JP2021012331A - 偏光板の製造方法及び偏光板 - Google Patents

偏光板の製造方法及び偏光板 Download PDF

Info

Publication number
JP2021012331A
JP2021012331A JP2019127513A JP2019127513A JP2021012331A JP 2021012331 A JP2021012331 A JP 2021012331A JP 2019127513 A JP2019127513 A JP 2019127513A JP 2019127513 A JP2019127513 A JP 2019127513A JP 2021012331 A JP2021012331 A JP 2021012331A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective film
roller
polarizing plate
acid
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019127513A
Other languages
English (en)
Inventor
葉月 中江
Hazuki Nakae
葉月 中江
里誌 森井
Satoshi Mori
里誌 森井
山本 智弘
Toshihiro Yamamoto
智弘 山本
秀人 木村
Hideto Kimura
秀人 木村
崇 南條
Takashi Nanjo
崇 南條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2019127513A priority Critical patent/JP2021012331A/ja
Priority to TW109115021A priority patent/TW202108356A/zh
Priority to CN202010640142.XA priority patent/CN112213809A/zh
Priority to KR1020200082556A priority patent/KR20210006854A/ko
Publication of JP2021012331A publication Critical patent/JP2021012331A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3033Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3033Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid
    • G02B5/3041Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid comprising multiple thin layers, e.g. multilayer stacks
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B37/00Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding
    • B32B37/0046Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding characterised by constructional aspects of the apparatus
    • B32B37/0053Constructional details of laminating machines comprising rollers; Constructional features of the rollers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B37/00Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding
    • B32B37/06Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding characterised by the heating method
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/14Protective coatings, e.g. hard coatings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Registering, Tensioning, Guiding Webs, And Rollers Therefor (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、高温・高湿環境下での耐久性が向上した偏光板の製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の偏光板の製造方法は、前記各保護フィルム及び偏光子を長尺のロールから繰り出す工程を有し、さらに、前記保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを、偏光子に貼合する前に熱処理する工程と、前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ロラーで拡張する工程とを、この順に有し、前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃ の範囲内であり、かつ、前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかであることを特徴とする。ことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板の製造方法及び偏光板に関する。より詳しくは、高温・高湿環境下での耐久性が向上した偏光板の製造方法及び偏光板に関する
に関する。
複数の保護フィルムと偏光子によりなる偏光板において、フィルムに寸法変化が起きることで偏光子と接着不良及び応力集中などが発生し、光学的な変化及び物理的な変化が生じることが知られている。
特に室外などの使用を想定した耐久時(多くは高温多湿)においてフィルムが温度及び湿度の影響により伸びることで、パネルとして不良が発生する。
特許文献1に開示されている技術では、予め保護フィルムを偏光子と貼り合わせする工程の前に熱処理を行い、寸法変化を抑制している。
しかしながら、近年更なるパネルの大型化に伴い、より耐久性が求められ、熱処理工程による寸法変化の抑制だけでは耐久性が足りないことが散見された。
具体的には、偏光子とフィルムとの貼り合わせ後に、使用環境を想定した耐久試験において一部領域における貼り合わせ部の剥がれが見られた。
したがって、上記のような偏光板の耐久性不足の問題を解決することが望まれている。
特開2017−138582号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高温・高湿環境下での耐久性が向上した偏光板の製造方法及び偏光板を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、保護フィルムの表面形状、特にうねりの状態について検討する過程で、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板の製造方法であって、
前記各保護フィルム及び偏光子を長尺のロールから繰り出す工程を有し、さらに、
前記保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを、偏光子に貼合する前に熱処理する工程と、
前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ローラーで拡張する工程とを、この順に有し、
前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、
前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃ の範囲内であり、かつ、
前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかであることを特徴とする偏光板の製造方法。
2.前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー又はコンケイブ・ローラーであることを特徴とする第1項に記載の偏光板の製造方法。
3.前記エクスパンダー・ローラーのベンド率が、0.15〜1.20%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板の製造方法。
4.前記コンケイブ・ローラーのコンケイブ率が、0.01〜0.20%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板の製造方法。
5.前記熱処理の温度が、100℃以上であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
6.前記熱処理の時間が、7〜60秒の範囲内であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
7.前記熱処理する工程の前に、水系溶媒によりフィルムを洗浄する工程を有することを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
8.前記熱処理される保護フィルムの搬送張力が、1.5〜3.0N/m/μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
9.前記保護フィルムを搬送する際の前記エクスパンダー・ローラーのラップ角度が、20〜70°の範囲内であることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
10.前記保護フィルムを搬送する際の前記コンケイブ・ローラーのラップ角度が、70〜210°の範囲内であることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
11.前記拡張ローラーで拡張された前記保護フィルムの「RMSうねり」が、2〜10nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
12.少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板であって、
前記保護フィルムの少なくともいずれか一方が、表面が拡張されたフィルムであり、かつ、「RMSうねり」が2〜10nmの範囲内であることを特徴とする偏光板。
本発明の上記手段により、高温・高湿環境下での耐久性が向上した偏光板の製造方法及び偏光板を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者らが検討を重ねた結果、パネル劣化の原因はフィルム表面形状、具体的にはフィルム面におけるうねりのばらつき度合いが違うことで、耐久性に多く違いがあることを見出した。
保護フィルムは熱処理し残留応力を開放することで寸法変化を抑制している。この際、フィルム表面はガラス転移温度(Tg)に近い温度帯の場合、分子の流動性が高いことから搬送張力により引っ張られると、レベリングが生じする。
つまり、表面粗さ及びうねりが非常に均一になる。表面形状が均一な保護フィルムは偏光子との接着が非常に強固になる一方、微細な環境の変化でも偏光子とフィルム界面で応力集中が起こり、その結果、偏光板の劣化が進行すると考えられる。
本発明においては、フィルムの熱処理温度を下げて搬送中に拡張ローラーにて搬送方向とは垂直の方向に力を加えることで、フィルムが全方向(搬送方向及び搬送方向と垂直方向)に伸び、フィルム表面に新たなうねりを生じさせることができる。
なお、本願でいう「うねり」とは、粗さより大きな間隔で起こる表面の周期的な起伏のことで、深さに比べて相当大きな間隔で繰り返される理想面からの偏差をいう(JIS B 0601:2001参照。)。
これにより、偏光子との貼り合わせを行うと、面内で接着力に差が生じするが、環境の変化が起こった際、うねりが高いところから低いところへ応力分散が発生し、結果として偏光板の劣化が起きないと推定している。
フィルム表面がうねる理由については、フィルムの加工や取扱、巻取時になどにてフィルムに残留応力が発生し、それが熱及びテンションにより解放・修正されることで表面状態が変化すると考えられる。
拡張ローラーを含む種々のタイプのローラー例を示す模式図 エクスパンダ―・ローラーを示す模式図 本発明に係る保護フィルムの製造装置の概略図 偏光板を備えた液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明の偏光板の製造方法は、少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板の製造方法であって、前記各保護フィルム及び偏光子を長尺のロールから繰り出す工程を有し、さらに、前記保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを、偏光子に貼合する前に熱処理する工程と、前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ローラーで拡張する工程とを、この順に有し、前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃ の範囲内であり、かつ、前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかであることを特徴とする。
この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー又はコンケイブ・ローラーであることが好ましい。また、前記エクスパンダー・ローラーのベンド率が、0.15〜1.20%の範囲内であること及び前記コンケイブ・ローラーのコンケイブ率が、0.01〜0.20%の範囲内であることが所望の拡張(拡幅)を維持できる点で好ましい。
本実施形態においては、前記熱処理の温度が、100℃以上であること及び前記熱処理の時間が、7〜60秒の範囲内であることがしわの発生防止及び生産性の観点から好ましい。
さらに、前記熱処理する工程の前に、水系溶媒によりフィルムを洗浄する工程を有することが、異物等の悪影響を防ぐ観点から好ましい。
また、本実施形態においては、前記熱処理される保護フィルムの搬送張力が、1.5〜3.0N/m/μmの範囲内であること、前記保護フィルムを搬送する際の前記エクスパンダー・ローラーのラップ角度が20〜70°の範囲内であること及びコンケイブ・ローラーのラップ角度が70〜210°の範囲内であることが、ツレ・しわの発生を防止する観点から好ましい。
さらに、前記拡張ローラーで拡張された前記保護フィルムの「RMSうねり」が、2〜10nmの範囲内であることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。
したがって、本発明の偏光板は、少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板であって、前記保護フィルムの少なくともいずれか一方が、表面が拡張されたフィルムであり、かつ、「RMSうねり」が2〜10nmの範囲内であることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<本発明の偏光板の製造方法の概要>
本発明の偏光板の製造方法は、少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板の製造方法であって、
前記各保護フィルム及び偏光子を長尺のロールから繰り出す工程を有し、さらに、
前記保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを、偏光子に貼合する前に熱処理する工程と、
前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ローラーで拡張する工程とを、この順に有し、
前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、
前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃ の範囲内であり、かつ、
前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかであることを特徴とする。
以下において、各工程の構成要素について説明をする。
(保護フィルムの熱処理)
本発明の偏光板の製造方法においては、保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを偏光子に貼合する前に熱処理する工程を有すること及び前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃の範囲内であることを特徴とする。
熱処理温度が、(Tg−80)℃より低い温度領域の温度の場合、フィルムに残存した応力を解消することが難しく、またフィルムの流動性が乏しいことから表面状態を変化させることができない。すなわち、うねりの変化が起きない又は起きずらい。
熱処理温度が、(Tg−30)℃より高い温度の場合、フィルムの流動性が高すぎて、表面が平滑になりすぎる。そのため、本発明の効果が得られない。
上記熱処理温度は、100℃以上であることが好ましい。
フィルム表面の形状変化速度は温度依存性がある。そのため、温度が高い方が処理時間が短くなるため好ましい。前記(Tg−80)〜(Tg−30)℃の範囲内であり、かつ100°以上での処理が効果も高く、また処理時間も短くなる。このような条件下では、
処理時間が長くなり生産性が悪くなることはない。また、表面処理の速度が遅いことでフィルムのしわや搬送の蛇行などの問題も起きない。
熱処理時間は、5〜60秒の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、10〜30秒の範囲内である。なお、処理時間としてカウントするのはフィルム温度が70℃以上になっている時間である。
上記時間内であれば、フィルムの表面状態が変化し、所望の効果が得られる。また、フィルムがカールしたり、熱収縮してしまうこともなく、偏光板の貼り合わせが実施しやすくなる。
(拡張ローラー)
本発明の偏光板の製造方法は、前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ローラーで拡張する工程を有することを特徴とする。
なお、本発明で用いる拡張ローラーは、フィルムの光の屈折率や位相差値等の光学的特性を制御するための延伸用ローラーとは異なり、フィルム表面の粗さ或いはうねりなどの表面状態を制御すためのものである。
したがって、本願でいう「拡張」とは、フィルム表面の粗さ或いはうねりなどの表面状態を改善するためにフィルム表面を拡げることをいう。
なお、本願でいう「延伸」とは、基本的態様として、フィルム両端部を保持して行い、拡張率が10%を超えるものをいう。また、縦方向(MD:Machine Direction)又は横方向(TD:Transverse Direction)を問わず、一体的には、TD又は/及びMDに計10%以上延伸することをいう。
本発明において用いる拡張ローラーは、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかである。
図1及び図2に、上記拡張ローラーを含む各種タイプのローラーの例を示すとともに、 以下において、各ローラーの特徴等について説明する。
(a)ストレート・ローラー:
本発明で用いる拡張ローラーに対する比較例として位置づけられる一般的なローラーであり、拡張性はない。
(b)テープバンパ・ローラー:
上記ストレート・ローラーの端部にテープを貼り付けて周速差をつけることで拡張性を備えたローラー。本発明の課題解決の観点からは、拡張量が足りず、フィルムの表面形状を所望の形状にすることができない。
(c)コンケイブ・ローラー:
回転軸に対して点対称、かつローラーの中心にて線対称であるうえで、ローラー中央部とローラー端部の径に違いがあり、かつローラー端部に向けて径が大きくなっている。径の差異が大きいほど周速差が変化し、拡張性が増す。
本発明においては、コンケイブ率(中央部のローラー径φとフィルム端部地点のローラー径φの比率をフィルム幅で割ったもの)が、0.01〜0.2%の範囲内であることが好ましい。このコンケイブ率にすることでフィルムの拡張を維持して所望の表面形状にすることができ、かつ搬送不良による悪影響を防ぐことができる。
なお、コンケイブ率は、ローラーの中心部のローラー径をX(φ;単位はmm)とし、フィルムの端部におけるローラー径をY1とし、かつフィルムの幅をZ1(mm)としたとき、下記式で表される。
コンケイブ率(%)={(X−Y)/Z}×100
コンケイブ・ローラーの材質は、金属又はゴムのどちらかであることが好ましい。
ゴムは、摩擦力が高いためローラーとフィルムが滑ることがなく、傷などを防止することができる。
金属は、静電気がたまりにくいため、異物の付着がなく、フィルムと異物の接触による故障(オサレ)を防ぐことができる。
金属では、アルミ・ローラーが平滑性の観点で好ましい。また、金属の場合表面にメッキ処理を行うことでローラーの耐久性を増すことができる。メッキはクロム(Cr)メッキが好ましく、メッキ処理方法としては、無電解方式及び電解方式などの方式があり、どの方式でも所望の結果を得られるが、耐摩耗性に優れる無電解方式のメッキ処理の方が好ましい。
コンケイブ・ローラーには拡張を確保するために溝を設けることがより好ましい。溝形状、深さ、及びピッチ等を調整することとで所望の摩擦力を得ることができる。
フィルムを搬送する際のラップ角度は70〜210°の範囲内であることが好ましい。
ここで、「ラップ(Rap)角度」とは、ローラーに対してフィルム(ウェブ)が進入する最初の接点と離れて行く時の点の間の角度のことをいう。すなわち、ローラーの軸方向に対する垂直断面において当該ローラーとフィルムとが接触する領域を、ローラーの軸を中心として表した角度である。
(d)ボウ(バナナ)・ローラー:
フィルム(ウェブ)の進行方向に向けて角度がついており、ロール自体が回転しない。
本発明の課題解決の観点からは、適切な拡張量を得ることができ、フィルムの表面形状を所望の形状にすることができる。
(e)フレキシブルスパイラルグルーブ
ゴム状のローラーにスパイラル状の溝を設けたローラー。ゴムにスパイラル状の溝をもうけるとローらーの外向きに溝が変形するため、拡張性を有する。
(f)エクスパンダ―・ローラー:
図2に示されているような形態の一般的なラップ拡張ローラーである。
湾曲させた軸上にボールベアリングが内蔵された複数個のスプールを配列した構造を有するローラーであり、最低限の構成としては、湾曲させた軸上にボールベアリングが内蔵されているローラーである。
エクスパンダー・ローラーは、拡張量が非常に大きいことを特徴とするローラーである。エクスパンダー・ローラーを用いることで、所望のフィルム表面状態を得やすくなり、耐久性向上に寄与できる。
材質は、拡張量を確保できるものであれば、特に指定はないが、ローラーが滑らないよう、摩擦係数が高いものが好ましい。具体的には、シリコンゴム及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などである。特に摩耗などによる異物低減のためにEPDMが用いられる。また、同様にゴムに異物が付着しないよう、帯電防止型のゴム又は帯電防止を表面に施したもの、摩擦係数を調整するためにスベラックス処理を行ってもよい。また、金属でも実施することは可能である。拡張ローラーは可変式でも、不可変でも使用することができる。
エクスパンダ―・ローラーのベンド率(湾曲率)は、0.15〜1.2%であることが好ましい。
なお、ベンド率は、ベンド量をフィルム幅で除したものであり、ベンド量をXとし、かつフィルム幅をZとしたとき、次式で表される。
ベンド率(%)=(X/Z)×100
ここで、「ベンド量」とは、ローラーの湾曲量をいい、ローラーの断面(例えば図2に示すローラーの断面)を見たとき、湾曲しているローラーの中心部(中心点)が、当該ローラーの両端のローラー端部の中心部(中心点)を結ぶ線の中心点からどの程度のずれを生じているかを示す距離量をいう(図2の15a参照。)。
ベンド量は、搬送速度、搬送張力との兼ね合いで決めるが3〜20mmの範囲内であることが好ましい。
幅は、所望のフィルムを搬送させるために必要な幅があれば十分であるが、フィルム幅に対して300mm以上広いことが好ましい。フィルムのラップ角度は、20〜70°の範囲内であることが好ましい。
(保護フィルムの搬送張力)
本発明においては、前記熱処理される保護フィルムの搬送張力が、1.5〜3.0N/m/μmの範囲内であることが好ましい。
このような範囲内の搬送張力であれば、フィルムの拡張量は変化し、所望の表面形状が得られる。また、ツレ・しわが発生することもない。
(水系溶媒によるフィルム洗浄工程)
本発明においては、前記熱処理する工程の前に、水系溶媒によりフィルムを洗浄する工程を有することが好ましい。
前記熱処理と拡張ローラーによる処理を行う上で、当該洗浄工程を入れることが好ましい。すなわち、フィルム表面に異物や、製造工程におけるコンデンスや残渣などがあった場合、熱による処理が一様ではなくなるため、処理効果がばらつき所望の表面形状を得にくくなる。
ここで、「水系溶媒」とは、水を主成分(90質量%以上含有)とする溶媒をいう。なお、副成分としては、水溶性のアルコール類及びアセトン類などの有機溶媒を含有することができる。
基本的には、溶媒は、フィルムに対して溶解性がない又は実質上無視できる程度の溶解性であることが好ましい。また、生産性やその後の乾燥を考慮すると沸点が低いものが好ましい。さらに、洗浄を目的としているため、溶解性が高いものが好ましい。
このような溶媒としては、例えば、水、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどが好ましい。
特に、水はイオン性の付着物などを取り除けるという観点で好ましい。
洗浄は、溶媒による溶解とともに、例えば水浴や水をエアとともに吹き付けることによって物理的に汚れを落とすことがより好ましい。吹き付ける溶媒は清浄度の高いものを使用し、例えば水であれば純水、好ましくは超純水を用いることが好ましい。なお、超純水とは、25℃における抵抗値が17MΩ・cm以上である水をいう。
(熱処理した保護フィルムの表面特性)
本発明においては、上記方法で熱処理・拡張された保護フィルムは、その表面に適度の「うねり」を有することが好ましい。
本願においては、「うねり」の程度を、「RMSうねり」(「二乗平均平方根うねり」ともいう。)で表すことにする。
ここで、「RMSうねり」とは、フィルムの実表面の測定断面曲線において、平均線から測定断面曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根の値をいう。
当該「RMSうねり」を指標として評価した場合、熱処理により、保護フィルムの表面状態は、測定した画像に対して、カットオフ・フィルターを適用して波長5〜80μmの範囲内で測定されるRMSが2〜10nmの範囲内になっていることが好ましい。
なお、「RMSうねり」は、表面性状測定機(例えばZygo製;NewView7300)を用いて測定することができる。測定は、測定対象領域を80μm以上とし、測定分解能を1μm以下とすることが好ましい。測定した画像に対してカットオフ値λf=80μmで長い波長成分を、カットオフ値λc=5μmで短い波長成分を除き、RMSうねりを算出する。
(保護フィルム)
本発明に係る偏光板は、少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる。当該保護フィルム(A又はB)は、偏光板の使用又は保存環境下において、偏光子に対する物理・化学的影響を防ぐ保護フィルムとして機能し得るものであるが、位相差フィルムとして光学的機能を有するフィルムであることが好ましい。
本発明に係る保護フィルムは、基材樹脂を用いた樹脂フィルムであることが好ましい。
〈基材樹脂〉
本発明に係る保護フィルムは、基材樹脂として熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。保護フィルムに含まれる熱可塑性樹脂について特に制限はないが、好ましくは、基材層は延伸可能な熱可塑性樹脂から構成される。延伸可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。この際、アクリル系樹脂としては、メチルメタクリレート由来の構成単位を主成分として含有し、これと共重合可能なモノマー成分由来の構成単位をさらに含むアクリル系樹脂が好ましく用いられる。共重合可能なモノマー成分としては、環構造を有するアクリル酸誘導体も含まれる。また、スチレン系樹脂としては、スチレン由来の構成単位を主成分として含有し、これと共重合可能なモノマー成分由来の構成単位をさらに含むスチレン系樹脂が挙げられる。さらに、シクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンコポリマーと称される、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンのほか、一部ポリエチレンを含むポリプロピレンなどが挙げられ、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
なかでも、好ましい実施形態において、保護フィルムは、セルロース系樹脂を含有する。セルロース系樹脂の具体的な形態についても特に制限はないが、セルロースエステル、セルロースエーテル、カチオン化セルロース、各種ビニル単量体などの存在下で重合したセルロース系樹脂、各種ビニル単量体などとのグラフト重合体などが用いられる。なかでも、セルロースエステルが特に好ましく用いられる。
本発明に係る好ましい他の実施形態は、セルロース系樹脂を主成分とする保護フィルムである。
セルロースエステルとは、セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位中の2位、3位及び6位のヒドロキシ基(−OH)の水素原子の一部又は全部がアシル基で置換されたセルロースアシレート樹脂をいう。
本発明に係る保護フィルムに含まれるセルロースエステルは特に限定されないが、炭素数2〜22程度の直鎖又は分岐のカルボン酸のエステルであることが好ましい。エステルを構成するカルボン酸は脂肪族カルボン酸でもよいし、環を形成してもよく、芳香族カルボン酸でもよい。例えば、セルロースのヒドロキシ基部分の水素原子が、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、ステアロイル等の炭素数2〜22のアシル基で置換されたセルロースエステルが挙げられる。エステルを構成するカルボン酸(アシル基)は、置換基を有してもよい。エステルを構成するカルボン酸は、特に炭素数が6以下の低級脂肪酸であることが好ましく、炭素数が3以下の低級脂肪酸であることがさらに好ましい。なお、セルロースエステル中のアシル基は単一種であってもよいし、複数のアシル基の組み合わせであってもよい。
好ましいセルロースエステルの具体例には、ジアセチルセルロース(DAC)、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロースアセテートのほか、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基又はブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが挙げられる。これらのセルロースエステルは単一種を使用してもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
(アシル基の種類・置換度)
セルロースエステルのアシル基の種類及び置換度を調節することによって位相差の湿度変動を所望の範囲に制御することができ、膜厚の均一性を向上させることができる。
セルロースエステルのアシル基の置換度が小さいほど位相差発現性が向上するため、薄膜化が可能となる。一方で、アシル基の置換度が小さすぎると、耐久性が悪化するおそれがあり好ましくない。
一方、セルロースエステルのアシル基の置換度が大きいほど位相差が発現しないため、製膜の際に延伸倍率を増加させる必要があるが、高延伸倍率で均一に延伸させることは難しく、このため、膜厚バラツキが大きくなる(悪化する)。また、Rt湿度変動はセルロースのカルボニル基に水分子が配位することで生じるため、アシル基の置換度が高い、すなわち、セルロース中のカルボニル基が多いほど、Rt湿度変動が悪くなる傾向がある。
セルロースエステルは総置換度が、2.1〜2.5であることが好ましい。当該範囲とすることによって、環境変動(特に湿度によるRt変動)を抑制するとともに、膜厚の均一性が向上しうる。より好ましくは、製膜の際の流延性及び延伸性を向上させ、膜厚の均一性が一層向上する観点から、2.2〜2.45である。
より具体的には、セルロースエステルは、下記式(a)及び(b)をともに満足する。式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基又はブチリル基の置換度、若しくはその混合物の置換度である。
式(a): 2.1≦X+Y≦2.5
式(b): 0≦Y≦1.5
セルロースエステルは、セルロースアセテート(Y=0)、及び、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)(Y;プロピオニル基、Y>0)がより好ましく、さらに好ましくは膜厚バラツキを低減させる点からY=0であるセルロースアセテートである。特に好ましく用いられるセルロースアセテートは、位相差発現性、Rt湿度変動、膜厚バラツキを所望の範囲とする点から2.1≦X≦2.5(一層好ましくは2.15≦X≦2.45)のセルロースジアセテート(DAC)である。また、Y>0の場合には、特に好ましく用いられるセルロースアセテートプロピオネート(CAP)は、0.95≦X≦2.25、0.1≦Y≦1.2、2.15≦X+Y≦2.45である。
上述のセルロースアセテート若しくはセルロースアセテートプロピオネートを用いることで、リターデーションに優れ、機械強度、環境変動に優れた保護フィルムが得られる。
なお、アシル基の置換度は、1グルコース単位あたりのアシル基の平均数を示し、1グルコース単位の2位、3位及び6位のヒドロキシ基の水素原子のいくつがアシル基に置換されているかを示す。従って、最大の置換度は3.0であり、この場合には2位、3位及び6位のヒドロキシ基の水素原子がすべてアシル基で置換されていることを意味する。これらアシル基は、グルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していてもよいし、分布をもって置換していてもよい。置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求められる。
所望の光学特性を得るために置換度の異なるセルロースアセテートを混合して用いてもよい。異なるセルロースアセテートの混合比は特に限定されない。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)は、2×10〜3×10の範囲、さらには2×10〜1.2×10の範囲、また、さらには4×10〜8×10の範囲であると得られる保護フィルムの機械的強度が高くなるから好ましい。
セルロースエステルの数平均分子量Mnは、下記の測定条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた測定により算出する。
セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)は、2×10〜1×10の範囲、さらには2×10〜1.2×10の範囲、またさらには4×10〜8×10の範囲であると得られる保護フィルムの機械的強度が高くなるから好ましい。セルロースエステルの重量平均分子量Mwは、下記の測定条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた測定により算出する。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製)を3本接続して使用する
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス株式会社製)
ポンプ:L6000(株式会社日立製作所製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=500〜1000000の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースエステルの原料セルロースは、特に限定されないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。一般的には、原料のセルロースと所定の有機酸(酢酸、プロピオン酸など)と酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸など)、触媒(硫酸など)と混合して、セルロースをエステル化し、セルロースのトリエステルができるまで反応を進める。トリエステルにおいてはグルコース単位の三個のヒドロキシ基は、有機酸のアシル酸で置換されている。
同時に二種類の有機酸を使用すると、混合エステル型のセルロースエステル、例えばセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートを作製することができる。次いで、セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアシル置換度を有するセルロースエステル樹脂を合成する。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥などの工程を経て、セルロースエステル樹脂ができあがる。具体的には特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
〈その他の添加剤〉
本発明に係る保護フィルムは、その他の添加剤として上記の他に以下のものを含有していてもよい。
(a)可塑剤
本発明の保護フィルムは保護フィルムに加工性を付与する目的で少なくとも1種の可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤は単独で又は2種以上混合して用いることが好ましい。
可塑剤の中でも、下記糖エステル化合物、ポリエステル化合物、及びアクリル系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤を含むことが、透湿性の効果的な制御及びセルロースエステルなどの基材樹脂との相溶性を高度に両立できる観点から好ましい。
当該可塑剤は、分子量が15000以下、さらには10000以下であることが、耐湿熱性の改善とセルロースエステルなどの基材樹脂との相溶性を両立する観点から好ましい。当該分子量が10000以下である化合物が重合体である場合は、重量平均分子量(Mw)が10000以下であることが好ましい。好ましい重量平均分子量(Mw)の範囲は100〜10000の範囲内であり、更に好ましくは、400〜8000の範囲内である。
特に本発明の効果を得るためには、当該分子量が1500以下の化合物を、基材樹脂100質量部に対して6〜40質量部の範囲内で含有することが好ましく、10〜20質量部の範囲内で含有させることがより好ましい。上記範囲内で含有させることにより、透湿性の効果的な制御と基材樹脂との相溶性を両立することができ、好ましい。
〈糖エステル化合物〉
本発明に係る保護フィルムには、加水分解防止を目的として、糖エステル化合物を含有させてもよい。具体的には、糖エステル化合物として、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の全て若しくは一部をエステル化した糖エステル化合物を使用することができる。
本発明に係る糖エステル化合物の合成原料の糖の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
ピラノース構造又はフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、フェニル酢酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に1〜5個のアルキル基若しくはアルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
特に、本発明に係る保護フィルムは、下記一般式(FA)で表される総平均置換度が3.0〜6.0である糖エステル化合物を用いることが好ましい。
Figure 2021012331
(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、若しくは、置換又は無置換のアリールカルボニル基を表し、R〜Rは相互に同じであっても、異なっていてもよい。)
上記一般式(FA)で表される化合物は、平均置換度が3.0〜6.0であることによって、透湿性の制御とセルロースエステルとの相溶性を高度に両立することができる。
本願において、一般式(FA)で表される化合物の置換度とは、一般式(FA)に含まれる8つのヒドロキシ基のうち、水素以外の置換基で置換されている数を表し、すなわち、一般式(FA)のR〜Rのうち、水素以外の基を含む数を表す。したがって、R 1〜R 8が全て水素以外の置換基により置換された場合に、置換度は最大値の8.0となり、R 1〜R 8が全て水素原子である場合には、0.0となる。
一般式(FA)で表される構造を有する化合物は、ヒドロキシ基の数、OR基の数が固定された単一種の化合物を合成することは困難であり、式中のヒドロキシ基の数、OR基の異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られているため、本願明細書における一般式(FA)の置換度としては、平均置換度を用いることが適当であり、常法により高速液体クロマトグラフィーによって置換度分布を示すチャートの面積比から平均置換度を測定することができる。
一般式(FA)において、R〜Rは、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、あるいは、置換又は無置換のアリールカルボニル基を表し、R〜Rは、同じであっても、異なっていてもよい(以下、R〜Rをアシル基ともいう)。R〜Rとしては、具体的には、上記で例示した糖エステル化合物の合成時に用いられるモノカルボン酸由来のアシル基が挙げられる。具体的には、メタノイル基、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基、フェニルアセチル基、トリメトキシベンゾイル基、イソプロパニル基などが挙げられる。
本発明の一実施形態に係る保護フィルムは、糖エステル化合物を保護フィルム全体(100質量%)の0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、2〜15質量%含むことが好ましい。
糖エステル化合物は、前記糖に、アシル化剤(エステル化剤ともいう、例えば、アセチルクロライド等の酸ハロゲン化物、無水酢酸等の無水物)を反応させることによって製造することが可能であり、置換度の分布は、アシル化剤の量、添加タイミング、エステル化反応時間の調節によってなされるが、置換度違いの糖エステル化合物の混合、あるいは純粋に単離した置換度違いの化合物を混合することにより、目的の平均置換度、置換度4以下の成分を調整することができる。
(ポリエステル化合物)
本発明に係る保護フィルムは、ポリエステル化合物を含有させることが好ましい。
ポリエステル化合物は特に限定されないが、例えば、ジカルボン酸又はこれらのエステル形成性誘導体とグリコールとの縮合反応により得ることができる末端がヒドロキシ基となる重合体(ポリエステルポリオール)、又は、当該ポリエステルポリオールの末端のヒドロキシ基がモノカルボン酸で封止された重合体(末端封止ポリエステル)を用いることができる。ここでいうエステル形成性誘導体とは、ジカルボン酸のエステル化物、ジカルボン酸クロライド、ジカルボン酸の無水物のことである。
好ましくは、下記一般式(FB)で表されるポリエステル化合物を用いることが、透湿性の制御とセルロースエステルとの相溶性を高度に両立する観点から好ましい。
一般式(FB): B−(G−A)−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基を表し、Gは炭素数2〜18のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表し、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、nは1以上の整数を表す。)
一般式(FB)中、Bで示されるヒドロキシ基又はカルボン酸残基と、Gで示されるアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基又はアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のエステル系化合物と同様の反応により得られる。
一般式(FB)で表されるポリエステル系化合物のカルボン酸成分としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、脂肪族酸等があり、これらはそれぞれ1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
一般式(FB)で表されるポリエステル系化合物の炭素数2〜18のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステル樹脂との相溶性に優れているため、特に好ましい。より好ましくは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
一般式(FB)で表されるポリエステル化合物の炭素数6〜12のアリールグリコールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノール等の環状グリコール類があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
また、上記一般式(FB)で表されるポリエステル系化合物の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用できる。
一般式(FB)で表されるポリエステル系化合物の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種又は2種以上の混合物として使用される。
一般式(FB)で表されるポリエステル系化合物の炭素数6〜12のアリールジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。
一般式(FB)で表されるポリエステル系化合物は、重量平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシ価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシ(水酸基価)は15mgKOH/g以下のものである。
本発明に係る保護フィルムは、ポリエステル化合物を、保護フィルム全体(100質量%)に対して、0.1〜30質量%含むことが好ましく、特には、0.5〜10質量%含むことが好ましい。
(アクリル系化合物)
本発明に係る保護フィルムは、耐水性を目的として、アクリル系化合物を含有させることが好ましい。アクリル系化合物としては、特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリロニトリルよりなる群から選択されるいずれか少なくとも1種のアクリル系モノマー由来の繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
なかでも、アクリル系化合物としては、メチルメタクリレート単位が50〜99質量%及びこれと共重合可能な他の単量体単位の総量が1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート;アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート;アクリロイルモルホリンやN,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基を有するビニルモノマー;エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸等のα、β−不飽和酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα、β−不飽和ニトリル;無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、無水グルタル酸、等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上の単量体を併用して用いることができる。
また、本発明の一実施形態において用いられるアクリル系化合物としては、環構造を有してもよく、具体的には、ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、N−置換マレイミド構造及び無水マレイン酸構造、ピラン環構造が挙げられる。
これらの中でも、共重合可能な他の単量体は、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリロイルモルホリンやジメチルアクリルアミドなどのアミド基を有するビニルモノマー、エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル、N−置換マレイミド構造、ピラン環構造等が好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜18のアルキルアクリレートの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられ、好ましくは、メチルアクリレートが挙げられる。
アミド基を有するビニルモノマーの具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルピロリジン、アクリロイルピペリジン、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリロイルピロリジン、メタクリロイルピペリジン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。好ましくは、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルの具体例としては、例えば、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸シアノノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸メンチル、アクリル酸フェンチル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジメチルアダマンチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−メチル、アクリル酸シクロデシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
好ましくは、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジメチルアダマンチルなどが挙げられる。
N−置換マレイミドとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド等が挙げられる。
好ましくは、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
これらのモノマーは市販のものをそのまま使用することができる。
アクリル系化合物は、透湿性の制御とセルロースエステルとの相溶性を両立する観点から、重量平均分子量(Mw)が15000以下の範囲であることが好ましく、10000以下の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは、5000〜10000の範囲内である。
アクリル系化合物の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁又は乳化重合では30〜100℃、塊状又は溶液重合では80〜160℃の範囲で実施しうる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
アクリル系共重合体は、基材樹脂100質量部に対して1〜30質量部の範囲で添加することができる。
〈その他の可塑剤〉
本発明に係る保護フィルムには、上記糖エステル化合物、ポリエステル化合物、アクリル系化合物に加えて又はこれに代えて、保護フィルムの耐水性改善を目的として、スチレン系化合物を用いることもできる。
(スチレン系化合物)
スチレン系化合物は、スチレン系モノマーの単独重合体であってもよいし、スチレン系モノマーとそれ以外の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。スチレン系化合物におけるスチレン系モノマー由来の構成単位の含有割合は、分子構造が一定以上の嵩高さを有するためには、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%でありうる。
スチレン系モノマーは、下記式(A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021012331
式(A)中のR101〜R103は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基を示す。R104は、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、炭素数1〜30のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜30のアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、炭素数2〜30のアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基を示す。これらの基は、それぞれ置換基(例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基など)をさらに有してもよい。R 104は、それぞれ同一であっても、異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
スチレン系モノマーの例には、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが含まれる。スチレン系モノマーは、一種類であっても、二種類以上を組み合わせてもよい。
スチレン系モノマーと組み合わされる共重合モノマーは、下記式(B)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類などが含まれ、好ましくは下記式(B)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物もしくは無水マレイン酸である。
Figure 2021012331
式(B)中のR105〜R107は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基を示す。R108は、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を示す。これらの基は、それぞれ置換基(例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基など)をさらに有してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系化合物の例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル(i−、n−)、(メタ)アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、tert−)、(メタ)アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、(メタ)アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、(メタ)アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、(メタ)アクリル酸オクチル(n−、i−)、(メタ)アクリル酸ノニル(n−、i−)、(メタ)アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、(メタ)アクリル酸(2−エチルヘキシル)、(メタ)アクリル酸(ε−カプロラクトン)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、(メタ)アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、(メタ)メタクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸(2又は4−クロロフェニル)、(メタ)アクリル酸(2又は3又は4−エトキシカルボニルフェニル)、(メタ)アクリル酸(o又はm又はp−トリル)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸(2−ナフチル)、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、(メタ)アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等が含まれる。
スチレン系化合物の具体例には、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ヒドロキシスチレン重合体、スチレン/アセトキシスチレン重合体などが含まれる。なかでも、スチレン/無水マレイン酸共重合体が好ましい。
スチレン系化合物は、基材樹脂100質量部に対して1〜30質量部の範囲で添加することができる。
(その他)
本発明に係る保護フィルムには、上記糖エステル化合物、ポリエステル化合物、アクリル系化合物、及びスチレン系化合物に加えて、又はこれに替えて、分子量が15000以下、好ましくは10000以下の公知の可塑剤を用いることもできる。その他の可塑剤として特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤などから選択される。中でも好適な可塑剤は、多価アルコールエステル系可塑剤である。
透湿性を効果的に制御する観点から、好ましい多価アルコールエステル系化合物としては、特開2010−32655号公報の段落番号〔0170〕〜〔0218〕に記載されている化合物を挙げることができる。中でも、ペンタエリスリトールテトラベンゾエートを用いることが好ましい。
これらの可塑剤は、基材樹脂100質量部に対して6〜40質量部の範囲で含有することが好ましく、10〜20質量部の範囲内で含有することが好ましい。
(c)水素結合性化合物
本発明に係る保護フィルムは、湿度の変化に対する位相差変動を低減するために、水素結合性化合物を含有することが好ましい。
当該水素結合性化合物としては、一分子中に少なくとも複数のヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、カルボン酸基、から選ばれる官能基を有することが好ましく、一分子内に複数の異なる官能基を有することがより好ましく、一分子内にヒドロキシ基とカルボン酸基とを有することが特に好ましい。
当該水素結合性化合物は、母核として、1〜2個の芳香族環を含有することが好ましく、一分子中に含有する前記官能基の数を、化合物の分子量で割った値が、0.01以上であることが好ましい。
上記効果は、前記セルロースエステルなどの基材樹脂と水分子とが相互作用(水素結合)する部位に上記水素結合性化合物が結合(水素結合)し、水分子の脱着による電荷分布の変化を抑制するように作用するためと推定している。
具体的な化合物例としては、特開2011−227508号公報段落〔0029〕に記載の化合物が挙げられ、3−メチルサリチル酸を用いることが好ましい。
水素結合性化合物は、基材樹脂100質量部に対して1〜30質量部の範囲で添加することができる。
(d)他の任意成分
本発明に係る保護フィルムは、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、マット剤、アクリル粒子、水素結合性溶媒、イオン性界面活性剤などの他の任意成分を含みうる。これらの成分は、基材樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で添加することができる。
〈酸化防止剤〉
本発明に係る保護フィルムは、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系の各化合物を好ましく用いることができる。
上記ラクトン系化合物としては、BASFジャパン株式会社から市販されている「IrgafosXP40、IrgafosXP60(商品名)」等が挙げられる。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から市販されている「Sumilizer TPL−R」及び「Sumilizer TP−D」を挙げることができる。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、BASFジャパン株式会社から市販されている「Irganox(登録商標)1076」、「Irganox(登録商標)1010」、株式会社ADEKAから市販されている「アデカスタブ(登録商標)AO−50」等を挙げることができる。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から「Sumilizer(登録商標) GM」及び「Sumilizer(登録商標) GS」という商品名で市販されている。一般には、樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、BASFジャパン株式会社から市販されている「Tinuvin(登録商標)144」及び「Tinuvin(登録商標)770」、株式会社ADEKAから市販されている「ADK STAB(登録商標) LA−52」を挙げることができる。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から市販されている「Sumilizer(登録商標)GP」、株式会社ADEKAから市販されている「ADK STAB(登録商標) PEP−24G」、「ADK STAB(登録商標) PEP−36」及び「ADK STAB(登録商標) 3010」、BASFジャパン株式会社から市販されている「IRGAFOS P−EPQ」、堺化学工業株式会社から市販されている「GSY−P101」を挙げることができる。
さらに、酸補足剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、保護フィルムの主原料である樹脂(たとえば、セルロースエステル等)に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤等は、1種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系及び二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈着色剤〉
本発明に係る保護フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内で、色味調整のために、着色剤を含むことが好ましい。着色剤というのは染料や顔料を意味し、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果又はイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものを指す。
着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
〈紫外線吸収剤〉
本発明の保護フィルムは、偏光板の視認側やバックライト側に用いられることもできることから、紫外線吸収機能を付与することを目的として、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、昇華しにくいか、あるいは高沸点で揮発しにくく、保護フィルムの高温乾燥時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる観点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、特に好ましい。
これら紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン株式会社製のチヌビン(登録商標)109、チヌビン(登録商標)171、チヌビン(登録商標)234、チヌビン(登録商標)326、チヌビン(登録商標)327、チヌビン(登録商標)328、チヌビン(登録商標)928等のチヌビンシリーズ、あるいは2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては、株式会社ADEKA製のLA31)を好ましく使用できる。
上記紫外線吸収剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、一般には、基材樹脂に対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で添加される。
〈マット剤〉
本発明の保護フィルムは、保護フィルムの滑り性を付与する微粒子(マット剤)を添加することが好ましい。
マット剤としては、得られる保護フィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物又は有機化合物どちらでもよい。これらのマット剤は、単独でも2種以上併用しても使用できる。
粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、前記アクリル共重合体や相溶させる樹脂として用いるセルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の具体例としては、アエロジル(登録商標)200V、アエロジル(登録商標)R972V、アエロジル(登録商標)R972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル株式会社製)、シーホスター(登録商標)KEP−10、シーホスター(登録商標)KEP−30、シーホスター(登録商標)KEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック(登録商標)100(富士シリシア株式会社製)、ニップシール(登録商標)E220A(日本シリカ工業株式会社製)、アドマファイン(登録商標)SO(株式会社アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られる保護フィルムの透明性が良好にできるので好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
マット剤は、基材樹脂に対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で添加されることが好ましい。
〈アクリル粒子〉
本発明の保護フィルムは、保護フィルムの脆性を改善する目的で、国際公開第2010/001668号パンフレットに記載のアクリル粒子を、透明性を維持できる範囲内の量で含有してもよい。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の「メタブレン(登録商標)W−341」、株式会社カネカ製の「カネエース(登録商標)」、株式会社クレハ製の「パラロイド(登録商標)」、ロームアンドハース社製の「アクリロイド」、ガンツ化成工業社製の「スタフィロイド(登録商標)」、ケミスノー(登録商標)MR−2G、MS−300X(以上、綜研化学株式会社製)及び株式会社クラレ製の「パラペット(登録商標)SA」などが挙げられ、これらは、単独又は2種以上を用いることができる。
〈水素結合性溶媒〉
本発明において、溶液流延法で保護フィルムを作製する場合は、保護フィルムの構成材料を溶解するための溶媒に、溶液粘度を調整(低減)する目的で、水素結合性溶媒を添加することができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。
これらは、アクリル共重合体やセルロースエステル樹脂、あるいは、相溶化させるための他の樹脂の混合体自身の分子間水素結合よりも、当該樹脂と水素結合性溶媒間との強い水素結合を形成させることで、溶液粘度の変化に期待できる。
なお、溶液流延法によりフィルムを製造する場合においては、用いる樹脂溶液に対して、溶液粘度を調整することに加えて、製膜時の剥離力を低下させる目的で、溶解のための溶媒に、水素結合性溶媒を一部あるいは全量用いることもできる。
〈イオン性界面活性剤〉
本発明に係る保護フィルムは、製膜時の剥離力を低下させる目的で、イオン性界面活性剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることのできるイオン性界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコール(C8〜C22)硫酸エステル塩類(例えば、ラウリルアルコールサルフェートのナトリウム塩、オクチルアルコールサルフェートのナトリウム塩、ラウリルアルコールサルフェートのアンモニウム塩、「Teepol−81」(商品名・シェル化学社製)、第二ナトリウムアルキルサルフェート等)、脂肪族アルコールリン酸エステル塩類(例えば、セチルアルコールリン酸エステルのナトリウム塩等)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ジナフタレンジスルホン酸のナトリウム塩、メタニトロベンゼンスルホン酸のナトリウム塩等)、アルキルアミドのスルホン酸塩類(例えば、C1733CON(CH)CHSONa等)、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類(例えば、ナトリウムスルホコハク酸ジオクチルエステル、ナトリウムスルホコハク酸ジヘキシルエステル等)がある。これらの中で特に硫酸塩類やスルホン酸塩類が好適に用いられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
中でも、本発明においては、アニオン性界面活性剤が好ましい。また上記の界面活性剤は、保護フィルムを構成する基材樹脂の総量に対して、0.01質量%以上5質量%以下、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上2質量%以下で用いることが好ましい。この範囲よりも添加量が多いと、保護フィルムから界面活性剤が析出したり、保護フィルムの吸湿性が高くなったりするなど、光学保護フィルムの品質に好ましくない品質が発現する。またこの範囲よりも添加量が少ないと界面活性剤を用いる本発明の効果が得られなくなったりする。
上述のように、本発明に係る保護フィルムは、(1)膜厚が15〜35μmの範囲内であり、(2)幅手方向及び長尺方向の膜厚バラツキがいずれも0〜4μmであり、(3)上記式(1)で表されるRo変動幅が±4%以内であり、Rt変動幅が±5%以内を満たすことが好ましい。上記(1)〜(3)は、(a)ドープや溶融物の流延条件、(b)延伸条件、(c)基材樹脂としてセルロースエステルを使用する場合のアシル基の種類及び置換度、(d)可塑剤の種類及び添加量などを制御することにより満たすことができる。
例えば、本発明に係る保護フィルムは、セルロースエステルの総置換度が2.1〜2.5であることが好ましい。
また、本発明の他の一実施形態に係る保護フィルムは、セルロースエステルの総置換度が2.1〜2.5(より好ましくは2.15〜2.45)であり、糖エステル化合物、ポリエステル化合物及びアクリル系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤を含む。より好ましくは、前記可塑剤は糖エステル化合物を含む。
また、本発明のさらに他の一実施形態に係る保護フィルムは、セルロースエステルの総置換度が2.1〜2.5(より好ましくは2.15〜2.45)であり、水素結合性化合物を含む。
≪保護フィルムの製造方法≫
本発明に係る保護フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から製膜方法は、溶液流延製膜法と溶融流延製膜法が好ましく、特に溶液流延法であることが、均一な表面を得るためにより好ましい。
〈溶液流延製膜法〉
溶液流涎法により製膜する場合、本発明の保護フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂及び上述した添加剤を溶媒に溶解させてドープを調製する工程(溶解工程;ドープ調製工程)、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程(流延工程)、流延したドープをウェブとして乾燥する工程(溶媒蒸発工程)、金属支持体から剥離する工程(剥離工程)、乾燥、延伸、幅保持する工程(延伸・幅保持・乾燥工程)、仕上がった保護フィルムを巻取る工程(巻き取り工程)を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂としては、特にセルロースエステルを用いることが好ましい。
図3は、溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程(溶媒蒸発工程)の一例を模式的に示した図である。
仕込釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック釜42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へ各種添加液を添加する。
その後主ドープは主濾過器3にて濾過され、これに添加剤添加液が16よりインライン添加される。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、保護フィルムを細かく粉砕した物で、保護フィルムを製膜するときに発生する、保護フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトした保護フィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめ基材樹脂としてセルロースエステル及びその他の添加剤などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
以下、各工程について説明する。
1)溶解工程(ドープ調製工程)
以下、本発明の一実施形態として、熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを使用する場合を一例として溶解工程を説明するが、本発明はこれに限定されない。
本工程は、セルロースエステルに対する良溶媒を主とする溶媒に、溶解釜中で該セルロースエステル、場合によって、その他の化合物を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいは該セルロースエステル溶液に、場合によってその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜30質量%である。
ドープで用いられる溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶媒が多い方がセルロースアセテートの溶解性の点で好ましい。
良溶媒と貧溶媒の混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶媒、貧溶媒とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶媒、単独で膨潤するか又は溶解しないものを貧溶媒と定義している。そのため、セルロースエステルの平均置換度によって良溶媒、貧溶媒が変わる。
本発明に用いられる良溶媒は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライド又は酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶媒は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、保護フィルム製膜工程で乾燥により保護フィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶媒中に、セルロースエステルに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。具体的には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができる。中でも、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましく、加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
また、溶媒の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解する方法も、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースエステルを貧溶媒と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶媒を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶媒が沸騰しないように調整される。
又は、冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液(溶解中又は溶解後のドープ)を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過することが好ましい。
濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に保護フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶媒の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
]
2)流延工程
続いて、ドープを金属支持体上に流延(キャスト)する。すなわち、本工程は、ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属ベルト31、例えばステンレスバンド、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっていることが好ましい。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造の保護フィルムを得ることも好ましい。
キャストの幅は生産性の観点から1.4m以上が好ましい。より好ましくは1.4〜4mである。4mを超える場合には、製造工程で縞が入ったり、その後の搬送工程での安定性が低くなったりするおそれがある。さらに好ましくは、搬送性、生産性の点で2〜3.5mである。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶媒の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、22〜50℃が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
3)溶媒蒸発工程
本工程は、ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを35〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。35〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
次いで、ウェブを金属支持体から剥離する。すなわち、本工程は金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等によって適宜調節される。保護フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましい。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又は保護フィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
金属支持体と保護フィルムを剥離する際の剥離張力は、300N/m以下とすることが好ましい。より好ましくは、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
5)乾燥・延伸・幅保持工程
(乾燥)
保護フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
保護フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。例えば、剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したローラーに交互に通して搬送する乾燥装置35、及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点から熱風で行うことが好ましい。余り急激な乾燥は出来上がりの保護フィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥はおおむね30〜250℃の範囲内で行われる。特に35〜200℃の範囲内で乾燥させることが好ましい。乾燥温度は、段階的に高くしていくことが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によって保護フィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
(延伸・幅保持)
続いて、金属支持体より剥離したウェブを少なくとも一方向に延伸処理することが好ましい。延伸処理することで保護フィルム内の分子の配向を制御することができる。本発明において目標とするリターデーション値Ro、Rtを得るには、保護フィルムが本発明の構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることでリターデーション値を変動させることが可能となる。
具体的な延伸方法としては、ウェブの長手方向(製膜方向;流延方向;MD方向)及びウェブ面内で直交する方向、即ち幅手方向(TD方向)に対して、逐次又は同時に2軸延伸もしくは1軸延伸することができる。好ましくは、流延方向(MD方向)、幅手方向(TD方向)に二軸延伸を実施した、二軸延伸保護フィルムであるが、本発明に係る保護フィルムは一軸延伸保護フィルムであってもよいし、未延伸保護フィルムであってもよい。なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・流延方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅手方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.2倍、幅手方向に1.2〜2.0倍の範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は、通常、保護フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。通常、延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは120℃〜180℃である。
延伸時におけるウェブ中の残留溶媒は20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。例えば、135℃で残留溶媒が8%で延伸する、あるいは155℃で残留溶媒が11%で延伸するのが好ましい。もしくは155℃で残留溶媒が2%で延伸するのが好ましく、あるいは160℃で残留溶媒が1%未満で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のローラーに周速差をつけ、その間でローラー周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。中でも、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明に係る保護フィルムの遅相軸又は進相軸が保護フィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
6)巻き取り工程
最後に、得られたウェブ(仕上がった保護フィルム)を巻取ることにより、保護フィルムが得られる。より具体的には、ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってから保護フィルムとして巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好な保護フィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%の範囲で巻き取ることが好ましい。
]
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きや擦り傷防止のために、ナーリング加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、保護フィルム両端部のクリップの把持部分は、通常は保護フィルムが変形しており、製品として使用できないので切除される。熱による材料の劣化が起こっていない場合は、回収後に再利用される。
本発明に係る保護フィルムは、長尺保護フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜10000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、保護フィルムの幅は、液晶表示装置の大型化や生産の効率化の要求に応えるべく、1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜4mであることがより好ましく、2〜3mであることがさらに好ましい。
〈溶融流延製膜法〉
本発明に係る保護フィルムは、溶融流延法により製膜することもできる。
「溶融製膜法」とは、熱可塑性樹脂及び上述した添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性の熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延する方法をいう。熱可塑性樹脂としては、特にセルロースエステルを用いることが好ましい。
加熱溶融する成形方法としては、詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度及び表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出し法に用いる複数の原材料は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し、1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることで行うことができる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。
粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能で、なるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用い、保護フィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのまま保護フィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを、1軸や2軸タイプの押出し機を用いて押出す際の溶融温度は、200〜300℃の温度範囲とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し、異物を除去した後、Tダイから保護フィルム状に流延し、冷却ローラーと弾性タッチローラーで保護フィルムをニップし、冷却ローラー上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際、真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止する方法も好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体の複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ローラーと弾性タッチローラーにより保護フィルムをニップする際、タッチローラー側の保護フィルム温度は、保護フィルムのTg〜(Tg+110)℃の温度範囲にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するローラーは、公知のローラーが使用できる。
]
弾性タッチローラーは、挟圧回転体ともいう。弾性タッチローラーとしては、市販されているものを用いることもできる。
冷却ローラーから保護フィルムを剥離する際、張力を制御して保護フィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られた保護フィルムは、冷却ローラーに接する工程を通過した後、前記延伸操作により延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のローラー延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。具体的な条件は溶液流涎法の場合と同様である。
最後に、溶液流涎法の場合と同様に、上記のようにして得られた保護フィルムを巻取ることにより、保護フィルムが得られる。
≪偏光板の用途≫
本発明に係る保護フィルムが具備される偏光板は、種々の光学測定装置及び液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの表示装置に好適に用いることができる。
以下においては、一例として、本発明に係る偏光板を用いることができる液晶表示装置の構成例について、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の保護フィルムが具備された偏光板及び当該偏光板が具備された液晶表示装置構成の一例を示す概略断面図である。
]
<偏光板>
本発明に係る偏光板101Aは、少なくとも、保護フィルム102と、活性エネルギー線硬化性接着剤103Aと、偏光子104とがこの順序で積層されており、更に、当該保護フィルムが配置されている面とは反対側の偏光子面に、活性エネルギー線硬化性接着剤103Bと、本発明に係る保護フィルム105を積層した構成であることが好ましい態様である。すなわち、偏光板101Aは、本発明に係る保護フィルム105が、活性エネルギー線硬化性接着剤103Bで偏光子104と接着されている構成を有する。
上記偏光板101Aの保護フィルム105は液晶セル107と粘着剤又は接着剤等を介して貼合され、偏光板101Aと液晶セル107の貼合された面の反対側の液晶セル面(バックライト側:図ではBLと記載。)には、偏光板101Aと同じ構成の偏光板101Bの本発明の保護フィルム105が貼合されて、液晶表示装置108を構成することが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性接着剤の替わりに、他の公知の接着剤を用いてもよい。
〈偏光子〉
偏光板の主たる構成要素である偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子としては、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行った偏光子が用いられ得る。偏光子の膜厚は5〜30μmの範囲内が好ましく、特に5〜15μmの範囲内であることが好ましい。
また、特開2003−248123号公報、及び特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。なかでも、熱水切断温度が66〜73℃の範囲内であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能及び耐久性能に優れているうえに、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
〈保護フィルム〉
本発明の一実施形態に係る偏光板においては、必要に応じて、図4に示すように、本発明の保護フィルムが配置されている面とは反対側の偏光子面に、更に接着剤を介して保護フィルム102が積層されていることが好ましい。
当該保護フィルムは、市販品として入手することができ、例えば、コニカミノルタタック KC4UE、KC8UE、KC8UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC4CZ、KC6UA、KC4UA、及びKC2UA(以上、コニカミノルタ株式会社製)等が挙げられる。
特に視認側に配置される保護フィルムには、ハードコート層、帯電防止層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を設けることが好ましい。
〈接着剤〉
上述したように、図4に示す形態において、保護フィルム105と偏光子104とは接着剤103A又は103Bを介して接着されている。活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが透湿性を効果的に制御できることから好ましい。
ただし、本発明においては、接着剤は特に制限されず、活性エネルギー線硬化性接着剤のみならず、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等の公知の接着剤を用いることができる。
上記粘着剤としては1液型であってもよいし、使用前に2液以上を混合して使用する2液型であってもよい。接着剤は、有機溶媒を媒体とする溶媒系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型等の水系であってもよいし、無溶媒型であってもよい。接着剤液の濃度は、接着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
また、保護フィルム及び保護フィルムは偏光子との接着面、すなわち接着剤を設ける面に易接着処理がなされていてもよい。易接着処理としては、特に制限されないが、たとえば、コロナ処理、プラズマ処理等の公知の方法を用いることができる。
(活性エネルギー線硬化性接着剤)
活性エネルギー線硬化性接着剤には、カチオン重合型とラジカル重合型がある。本発明に好適に用いることのできる活性エネルギー線硬化性接着剤の好ましい例には、以下の(α)〜(δ)の各成分を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が含まれる。
(α)カチオン重合性化合物
(β)光カチオン重合開始剤
(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤
(δ)ナフタレン系光増感助剤
本発明では、カチオン重合性化合物を、活性エネルギー線の照射によってカチオン重合させて硬化させ、接着剤層を形成することが好ましく、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、光カチオン重合開始剤(β)を配合することが好ましい。
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生させ、カチオン重合性化合物(α)の重合反応を開始するものである。活性エネルギー線としては、取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般には紫外線が好ましく用いられる。以下、紫外線硬化型接着剤の好ましい形態について、簡単に説明する。
[紫外線硬化型接着剤]
本発明の一実施形態においては、保護フィルム105と、偏光子104との貼合、あるいは保護フィルム102と偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤を適用することにより、高生産性で、偏光子の耐久性に優れた特性を得ることができる。
〔紫外線硬化型接着剤の組成〕
偏光板用の紫外線硬化型接着剤組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。
≪偏光板の製造方法の全工程≫
本発明の偏光板の製造方法は、前述したように、少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板の製造方法であって、
前記各保護フィルム及び偏光子を長尺のロールから繰り出す工程を有し、さらに、
前記保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを、偏光子に貼合する前に熱処理する工程と、
前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ロラーで拡張する工程とを、この順に有し、
前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、
前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃ の範囲内であり、かつ、
前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかであることを特徴とする。
本発明の偏光板の製造方法における主要な特徴的工程については、前述のとおりである。以下においては、当該特徴的工程以外の工程を含む一般的製造工程について説明する。
特に、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた偏光板の製造方法の一例を説明する。
偏光板は、偏光子と保護フィルムとの接着面のうち、少なくとも一方に、下記の活性エネルギー線硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成する接着剤塗布工程と、当該接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとを接着し、貼り合せる貼合工程と、当該接着剤層を介して偏光子と保護フィルムとが接着された状態で接着剤層を硬化させる硬化工程とを含む製造方法によって製造することができる。また、保護フィルムの偏光子を接着する面を易接着処理する前処理工程があってもよい。
なお、前述した保護フィルムの熱処理・拡張工程は、ここでいう前処理工程に含まれていても、又は別の前処理工程として行ってもよい。
(前処理工程)
前処理工程は、セルロースエステルフィルムの、偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。偏光子104の両面にそれぞれ保護フィルム105及び保護フィルム102を接着させる場合は、それぞれの、偏光子104との接着面に易接着処理を行う。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(活性エネルギー線硬化性接着剤の塗布工程)
活性エネルギー線硬化性接着剤の塗布工程としては、偏光子104と保護フィルム105との接着面のうち少なくとも一方に、上記活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する。偏光子104又は保護フィルム105の表面に直接、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と保護フィルムの間に、活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させたのち、ロール等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(貼合工程)
上記の方法により活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子104の表面に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布した場合、そこに保護フィルム105が重ね合わされる。先の塗布工程で、はじめに保護フィルム105の表面に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する方式の場合には、そこに偏光子104が重ね合わされる。
また、偏光子104と保護フィルム105の間に活性エネルギー線硬化性接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子104と保護フィルム105とが重ね合わされる。偏光子の両面に、保護フィルム105又は保護フィルム102を接着する場合であって、両面とも活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合は、偏光子104の両面にそれぞれ、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して保護フィルム105又は保護フィルム102が重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面(偏光子の片面に保護フィルム105及び保護フィルム102を重ね合わせた場合は、偏光子側と保護フィルム側、また偏光子の両面に保護フィルム105又は保護フィルム102を重ね合わせた場合は、その両面の保護フィルム又は保護フィルム側)から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(硬化工程)
硬化工程では、未硬化の活性エネルギー線硬化性接着剤に活性エネルギー線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む活性エネルギー線硬化性接着剤層を硬化させ、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して重ね合わせた偏光子と保護フィルム105とを接着させる。
偏光子の片面に保護フィルム105を貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は保護フィルム105側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に保護フィルム105又は保護フィルム102を貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ活性エネルギー線硬化性接着剤を介して保護フィルム105又は保護フィルムを重ね合わせた状態で、活性エネルギー線を照射し、両面の活性エネルギー線硬化性接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
なお、活性エネルギー線としては、X線、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、紫外線の照射条件は、本発明に適用する紫外線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmであることが好ましく、100〜500mJ/cmであるのがさらに好ましい。
活性エネルギー線として電子線を用いる場合、電子線の照射条件は、吸収線量で、5〜100kGyであることが好ましく、10〜75kGyであることがさらに好ましい。加速電圧は、5〜300kVであることが好ましく、10〜250kVであることがさらに好ましい。
(偏光板巻取り工程)
上記製造方法で作製した偏光板の巻取り長さは、500〜5200mの範囲内が好ましく、より好ましくは1000〜4000mの範囲内である。上記範囲内であると、ロールのつなぎ合わせにロスが発生することを防止することができ、生産性の観点で好ましい。 また、巻としての保管が容易であり、巻ズレやゲージバンドといった偏光板の故障も防止することもできる。
偏光板を巻き取る張力は、20〜160N/cmの範囲内とすることが好ましい。さらに好ましくは、20〜130N/cmである。このような範囲内であれば、長尺のロール巻きを移送する際、巻きズレが起きることを防止し、タルミの発生を防止できる。
長尺であるほど巻き締まりが起き易くなるため、偏光板をコアに巻きながら張力を連続的または段階的に低下させてもよい。いわゆるテーパーをかけて張力を下げる方法であるが、その場合でも張力は20〜160N/cmとすることが好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/min、より好ましくは5〜300m/min、さらに好ましくは10〜100m/minである。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は保護フィルムへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れた活性エネルギー線硬化型接着剤層を形成することができる。
以上のようにして得られた偏光板において、接着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常0.01〜10の範囲内であり、好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。
<液晶表示装置>
本発明に係る偏光板は、上述のように液晶表示装置に好適に用いることができる。
液晶表示装置のパネルに使用されるガラスは0.3〜0.7mmの厚さの範囲が好ましく、さらに、0.3〜0.5mmの範囲が好ましい。本発明に係る偏光板は変形しづらいため、特に、ガラスの厚さが小さいときに、好ましく用いられる。
偏光板の本発明の保護フィルム側の表面と、液晶セルの少なくとも一方の表面との貼合は、公知の手法により行われ得る。場合によっては、接着層を介して貼合されてもよい。
液晶表示装置のモード(駆動方式)についても特に制限はなく、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCB等の各種駆動モードの液晶表示装置が用いられ得る。
特に、本発明に係る保護フィルムは、高いリターデーション値を有するようにすることもできることから、視野角を拡大する光学補償保護フィルム(保護フィルム)として、VA(MVA,PVA)型(垂直配向型)の液晶表示装置に好適に具備される。すなわち、本発明の一形態によれば、上記偏光板が、少なくとも液晶セルの片面に具備されている、垂直配向型液晶表示装置が提供される。
これらの液晶表示装置に、本発明の保護フィルムを含む偏光板を具備することで、耐久性(耐湿熱性)に優れた液晶表示装置を得ることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例及び比較例における「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例A−1]
(偏光子の作製)
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ10μmの偏光子を得た。
(活性エネルギー線硬化性接着剤液の調製:カチオン重合型、表中カチオン重合型と記載)
下記の各成分を混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化性接着剤液を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
45質量部
エポリードGT−301(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂) 40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
(偏光板の作製)
まず、保護フィルムとして、KC6UAフィルム(コニカミノルタ(株)製)を準備し、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤液を、マイクログラビアコーター(グラビアローラ:#300,回転速度140%/ライン速)を用いて、厚さ5μmになるように塗工して活性エネルギー線硬化性接着剤を形成した。
次いで、位相差フィルムとしてKC3PRフィルム1490mm(コニカミノルタ(株)製)に、上記調製した活性エネルギー線硬化性接着剤液を、上記と同様に、厚さ5μmとなるように塗工して活性エネルギー線硬化性接着剤を形成した。
KC3PRフィルムをロールから繰り出し後、水洗工程(水の吹き付け及びエアノズルによる水の吹き落とし)を行った後に、100℃・20秒加熱しつつ、エクスパンダローラー(カンセンエクスパンダ―社製)にてベンド率0.5%として拡張処理を行った。
保護フィルム1/活性エネルギー線硬化性接着剤/偏光子/活性エネルギー線硬化性接着剤/上記処理した位相差フィルムを張り合わせし、積層物を得た。その際に、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸が互いに直交になるようにローラー機で貼合した。
この積層物の両面側から、電子線を照射して、偏光板を作製した。
ライン速度は20m/min、加速電圧は250kV、照射線量は20kGyとした。
なお、各フィルム同士を張り合わせ後に、1000mにて巻取りを行った。巻取り初期張力を300Nとし、テーパー80%で巻取りを行った。
[実施例A−2]〜[比較例A−4]
表1−Aに記載したように、偏光板の貼合わせ時の処理方法以外は上記方法と同じようにして各種偏光板を作製した。
熱処理のタイミングは下記のとおりである。
α:洗浄工程⇒熱処理⇒拡張⇒貼合
β:洗浄工程⇒熱処理⇒貼合
γ:洗浄工程⇒貼合⇒熱処理
なお、フィルムのガラス転移温度(Tg)は、150℃であった。
当該ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量測定(日立ハイテクサイエンス社製 DSC7000X)を用いて行った。
(うねりの評価)
上記実験で得た各種偏光板の「うねり」について前記「RMSうねり」の値を指標として評価した。
RMS表面粗さは、表面性状測定機(Zygo製;NewView8300)を用いて測定し算出した。なお、測定は、測定対象領域を100μm、測定分解能を1μmとして行った。測定した画像に対してカットオフ・フィルターを適用して、波長5〜80μmの範囲内で測定を実施した。すなわち、カットオフ値λf=80μmで長い波長成分を、カットオフ値λc=5μmで短い波長成分を除き、RMSうねりを算出した。
保護フィルムの表面状態は、熱処理後のRMS値が2〜10nmの範囲内になっていることが好ましい。
以上の実験で得られた結果等を下記表I−Aに示す。この表から分かるように、本発明の偏光板について得られたRMS値は、比較例の偏光板について得られたRMS値に比べ小さくもなく、また大きくもなく適度の大きさであった。
Figure 2021012331
[実施例B−1]〜[実施例B−20]
前記実施例A−1と同様の方法で、表I−Bに示したように条件を変えて各種偏光板を作製した。
表I−Bにおいて用いられている略語及び記号などの意義は下記のとおりである。
TAC:トリアセチルセルロース;KC3PRフィルム(コニカミノルタ社製;ガラス転移温度Tg=150℃)熱処理のタイミングが右記
COP:シクロオレフィンポリマー;ゼオノア(Zeonor:登録商標)(日本ゼオン(株)社製;ガラス転移温度Tg=140℃)
Δ:熱処理⇒拡張⇒貼合(熱処理のタイミング)
Figure 2021012331
(巻評価と破壊試験評価)
上記実験で得た各種偏光板について巻評価と破壊試験評価を行った。評価方法と評価基準は下記のとおりである。評価結果は、表II−Aと表II−Bに示す。
巻き評価の方法:上記製造方法で作製した巻きを40℃・80%の環境下で1週間保管し、巻を繰り出して、偏光板の変形チェックを行った。
巻評価の基準:
〇 :変形箇所が、5個/m未満
〇△:変形箇所が、5個/m以上、7個/m未満
△ :変形箇所が、7個/m以上、10個/m未満
× :変形箇所が、10個/m以上
破壊試験評価の方法:作製した偏光板を80℃・80%の環境下にて、300時間保管し、取り出した後、室温まで戻し、偏光板の剥がれた箇所及び偏光子の乱れた箇所をカウントした。下記評価基準においては、偏光板の剥がれた箇所及び偏光子の乱れた箇所の総数を欠陥個所の個数とした。
破壊試験評価の基準:
〇 :欠陥個所が、10個/m未満
〇△:欠陥個所が、10個/m以上、15個/m未満
△ :欠陥個所が、15個/m以上、20個/m未満
× :欠陥個所が、20個/m以上
Figure 2021012331
Figure 2021012331
表II−Aと表II−Bに示した結果から明らかなように、本発明の実施例は比較例に対し、巻評価も破壊試験評価においても優れている。
1a バンパ
2a ゴム(高分子)ベルト
3a 斜版
4a グルーブ
11a シャフト材質
12a ソリッド軸受
13a ロールエンド材質
14a 正逆回転自在
15a ベンド方向水平横向きのときのベンド量
16a ウォーム軸受け
17a ベンド方向刻印
1 溶解釜
2、5、11、14 送液ポンプ
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストックタンク
8、16 導管
10 添加剤用仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 テンター装置
35 ローラー乾燥装置
36 ローラー
37 ワインダー
41 ストックタンク
43 ポンプ
44 濾過器
101A、101B 偏光板
102 保護フィルム
103A、103B 活性エネルギー線硬化性接着剤
104 偏光子
105 位相差フィルム
106 機能性層
107 液晶セル
108 液晶表示装置

Claims (12)

  1. 少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板の製造方法であって、
    前記各保護フィルム及び偏光子を長尺のロールから繰り出す工程を有し、さらに、
    前記保護フィルムA又は保護フィルムBの少なくともいずれか一方の保護フィルムを、偏光子に貼合する前に熱処理する工程と、
    前記熱処理された前記保護フィルムを拡張ローラーで拡張する工程とを、この順に有し、
    前記熱処理される前記保護フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、
    前記熱処理する温度が、(Tg−80)〜(Tg−30)℃ の範囲内であり、かつ、
    前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー、コンケイブ・ローラー、又はボウ・ローラー(バナナ・ローラー)のいずれかであることを特徴とする偏光板の製造方法。
  2. 前記拡張ローラーが、エクスパンダー・ローラー又はコンケイブ・ローラーであることを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記エクスパンダー・ローラーのベンド率が、0.15〜1.20%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記コンケイブ・ローラーのコンケイブ率が、0.01〜0.20%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板の製造方法。
  5. 前記熱処理の温度が、100℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  6. 前記熱処理の時間が、7〜60秒の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  7. 前記熱処理する工程の前に、水系溶媒によりフィルムを洗浄する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  8. 前記熱処理される保護フィルムの搬送張力が、1.5〜3.0N/m/μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  9. 前記保護フィルムを搬送する際の前記エクスパンダー・ローラーのラップ角度が、20〜70°の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  10. 前記保護フィルムを搬送する際の前記コンケイブ・ローラーのラップ角度が、70〜210°の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  11. 前記拡張ローラーで拡張された前記保護フィルムの「RMSうねり」が、2〜10nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  12. 少なくとも、保護フィルムA、偏光子及び保護フィルムBからなる偏光板であって、
    前記保護フィルムの少なくともいずれか一方が、表面が拡張されたフィルムであり、かつ、「RMSうねり」が2〜10nmの範囲内であることを特徴とする偏光板。
JP2019127513A 2019-07-09 2019-07-09 偏光板の製造方法及び偏光板 Pending JP2021012331A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019127513A JP2021012331A (ja) 2019-07-09 2019-07-09 偏光板の製造方法及び偏光板
TW109115021A TW202108356A (zh) 2019-07-09 2020-05-06 偏光板的製造方法及偏光板
CN202010640142.XA CN112213809A (zh) 2019-07-09 2020-07-06 偏振片的制造方法和偏振片
KR1020200082556A KR20210006854A (ko) 2019-07-09 2020-07-06 편광판의 제조 방법 및 편광판

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019127513A JP2021012331A (ja) 2019-07-09 2019-07-09 偏光板の製造方法及び偏光板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021012331A true JP2021012331A (ja) 2021-02-04

Family

ID=74059403

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019127513A Pending JP2021012331A (ja) 2019-07-09 2019-07-09 偏光板の製造方法及び偏光板

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP2021012331A (ja)
KR (1) KR20210006854A (ja)
CN (1) CN112213809A (ja)
TW (1) TW202108356A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023176303A1 (ja) * 2022-03-14 2023-09-21 住友化学株式会社 プロテクトフィルム付偏光板の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006132367A1 (ja) * 2005-06-10 2006-12-14 Fujifilm Corporation セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、偏光板、位相差フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルム、並びに液晶表示装置
JP2009196097A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルムの製造方法、セルロースアシレートフィルム及び光学フィルム
JP6363322B2 (ja) * 2012-06-08 2018-07-25 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
JP2017138582A (ja) 2016-01-29 2017-08-10 住友化学株式会社 偏光板の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023176303A1 (ja) * 2022-03-14 2023-09-21 住友化学株式会社 プロテクトフィルム付偏光板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW202108356A (zh) 2021-03-01
KR20210006854A (ko) 2021-01-19
CN112213809A (zh) 2021-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101763509B1 (ko) 편광판 및 이것을 사용한 액정 표시 장치
WO2014203637A1 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
US9523794B2 (en) Optical film of cellulose ester and cellulose ether for vertical alignment liquid crystal displays
KR20150136097A (ko) 편광판, 그 제조 방법 및 액정 표시 장치
JP5880554B2 (ja) 長尺状偏光板及び液晶表示装置
TWI585474B (zh) Optical film and optical film manufacturing method, polarizing plate and liquid crystal display device
WO2015098491A1 (ja) セルロースエステルフィルム、その製造方法及び偏光板
JP2021012331A (ja) 偏光板の製造方法及び偏光板
WO2011055590A1 (ja) 液晶偏光板用保護フィルムロール及びその製造方法
JPWO2011114764A1 (ja) 位相差フィルム及びそれが備えられた偏光板
WO2012133169A1 (ja) 液晶表示装置
JP6627748B2 (ja) 位相差フィルムおよび、それを用いた偏光板、表示装置
JP2014228760A (ja) 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP5655706B2 (ja) 液晶表示装置
WO2013145560A1 (ja) 光学フィルムの製造方法及び光学フィルム、偏光板、液晶表示装置
JP5626133B2 (ja) Va型液晶表示装置
WO2022215427A1 (ja) 延伸フィルム、延伸フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP2023173157A (ja) フィルムロール、その製造方法、偏光板、及び表示装置
JP2023173151A (ja) フィルムロール、その製造方法、偏光板、及び表示装置
JP2023176991A (ja) フィルムロールおよびその製造方法
JP5263299B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、液晶表示装置、および光学フィルムの製造方法
WO2010119732A1 (ja) 偏光子保護フィルム、それを用いた偏光板及びその製造方法
JP2014061643A (ja) 光学フィルムの製造方法