塗膜乾燥性、塗膜密着性、フィン接合率について優れた評価を得ることができることを確認している。
Claims (19)
- フッ化物系フラックスと樹脂と溶剤とチキソトロピック剤を含むろう付け用フラックス組成物であって、
前記樹脂が、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルのいずれか1種又は2種以上を含む高分子材料を含み、且つ、前記溶剤が水、または水溶性を有する有機溶剤であって、
酢酸ブチルの蒸発量に対する溶剤aの蒸発量の比を溶剤aの比蒸発量Qaと定義した場合、
以下の(1)式より求められる比蒸発量Qaについて、Qa>60の溶剤を溶剤1と定義し、60≧Qa>10の溶剤を溶剤2と定義し、Qa≦10の溶剤を溶剤3と定義し、ろう付け用フラックス組成物中の全溶剤100%とした場合に、溶剤1〜3のそれぞれの配合質量割合が、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%であることを特徴とするろう付け用フラックス組成物。
Qa=(Pa×√Ma)/(P酢酸ブチル×√M酢酸ブチル)×100…(1)式
ただし、(1)式において、Qa:溶剤aの比蒸発量、Pa:溶剤aの飽和蒸気圧(20℃)、Ma:溶剤aの分子量、P酢酸ブチル:酢酸ブチルの飽和蒸気圧(20℃)、M酢酸ブチル:酢酸ブチルの分子量を意味する。 - 前記溶剤1〜3が、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の少なくとも一方からなる水溶液を有する有機溶剤であることを特徴とする請求項1に記載のろう付け用フラックス組成物。
- 前記溶剤1〜3が、水、エーテル類、エステル類、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、エステル系グリコールエーテル類、一級アミン類、アミド類、アセトニトリルからなる溶剤群のいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろう付け用フラックス組成物。
- 前記溶剤1が、水、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、tert−ブタノール、アセトニトリルからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項1に記載のろう付け用フラックス組成物。
- 前記溶剤2が、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−ブタノール、ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項1または請求項4に記載のろう付け用フラックス組成物。
- 前記溶剤3が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ブトキシエタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチルラクトン、3−メトキシ−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、グリセリン、2−アミノエタノールからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項1、請求項4または請求項5に記載のろう付け用フラックス組成物。
- 前記チキソトロピック剤が、
シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアのうち、少なくとも1種の無機酸化物微粒子と、
カオリン、タルク、マイカ、スメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト、セリサイト、イライトのうち、少なくとも1種の天然又は合成の層状無機化合物と、
溶媒中において網目構造や膨潤分散構造を形成する有機化合物としてアマイドと、
酸化ポリエチレンと、
メチルセルロース、カルボシキメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースナノファイバーのうち、少なくとも1種のセルロース樹脂と
から選択された1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のろう付け用フラックス組成物。 - Si粉末とフッ化物系フラックスと樹脂と溶剤とチキソトロピック剤を含む粉末ろう組成物であって、
前記樹脂が、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルのいずれか1種又は2種以上を含む高分子材料を含み、前記溶剤が水、または水溶性を有する有機溶剤であって、
酢酸ブチルの蒸発量に対する溶剤aの蒸発量の比を溶剤aの比蒸発量Qaと定義した場合、
以下の(1)式より求められる比蒸発量Qaについて、Qa>60の溶剤を溶剤1と定義し、60≧Qa>10の溶剤を溶剤2と定義し、Qa≦10の溶剤を溶剤3と定義し、粉末ろう組成物中の全溶剤100%とした場合に、溶剤1〜3のそれぞれの配合質量割合が、溶剤1:溶剤2:溶剤3=0〜20%:30〜70%:10〜60%であることを特徴とする粉末ろう組成物。
Qa=(Pa×√Ma)/(P酢酸ブチル×√M酢酸ブチル)×100…(1)式
ただし、(1)式において、Qa:溶剤aの比蒸発量、Pa:溶剤aの飽和蒸気圧(20℃)、Ma:溶剤aの分子量、P酢酸ブチル:酢酸ブチルの飽和蒸気圧(20℃)、M酢酸ブチル:酢酸ブチルの分子量を意味する。 - 前記溶剤1〜3が、極性非プロトン性溶媒と極性プロトン性溶媒の少なくとも一方からなる水溶液を有する有機溶剤であることを特徴とする請求項8に記載の粉末ろう組成物。
- 前記溶剤1〜3が、水、エーテル類、エステル類、アルコール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類、エステル系グリコールエーテル類、一級アミン類、アミド類、アセトニトリルからなる溶剤群のいずれかであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の粉末ろう組成物。
- 前記溶剤1が、水、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、tert−ブタノール、アセトニトリルからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項8に記載の粉末ろう組成物。
- 前記溶剤2が、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−ブタノール、ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項8または請求項11に記載の粉末ろう組成物。
- 前記溶剤3が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ブトキシエタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチルラクトン、3−メトキシ−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、グリセリン、2−アミノエタノールからなる群より選ばれた1又は2種以上の溶剤であることを特徴とする請求項8、請求項11または請求項12に記載の粉末ろう組成物。
- 前記チキソトロピック剤が、
シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアのうち、少なくとも1種の無機酸化物微粒子と、
カオリン、タルク、マイカ、スメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト、セリサイト、イライトのうち、少なくとも1種の天然又は合成の層状無機化合物と、
溶媒中において網目構造や膨潤分散構造を形成する有機化合物としてアマイドと、
酸化ポリエチレンと、
メチルセルロース、カルボシキメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースナノファイバーのうち、少なくとも1種のセルロース樹脂と
から選択された1種又は2種以上であることを特徴とする請求項8〜請求項13のいずれか一項に記載の粉末ろう組成物。 - 請求項8〜請求項14のいずれか一項に記載の粉末ろう組成物からなる塗膜が表面に形成されたことを特徴とするアルミニウム合金部材。
- アルミニウム合金からなるヘッダーパイプと扁平管とフィンを備え、これらヘッダーパイプと扁平管とフィンを含むアルミニウム合金部材のいずれかが請求項8〜請求項14の何れかに記載の粉末ろう組成物の溶融凝固物であるフィレットにより接合されたことを特徴とする熱交換器。
- 粉末ろう組成物からなる塗膜が表面に形成されたアルミニウム合金部材の製造方法であって、
請求項8〜請求項14のいずれか一項に記載の粉末ろう組成物をアルミニウム合金からなるアルミニウム合金部材の全表面又は表面の一部に塗布する工程と、
前記アルミニウム合金部材に塗布された前記粉末ろう組成物を乾燥する工程とを備えることを特徴とするアルミニウム合金部材の製造方法。 - 前記アルミニウム合金部材が、アルミニウム合金からなるヘッダーパイプ又は扁平管であることを特徴とする請求項17に記載のアルミニウム合金部材の製造方法。
- アルミニウム合金からなるヘッダーパイプと扁平管とフィンを備える熱交換器の製造方法であって、
請求項8〜請求項14のいずれか一項に記載の粉末ろう組成物をアルミニウム合金からなるヘッダーパイプ又は扁平管の全表面又は表面の一部に塗布する工程と、
前記ヘッダーパイプ又は前記扁平管に塗布された前記粉末ろう組成物を乾燥する工程と、
前記ヘッダーパイプと、前記扁平管と、前記フィンとを備える熱交換器組立体を組み立てる工程と、
前記組立体を加熱ろう付けすることにより、前記ヘッダーパイプと前記扁平管又は前記扁平管と前記フィンを接合する工程を備え、
前記ヘッダーパイプと前記扁平管又は前記扁平管と前記フィンは、前記粉末ろう組成物の溶融凝固物であるフィレットにより接合されていることを特徴とする熱交換器の製造方法。
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