JP2021015134A - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低プレチルト角に要請にこたえるとともに、表示品位に優れ、種々の表示デバイスに好適に利用できる液晶配向膜およびそれを与える液晶配向剤を提供すること。【解決手段】ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びそのイミド化合物であるポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、前記重合体(A)は、−CH2−及び−O−から選ばれる2価の基が、−O−同士が隣接しないように4乃至20個結合してなる非分岐の2価の有機基を有し、前記溶剤は、N−(n−ブチル)−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘキシル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘプチル)−2−ピロリドン、N−(n−オクチル)−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種である特定溶剤(B)を含む、液晶配向剤。【選択図】なし

Description

本発明は液晶配向剤、該液晶配向剤から得られる液晶配向膜及び液晶表示素子に関する。
液晶を配向させるための配向層(液晶配向膜ともいう)は、液晶の配列の秩序を保ち液晶分子の有する屈折率異方性に基づく光学特性を発現するために重要なものであり、液晶表示素子を構成するために必須の構成部材である。液晶表示素子において、液晶の配向は、その表示特性に大きな影響を及ぼすことから種々の方式が検討されてきており、大きく分けて垂直配向型と水平配向型の二通りに分類できる。
垂直配向型の液晶層を用いた液晶表示装置(VAモード液晶表示装置と呼ばれることもある。)は、高コントラストなどの優れた表示特性から広くディスプレイに使用されている。しかし、その視野角特性は必ずしも十分とは言えず、改善のために様々な手法が検討されてきた。視野角特性の改善方法として、一つの画素中に各々配向方向の異なる複数の液晶ドメインを形成する(配向分割構造を導入する)マルチドメイン垂直配向方式(MVA方式)が一般化している。MVA方式においては、配向分割構造を形成するためには、液晶分子の傾斜配向を制御することが必要であり、その手法としては、電極に設けたスリット(開口部)あるいはリブ(突起構造)を設置する方法が用いられている。
傾斜配向を制御する別の方法として、光又は熱により重合可能なモノマーを液晶に混入しておき、電圧印加によって液晶分子が傾斜した状態でモノマーを重合させることで液晶分子の傾斜方向を記憶させるポリマー配向支持(PSA;Polymer Sustained Alignment)技術が開示されている(特許文献1参照)。この方法は、スリットやリブを設けた方法における、応答速度の分布や光透過率の低下の問題を解決し得るものである。しかし、この方法では液晶材料中にモノマーを混入することによる特性の変化、プロセス制御の難しさ、残存モノマーの悪影響等の問題点がある。これらの問題を回避するためには、VAモード液晶表示装置において、配向膜によって傾斜配向を制御できることが好ましい。
一方、水平配向型の液晶層を用いた液晶表示装置の一つとして、IPS又はFFSモード液晶表示装置が挙げられる。IPS又はFFSモード液晶表示装置は、コントラストや色味などの視野角依存性が小さく、その優れた表示特性から広くディスプレイに使用されている。IPS又はFFSモードでは、黒表示における視野角依存性および色再現性を低減するためには、電極表面で1度以下の低プレチルト角であることが要求される。水平配向を達成する場合においても、一般的な配向方法としてラビング法が用いられている。しかし、ポリイミド配向膜のラビング処理によって水平配向処理を行うと、液晶分子に与えるプレチルト角は1度を超えてしまうため、表示特性が低下するといった問題がある。このようなラビング配向処理に伴う表示特性の低下は、IPS又はFFSモードに限らずTNモード液晶表示素子においても問題となっていた(特許文献3参照)。
こうした問題から、垂直配向型、水平配向型のいずれの配向方式においても、液晶配向膜を用いたプレチルト角の制御は表示特性の向上のために重要である。所望のプレチルト角が得られる液晶配向膜として、少なくとも第一化合物及び第二化合物の混合物を含むポリマー組成物からなる液晶配向膜が知られている(特許文献4参照)。
特開2003−149647号公報 特開2012−163945号公報 特開2000−080164号公報 特開2015−062073号公報
前記の方法によればポリマー構造が限定されてしまうため、産業上多用されているポリイミド系の液晶配向膜に適用することが困難である。本発明は、産業上多用することが出来、且つ、プレチルト角の制御が容易な液晶配向剤、該液晶配向剤から得られる液晶配向膜及び液晶表示素子を提供することにある。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、重合体成分として特定のジアミン化合物に由来する部分構造を有するポリイミド又はその前駆体を含む組成物において、溶剤成分の少なくとも一部として特定の溶剤を用いることにより上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の要旨を有するものである。
1.ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びそのイミド化合物であるポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、
前記重合体(A)は、−CH−及び−O−から選ばれる2価の基が、−O−同士が隣接しないように4乃至20個結合してなる非分岐の2価の有機基を有し、
前記溶剤は、N−(n−ブチル)−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘキシル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘプチル)−2−ピロリドン、N−(n−オクチル)−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種である特定溶剤(B)を含む、液晶配向剤。
2.前記重合体(A)が、下記式(d−1)〜式(d−3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種である特定ジアミン化合物(D)に由来する部分構造を有することを特徴とする上記1に記載の液晶配向剤。
Figure 2021015134

(式(d−1)中、Xは単結合、−O−又は−S−であり、Wはフェニレン基であり、m1は1または2であり、m2は、m1=1の場合は0であり、m1=2の場合は1であり、m3は、m1=1の場合は2〜12であり、m1=2の場合は1〜4であり、m4は0または1であり、Xは、単結合、−O−又は−S−であり、m2=1である場合は単結合であり、m1=1でありm3=2である場合、X及びXは、それぞれ独立に−O−又は−S−であり、m1=1でありm3=3である場合、X及びXの少なくとも一方は−O−又は−S−であり、ベンゼン環上の水素原子がアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されてもよい。式(d−2)中、X3a及びX3bは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、Aは、炭素数1〜3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3であり、qは4〜20の整数であり、kは0又は1である。式(d−3)中、A5aは単結合、炭素数1〜12のアルカンジイル基又は炭素数1〜6のフルオロアルカンジイル基を示し、A5bは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、Apはステロイド骨格を有する1価の有機基又は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基を示し、Aが炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基を示す場合、A5aは単結合を示し、但し、いずれかの基が非分岐の炭素数4〜18のアルキル基および非分岐の炭素数4〜12のアルカンジイル基の少なくとも一方を含有する基である。)
3. 前記ジアミン(D)が式(d−2)及び式(d−3)から選ばれるジアミンであり、前記重合体が、さらに、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を用いて得られる重合体である、前記2に記載の液晶配向剤。
4.前記溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種の第1溶媒を含む、前記1〜3に記載の液晶配向剤。
5.前記溶媒が、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジソブチルケトンから選ばれる少なくとも1種の第2溶媒を含む、前記1〜4に記載の液晶配向剤。
6.前記第1溶媒が、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、5重量%以上であり95重量%以下である、前記4に記載の液晶配向剤。
7.前記第2溶媒が、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、1重量%以上であり80重量%以下である、前記5に記載の液晶配向剤。
8.前記液晶配向剤が、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれる官能性シラン化合物を含むことを特徴とする、前記1〜7に記載の液晶配向剤。
9.前記重合体(A)は、下記式(t−1)〜(t−2)で表される化合物、下記式(E)で示される化合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸化合物に由来する部分構造を有する重合体である、前記1〜8に記載の液晶配向剤。
Figure 2021015134

(式(t−1)中、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に、単結合又はメチレン基であり、jは1〜3の整数である。式(t−2)中、M〜Mは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルコキシ基、フッ化アルキル基、フッ化アルコキシ基、フッ化アルキルエステル基である。式(E)中、Tは、−(CH)n−を表し、2つまでの−CH−が独立して−O−(ただし非連続)、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−C2nN(C2mCOOH)CH2−、−CH(C2mOH)−、−CH(C2n+1)−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよい(mは0〜30の整数を表し、nは独立して1〜30の整数を表す)。
10.請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
11.請求項10に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
上記液晶配向剤は、プレチルト角を容易に制御でき、また液晶配向性に優れる液晶配向膜を得ることができる。よって、本発明の液晶配向剤から得られた液晶配向膜を有する液晶表示素子は、表示品位に優れたものとなり、種々の表示デバイスに好適に利用できるため、産業上多用することが可能となる。
<液晶配向剤>
本発明に係る液晶配向剤は、重合体成分として、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びそのイミド化合物であるポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)を含んでおり、当該重合体(A)が溶媒に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。そして、前記重合体(A)は、−CH−及び−O−から選ばれる2価の基が、−O−同士が隣接しないように4乃至20個結合してなる非分岐の2価の有機基を有し、前記溶剤は、N−(n−ブチル)−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘキシル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘプチル)−2−ピロリドン、N−(n−オクチル)−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種である特定溶剤(B)を含む。
[重合体(A)]
(ポリアミック酸)
本発明におけるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸の合成に用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、下記式(E)で示される化合物などを挙げることができる。
Figure 2021015134

(式(E)中、Tは、−(CH)n−を表し、2つまでの−CH−が独立して−O−(ただし非連続)、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−C2nN(C2mCOOH)CH2−、−CH(C2mOH)−、−CH(C2n+1)−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよい(mは0〜30の整数を表し、nは独立して1〜30の整数を表す)。)
これらの具体例としては、
脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、下記式(t−1)〜(t−2)
Figure 2021015134

(式(t−1)中、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に、単結合又はメチレン基であり、jは1〜3の整数である。式(t−2)中、M〜Mは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルコキシ基、フッ化アルキル基、フッ化アルコキシ基、フッ化アルキルエステル基である。)
で表される化合物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などを;
式(E)で示される化合物として、下記式(E−1)〜(E−9)などを;
Figure 2021015134

それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、テトラカルボン酸二無水物は、上記のものを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記式(t−1)で表される化合物としては、例えばビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4.3.0]ノナン−2,4,7,9−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4.4.0]デカン−2,4,7,9−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4.4.0]デカン−2,4,8,10−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.3.0.0<2,6>]ウンデカン−3,5,9,11−テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。上記式(t−1)で表される化合物としては、中でも、液晶配向の安定性を高くする観点から、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
〜Mのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
また、M〜Mのアルキル基、アルコキシ基、フッ化アルキル基、フッ化アルコキシ基、フッ化アルキルエステル基、については、炭素数1〜12のものが好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。なお、M〜Mは互いに同じでも異なっていてもよい。
基「−Si(M」におけるMは、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1又は2である。
上記式(t−2)で表される化合物としては、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−メチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3−トリメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−エチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−エチル−3−メチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、下記式(t−2−1)〜式(t−2−7)のそれぞれで表される化合物などが挙げられる。
Figure 2021015134

中でも、液晶配向の安定性を高くする観点から、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−メチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−エチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−エチル−3−メチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、上記(t−2−1)〜(t−2−7)で表される化合物が好ましい。
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、上記の中でも、上記式(t−1)〜(t−2)で表される化合物、上記式(E)で示される化合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(以下、特定テトラカルボン酸二無水物ともいう。)を少なくとも使用することが好ましい。上記特定テトラカルボン酸二無水物を使用する場合、特定テトラカルボン酸二無水物の合計の使用量は、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、10モル%以上であることが好ましく、20〜100モル%であることがより好ましい。なお、特定テトラカルボン酸二無水物をモノマー組成に含む重合により、特定テトラカルボン酸二無水物に由来する部分構造を有する重合体が得られる。
(ジアミン)
ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとしては、上記式(d−1)で表される化合物、上記式(d−2)で表される化合物及び上記式(d−3)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のジアミン(以下、「特定ジアミン化合物(D)」ともいう。)を含むことが好ましい。
[特定ジアミン化合物(D)]
(式(d−1)で表される化合物)
Figure 2021015134

上記式(d−1)において、Xは単結合、−O−又は−S−であり、Wはフェニレン基であり、m1は1または2であり、m2は、m1=1の場合は0であり、m1=2の場合は1であり、m3は、m1=1の場合は2〜12であり、m1=2の場合は1〜4であり、m4は0または1であり、Xは、単結合、−O−又は−S−であり、m2=1である場合は単結合であり、m1=1でありm3=2である場合、X及びXは、それぞれ独立に−O−又は−S−であり、m1=1でありm3=3である場合、X及びXの少なくとも一方は−O−又は−S−であり、ベンゼン環上の水素原子がアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されてもよい。
この場合、得られる重合体のプレチルト角を小さくする観点から、m1が1であってm2が0である場合、好ましくはm3が2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、m1が2であってm2が1である場合、好ましくは、m3は1〜3の整数である。
ベンゼン環上の1級アミノ基の結合位置は特に限定しないが、各々の1級アミノ基が、他の基に対して3−位又は4−位であることが好ましく、4−位がより好ましい。なお、1級アミノ基が結合するベンゼン環上の水素原子は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、若しくは該炭化水素基上の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された1価の基、又はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記式(d−1)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えばビス(4−アミノフェノキシ)エタン、ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)エタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェニル)ブタン、ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)ヘプタン、ビス(4−アミノフェニル)オクタン、ビス(4−アミノフェニル)ノナン、ビス(4−アミノフェニル)デカン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルファニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルファニル)ブタン、等を挙げることができる。なお、上記式(d−1)で表される化合物としては、これら例示の化合物を1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(式(d−2)で表される化合物)
Figure 2021015134

式(d−2)において、「−X3a−(A−X3b)k−」で表される二価の基としては、炭素数1〜3のアルカンジイル基、*−O−、*−COO−又は*−O−C−O−(但し、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。
基「−CH2q+1」は、直鎖状であることが好ましく、その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。
ジアミノフェニル基における2つの一級アミノ基は、基「X3a」に対して2,4−位又は3,5−位であることが好ましく、2,4−位であることがより好ましい。なお、一級アミノ基が結合するベンゼン環上の水素原子は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、若しくは該炭化水素基上の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された1価の基、又はフッ素原子で置換されていてもよい。
式(d−2)において、下記式(V)で表される2価の基は、液晶配向性を高める観点から、下記式[V−1]〜[V−4]であることが好ましい。なお、上記式(d−2)で表される化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
Figure 2021015134

Figure 2021015134
(式(d−3)で表される化合物)
Figure 2021015134

式(d−3)において、A5aは単結合、炭素数1〜12のアルカンジイル基又は炭素数1〜6のフルオロアルカンジイル基を示し、A5bは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、Apはステロイド骨格を有する1価の有機基又は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基を示し、Aが炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基を示す場合、A5aは単結合を示し、但し、いずれかの基が非分岐の炭素数4〜18のアルキル基および非分岐の炭素数4〜12のアルカンジイル基の少なくとも一方を含有する基である。
上記式(d−3)のA5aにおける炭素数1〜12のアルカンジイル基としては、炭素数1〜4のアルカンジイル基が好ましく、メチレン基、エチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基がより好ましい。炭素数1〜6のフルオロアルカンジイル基としては、炭素数1〜4のパーフルオロアルカンジイル基が好ましく、−CF−、パーフルオロエチレン基、1,3−パーフルオロプロパンジイル基、1,4−パーフルオロブタンジイル基がより好ましい。
5bとしては、−O−が好ましい。
におけるステロイド骨格とは、シクロペンタノ−ペルヒドロフェナントレン核からなる構造又はその炭素−炭素結合の一つもしくは二つ以上が二重結合となった構造をいう。かかるステロイド骨格を有する1価の有機基としては、炭素数17〜40のものが好ましい。
としては、炭素数4〜18の非分岐のアルキル基が好ましい。
上記式(d−3)で表される化合物の好ましい具体例としては、液晶配向膜の用途において塗膜に液晶配向性を高める観点から、1−ドデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−テトラデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−ペンタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−ヘキサデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、テトラデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、ペンタデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、ヘキサデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、(2,4−ジアミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゾエートよりなる群から選択される1種以上を使用することが好ましく、さらにこれらのうち、少ない使用割合で高い液晶配向性を与える点から、1−コレステリロキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレステリル、1−コレスタニロキシ−2,4−ジアミノベンゼン及び3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニルよりなる群から選択される1種以上を使用することが特に好ましい。
(分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物)
本発明において、ジアミン成分として、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を使用した場合には、得られる重合体の溶解性が高くなるとともに、液晶配向性を損なわないという効果を奏する。
分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物は、上記の観点から式[dc]で表される化合物が好ましいが、これに限定されるものではない。また、下記式(dc)で表される化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
Figure 2021015134

式[dc]中、Xは炭素数6〜30の芳香族環を有する有機基であり、nは1〜4の整数である。
式[dc]の具体例として、下記の式[dc−1]〜[dc−7]の構造が挙げられるがこれらに限定されない。
Figure 2021015134

式[dc−1]中、m1は1〜4の整数であり、式[dc−2]中、Xは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−、又は−N(CH)CO−であり、m2及びm3はそれぞれ0〜4の整数であり、かつm2+m3は1〜4の整数を示し、式[dc−3]中、m4及びm5はそれぞれ1〜5の整数であり、式[dc−4]中、Xは炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基であり、m6は1〜5の整数であり、式[dc−5]中、Xは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−、又は−N(CH)CO−であり、mは1〜4の整数を示す。
式[dc−1]〜式[dc−5]の構造において、好ましくは、式[dc−1]中、m1が1〜2の整数である構造、式[dc−2]中、Xが単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、又は−OCO−であり、m2及びm3は共に1の整数である構造、式[dc−5]中、Xは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH2−、−COO−、又は−OCO−であり、mは1〜2の整数である構造である。
ジアミン化合物(dc)の具体例として、下記の式[dc−6]〜式[dc−16]の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
Figure 2021015134

式[dc−15]中、Xは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、又は−OCO−であり、式[dc−16]中、X10は単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、又は−OCO−である。
ポリアミック酸の合成に際し、特定ジアミン化合物(D)としては、製造する液晶表示素子の駆動モードに応じて上記化合物の中から適宜選択して使用することができる。具体的には、上記特定ジアミンとして上記式(d−1)で表される化合物を用いることにより、IPS又はFFSモード液晶表示素子用に好適な液晶配向剤を製造することができる。また、上記式(d−2)及び(d−3)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を使用することにより、TNモード液晶表示素子又はVAモード液晶表示素子に好適な液晶配向剤を製造することができる。特に、液晶配向性を維持し、プレチルト角のバラツキを抑えられる観点から、前記式(d−2)及び(d−3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と下記式(d−4)、(d−5)で表される化合物及びカルボキシル基を有するジアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むことが好ましい。
(他のジアミン)
ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとしては、上記の特定ジアミン以外の化合物(他のジアミン)を使用してもよい。当該他のジアミンとしては、式(d−4)で表される化合物、式(d−5)で表される化合物、及び、それ以外の他のジアミンを挙げることができる。
(式(d−4)で表される化合物)
Figure 2021015134

(式(d−4)中、Ar4aは、ベンゼン環又は芳香族縮合環からなる2価の有機基であり、該ベンゼン環及び芳香族縮合環の任意の水素原子の1個又は複数個は、アミノ基以外の1価の有機基で置換されてもよい。R4bは炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基である。
式[d−4]中のAr4aは、ベンゼン環、ベンゼン環が複数個縮合した環(以下、芳香族縮合環と称す。)で表される有機基から選ばれる二価の有機基である。以下にAr4aの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 2021015134

(式中、芳香環、縮環の任意の水素原子一個又は複数個は、アミノ基以外の一価の有機基
で置換されてもよい。)
本発明において、溶解性の高い重合体が得られる観点から、式(d−4])中のAr4aは上記式[ar−1]、又は式[ar−2]で表される二価の有機基が好ましい。
4bは炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基であるが、液晶配向膜の液晶配向性を高める観点から、R4bは炭素数1〜10の2価の飽和炭化水素基であることが好ましい。さらに好ましくは、炭素数1〜6の飽和炭化水素基であり、直鎖状の飽和炭化水素が好ましい。
本発明で好ましいR4bは、次の式[Sp4]で表される。
−(CHn1−(Q)n2−(CHn3− [Sp4]
式[Sp4]中、Qは炭素数3〜7個の炭化水素環を表し、好ましくは、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環であり、なかでも、環構造が安定なシクロヘキサン環が好ましい。n1及びn3は0〜7、好ましくは0〜3の整数である。n2は、0又は1の整数である。但し、n1、n2、n3は同時に0にならない。
以下に、式(d−4)で表される好ましいジアミンの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。なお、上記式(d−4)で表される化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
Figure 2021015134
(式中nは、1〜10の整数を表す。)
(式(d−5)で表される化合物)
Figure 2021015134

上記式(d−5)において、R2aは、炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。R2aの具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。R2aの炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
2dは、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基である。当該炭化水素基としては、炭素数1〜12の鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、炭素数5〜12の芳香族炭化水素基を挙げることができ、その具体例としては、上記R3の説明で例示した基を挙げることができる。R2dとしては、水素原子又は炭素数1〜12の鎖状炭化水素基であることが好ましい。また、R2dにおける炭化水素基は、炭素数1〜6であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。 R2b及びR2cは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、共に水素原子であることが好ましい。
上記式(d−5)のジアミノフェニル基において、2つの一級アミノ基の結合位置は特に限定しないが、ベンゼン環に結合するN−アリル構造を有する基に対して、2,4−位又は2,5−位であることが好ましく、2,4−位であることがより好ましい。なお、一級アミノ基が結合するベンゼン環上の水素原子は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、若しくは該炭化水素基上の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された1価の基、又はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記式(d−5)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン、2,5−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン等を挙げることができる。なお、上記式(d−5)で表される化合物は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(それ以外の他のジアミン)
ポリアミック酸の合成に使用する、上記以外の他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これら他のジアミンの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−5−アミン、1−(4−アミノフェニル)−2,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−1H−インデン−6−アミン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェノキシ)メタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1−コレステリロキシメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリロキシメチル−3,5−ジアミノベンゼン、1−(1−コレステリロキシ−1,1−ジフルオロメチル)−2,4−ジアミノベンゼン、1−(1−コレステリロキシ−1,1−ジフルオロメチル)−3,5−ジアミノベンゼン、1−(1−コレスタニロキシ−1,1−ジフルオロメチル)−2,4−ジアミノベンゼン、1−(1−コレスタニロキシ−1,1−ジフルオロメチル)−3,5−ジアミノベンゼン、3−(2,4−ジアミノフェニルメトキシ)−4,4−ジメチルコレスタン、3−(1−(2,4−ジアミノフェニル)−1,1−ジフルオロメトキシ)−4,4−ジメチルコレスタン、3−(3,5−ジアミノフェニルメトキシ)−4,4−ジメチルコレスタン、3−(1−(3,5−ジアミノフェニル)−1,1−ジフルオロメトキシ)−4,4−ジメチルコレスタン、3−((2,4−ジアミノフェニル)メトキシ)コラン−24−酸 ヘキサデシル、3−(1−(2,4−ジアミノフェニル)−1,1−ジフルオロメトキシ)コラン−24−酸 ヘキサデシル、3−((3,5−ジアミノフェニル)メトキシ)コラン−24−酸 ヘキサデシル、3−(1−(3,5−ジアミノフェニル)−1,1−ジフルオロメトキシ)コラン−24−酸 ヘキサデシル、3−(2,4−ジアミノフェニルメトキシ)コラン−24−酸 ステアリル、3−(1−(2,4−ジアミノフェニル)−1,1−ジフルオロメトキシ)コラン−24−酸 ステアリル、3−(3,5−ジアミノフェニルメトキシ)コラン−24−酸 ステアリル、3−(1−(3,5−ジアミノフェニル)−1,1−ジフルオロメトキシ)コラン−24−酸 ステアリル、1−コレステリロキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレステリル、1−コレスタニロキシ−2,4−ジアミノベンゼン及び3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニルなどを;ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。なお、これらの他のジアミンは、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸を合成する際の特定ジアミン化合物(D)の使用量は、使用する化合物に応じて任意に設定することができる。例えば、上記式(d−1)で表される化合物を使用する場合、液晶分子に対して低い傾斜配向角を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、10モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましい。また良好な電気特性を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、95モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらには80モル%以下とすることが好ましい。上記式(d−2)で表される化合物を使用する場合、良好な配向性を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましい。また良好な電気特性を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、95モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらには80モル%以下とすることが好ましい。上記式(d−3)で表される化合物を使用する場合、良好な配向性を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましい。また良好な電気特性を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、95モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらには80モル%以下とすることが好ましい。
カルボキシル基を含有するジアミンを使用する場合、特定重合体の溶解性を高くする観点から、その使用割合は、全ジアミンに対して、5モル%以上とすることが好ましく、10モル%以上とすることがより好ましい。なお、特定ジアミン化合物(D)としては、上記で例示した化合物のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また良好な配向性を付与する観点から、その使用量は、全ジアミンに対して、95モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらには80モル%以下とすることが好ましい。
[分子量調節剤]
ポリアミック酸を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸二無水物及びジアミンとともに、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などの適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)をさらに改善することができる。
[ポリアミック酸エステル]
ポリアミック酸エステルを得るためには、カルボン酸基をジアルキルエステル化したテトラカルボン酸(以下、「テトラカルボン酸ジアルキルエステル化合物」ともいう)とジアミンとを重縮合させる方法、カルボン酸基をジアルキルエステル化したテトラカルボン酸ジハライド((以下、「テトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物」)とジアミンとを重縮合させる方法またはポリアミック酸のカルボキシル基をエステルに変換する方法が用いられる。
[ポリイミド]
ポリイミドを得るには、前記のポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを閉環させてポリイミドとする方法が用いられる。
テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジアルキルエステル化合物またはテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物(以下、これらを総称して「テトラカルボン酸誘導体」ともいう)とジアミンとの反応は、通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを溶媒中で行う。その際に用いる溶媒としては、生成したポリアミック酸又はポリアミック酸エステルが溶解するものであれば特に限定されない。下記に、反応に用いる溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンまたはγ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。また、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンまたは下記の式[G−1]〜式[G−3]で示される溶媒を用いることができる。
Figure 2021015134

(式[G−1]中、Aは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、式[G−2]中、Aは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、式[G−3]中、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す)。
ここで、上記式(G−1)〜(G−3)で表される化合物としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルなどを挙げることが出来る。中でも、重合体の析出を抑える観点から、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
これら溶媒は単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルを溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸又はポリアミック酸エステルが析出しない範囲で、前記溶媒に混合して使用してもよい。また、溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸又はポリアミック酸エステルを加水分解させる原因となるので、溶媒は脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ジアミンとテトラカルボン酸誘導体とを溶媒中で反応させる際には、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。そのため、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、溶媒を追加することができる。
ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの重合反応においては、ジアミンの合計モル数とテトラカルボン酸誘導体の合計モル数の比は0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの分子量は大きくなる。
本発明のポリイミドは前記のポリアミック酸又はポリアミック酸エステルを閉環させて得られるポリイミドであり、このポリイミドにおいては、アミック酸またはアミック酸エステル基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルをイミド化させる方法としては、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステル溶液をそのまま加熱する熱イミド化または触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルを溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行う方が好ましい。
ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの触媒イミド化は、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20℃〜250℃、好ましくは0℃〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5モル倍〜30モル倍、好ましくは2モル倍〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1モル倍〜50モル倍、好ましくは3モル倍〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミンまたはトリオクチルアミンなどを挙げることができ、なかでも、ピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸または無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルまたはポリイミドの反応溶液から、生成したポリアミック酸、ポリアミック酸エステルまたはポリイミドを回収する場合には、反応溶液を溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。溶媒に投入して沈殿させたポリマーは濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2回〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類または炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性を確保することができる。
[溶媒]
(特定溶媒(B))
本発明の液晶配向剤に用いる溶媒は、溶媒成分として、N−(n−ブチル)−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘキシル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘプチル)−2−ピロリドン、N−(n−オクチル)−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の溶媒(以下、「特定溶媒(B)」ともいう)を含有する。このような特定溶媒(B)を液晶配向剤中に含有させることにより、得られる液晶配向膜のプレチルト角を低減することができ、液晶表示素子のコントラストが改善され、良好な表示品位を保つことができる。尚、特定溶媒(B)は、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[その他の溶媒]
本発明の液晶配向剤は、溶媒成分として、上記特定溶媒(B)以外のその他の溶媒を含有していることが好ましい。当該その他の溶媒としては、重合体(A)を溶解可能な溶媒であって上記特定溶媒(B)以外の溶媒(以下、「第1溶媒」ともいう。)、当該重合体(A)の貧溶媒である有機溶媒(以下、「第2溶媒」)などを挙げることができる。
上記第1溶媒としては、上記重合体(A)の良溶媒であればよく、その好ましい具体例としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどを挙げることができる。
なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いることが好ましい。
また、第2溶媒としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−プロパノール、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソアミルまたは4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどを挙げることができる。
なかでも、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジソブチルケトンから選ばれる少なくとも1種の溶媒を用いることが好ましい。
上記その他の溶媒のうち、上記第1溶媒の含有割合は、重合体(A)の析出を抑制する観点から、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは20重量%以上である。また、上記第1溶媒の含有割合の上限値については、上記特定溶媒(B)の添加による効果を好適に得る観点から、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下であり、更に好ましくは85重量%以下である。
上記第2溶媒の含有割合は、重合体(A)の印刷性を高める観点から、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、更に好ましくは10重量%である。また、重合体(A)の析出を抑制する観点から、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは30重量%以下である。
[その他の成分]
本発明に係る液晶配向剤は、上記の如き重合体(A)及び溶媒を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、上記重合体(A)以外のその他の重合体、架橋性化合物、官能性シラン化合物、界面活性剤、窒素含有複素環アミン化合物等を挙げることが出来る。
(その他の重合体)
その他の重合体は、印刷特性や電気的特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体としては、例えば、本発明の特定ジアミン化合物(D)を含まないポリイミド系重合体が挙げられる。さらには、セルロース系重合体、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリシロキサンなども挙げられる。当該その他の重合体を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤中の重合体成分の合計量に対して、上限値が80重量部以下であることが好ましく、0.1〜70重量部以下が好ましく、より好ましくは5〜60重量部以下である。
(架橋性化合物)
架橋性化合物は、液晶配向膜の膜強度を向上するために使用することが出来る。かかる架橋性化合物としては、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基またはシクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基および低級アルコキシアルキル基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、または重合性不飽和結合を有する架橋性化合物が挙げられる。これら置換基や重合性不飽和結合は、架橋性化合物中に2個以上有することが好ましい。
エポキシ基またはイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、国際公開公報WO2015/008846の段落[0087]に記載の化合物などが挙げられる。オキセタン基を有する架橋性化合物は、具体的には、国際公開公報WO2011/132751の58頁〜59頁に掲載される式[4a]〜式[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。より好ましい具体例として、式[4b]、式[4d]、式[4k]でn=5の化合物を挙げることができる。シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、具体的には、国際公開公報WO2012/014898の76頁〜82頁に掲載される式[5−1]〜式[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。ヒドロキシル基およびアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、国際公開公報WO2015/008846の段落[0090]〜[0092]に記載の化合物が挙げられる。重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば国際公開公報WO2011/132751の段落[0186]に記載の化合物が挙げられる。加えて、国際公開公報WO2011/132751の段落[0188]に記載の式[5]で示される化合物を用いることもできる。上記化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の液晶配向剤に用いる架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
本発明の液晶配向剤における、架橋性化合物の含有量は、すべての重合体成分100重量部に対して、0.1〜150重量部であることが好ましい。なかでも、架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましい。より好ましいのは、1〜50重量部である。
(官能性シラン化合物)
上記官能性シラン化合物は、液晶配向膜と基板との密着性を向上するために使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。中でも表示品位を高める観点から、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。これら官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、重合体の合計100重量部に対して5重量部以下が好ましく、0.02〜0.2重量部がより好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、液晶配向剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤に含有されるすべての重合体成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
(窒素含有複素環アミン化合物)
窒素含有複素環アミン化合物は、液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる目的で用いられる。窒素含有複素環アミン化合物として、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の69頁〜73頁に掲載される、式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物が挙げられる。このアミン化合物は、液晶配向剤に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10重量%、好ましくは1〜7重量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒としては、上記重合体(A)を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。
その他の成分として上記以外に、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
本発明に係る液晶配向剤の固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明に係る液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、このとき、固形分濃度が1重量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得にくい。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンコート法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。オフセット印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜8重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜20mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、液晶配向膜として用いることができる。また、垂直配向用途などの場合では配向処理なしでも液晶配向膜として用いることができる。この際に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板なども用いることができる。プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板も使用でき、この場合の電極としてはアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷またはインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法またはスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブンまたはIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、液晶配向剤に用いる溶媒に応じて、30〜300℃、好ましくは30〜250℃の温度で溶媒を蒸発させて液晶配向膜とすることができる。焼成後の液晶配向膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。
TNモード、STNモード、IPS又はFFSモードの液晶表示素子を製造する場合、焼成後の液晶配向膜をラビングまたは偏光紫外線照射などで処理する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。当該処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線を照射する光配向処理などが挙げられる。
光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。放射線の照射量は、好ましくは100〜50,000J/m2であり、より好ましくは300〜20,000J/m2である。また、塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。加温の際の温度は、通常30〜250℃であり、好ましくは40〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により、本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製して液晶表示素子としたものである。
液晶セルの作製方法としては、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、または、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。
さらに、本発明の液晶配向剤は、PSA(Polymer Sustained Alignment)方式で作成する液晶表示素子にも用いることが出来る。PSAで用いる液晶には、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物が混合される。重合性化合物としては、アクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分の100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。重合性化合物が0.01重量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御できなくなり、10重量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなって液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流または直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合する。これにより、液晶分子の配向を制御することができる。
加えて、本発明の液晶配向剤は、SC−PVAモード、すなわち、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線および熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子にも用いることができる。
以上のようにして、本発明の液晶配向剤は、プレチルト角を容易に制御でき、また液晶配向性に優れる液晶配向膜を得ることができる。よって、本発明の液晶配向剤から得られた液晶配向膜を有する液晶表示素子は、表示品位に優れたものとなり、種々の液晶ディスプレイに好適に利用することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における略号は下記のとおりである。
(液晶)
MLC−3019、MLC−3022(メルク社製)
(テトラカルボン酸化合物)
C1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
C2:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
C3:ピロメリット酸無水物
C4:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
C5:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
C6:式[C6]で表される化合物
C7:式[C7]で表される化合物
Figure 2021015134
(ジアミン)
D1:式[D1]で表される化合物
D2:式[D2]で表される化合物
D3:式[D3]で表される化合物
D4:式[D4]で表される化合物
D5:式[D5]で表される化合物
D6:式[D6]で表される化合物
D7:式[D7]で表される化合物
D8:式[D8]で表される化合物
D9:式[D9]で表される化合物
D10:式[D10]で表される化合物
D11:式[D11]で表される化合物
Figure 2021015134
(添加剤)
LS−2450:3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン
LS−3150:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
CL−1:下記式[CL−1]で示される化合物
Figure 2021015134

なお、LS−2450、LS−3150は、それぞれ信越化学工業株式会社の商品名である。
(溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NnBP:N−(n−ブチル)−2−ピロリドン
GBL:γ−ブチロラクトン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
(分子量測定)
ポリイミド前駆体及びポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
(ポリイミドのイミド化率の測定)
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05重量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて、500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミック酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
(粘度測定)
合成例または比較合成例において、重合体の粘度はE型粘度計TVE−22H(東機産業株式会社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
<特定重合体の合成>
[合成例1]
D8(24.4g,99.9mmol)、及びD2(19.8g,99.9mmol)をNMP(195.1g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C6(29.1g,130.0mmol)とNMP(100.0g)を加え、40℃で10時間反応させた。15℃に冷却した後、C1(13.3g、68.0mmol)とNMP(100.0g)を加え、25℃で2時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液(481.7g)にNMPを加え12質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(61.3g)、及びピリジン(15.8g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(3199ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(PI−1)を得た。このポリイミドのイミド化率は73%であり、数平均分子量は18,440、重量平均分子量は48,500であった。
[合成例2]
D1(10.8g,99.9mmol)、及びD2(19.8g、99.9mmol)をNMP(132.9g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C6(29.1g,130.0mmol)とNMP(100.0g)を加え、40℃で10時間反応させた。15℃に冷却した後、C1(13.3g、68.0mmol)とNMP(100.0g)を加え、25℃で2時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液(405.9g)にNMPを加え12質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(61.4g)、及びピリジン(15.9g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(2750ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(PI−2)を得た。このポリイミドのイミド化率は75%であり、数平均分子量は19,700、重量平均分子量は57,320であった。
[合成例3]
D1(9.7g,90.0mmol)及びD7(3.5g,10.0mol)をNMP(193.2g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C5(29.7g,99.0mmol)とNMP(50.0g)を加え、25℃で10時間反応させた。
得られたポリアミック酸溶液から(50.0g)を取り出し、イミド化触媒として無水酢酸(10.8g)、及びピリジン(5.0g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(480ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(PI−3)を得た。このポリイミドのイミド化率は88%であり、数平均分子量は17,500、重量平均分子量は35,410であった。
[合成例4]
D2(19.8g,99.9mmol)をGBL(124.2g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C3(10.9g,50.0mmol)とGBL(50.0g)を加え、40℃で10時間反応させた。15℃に冷却した後、C1(8.8g、45.0mmol)とGBL(50.0g)を加え、25℃で2時間反応させポリアミック酸溶液(PAA−4)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は14,810、重量平均分子量は28,900であった。
[合成例5]
D3(3.6g,30.0mmol)、D5(8.1g、40.0mmol)、及びD6(8.8g、30.0mmol)をNMP(125.8g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、
C3(6.5g,30.0mmol)とNMP(50.0g)を加え、40℃で10時間反応させた。15℃に冷却した後、C1(12.7g、65.0mmol)とNMP(50.0g)を加え、25℃で2時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液(265.5g)にNMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(28.4g)、及びピリジン(12.1g)を加え、50℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(2000ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(PI−5)を得た。このポリイミドのイミド化率は90%であり、数平均分子量は12,500、重量平均分子量は34,100であった。
[合成例6]
D4(21.1g,138.9mmol)、及びD9(25.9g,59.5mmol)をNMP(153.5g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C2(37.3g,148.8mmol)とNMP(50.0g)を加え、80℃で5時間反応させた。15℃に冷却した後、C1(9.5g,48.3mmol)とNMP(171.4g)を加え、40℃で6時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液から(125.6g)を取り出し、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(27.0g)、及びピリジン(20.9g)を加え、90℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(1600ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(PI−6)を得た。このポリイミドのイミド化率は80%であり、数平均分子量は21,200、重量平均分子量は64,500であった。
[合成例7]
D1(8.7g,80.0mmol)、及びD10(7.6g、20.0mmol)をNnBP(162.8g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C7(21.3g,95.0mmol)とNnBP(50.0g)を加え、25℃で10時間反応させポリアミック酸溶液(PAA−7)を得た。
このポリアミック酸の数平均分子量は11,740、重量平均分子量は23,100であった。
[合成例8]
NnBPをNMPに変更した以外は、合成例7と同様にして、ポリアミック酸溶液(PAA−8)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,450、重量平均分子量は29,880であった。
[合成例9]
D1(5.4g,50.0mmol)、及びD11(56.4g、200.0mmol)をNnBP(275.2g)中で混合し、25℃で30分反応させた後、C1(46.6g,237.6mmol)とNnBP(50.0g)を加え、25℃で10時間反応させポリアミック酸溶液(PAA−9)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,500、重量平均分子量は21,000であった。
[合成例10]
NnBPをNMPに変更した以外は、合成例7と同様にして、ポリアミック酸溶液(PAA−10)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,100、重量平均分子量は19,000であった。
[実施例1]
合成例1で得られたポリイミド粉末(PI−1)に、固形分濃度が15重量%となるようにNnBPを加え、50℃で24時間攪拌した。この溶液を室温程度まで冷却後、NnBP、GBL、BCSおよび固形分対比で1%となるようLS−3150を加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:GBL:BCS=44:30:20(重量比)である液晶配向剤(S−1)を得た。
[比較例1]
NnBPをNMPに変更した以外は、実施例1と同様にして、液晶配向剤(S−R1)を得た。
[比較例2]
合成例2で得られたポリイミド粉末(PI−2)に、固形分濃度が15重量%となるようにNnBPを加え、50℃で24時間攪拌した。この溶液を室温程度まで冷却後、NnBP、GBL、BCSおよび固形分対比で1%となるようLS−3150を加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:GBL:BCS=44:30:20(重量比)である液晶配向剤(S−R2)を得た。
[比較例3]
NnBPをNMPに変更した以外は、比較例2と同様にして、液晶配向剤(S−R3)を得た。
[実施例2]
合成例3で得られたポリイミド粉末(PI−3)に、固形分濃度が15重量%となるようにGBLを加え、50℃で24時間攪拌した。この溶液を室温程度まで冷却後、NnBP、GBL、BCSおよび固形分対比で5%となるようLS−2450を加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:GBL:BCS=16:66:12(重量比)である液晶配向剤(S−A1)を得た。
合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4)に、NnBP,GBL,BCS、固形分対比で1%となるようLS−3150、固形分対比で6.25%となるようCL−1を加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:GBL:BCS=16:66:12(重量比)である液晶配向剤(S−A2)を得た。
液晶配向剤(S−A1)および液晶配向剤(S−A2)をS−A1:S−A2=2:8(重量比)となるよう混合攪拌し、液晶配向剤(S−2)を得た。
[比較例4]
NnBPをNMPに変更した以外は、実施例2と同様にして、液晶配向剤(S−R4)を得た。
[実施例3]
合成例5で得られたポリイミド粉末(PI−5)に、固形分濃度が15重量%となるようにGBLを加え、50℃で24時間攪拌した。この溶液を室温程度まで冷却後、NnBP、GBL、BCS、DPMおよび固形分対比で3%となるようLS−2450を加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:GBL:BCS:DPM=14:50:15:15(重量比)である液晶配向剤(S−3)を得た。
[比較例5]
NnBPをNMPに変更した以外は、実施例3と同様にして、液晶配向剤(S−R5)を得た。
[実施例4]
合成例6で得られたポリイミド粉末(PI−6)に、固形分濃度が12重量%となるようにNnBPを加え、70℃で24時間攪拌した。この溶液を室温程度まで冷却後、NnBPおよびBCSを加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:BCS=44:50(重量比)である液晶配向剤(S−4)を得た。
[比較例6]
NnBPをNMPに変更した以外は、実施例4と同様にして、液晶配向剤(S−R6)を得た。
[実施例5]
合成例7で得られたポリアミック酸溶液(PAA−7)に、固形分濃度が12重量%となるようにNnBPを加え、25℃で24時間攪拌した。この溶液に、NnBPおよびBCSを加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:BCS=64:30(重量比)である液晶配向剤(S−5)を得た。
[比較例7]
合成例8で得られたポリアミック酸溶液(PAA−8)に、固形分濃度が12重量%となるようにNMPを加え、25℃で24時間攪拌した。この溶液に、NMPおよびBCSを加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNMP:BCS=64:30(重量比)である液晶配向剤(S−R7)を得た。
[比較例8]
合成例9で得られたポリアミック酸溶液(PAA−9)に、固形分濃度が12重量%となるようにNnBPを加え、25℃で24時間攪拌した。この溶液に、NnBPおよびBCSを加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNnBP:BCS=64:30(重量比)である液晶配向剤(S−R8)を得た。
[比較例9]
合成例10で得られたポリアミック酸溶液(PAA−10)に、固形分濃度が12重量%となるようにNMPを加え、25℃で24時間攪拌した。この溶液に、NMPおよびBCSを加えて攪拌し、固形分濃度が6重量%、溶媒組成がNMP:BCS=64:30(重量比)である液晶配向剤(S−R9)を得た。
実施例1〜5および比較例1〜9で得られた液晶配剤を用い、プレチルト角の評価を行った。その条件は、下記のとおりである。
実施例1〜5および比較例1〜9で得られた液晶配向剤を、30×40mmITO電極付き基板のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で5分間、熱循環型クリーンオーブン中にて220℃で20分間加熱処理をして膜厚100nmのポリイミド膜付きの基板を得た。
得られたポリイミド膜面を、ロール径120mmのラビング装置を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.2mmの条件で、レーヨン布でラビング処理して、液晶配向膜付き基板を得た。
このラビング処理後の液晶配向膜付き基板を2枚用意し、液晶配向膜面を内側にして4μmのスペーサーを挟み、ラビング方向が逆向きになるようにして組み合わせ、シール剤で周囲を接着して空セルを作製した。
実施例1〜3および比較例1〜5で得られた空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−3019(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、アンチパラレル配向のネマティック液晶セルを得た。
実施例4〜5および比較例6〜9で得られた空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−3022(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、アンチパラレル配向のネマティック液晶セルを得た。
上記で作製した液晶セルのプレチルト角を測定した。
オプトメトリクス社製AxoScanミュラーマトリクスポーラリメーターを用い、上記液晶セルのプレチルト角を評価した。
各実施例および比較例で得られた重合体を表1に示す。
表1において、酸二無水物およびジアミンについての括弧内の数値は、それぞれ、各項目に対するモル含有量比を示す。
Figure 2021015134
各実施例および比較例で得られたプレチルト角を表2に示す。
表2において括弧内の数値は、それぞれ、各項目100質量部に対する含有量を示す。なお、固形分濃度はいずれも6重量%である。
Figure 2021015134
本発明の上記液晶配向剤により、プレチルト角を容易に低下させることができ、また液晶配向性に優れる液晶配向膜を得ることができる。よって、本発明の液晶配向剤から得られた液晶配向膜を有する液晶表示素子は、低プレチルト角に要請にこたえるものとなり、表示品位に優れたものとなり、種々の表示デバイスに好適に利用できるため、産業上多用することが可能となる。

Claims (11)

  1. ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びそのイミド化合物であるポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(A)と、溶剤と、を含有し、
    前記重合体(A)は、−CH−及び−O−から選ばれる2価の基が、−O−同士が隣接しないように4乃至20個結合してなる非分岐の2価の有機基を有し、
    前記溶剤は、N−(n−ブチル)−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘキシル)−2−ピロリドン、N−(n−ヘプチル)−2−ピロリドン、N−(n−オクチル)−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種である特定溶剤(B)を含む、液晶配向剤。
  2. 前記重合体(A)が、下記式(d−1)〜式(d−3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種である特定ジアミン化合物(D)に由来する部分構造を有することを特徴とする上記1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2021015134

    (式(d−1)中、Xは単結合、−O−又は−S−であり、Wはフェニレン基であり、m1は1または2であり、m2は、m1=1の場合は0であり、m1=2の場合は1であり、m3は、m1=1の場合は2〜12であり、m1=2の場合は1〜4であり、m4は0または1であり、Xは、単結合、−O−又は−S−であり、m2=1である場合は単結合であり、m1=1でありm3=2である場合、X及びXは、それぞれ独立に−O−又は−S−であり、m1=1でありm3=3である場合、X及びXの少なくとも一方は−O−又は−S−であり、ベンゼン環上の水素原子がアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されてもよい。式(d−2)中、X3a及びX3bは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、Aは、炭素数1〜3のアルカンジイル基である。aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3であり、qは4〜20の整数であり、kは0又は1である。式(d−3)中、A5aは単結合、炭素数1〜12のアルカンジイル基又は炭素数1〜6のフルオロアルカンジイル基を示し、A5bは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−又は−CO−を示し、Apはステロイド骨格を有する1価の有機基又は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基を示し、Aが炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基を示す場合、A5aは単結合を示し、但し、いずれかの基が非分岐の炭素数4〜18のアルキル基および非分岐の炭素数4〜12のアルカンジイル基の少なくとも一方を含有する基である。)
  3. 前記ジアミン(D)が式(d−2)及び式(d−3)から選ばれるジアミンであり、前記重合体が、さらに、分子内にカルボキシル基を有するジアミン化合物を用いて得られる重合体である、請求項2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種の第1溶媒を含む、請求項1〜3に記載の液晶配向剤。
  5. 前記溶媒が、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジソブチルケトンから選ばれる少なくとも1種の第2溶媒を含む、請求項1〜4に記載の液晶配向剤。
  6. 前記第1溶媒が、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、5重量%以上であり95重量%以下である、請求項4に記載の液晶配向剤。
  7. 前記第2溶媒が、液晶配向剤に含まれる溶媒の全体量に対して、1重量%以上であり80重量%以下である、請求項5に記載の液晶配向剤。
  8. 前記液晶配向剤が、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、[3−(メチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれる官能性シラン化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜7に記載の液晶配向剤。
  9. 前記重合体(A)は、下記式(t−1)〜(t−2)で表される化合物、下記式(E)で示される化合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のテトラカルボン酸化合物に由来する部分構造を有する重合体である、請求項1〜8に記載の液晶配向剤。
    Figure 2021015134

    (式(t−1)中、X、X、X及びX10は、それぞれ独立に、単結合又はメチレン基であり、jは1〜3の整数である。式(t−2)中、M〜Mは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルコキシ基、フッ化アルキル基、フッ化アルコキシ基、フッ化アルキルエステル基である。式(E)中、Tは、−(CH)n−を表し、2つまでの−CH−が独立して−O−(ただし非連続)、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−C2nN(C2mCOOH)CH2−、−CH(C2mOH)−、−CH(C2n+1)−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられていてもよい(mは0〜30の整数を表し、nは独立して1〜30の整数を表す)。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  11. 請求項10に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
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