JP2021020211A - 疎水性ゼオライト、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のゼオライトでは得られなかった、高い疎水性と高い有機化合物吸着能を兼ね備えた疎水性ゼオライトを提供する。【解決手段】 25℃、RH60%における水分吸着量が(6g/ゼオライト100g)以下、かつ25℃、0.01kPaにおけるトルエン吸着量が(9g/ゼオライト100g)以上である疎水性ゼオライト。【選択図】 図2

Description

本発明は、疎水性ゼオライト、及びその製造方法に関する。本発明の疎水性ゼオライトは、例えば、水蒸気を含む混合ガスから有機化合物を選択的に吸着除去する、または吸着回収する用途に有用である。
塗装設備、印刷設備、工業製品の洗浄設備等から排出される有機化合物は、浮遊粒子状物質や光化学オキシダント等の大気汚染の原因とされており、排出量の削減が求められている。そして、該有機化合物の削減のために、種々の有機化合物吸着剤が開発されている。
近年、ゼオライトを用いた有機化合物吸着剤が提案されているが、一般にゼオライトは水分吸着量が多いために、相対的に揮発性有機化合物の吸着量が低下したり、吸着した有機化合物および水分を加熱除去して吸着剤を再生する際に多くのエネルギーを要する。このため、水分吸着量が少ない、すなわち疎水性の高いゼオライトが求められている。
疎水性が比較的高いゼオライトとして、特許文献1では、酸処理によりSiO/Alモル比を向上させたBEA型ゼオライトが提案されている。しかしながら、特許文献1に記載のゼオライトは、相対湿度10%に相当するP/P=0.1における水の吸着容量が1.0〜5.0%程度であり、酸処理だけでは有機化合物吸着剤として十分な疎水性を得ることができなかった。
また、特許文献2では、SiO/Alモル比が300以上のBEA型ゼオライトからなる炭化水素吸着剤が提案されている。特許文献2に記載の炭化水素吸着剤は、ゼオライトに吸着された炭化水素の脱離温度が高く、低い温度で吸着質を脱離することが求められる有機化合物吸着剤としては不十分であった。
特許第3429011号 特開2008−080195号
本発明は、従来のゼオライトでは得られなかった、高い疎水性と高い有機化合物吸着能を兼ね備えた疎水性ゼオライトを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の疎水性ゼオライトが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、25℃、相対湿度(以下、「RH」ともいう。)60%における水分吸着量が(6g/ゼオライト100g)以下、かつ25℃、0.01kPaにおけるトルエン吸着量が(9g/ゼオライト100g)以上である疎水性ゼオライトである。なお、当該疎水性ゼオライトについては、高い疎水性と高い有機化合物吸着能を兼ね備える点で、フッ素化合物を使用せずに製造された疎水性ゼオライトであることが好ましい。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、25℃、RH60%における水分吸着量が(6g/ゼオライト100g)以下、かつ25℃、0.01kPaにおけるトルエン吸着量が(9g/ゼオライト100g)以上である疎水性ゼオライトである。
本発明において、水分吸着量は、温度25℃、平衡圧力がP/P=0.6、P=1.90kPa(RH60%)における水の平衡吸着量をゼオライト100g当りの質量に換算したものであり、トルエン吸着量は、温度25℃、平衡圧力P=0.01kPaにおける平衡吸着量をゼオライト100g当りの質量に換算したものである。水分吸着量が低いものほど「疎水性が高い」、トルエン吸着量が高いものほど「有機化合物吸着能が高い」と評価できる。そして、本発明は、25℃、RH60%における水分吸着量が(6g/ゼオライト100g)以下、かつ25℃、0.01kPaにおけるトルエン吸着量が(9g/ゼオライト100g)以上であることで、高い疎水性と高い有機化合物吸着能を兼ね備えることを特徴とする。さらに、25℃、RH60%における水分吸着量は(5g/ゼオライト100g)以下であることが好ましく、(4g/ゼオライト100g)以下であることがより好ましい。該水分吸着量の下限は限定されず、低い方が好ましい。25℃、0.01kPaにおけるトルエン吸着量は(10g/ゼオライト100g)以上であることが好ましく、(10.5g/ゼオライト100g)以上であることがより好ましい。該トルエン吸着量の上限は限定されず、高い方が好ましい。
本発明の疎水性ゼオライトは、25℃、RH10%における水分吸着量が(1g/ゼオライト100g)以下であることが好ましく、(0.5g/ゼオライト100g)以下であることがより好ましい。該水分吸着量の下限は限定されず、低い方が好ましい。
本発明の疎水性ゼオライトは、例えば、BEA構造、MEI構造、またはMSE構造等を有することが挙げられ、高い有機化合物吸着能を有するため、BEA構造を有することが好ましい。ここで、BEA構造、MEI構造、MSE構造とは、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)により、それぞれ「BEA」、「MEI」、「MSE」に分類されるゼオライト骨格構造を指す。
本発明の疎水性ゼオライトは、H MAS NMRの化学シフト1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量が3×1020個/g以下であり、かつ0.7ppm付近のピークを有さないことが好ましい。
H MAS NMRの測定は固体NMR:Varian社製核磁気共鳴装置VNMRS−400を用い、試料管を15kHzの回転数で回転させながら測定した。化学シフトはテトラメチルシランを化学シフト基準(0ppm)とした。ヒドロキシ基の定量は、重水素化したジメチルスルホキシド中のベンゼンにより作成した水素量の検量線により定量化をおこなった。また試料は、あらかじめ400℃において5時間真空排気して脱水した試料を用いて測定をおこなった。
本発明の疎水性ゼオライトのH MAS NMRは、高い疎水性を有するために、スペクトル形状において化学シフト1.8ppm付近にメインピークを有し、2.2ppm付近にショルダーピークを有することを特徴とする。さらにH MAS NMRの定量値において化学シフト1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量は3×1020個/g以下であることが好ましく、2.5×1020個/g以下であることがさらに好ましい。また化学シフト0.7ppm付近にピークを有さず、さらに4ppm付近、5ppm付近の何れにもピークを有していないことが好ましい。
本発明の疎水性ゼオライトは、高い疎水性と高い結晶化度の両立の観点から、SiO/Alモル比が100〜500の範囲であることが好ましく、300〜480の範囲であることがより好ましい。
本発明の疎水性ゼオライトは、結晶径が0.02μm〜2.0μmであることが好ましく、0.03μm〜1.0μmであることがより好ましい。結晶径が0.02μm以上であれば、成形加工又はハニカムコートする際により取り扱いやすい物性を得ることができ、2.0μm以下であれば、吸着質の結晶内拡散悪化による吸着性能の低下を抑制できるものとなる。
本発明の疎水性ゼオライトは、有機化合物吸着剤として使用する際のより高い吸着選択性及び耐熱性の観点、並びに、吸着した有機化合物の酸化分解などの機能付与の観点から、ナトリウム、カリウム、セシウム、鉄、銅、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びイリジウムからなる群より選ばれた1種以上の金属を含有することができる。
金属成分を含有させる方法は特に限定されず、イオン交換法、含浸法、蒸発乾固法などが使用できる。イオン交換法としては、ゼオライトと所望のイオンを含有する溶液とをゼオライト中のイオン量が所望の濃度になるまで接触させる方法が挙げられる。回分法、流通法など一般的なイオン交換法が適用可能である。成形体やハニカム構造体の有機化合物吸着剤を製造する際には、ゼオライト粉末を金属修飾した後に成形体やハニカム構造体とすることも、ゼオライト粉末を成形体やハニカム構造体とした後に金属修飾を行うことも、いずれでも可能である。
次に本発明の疎水性ゼオライトの製造方法について説明する。
該製造法としては、本発明の疎水性ゼオライトが製造できれば、特に制限はないが、例えば、ゼオライトを酸性溶液と接触させた後、水蒸気と600℃〜900℃の温度で接触させる製造方法が挙げられる。
ここで、本発明において、「酸性溶液」とは、pHが3以下である溶液を示し、pHが2以下である溶液がより好ましい。
母材となるゼオライトとしては、製造時にフッ素を使用せずに得られるBEA構造を有する合成ゼオライトが好適に使用できる。
該BEA構造を有する合成ゼオライトの製造方法としては、例えば、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、必要に応じて構造指向剤の混合物(以下、「原料混合物」ともいう。)を水熱下で結晶化することが挙げられる。
シリカ源は、例えば、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、テトラエチルオルトシリケート、アルミノシリケートゲル等を用いることができる。
アルミナ源は、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミノシリケートゲル、金属アルミニウム等を用いることができる。シリカ源及びアルミナ源は、他の原料と十分均一に混合できる形態のものが好ましい。
アルカリ源は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウムの水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などの各種の塩、アルミン酸塩中、珪酸塩中、アルミノシリケートゲル中のアルカリ成分等を用いることができる。
構造指向剤も必要に応じて用いることができる。構造指向剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムブロミド等を用いることができる。
ゼオライトの結晶化はオートクレーブを使用することができ、結晶化の温度は100℃以上、250℃以下、好ましくは110℃以上、200℃以下、更に好ましくは120℃以上、190℃以下とすることができる。結晶化時間は12時間以上、96時間以内、好ましくは14時間以上、84時間以内、更に好ましくは16時間以上、72時間以内とすることができる。結晶化は静置、撹拌下のいずれでも行うことができる。
結晶化終了後は、固液分離を行い、余剰のアルカリ溶液を純水、温水などで洗浄することができる。洗浄後は乾燥することができる。乾燥温度は80℃以上、200℃以下、好ましくは90℃以上、190℃以下であればよい。構造指向剤を含む場合は、乾燥後に熱分解処理によって除去することができる。
該ゼオライトについて、製造時に用いられた構造指向剤を除去した後、酸性溶液と接触させることにより、好適にBEA構造ゼオライトを脱アルミニウムすることができる。
酸性溶液に用いられる酸としては、無機酸、有機酸、およびそれらの混合、いずれでも構わないが、無機酸の塩酸、硫酸、又は硝酸が好ましい。
酸性溶液中の酸の量は、ゼオライト中のアルミニウムの10〜100倍当量であることが好ましく、20〜80倍当量であることがより好ましい。
また、酸性溶液と接触させる際には脱アルミニウムを促進するために40℃〜95℃に加温することが好ましく、50℃〜95℃に加温することがより好ましい。
酸性溶液による脱アルミニウムは、一回で行ってもよいし、所望のSiO/Alモル比となるまで、2回以上繰り返してもよい。この脱アルミニウムにより、SiO/Alモル比を、例えば、100〜500、好ましくは300〜480とすることができる。
本発明の疎水性ゼオライトは、脱アルミニウムにより得られた脱アルミニウムゼオライトを、好ましくは20〜100容量%、より好ましくは40〜100容量%の水蒸気と、600℃〜900℃、より好ましくは700〜850℃の温度で接触させることにより製造することができる。水蒸気濃度が20容量%〜100容量%のとき、より優れた疎水性を発現することができる。また、接触させる温度が600℃〜900℃のとき、より優れた疎水性及びより高い結晶度を発現することができる。
本発明の疎水性ゼオライトを含有する有機化合物吸着剤は、特に揮発性有機化合物吸着剤として優れた効果を有する。該有機化合物吸着剤により、湿度が高い雰囲気中、又は水中の有機化合物を、水分の影響を低減して吸着除去する、または吸着回収することが可能となる。従って、該有機化合物吸着剤は、少なくとも1種の有機化合物を含む流体と接触させ、流体から該有機化合物を除去する有機化合物の除去方法として有用であり、例えば、塗装設備、印刷設備、工業製品の洗浄設備等から排出される排ガス、又は排水中の有機化合物の吸着除去/回収に使用される吸着剤や、自動車排ガス中の有機炭化水素成分を吸着除去する吸着剤として有用に使用できる。
本発明の疎水性ゼオライトは、有機化合物吸着剤として、製造されたままの粉体状態で使用することができるが、ビーズやペレット、三つ葉状など所望の形状に成形した成形体として使用したり、本発明の疎水性ゼオライト粉体をスラリー化してハニカム状の基材に塗布したハニカム構造体として使用することができる。
本発明の疎水性ゼオライトは、有機化合物吸着剤として使用する際に、他のゼオライト、例えばUSYなどのFAU構造のゼオライトや、ZSM−5などのMFI構造のゼオライトと混合して使用することができる。
従来のゼオライトでは得られなかった、高い疎水性と高い有機化合物吸着能を兼ね備えた疎水性ゼオライトを提供することができる。
実施例、比較例、及び参考例の25℃における水の吸着等温線 実施例、比較例、及び参考例の25℃におけるトルエンの吸着等温線 実施例、及び比較例のH MAS NMRスペクトル 実施例、及び比較例のH MAS NMRスペクトル(図3のY軸を5倍に拡大して表示したもの)
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<水分吸着量及びトルエン吸着量の測定>
吸着量の測定は、定容量式吸着測定装置(BELSORP MAXII:マイクロトラックベル社製)を使用した。試料は350℃で2時間、10Pa以下の真空下で前処理した。吸着温度は25℃で測定した。
H MAS NMRの測定>
H MAS NMRの測定は固体NMR:Varian社製核磁気共鳴装置VNMRS−400を使用、試料管を15kHzの回転数で回転させながら測定した。化学シフトはテトラメチルシランを化学シフト基準(0ppm)とした。ヒドロキシ基の定量は、重水素化したジメチルスルホキシド中のベンゼンにより作成した水素量の検量線により定量化をおこなった。また試料は、あらかじめ400℃において5時間真空排気して脱水した試料を用いて測定をおこなった。
実施例1
市販のプロトンタイプBEA型ゼオライト(HSZ−940HOA:東ソー製、SiO/Alモル比40)10gを、2規定の塩酸100gに添加し、70℃で2時間攪拌した。その後、固液分離、2Lの温純水で洗浄し、110℃で一晩乾燥した。得られた脱アルミニウムゼオライトは、ICP発光分析から、SiO/Alモル比は480であった。
この脱アルミニウムゼオライトを840℃、80容量%水蒸気雰囲気で2時間熱処理(水蒸気と接触)することにより本発明の疎水性ゼオライトを得た。SiO/Alモル比は480であった。また、25℃における水分吸着量およびトルエン吸着量を図1、2、および表1にそれぞれ示した。
実施例1で得た本発明の疎水性ゼオライトについて、H MAS NMRスペクトルを測定した。結果を図3に示した。さらにこの図のスペクトル強度(Y軸)を5倍に拡大して図4に示した。また化学シフト0.7ppm付近のピーク、1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量を表2に示した。
図3から明らかなように、実施例1で得た本発明の疎水性ゼオライトは、化学シフト1.8ppm付近にメインピークを有し、2.2ppm付近にショルダーピークを有していた。また図4から明らかなように、実施例1で得た本発明の疎水性ゼオライトは、化学シフト0.7ppm付近、4ppm付近、5ppm付近の何れにもピークを有していなかった。
実施例2
実施例1で得られた水蒸気処理前の脱アルミニウムゼオライトを740℃、60容量%水蒸気雰囲気で2時間熱処理(水蒸気と接触)することにより本発明の疎水性ゼオライトを得た。SiO/Alモル比は480であった。また、25℃における水分吸着量およびトルエン吸着量を図1、2、および表1にそれぞれ示した。
実施例2で得た本発明の疎水性ゼオライトについて、H MAS NMRスペクトルを測定した。結果を図3に示した。さらにこの図のスペクトル強度(Y軸)を5倍に拡大して図4に示した。また化学シフト0.7ppm付近のピーク、1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量を表2に示した。
図3から明らかなように、実施例2で得た本発明の疎水性ゼオライトは、化学シフト1.8ppm付近にメインピークを有し、2.2ppm付近にショルダーピークを有していた。また図4から明らかなように、実施例2で得た本発明の疎水性ゼオライトは、化学シフト0.7ppm付近、4ppm付近、5ppm付近の何れにもピークを有していなかった。
比較例1
実施例1で得られたSiO/Alモル比480の水蒸気処理前の脱アルミニウムゼオライトを、水蒸気処理せずに25℃における水分吸着量およびトルエン吸着量を測定し、結果を図1、2、および表1にそれぞれ示した。
上記の実施例1で得られたSiO/Alモル比480の水蒸気処理前の脱アルミニウムゼオライトについて、H MAS NMRスペクトルを測定した。結果を図3に示した。さらにこの図のスペクトル強度(Y軸)を5倍に拡大して図4に示した。また化学シフト0.7ppm付近のピーク、1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量を表2に示した。
図3から明らかなように、上記の実施例1で得られたSiO/Alモル比480の水蒸気処理前の脱アルミニウムゼオライトは、化学シフト2.2ppm付近にメインピークを有し、1.8ppm付近にショルダーピークを有していた。また図4から明らかなように、上記の水蒸気処理前の脱アルミニウムゼオライトは、化学シフト0.7ppm付近にはピークを有さないが、4ppm〜5ppm付近にピークを有していた。
比較例2
市販のUSY型疎水性ゼオライト(東ソー製、SiO/Alモル比115)の25℃における水分吸着量およびトルエン吸着量を測定し、結果を図1、2、および表1にそれぞれ示した。
比較例3
市販のMFI型疎水性ゼオライト(東ソー製、SiO/Alモル比1880)の25℃における水分吸着量およびトルエン吸着量を測定し、結果を図1、2、および表1にそれぞれ示した。
比較例4
実施例1で原料とした市販のプロトンタイプBEA型ゼオライトについて、H MAS NMRスペクトルを測定した。結果を図3に示した。さらにこの図のスペクトル強度を5倍に拡大して図4に示した。また化学シフト0.7ppm付近のピーク、1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量を表2に示した。
図3から明らかなように、上記の市販のプロトンタイプBEA型ゼオライトは、化学シフト2.2ppm付近にメインピークを有し、1.8ppm付近にショルダーピークを有していた。また図4から明らかなように、上記の市販のプロトンタイプBEA型ゼオライトは、化学シフト0.7ppm付近、4ppm付近、5ppm付近にピークを有していた。
参考例1
特開2008−080195号記載の実施例2に従い、SiO/Alモル比を高めたゼオライトを850℃、10容量%水蒸気雰囲気で1時間熱処理(水蒸気と接触)して本参考例1のBEA型ゼオライトを得た。SiO/Alモル比は530であった。また、25℃における水分吸着量およびトルエン吸着量を図1、2、および表1にそれぞれ示した。
図1、図2および表1から明らかなように、本発明の疎水性ゼオライトは高い疎水性と高い有機化合物吸着性能を兼ね備えていた。
有機化合物吸着剤については、上述の通り、揮発性有機化合物吸着量を高められる点、及び吸着剤の再生効率を高められる点で、水分吸着量が少ない、すなわち疎水性の高いゼオライトが求められている。本願発明のゼオライトは、従来品に無い高い疎水性を有するという点で、極めて効果的な吸着剤を提供することが可能である。

Claims (9)

  1. 25℃、RH60%における水分吸着量が(6g/ゼオライト100g)以下、かつ25℃、0.01kPaにおけるトルエン吸着量が(9g/ゼオライト100g)以上である疎水性ゼオライト。
  2. BEA構造を有することを特徴とする請求項1に記載の疎水性ゼオライト。
  3. H MAS NMRの化学シフト1.8ppm付近のピークと2.2ppm付近のピークの積分値の和から算出したヒドロキシ基の量が3×1020個/g以下であり、かつ0.7ppm付近のピークを有さないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の疎水性ゼオライト。
  4. SiO/Alモル比が100〜500の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の疎水性ゼオライト。
  5. 結晶径が0.02〜2.0μmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の疎水性ゼオライト。
  6. ナトリウム、カリウム、セシウム、鉄、銅、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びイリジウムからなる群より選ばれた1種以上の金属を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の疎水性ゼオライト。
  7. ゼオライトを酸性溶液と接触させた後水蒸気と600℃〜900℃の温度で接触させることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の疎水性ゼオライトの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の疎水性ゼオライトを含有する有機化合物吸着剤。
  9. 請求項8に記載の有機化合物吸着剤を、少なくとも1種の有機化合物を含む流体と接触させ、流体から該有機化合物を除去する有機化合物の除去方法。
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