JPWO2019176276A1 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2019176276A1
JPWO2019176276A1 JP2020505623A JP2020505623A JPWO2019176276A1 JP WO2019176276 A1 JPWO2019176276 A1 JP WO2019176276A1 JP 2020505623 A JP2020505623 A JP 2020505623A JP 2020505623 A JP2020505623 A JP 2020505623A JP WO2019176276 A1 JPWO2019176276 A1 JP WO2019176276A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
polymer
crystal alignment
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020505623A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7136187B2 (ja
Inventor
絵里 三島
絵里 三島
裕介 植阪
裕介 植阪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Publication of JPWO2019176276A1 publication Critical patent/JPWO2019176276A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7136187B2 publication Critical patent/JP7136187B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G73/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule, not provided for in groups C08G12/00 - C08G71/00
    • C08G73/06Polycondensates having nitrogen-containing heterocyclic rings in the main chain of the macromolecule
    • C08G73/10Polyimides; Polyester-imides; Polyamide-imides; Polyamide acids or similar polyimide precursors
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1337Surface-induced orientation of the liquid crystal molecules, e.g. by alignment layers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体(A)を含有し、重合体(A)の分子内及び重合体(A)とは異なる分子内のうち少なくともいずれかに、ラジカル重合性基、光開始剤基、光配向性基及びβ−ヒドロキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基(R)を有する液晶配向剤を用いる。ただし、式(1)中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、X1は式中の「−NHR1」及び「−NHR2」のそれぞれに鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基で結合する2価の有機基である。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月16日に出願された日本出願番号2018−50104号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
本開示は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子に関する。
近年、液晶素子は、パーソナルコンピュータや液晶テレビ、カーナビゲーションシステム、携帯電話、スマートフォン、インフォメーションディスプレイ等の表示装置に使用されるだけでなく、例えば光学補償フィルムや調光フィルム等といった多種の用途で使用されている。このような多用途化に伴い、液晶素子の更なる高品質化が求められており、駆動方式や素子構造の改良とともに、液晶素子の構成部材の一つである液晶配向膜の改良が進められている。液晶配向膜は一般に、重合体成分が有機溶媒に溶解されてなる液晶配向剤を基板上に塗布し、好ましくは加熱することにより基板上に形成される。液晶配向剤の重合体成分としては、機械的強度や液晶配向性、液晶との親和性に優れていることから、ポリアミック酸や可溶性ポリイミドが広く使用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2017−198975号公報 特開2016−206645号公報
少ない電力で高品位な表示を実現するためには、液晶素子の光利用効率が高いことが重要であり、そのために液晶配向膜は高い透過率を示すことが求められる。また近年、液晶素子は、使用用途の拡大に伴い、高温高湿環境のような従来では想定されていなかった過酷な環境下で使用されることがある。そのため、高温高湿環境下で使用した場合にも高い信頼性を有する(つまり、高温高湿耐性が良好な)液晶素子を開発することが望まれている。
本開示は上記課題に鑑みなされたものであり、透過率が高く、かつ高温高湿耐性が良好な液晶配向膜を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本開示は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
<1> ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体(A)を含有し、前記重合体(A)の分子内及び前記重合体(A)とは異なる分子内のうち少なくともいずれかに、ラジカル重合性基、光開始剤基、光配向性基及びβ−ヒドロキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基(R)を有する、液晶配向剤。
Figure 2019176276
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、Xは、式中の「−NHR」及び「−NHR」のそれぞれに鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基で結合する2価の有機基である。)
<2> 上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3> 上記<2>の液晶配向膜を具備する液晶素子。
本開示の液晶配向剤によれば、透過性が高く、かつ高温高湿耐性が良好な液晶配向膜を得ることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。液晶配向剤は、重合体成分を含有し、好ましくは、重合体成分が溶剤成分に溶解されてなる液状の重合体組成物である。
≪重合体成分≫
液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体を含有する。ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドは、テトラカルボン酸誘導体に由来する構造単位と、ジアミン化合物に由来する構造単位とを有する。なお、本明細書において「テトラカルボン酸誘導体」とは、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物を含む意味である。本開示の液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体として、上記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体(以下、「重合体(A)」ともいう。)を少なくとも一部に含有する。
<重合体(A)>
(ポリアミック酸)
重合体(A)がポリアミック酸の場合、当該ポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸(A)」ともいう。)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸(A)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメート、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸(A)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、より高透過率の液晶配向膜を得ることができる点で、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(以下、「特定酸二無水物」ともいう。)を含むことが好ましく、シクロブタン環、シクロペンタン環又はシクロヘキサン環を有するテトラカルボン酸二無水物を含むことがより好ましく、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが特に好ましい。特定酸二無水物の使用割合は、ポリアミック酸(A)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の合計量に対して、20モル%以上とすることが好ましく、40モル%以上とすることがより好ましく、70モル%以上とすることがさらに好ましい。
(ジアミン化合物)
ポリアミック酸(A)の合成に際し使用するジアミン化合物は、上記式(1)で表される化合物(以下、「特定ジアミンD1」ともいう。)を少なくとも含む。
(特定ジアミンD1)
上記式(1)において、R及びRの1価の炭化水素基としては、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。ここで、本明細書において「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
及びRの1価の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の置換又は無置換のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基等の置換又は無置換のアリール基;ベンジル基、メチルフェニルメチル基、フェネチル基等の置換又は無置換のアラルキル基等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物との反応性の観点から、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
は、式(1)中の「−NHR」及び「−NHR」のそれぞれに対して、2価の鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基で結合する2価の有機基である。Xの好ましい具体例としては、下記式(10)で表される2価の基が挙げられる。
*−R61−R62−R63−* …(10)
(式(10)中、R61は炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜10の2価の脂環式炭化水素基であり、R63は単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜10の2価の脂環式炭化水素基である。R62は単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。ただし、R63が単結合の場合、R62は単結合である。)
上記式(10)において、R61及びR63の2価の鎖状炭化水素基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、1,4−ブタンジイル基、2−メチル−1,3−プロパンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基等が挙げられる。
61及びR63の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば*−R64−R65−、*−R65−R64−(ただし、R64は置換又は無置換のシクロアルキレン基又は多環式飽和炭化水素基であり、R65は単結合又はアルカンジイル基である。「*」はR62との結合手を表す。)等が挙げられる。これらの具体例としては、例えば1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロへキシレン基、ビシクロ[4.4.0]デカンジイル基、下記式(10−1)又は式(10−2)で表される基等が挙げられる。
Figure 2019176276
(式(10−1)及び式(10−2)中、R66は炭素数1〜5のアルキル基であり、rは1〜10の整数であり、tは0〜2の整数である。「*」はR62との結合手であることを示す。)
61及びR63は、得られる液晶配向膜の透過性をより高くできる点で、R61及びR63のうち少なくとも一方が2価の脂環式炭化水素基であることが好ましい。また、R61及びR63は、式(1)中の「−NHR」及び「−NHR」のうち少なくとも一方に対して、脂肪族環(好ましくはシクロヘキサン環)で結合していることがより好ましく、式(1)中の「−NHR」及び「−NHR」のそれぞれに対して、脂肪族環(好ましくはシクロヘキサン環)で結合していることが特に好ましい。式(1)中の「−NHR」及び「−NHR」が脂肪族環に結合している場合、液晶配向膜の透明性をより高くできる点で、「−NHR」及び「−NHR」の各々は、異なる脂肪族環に結合していることが好ましい。
62の2価の有機基としては、例えば鎖状炭化水素基のメチレン基が−O−又は−NH−で置換された2価の基、2価の芳香環基、2価の複素環基等が挙げられる。2価の芳香環基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基等が挙げられる。2価の複素環基としては、ピリジン環等の芳香族複素環、又はピペラジン環、ピリミジン環等の脂肪族複素環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基等が挙げられる。
得られる液晶配向膜の透過率をより高くできる点で、Xは、芳香環を有さないことが好ましい。この場合、上記式(10)中のR62は、単結合又は2価の脂肪族複素環基であることが好ましく、単結合又は2価の窒素含有脂肪族複素環基であることがより好ましい。特に、上記式(1)において、Xが2価の鎖状炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、又は窒素含有脂肪族複素環を有し且つ式(1)中の「−NHR」及び「−NHR」のそれぞれに対して2価の鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基で結合する2価の基である場合、液晶配向膜の透過性及び高温高湿耐性の改善効果が高く好ましく、Xが2価の脂環式炭化水素基、又は窒素含有脂肪族複素環を有し且つ式(1)中の「−NHR」及び「−NHR」のそれぞれに対して2価の鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基で結合する2価の基であることがより好ましい。Xが2価の鎖状炭化水素基である場合、得られる液晶配向膜の透過率の観点から、炭素数2以上であることが好ましく、炭素数2〜10であることがより好ましい。
特定ジアミンD1の具体例としては、例えば下記式(1−1)〜式(1−17)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019176276
ポリアミック酸(A)の合成に際し、特定ジアミンD1の使用割合は、液晶配向膜の透過率及び高温高湿耐性の改善効果を十分に得ることができる点で、合成に使用するジアミン化合物の全量に対して、10モル%以上とすることが好ましく、20モル%以上とすることがより好ましく、30モル%以上とすることがさらに好ましい。また、特定ジアミンD1の使用割合は、以下に示すその他のジアミンの併用による性能改善の効果を十分に得るために、90モル%以下とすることが好ましく、80モル%以下とすることがより好ましく、70モル%以下とすることがさらに好ましい。特定ジアミンD1は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(その他のジアミン)
ポリアミック酸(A)の合成に際して使用するジアミン化合物は、特定ジアミンD1のみであってもよいが、特定ジアミンD1とともに、特定ジアミンD1以外のジアミン(以下、「その他のジアミン」ともいう。)を使用してもよい。
・配向性基含有ジアミン
その他のジアミンの好ましい例としては、剛直な構造により液晶分子を垂直配向又は水平配向させることが可能な基(以下、「配向性基」ともいう。)を有するジアミン化合物(以下、「配向性基含有ジアミン」ともいう。)が挙げられる。配向性基含有ジアミンは、下記式(2)で表される部分構造を有していることが好ましい。
*−L−R11−R12−R13−R14 …(2)
(式(2)中、Lは、単結合、−O−、−CO−、−COO−*、−OCO−*、−NR15−、−NR15−CO−*、−CO−NR15−*、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−O−R16−*、又は−R16−O−*(ただし、R15は水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、R16は炭素数1〜3のアルカンジイル基である。「*」は、R11との結合手であることを示す。)である。R11及びR13は、それぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はシクロアルキレン基であり、R12は、単結合、フェニレン基、シクロアルキレン基、−R17−B−*、又は−B−R17−*(ただし、R17はフェニレン基又はシクロアルキレン基であり、Bは−COO−*、−OCO−*、又は炭素数1〜3のアルカンジイル基である。「*」は、R13との結合手であることを示し、「*」は、R17との結合手であることを示す。)である。R14は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のフルオロアルコキシ基、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基、又は、ラジカル重合性基、光開始剤基若しくはシアノ基を有する1価の有機基である。ただし、R11、R12及びR13の全部が単結合の場合、R14は、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数4〜18のフルオロアルキル基、炭素数4〜18のアルコキシ基、炭素数4〜18のフルオロアルコキシ基、又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基である。「*」は結合手であることを示す。)
上記式(2)において、L、Bのアルカンジイル基、並びにR14のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基及びフルオロアルコキシ基は、直鎖状であることが好ましい。R14のステロイド骨格を有する基としては、例えばコレスタニル基、コレステリル基、ラノスタニル基等が挙げられる。R11、R12及びR13のうち少なくとも2個は、フェニレン基又はシクロアルキレン基を有していることが好ましい。
上記式(2)で表される部分構造の具体例としては、例えば下記式(2−1)〜式(2−11)のそれぞれで表される部分構造、コレスタニルオキシ基、コレスタニルオキシカルボニル基、コレステリルオキシ基、ラノスタニルオキシ基等が挙げられる。ただし、配向性基はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2019176276
(式中、「*」は結合手であることを表す。)
配向性基含有ジアミンの具体例としては、例えばドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、3,5−ジアミノ安息香酸=5ξ−コレスタン−3−イル、下記式(E−1)
Figure 2019176276
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立して、単結合、−O−、*−COO−又は*−OCO−(ただし、「*」はXとの結合手を示す。)であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物等が挙げられる。上記式(E−1)で表される化合物としては、例えば下記式(E−1−1)〜式(E−1−4)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019176276
ポリアミック酸(A)の合成に際し、配向性基含有ジアミンの使用割合は、液晶配向性をより良好にするために、合成に使用するジアミン化合物の全量に対して、1モル%以上とすることが好ましく、5〜50モル%とすることがより好ましく、10〜40モル%とすることがさらに好ましい。配向性基含有ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
・窒素含有ジアミン
その他のジアミンの好ましい他の例としては、窒素含有複素環、アミノ基、保護されたアミノ基、アミド基、保護されたアミド基、ウレア基及び保護されたウレア基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造を有する芳香族ジアミン化合物(以下、「窒素含有ジアミン」ともいう。)が挙げられる。重合体(A)が窒素含有ジアミンに由来する部分構造を有する場合、液晶配向膜の高温高湿耐性の改善効果をより高くでき好適である。
窒素含有ジアミンが有する窒素含有複素環としては、例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キノキサリン、フタラジン、トリアジン、カルバゾール、アクリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン等が挙げられる。中でも、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、カルバゾール及びアクリジンよりなる群から選ばれる少なくとも一種を有することが好ましい。
アミノ基、保護されたアミノ基、アミド基、保護されたアミド基、ウレア基及び保護されたウレア基は、好ましくは下記式(N−1)で表される構造を有する。
Figure 2019176276
(式(N−1)中、R20は水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基又は保護基である。「*」は結合手であることを表す。)
上記式(N−1)において、R20の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。
保護基は、熱により脱離する基であることが好ましく、例えばカルバメート系保護基、アミド系保護基、イミド系保護基、スルホンアミド系保護基等が挙げられる。これらのうち、熱による脱離性が高い点や、脱保護した部分の膜中の残存量を少なくできる点で、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。R20は、好ましくは水素原子、メチル基又はt−ブトキシカルボニル基である。
窒素含有ジアミンの具体例としては、例えば2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、下記式(N−1−1)〜式(N−1−13)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019176276
ポリアミック酸(A)の合成に際し、窒素含有ジアミンの使用割合は、液晶素子の高温高湿耐性の改善効果を十分に得るために、合成に使用するジアミン化合物の全量に対して、5〜70モル%とすることが好ましく、10〜60モル%とすることがより好ましく、15〜50モル%とすることがさらに好ましい。窒素含有ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸(A)の合成に使用するその他のジアミンとしては、上記のほか、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルアミン等の芳香族ジアミンや、後述する特定ジアミンD2等が挙げられる。その他のジアミンとしては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸(A)は、上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸(A)の合成反応において、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸(A)の合成反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等を挙げることができる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を反応溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸(A)を溶解してなる重合体溶液が得られる。この重合体溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、重合体溶液中に含まれるポリアミック酸(A)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
(ポリアミック酸エステル)
重合体(A)がポリアミック酸エステルである場合、当該ポリアミック酸エステル(以下、「ポリアミック酸エステル(A)」ともいう。)は、例えば、[I]ポリアミック酸(A)とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法、等によって得ることができる。ポリアミック酸エステル(A)は、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。上記[II]及び[III]では、テトラカルボン酸誘導体と、特定ジアミンD1を含むジアミン化合物とを反応させる。なお、ポリアミック酸エステル(A)を溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステル(A)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
(ポリイミド)
重合体(A)がポリイミドである場合、当該ポリイミド(以下、「ポリイミド(A)」ともいう。)は、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(A)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミド(A)は、その前駆体であるポリアミック酸(A)が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。ポリイミド(A)は、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸(A)の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸(A)を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。この方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸(A)のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸(A)の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。なお、ポリイミド(A)を含有する反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミド(A)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
液晶配向剤の調製に使用する重合体(A)の溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体(A)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは7以下であり、より好ましくは5以下である。なお、液晶配向剤の調製に際し、重合体(A)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<基(R)を有する成分>
液晶配向剤は、ラジカル重合性基、光開始剤基、光配向性基及びβ−ヒドロキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基(R)を有する成分を含有する。当該成分は、重合体(A)であってもよく、重合体(A)とは異なる化合物であってもよい。また、液晶配向剤がこれら両方を含んでいてもよい。得られる液晶配向膜の透過性をより高くすることができる点で、基(R)を有する化合物として重合体(A)とは異なる化合物が液晶配向剤に含有されていることが好ましく、液晶素子の高温高湿耐性をより良好にできる点で、基(R)を有する重合体(A)が液晶配向剤に含有されていることが好ましい。
(ラジカル重合性基)
基(R)のうち、ラジカル重合性基としては、放射線の照射又はラジカルの作用によって重合可能な官能基であればよく、特に限定されない。ラジカル重合性基の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、マレイミド基、ビニルオキシ基、エチニル基等が挙げられる。これらのうち、熱による反応性が高い点で、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基、エチニル基又はビニルフェニル基が好ましい。
(光開始剤基)
光開始剤基は、光により重合開始能を生じる部位又は光増感作用を持つ部位であり、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の照射により重合性成分の重合を開始可能な化合物(光開始剤)に由来する構造を有する基である。光開始剤基としては、光照射によってラジカルを発生可能なラジカル重合開始剤に由来する構造を有する基であることが好ましい。具体的には、アセトフェノン構造、オキシムエステル構造、ジベンゾイル構造、ベンゾイン構造、ベンゾフェノン構造、アルキルフェノン構造又はアシルフォスフィンオキサイド構造を有することが好ましい。光開始剤基は、これらの中でも、アルキルフェノン構造又はアセトフェノン構造を有する基であることが好ましい。
光開始剤基を有する構造の更なる具体例としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニル2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピルケトン、4−イソプロピルフェニル2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピルケトン、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイン、4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピルケトン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン等に由来する構造が挙げられる。
(光配向性基)
光配向性基は、光照射による光異性化反応や光二量化反応、光分解反応、光フリース転位反応によって膜に異方性を付与する官能基である。光配向性基の具体例としては、例えばアゾベンゼン又はその誘導体を基本骨格として含むアゾベンゼン含有基、桂皮酸又はその誘導体を基本骨格として含む桂皮酸構造含有基、カルコン又はその誘導体を基本骨格として含むカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含むベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として含むクマリン含有基、シクロブタン又はその誘導体を基本骨格として含むシクロブタン含有構造、フェニルベンゾエート又はその誘導体を基本骨格として含むフェニルベンゾエート含有構造等が挙げられる。これらのうち、光に対する感度が高い点で、桂皮酸構造含有基が好ましく、例えば、下記式(5)で表される部分構造を有する基等が挙げられる。
Figure 2019176276
(式(5)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシ基、又はフッ素原子である。aは0〜4の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。「*」は結合手を示す。)
上記式(5)で表される部分構造において、2つの結合手「*」の一方は、得られる液晶素子において残像をより低減できる点で、炭素数3〜20のアルキル基、炭素数3〜20のフルオロアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシ基、炭素数3〜20のフルオロアルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のシクロヘキシル基、又は−R31−R32−*(ただし、R31はフェニレン基又はシクロへキシレン基であり、R32は、式(5)中のベンゼン環に結合している場合には、単結合、酸素原子、−COO−、−OCO−又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、式(5)中のカルボニル基に結合している場合には酸素原子である。「*」は、式(5)中のベンゼン環又はカルボニル基との結合手であることを示す。)に結合していることが好ましい。
上記式(5)で表される部分構造を有する基の具体例としては、桂皮酸が有するカルボキシル基の水素原子を除去して得られる1価の基、当該1価の基が有するベンゼン環に置換基が導入された基、桂皮酸が有するカルボキシル基がエステル化され、かつベンゼン環に2価の有機基が結合してなる1価の基、当該1価の基が有するベンゼン環に置換基が導入された基等が挙げられる。
(β−ヒドロキシエステル基)
β−ヒドロキシエステル基は、エステル基(−COO−)のカルボニル基に対してβ位に水酸基が結合された基である。β−ヒドロキシエステル基は、下記式(6)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2019176276
(式(6)中、R50は芳香族基である。「*」は結合手であることを示す。)
上記式(6)において、R50の芳香環基は、芳香環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基である。当該芳香環の具体例としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環等の芳香族複素環、等が挙げられる。なお、これらの芳香環は、環部分に置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基等)を有していてもよい。R50の芳香環基は、これらのうち、フェニレン基が特に好ましい。
β−ヒドロキシエステル基を有する部分構造の具体例としては、例えば下記式(6−1)〜式(6−4)のそれぞれで表される構造等が挙げられる。
Figure 2019176276
(式(6−1)〜式(6−4)中、R51は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20のフッ素含有アルキル基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20のフッ素含有アルコキシ基、又はフッ素原子である。「*」は結合手であることを示す。)
液晶配向剤中における基(R)の含有割合は、基(R)の種類に応じて選択することができる。具体的には、ラジカル重合性基の含有割合は、液晶配向剤に含まれる重合体成分の全モノマー単位量に対して、5〜90モル%とすることが好ましく、10〜80モル%とすることがより好ましい。
光開始剤基の含有割合は、液晶配向剤に含まれる重合体成分の全モノマー単位量に対して、0.1〜90モル%とすることが好ましく、1〜80モル%とすることがより好ましい。
光配向性基の含有割合は、液晶配向剤に含まれる重合体成分の全モノマー単位量に対して、5〜90モル%とすることが好ましく、10〜80モル%とすることがより好ましい。
β−ヒドロキシエステル基の含有割合は、液晶配向剤に含まれる重合体成分の全モノマー単位量に対して、5〜90モル%とすることが好ましく、10〜80モル%とすることがより好ましい。
重合体(A)が基(R)を有する場合、モノマーの選択の自由度が高い点で、基(R)を有するジアミン化合物によって基(R)が重合体(A)の側鎖に導入されることが好ましい。この場合、重合体(A)の合成に使用するモノマーのうち、特定ジアミンD1が基(R)を有していてもよいし、特定ジアミンD1とは異なるジアミン化合物が基(R)を有していてもよい。これらのうち、液晶配向膜の透過率をより高くできる点及びモノマーの選択の自由度が高い点で、重合体(A)の合成において、特定ジアミンD1と、基(R)を有するジアミン化合物(ただし、特定ジアミンD1とは異なる化合物である。)とを用いることが好ましい。
基(R)を有する成分として、重合体(A)とは異なる化合物を液晶配向剤が含有する場合、当該化合物は、繰り返し単位を有さない低分子の化合物であってもよいが、液晶配向膜の透過率と液晶素子の高温高湿耐性とをバランス良く改善できる点で、重合体(A)と共に、基(R)を有し、かつ上記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有さない重合体(以下、「重合体(B)」ともいう。)を含有することが特に好ましい。
<重合体(B)>
重合体(B)の主骨格は特に限定されないが、液晶配向膜の透過性及び高温高湿耐性をより高くできる点で、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリオルガノシロキサン、及び重合性不飽和結合を有するモノマーに由来する構造単位を有する重合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。ここで、重合性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル化合物、共役ジエン系化合物、芳香族ビニル化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。重合体(B)としては、上記のうち、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド及びポリオルガノシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましく、ポリオルガノシロキサンであることが特に好ましい。
重合体(B)が、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種である場合、当該重合体(B)は、モノマーとして、特定ジアミンD1とは異なる化合物であって、かつ基(R)を有するジアミン化合物(以下、「特定ジアミンD2」ともいう。)を用いることにより得ることができる。特定ジアミンD2の具体例としては、特に限定されないが、例えば下記式(r−1)〜式(r−11)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019176276
(式中、R51は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20のフッ素含有アルキル基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20のフッ素含有アルコキシ基、又はフッ素原子である。Lは2価の連結基である。)
重合体(B)における特定ジアミンD2に由来する構造単位の含有割合は、重合体(B)が有するジアミン化合物に由来する構造単位の全量に対して、5〜50モル%とすることが好ましく、10〜45モル%とすることがより好ましく、20〜40モル%とすることがさらに好ましい。特定ジアミンD2は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、重合体(A)が特定ジアミンD2に由来する構造単位を有する場合、当該構造単位の含有割合は、重合体(A)が有するジアミン化合物に由来する構造単位の全量に対して、5〜50モル%とすることが好ましく、10〜40モル%とすることがより好ましい。
<ポリオルガノシロキサン(B)>
重合体(B)がポリオルガノシロキサンである場合、当該ポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(B)」ともいう。)は、(1)エポキシ基を有する加水分解性のシラン化合物(S1)を単独で、又はシラン化合物(S1)とその他の加水分解性のシラン化合物との混合物を加水分解縮合することにより、エポキシ基を側鎖に有するポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサンE」ともいう。)を合成し、次いで、ポリオルガノシロキサンEと、基(R)を有するカルボン酸とを反応させる方法、(2)基(R)を有する加水分解性シラン化合物を含むモノマーを加水分解縮合する方法、等が挙げられる。これらのうち、簡便であって、しかも基(R)の重合体側鎖への導入効率が高い点で、上記(1)の方法によることが好ましい。
シラン化合物(S1)としては、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、(メタ)アクリル酸(3−メチルオキセタン−3−イル)メチル等が挙げられる。シラン化合物(S1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
その他のシラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物;メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のアルキル基又はアリール基含有アルコキシシラン化合物;3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン等の硫黄含有アルコキシシラン化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等の窒素含有アルコキシシラン化合物;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の不飽和結合含有アルコキシシラン化合物;トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物基含有アルコキシシラン化合物、などを挙げることができる。その他のシラン化合物としては、これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加水分解性シラン化合物を用いた加水分解・縮合反応は、上記のシラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行う。反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは1〜30モルである。使用する触媒としては、例えば酸、アルカリ金属化合物、有機塩基(例えばトリエチルアミンやテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなど)、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを挙げることができる。触媒の使用量は、触媒の種類、温度などの反応条件などにより異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えばシラン化合物の合計量に対して、好ましくは0.01〜3倍モルである。使用する有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコールなどが挙げられ、これらのうち、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは50〜1,000質量部である。
上記の加水分解・縮合反応は、例えば油浴などにより加熱して実施することが好ましい。その際、加熱温度は130℃以下とすることが好ましく、加熱時間は、0.5〜12時間とすることが好ましい。反応終了後において、反応液から分取した有機溶媒層につき、溶媒を除去することによりポリオルガノシロキサンEを得ることができる。ポリオルガノシロキサンEを得た後、次いで、ポリオルガノシロキサンEと、基(R)を有するカルボン酸とを反応させる。ポリオルガノシロキサンEとカルボン酸との反応は、好ましくは有機溶媒中、触媒の存在下で実施される。有機溶媒としては、例えばケトン、エーテル、エステル、アミド、アルコールなどを挙げることができる。触媒としては、4級有機アミン塩又はハロゲン化4級アンモニウムを好ましく使用することができる。反応終了後においては、反応液から分取した有機溶媒層を、必要に応じて乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより目的とするポリオルガノシロキサンを得ることができる。
ポリオルガノシロキサン(B)は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜100,000の範囲にあることが好ましく、1,000〜30,000の範囲にあることがより好ましく、1,000〜20,000であることが更に好ましい。
重合体(A)の含有割合は、液晶配向剤に含有される重合体成分の全量に対して、50質量%以上とすることが好ましく、70質量%以上とすることがより好ましく、80質量%以上とすることがさらに好ましい。また、重合体(A)と重合体(B)とを液晶配向剤に含有させる場合、重合体(B)の含有割合は、液晶配向剤に含有される重合体成分の全量に対して、1質量%以上とすることが好ましく、1〜30質量%とすることがより好ましく、2〜20質量%とすることがさらに好ましい。
≪溶剤成分≫
液晶配向剤の溶剤成分としては、重合体(A)に対する溶剤の溶解性や液晶配向剤の濡れ広がり性を良好にできるとともに、膜形成時の加熱温度を低温化することが可能な点で、下記に示す溶剤群([X]溶剤及び[Y]溶剤よりなる群)から選ばれる少なくとも一種の溶剤(以下、「特定溶剤」ともいう。)を含むことが好ましい。
溶剤群:
[X]溶剤:下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン。
[Y]溶剤:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ダイアセトンアルコール、及びプロピレングリコールモノブチルエーテル。
Figure 2019176276
(式(3)中、R81は、炭素数2〜5の1価の炭化水素基、又は当該炭化水素基における炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基である。)
Figure 2019176276
(式(4)中、R82及びR83は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の1価の炭化水素基、若しくは当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基であるか、又は、R82及びR83が互いに合わせられてR82及びR83が結合する窒素原子と共に構成される環構造を表す。R84は、炭素数1〜6のアルキル基である。)
・[X]溶剤について
(式(3)で表される化合物)
上記式(3)で表される化合物について、R81の炭素数2〜5の1価の炭化水素基は鎖状炭化水素基であることが好ましく、例えば炭素数2〜5のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。また、当該炭化水素基における炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基としては、例えば炭素数2〜5のアルコキシアルキル基が挙げられる。
これらの具体例としては、炭素数2〜5のアルキル基として、例えばエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などを;炭素数2〜5のアルケニル基として、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基などを;炭素数2〜5のアルキニル基として、例えばエチニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基などを;炭素数2〜5のアルコキシアルキル基として、例えばメトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などを;炭化水素基における炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基として、例えばエトキシメチル基、エトキシエチル基等を、それぞれ挙げることができ、これらは直鎖状であっても分岐状であってもよい。R81としては、上記の中でも炭素数2〜5のアルキル基又はアルコキシアルキル基であることが好ましい。
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、例えばN−エチル−2−ピロリドン、N−(n−プロピル)−2−ピロリドン、N−イソプロピル−2−ピロリドン、N−(n−ブチル)−2−ピロリドン、N−(t−ブチル)−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−メトキシプロピル−2−ピロリドン、N−エトキシエチル−2−ピロリドン、N−メトキシブチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらの中でも、N−エチル−2−ピロリドン、N−(n−ペンチル)−2−ピロリドン、N−(t−ブチル)−2−ピロリドン、N−メトキシプロピル−2−ピロリドンを特に好ましく使用することができる。なお、上記式(3)で表される化合物としては、これら例示の化合物を1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(式(4)で表される化合物)
上記式(4)で表される化合物について、R82及びR83の炭素数1〜6の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜6の鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基、炭素数5又は6の芳香族炭化水素基などが挙げられる。また、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基としては、例えば炭素数2〜6のアルコキシアルキル基等が挙げられる。
これらの具体例としては、炭素数1〜6の鎖状炭化水素基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などを挙げることができ、これらは直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等を;芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基等を;炭素数2〜6のアルコキシアルキル基としては、例えば上記式(3)のR81の説明で挙げた基等を;それぞれ挙げることができる。なお、式(4)におけるR82及びR83は、互いに同じでも異なっていてもよい。また、R82及びR83は、互いに結合することにより、R82及びR83が結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。R82,R83が互いに結合して形成される環としては、例えばピロリジン環、ピペリジン環等を挙げることができ、これらの環にはメチル基等の1価の鎖状炭化水素基が結合されていてもよい。
82及びR83として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又はメチル基である。
84の炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R82及びR83の炭素数1〜6のアルキル基の説明で例示した基を挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基である。
上記式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ヘキシルオキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、イソプロポキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミド、n−ブトキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミドなどが挙げられる。なお、上記式(4)で表される化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[X]溶剤としては、中でも上記式(3)で表される化合物及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、上記式(3)で表される化合物においてR81が炭素数2〜5のアルキル基又はアルコキシアルキル基である化合物及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。
液晶配向剤の調製に際し、特定溶剤としては、[X]溶剤及び[Y]溶剤のいずれかのみを使用してもよいが、良好な塗膜均一性と透過性との両立を図ることができる点で、[X]溶剤及び[Y]溶剤のうち[X]溶剤のみを使用するか、又は[X]溶剤の少なくとも一種と、[Y]溶剤の少なくとも一種とが含有されていることが好ましく、[X]溶剤の少なくとも一種と、[Y]溶剤の少なくとも一種とが含有されていることが特に好ましい。
[X]溶剤の使用割合(2種以上使用する場合にはその合計量)は、膜形成時の焼成温度を低くすることを可能にしつつ、重合体成分の析出を抑制する効果を十分に得ることができる点で、液晶配向剤に含まれる全溶剤量に対して、1質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましい。また、その使用割合は、[Y]溶剤の併用による塗布性の改善効果を十分に得るために、液晶配向剤に含まれる全溶剤量に対して、90質量%以下とすることが好ましく、70質量%以下とすることがより好ましい。なお、[X]溶剤としては、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[Y]溶剤の使用割合(2種以上使用する場合にはその合計量)は、膜形成時の焼成温度を低くすることを可能にしつつ、液晶配向剤の塗布性を良好にする効果を十分に得ることができる点で、液晶配向剤に含まれる溶剤の全体量に対して、1質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましい。また、その使用割合は、液晶配向剤に含まれる溶剤の全体量に対して、80質量%以下とすることが好ましく、70質量%以下とすることがより好ましい。なお、[Y]溶剤としては、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
液晶配向剤中の溶剤成分は、特定溶剤のみでもよいが、特定溶剤以外の溶剤(以下、「[Z]溶剤」ともいう。)を併用してもよく、あるいは[Z]溶剤のみでもよい。[Z]溶剤としては、重合体の溶解性及びレベリング性が高い溶剤(以下、「第1溶剤」ともいう。)、及び濡れ広がり性が良好な溶剤(以下、「第2溶剤」ともいう。)が挙げられる。具体的には、第1溶剤として、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジイソブチルケトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を;
第2溶剤として、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテルアセテート、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート等を、それぞれ挙げることができる。なお、[Z]溶剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
溶剤として[X]溶剤と[Y]溶剤と[Z]溶剤とを使用する場合、[Z]溶剤の使用割合(2種以上使用する場合にはその合計量)は、液晶配向剤に含まれる溶剤の全量に対して、50質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがより好ましく、5質量%以下とすることが特に好ましい。液晶配向剤の溶剤成分は[X]溶剤と[Y]溶剤とからなることが特に好ましい。
≪その他の成分≫
液晶配向剤は、重合体成分及び溶剤成分のほか、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。液晶配向剤は、その他の成分として、環状エーテル基、環状カーボネート基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、オキサゾリン基、β−ヒドロキシアルキルアミド基、メルドラム酸基、メチロール基及びアルキルメチロール基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基(以下、「官能基D」ともいう。)を分子内に有する化合物(C)をさらに含有することが好ましい。液晶配向剤中に化合物(C)を含有することにより、得られる液晶配向膜の高温高湿耐性(ひいては、液晶素子の高温高湿耐性)をより向上させることができる点で好ましい。
化合物(C)の具体例としては、環状エーテル基を有する化合物として、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を;環状カーボネート基を有する化合物として、例えばN,N,N’,N’−テトラ[(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)エチル]−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を;
イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を有する化合物として、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等を;オキサゾリン基を有する化合物として、例えば2,2'−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2'−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等を;β−ヒドロキシアルキルアミド基を有する化合物として、例えば商品名「Primid XL−552」(エムスケミー社製)等を;メルドラム酸基を有する化合物として、例えばメルドラム酸構造を2〜4個有する化合物等を;メチロール基又はアルキルメチロール基を有する化合物として、例えばトリメチロールプロパン、ビス[2−エチル−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]エーテル、2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス[2−エチル−1,3−プロパンジオール]、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシメチルフェニル)プロパン、2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン等を、それぞれ挙げることができる。
化合物(C)の含有割合は、高温高湿耐性の改善効果を十分に得る観点から、液晶配向剤中に含有される重合体成分の全量100質量部に対して、1〜50質量部とすることが好ましく、3〜30質量部とすることがより好ましい。化合物(C)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、官能基Dを添加剤として液晶配向剤に含有させる代わりに、重合体(A)が官能基Dを有するようにしてもよい。この場合、官能基Dを有するジアミン化合物をモノマーとして用いることにより、官能基(D)を有する重合体(A)を得ることができる。
液晶配向剤に含有されるその他の成分としては、化合物(C)のほか、例えば重合体(A)及び重合体(B)とは異なる重合体、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。その他の成分の配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で各化合物に応じて適宜選択できる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得られにくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得られにくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
≪液晶配向膜及び液晶素子≫
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型、PSA型(Polymer Sustained Alignment)など種々のモードに適用することができる。これらのうち、本開示の液晶配向剤は、PSA型の液晶素子及び光配向法を用いた垂直配向型(光垂直型)の液晶素子の製造用として特に好ましく適用することができる。
液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は、各動作モード共通である。
<工程1:塗膜の形成>
まず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。
TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。
基板への液晶配向剤の塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート方式、印刷方式(例えば、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式等)、インクジェット方式、スリットコート方式、バーコーター方式、エクストリューションダイ方式、ダイレクトグラビアコーター方式、チャンバードクターコーター方式、オフセットグラビアコーター方式、含浸コーター方式、MBコーター方式法等により行うことができる。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて、重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜280℃であり、より好ましくは80〜250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。
<工程2:配向処理>
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に対し、液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、基板上に形成した塗膜の表面をコットン等で擦るラビング処理、又は塗膜に光照射を行って液晶配向能を付与する光配向処理を用いることが好ましい。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用してもよく、液晶配向能を更に高めるために該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
光配向のための光照射は、ポストベーク工程後の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程後であってポストベーク工程前の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程及びポストベーク工程の少なくともいずれかにおいて塗膜の加熱中に塗膜に対して照射する方法、等により行うことができる。塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。好ましくは、200〜400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線の場合の照射方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザー等が挙げられる。放射線の照射量は、好ましくは400〜50,000J/mであり、より好ましくは1,000〜20,000J/mである。配向能付与のための光照射後において、基板表面を例えば水、有機溶媒(例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル等)又はこれらの混合物を用いて洗浄する処理や、基板を加熱する処理を行ってもよい。
<工程3:液晶セルの構築>
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、液晶配向膜が対向するように間隙を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤により貼り合わせ、基板表面とシール剤で囲まれたセルギャップ内に液晶を注入充填し注入孔を封止する方法、ODF方式による方法等が挙げられる。シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。
PSAモードでは、液晶とともに重合性化合物(例えば多官能(メタ)アクリレート化合物等)をセルギャップ内に充填するとともに、液晶セルの構築後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する処理を行う。PSAモードの液晶素子の製造に際し、重合性化合物の使用割合は、液晶の合計100質量部に対して、0.01〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。印加する電圧は、例えば5〜50Vの直流又は交流とすることができる。また、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。光の照射量は、好ましくは1,000〜200,000J/m、より好ましくは1,000〜100,000J/mである。
液晶素子を表示装置として用いる場合、続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせ、液晶素子とする。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
以上詳述した本発明の液晶素子は、種々の用途に有効に適用することができる。具体的には、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光素子、位相差フィルム等として用いることができる。
以下、実施例に基づき実施形態をより詳しく説明するが、以下の実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
以下の例において、重合体の重量平均分子量Mw、重合体溶液中のポリイミドのイミド化率、重合体溶液の溶液粘度、及びエポキシ当量は以下の方法により測定した。以下の実施例で用いた原料化合物及び重合体の必要量は、下記の合成例に示す合成スケールでの合成を必要に応じて繰り返すことにより確保した。
[重合体の重量平均分子量Mw]
重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン、又はリチウムブロミド及びリン酸含有のN,N−ジメチルホルムアミド溶液
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−(A/(A×α)))×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸−メチルエチルケトン法により測定した。
化合物の略号は以下の通りである。なお、以下では、式(X)で表される化合物を単に「化合物(X)」と示すことがある。
(テトラカルボン酸誘導体)
Figure 2019176276
(ジアミン化合物)
Figure 2019176276
Figure 2019176276
(加水分解性シラン化合物及びカルボン酸)
Figure 2019176276
(架橋剤)
Figure 2019176276
<重合体の合成>
1.ポリアミック酸の合成
[合成例1]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100モル部、ジアミンとしてコレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン20モル部、化合物(d−4)30モル部、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル50モル部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を30質量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度20質量%の溶液として測定した溶液粘度は500mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより重合体(PAA−1)を得た。
[合成例2〜18、20、21]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1に記載のとおり変更した以外は合成例1と同様の操作を行い、ポリアミック酸(重合体(PAA−2)〜(PAA−18)、(PAA−20)、(PAA−21))を得た。
2.ポリアミック酸エステルの合成
[合成例19]
化合物(t−4)100モル部を塩化チオニルに加え、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒量添加し、その後80℃にて1時間攪拌した。なお、化合物(t−4)は、化合物(t−4−1)〜化合物(t−1−4)の混合物である。その後、反応液を濃縮し、残留物をγ-ブチロラクトン(GBL)に溶解した(この溶液を反応液Aとした。)。別途、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン20モル部、化合物(d−4)30モル部、化合物(d−9)30モル部、及び化合物(d−14)20モル部を、ピリジン及びγ−ブチロラクトン(GBL)(ピリジン:GBL=8.7:91.3(質量比))に加えて溶解させ、これを0℃に冷却した。次いで、この溶液へ反応液Aを1時間かけてゆっくりと滴下し、滴下終了後、室温にて4時間撹拌した。得られたポリアミック酸エステルの溶液を800mlの純水に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿物をろ過した。続いて、イソプロピルアルコールで5回洗浄し、乾燥することでポリマー粉末(ポリアミック酸エステル)を得た。得られた重合体(PAE−1)の重量平均分子量Mwは50,000であった。
3.ポリイミドの合成
[合成例22]
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100モル部、ジアミンとしてコレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン20モル部、化合物(d−10)50モル部、及び化合物(d−11)30モル部をNMPに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を30質量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度20質量%の溶液として測定した溶液粘度は500mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液に、NMPを追加してポリアミック酸濃度7質量%の溶液とし、ピリジン及び無水酢酸を添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換することにより、イミド化率約75%のポリイミド(重合体(PI−1))を26質量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度15質量%の溶液として測定した溶液粘度は450mPa・sであった。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより重合体(PI−1)を得た。
[合成例23]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1に記載のとおり変更した以外は合成例22と同様の操作を行い、ポリイミド(重合体(PI−2))を得た。
Figure 2019176276
4.エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの合成
[合成例24]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500g及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で撹拌しつつ、80℃で6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により、洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(重合体(ESSQ−1))を粘調な透明液体として得た。重合体(ESSQ−1)について、H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。得られた重合体(ESSQ−1)の重量平均分子量Mwは3,500、エポキシ当量は180g/モルであった。
[合成例25〜27]
使用する加水分解性シラン化合物の種類及び量を下記表2に記載のとおり変更した以外は合成例24と同様の操作を行い、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(重合体(ESSQ−2)〜(ESSQ−4))を得た。
Figure 2019176276
5.ポリオルガノシロキサン(B)の合成
[合成例28]
200mLの三口フラスコに、重合体(ESSQ−1)を10.0g、溶媒としてメチルイソブチルケトン30.28g、変性成分(配向性基を有するカルボン酸)として化合物(e−2)を、重合体(ESSQ−1)が有するエポキシ基の全量に対して25モル%に相当する量、及び触媒としてUCAT 18X(商品名、サンアプロ(株)製)0.10gを仕込み、100℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た溶液を3回水洗し、有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、溶剤を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(B)である重合体(PSQ−1)を得た。得られた重合体の重量平均分子量Mwは8000であった。
[合成例29〜31]
使用するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン及び変性成分の種類及び量を下記表3に記載のとおり変更した以外は合成例28と同様の操作を行い、ポリオルガノシロキサン(B)である重合体(PSQ−2)〜(PSQ−4)をそれぞれ得た。なお、表3中、変性成分の括弧内の数値は、合成に使用したエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基の全量に対する各変性成分の使用割合(モル%)を示す。
Figure 2019176276
[実施例1]
1.液晶配向剤の調製
上記合成例16で得た重合体(PAA−16)に、溶剤としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加えて、固形分濃度4.0質量%、溶剤の混合比がNMP:BC=42:58(質量比)の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(S−1)を調製した。
2.液晶組成物の調製
ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)10gに対し、下記式(L1−1) で表される液晶性化合物を5質量%、及び下記式(L2−1)で表される光重合性化合物 を0.3質量%添加して混合することにより液晶組成物LC1を得た。
Figure 2019176276
3.PSA型液晶表示素子の製造
上記1.で調製した液晶配向剤(S−1)を、一対(2枚)のITO膜からなる透明電極付きガラス基板にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、窒素に置換したオーブン中、200℃で1時間加熱して溶媒を除去することにより、膜厚0.08μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.1mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。なお、このラビング処理は、液晶の倒れ込みを制御し、配向分割を簡易な方法で行う目的で行った弱いラビング処理である。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を対向させ、重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板の間隙に液晶組成物LC1を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、さらに液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分間加熱した後に室温まで徐冷した。
次いで、得られた液晶セルに対し、電極間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外線照射装置を用いて、紫外線を50,000J/mの照射量にて照射した。なお、この照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。さらに、基板の外側両面に、偏光板を2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子を製造した。
4.透過率の評価
上記で調製した液晶配向剤(S−1)を、スピンコーターを用いて石英基板上に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、230℃のクリーンオーブン内で窒素下にて30分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.08μmの塗膜を形成した。この塗膜を形成した石英基板につき、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製、品名「V−670」)を用いて、塗膜を有さない同種の石英基板をリファレンスとして紫外・可視光領域の吸収スペクトルを測定した。波長400nmにおける透過率が98.0%以上であった場合を膜透過性「極めて良好」、97.0%以上98.0%未満であった場合を「良好」、96.0%以上97.0%未満であった場合を「可」、96.0%未満であった場合を「不良」とした。液晶配向剤(S−1)を用いて形成した膜の透過率は98.0%であり、「極めて良好」であった。
5.高温高湿耐性の評価
製造した直後の液晶表示素子に、60℃の温度下において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(初期電圧保持率VH)を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製の品名「VHR−1」を使用した。次いで、初期電圧保持率VHを測定した後の液晶表示素子を、85℃、湿度85%に設定されたオーブンで300時間保管した後、初期電圧保持率VHと同様にして電圧保持率を測定した。この値をストレス付与後電圧保持率VHとした。下記数式(2)により求めた電圧保持率の減少割合をΔVHR(%)とし、ΔVHRにより高温高湿耐性を評価した。
ΔVHR=(VH/VH)×100 …(2)
評価は、ΔVHRが80%以上であった場合を「極めて良好」、70%以上80%未満であった場合を「良好」、60%以上70%未満であった場合を「可」、60%未満であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例1ではΔVHR=80%であり、「極めて良好」の評価であった。
[実施例2〜32及び比較例1〜4]
液晶配向剤の組成を下記表4及び表5のとおりに変更した以外は、上記実施例1の1.と同様にして液晶配向剤を調製した。また、得られた液晶配向剤を用いて、実施例1と同様にしてPSA型液晶表示素子を製造するとともに、透過率及び高温高湿耐性の評価を行った。その結果を下記表4及び表5に示した。なお、実施例2〜32及び比較例1〜4では、複数種類の重合体をブレンドして液晶配向剤を調製した。実施例19〜22では、液晶配向剤に架橋剤を配合した。
Figure 2019176276
Figure 2019176276
表4及び表5中、重合体及び架橋剤の括弧内の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体成分及び添加剤の合計100質量部に対する各化合物の配合割合(質量部)を示す。溶剤組成の数値は、液晶配向剤の調製に使用した溶剤成分の合計に対する各溶剤の配合割合(質量比)を示す。化合物の略号は以下の通りである。
<溶剤>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NEP:N−エチル−2−ピロリドン
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
BC:ブチルセロソルブ
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル
表4及び表5から分かるように、実施例1〜32はいずれも、液晶配向膜の透過率は97%以上の高い値を示し、高温高湿耐性についても「極めて良好」又は「良好」の評価であった。また、芳香環を有さない特定ジアミンD1を用いた実施例4,5の方が、芳香環を有する特定ジアミンD1を用いた実施例6に比べて、液晶配向膜の透過率が高くなることが確認された。
一方、特定ジアミンD1に由来する構造単位及び基(R)を有する成分を含まない液晶配向剤を用いた比較例1は、配向膜の透過率及び高温高湿耐性が実施例よりも低かった。また、特定ジアミンD1に由来する構造単位及び基(R)を有する成分のうち少なくともいずれかを含まない比較例2〜4は、配向膜の透過率及び高温高湿耐性のいずれかが実施例よりも劣っていた。

Claims (10)

  1. ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体(A)を含有し、
    前記重合体(A)の分子内及び前記重合体(A)とは異なる分子内のうち少なくともいずれかに、ラジカル重合性基、光開始剤基、光配向性基及びβ−ヒドロキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基(R)を有する、液晶配向剤。
    Figure 2019176276
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、Xは、式中の「−NHR」及び「−NHR」のそれぞれに鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基で結合する2価の有機基である。)
  2. 前記Xは、芳香環を有さない2価の基である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記重合体(A)は、窒素含有複素環(ただし、ポリイミドが有するイミド環を除く。)、アミノ基、保護されたアミノ基、アミド基、保護されたアミド基、ウレア基及び保護されたウレア基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造を有する、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記基(R)を有し、かつ上記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有さない重合体(B)をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  5. 前記重合体(A)は、シクロブタン環、シクロペンタン環又はシクロヘキサン環を有するテトラカルボン酸誘導体に由来する部分構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 前記重合体(A)は、下記式(2)で表される部分構造を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    *−L−R11−R12−R13−R14 …(2)
    (式(2)中、Lは、単結合、−O−、−CO−、−COO−*、−OCO−*、−NR15−、−NR15−CO−*、−CO−NR15−*、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−O−R16−*、又は−R16−O−*(ただし、R15は水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、R16は炭素数1〜3のアルカンジイル基である。「*」は、R11との結合手であることを示す。)である。R11及びR13は、それぞれ独立に、単結合、フェニレン基又はシクロアルキレン基であり、R12は、単結合、フェニレン基、シクロアルキレン基、−R17−B−*、又は−B−R17−*(ただし、R17はフェニレン基又はシクロアルキレン基であり、Bは−COO−*、−OCO−*、又は炭素数1〜3のアルカンジイル基である。「*」は、R13との結合手であることを示し、「*」は、R17との結合手であることを示す。)である。R14は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のフルオロアルコキシ基、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基、又は、ラジカル重合性基、光開始剤基若しくはシアノ基を有する1価の有機基である。ただし、R11、R12及びR13の全部が単結合の場合、R14は、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数4〜18のフルオロアルキル基、炭素数4〜18のアルコキシ基、炭素数4〜18のフルオロアルコキシ基、又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の炭化水素基である。「*」は結合手であることを示す。)
  7. 環状エーテル基、環状カーボネート基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、オキサゾリン基、β−ヒドロキシアルキルアミド基、メルドラム酸基、メチロール基及びアルキルメチロール基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を分子内に有する化合物(C)をさらに含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  8. 下記に示す[X]溶剤及び[Y]溶剤よりなる溶剤群から選ばれる少なくとも一種の溶剤を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    溶剤群:
    [X]溶剤:下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン。
    [Y]溶剤:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ダイアセトンアルコール、及びプロピレングリコールモノブチルエーテル。
    Figure 2019176276
    (式(3)中、R81は、炭素数2〜5の1価の炭化水素基、又は当該炭化水素基における炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基である。)
    Figure 2019176276
    (式(4)中、R82及びR83は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の1価の炭化水素基、若しくは当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に「−O−」を有する1価の基であるか、又は、R82及びR83が互いに合わせられてR82及びR83が結合する窒素原子と共に構成される環構造を表す。R84は、炭素数1〜6のアルキル基である。)
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  10. 請求項9に記載の液晶配向膜を具備する液晶素子。
JP2020505623A 2018-03-16 2019-01-17 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子 Active JP7136187B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018050104 2018-03-16
JP2018050104 2018-03-16
PCT/JP2019/001303 WO2019176276A1 (ja) 2018-03-16 2019-01-17 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019176276A1 true JPWO2019176276A1 (ja) 2020-12-03
JP7136187B2 JP7136187B2 (ja) 2022-09-13

Family

ID=67907085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020505623A Active JP7136187B2 (ja) 2018-03-16 2019-01-17 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP7136187B2 (ja)
CN (1) CN111542779B (ja)
TW (1) TW201938770A (ja)
WO (1) WO2019176276A1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016041683A (ja) * 2014-08-14 2016-03-31 Jnc株式会社 トリアゾール含有テトラカルボン酸二無水物、液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子
JP2016148866A (ja) * 2011-03-02 2016-08-18 Jnc株式会社 液晶配向剤および液晶表示素子

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5454772B2 (ja) * 2008-11-17 2014-03-26 Jsr株式会社 液晶配向剤、液晶配向膜およびその形成方法ならびに液晶表示素子
JP6146135B2 (ja) * 2012-08-30 2017-06-14 Jsr株式会社 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶表示素子
JP6828360B2 (ja) 2016-01-07 2021-02-10 Jsr株式会社 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子、並びに液晶配向膜及び液晶素子の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016148866A (ja) * 2011-03-02 2016-08-18 Jnc株式会社 液晶配向剤および液晶表示素子
JP2016041683A (ja) * 2014-08-14 2016-03-31 Jnc株式会社 トリアゾール含有テトラカルボン酸二無水物、液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子

Also Published As

Publication number Publication date
CN111542779A (zh) 2020-08-14
JP7136187B2 (ja) 2022-09-13
WO2019176276A1 (ja) 2019-09-19
CN111542779B (zh) 2023-08-22
TW201938770A (zh) 2019-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6911885B2 (ja) 液晶配向膜の製造方法及び液晶素子の製造方法
CN107338058B (zh) 液晶取向剂、液晶取向膜及其制造方法、液晶元件、聚合物以及化合物
JP6682771B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP6729740B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶配向膜の製造方法及び液晶表示素子
JP6547461B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法
JP2016057605A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP2018054761A (ja) 液晶素子及びその製造方法
JP6361168B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、液晶表示素子の製造方法、重合体及び化合物
WO2020148953A1 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子
JP6870289B2 (ja) 液晶配向剤、液晶素子の製造方法、液晶配向膜、液晶素子
JP6828360B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子、並びに液晶配向膜及び液晶素子の製造方法
JP6485033B2 (ja) 重合体組成物、樹脂膜、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP7322875B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子
TWI755517B (zh) 液晶元件的製造方法
JP7028241B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、並びに液晶素子
WO2021005888A1 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子
JP7136187B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子
JP6617529B2 (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子及び液晶配向膜の製造方法
JP2023107736A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子及び液晶素子の製造方法
JP2024061619A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子、重合体及びジアミン
JP2022173076A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶素子、液晶表示装置、並びに重合体
JP2023170991A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子
JP2014178378A (ja) 光配向剤、液晶配向膜の製造方法、液晶配向膜及び液晶表示素子
JP2023007402A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子、重合体及びジアミン
JP2021103205A (ja) 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220301

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7136187

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150