JP2021015707A - 有機電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の性能を有する有機電子デバイスを製造可能な方法を提供する。【解決手段】基板上の第1電極層上に機能層を形成する機能層形成工程と、機能層上に第2電極層を形成する工程とを備え、機能層形成工程は、第1電極層上に塗布膜を形成する塗布膜形成工程S11と、基板を搬送しながら赤外線加熱炉内で塗布膜を乾燥させる乾燥工程S12とを有し、赤外線加熱炉の搬入口から基板の搬送方向に50cm毎に赤外線加熱炉が区切られた複数の小領域のうち小領域下流端での基板温度が小領域上流端での基板温度より5℃以上高いN個の小領域を第1〜第Nの昇温小領域と称したとき、第iの昇温小領域は、電極層形成面側にMi個の赤外線照射部を有し、Mi個の赤外線照射部の温度が、第iの昇温小領域内での基板最高温度をTfとしたとき、Th<(5×109+(Tf)4)0.25で定義されるTh以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、有機電子デバイスの製造方法に関する。
有機電子デバイスは、基板上に設けられた第1電極層と、第1電極層上に設けられた機能層と、機能層上に設けられた第2電極層とを備える。機能層は、例えば塗布法で形成され得る。具体的には、機能層用の塗布液を第1電極層上に塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を乾燥させることによって機能層を形成する。塗布膜の乾燥には、例えば特許文献1に記載されているように、塗布膜が形成された基板を搬送しながら、熱風を主に利用しながら、赤外線の塗布膜への照射も利用して塗布膜を乾燥させる方法が知られている。
特開2002−340479号公報
有機電子デバイスでは、機能層の厚さムラは有機電子デバイスの性能への影響が大きいことから、機能層の厚さムラを低減することが要求される。そのため、熱風を利用して塗布膜を乾燥させるより赤外線を主に利用することが有効である。
有機電子デバイスの生産性向上のためには、塗布膜の乾燥時間を短くすることが必要である。赤外線を利用して塗布膜をより早く乾燥させるには、例えば基板において第1電極層が形成されている側から塗布膜に向けて赤外線を照射することが考えられる。
しかしながら、基板において第1電極層が形成されている側から赤外線を照射すると、形成された機能層に厚さムラが生じる場合があった。機能層に厚さムラが生じると、有機電子デバイスが所望の性能を発揮できない。
そこで、本発明は、所望の性能を有する有機電子デバイスを製造可能な有機電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本件発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行って以下の知見を得て、本発明に至った。
有機電子デバイスの構成では、基板の厚さ方向から見た場合において、第1電極層の大きさが基板の電極層形成面の大きさより小さいことから、基板において第1電極層が形成されている領域と、第1電極層が形成されていない領域とが存在する。そのため、それらの領域の間で赤外線の反射率(又は吸収率)が異なる。よって、塗布膜が設けられた基板に赤外線を照射することで、基板の温度が上昇する昇温ゾーンにおいて、基板の温度差が生じる。昇温ゾーンでは塗布膜は乾燥していないことから、塗布膜の表面張力によって温度の低い部分に塗布液が流動するという液流動が生じる。その結果、機能層に厚さムラが生じる。したがって、赤外線を利用して機能層を所望の状態(例えば所望の厚さ)で形成するためには、基板の温度が上昇する領域において、基板において第1電極層が形成されている領域と、第1電極層が形成されていない領域との間の温度差を低減することが重要である。
そのため、本発明の一側面に係る有機電子デバイスの製造方法は、基板の電極層形成面上に設けられた第1電極層上に、機能層を形成する機能層形成工程と、上記機能層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、を備え、上記機能層形成工程は、上記機能層用の塗布液を上記第1電極層上に塗布して、上記機能層用の塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、上記基板を搬送しながら、赤外線加熱炉内で赤外線を上記塗布膜が設けられた上記基板に照射することによって上記塗布膜を加熱乾燥させることによって上記機能層を形成する乾燥工程と、を有し、上記基板の厚さ方向からみた場合、上記第1電極層の大きさは、上記電極層形成面の大きさより小さく、上記赤外線加熱炉の搬入口から上記基板の搬送方向に50cm毎に、上記搬送方向に直交する仮想面で上記赤外線加熱炉を区切られた複数の小領域のうち、上記搬送方向において小領域下流端での上記基板の温度が、小領域上流端での上記基板の温度より5℃以上高いN個の上記小領域を、第1〜第Nの昇温小領域(Nは、1以上の整数)と称したとき、上記第1〜第Nの昇温小領域のうちの第iの昇温小領域(iは、1〜Nの何れかの整数)は、上記電極層形成面側にM個の赤外線照射部(Mは、0以上の整数)を有し、上記第iの昇温小領域が有する上記M個の赤外線照射部の温度が、上記第iの昇温小領域内での上記基板の最高温度をT[℃]としたときに、T<(5×10+(T0.25によって定義される上限温度T[℃]以下である。
上記有機電子デバイスの製造方法の乾燥工程では、第iの昇温小領域が有する上記M個の赤外線照射部の温度が上限温度T以下である。そのため、上記基板の厚さ方向からみた場合、上記第1電極層の大きさは、上記電極層形成面の大きさより小さい場合であっても、第1〜第Nの昇温小領域において、第1電極層が形成されている領域と第1電極層が形成されていない領域との間で、赤外線照射による温度差が生じにくい。そのため、機能層を所望の厚さで形成可能である。その結果、所望の性能を有する有機電子デバイスを製造可能である。
上記赤外線照射部は赤外線ヒータを有し、上記赤外線照射部の温度は、上記赤外線ヒータの温度であり得る。
本発明の他の側面に係る有機電子デバイスの製造方法は、基板の電極層形成面上に設けられた第1電極層上に、機能層を形成する機能層形成工程と、上記機能層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、を備え、上記機能層形成工程は、上記機能層用の塗布液を上記第1電極層上に塗布して、上記機能層用の塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、 上記基板を搬送しながら、赤外線加熱炉内で赤外線を上記塗布膜が設けられた上記基板に照射することによって上記塗布膜を加熱乾燥させることによって上記機能層を形成する乾燥工程と、を有し、上記基板の厚さ方向からみた場合、上記第1電極層の大きさは、上記電極層形成面の大きさより小さく、上記基板の搬送方向において、上記基板の温度勾配が10℃/m以上である上記赤外線加熱炉の搬入口からの領域を昇温ゾーンと称したとき、 上記昇温ゾーンでは、上記基板の上記電極層形成面と反対側から赤外線を、上記基板の上記電極層形成面側からよりも多く、上記塗布膜が設けられた上記基板に照射することによって上記塗布膜を加熱乾燥する。
この場合、昇温ゾーンでは、基板の電極層形成面と反対側からの赤外線照射が支配的である。そのため、基板に第1電極層が形成されている領域と形成されていない領域が存在しても、それらの領域の間で赤外線照射による温度差が生じにくい。このように基板の温度差が生じにくいことにより、機能層を所望の厚さで形成可能である。その結果、所望の性能を有する有機電子デバイスを製造可能である。
上記基板は、長尺の可撓性基板であってもよい。この場合、例えばロールツーロール方式で基板を搬送しながら有機電子デバイスを製造できるので、有機電子デバイスの生産性が向上する。
上記塗布膜形成工程では、上記塗布液をインクジェット印刷装置から上記基板上に塗布してもよい。インクジェット印刷装置で使用する塗布液は、通常、粘度が低いため、液流動が生じやすい。よって、基板の温度を挙げる領域において、赤外線照射による基板の温度差が生じにくい上記有機電子デバイスの製造方法は一層有効である。
本発明によれば、所望の性能を有する有機電子デバイスを製造可能な有機電子デバイスの製造方法を提供できる。
図1は、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法を利用して製造される有機ELデバイス(有機電子デバイス)の概略構成を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法で使用する長尺の基板であって、電極層形成面に陽極層(第1電極層)が形成された基板の模式図である。 図3は、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法が有する機能層形成工程のフローチャートである。 図4は、機能層形成工程に含まれる乾燥工程を説明するための図面である。 図5は、第1〜第Nの昇温小領域(図5においてN=4)を説明するための図面である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法を用いて製造される有機エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、「有機ELデバイス」とも称す)の概略構成を示す模式図である。有機ELデバイス(有機電子デバイス)10は、基板12と、陽極層(第1電極層)14と、デバイス機能部16と、陰極層(第2電極層)18とを有する。陽極層14、デバイス機能部16及び陰極層18は、陽極層14、デバイス機能部16及び陰極層18の順に基板12上に積層されている。有機ELデバイス10は、トップエミッション型の有機ELデバイスでもよいし、ボトムエミッション型の有機ELデバイスでもよい。以下では、断らない限り、有機ELデバイス10は、ボトムエミッション型の有機ELデバイスである。
[基板]
基板12は、有機ELデバイス10が出射する光(波長400nm〜800nmの可視光を含む)に対して透光性を有する。基板12は、プラスチック基板及び高分子フィルムなどの可撓性基板である。可撓性基板とは、基板に所定の力を加えても基板が剪断したり破断したりすることがなく、基板を撓めることが可能な性質を有する基板である。基板12の厚さは、例えば30μm〜700μmである。
基板12上には、水分バリア機能を有するバリア層が形成されていてもよい。バリア層は、水分をバリアする機能に加えて、ガス(例えば酸素)をバリアする機能を有してもよい。
[陽極層]
陽極層14は基板12の電極層形成面12a上に設けられている。基板12の厚さ方向からみた場合の陽極層14の大きさは、電極層形成面12aの大きさより小さい。よって、電極層形成面12aには陽極層14が形成されていない領域が存在する。
陽極層14には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等を含む薄膜が用いられ得る。光透過性を示す電極としては、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極層14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。陽極層14の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定され得る。陽極層14の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極層14の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられる。陽極層14の材料としては、ITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極層14は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極層14の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極層14は、透明導電膜として形成され得る。
[デバイス機能部]
デバイス機能部16は、陽極層14及び陰極層18に印加された電圧に応じて、電荷の移動及び電荷の再結合などの有機ELデバイス10の発光に寄与する機能部である。デバイス機能部16は機能層である発光層を有する。後述するように、デバイス機能部16は発光層以外の機能層を有してもよい。すなわち、デバイス機能部16は、一つ又は複数の機能層を有する。
発光層は、光(可視光を含む)を発する機能を有する機能層である。発光層は、有機層であり、通常、主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する有機物、又はこの有機物とこれを補助するドーパント材料とから構成される。ドーパント材料は、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。上記有機物は、低分子化合物でもよいし、高分子化合物でもよい。発光層の厚さは、例えば2nm〜200nmである。
主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する発光性材料である有機物としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料及び高分子系材料が挙げられる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などが挙げられる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体が挙げられる。金属錯体系材料としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などが挙げられる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどが挙げられる。
デバイス機能部16は、発光層の他、少なくとも一つの機能層を有してもよい。すなわち、デバイス機能部16は多層構造を有してもよい。例えば、陽極層14と発光層の間には、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも一つが設けられてもよい。発光層と陰極層18との間には、電子輸送層及び電子注入層のうちの少なくとも一つが設けられてもよい。
正孔注入層は、陽極層14から発光層への正孔注入効率を向上させる機能を有する機能層である。正孔注入層は、無機層でもよいし、有機層でもよい。正孔注入層を構成する正孔注入材料は、低分子化合物でもよいし、高分子化合物でもよい。
低分子化合物としては、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び酸化アルミニウムなどの金属酸化物、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン化合物、カーボンなどが挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のようなポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子などが挙げられる。
正孔注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なる。正孔注入層の厚さは、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され得る。正孔注入層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層は、正孔注入層(正孔注入層が存在しない形態では陽極層14)から発光層への正孔注入効率を向上させる機能を有する機能層である。
正孔輸送層は正孔輸送材料を含む有機層である。正孔輸送材料は正孔輸送機能を有する有機化合物であれば限定されない。正孔輸送機能を有する有機化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物、及びポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体が挙げられる。
正孔輸送材料の例として、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている正孔輸送材料等も挙げられる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なる。正孔輸送層の厚さは、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され得る。正孔輸送層の厚さは、例えば、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
電子輸送層は、電子注入層(電子注入層が存在しない形態では陰極層18)から発光層への電子注入効率を向上させる機能を有する機能層である。
電子輸送層は電子輸送材料を含む有機層である。電子輸送材料には、公知の材料が用いられ得る。電子輸送材料の具体例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などが挙げられる。
電子輸送層の厚さは、求められる特性及び成膜の簡易さなどを勘案して適宜決定され得る。電子輸送層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
電子注入層は、陰極層18から発光層への電子注入効率を向上させる機能を有する機能層である。電子注入層は無機層でもよいし、有機層でもよい。
電子注入層を構成する材料は、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択される。電子注入層を構成する材料の例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、又はこれらの物質の混合物などが挙げられ得る。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどが挙げられ得る。アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
この他に従来知られた電子輸送性の有機材料と、アルカリ金属の有機金属錯体を混合した層を電子注入層として利用できる。
デバイス機能部16の層構成の例を以下に示す。下記層構成の例では、陽極層14及び陰極層18と各種機能層の配置関係を示すために、陽極層及び陰極層も括弧書きで記載している。
(a)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子輸送層(又は電子注入層)/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層(又は正孔輸送層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層(又は電子注入層)/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/発光層/電子輸送層(又は電子注入層)/(陰極層)
(i)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。
デバイス機能部16が有する発光層の数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。上記構成例(a)〜(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極層14と陰極層18との間に配置された積層体を[構造単位I]と称すると、2層の発光層を有するデバイス機能部16の構成として、下記(j)に示す層構成が挙げられる。2つの構造単位Iの層構成は互いに同じでもよいし、異なってもよい。
(j)(陽極層)/[構造単位I]/電荷発生層/[構造単位I]/(陰極層)
電荷発生層は、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデンなどを含む薄膜が挙げられる。
「[構造単位I]/電荷発生層」を[構造単位II]とすると、3層以上の発光層を有するデバイス機能部16の構成として、以下の(k)に示す層構成が挙げられる。
(k)(陽極層)/[構造単位II]x/[構造単位I]/(陰極層)
記号「x」は、2以上の整数を表し、「[構造単位II]x」は、[構造単位II]がx段積層された積層体を表す。複数の構造単位IIの層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接的に積層させてデバイス機能部16を構成してもよい。
[陰極層]
陰極層18は、デバイス機能部16上に設けられている。陰極層18の厚さは、用いる材料によって最適値が異なる。陰極層18の厚さは、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定され得る。陰極層18の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
デバイス機能部16からの光(具体的には、発光層からの光)が陰極層18で反射して陽極層14側に進むように、陰極層18の材料は、発光層からの光(特に可視光)に対して反射率の高い材料が好ましい。陰極層18の材料としては、例えばアルミニウム、銀等が挙げられる。陰極層18として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。
有機ELデバイス10は、デバイス機能部16の水分などによる劣化を防止するための封止部材を有してもよい。封止部材は、少なくともデバイス機能部16を封止するように陰極層18上に設けられ得る。有機ELデバイス10が封止部材を備える形態では、例えば、陽極層14及び陰極層18の一部は、外部接続のために封止部材から引き出され得る。
次に、一実施形態に係る有機電子デバイスの製造方法を用いて有機ELデバイス10を製造する方法を説明する。ここでは、図2に示したように、複数の陽極層14が電極層形成面12aに形成された長尺の基板(電極付き基板)12を用いて有機ELデバイス10を製造する。
複数の陽極層14は、長尺の基板12に仮想的に設定された複数のデバイス形成領域DA上に設けられている。一つのデバイス形成領域DAには一つの陽極層14が設けられ得る。基板12の厚さ方向からみた場合、各陽極層14の大きさは、長尺の基板12の電極層形成面12aの大きさより小さい。具体的には、各陽極層14の大きさは、対応するデバイス形成領域DAの大きさより小さい。
陽極層14は、例えばドライ成膜法、メッキ法、塗布法などにより形成され得る。ドライ成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法などが挙げられる。塗布法としては、例えば、インクジェット印刷法、スリットコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズル印刷法等が挙げられる。
有機ELデバイスの製造方法(有機電子デバイスの製造方法)は、陽極層14上にデバイス機能部16を形成する工程(デバイス機能部形成工程)と、デバイス機能部16上に陰極層18を形成する工程(陰極層形成工程)とを備える。有機ELデバイスの製造方法は、基板12上に上記陽極層(第1電極層)14を形成する工程(第1電極層形成工程)を更に備えてもよい。
[デバイス機能部形成工程]
デバイス機能部形成工程では、陽極層14上にデバイス機能部16を形成する。デバイス機能部16が複数の機能層を有する場合、陽極層14側から順にデバイス機能部16に含まれる複数の機能層を形成すればよい。デバイス機能部16が有する一つ又は複数の機能層は、図3に示した機能層形成工程S10で形成される。
機能層形成工程S10では、塗布法により機能層を形成する。塗布法の例は、陽極層14の形成方法で挙げた塗布法の例と同様である。機能層は例えばインクジェット印刷法により形成され得る。機能層形成工程S10は、図3に示したように、塗布膜を陽極層14上に形成する塗布膜形成工程S11と、塗布膜を乾燥して機能層を得る乾燥工程S12とを有する。以下、説明の便宜のため、機能層形成工程S10で形成する機能層を機能層FLと称し、機能層FLとなる塗布膜を塗布膜FL0と称す(図4参照)。
上記デバイス機能部16の構成例(a)〜(i)のうち例えば構成例(f)において、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層それぞれを機能層形成工程S10で形成する場合、それらの層を形成する機能層形成工程S10における機能層FLは、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層である。
(塗布膜形成工程)
塗布膜形成工程S11では、機能層FL用の材料を含む塗布液を塗布装置から陽極層14上に塗布して機能層FL用の塗布膜FL0を形成する。塗布装置は、機能層形成工程S10で使用する塗布法に応じたものであればよい。例えば、インクジェット印刷法で機能層FLを形成する場合には、塗布装置はインクジェット印刷装置である。
塗布膜形成工程では、少なくとも塗布装置から塗布液が基板12上に塗布され後述する赤外線加熱炉24(図4の(a)部参照)に塗布膜が搬入されるまでは、基板12は好ましくは水平搬送される。この水平搬送のため、例えば基板12をエア浮上させて水平を維持するエア浮上装置が用いられてもよい。
(乾燥工程)
乾燥工程S12では、図4に示したように、複数の陽極層14が形成された長尺の基板12を複数のロールRで搬送しながら、赤外線加熱炉24内で塗布膜FL0を乾燥させることによって機能層FLを形成する。
図4は、乾燥工程を説明する図面である。図4の(a)部は、赤外線加熱炉24の概略構成を示しており、図4の(b)部は、基板12の温度変化を模式的に示している。図4の(a)部では、基板12上の複数の陽極層14のうち陽極層14と塗布膜FL0との組と、陽極層14と機能層FLとの組とを抽出して且つ各層を拡大して示している。図4の(a)部では、塗布膜FL0及び機能層FLが陽極層14に接した状態で図示されているが、形成すべき機能層FL(及び塗布膜FL0)と陽極層14との間には他の機能層が介在してもよい。図4の(b)部の縦軸は基板12の温度であり、横軸は、基板12の搬送方向において、赤外線加熱炉24の搬入口24aからの距離を示している。すなわち、図4の(b)部の横軸において、基板12の搬送方向における赤外線加熱炉24の搬入口24aが原点である。搬入口24aの位置は、例えば赤外線加熱炉24において搬入口24aが形成されている側壁の内面である。
赤外線加熱炉24は、炉内において、基板12の電極層形成面12a側(図4の(a)部において上側)に複数の第1赤外線ヒータ(赤外線照射部)26を有するとともに、基板12の電極層形成面12aと反対側(図4の(a)部において下側)に複数の第2赤外線ヒータ28を有する。複数の第1赤外線ヒータ26及び複数の第2赤外線ヒータ28のそれぞれは、基板12の搬送方向及び幅方向(搬送方向に直交する方向)に離散的に配置され得る。第1赤外線ヒータ26及び第2赤外線ヒータ28は、塗布膜FL0を加熱可能な波長を有する赤外線(例えば、波長5μm〜10μm)を出力するように構成されていればよい。
乾燥工程S12では、塗布膜FL0が設けられた基板12を搬送しながら、複数の第1赤外線ヒータ26及び複数の第2赤外線ヒータ28から基板12に向けて赤外線を照射することによって塗布膜FL0を加熱乾燥する。乾燥工程S12では、通常、図4の(b)部に示したように、所望の温度Tになるまでは基板12の温度が上昇する一方、基板12の温度が所望の温度Tになった後は所望の温度Tを維持するように、赤外線の照射条件が調整され得る。基板12の搬送方向において、赤外線加熱炉24のうち、基板12の温度勾配が10℃/m以上の搬入口24aからの領域を昇温ゾーンと称す。
上記所望の温度Tは、基板12の熱変形が生じない温度であることが好ましい。例えば、基板12がプラスチック基板(若しくはプラスチックフィルム)又は高分子フィルムの場合、上記所望の温度Tは、基板12の材料のガラス転移温度以下であることが好ましい。
本実施形態の上記昇温ゾーンにおいて、第1赤外線ヒータ26による加熱より第2赤外線ヒータ28による加熱の方が支配的になるように、塗布膜FL0が設けられた基板12に赤外線を照射する。以下、具体的に説明する。
説明のために、赤外線加熱炉24の搬入口24aから基板12の搬送方向に沿って50cm毎に、上記搬送方向に直交する仮想面で、赤外線加熱炉24を複数の小領域に区切る。複数の小領域のうち、上記搬送方向において小領域下流端での基板12の温度が、小領域上流端での基板12の温度より5℃以上高いN個(Nは、1以上の整数)の小領域を、第1〜第Nの昇温小領域と称す。第1〜第Nの昇温小領域は、昇温ゾーン内の小領域である。
図5は、第1〜第Nの昇温小領域を説明するための図面である。図5の縦軸は、基板12の温度(℃)を示しており、横軸は、基板12の搬送方向における搬入口24aからの距離を示している。図5では、N=4の場合を例示している。すなわち、図5は、搬入口24aから2mの領域に4つの昇温小領域が存在する場合において、上記搬入口24aからの2mまでの基板12の温度変化の一例を示している。
上記搬送方向において小領域下流端での基板12の温度が、小領域上流端での基板12の温度より5℃以上高いとは、第1〜第Nの昇温小領域のうちの任意の小領域を第iの昇温小領域(iは、1〜Nの何れかの整数)と称したとき、第iの昇温小領域の下流端(赤外線加熱炉24の搬出口側の端)での基板12の温度が第iの昇温小領域の上流端(赤外線加熱炉24の搬入口24a側)での基板12の温度より5℃以上高いことを意味する。例えば、i=2の場合、第2及び第3の昇温小領域の境界(図5において搬入口24aからの距離が100cmの位置)での温度t2が、第1及び第2の昇温小領域の境界(図5において搬入口24aからの距離が50cmの位置)での温度t1より5℃以上高い。
第iの昇温小領域は、M個の第1赤外線ヒータ26(Mは、0以上の整数)を有する。Mは0以上であることから、第iの昇温小領域は第1赤外線ヒータ26を有しなくてもよい。第1〜第Nの昇温小領域それぞれが有する第1赤外線ヒータ26の数は同じでもよいし、異なってもよい。上記M個の第1赤外線ヒータ26とは、基板12の搬送方向に配置される第1赤外線ヒータ26及び上記搬送方向に実質的に直交する方向(基板12の幅方向)に配置される第1赤外線ヒータ26の個数の合計である。
乾燥工程S12では、第iの昇温小領域内での基板12の最高温度をT[℃]としたときに、第iの昇温小領域が有するM個の第1赤外線ヒータ26の温度が、式(1)によって定義される上限温度T[℃]以下であるように、M個の第1赤外線ヒータ26の温度を設定する。
<(5×10+(T0.25・・・(1)
したがって、第1〜第Nの昇温小領域全てにおいて、第1赤外線ヒータ26の温度は、各昇温小領域内において式(1)で定義される上限温度T以下である。第iの昇温小領域のM個の第1赤外線ヒータ26の温度は、上記上限温度T以下であれば同じであってもよいし、異なってもよい。
上記式(1)は、加熱強さq[W/m]を表す式(2)において、qを280W/m未満とした場合に式に相当する。
q=σ((T―(T)・・・(2)
式(2)において、σはシュテファン−ボルツマン定数であり、5.67×10−8W/(m・K)である。式(2)において、T及びTの単位はケルビン(K)である。
第1赤外線ヒータ26の温度とは、赤外線発生源であるセラミックス部材の表面温度である。通常、市販(又は赤外線加熱炉24に備えられた)の赤外線ヒータには、上記セラミックス部材の温度を表示する機能が付加されていることから、その温度表示機能で表示された温度を採用すればよい。
式(1)における第iの昇温小領域内での基板12の最高温度Tは、基板12の電極層形成面12aの温度を実測した際の第iの昇温小領域内での最高温度である。赤外線加熱炉24内を搬送されている基板12の温度は、例えば電極層形成面12aに熱電対を取り付けることで計測され得る。
第iの昇温小領域内での上限温度Tと最高温度Tとが、上記式(1)を満たし且つ、M個の第1赤外線ヒータ26の温度が上限温度T以下であれば、第iの昇温小領域での第2赤外線ヒータ28の個数及び温度は限定されない。
第1〜第Nの昇温小領域それぞれにおける第2赤外線ヒータ28の個数及び温度は限定されない。
赤外線加熱炉24の搬入口24aから基板12の搬送方向に50cm毎に、上記搬送方向に直交する仮想面で赤外線加熱炉24を複数に分割して得られる複数の小領域のうち第1〜第Nの昇温小領域以外の少なくとも一つの小領域は、少なくとも一つの第1赤外線ヒータ26を有し得る。同様に、上記複数の小領域のうち第1〜第Nの昇温小領域以外の少なくとも一つの小領域は、少なくとも一つの第2赤外線ヒータ28を有し得る。
通常、基板12の搬送方向において基板12が所望の温度Tに達して以降は、上記所望の温度Tを維持するように、第1赤外線ヒータ26及び第2赤外線ヒータ28の個数及び温度が調整される。
赤外線加熱炉24内で塗布膜FL0を乾燥させる場合、上記赤外線照射による塗布膜FL0及び基板12の乾燥とともに、熱風乾燥を使用してもよい。
基板12の搬送方向における赤外線加熱炉24の長さ及び基板12の搬送速度は、例えば機能層FLとなる塗布膜FL0の厚さを考慮して、塗布膜FL0を乾燥できるように設定されていればよい。通常、上記構成例(a)〜(i)に含まれる機能層に対して例示した厚さを有する層を形成する場合、基板12の搬送方向における赤外線加熱炉24の長さは2m〜50mであり、基板12の搬送速度は1m/min〜10m/minである。
上記塗布膜形成工程及び乾燥工程は、ロールツーロール方式によって基板12を搬送しながら続けて実施してもよい。
デバイス機能部16が複数の機能層を有する場合、少なくとも一つの機能層を、塗布法を利用した上記機能層形成工程S10で形成すればよい。デバイス機能部16が複数の機能層を有する場合において隣接する機能層を上記機能層形成工程S10で形成する場合には、上記隣接する機能層を形成するための機能層形成工程S10をロールツーロール方式によって基板12を搬送しながら続けて実施してもよい。
複数の機能層のうち塗布法を利用して形成しない一つ又は複数の層は、例えば、ドライ成膜法又はメッキ法で形成されてもよい。ドライ成膜法の例は、陽極層14の形成方法の説明において挙げた例と同じであり得る。
[陰極層形成工程]
陰極層形成工程(第2電極層形成工程)では、デバイス機能部16上に陰極層18を形成する。陰極層18は、例えば、スリットコーター法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スプレーコーター法等の塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等によって形成され得る。
陰極層形成工程は、ロールツーロール方式によって実施されてもよい。上記塗布膜形成工程S11及び乾燥工程S12が、ロールツーロール方式によって実施されている場合には、ロールツーロール方式によって基板12を搬送しながら乾燥工程に続けて陰極層形成工程を実施してもよい。
上記デバイス機能部形成工程及び陰極層形成工程を実施することによって、デバイス形成領域DA毎に有機ELデバイス10が製造される。よって、陰極層形成工程を経た基板12を、デバイス形成領域DA毎に個片化する個片化工程を実施することによって、複数の有機ELデバイス10が製造され得る。そのため、有機ELデバイス10の製造方法は、上記個片化工程を有してもよい。上記陰極層形成工程が、ロールツーロール方式によって実施されている場合には、ロールツーロール方式によって基板12を搬送しながら陰極層形成工程に続けて個片化工程を実施してもよい。
有機ELデバイス10が封止部材を備える形態では、有機ELデバイス10の製造方法は、陰極層工程の後に、少なくとも機能層FLを封止部材で封止する封止工程を有してもよい。この場合において、有機ELデバイス10が更に上記個片化工程を有する場合は、封止工程の後に個片化工程を実施し得る。上記陰極層形成工程が、ロールツーロール方式によって実施されている場合には、ロールツーロール方式によって基板12を搬送しながら陰極層形成工程に続けて封止工程を実施してもよい。
次に、有機ELデバイス10を製造する場合に基づいて説明した有機ELデバイス(有機電子デバイス)の製造方法の作用効果を、乾燥工程S12において、本件発明者らが見いだした式(1)を考慮せずに、塗布膜FL0側から赤外線を塗布膜FL0に照射して塗布膜FL0を加熱乾燥させる場合と対比して説明する。
本件発明者らが見いだした上記式(1)を考慮せずに、塗布膜FL0を乾燥させる場合においても、説明の便宜のため、これまで説明した構成要素に付した符号を、対応する構成要素に付す場合もある。
前述したように、乾燥工程S12では、陽極層14に形成された塗布膜FL0を、赤外線を利用して加熱乾燥する。基板12の厚さ方向からみた場合、陽極層14の大きさは、基板12の電極層形成面12aより小さい。すなわち、基板12には、陽極層14が形成されている領域(以下、「第1領域」と称す)と、陽極層14が形成されていない領域(以下、「第2領域」と称す)が存在する。
乾燥工程S12で塗布膜FL0を乾燥させる際、搬入口24aから一定の領域は上記昇温ゾーンであり基板12の温度が上昇する。この昇温ゾーンにおいて、式(1)を考慮せずに、第1赤外線ヒータ26から赤外線を照射して塗布膜FL0を加熱乾燥させる場合、基板12には上記第1領域と上記第2領域が存在することから、基板12の場所によって赤外線反射率(又は吸収率)が異なる。そのため、第1領域と第2領域とで基板12の温度差が生じる。このように温度差が生じると、塗布膜FL0が乾燥されておらず液状である昇温ゾーンでは、塗布膜FL0を構成する塗布液が、表面張力によって温度が低い場所に集まり易い。これにより、塗布膜FL0が乾燥して得られる機能層FLに厚さムラ(設計値からのズレ)が生じる。
有機ELデバイスの性能(例えば発光特性)は、機能層FLの厚さに影響を受けやすい。例えば、機能層FLの厚さムラにより発光ムラが生じやすい。そのため、上記のように機能層FLに厚さムラが生じると所望の有機ELデバイスを製造できない。
これに対して、本実施形態に係る有機ELデバイス(有機電子デバイス)の製造方法では、乾燥工程S12で塗布膜FL0を加熱乾燥する場合、昇温ゾーンに含まれる第1〜第Nの昇温小領域では、基板12において陽極層14が形成されている側に配置された第1赤外線ヒータ26の温度を、式(1)で定義される上限温度T以下になるように設定する。式(1)は、前述したように式(2)において、上限温度Tの4乗と最高温度Tの4乗の差に応じた加熱強さqを280W/m未満とする条件に相当する。そのため、第1赤外線ヒータ26の温度が、式(1)で定義される上限温度T以下であることにより、第1〜第Nの昇温小領域において、第1領域と第2領域との間での基板12の温度差を低減できる。上記温度差が低減されることで、機能層FLの上記厚さムラを抑制でき、所望の状態(所望の厚さ)の機能層FLを形成可能である。その結果、所望の性能を有する有機ELデバイス10を製造可能であることから、有機ELデバイス10の製造歩留まりが向上する。
デバイス機能部16が複数の機能層を有する場合、上記複数の機能層の厚さは1μm以下であるため、陽極層14と形成する機能層FLとの間に他の機能層が含まれていても、上記他の機能層の影響は実質的に無視できる。すなわち、デバイス機能部16が複数の機能層を有し、各機能層を上記機能層形成工程S10で形成する場合も、上記作用効果が得られる。
赤外線を利用して塗布膜FL0を加熱することで、塗布膜FL0を効率的に加熱乾燥できる。そのため、上記機能層形成工程S10は、ロールツーロール方式のように長尺の基板12を搬送しながら塗布膜FL0を加熱乾燥させる場合に有効である。前述したに長尺の基板12を利用する場合、有機ELデバイスの製造方法を一度実施することで複数の有機ELデバイス10を得ることができるので、有機ELデバイス10の生産性も向上する。
赤外線を利用して塗布膜FL0を加熱する場合には、例えば赤外線加熱とともに熱風を利用した加熱を併用してもよい。この場合、塗布膜FL0が一層乾燥し易いので、有機ELデバイス10の生産性が向上する。赤外線加熱で塗布膜FL0を加熱しながら、熱風による加熱を併用する場合には、基板12における塗布膜FL0側に第1赤外線ヒータ26を設けない代わりに熱風を利用して塗布膜FL0を加熱する場合に比べて熱風の流量、流速などを低減できる。そのため、熱風によって塗布膜FL0に厚さムラが生じにくいので、機能層FLにも熱風に起因した厚さムラが生じない。その結果、有機ELデバイス10の生産性の向上を図りながら、製造歩留まりも向上する。
インクジェット印刷法では、パターン印刷を行い易い。そのため、離散的に配置された陽極層14上に機能層FLを所定のパターンで形成する必要がある有機ELデバイスの製造にインクジェット印刷法は有効である。ロールツーロール方式のように基板12を搬送しながら基板12上に塗布膜FL0を形成する場合、インクジェット印刷法を利用することで、塗布膜FL0を形成し易い。
機能層形成工程S10において、機能層FLをインクジェット印刷法で形成する場合(具体的には、塗布膜形成工程S11において、インクジェット印刷装置を利用して塗布液を基板12上に塗布する場合)、塗布液の粘度は低い(例えば、15cp以下)。この場合、前述した温度差及び表面張力に基づいた液流動が生じやすい。したがって、本実施形態に係る有機ELデバイス(有機電子デバイス)の製造方法は、塗布膜形成工程S11において、インクジェット印刷装置を利用して塗布液を基板12上に塗布する場合に有効である。
上記赤外線照射による基板12内の温度差は、陽極層14での赤外線反射に起因する。陽極層14がインジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)といった金属酸化物から構成されている場合、陽極層14の屈折率が高くなる。このように屈折率の高い陽極層14は赤外線を反射し易い。そのため、本実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法は、陽極層14が金属酸化物を含む場合に有効である。
次に実験結果を参照して、乾燥工程S12において機能層FLの厚さムラを防止できる点を説明する。本発明は、以下の実験例に限定されない。実験例1及び実験例2のいずれの説明においても、説明の便宜のため、これまで説明した構成要素に付した符号を、対応する構成要素に付す場合もある。
[実験例1]
実験例1では、陽極層14が形成された長尺の基板12を準備した。基板12は、ポリエチレンナフタレート(PEN)からなるフィルムであった。基板12の長さは、100mであった。陽極層14の材料はITOであった。基板12の厚さ方向から見た場合、陽極層14の大きさは、基板12の電極層形成面12aより小さかった。
上記基板12の陽極層14上に、機能層FL用の材料を含む塗布液を塗布して塗布膜FL0を形成した。その後、基板12を長手方向に搬送しながら、赤外線加熱炉24内で塗布膜FL0を乾燥させ、機能層FLを形成した。機能層FL用の材料には正孔輸送層用の材料を用いた。
基板12の搬送方向(基板12の長手方向)の赤外線加熱炉24の長さは10mであった。搬入口24aから1.5m先までのゾーンを昇温ゾーンとし、所望の温度Tは100℃とした。従って、赤外線加熱炉24を、搬入口24aから50cm毎の小領域に仮想的に分割した場合、第1〜第3の小領域が昇温小領域である。よって、第1〜第3の小領域を第1〜第3の昇温小領域と称す。
赤外線加熱炉24を上述した複数の小領域に仮想的に分割した際、各小領域には、第1赤外線ヒータ26が基板12の幅方向に3個設けられ、第2赤外線ヒータ28が基板12の幅方向に3個設けられていた。したがって、各小領域において、基板12の搬送方向の第1赤外線ヒータ26及び第2赤外線ヒータ28の数はそれぞれ1個である。
実験例1では、第1の昇温小領域(第1の小領域)、第2の昇温小領域(第2の小領域)、及び第3の昇温小領域(第3の小領域)それぞれの第1赤外線ヒータ26の上限温度Tを、後述する表1に示したように、97℃、113℃及び118℃に設定した。
実験例1において、第1の昇温小領域、第2の昇温小領域及び第3の昇温小領域それぞれの第1赤外線ヒータ26の温度を、表1に示したように、それぞれ77℃、89℃及び97℃に設定し、塗布膜FL0が設けられた基板12を、搬送速度2m/minで搬送しながら、赤外線加熱炉24内で塗布膜FL0を加熱乾燥した。実験例1で使用した第1赤外線ヒータ26の温度は、第1赤外線ヒータ26が有するセラミックス部材(赤外線発生源)の表面温度であった。後述する第2赤外線ヒータ28の温度も同様であった。
昇温ゾーンより下流の小領域については、所望の温度Tを維持するように、第1赤外線ヒータ26の温度を設定した。表1には、第4の小領域及び第5の小領域における第1赤外線ヒータ26の温度を示している。表1に示したように、第4の小領域において、第1赤外線ヒータ26の温度を97℃に設定し、第5の小領域において、第1赤外線ヒータ26の温度を100℃に設定した。第5の小領域より下流の小領域においては、第5の小領域と同様とした。
昇温ゾーンにおける第1〜第3の昇温小領域それぞれにおいて、3個の第1赤外線ヒータ26の温度は同じであった。昇温ゾーンにおける第1〜第3の昇温小領域それぞれにおける3個の第2赤外線ヒータ28の温度は、各昇温小領域の第1赤外線ヒータ26の温度と同じであった。同様に、複数の小領域のうち第1〜第3の昇温小領域を除いた残りの小領域それぞれにおける3個の第1赤外線ヒータ26及び3個の第2赤外線ヒータ28の温度は同じであった。
実験例1では、電極層形成面12aに熱電対をつけた状態で基板12を搬送することによって、基板12を搬送しながら連続的に基板12の温度測定を行った。第1の昇温小領域、第2の昇温小領域及び第3の昇温小領域それぞれにおける最高温度Tは、表1に示したように、70℃、90℃及び95℃であった。更に、第4の小領域及び第5の小領域の最高温度は97℃であった。表1より、昇温ゾーンより下流では、基板12の温度をほぼ均一に制御できていることがわかる。
Figure 2021015707
実験例1では、上記条件で、赤外線加熱炉24内で塗布膜FL0を乾燥させることによって機能層FLを得た。機能層FLの厚さ分布を、マクベス色濃度計を利用して測定した。その結果、厚さムラはなく、実質的に所望の厚さで機能層FLを形成できていた。
[実験例2]
実験例2では、第1の昇温小領域、第2の昇温小領域及び第3の昇温小領域それぞれの第1赤外線ヒータ26の温度を表1に示したように、それぞれ100℃、105℃及び130℃に設定した点、及び、それに応じて昇温ゾーンより下流の小領域において、所望の温度Tを維持するように、第1赤外線ヒータ26の温度を設定した点以外は、実験例1と同じ条件で、機能層FLを形成した。昇温ゾーンより下流の小領域に関して、表1には、第4の小領域及び第5の小領域における第1赤外線ヒータ26の温度を示している。表1に示したように、第4の小領域及び第5の小領域において、第1赤外線ヒータ26の温度を130℃に設定した。機能層FLの形成後、機能層FLの厚さ分布を実験例1と同じ装置を用いて測定した。その結果、実験例2の機能層FLには厚さムラが生じていた。
機能層FLに厚さムラが生じていなかった実験例1では、表1から理解されるにように、第1〜第3の昇温小領域全てにおいて、基板12の最高温度Tと第1赤外線ヒータ26の上限温度Tとは式(1)を満たし、且つ、第1〜第3の昇温小領域全てにおいて第1赤外線ヒータ26の温度は、上限温度Tより低かった。
一方、機能層FLに厚さムラが生じていた実験例2においても、表1から理解されるにように、第1〜第3の昇温小領域全てにおいて、基板12の最高温度Tと第1赤外線ヒータ26の上限温度Tとは式(1)を満たした。しかしながら、第1及び第3の昇温小領域において第1赤外線ヒータ26の温度は、上限温度Tより高かった。換言すれば、昇温ゾーンに含まれる第1〜第3の昇温小領域全てにおいて第1赤外線ヒータ26の温度が上限温度Tより低いという条件を実験例2は満たさなかった。
実験例1,2の実験条件は、前述したように、第1〜第3の昇温小領域内での第1赤外線ヒータ26の温度以外は同じであることから、実験例1,2の結果より、第1〜第3の昇温小領域全てにおいて、基板12の最高温度Tと第1赤外線ヒータ26の上限温度Tとが式(1)を満たし、且つ、第1〜第3の昇温小領域全てにおいて第1赤外線ヒータ26の温度を上限温度Tより低くすることによって機能層FLの厚さムラを防止できることが理解され得る。
(第2実施形態)
図2に示した乾燥工程S12の他の形態を第2実施形態として説明する。乾燥工程S12における説明以外は、第1実施形態と同じであることから、それらの記載を省略するとともに、第2実施形態の乾燥工程S12の説明において第1実施形態と重複する説明を省略する。
第2実施形態における図4の(b)部に示した昇温ゾーンでは、基板12の電極層形成面12aと反対側から赤外線を、電極層形成面12a側からより多く、塗布膜FL0が設けられた基板12に照射することによって塗布膜FL0を加熱する。
例えば、昇温ゾーンでは、少なくとも一つの第2赤外線ヒータ28を配置する一方、第1赤外線ヒータ26を配置しない。この場合、塗布膜FL0が設けられた基板12には、塗布膜FL0側(電極層形成面12a側)から赤外線が照射されずに、第2赤外線ヒータ28からの赤外線によって、塗布膜FL0及び基板12が加熱される。
そのため、基板12に陽極層14が形成されている領域(第1領域)と陽極層14が形成されていない領域(第2領域)が存在しても、第1領域と第2領域との間において温度差が生じにくい。その結果、昇温ゾーンにおいて塗布膜FL0を構成する塗布液が表面張力差によって流動することが抑制されるので、所望の状態(例えば所望の厚さ)の機能層FLを形成できる。その結果、所望の性能を有する有機ELデバイス10を製造可能である。
或いは、昇温ゾーンでは、少なくとも一つの第1赤外線ヒータ26を配置するとともに、少なくとも一つの第2赤外線ヒータ28を配置する。この場合、少なくとも一つの第2赤外線ヒータ28からの照射量を、少なくとも一つの第1赤外線ヒータ26からの照射量より多くすることによって、基板12における電極層形成面12aと反対側からの赤外線で主に塗布膜FL0を加熱する。
この場合も、基板12における電極層形成面12aと反対側からの赤外線照射が支配的であるため、基板12に陽極層14が形成されている領域(第1領域)と陽極層14が形成されていない領域(第2領域)が存在しても、第1領域と第2領域との間の温度差が生じにくい。その結果、昇温ゾーンにおいて塗布膜FL0を構成する塗布液が表面張力差によって流動することが抑制されるので、所望の状態(例えば所望の厚さ)の機能層FLを形成できる。その結果、所望の性能を有する有機ELデバイス10を製造可能である。
第2実施形態において、昇温ゾーン以降の赤外線加熱炉24の構成及び赤外線照射条件は第1実施形態と同様であり得る。
以上、本発明の種々の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、例示した種々の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
基板は、例えばガラス基板及びシリコン基板などのリジッド基板であってもよい。基板がリジッド基板である場合、基板の厚さは、例えば0.05mm〜1.1mmである。
一実施形態における赤外線加熱炉は、基板における電極層形成面と反対側に赤外線照射部を備えなくてもよい。この場合、第1〜第Nの昇温小領域のうち何れかの昇温小領域は、基板における電極層形成面側に赤外線照射部を有する。基板における電極層形成面と反対側に赤外線照射部を設ける形態では、塗布膜FL0がより一層速く加熱乾燥され易いので、有機ELデバイスの生産性が向上する。
赤外線照射部の例は赤外線ヒータに限らず、機能層となる塗布膜を加熱可能である赤外線を照射可能な構成を有すればよい。赤外線照射部が赤外線ヒータ以外であっても、赤外線照射部の温度は、赤外線発生部の表面温度とし得る。
上記有機ELデバイスの製造に用いられる基板は長尺の基板に限定されない。基板は、赤外線加熱炉内を搬送可能な大きさであれば枚葉状であってもよい。
第1電極層が陽極層であり、第2電極層が陰極層である形態を説明したが、第1電極層が陰極層であり、第2電極層が陽極層でもよい。
本発明は、有機ELデバイス以外の有機電子デバイス、例えば、有機太陽電池、有機フォトディテクタ、有機トランジスタなどを製造する場合にも適用可能である。
10…有機ELデバイス(有機電子デバイス)、12…基板、14…陽極層(第1電極層)、18…陰極層(第2電極層)、24…赤外線加熱炉、26…第1赤外線ヒータ(電極層形成面に面する赤外線照射部)、FL…機能層、FL0…塗布膜。

Claims (5)

  1. 基板の電極層形成面上に設けられた第1電極層上に、機能層を形成する機能層形成工程と、
    前記機能層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
    を備え、
    前記機能層形成工程は、
    前記機能層用の塗布液を前記第1電極層上に塗布して、前記機能層用の塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
    前記基板を搬送しながら、赤外線加熱炉内で赤外線を前記塗布膜が設けられた前記基板に照射することによって前記塗布膜を加熱乾燥させることによって前記機能層を形成する乾燥工程と、
    を有し、
    前記基板の厚さ方向からみた場合、前記第1電極層の大きさは、前記電極層形成面の大きさより小さく、
    前記赤外線加熱炉の搬入口から前記基板の搬送方向に50cm毎に、前記搬送方向に直交する仮想面で前記赤外線加熱炉を区切られた複数の小領域のうち、前記搬送方向において小領域下流端での前記基板の温度が、小領域上流端での前記基板の温度より5℃以上高いN個の前記小領域を、第1〜第Nの昇温小領域(Nは、1以上の整数)と称したとき、
    前記第1〜第Nの昇温小領域のうちの第iの昇温小領域(iは、1〜Nの何れかの整数)は、前記電極層形成面側にM個の赤外線照射部(Mは、0以上の整数)を有し、
    前記第iの昇温小領域が有する前記M個の赤外線照射部の温度が、前記第iの昇温小領域内での前記基板の最高温度をT[℃]としたときに、
    <(5×10+(T0.25
    によって定義される上限温度T[℃]以下である、
    有機電子デバイスの製造方法。
  2. 前記赤外線照射部は赤外線ヒータを有し、
    前記赤外線照射部の温度は、前記赤外線ヒータの温度である、
    請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
  3. 基板の電極層形成面上に設けられた第1電極層上に、機能層を形成する機能層形成工程と、
    前記機能層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
    を備え、
    前記機能層形成工程は、
    前記機能層用の塗布液を前記第1電極層上に塗布して、前記機能層用の塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
    前記基板を搬送しながら、赤外線加熱炉内で赤外線を前記塗布膜が設けられた前記基板に照射することによって前記塗布膜を加熱乾燥させることによって前記機能層を形成する乾燥工程と、
    を有し、
    前記基板の厚さ方向からみた場合、前記第1電極層の大きさは、前記電極層形成面の大きさより小さく、
    前記基板の搬送方向において、前記基板の温度勾配が10℃/m以上である前記赤外線加熱炉の搬入口からの領域を昇温ゾーンと称したとき、
    前記昇温ゾーンでは、前記基板の前記電極層形成面と反対側から赤外線を、前記基板の前記電極層形成面側からよりも多く、前記塗布膜が設けられた前記基板に照射することによって前記塗布膜を加熱乾燥する、
    有機電子デバイスの製造方法。
  4. 前記基板は、長尺の可撓性基板である、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  5. 前記塗布膜形成工程では、前記塗布液をインクジェット印刷装置から前記基板上に塗布する、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
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