JP4088887B2 - 水系アルミニウムろう付け用組成物、及びろう付け方法 - Google Patents

水系アルミニウムろう付け用組成物、及びろう付け方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜鉛拡散層の形成により耐食性の向上を図る目的で亜鉛系フラックスを含有させた水系アルミニウムろう付け用組成物、及びそのろう付け方法に関して、この亜鉛系フラックスによる系内での沈降を有効に防止するとともに、ろう付け性を良好に保持できるものを提供する。
【0002】
【発明の背景】
従来、車載用のアルミニウム熱交換器においては、車両エンジンの燃費向上などを目的として軽量化が求められている。
この要求に応えるためには、熱交換器のチューブ等の構成材料の薄肉化が必要になるが、材料の薄肉化は、アルミニウム材料の穴あき腐食により流体(冷媒)洩れが起こり易くなるため、材料の薄肉化と耐食性の確保との両立が重要な課題となっている。
【0003】
通常、車載用熱交換器にあっては、冷媒が流れる通路を構成するチューブを、アルミニウム材料の押出加工によって扁平多穴の断面形状に成形するとともに、この扁平多穴形状のチューブの外周面にZn溶射を行って、表面Zn濃度を0.5%以上にしたZn拡散層を形成することにより、チューブの耐食性の向上を図っている。この場合、Zn拡散層はチューブを構成するアルミニウム材料より自然電位が卑となるため、このZn拡散層の方がアルミニウム材料よりも優先的に腐食(犠牲腐食)し、もって、アルミニウム製チューブの穴あき腐食を有効に防止するというのが、その耐食性向上の基本原理である。
【0004】
【従来の技術】
しかし、上記腐食防止方法においては、チューブ外表面にZnを溶射で付着させるので、Zn付着量をアルミニウム表面に均一化させることが困難である。仮に、コスト面の見地から溶射によるZn付着量を少量に管理しようとしても、アルミニウム材料表面の一部にZnが供給されない箇所が発生し、その箇所が集中的に腐食されてしまうという問題がある。
また、上記不良を防止するために、コストを無視してZn付着量を多量に管理しようとすると、チューブとコルゲートフィンとのろう付け部にも高濃度のZnが存在する結果となり、ろう付け部が選択的に腐食し易くなり、コルゲートフィンが脱落する恐れが出て来る。
【0005】
一方、本出願人は、特開2000−687号公報で、メタクリル酸エステル系共重合体にオキシラン基含有樹脂、ポリオキサゾリンなどを添加した有機バインダを使用することにより、フッ化アルミン酸カリウム等の公知の非腐食性フラックスをチューブに塗布してろう付けする方法を開示した。
また、特開平11−239867公報で、メタクリル酸エステルの重合体又は共重合体を主要成分とする有機バインダと非腐食性フラックスとケイ素や亜鉛などの粉末とを混合し、この混合物をロール転写法により自動車熱交換器用アルミニウム押出多孔偏平管に塗布する方法を開示した。
【0006】
そこで、これらの従来技術を熱交換器用のチューブに適用し、有機バインダを介して亜鉛粉末をチューブに塗布すれば、均一且つ経済的に亜鉛をアルミニウム材料表面に供給できるのではないかと考え、有機バインダ、非腐食性フラックス及び亜鉛粉末を混合してなる塗料(即ち、ろう付け用組成物)を試作し、塗布を試みたが、数時間の内に塗料が増粘してしまい、安定してチューブに塗布することができなかった。
この現象は非腐食性フラックスが存在しない塗料でも同様に起こることから、有機バインダと亜鉛粉末が化学反応を起こして増粘していることが推定される。
この点を詳しく説明すると、有機バインダ中のカルボキシル基と、亜鉛粉末の加水分解で生成したZnイオンとが錯形成し、有機バインダがZnイオンを核として3次元構造をとることにより、塗料が増粘しているものと思われる。ちなみに、有機バインダ中のカルボキシル基は、近年の環境衛生に配慮してバインダを水溶性化するために不可欠な置換基であり、バインダから取り除くことはできない。
【0007】
この増粘の問題を解消するためには、Zn粉末(即ち、Zn金属単体の粉末)に替えて、より安定な金属化合物であるZnフッ化物の使用により、Znイオンの生成を抑制することが考えられる。このZnフッ化物は、例えば、特表2002−507488号公報にも記載されているように、その具体的成分はKZnF3などのフルオロ亜鉛酸アルカリ金属塩であり、また、フッ化物の選定は金属に対する腐食作用が低く、それ自身がフラックスの効果を有するという理由による。
そこで、前記水系有機バインダとフッ化アルミン酸カリウム(フラックス)とKZnF3を混合して塗料化したところ、亜鉛粉末を使用した場合と比較して塗料の増粘は軽減された反面、約1日で使用できないレベルにまで増粘してしまうことが判った。これは、亜鉛粉末ほどではないが、KZnF3の一部がやはり加水分解を起こして、Zn2+が生じているためと考えられる。従って、塗料化してすぐに消費すれば使用可能であるが、産業的見地に立てば非常に制約が大きい。
【0008】
ちなみに、国際特許公報WO 01/38040 A1には、このZnフッ化物であるKZnF3と、メタクリル酸エステルのホモポリマー又はコーポリマーと、キシレンなどの有機溶媒を配合したアルミニウムろう付け用組成物及びろう付け方法が開示されており、例えば、バインダとしてカルボキシル基を含有していないメタクリル酸エステルのホモポリマーなどを使用することも考えられるが、ホモポリマーでは炭素数が少ないとガラス転移温度が高くなりがちで、ろう付け用組成物がアルミニウム部材から脱落したり、表面に割れを生じる恐れなどがある。また、昨今の環境問題や安全衛生上の見地から、毒性の高い有機溶剤の使用は制限されつつあり、キシレン等の芳香族系溶剤については特に問題が大きい。
【0009】
【先行技術】
そこで、本出願人は、上記知見に基づいて、Znイオンと有機バインダのカルボキシル基との相互作用の問題を解消することを鋭意研究した結果、特願2001−193372号で、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等の3級アミノエタノールや、メチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール等の2級アミノアルコール等の特定化合物を反応抑制剤として添加することにより、有機バインダ中のカルボキシル基の反応性を抑制できるアルミニウムろう付け方法を提案した。
当該先行技術では、アミノアルコール類の窒素原子が不対電子対を有するため、このアミノアルコール類が塩基的に作用してプロトン解離した有機バインダのカルボキシル基と優先的に化学反応し、加水分解により生成したZnイオンと有機バインダの反応を抑制できるものと推定される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、亜鉛系フラックス(KZnF3)と共にアミノアルコール類を共存させたアルミニウムろう付け用組成物にあっては、所期の目的である亜鉛拡散層による犠牲腐食効果で耐食性が向上するとともに、アミノアルコール類の作用で有機バインダとZnイオンとの反応が抑制されて、当該組成物が増粘する問題も改善できる。
しかしながら、このKZnF3を使用したろう付け用組成物では、その属性としてKZnF3自体の比重が非常に大きいため、塗料化しても数時間内にKZnF3が沈降してしまい、塗布時に撹拌する必要があるばかりでなく、貯蔵の際に容器の底で塗料がバインダを介して固化してしまうという問題がある。また、この沈降現象はアルミニウム部材に塗布する際の比較的短時間のうちにも発生し、塗料に濃度差が出来て、均一塗布を阻害してしまう。
【0011】
本発明は、ろう付け後の耐食性向上を目的として亜鉛系フラックスを有機バインダと共に配合したアルミニウムろう付け用組成物において、ろう付け性を良好に確保しながら、比重の大きい亜鉛系フラックスの沈降を防止することを技術的課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
一般に、粉体を含有する塗料には粉体の沈降を防止する目的で、種々の沈降防止剤を添加することが知られている。
そこで、本発明者らは、KZnF3を含有する塗料において、塗料保管中や塗布作業中にKZnF3が沈降して塗料中に濃度差が発生することの対策として、塗料に上記沈降防止剤を使用することを着想した。
この着想に基づいて、KZnF3を含有する塗料(即ち、ろう付け用組成物)に種々の沈降防止剤を添加し、KZnF3の沈降度合いを調べたところ、チキソトロピー値が所定範囲にある場合に限り、塗料に良好な流動性を付与しながら、KZnF3の沈降を有効に防止できること、また、沈降防止剤の使用にあっては、その種類の選択性が重要であり、多くの沈降防止剤が実際のろう付け後にろう付け不良、耐食性の低下などをもたらすのに対して、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを使用した場合に限り、良好なろう付け性を担保できることを見い出し、本発明を完成した。
【0013】
即ち、本発明1は、K−Zn−F系のZnフッ化物よりなる亜鉛系フラックスと有機バインダの水溶液を混合した水系アルミニウムろう付け用組成物において、
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを沈降防止剤として、ろう付け用組成物100重量%中に0.03〜1.50重量%含有せて、
EH型粘度計による25℃での回転数10rpmの粘度の対数値を同回転数100rpmでの粘度の対数値で除したチキソトロピー値(TI値)を1.01〜1.20に調整することを特徴とする水系アルミニウムろう付け用組成物である。
【0015】
本発明2は、上記本発明1において、金属ケイ素粉末をろう材として含有することを特徴とする水系アルミニウムろう付け用組成物である。
【0016】
本発明3は、上記本発明1又は2において、亜鉛と、有機バインダ又は沈降防止剤中のカルボキシル基との反応を抑制する反応抑制剤を含有することを特徴とする水系アルミニウムろう付け用組成物である。
【0017】
本発明4は、上記本発明3において、反応抑制剤が、120℃〜200℃の沸点を有するアミノアルコール類であることを特徴とする水系アルミニウムろう付け用組成物である。
【0018】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかのろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布して乾燥し、ろう付け用組成物中の乾燥残差成分をアルミニウム部材表面に固着させたことを特徴とするろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材である。
【0019】
本発明6は、上記本発明5において、ろう付け用組成物の塗膜の平均厚さが2〜15μmであり、且つ、最大厚さが30μm以下であることを特徴とするろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材である。
【0020】
本発明7は、上記本発明5又は6において、亜鉛系フラックスの平均粒径が30μm以下であることを特徴とするろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材である。
【0021】
本発明8は、上記本発明5〜7のいずれかのろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材を所定構造に組み立て、ろう付け温度に加熱し、アルミニウム部材の表面に亜鉛拡散層を形成することを特徴とするアルミニウムろう付け方法である。
【0022】
本発明9は、上記本発明8のアルミニウムろう付け方法により製造された自動車車載用熱交換器である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、耐食性向上用の亜鉛系フラックスと有機バインダの水溶液を混合した水系アルミニウムろう付け用組成物に、沈降防止剤として(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを所定割合で含有させて、TI値を所定の適正範囲に調整した水系ろう付け用組成物であり、第二に、この水系ろう付け用組成物を塗布・乾燥したアルミニウム部材であり、第三に、このろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材を加熱して、アルミニウム部材の表面に亜鉛拡散層を形成することにより、耐食性を向上したアルミニウムろう付け方法であり、第四に、このアルミニウムろう付け方法により製造した自動車車載用熱交換器である。
【0024】
本発明の水系アルミニウムろう付け用組成物は、亜鉛系フラックスと有機バインダと沈降防止剤を必須成分とする。
上記亜鉛系フラックスはK−Zn−F系のZnフッ化物よりなり、Zn成分の働きでアルミニウム部材の表面にZn拡散層を形成して犠牲腐食作用を発揮させるとともに、アルミニウム表面に形成されている酸化皮膜を還元、除去し、アルミニウムとろう材の共晶合金の生成を促進するためのものである。
上記Znフッ化物には、Zn金属単体の粉末よりもZnイオンの生成を抑制できること、フッ化物の働きでフラックス機能を発揮できること、また、金属に対する腐食が低いことなどの利点がある。
Znフッ化物は、具体的にはKZnF3などのフルオロ亜鉛酸カリウムであり、KF/ZnF2=45/55〜50/50(重量%)からなるものが好ましい。この場合、使用目的によってはカリウム塩の部分がCs、Rbなどの他のアルカリ金属塩に代替されても良いことはいうまでもない。
【0025】
一方、上記亜鉛系フラックスは単独使用以外にも、その一部を従来の非腐食性フラックス(ノコロックフラックス)などに置換しても、ろう付けに何ら影響を及ぼすことはない。非腐食性フラックスは、KAlF4、或はKAlF4とK3AlF6との混合物(モル比で、KAlF4:K3AlF6=90:10)、又はK2AlF5などを組成とするものである。
また、上記非腐食性フラックス以外に、CsF、RbF、LiF、NaF、CaF2などのフッ化物系フラックス、或はこれらを主成分とするもので亜鉛系フラックスの一部を代替しても良い。
【0026】
上記有機バインダは基本的に(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、ろう付け時に揮発して炭化物の残渣を残さない見地から、アクリル酸エステル系重合体よりもメタクリル酸系重合体の方が好ましい。メタクリル酸系重合体はメタクリル酸エステルの重合体、或はメタクリル酸エステルの2種以上の共重合体である。上記メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸2−メチルプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メタテトラヒドロフルフリルなどが挙げられる。
また、メタクリル酸エステル系共重合体では、上記メタクリル酸エステルの外に、これらと共重合可能な単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有単量体の1種以上を含む共重合体であっても良く、さらには、これらの単量体に加えて、下記の(a)〜(c)の単量体の内の少なくとも一種を含む共重合体であっても差し支えない。
(a)CH2=C(CH3)COO(CH2)nOH
(式中、nは2〜4の整数である。)
(b)CH2=C(CH3)COO(C24O)n
(式中、nは2〜12の整数である。)
(c)CH2=C(CH3)COO(C36O)n
(式中、nは2〜12の整数である。)
【0027】
上記有機バインダは、一般に、イソプロピルアルコール(IPA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、n−プロパノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの親水性溶剤を用いた溶液重合により製造される。
本発明の水系アルミニウムろう付け用組成物は、この有機バインダをアミノアルコール類、アミン、アンモニアなどでケン化し、必要に応じて、溶剤の一部除去と水の添加により水溶液とした後、この有機バインダの水溶液に亜鉛系フラックスを添加して製造される。
【0028】
本発明の水系アルミニウムろう付け用組成物は、特定の沈降防止剤を所定の適正範囲内で含有させて、TI値を1.01〜1.20に調整したものである。本発明のTI値は、EH型粘度計による25℃での回転数10rpmの粘度の対数値を、同じく25℃での回転数100rpmでの粘度の対数値で除した数値として定義される。
前述したように、粉体を含有する塗料の沈降防止剤には、無機系として超微粒子シリカやマグネシウムアルミニウムシリケート、有機系としてポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ウレタン変性ポリエーテルなどが知られている。
しかしながら、無機系の超微粒子シリカなどを添加した系では、ろう付けは実施できるが、ろう付け後局所的に沈降防止剤由来の無機物が付着した状態になり、その部分の耐食性が著しく低下してしまう問題がある。また、有機系の沈降防止剤のほとんどは、ろう付け時に炭化物を発生させ、ろう付け部の接合強度が低下する問題がある。
このような状況にあって、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを添加した場合に限り、上記問題を解消し、炭化物が発生せず、良好なろう付け性を担保できるのである。
【0029】
即ち、本発明の特定の沈降防止剤とは、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを意味する。(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を包含する概念である。
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体とは、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルを必須の単量体組成とする共重合体であって、(メタ)アクリル酸のホモポリマーや(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマーは排除される。但し、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルの外に、これらのモノマーと共重合可能な他の単量体が含まれた共重合体であっても差し支えない。また、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体は水性エマルションの形態でろう付け用組成物に添加される。
この(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションの市販品には、BASFジャパン社製のラテコールD、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製のプライマルASE−60、95などがある。
ちなみに、本発明の沈降防止剤は成分的に前記有機バインダと共通する場合があるが、後述の実施例などに示すように、沈降防止剤を構成する共重合体の重量平均分子量は有機バインダのそれより1ケタ、或はそれ以上大きく、この平均分子量の大きさがろう付け用組成物全体に適正なチキソトロピー粘性を付与できる理由になっている。
【0030】
本発明のろう付け用組成物にあっては、上記(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションの含有量とろう付け用組成物のTI値との間に有機一体的な関連性があるため、当該共重合体エマルションは、ろう付け用組成物100重量%に対して、0.03〜1.50重量%、好ましくは0.05〜1.50重量%、より好ましくは0.1〜1.50重量%の割合で含有する必要がある。
この点を詳述すると、先ず、亜鉛系フラックス(KZnF3)を含有するアルミニウムろう付け用組成物では、同フラックス(KZnF3)の沈降を防止するためには、TI値が1.01〜1.20、好ましくは1.05〜1.20でなければならない。蓋し、TI値が1.01より低いと、比重の大きい亜鉛系フラックスの沈降防止に不充分であり、TI値が1.20を越えると、ろう付け用組成物のチキソトロピー粘性が高くなり過ぎ、塗料の流動性が阻害されて使用上種々の不具合が発生するからである。
一方、ろう付け用組成物のTI値は上記沈降防止剤の含有量で規定され、沈降防止剤が0.03重量%より少ないと目標とする適正なTI値が得られず、また、含有量が1.50重量%を越えると僅かではあるが炭化物が発生する弊害が出ることから、ろう付け用組成物のTI値を1.01〜1.20の適正範囲に制御し、且つ、良好なろう付け性を確保するためには、沈降防止剤の含有量を0.03〜1.50重量%に調整する必要がある。
【0031】
本発明2に示すように、本発明の水系アルミニウムろう付け用組成物には、フラックス以外にろう材として金属ケイ素粉末を混合することができる。
Siはろう付け時にアルミニウム部材と反応し、アルミニウムより融点の低い共晶合金を形成し、この共晶組成によりアルミニウム部材間のろう付けがスムーズに行われる。このため、Si粉末を配合したろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布すると、ろう付けされる複数のアルミニウム部材側にろう材をクラッドしておかなくても、複数のアルミニウム部材間をろう付けできるので、アルミニウム部材を安価なアルミニウムベア材として成形でき、コスト軽減にきわめて有利である。例えば、車載用熱交換器の場合、この方式を採用すると、従来、コルゲートフィン側に必要であったクラッドろうを使用しなくても済む。
また、金属ケイ素以外にも、Si−Al合金、銅、ゲルマニウムなどをろう材としてろう付け用組成物に混合できることは勿論である。
【0032】
前述したように、水系アルミニウムろう付け用組成物中の有機バインダには、水溶性化を確保するため、その分子内にカルボキシル基が存在する。
従って、本発明3に示すように、本発明の水系アルミニウムろう付け用組成物に反応抑制剤を添加すると、有機バインダ中のカルボキシル基と亜鉛系フラックスとの反応を抑制することができる(ちなみに、本発明では、沈降防止剤中にもカルボキシル基が含まれるため、この沈降防止剤中のカルボキシル基と亜鉛系フラックスの反応をも抑制できる。)これは、本出願人が提案した冒述の先行技術でも示した通りであり、この反応抑制剤の添加によって、ろう付け用組成物の保管中や塗布中に発生する増粘を防止でき、塗布の経済性や作業性を改善できる。
上記反応防止剤としては、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどの3級アミノアルコール、メチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、イソプロピルアミノエタノールなどの2級アミノアルコールなどが挙げられる。
これらのアミノアルコール類の反応抑制原理は、前述したように、アミノアルコール類の分子中の窒素原子がローンペアを持つことから、このアミノアルコール類がプロトン解離したカルボキシル基に親核攻撃をし、もって、イオン化した亜鉛(Zn2+)がカルボキシル基と反応するのを阻止するためと推定される。
【0033】
上記反応抑制剤の添加量は、ろう付け用組成物100重量%に対して0.2〜2重量%程度が好ましい。2重量%より多いとアミノアルコール特有のアミン臭が増して安全衛生上好ましくなく、0.2重量%より少ないと反応抑制効果が低減するためである。
また、反応抑制剤に用いるアミノアルコール類としては、本発明4に示すように、120℃〜200℃の沸点を有するものが好適であり、より好ましくは120〜180℃である。これは、沸点が120℃を下回ると、上述のように、アミノアルコール独特のアミン臭が激しくなって、安全衛生上好ましくなく、逆に、沸点が200℃を越えると、臭気は軽減されるが、ろう付け用組成物を塗布した後の乾燥工程で、反応抑制剤が充分に揮発せずに乾燥不良を起こす恐れがあるからである。
この120〜200℃の沸点を有するアミノアルコール類としては、上述に列挙した2級〜3級アミノアルコールなどが挙げられる。
【0034】
本発明5は上記ろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材であり、例えば、ろう付け用組成物を公知のアプリケーターによりアルミニウム部材に塗布し、ろう付け用組成物中の揮発成分を充分に揮発させ、ろう付け用組成物中の不揮発成分をアルミニウム部材に乾燥固着させたものである。
ここで、重要なことは、ろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布する場合、ろう付け用組成物の塗布形態や組成物中の亜鉛系フラックスの性状がろう付け性に大きく影響する点である。即ち、実際の製品規模に準じて、ろう付け用組成物を塗布したアルミニウム製のチューブを数十段積層して熱交換器のろう付けを行う場合、アルミニウム部材のろう付性や耐食性は、ろう付け用組成物中の亜鉛系フラックス粉末の状態、或はチューブ上に塗布した塗膜の品質に大きく左右されるのである。
【0035】
この点を詳述すると、ろう付加熱工程でのZnフッ化物の反応挙動を調べたところ、約550℃において、Znフッ化物とこれに接触するアルミニウム製チューブとが反応して、K−Al−F系の化合物とZnが生成されるが、アルミニウム材に塗布されたろう付け用組成物の塗膜平均厚さが2〜15μmでは、一度溶融して凝固し、結晶化したフラックス残渣のみがアルミニウム表面に確認されるとともに、付着したZnも充分に拡散し、熱交換器のフィンも良好に接合することが判った。
これに対して、塗膜の平均厚さが15μmを超えると、ろう付後のアルミニウムチュ−ブ表面には部分的に未溶融のフラックス残渣が粉末状のまま残り、チューブとフィンの接触を阻害するとともに、多量の付着にも拘わらずアルミニウムチューブへのZnの拡散量もあまり増加せず、フィンの接合率は著しく低下してしまう。逆に、塗膜の平均厚さが2μm未満では、全体の付着量が少なすぎるため、チューブへのZnの拡散量が低すぎて耐食性が低下することが判った。
また、塗膜の最大厚さが30μmを超える部分があると、ろう付け後のフィンとの接合率が低下する場合があり、その部分のみチューブに拡散したZn濃度が高くなるため、この部分が優先的に腐食して耐食性が低下することも判った。
以上のように、アルミニウム部材にろう付け用組成物を塗布する場合、塗膜の平均厚さ及びその最大厚さが大き過ぎるとろう付け接合性が低下し、また、塗膜の平均厚さが小さ過ぎると耐食性を低下させるため、本発明6に示すように、塗膜の平均厚さは2〜15μm、最大厚さは30μm以下が好ましい。さらに、上記平均厚さは3〜10μmがより好ましく、最大厚さは20μm以下がより好ましい。
【0036】
上述では、ろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布する際の塗膜厚さの観点から説明したが、一方で、この亜鉛系フラックスを用いたろう付け用組成物では、ろう付け後に充分な耐食性を得るには、アルミニウム表面のZn濃度を0.5%以上に確保する必要がある。
そこで、例えば、KZnF3を使用したろう付け用組成物の乾燥後の固着成分量とろう付け後の表面Zn濃度との関係を調べると、図5に示す相関関係が得られた。図5によると、アルミニウム部材にろう付け用組成物を塗布する場合、ろう付け後に0.5%以上の表面Zn濃度を確保するには、塗布量が4g/m2以上であることが必要であり、より耐食性を向上する見地からは、8±1g/m2で塗布することが好ましい。従って、良好なろう付け性を確保するためには、前記塗膜厚さの観点のみならず、このアルミニウム表面への単位面積当たりの付着量も重要である。
【0037】
一方、アルミニウム部材にろう付け用組成物を塗布する場合、ろう付け用組成物中の亜鉛系フラックス粉末の粒径は、平均粒径が30μm以下であると、一度溶融して凝固し、結晶化したフラックス残渣のみがアルミニウム表面に確認され、塗布したZnも充分に拡散して、フィンの接合性も良好になるが、平均粒径が30μmを超えると、ろう付後のアルミニウムチュ−ブ表面には、部分的に未溶融のフラックス残渣が粉末状のまま残り、このフラックス残渣層がチューブとフィンとの接触を阻害してフィンの接合率を著しく低下させることが判った。
このため、本発明7に示すように、ろう付け用組成物中の亜鉛系フラックスの平均粒径は30μm以下が好ましい。
ちなみに、上記ろう付け工程での特性低下には、アルミニウム母材とフラックスが接触している部分から反応が生じ、その反応が徐々に進行継続するために、未反応範囲が生じて接合率を低下させるというメカニズムが考えられる。
【0038】
本発明8は、上記ろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材を所定構造に組み立てた後、ろう付け温度に加熱して、アルミニウム部材表面に亜鉛拡散層を形成することにより、亜鉛の犠牲腐食作用でアルミニウム材料の耐食性を向上させたアルミニウムろう付け方法である。
本発明8のろう付け方法は、任意のアルミニウム製品の製造に適用できるが、本発明9はその具体例であり、このろう付け方法により製造した自動車車載用(例えば、カーエアコン用)の熱交換器である。
尚、本発明では、「アルミニウム」という用語は、アルミニウム合金を包含する概念である。
【0039】
【発明の効果】
ろう付け後の耐食性向上を目的として、亜鉛系フラックス(K−Zn−F系のZnフッ化物など)を含有したアルミニウムろう付け用組成物は、非腐食性フラックスを含有するろう付け用組成物とは異なり、貯蔵中に比重の大きい亜鉛系フラックスが沈降するため、塗布時に撹拌する必要があるとともに、この沈降現象はアルミニウム部材への塗布という比較的短時間のうちにも発生し、均一塗布を阻害する問題がある。
本発明では、ろう付け用組成物に(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションからなる沈降防止剤を含有させて、適正なチキソトロピー粘性を付与することにより、亜鉛系フラックスの沈降を防止し、もって、塗布に際して再撹拌する手間が要らず、また、アルミニウム部材への均一塗布も円滑に達成できる。しかも、沈降防止剤はごく少量添加するだけで、有効に作用する。
さらには、超微粒子シリカ、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリビニルアルコールなどのような粉体含有塗料に使用される他種の化合物とは異なり、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを所定含有量で沈降防止剤として用いるため、ろう付け性に支障を来す恐れがなく、良好なろう付け性が確保できる。
尚、本発明の沈降防止剤は成分的にろう付け用組成物中の有機バインダと共通する場合があるが、後述の実施例などに示すように、沈降防止剤を構成する共重合体の平均分子量は有機バインダのそれより大きく、この平均分子量の大きさが適正なチキソトロピー粘性付与の担保となっている。
【0040】
【実施例】
以下、有機バインダの合成例、沈降防止剤の合成例、並びにこれらを含有する水系アルミニウムろう付け用組成物の実施例を順次述べるとともに、このろう付け用組成物のTI値、沈降性並びにろう付け性試験例を説明する。
次いで、上記ろう付け用組成物中の反応抑制剤の含有量の変化に伴う増粘性及び臭気レベル試験例を述べる。さらには、当該ろう付け用組成物のアルミニウム部材に対する塗膜厚さ並びに同組成物中のZn系フラックスの平均粒径の変化に伴うろう付け性、フィン接合率、並びに最大腐食深さの各種試験例を述べる。
また、下記の合成例、実施例、試験例中の「部」、「%」は特記しない限りすべて重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0041】
《有機バインダの合成例》
先ず、攪拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に600部のイソプロピルアルコールを仕込んだ後、窒素気流下に系内温度が80℃となるまで昇温した。次いで、メタクリル酸メチル100部、メタクリル酸イソブチル275部、メタクリル酸25部及び過酸化ベンゾイル4部の混合溶液を約3時間かけて系内に滴下し、さらに10時間同温度に保って重合を完結させ、乾燥時の酸価が約40、不揮発分濃度が40%の樹脂溶液を得た。
一方、撹拌装置、蒸気凝集除去装置及び窒素導入管を備えた反応装置に、100部の上記樹脂溶液、50部のイオン交換水、150部の3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、2.5部のN,N−ジメチルアミノエタノールを仕込んだ後、窒素気流下で系内が還流するまで昇温し、上記樹脂のケン化溶液を得た。次いで、蒸気凝集除去装置を用いて、系内のイソプロピルアルコール60部を除去し、反応終了時に若干量のイオン交換水を仕込むことにより、不揮発分濃度15%の水溶性有機バインダを得た。尚、樹脂を構成する共重合体の重量平均分子量は8.89万であった。
【0042】
《沈降防止剤の合成例》
攪拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に50部のイオン交換水と0.1部の重亜硫酸ナトリウムを仕込んだ後、窒素気流下に系内温度が85℃となるまで昇温した。次いで、メタクリル酸15部、メタクリル酸エチル15部、イオン交換水20部、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル1部、ポリエチレングリコールオレイルエーテルスルホン酸アンモニウム1部及び過硫酸アンモニウム0.5部をホモジナイザーにて10分間予備乳化し、この予備乳化物を4時間かけて系内に滴下し、さらに4時間同温度に保って重合を完結させ、pHが2.1、重量平均分子量が296万のメタクリル酸/メタクリル酸エチル共重合体の沈降防止剤エマルションを得た。
【0043】
そこで、上記有機バインダと沈降防止剤を含有する水系アルミニウムろう付け用組成物の製造実施例を以下に述べる。
《水系アルミニウムろう付け用組成物の製造実施例》
図1に示す通り、前記合成例で得られた有機バインダに、上記合成例で得られたメタクリル酸/メタクリル酸エステルの共重合体エマルションからなる沈降防止剤を混合し、次いで、反応抑制剤を添加して充分に攪拌混合してから、フラックスを投入し、さらに攪拌混合した後、適量の3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを添加し、不揮発分濃度50%のろう付け用組成物を調製して、実施例1〜12とした。この実施例1〜12では、沈降防止剤の含有量と、反応抑制剤の種類及び含有量とを変化させるとともに、反応抑制剤には前記アミノアルコール類を、フラックスにはKZnF3を夫々使用した(但し、実施例11〜12は反応抑制剤を含有しない例である)。
また、上記実施例1〜12はフラックスのみを使用してろう材を使用しない例であるが、実施例13は実施例7を基本としながら、フラックス(KZnF3)と共にろう材を併用した例であり、フラックスとろう材の配合比をKZnF3:Si=2:1に調整し、他の条件は実施例7と同様に処理したものである。
【0044】
一方、図1に示す通り、上記合成例の有機バインダと、フラックス(KZnF3)と、他種又は所定範囲から外れる含有量の沈降防止剤と、反応抑制剤を含有して、比較例1〜9のろう付け用組成物を調製した。比較例1〜2は上記沈降防止剤を含有しないブランク例であり、比較例3〜4は沈降防止剤をろう付け用組成物全体に対して2.0〜5.0%の割合で過剰含有した例であり、比較例5〜9は沈降防止剤としてメタクリル酸/メタクリル酸エステルの共重合体エマルションではなく、粉体含有塗料に使用される公知の化合物を使用した例である。
尚、実施例1〜13及び比較例1〜9において、ろう付け用組成物中のフラックスやろう材の添加量は、有機バインダの不揮発分10%に対して90%になるようにすべて調製した。
【0045】
そこで、上記実施例1〜13及び比較例1〜9で得られた各ろう付け用組成物(即ち、塗料)について、TI値を本発明の定義に基づいて算出し、塗料の沈降性の優劣を評価するとともに、アルミニウム部材に塗料を塗布・加熱した場合のろう付け性の優劣を評価した。
《ろう付け用組成物の沈降性とろう付け性の評価試験例》
(1)TI値と沈降性試験例
実施例1〜12及び比較例1〜9の各塗料について、製造直後の塗料粘度を東機産業社製のEH型粘度計を用いて、25℃での回転数10rpm及び100rpmの各粘度を測定し、下式(A)に基づいてTI値を算出した。
TI値=logP/logQ …(A)
P:25℃、回転数10rpmでの塗料の粘度
Q:25℃、回転数100rpmでの塗料の粘度
また、製造した各塗料を1週間静置保管し、容器底部における沈降物の度合を目視観察して、沈降性の優劣を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:沈殿物が全くないか、軽く攪拌する程度で均一になった。
△:機械的な分散装置を用いないと、均一にならなかった。
×:容器底部にフラックスが固化していた。
【0046】
(2)ろう付け性試験例
図6に示すように、銅0.4%及びマンガン0.15%を含むアルミニウム合金チューブ材1に、実施例1〜12及び比較例1〜9の各塗料をロールコーターにより塗布した。塗布後、180℃の循環式オーブン中にて1分間乾燥した。塗布量は、前述したように、良好な耐食性を確保する見地から、乾燥後の固着成分の重量が8±1g/m2になるように調節した。
ろう材を含有しない実施例1〜12、比較例1〜9の各塗料を用いた場合は、マンガン1.2%及び亜鉛2.5%を含むアルミニウム合金にケイ素−アルミニウム合金をクラッドしたブレージングシートよりなるフィン2を、また、ろう材を含有する実施例13の塗料を用いた場合は、マンガン1.2%及び亜鉛2.5%を含むアルミニウム合金のベアフィン2を夫々用いて、図6のようにチューブ材1とフィン2を組み合わせることにより、ろう付け用構造物3を製造した。
次いで、このろう付け用構造物3を窒素ガス雰囲気下で600℃まで加熱してろう付けを行い、バインダの炭化状況と接合部のフィレットの状態を目視観察して、ろう付け性の優劣を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:炭化物は観察されず、フィレットも良好であった。
△:フィレットは良好であるが、炭化残差が観察された。
×:炭化残差が観察され、フィレットも小さかった。
【0047】
図2はその試験結果を示す。
沈降防止剤にメタクリル酸/メタクリル酸エステルの共重合体エマルションを用いた実施例1〜13では、TI値は1.01〜1.20の適正範囲内にあり、沈降性の評価は○であるとともに、ろう付け性の評価も○であった。
この沈降防止剤の含有量に着目すると、含有量が0.03%と少ない実施例1では、TI値が1.01であり、含有量が1.50%と多めの実施例10では、TI値が1.05であって、これらの実施例1と10では、沈降性とろう付け性が共に○であった。これに対して、含有量が0%(ブランク例)の比較例1〜2では、共にTI値が1.00であって沈降性が×であり、逆に、含有量が5%と過剰に多い比較例4では、TI値が1.00であって沈降性とろう付け性は共に×であった。また、含有量が2%とやや過剰の比較例3では、TI値は1.01であったが、沈降性、ろう付け性ともに△の評価であり、これらの比較例1〜4では性能の低下が見られた。即ち、沈降防止剤の含有量が少な過ぎても、多過ぎても、TI値を適正範囲内に調整できず、亜鉛系フラックスの沈降を防止できなかった。また、沈降防止剤の含有量が多過ぎると、炭化物が発生して、ろう付け性に悪影響を及ぼした。
ちなみに、沈降防止剤を構成するメタクリル酸/メタクリル酸エステル系の共重合体は有機バインダの成分としても共通する部分があるが、この共重合体を沈降防止剤に使用する場合には、あくまでも添加剤レベルで少量添加するなら良いが、有機バインダの添加量レベルで過剰に含有すると、比較例3〜4に示すように、沈降性とろう付け性の両方に悪影響があることが確認できた。
一方、超微粒子シリカ、(メタ)アクリル酸塩のホモポリマーなどの他種の化合物を沈降防止剤に使用した比較例5〜9では、沈降性の評価は○であるが、ろう付け性の評価は△〜×であった。
以上のことから、亜鉛系フラックスに抗する良好な沈降防止性と、アルミニウム材に対する優れたろう付け性の両方を確保できる点では、メタクリル酸/メタクリル酸エステル系の共重合体エマルションが沈降防止剤として顕著な有効性を発揮することが明らかになった。
【0048】
次いで、冒述の先行技術で提案した通り、ろう付け用組成物中の反応抑制剤の種類や添加量を変化させた場合に、当該ろう付け用組成物(即ち、塗料)の増粘性及び臭気がいかなる度合を示すかについて、以下に試験した。
《ろう付け用組成物の増粘性試験例》
前記実施例1〜13及び比較例1〜9で調製した各塗料について、前述のEH型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃、回転数50rpmでの製造直後の粘度値と1週間経過後の粘度値を測定し、粘度の上昇率(%)を算出することにより、塗料の増粘性の優劣を評価した。
評価基準は次の通りである。
○:上昇率が2%以内であった。
△:上昇率が2〜10%であった。
×:上昇率が10%以上であった。
【0049】
《ろう付け用組成物の臭気レベル試験例》
前記実施例1〜13及び比較例1〜9で調製した各塗料を密閉容器に入れ、40℃の循環式オーブンに1時間放置した後、直ちにフタを開けて、臭気の官能試験を行った。
評価基準は次の通りである。
○:臭気はあるが、受忍限度内であった。
×:堪えがたい臭気があった。
【0050】
図3はその試験結果を示す。
反応抑制剤として、ジメチルアミノエタノール、イソプロピルアミノエタノールを使用し、その含有量を1.0〜3.0%の範囲で変化させた実施例2、4〜5、7〜10、13、或は、比較例2〜9は、増粘性の評価は共に○であり、亜鉛成分と有機バインダなどのカルボキシル基との反応を良好に抑制できることが明らかになった。これに対して、これらのアミノアルコール類の含有量が0.2%と少ない実施例3、実施例6、比較例1では、増粘性の評価は△であり、上記反応を抑制する作用が低下し、アミノアルコール類を含有しない実施例11〜12では、増粘性の評価は×であった。
一方、アミノアルコール類の含有量が3.0%と多い実施例5と8では、臭気が強い(臭気レベルの評価は×である)ことが判る。
従って、ろう付け用組成物中にアミノアルコール類を含有させる場合、亜鉛成分とカルボキシル基との反応の抑制と、臭気の抑制を共に良好に達成するためには、その含有量は少な過ぎず、多過ぎない適正範囲が存在することが判明した。
【0051】
次いで、ろう付け用組成物を塗布する場合の塗膜厚さやフラックスの粒径を変化させた場合、アルミニウム部材のろう付け性、フィン接合率、最大腐食深さがいかなる影響を受けるかについて試験した。
《ろう付け用組成物の塗布形態試験例》
この塗布形態試験において、前記実施例1〜13及び比較例1〜9で得られた各ろう付け用組成物の塗膜の平均厚さ(μm)、最大厚さ(μm)、及びKZnF3フラックスの平均粉末粒径の各条件は図4の左寄り欄に示す通りである。また、新たに、実施例7を基本として、フラックスの平均粉末粒径、ろう付け用組成物の塗膜の平均厚さ、塗膜の最大厚さを変化させて、実施例14〜16のろう付け用組成物を、また、同様に、実施例2を基本として実施例17のろう付け用組成物を、図4の通り夫々調製した。
【0052】
この塗布形態試験での上記ろう付け性試験は、前述の沈降防止剤に着目した際のろう付け性試験と基本的に共通である。但し、アルミニウム製熱交換器の組み付け条件としては、長さ200mmのチューブ1にフィン2を、フィンピッチ3mmで20段積層した(図6参照)。
このろう付け性試験は、有機バインダの炭化状況と接合部のフィレットの状態を目視観察したもので、その評価基準は、前記沈降防止剤に着目した際のろう付け性試験と同様であり、○、△、×の3段階で評価した。
また、上記フィンの接合率試験では、ろう付加熱後のコルゲートフィン材を持具で押し当てて接合の有無を目視観察し、下式で接合率(%)を求めて、
接合率=(接合していないフィン山の数/全コルゲート山数)×100
代表部を切り出して樹脂に埋め込み、接合部が座屈しているか否かを調べた。
フィン接合率の評価基準は次の通りである。
○:接合率が95%以上であった。
×:接合率が95%未満であった。
さらに、上記腐食試験では、上記ろう付性試験と同様の工程で処理したコアに対して、SWAAT腐食試験(ASTM、G85-85)を6週間行い、腐食試験後のチューブの最大孔食深さを測定することにより、チューブの孔食深さ(mm)を調べて、アルミニウム部材の耐食性の優劣を評価した。
耐食性の評価基準は次の通りである。
○:最大深さが0.15mm未満であった。
×:最大深さが0.15mm以上であった。
【0053】
図4の右寄り欄はその試験結果を示す。
ろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布する場合、比較例2では、平均塗膜厚さが1μmと薄すぎるため、最大腐食深さは0.30mm(従って、評価は×)であって、耐食性が低下した。また、実施例15では、平均塗膜厚さが20μmと厚すぎるため、フィン接合率は88.9%であり、同接合率の評価は×であった。
また、実施例17では、最大塗膜厚さが35μmと厚すぎるために、フィン接合率が93.5%、最大腐食深さが0.22mmであって、接合率と耐食性の評価が共に×であった。
さらに、比較例5では、フラックスの平均粉末粒径が36μmと大きいために、未反応の粉末残渣が残り、フィン接合率が88.1%であり、接合率の評価は×であった。
これに対して、ろう付け用組成物の塗膜の平均厚さが2〜15μm、塗膜の最大厚さが30μm以下、また、組成物中のフラックスの平均粒径が30μm以下の条件を満たす実施例では、ろう付け性ばかりでなく、フィン接合率及び耐食性の評価も良好であった。
以上の点から、ろう付け性に加えて、フィン接合率や耐食性を向上するためには、ろう付け用組成物の塗膜の平均厚さ、塗膜の最大厚さ、並びに組成物中のフラックスの平均粒径を上記適正範囲に夫々制御することの重要性が明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜13及び比較例1〜9の各ろう付け用組成物に使用される沈降防止剤、反応抑制剤の種類及び添加量などを示す図表である。
【図2】実施例1〜13及び比較例1〜9の各ろう付け用組成物におけるチキソトロピー値、沈降性及びろう付け性の試験結果を示す図表である。
【図3】実施例1〜13及び比較例1〜9の各ろう付け用組成物における増粘性及び臭気レベルの試験結果を示す図表である。
【図4】実施例1〜17及び比較例1〜9の各ろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布してろう付けした際の塗膜の平均厚さ、最大厚さ、及びフラックスの平均粒径の変化に伴うろう付け性、フィン接合率及び最大腐食深さの各試験結果を示す図表である。
【図5】ろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布した際の乾燥後の付着量と、ろう付け後のアルミニウム表面のZn濃度との関係図である。
【図6】チューブ材とフィンを組み付けたろう付け用構造物の概略斜視図である。

Claims (9)

  1. K−Zn−F系のZnフッ化物よりなる亜鉛系フラックスと有機バインダの水溶液を混合した水系アルミニウムろう付け用組成物において、
    (メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系の共重合体エマルションを沈降防止剤として、ろう付け用組成物100重量%中に0.03〜1.50重量%含有させて、
    EH型粘度計による25℃での回転数10rpmの粘度の対数値を同回転数100rpmでの粘度の対数値で除したチキソトロピー値を1.01〜1.20に調整することを特徴とする水系アルミニウムろう付け用組成物。
  2. 金属ケイ素粉末をろう材として含有することを特徴とする請求項1に記載の水系アルミニウムろう付け用組成物。
  3. 亜鉛と、有機バインダ又は沈降防止剤中のカルボキシル基との反応を抑制する反応抑制剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水系アルミニウムろう付け用組成物。
  4. 反応抑制剤が、120℃〜200℃の沸点を有するアミノアルコール類であることを特徴とする請求項3に記載の水系アルミニウムろう付け用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のろう付け用組成物をアルミニウム部材に塗布して乾燥し、ろう付け用組成物中の乾燥残差成分をアルミニウム部材表面に固着させたことを特徴とするろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材。
  6. ろう付け用組成物の塗膜の平均厚さが2〜15μmであり、且つ、最大厚さが30μm以下であることを特徴とする請求項5に記載のろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材。
  7. 亜鉛系フラックスの平均粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載のろう付け用組成物を塗布したアルミニウム部材を所定構造に組み立て、ろう付け温度に加熱し、アルミニウム部材の表面に亜鉛拡散層を形成することを特徴とするアルミニウムろう付け方法。
  9. 請求項8のアルミニウムろう付け方法により製造された自動車車載用熱交換器。
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